説明

疾患の処置に有用な、セミカルバジド感受性アミンオキシダーゼ(SSAO)およびVAP−1媒介性接着のインヒビター

炎症性疾患および免疫疾患の治療のための組成物および該組成物の使用方法が提供される。セミカルバジド感受性アミンオキシダーゼ(SSAO)および/または血管接着蛋白質1(VAP−1)の阻害剤であるアリルヒドラジン化合物、ヒドロキシルアミン(アミノオキシ)化合物、および他の化合物が開示される。該化合物は、炎症および炎症反応の抑制における、および多発性硬化症などのいくつかの疾患の治療における治療的有用性を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(技術分野)
本出願は、炎症、炎症性疾患および免疫疾患を治療するための、血管接着蛋白質−1(VAP−1)としても知られているセミカルバジド感受性アミンオキシダーゼ(SSAO)を阻害する組成物および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
(背景)
ヒト血管接着蛋白質−1(VAP−1)は、2型、180kDホモ二量体内皮細胞接着分子である。VAP−1のクローニングおよび配列決定により、VAP−1cDNAの配列は、以前に知られている蛋白質で、銅を含有するアミンオキシダーゼであるセミカルバジド感受性アミンオキシダーゼ(SSAO)の配列と同じであることが解明された。膜結合VAP−1接着蛋白質と溶解性のSSAO酵素との精確な違い(もしあるとすれば)は、まだ決定されていないが、1つの仮説では、膜結合VAP−1分子の蛋白質分解性の開裂により、溶解性のSSAO酵素が生じることが示されている。膜結合VAP−1蛋白質と溶解性SSAO酵素の双方が、アミンオキシダーゼ酵素活性を有する。したがって、膜結合VAP−1は、アミンオキシダーゼと細胞接着分子の双方として機能し得る。
【0003】
セミカルバジド感受性アミンオキシダーゼは、セミカルバジド感受性アミンオキシダーゼ(SSAO)類として総称される酵素群のメンバーである。SSAO類は、第一級アミン類の酸化的脱アミノ化を触媒する多くは溶解性の酵素である。前記反応は、対応するアルデヒドの形成とHおよびアンモニウムの放出をもたらす。これらの酵素は、それらの基質、阻害剤、補因子、細胞成分の局在化および機能の点で、モノアミンオキシダーゼAおよびB(それぞれ、MAO−AおよびMAO−B)とは異なる。現在のところ、SSAO類に関連した生理的機能は決定されておらず、さらにその生理学的基質の性質も確立されていない(総説については非特許文献1)。しかし、それらは、外因性および内因性アミンの代謝ならびにグルコース輸送の調節に関与してきた。
【0004】
SSAO分子は、種にわたって保存性が高く、ヒトの該蛋白質に最も近い相同体は、ウシ血清アミンオキシダーゼである(約85%の同一性)。基質特異性と組織分布は、異なる種の間でかなり変化する。ヒトでは、SSAO特異的活性は、たいていの組織において検出されているが、顕著な違いがある(大動脈と肺で最も高い)。ヒトおよび齧歯類の血漿は、反芻類に比べて、極めて低いSSAO活性を有する。欠失試験により、SSAO/VAP−1は、約90%の細胞および血清SSAO活性の原因となっていることが示唆されている(非特許文献2)。
【0005】
膜結合VAP−1は、リンパ器官の高内皮細胞(EC)類、肝臓および他の多くの組織の小口径静脈のシヌソイドEC類において、主に発現する。さらにSSAO/VAP−1は、胚中枢の樹状細胞にも見られ、また、脂肪細胞、周皮細胞および平滑筋細胞に豊富に存在する。しかし、毛細血管、大血管のECs、上皮細胞、線維芽細胞および白血球には存在しない(非特許文献3)。臨床サンプルにおける試験により、SSAO/VAP−1は、滑膜炎、アレルギー性および他の皮膚炎症、および炎症性腸疾患などの炎症の多くの部位における血管上にアップレギュレートされることが解明された。しかし、発現は、追加の機構により制御されているようである。動物試験により、管腔のSSAO/VAP−1は、炎症誘発時にのみ誘導されることが示されている。したがって、EC類においては、SSAO/VAP−1は、細胞内顆粒に貯蔵されており、炎症部位においてのみ、管腔表面に移行する。
【0006】
健康な成人の血清中、SSAO/VAP−1の溶解性形態は、80ng/mlの濃度において見られる。溶解性SSAO/VAP−1濃度は、一定の肝臓疾患および糖尿病において増加するが、他の多くの炎症性病態においては正常のままである。溶解性SSAO/VAP−1は、SSAO/VAP−1の膜結合形態の基部細胞外配列と同一のN末端アミノ酸配列を有している。また、該溶解性分子の少なくともかなりの部分が、シヌソイドVAP−1の蛋白質分解性開裂により、肝臓において産生されるという優れた証拠がある(非特許文献4)。
【0007】
SSAO/VAP−1は、ECsに対する白血球サブタイプ特異的接着を調節する。SAO/VAP−1が、セレクチン類、ケモカイン類、免疫グロブリンスーパーファミリー分子、およびインテグリン類の誘導/活性化が生じる部位における接着カスケードに関係していることが、試験により示されている。にもかかわらず、適切なコンテキストにおいては、SSAO/VAP−1機能の不活性化は、エキストラヴェーション(extravasion)過程全体に、独立した重要な影響を与える。最近の研究により、SSAO/VAP−1の直接的接着機能と酵素機能の双方が、接着カスケードに関係していることが示されている(非特許文献5)。この研究において、VAP−1のSSAO活性は、白血球表面に発現したVAP−1リガンド上に提示されたアミン基質との直接的相互作用に関係する新規機構により、内皮細胞に対する白血球接着の経路に直接関係していることが提案された。生理学的層せん断下では、リンパ球がEC類上に移動し始めると、係留(セレクチンのリガンドに対するセレクチンの結合によって生じる)後、先ずSSAO/VAP−1が行動に入るようである。したがって、抗VAP−1モノクローナル抗体は、リンパ球移動の約50%を阻害し、固定結合細胞の数を著しく減少させる。また、SSAO阻害剤によるVAP−1酵素活性の阻害は、移動し、固定結合したリンパ球数の>40%減少をもたらす。このように、SSAO/VAP−1酵素活性の阻害剤は、炎症領域における白血球接着を減少させることができ、そのことにより、炎症領域への白血球輸送を減少させ、その結果、炎症過程それ自体を軽減できると考えられる。
【0008】
SSAO活性の増加は、I型およびII型糖尿病患者および動物モデル、ならびに鬱血性心不全後およびアテローム硬化症のマウスモデルにおける血漿および小島において見られている(非特許文献6;非特許文献7;非特許文献8;非特許文献9;非特許文献10;非特許文献11;非特許文献12;非特許文献13;非特許文献14)。慢性関節リウマチ(RA)患者の炎症関節における、また、IBD患者の基底膜およびパイアー斑の細静脈におけるVAP−1発現のアップレギュレーションに加えて、VAP−1合成の増加は、慢性皮膚炎症および肝臓疾患においても見られた(非特許文献15;非特許文献16;非特許文献17;非特許文献18;非特許文献19;非特許文献20)
要約すると、SSAO/VAP−1は、白血球サブタイプ特異的接着を調節し、リンパ球と炎症血管との間の相互作用を媒介する誘導性内皮酵素である。SSAO/VAP−1が、多くの炎症病態におけるそのアップレギュレーション間に強い関連性を有していると共に、酵素活性と接着活性の双方を有しているという事実により、SSAO/VAP−1は、上記全ての病態にとって可能性のある治療標的となる。
【非特許文献1】Buffoni F.およびIgnesti G.(2000)Mol.Genetics Metabl.71:559−564頁
【非特許文献2】Jaakkola K.ら(1999)Am.J.Pathol.155:1953頁
【非特許文献3】Salmi M.ら(2001)Trends Immunol.22:211頁
【非特許文献4】Kurkijarvi R.ら(2000)Gastroenterology 119:1096頁
【非特許文献5】Salmi M.ら(2001)Immunity 14:265頁
【非特許文献6】Salmi M.ら(2002)Am.J.Pathol.161:2255頁
【非特許文献7】Bono P.ら(1999)Am.J.Pathol.155:1613頁
【非特許文献8】Boomsma F.ら(1999)Diabetologia 42:233頁
【非特許文献9】Gronvall―Nordquist j.ら(2001)J.Diabetes Complications 15:250頁
【非特許文献10】Ferre I.ら(2002)Neurosci.Lett.15;321:21頁
【非特許文献11】Conklin D.J.ら(1998)Toxicological Sciences 46:386頁
【非特許文献12】Yu P.H.およびDeng Y.L.(1998)Atherosclerosis 140:357頁
【非特許文献13】Vidrio H.ら(2002)General Phrmacology 35:195頁
【非特許文献14】Conklin D.J.(1999)Toxicology 138:137頁
【非特許文献15】Lalor P.F.ら(2002)J.Immunol.169:983頁
【非特許文献16】Jaakkola K.ら(2000)Am.J.Pathol.157:463頁
【非特許文献17】Salmi M.およびJalkanen S.(2001)J.Immunol.166:4650頁
【非特許文献18】Lalr P.F.ら(2002)Immunol Cell Biol 80:52頁
【非特許文献19】Salmi Mら(1997)J.Cin.Invest.99:2165頁
【非特許文献20】Kurkijarvi R.ら(1998)J.Immunol.1611549頁
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0009】
(発明の開示)
SSAO阻害剤は、炎症および自己免疫過程ならびに循環アミン基質および/またはSSAO産物の濃度増加に関連する他の病態を阻止できる。一実施形態において、本発明は、SSAO酵素活性(ここでの酵素活性は、溶解性SSAO酵素または膜結合VAP−1蛋白質のいずれかによるか、もしくは双方による)を阻害し、および/またはVAP−1蛋白質に対する結合を阻害する化合物の投与により、炎症反応を阻害する方法に関する。他の実施形態において、炎症反応は急性炎症反応である。他の実施形態において、本発明は、SSAO阻害剤の治療的有効量の投与またはSSAO阻害剤の治療的に有効な組み合わせの投与による、SSAOおよび/またはVAP−1の異常濃度またはSSAOおよび/またはVAP−1の異常活性(ここでのVAP−1異常活性は、その結合機能、そのアミンオキシダーゼ機能、または双方に影響を与え得る)の1つ以上によって一般に示される、SSAOまたはVAP−1により少なくとも部分的に媒介される疾病の治療に関する。他の実施形態において、本発明は、SSAO阻害剤の治療的有効量の投与、または、SSAO阻害剤の治療的に有効な組み合わせの投与による免疫疾患を治療する方法に関する。他の実施形態において、本発明は、SSAO阻害剤の治療的有効量の投与、または、SSAO阻害剤の治療的に有効な組み合わせの投与による多発性硬化症(慢性多発性硬化症を含む)を治療する方法に関する。他の実施形態において、本発明は、SSAO阻害剤の治療的有効量の投与、または、SSAO阻害剤の治療的に有効な組み合わせの投与による虚血性疾患(例えば、脳卒中)および/またはその後遺症(例えば、炎症反応)を治療する方法に関する。投与されたSSAO阻害剤は、溶解性SSAOのSSAO活性、膜結合VAP−1のSSAO活性、膜結合VAP−1に対する結合、またはこれらの活性のうちのいずれか2つ、もしくはこれらの活性の3つ全てを阻害し得る。他の実施形態において、本発明は、本明細書に提供された化合物を用いて、インビトロで、SSAO活性を阻害するか、またはVAP−1に対する結合を阻害する方法に関する。他の実施形態において、本発明は、本明細書に提供された化合物を用いて、インビボで、すなわち、脊椎動物、哺乳動物またはヒトなどの生きている生物において、SSAO活性を阻害するか、またはVAP−1に対する結合を阻害する方法に関する。
【0010】
他の実施形態において、本発明は、SSAO酵素活性(ここでの酵素活性は、溶解性SSAO酵素または膜結合VAP−1蛋白質のいずれかによるか、もしくは双方による)の阻害および/または膜結合VAP−1蛋白質対する結合阻害のために有用な種々の化合物に関する。他の実施形態において、本発明は、SSAO酵素活性(ここでの酵素活性は、溶解性SSAO酵素または膜結合VAP−1蛋白質のいずれかによるか、もしくは双方による)の阻害および/またはVAP−1蛋白質対する結合を阻害するために種々の化合物を使用する方法に関する。
【0011】
他の実施形態において、本発明は、MAO−Aおよび/またはMAO−Bに比較して、約10倍、約100倍または約500倍のSSAO阻害特異性を有するSSAO阻害剤を投与することにより炎症を治療する方法に関する。
【0012】
他の実施形態において、本発明は、MAO−Aおよび/またはMAO−Bに比較して、約10倍、約100倍または約500倍のSSAO阻害特異性を有するSSAO阻害剤を投与することにより免疫疾患または自己免疫疾患を治療する方法に関する。
【0013】
他の実施形態において、本発明は、治療的有効量において、または炎症の治療のために十分な量において、本明細書に記載された式I、I−P、I−A、I−AP、I−B、I−C、II、III、III−A、III−BまたはIII−Cの化合物の1種以上を投与することにより、炎症を治療する方法に関する。他の実施形態において、本発明は、他の実施形態において、本発明は、治療的有効量において、または炎症の治療のために十分な量において、本明細書に記載された式I、I−P、I−A、I−AP、I−B、I−C、II、III、III−A、III−BまたはIII−Cの化合物の1種以上を投与することにより、免疫疾患または自己免疫疾患を治療する方法に関する。
【0014】
一実施形態において、本発明は、式I:
【0015】
【化9】

の化合物であって、
式中:
が、H、C〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜C10アリール、C〜C14アラルキル、C〜Cヘテロアリール、C〜C14置換アリール、C〜C14置換ヘテロアリール、R−(CH−、およびR−Y−CH−からなる群から独立して選択され;
nが、独立して1または2であり;
が、独立してSまたはOであり;
が、H、C〜Cアルキル、Cl、F、またはCFから独立して選択され;
Xが、OまたはNRから独立して選択され;
が、H、C〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜C10アリール、C〜C14アラルキル、C〜Cヘテロアリール、C〜C14置換アリールおよびC〜C14置換ヘテロアリールからなる群から独立して選択され;
が、H、C〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜C10アリール、C〜C14アラルキル、C〜Cヘテロアリール、C〜C14置換アリールおよびC〜C14置換ヘテロアリールからなる群から独立して選択され;
が、H、C〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜C10アリール、C〜C14アラルキル、C〜Cヘテロアリール、C〜C14置換アリールおよびC〜C14置換ヘテロアリールからなる群から独立して選択され;
が、H、C〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜C10アリール、C〜C14アラルキル、C〜Cヘテロアリール、C〜C14置換アリールおよびC〜C14置換ヘテロアリールから独立して選択される化合物であり;それら全ての立体異性体、それら全てのE/Z(シス/トランス)異性体、それら全ての溶媒和物と水和物、それら全ての結晶体および非結晶体、およびそれら全ての塩類、特に、製薬的に許容できる塩類を含めた化合物に関する。式Iの化合物の代謝物およびプロドラッグもまた本発明に包含される。好ましい一実施形態において、Rは、非置換フェニルである。他の好ましい実施形態において、Rは、置換フェニルである。他の好ましい実施形態において、Rは、1つの置換基を有する置換フェニルである。他の好ましい実施形態において、Rは、2つの置換基を有する置換フェニルである。他の好ましい実施形態において、Rは、Hである。他の好ましい実施形態において、Rは、Fである。他の実施形態において、XはOである。他の好ましい実施形態において、XはNRである。他の好ましい実施形態において、RはHまたはC〜Cアルキルである。他の好ましい実施形態において、RはHまたはC〜Cアルキルである。
【0016】
他の実施形態において、本発明は、SSAO酵素活性(ここでの酵素活性は、溶解性SSAO酵素または膜結合VAP−1蛋白質のいずれかによるか、もしくは双方による)を阻害するために、および/またはVAP−1蛋白質に対する結合を阻害するために、式Iの化合物を使用する方法に関する。該化合物は、インビトロでSSAO活性を阻害するか、またはVAP−1に対する結合を阻害する方法のために、SSAO活性を阻害するか、またはVAP−1に対する結合を阻害するための十分な量において、該化合物を、インビトロ環境に供給することにより使用できる。また、該化合物は、インビボで、すなわち、脊椎動物、哺乳動物またはヒトなどの生きている生物において、SSAO活性を阻害するか、またはVAP−1に対する結合を阻害する方法のために、SSAO活性を阻害するか、またはVAP−1に対する結合を阻害するための十分な量において、該化合物を、該生物に投与することにより使用できる。他の実施形態において、本発明は、炎症または免疫疾患を治療するために式Iの化合物を使用する方法に関する。他の実施形態において、本発明は、炎症を抑制または軽減するために、または炎症反応を抑制または軽減するために、式Iの化合物を使用する方法に関する。他の実施形態において、本発明は、炎症を治療するための治療的有効量において、または十分な量において式Iに記載される1種以上の化合物を投与することにより炎症を治療する方法に関する。他の実施形態において、本発明は、免疫疾患または自己免疫疾患を治療するための治療的有効量において、または十分な量において式Iに記載される1種以上の化合物を投与することにより免疫疾患または自己免疫疾患を治療する方法に関する。
【0017】
他の実施形態において、本発明は、式I−P:
【0018】
【化10】

の化合物であって、
式中R1pが、H、C〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜C10アリール、C〜C14アラルキル、C〜Cヘテロアリール、C〜C14置換アリール、C〜C14置換ヘテロアリール、R−(CH−、およびR−Y−CH−からなる群から独立して選択され;
nが、独立して1または2であり;
が、独立してSまたはOであり;
が、H、C〜Cアルキル、Cl、F、またはCFから独立して選択され;
Xが、OまたはNRから独立して選択され;
が、H、C〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜C10アリール、C〜C14アラルキル、C〜Cヘテロアリール、C〜C14置換アリールおよびC〜C14置換ヘテロアリールからなる群から独立して選択され;
が、H、C〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜C10アリール、C〜C14アラルキル、C〜Cヘテロアリール、C〜C14置換アリールおよびC〜C14置換ヘテロアリールからなる群から独立して選択され;
が、H、C〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜C10アリール、C〜C14アラルキル、C〜Cヘテロアリール、C〜C14置換アリールおよびC〜C14置換ヘテロアリールからなる群から独立して選択され;
が、H、C〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜C10アリール、C〜C14アラルキル、C〜Cヘテロアリール、C〜C14置換アリールおよびC〜C14置換ヘテロアリールから独立して選択され;
が、非置換フェニルであり、RがHであり、XがNHである場合、RはHではないという条件を有する化合物であり;それら全ての立体異性体、それら全てのE/Z(シス/トランス)異性体、それら全ての溶媒和物と水和物、それら全ての結晶形態と非結晶性形態、およびそれら全ての塩類を含めた化合物に関する。上記の条件を含めた式Iの化合物のこのサブセットは、式IのサブセットPの化合物、または式I−Pの化合物と称される。式Iの化合物の代謝物およびプロドラッグもまた本発明に包含される。好ましい一実施形態において、R1pは、非置換フェニルである。他の好ましい実施形態において、R1pは、置換フェニルである。他の好ましい実施形態において、R1pは、1つの置換基を有する置換フェニルである。他の好ましい実施形態において、R1pは、2つの置換基を有する置換フェニルである。他の好ましい実施形態において、RはHである。他の実施形態において、XはOである。他の好ましい実施形態において、XはNRである。他の好ましい実施形態において、Rは、HまたはC〜Cアルキルである。他の好ましい実施形態において、RはHまたはC〜Cアルキルである。
【0019】
他の実施形態において、本発明は、SSAO酵素活性(ここでの酵素活性は、溶解性SSAO酵素または膜結合VAP−1蛋白質のいずれかによるか、もしくは双方による)を阻害するために、および/またはVAP−1蛋白質に対する結合を阻害するために、式I−Pの化合物を使用する方法に関する。該化合物は、インビトロでSSAO活性を阻害するか、またはVAP−1に対する結合を阻害する方法のために、SSAO活性を阻害するか、またはVAP−1に対する結合を阻害するための十分な量において、該化合物を、インビトロ環境に供給することにより使用できる。また、該化合物は、インビボで、すなわち、脊椎動物、哺乳動物またはヒトなどの生きている生物において、SSAO活性を阻害するか、またはVAP−1に対する結合を阻害する方法のために、SSAO活性を阻害するか、またはVAP−1に対する結合を阻害するための十分な量において、該化合物を、該生物に投与することにより使用できる。他の実施形態において、本発明は、炎症または免疫疾患を治療するために式I−Pの化合物を使用する方法に関する。他の実施形態において、本発明は、炎症を抑制または軽減するために、または炎症反応を抑制または軽減するために、式I−Pの化合物を使用する方法に関する。他の実施形態において、本発明は、炎症を治療するための治療的有効量において、または十分な量において式I−Pに記載される1種以上の化合物を投与することにより炎症を治療する方法に関する。他の実施形態において、本発明は、免疫疾患または自己免疫疾患を治療するための治療的有効量において、または十分な量において式I−Pに記載される1種以上の化合物を投与することにより免疫疾患または自己免疫疾患を治療する方法に関する。
【0020】
一実施形態において、本発明は、式I−A:
【0021】
【化11】

の化合物であって、
式中:
1aが、置換または非置換フェニルであり;
が、H、C〜Cアルキル、Cl、F、またはCFから独立して選択され;
Xが、OまたはNRから独立して選択され;
が、H、C〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜C10アリール、C〜C14アラルキル、C〜Cヘテロアリール、C〜C14置換アリールおよびC〜C14置換ヘテロアリールから独立して選択され;
が、H、C〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜C10アリール、C〜C14アラルキル、C〜Cヘテロアリール、C〜C14置換アリールおよびC〜C14置換ヘテロアリールから独立して選択される化合物であり;それら全ての立体異性体、それら全てのE/Z(シス/トランス)異性体、それら全ての溶媒和物と水和物、それら全ての結晶形態と非結晶性形態、およびそれら全ての塩類を含めた化合物に関する。式Iの化合物のこのサブセットは、式IのサブセットAの化合物、または式I−Aの化合物と称される。式I−Aの化合物の代謝物およびプロドラッグもまた本発明に包含される。一実施形態において、R1aは、非置換フェニルである。他の実施形態において、R1aは、置換フェニルである。他の実施形態において、R1aは、1つの置換基を有する置換フェニルである。他の実施形態において、R1aは、2つの置換基を有する置換フェニルである。他の実施形態において、XはOである。他の実施形態において、XはNRである。他の好ましい実施形態において、Rは、HまたはC〜Cアルキルである。他の実施形態において、RはHまたはC〜Cアルキルである。
【0022】
他の実施形態において、本発明は、SSAO酵素活性(ここでの酵素活性は、溶解性SSAO酵素または膜結合VAP−1蛋白質のいずれかによるか、もしくは双方による)を阻害するために、および/またはVAP−1蛋白質に対する結合を阻害するために、式I−Aの化合物を使用する方法に関する。該化合物は、インビトロでSSAO活性を阻害するか、またはVAP−1に対する結合を阻害する方法のために、SSAO活性を阻害するか、またはVAP−1に対する結合を阻害するための十分な量において、該化合物を、インビトロ環境に供給することにより使用できる。また、該化合物は、インビボで、すなわち、脊椎動物、哺乳動物またはヒトなどの生きている生物において、SSAO活性を阻害するか、またはVAP−1に対する結合を阻害する方法のために、SSAO活性を阻害するか、またはVAP−1に対する結合を阻害するための十分な量において、該化合物を、該生物に投与することにより使用できる。他の実施形態において、本発明は、炎症または免疫疾患を治療するために式I−Aの化合物を使用する方法に関する。他の実施形態において、本発明は、炎症を抑制または軽減するために、または炎症反応を抑制または軽減するために、式I−Aの化合物を使用する方法に関する。他の実施形態において、本発明は、炎症を治療するための治療的有効量において、または十分な量において式I−Aに記載される1種以上の化合物を投与することにより炎症を治療する方法に関する。他の実施形態において、本発明は、免疫疾患または自己免疫疾患を治療するための治療的有効量において、または十分な量において式I−Aに記載される1種以上の化合物を投与することにより免疫疾患または自己免疫疾患を治療する方法に関する
他の実施形態において、本発明は、式I−AP:
【0023】
【化12】

の化合物であって、
式中:
1apが、置換または非置換フェニルであり;
が、H、C〜Cアルキル、Cl、F、またはCFから独立して選択され;
Xが、OまたはNRから独立して選択され;
が、H、C〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜C10アリール、C〜C14アラルキル、C〜Cヘテロアリール、C〜C14置換アリールおよびC〜C14置換ヘテロアリールから独立して選択され;
が、H、C〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜C10アリール、C〜C14アラルキル、C〜Cヘテロアリール、C〜C14置換アリールおよびC〜C14置換ヘテロアリールから独立して選択され;
1apが、非置換フェニルであり、RがHであり、XがNHである場合、RはHではないという条件を有する化合物であり;それら全ての立体異性体、それら全てのE/Z(シス/トランス)異性体、それら全ての溶媒和物と水和物、それら全ての結晶形態と非結晶性形態、およびそれら全ての塩類を含めた化合物に関する。上記の条件を含めて、式Iの化合物のこのサブセットは、式IのサブセットAPの化合物、または式I−APの化合物と称される。式I−APの化合物の代謝物およびプロドラッグもまた本発明に包含される。一実施形態において、R1apは、非置換フェニルである。他の実施形態において、R1apは、置換フェニルである。他の実施形態において、R1apは、1つの置換基を有する置換フェニルである。他の実施形態において、R1apは、2つの置換基を有する置換フェニルである。他の実施形態において、XはOである。他の実施形態において、XはNRである。他の実施形態において、Rは、HまたはC〜Cアルキルである。他の実施形態において、RはHまたはC〜Cアルキルである。
【0024】
他の実施形態において、本発明は、SSAO酵素活性(ここでの酵素活性は、溶解性SSAO酵素または膜結合VAP−1蛋白質のいずれかによるか、もしくは双方による)を阻害するために、および/またはVAP−1蛋白質に対する結合を阻害するために、式I−APの化合物を使用する方法に関する。該化合物は、インビトロでSSAO活性を阻害するか、またはVAP−1に対する結合を阻害する方法のために、SSAO活性を阻害するか、またはVAP−1に対する結合を阻害するための十分な量において、該化合物を、インビトロ環境に供給することにより使用できる。また、該化合物は、インビボで、すなわち、脊椎動物、哺乳動物またはヒトなどの生きている生物において、SSAO活性を阻害するか、またはVAP−1に対する結合を阻害する方法のために、SSAO活性を阻害するか、またはVAP−1に対する結合を阻害するための十分な量において、該化合物を、該生物に投与することにより使用できる。他の実施形態において、本発明は、炎症または免疫疾患を治療するために式I−APの化合物を使用する方法に関する。他の実施形態において、本発明は、炎症を抑制または軽減するために、または炎症反応を抑制または軽減するために、式I−APの化合物を使用する方法に関する。他の実施形態において、本発明は、炎症を治療するための治療的有効量において、または十分な量において式I−APに記載される1種以上の化合物を投与することにより炎症を治療する方法に関する。他の実施形態において、本発明は、免疫疾患または自己免疫疾患を治療するための治療的有効量において、または十分な量において式I−APに記載される1種以上の化合物を投与することにより免疫疾患または自己免疫疾患を治療する方法に関する
一実施形態において、本発明は、式I−B:
【0025】
【化13】

の化合物であって、
式中:
が、H、C〜Cアルキル、Cl、F、またはCFから独立して選択され;
91およびR92が、H、F、Br、Cl、I、C〜Cアルキル、およびC〜Cアルコキシから独立して選択され;
Xが、OまたはNRから独立して選択され;
が、H、C〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜C10アリール、C〜C14アラルキル、C〜Cヘテロアリール、C〜C14置換アリールおよびC〜C14置換ヘテロアリールから独立して選択され;
が、H、C〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜C10アリール、C〜C14アラルキル、C〜Cヘテロアリール、C〜C14置換アリールおよびC〜C14置換ヘテロアリールから独立して選択される化合物であり;それら全ての立体異性体、それら全てのE/Z(シス/トランス)異性体、それら全ての溶媒和物と水和物、それら全ての結晶形態と非結晶性形態、およびそれら全ての塩類を含めた化合物に関する。式Iの化合物のこのサブセットは、式IのサブセットBの化合物、または式I−Bの化合物と称される。式I−Bの化合物の代謝物およびプロドラッグもまた本発明に包含される。一実施形態において、XはOである。好ましい一実施形態において、XはNRである。他の好ましい実施形態において、Rは、HまたはC〜Cアルキルである。他の好ましい実施形態において、RはHまたはC〜Cアルキルである。他の好ましい実施形態において、R91はHである。他の好ましい実施形態において、R92はHである。他の好ましい実施形態において、R91およびR92は双方ともHである。
【0026】
他の実施形態において、本発明は、SSAO酵素活性(ここでの酵素活性は、溶解性SSAO酵素または膜結合VAP−1蛋白質のいずれかによるか、もしくは双方による)を阻害するために、および/またはVAP−1蛋白質に対する結合を阻害するために、式I−Bの化合物を使用する方法に関する。該化合物は、インビトロでSSAO活性を阻害するか、またはVAP−1に対する結合を阻害する方法のために、SSAO活性を阻害するか、またはVAP−1に対する結合を阻害するための十分な量において、該化合物を、インビトロ環境に供給することにより使用できる。また、該化合物は、インビボで、すなわち、脊椎動物、哺乳動物またはヒトなどの生きている生物において、SSAO活性を阻害するか、またはVAP−1に対する結合を阻害する方法のために、SSAO活性を阻害するか、またはVAP−1に対する結合を阻害するための十分な量において、該化合物を、該生物に投与することにより使用できる。他の実施形態において、本発明は、炎症または免疫疾患を治療するために式I−Bの化合物を使用する方法に関する。他の実施形態において、本発明は、炎症を抑制または軽減するために、または炎症反応を抑制または軽減するために、式I−Bの化合物を使用する方法に関する。他の実施形態において、本発明は、炎症を治療するための治療的有効量において、または十分な量において式I−Bに記載される1種以上の化合物を投与することにより炎症を治療する方法に関する。他の実施形態において、本発明は、免疫疾患または自己免疫疾患を治療するための治療的有効量において、または十分な量において式I−Bに記載される1種以上の化合物を投与することにより免疫疾患または自己免疫疾患を治療する方法に関する。
【0027】
一実施形態において、本発明は、式I−C:
【0028】
【化14】

の化合物であって、
式中:
が、H、C〜Cアルキル、Cl、F、またはCFから独立して選択され;
91およびR92が、H、F、Br、Cl、I、C〜Cアルキル、およびC〜Cアルコキシから独立して選択され;
Xが、OまたはNRから独立して選択され;
が、H、C〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜C10アリール、C〜C14アラルキル、C〜Cヘテロアリール、C〜C14置換アリールおよびC〜C14置換ヘテロアリールから独立して選択され;
が、H、C〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜C10アリール、C〜C14アラルキル、C〜Cヘテロアリール、C〜C14置換アリールおよびC〜C14置換ヘテロアリールから独立して選択される化合物であり;
それら全ての立体異性体、それら全てのE/Z(シス/トランス)異性体、それら全ての溶媒和物と水和物、それら全ての結晶形態と非結晶性形態、およびそれら全ての塩類を含めた化合物に関する。式Iの化合物のこのサブセットは、式IのサブセットCの化合物、または式I−Cの化合物と称される。式I−Cの化合物の代謝物およびプロドラッグもまた本発明に包含される。一実施形態において、XはOである。他の好ましい一実施形態において、XはNRである。他の好ましい実施形態において、Rは、HまたはC〜Cアルキルである。他の好ましい実施形態において、RはHまたはC〜Cアルキルである。他の好ましい実施形態において、R91はHである。他の好ましい実施形態において、R92はHである。他の好ましい実施形態において、R91およびR92は双方ともHである。
【0029】
他の実施形態において、本発明は、SSAO酵素活性(ここでの酵素活性は、溶解性SSAO酵素または膜結合VAP−1蛋白質のいずれかによるか、もしくは双方による)を阻害するために、および/またはVAP−1蛋白質に対する結合を阻害するために、式I−Cの化合物を使用する方法に関する。該化合物は、インビトロでSSAO活性を阻害するか、またはVAP−1に対する結合を阻害する方法のために、SSAO活性を阻害するか、またはVAP−1に対する結合を阻害するための十分な量において、該化合物を、インビトロ環境に供給することにより使用できる。また、該化合物は、インビボで、すなわち、脊椎動物、哺乳動物またはヒトなどの生きている生物において、SSAO活性を阻害するか、またはVAP−1に対する結合を阻害する方法のために、SSAO活性を阻害するか、またはVAP−1に対する結合を阻害するための十分な量において、該化合物を、該生物に投与することにより使用できる。他の実施形態において、本発明は、炎症または免疫疾患を治療するために式I−Cの化合物を使用する方法に関する。他の実施形態において、本発明は、炎症を抑制または軽減するために、または炎症反応を抑制または軽減するために、式I−Cの化合物を使用する方法に関する。他の実施形態において、本発明は、炎症を治療するための治療的有効量において、または十分な量において式I−Cに記載される1種以上の化合物を投与することにより炎症を治療する方法に関する。他の実施形態において、本発明は、免疫疾患または自己免疫疾患を治療するための治療的有効量において、または十分な量において式I−Cに記載される1種以上の化合物を投与することにより免疫疾患または自己免疫疾患を治療する方法に関する
他の実施形態において、本発明は、SSAO酵素活性(ここでの酵素活性は、溶解性SSAO酵素または膜結合VAP−1蛋白質のいずれかによるか、もしくは双方による)を阻害するために、および/またはVAP−1蛋白質に対する結合を阻害するために、式I、I−P、I−A、I−AP、I−B、および/またはI−Cの化合物を使用する方法に関する。該化合物は、インビトロでSSAO活性を阻害するか、またはVAP−1に対する結合を阻害する方法のために、SSAO活性を阻害するか、またはVAP−1に対する結合を阻害するための十分な量において、該化合物を、インビトロ環境に供給することにより使用できる。また、該化合物は、インビボで、すなわち、脊椎動物、哺乳動物またはヒトなどの生きている生物において、SSAO活性を阻害するか、またはVAP−1に対する結合を阻害する方法のために、SSAO活性を阻害するか、またはVAP−1に対する結合を阻害するための十分な量において、該化合物を、該生物に投与することにより使用できる。他の実施形態において、本発明は、炎症または免疫疾患を治療するために式I、I−P、I−A、I−AP、I−B、および/またはI−Cの化合物を使用する方法に関する。他の実施形態において、本発明は、炎症を抑制または軽減するために、または炎症反応を抑制または軽減するために、式I、I−P、I−A、I−AP、I−B、および/またはI−Cの化合物を使用する方法に関する。他の実施形態において、本発明は、炎症を治療するための治療的有効量において、または十分な量において式I、I−P、I−A、I−AP、I−B、および/またはI−Cに記載される1種以上の化合物を投与することにより炎症を治療する方法に関する。他の実施形態において、本発明は、免疫疾患または自己免疫疾患を治療するための治療的有効量において、または十分な量において式I、I−P、I−A、I−AP、I−B、および/またはI−Cに記載される1種以上の化合物を投与することにより免疫疾患または自己免疫疾患を治療する方法に関する。
【0030】
他の実施形態において、本発明は、一般式II:
【0031】
【化15】

の化合物であって、
式中:
11およびR12が、H、C〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜C10アリール、C〜C14アラルキル、C〜Cヘテロアリール、C〜C14置換アリール、C〜C14置換ヘテロアリールから独立して選択され;
13およびR14が、H、C〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜C10アリール、C〜C14アラルキル、C〜Cヘテロアリール、C〜C14置換アリールおよびC〜C14置換ヘテロアリールから独立して選択される化合物であり;それら全ての立体異性体、それら全てのE/Z(シス/トランス)異性体、それら全ての溶媒和物と水和物、それら全ての結晶形態と非結晶性形態、およびそれら全ての塩類を含めた化合物に関する。式IIの化合物の代謝物およびプロドラッグもまた本発明に包含される。一実施形態において、R11はHである。他の実施形態において、R12は非置換フェニルである。他の実施形態において、R12は置換フェニルである。他の実施形態において、R13はHまたはC〜Cアルキルである。他の実施形態において、R14はHまたはC〜Cアルキルである。
【0032】
他の実施形態において、本発明は、SSAO酵素活性(ここでの酵素活性は、溶解性SSAO酵素または膜結合VAP−1蛋白質のいずれかによるか、もしくは双方による)を阻害するために、および/またはVAP−1蛋白質に対する結合を阻害するために、式IIの化合物を使用する方法に関する。該化合物は、インビトロでSSAO活性を阻害するか、またはVAP−1に対する結合を阻害する方法のために、SSAO活性を阻害するか、またはVAP−1に対する結合を阻害するための十分な量において、該化合物を、インビトロ環境に供給することにより使用できる。また、該化合物は、インビボで、すなわち、脊椎動物、哺乳動物またはヒトなどの生きている生物において、SSAO活性を阻害するか、またはVAP−1に対する結合を阻害する方法のために、SSAO活性を阻害するか、またはVAP−1に対する結合を阻害するための十分な量において、該化合物を、該生物に投与することにより使用できる。他の実施形態において、本発明は、炎症または免疫疾患を治療するために式IIの化合物を使用する方法に関する。他の実施形態において、本発明は、炎症を抑制または軽減するために、または炎症反応を抑制または軽減するために、式IIの化合物を使用する方法に関する。他の実施形態において、本発明は、炎症を治療するための治療的有効量において、または十分な量において式IIに記載される1種以上の化合物を投与することにより炎症を治療する方法に関する。他の実施形態において、本発明は、免疫疾患または自己免疫疾患を治療するための治療的有効量において、または十分な量において式IIに記載される1種以上の化合物を投与することにより免疫疾患または自己免疫疾患を治療する方法に関する
他の実施形態において、本発明は、一般式III:
【0033】
【化16】

の化合物であって、
式中:
27が、H、C〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜C10アリール、C〜C14アラルキル、C〜Cヘテロアリール、C〜C14置換アリール、C〜C14置換ヘテロアリール、R23−(CH−、およびR24−Y−(CH)−から独立して選択され;
22が、H、C〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜C10アリール、C〜C14アラルキル、C〜Cヘテロアリール、C〜C14置換アリールおよびC〜C14置換ヘテロアリールから独立して選択され;
nが、独立して1または2であり;
n3が、独立して0、1、または2であり;
が、独立してSまたはOであり;
23およびR24が、H、C〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜C10アリール、C〜C14アラルキル、C〜Cヘテロアリール、C〜C14置換アリールおよびC〜C14置換ヘテロアリールから独立して選択される化合物であり;
それら全ての立体異性体、それら全てのE/Z(シス/トランス)異性体、それら全ての溶媒和物と水和物、それら全ての結晶形態と非結晶性形態、およびそれら全ての塩類を含めた化合物に関する。式IIIの化合物の代謝物およびプロドラッグもまた本発明に包含される。一実施形態において、R27は非置換フェニルである。他の実施形態において、R27は置換フェニルである。他の実施形態において、R22はHまたはC〜Cアルキルである。他の実施形態において、R22はHではない。他の実施形態において、R22はC〜Cアルキルである。他の実施形態において、R22はメチルまたはエチルである。
【0034】
他の実施形態において、本発明は、SSAO酵素活性(ここでの酵素活性は、溶解性SSAO酵素または膜結合VAP−1蛋白質のいずれかによるか、もしくは双方による)を阻害するために、および/またはVAP−1蛋白質に対する結合を阻害するために、式IIIの化合物を使用する方法に関する。該化合物は、インビトロでSSAO活性を阻害するか、またはVAP−1に対する結合を阻害する方法のために、SSAO活性を阻害するか、またはVAP−1に対する結合を阻害するための十分な量において、該化合物を、インビトロ環境に供給することにより使用できる。また、該化合物は、インビボで、すなわち、脊椎動物、哺乳動物またはヒトなどの生きている生物において、SSAO活性を阻害するか、またはVAP−1に対する結合を阻害する方法のために、SSAO活性を阻害するか、またはVAP−1に対する結合を阻害するための十分な量において、該化合物を、該生物に投与することにより使用できる。他の実施形態において、本発明は、炎症または免疫疾患を治療するために式IIIの化合物を使用する方法に関する。他の実施形態において、本発明は、炎症を抑制または軽減するために、または炎症反応を抑制または軽減するために、式IIIの化合物を使用する方法に関する。他の実施形態において、本発明は、炎症を治療するための治療的有効量において、または十分な量において式IIIに記載される1種以上の化合物を投与することにより炎症を治療する方法に関する。他の実施形態において、本発明は、免疫疾患または自己免疫疾患を治療するための治療的有効量において、または十分な量において式IIIに記載される1種以上の化合物を投与することにより免疫疾患または自己免疫疾患を治療する方法に関する
他の実施形態において、本発明は、一般式III−A:
【0035】
【化17】

の化合物であって、
式中:
21が、H、C〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜C10アリール、C〜C14アラルキル、C〜Cヘテロアリール、C〜C14置換アリール、C〜C14置換ヘテロアリール、R23−(CH−、およびR24−Y−(CH)−から独立して選択され;
22が、H、C〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜C10アリール、C〜C14アラルキル、C〜Cヘテロアリール、C〜C14置換アリールおよびC〜C14置換ヘテロアリールから独立して選択され;
nが、独立して1または2であり;
が、独立してSまたはOであり;
23およびR24が、H、C〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜C10アリール、C〜C14アラルキル、C〜Cヘテロアリール、C〜C14置換アリールおよびC〜C14置換ヘテロアリールから独立して選択される化合物であり;それら全ての立体異性体、それら全てのE/Z(シス/トランス)異性体、それら全ての溶媒和物と水和物、それら全ての結晶形態と非結晶性形態、およびそれら全ての塩類を含めた化合物に関する。式III−Aの化合物の代謝物およびプロドラッグもまた本発明に包含される。一実施形態において、R21は非置換フェニルである。他の実施形態において、R21は置換フェニルである。他の実施形態において、R22はHまたはC〜Cアルキルである。他の実施形態において、R22はHではない。他の実施形態において、R22はC〜Cアルキルである。他の実施形態において、R22はメチルまたはエチルである。
【0036】
他の実施形態において、本発明は、SSAO酵素活性(ここでの酵素活性は、溶解性SSAO酵素または膜結合VAP−1蛋白質のいずれかによるか、もしくは双方による)を阻害するために、および/またはVAP−1蛋白質に対する結合を阻害するために、式III−Aの化合物を使用する方法に関する。該化合物は、インビトロでSSAO活性を阻害するか、またはVAP−1に対する結合を阻害する方法のために、SSAO活性を阻害するか、またはVAP−1に対する結合を阻害するための十分な量において、該化合物を、インビトロ環境に供給することにより使用できる。また、該化合物は、インビボで、すなわち、脊椎動物、哺乳動物またはヒトなどの生きている生物において、SSAO活性を阻害するか、またはVAP−1に対する結合を阻害する方法のために、SSAO活性を阻害するか、またはVAP−1に対する結合を阻害するための十分な量において、該化合物を、該生物に投与することにより使用できる。他の実施形態において、本発明は、炎症または免疫疾患を治療するために式III−Aの化合物を使用する方法に関する。他の実施形態において、本発明は、炎症を抑制または軽減するために、または炎症反応を抑制または軽減するために、式III−Aの化合物を使用する方法に関する。他の実施形態において、本発明は、炎症を治療するための治療的有効量において、または十分な量において式III−Aに記載される1種以上の化合物を投与することにより炎症を治療する方法に関する。他の実施形態において、本発明は、免疫疾患または自己免疫疾患を治療するための治療的有効量において、または十分な量において式III−Aに記載される1種以上の化合物を投与することにより免疫疾患または自己免疫疾患を治療する方法に関する
他の実施形態において、本発明は、一般式III−B:
【0037】
【化18】

の化合物であって、
式中:
25が、C〜C10アリール、C〜C14アラルキル、C〜Cヘテロアリール、C〜C14置換アリール、およびC〜C14置換ヘテロアリールから独立して選択され;
22が、H、C〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜C10アリール、C〜C14アラルキル、C〜Cヘテロアリール、C〜C14置換アリールおよびC〜C14置換ヘテロアリールから独立して選択される化合物であり;
それら全ての立体異性体、それら全てのE/Z(シス/トランス)異性体、それら全ての溶媒和物と水和物、それら全ての結晶形態と非結晶性形態、およびそれら全ての塩類を含めた化合物に関する。式III−Bの化合物の代謝物およびプロドラッグもまた本発明に包含される。一実施形態において、R25は非置換フェニルである。他の実施形態において、R25は置換フェニルである。他の実施形態において、R22はHまたはC〜Cアルキルである。他の実施形態において、R22はHではない。他の実施形態において、R22はC〜Cアルキルである。他の実施形態において、R22はメチルまたはエチルである。
【0038】
他の実施形態において、本発明は、SSAO酵素活性(ここでの酵素活性は、溶解性SSAO酵素または膜結合VAP−1蛋白質のいずれかによるか、もしくは双方による)を阻害するために、および/またはVAP−1蛋白質に対する結合を阻害するために、式III−Bの化合物を使用する方法に関する。該化合物は、インビトロでSSAO活性を阻害するか、またはVAP−1に対する結合を阻害する方法のために、SSAO活性を阻害するか、またはVAP−1に対する結合を阻害するための十分な量において、該化合物を、インビトロ環境に供給することにより使用できる。また、該化合物は、インビボで、すなわち、脊椎動物、哺乳動物またはヒトなどの生きている生物において、SSAO活性を阻害するか、またはVAP−1に対する結合を阻害する方法のために、SSAO活性を阻害するか、またはVAP−1に対する結合を阻害するための十分な量において、該化合物を、該生物に投与することにより使用できる。他の実施形態において、本発明は、炎症または免疫疾患を治療するために式III−Bの化合物を使用する方法に関する。他の実施形態において、本発明は、炎症を抑制または軽減するために、または炎症反応を抑制または軽減するために、式III−Bの化合物を使用する方法に関する。他の実施形態において、本発明は、炎症を治療するための治療的有効量において、または十分な量において式III−Bに記載される1種以上の化合物を投与することにより炎症を治療する方法に関する。他の実施形態において、本発明は、免疫疾患または自己免疫疾患を治療するための治療的有効量において、または十分な量において式III−Bに記載される1種以上の化合物を投与することにより免疫疾患または自己免疫疾患を治療する方法に関する
他の実施形態において、本発明は、一般式III−C:
【0039】
【化19】

の化合物であって、
式中:
26が、C〜C10アリール、C〜C14アラルキル、C〜Cヘテロアリール、C〜C14置換アリール、およびC〜C14置換ヘテロアリールから独立して選択され;
22が、H、C〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜C10アリール、C〜C14アラルキル、C〜Cヘテロアリール、C〜C14置換アリールおよびC〜C14置換ヘテロアリールから独立して選択される化合物であり;
それら全ての立体異性体、それら全てのE/Z(シス/トランス)異性体、それら全ての溶媒和物と水和物、それら全ての結晶形態と非結晶性形態、およびそれら全ての塩類を含めた化合物に関する。式III−Cの化合物の代謝物およびプロドラッグもまた本発明に包含される。一実施形態において、R26は非置換フェニルである。他の実施形態において、R26は置換フェニルである。他の実施形態において、R22はHまたはC〜Cアルキルである。他の実施形態において、R22はHではない。他の実施形態において、R22はC〜Cアルキルである。他の実施形態において、R22はメチルまたはエチルである。
【0040】
他の実施形態において、本発明は、SSAO酵素活性(ここでの酵素活性は、溶解性SSAO酵素または膜結合VAP−1蛋白質のいずれかによるか、もしくは双方による)を阻害するために、および/またはVAP−1蛋白質に対する結合を阻害するために、式III−Cの化合物を使用する方法に関する。該化合物は、インビトロでSSAO活性を阻害するか、またはVAP−1に対する結合を阻害する方法のために、SSAO活性を阻害するか、またはVAP−1に対する結合を阻害するための十分な量において、該化合物を、インビトロ環境に供給することにより使用できる。また、該化合物は、インビボで、すなわち、脊椎動物、哺乳動物またはヒトなどの生きている生物において、SSAO活性を阻害するか、またはVAP−1に対する結合を阻害する方法のために、SSAO活性を阻害するか、またはVAP−1に対する結合を阻害するための十分な量において、該化合物を、該生物に投与することにより使用できる。他の実施形態において、本発明は、炎症または免疫疾患を治療するために式III−Cの化合物を使用する方法に関する。他の実施形態において、本発明は、炎症を抑制または軽減するために、または炎症反応を抑制または軽減するために、式III−Cの化合物を使用する方法に関する。他の実施形態において、本発明は、炎症を治療するための治療的有効量において、または十分な量において式III−Cに記載される1種以上の化合物を投与することにより炎症を治療する方法に関する。他の実施形態において、本発明は、免疫疾患または自己免疫疾患を治療するための治療的有効量において、または十分な量において式III−Cに記載される1種以上の化合物を投与することにより免疫疾患または自己免疫疾患を治療する方法に関する。
【0041】
他の実施形態において、本発明の式I、I−P、I−A、I−AP、I−B、I−C、II、III、III−A、III−B、および/またはIII−Cの1種以上の化合物によって治療される炎症性疾患または免疫疾患は、多発性硬化症(慢性多発性硬化症を含む);滑膜炎;全身炎症性敗血症;炎症性腸疾患;クローン病;潰瘍性大腸炎;アルツハイマー病;脳血管型認知症;アテローム硬化症;リウマチ様関節炎;若年性リウマチ様関節炎;肺炎病態;喘息;皮膚炎病態および皮膚炎疾患;接触皮膚炎;肝炎病態および自己免疫性病態;自己免疫性肝炎;原発性胆汁性肝硬変;硬化性胆管炎;自己免疫性胆管炎;アルコール性肝疾患;I型糖尿病および/またはその合併症;II型糖尿病および/またはその合併症;アテローム硬化症;慢性心不全;うっ血性心不全;脳卒中および/またはその合併症などの虚血性疾患;および心筋梗塞からなる群から選択される。他の実施形態において、本発明により治療を受ける炎症性疾患または免疫疾患は、多発性硬化症(慢性多発性硬化症を含む)である。他の実施形態において、本発明により治療を受ける炎症性疾患または免疫疾患は、脳卒中から生じる炎症性合併症である。
【0042】
上記の式I、I−P、I−A、I−AP、I−B、I−C、II、III、III−A、III−B、またはIII−Cの化合物は、治療的有効量において単独投与できる。上記の式I、I−P、I−A、I−AP、I−B、I−C、II、III、III−A、III−B、またはIII−Cの化合物は、治療的有効量における式I、I−P、I−A、I−AP、I−B、I−C、II、III、III−A、III−B、またはIII−Cの1種以上の追加の化合物と共に投与できる。併用投与される場合、該化合物は、その化合物が単独投与される場合の治療的に有効な量で投与できる。あるいは、併用投与される場合、化合物のいくつか、または全ては、それらの化合物が単独投与される場合は治療的に有効ではないが、併用されれば治療的に有効な量で投与できる。また、式I、I−P、I−A、I−AP、I−B、I−C、II、III、III−A、III−B、またはIII−Cの1種以上の化合物を、式I、I−P、I−A、I−AP、I−B、I−C、II、III、III−A、III−B、またはIII−Cに含まれない他の化合物と共に投与することができ、該化合物は、単剤として使用される場合の治療的に有効な量で投与できるか、または単剤としては治療的に有効ではないが、併用されれば治療的に有効な量で投与できる。また、本明細書に開示された上記の式I、I−P、I−A、I−AP、I−B、I−C、II、III、III−A、III−B、および/またはIII−Cの化合物などの、治療的有効量の1種以上の化合物、または2種以上の化合物の治療的に有効な組み合わせおよび製薬的に許容できる担体;およびそれらのヒト単位用量を含んでなる製薬的に許容できる組成物が提供される。
【0043】
上記の式I、I−P、I−A、I−AP、I−B、I−C、II、III、III−A、III−B、および/またはIII−Cの化合物は、媒体または他の単離化合物と関連させて、単離された製薬組成物として調製でき、単離された製薬組成物として投与できる。すなわち、上記の式I、I−P、I−A、I−AP、I−B、I−C、II、III、III−A、III−B、および/またはIII−Cの化合物は、他の化合物から単離できる(例えば、ライブラリースクリーニングアッセイにおいて発見される化合物は、そのライブラリーから精製できるか、または単独化合物としてデノボ合成できる。精製の程度は、90%、95%、99%、または該化合物の製薬的使用に必要とされるパーセンテージの精度であり得る。次いで、該単離化合物を、製薬的に許容できる媒体と組み合わせることができるか、または式I、I−P、I−A、I−AP、I−B、I−C、II、III、III−A、III−B、および/またはIII−Cの1種以上の単離化合物、もしくは他の治療用物質と組み合わせることができる。上記式I、I−P、I−A、I−AP、I−B、I−C、II、III、III−A、III−B、および/またはIII−Cの化合物は、製薬的ヒト単位用量の剤形において、経口投与できる。
【0044】
他の実施形態において、本発明は、療法に使用するための式Iの化合物を包含する。他の実施形態において、本発明は、炎症性疾患の治療を目的とした薬剤製造のための式Iの化合物を包含する。他の実施形態において、本発明は、免疫疾患または自己免疫疾患の治療を目的とした薬剤製造のための式Iの化合物を包含する。他の実施形態において、本発明は、多発性硬化症または慢性多発性硬化症の治療を目的とした薬剤製造のための式Iの化合物を包含する。他の実施形態において、本発明は、虚血性疾患(脳卒中など)または虚血性疾患の後遺症の治療を目的とした薬剤製造のための式Iの化合物を包含する。
【0045】
他の実施形態において、本発明は、療法に使用するための式I−Pの化合物を包含する。他の実施形態において、本発明は、炎症性疾患の治療を目的とした薬剤製造のための式I−Pの化合物を包含する。他の実施形態において、本発明は、免疫疾患または自己免疫疾患の治療を目的とした薬剤製造のための式I−Pの化合物を包含する。他の実施形態において、本発明は、多発性硬化症または慢性多発性硬化症の治療を目的とした薬剤製造のための式I−Pの化合物を包含する。他の実施形態において、本発明は、虚血性疾患(脳卒中など)または虚血性疾患の後遺症の治療を目的とした薬剤製造のための式I−Pの化合物を包含する。
【0046】
他の実施形態において、本発明は、療法に使用するための式I−Aの化合物を包含する。他の実施形態において、本発明は、炎症性疾患の治療を目的とした薬剤製造のための式I−Aの化合物を包含する。他の実施形態において、本発明は、免疫疾患または自己免疫疾患の治療を目的とした薬剤製造のための式I−Aの化合物を包含する。他の実施形態において、本発明は、多発性硬化症または慢性多発性硬化症の治療を目的とした薬剤製造のための式I−Aの化合物を包含する。他の実施形態において、本発明は、虚血性疾患(脳卒中など)または虚血性疾患の後遺症の治療を目的とした薬剤製造のための式I−Aの化合物を包含する。
【0047】
他の実施形態において、本発明は、療法に使用するための式I−APの化合物を包含する。他の実施形態において、本発明は、炎症性疾患の治療を目的とした薬剤製造のための式I−APの化合物を包含する。他の実施形態において、本発明は、免疫疾患または自己免疫疾患の治療を目的とした薬剤製造のための式I−APの化合物を包含する。他の実施形態において、本発明は、多発性硬化症または慢性多発性硬化症の治療を目的とした薬剤製造のための式I−APの化合物を包含する。他の実施形態において、本発明は、虚血性疾患(脳卒中など)または虚血性疾患の後遺症の治療を目的とした薬剤製造のための式I−APの化合物を包含する。
【0048】
他の実施形態において、本発明は、療法に使用するための式I−Bの化合物を包含する。他の実施形態において、本発明は、炎症性疾患の治療を目的とした薬剤製造のための式I−Bの化合物を包含する。他の実施形態において、本発明は、免疫疾患または自己免疫疾患の治療を目的とした薬剤製造のための式I−Bの化合物を包含する。他の実施形態において、本発明は、多発性硬化症または慢性多発性硬化症の治療を目的とした薬剤製造のための式I−Bの化合物を包含する。他の実施形態において、本発明は、虚血性疾患(脳卒中など)または虚血性疾患の後遺症の治療を目的とした薬剤製造のための式I−Bの化合物を包含する。
【0049】
他の実施形態において、本発明は、療法に使用するための式I−Cの化合物を包含する。他の実施形態において、本発明は、炎症性疾患の治療を目的とした薬剤製造のための式I−Cの化合物を包含する。他の実施形態において、本発明は、免疫疾患または自己免疫疾患の治療を目的とした薬剤製造のための式I−Cの化合物を包含する。他の実施形態において、本発明は、多発性硬化症または慢性多発性硬化症の治療を目的とした薬剤製造のための式I−Cの化合物を包含する。他の実施形態において、本発明は、虚血性疾患(脳卒中など)または虚血性疾患の後遺症の治療を目的とした薬剤製造のための式I−Cの化合物を包含する。
【0050】
他の実施形態において、本発明は、療法に使用するための式IIの化合物を包含する。他の実施形態において、本発明は、炎症性疾患の治療を目的とした薬剤製造のための式IIの化合物を包含する。他の実施形態において、本発明は、免疫疾患または自己免疫疾患の治療を目的とした薬剤製造のための式IIの化合物を包含する。他の実施形態において、本発明は、多発性硬化症または慢性多発性硬化症の治療を目的とした薬剤製造のための式IIの化合物を包含する。他の実施形態において、本発明は、虚血性疾患(脳卒中など)または虚血性疾患の後遺症の治療を目的とした薬剤製造のための式IIの化合物を包含する。
【0051】
他の実施形態において、本発明は、療法に使用するための式IIIの化合物を包含する。他の実施形態において、本発明は、炎症性疾患の治療を目的とした薬剤製造のための式IIIの化合物を包含する。他の実施形態において、本発明は、免疫疾患または自己免疫疾患の治療を目的とした薬剤製造のための式IIIの化合物を包含する。他の実施形態において、本発明は、多発性硬化症または慢性多発性硬化症の治療を目的とした薬剤製造のための式IIIの化合物を包含する。他の実施形態において、本発明は、虚血性疾患(脳卒中など)または虚血性疾患の後遺症の治療を目的とした薬剤製造のための式IIIの化合物を包含する。
【0052】
他の実施形態において、本発明は、療法に使用するための式III−Aの化合物を包含する。他の実施形態において、本発明は、炎症性疾患の治療を目的とした薬剤製造のための式III−Aの化合物を包含する。他の実施形態において、本発明は、免疫疾患または自己免疫疾患の治療を目的とした薬剤製造のための式III−Aの化合物を包含する。他の実施形態において、本発明は、多発性硬化症または慢性多発性硬化症の治療を目的とした薬剤製造のための式III−Aの化合物を包含する。他の実施形態において、本発明は、虚血性疾患(脳卒中など)または虚血性疾患の後遺症の治療を目的とした薬剤製造のための式III−Aの化合物を包含する。
【0053】
他の実施形態において、本発明は、療法に使用するための式III−Bの化合物を包含する。他の実施形態において、本発明は、炎症性疾患の治療を目的とした薬剤製造のための式III−Bの化合物を包含する。他の実施形態において、本発明は、免疫疾患または自己免疫疾患の治療を目的とした薬剤製造のための式III−Bの化合物を包含する。他の実施形態において、本発明は、多発性硬化症または慢性多発性硬化症の治療を目的とした薬剤製造のための式III−Bの化合物を包含する。他の実施形態において、本発明は、虚血性疾患(脳卒中など)または虚血性疾患の後遺症の治療を目的とした薬剤製造のための式III−Bの化合物を包含する。
【0054】
他の実施形態において、本発明は、療法に使用するための式III−Cの化合物を包含する。他の実施形態において、本発明は、炎症性疾患の治療を目的とした薬剤製造のための式III−Cの化合物を包含する。他の実施形態において、本発明は、免疫疾患または自己免疫疾患の治療を目的とした薬剤製造のための式III−Cの化合物を包含する。他の実施形態において、本発明は、多発性硬化症または慢性多発性硬化症の治療を目的とした薬剤製造のための式III−Cの化合物を包含する。他の実施形態において、本発明は、虚血性疾患(脳卒中など)または虚血性疾患の後遺症の治療を目的とした薬剤製造のための式III−Cの化合物を包含する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0055】
(発明を実施するための様式)
本発明は、SSAO酵素活性(ここでの酵素活性は、溶解性SSAO酵素または膜結合VAP−1蛋白質のいずれかによるか、もしくは双方による)の阻害および/または膜結合VAP−1蛋白質に対する結合を阻害するために有用な種々の化合物に関する。また、本発明は、SSAO酵素活性(ここでの酵素活性は、溶解性SSAO酵素または膜結合VAP−1蛋白質のいずれかによるか、もしくは双方による)を阻害、および/またはVAP−1蛋白質に対する結合を阻害するために、種々の化合物を使用する方法に関する。また本発明は、炎症または免疫疾患を治療するために、および炎症および/または炎症反応を減少または抑制するために、種々の化合物を使用する方法に関する。
【0056】
本発明に使用する化合物は、下記実施例14におけるプロトコルによって、SSAO阻害活性に関してアッセイできる。SSAOの基質特異性対モノアミンオキシダーゼの基質特異性は一部重なっている。したがって、モノアミンオキシダーゼよりもSSAOを特異的に阻害する化合物を用いることが好ましい。SSAO阻害活性対MAO−AおよびMAO−B阻害活性に関する化合物の特異性は、下記実施例15のプロトコルによってアッセイできる。本発明に使用する化合物は、SSAOに対して、約<1μM、より好ましくは、約100nM、さらに好ましくは、約10nMの阻害活性(IC50)を有する。また、本発明に使用する化合物は、約10、より好ましくは約100、より好ましくは、約500のSSAO対MAO−A特異性を有する(ここで、SSAO対MAO−A特異性は、SSAOに対する化合物のIC50に対してのMAO−Aに対する同じ化合物のIC50の比として定義され;すなわちMAO−Aに対して10μMのIC50、SSAOに対して20nMのIC50を有する化合物は、500のSSAO対MAO−A特異性を有する。また、本発明に使用する化合物は、約10、より好ましくは約100、より好ましくは、約500のSSAO対MAO−B特異性を有する(ここで、SSAO対MAO−B特異性は、SSAOに対する化合物のIC50に対してのMAO−Bに対する同じ化合物のIC50の比として定義される。下記の表1は、本発明に用いるいくつかの化合物の実験値を提供している。
【0057】
用語の「VAP−1蛋白質に対する結合を阻害する」とは、例えば、細胞表面にSSAO/VAP−1蛋白質を発現している細胞とSSAO/VAP−1蛋白質の結合相手との間の結合阻害(部分的阻害から完全阻害を含み得る)を示すことを意味する。このような結合は、例えば、細胞表面にSSAO/VAP−1蛋白質を発現している細胞と、高内皮細胞(HEC)など、SSAO/VAP−1蛋白質の結合相手を発現している他の細胞とが相互作用する時に生じる。
【0058】
したがって、VAP−1蛋白質に対する結合を阻害するとは、細胞表面にSSAO/VAP−1蛋白質を発現している細胞とSSAO/VAP−1蛋白質の結合相手を発現している他の細胞との間の接着の阻害を包含する。このような接着事象としては、例えば、細胞ローリングが挙げられる。本開示(実施例を含めて)が明示しているように、このような阻害は、インビトロでもインビボでも生じ得る。本発明は、本明細書に記載された化合物の全ての塩、ならびにこのような化合物の塩の使用法を含む。また、本発明は、本明細書に命名された化合物の任意の塩の全ての精製(非塩)、ならびに、本明細書に命名された化合物の任意の塩の他の塩を含む。一実施形態において、該化合物の塩は、製薬的に許容できる塩を含んでなる。製薬的に許容できる塩は、遊離化合物の生物学的活性を保持し、しかもそれが、生物学的に、または他に、望ましくないものではない塩である。基本化合物の所望の塩は、該化合物を酸で処理することにより、当業者に公知の方法によって調製できる。無機酸の例としては、限定はしないが、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸およびリン酸が挙げられる。有機酸の例としては、限定はしないが、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、シュウ酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、フマール酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、ケイ皮酸、マンデル酸、スルホン酸、およびサリチル酸が挙げられる。アスパラギン酸塩およびグルタミン酸塩などの塩基化合物とアミノ酸との塩もまた調製できる。酸性化合物の所望の塩は、該化合物と塩基との処理により、当業者に公知の方法によって調製できる。酸性化合物の無機塩の例としては、限定はしないが、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、およびカルシウム塩など;アルカリ金属およびアルカリ土類の塩類、アンモニウム塩、およびアルミニウム塩が挙げられる。酸性化合物の有機塩の例としては、限定はしないが、プロカイン塩、ジベンジルアミン塩、N−エチルピペリヂン塩、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン塩、およびトリエチルアミン塩が挙げられる。また、リジン塩などの酸性化合物とアミノ酸との塩も調製できる。
【0059】
また、本発明は、ジアステレオマーおよびエナンチオマーなどの、該化合物の全ての立体異性体、ならびに限定はしないが、ラセミ混合物などの立体異性体の混合物を含む。化学構造または化学名において立体化学が明示されない限り、化学構造または化学名は、示された化合物の全ての可能な立体異性体を包含することが意図されている。また、一般式I、I−A、I−AP、I−B、およびI−Cが、シス−トランス異性体の1つのみを有して描かれていても(RとRが、互いにシスとして示されている)、その図は、シス位のR1とR2を有する化合物、ならびにトランス位のRとRを有する化合物の双方を包含することが意図されている(すなわち、1つの異性体のみが描かれていても、E異性体とZ異性体の双方を表すために単一の図が用いられる)。
【0060】
用語の「アルキル」は、規定された炭素原子数を有する、または数が規定されていない場合は、12個までの炭素原子を有する直鎖基、分枝鎖基、環式基、およびそれらの組み合わせなどの飽和脂肪族基を言う。「直鎖アルキル」基、または「線状アルキル」基は、一般に「n−アルキル」基と称される環式でも分枝状でもないアルキル基を言う。アルキル基の例としては、限定はしないが、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、ペンチル、n−ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、ネオペンチル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、およびアダマンチルなどの基が挙げられる。シクロアルキル基は、限定はしないが、シクロヘプチル基などの単環、または限定はしないが、アダマンチル基またはノルボルニル基などの多縮合環からなり得る。
【0061】
「置換アルキル」は、限定はしないが、ハロゲン基(フルオロ、クロロ、ブロモ、およびヨード)、アルコキシ基、アシルオキシ基、アミノ基、ヒドロキシル基、メルカプト基、カルボキシ基、ベンジルオキシ基、フェニル基、ベンジル基、シアノ基、ニトロ基、チオアルコキシ基、カルボキサルデヒド基、カルボアルコキシ基、およびカルボキサミド基、または本発明のために、必要な場合は、保護基により、好適にブロックできる官能基などの1つ以上の置換基により置換されているアルキル基を言う。置換アルキル基の例としては、限定はしないが、−CF、−CF−CF、および他のペルフルオロ基およびペルハロ基;−CH−OH;−CHCHCH(NH)CHなどが挙げられる。
【0062】
用語の「アルケニル」は、少なくとも1つの二重結合(−C=C−)を含有し、規定された炭素原子数を有する、または数が規定されていない場合は、12個までの炭素原子を有する直鎖(線状)基、分枝鎖基、環式基、およびそれらの組み合わせなどの不飽和脂肪族基を言う。アルケニル基の例としては、限定はしないが、−CH−CH=CH−CH;およびエチル基が、任意の可能な炭素原子価でシクロヘキセニル部分に結合できる−CH2−CH2−シクロヘキセニルが挙げられる。用語の「アルキニル」は、少なくとも1つの三重結合(−C≡C−)を含有し、規定された炭素原子数を有する、または数が規定されていない場合は、12個までの炭素原子を有する直鎖(線状)基、分枝鎖基、環式基、およびそれらの組み合わせなどの不飽和脂肪族基を言う。「炭化水素鎖」または「ヒドロカルビル」は、直鎖基、分枝鎖基、または環式アルキル基、環式アルケニル基、環式アルキニル基およびそれらの任意の組み合わせの任意の組み合わせを言う。「置換アルケニル」、「置換アルキニル」、および「置換炭化水素鎖」または「置換ヒドロカルビル」は、限定はしないが、ハロゲン、アルコキシ基、アシルオキシ基、アミノ基、ヒドロキシル基、メルカプト基、カルボキシ基、ベンジルオキシ基、フェニル基、ベンジル基、シアノ基、ニトロ基、チオアルコキシ基、カルボキサルデヒド基、カルボアルコキシ基、およびカルボキサミド基または本発明の目的のために、必要な場合は、保護基により、好適にブロックできる官能基などの1つ以上の置換基により置換されているそれぞれの基を言う。
【0063】
「アリール」または「Ar」は、単環(限定はしないが、フェニルなどの基が挙げられる)または2つ以上の縮合環(限定はしないが、ナフチルまたはアントリルなどの基が挙げられる)を有し、非置換および置換アリール基の双方を含む芳香族炭素環式基を言う。別に規定されない限り、アリール類は、環部分に6個から12個の炭素原子を含有する。アリール類にとって好ましい範囲は、環部分における6個から10個の炭素原子である。「置換アリール類」は、限定はしないが、アルキル、アルケニル、アルキニル、炭化水素鎖、ハロゲン、アルコキシ、アシルオキシ、アミノ、ヒドロキシル、メルカプト、カルボキシ、ベンジルオキシ、フェニル、ベンジル、シアノ、ニトロ、チオアルコキシ、カルボキサルデヒド、カルボアルコキシ、およびカルボキサミドなどの基、または本発明のために、必要な場合は、保護基により、好適にブロックできる官能基などの1つ以上の置換基により置換されているアリール類を言う。「アラルキル」は、いずれかのアリールがアルキルに結合でき、該アルキル部分が1個から6個の炭素原子の直鎖または分枝鎖で、該アルキル鎖が、好ましくは1個から3個の炭素原子を含有するアルキル置換アリール基を称する。アラルキル基が置換基として示されている場合、該アラルキル基は、そのアルキル部分またはアリール部分のいずれかで、任意の可能な原子価において該分子の残部に結合できる。例えば、トリルアラルキル基は、芳香環部分の5個の水素原子のいずれかを該分子の残部により置換するか、または、メチル部分のアルファ水素の1個を該分子の残部により置換することによって、該分子の残部に結合できる。該アラルキル基は、アルキル部分によって該分子の残部に結合していることが好ましい。
【0064】
好ましいアリール基は、置換または非置換であり得るフェニルである。置換フェニルにとって好ましい置換基は、低級アルキル(−C〜Cアルキル)またはハロゲン(塩素(−Cl)、臭素(−Br),ヨウ素(−I),またはフッ素(−F);フェニル基にとって好ましいハロゲン置換基は、塩素およびフッ素)ヒドロキシ(−OH)、またはメトキシ、エトキシ、プロピルオキシ(プロポキシ)(n−プロポキシまたはi−プロポキシ)、およびブトキシ(n−ブトキシ、i−ブトキシ、s−ブトキシ、またはt−ブトキシ)などの低級アルコキシ(−C〜Cアルコキシ)であり、好ましいアルコキシ置換基はメトキシである。置換フェニル基は、好ましくは1つまたは2つの置換基、より好ましくは1つの置換基を有する。
【0065】
「ヘテロアルキル」、「ヘテロアルケニル」、および「ヘテロアルキニル」は、該基内の主鎖、分枝鎖、または環式鎖の一部として、1個以上のヘテロ原子を含有し、規定された炭素原子数を含有する、(または数が規定されていない場合は、12個までの炭素原子を含有する)、それぞれアルキル基、アルケニル基、およびアルキニル基を言う。ヘテロ原子としては、限定はしないが、N、S、O、およびPが挙げられ、NおよびOが好ましい。ヘテロアルキル基、ヘテロアルケニル基、およびヘテロアルキニル基は、ヘテロ原子(原子価が可能であれば)または炭素原子のいずれかにおいて、該分子の残部に結合できる。ヘテロアルキル基の例としては、限定はしないが、−O−CH、−CH−O−CH、−CH−CH−O−CH、−S−CH−CH−CH、−CH−CH(CH)−S−CH、−CH−CH−NH−CH−CH−、1−エチル−6−プロピルピペリジノ、およびモルホリノなどの基が挙げられる。ヘテロアルケニル基の例としては、限定はしないが、−CH=CH−NH−CH(CH)−CH−などの基が挙げられる。「ヘテロアリール」または「HetAr」は、単環(限定はしないが、ピリジル、イミダゾリル、チオフェン、またはフリルなどの例が挙げられる。)または2つ以上の縮合環(限定はしないが、インドリジニルまたはベンゾチエニルなどの例が挙げられる)を有し、環内に、限定はしないが、N、O、P、Sなどのヘテロ原子など、少なくとも1個のヘテロ原子を有する芳香族炭素環式基を言う。別に規定しない限り、ヘテロアルキル基、ヘテロアルケニル基、ヘテロアルキニル基、およびヘテロアリール基は、1個から5個の間のヘテロ原子および1個から12個の間の炭素原子を有する。「置換ヘテロアルキル」基、「置換ヘテロアルケニル」基、「置換ヘテロアルキニル」基、および「置換ヘテロアリール」基は、限定はしないが、アルキル、アルケニル、アルキニル、ベンジル、炭化水素鎖、ハロゲン、アルコキシ、アシルオキシ、アミノ、ヒドロキシル、メルカプト、カルボキシ、ベンジルオキシ、フェニル、ベンジル、シアノ、ニトロ、チオアルコキシ、カルボキサルデヒド、カルボアルコキシ、およびカルボキサミドなどの基、または、本発明のために必要な場合は、保護基により好適にブロックできる官能基などの1つ以上の置換基により置換されているヘテロアルキル基、ヘテロアルケニル基、ヘテロアルキニル基、およびヘテロアリール基を言う。このような置換ヘテロアルキル基の例としては、限定はしないが、窒素または炭素において、フェニル基またはベンジル基により置換され、任意の可能な原子価により、炭素または窒素上で、該分子の残部と結合しているピペラジン、−NH−SO−フェニル、−NH−(C=O)O―アルキル、−NH−(C=O)O―アルキル−アリール、および−NH−(C=O)―アルキルが挙げられる。化学的に可能ならば、該基の該ヘテロ原子(1個または複数)および/または該炭素原子は置換できる。また、該へテロ原子(1個または複数)は、化学的に可能ならば、酸化形態であり得る。
【0066】
本明細書に用いられている用語の「アルコキシ」は、酸素原子に結合しており、規定された炭素原子数を含有するか、または数が規定されていない場合は、12個までの炭素原子を含有するアルキル、アルケニル、アルキニル、または炭化水素鎖を言う。アルコキシ基の例としては、限定はしないが、メトキシ、エトキシ、プロピルオキシ(プロポキシ)(n−プロポキシまたはi−プロポキシのいずれか)、およびブトキシ(n−ブトキシ、i−ブトキシ、s−ブトキシ、またはt−ブトキシのいずれか)などの基が挙げられる。先の文章に記載された基が好ましいアルコキシ基であり、特に好ましいアルコキシ置換基は、メトキシである。
【0067】
本明細書に用いられている用語の「ハロ」および「ハロゲン」は、第VIIa族の元素(1990年IUPAC周期律表における17群元素、IUPAC Nomenclature of Inorganic Chemistry、Recommendations 1990年)を言い、Cl、Br、FおよびI置換基が挙げられる。好ましいハロゲン置換基は、ClおよびFである。
【0068】
「保護基」は、以下の特徴を示す化学基を言う:1)所望の官能基と、良好な収率で選択的に反応し、保護が望まれる予定された反応に対して安定な保護基質を提供する;2)保護基質から選択的に除去されて、所望の官能基を生じる;および3)このような予定された反応において存在するか、または生成する他の官能基(1つまたは複数)に適合性の試剤により、良好な収率で除去できる。好適な保護基の例は、Greenら(1991)Protective Groups in Organic Synthesis、第3版(John Wiley & Sons社、ニューヨーク所在)に見ることができる。アミノ保護基としては、限定はしないが、メシチレンスルホニル(Mts)、ベンジルオキシカルボニル(CBzまたはZ)、t−ブチルオキシカルボニル(Boc)、t−ブチルジメチル(TBSまたはTBDMS)、9−フルオレニルメチルオキシカルボニル(Fmoc)、トシル、ベンゼンスルホニル、2−ピリジルスルホニル、または6−ニトロベラトリルオキシカルボニル(Nvoc)、ニトロピペロニル、ピレニルメトキシカルボニル、ニトロベンジル、ジメチルジメトキシベンジル、5−ブロモ−7−ニトロインドリニルなどの好適な感光性保護基などが挙げられる。ヒドロキシル保護基としては、限定はしないが、Fmoc、TBS、感光性保護基(ニトロベラトリルオキシメチルエーテル(Nvom))、Mom(メトキシメチルエーテル)、およびMem(メトキシエトキシメチルエーテル)、NPEOC(4−ニトロフェネチルオキシカルボニル)およびNPEOM(4−ニトロフェネチルオキシメチルオキシカルボニル)が挙げられる。
【0069】
一般的合成法
本明細書に記載された式の化合物は、種々の方法により調製できる。式Iの化合物は、出発物質として1,2−置換プロペンを用いて都合よく調製される(実施例1〜10を参照)。プロペンのメチル基は、良好な脱離基(LG)、例えば、臭素化により誘導化でき、3−ブロモ−1,2−置換プロペンを得る。
【0070】
【化20】

N−保護ヒドロキシルアミン化合物、PGが保護基であるHON(R)(PG)(例えば、N−Bocヒドロキシルアミン(t−ブチルN−ヒドロキシカルバメート))、またはモノ保護ヒドラジン化合物H(R)N−N(R)(PG)(例えば、N−Bocヒドラジン(t−ブチルカルバゼート))との反応により、それぞれ、X=OまたはNRである式Iの化合物を得る。
【0071】
【化21】

式Iのある化合物(例えば、式I−Bまたは式I−Cの化合物)は、商品として入手できるベンゼン酢酸(フェニル酢酸、アルファ−トリル酸;Aldrich;以下の反応スキームにおいてn=0に相当)または3−フェニルプロピオン酸(ヒドロケイ皮酸;Aldrich;以下の反応スキームにおいてn=1に相当)を出発して以下の合成ルートにより都合よく調製される。式I−Bおよび式I−Cの他の化合物は、フェニル置換フェニル酢酸またはフェニル置換3−フェニルプロピオン酸を用いて合成できる。
【0072】
Hin,B.ら、J.Org.Chem.67:7365−7368頁(2002)(7365−7368頁における6bから8bのベンゼン酢酸の調製手法を参照)に示される手法に従って、該酸を、(2−ベンジル)アクリル酸メチルエステルまたは(2−フェネチル)アクリル酸メチルエステルに変換する。手短に言えば、メチレンクロリド中、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)を、ベンゼン酢酸または3−フェニルプロピオン酸、Meldrum酸(2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−4,6−ジオン)、およびジメチルアミノピリジンの溶液に加え、0℃で一晩反応させる。この溶液をろ過し、洗浄し、乾燥し、酸性にしてから、NaBHを加え、反応を0℃で一晩進行させる。溶液を洗浄し、乾燥し、濃縮し、生成物を再結晶またはシリカゲルクロマトグラフィにより精製して5−置換Meldrum酸中間体を得る。次にMeldrum酸中間体を、無水メタノール中、ヨウ化ジメチルメチレンインモニウムと共に65℃で一晩撹拌する。反応混合物を、濃縮し、ジエチルエーテルに溶かし、洗浄し、乾燥し、濃縮して(2−ベンジル)アクリル酸メチルエステルまたは(2−フェネチル)アクリル酸メチルエステルを得る。
【0073】
【化22】

次に上記に示した、(2−ベンジル)アクリル酸メチルエステル(n=0)または(2−フェネチル)アクリル酸メチルエステル(n=1)化合物を、DIBAL還元に供し、エステル類をアルコール類(2−フェネチル−2−プロペン−1−オール(N=0)または2−(3−フェニルプロピル)−2−プロペン−1−オール(N=1))に還元する:
【0074】
【化23】

次に該アルコール類を、N−(Boc−アミノ)フタルイミド(N’−Boc−N,N−フタロイルヒドラジン;Fluka、スイス国から商品として入手できる)を用いるMitsunobu反応(Brosseら、Tetrahedron Lett.41、205頁(2000);Brosseら、J.Org,Chem.66、2869頁(2001);Brosseら、Journal of Organic Chemistry、65(14)、4370−4374頁を参照;また下記の実施例10を参照;またHughes,D.L.Org.Reac.42:335−656頁(1992)およびMitdunobu,O.ら、J.Am.Chem.Soc.94:679頁(1972)を参照)に供して、以下の生成物:
【0075】
【化24】

を得、次いで保護基を除去して
【0076】
【化25】

(2−フェネチルアリル)ヒドラジン(n=0)および[2−(3−フェニルプロピル)アリル]ヒドラジン(n=1)を得る。
【0077】
式IIの化合物は、幾つかの方法により都合よく調製される。このような方法の1つは、出発物質として1,1−ジ置換エチレンオキシドを利用するものであり、この物質を、PGが保護基であり、R14が式II(下記の実施例11および12を参照)に示されるとおりである式HON(R14)PGの化合物と反応させる。
【0078】
【化26】

次にこのヒドロキシル酸素を、さらなる誘導体化に供することができ、合成の最後に保護基を除去する。
【0079】
式IIIの化合物は、種々の方法により都合よく調製される。このような1つの方法(下記の実施例13を参照)は、出発物質としてシアン化ベンジル(フェニルアセトニトリル)を利用する。該フェニル環は、任意に置換されていてもよい。アルキル、シクロアルキル、アリール(置換または非置換)、またはヘテロアリール(置換または非置換)などの他の基は、例えば、2−ピリジルアセトニトリルを使用できる。シアン化ベンジルは、カリウムビス(トリメチルシリル)アミドなどの立体障害のある強塩基で処理し、1位および2位に1,2−ジブロモエタンなどの良好な遊離基により置換されたエチル化合物を添加する。これにより、1−フェニル、1−シアノシクロプロパン化合物が生成される。
【0080】
【化27】

次いでシアノ基は、当業界に公知の方法(水素化リチウムアルミニウムの添加によるなど)により還元して、対応するアミン化合物を生成できる。
【0081】
【化28】

このように生成されたアミノ基を、多種多様の試薬、臭化アルキル、アルデヒド類またはケトン類と反応させて還元し、次いでアシル化合物を還元などしてR22基を窒素上に導入できる。
【0082】
とりわけ式III−Bおよび式III−Cの化合物の調製に有用である、式IIIの化合物の合成に関する他のルートは、以下のスキーム(式中Arは、C〜C10置換または非置換アリール基などのアリール基を称す)に示されている。シクロプロパンカルボニトリル(シアン化シクロプロピル;Aldrich)を、塩基(リチウムジイソプロピルアミド、LDA)と反応させ、次いで置換臭化アルキルと反応させ;次いでニトリル基をアミノ基に還元する。
【0083】
【化29】

例えば、(2−ブロモエチル)ベンゼンと塩基、次いでシクロプロパンカルボニトリルとの反応により中間体(1−フェネチル)シクロプロパンカルボニトリルが得られ、これを(1−フェネチルシクロプロピル)メチルアミンに還元し;臭化ベンジル(α−ブロモトルエン)と塩基、次いでシクロプロパンカルボニトリルとの反応により中間体1−ベンジルシクロプロパンカルボニトリルが得られ、これを(1−ベンジルシクロプロピル)メチルアミンに還元する。
【0084】
使用方法
本明細書で検討された化合物は、種々の様式で使用できる。このような使用の1つは、炎症、炎症性疾患、炎症反応、下記の「疾患の治療」でより詳細に記載された、ある一定の他の疾患の治療における使用である。他の使用としては、インビボおよびインビトロ双方におけるSSAO酵素活性および/またはVAP−1結合活性またはVAP−1アミンオキシダーゼ活性の阻害が挙げられる。該化合物のインビトロ使用の一例は、従来のアッセイまたはハイスループットスクリーニングアッセイなどの、アッセイにおける使用である。
【0085】
(疾患の治療)
本明細書で検討された化合物は、炎症および炎症性病態の治療に有用であり、免疫疾患および自己免疫疾患の治療に有用である。該化合物は、免疫疾患および自己免疫疾患により生じるか、またはそれらを特徴とする多種の疾患の1つ以上を治療するのにも有用である。このように、該化合物は、炎症により生じる疾患を治療するために使用でき、また炎症を生じる疾患を治療するためにも使用できる。該化合物は、哺乳動物、好ましくはヒトを治療するために用いられる。本明細書で検討された化合物による疾患を「治療すること」とは、疾患または疾患の1つ以上の症状を予防、軽減、または除去するために、あるいは疾患または疾患の1つ以上の症状の進行を遅らせるために、あるいは疾患または疾患の1つ以上の症状の重症度を低下させるために、追加の治療薬のと共に、または追加の治療薬なしで本明細書で検討された1つ以上の化合物を投与することとして定義される。本明細書で検討された化合物の「治療的使用」は、上記に定義された疾患を治療するために、本明細書で検討された1つ以上の化合物を使用することとして定義される。化合物の「治療的有効量」とは、対象に投与される際、疾患または疾患の1つ以上の症状を予防、軽減、または除去するために、あるいは疾患または疾患の1つ以上の症状の進行を遅らせるために、あるいは疾患または疾患の1つ以上の症状の重症度を低下させるために十分な化合物の量である。
【0086】
本発明の化合物および方法により治療を受けることができる対象としては、脊椎動物、好ましくは哺乳動物、より好ましくはヒトが挙げられる。
【0087】
本発明の化合物および方法により治療を受けることができる疾患としては、炎症、炎症反応、炎症性疾患および免疫疾患が挙げられる。炎症性疾患は、免疫疾患により生じ得ること、また免疫疾患は、炎症を伴うことが多いこと、したがって炎症性疾患および免疫疾患は、本発明の化合物および方法により同時に治療し得ることに注意すべきである。本発明の化合物および方法により治療を受けることができる疾患としては、限定はしないが、多発性硬化症(慢性多発性硬化症を含む);滑膜炎;全身炎症性敗血症;炎症性腸疾患;クローン病;潰瘍性大腸炎;アルツハイマー病;アテローム硬化症;リウマチ様関節炎;若年性リウマチ様関節炎;肺炎病態;喘息;皮膚炎病態および皮膚炎疾患;接触皮膚炎;肝炎病態および自己免疫性病態;自己免疫性肝炎;原発性胆汁性肝硬変;硬化性胆管炎;自己免疫性胆管炎;アルコール性肝疾患;I型糖尿病および/またはその合併症;II型糖尿病および/またはその合併症;アテローム硬化症;脳卒中および/またはその合併症などの虚血性疾患;および心筋梗塞が挙げられる。他の実施形態において、本発明により治療を受ける炎症性疾患または免疫疾患は、多発性硬化症である。他の実施形態において、本発明により治療を受ける炎症性疾患または免疫疾患は、慢性多発性硬化症である。他の実施形態において、本発明により治療を受ける炎症性疾患または免疫疾患は、脳卒中から生じる炎症性合併症である。
【0088】
(投与方式)
本発明に使用のために記載された化合物は、限定はしないが、本明細書に開示されたものを含む、当業界に公知の任意の経路を経る対象、哺乳動物、好ましくはヒトに投与できる。投与方法としては、限定はしないが、静脈内、経口、動脈内、筋肉内、局所、吸入経由(例えば、ミストまたはスプレー)、鼻粘膜経由、皮下、経皮、腹腔内、消化管、および特定臓器または患部臓器への直接的投与が挙げられる。経口投与が、好ましい投与経路である。本明細書に使用するために記載された化合物は、錠剤、丸剤、散剤混合物、カプセル剤、顆粒剤、注射剤、クリーム、液剤、座剤、乳剤、分散剤、食物予混合物の形態、および他の好適な形態で投与できる。該化合物は、リポソーム製剤でも投与できる。該化合物はまた、プロドラッグとして投与でき、該プロドラッグは、治療対象において治療的に有効である形態に変換される。さらなる投与方法は、当業界に公知である。
【0089】
本発明の化合物は、約0.1μg/kgから約300mg/kgの投与量範囲、または約1.0μg/kgから約40mg/kg体重の投与量範囲、または約1.0μg/kgから約20mg/kg体重の投与量範囲、好ましくは約1.0μg/kgから約10mg/kg体重の間の投与量範囲の有効量で投与できる。本発明の化合物は、1日1回用量で投与できるか、または1日の全投与量を、1日2回、3回または4回に分割した投与量で投与できる。
【0090】
本明細書に記載された化合物を含有する製薬剤形は、非毒性製薬用有機担体または非毒性製薬用無機担体と混合することで都合がよい。典型的な製薬的に許容できる担体としては、例えば、マンニトール、尿素、デキストラン、乳糖、ジャガイモおよびトウモロコシ澱粉、ステアリン酸マグネシウム、タルク、植物油、ポリアルキレングリコール類、エチルセルロース、ポリ(ビニルピロリドン)、炭酸カルシウム、オレイン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、安息香酸ベンジル、炭酸ナトリウム、ゼラチン、炭酸カリウム、ケイ酸、および他の従来から使用されている許容できる担体が挙げられる。製薬用剤形はまた、乳化剤、防腐剤、または湿潤剤などの非毒性補助物質を含有できる。好適な担体は、非忍容性の副作用を起こさないが、化合物が体内においてその薬理学的活性を保持できるものである。非経口および非腸管外薬物送達用製剤は、当業界に公知であり、Remington:The Science and Practice of Pharmacy、第20版、Lippincott、Williams & Wilkins(2000)に記載されている。錠剤、丸剤、カプセル剤および散剤などの固体形態は、当業界に周知である従来の錠剤化装置およびカプセル充填装置を用いて製造することができる。単位用量提供形態において経口投与用の錠剤およびカプセル剤などの固体剤形は、賦形剤;乾燥剤;着色剤;結合剤、例えば、シロップ、アラビアゴム、ゼラチン、ソルビトール、トラガカントゴム、またはポリビニルピロリドン;充填剤、例えば、乳糖、糖、トウモロコシ澱粉、リン酸カルシウム、ソルビトールまたはグリシン;錠剤化潤滑剤、例えば、ステアリン酸マグネシウム、タルク、ポリエチレングリコールまたはシリカ;崩壊剤、例えば、ジャガイモ澱粉;またはラウリル硫酸ナトリウムなどの許容できる湿潤剤などの従来の添加物を含む、当業界に公知の任意の多くの追加非有効成分を含有することができる。錠剤は、標準的な製薬実施において周知の方法に従ってコーティングできる。摂取用液体形態は、滅菌水、滅菌生理食塩水、懸濁液、水中油および/または油中水乳剤などの水性および非水性担体など、公知の液体担体を用いて製剤化できる。液体製剤はまた、着色剤、芳香剤、香味剤、粘性調節剤、防腐剤、安定化剤など、任意の数の追加非有効成分を含有することができる。非経口投与のために、本発明に使用される化合物は、追加の界面活性剤またはアジュバントと共に、またはそれなしで、水、生理食塩水、または油などの生理学的に許容できる希釈剤または滅菌液体担体中、化合物の溶液または懸濁液の注射可能な剤形として投与できる。担体油類の例示リストとしては、動物油および植物油(例えば、ピーナッツ油、大豆油)、石油由来油類(例えば、鉱油)、および合成油が挙げられるであろう。一般に、注射可能な単位用量のために、水、生理食塩水、水性デキストロースおよび関連糖溶液などの滅菌液体、およびエタノール、ならびにプロピレングリコールまたはポリエチレングリコールなどのグリコール溶液が、好ましい液体担体である。
【0091】
選択された製薬単位剤形は、血液、組織、臓器、または他の身体の標的領域において規定された最終濃度を提供するために、製造され、投与されることが好ましい。本発明の化合物の最適有効濃度は、経験的に決定でき、疾患のタイプおよび重症度、投与経路、疾患の進行度および患者の健康状態、質量および体表面積に依存する。このような決定は、当業者の技術の範囲内にある。本発明に使用される化合物は、単独の有効成分として投与できるか、または他の有効成分と併用して投与できる。
【0092】
(キット)
本発明はまた、炎症性疾患、自己免疫疾患、多発性硬化症(慢性多発性硬化症を含む);滑膜炎;全身炎症性敗血症;炎症性腸疾患;クローン病;潰瘍性大腸炎;アルツハイマー病;アテローム硬化症;リウマチ様関節炎;若年性リウマチ様関節炎;肺炎病態;喘息;皮膚炎病態および皮膚炎疾患;接触皮膚炎;肝炎病態および自己免疫性病態;自己免疫性肝炎;原発性胆汁性肝硬変;硬化性胆管炎;自己免疫性胆管炎;アルコール性肝疾患;I型糖尿病および/またはその合併症;II型糖尿病および/またはその合併症;アテローム硬化症;脳卒中および/またはその合併症などの虚血性疾患;および心筋梗塞などの疾患を治療するため;またはSSAO酵素活性を阻害するため(この酵素活性が、溶解性SSAO酵素によるか、膜結合VAP−1蛋白質によるか、または双方によるかいずれにしても)および/またはVAP−1蛋白質に対する結合を阻害するために有用な物質を含有する製品およびキットを提供する。この製品は、ラベル付の容器を含んでなる。好適な容器としては、例えば、瓶、バイアル、および試験管が挙げられる。この容器は、ガラスまたはプラスチックなどの種々の材料から形成できる。この容器は、疾患を治療するため、またはSSAOまたはVAP−1酵素活性またはVAP−1蛋白質に対する結合を阻害するために有効である活性薬剤を有する組成物を保持する。組成物における活性薬剤は、式I、I−P、I−A、I−AP、I−B、I−C、II、III、III−A、III−B、および/またはIII−Cの1つ以上の化合物である。容器のラベルは、該組成物は、炎症性疾患または自己免疫疾患などの疾患を治療するため、またはSSAOまたはVAP−1酵素活性またはVAP−1蛋白質に対する結合を阻害するために、該組成物が用いられることを示しており、また、上記のものなどのインビボ使用またはインビトロ使用のための使用法を示すことができる。
【0093】
本発明はまた、式I、I−P、I−A、I−AP、I−B、I−C、II、III、III−A、III−B、および/またはIII−Cの任意の1つ以上の化合物を含んでなるキットを提供する。幾つかの実施形態において、本発明のキットは、上記の容器を含んでなる。他の実施形態において、本発明のキットは、上記の容器および緩衝液を含む第2の容器を含んでなる。さらに該キットは、他の緩衝液、希釈剤、フィルタ、針、シリンジ、および本明細書に記載された任意の方法(自己免疫疾患または炎症性疾患を治療する方法、およびSSAOまたはVAP−1酵素活性またはVAP−1蛋白質に対する結合を阻害するための方法など)を実施するための使用説明書付の添付文書など、商品および使用者の立場から望ましい他の材料を含むことができる。
【0094】
他の態様において、該キットは、例えば、多発性硬化症または虚血性疾患(脳卒中など)およびその後遺症など、自己免疫疾患または炎症性疾患に罹っている個体を治療するためなどの本明細書に記載された任意の方法に使用できる。
【0095】
出典を確認することにより本明細書に言及されている全ての刊行物、特許、特許出願および公開特許出願の開示は、参照としてそれらの全体が本明細書に組み込まれている。
【0096】
本発明は、以下の非限定的実施例によりさらに理解されるであろう。本明細書に用いられる語句の「実施例Xの化合物」とは、実施例の標題化合物を言い;例えば、実施例8の化合物は、塩酸N−[2−(4’−フルオロフェニル)−アリル]−ヒドラジンを称するが、一方、実施例10の化合物は、塩酸(E)−1−フルオロ−2−フェニル−3−ヒドラジノプロペンを称する。該化合物は、典型的には塩類として記載されるが、この開示は、該化合物の非塩形態、ならびに該化合物の任意の他の塩を含むことを表しており;例えば、塩酸N−[2−(4’−フルオロフェニル)−アリル]−ヒドラジンが、非塩化合物のN−[2−(4’−フルオロフェニル)−アリル]−ヒドラジンの開示として意図されていることに注意すべきである。
【実施例】
【0097】
(実施例1:塩酸O−(2−フェニル−アリル)−ヒドロキシルアミン)
α−メチルスチレン(17.73g、150mmol)およびN−ブロモスクシンイミド(17.80g、100mmol)の混合物を、還流冷却器およびマグネチックスターラを取り付けたフラスコ中のCCl(20ml)に溶解した。この混合物が還流するまで加熱した。この反応液を、3時間緩やかな還流を維持するように調節してから、室温に冷却した。沈殿したスクシンイミドをろ過により分離した。ろ液を減圧濃縮した。残渣を、カラムクロマトグラフィ(シリカゲル、100%ヘキサン類)により精製した。生成物、α−ブロモメチルスチレンを、油(13.0g、66%)として得た。
【0098】
HONHBoc(5.99g、45.0mmol)とNaOH(1.8g、45.0mmol)のMeOH(20ml溶液を、室温で1時間撹拌した。この混合物に、α−ブロモメチルスチレン(5.91g、30mmol)のMeOH(5ml)溶液を滴下により加えた。生じた反応混合物を、N下、緩やかな還流を一晩維持した。混合物を減圧濃縮した。残渣をHOで希釈してから、EtOAc(3×20ml)で抽出した。有機層を合わせて、乾燥し(MgSO)、ろ過した。ろ液を減圧濃縮した。残渣を、カラムクロマトグラフィ(シリカゲル、10% EtOAc/ヘキサン類)により精製した。N−t−ブチルオキシカルボニル−O−(2−フェニルアリル)ヒドロキシルアミン(4.0g)を、白色固体として得た。
【0099】
【化30】

【0100】
【化31】

N−t−ブチルオキシカルボニル−O−(2−フェニルアリル)ヒドロキシルアミン(2.0g、8.0mmol)のエーテル(5ml)溶液に、エーテル中の1M HCl(20ml、20mmol)を加えた。生じた混合物を、N下、室温で3時間撹拌した。沈殿物をろ過により採取し、エーテル(3×20ml)で洗浄してから、減圧乾燥した。塩酸O−(2−フェニル−アリル)−ヒドロキシルアミン(0.80g、67%)を得た。
【0101】
【化32】

【0102】
【化33】

(実施例2:塩酸2−(フェニル−アリル)−ヒドラジン)
「実施例2の化合物」は、(2−フェニル−2−プロペニル)ヒドラジン(CAS登録番号65814−30−4)と称し、また2−(フェニルアリル)ヒドラジンとも命名されており、本実施例の生成物である(本実施例の最終構造物を参照)。MeOH(15ml)中、NHNHBoc(3.96g、30mmol)およびEtN(3.04g、30mmol)の混合物を、室温で20分間撹拌した。この混合物に、α−ブロモメチルスチレン(2.96g、15mmol)を加えた。生じた混合物を緩やかに還流し、TLCによりモニターした。約3時間還流後、TLCは、反応が完了したことを示した。反応混合物を減圧濃縮した。残渣を、カラムクロマトグラフィ(シリカゲル、10% EtOAc/ヘキサン類)により精製して3−(N’−t−ブチルオキシカルボニルヒドラジノ)−2−フェニルプロペン(1.34g、39%)を、白色固体として得た。
【0103】
【化34】

【0104】
【化35】

3−(N’−t−ブチルオキシカルボニルヒドラジノ)−2−フェニルプロペン(1.0g、4mmol)のエーテル(5ml)溶液に、エーテル中の1M HCl(20ml、20mmol)を加えた。この溶液を、N下、室温で5時間撹拌した。TLCは、反応が完了していないことを示した。したがって、混合物を減圧濃縮した。残渣を無水MeOH(3ml)に溶解した。この溶液にエーテル中の1M HCl(20ml、20mmol)を加えた。生じた混合物を、N下、室温で3時間撹拌した。TLCは、反応が完了していることを示した。形成された固体をろ過により採取し、エーテルで洗浄してから、減圧乾燥した。白色結晶性固体(0.36g、48%)を得た。
【0105】
【化36】

この化合物は、直ぐ下に示される、実施例2の化合物、塩酸2−(フェニル−アリル)−ヒドラジン((2−フェニルアリル)ヒドラジンとも命名される)と称される。
【0106】
【化37】

(実施例3:塩酸N−[2−(4’−クロロフェニル)−アリル]−ヒドラジン)
MeOH(40ml)中、t−ブチルカルバゼート(6.61g、50mmol)およびEtN(5.06g、50mmol)の混合物を室温で20分間撹拌した。この撹拌混合物に、4−クロロ−α−ブロモメチルスチレン(Tetrahedron Lett.Yamanaka,M.ら、2002年、43、2403−2406頁に記載された手法に従って調製)(6.95g、30mmol)を加えた。生じた混合物を加熱還流し、TLCによりモニターした。TLCは、反応が3時間還流後に完了したことを示した。混合物を減圧濃縮した。残渣を、カラムクロマトグラフィ(シリカゲル、5% EtOAc/ヘキサン類)により精製した。3−(N’−t−ブチルオキシカルボニルヒドラジノ)−2−(4’−クロロフェニル)プロペン(2.70g、20%)を、白色固体として得た。
【0107】
【化38】

【0108】
【化39】

3−(N’−t−ブチルオキシカルボニルヒドラジノ)−2−(4’−クロロフェニル)プロペン(0.78g、2.76mmol)のMeOH(4ml)溶液に、エーテル中のHCl溶液(2M、5.0ml、10mmol)を加えた。この溶液を、室温で一晩撹拌した。反応混合物を減圧濃縮した。生じた固体をエーテルで洗浄して、塩酸2−(4’−クロロフェニル)−アリルヒドラジンを白色固体(0.61g、100%)として得た。
【0109】
【化40】

【0110】
【化41】

(実施例4:塩酸N−[2−(4’−クロル−フェニル)−アリル]−N−メチル−ヒドラジン)
DMF(10ml)中、3−(N’−t−ブチルオキシカルボニルヒドラジノ)−2−(4’−クロロフェニル)プロペン(実施例3を参照)(1.00g、3.54mmol)およびN,N−ジイソプロピルエチルアミン(0.91g、7.08mmol)の混合物を、N下、室温で20分間撹拌してから、MeI(1.00g、7.08mmol)を滴下により加えた。生じた混合物を、N下、室温で一晩撹拌した。次いでこれを減圧濃縮した。残渣を、カラムクロマトグラフィ(シリカゲル、5% EtOAc/ヘキサン類)により精製した。3−(N−メチル−N’−t−ブチルオキシカルボニルヒドラジノ)−2−(4’−クロロフェニル)プロペンを、白色固体(0.82g、78%)として得た。
【0111】
【化42】

【0112】
【化43】

MeOH(5ml)中、3−(N−メチル−N’−t−ブチルオキシカルボニルヒドラジノ)−2−(4’−クロロフェニル)プロペン(0.82g、2.76mmol)の混合物に、エーテル中のHCl溶液(2M、5ml、10mmol)を加えた。この溶液を、N下、室温で一晩撹拌した。次いで反応混合物を減圧濃縮した。形成された固体をろ過により採取した。塩酸N−[2−(4’−クロロフェニル)−アリル]−N−メチル−ヒドラジンを白色固体(0.6g、94%)として得た。
【0113】
【化44】

【0114】
【化45】

(実施例5:塩酸N−[2−(4’−クロロフェニル)−アリル]−N−エチル−ヒドラジン)
DMF(10ml)中、3−(N’−t−ブチルオキシカルボニルヒドラジノ)−2−(4’−クロロフェニル)プロペン(実施例3を参照)(0.42g、1.49mmol)およびN,N−ジイソプロピルエチルアミン(0.38g、2.97mmol)の混合物を、N下、室温で20分間撹拌した。この撹拌混合物に、EtI(0.46g、2.97mmol)を加えた。生じた混合物を、N下、室温で4日間撹拌した。次いでこれを減圧濃縮した。残渣を、カラムクロマトグラフィ(シリカゲル、5%EtOAc/ヘキサン類)により精製した。3−(N−エチル−N’−t−ブチルオキシカルボニルヒドラジノ)−2−(4’−クロロフェニル)プロペンを、油(0.38g、83%)として得た。
【0115】
【化46】

【0116】
【化47】

MeOH(3ml)中、3−(N−エチル−N’−t−ブチルオキシカルボニルヒドラジノ)−2−(4’−クロロフェニル)プロペン(0.38、1.22l)の混合物に、エーテル中のHCl溶液(2M、4ml、8mmol)を加えた。この溶液を、N下、室温で一晩撹拌した。次いで反応混合物を減圧濃縮した。形成された固体をろ過により採取した。塩酸N−[2−(4’−クロロフェニル)−アリル]−N−エチル−ヒドラジンを白色固体(0.27、90%)として得た。
【0117】
【化48】

【0118】
【化49】

(実施例6:塩酸N−[2−(4’−クロロフェニル)−アリル]−N,N’−ジメチルヒドラジン)
3−(N’−t−ブチルオキシカルボニルヒドラジノ)−2−(4’−クロロフェニル)プロペン(実施例3を参照)(0.42g、1.49mmol)のDMF(10ml)溶液に、水素化ナトリウム(0.11g、4.47mmol)を加えた。この混合物を、N下、室温で20分間撹拌した。次に、MeI(0.63g、4.47mmol)を一度に加えた。生じた混合物を、N下、室温で一晩撹拌した。これを減圧濃縮した。残渣を、カラムクロマトグラフィ(シリカゲル、5%EtOAc/ヘキサン類)により精製した。3−(N,N’−ジメチル−N’−t−ブチルオキシカルボニルヒドラジノ)−2−(4’−クロロフェニル)プロペンを、無色油(0.29g、63%)として得た。
【0119】
【化50】

【0120】
【化51】

MeOH(3ml)中、3−(N,N’−ジメチル−N’−t−ブチルオキシカルボニルヒドラジノ)−2−(4’−クロロフェニル)プロペンの混合物に、エーテル中のHCl溶液(2M、4ml、8mmol)を加えた。生じた混合物を、N下、室温で一晩撹拌した。次いで反応混合物を減圧濃縮した。形成された固体をろ過により採取した。塩酸N−[2−(4’−クロロフェニル)−アリル]−N,N’−ジメチルヒドラジンを白色固体(0.17g、74%)として得た。
【0121】
【化52】

【0122】
【化53】

(実施例7:塩酸N−[2−(4’−フルオロフェニル)−アリル]−N’−メチルヒドラジン)
CHCl/THF(4:1、50ml)中、4−フルオロ−α−メチルスチレン(13.62g、100mmol)およびNBS(21.36g、120mmol)の混合物に、Yb(OTf)(3.1g、5mmol)および5mol% TMSCl(0.54g)を加えた。生じた混合物を、室温で2時間撹拌した。TLCは、出発物質が消失したことを示した。反応混合物を減圧濃縮した。残渣を、カラムクロマトグラフィ(シリカゲル、100%ヘキサン類)により精製して4−フルオロ−α−ブロモメチルスチレンを油(13.54g、63%)として得た。
【0123】
【化54】

【0124】
【化55】

DMF(40ml)中、ジ−t−ブチルヒドラゾジホルメート(9.29g、40mmol)およびNaH(0.96g、40mmol)の混合物に、4−フルオロ−α−ブロモメチルスチレン(6.45g、30mmol)を加えた。生じた反応混合物を、N下、室温で一晩撹拌し、TLCによりモニターした。反応が完了したことをTLCが示したら、減圧濃縮した。残渣を、カラムクロマトグラフィ(シリカゲル、0〜5% EtOAc/ヘキサン類)により精製した。3−(N,N’−ジ−t−ブチルオキシカルボニルヒドラジノ)−2−(4’−フルオロフェニル)プロペンを油(8.33g、83%)として得た。
【0125】
【化56】

【0126】
【化57】

DMF(30ml)中、3−(N,N’−ジ−t−ブチルオキシカルボニルヒドラジノ)−2−(4’−フルオロフェニル)プロペン(1.0g、2.73mmol)およびNaH(0.11g、4.55mmol)の混合物を、N下、室温で20分間撹拌した。この混合物に、MeI(0.65g、4.55mmol)を滴下により加えた。生じた混合物を、N下、室温で一晩撹拌した。これを減圧濃縮した。残渣を、カラムクロマトグラフィ(シリカゲル、0〜5%EtOAc/ヘキサン類)により精製して油(1.12g)を得た。
【0127】
【化58】

【0128】
【化59】

MeOH(4.0ml)中、3−(N,N’−ジ−t−ブチルオキシカルボニル−N’−メチルヒドラジノ)−2−(4’−フルオロフェニル)プロペンの混合物に、エーテル中のHCl溶液(2M、6.0ml、12mmol)を加えた。生じた混合物を、N下、室温で一晩撹拌した。溶媒と過剰のHClを減圧留去した。残渣を、エーテルで数回洗浄してから、乾燥して塩酸N−[2−(4’−フルオロフェニル)−アリル]−N’−メチルヒドラジンを白色固体(0.56g、88%)として得た。Mp:128−129℃。
【0129】
【化60】

【0130】
【化61】

(実施例8:塩酸N−[2−(4’−フルオロフェニル)−アリル]−ヒドラジン)
MeOH(40ml)中、t−ブチルカルバゼート(6.61g、50mmol)およびEtN(5.06g、60mmol)の混合物を室温で20分間撹拌した。この撹拌混合物に、4−フルオロ−α−ブロモメチルスチレン(実施例7を参照)(6.45g、30mmol)を加えた。生じた混合物を加熱還流し、TLCによりモニターした。TLCは、3時間還流後に反応が完了したことを示した。この混合物を減圧濃縮した。残渣を、カラムクロマトグラフィ(シリカゲル、5〜10% EtOAc/ヘキサン類)により精製した。3−(N’−t−ブチルオキシカルボニルヒドラジノ)−2−(4’−フルオロフェニル)プロペンを白色固体(1.9g、24%)として得た。
【0131】
【化62】

【0132】
【化63】

MeOH(4.0ml)中、3−(N’−t−ブチルオキシカルボニルヒドラジノ)−2−(4’−フルオロフェニル)プロペン(0.8g、3.0mmol)およびエーテル中のHCl(2.0M、5.0ml、10mmol)の混合物を、N下、室温で一晩撹拌した。これを減圧濃縮した。残渣の白色固体を、エーテルで数回洗浄し、ろ過により採取してから乾燥した。塩酸N−[2−(4’−フルオロフェニル)−アリル]−ヒドラジンを白色固体(0.55g、83%)として得た。
【0133】
【化64】

【0134】
【化65】

(実施例9:塩酸(2−メチル−アリル)−ヒドラジン)
MeOH(25ml)中、t−ブチルカルバゼート(1.72g、13mmol)およびEtN(1.81ml、13mmol)の混合物を室温で20分間撹拌した。この撹拌混合物に、3−ブロモ−2−メチルプロペン(1.26ml、12.5mmol)を加えた。生じた混合物を加熱還流し、TLCによりモニターした。3時間還流後にTLCは、反応が完了したことを示した。この混合物を減圧濃縮した。残渣を、カラムクロマトグラフィ(シリカゲル、20% EtOAc/ヘキサン類)により精製して3−(N’−t−ブチルオキシカルボニルヒドラジノ)−2−メチル−プロペンを油(0.7g、30%)として得た。
【0135】
【化66】

【0136】
【化67】

3−(N’−t−ブチルオキシカルボニルヒドラジノ)−2−メチル−プロペン(0.7g、3.76mmol)のMeOH(5ml)溶液に、1,4−ジオキサン中のHCl溶液(4M、3.8ml、15.2mmol)を加えた。生じた混合物を、N下、室温で一晩撹拌した。次にこれを減圧濃縮して固体を得た。固体を、エーテルとEtOAcとで数回洗浄してから乾燥した。白色固体(0.4g、87%)を得た。
【0137】
【化68】

【0138】
【化69】

(実施例10:塩酸(E)−1−フルオロ−2−フェニル−3−ヒドラジノプロペン)
(E)−2−フェニル−3−フルオロアリルアルコール(J.Med.Chem.McDonald;I.A.ら(1985)、28、186−193頁に記載された手法を用いて合成)(1.1g、7.47mmol)、N−t−ブチルオキシカルボニルアミノフタルイミド(J.Org.Chem.Brosse;N.ら(2000)、65、4370−4374頁に記載された手法に従って調製)(1.95g、7.47mmol)、およびPPh(2.94g、11.22mmol)の冷THF(120ml)溶液に、DEAD(1.8ml、11.09mmol)を一度に加えた。生じた混合物を、N下、室温で一晩撹拌した。次にこれを減圧濃縮した。残渣を、EtOAc中で粉砕し、ろ過した。ろ液を減圧濃縮した。残渣を、カラムクロマトグラフィ(シリカゲル、10% EtOAc/ヘキサン類)により精製して、油(1.3g、44%)を得た。
【0139】
【化70】

【0140】
【化71】

THF(50ml)中、N−[(E)−2−フェニル−3−フルオロアリル]−N−t−ブチルオキシカルボニルアミノフタルイミド(1.3g、3.28mmol)、HNNHMe(0.26ml、4.72mmol)の混合物を、N下、室温で24時間撹拌してから、減圧濃縮した。残渣を、EtOAcで洗浄した。白色固体が形成された。これをろ過し、EtOAcで洗浄した。ろ液を濃縮して半固体(0.90g)を得た。
【0141】
【化72】

これを、さらに精製することなく次のステップに直接用いた。
【0142】
【化73】

MeOH(5ml)中、1−[(E)−2−フェニル−3−フルオロアリル]−1−t−ブチルオキシカルボニルヒドラジン(0.98g、3.27mmol)および1,4−ジオキサン中のHCl溶液(4.0ml、16mmol)の混合物を、N下、室温で一晩撹拌した。混合物を減圧濃縮した。残渣を、エーテルで数回洗浄した。形成された固体を、ろ過により採取し、乾燥して塩酸(E)−1−フルオロ−2−フェニル−3−ヒドラジノプロペンを白色固体(0.35g、53%)として得た。
【0143】
【化74】

【0144】
【化75】

(実施例11:塩酸(2−メチル−アリル)−ヒドラジン)
MeOH(15ml)中、HONHBoc(5.59g、42mmol)およびNaOH(1.7g、42mmol)の混合物を、室温で1時間撹拌した。次いで、この撹拌溶液に、スチレンオキシド(2.52g、21mmol)のMeOH(3ml)溶液を滴下により加えた。生じた混合物を、緩やかな還流を維持するために加熱し、TLCによりモニターした。3時間還流後、TLCは、反応が完了したことを示した。反応混合物を減圧濃縮した。残渣をHOで希釈し、EtOAc(3×20ml)で抽出した。有機層を合わせて、乾燥(MgSO)してから、ろ過した。ろ液を減圧濃縮した。残渣を、カラムクロマトグラフィ(シリカゲル、15% EtOAc/ヘキサン類)により精製し、2−(N−t−ブチルオキシカルボニルアミノオキシル)−1−フェニルエタノール(0.95g、18%)を得た。mp 97〜99℃。
【0145】
【化76】

【0146】
【化77】

2−(N−t−ブチルオキシカルボニルアミノオキシル)−1−フェニルエタノール(100mg、0.395mmol)のエーテル(5ml)溶液に、エーテル中の1M HCl溶液(2.0ml、2mmol)の混合物を加えた。反応混合物を、N下、室温で3時間撹拌した。固体が形成し、沈殿した。固体をろ過により採取し、エーテルで洗浄してから、減圧乾燥して2−アミノオキシル−1−フェニル−エタノールを白色結晶性固体(40mg、53%)として得た。
【0147】
【化78】

【0148】
【化79】

(実施例12:塩酸2−アミノオキシ−1−(3’,4’−ジメトキシフェニル)−エタノール)
NaH(0.25g、10.42mmol)の冷THF(20ml)溶液に、ヨウ化トリメチルスルホニウム(2.08g、10mmol)のDMSO(20ml)溶液を滴下により加えた。生じた混合物を、N下、0℃で10分間撹拌してから、3,4−ジメトキシベンズアルデヒド(1.66g、10.00mmol)のTHF(5ml)溶液を加えた。生じた反応混合物を、N下、0℃で30分間撹拌してから、室温に徐々に温め、室温で1時間撹拌した。反応混合物を、氷水に注いだ。混合物をヘキサン類(3×30ml)で抽出した。有機層を合わせて、HO、ブラインで洗浄してから、乾燥(MgSO)してろ過した。ろ液を減圧濃縮して2−(3’,4’−ジメトキシフェニル)−オキシランを油(1.56g、87%)として得た。
【0149】
【化80】

【0150】
【化81】

MeOH(20ml)中、HONHBoc(2.31g、17.35mmol)およびNaOH(0.69g、17.25mmol)の混合物を、室温で1時間撹拌した。次いで、この撹拌溶液に、2−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−オキシラン(1.56g、8.67mmol)のMeOH(3ml)溶液を滴下により加えた。生じた混合物を緩やかに還流し、TLCによりモニターした。3時間還流後、TLCは、反応が完了したことを示した。反応混合物を減圧濃縮した。残渣をHO(50ml)で希釈し、EtOAc(3×20ml)で抽出した。有機層を合わせて、乾燥(MgSO)してから、ろ過した。ろ液を減圧濃縮した。残渣を、カラムクロマトグラフィ(シリカゲル、20〜40% EtOAc/ヘキサン類)により精製し、2−(N−t−ブチルオキシカルボニルアミノオキシル)−1−(3’,4’−ジメトキシフェニル)エタノール(0.4g、15%)を得た。
【0151】
【化82】

【0152】
【化83】

2−(N−t−ブチルオキシカルボニルアミノオキシル)−1−(3’,4’−ジメトキシフェニル)エタノール(80mg、0.26mmol)のCHCl(2ml)溶液に、1,4−ジオキサン中のHCl溶液(1.5ml、6.0mmol)の混合物を加えた。反応混合物を、N下、室温で一晩撹拌した。固体が形成され、沈殿した。この固体をろ過により採取し、エーテルで洗浄してから、減圧乾燥して2−アミノオキシ−1−(3’,4’−ジメトキシフェニル)−エタノールを白色結晶性固体(50mg、55%)として得た。
【0153】
【化84】

【0154】
【化85】

(実施例13:2−フェニル−2−シクロプロピルエチルアミン)
2−フェニルアセトニトリル(5.85g、50mmol)の冷THF(200ml)溶液に、カリウムビス(トリメチルシリル)アミド(29.92g、150mmol)を加えた。生じた混合物を、N下、0℃で30分間撹拌した。この生じた混合物に、1,2−ジブロモエタン(10.33g、55mmol)のTHF(30ml)溶液を滴下により加えた。反応混合物を、N下、0℃で撹拌し、徐々に室温に温めた。次いで、これを室温で一晩撹拌し、減圧濃縮した。蒸留により1−フェニル−1−シクロプロパンカルボニトリル(3.6g、50%)を得た。
【0155】
【化86】

【0156】
【化87】

1−フェニル−1−シクロプロパンカルボニトリル(1.0g、6.98mmol)を、エーテル(25ml)中、水素化リチウムアルミニウム(0.27g、6.98mmol)の撹拌懸濁液に加えた。生じた懸濁液を2時間還流してから、外部氷浴を適用することにより0℃に冷却した。HOの慎重な添加により過剰の水素化物をクエンチした。生じた混合物をろ過した。固体をエーテルで洗浄し、ろ過した。ろ液を乾燥(MgSO)し、ろ過した。ろ液を減圧濃縮して2−シクロプロピル−2−フェニルエチルアミンを得た。
【0157】
【化88】

【0158】
【化89】

(実施例14:SSAO活性のインビトロ阻害)
SSAO活性は、基本的には、モノアミンオキシダーゼおよび関連酵素に関して記載された(Holt A.ら(1997)Anal.Biochem.244:384頁)連結比色法を用いて測定された。ウシ血漿アミンオキシダーゼ(PAO)は、Worthington Biochemical(ニュージャージー州レークウッド所在)から購入し、活性測定のSSAO源として使用された。SSAOアッセイは、以下のとおり96ウェルのマイクロタイタープレート内で実施された。所望ならば、pH7.6の0.2Mリン酸カリウム緩衝液で希釈され、予め決められた阻害剤量を各ウェルに添加した。ただし、各アッセイにおいて変えられた阻害剤量は、一般に最終濃度が10nMと10μMとの間であった。対照は阻害剤を有さない。潜在的な阻害剤の効果を試験するために、50μlの阻害剤溶液を、全容量が130μlのpH7.6の0.2Mリン酸カリウム緩衝液中、0.4mU PAOと共に37℃で30分間予め温置した。次に、20μlの10mMベンジルアミン基質の添加によりアッセイを開始し、37℃で20分間温置した。次いで、1時間当たり0.5OD A490の変化を生じさせるために、以下の試薬、750nMバニリン酸(Sigma #V−2250)、400nM 4−アミノアンチピリン(Sigma #A−4328)および12 U/ml西洋ワサビペルオキシダーゼ(Sigma #P−8250)を含有する50μlの新鮮に作製された色素産生溶液を、200μlの最終反応容量に加えた。これは、アッセイの線形応答範囲内であった。該プレートを37℃で1時間温置し、SSAO活性を反映する吸光度の増加は、マイクロプレート分光光度計(Power Wave 40、Bio−Tek Inst.)を用いて490nmで測定された。阻害は、バックグラウンド吸光度に関して補正後、対照と比較された阻害パーセントとして表示され、GraphPad Prismソフトウェアを用いてIC50値が算出された。
【0159】
SSAO活性はまた、記載されている(Lizcano JM.ら(1998)Biochem J.331:69頁)とおり測定された。手短に言うと、ラット肺ホモジネートを、新鮮に摘出された組織を小片に細断し、PBS中で完全に洗浄することにより調製した。次に該組織を、10mMリン酸カリウム緩衝液(pH7.8)中で1:10(w/v)にホモジナイズし、4℃、1000gで10分間遠心分離し;上澄み液は、使用するまで凍結維持した。100μlの肺ホモジネートのSSAO活性は、基質として20uM14C−ベンジルアミンを用いて放射化学的に決定された。この反応は、最終容量が300ulの50mMリン酸カリウム緩衝液(pH7.2)中、37℃で実施され、100ulの2Mクエン酸で中止した。放射性標識産生物を、0.6%(w/v)2,5−ジフェニルオクスダゾール(PPO)を含有するトルエン/酢酸エチル(1:1、v/v)に抽出してから、液体シンチレーションカウントされた。この方法を用いて、実施例2および8の化合物の阻害活性を、50%までのヒト血清存在下で試験した。血清存在下、両化合物のSSAO IC50値に変化は無かった。
【0160】
(実施例15:SSAO/VAP−1のSSAO活性対MAO−A活性とMAO−B活性の阻害の比較)
種々のSSAO阻害剤の特異性を、インビトロでMAO−AおよびMAO−B活性を阻害するそれらの能力を決定することにより試験した。組換えヒトMAO−AおよびヒトMAO−B酵素は、BD Biosciences(米国マサチューセッツ州所在)から入手した。阻害剤または基質と共に前温置することが行われなかったこと以外、SSAOに関する方法と同様の方法で測定された。所望ならば、pH7.6の0.2Mリン酸カリウム緩衝液で希釈され、予め決められた阻害剤量を各ウェルに添加した。ただし、各アッセイにおいて変えられた阻害剤量は、一般に最終濃度が50nMと1mMとの間であった。対照は阻害剤を有さなかった。次に、以下の試薬:0.04mg/mlのMAO−Aまたは0.07mg/ml MAO−B酵素、15μlの10mMチラミン基質(MAO−Aに関して)、または15μlの100mMベンジルアミン基質(MAO−Bに関して)、および50μlの新鮮に作製された色素産生溶液(上記)を、pH7.6の0.2Mリン酸カリウム緩衝液200μlの最終反応容量に加えた。該プレートを37℃で60分間温置した。MAO活性を反映する吸光度の増加は、マイクロプレート分光光度計(Power Wave 40、Bio−Tek Inst.)を用いて490nmで測定された。阻害は、バックグラウンド吸光度に関して補正後、対照と比較された阻害パーセントとして表示され、GraphPad Prismソフトウェアを用いてIC50値が算出された。クロルギリンおよびパルギリン(それぞれMAO−Aおよび−Bの阻害剤)をそれぞれ0.5μMと10μMで、MAO阻害の陽性対照として幾つかのウェルに加えた。SSAO活性対MAO活性を阻害する前述の実施例化合物の能力を表1に示している。この結果は、本発明に記載された化合物が、SSAO活性の特異的阻害剤であることを示している。したがって、本発明に記載された化合物は、SSAO/VAP−1が役割を演じる、すなわち、SSAO/VAP−1が疾患および病態を媒介する疾患および病態の治療に、治療的有用性を有することが期待される。
【0161】
(表1:実施例1から12の効力および特異性)
【0162】
【化90】

(実施例16:急性毒性試験)
実施例8および10の化合物、ならびにモフェギリン、実施例18に記載されたアリルアミン化合物に関する腹腔内(i.p.)および静脈内(i.v.)LD50値を、マウスにおいて決定した。6週齢のC57B1/6メスマウスを、5群に分け、PBSに溶解した化合物の単回i.p.またはi.v.注射(i.v.では100ul中10〜100mg/kg;i.p.では200ul中30〜500mg/kg)により投与した。対照群には、同一容量のPBSをi.p.またはi.v.投与した。外観および顕在行動を毎日注記し、体重は、化合物投与前(1日目)および3日目、5日目および7日目に測定した。7日後、動物を安楽死させ、肝臓、脾臓および腎臓を計量した。急性毒性試験の結果を表2に要約した。
【0163】
(表2.モフェギリンおよび実施例8および10の化合物に関する腹腔内(i.p.)および静脈内(i.v.)LD50(mg/kg)値)
【0164】
【化91】

数値は、7日目のLD50を表す。
【0165】
モフェギリンに関する急性毒性作用としては、振せん(40mg/kg i.v.;100mg/kg i.p.)および間代性痙攣および呼吸困難(100mg/kg i.v.;200mg/kg i.p.)が挙げられる。実施例8および10の化合物を100mg/kg i.v.で投与されたマウスは、振せんだけを示したが、一方、両化合物が約300mg/kg以上の用量では間代性痙攣および呼吸困難のみが見られた(表2を参照;実施例10の化合物では約250mg/kg超、実施例8の化合物では約350mg/kg超)。薬物投与24時間後に全てが死亡した。死後の検査では、肉眼的病変を示さなかった。体重ならびに絶対的および体重正規化臓器重量は、いずれの化合物に関しても対照群と有意差はなかった(分散分析後のダネット検定によりp>0.05)。したがって、試験化合物に関しても死亡原因を示すものはない。しかしながら、振せん、間代性痙攣および呼吸困難を誘導するために、はるかに高い濃度の実施例8および実施例10の化合物が必要とされることで示されるように、本発明の化合物はモフェギリンよりも有意に毒性が低い。
【0166】
(実施例17:マウスにおけるコラーゲン誘導関節炎の阻害)
マウスにおけるコラーゲン誘導関節炎(CIA)は、ヒトにおけるリウマチ様関節炎(RA)の実験モデルとして広く用いられている。CIAは、自己抗体によりII型コラーゲンおよび補体の特定領域に媒介される。本試験に用いられるマウスCIAモデルは、抗体媒介CIAと呼ばれ、種々の抗II型コラーゲンモノクローナル抗体の組合せによるi.v.注射によって誘導できる(Terato K.ら、(1995).22:137頁)。抗α1β1および抗α2β2インテグリンモノクローナル抗体など、幾つかの化合物がこのモデルにおいて炎症を首尾よく遮断するために用いられている(de Fougerolles A.R.(2000)J.Clin.Invest.105:721頁)。
【0167】
本実施例において、関節起源コラーゲン誘導関節炎抗体キットは、Chemicon International(カリフォルニア州テメクラ所在)から購入し、関節炎は、製造元のプロトコルを用いて誘導した。マウスは、0日目に4種の抗コラーゲンII型モノクローナル抗体(各0.5mg)のカクテルによりi.v.注射され、次いで2日目に25μgリポ多糖(LPS)をi.p.注射した。マウスは、LPS注射3〜4日後に手関節、足首、足指が膨張し、7日目までに疾患が90%発生する。各肢における関節炎の重症度を、12日間以下のとおりスコア化した:0=正常;1=軽度の発赤、足首または手首の僅かな膨張;2=中程度の発赤および足首または手首の膨張;3=重症度の発赤および何本かの足指、足首および足の膨張;4=肢の最大炎症。動物を、6匹の動物の3群に分け;媒体、メトトレキサート(MTX)の処置、および化合物の処置をした。媒体群の動物には、リン酸緩衝食塩水(PBS)を、12日間(0日目に開始)1日2回i.p.注射した。MTX(3mg/kg)を、0日目に開始してi.p.投与し、実験期間中1日おきに(月曜日、水曜日、金曜日)続けた。実施例2の化合物の投与(20mg/kg/用量、i.p.、毎日2回投与)を0日目に開始し、11日目まで続けた。これらの結果を、図1A、図1B、および図1Cに示した。実施例2の化合物の20mg/kg、1日2回投与により、このモデルにおいて最終関節炎スコアおよび足の膨張が減少した。
【0168】
2セットのデータ(関節炎スコアおよび足膨張)の各々に関して、治療効果を評価するために反復測定分析を実施した。関節炎スコアに関して、有意な総合的治療効果(p=0.0165)がある。実施例2の化合物とMTXとの間には治療効果(p=0.3348)に関して有意差はない。しかしながら、実施例2の化合物は、PBS媒体(p=0.0046)と比較した場合、有意な治療効果を示す。膨張に関して、有意な総合的治療効果(p=0.0294)がある。実施例2の化合物とMTXとの間には治療効果(p=0.8772)に関して有意差はない。しかしながら、実施例2の化合物は、PBS媒体(p=0.0060)と比較した場合、有意な治療効果を示す。
【0169】
追跡試験は、血清中のサイトカイン濃度および影響を受けた組織の調査を含んだ。循環性サイトカイン類は、ELISAにより容易に測定されるが、一方、足、大腸、および脊髄中のサイトカイン類濃度の決定は、それほど直接的ではない。相対的RT−PCRアプローチを用いた。この実験を実施するために、内部対照として18SリボソームRNA(rRNA)を使用しているAmbion(米国)からのキットを用いた。rRNAプライマーに加えて、該キットではまた、分析用に種々のサイトカイン類増幅のための特異的プライマーを提供される。標品として18S rRNAを用いる利点は、特定の遺伝子に関するmRNAとは対照的に、広範囲の組織および治療条件にわたって、それが固定的レベルで表されることである。さらに、分析される各組織に関して、増幅方法は、対象の遺伝子およびrRNAの双方が、線形範囲内にあるように最適化しなければならない。試験の終末に、動物を安楽死させ、右後足を摘出し、凍結した。全RNAを、製造元の取扱説明書に従って50〜100mgの組織当たり1mlのTrizol試薬(Invitrogen、米国)を用いて単離した。5ミリグラムの全RNAを、Ambion TNF−アルファ(マウス)Gene Specific Relative RT−PCR Kit(カタログ番号5439)により提供されたプロトコルに従って、第1鎖のcDNA合成に用いた。PCRサイクリング条件は、以下のとおりであった:94℃で2分間の加熱開始、次いで94℃で45秒間の27サイクルの変性、50℃で45秒のアニーリング、72℃で45秒の伸長、72℃で7分間の1回の最終伸長。各PCR反応から10μl分割量を、6%アクリルアミド/TBEゲル(Invitrogen、米国)で操作し、臭化エチジウムで着色した。図8Aは、1匹の動物の足指、足蹠および足首のRNAを、rRNAおよびマウスTNFαに関するプライマーを用いて増幅させたこれらの実験のうちの1つの結果を示している(この動物の足は、異なるレベルの関節炎スコアを有した)。種々のバンドの定量的濃度測定分析(Gel Doc 2000ゲルドキュメンテーションシステムおよびQuantity One4.3.1ソフトウェア、BioRad、米国)は、サンプル間の相対的TNFα:rRNA比の比較を可能にした。図8Bは、図1に示された実験の全動物の右後足から全RNAを単離し、18S濃度とTNFα濃度との間の相対比を決定するために用いた際に得られた結果を示す。
【0170】
データは、分散分析後のダネット検定によりGraphPad Prismソフトウェア(カリフォルニア州サンディエゴ所在)で解析された。これらの結果は、実施例2の化合物(図1の実験に用いられた)が、CIAによるマウスの足中のTNFαmRNAの濃度を低下ができたことを示している。
【0171】
(実施例18A:SSAO阻害剤−モフェギリン(アリルアミン化合物)による、マウスにおける実験的自己免疫脳脊髄炎の阻止)
SSAO/VAP−1は、脳および脊髄を含む炎症性組織/臓器の内皮に発現する。リンパ球経内皮移動を支持するその能力は、多発性硬化症およびアルツハイマー病などの炎症性疾患におけるSSAO/VAP−1の重要な全身的機能であり得る。中枢神経系(CNS)の炎症性疾患を治療するためのSSAO阻害剤の使用分析を、C57BL/6マウスにおける実験的自己免疫脳脊髄炎モデルの使用により実施した。げっ歯類におけるEAEは、十分に特性化されており、ヒトにおける多発性硬化症の再現性動物モデルである(Benson J.M.ら、(2000)J.Clin.Invest.106:1031頁)。多発性硬化症は、脱髄および軸索喪失領域における肥厚性細静脈周囲の炎症性浸潤巣を特徴とするCNSの慢性免疫媒介疾患である。動物モデルとして、EAEは、アジュバント存在下、脳炎誘発軸索抗原による免疫化によってマウスに誘導できる。EAEの病因は、軸索抗原のT細胞への呈示、活性化T細胞のCNSへの移動、および同一抗原の認識時に炎症および/または脱髄の発現を含んでなる。
【0172】
CNSに対するリンパ球動員の主要調節剤としてSSAO/VAP−1の役割を調べるために、モフェギリン、アリルアミンおよびSSAO阻害剤を、EAEモデルにおいて評価した。
【0173】
【化92】

30匹のメスC57BL/6を、0日目に完全フロイントアジュバント(CFA)中、軸索乏突起神経膠細胞糖蛋白質35−55(MOGペプチド35−55)を皮下(s.c.)注射、次いで百日咳毒素のi.p.注射(0日目に第1回の百日咳毒素、2日目に第2回の百日咳毒素注射)により免疫化した。10匹のマウス群は、全て免疫1日後から開始して、全てがi.p.投与によりアリルアミン化合物モフェギリン(AA、10mg/kg/用量、1日2回の連続18日間)、メトトレキサート(2.5mg/kg/日、18日目まで1日おき(月曜日、水曜日、金曜日)ごとに)または媒体対照(2回/日の連続18日間)のいずれかを受けた。次に、動物を、体重、以下のスコア化システムの0〜5段階評価に従って麻痺の徴候および死亡をモニターした:1=跛行尾または尾緊張を伴うワッディング歩行;2=跛行尾を伴うワッディング歩行(歩行失調);2.5=部分的四肢麻痺を伴う歩行失調;3=1本の肢の完全麻痺;3.5=第2の肢の部分的麻痺を伴う1本の肢の完全麻痺;4=2本の肢の完全麻痺;4.5=瀕死;5=死亡。結果を、図2A、図2B、および図2Cに示す。投与期間(18日目まで)中、80%疾患発生および中等度の臨床的重症度を示した媒体処置群と比較して、モフェギリン処置マウスは、影響を受けたマウスの50%が、疾患重症度の統計的に有意な減少を示した。(治療効果を評価するために、反復測定解析によりp=0.04。時間効果を試験するために採取日に相当する間隔を有した適正な多項式変換が適用された)。AAと媒体処置群との間の疾患重症度における統計的有意差は、化合物投与の中止後も継続し、試験の最後(25日目)まで見られた。
【0174】
予想どおり、体重減少は、媒体対照マウスにおける臨床的重症度と互いに関連しており;モフェギリン処置は、投与期間中のマウスにおける体重減少も防止した(p=0.04)。さらに、EAE発生に対するモフェギリンの阻止効果は、最後の処置(19〜25日目)後、少なくともさらに1週間継続して見られた。MTX処置マウスは、処置期間中(0〜18日目)、同様の阻止効果を示した。しかしながら、疾患発生および重症度の上昇が、MTX処置の中止直後に見られた(図2A)。投与期間中または投与後におけるMTXとモフェギリンによる処置群間で統計的有意差(それぞれ臨床的重症度と体重に関してp=0.8およびp=0.38)は無かった。
【0175】
的確な同一のプロトコルは、今回MTX群を省くこと以外、実施例2の化合物を用いて別個の実験に従った。図3に示された結果は、この化合物が、疾患の発現と重症度に対して治療効果を明確に有したことを示している。これらのデータは、本発明の化合物が、ヒトにおける多発性硬化症の治療に対する候補物であることを示している。
【0176】
(実施例18B:VAP−1/SSAO阻害剤による、マウスにおける再発性実験的自己免疫脳脊髄炎の阻止(慢性多発性硬化症のモデル))
CNSの炎症性疾患を治療するためのVAP−1/SSAO阻害剤の使用分析は、SJL/Jマウスにおける再発性実験的自己免疫脳脊髄炎モデル(EAE)の使用により実施される。マウスにおける再発性EAEは、十分に特性化されており、ヒトにおける多発性硬化症の再現性動物モデルである(Brown & McFarlin 1981年 Lab.Invest.45:278−284頁;McRaeら1992年J.Neuroimmunol.38:229−240頁)。多発性硬化症は、脱髄および軸索喪失領域における肥厚性細静脈周囲の炎症性浸潤巣を特徴とするCNSの慢性免疫媒介疾患である。動物モデルとして、慢性再発性EAEは、アジュバント存在下、脳炎誘発軸索抗原による免疫化によってマウスに誘導できる。EAEの病因は、軸索抗原のT細胞への呈示、活性化T細胞のCNSへの移動、および同一抗原の認識時に炎症および/または脱髄の発現を含んでなる。
【0177】
血管接着蛋白質−1(VAP−1)は、アミンオキシダーゼであり、脳および脊髄を含む炎症性組織/臓器の内皮に発現される接着受容体である。リンパ球の経内皮移動を支持するその能力は、多発性硬化症およびアルツハイマー病などの炎症性障害におけるVAP−1の重要な全身性機能であり得る。
【0178】
CNSに対するリンパ球動員の主要調節剤としてのVAP−1の役割を調べるために、VAP−1/SSAO阻害剤を、慢性再発性EAEモデルにおいて評価した。20匹の7〜8週齢メスSJL/Jマウスに、完全フロイントアジュバント(CFA)中、50μgのマウスPLPペプチド139−151を皮下(s.c.)注射、次いで200ngの百日咳毒素を2回i.p.注射して免疫化した。10匹のマウス群は、全て免疫1日後から開始して、1日2回、連続53日間媒体対照(PBS、0.1ml)または10mg/kgの(2−フェニルアリル)ヒドラジンのいずれかを受けた。(2−フェニルアリル)ヒドラジンは、以下の化合物:
【0179】
【化93】

である。
【0180】
次に、動物を、以下のスコア化システムの0〜5段階評価に従って麻痺の徴候をモニターした:
0.5 部分的尾の脱力
1 跛行尾または尾緊張度を伴うワッディング歩行;
1.5 部分的尾の脱力を伴うワッディング歩行
2 跛行尾を伴うワッディング歩行(歩行失調);
2.5 部分的四肢麻痺を伴う歩行失調;
3 1本の肢の完全麻痺;
3.5 第2の肢の部分的麻痺を伴う1本の肢の完全麻痺;
4 2本の肢の完全麻痺;
4.5 瀕死;
5 死亡。
【0181】
結果を、平均的臨床スコア(図9A)、発生率%(麻痺に罹ったマウス数/10匹マウス)(図9B)、慢性疾患のマウス%(少なくとも1つの再発マウス)(図9C)、および再発の累積全数(図9D)として表される。臨床スコアのp値は、反復測定法により分析され、再発の累積数および慢性疾患マウスのパーセント双方に関するp値は、主要効果が処置群((2−フェニルアリル)ヒドラジン対緩衝液)および採取日による一般化された線形モデルにより算出された。
【0182】
図9A、図9B、図9C、および図9Dに示されるように、両群における免疫化2週間後、マウスの90〜100%が中等度から重症の麻痺を発現したが、慢性疾患の発生率は、緩衝液を受けた対照マウスよりも(2−フェニルアリル)ヒドラジンで処置された群が有意に低かった(p<0.0001)。総合的な臨床的重症度(p<0.005)および再発の累積数(p<0.0001)において同様な統計的に有意な減少もまた、緩衝液を受けた対照群と比較して、(2−フェニルアリル)ヒドラジンで処置されたマウスに見られた。これらの結果をまとめると、慢性EAEの発生に対するSSAO/VAP−1阻害剤の改善効果を示している。
【0183】
(実施例19:カラゲナン誘導のラット足浮腫の阻止)
カラゲナン誘導の足浮腫は、種々の治療剤の抗炎症効果の評価に広範に用いられており、急性炎症を軽減する化合物の有効性を評価するための有用な実験系である(Whiteley PEおよびDalrymple SA、1998年。Models of inflammation:carrageenan−induced paw edema in the rat,in Current Protocols in Pharmacology。Enna SJ、Williams M、Ferkany JW、Kenaki T、Porsolt REおよびSullivan JP編集者、5.4.1〜5.4.3頁、John Wiley & Sons、ニューヨーク所在)。浮腫の完全発生は、好中球依存である(Salvemini D.ら(1996)Br.J.Pharmacol.118:829頁)。
【0184】
メスのSDラットを用い、本発明の化合物を、カラゲナン暴露15分前に100mg/kgでi.p.注射した。対照群は、等しい容量の媒体(PBS)により注射された。足の浮腫は、先に記載されたとおり、右足パットに27−G針を用いて、生理食塩水中、50μlの0.5%カラゲナン(IV型ラムダ、Sigma)溶液をs.c.注射することにより誘導された(Whiteley PEおよびDalrymple SA(1998)Models of inflammation:carrageenan−induced paw edema in the rat,in Current Protocols in Pharmacology。Enna SJ、Williams M、Ferkany JW、Kenaki T、Porsolt REおよびSullivan JP編集者、5.4.1〜5.4.3頁、John Wiley & Sons、ニューヨーク所在を参照)。各動物の試験足のサイズは、浮腫前ならびにカラゲナン誘導60分後、120分後および180分後に容積として測定された。
【0185】
実施例2および8の化合物が使用された実験結果は、図4に示されている。両方の場合、試験された全ての時点で、100mg/kg用量により明瞭かつ有意に足の膨張を減じた。データは、分散分析後のダネット検定によりGraphPad Prismソフトウェア(カリフォルニア州サンディエゴ所在)で解析された(p<0.05)。
【0186】
このモデルを用いるさらなる実験は、SSAO阻害剤が治療様式で用いられた場合(すなわち、カラゲナン注射後)有意な効力を示すかどうかを確かめるために実施された。手短に言うと、SSAO阻害剤(30mg/kg)、インドメタシン(3mg/kg)およびPBSを、カラゲナン注入1時間後、ラットに経口投与した。1つの代表的実験結果を図10に示す。データは、試験されたSSAO阻害剤は、インドメタシンで見られたものと等しいレベルの治療様式で適用された場合、足浮腫を減じることができることを示している。
【0187】
炎症反応におけるSSAO阻害剤のさらなる役割を調べるために、プロスタグランジンE(PGE2)濃度に対するSSAO阻害の効果を評価するために試験を実施した。動物を、各々8匹のラットの治療4群に分けた。3群には、50mg/kgの実施例2の化合物;3mg/kgのインドメタシン;またはPBSを、それぞれカラゲナン投与1時間前に経口投与した。第4群は、足炎症1時間前に3mg/kgのデキサメタゾンをi.p.投与した。カラゲナン注射3時間後、ラットをCOで窒息させ、後足を切り離した。足は、メスで切り裂き、マイクロピペットチップを用いてポリプロピレン製1.5ml管の底で懸濁させ、炎症液体を絞り出すために遠心分離した。各足から採取された容量を決定し、この液体を、製造元の取扱説明書に従って商品キット(R&D Systems、ミネソタ州ミネアポリス所在)を用いてPGE2産生に関してELISAにより分析した。足蹠中へのカラゲナン注射は、典型的にPG類において5倍から10倍の増加を誘導する。予想通り、デキサメタゾンは、膨張防止により有効であったが、一方、インドメタシンは、PGE2濃度に、より大きな影響を与えた(図11を参照)。実施例2の化合物は、デキサメタゾン処置動物に見られたものと等しい濃度にPGE2産生を有意に減じることができた。データは、分散分析後のダネット検定によるGraphPad Prismソフトウェア(カリフォルニア州サンディエゴ所在)で解析された。
【0188】
(実施例20:化学的誘導大腸炎の阻止)
2,4,6−トリニトロベンゼンスルホン酸(TNBS)誘導大腸炎および硫酸デキストラン(DSS)誘導大腸炎は、クローン病に関連する大腸炎のTH1媒介マウスモデルである。種々の機構による化合物の作用は、プレドニゾロン、抗IL−16、抗ICAM、抗インテグリンなど、その他多くの中でこれらのモデルに有効であることが証明されている(Strober W.ら(2002)Annu.Rev.Immunol.20:495頁)。オキサゾロン誘導大腸炎は、潰瘍性大腸炎に極めて類似しており、抗IL4療法に応答するTH2媒介過程である(Boirivant M.ら(1998)J.Ex.Med 188:1929頁)。
【0189】
TNBS大腸炎は、(Fuss I.J.(2002)J.Immunol.168:900頁)に記載されているとおり誘導する。手短に言うと、50%ETOH中、2.5mg/マウスのTNBS(pH 1.5〜2、Sigma)を、肛門縁の4cm近位に挿入された3.5Fカテーテルを通して麻酔下のSJL/Jオスマウスの直腸内に投与する。TNBS注入マウスは、3つの治療群に分けて、PBS;プレドニゾロン(5mg/kg)および本発明の化合物(例えば、20mg/kgで)により1日2回i.p.注射した。注入は、0日目(TNBS注入日)に開始し、7日目まで通して続けた。
【0190】
オキサゾロン大腸炎は、(Fuss I.J.(2002)J.Immunol.168:900頁)に記載されているとおり誘導する。手短に言うと、0日目に100%EtOH(150μl)中、3%オキサゾロン(4−エトキシメチレン−2−フェニル−2オキサゾリン−5−オン、Sigma)の皮膚外表皮塗布により前感作し、次いで50%ETOH中、1%オキサゾロンを、肛門縁の4cm近位に挿入された3.5Fカテーテルを通して麻酔下のSJL/Jオスマウスの直腸内に投与する。マウスは、3つの治療群に分けて、PBS;および本発明の化合物により1日2回i.p.注射した。注射は、0日目に開始し、7日目または試験の終了まで通して続けた。
【0191】
大腸炎はまた、(Okayasu I.ら(1990)Gastroenterology 98:694頁)に記載されているとおり、7日間5%(wt/vol)DSS(ICN Biomedicals社、米国オハイオ州所在)によりBalb/cマウスに給餌することにより誘導される。マウスを3つの治療群に分けて、PBS;プレドニゾロン(5mg/kg)および本発明の化合物(例えば、20mg/kgで)により1日2回i.p.注射する。注射は、0日目(DSS給餌の初日)に開始し、7日目まで通して続ける。
【0192】
疾患の進行は、体重、糞便の堅さ、血便の存在、大腸組織切片の組織学的分析をモニターし、数種のサイトカイン類の濃度をモニターすることにより全てのモデルについて評価する。
【0193】
(実施例20A:オキサゾロン誘導大腸炎の阻止)
オキサゾロン誘導大腸炎に関して実施例20のプロトコルを用いて試験を実施した。注射は、0日目に開始し、試験の終了まで通して続けた。疾患進行は、生存率と体重をモニターすることにより、ならびに大腸炎の肉眼的証拠(例えば、直腸脱出、直腸サイズ、直腸重量)により12日間(直腸内投与6日後)評価した。(2−フェニルアリル)ヒドラジンを、皮膚前感作日(0日目)から開始して、10mg/kg、1日2回i.p.投与した。媒体群と比較すると、(2−フェニルアリル)ヒドラジは、有意に生存率と体重減少とを改善した結果を示した(図12Aと12Bを参照)。Kaplan−Meyer生存曲線および不対t検定を、GraphPad Prismソフトウェア(カリフォルニア州サンディエゴ所在)を用いて算出した。
【0194】
上記のプロトコルに従った場合、体重の急降下により測定される疾患の重症度は、7日目(直腸内誘発2日後)に最大であり、またその日は動物の死亡が開始する。したがって、同様な試験の動物は、最初の感作7日後に殺処理し、大腸を摘出し、1%ホルマリンで固定した。組織処理および分析は、契約研究所(Pathology Associates、メリーランド州フレデリック所在)で盲検により実施された。手短に言うと、パラフィン埋め込み後、5μm切片に切断し、ヘマトキシリンおよびエオシンにより着色した。肛門から1cm(切片1)、3cm(切片2)、および6cm(切片3)で、3つの横断切片が各動物からとられた。潰瘍、炎症(粘膜、粘膜下、漿膜、および外側筋肉層中)および上皮障害(粘膜および粘膜下膿瘍、粘膜下線維症、腺変形ならびに粘膜および粘膜下浮腫/出血など)の程度は、0−なし;1−最少;2−軽度;3−中等度;4−顕著、として半定量的に評点を付けた。図13は、(2−フェニルアリル)ヒドラジンが、潰瘍、炎症および障害指標(それぞれ、図13A、図13B、および図13Cを参照)に対して有意な効果を有したことを示す。他の試験投与において、疾患誘導後、SSAO阻害剤の投与が生存に影響を与えるかどうかを決定するために、直腸内誘発1日後(6日目)に開始した。1つの代表的な実験データを図14に示す。疾患発症後の(2−フェニルアリル)ヒドラジンの投与は、生存に対して有意な影響を与えた。Kaplan−Meyer生存曲線を、GraphPad Prismソフトウェア(カリフォルニア州サンディエゴ所在)を用いて算出した。
【0195】
(実施例21:コンカナバリンA−誘導肝障害の阻止)
本発明の化合物投与による炎症防止は、肝障害のコンカナバリンA(Con A)マウスモデルにおいて評価される。Con Aは、Tリンパ細胞を活性化し、マウスにおけるT細胞媒介肝障害を生じる。腫瘍壊死因子アルファは、この実験モデルにおける重要な媒介物である。T細胞媒介肝障害は、免疫細胞、特にCD4+Tリンパ細胞の肝細胞への移動を伴う。Balb/cマウスは、記載された200μlの発熱物質無しの生理食塩水中、投与される10mg/kgコンカナバリンAで接種される(Willuwei Aら、(2001)J Immunol.167:3944頁)。Con A投与に先立って、動物を処置群に分けて、PBS、および本発明の種々の濃度の化合物(例えば、20mg/kg)をi.p.投与した。肝損傷は、トランスアミナーゼおよびアルカリホスファターゼなどの肝酵素の血清濃度、肝組織病理学、および血漿および肝組織中の種々の炎症性サイトカイン類濃度を決定することにより評価される。
【0196】
(実施例22:乾癬のSCIDマウスモデルにおける皮膚炎症の阻止)
移植感染プラークによるSCIDヒト皮膚キメラの最近の確立により、乾癬に関与する分子複雑性を研究するための新たな展望が開けている。このモデルはまた、細胞増殖、標的組織におけるT細胞の帰巣性、炎症および炎症反応に関与するサイトカイン/ケモカインカスケードなどの種々の重要な生物学的事象を調べるために独特な機会を提供する。SCIDマウスモデルは、乾癬および他の炎症性疾患に対して幾つかの化合物の効力を評価するために使用されている(Boehncke,W.H.ら(1994)Arch.Dermatol.Res.286:325頁)。ヒト全層皮膚異種移植片を、6週齢から8週齢のC.B17SCIDマウス(Charles River)の背中に移植する。外科的手法で、マウスを、100mg/kgのケタミンおよび5mg/kgのキシラジンの腹腔内注入により麻酔にかける。直径が1cm測定の全層皮膚の紡錘形片を、マウスの削がれた背中中央の対応する切除全層皮膚欠損上に移植し、6−0非外傷性モノフィラメント縫合糸により固定する。
滅菌石油ゼリー含浸ガーゼの貼り付け後、移植片を、隣接の側方皮膚を用いて移植領域上の皮膚ポーチを縫合することにより傷害から保護する。縫合糸およびオーバータイドポーチは、2〜3週後に自然に分解するまで、その場所に残しておく。移植片は、2週で受入れと治癒を可能にする。したがって、毎日の腹腔内注射は、移植後15日目と42日目との間で実施される。マウスは、媒体(PBS)、デキサメタゾン(0.2mg/kg体重)、または本発明の化合物(例えば、20mg/kg体重で)を最終容量が200μlで注射される。42日目にマウスを殺処理し、周囲のマウス皮膚を切除後、移植片をホルマリンに埋め込む。引き続き、ルーチンのヘマトキシリンおよびエオシン着色が実施され、移植片を、定性的(表皮分化、炎症性浸潤)および定量的(表皮厚)の双方で病理学的変化に関して分析される。
【0197】
(実施例23:アルツハイマー病のマウスモデルにおける本発明の化合物の効果)
アルツハイマー病(AD)は、臨床的に潜伏性発症の認知症を特徴とし、また病理学的に多数の神経突起および神経原線維濃縮体の存在を特徴とする。該プラークは、主としてアミロイド前駆体蛋白質(APP)のプロセシングから由来するβ−アミロイド(Aβ)ペプチド断片から構成される。濃縮体は、微小管関連蛋白質、タウから構成される対らせん状フィラメントからなる。APPにおける病原性変異を有する遺伝子導入マウスは、凡そ1年齢から大脳皮質および海馬におけるAβ−蛋白質レベルおよびAβ沈着の著しい増加を示す(Hsiao K.ら(1996)Science274:99頁)。変異体PS−1遺伝子導入マウスは、異常な病理学的変化を示さないが、Aβ42/43ペプチド濃度の僅かな上昇を微細に示す(Duff Kら、(1996)Nature 383:710頁)。これらのマウス(PS/APP)間の交雑に由来する遺伝子導入マウスは、APP単独遺伝子導入マウスと比較して、Aβの可視的沈着物の著しい蓄積促進を示す(Holcomb L.ら(1998)Nat Med4:97頁)。さらに、最近の研究では、これらのマウスにおいて、炎症反応が、Aβ沈着に関与し得ることを示している(Matsuoka Y.ら(2001)Am J Pathol.158(4):1345頁)。
【0198】
したがって、PS/APPマウスは、ADのアミロイド表現型の試験においてかなりの有用性を有しており、アルツハイマー病患者を治療するために本発明の化合物の効力を評価する試験に用いられる。マウスは、媒体(例えば、PBS)または本発明の化合物(例えば、20mg/kg体重で)を注射され、メモリ欠損の分析、サンプル組織の組織学的特徴、および他の疾患進行の指標により評価される。
【0199】
(実施例24:I型真性糖尿病のマウスモデルにおける本発明の化合物の効果)
炎症誘発性サイトカイン類は、I型糖尿病の発生において重要な役割を演じることが広く受け入られている。したがって、本発明の化合物は、この病気を患っている患者を治療するために用いることができる。ストレプトゾトシン(STZ)の頻回低用量により誘導された糖尿病マウスを、1型糖尿病の動物モデルとして使用できる。STZは、C57BL/6Jマウスにおいて糖尿病を誘導するために使用される。手短に言うと、STZ(40mg/kg)またはクエン酸緩衝液(媒体)を、(Carlsson P.Oら(2000)Endocrinology.141(8):2752頁)に記載されたとおり5日間連続の毎日1回i.p.投与される。化合物投与(i.p.10mg/kg、1日2回)は、STZ注射5日前に開始し、2週間続ける。他の広く使用されるモデルは、自己免疫1型糖尿病のNODマウスモデルである(Wong F.S.およびJaneway C.A.Jr.(1999)Curr Opin Immunol.11(6):643頁)。メスNODマウスを、10週目から25週目を通して本発明の化合物の毎日の注射により処置される。糖尿病NOGメスからの脾細胞の養子移入後のNOD重症複合免疫異常/重症複合免疫異常メスにおける膵島炎および糖尿病の発生を防止するのに、本発明の化合物の効果もまた評価される。STZおよびNOD双方のモデルに関して、糖尿病の発生率を、血糖値のモニタリングを含む幾つかの方法においてモニターする。インスリン分泌を、実験動物から単離された膵島において評価する。サイトカイン産生は、マウス血清中で測定する。島アポトーシスは、定量的に評価される。
【0200】
(実施例25:気道炎症のモデルにおける本発明の化合物の効果)
SSAO阻害剤などの抗炎症性化合物は、喘息および慢性閉塞性肺疾患などの気道炎症病態において有益な効果を有し得る。本明細書に記載されたげっ歯類モデルは、効力試験に広範に用いられる。急性肺炎の他のマウスモデルもまた、本発明の化合物を試験するために使用できる。
【0201】
気道炎症を防止する上でSSAO阻害剤の効果を評価するために、感作ラットの3つの群を試験する。動物に、媒体の生理食塩水、本発明の化合物、または陽性対照(例えば、プレドニゾン)を、7日間1日2回の腹腔内投与後、エアゾロル化OVA(オバルブミン)により誘発する。週の最後に、(Martin J.G.ら(2002)J Immunol.169(7):3963頁)に記載されたとおり、アレルゲン誘導気道反応の測定のために、動物に麻酔をかける。動物を、ポリエチレンチューブにより気管内に挿管し、36℃の直腸温度を維持するために加熱パッド上に置く。Plexiglasボックス(〜250ml)内に気管内チューブのチップを置くことにより気流を測定する。差動型トランスデューサーに結合した呼吸流量計を、該ボックスの他端に接続し、気流を測定する。動物を、OVAのエアロゾル(5% w/v)で5分間誘発する。使い捨てネブライザを、0.15ml/分の排出量で用いる。気流を、誘発後30分間、5分ごとに測定し、引き続き全部で8時間15分間隔で測定する。次に動物を、気管支肺胞洗浄(BAL)のため殺処理した。BALは、5ml生理食塩水の5回の点滴注入により誘発8時間後に実施される。全細胞をカウントし、細胞生存度を血球計およびトリパンブルー染色を用いて推定する。シトスピンを用いてスライドを調製し、差動細胞カウントは、May−Grunwald−Giemsa染色により評価し、好酸球を、免疫細胞化学によりカウントする。
【0202】
(実施例26:げっ歯類における経口生物学的利用能試験)
マウスおよびラットにおける経口生物学的利用能試験を実施した。手短に言うと、C57B1/6メスマウスおよびSDメスラットに、経口管により50mg/kgの本発明の種々の化合物を投与した。化合物投与後、種々の時間間隔で動物から採血し、血漿中の阻害剤濃度を、実施例14に記載された比色アッセイを用いて決定した。代表的実験結果は、図5に示しており、本発明の化合物が、経口的に生物利用可能であること示した。(図5Aはマウスにおける結果を示し;図5Bはラットにおける結果を示す)。このようにこれらの結果は、本明細書に記載された小型分子のSSAO阻害剤は、経口投与薬物の開発を考慮していることを示している。同じ試験を、実施例2、8および10に記載された本発明の化合物の種々の用量の静脈内および腹腔内投与後に実施された。これらの結果は、これらの化合物もまた、これらの投与形態後、容易に生物利用可能であったことを示している。
【0203】
(実施例27:SSAO/VAP−1阻害剤のインビボ投与後の用量応答効果)
SSAOのインビボ阻害は、SSAO活性が最高である2つの組織、ラットの大動脈および肺において評価された。6週齢メスSDラットに、経口管により2.5ml/kg PBS中、0、0.1、1、10および50mg/kgの実施例8の化合物を投与した。化合物投与4時間後、動物を安楽死させ、大動脈と肺を摘出し、液体窒素中で凍結させた。組織を、0.1Mリン酸カリウムpH7.8緩衝液(大動脈に関しては30ml/gおよび肺に関しては20ml/g)中ホモジナイズし、1000xgで15分間遠心分離した。上澄液を採取し、Lizcano J.M.ら(1998)Biochem.J.331:69頁に記載されたプロトコルに従って放射性アッセイに用いた。酵素反応は、200μlの一定分割量の組織ホモジネートを、20μlの0.4mM14C標識ベンジルアミン基質(6mCi/mmol特異的活性、Pharmacia)と室温で30分間温置することにより開始された。このアッセイは、100μlの2Mクエン酸の添加により停止し、アッセイ容量を、0.6%(w/v)2,5−ジフェニルオクスダゾールを含有する5mlのトルエン:酢酸エチル(1:1)により抽出し、有機層の一定分割量を液体シンチレーションによりカウントした。SSAOおよびMAO−Bは、双方ともベンジルアミンに対して活性であるので、MAO−BおよびSSAO活性が確認できるように、対照サンプルを同時に操作する必要があった。SSAOは、MAO−B測定のために0、10、50および500μMのセミカルバジドにより阻害され、MAO−Bは、SSAO測定のために0、5、および100μMのパルギリンにより阻害された。これらの阻害剤は、ベンジルアミンの添加前に組織上澄液に加えた。大動脈および肺は、主としてSSAO活性を有した;これらの結果は、公表されたデータと一致する。図6は、実施例8の化合物に関するインビボED50値は、肺および大動脈に関してそれぞれ0.72mg/kgおよび5mg/kgであったことを示している。
【0204】
(実施例28:SSAO/VAP−1阻害剤によるインビトロ接着の遮断)
本実施例における試験は、内皮細胞に形質移入されたSSAO/VAP−1が、接着機能を保持しているかどうか、また、これらの細胞に対して新鮮に単離されたヒトPBMCsの接着に何らかの役割を演じているかどうかを決定するために実施した。さらに、本試験はまた、SSAO/VAP−1が、これら2種の細胞タイプ間の接着レベルに影響を与えるかどうかを決定するためにデザインされた。接着アッセイは、製造元の使用説明書に従って蛍光色素Calcein−AM(Molecular Probes、米国オレゴン州)により標識された細胞を用いて実施された。手短に言うと、ラットリンパ節の高内皮細胞(HEC;単離および培養は、Ager,S.(1987)J.Cell Sci.87:133頁)を、96ウェルプレート(2,000個の細胞/ウェル)中一晩平板培養した。PBMCs(末梢血単核細胞)(1×10)を、1mlの10μM Calcein−AMと37℃で1時間標識化し、RPMIで3回洗浄し、モック形質移入されたまたは完全長ヒトSSAO/VAP−1(60,000個のPBMCを、2,000個のHEC細胞を含有する1ウェル当たり平板培養した)で形質移入されたHEC細胞の単層を含有する96ウェルプレートに加えた。接着は、37℃で3時間実施した。非接着細胞をRPMIで3回洗浄することにより除去し、蛍光は、485nmの励起波長で、また530nmの発光波長で蛍光プレートリーダーで測定された。HEC細胞およびPBMCs(標識および非標識)単独などの幾つかの対照を含めた。全ての実験において、SSAO/VAP−1発現は、PBMCsのHEC細胞に対する接着が2.5倍まで増加した。これらの結果は、他のグループにより公表されたデータと一致している(Smithら、J.Exp Med(1998)188:18頁;SalmiらCirc Res(2000)86:1245頁)。
【0205】
次の実験は、酵素触媒部位の遮断が、SSAO/VAP−1の接着機能に何らかの効果を有するかどうか、また本発明による阻害剤が、接着阻害効果を媒介できるかどうかを調べるためにデザインされた。公表された結果は、セミカルバジドによるSSAO酵素活性の遮断が、心内皮単層上の層状シア下でのリンパ球ローリングを阻害したことを示唆している(SalmiらImmunity(2001)14:265頁)。これらの試験は、本発明の阻害剤を評価するために、上記の接着アッセイを用いて反復された。用いられた接着遮断剤としては、抗ヒトVAP−1モノクローナル抗体(Serotec、英国オックスフォード所在)、ノイラミダーゼ(SSAO/VAP−1がシアロ糖蛋白質であることから、シアリダーゼ;Sigma)、およびラット接着分子(CD31−PECAM、CD54−ICAM−1、CD92P−Pセレクチン)に対する幾つかの機能遮断抗体が挙げられた。対照としては、SSAO阻害剤セミカルバジド(Sigma)、MAO−AおよびMAO−B阻害剤(それぞれクロルジリンおよびパルジリン;Sigma)、およびマウスIgG1およびIgG2イソタイプ対照(BD、米国)が挙げられた。抗体(10μg/ml)およびノイラミダーゼ(5mU)をHECsと37℃で30分間温置し;過剰の抗体を洗浄して除いてから標識PBMCsを添加した。小型分子阻害剤を、IC100濃度の同様な方法で予め温置したが、上澄液に存在する量は、洗浄せず、接着ステップ時にIC100濃度を保存した。
【0206】
図7は、1つの代表的な実験結果(n=6反復試験)を示している。図7Bは、抗VAP−1、実施例2の化合物、実施例8の化合物、およびより少ない程度で、セミカルバジドは、SSAO/VAP−1形質移入されたHECsに接着したPBMCsを、偽形質移入細胞に見られたものと近接したレベルに減じたことを示すデータを示している。(偽形質移入細胞に対して試験された同じ化合物に関するデータは、図7Aに示している)。本明細書における抗VAP−1抗体結果は、VAP−1形質移入HEC細胞へのリンパ球の接着に対する抗VAP−1 mAbの効果に関する公表データと一致している(SalmiらCirc Res(2000)86:1245頁)。クロルジリン(MAO−A阻害剤)およびパルジリン(MAO−B阻害剤)は、効果が無かった。興味深いことに、VAP−1発現は、抗CD54、CD31およびCD62P抗体の相対的遮断効果を減少させるように思われる。
【0207】
要約すると、これらの結果は、SSAO酵素的機能を阻害する本発明の化合物は、インビトロでSSAO/VAP−1発現HECsへのPBMCsの結合を減じる;すなわち、本発明のSSAO阻害剤は、インビトロでSSAO/VAP−1発現HECsへのPBMCsの接着を阻害できたことを示している。
【0208】
(実施例29:リポ多糖(LPS)誘導内毒血症の阻止)
全ての臓器の内皮細胞のLPSの上昇レベルに対する敗血症暴露において、炎症性サイトカイン類は、接着分子およびケモカイン類のアップレギュレーションに導き、リンパ球のけい牧、ローリングおよび遊出増加となる(Pawlinski R.ら(2004)Blood 103:1342頁)。LPS誘導内毒血症は、全身炎症の十分に特性化されたモデルであり、したがってこれらの炎症機構におけるSSAO阻害の推定上の役割を調べるために使用できる。敗血症は、C57B1/6Jメスマウスにおいて、5mg/kgのLPSのi.p.投与により誘導された。LPS注射60分前に、200μlの媒体(PBS)または50mg/kgの(2−フェニルアリル)ヒドラジンを、動物に経口投与した。デキサメタゾンを、疾患誘導1時間前に3mg/kgの濃度でi.p.投与した。血液を、麻酔下動物の逆軌道神経叢から抜き取り、血清を採取し、サイトカイン測定時まで凍結させた。IL−1β、TNF−α、およびIL−6濃度を、製造元の取扱説明書に従って商品キット(R&D Systems、ミネソタ州ミネアポリス所在)を用いてELISAにより決定した。図15は、(2−フェニルアリル)ヒドラジンが、このモデルにおける循環性TNF−αおよびIL−6のレベルを有意に減じたことを示している。データは、分散分析後のダネット検定によるGraphPad Prismソフトウェア(カリフォルニア州サンディエゴ所在)で解析された。図16は、SSAO阻害が、LPSショック後の動物の生存に影響を与え得るかどうかを調べるためにデザインされた試験結果を示している。300mg/kgのD−ガラクトサミン(GalN、Sigma)と一緒に2mg/kg LPS双方をPBSに溶解し、マウスにi.p.注射により投与した。指定された時点に、異なる治療群の動物は、経口投与により200μlの媒体(PBS)または30mg/kgの(2−フェニルアリル)ヒドラジンを受けた。データは、SSAO阻害が、LPSショック後のマウスの生存を延長化していることを示している。
【0209】
出典が特定され、本明細書に引用されている全刊行物、特許、特許出願および公開特許出願の開示は、参照としてそれらの全体が本明細書に援用される。
【0210】
前述の本発明は、理解を明瞭にする目的で図および実施例によりある程度詳細に記載しているが、ある軽微な変更および修飾が実施されることは当業者にとって明らかである。したがって、説明および実施例は、本発明の範囲を限定するものとして解釈してはならない。
【図面の簡単な説明】
【0211】
【図1A】図1Aは、関節炎スコアによって評価した、モノクローナル抗体誘導関節炎疾患発現に及ぼす実施例2の化合物((2−フェニルアリル)ヒドラジン)の効果を、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)対照およびメトトレキサートに対して示している。
【図1B】図1Bは、足測定によって評価した、モノクローナル抗体誘導関節炎疾患発現に及ぼす実施例2の化合物((2−フェニルアリル)ヒドラジン)の効果を、PBS対照およびメトトレキサートに対して示している。
【図1C】図1Cは、発生率パーセントによって評価した、モノクローナル抗体誘導関節炎疾患発現に及ぼす実施例2の化合物((2−フェニルアリル)ヒドラジン)の効果を、PBS対照およびメトトレキサートに対して示している。
【図2A】図2Aは、臨床的重症度によって評価した、実験的自己免疫性脳炎(EAE)発現に及ぼす実施例18のアリルアミン(AA)化合物(モフェギリン(mofegiline))の効果を、媒体対照およびメトトレキサートに対して示している。
【図2B】図2Bは、発生率パーセントによって評価した、EAE発現に及ぼす実施例18のアリルアミン(AA)化合物(モフェギリン)の効果を、媒体対照およびメトトレキサートに対して示している。
【図2C】図2Cは、体重によって評価した、EAE発現に及ぼす実施例18のアリルアミン(AA)化合物(モフェギリン)の効果を、媒体対照およびメトトレキサートに対して示している。
【図3A】図3Aは、発生率パーセントによって評価した、EAE発現に及ぼす実施例2の化合物((2−フェニルアリル)ヒドラジン)の効果を、媒体対照に対して示している。
【図3B】図3Bは、臨床的重症度によって評価した、EAE発現に及ぼす実施例2の化合物((2−フェニルアリル)ヒドラジン)の効果を、媒体対照に対して示している。
【図4A】図4Aは、誘導された足の炎症に及ぼす実施例2および実施例8の化合物の効果を、PBSに対して示している。図における種々の三角形、四角形、および菱形の記号は、個々の試験動物を表している。
【図4B】図4Bは、誘導された足の炎症に及ぼす実施例2および実施例8の化合物の効果を、リン酸緩衝生理食塩水に対して示している。図における記号は、個々のマウスを表している。
【図5】図5Aおよび5Bは、マウスおよびラットにおける経口使用可能性試験を示している。図5Aは、マウスにおける経口使用可能性試験を示し、図5Bは、ラットにおける経口使用可能性試験を示している。化合物は、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)中、50mg/kgの濃度で、経口管により、マウスとラットに投与された。図中の示された時点で、血漿を採取し、実施例14に記載されたSSAO比色アッセイを用いて、阻害剤の濃度を決定した。
【図6】図6は、SSAO活性のインビボ阻害を示している。処理4時間後のラットの大動脈および肺におけるSSAO活性に及ぼす実施例8の化合物の単独経口用量投与の用量応答効果(平均S.E.M.)ED50値:大動脈−5mg/kg;肺−0.72mg/kg;n=5。
【図7】図7は、末梢血単核細胞(PBMC)類と高内皮細胞(HEC)との間の結合に及ぼすSSAO/VAP−1の遮断効果を示している。図7Aは、偽形質移入高内皮細胞に対するPBMC類の接着に及ぼす、処理に使用された種々の化合物の効果を示す対照実験であり、比較のため、非処理対照が、含まれている(MNT)。図7Bは、VAP−1を形質移入した高内皮細胞に対するPBMC類の接着に及ぼす、処理に使用された種々の化合物の効果を示す対照実験であり、比較のため、非処理対照が、含まれている(VNT)。MNT:偽形質移入細胞、非処理;VNT:VAP−1形質移入細胞、非処理;VAP−1:抗VAP−1抗体により処理された細胞;Ex2:実施例2の化合物により処理された細胞;Ex8:実施例8の化合物により処理された細胞;Semic:セミカルバジドにより処理された細胞;Clog:クロルジリンにより処理された細胞;Parg:パルジリンにより処理された細胞。IC100値:セミカルバジド(SSAO)−500μM;クロルジリン(MAO−A)−250μM;パルジリン(MAO−B)−200μM;実施例2の化合物−150nM;実施例8の化合物−250nM;n=6。
【図8】図8は、マウス足サンプルの18SrRNAおよびTNFαのRT−PCR増幅を示している。図8A:代表的マウスの足と足指のcDNAのRT−PCR増幅。図8B:3つの異なる群からの全マウスの右後足を取り、総RNAを単離し、実施例17に記載された通り、定性的RT−PCR試験に用いた。TNFおよび18Sバンドのデンシトメトリー単位(DU)を、各サンプルについて決定し、それらの比率を平均化した(±SD)。「化合物2」は、実施例2の化合物を示している。
【図9A】図9は、慢性多発性硬化症のモデルにおける(2−フェニルアリル)ヒドラジン投与の寛解効果を示している。図9Aは、(2−フェニルアリル)ヒドラジン処理マウスに対するPBS(リン酸緩衝生理食塩水)処理マウスにおける平均臨床スコアを示している。
【図9B】図9Bは、(2−フェニルアリル)ヒドラジン処理マウスに対するPBS(リン酸緩衝生理食塩水)処理マウスにおける疾病発生率のパーセンテージを示している。
【図9C】図9Cは、(2−フェニルアリル)ヒドラジン処理マウスに対するPBS(リン酸緩衝生理食塩水)処理マウスにおける慢性疾病に罹っているマウスのパーセンテージを示している。
【図9D】図9Dは、(2−フェニルアリル)ヒドラジン処理マウスに対するPBS(リン酸緩衝生理食塩水)処理マウスにおける再発総数を示している。
【図10】図10は、治療的投与後、足浮腫の減少に及ぼすSSAO阻害の効果を示している。マウスは、カラゲナン注射1時間後(矢印)に、実施例2の化合物((2−フェニルアリル)ヒドラジン、30mg/kg、経口)、インドメタシン(3mg/kg、経口)またはPBSを投与された。指示された時点で、足の容積が記録され、注射前の容積のパーセントとして表された。N=8マウス/群;*p<0.05。
【図11】図11は、SSAO阻害剤が足容積を減少させ(図11A)足浸出液中のPGE2濃度を低下させる(図11B)ことを表すデータを示している。1群当たり8匹のマウスの右後足蹠に、0.5%カラゲナン注射1時間前、PBS,インドメタシン(3mg/kg)または実施例2の化合物((2−フェニルアリル)ヒドラジン、50mg/kg)を投与した(経口投与により)。同様に、カラゲナン注射1時間前に、デキサメタゾン(3mg/kg)を腹腔内投与した。カラゲナン注射3時間後、マウスを殺処理し、それらの足浸出液を採取し、PGE2濃度をELISAにより決定した。星印は、以下のp値を示す:*p<0.05;**p<0.01。
【図12】図12は、マウス大腸炎モデルにおいて、SSAO/VAP−1阻害が、生存を延長させ、疾病症状を減少させ、組織学的スコアを改善することを表すデータを示している。オキサゾロン誘導大腸炎は、ヒト潰瘍性大腸炎に似たマウスモデルである。マウスを3%オキサゾロンで前感作し(0日目)、5日後、1%オキサゾロンで、直腸内抗原誘発した(5日目)。0日目に、実施例2の化合物((2−フェニルアリル)ヒドラジン、10mg/kg、1日2回、腹腔内)またはPBS(1日2回、腹腔内)で開始した。EtOH群のマウスを、3%オキサゾロンで前感作し、その後、5日目に50%EtOH(媒体)の腹腔内投与した。図12Aは、生存に及ぼす効果を、図12Bは体重に及ぼす効果を示している。図12Aにおいて、n=10、p<0.05;四角形はEtOH群を示し、三角形はPBS群を示し、円形は実施例2の化合物を投与されている群を示す。図12Bにおいて、n=10,アスタリスク*はp<0.05のp値を示し;四角形はEtOH群を示し、正三角形はPBS群を示し、逆三角形は実施例2の化合物を投与されている群を示す。
【図13】図13は、1%オキサゾロンの直腸内投与2日後に(7日目)オキサゾロン誘導大腸炎に罹っているマウスにおける大腸炎の組織学的評価を示している。大腸を固定し、H/Eで染色した。実施例2の化合物((2−フェニルアリル)ヒドラジン、20mg/kg/日)またはPBSによる処理を0日目に開始した。N=10マウス/処理群。データは2節のスコアに関するものである。GraphPad Prism ソフトウェア(カリフォルニア州、サンジエゴ)を用いて、アンペアードt検定で計算した。二重アスタリスク**はp<0.01を示す。
【図14】図14は、SSAO阻害剤が、治療的投与後、生存を延長させることを示している。マウスを3%オキサゾロンで前感作し(0日目)、5日後、1%オキサゾロンで、直腸内抗原誘発した(5日目)。実施例2の化合物((2−フェニルアリル)ヒドラジン、10mg/kg、1日2回、腹腔内)またはPBS(1日2回、腹腔内)による処理を6日目に開始した。N=10、p<0.05;四角形はPBSを投与されているマウスのデータポイントを示し;菱形は、実施例2の化合物を投与されているマウスのデータポイントを示す。
【図15】図15は、SSAO阻害剤による経口投与がLPSに誘導されたサイトカイン産生および致死率を低下させることを示している。1群当たり8匹のメスマウスに、腹腔内注射により5mg/kg LPSを投与した。LPS投与1時間前に、媒体(PBS)および実施例2の化合物((2−フェニルアリル)ヒドラジン、50mg/kg)を経口投与した。同時にデキサメタゾン(3mg/kg)を腹腔内投与した。LPS注射1、2、4、および8時間後、採血し、ELISA(R&Dシステム)により、循環TNF−αおよびIL−6濃度を測定した。アスタリスク*はp<0.01を示す。PBSのデータは白の、実施例2の化合物のデータは灰色の、デキサメタゾンのデータは黒の囲みで示す。
【図16】図16は、メスマウスに、300mg/kgのD−ガラクトサミンと共に、LPS(2mg/kg)を腹腔内投与した実験の結果を示している。実施例2の化合物((2−フェニルアリル)ヒドラジン)は、抗原誘発時、30mg/kgの経口管により送達(1×)、またはLPS注射(2×)0および8時間後に、2回投与した。最初の14時間の生存率データが示されている。生存率は、PBS処理マウスに関しては、40%、実施例2の化合物による1回または2回処理マウスに関しては、それぞれ60%および80%であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I−P:
【化1】

の化合物であって、
式中R1pが、H、C〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜C10アリール、C〜C14アラルキル、C〜Cヘテロアリール、C〜C14置換アリール、C〜C14置換ヘテロアリール、R−(CH−、およびR−Y−CH−からなる群から独立して選択され;
nが、独立して1または2であり;
が、独立してSまたはOであり;
が、H、C〜Cアルキル、Cl、F、またはCFから独立して選択され;
Xが、OまたはNRから独立して選択され;
が、H、C〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜C10アリール、C〜C14アラルキル、C〜Cヘテロアリール、C〜C14置換アリールおよびC〜C14置換ヘテロアリールから独立して選択され;
が、H、C〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜C10アリール、C〜C14アラルキル、C〜Cヘテロアリール、C〜C14置換アリールおよびC〜C14置換ヘテロアリールから独立して選択され;
が、H、C〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜C10アリール、C〜C14アラルキル、C〜Cヘテロアリール、C〜C14置換アリールおよびC〜C14置換ヘテロアリールから独立して選択され;
が、H、C〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜C10アリール、C〜C14アラルキル、C〜Cヘテロアリール、C〜C14置換アリールおよびC〜C14置換ヘテロアリールから独立して選択され;
ただしRが、非置換フェニルであり、RがHであり、XがNHである場合、RはHではない、化合物であって、
該化合物の全ての立体異性体、該化合物の全てのE/Z(シス/トランス)異性体、該化合物の全ての溶媒和物と水和物、該化合物の全ての結晶形態と非結晶性形態、および該化合物の全ての塩類を含む、化合物。
【請求項2】
1pが、非置換フェニルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
1pが、置換フェニルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
が、Hである、請求項1、2、または3に記載の化合物。
【請求項5】
Xが、Oである、請求項1、2、3、または4に記載の化合物。
【請求項6】
Xが、NRである、請求項1、2、3、または4に記載の化合物。
【請求項7】
が、HまたはC〜Cアルキルである、請求項1、2、3、4、5、または6に記載の化合物。
【請求項8】
が、HまたはC〜Cアルキルである、請求項1、2、3、4、5、または6に記載の化合物。
【請求項9】
式I−AP:
【化2】

による請求項1に記載の化合物であって、
式中:
1apが、置換または非置換のフェニルであり;
が、H、C〜Cアルキル、Cl、F、またはCFから独立して選択され;
Xが、OまたはNRから独立して選択され;
が、H、C〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜C10アリール、C〜C14アラルキル、C〜Cヘテロアリール、C〜C14置換アリールおよびC〜C14置換ヘテロアリールから独立して選択され;
が、H、C〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜C10アリール、C〜C14アラルキル、C〜Cヘテロアリール、C〜C14置換アリールおよびC〜C14置換ヘテロアリールから独立して選択され;
ただしRが、非置換フェニルであり、RがHであり、XがNHである場合、RはHではない、化合物であって、
該化合物の全ての立体異性体、該化合物の全てのE/Z(シス/トランス)異性体、該化合物の全ての溶媒和物と水和物、該化合物の全ての結晶形態と非結晶性形態、および該化合物の全ての塩類を含む、化合物。
【請求項10】
1apが、非置換フェニルである、請求項9に記載の化合物。
【請求項11】
1apが、置換フェニルである、請求項9に記載の化合物。
【請求項12】
Xが、Oである、請求項9、10、または11に記載の化合物。
【請求項13】
Xが、NRである、請求項9、10、または11に記載の化合物。
【請求項14】
が、HまたはC〜Cアルキルである、請求項9、10、11、12、または13に記載の化合物。
【請求項15】
が、HまたはC〜Cアルキルである、請求項9、10、11、12、または13に記載の化合物。
【請求項16】
式I−B:
【化3】

の化合物であって、
式中:
が、H、C〜Cアルキル、Cl、F、またはCFから独立して選択され;
91およびR92が、H、F、Br、Cl、I、C〜Cアルキル、およびC〜Cアルコキシから独立して選択され;
Xが、OまたはNRから独立して選択され;
が、H、C〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜C10アリール、C〜C14アラルキル、C〜Cヘテロアリール、C〜C14置換アリールおよびC〜C14置換ヘテロアリールから独立して選択され;
が、H、C〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜C10アリール、C〜C14アラルキル、C〜Cヘテロアリール、C〜C14置換アリールおよびC〜C14置換ヘテロアリールから独立して選択される、化合物であって、
該化合物の全ての立体異性体、該化合物の全てのE/Z(シス/トランス)異性体、該化合物の全ての溶媒和物と水和物、該化合物の全ての結晶形態と非結晶性形態、および該化合物の全ての塩類を含む、化合物。
【請求項17】
Xが、NRである、請求項16に記載の化合物。
【請求項18】
が、HまたはC〜Cアルキルである、請求項16または17に記載の化合物。
【請求項19】
が、HまたはC〜Cアルキルである、請求項16、17、または18に記載の化合物。
【請求項20】
91およびR92が、双方ともHである、請求項16、17、18または19に記載の化合物。
【請求項21】
式I−C:
【化4】

の化合物であって、
式中:
が、H、C〜Cアルキル、Cl、F、またはCFから独立して選択され;
91およびR92が、H、F、Br、Cl、I、C〜Cアルキル、およびC〜Cアルコキシから独立して選択され;
Xが、OまたはNRから独立して選択され;
が、H、C〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜C10アリール、C〜C14アラルキル、C〜Cヘテロアリール、C〜C14置換アリールおよびC〜C14置換ヘテロアリールから独立して選択され;
が、H、C〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜C10アリール、C〜C14アラルキル、C〜Cヘテロアリール、C〜C14置換アリールおよびC〜C14置換ヘテロアリールから独立して選択される、化合物であって、
該化合物の全ての立体異性体、該化合物の全てのE/Z(シス/トランス)異性体、該化合物の全ての溶媒和物と水和物、該化合物の全ての結晶形態と非結晶性形態、および該化合物の全ての塩類を含む、化合物。
【請求項22】
Xが、NRである、請求項21に記載の化合物。
【請求項23】
が、HまたはC〜Cアルキルである、請求項21または22に記載の化合物。
【請求項24】
が、HまたはC〜Cアルキルである、請求項21、22、または23に記載の化合物。
【請求項25】
91およびR92が、双方ともHである、請求項21、22、23または24に記載の化合物。
【請求項26】
式III:
【化5】

の化合物であって、
式中:
27が、H、C〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜C10アリール、C〜C14アラルキル、C〜Cヘテロアリール、C〜C14置換アリール、C〜C14置換ヘテロアリール、R23−(CH−、およびR24−Y−(CH)−から独立して選択され;
22が、H、C〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜C10アリール、C〜C14アラルキル、C〜Cヘテロアリール、C〜C14置換アリールおよびC〜C14置換ヘテロアリールから独立して選択され;
nが、独立して1または2であり;
n3が、独立して0、1、または2であり;
が、独立してSまたはOであり;
23およびR24が、H、C〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜C10アリール、C〜C14アラルキル、C〜Cヘテロアリール、C〜C14置換アリールおよびC〜C14置換ヘテロアリールから独立して選択される、化合物であって、
該化合物の全ての立体異性体、該化合物の全てのE/Z(シス/トランス)異性体、該化合物の全ての溶媒和物と水和物、該化合物の全ての結晶形態と非結晶性形態、および該化合物の全ての塩類を含む、化合物。
【請求項27】
27が、非置換フェニルである、請求項26に記載の化合物。
【請求項28】
27が、置換フェニルである、請求項26に記載の化合物。
【請求項29】
22が、HまたはC〜Cアルキルである、請求項26、27、または28に記載の化合物。
【請求項30】
式III−A:
【化6】

の請求項26に記載の化合物であって、
式中:
21が、H、C〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜C10アリール、C〜C14アラルキル、C〜Cヘテロアリール、C〜C14置換アリール、C〜C14置換ヘテロアリール、R23−(CH−、およびR24−Y−(CH)−から独立して選択され;
22が、H、C〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜C10アリール、C〜C14アラルキル、C〜Cヘテロアリール、C〜C14置換アリールおよびC〜C14置換ヘテロアリールから独立して選択され;
nが、独立して1または2であり;
が、独立してSまたはOであり;
23およびR24が、H、C〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜C10アリール、C〜C14アラルキル、C〜Cヘテロアリール、C〜C14置換アリールおよびC〜C14置換ヘテロアリールから独立して選択される、化合物であって、
該化合物の全ての立体異性体、該化合物の全てのE/Z(シス/トランス)異性体、該化合物の全ての溶媒和物と水和物、該化合物の全ての結晶形態と非結晶性形態、および該化合物の全ての塩類を含む、化合物。
【請求項31】
27が、非置換フェニルである、請求項30に記載の化合物。
【請求項32】
27が、置換フェニルである、請求項30に記載の化合物。
【請求項33】
22が、HまたはC〜Cアルキルである、請求項30、31、または32に記載の化合物。
【請求項34】
式III−B:
【化7】

の請求項26に記載の化合物であって、
式中:
25が、C〜C10アリール、C〜C14アラルキル、C〜Cヘテロアリール、C〜C14置換アリール、およびC〜C14置換ヘテロアリールから独立して選択され;
22が、H、C〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜C10アリール、C〜C14アラルキル、C〜Cヘテロアリール、C〜C14置換アリールおよびC〜C14置換ヘテロアリールから独立して選択される、化合物であって、
該化合物の全ての立体異性体、該化合物の全てのE/Z(シス/トランス)異性体、該化合物の全ての溶媒和物と水和物、該化合物の全ての結晶形態と非結晶性形態、および該化合物の全ての塩類を含む、化合物。
【請求項35】
27が、非置換フェニルである、請求項34に記載の化合物。
【請求項36】
27が、置換フェニルである、請求項34に記載の化合物。
【請求項37】
22が、HまたはC〜Cアルキルである、請求項34、35、または36に記載の化合物。
【請求項38】
式III−C:
【化8】

の化合物であって、
式中:
26が、C〜C10アリール、C〜C14アラルキル、C〜Cヘテロアリール、C〜C14置換アリール、およびC〜C14置換ヘテロアリールから独立して選択され;
22が、H、C〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜C10アリール、C〜C14アラルキル、C〜Cヘテロアリール、C〜C14置換アリールおよびC〜C14置換ヘテロアリールから独立して選択される、化合物であって、
該化合物の全ての立体異性体、該化合物の全てのE/Z(シス/トランス)異性体、該化合物の全ての溶媒和物と水和物、該化合物の全ての結晶形態と非結晶性形態、および該化合物の全ての塩類を含む、化合物。
【請求項39】
27が、非置換フェニルである、請求項38に記載の化合物。
【請求項40】
27が、置換フェニルである、請求項38に記載の化合物。
【請求項41】
22が、HまたはC〜Cアルキルである、請求項38、39、または40に記載の化合物。
【請求項42】
治療に使用するための請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、または41に記載の化合物。
【請求項43】
炎症または炎症性疾患の治療に使用するための請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、または41に記載の化合物。
【請求項44】
免疫疾患または自己免疫疾患の治療に使用するための請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、または41に記載の化合物。
【請求項45】
多発性硬化症の治療に使用するための請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、または41に記載の化合物。

【図1A】
image rotate

【図1B】
image rotate

【図2A】
image rotate

【図2B】
image rotate

【図2C】
image rotate

【図3A】
image rotate

【図3B】
image rotate

【図4A】
image rotate

【図4B】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9A】
image rotate

【図9B】
image rotate

【図9C】
image rotate

【図9D】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate


【公表番号】特表2007−501802(P2007−501802A)
【公表日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−522795(P2006−522795)
【出願日】平成16年8月6日(2004.8.6)
【国際出願番号】PCT/US2004/025699
【国際公開番号】WO2005/014530
【国際公開日】平成17年2月17日(2005.2.17)
【出願人】(593216099)ラ ホヤ ファーマシューティカル カンパニー (2)
【氏名又は名称原語表記】La Jolla Pharmaceutical Company
【Fターム(参考)】