説明

疼痛および/または炎症治療のための組成物

一般式(I)R−AA−Rで表される少なくとも1のペプチド、その立体異性体、その混合物、ならびにその化粧品的および薬剤的に許容される塩を含んでなる、疼痛および/または炎症治療のための組成物。疼痛および/または炎症治療のための、一般式(I)で表されるペプチド、その立体異性体、その混合物、ならびにその化粧品的および薬剤的に許容される塩。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、疼痛および/または炎症の治療、好ましくは急性疼痛、慢性疼痛、炎症性疼痛、癌または癌治療によって誘導される疼痛、内臓痛、神経因性疼痛、ヘルペス後神経痛、糖尿病性神経障害、三叉神経痛、片頭痛、および線維筋痛の治療のための組成物に関する。この組成物は、SNAP−25タンパク質のアミノ酸配列由来の配列を有する少なくとも1のペプチドの有効量、またはその化粧品的もしくは薬剤的に許容される塩の有効量を含む。
【背景技術】
【0002】
疼痛は深刻な社会的および経済的問題に相当する。200万人を超える人々が日常的に一過性または慢性の痛みを被ることによって能力を失うと計算されている[Williams,M.,Kowaluk,E.A.and Arneric S.P(1999)“Emerging Molecular approaches to pain therapy”J.Med.Chem.42,1481−1500]。明らかな例は、癌、片頭痛、関節炎、火傷、事故、および外科手術を被った患者により経験される痛覚である。有効に治療されない疼痛は人々を困惑させ得り、能力を制限し、機動力を低下させ、睡眠障害の原因となり、かつ生活の質を劇的に妨げる。問題の深刻さにも関わらず、その症状およびその進行に対抗し、予防し、かつ/または最小化する薬学的蓄積は、部分的にはそれが作用する特異的な治療標的の欠如、および疼痛伝達を仲介する代謝経路が知られていないために驚くほど限定されている。
【0003】
身体の整合性は、2つの高度に専門化したシステム:免疫系および神経系の適切な、連動した働きにより確保される。物理的または化学的性質の有害な刺激による組織傷害の場合、両システムは、損傷の拡大を停止することおよび損傷部位の速やかな修復を確実にすることを目的として、患部の感作を起こすために協力して働く[Belmonte,C.and Cervero,F.Eds.(1996)“Neurobiology of Nociceptors”Oxford University Press]。この過程は炎症と呼ばれ、これが主に免疫系により仲介される場合は液性、または神経系により起こる場合は神経性である、2つの型のいずれか1つであり得る。いずれにしても重要な一局面は、両型の炎症が互いに増強しあうことによって炎症過程に伴う疼痛経験が強化されることである。
【0004】
疼痛感覚は、侵害受容神経細胞または侵害受容器として知られる感覚神経細胞の一群の末梢末端が、化学的、機械的、または熱による有害刺激により活性化されたときに始まる。侵害受容神経細胞は、組織損傷についての情報を脊髄および脳における疼痛感覚の処理中枢へ伝達する[Belmonte,C.and Cervero,F.Eds.(1996)“Neurobiology of Nociceptors”Oxford University Press;Baranauskas,G.and Nistri,A.(1998)“Sensitization of pain pathways in the spinal cord:cellular mechanisms”Prog.Neurobiol.54,349−365;Richardson,D.J. nd Vasko,M.R.(2002)“Cellular mechanisms of neurogenic inflammation”J.Pharmacol.Exp.Ther.302,839−845]。侵害受容器の重要な特性は、それらが主に最初は求心性神経であっても、一旦活性化されると、サブスタンスP(SP)としての疼痛誘発性および炎症誘発性分子、カルシトニン関連ペプチド(CGRP)、ヒスタミン、ATP、グルタミン酸塩、およびブラジキニン(BK)を放出することによって遠心性の機能を発揮できることである。これらの分子は、隣接する神経細胞、同様に肥満細胞、好中球、および血小板のようなその他の細胞型の、自己分泌および傍分泌による活性化を促進する。活性化の際に周囲の非神経細胞は、ニューロトロフィン(NGF)、サイトカイン(α−TNF、IL1−β、IL−6)、プロスタグランジン、ロイコトリエン、および炎症性混合液にその酸性の性質を与える水素イオンを放出する。これらの因子は全て侵害受容器に次々に作用して、局所性の炎症または神経原性の炎症を亢進し、侵害受容の興奮性または末梢の感作を変化させ、かつ35〜40℃の穏やかな温度のような中程度に有害な刺激への誇張された反応として定義される痛覚過敏、またはそよ風のような有害ではない刺激を痛みとして知覚する現象として定義される異痛症のような、損傷された領域への刺激に対する知覚の変化を引き起こす[Belmonte,C.and Cerveo,F.Eds.(1996)“Neurobiology of Nociceptors”Oxford University Press;Baranauskas,G.and Nistri,A.(1998)“Sensitization of pain pathways in the spinal cord:cellular mechanisms”Prog.Neurobiol.54,349−365;Richardson,D.J.and Vasko,M.R.(2002)“Cellular mechanisms of neurogenic inflammation”J.Pharmacol.Exp.Ther.302,839−845;Brune,K.and Handwerker,H.O.Eds.(2004)“Hyperalgesia:molecular mechanisms and clinical implications”Progress in Pain Research and Management,vol 30.IASP Press.Seattle]。末梢侵害受容器の持続的な興奮性により、中枢性感作過程を導く脊髄レベルでのシナプス性の変化が引き起こされ、これにより炎症領域における疼痛知覚が次々に増強される[Richardson,D.J.and Vasko,M.R.(2002)“Cellular mechanisms of neurogenic inflammation”J.Pharmacol.Exp.Ther.302,839−845;Brune,K.and Handwerker,H.O.Eds.(2004)“Hyperalgesia:molecular mechanisms and clinical implications”Progress in Pain Research and Management,vol 30.IASP Press. Seattle]。
【0005】
神経原性炎症の分子的および細胞的な基礎ならびに炎症メディエーターによるそれらの調節は主に、関連する多くの受容体の分子的同一性についての情報の欠如、および侵害受容器に関連するシグナル伝達経路の不確実性のためにほとんど知られていない。しかしながら、それによって炎症性混合液の成分が神経細胞の興奮性を変化させる機構が、侵害受容器表面のイオンチャネルの相互作用を通して直接的に、または細胞内カスケードを通して間接的に起こり得ることが知られている[Richardson,D.J.and Vasko,M.R.(2002)“Cellular mechanisms of neurogenic inflammation”J.Pharmacol.Exp.Ther.302,839−845;Brune,K.and Handwerker,H.O.Eds.(2004)“Hyperalgesia:molecular mechanisms and clinical implications”Progress in Pain Research and Management,vol 30.IASP Press.Seattle]。従ってBK、NGF、およびインターロイキンは、環境刺激を伝達し、かつ/または神経細胞遺伝子の発現を調節する膜受容体を変化させ得るPKCおよびPKAキナーゼタンパク質を活性化する代謝経路の活性化によって作用する(特に慢性炎症過程において)。細胞内シグナル伝達経路の標的受容体は、Naイオンへの選択的電位により活性化されるチャネルおよびTRPV1バニロイド受容体、化学的および熱による有害刺激の感覚統合器(sensory integrator)、同様に機械受容チャネルを含む。これらの受容体の活性化により、侵害受容器の求心性および遠心性機能を刺激する作用の潜在力が誘発され、末梢性および中枢性感作の増強がもたらされる。従ってこれらの知見は全て、急性および慢性炎症過程での神経原性または神経性炎症において鍵となる役割を実証する。結果的に、神経原性炎症の規模を縮小する化合物は、抗炎症および鎮痛活性を呈し得る。従って、例えばTRPV1、Naチャネル、ブラジキニン受容体、またはプリン受容体のような関係する神経細胞受容体アンタゴニストは、強力な抗炎症および/または鎮痛剤として作用し得る。この証拠となるものはTRPV1受容体アンタゴニストである[Garcia−Martinez,C.,Planells−Cases,R.,Fernandez,A.M.Royo,M.,Albehcio,F.,Messeguer,A.,Perez−Paya,E.,Carreno,C.and Ferrer−Montiel,A.(2003)“Small molecules targeting the TRPV1 complex as new drugs for pain management”Drugs of the Future 28,15−23]。
【0006】
このような知識にもかかわらず、現在の抗炎症および/または鎮痛化合物は、アスピリンまたはイブプロフェンのような非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)、およびモルヒネのような麻薬に限定されている。NSAIDは、それらの有用性を制限する副作用を有し;一方でそれらは活性の上限を有し、それを超えて容量を増大させても疼痛は減少されず、他方でそれらはまた腸管内を刺激し得ることから、長期の使用は胃潰瘍の発生を導き得る。このことは、慢性関節炎病変の治療のためにNSAIDを日常的にしばしば消費する高齢患者にとって真に重大である。残念なことにオピオイドもまた、便秘症、呼吸器系の低下のような望まれない副作用、ならびに多幸感、鎮静状態、および依存症のような精神活性作用を有する。これらの副作用は治療で使用する用量と同様の用量で起こることから患者へ投与されてよい用量は厳しく制限され、このことはそれらの使用がしばしば末期患者の治療に委ねられることを意味する。
【0007】
従って、疼痛治療のための現存の薬理学的蓄積を増大させる、重大な必要性がある。
【0008】
しかしながら神経細胞受容体レベルでの作用に加え、神経原性炎症の分子的基礎は、免疫および神経系を刺激する原因となるCGRPのような炎症誘発性(または疼痛誘発性)神経物質、サブスタンスP、L−グルタミン酸塩、ATP、ヒスタミンなどの放出を遮断するかまたは阻害するようなさらなる治療標的にもまた関与する。疼痛誘発性神経物質は、陽イオンCa2+に依存し、かつSNAREタンパク質により仲介されるエキソサイトーシス機構を通して放出される[Bennett,M.K.and Scheller,R.H.(1993)“The molecular machinery for secretion is conserved from yeast to neurons”Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90,2559−2563;Sudhof,T.C.(1995)“The synaptic vesicle cycle:a cascade of protein−protein interactions”Nature 375,645−653;Yang,Y.,Xia,Z,and Liu,Y.(2000)“SNAP25 functional domains in SNARE core complex assembly and glutamate release of cerebellar granule cells”J.Biol.Chem.275,29482−29487;Brunger,A.T.(2001)“Structure of proteins involved in synaptic vesicle fusion in neurons”Annu.Rev.Biophys.Biolmol.Struct.30,157−171;Chen,Y.A.and Scheller,R.H.(2001)“SNARE−mediated membrane fusion”Nat.Rev.Mol.Cell Biol.2,98−106]。
【0009】
SNAP−25タンパク質を破壊する、神経細胞エキソサイトーシスの強力な阻害物質であるボツリヌス毒素A[Bennett,M.K.and Scheller,R.H.(1993)“The molecular machinery for secretion is conserved from yeast to neurons”Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90,2559−2563;Sudhof,T.C.(1995)“The synaptic vesicle cycle:a cascade of protein−protein interactions”Nature 375,645−653]の皮下注射が、化学的刺激物であるホルマリンの足底内投与により生じる疼痛を軽減させることは、当該技術の状況において公知である[Cui,M.,Khanijou,S.,Rubino,J.and Aoki,K.R.(2004)“Subcutaneous administration of botulinum toxin A reduces formalin−induced pain”Pain 107,125−133]。
【0010】
様々な型の疼痛を治療するための、ボツリヌス毒素の異なる血清型の開発が当該技術の状況において公知であり、例えばこれらに限定されるものではないが、治療応用について特に米国特許第7,381,700号、米国特許第7,374,769号、米国特許第7,361,358号、米国特許第7,294,339号、米国特許第7,255,866号、米国特許第7,211,262号、米国特許第7,172,763号、米国特許第7,091,176号、米国特許第7,067,137号、米国特許第6,887,476号、米国特許第6,869,610号、米国特許第6,838,434号、米国特許第6,776,992号、米国特許第6,641,820号、米国特許第6,623,742号、米国特許第6,565,870号、米国特許第6,500,436号、米国特許第6,464,986号、米国特許第6,458,365号、米国特許第6,423,319号、米国特許第6,372,226号、米国特許第6,333,037号、米国特許第6,235,289号、米国特許第6,113,915号、および米国特許第5,714,468号の特許に記載される。
【0011】
しかしながらボツリヌス毒素に固有の毒性が、広範囲の用量におけるその投与に、免疫反応、頭痛、吐き気、筋麻痺または筋力低下、呼吸不全、および最も極端な場合には治療対象の死のような望まれない副作用を生じさせる原因となる[FDA News,February 8,2008,“FDA Notifies Public of Adverse Reactions Linked to Botox Use”;Cote,T.R.,Mohan,A.K.,Polder,J.A.,Walton,M.K.and Braun,M.M.(2005)“Botulinum toxin type A injections:Adverse events reported to the US Food and Drug Administration in therapeutic and cosmetic cases”J.Amer.Acad.Derm.53(3),407−415]。これらの重篤な副作用は、高額な治療費と共に疼痛および/または炎症治療のためのボツリヌス毒素の応用を厳しく制限し、それを慢性への応用および/または適切な治療のない病態へ委ねることとなる。従って、ボツリヌス毒素の作用を模倣するが、免疫反応を誘導せず、副作用が少なく、かつその生産費用がより安価である化合物を用いた、より安全な代替治療を見出す必要がある。
【0012】
本発明の出願者らは、神経細胞エキソサイトーシスに必要とされるSNARE複合体の形成を妨げることによって抗炎症および/または鎮痛活性を示し得る化合物が存在し、ボツリヌス毒素を用いる治療により提示される問題を解決することを特定した。SNARE複合体を形成するタンパク質の配列由来の特定のペプチドが神経細胞エキソサイトーシスを阻害できることが当該技術の状況において公知であり、これは例えばSNAP−25タンパク質[Apland,J.P.,Biser,J.A.,Adler,M.,Ferrer− Montiel,A.M.,Montal,M.,Canaves,J.M.,and Filbert,M.G.(1999)“Peptides that mimic the carboxy−terminal domain of SNAP−25 block acetylcholine release at an aplysia synapse”J.Appl.Toxicol.19,Suppl.1:S23−S26;Mehta,P.P.,Batternger,E.,and Wilson,M.(1996)“SNAP−25 and synaptotagmin involvement in the final Ca2+−dependent triggering of neurotransmitter exocytosis”Proc.Natl.Acad.Sci.USA 93:10471−10476;Ferrer−Montiel,A.V.,Gutierrez,L.M.,Apland,J.P.,Canaves,J.M.,Gil,A,Viniegra,S.,Biser,J.A.,Adler,M.,and Montal,M.(1998)“The 26−mer peptide released from cleavage by botulinum neurotoxin E inhibits vesicle docking”FEBS Lett.435,84−88;Gutierrez,L.M.,Canaves,J.M.,Ferrer−Montiel,A.V.,Reig,J.A.,Montal,M.and Viniegra,S.(1995)“A peptide that mimics the carboxy−terminal domain of SNAP−25 blocks Ca2+−dependent exocytosis in chromaffin cells”FEBS Lett.372,39−43;Gutierrez,L.M.,Viniegra,S.,Rueda,J.,Ferrer−Montiel,A.V.,Canaves,J.M.,and Montal,M.(1997)“A peptide that mimics the C−terminal sequence of SNAP−25 inhibits secretory vesicle docking in chromaffin cells”J.Biol.Chem.272,2634−2639;Blanes−Mira,C,Valera,E.,Fernandez−Ballester,G.,Merino,J.M.,Viniegra,S.,Gutierrez,L.M.,Perez−Paya,E.,and Ferrer−Montiel,A.(2004)“Small peptides patterned after the N−terminus domain of SNAP−25 inhibit SNARE complex assembly and regulated exocytosis”J.Neurochem.88,124−135]のアミノおよびカルボキシルドメイン由来のペプチド、シンタキシン[Martin,F.,Salinas,E.,Vazquez,J.,Soria,B.,and Reig,J.A.(1996)“Inhibition of insulin release by synthetic peptides show that the H3 region at the C−terminal domain of syntaxin−1 is crucial for Ca2+ −but not for guanosine 5’−[gamma−thio]thriphosphate−induced secretion”Biochem.J.320,201−205]、シナプトブレビン[Cornille,F.,Deloye,F.,Fournie−Zaluski,M.C.,Roques,B.P.and Poulain,B.(1995)“Inhibition of neurotransmitter release by synthetic proline−rich peptides shows that the N−terminal domain of vesicle−associated membrane protein/synaptobrevin is critical for neuro−exocytosis”J.Biol.Chem.270,16826−16830]、シナプトタグミン[Mehta,P.P.,Batternger,E.,and Wilson,M.(1996)“SNAP−25 and synaptotagmin involvement in the final Ca2+−dependent triggering of neurotransmitter exocytosis” Proc.Natl.Acad.ScL USA 93:10471−104]、およびスナピンタンパク質[Ilardi,J.M.,Mochida,S.,and Sheng,Z.H.(1999)“Snapin:A SNARE associated protein implicated in synaptic transmission”Nat.Neurosci.2,119−124]のアミノ酸配列由来のペプチドである。同様に合成ペプチドもまた、合理的設計または合成化学ライブラリーの操作によって得られており、これは神経細胞エキソサイトーシスの阻害によってSNARE複合体の形成を妨げることができる[Blanes−Mira,C.,Pastor,M.T.,Valera,E.,Fernandez−Ballester,G.,Merino,J.M.,Gutierrez,L.M.,Perez−Paya,E.,and Ferrer−Montiel,A.(2003)“Identification of SNARE complex modulators that inhibit exocytosis form an α−helix−constrained combinatorial library”Biochem J.375,159−166]。
【0013】
この型の化合物の産業応用は限定されてきた。化粧品産業は、しわによる表情形成の処置および防止における独占的使用のために、ボツリヌス毒素の作用を模倣する化合物の開発に著しく努力してきた[Blanes−Mira,C.,Clemente,J.,Jodas,G.,Gil,A.,Fernandez−Ballester,G.,Ponsati,B.,Gutierrez,L.M.,Perez−Paya,E.and Ferrer−Montiel,A.(2002)“A synthetic hexapeptide(Argireline(登録商標))with anti−wrinkle activity”Int.J.Cosmet.Sci.24,303−310]。特に、Lipotec,S.A.による欧州特許出願第1180524A1号および国際出願第2008/049945号の特許出願には、SNAP−25タンパク質のアミノ末端断片に由来し、抗しわ効果を有するそれらのアミノおよび/またはカルボキシ末端が遊離であるかもしくは修飾されるペプチドについて記載されており、かつ国際出願第97/34620号には、神経細胞エキソサイトーシスを阻害できる、SNAP−25タンパク質、特にそのカルボキシ末端、またはシナプトブレビンもしくはシンタキシンのアミノ酸配列に由来するペプチドについても記載される。
【0014】
上記のいずれの特許も、SNAP−25タンパク質に由来するペプチドの鎮痛剤および/または抗炎症剤としての使用、また特にSNAP−25タンパク質に由来するペプチドの疼痛および/または炎症治療のための使用にも言及していない。
【0015】
本発明は、神経細胞エキソサイトーシスを遮断するSNAP−25タンパク質に由来するペプチドが抗炎症および/または鎮痛剤であることの実証を含んでなる、現存の必要性に対する解決を提供する。
【発明の概要】
【0016】
本発明は、疼痛および/または炎症治療のための単純、有効、かつ危険性のない解決を提供し、これは、配列番号1に規定されるSNAP−25タンパク質のアミノ酸配列に含まれる3ないし40の隣接するアミノ酸の配列を有する少なくとも1のペプチドを含む組成物の応用を含んでなる。
【0017】
従って、本発明の第1の態様は疼痛および/または炎症治療のための組成物に関し、これは式(I):
【0018】
−AA−R (I)
(式中、
AAは配列番号1のアミノ酸配列に含まれる3ないし40の隣接するアミノ酸の配列であり;
はH、置換されるかまたはされない非環式脂肪族基、置換されるかまたはされない脂環、置換されるかまたはされない複素環、置換されるかまたはされないヘテロアリールアルキル、置換されるかまたはされないアリール、置換されるかまたはされないアラルキル、およびR−C(O)−からなる群より選択され;かつ
は−NR、−OR、および−SRからなる群より選択され;ここでRおよびRは独立して、H、置換されるかまたはされない非環式脂肪族基、置換されるかまたはされない脂環、置換されるかまたはされない複素環、置換されるかまたはされないヘテロアリールアルキル、置換されるかまたはされないアリール、および置換されるかまたはされないアラルキルからなる群より選択され;
ここでRはH、置換されるかまたはされない非環式脂肪族基、置換されるかまたはされない脂環、置換されるかまたはされないアリール、置換されるかまたはされないアラルキル、置換されるかまたはされない複素環、および置換されるかまたはされないヘテロアリールアルキルからなる群より選択される)
で表される有効量の少なくとも1のペプチド、その立体異性体、およびそのラセミであるかまたはラセミではない混合物、ならびにその化粧品的または薬剤的に許容される塩を含んでなる。
【0019】
特定の一実施形態によれば、疼痛および/または炎症治療のための組成物は、化粧品または医薬組成物である。
【0020】
別の特定の実施形態によれば、AAは配列番号1のアミノ酸配列に含まれる3ないし30の隣接するアミノ酸の配列である。
【0021】
別の特定の実施形態によれば、一般式(I)で表されるペプチドの好ましい構造において、
はH、CないしC24の置換されるかまたはされない非環式脂肪族基、CないしC24の置換されるかまたはされない脂環基、またはR−C(O)−であり、ここでRはCないしC24の置換されるかまたはされない非環式脂肪族基、またはCないしC24の置換されるかまたはされない脂環基であり;かつ
は−NRまたは−ORであり、ここでRおよびRは独立して、H、CないしC24の置換されるかまたはされない非環式脂肪族基およびCないしC24の置換されるかまたはされない脂環基からなる群より選択される。
【0022】
別の特定の実施形態によれば、最も好ましい構造はRがポリエチレングリコール重合体である構造である。さらに好ましい構造は、ポリエチレングリコール重合体が
【0023】

(式中、nは1ないし100に変動し得り、最も好ましくは1ないし5の範囲であり得る)
で表される構造である。
【0024】
別の特定の実施形態によれば、好ましい構造は、RがH、アセチル、tert−ブタノイル、ヘキサノイル、2−メチルヘキサノイル、シクロヘキサンカルボキシル、オクタノイル、デカノイル、ラウロイル、ミリストイル、パルミトイル、ステアロイル、オレオイル、およびリノレオイルである構造である。
【0025】
別の特定の実施形態によれば、好ましい構造は、RおよびRが独立して、H、メチル、エチル、ヘキシル、ドデシル、およびヘキサデシルからなる群より選択される構造である。
【0026】
本発明の組成物に含まれるペプチドは立体異性体または立体異性体の混合物として存在し得り;例えば、それらを作り上げるアミノ酸は互いに独立してL−、D−立体配置を有し得るかまたはラセミであり得る。従って、不斉炭素の数、およびどのような異性体または異性体混合物が存在するかによって、異性体混合物、同様にラセミ体もしくはジアステレオマー混合物、または純粋なジアステレオマーもしくは鏡像異性体を得ることが可能である。本発明の組成物に含まれるペプチドの好ましい構造は純粋な異性体、すなわち鏡像異性体またはジアステレオマーである。
【0027】
本発明の文脈内での「非環式脂肪族基」との語は、限定はされないが例えば直鎖または分岐のアルキル、アルケニル、およびアルキニル基を包含するように、本発明において用いられる。
【0028】
本発明における「アルキル基」との語は、1ないし24、好ましくは1ないし16、さらに好ましくは1ないし14、さらになお好ましくは1ないし12、さらになお好ましくは1、2、3、4、5または6の炭素原子を有する直鎖状または分岐状の飽和基を指し、これは単結合を通して分子の残りの部分に結合し、限定はされないが例えば、メチル、エチル、イソプロピル、イソブチル、tert−ブチル、ヘプチル、オクチル、デシル、ドデシル、ラウリル、ヘキサデシル、オクタデシル、アミル、2−エチルヘキシル、2−メチルブチル、5−メチルヘキシル基などを含む。
【0029】
本発明における「アルケニル基」との語は、2ないし24、好ましくは2ないし16、さらに好ましくは2ないし14、さらになお好ましくは2ないし12、さらになお好ましくは2、3、4、5または6の炭素原子を、1以上の炭素−炭素二重結合、好ましくは1、2もしくは3の共役または非共役の炭素−炭素二重結合と共に有する基を指し、これは単結合を通して分子の残りの部分に結合し、限定はされないが例えば、ビニル、オレイル、リノレイル基などを含む。
【0030】
本発明における「アルキニル基」との語は、2ないし24、好ましくは2ないし16、さらに好ましくは2ないし14、さらになお好ましくは2ないし12、さらになお好ましくは2、3、4、5または6の炭素原子を、共役または非共役の、1以上の炭素−炭素三重結合、好ましくは1、2もしくは3の炭素−炭素三重結合と共に有する基を指し、これは単結合を通して分子の残りの部分に結合し、限定はされないが例えば、エチニル基、1−プロピニル、2−プロピニル、1−ブチニル、2−ブチニル、3−ブチニル、ペンチニル、例えば1−ペンチニルなどを含む。
【0031】
本発明において「脂環基」との語は、限定はされないが例えば、シクロアルキル、またはシクロアルケニル、またはシクロアルキニル基を包含するように用いられる。
【0032】
本発明における「シクロアルキル」との語は、3ないし24、好ましくは3ないし16、さらに好ましくは3ないし14、さらになお好ましくは3ないし12、さらになお好ましくは3、4、5または6の炭素原子を有する単環式または多環式の飽和脂肪族基を指し、これは単結合を通して分子の残りの部分に結合し、限定はされないが例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、メチルシクロヘキシル、ジメチルシクロヘキシル、オクタヒドロインデン、デカヒドロナフタレン、ドデカヒドロフェナレンなどを含む。
【0033】
本発明における「シクロアルケニル」との語は、5ないし24、好ましくは5ないし16、さらに好ましくは5ないし14、さらになお好ましくは5ないし12、さらになお好ましくは5または6の炭素原子を、共役または非共役の、1以上の炭素−炭素二重結合、好ましくは1、2または3の炭素−炭素二重結合と共に有する、単環式または多環式の非芳香族脂肪族基を指し、これは単結合を通して分子の残りの部分に結合し、限定はされないが例えば、シクロペンタ−1−エン−1−イル基などを含む。
【0034】
本発明における「シクロアルキニル」との語は、5ないし24、好ましくは5ないし16、さらに好ましくは5ないし14、さらになお好ましくは5ないし12、さらになお好ましくは5または6の炭素原子を、共役または非共役の、1以上の炭素−炭素二重結合、好ましくは1、2または3の炭素−炭素三重結合と共に有する、単環式または多環式の非芳香族脂肪族基を指し、これは単結合を通して分子の残りの部分に結合し、限定はされないが例えば、シクロヘキサ−1−イン−1−イル基などを含む。
【0035】
本発明における「アリール基」との語は、6ないし30、好ましくは6ないし18、さらに好ましくは6ないし10、さらになお好ましくは6または10の炭素原子を有し、炭素−炭素結合を通して結合するかまたは融合する1、2、3または4の芳香族環により構成される芳香族基を指し、限定はされないが例えば、特にフェニル、ナフチル、ジフェニル、インデニル、フェナントリル、もしくはアントラニル、またはアラルキル基を含む。
【0036】
本発明における「アラルキル基」との語は、芳香族基により置換され、7ないし24の炭素原子を有するアルキル基を指し、限定はされないが例えば、−(CH1−6−フェニル、−(CH1−6−(1−ナフチル)、−(CH1−6−(2−ナフチル)、−(CH1−6−CH(フェニル)などを含む。
【0037】
本発明における「複素環基」との語は、3〜10員の炭化水素環を指し、ここで1以上の環原子、好ましくは1、2または3の環原子は、例えば窒素、酸素または硫黄のような炭素とは異なる要素であり、飽和または不飽和であってよい。本発明の目的のためには、複素環は単環式、二環式または三環式系の環式であり得り、これは融合環系を含んでよく、かつ窒素、炭素、または硫黄原子は複素環の遊離基内で任意に酸化されてよく;窒素原子は任意に四級化され得り、遊離複素環は部分的もしくは完全に飽和され得るかまたは芳香族であり得る。さらに好ましくは、複素環との語は5または6員の環を指す。
【0038】
本発明における「ヘテロアリールアルキル基」との語は、置換または非置換の芳香族複素環基により置換されたアルキル基を指し、該アルキル基は1ないし3の炭素原子を有し、かつ該芳香族複素環基は2ないし24の炭素原子および1ないし3の炭素以外の原子を有し、限定はされないが例えば、−(CH1−6−イミダゾリル、−(CH1−6−トリアゾリル、−(CH1−6−チエニル、−(CH1−6−フリル、−(CH1−6−ピロリジニルなどを含む。
【0039】
当該技術分野において理解されるように、上で定義される遊離基には幾らかの程度の置換が存在してよい。従って、本発明のいずれの基にも置換が存在してよい。本発明の基における置換基に対するこの文書内の言及は、特定の遊離基が1以上の利用可能な位置において、好ましくは1、2または3の位置、さらに好ましくは1または2の位置、およびさらになお好ましくは1の位置において、1以上の置換基により置換されてよいことを示す。このような置換基は、限定はされないが例えば、C−Cアルキル;ヒドロキシル;C−Cアルコキシル;アミノ;C−Cアミノアルキル;C−Cカルボニルオキシル;C−Cオキシカルボニル;フッ素、塩素、臭素およびヨウ素のようなハロゲン、シアノ、ニトロ;アジド;C−Cアルキルスルホニル;チオール;C−Cアルキルチオ;フェノキシルのようなアリールオキシル;−NR(C=NR)NRを含み;ここでRおよびRは、H、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、C−C10シクロアルキル、C−C18アリール、C−C17アラルキル、3〜10員の複素環、またはアミノ保護基からなる群より独立して選択される。
【0040】
本発明の文脈内での「SNAP−25タンパク質からのアミノ酸配列由来のアミノ酸配列」は、配列番号1により規定されるSNAP−25タンパク質のアミノ酸配列のいずれのアミノ酸配列もしくは断片、またはそれがSNAP−25タンパク質の活性を有するペプチドに相当するという条件下で、少なくとも1のアミノ酸の変異、挿入、欠失、または置換により、または遺伝コードの縮重により、配列番号1の配列とは異なるいずれのアミノ酸配列を意味する。変異、挿入、または置換は、遺伝的にコードされるアミノ酸またはコードされないアミノ酸、天然または非天然、限定はされないが例えば特に、シトルリン、オルニチン、サルコシン、デスモシン、ノルバリン、4−アミノ酪酸、2−アミノ酪酸、2−アミノイソ酪酸、6−アミノヘキサン酸、1−ナフチルアラニン、2−ナフチルアラニン、2−アミノ安息香酸、4−アミノ安息香酸、4−クロロフェニルアラニン、2,3−ジアミノプロピオン酸、2,4−ジアミノ酪酸、サイクロセリン、カルニチン、シスチン、ペニシラミン、ピログルタミン酸、チエニルアラニン、ヒドロキシプロリン、アロイソロイシン、アロスレオニン、イソニペコチン酸、イソセリン、フェニルグリシン、スタチン、ベータアラニン、ノルロイシン、N−メチルアミノ酸類、ベータまたはガンマアミノ酸、およびそれらの誘導体により起こる。非天然アミノ酸のリストは、“The Peptides”,Vol 5(1983),Chapter VI,Gross,E.and Meienhofer,J.,Eds.,Academic Press,New York,USAの、Roberts D.C.およびVellaccio F.による“Unusual amino acids in peptide synthesis”の論文、または特にNeoMPS、Bachem、Novabiochem、Sigma−Aldrich、Peptides International、Advanced ChemTech、Chem−lmpex、Maybridge Chemical、Chirotech Technology、Peninsula Laboratories、またはRSP Amino Acid Analoguesのような、本部門における専門的な会社の商業カタログに見出すことができる。
【0041】
本発明の組成物に含まれる配列番号1により規定されるSNAP−25のアミノ酸配列由来のペプチドのうち、好ましい配列は、配列番号2により規定されるSNAP−25タンパク質のアミノ末端領域の配列もしくは配列番号3により規定されるSNAP−25タンパク質のカルボキシ末端領域、さらに好ましくは配列番号4により規定される残基10ないし22の領域に含まれる、または配列番号5により規定される残基25ないし40の領域に含まれる、または配列番号6により規定される残基65ないし81の領域に含まれる、または配列番号7により規定される残基181ないし206の領域に含まれる、さらに正確には配列番号8により規定される残基12ないし19の領域に含まれる、または配列番号9により規定される残基26ないし38の領域に含まれる、または配列番号10により規定される残基68ないし79の領域に含まれる、および配列番号11により規定される残基12ないし17の領域に特異的に含まれる、隣接するアミノ酸の配列を有する配列である。
【0042】
特に好ましいアミノ酸配列は、好ましくは配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24、配列番号25、配列番号26、配列番号27、配列番号28、配列番号29、配列番号30、配列番号31、および配列番号32からなる群より選択される配列のうち、いずれか1に含まれる隣接するアミノ酸の配列を有する配列である。
【0043】
さらに本発明はまた、非可逆的に化学修飾された、SNAP−25タンパク質のアミノ酸配列由来のペプチドに実質的に相同なペプチドを含んでなる組成物も含む。本発明における「実質的に相同なペプチド」は、いずれの前述の配列に少なくとも60%、好ましくは80%、さらに好ましくは95%同一なアミノ酸配列を意味する。「同一性のパーセンテージ」は、2つの比較されるアミノ酸配列間における、これらの配列の至適なアラインメント後の同一なアミノ酸のパーセンテージを指し、このパーセンテージは純粋に統計的であり、かつ2つのアミノ酸配列間の違いは配列に沿って無作為に分布する。「至適なアラインメント」との語は、同一性の高いパーセンテージをもたらすアミノ酸配列のアラインメントを意味する。同一性のパーセンテージは、比較される2つの配列においてアミノ酸が同一である、同一な位置の数を決定すること、同一な位置の数を比較した位置の数で割ること、および2つの配列の間の同一性のパーセンテージを得るため、結果に100を掛けることにより算出される。2つのアミノ酸配列間の配列比較は、手動で、またはhttp://www.ncbi.nlm.nih.gov/BLAST/のサイトでオンライン入手できるBLASTアルゴリズム(Basic Local Alignment Search Tool)のようなソフトウェアを用いて実行することができる。
【0044】
本発明の範囲内には、本発明の組成物のペプチドの化粧品的または薬剤的に許容される塩もまた含まれる。本発明における「化粧品的または薬剤的に許容される塩」との語は、動物、さらに詳細にはヒトにおける使用が一般に認められている塩を意味し、これは塩基付加塩、限定はされないが例えば、特にリチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムまたはアルミニウムのような無機塩、もしくは限定はされないが例えば、特にエチルアミン、ジエチルアミン、エチレンジアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、アルギニン、リジン、ヒスチジン、またはピペラジンのような有機塩のいずれか、または酸付加塩、限定はされないが例えば、特に酢酸、クエン酸、乳酸塩、マロン酸、マレイン酸、酒石酸、フマル酸、安息香酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、コハク酸、オレイン酸、トリフルオロ酢酸、シュウ酸、パモ酸またはグルコン酸のような有機塩、もしくは限定はされないが例えば、特に塩化物、硫酸、ホウ酸、または炭酸のような無機塩のいずれかを形成するために用いられる塩を含む。塩の性質は、それが化粧品的または薬剤的に許容されるという条件下では決定的に重要ではない。本発明の組成物のペプチドの化粧品的または薬剤的に許容される塩は、当該技術分野において公知の従来法により得ることができる[Berge S.M.,Bighley LD.and Monkhouse D.C.(1977)“Pharmaceutical Salts”J.Pharm.Sci 66:1−19]。
【0045】
加えて本発明のペプチドには、それらの生物学的利用能を増大させ、かつ血液脳関門または上皮組織の通過を容易にするため、可逆的な化学修飾を行うことができる。
【0046】
本発明の組成物に含まれるペプチドは、該ペプチドを哺乳類、好ましくはヒトの体内でそれらの作用部位に接触させられるようないずれの手段を用いて投与できる。これらの組成物は、当業者に公知の従来法によって調製できる[“Harry’s Cosmeticology”,Eight[sic]edition(2000)Rieger MM.,ed.,New York Chemical Pub.,NY,US;“Remington:The Science and Practice of Pharmacy”,Twentieth edition(2003)Genaro A.R.,ed.,Lippincott Williams & Wilkins,Philadelphia,US]。
【0047】
本発明の組成物に含まれるペプチドは、それらの配列の性質、またはそれらのアミノおよび/またはカルボキシ末端においてそれらが有することが可能な修飾に依存して、可変的な水溶性を有する。従って、本発明のペプチドは水溶液によって組成物中に取り込むことができ、水溶性でないものについては、限定はされないが例えばエタノール、プロパノール、イソプロパノール、プロピレングリコール、グリセリン、ブチレングリコールもしくはポリエチレングリコール、またはそれらのいずれの組み合わせのような、化粧品的または薬剤的に許容される従来の溶媒中で可溶化できる。
【0048】
疼痛および/または炎症を治療するために投与する必要のある、本発明の組成物に含まれるペプチド、それらの立体異性体、それらの混合物、またはそれらの化粧品的もしくは薬剤的に許容される塩の有効量、同様にそれらの投薬量は、年齢、患者の状態、疼痛および/または炎症の原因、疼痛および/または炎症の重症度、投与の経路および頻度、ならびに用いるペプチドの特定の性質を含む幾つかの因子に依存し得る。
【0049】
「有効量」は、毒性が無いが、望まれる効果の供給に十分な少なくとも1のペプチドの量を意味する。ペプチドは、望まれる効果を達成するために有効な濃度;好ましくは、組成物の全重量に対して0.00000001%(重量による)ないし20%(重量による);好ましくは、0.000001%(重量による)ないし20%(重量による)、さらに好ましくは、0.0001%(重量による)ないし10%(重量による)、および、さらに特異的には0.0001%(重量による)ないし5%(重量による)において、本発明の組成物中に使用される。
【0050】
別の特定の実施形態によれば、本発明の組成物に含まれるペプチドはまた、送達システムおよび/または持続放出システムにも取り込むことができる。
【0051】
「送達システム」との語は、本発明のペプチド誘導体と共に投与される希釈剤、補助剤、賦形剤または担体を指す。これらの担体は、水、限定はされないが例えば、ピーナッツ油、大豆油、ミネラルオイル、胡麻油、ヒマシ油、ポリソルベート、ソルビタンエステル、エーテル硫酸塩、硫酸塩、ベタイン、グルコシド、マルトシド、脂肪アルコール、ノノキシノール、ポロクサマー、ポリオキシエチレン、ポリエチレングリコール、デキストロース、グリセロールなどのような、石油、動物、植物、または合成由来のものを含む油および界面活性剤のような液体であり得る。E.W. Martin による“Remington’s Pharmaceutical Sciences”には、適切な担体として希釈剤、補助剤または賦形剤が記載されている。
【0052】
従来の意味で用いられる「持続放出」との語は化合物の送達システムを指し、これは、期間内の前記化合物の緩やかな放出を、必須ではないが好ましくは期間にわたる化合物の一定の放出レベルと共に提供する。
【0053】
送達または持続放出システムの例は、リポソーム、ミリ粒子、マイクロ粒子、ナノ粒子、スポンジ、小胞、ミセル、ミリスフェア、ミクロスフェアおよびナノスフェア、リポスフェア、ミリカプセル、マイクロカプセル、ナノカプセル、マイクロエマルジョンおよびナノエマルジョンであり、有効成分のより良い浸透を達成するため、および/またはその薬物動態学的および薬力学的性質を改善するために添加することができる。
【0054】
別の特定の実施形態によれば、持続放出製剤は当該技術分野において公知の方法によって調製することができ、それらを含む組成物は、例えば、粘着性パッチおよび非粘着性パッチを含む局所投与によって、または限定はされないが例えば経腸または非経口経路によるような全身投与によって投与することができ、かつ、それらは好ましくは本発明の組成物に含まれるペプチドを比較的一定量で放出する必要がある。持続放出製剤に含まれるペプチドの量は、例えば投与部位、本発明の組成物のペプチドの放出の動態および持続時間、同様に疼痛および/または炎症の原因および重症度、経路、投与頻度、および使用するペプチドの特定の性質に依存し得る。
【0055】
本発明の文脈内での「経腸または非経口」との語は、経口、経鼻、吸入、直腸経路、粘着性パッチまたは非粘着性パッチ、皮下、皮内、静脈内のような血管内注射、筋肉内、動脈内、硝子体内、脊髄、頭蓋内、関節内、髄腔内および腹腔内、同様に類似するいずれの注射または点滴技術を含む。
【0056】
別の特定の実施形態によれば、本発明の組成物は、組成物を所望の様式で投与するために必要な、許容される担体および/または助剤をさらに含む。担体および/または助剤には、賦形剤、増粘剤、希釈剤、溶媒、分散剤、凍結乾燥を改善する薬剤、または投与の各経路に適した補助剤が含まれ、これらは当業者に公知である。増粘剤は、修飾セルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、およびカルボキシメチルセルロース、デキストラン、ゼラチン、コラーゲン、ヒアルロン酸、ポリエチレングリコール、またはポリビニルピロリドンからなる群より選択されるような水溶性ポリマーを含むがこれらに限定されない。希釈剤および溶媒は、エタノール、ポリエチレングリコール、グリコフロール、N−メチル−2−ピロリドン、グリセロール、プロパンジオール、ポリプロピレングリコール、ベンジルアルコール、またはジメチルスルホキシドからなる群より選択されるものを含むがこれらに限定されない。分散剤は、ポリオキシエチレンソルビタンの脂肪酸モノエステル(Tween(登録商標)、Emalex、Nikkol(登録商標)、Hodag、Dacol、またはLiposorb(登録商標))、ソルビタンの脂肪酸モノエステル(Span(登録商標))、15−ヒドロキシステアリン酸ポリエチレングリコール(Solutol(登録商標)HS15)、ポリエチレングリコールの脂肪酸エステル(Crodet、Cithrol、Kessco(登録商標)、Nikkol(登録商標)、Mapeg(登録商標)、Myrj、Tagat(登録商標)、Aldo(登録商標)、Capmul(登録商標)、Glycerox、Lactomul(登録商標)、またはEmerest(登録商標))、ポリオキシエチレングリコールのエステル(Emulphor(登録商標))、ポリエトキシ化ヒマシ油(Cremophor(登録商標)、Emalex、Eumulgin(登録商標)、Nikkol(登録商標)、またはSimusol(登録商標))、ポリグリセリンの脂肪酸エステル(Nikkol Decaglyn、Polymuls、Caprol(登録商標))、ポリエチレングリコールエーテル(VolpoまたはBrij(登録商標))、ポロクサマー(Lutrol(登録商標)またはPluronic(登録商標))、ポリオキシエチレンのフェニルエーテル(Triton(登録商標)またはIgepal(登録商標))、またはそれらの混合物からなる群より選択される界面活性剤を含むがこれらに限定されない。凍結乾燥を改善する薬剤は、マンニトール、サッカロース、グルコース、フルクロース、ラクトース、トレハロース、スクロース、デキストロース、ソルビトールからなる群より選択されるような糖、およびグリシン、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、またはそれらの混合物を含むがこれらに限定されない。好ましくは、疼痛および/または炎症を治療するための組成物は、保湿剤、pH緩衝液、保存料、殺菌および殺真菌剤、吸収遅延剤、吸収促進剤のような、1以上の許容される賦形剤、または当業者に公知のその他のいずれの賦形剤もまた含んでなる。
【0057】
別の特定の実施形態によれば、本発明の組成物に含まれるペプチドはまた、限定はされないが、特にタルク、ベントナイト、シリカ、デンプン、またはマルトデキストリンのような、固体有機ポリマーまたは固体ミネラル担体にも吸収させることができる。
【0058】
別の特定の実施形態によれば、本発明の組成物はまた、皮膚、粘膜および/または頭皮に直接接触する布、不織布または医療機器内へ取り込むこともでき、それらはペプチドを、布、不織布または医療機器への固着システムの生分解によるか、またはそれらの身体との摩擦、身体の水分、皮膚のpHにより、または体温により放出する。同様に、布および不織布は、身体と直接接触する衣類の作製に使用できる。
【0059】
布、不織布、衣類、医療機器の例、および上記の送達システムおよび/または持続放出システムを含む、それらにペプチドを不動化するための手段の文献への記載を見出すことができ、これらは当該技術分野において公知である[Schaab C.K.(1986)“Impregnating Fabrics With Microcapsules”,HAPPI May 1986;Nelson G.(2002)“Application of microencapsulation in textiles”Int.J.Pharm.242:55−62;“Biofunctional Textiles and the Skin”(2006)Curr.Probl.Dermatol,v.33,Hipler U.C.and Eisner P.,eds.S.Karger AG,Basel,Switzerland;Malcom R.K.,McCullagh S.D.,Woolfson A.D.,Gorman S.P.,Jones D.S.and Cuddy J.(2004)“Controlled release of a model antibacterial drug from a novel self−lubricating silicone biomaterial”J.Cont.Release 97:313−320]。好ましい布、不織布、衣類、および医療機器は、絆創膏、ガーゼ、Tシャツ、靴下、ストッキング、下着、腰帯、手袋、おむつ、圧定布、包帯、ベッドスプレッド、ぬれナプキン、ヒドロゲル、粘着性パッチ、非粘着性パッチ、微小電気パッチおよび/または顔面マスクである。
【0060】
別の特定の実施形態によれば、本発明のペプチドを含んでなる組成物、それらの立体異性体、それらの混合物、またはそれらの化粧品的もしくは薬剤的に許容される塩は、望まれる剤形の製剤に必要な許容される賦形剤を任意に含み得る、局所または経皮投与のための異なる型の製剤に使用できる[Fauli i Trillo C.(1993)in“Tratado de Farmacia Galenica”[Treatise on Galenic Pharmacy],Luzan 5,S.A.Ediciones,Madrid]。
【0061】
局所または経皮投与のための製剤は、限定はされないが例えば、クリーム、限定はされないが例えば、水中の油および/またはシリコンの乳濁液、油および/またはシリコン中の水の乳濁液、水/油/水または水/シリコン/水の乳濁液、および油/水/油またはシリコン/水/シリコンの乳濁液のような複数の乳濁液、無水組成物、水性分散剤、油、ミルク、香油、泡、ローション、ゲル、水性アルコール溶液、塗布薬、美容液、石鹸、シャンプー、軟膏、ムース、軟膏剤、パウダー、バー、まゆ墨、および「つけたまま」の処方および「洗い流す」処方を含むスプレーまたはエアロゾル(「スプレー」)のような、いずれの固体、液体または半固体剤形により提供できる。これらの局所または経皮投与のための製剤は、限定はされないが例えば、ぬれナプキン、ヒドロゲル、粘着性パッチ、非粘着性パッチ、もしくは顔面マスクのような異なる型の固体装備品へ当業者に公知の技術手段により取り込むことができるか、または異なるメークアップライン製品に取り込まれてよい。
【0062】
別の特定の実施形態によれば、本発明の組成物は、限定はされないが例えば、特にジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、界面活性剤、アゾン(1−ドデシルアザシクロヘプタン−2−オン)、アルコール、アセトン、プロピレングリコールまたはポリエチレングリコールのような、一般式(I)で表されるペプチド、それらの立体異性体、それらの混合物、またはそれらの化粧品的もしくは薬剤的に許容される塩の経皮吸収を亢進させる薬剤をさらに含むことができる。同様に本発明の組成物は、本発明のペプチドのより強い浸透を達成するため、皮内注射、イオン導入、超音波導入、エレクトロポレーション、機械的圧力、浸透圧勾配、密封療法、微量注入法、もしくは酸素圧による注射のような針を用いない圧力注射、微小電気パッチ、またはそれらのいずれの組み合わせにより、局所または経皮経路を通して処置される局所範囲に適用できる。適用の範囲は、処置される疼痛および/または炎症の性質により決定され得る。
【0063】
本発明の組成物は、局所または経皮経路に加え、その他のいずれの適切な手段、例えば経腸または非経口経路によっても投与でき、これは望まれる剤形の製剤に必要な許容される賦形剤を含み得る。有効成分の様々な剤形、およびそれらを得るために必要な賦形剤についての総説は、例えば“Tratado de Farmacia Galenica”,C.Fauli i Trillo,1993,Luzan 5,S.A.Ediciones,Madrid に見出すことができる。
【0064】
別の特定の実施形態によれば、本発明の組成物は、抗酸化剤、NO−合成酵素阻害剤、皮膚弛緩剤(skin−relaxing agent)、抗炎症剤、鎮痛剤、抗菌剤、抗真菌剤、またはそれらの混合物からなる群より選択される、少なくとも1の有効成分の有効量をさらに含んでなる。
【0065】
別の特定の実施形態によれば、本発明は、有効量の一般式(I)で表される少なくとも1のペプチド、その立体異性体、その混合物、またはその化粧品的もしくは薬剤的に許容される塩、および本発明の組成物の鎮痛および/または抗炎症効果を増大するための、有効量の少なくとも1の鎮痛化合物および/または抗炎症化合物を含む組成物に関する。これらの化合物には、ヒドロコルチゾン、クロベタゾール、デキサメタゾン、プレドニゾン、パラセタモール、アセチルサリチル酸、アモキシプリン(amoxiprin)、ベノリラート、サリチル酸コリン、ジフルニサル、ファイスラミン(faislamine)、サリチル酸メチル、サリチル酸マグネシウム、サルサラート、ジクロフェナク、アセクロフェナク、アセメタシン、ブロムフェナク、エトドラク、インドメタシン、スリンダク、トルメチン、イブプロフェン、カプロフェン、フェンブフェン、フェノプロフェン、フルルビプロフェン、ケトプロフェン、ケトロラク、ロキソプロフェン、ナプロキセン、オキサプロジン、チアプロフェン酸、スプロフェン、メフェナム酸、メクロフェナム酸塩、メクロフェナム酸、ナブメトン、フェニルブタゾン、アザプロパゾン、メタミゾール、オキシフェンブタゾン、スルフィンピラゾン、ピロキシカム、ロルノキシカム、メロキシカム、テノキシカム、セレコキシブ、エトリコキシブ、ルミラコキシブ、パレコキシブ、ロフェコキシブ、バルデコキシブ、ニメスリド、リコフェロン、オメガ−3脂肪酸類およびそれらの生物代謝物、モルヒネ、コデイン、オキシコドン、ハイドロコドン、ジアモルヒネ、ペチジン、トラマドール、ブルペノルフィン(brupenorphine)、ベンゾカイン、リドカイン、クロロプロカイン、テトラカイン、プロカイン、三環系抗うつ薬、アミトリプチリン、カルバマゼピン、ガバペンチン、プレガバリン、ビサボロール、パンテノール、ビオチン、ラウリミノジプロピオン酸トコフェリルリン酸二ナトリウム塩、シクロピロクスオラミン、ノルジヒドログアヤレチン酸、、コエンザイムQ10またはアルキルグリセロールエーテルのような合成化合物、または限定はされないが例えば、特にマデカッソシド、エキナシン、アマランス種油、白檀油、胎盤抽出物、桃葉抽出物、アロエベラ、アルニカ・モンタナ、オオヨモギ、パンダカンアオイ、キンセンカ、トウガラシ属、センチペダクンニンガミー、ジャーマンカモミール、ハマユウ、アメリカマンサク、デビルズクロー、セイヨウオトギリソウ、マドンナリリー、ウスベニアオイ、ティーツリー、マジョラム、セイヨウシロヤナギ、オオアザミ、ナツシロギク、またはキャッツクローのような、固有の鎮痛および/または抗炎症活性を有する天然抽出物またはエッセンシャルオイルが含まれる。
【0066】
本発明の組成物の生物活性は、疼痛および炎症の動物モデルにおいて決定された。本発明の組成物は、カラギーナンの足底内投与により生じる炎症を軽減し、同様にフロイント完全アジュバント(CFA)の足底内投与により生じる熱痛覚過敏を阻害することができる。
【0067】
別の特定の実施形態によれば、本発明の組成物は、急性および慢性の炎症痛を引き起こす様々な有害刺激(機械的、化学的、および熱)に反応して起こる、同様に神経因性疼痛を引き起こす神経系の病変部からの疼痛および/または炎症、およびそれらの病態が内臓痛に関与する疼痛および/または炎症の治療に適する。疼痛および炎症には、限定はされないが例えば、神経因性疼痛、炎症性疼痛、腹痛を含む内臓痛、消化器系の疼痛、呼吸器系の疼痛、泌尿生殖器系の疼痛、内分泌系の疼痛、心臓痛、膵臓痛、腸痛、胃痛、脾臓痛、血管痛、過敏性腸症候群、緊張性頭痛、副鼻腔炎に付随する頭痛、片頭痛、眼痛、ドライアイ症候群、外科的な切開、骨内への移植物の挿入、骨置換および/または炎症による術後痛を含む術後痛、骨癌による疼痛を含む、癌による疼痛、類骨腫、骨芽細胞腫を含む良性骨腫瘍に付随する疼痛、癌治療による疼痛、筋骨格痛、線維筋痛、神経痛、頸部のジストニアに付随する頸部痛、腰痛および/または坐骨神経痛を含む背部痛、神経原性炎症、皮膚刺激、敏感な皮膚、アトピー性皮膚炎、接触性皮膚炎、おむつ皮膚炎、湿疹、関節炎、関節リウマチ、変形性関節症、ヘルペス後神経痛、末梢神経障害、幻肢痛、異痛症、手根管症候群による疼痛、灼熱痛、感覚異常、顔面痛、三叉神経痛、糖尿病による神経因性疼痛、刺青または刺青の除去に伴う疼痛、腱膜瘤による疼痛、精巣痛、筋筋膜痛、痙性の筋痛、膀胱の疼痛、尿路の疼痛、外陰部痛、膣痛、陰嚢痛、会陰部痛、骨盤痛、外科手術後、パルス光治療法(IPL,Intense Pulse Light)による処置後、パルス単色光治療法(レーザー)による処置後、化学的ピーリング剤による処置後、または太陽光または極端な低温もしくは熱への過度の暴露のような、侵襲性の外部因子への過度の暴露後の疼痛または皮膚刺激が含まれる。
【0068】
特に術後痛の治療は、外科手術の前、術中、または術後直ちに本発明の組成物を投与することによって行われる。好ましくは、外科的な手術は、腫瘍の除去、骨移植、骨の除去、美容整形手術、診査手術、および皮膚切開からなる群より選択される。
【0069】
本発明の第2の態様は疼痛および/または炎症治療のための、式(I)、
【0070】
−AA−R (I)
(式中、
AAは配列番号1のアミノ酸配列に含まれる3ないし40の隣接するアミノ酸の配列であり;
はH、置換されるかまたはされない非環式脂肪族基、置換されるかまたはされない脂環、置換されるかまたはされない複素環、置換されるかまたはされないヘテロアリールアルキル、置換されるかまたはされないアリール、置換されるかまたはされないアラルキル、およびR−C(O)−からなる群より選択され;かつ
は−NR、−OR、および−SRからなる群より選択され、ここでRおよびRは独立して、H、置換されるかまたはされない非環式脂肪族基、置換されるかまたはされない脂環、置換されるかまたはされない複素環、置換されるかまたはされないヘテロアリールアルキル、置換されるかまたはされないアリール、および置換されるかまたはされないアラルキルからなる群より選択され;かつ
はH、置換されるかまたはされない非環式脂肪族基、置換されるかまたはされない脂環、置換されるかまたはされないアリール、置換されるかまたはされないアラルキル、置換されるかまたはされない複素環、および置換されるかまたはされないヘテロアリールアルキルからなる群より選択される)
で表されるペプチド、その立体異性体、およびそのラセミであるかまたはラセミではない混合物、ならびにその化粧品的または薬剤的に許容される塩に関する。
【0071】
別の特定の実施形態によれば、AAは配列番号1のアミノ酸配列に含まれる3ないし30の隣接するアミノ酸の配列である。
【0072】
別の特定の実施形態によれば、一般式(I)で表されるペプチドの好ましい構造において、
はH、CないしC24の置換されるかまたはされない非環式脂肪族基、CないしC24の置換されるかまたはされない脂環基、またはR−C(O)−であり、ここでRはCないしC24の置換されるかまたはされない非環式脂肪族基、またはCないしC24の置換されるかまたはされない脂環基であり;かつ
は−NRまたは−ORであり、ここでRおよびRは独立して、H、CないしC24の置換されるかまたはされない非環式脂肪族基およびCないしC24の置換されるかまたはされない脂環基からなる群より選択される。
【0073】
別の特定の実施形態によれば、最も好ましい構造はRがポリエチレングリコール重合体である構造である。さらに好ましい構造は、ポリエチレングリコール重合体が
【0074】

(式中、nは1ないし100の範囲であり得り、さらに好ましくは1ないし5の範囲であり得る)
で表される構造である。
【0075】
別の特定の実施形態によれば、好ましい構造は、RがH、アセチル、tert−ブタノイル、ヘキサノイル、2−メチルヘキサノイル、シクロヘキサンカルボキシル、オクタノイル、デカノイル、ラウロイル、ミリストイル、パルミトイル、ステアロイル、オレオイル、およびリノレオイルである構造である。
【0076】
別の特定の実施形態によれば、好ましい構造は、RおよびRが独立して、H、メチル、エチル、ヘキシル、ドデシル、およびヘキサデシルからなる群より選択される構造である。
【0077】
疼痛および/または炎症の治療に用いられるペプチドは立体異性体または立体異性体の混合物として存在し得り;例えば、それらを作り上げるアミノ酸は別々に独立してL−またはD−立体配置を有し得るかまたはラセミであり得る。従って、不斉炭素の数、およびどのような異性体または異性体混合物が存在するかによって、異性体混合物、同様にラセミ体もしくはジアステレオマー混合物、または純粋なジアステレオマーもしくは鏡像異性体を得ることが可能である。ペプチドの好ましい構造は純粋な異性体、すなわち鏡像異性体またはジアステレオマーである。
【0078】
疼痛および/または炎症の治療に用いられる配列番号1により規定されるSNAP−25のアミノ酸配列由来のペプチドのうち、好ましい配列は、配列番号2により規定されるSNAP−25タンパク質のアミノ末端領域の配列もしくは配列番号3により規定されるSNAP−25タンパク質のカルボキシ末端領域に含まれる、さらに好ましくは配列番号4により規定される残基10ないし22の領域に含まれる、または配列番号5により規定される残基25ないし40の領域に含まれる、または配列番号6により規定される残基65ないし81の領域に含まれる、または配列番号7により規定される残基181ないし206の領域、さらに正確には配列番号8により規定される残基12ないし19の領域に含まれる、または配列番号9により規定される残基26ないし38の領域に含まれる、または配列番号10により規定される残基68ないし79の領域に含まれる、および配列番号11により規定される残基12ないし17の領域に特異的に含まれる、隣接するアミノ酸の配列を有する配列である。
【0079】
特に好ましいアミノ酸配列は、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24、配列番号25、配列番号26、配列番号27、配列番号28、配列番号29、配列番号30、配列番号31、および配列番号32からなる群より選択される配列のうち、いずれか1に含まれる隣接するアミノ酸の配列を有する配列である。
【0080】
さらに本発明はまた、疼痛および/または炎症の治療のために非可逆的な方法で化学修飾された、SNAP−25タンパク質のアミノ酸配列由来のペプチドに実質的に相同なペプチドも含む。
【0081】
本発明の範囲内には、式(I)で表されるペプチドの化粧品的または薬剤的に許容される塩もまた含まれる。塩の性質は、それが化粧品的または薬剤的に許容されるという条件下では決定的に重要ではない。ペプチドの化粧品的または薬剤的に許容される塩は、当該技術分野において公知の従来法により得ることができる[Berge S.M.,Bighley L.D.and Monkhouse D.C.(1977)“Pharmaceutical Salts”J.Pharm.Sci 66:1−19]。
【0082】
加えて、ペプチドには、それらの生物学的利用能を増大させ、かつ血液脳関門または上皮組織の通過を容易にするため、可逆的な化学修飾を行うことができる。
【0083】
疼痛および/または炎症の治療のための一般式(I)で表されるペプチド、それらの立体異性体、それらの混合物、またはそれらの化粧品的もしくは薬剤的に許容される塩は、組成物中に取り込むことができ、かつ該ペプチドを哺乳類、好ましくはヒトの体内でそれらの作用部位に接触させられるようないずれの手段を用いて投与できる。これらの組成物は、当業者に公知の従来法によって調製できる[“Harry’s Cosmeticology”,Eight[sic]edition(2000)Rieger M.M.,ed.,New York Chemical Pub.,NY,US;“Remington:The Science and Practice of Pharmacy”,Twentieth edition(2003)Genaro A.R.,ed.,Lippincott Williams & Wilkins,Philadelphia,US]。
【0084】
疼痛および/または炎症の治療のための一般式(I)で表されるペプチド、それらの立体異性体、それらの混合物、またはそれらの化粧品的もしくは薬剤的に許容される塩は、それらの配列の性質、またはそれらのアミノおよび/またはカルボキシ末端においてそれらが有することが可能な修飾に依存して、可変的な水溶性を有する。従って、ペプチドは水溶液によって組成物中に取り込むことができ、水溶性でないものについては、限定はされないが例えばエタノール、プロパノール、イソプロパノール、プロピレングリコール、グリセリン、ブチレングリコールもしくはポリエチレングリコール、またはそれらのいずれの組み合わせのような、化粧品的または薬剤的に許容される従来の溶媒中で可溶化できる。
【0085】
疼痛および/または炎症を治療するために投与する必要のある、一般式(I)で表されるペプチド、それらの立体異性体、それらの混合物、またはそれらの化粧品的もしくは薬剤的に許容される塩の有効量、同様にそれらの投薬量は、年齢、患者の状態、疼痛および/または炎症の原因、疼痛および/または炎症の重症度、投与の経路および頻度、ならびに用いるペプチドの特定の性質を含む幾つかの因子に依存し得る。
【0086】
一般式(I)で表されるペプチド、それらの立体異性体、それらの混合物、またはそれらの化粧品的もしくは薬剤的に許容される塩は、疼痛および/または炎症を治療するために望まれる効果を達成するために有効な濃度;好ましくは、組成物の全重量に対して0.00000001%(重量による)ないし20%(重量による);さらに好ましくは、0.000001%(重量による)ないし20%(重量による)、さらに好ましくは、0.0001%(重量による)ないし10%(重量による)、および、さらに特異的には0.0001%(重量による)ないし5%(重量による)において組成物中に含まれる。
【0087】
別の特定の実施形態によれば、疼痛および/または炎症の治療のための一般式(I)で表されるペプチド、それらの立体異性体、それらの混合物、またはそれらの化粧品的もしくは薬剤的に許容される塩は、送達システムおよび/または持続放出システムに取り込まれる。
【0088】
これらの担体は、水、限定はされないが例えば、ピーナッツ油、大豆油、ミネラルオイル、胡麻油、ヒマシ油、ポリソルベート、ソルビタンエステル、エーテル硫酸塩、硫酸塩、ベタイン、グルコシド、マルトシド、脂肪アルコール、ノノキシノール、ポロクサマー、ポリオキシエチレン、ポリエチレングリコール、デキストロース、グリセロールなどのような、石油、動物、植物、または合成由来のものを含む油または界面活性剤のような液体であり得る。E.W.Martinによる“Remington’s Pharmaceutical Sciences”には、適切な担体として希釈剤、補助剤または賦形剤が記載されている。
【0089】
送達または持続放出システムの例は、リポソーム、ミリ粒子、マイクロ粒子、ナノ粒子、スポンジ、小胞、ミセル、ミリスフェア、ミクロスフェアおよびナノスフェア、リポスフェア、ミリカプセル、マイクロカプセル、ナノカプセル、マイクロエマルジョンおよびナノエマルジョンであり、有効成分のより良い浸透を達成するため、および/またはその薬物動態学的および薬力学的性質を改善するために添加することができる。
【0090】
別の特定の実施形態によれば、持続放出製剤は当該技術分野において公知の方法によって調製することができ、それらを含む組成物は、例えば、粘着性パッチおよび非粘着性パッチを含む局所投与によって、または限定はされないが例えば経腸または非経口経路によるような全身投与によって投与することができ、かつ、それらは好ましくは組成物のペプチドを比較的一定量で放出する必要がある。持続放出製剤に含まれるペプチドの量は、例えば投与部位、本発明の組成物のペプチドの放出の動態および持続時間、同様に疼痛および/または炎症の原因および重症度、経路、投与頻度、および使用するペプチドの特定の性質に依存し得る。
【0091】
別の特定の実施形態によれば、疼痛および/または炎症の治療のための一般式(I)で表されるペプチド、それらの立体異性体、それらの混合物、またはそれらの化粧品的もしくは薬剤的に許容される塩は、組成物を所望の様式で投与するために必要な、許容される担体および/または助剤をさらに含む組成物中に取り込まれる。担体および/または助剤には、賦形剤、増粘剤、希釈剤、溶媒、分散剤、凍結乾燥を改善する薬剤、または投与の各経路に適した補助剤が含まれ、これらは当業者に公知である。増粘剤は、修飾セルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、およびカルボキシメチルセルロース、デキストラン、ゼラチン、コラーゲン、ヒアルロン酸、ポリエチレングリコール、またはポリビニルピロリドンからなる群より選択されるような水溶性ポリマーを含むがこれらに限定されない。希釈剤および溶媒は、エタノール、ポリエチレングリコール、グリコフロール、N−メチル−2−ピロリドン、グリセロール、プロパンジオール、ポリプロピレングリコール、ベンジルアルコール、またはジメチルスルホキシドからなる群より選択されるものを含むがこれらに限定されない。分散剤は、ポリオキシエチレンソルビタンの脂肪酸モノエステル(Tween(登録商標)、Emalex、Nikkol(登録商標)、Hodag、Dacol、またはLiposorb(登録商標))、ソルビタンの脂肪酸モノエステル(Span(登録商標))、15−ヒドロキシステアリン酸ポリエチレングリコール(Solutol(登録商標)HS15)、ポリエチレングリコールの脂肪酸エステル(Crodet、Cithrol、Kessco(登録商標)、Nikkol(登録商標)、Mapeg(登録商標)、Myrj、Tagat(登録商標)、Aldo(登録商標)、Capmul(登録商標)、Glycerox、Lactomul(登録商標)、またはEmerest(登録商標))、グリコールポリオキシエチレンのエステル(Emulphor(登録商標))、ポリエトキシ化ヒマシ油(Cremophor(登録商標)、Emalex、Eumulgin(登録商標)、Nikkol(登録商標)、またはSimusol(登録商標))、ポリグリセリンの脂肪酸エステル(Nikkol Decaglyn、Polymuls、Caprol(登録商標))、ポリエチレングリコールエーテル(VolpoまたはBrij(登録商標))、ポロクサマー(Lutrol(登録商標)またはPluronic(登録商標))、ポリオキシエチレンのフェニルエーテル(Triton(登録商標)またはIgepal(登録商標))、またはそれらの混合物からなる群より選択される界面活性剤を含むがこれらに限定されない。凍結乾燥を改善する薬剤は、マンニトール、サッカロース、グルコース、フルクロース、ラクトース、トレハロース、スクロース、デキストロース、ソルビトールからなる群より選択されるような糖、およびグリシン、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、またはそれらの混合物を含むがこれらに限定されない。好ましくは、ペプチドを含む組成物は、保湿剤、pH緩衝液、保存料、殺菌および殺真菌剤、吸収遅延剤、吸収促進剤のような、1以上の許容される賦形剤、または当業者に公知のその他のいずれの賦形剤もまた含む。
【0092】
別の特定の実施形態によれば、疼痛および/または炎症の治療のための一般式(I)で表されるペプチド、それらの立体異性体、それらの混合物、またはそれらの化粧品的もしくは薬剤的に許容される塩はまた、限定はされないが、特にタルク、ベントナイト、シリカ、デンプン、またはマルトデキストリンのような、固体有機ポリマーまたは固体ミネラル担体にも吸収させることができる。
【0093】
別の特定の実施形態によれば、一般式(I)で表されるペプチド、それらの立体異性体、それらの混合物、またはそれらの化粧品的もしくは薬剤的に許容される塩は、皮膚、粘膜および/または頭皮に直接接触する布、不織布または医療機器内へ取り込むことができる組成物中に含まれ、それらはペプチドを、布、不織布または医療機器への固着システムの生分解によるか、またはそれらの身体との摩擦、身体の水分、皮膚のpH、または体温により放出する。同様に、布および不織布は、身体と直接接触する衣類の作製に使用できる。
【0094】
布、不織布、衣類、医療機器の例、および上記の送達システムおよび/または持続放出システムを含む、それらにペプチドを不動化するための手段の文献への記載を見出すことができ、これらは当該技術分野において公知である[Schaab C.K.(1986)“Impregnating Fabrics With Microcapsules”,HAPPI May 1986;Nelson G.(2002)“Application of microencapsulation in textiles”Int.J.Pharm.242:55−62;“Biofunctional Textiles and the Skin”(2006)Curr.Probl.Dermatol,v.33,Hipler U.C.and Elsner P.,eds.S.Karger AG,Basel,Switzerland;Malcom R.K.,McCullagh S.D.,Woolfson A.D.,Gorman S.P.,Jones D.S.and Cuddy J.(2004)“Controlled release of a model antibacterial drug from a novel self−lubricating silicone biomaterial”J.Cont.Release 97:313−320]。好ましい布、不織布、衣類、および医療機器は、絆創膏、ガーゼ、Tシャツ、靴下、ストッキング、下着、腰帯、手袋、おむつ、圧定布、包帯、ベッドスプレッド、ぬれナプキン、ヒドロゲル、粘着性パッチ、非粘着性パッチ、微小電気パッチおよび/または顔面マスクである。
【0095】
別の特定の実施形態によれば、一般式(I)で表されるペプチド、それらの立体異性体、それらの混合物、またはそれらの化粧品的もしくは薬剤的に許容される塩は、望まれる剤形の製剤に必要な許容される賦形剤を任意に含み得る、局所または経皮投与のための異なる型の製剤に使用できる組成物中に含まれる[Fauli i Trillo C.(1993)in“Tratado de Farmacia Galenica”Luzan 5,S.A.Ediciones,Madrid]。
【0096】
局所または経皮投与のための製剤は、限定はされないが例えば、クリーム、限定はされないが例えば、水中の油および/またはシリコンの乳濁液、油および/またはシリコン中の水の乳濁液、水/油/水または水/シリコン/水の乳濁液、および油/水/油またはシリコン/水/シリコンの乳濁液のような複数の乳濁液、無水組成物、水性分散剤、油、ミルク、香油、泡、ローション、ゲル、水性アルコール溶液、塗布薬、美容液、石鹸、シャンプー、軟膏、ムース、軟膏剤、パウダー、バー、まゆ墨、および「つけたまま」の処方および「洗い流す」処方を含むスプレーまたはエアロゾル(「スプレー」)のような、いずれの固体、液体または半固体剤形により提供できる。これらの局所または経皮投与のための製剤は、限定はされないが例えば、ぬれナプキン、ヒドロゲル、粘着性パッチ、非粘着性パッチ、もしくは顔面マスクのような異なる型の固体装備品へ当業者に公知の技術手段により取り込むことができるか、または異なるメークアップライン製品に取り込まれてよい。
【0097】
別の特定の実施形態によれば、一般式(I)で表されるペプチド、それらの立体異性体、それらの混合物、またはそれらの化粧品的もしくは薬剤的に許容される塩は、限定はされないが例えば、特にジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、界面活性剤、アゾン(1−ドデシルアザシクロヘプタン−2−オン)、アルコール、アセトン、プロピレングリコールまたはポリエチレングリコールのような、一般式(I)で表されるペプチド、それらの立体異性体、それらの混合物、またはそれらの化粧品的もしくは薬剤的に許容される塩の経皮吸収を亢進させる薬剤を含んでよい組成物中に含まれる。加えてこれらの組成物は、本発明のペプチドのより強い浸透を達成するため、皮内注射、イオン導入、超音波導入、エレクトロポレーション、機械的圧力、浸透圧勾配、密封療法、微量注入法、もしくは酸素圧による注射のような、圧力による針を用いない注射、微小電気パッチ、またはそれらのいずれの組み合わせにより、局所または経皮経路を通して処置される局所範囲に適用できる。適用の範囲は、処置される疼痛および/または炎症の性質により決定され得る。
【0098】
組成物に含まれる、一般式(I)で表されるペプチド、それらの立体異性体、それらの混合物、またはそれらの化粧品的もしくは薬剤的に許容される塩は、局所または経皮経路に加え、その他のいずれの適切な手段、例えば経腸または非経口経路によって投与でき、これは望まれる剤形の製剤に必要な許容される賦形剤を含む。有効成分の様々な剤形、およびそれらを得るための賦形剤についての総説は、例えば“Tratado de Farmacia Galenica”,C.Fauli i Trillo,1993,Luzan 5,S.A.Ediciones,Madrid に見出すことができる。
【0099】
別の特定の実施形態によれば、一般式(I)で表されるペプチド、それらの立体異性体、それらの混合物、またはそれらの化粧品的もしくは薬剤的に許容される塩は、抗酸化剤、NO−合成酵素阻害剤、皮膚弛緩剤(skin−relaxing agent)、抗炎症剤、鎮痛剤、抗菌剤、抗真菌剤、またはそれらの混合物からなる群より選択される、少なくとも1の有効成分の有効量をさらに含んでなる組成物中に含まれる。
【0100】
別の特定の実施形態によれば、一般式(I)で表されるペプチド、それらの立体異性体、それらの混合物、またはそれらの化粧品的もしくは薬剤的に許容される塩は、組成物の鎮痛および/または抗炎症効果を増大するための、有効量の少なくとも1の鎮痛化合物および/または抗炎症化合物もまた含む組成物中に含まれる。これらの化合物には、特にヒドロコルチゾン、クロベタゾール、デキサメタゾン、プレドニゾン、パラセタモール、アセチルサリチル酸、アモキシプリン(amoxiprin)、ベノリラート、サリチル酸コリン、ジフルニサル、ファイスラミン(faislamine)、サリチル酸メチル、サリチル酸マグネシウム、サルサラート、ジクロフェナク、アセクロフェナク、アセメタシン、ブロムフェナク、エトドラク、インドメタシン、スリンダク、トルメチン、イブプロフェン、カプロフェン、フェンブフェン、フェノプロフェン、フルルビプロフェン、ケトプロフェン、ケトロラク、ロキソプロフェン、ナプロキセン、オキサプロジン、チアプロフェン酸、スプロフェン、メフェナム酸、メクロフェナム酸塩、メクロフェナム酸、ナブメトン、フェニルブタゾン、アザプロパゾン、メタミゾール、オキシフェンブタゾン、スルフィンピラゾン、ピロキシカム、ロルノキシカム、メロキシカム、テノキシカム、セレコキシブ、エトリコキシブ、ルミラコキシブ、パレコキシブ、ロフェコキシブ、バルデコキシブ、ニメスリド、リコフェロン、オメガ−3脂肪酸類およびそれらの生物代謝物、モルヒネ、コデイン、オキシコドン、ハイドロコドン、ジアモルヒネ、ペチジン、トラマドール、ブルペノルフィン(brupenorphine)、ベンゾカイン、リドカイン、クロロプロカイン、テトラカイン、プロカイン、三環系抗うつ薬、アミトリプチリン、カルバマゼピン、ガバペンチン、プレガバリン、ビサボロール、パンテノール、ビオチン、ラウリミノジプロピオン酸トコフェリルリン酸二ナトリウム塩、シクロピロクスオラミン、ノルジヒドログアヤレチン酸、、コエンザイムQ10またはアルキルグリセロールエーテルのような合成化合物、または固有の鎮痛および/または抗炎症活性を有する天然抽出物またはエッセンシャルオイル、限定はされないが例えば、特にマデカッソシド、エキナシン、アマランス種油、白檀油、胎盤抽出物、桃葉抽出物、アロエベラ、アルニカ・モンタナ、オオヨモギ、パンダカンアオイ、キンセンカ、トウガラシ属、センチペダクンニンガミー、ジャーマンカモミール、ハマユウ、アメリカマンサク、デビルズクロー、セイヨウオトギリソウ、マドンナリリー、ウスベニアオイ、ティーツリー、マジョラム、セイヨウシロヤナギ、オオアザミ、ナツシロギク、またはキャッツクローを強調することができる。
【0101】
一般式(I)で表されるペプチド、それらの立体異性体、それらの混合物、またはそれらの化粧品的もしくは薬剤的に許容される塩の生物活性は、疼痛および炎症の動物モデルにおいて確立された。これらのペプチドは、カラギーナンの足底内投与により生じる炎症を軽減し、同様にフロイント完全アジュバント(CFA)の足底内投与により生じる熱痛覚過敏を阻害することができる。
【0102】
別の特定の実施形態によれば、一般式(I)で表されるペプチド、それらの立体異性体、それらの混合物、またはそれらの化粧品的もしくは薬剤的に許容される塩は、急性および慢性の炎症痛を引き起こす様々な有害刺激(機械的、化学的、および熱)に反応して起こる、同様に神経因性疼痛を引き起こす神経系の病変部からの疼痛および/または炎症、およびそれらの病態が内臓痛に関与する疼痛および/または炎症の治療に適する。疼痛および炎症には、限定はされないが例えば、神経因性疼痛、炎症性疼痛、腹痛を含む内臓痛、消化器系の疼痛、呼吸器系の疼痛、泌尿生殖器系の疼痛、内分泌系の疼痛、心臓痛、膵臓痛、腸痛、胃痛、脾臓痛、血管の疼痛、過敏性腸症候群、緊張性頭痛、副鼻腔炎に付随する頭痛、片頭痛、眼痛、ドライアイ症候群、外科的な切開、骨内への移植物の挿入、骨の置換による、および/または炎症による術後痛を含む術後痛、骨癌による疼痛を含む、癌による疼痛、類骨腫、骨芽細胞腫を含む良性骨腫瘍に付随する疼痛、癌治療による疼痛、筋骨格痛、線維筋痛、神経痛、頸部のジストニアに付随する頸部痛、腰痛および/または坐骨神経痛を含む背部痛、神経原性炎症、皮膚刺激、敏感な皮膚、アトピー性皮膚炎、接触性皮膚炎、おむつ皮膚炎、湿疹、関節炎、関節リウマチ、変形性関節症、ヘルペス後神経痛、末梢神経障害、幻肢痛、異痛症、手根管症候群による疼痛、灼熱痛、感覚異常、顔面痛、三叉神経痛、糖尿病による神経因性疼痛、刺青または刺青の除去に伴う疼痛、腱膜瘤による疼痛、精巣痛、筋筋膜痛、痙性の筋痛、膀胱の疼痛、尿路の疼痛、外陰部痛、膣痛、陰嚢痛、会陰部痛、骨盤痛、外科手術後、パルス光治療法(IPL,Intense Pulse Light)による処置後、パルス単色光治療法(レーザー)による処置後、化学的ピーリング剤による処置後、または太陽光または極端な低温もしくは熱への過度の暴露のような、侵襲性の外部因子への過度の暴露後の疼痛または皮膚刺激が含まれる。
【0103】
特に術後痛の治療は、外科手術の前、術中、または術後直ちに本発明の組成物のペプチドの有効量を投与することによって行われる。好ましくは、外科的な手術は、腫瘍の除去、骨移植、骨の除去、美容整形手術、診査手術、および皮膚切開からなる群より選択される。
【0104】
別の態様によれば本発明は、疼痛および/または炎症の治療、有効量の少なくとも1の一般式(I)で表されるペプチド、その立体異性体、その混合物、またはその化粧品的もしくは薬剤的に許容される塩の、好ましくはそれらを含む化粧品または医薬組成物の形における投与を含んでなる方法に関する。本発明はまた、少なくとも1の一般式(I)で表されるペプチド、その立体異性体、その混合物、またはその化粧品的もしくは薬剤的に許容される塩を含む組成物の皮膚、粘膜および/または頭皮への適用、または経腸もしくは非経口投与を含んでなる、疼痛および/または炎症の治療のための方法も提供する。
【0105】
本発明はまた、外科的な手術を受けた患者の術後痛の治療および/または予防のための方法も提供し、これは前記患者に、治療上有効な量の少なくとも1の一般式(I)で表されるペプチド、その立体異性体、その混合物、またはその化粧品的もしくは薬剤的に許容される塩を、好ましくはそれを含む医薬組成物の形において、外科手術の前、術中、または術後直ちに投与することを含む。好ましくは、外科的な手術は、腫瘍の除去、骨移植、骨の除去、美容整形手術、診査手術、および皮膚切開からなる群より選択される。
【発明を実施するための形態】
【0106】
実施例
以下に記載される特異的な実施例は、本発明の性質の例証を意図するものである。これらの実施例は例証目的のためのみであり、ここに請求される発明の限定として解釈されてはならない。
【0107】
一般的方法論
略語
アミノ酸に用いられる略語は、Eur.J.Biochem.(1984)138,9−37およびJ.Biol.Chem.(1989)264,633−673 において特定される、IUPAC−IUBの委員会生化学命名法(Commission on Biochemical Nomenclature)の規定に従う。
【0108】
NSAID,非ステロイド性抗炎症薬、ATP、アデノシン三リン酸;BK、ブラジキニン;BoNT A、ボツリヌス毒素血清型A;CFA、完全フロイントアジュバント;CGRP、カルシトニン遺伝子関連ペプチド;IL、インターロイキン;NGF、神経成長因子;Palm、パルミトイル;PEG、ポリエチレングリコール;PEG、−[NH−CH−(CHCHO)−(CH−NH−CO−CHCH−CO−];PKA、タンパク質キナーゼA、PKC、タンパク質キナーゼC、SNAP−25,シナプトソーム関連タンパク質(25kDa)、SP、サブスタンスP、TNF、腫瘍壊死因子;TRPV1、一過性受容器電位バニロイド1。
【実施例1】
【0109】
カラギーナンの足底内注射により生じる炎症を軽減するペプチド
SNAP−25タンパク質由来のペプチドがin vivoにおいて抗炎症活性を有することを実証するため、カラギーナン試験を用いた。カラギーナンは、その投与後4時間目に強力な炎症を引き起こす刺激物質である。炎症過程は、プレチスモ計により測定される、カラギーナンを投与された足の容積増加として容易に識別できる。表1に、5mg/kg(im)において投与されたペプチドの抗炎症活性を、ジクロフェナク(10mg/kg)を陽性コントロールとして用い、陽性コントロールにより得られた炎症減少の値に対して標準化した値を示す。従って、本発明のペプチドはin vivoにおける抗炎症活性を有する。
【0110】

【実施例2】
【0111】
フロイント完全アジュバント(CFA)の足底内投与により生じる熱痛覚過敏を阻害するペプチド
慢性疼痛モデルにおけるペプチドの鎮痛活性を評価するため、本発明者らは、刺激物質の投与後24時間目に熱痛覚過敏を伴う炎症過程を生じるCFA(1%)の足底内投与を用いた。熱痛覚過敏は、放射源の焦点を動物の足に合わせる足底試験機器を用い、照射から足の逃避までの潜時を測定することにより容易に評価される。このモデルにおいて、本発明者らはCFAの注射後24時間目に、ペプチド(1mg/kg、i.m.)の鎮痛効力をイブプロフェン(1mg/kg、i.m.)と比較した。本発明者らはまた、反対側の足(CFAのビヒクルを注射した)における熱感受性も、CFA後1時間、2時間、4時間、および6時間目にモニターした。
【図面の簡単な説明】
【0112】
【図1】図1に、ペプチドが投与後2時間目に熱痛覚過敏を減少させたことを示す。従って、本発明のペプチドは慢性疼痛モデルにおける鎮痛/抗炎症活性を有する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
−AA−R (I)
(式中、
AAは配列番号1のアミノ酸配列に含まれる3ないし40の隣接するアミノ酸の配列であり;
はH、置換されるかまたはされない非環式脂肪族基、置換されるかまたはされない脂環、置換されるかまたはされない複素環、置換されるかまたはされないヘテロアリールアルキル、置換されるかまたはされないアリール、置換されるかまたはされないアラルキル、およびR−C(O)−からなる群より選択され;かつ
は−NR、−OR、および−SRからなる群より選択され、ここでRおよびRは独立して、H、置換されるかまたはされない非環式脂肪族基、置換されるかまたはされない脂環、置換されるかまたはされない複素環、置換されるかまたはされないヘテロアリールアルキル、置換されるかまたはされないアリール、および置換されるかまたはされないアラルキルからなる群より選択され;
ここでRはH、置換されるかまたはされない非環式脂肪族基、置換されるかまたはされない脂環、置換されるかまたはされないアリール、置換されるかまたはされないアラルキル、置換されるかまたはされない複素環、および置換されるかまたはされないヘテロアリールアルキルからなる群より選択されることを特徴とする)
で表される少なくとも1のペプチド、その立体異性体、その混合物、およびその化粧品的または薬剤的に許容される塩、ならびに少なくとも1の許容される補助剤を含んでなる、疼痛および/または炎症治療のための組成物。
【請求項2】
が、H、CないしC24の置換されるかまたはされない非環式脂肪族基、CないしC24の置換されるかまたはされない脂環基、またはR−C(O)−であり、ここでRがCないしC24の置換されるかまたはされない非環式脂肪族基、またはCないしC24の置換されるかまたはされない脂環基であることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
が、H、アセチル、tert−ブタノイル、ヘキサノイル、2−メチルヘキサノイル、シクロヘキサンカルボキシル、オクタノイル、デカノイル、ラウロイル、ミリストイル、パルミトイル、ステアロイル、オレオイル、およびリノレオイルからなる群より選択されることを特徴とする、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
がポリエチレングリコール重合体であることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
ポリエチレングリコール重合体が200ないし35,000ダルトンの分子量を有することを特徴とする、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
ポリエチレングリコール重合体が

(式中、nは1ないし100の範囲であり得る)
であることを特徴とする、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
nが1ないし5の範囲であることを特徴とする、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
が−NRまたは−ORであり、ここでRおよびRが独立して、H、CないしC24の置換されるかまたはされない非環式脂肪族基およびCないしC24の置換されるかまたはされない脂環基からなる群より選択されることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
およびRが、H、メチル、エチル、ヘキシル、ドデシル、およびヘキサデシルからなる群より選択されることを特徴とする、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
AAが、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24、配列番号25、配列番号26、配列番号27、配列番号28、配列番号29、配列番号30、配列番号31、および配列番号32からなる群より選択される配列に含まれる、隣接するアミノ酸の配列であることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
一般式(I)で表されるペプチド、その立体異性体、その混合物、またはその化粧品的もしくは薬剤的に許容される塩が、リポソーム、ミリカプセル、マイクロカプセル、ナノカプセル、スポンジ、小胞、ミセル、ミリスフェア、ミクロスフェア、ナノスフェア、リポスフェア、マイクロエマルジョン、ナノエマルジョン、ミリ粒子、マイクロ粒子、およびナノ粒子からなる群より選択される送達または持続放出システムに取り込まれることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
一般式(I)で表されるペプチド、その立体異性体、その混合物、または化粧品的もしくは薬剤的に許容される塩が、タルク、ベントナイト、シリカ、デンプン、またはマルトデキストリンからなる群より選択される有機ポリマーまたは固体ミネラル担体に吸収されることを特徴とする、請求項1〜11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
クリーム、複数の乳濁液、無水組成物、水性分散剤、油、ミルク、香油、泡、ローション、ゲル、水性アルコール溶液、塗布薬、美容液、石鹸、シャンプー、軟膏、ムース、軟膏剤、パウダー、バー、まゆ墨、スプレー、およびエアロゾルからなる群より選択される処方を示すことを特徴とする、請求項1〜12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
一般式(I)で表されるペプチド、その立体異性体、その混合物、またはその化粧品的もしくは薬剤的に許容される塩がメークアップライン製品に取り込まれることを特徴とする、請求項1〜13のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項15】
一般式(I)で表されるペプチド、その立体異性体、その混合物、またはその化粧品的もしくは薬剤的に許容される塩が、布、不織布、または医療機器に取り込まれることを特徴とする、請求項1〜14のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項16】
布、不織布、または医療機器が、絆創膏、ガーゼ、Tシャツ、ストッキング、靴下、下着、腰帯、手袋、おむつ、圧定布、包帯、ベッドスプレッド、ぬれナプキン、ヒドロゲル、粘着性パッチ、非粘着性パッチ、微小電気パッチ、および顔面マスクからなる群より選択されることを特徴とする、請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
一般式(I)で表されるペプチド、その立体異性体、その混合物、またはその化粧品的もしくは薬剤的に許容される塩が、重量による0.00000001%ないし20%の濃度であることを特徴とする、請求項1〜16のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項18】
一般式(I)で表されるペプチド、その立体異性体、その混合物、またはその化粧品的もしくは薬剤的に許容される塩が、重量による0.0001%ないし5%の濃度であることを特徴とする、請求項17に記載の組成物。
【請求項19】
抗酸化剤、NO−合成酵素阻害剤、皮膚弛緩剤(skin relaxing agent)、抗炎症剤、鎮痛剤、抗菌剤、抗真菌剤、またはそれらの混合物からなる群より選択される、少なくとも1の有効成分の有効量を含んでなることを特徴とする、請求項1〜18のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項20】
局所、経腸、または非経口経路により投与されることを特徴とする、請求項1〜19のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項21】
局所、経皮、経口、経鼻、もしくは吸入経路、または筋肉内、静脈内、腹腔内、もしくは皮下注射により投与されることを特徴とする、請求項20に記載の組成物。
【請求項22】
局所または経皮投与が、イオン導入、超音波導入、エレクトロポレーション、機械的圧力、浸透圧勾配、密封療法、微量注入法、針を用いない圧力注射、微小電気パッチ、またはそれらのいずれの組み合わせにより行われることを特徴とする、請求項21に記載の組成物。
【請求項23】
疼痛および/または炎症が、神経因性疼痛、炎症性疼痛、内臓痛、腹痛、消化器系の疼痛、呼吸器系の疼痛、泌尿生殖器系の疼痛、内分泌系の疼痛、心臓痛、膵臓痛、腸痛、胃痛、脾臓痛、血管の疼痛、過敏性腸症候群、緊張性頭痛、副鼻腔炎に付随する頭痛、片頭痛、眼痛、ドライアイ症候群、術後痛、外科的な切開による術後痛、骨内への移植物の挿入による術後痛、骨の置換による術後痛、炎症による術後痛、癌による疼痛、骨癌による疼痛、良性骨腫瘍に付随する疼痛、類骨腫に付随する疼痛、骨芽細胞腫に付随する疼痛、癌治療による疼痛、筋骨格痛、痙性の筋痛、線維筋痛、神経痛、頸部のジストニアに付随する頸部痛、背部痛、腰痛、坐骨神経痛、神経原性炎症、皮膚刺激、敏感な皮膚、アトピー性皮膚炎、接触性皮膚炎、おむつ皮膚炎、湿疹、関節炎、関節リウマチ、変形性関節症、ヘルペス後神経痛、末梢神経障害、幻肢痛、異痛症、手根管症候群による疼痛、灼熱痛、感覚異常、顔面痛、三叉神経痛、糖尿病による神経因性疼痛、刺青または刺青の除去に伴う疼痛、腱膜瘤による疼痛、精巣痛、筋筋膜痛、膀胱痛、尿路痛、外陰部痛、膣痛、陰嚢痛、会陰部痛、骨盤痛、外科手術後、パルス光治療法(IPL,Intense Pulse Light)による処置後、パルス単色光治療法(レーザー)による処置後、化学的ピーリング剤による処置後、または侵襲性の外部因子への過度の暴露後の疼痛または皮膚刺激からなる群より選択されることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項24】
疼痛および/または炎症治療のための、式(I):
−AA−R (I)
(式中、
AAは配列番号1のアミノ酸配列に含まれる3ないし40の隣接するアミノ酸の配列であり;
はH、置換されるかまたはされない非環式脂肪族基、置換されるかまたはされない脂環、置換されるかまたはされない複素環、置換されるかまたはされないヘテロアリールアルキル、置換されるかまたはされないアリール、置換されるかまたはされないアラルキル、およびR−C(O)−からなる群より選択され;かつ
は−NR、−OR、および−SRからなる群より選択され、ここでRおよびRは独立して、H、置換されるかまたはされない非環式脂肪族基、置換されるかまたはされない脂環、置換されるかまたはされない複素環、置換されるかまたはされないヘテロアリールアルキル、置換されるかまたはされないアリール、および置換されるかまたはされないアラルキルからなる群より選択され;かつ
はH、置換されるかまたはされない非環式脂肪族基、置換されるかまたはされない脂環、置換されるかまたはされないアリール、置換されるかまたはされないアラルキル、置換されるかまたはされない複素環、および置換されるかまたはされないヘテロアリールアルキルからなる群より選択される)
で表されるペプチド、その立体異性体、その混合物、ならびにその化粧品的または薬剤的に許容される塩。
【請求項25】
が、H、CないしC24の置換されるかまたはされない非環式脂肪族基、CないしC24の置換されるかまたはされない脂環基、またはR−C(O)−であり、ここでRがCないしC24の置換されるかまたはされない非環式脂肪族基、またはCないしC24の置換されるかまたはされない脂環基である、請求項24に記載のペプチド。
【請求項26】
が、H、アセチル、tert−ブタノイル、ヘキサノイル、2−メチルヘキサノイル、シクロヘキサンカルボキシル、オクタノイル、デカノイル、ラウロイル、ミリストイル、パルミトイル、ステアロイル、オレオイル、およびリノレオイルからなる群より選択される、請求項25に記載のペプチド。
【請求項27】
がポリエチレングリコール重合体である、請求項24に記載のペプチド。
【請求項28】
ポリエチレングリコール重合体が200ないし35,000ダルトンの分子量を有する、請求項27に記載のペプチド。
【請求項29】
ポリエチレングリコール重合体が

(式中、nは1ないし100の範囲であり得る)
である、請求項28に記載のペプチド。
【請求項30】
nが1ないし5の範囲である、請求項29に記載のペプチド。
【請求項31】
が−NRまたは−ORであり、ここでRおよびRが独立して、H、CないしC24の置換されるかまたはされない非環式脂肪族基およびCないしC24の置換されるかまたはされない脂環基からなる群より選択される、請求項24に記載のペプチド。
【請求項32】
およびRが、H、メチル、エチル、ヘキシル、ドデシル、およびヘキサデシルからなる群より選択される、請求項31に記載のペプチド。
【請求項33】
AAが、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24、配列番号25、配列番号26、配列番号27、配列番号28、配列番号29、配列番号30、配列番号31、および配列番号32からなる群より選択される配列に含まれる、隣接するアミノ酸の配列である、請求項24に記載のペプチド。
【請求項34】
一般式(I)で表されるペプチド、その立体異性体、その混合物、またはその化粧品的もしくは薬剤的に許容される塩が、リポソーム、ミリカプセル、マイクロカプセル、ナノカプセル、スポンジ、小胞、ミセル、ミリスフェア、ミクロスフェア、ナノスフェア、リポスフェア、マイクロエマルジョン、ナノエマルジョン、ミリ粒子、マイクロ粒子、およびナノ粒子からなる群より選択される送達または持続放出システムに取り込まれる、請求項24〜33のいずれか一項に記載のペプチド。
【請求項35】
タルク、ベントナイト、シリカ、デンプン、またはマルトデキストリンからなる群より選択される有機ポリマーまたは固体ミネラル担体に吸収される、請求項24〜34のいずれか一項に記載のペプチド。
【請求項36】
クリーム、複数の乳濁液、無水組成物、水性分散剤、油、ミルク、香油、泡、ローション、ゲル、水性アルコール溶液、塗布薬、美容液、石鹸、シャンプー、軟膏、ムース、軟膏剤、パウダー、バー、まゆ墨、スプレー、およびエアロゾルからなる群より選択される処方に含まれる、請求項24〜35のいずれか一項に記載のペプチド。
【請求項37】
メークアップライン製品に取り込まれることを特徴とする、請求項24〜36のいずれか一項に記載のペプチド。
【請求項38】
布、不織布、または医療機器に取り込まれる、請求項24〜37のいずれか一項に記載のペプチド。
【請求項39】
布、不織布、または医療機器が、絆創膏、ガーゼ、Tシャツ、ストッキング、靴下、下着、腰帯、手袋、おむつ、圧定布、包帯、ベッドスプレッド、ぬれナプキン、ヒドロゲル、粘着性パッチ、非粘着性パッチ、微小電気パッチ、および顔面マスクからなる群より選択される、請求項38に記載のペプチド。
【請求項40】
重量による0.00000001%ないし20%の濃度で組成物に含まれる、請求項24〜39のいずれか一項に記載のペプチド。
【請求項41】
組成物中の濃度が重量による0.0001%ないし5%である、請求項40に記載のペプチド。
【請求項42】
抗酸化剤、NO−合成酵素阻害剤、皮膚弛緩剤(skin relaxing agent)、抗炎症剤、鎮痛剤、抗菌剤、抗真菌剤、またはそれらの混合物からなる群より選択される、少なくとも1の有効成分の有効量を含んでなる組成物に含まれる、請求項24〜41のいずれか一項に記載のペプチド。
【請求項43】
局所、経腸、または非経口経路により投与される、請求項24〜42のいずれか一項に記載のペプチド。
【請求項44】
局所、経皮、経口、経鼻、もしくは吸入経路、または筋肉内、静脈内、腹腔内、もしくは皮下注射により投与される、請求項43に記載のペプチド。
【請求項45】
局所または経皮投与が、イオン導入、超音波導入、エレクトロポレーション、機械的圧力、浸透圧勾配、密封療法、微量注入法、針を用いない圧力注射、微小電気パッチ、またはそれらのいずれの組み合わせにより行われる、請求項44に記載のペプチド。
【請求項46】
疼痛および/または炎症が、神経因性疼痛、炎症性疼痛、内臓痛、腹痛、消化器系の疼痛、呼吸器系の疼痛、泌尿生殖器系の疼痛、内分泌系の疼痛、心臓痛、膵臓痛、腸痛、胃痛、脾臓痛、血管痛、過敏性腸症候群、緊張性頭痛、副鼻腔炎に付随する頭痛、片頭痛、眼痛、ドライアイ症候群、術後痛、外科的な切開による術後痛、骨内への移植物の挿入による術後痛、骨置換による術後痛、炎症による術後痛、癌による疼痛、骨癌による疼痛、良性骨腫瘍に付随する疼痛、類骨腫に付随する疼痛、骨芽細胞腫に付随する疼痛、癌治療による疼痛、筋骨格痛、線維筋痛、神経痛、頸部のジストニアに付随する頸部痛、背部痛、腰痛、坐骨神経痛、神経原性炎症、皮膚刺激、敏感な皮膚、アトピー性皮膚炎、接触性皮膚炎、おむつ皮膚炎、湿疹、関節炎、関節リウマチ、変形性関節症、ヘルペス後神経痛、末梢神経障害、幻肢痛、異痛症、手根管症候群による疼痛、灼熱痛、感覚異常、顔面痛、三叉神経痛、糖尿病による神経因性疼痛、刺青または刺青除去に伴う疼痛、腱膜瘤による疼痛、精巣痛、筋筋膜痛、膀胱痛、尿路痛、外陰部痛、膣痛、陰嚢痛、会陰部痛、骨盤痛、外科手術後、パルス光治療法(IPL,Intense Pulse Light)による処置後、パルス単色光治療法(レーザー)による処置後、化学的ピーリング剤による処置後、または侵襲性の外部因子への過度の暴露後の疼痛または皮膚刺激からなる群より選択される、請求項24に記載のペプチド。

【図1】
image rotate


【公表番号】特表2011−528678(P2011−528678A)
【公表日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−519085(P2011−519085)
【出願日】平成21年7月24日(2009.7.24)
【国際出願番号】PCT/EP2009/005381
【国際公開番号】WO2010/009892
【国際公開日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【出願人】(511020221)
【氏名又は名称原語表記】BCN PEPTIDES,S.A.
【出願人】(511020232)
【氏名又は名称原語表記】DIVERDRUGS,S.L.
【Fターム(参考)】