説明

疾患を検出するための、DNAユークロマチンを同定し評価する方法

本発明は、生物学的細胞中のDNAユークロマチンを同定し評価する方法である。DNAユークロマチンの量及び/又は分布状態は、RNA/タンパク質合成と一般に関係があり、疾患、且つ/或いは環境及び/又は化学物質に対する細胞応答などの、いくつかの条件において変化する可能性がある。本発明は、表面上は正常な細胞中のDNAユークロマチンを評価することによって、疾患の潜在的な存在を検出し、治療応答性をモニターし評価するための手段を同様に提供する。本発明を使用して、環境、放射、化学物質、薬剤、薬草、ビタミンなどの、影響を加える(或いは除去する)ことがどのように相互作用して、細胞に影響を与えるかを評価し、健康状態の調査及び薬理学的スクリーニングの際の使用を確立させることもできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
生物学的細胞は、それらがそのプログラム化された義務を果たす際に、栄養、化学物質及び細胞因子の海に浸っている複雑な経路を介して生存し連絡している。疾患及び感染のいくつかの場合、多数の細胞が、身体の防御機構に関与する、或いは他の場合はそれを支援することを要求される。生物学的活性を有する様々な分子が、細胞核に浸透し、二本鎖状態又は一本鎖状態のDNAと結合し、これによってDNAらせんの開裂又は閉鎖に関与し、それ故のRNA/タンパク質合成の上方又は下方制御に関与する。疾患に直面すると、細胞は劇的な様式で応答し、現在の義務を放棄して新しい役割を採り入れ、時折分化して抗体産生細胞又はスカベンジャー細胞になる可能性がある。しかしながら、細胞修復などの通常の有益な機能調整任務を果たす他の細胞は破壊されて、癌組織の増殖又は血管新生を助長する因子が生成する可能性がある。
【背景技術】
【0002】
時折、罹患組織と隣接しているか或いはそこから離れている細胞が、系中を循環する細胞因子によって疾患の存在に変わる可能性がある。しかしながら、明確な様式で応答する代わりに、様々な細胞がDNAのわずかな再編成を受ける可能性があり、この再編成は、凝縮クロマチン(ヘテロクロマチン)と、RNA/タンパク質合成において一般的に活性がある可能性がある、さらに緩くパッケージされたDNA(ユークロマチン)の両方において、観察することができる。典型的には、これらの方法によってDNAを観察するためには、DNAを視覚的に増大させることが必要であり、これは染色を伴う。しかしながら、DNAの量及び/又はDNAの分布状態を測定するためには、DNAを化学両論的に、即ち特異的且つ割合的に染色することが必要である。
【0003】
(細胞の有糸分裂と関係がない)全DNA含量の変化は診断上使用されてきており、さらに近年は、DNAの空間的分布の立体配置の変化に基づいて、癌などの疾患を検出するための改善された法が導入されてきている。1つのこのような方法は、悪性腫瘍関連変化(「MAC」)と呼ばれるものを使用するものであり、これらの変化は、癌などの疾患の存在下において時々観察され、細胞因子に対する一般に非特異的な応答の一例を提供する。
【0004】
悪性腫瘍関連変化(MAC)は、表面上は正常な細胞中のDNAの分布状態において主に観察される、わずかな変化であると考えられる。MACに基づくアッセイは、総DNAに基づく測定、又は特定のDNA変化を検出する遺伝的試験とは著しく異なる。何故ならMACとは異なり、これらのアッセイは、異常な細胞を利用するものだからである。したがって、悪性腫瘍関連変化(MAC)は、遺伝的試験ほど特異的ではない可能性はあるが、それらは、表面上は正常な細胞中の、疾患の存在又はDNA分布状態の変化を検出するための手段を提供する。MACの利点には、関連又は非関連組織由来の細胞を利用して、癌などの疾患を検出できることが挙げられる。
【0005】
関連組織は、試験する組織由来のみかけが正常な細胞を含むと妥当に予想することができる、サンプルであると思われる。例えば、喀痰サンプルを、肺癌をスクリーニングするために使用する場合、それは(剥離した肺細胞を含む)関連組織であると考えられ、乳癌を検出するための乳頭吸引液も同様であろう。乳頭吸引の考察は、Petrakis、「Physiologic,Biochemical,And Cytologic Aspects Of Nipple Aspirate Fluid」中で見ることができ、他の考察はLeifによる「Centrifugal Cytology Of Nipple Aspirate Cells」中に与えられている。或いは、さらに利用しやすいか或いは好都合な細胞源(化学的メッセージによって疾患の存在に変えられている可能性がある)が、試験中の組織由来の多数の細胞を含む可能性がない場合、これは非関連組織であると考えられるであろう。したがって、例えば、口腔(頬粘膜)由来の細胞を、肺癌を検出するためのアッセイ用に使用する場合、頬粘膜は非関連組織であると考えられるであろう。
【0006】
MACのパラダイムの1つの考えられる制約は、本発明によって企図されるように、それが細胞核中のほぼすべてのDNAを染色することに基づくものであり、RNA/タンパク質合成と関係がある細胞活性を不明瞭にする可能性があることである。
【0007】
したがって、疾患の存在に対する高い感受性を与え、みかけが正常な細胞に基づく疾患検出法を与えることは有利であると思われる。本発明はこのような方法であり、DNAユークロマチンの量及び/又はDNAユークロマチンの分布状態で測定される変化に基づいて、疾患を検出しモニターするための手段を提供し、したがってRNA/タンパク質合成に関する細胞の現在の可能性を評価する間接的な方法を提供する。
【0008】
本明細書で使用する、「細胞応答因子」(CRF)とは、生物学的細胞中のDNAユークロマチンの量及び/又はDNAユークロマチンの分布状態で測定又は観察することができる、タンパク質、化学物質、ストレス(例えば熱、磁気又は電磁気エネルギー、圧力、又は他の形のエネルギー)、薬剤、ビタミン、薬草、化粧品、又は環境条件などの外部の影響に対する、任意の細胞応答を意味する。濃度、及び細胞が遭遇するストレスの程度は、in vivoでは限られる可能性があるが、本発明の方法は単独で使用することができ、或いは、他のアッセイ又はバイオマーカーと組み合わせて、植物細胞、培養細胞、幹細胞、細菌、又は、生きているか若しくは死んでいる、生物学的細胞の任意の他の源中において使用することができる。
【0009】
一般にDNAユークロマチンは、正確、安全且つ柔軟に細胞核内の壮大な細胞プログラムを進行させる、DNA、RNA及びタンパク質のユニークな組合せである。本明細書で使用する、「ユークロマチン」又は「DNAユークロマチン」とは、転写により活性状態になると思われる、生物学的細胞中のDNAの部分を意味する。この定義は、緩くコイル状であるDNA部分を含む。約10パーセントのDNAユークロマチンが、10nmの繊維として細胞中に存在する可能性があり、何本かの開いた鎖は直径約4nmである。DNAユークロマチンの残りは、典型的には20〜30nmの繊維として出現する。逆に、ヘテロクロマチンはユークロマチンよりも凝縮されており、転写により活性状態になることはなく、さらにコイル状になって、直径300nmの範囲の繊維を形成する可能性がある。
【0010】
生物学界では、DNA、及び癌などの疾患とDNAとの関係の発見以来、生物学的細胞中のDNA含量を定量化するための方法を開発するために、相当な尽力がなされてきている。さらに近年、細胞学者はイメージサイトメーター、濃度計、フローサイトメーター、及びレーザースキャン式サイトメーターなどのツールを与えて、大きさ、形状、DNA含量及びDNA分布状態などの細胞の特徴を測定してきている。イメージサイトメーターによって細胞全体のDNAを測定するためには、DNAを最初に化学両論的に、即ちDNAの量に比例して染色することが必要である。フォイルゲン法は、1つのこのようなDNA染色法であり、その対照物質はパラロサニリン又はチアジン誘導体であることが多い。フォイルゲン手順で使用される、最も一般的な染色物質には、パラロサニリン、アズールA、チオニン、及びアクリフラビン(吸光度及び蛍光染色手順において使用することができる)がある。有用なDNA染色物質に関する他の詳細は、「A Comparative study of quantitative stains for DNA in image cytometry」という表題のMikelの刊行物中で見ることができる。
【0011】
フォイルゲン法を使用してDNAを染色するために、典型的には塩酸を使用して、DNAを最初に加水分解し、これによってプリン塩基を特異的且つ定量的に除去し、DNAのピリマジン−糖結合を完全な状態に保つ。裸にされたデオキシリボース糖は、DNAの骨格に沿ったアルデヒド基を暴露し、これらの基が後にシッフの試薬と結合して染色強度を生み出し、これは細胞中のDNAの量と正比例することが理想的である。
【0012】
フォイルゲン染色法は数十年で進化し、この進展中に、DNA染色に影響を与えるいくつかの変数が同定された。これらの変数には、細胞固定、反応温度、加水分解時間、酸濃度、組織型及びクロマチンの凝縮性がある。2つの一般的なDNA用のフォイルゲン染色法が認められるようになっており、DNA加水分解に関する条件が主に異なる。第1の方法は、比較的高い酸濃度(5NのHCL)での室温(25℃)におけるDNA加水分解を支持するものである。第2の方法は、1NのHCLを使用する60℃の反応温度を採用するものである。
【0013】
簡潔には、顕微鏡スライド上に置いた細胞を、前に記載した加水分解条件下で、典型的には20分から65分の間浸す。この時間中に、すべてのプリン塩基(アデニン及びグアニン)が、DNAから除去されることが理想的である。この還元状態は、ある程度の時間の間は比較的安定していることがあり、その後、連続的な酸加水分解によって、光学濃度の低下により示すことができるような、DNAの分解が引き起こされる。
【0014】
DNA加水分解を研究しながら、何人かの研究者達は、DNAの分画はすぐに染色されるらしいことを観察した。彼らは、DNAのこの部分を酸不安定と呼び、酸加水分解の動態をさらに詳しく研究し始め、酸不安定の特性を使用して、正常細胞と疾患細胞を区別することを期待した。さらなる考察は、Sincock、「Semi−Automated Diagnosis Of Cervical Intra−Epithelial Neoplasia Grade 2 By The Measurement Of Acid Labile DNA In Cytologically Normal Nuclei」、Soames、「Feulgen hydrolysis profiles and acid−labile DNA in oral squamous cell carcinoma」、Finch、「Malignancy Associated Changes In Buccal Smears」、Klawe、「Malignancy−Associated Changes(MAC)In Cells Of Buccal Smears Detected By Means Of Objective Image Analysis」、Partington、「Quantitative Determination Of Acid−Labile DNA In Cervical Intraepithelial Neoplasia− A Potential Aid In The Diagnosis Of Malignancy」、Ogden、「The Effect Of Distant Malignancy Upon Quantitative Cytologic Assessment Of Normal Oral Mucosa」、Sincock、「A Semi−Automated Procedure For Aiding The Diagnosis Of Cervical Neoplasms Based On The Measurement Of Acid−Labile DNA In Exfoliated Cells」、Sincock、「Semiautomated Measurement Of Rapidly Hydrolyzed DNA In The Diagnosis Of Mammary Carcinoma」、及びSincock、「Quantitative Assessment Of Cervical Neoplasia By Hydrolysed DNA Assay」に見ることができる。
【0015】
残念ながら、これらの研究からは、酸不安定DNAの全量に基づく、広く受け入れられるアッセイは発展しなかった。制約としては、厳しい条件下で多数のスライドを調製する必要性があることが含まれ、したがって、時間、コスト及びこれらの可能性のある方法の複雑性が増大する。加えて、さらに論じるように、これらの適用例は、MACアッセイと同様に、RNA/タンパク質合成と関係がある細胞変化に対して低い感受性を有する可能性がある。
【0016】
興味を引いたDNAの他の側面は、細胞核中でのその空間的分布であった。1950年代後半に、Nieburgsはわずかな細胞の変化を同定し、これを疾患と関連付けた。最初に記載されたとき、悪性腫瘍関連変化(MAC)は珍奇なものであった。Nieburgs;「Recent Progress In The Interpretation Of Malignancy Associated Changes(MAC)」、ACTA Cytologica、1968、Vol.12、No.6。様々な研究者達が、Neiburgsの研究を再現しようと試みた。ごく最近、MACのパラダイムが再浮上し、自動式測定法が示唆された。依然として議論の余地はあるが、MACは、みかけは正常な細胞核のDNAの分布状態で測定される、わずかな変化として説明され、腫瘍又は他の細胞因子に対する非特異的且つ潜在的に全身性の応答と関係がある。したがって本発明では、好都合な術語として、一般的用語「細胞応答因子」即ち「CRF」を採用する。
【0017】
MAC法は米国特許第5889881号中に記載され、さらに米国特許第6026174号中に記載されている。さらに、「Computerized methods and systems related to the detection of malignancy−associated changes(MAC)to detect cancer」という表題の2002年8月29日前後に出願された、MacAulay、Ferguson他の同時係属米国特許出願第10/232,698号は、細胞の特徴を計算する前にデジタル画像の正規化に基づきMACの評価を改善し、それによってこれらの細胞の特徴を識別する能力を保つための方法をさらに記載している。本発明は、CRF又はDNAユークロマチンの他の記述子を測定する際に使用するための、画像の正規化を支持する実施形態を含む。
【0018】
DNAユークロマチンは、優先的に染色し評価することができる。いくつかの場合、例えば顕微鏡スライドなどの受容表面に細胞を置く場合、同じ細胞をさらに加水分解し、残りのDNAを染色することができる。これによって、DNAユークロマチンの量及び分布状態と、細胞全体のDNA及びその分布状態を、細胞毎の単位で比較するための手段が提供される。この方法で測定されるDNA合成の量及び所在部位によって、さらなる診断情報を提供することができる。他の顕微鏡法が広い容認を得ているので、これらの能力は高い重要性を有する可能性がある。例えば、共焦点顕微鏡によって、三次元の再構築用の複数の細胞の画像片を集める能力が提供される(例えば米国特許第6388809号)。本明細書において企図されるように、受容表面に関するこの但し書きは、フローサイトメーターなどの他の測定ツールが、DNA及び関連する細胞の特徴を測定する能力を与えることができることを、思い出させるものとして働く。これらのシステムは、流体環境中に細胞を維持し、典型的には細胞を、レーザーを含むことが多いセンサーへと誘導する。フローサイトメトリーによる分析の後、細胞選別などの特別な努力を利用しない限りは、アッセイで使用する生物学的細胞は、典型的には失われる。
【0019】
数十年の努力が、ほぼすべてのDNAを染色するためのフォイルゲン法の最適化に費やされているが、フォイルゲン法は典型的には、DNAユークロマチンの優先的な染色を提供するわけではなく、本発明に利点を与えるために活用することができる方法における1ステップを与える。このステップはDNA加水分解に関するものであり、それにより酸を使用して、DNA骨格からプリン塩基を選択的且つ特異的に取り除く。典型的には、パラロサニリン又はチオニンなどのチアジン誘導体などのDNA吸収性染色物質が、対照物質として使用される。他のDNA染色物質には、ヨウ化プロピジウム、DAPI、Hoechst(33342及び33258)、SYTOX(青色、緑色又はオレンジ色)などの、アデニン−チアミン選択的染色物質、並びにクロモマイシンA3及びミトラマイシンなどのシトシン−グアニン染色物質がある。しかしながら、典型的にはこれらの染色物質が、濃縮クロマチンとユークロマチンを区別することはない。しかしながら、将来的に、いくつかのDNA部位を阻害して、その後1つ又は複数のこれらのDNA蛍光染色物質を本発明用に活用することができる可能性がある。核酸を素早く染色するための新しい方法(例えばUS6271035)が導入されており、マイクロ波も染色を容易にするために使用されてきている。
【0020】
DNA及びDNAユークロマチンを評価するための他の方法は、DNAのメチル化状態に基づく。これらの技法は比較的複雑で、DNAを細胞から除去し、PCR又は他の技法を使用してさらに操作することを典型的には必要とする。ここでも、メチル化状態に基づくDNA法は、入手又は接近することが困難である可能性があり、ときにはバイオプシー手順を必要とする異常な細胞に対して最適に機能する。
【0021】
したがって、容易に接近可能な、みかけは正常な細胞に適用することができると思われる、疾患を検出し調べる簡潔な方法を提供することが有利であると思われる。バイオプシーから得た組織は、本発明、危険集団のスクリーニングなどの、多量体積の用途に使用することができるが、接近可能な体腔(例えば頚部)、体液(例えば血液又は尿)、吸引液(例えば乳液又は穿刺吸引液)、洗浄物(例えば気管支洗浄又は前立腺洗浄)、又は典型的には剥離細胞が豊富なサンプル(例えば、肺喀痰又は口腔由来の細胞)からの細胞のスクレーピングを使用することが好ましい可能性がある。本発明の方法は、特異的マーカー又は疾患機構がまだ完全には理解されていない疾患、例えば自己免疫疾患、ストレス障害、慢性疲労症候群、アレルギー、加齢性障害、感染、又はアルツハイマー病などの他の変性疾患を検出しモニターするのに有用となる可能性もある。同様に、ビタミン、薬草、食品栄養剤、薬剤の複雑な相互作用、及び日光から細胞音までの様々な形のエネルギーへの暴露によっても、DNAユークロマチンにおいて観察可能な細胞の変化を引き起こす可能性がある。これらは例えば、治療に対する疾患応答性のモニタリング、健康状態の評価、生物活性の評価、又は薬理学的物質のスクリーニングに利用することができる。一般的に言うと、細胞中のRNA/タンパク質合成の変化を引き起こすか、或いはそうした変化と関係があるものは何でも、これらの変化が微生物、植物又はヒト中で起ころうと、潜在的に関心が持たれる。さらに、DNAユークロマチンの評価を使用して、細胞死(アポトーシス)又は他の生物学的プロセスを、或いは例えば死滅した細胞又は死滅しつつある細胞をサンプル採取することによる「死期」の決定などの、新しいアッセイの基盤として、さらに特徴付けることが有用である可能性がある。
【0022】
1960年代半ばに、Decosse及びAielloは、DNAの酸加水分解を記載し、5.0NのHCLを使用する室温(26℃)でのフォイルゲンの加水分解は、1.0NのHCLを使用する60℃でのDNAの酸加水分解と本質的に同等であったことを結論付けた、「Feulgen Hydrolysis:Effect Of Acid And Temperature」という表題の論文を発表した。この著者らは、室温において前者によって与えられた120分の停滞状態は、60℃で観察された20分の安定状態より優れていたことを示した。さらに彼らは、脱プリン化(DNAからのプリン塩基の除去)は酸濃度に主に依存しており、その後のDNA分解は酸よりも熱に主に依存すると結論付けた。したがって、加水分解に関するこれらの反応温度及び条件は、従来技術で論じられたものとは反対である。本発明のいくつかの実施形態は、優先的な染色によって評価するためのDNAユークロマチンを同定し、例えば、DNAの酸加水分解に関する反応温度を約10℃低下させると、加水分解は(所与の温度で)4倍遅れると思われ、これによってDNA染色よりも改善された対照が与えられ、より詳細にはDNAユークロマチンの優先的な染色が容易になる。
【0023】
その後、Fukudaは、DNAの酸加水分解及び染色の歴史を、「Errors in Absorbance Cytophotometry」中に要約し、「Biological Application Of Absorbance Cytophotometry」中でさらに論じた。同様の結論が、Zeleninによる「Peculiarities Of Cytochemical Properties Of Cancer Cells As Revealed By Study Of Deoxribonucleoprotein Susceptibility To Feulgen Hydrolysis」中、及びKjellstandの「Temperature And Acid Concentration In The Search For Optimum Feulgen Hydrolysis Conditions」中で観察された。
【0024】
さらに近年、「Methods and apparatus for immunoploidy analysis」という表題のBacusの米国特許第5016283号は、5NのHCL中での60〜75分間の酸加水分解と、それに続く60分間のチオニン染色を教示している。同様に、「Apparatus and method for analysis of biological specimens」という表題のBacusの米国特許第5485527号は、5NのHCL中での60〜約75分間の酸加水分解を教示している。さらに、「Composition and method for staining cellular DNA,comprising thiazine derivative metabisulfite and method」という表題のLamの米国特許第5942410号は、DNA染色に関する従来技術についてまとめ、5NのHCL中での60分のDNA加水分解時間、次に75分の染色をさらに推奨している。DNA染色は、「Cytological stain composition」という表題のZahniserの米国特許第6348325号中でも論じられている。
【0025】
DNAの測定値を測定し活用するための現在の装置及び方法は、「Method and apparatus for automatically detecting malignancy−associated changes」という表題のMacAulayの米国特許第5889881号中、及び「System and method for automatically detecting malignant cells and cells having malignancy−associated changes」という表題のPalcicの米国特許第6026174号中にも教示されている。この従来技術は、疾患を検出するための、DNA含量(倍数性)及びMAC(表面上は正常な細胞内のDNAの分布状態において主に表される、わずかな変化)の使用を教示し、且つ様々な有用な細胞の特徴を論じる。さらに、MACを使用する疾患検出用のDNAの記述子は、「Computerized methods and systems related to the detection of malignancy−associated changes(MAC)to detect cancer」という表題の2002年8月29日前後に出願された、MacAulay、Ferguson他の同時係属米国特許出願第10/232,698号中でさらに論じられており、これは特に、DNAの測定、細胞の特徴、及び細胞のデジタル画像を最初に正規化することによって、細胞の特徴を正規化するための方法を論じている。
【0026】
このMACの従来技術は、細胞の特徴の組合せを使用すること、及びDNA測定値を、CRFと同様に細胞応答因子であるとみなすことができる、MAC値などの値に低下させることについても論じている。したがって、このMACの従来技術、及び本明細書中で引用した他の従来技術は、本明細書に参照によって含まれる。
【0027】
今日、DNAらせんが、RNA又はDNA合成を開始させるために特定の遺伝子座において、局所的な鎖の分離を受けなければならないことは理解されている。このような活性は、遺伝子の転写及び複製中に観察される。様々細胞型中の大部分のDNAは、細胞のプログラミングの後は特に、不活性な状態である。したがって、全DNA及びDNAユークロマチンを測定すること、及びDNAユークロマチンの割合などの比率としてこれらの値を表すことが、有用である可能性がある。
【0028】
関連した研究において、研究者達は、酸不安定DNAの増加が、悪性腫瘍と関係している可能性があると考えた。酸不安定DNAは、Sincockによって探された。彼はFukuda(「Errors in Absorbance Cytophotometry」)より低い加水分解温度を提案し、5NのHCL中で30℃において加水分解を行い、いくつかの疾患(CIN2)は、S期(その最中に、有糸分裂中の細胞が、ほぼ同じそれらのDNAをコピーする期)の細胞の割合の増大を引き起こす可能性があることを示した。以前、Millenも、「Feulgen−Hydrolysis Profiles In Cells Exfoliated From The Cervix Utero:A Potential Aid In The Diagnosis Of Malignancy」中で、以前の研究で使用された温度より低い温度を提案し、室温における5NのHCLを選択した。同様に、Partingtonは、「Quantitative determination of acid−labile DNA in cervical intraepithelial neoplasia」中でこの提案をした。「Feulgen Hydrolysis Profiles And Acid−Labile DNA In Oral Squamous Cell Carcinoma」という表題のSoamesの1995年の論文中では、加水分解条件は、室温における5NのHCLであった。前に引用したKjellstandは、フォイルゲン加水分解に関する広範囲の温度及び酸性を論じているが、彼が部分的なDNA染色に関する利点を論じ認めることはなく、したがって、本発明の方法及び実施形態とは反対の結論及び推奨を与えている。
【0029】
「Identification of differentially methylated and mutated nucleic acids」という表題のDuffyの米国特許第5871917号は、特に、遺伝子のコード領域及び調節領域の近くに存在するゲノムDNA断片を、検出し単離するための方法を論じている。DNAは腫瘍細胞中ではメチル化されることが多いことを記す。
【0030】
「Nucleic acids that encode testes specific protease and detect DNA hypomethylated in cancer cells」という表題のDuffyの米国特許第6451555号は、遺伝子のコード領域及び調節領域の近くに存在するゲノムDNA断片を検出及び単離し、様々な領域中でDNAがメチル化される程度を感知するための方法を論じている。
【0031】
「Methods and kits for fractionating a population of DNA molecules based on the presence or absence of a base−pair mismatch utilizing mismatch repair systems」という表題のModrichの米国特許第5556750号は、指標としてDNAタンパク質複合体形成を使用して、塩基対ミスマッチを検出するための、DNA鎖の接触及び比較を論じている。
【0032】
ヒトゲノムプロジェクトでは、本質的に線状構造の問題(核酸配列)に対処したが、タンパク質は、大部分のそれらの官能基を、それらをしばしば高い特異性で他の化学物質及びタンパク質と反応及び相互作用させる形状及び暴露又は帯電領域から誘導する、三次元の問題点を示す。したがって本発明は、塩基対ミスマッチなどの特異的な異常を測定しようとするものではなく、細胞レベルでRNA/タンパク質合成と関係がある変化を測定しようとするものである。
【0033】
「Hydromethyl(methylenecyclopentyl)purines and pyrimidines」という表題のZahlerの米国特許第5206244号は、メチル化試薬、及びタンパク質合成、及びより詳細にはDNAの構成単位−プリン、アデニン及びグアニン、並びにピラミジン、シトシン及びチミンのメチル化状態と関係がある、様々な因子を論じている。
【0034】
「Acid−labile subunit(ALS)of insulin−like growth factor binding protein complex」という表題のBaxterの米国特許第5936064号は、特異的な酸不安定タンパク質及びその断片を論じている。この従来技術は概して、酸不安定タンパク質、及びタンパク質状態をそれらのアミノ酸に基づいて評価するための手段に関するものである。
【0035】
「Stimulation of tanning by DNA fragments or single−stranded DNA」という表題のGilchrestの米国特許第5643556号は、紫外線光などの物質への暴露に由来する皮膚へのダメージを特に論じている。この特許(556)はメラニン形成−刺激に関心を置くものであるが、本発明を使用して、様々な物質が細胞応答と関係があるかどうか、評価するのを手助けすることができると思われる。
【0036】
「Process for detecting Alzheimer disease using cultured cells」という表題のSanford−Mifflinの米国特許第5773219号は、ギャップ及び切断などのDNAの評価値を使用する。このような変化は、本明細書において企図されるように、DNAユークロマチンの評価値によって推測することもできる。
【0037】
「DNA structure specific recognition protein complexes」という表題のDonahueの米国特許第5670621号は、DNA構造、哺乳動物の細胞因子及び薬剤応答を特に論じている。
【0038】
「Method of dynamic retardation of cell cycle kinetics to potentiate cell damage」という表題のGrimleyの米国特許第6455593号は、細胞抑制物質及び標的化細胞毒性障害を記載している。ここでも、本発明を単独又は組合せで使用して、様々な物質の発見を評価又は支持するのを手助けすることができる。
【0039】
「Methods and systems for treating breast tissue」という表題のHungの米国特許第6391026号は、乳疾患を治療するために使用される診断法及びエネルギー形態を記載している。本発明は、例えば、このような治療の有効性を調べるのを手助けする際に、使用することができると思われる。
【0040】
「Devices and methods for obtaining and assaying mammary fluid samples for evaluating breast diseases,including cancer」という表題のQuayの米国特許第6287521号は、哺乳動物の体液などの、細胞を含む生物サンプルを得ることを論じている。本明細書に記載するように、乳吸引液は、本発明によって企図されるように乳癌を検出するための関連組織であると考えられる。
【0041】
「Method for correction of quantitative DNA measurements in a tissue section」という表題のFreedの米国特許第6035258号は、組織学的組織のフォイルゲン染色をさらに論じている。同様の方法を、望み通りに本発明の方法に適用することができると思われる。
【0042】
「Method to detect DNA damage and measure DNA repair rate」という表題のVan Houtenの米国特許第5989816号は、DNAの修復を測定し様々な治療法の有効性を調べるためのDNAアッセイを論じている。本発明を使用して、このようなアッセイを支持することができる。
【0043】
「Accuracy in cell mitosis analysis」という表題のKamentskyの米国特許第5633945号は、蛍光染色物質を用いたDNA染色、及びサイトメーターを使用する測定を記載している。したがって、DNAの測定、及び細胞周期の評価が論じられ、例えばこの特許の図3、14、15及び16中と同様にプロットされている。したがって、DNAのヒストグラムは、本発明の図1a中の従来技術のものと同様に表される。
【0044】
「Method and apparatus for automatic image analysis of biological specimens」という表題のDouglass他の米国特許第6215892号は、DNAを測定するために使用することができるイメージサイトメーターを論じている。
【0045】
「Methods for monitoring the effects of chemotherapeutic agents on neoplasmic media」という表題のAlfanoの米国特許第5849595号は、レチノイン酸などの物質、及び細胞レベルでの影響を測定するための手段を特に論じている。様々な物質の影響のモニタリングは、本発明に関して企図される。
【0046】
「Apparatus and process for determining the susceptibility of microorganism to antibiotics」という表題のGibsonの米国特許第3957583号は、生物活性の評価、及び薬理学的スクリーニンング、及び様々な培養培地における問題及び関心のいくつかを論じている。
【0047】
「Methods and apparatus for immunoploidy analysis」という表題のBacusの米国特許第5016283号は、他の構造のイメージサイトメーター、及び時にはエストロゲンなどの他の生物学的指標と共に、DNAを染色し測定するための方法(例えばフォイルゲン)を論じている。さらに、この特許(283)は、例えば、DNAキャリブレータを使用し、DNA値をピコグラムに転換する、DNA含量を表す様々な方法を論じている。このような転換は、望み通りに本明細書で企図されるようにDNAユークロマチンに適用することができると思われる。
【0048】
「Methods and apparatus for analysis of biological specimens」という表題のBacusの米国特許第5485527号は、確立されており提案済みのDNA染色(例えば、チオニンを使用する)及びさらに詳細にはDNAの加水分解条件のさらに他の例となるDNA測定をさらに論じている。
【0049】
DNA染色は、さらに詳細に、「Thionin staining and imaging technique」という表題のZahniserの米国特許第5168066号で論じられており、チオニンを用いるDNA染色、及び細胞質などの様々な細胞要素の対比染色をさらに論じている。
【0050】
「Composition and method for staining cellular DNA,comprising thiazine derivative metabisulfite and methanol or ethanol」という表題のLamの米国特許第5942410号は、DNA及びフォイルゲン染色法をさらに論じている。
【0051】
「Method for predicting the future occurrence of clinically occult or non−existent medical conditions」という表題のRavidinの米国特許第5862304号は、予後のデータの評価及びDNAのヒストグラムを論じている。
【0052】
「Medical wellness parameters management system,apparatus and method」という表題のCosentinoの米国特許第6454705号は、患者をモニターすること、情報に修正を加えて値を形成することを論じており、且つ傾向の認識及び調査頻度を論じている。この特許(705)は、症候性患者を同定するための系統的な意思決定法を記載しており、さらに、本発明の方法を使用して、DNAユークロマチン中で観察される、非特異的な変化(例えば、RNA/タンパク質合成の変化)を同定することができ、これらの変化を、癌を含めた肺関連疾患の現在又は過去の喫煙者などの無症候群をスクリーニングするために使用することができる。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0053】
本発明は、例えば、疾患を検出し、健康状態をモニターし、生物活性を評価し、且つ薬理学的スクリーニングをするための、生物学的細胞中のDNAユークロマチンを同定し評価する方法である。一実施形態は、例えば生物学的細胞中のDNAを優先的に染色することにより、DNAユークロマチンを同定し評価することに基づいて、疾患を検出し、治療に対する疾患の応答性をモニターするための方法を記載する。他の実施形態は、DNAユークロマチン、例えば個々の細胞中のDNAユークロマチンの量及びDNAユークロマチンの分布状態を同定し評価するための手段を提供し、疾患、又は様々な影響に対する細胞の暴露などの、いくつかの条件において変化する可能性がある、RNA/タンパク質合成と一般に関係があるアッセイを確立させる。
【0054】
したがって本発明は、CRFなどの値として表すことができる、DNAユークロマチンを測定することによって、癌などの疾患の潜在的な存在を検出するための方法を与える。みかけは正常な細胞中のDNAユークロマチンを評価することによって、特異的又は非特異的な細胞の異常性の存在を利用する遺伝的試験又は他のアッセイに、有用な追加的情報を与えることができる。本発明は、悪性腫瘍関連変化(MAC)などのアッセイと比較して、感度及び特異性の改善ももたらす。さらに、個々の生物学的細胞又は生物学的細胞の源の、DNAユークロマチン染色の基底レベルを確定することによって、本発明は、健康状態の指標として使用することができる変化、疾患の治療を含めた様々な影響に対する応答性をモニターするための手段を提供する。様々な物質の薬理学的スクリーニング又は生物活性の評価用に、暴露の前、後、最中、或いはこのような影響を取り除いて、例えばDNAユークロマチン中で観察されるDNAの応答性を評価した後で、細胞を測定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0055】
本発明の好ましい実施形態の方法の編成及び様式、並びにその他の目的及び利点は、以下の図面と共に以下の説明を参照することによって、最もよく理解することができる。
【0056】
図1a(従来技術)は、肺癌患者から採取した内皮細胞のサンプルに関する、典型的なDNA含量のヒストグラム110を示す。この場合、DNA異数体のピーク130は診断情報を与え、癌としてこれを同定することができる。さらに、このような診断指標の不在下でも、MACはみかけは正常な細胞、例えばDNA含量のヒストグラム110の、2倍体ピーク110中の細胞で評価することができ、典型的にはそうされる。
【0057】
図1b(従来技術)は、肺内皮細胞の正常サンプルに関する、典型的なDNA酸加水分解の典型的な時間基準測定140、及び肺癌に関する酸不安定曲線150を示す。研究者達は、彼らが「酸不安定」と呼んだDNA分画の酸加水分解の割合の違いに潜在的な診断有用性があることを示した。このようなデータを得るためには、多数のスライドを処理する(特定の時間間隔で加水分解し染色する)ことが必要である。これによって、酸加水分解(DNA動態)は診断情報を与えることができることが実証されるが、本発明は、加水分解条件を変えてDNA動態を活用し、より詳細にはDNAユークロマチンを優先的に染色する。
【0058】
図1cは、フォイルゲン法を使用して優先的に染色されるそのDNAユークロマチンを有する、正常な生物学的細胞に関する本発明のヒストグラム170を示す。このヒストグラムは、これらの細胞中で起こる潜在的なRNA/タンパク質合成の、細胞中の比較的均一なDNAユークロマチン染色、並びに(例えば、標準偏差、勾配、その他などの、人口静態によって評価した)範囲、及び程度(例えば、ピーク平均染色強度)を示すピーク171を示す。前で論じたように、DNAユークロマチンと全体の細胞DNAの比率を表すことも有用な場合もある。
【0059】
図1dは、疾患細胞中のDNAユークロマチンの優先染色に関する、本発明のヒストグラム180を示す。領域181の細胞は、増大したDNAユークロマチン(転写中に活性がある可能性がある、より小さなDNAファイバー)を示し、第2の小さなピーク182は、異なる活性(RNA/タンパク質合成)を有する細胞の亜群を表す可能性がある。ここでもまた、DNAユークロマチンと全体の細胞DNAの比率が、診断情報を与える可能性もある。このような比率は、すべての細胞に関して、或いは様々な細胞の亜群に関して、表すことができると思われる。例えば、DNAユークロマチン又はDNAユークロマチンの比率は、図1aに関して論じたDNA含量のヒストグラム110の、ピーク120の2S.D.以内の細胞などの細胞の亜群に関して、測定することができると思われる。大きさ、形状、丸さ、表面積、規則性、その他などの、様々な細胞の特徴を一般的に使用して、細胞及び細胞の亜群を同定し、これらは然るべく適用することができる。
【0060】
図2a(従来技術)は、核205、及び染色されたDNA210を有する典型的な内皮細胞200を図によって示す。明るい染色領域と暗い染色領域(ヘテロクロマチン)を、細胞の特徴の点において表し評価することはできるが、明るい染色領域及びDNAの微細な糸(潜在的なユークロマチン)は不明瞭であり、或いはこれらのシグナルは、重複又は隣接する暗いDNA染色領域によって部分的に覆い隠されている。MACのいくつかの特徴的な影響は、DNA再編成、したがってRNA/タンパク質合成と関係がある可能性がある。したがって本発明によって、類似の、MAC、又はMAC単独よりも、おそらくより一層の診断感受性を付与することができる。
【0061】
図2bは、そのDNAが染色された、図2aに関して論じた細胞などの、細胞核205のピクセレート画像を示す。大きさ、形状、積分光学濃度(DNA全体)などの細胞の特徴、及びDNAの空間的分布を記載する他の細胞の特徴は、一般的にこれらのデジタル画像から測定する。細胞の特徴の例、及びそれらの適用例は、第5889881号及び第6062174号などの本明細書で引用した様々な米国特許に見ることができる。
【0062】
図2cは、優先的な染色によって同定した、核205、及びDNAユークロマチン220を有する、典型的な内皮細胞200を図によって示す。この場合、図2aに関して論じた、暗い染色された凝縮DNA(ヘテロクロマチン)は染色されず、しかしながら、DNAユークロマチン220は、優先的な染色によって同定された。
【0063】
図2dは、優先的な染色によって同定した、そのDNAユークロマチン220を有する、典型的な細胞核205のピクセレート画像を示す。DNAユークロマチンの量、及びDNAユークロマチンの空間的分布は、このデジタル画像から測定することができる。微細なDNA糸(直径約10nM、いくつかの鎖は直径約4nMの一本鎖に分離する可能性あり)、及び直径約20〜30nMのDNA鎖は、RNA/タンパク質合成の可能性のある部位である。全体の暗さは、核境界の有用な指標も与えるので、いくつかの場合、通常の細胞の特徴の測定法以外に、或いはこれと組み合わせて、他の境界要素法又は評価法を、例えばおおまかな細胞の大きさに基づいて使用することができ、楕円形の測定値を、対比染色した細胞のデータ又は核又は細胞質に適合させることができる。
【0064】
本発明のいくつかの実施形態では、診断情報は、DNAユークロマチン/細胞全体のDNAなどのDNAの割合を含むことができ、これは比率として表すこともできる。さらに、個々の細胞上でのDNA測定以外に、組織切片上で測定するとき、細胞の分布状態が、例えば腫瘍の侵襲性又は段階を評価する際に有用な組織構造に関する、診断情報を与える可能性がある。したがって、数個〜数百個の細胞画像を含むシーンでは、いくらかの量のDNA及び/又はDNAユークロマチンを有する細胞の分布状態を、診断指標として潜在的に使用することができる。ボロノイ図などの様々な技法を使用して、培養中の組織構造又は細胞編成の説明が与えられてきている。これらの技法の基本及び適用例のいくつかは、「System、method、and computer program product for representing proximity data in a multidimensional space」という表題のAgrafiotisの米国特許第6453246号で論じられている。(246)のある部分は化学構造の記述子を対象とするが、領域中のDNAユークロマチンの分布状態を記載するために、同様の技法を使用することができると思われ、このような使用は本発明で企図される。
【0065】
図3aは、細胞を回収するステップ300、DNAユークロマチンを優先的に染色するステップ310、及びDNAユークロマチンの量及び分布状態を測定するステップを含む、本発明の実施形態を示す。
【0066】
図3bは、全DNAを測定すること330、及び様々なDNAのパラメータ又はDNAユークロマチンの比率を計算すること340をさらに含む、図3aに関して論じた、本発明の他の実施形態を示す。
【0067】
図3cは、細胞応答因子(CRF)及びDNAの比率などの様々な計算の結果を表すこと330、及びこれらの結果とデータベースを比較すること360をさらに含む、図3a及び図3bに関して論じた、本発明のさらに他の実施形態を示す。データベースは、複数の正常サンプル及び疾患サンプルに関して得られた、結果を含むことができる。
【0068】
図3dは、試験例の以前のデータと現在の結果を比較して、それによって例えば個々の植物、細胞系、動物又は生物学的細胞の他の源中の、RNA/タンパク質合成の変化をモニターするための高感度の手段を与えるステップ380をさらに含む、本発明のさらに他の実施形態を示す。フォイルゲン法と共に用いられるように、本発明の方法は、従来技術で論じられたこととは異なり、加水分解条件を変えることにより利点を得て、これによって新規の診断情報が誘導される。より詳細には、一実施形態において、本発明の方法は、室温より低い温度でDNA酸加水分解を実施し、DNAユークロマチン(タンパク質合成と最も関係があるDNAのその部分)に対する染色を制限することを試みる。例えば、摂氏15度において5NのHCL中で1時間の酸加水分解を実施し、次に着色剤としてチオニン又はパラロサニリンを用いて、1時間のフォイルゲン染色を実施する。新規の加水分解条件を確定させること以外に、DNAユークロマチンの全体量(酸不安定DNAと関係している可能性がある)を定量化することを単に試みるのではなく、本発明のさらに他の実施形態では、DNAユークロマチンの分布状態を、この独特に染色されたDNA分画上で測定する。細胞が疾患又は化学因子に応答すると、いくつかの場合、これらの細胞のDNAユークロマチン中において、DNA合成の変化を観察し測定することができる。このような細胞応答をCRFなどの値として表すことは、有用である可能性がある。
【0069】
細胞調製物は、頚管又は頬粘膜のスクレーピング、乳頭吸引、気管支洗浄、喀痰又は他の体液、又は非凝集性組織の細胞調製物から調製される。本明細書で使用する、関連組織は、疾患組織の細胞、又は疾患組織に由来する細胞を有すると予想することができる、任意の組織を意味する。例えば、喀痰サンプルは、肺癌を試験するために使用するとき、関連組織として定義される。何故なら、このようなサンプルは、大部分が剥離した肺細胞を典型的には含むからである。同様に、乳頭吸引液の使用は、乳癌を検出するための関連組織と考えられる。本明細書で使用する非関連組織は、主に評価する疾患に由来する細胞は、典型的には含まない組織を意味するものであり、例えば、肺癌を検出するために使用される頬粘膜(口腔由来の細胞)は非関連組織と考えられ、前立腺癌を検出するための排尿又は前立腺洗浄物の使用も同様であろう。血液、CSF、血漿などの体液を試験する場合、それは非関連組織と考えられるであろう。何故なら、癌又は疾患部位は、他のマーカーを用いて同定されない限り、或いは予想されない限り、再発の場合と同様に、一般的には知られないからである。この特徴によって、関連組織において局所的に、非関連組織においてさらに全身的な影響として、細胞応答因子(CRS)を検出するための本発明の方法の能力及び意図が明らかになる。
【0070】
寄託済みの細胞物質を、適切なDNA染色法及び測定ツール、例えばイメージサイトメトリーにより行う、DNAユークロマチンの量及びDNAユークロマチンの分布状態の評価を伴う、フォイルゲン染色を使用して染色する。DNAユークロマチンは、研究者達が酸不安定DNAと以前に呼んだものと関係がある可能性があるが、しかしながら、本発明の染色法は、酸加水分解の動態を活用してDNAユークロマチンを標的化する反応条件を確定する。
【0071】
一般的な定義によって、MACの評価には、表面上は正常な細胞の分析が必要である。これを実施するためには、DNA含量を最初に測定して(典型的には分布状態として)、閾値を確定して(例えば、2倍体ピークからの2つの標準偏差)、ほぼ正常な量のDNAを有する細胞をグループ分けしなければならない。異常なDNA含量(異数体)は、それ自体が病状を示す可能性があり、したがって、これらの細胞は典型的には、MACに関して評価されないと思われる。
【0072】
本発明の方法は、ほぼすべてのDNAを染色することを必要とするMAC法とは、さらに区別される。本発明の方法は、Papスクリーニング用の頚管のスクレーピングと同様に、疾患組織を直接サンプル採取するときでも、実質的な制約を示す可能性がない相当群の表面上は正常な細胞を含むと予想することができる、患者サンプルに適用することが最良である。多くの頚椎癌の場合、顕微鏡のスライド上に相当数の癌細胞が出現することは、ある程度まれなことであると考えられる。乳癌を検出するための乳頭吸引液、肺癌を検出するための頬粘膜などのサンプル、及び剥離細胞中で豊富な他のサンプルに関しては、これらの考慮事項が本発明の方法の活用を妨げることはない。何故ならこれらは、相当数の表面上は正常な細胞を含むからである。DNA含量及びDNA分布状態に基づく、他の疾患検出法との他の有意な違いは、本発明の方法は、細胞周期の古典的なDNAのヒストグラムを作製しないことである。分析用にDNA2倍体細胞を選択する必要がない。何故なら、適切なサンプル中の大部分の細胞が、s期に存在しないと思われるからである。本発明の方法の感度又は特異性を向上させるために、CRFの測定を、DNA1倍体、MAC又は他の診断試験などの、他のアッセイと共に使用することができる。同様に、CRFの測定を使用して、危険性のある群をスクリーニングすることができ、モノクローナル抗体を有する細胞表面マーカー、又は遺伝子マーカーの評価などの後の試験用に、さらに限られた群を同定することができる。DNAユークロマチン(例えばCRFとして表される)の診断評価は、試験サンプル中において細胞単位で細胞に行うことができ、或いは同じ源由来の試験サンプル(疾患又は疾患の治療を調べるための手段を与える)間の、スライド毎の単位で行うことができ、或いは試験サンプル中のCRFは、群の範囲又は他の有用な標的範囲と比較することができる。
【0073】
米国特許出願第10/232,698号中で論じられたのと同様に、デジタル画像の正規化を使用し、細胞の特徴を計算する前に、利点を得ることができる。以前の方法(例えばMAC)は、細胞周期のDNAのヒストグラムの分析に頼るものであった。本発明の方法は、デジタル画像の正規化の独特の方法を与える。さらに、全体のDNAを評価し、DNAユークロマチン分画を推定するための基盤を与えることができる。
【0074】
本発明の好ましい実施形態を示し記載してきたが、当業者は、添付の特許請求の範囲の精神及び範囲から逸脱せずに、本発明の変更形態を考案することができることは想定される。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1a】(従来技術)、肺癌患者から採取した上皮細胞のサンプルに関する、典型的なDNA含量のヒストグラムの図である。
【図1b】(従来技術)、肺内皮細胞の正常サンプルに関する、DNA酸加水分解の典型的な時間基準測定、及び肺癌に関する酸不安定曲線の図である。
【図1c】フォイルゲン法を使用して優先的に染色されるそのDNAユークロマチンを有する正常な生物学的細胞に関する、本発明の実施形態の図である。
【図1d】疾患細胞中のDNAユークロマチンの優先染色に関する、本発明の実施形態の図である。
【図2a】(従来技術)、染色された核を有する典型的な内皮細胞の図である。
【図2b】優先的に染色されたDNAユークロマチンを有する、図2aの典型的な内皮細胞の図である。
【図2c】優先的に染色されたDNAユークロマチンを有する、典型的な生物学的細胞の図式図である。
【図2d】優先的に染色されたDNAユークロマチンを有する典型的な生物学的細胞の、ピクセレート画像の図である。
【図3a】本発明の実施形態のブロック図である。
【図3b】本発明の実施形態のブロック図である。
【図3c】本発明の実施形態のブロック図である。
【図3d】本発明の実施形態のブロック図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユークロマチンの評価に基づいて疾患を検出する方法であって、
第1組の生物学的細胞中のユークロマチンを同定すること、
前記第1組の生物学的細胞中の、前記ユークロマチンに関する変数を評価すること、及び
前記評価変数と前記変数の期待値を比較することを含む方法。
【請求項2】
前記同定ステップが、前記ユークロマチンを染色することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記染色ステップが、DNA定量用染色物質を使用することを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記DNA定量用染色物質がパラロサニリンである、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記DNA定量用染色物質がチアジン誘導体である、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記チアジン誘導体がチオニンである、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記染色ステップがフォイルゲン染色を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項8】
摂氏25度未満で前記染色ステップを行うことによって、前記ユークロマチンを優先的に加水分解することをさらに含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記染色ステップを摂氏約15度で行う、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
1分から2時間の間の期間、前記ユークロマチンを優先的に加水分解することをさらに含む、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
前記期間が15分から2時間の間である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
0.1〜5.0Nの範囲で酸を用いて、前記加水分解ステップを行うことをさらに含む、請求項7に記載の方法。
【請求項13】
前記酸が塩酸である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記期待値が、前記生物学的細胞に関する前記変数の正規値である、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記期待値をデータベースに保存する、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記期待値を、実質的に健常な生物学的細胞において検出した参照データ組から決定する、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記期待値をデータベースに保存する、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記評価変数が前記ユークロマチンの量である、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記評価変数が前記ユークロマチンの分布状態である、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記評価変数が細胞応答因子である、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
前記細胞応答因子を前記ユークロマチンの量から決定する、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記細胞応答因子を前記ユークロマチンの分布状態から決定する、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記細胞応答因子を、前記ユークロマチンの量及び前記ユークロマチンの分布状態から決定する、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
前記第1組の生物学的細胞の前記核中の、前記ユークロマチンに関する第2の変数を評価すること、及び
前記第2の評価変数と前記期待値を比較することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項25】
前記被験体が動物である、請求項1に記載の方法。
【請求項26】
前記被験体がヒトである、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記被験体が植物である、請求項1に記載の方法。
【請求項28】
前記被験体が微生物である、請求項1に記載の方法。
【請求項29】
生物学的細胞中のユークロマチンの評価に基づいて、被験体の健康状態を評価しモニターする方法であって、
第1組の生物学的細胞中のユークロマチンを同定すること、
前記第1組の生物学的細胞中の、前記ユークロマチンに関する変数を評価すること、
前記変数の基底レベルを確定させること、
第2組の生物学的細胞中のユークロマチンを同定すること、
前記第2組の生物学的細胞中の、前記ユークロマチンに関する前記変数を評価すること、及び
前記第2組の生物学的細胞中の前記ユークロマチンに関する前記変数と、前記基底レベルを比較することを含む方法。
【請求項30】
前記同定ステップが、前記ユークロマチンを染色することを含む、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記染色ステップが、DNA定量用染色物質を使用することを含む、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記DNA定量用染色物質がパラロサニリンである、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記DNA定量用染色物質がチアジン誘導体である、請求項31に記載の方法。
【請求項34】
前記チアジン誘導体がチオニンである、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記染色ステップがフォイルゲン染色を含む、請求項30に記載の方法。
【請求項36】
摂氏25度未満で前記加水分解ステップを行うことによって、前記ユークロマチンを優先的に加水分解することをさらに含む、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記加水分解ステップを摂氏約15度で行う、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
1分から2時間の間の期間、前記ユークロマチンを優先的に加水分解することをさらに含む、請求項35に記載の方法。
【請求項39】
前記期間が15分から2時間の間である、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
0.1〜5.0Nの範囲で酸を用いて、前記加水分解ステップを行うことをさらに含む、請求項35に記載の方法。
【請求項41】
前記酸が塩酸である、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記評価変数が前記ユークロマチンの量である、請求項29に記載の方法。
【請求項43】
前記評価変数が前記ユークロマチンの分布状態である、請求項29に記載の方法。
【請求項44】
前記評価変数が細胞応答因子である、請求項29に記載の方法。
【請求項45】
前記細胞応答因子を前記ユークロマチンの量から決定する、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記細胞応答因子を前記ユークロマチンの分布状態から決定する、請求項44に記載の方法。
【請求項47】
前記細胞応答因子を、前記ユークロマチンの量及び前記ユークロマチンの分布状態から決定する、請求項44に記載の方法。
【請求項48】
前記第1組の生物学的細胞中の、前記ユークロマチンに関する第2の変数を評価することをさらに含む、請求項29に記載の方法。
【請求項49】
前記被験体が動物である、請求項29に記載の方法。
【請求項50】
前記被験体がヒトである、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記被験体が植物である、請求項29に記載の方法。
【請求項52】
前記被験体が微生物である、請求項29に記載の方法。
【請求項53】
生物学的細胞中のユークロマチンの評価に基づいて、被験体の健康状態を評価し調べる方法であって、
第1組の生物学的細胞中のユークロマチンを同定すること、
前記第1組の生物学的細胞中の、前記ユークロマチンに関する変数を評価すること、
前記評価変数と前記変数の期待値を比較すること、
第2組の生物学的細胞中のユークロマチンを同定すること、
前記第2組の生物学的細胞中の、前記ユークロマチンに関する前記変数を評価すること、及び
前記第2組の生物学的細胞中の前記ユークロマチンに関する前記変数と、前記変数の前記期待値を比較することを含む方法。
【請求項54】
前記同定ステップが、前記ユークロマチンを染色することを含む、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
前記染色ステップが、DNA定量用染色物質を使用することを含む、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
前記DNA定量用染色物質がパラロサニリンである、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
前記DNA定量用染色物質がチアジン誘導体である、請求項55に記載の方法。
【請求項58】
前記チアジン誘導体がチオニンである、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
前記染色ステップがフォイルゲン染色を含む、請求項54に記載の方法。
【請求項60】
摂氏25度未満で前記染色ステップを行うことによって、前記ユークロマチンを優先的に加水分解することをさらに含む、請求項59に記載の方法。
【請求項61】
前記染色ステップを摂氏約15度で行う、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
1分から2時間の間の期間、前記ユークロマチンを優先的に加水分解することをさらに含む、請求項59に記載の方法。
【請求項63】
前記期間が15分から2時間の間である、請求項62に記載の方法。
【請求項64】
0.1〜5.0Nの範囲で酸を用いて、前記染色ステップを行うことをさらに含む、請求項59に記載の方法。
【請求項65】
前記酸が塩酸である、請求項64に記載の方法。
【請求項66】
前記評価変数が前記ユークロマチンの量である、請求項53に記載の方法。
【請求項67】
前記評価変数が前記ユークロマチンの分布状態である、請求項53に記載の方法。
【請求項68】
前記評価変数が細胞応答因子である、請求項53に記載の方法。
【請求項69】
前記細胞応答因子を前記ユークロマチンの量から決定する、請求項68に記載の方法。
【請求項70】
前記細胞応答因子を前記ユークロマチンの分布状態から決定する、請求項68に記載の方法。
【請求項71】
前記細胞応答因子を、前記ユークロマチンの量及び前記ユークロマチンの分布状態から決定する、請求項68に記載の方法。
【請求項72】
前記第1組の生物学的細胞の前記核中の、前記ユークロマチンに関する第2の変数を評価することをさらに含む、請求項53に記載の方法。
【請求項73】
前記被験体が動物である、請求項53に記載の方法。
【請求項74】
前記被験体がヒトである、請求項73に記載の方法。
【請求項75】
前記被験体が植物である、請求項53に記載の方法。
【請求項76】
前記被験体が微生物である、請求項53に記載の方法。
【請求項77】
生物学的細胞中のユークロマチンの評価に基づいて、被験体による影響に曝すことへの応答性を評価する方法であって、
第1組の生物学的細胞中のユークロマチンを同定すること、
前記第1組の生物学的細胞中の、前記ユークロマチンに関する変数を評価すること、
前記変数の基底レベルを確定させること、
前記被験体を影響に曝すこと、
第2組の生物学的細胞中のユークロマチンを同定すること、
前記第2組の生物学的細胞中の、前記ユークロマチンに関する前記変数を評価すること、及び
前記第2組の生物学的細胞中の前記ユークロマチンに関する前記変数と、前記基底レベルを比較することを含む方法。
【請求項78】
前記同定ステップが、前記ユークロマチンを染色することを含む、請求項77に記載の方法。
【請求項79】
前記染色ステップが、DNA定量用染色物質を使用することを含む、請求項78に記載の方法。
【請求項80】
前記DNA定量用染色物質がパラロサニリンである、請求項79に記載の方法。
【請求項81】
前記DNA定量用染色物質がチアジン誘導体である、請求項79に記載の方法。
【請求項82】
前記チアジン誘導体がチオニンである、請求項81に記載の方法。
【請求項83】
前記染色ステップがフォイルゲン染色を含む、請求項78に記載の方法。
【請求項84】
摂氏25度未満で前記染色ステップを行うことによって、前記ユークロマチンを優先的に加水分解することをさらに含む、請求項83に記載の方法。
【請求項85】
前記染色ステップを摂氏約15度で行う、請求項84に記載の方法。
【請求項86】
1分から2時間の間の期間、前記ユークロマチンを優先的に加水分解することをさらに含む、請求項83に記載の方法。
【請求項87】
前記期間が15分から2時間の間である、請求項86に記載の方法。
【請求項88】
0.1〜5.0Nの範囲で酸を用いて、前記染色ステップを行うことをさらに含む、請求項83に記載の方法。
【請求項89】
前記酸が塩酸である、請求項88に記載の方法。
【請求項90】
前記評価変数が前記ユークロマチンの量である、請求項77に記載の方法。
【請求項91】
前記評価変数が前記ユークロマチンの分布状態である、請求項77に記載の方法。
【請求項92】
前記評価変数が細胞応答因子である、請求項77に記載の方法。
【請求項93】
前記細胞応答因子を前記ユークロマチンの量から決定する、請求項92に記載の方法。
【請求項94】
前記細胞応答因子を前記ユークロマチンの分布状態から決定する、請求項92に記載の方法。
【請求項95】
前記細胞応答因子を、前記ユークロマチンの量及び前記ユークロマチンの分布状態から決定する、請求項92に記載の方法。
【請求項96】
前記第1組の生物学的細胞の前記核中の、前記ユークロマチンに関する第2の変数を評価することをさらに含む、請求項77に記載の方法。
【請求項97】
前記被験体が動物である、請求項77に記載の方法。
【請求項98】
前記被験体がヒトである、請求項97に記載の方法。
【請求項99】
前記被験体が植物である、請求項77に記載の方法。
【請求項100】
前記被験体が微生物である、請求項77に記載の方法。
【請求項101】
生物学的細胞中のユークロマチンの評価に基づいて、被験体による影響に曝すことへの応答性を評価する方法であって、
第1組の生物学的細胞中のユークロマチンを同定すること、
前記第1組の生物学的細胞中の、前記ユークロマチンに関する変数を評価すること、
前記評価変数と前記変数の期待値を比較すること、
前記被験体を影響に曝すこと、
前記第2組の生物学的細胞中のユークロマチンを同定すること、
前記第2組の生物学的細胞中の、前記ユークロマチンに関する前記変数を評価すること、及び
前記第2組の生物学的細胞中の前記ユークロマチンに関する前記変数と、前記変数の前記期待値を比較することを含む方法。
【請求項102】
前記同定ステップが、前記ユークロマチンを染色することを含む、請求項101に記載の方法。
【請求項103】
前記染色ステップが、DNA定量用染色物質を使用することを含む、請求項102に記載の方法。
【請求項104】
前記DNA定量用染色物質がパラロサニリンである、請求項103に記載の方法。
【請求項105】
前記DNA定量用染色物質がチアジン誘導体である、請求項103に記載の方法。
【請求項106】
前記チアジン誘導体がチオニンである、請求項105に記載の方法。
【請求項107】
前記染色ステップがフォイルゲン染色を含む、請求項102に記載の方法。
【請求項108】
摂氏25度未満で前記染色ステップを行うことによって、前記ユークロマチンを優先的に加水分解することをさらに含む、請求項107に記載の方法。
【請求項109】
前記染色ステップを摂氏約15度で行う、請求項108に記載の方法。
【請求項110】
1分から2時間の間の期間、前記ユークロマチンを優先的に加水分解することをさらに含む、請求項107に記載の方法。
【請求項111】
前記期間が15分から2時間の間である、請求項110に記載の方法。
【請求項112】
0.1〜5.0Nの範囲で酸を用いて、前記染色ステップを行うことをさらに含む、請求項107に記載の方法。
【請求項113】
前記酸が塩酸である、請求項112に記載の方法。
【請求項114】
前記評価変数が前記ユークロマチンの量である、請求項101に記載の方法。
【請求項115】
前記評価変数が前記ユークロマチンの分布状態である、請求項101に記載の方法。
【請求項116】
前記評価変数が細胞応答因子である、請求項101に記載の方法。
【請求項117】
前記細胞応答因子を前記ユークロマチンの量から決定する、請求項116に記載の方法。
【請求項118】
前記細胞応答因子を前記ユークロマチンの分布状態から決定する、請求項116に記載の方法。
【請求項119】
前記細胞応答因子を、前記ユークロマチンの量及び前記ユークロマチンの分布状態から決定する、請求項116に記載の方法。
【請求項120】
前記第1組の生物学的細胞の前記核中の、前記ユークロマチンに関する第2の変数を評価することをさらに含む、請求項101に記載の方法。
【請求項121】
前記被験体が動物である、請求項101に記載の方法。
【請求項122】
前記被験体がヒトである、請求項121に記載の方法。
【請求項123】
前記被験体が植物である、請求項101に記載の方法。
【請求項124】
前記被験体が微生物である、請求項101に記載の方法。

【図1a】
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【図1b】
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【図1c】
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【図1d】
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【図2a】
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【図2b】
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【図3a】
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【図3b】
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【図3c】
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【図3d】
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【公表番号】特表2006−506610(P2006−506610A)
【公表日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−550572(P2004−550572)
【出願日】平成15年11月5日(2003.11.5)
【国際出願番号】PCT/CA2003/001710
【国際公開番号】WO2004/044237
【国際公開日】平成16年5月27日(2004.5.27)
【出願人】(504314410)ジー6・サイエンス・コーポレイション (1)
【Fターム(参考)】