説明

病理学的病変における脈管形成の処理のための組成物及び方法

【課題】病理学的脈管形成の病変、特に腫瘍、リウマチ様関節炎、糖尿病性網膜症、年齢関連の黄斑変性、及び血管腫の処理に関する。
【解決手段】病変における標的細胞に対して殺生物性又は細胞毒性効果を発揮する分子、及びそのような病変に存在する細胞外マトリックス成分に対して向けられた抗体を含んで成る接合体が使用される。前記抗体はフィブロネクチン−2(IL−2)、ドキソルビシン、インターロイキン−12(IL−12)、インターフェロン−γ(IFN−γ)、腫瘍壊死因子α(TNFα)又は組織因子タンパク質(切断され得る)に対して方向づけられ得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、病理学的脈管形成の病変、特に腫瘍、リウマチ様関節炎、糖尿病性網膜症、年齢関連の黄斑変性、及び血管腫の処理に関する。本発明の観点は、病変における標的細胞に対して殺生物性又は細胞毒性効果を発揮する分子、及びそのような病変に存在する細胞外マトリックス成分に対して向けられた抗体の接合体又は融合体を使用する。好ましい態様においては、抗体は、フィブロネクチンED−Bに対して向けられる。殺生物性又は細胞毒性分子の好ましい態様は、インターロイキン−2(IL−2)、ドキソルビシン、インターロイキン−12(IL−12)、インターフェロン−γ(IFN−γ)、腫瘍壊死因子α(TNFα)、特にL19抗体(下記を参照のこと)、組織因子(好ましくは、切断されている)を包含する。細胞外マトリックス成分に生物活性分子を標的化することによって、標的細胞の殺害が達成され得る。
【背景技術】
【0002】
腫瘍は、新規血管の形成(脈管形成)を伴なわないでは、一定の塊状物以上に増殖することができず、そして微小血管密度と腫瘍侵襲性との間の相互関係が、多くの腫瘍について報告されている(1)。脈管形成のマーカーを選択的に標的化できる分子は、腫瘍、及び血管増殖により特徴づけられる他の疾病、例えばリウマチ様関節炎、糖尿病性網膜症及び年齢関連の黄斑変性により特徴づけられる他の疾病の診断及び治療のための臨床学的機会を創造する(2−8)。
【0003】
フィブロネクチン分子中への選択的スプライシングにより挿入される、フィブロネクチンのED−Bドメイン、すなわちマウスにおいて同一の91個のアミノ酸の配列が、新生血管構造体の周囲に特異的に蓄積し、そして分子介在のための標的物を表す(9−11)。ED−ドメインに対するヒト組換え抗体(L19)を用いて、インビボ新生血管形成標的化の可能性が異なった腫瘍モデルにおいて示されている(12,13)。
【発明の概要】
【0004】
本発明は、殺生物性又は細胞毒性効果を標的細胞に対して発揮する分子により接合される、病理学的病変、例えば腫瘍における脈管形成に見出される、フィブロネクチンのED−Bドメインに対して向けられた抗体を用いる発明者の実験作業に基づかれる。そのようないくつかの分子は、標的細胞上の膜結合された受容体と相互作用し、又は細胞膜の電気化学的電位を混乱せしめる。本明細書において実験的に示される典型的な分子は、インターロイキン−2(IL−2)、組織因子、ドキソルビシン、インターロイキン−12(IL−12)、インターフェロン−γ(IFN−γ)及び腫瘍壊死因子α(TNFα)を包含する。
【0005】
ヘルパー1細胞により生成される4αヘリックス束サイトカインは、特異的な及び天然の免疫応答の活性化相において必須の役割を演じる(14)。IL−2は、活性化されたT及びBリンパ球及び天然のキラー(NK)細胞の増殖及び分化を促進し、そして細胞毒性T細胞(CTL)活性化及びNK/リンホカイン活性化されたキラー(LAK)抗腫瘍細胞毒性を誘発する。IL−2は、いくつかのヒト腫瘍の免疫療法アプローチにおいて使用されて来た(15)。単独で、又は適切にトランスファーされたリンパ細胞と組合しての組換えIL−2(rTL2)の投与は、動物モデル及び患者の両者における確立された腫瘍の抑制をもたらした。
【0006】
しかしながら、そのインビボ治療効率は、その急速なクリアランスにより、及び高い用量で、主に血管漏れ症候群に関連する重度の毒性により制限される(16)。細胞表面腫瘍マーカーに対して向けられた抗体による腫瘍部位へのIL−2の供給は、IL−2の活性局部濃度の達成、及び全身性投与に関する毒性の低化を可能にする(17)。
【0007】
1つの態様において、本発明は、病理学的病変における脈管形成に存在する細胞外マトリックス成分に向けられる抗体にIL−2を接合することによって、引用された従来技術とは異なる。示されたように、抗体を用いての供給による腫瘍の処理にIL−2を用いる従来技術の試みにおいては、抗体は細胞表面腫瘍マーカーに対して方向づけられて来た。しかしながら、腫瘍細胞は、細胞表面腫瘍マーカーの発現において高い異種性を提供し、そして治療の間、ダウン−レギュレートされ得る。
【0008】
腫瘍細胞表面で結合されるIL−2の存在は、免疫系のエフェクター細胞、例えばCD8+細胞毒性T細胞又は天然のキラー(NK)細胞の活性化及び/又は標的化、及び効果的な抗腫瘍免疫応答の誘発をもたらす。T又はNK細胞は、腫瘍細胞表面で適切なリガンドを特異的に認識する受容体(例えば、T細胞のためのT−細胞受容体)と通して1つのシグナル、及び腫瘍細胞表面にも位置する、IL−2によるIL−2受容体鎖を通して第2シグナルを受ける(Lodeなど., 1999, PNAS USA, 96: 8591-8596及びそこに引用される引例)。
【0009】
他方では、下記により詳細に記載される実験においては、本発明者は、抗体−IL−2融合タンパク質、すなわち病理学的病変における脈管形成に存在する細胞外マトリックスの成分(特に、フィブロネクチンED−B)に対して方向づけられる抗体(L19、この配列はPiniなど.(1998) J. Biol. Chem. 273: 21769-21776に開示される)を、哺乳類細胞において構成し、そして発現した。インビボ生分布においては、腫瘍担持のマウスにおける実験は、新しく形成する腫瘍血管の周囲への融合タンパク質の蓄積を示した。この融合タンパク質は、腫瘍担持の動物における治療実験において試験され、そして驚くべきことには、抗腫瘍効果を誘発し、そしてL19及びIL−2の等モル混合物よりも、腫瘍増殖の軽減において、有意により活性的であることが見出された。
【0010】
組織因子は、血管の外膜において膜固定された形で通常存在し、そして従って血液凝固カスケードの他の成分に接近できない、血管凝固カスケードの成分である。血管が損傷を受ける場合(例えば、外傷において)、組織因子は接近できるようになり、そして第VIIa因子への結合に基づいて、血管凝固形成をもたらす一連の生化学工程を開始する。TFの切断された形(残基1−219)は、血液凝固の促進において有意に低い活性を有し、そして従って、単独で、又はモノクローナル抗体に結合されて、全身的に注入され得る。
【0011】
Thorpe及び彼の同僚達は、人工システムにおいて、腫瘍梗塞形成及び続く腫瘍細胞の死をもたらす、腫瘍血管における選択的管腔内血液凝固の原理を示している(X. Huang など., (1997) Science, 276, 547-550)。彼らは、インターフェロンγを分泌し、そして従って、周囲(腫瘍性)の血管の管腔表面上でのMHC−II発現をアップ−レギュレートするよう構築された腫瘍細胞を皮下移植した。そのように行うことによって、彼らは、分子介在のために使用され得る脈管形成の人工マーカーを創造した。次に、彼らは、組織因子(TF)の切断された形、及びTFにより予備複合体化されたMHC−IIに同時結合できる、二特異的抗体によりそれらの腫瘍担持のマウスに注射した。この高分子複合体(Acoaguligand)は、処理された腫瘍担持のいくつかのマウスにおいて、急速な腫瘍梗塞形成及び完全な緩解に介在した。
【0012】
第2の実験システムにおいては、Thorpe及び彼の同僚達は、TFに化学的に架橋された、血管細胞付着分子−1(VCAM−1)に対して特異的なモノクローナル抗体を、治療剤として使用した(Ranなど., (1998) Cancer Res., 58, 4646-4653)。腫瘍モデルとして、彼らは、ヒトL540 Hodgkin’s 腫瘍を担持するSCIDマウスを選択する。腫瘍増殖速度の50%低下が観察された。彼らの観察に基づけば、彼らは、正常細胞ではなく、腫瘍細胞に対する選択的血栓作用が、腫瘍内皮細胞表面上での標的分子VCAM−1及びPSの同時発現のための必要条件に起因した。これは、凝固リガンド(Coaguligands)が新規血管の管腔側に供給される場合のみ、及びそれらの血管がそれらの管腔側上にPSを示す場合のみ、選択的血栓作用が生じるであろう予測を提供する。
アメリカ特許第6,004,555号及び第5,877,289号が、組織因子についてのThorpeによる研究を記載する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、scFv L19−IL2 cDNA構造体の図示である。ScFv−L19及びIl2 cDNAが、15個のアミノ酸 (SSSSG)3をコードするDNAリンカー(−)により遺伝子的に融合され、そしてHind III及びBanHI制限部位を用いて、pcDNa3哺乳類発現ベクター中にクローン化された。平行線を書かれたボックスは、CMVプロモーター配列を表し、塗りつぶされたボックスは、シグナル分泌リーダーペプチドのゲノム配列(ゲノム配列の内部のイントロン)を表し、そして空白のボックスはscFV−L19及びIL2配列のVH又はVLを表す。T7、BC666, BC679及びBC695は、材料及び方法に記載されるPCR増幅に使用されるプライマーである。
【0014】
【図2】図2は、融合タンパク質のIL2部分の生物学的活性(○)、及びCTLL細胞増殖により測定される、等モル濃度のL19及びIL2の混合物に含まれるIL2の生物学的活性(●)を示す。
【図3】図3は、放射性ヨウ素化されたscFv(L19)−TFを静脈内注入された、皮下移植されたネズミF9奇形癌を担持するマウスにおいて行われる生分布分析の結果を示す。
【0015】
【図4】図4は、scFv (L19)−TF又はscFv (D1.3)−TFのいずれかの3回の用量を静脈内注入された、マウスにおける皮下移植されたF9ネズミ寄形癌腫瘍の体積のプロット(時間に対する)である。最初の注入(矢印により示される)は、腫瘍が小さい場合に行われた。標準誤差は示される。
【0016】
【図5】図5は、scFv (L19)−TF又はscFv (D1.3)−TFのいずれかの3回の用量を静脈内注入された、マウスにおける皮下移植されたC51ネズミ寄形癌腫瘍の体積のプロット(時間に対する)である。最初の注入(矢印により示される)は、腫瘍が小さい場合に行われた。標準誤差は示される。
【0017】
【図6】図6は、scFv (L19)−TF(20μg)又はscFv (D1.3)−TF(20μg)又はリン酸緩衝溶液のいずれかの1回の用量を静脈内注入された、マウスにおける皮下移植されたC51ネズミ寄形癌腫瘍の体積のプロット(時間に対する)である。注入(矢印により示される)は、腫瘍が1g以上である場合に行われた。標準誤差は示される。
【0018】
【図7】図7は、scFv (L19)−TF(20μg)又はscFv (D1.3)−TF(20μg)又はリン酸緩衝溶液のいずれかの1回の用量を静脈内注入された、マウスにおける皮下移植されたFE8 ras−形質転換された線維芽細胞腫瘍の体積のプロット(時間に対する)である。注入(矢印により示される)は、腫瘍が1g以上である場合に行われた。標準誤差は示される。
【0019】
【図8】図8は、HPLCにより分析される、scFv (L19)−ドキソルビシン接合体からのドキソルビシン開放の運動学を示す。
【図9】図9は、scFv (L19)−ドキソルビシン接合体から開放されるドキソルビシンにより介在される、C51ネズミ癌細胞に対する毒性を示す。
【0020】
【図10】図10は、scFv (L19)−ドキソルビシン[18μg/注入]又はリン酸緩衝溶液のいずれかの5回の用量を静脈内注入された、マウスにおける皮下移植されたF9ネズミ寄形癌腫瘍の体積のプロット(時間に対する)である。最初の注入(矢印により示される)は、腫瘍が小さい場合に行われた。標準誤差は示される。
【0021】
【図11】図11は、IL12−L19 cDNA構造体の図示である。p35及びp40サブユニットは、15個のアミノ酸をコードするDNAリンカー(GGGGS)3により遺伝子的に融合され、そしてさらに、6個のアミノ酸のもう1つのリンカー(GSADGG)によりL19配列に融合された。完全な融合タンパク質をコードする配列は、下記のようにして、EcoR1及びNot1制限部位を用いて、pcDNA3.1哺乳類発現ベクター中にクローン化された。sp40backEco, Linkp40for, linkp35back, linkp35for, linkL19back 及びFlagforNotは、実験記載に記載されるPCR増幅に使用されるプライマーである。
【0022】
【図12】図12は、T細胞増殖アッセイにおいて測定される場合、市販の組換えネズミIL12に比較しての融合タンパク質のIL12成分の生物学的活性を示す。
【図13】図13は、放射性ヨウ素化されたIL12−L19融合タンパク質を静脈内注入された、皮下移植されたF9奇形癌を担持するマウスにおいて行われた生分布分析の結果を示す。
【0023】
【図14】図14は、PBS又は2.5μgのIL12−L19融合タンパク質を、48時間ごとに注入された(矢印により示される)マウスにおける皮下移植されたC51結腸癌腫瘍の体積(mm3)のプロット(時での時間に対する)を示す。注入は、腫瘍が小さい(約30mm3)場合に開始された。
【図15】図15は、PBS又は10μgのIL12−L19融合タンパク質を、48時間ごとに注入された(矢印により示される)マウスにおける皮下移植されたC51結腸癌腫瘍の体積(mm3)のプロット(時での時間に対する)を示す。
【0024】
【図16】図16は、PBS、IL12−HyHEL10融合タンパク質(2.5μg/注入)又はIL12−L19融合タンパク質(2.5μg/注入)を、48時間ごとに注入された(矢印により示される)マウスにおける皮下移植されたC51結腸癌腫瘍の体積(mm3)のプロット(時での時間に対する)を示す。
【図17】図17は、IFN−γのモノマーがscFv(L19)のC−末端で融合されている融合タンパク質をコードする構造体を示す。IFN−γは、融合タンパク質のホモダイマー化を引き起こす。
【0025】
【図18】図18は、一本鎖ホモダイマーIFN−γがscFv (L19) のC−末端で融合されている融合タンパク質をコードする構造体を示す。溶液においては、タンパク質は非共有的にダイマー化し、MW=125kDaのタンパク質を生ぜしめる。
【図19】図19は、L19 scFv及びモノマーIFN−γを含んで成る融合タンパク質をコードするベクターpIS14を示す。
【図20】図20は、L19 scFv及びダイマーIFN−γを含んで成る融合タンパク質をコードするベクターpIS16を示す。
【0026】
【図21】図21は、scFv L19− mTNFαcDNA構造体の図示である。ScFv−L19及びmTNFαcDNAが、15個のアミノ酸 (SSSSG)3をコードするDNAリンカーにより遺伝子的に融合され、そしてHind III及びNotI制限部位を用いて、pcDNA哺乳類発現ベクター中にクローン化された。平行線を書かれたボックスは、CMVプロモーター配列を表し、塗りつぶされたボックスは、シグナル分泌リーダーペプチドのゲノム配列(ゲノム配列の内部の---イントロン)を表し、そして空白のボックスはscFV−L19及びmTNFα配列のVH又はVLを表す。T7、BC679, BC742及びBC749は、材料及び方法に記載されるPCR増幅に使用されるプライマーである。
【0027】
【図22】図22は、マウスL-M線維芽細胞に対する細胞毒性アッセイにより測定される(例7の材料及び方法を参照のこと)、融合タンパク質のmTNFα部分の生物学的活性(ぬりつぶした正方形)、及び組換えmTNFαの生物学的活性(ぬりつぶした三角形)を示す。
【図23】図23は、scFv (L19)−mTNFα又はPBS(負の対照としての)のいずれかにより静脈内注入された、Balb/Cマウスにおける皮下移植されたC51ネズミ結腸の体積のプロット(時間に対する)である。注入は、腫瘍が約100−200mm3である場合に行われた。標準誤差は示される。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明者は、病理学的病変、例えば腫瘍の細胞外マトリックスに供給される組織因子が、特にL19抗体分子に融合される場合、殺生物効果(例えば、腫瘍細胞に対する)、特に梗塞形成に、驚くべきことには介在することができることを見出した(下記参照のこと)。本発明によれば、組織因子(好ましくは、当業界において知られているように切断された)は、病理学的脈管形成の病変に見出される細胞外マトリックスの成分、例えばフィブロネクチンED−B又はテナスシン−Cに向けられる特異的結合メンバーとの接合体又は融合体として提供される。
【0029】
ドキソルビシン(ドキソ)は、癌を処理するために使用される最も効果的な抗癌薬剤の1つ及び抗脈管形成活性を有することが知られている少数の化学療法剤の1つである。しかしながら、ドキソルビシンは、インターナライズしない、細胞膜上の腫瘍関連マーカーに対して向けられた抗体に結合される場合、細胞毒性活性を有さない(Chari (1998) Advanced Drug Delivery 31, 89-104)。ドキソルビシン、及び腫瘍細胞の表面上に発現される腫瘍関連マーカーに対して向けられた、急速にインターナライズする抗体の接合は、抗腫瘍効果を有することが示されている(R.V.J. Chari, 1998)。
【0030】
本発明者は、細胞外マトリックスの成分に対して向けられた特異的結合メンバーとの接合により、病変、例えば腫瘍の細胞外マトリックスにドキソルビシンを標的化した。本明細書において実験的に示される好ましい態様においては、本発明者は、切断できるリンカーによりフィブロネクチンED−Bに対して向けられた抗体フラグメントにドキソルビシンを接合し、ドキソルビシンの遅い開放を可能にした。この実験は治療効果を示す。他のアプローチとは異なって、この切断は、細胞外環境において生じ、そしてインターナリゼーション及び/又はタンパク質加水分解性切断に依存しない。
【0031】
IL−12は、40kD (p40) のサブユニット及び35kD (p35) のサブユニットから成るヘテロダイマータンパク質である。IL−12は、マクロファージ及びBリンパ球により生成され、そしてT細胞及び天然のキラー(NK)細胞に対して複数の効果を有することが示されている。それらのIL−12活性のいくつかは、休止及び活性化されたT及びNK細胞におけるインターフェロンγの誘発、NK及びT細胞の細胞毒性活性の増強、及びコミトゲンの存在下での休止T細胞増殖の刺激を包含する。現在の証拠は、IL−12が細胞免疫性の主要メディエーターであることを示す。
【0032】
その活性に基づけば、Il−12が、細胞−免疫性を促進するワクチンアジュバントとして、及び抗ウィルス及び抗腫瘍剤としての治療可能性を有することが提案されている。実際、IL−12は、第I/II相臨床試験において抗癌薬剤として、現在評価されている(Genetics Institute, Cambridge MA)。しかしながら、第II相臨床試験においては、組換えヒトIL−12(rhIL-12)の投与が重度の毒性をもたらした(Atkinsなど., A1, 1995)。これが、これまで、そのさらなる開発を阻害して来た。これに関して、腫瘍へのサイトカインの局部的に制限された供給のための方法の開発が、臨床学的用途における毒性に関する問題を軽減するように思える。
【0033】
一本鎖ペプチドp40−p35融合体(Lieschkeなど., 1997)が、天然及び組換えIL−12の活性に相当する特異的インヒビター活性を保持する。本発明者は、フィブロネクチンのED−Bドメインに対して向けられた抗体L19、細胞外マトリックスの成分及び脈管形成マーカーと共に、ネズミp.35−p40遺伝子の一本鎖ポリペプチド融合タンパク質を構成した。インビトロアッセイ(T細胞増殖アッセイ)によれば、IL−12− IL−19融合タンパク質が、市販のIL−12に相当するIL−12活性を保持することが示された。さらに、マウスにおけるインビボ生分布実験は、腫瘍における融合タンパク質の蓄積を示した。
【0034】
IL−12は、細胞表面レベルで作用すると思われている。従って、腫瘍性細胞外マトリックス(ECM)におけるその沈着及び富化が腫瘍増殖の速度に対していずれの効果も有するとは予測できなかった。しかしながら、治療実験においては、融合タンパク質は、腫瘍担持のマウスにおいて腫瘍増殖を有意に低めることによって、L19−IL2融合タンパク質により得られる抗腫瘍効果に匹敵する抗腫瘍効果を誘発することが見出された。
【0035】
インターフェロンγ(IFN−γ)は、宿主防御の生来の及び後天性機構の促進において中心的役割を演じる多面発現性サイトカインである。IFN−γ、すなわち非共有結合されたホモダイマーサイトカインは、ほぼすべての細胞上に偏在的に発現されるIFN−γ受容体と相互作用することによって、その生物学的効果を発揮することが、現在十分に理解される。機能的には、活性IFN−γ受容体は次の明白なサブユニットから成る:90kDaの受容体α鎖及び62−kDaの受容体β鎖。感染性生物に対する宿主耐性の促進におけるIFN−γの生理学的約役割は、明白である(Newportなど., (1996) New Engl. J. Med., 335, 1941-1949; Jouanguyなど. (1996) New Engl. J. Med., 335, 1956-1961)。
【0036】
対照的に、IFN−γが宿主抗−腫瘍応答の進行において演じる役割は、ほとんど十分には確立されていない。IFN−γは、移植可能腫瘍の拒絶の促進において決定的な役割を演じる。さらに、内因的に生成されたIFN−γは、マウスにおいて化学的に誘発された腫瘍及び自発的に発生した腫瘍の進行を制御する腫瘍監査システムの基礎を形成する。
【0037】
IFN−γの生成が腫瘍免疫原性を生成することを考慮すれば、IFN−γによる腫瘍の装飾(例えば、IFN−γ−抗体融合タンパク質による)が、抗腫瘍応答を導くことができることが推測される。全身的に投与される、接合されていないIFN−γが、非常い穏かな応答速度を伴なって、癌を有する患者において多中心的臨床試験で研究されて来た。しかしながら、卵巣癌を有する患者におけるIFN−γの腹腔内投与の臨床学的有用性の最近の徴候が、第III相臨床試験から入手できるようになった(Windbichlerなど. (2000) Br. j. Cancer, 82, 1138-1144)。
【0038】
本発明者は、腫瘍担持のマウスにおける腫瘍血管形成にインターロイキン−12融合タンパク質を標的化する場合、血液において高められたレベルのIFN−γが観察されたことを見出した。対照的に、高められたレベルのIFN−γは、非標的化されたscFv−インターロイキン−12融合タンパク質により検出され得なかった。
【0039】
腫瘍壊死因子α(TNFα)は、多くの細胞型、主に活性化された単球及びマクロファージにより生成されたサイトカインである。それは、26kDaの内部トランスメンブラン前駆体タンパク質として発現され、そのタンパク質から、約17kDaの成熟タンパク質がタンパク質加水分解性切断により放出される。可溶性生活性TNFαは、2種の異なった細胞表面受容体(Tartaglia L. A., など., J. Biol. Chem., 268: 18542-18548, 1993)、すなわちp55TNFR (50-60kDa) 及びp76TNFR (75-80kDa) と相互作用するホモトリマーである。p75TNFRは種特異的であり;実際、ヒトTNFαはこのマウス受容体に結合しない。
【0040】
TNFαは、移植された固形腫瘍の出血性壊死をインビボで誘発し(Carswell E. A., など, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 72: 3666-3670, 1975)、そしていくつかの腫瘍細胞系に対してインビトロで細胞毒性活性を発揮することができる(Helson L., など, Nature, 258: 731-732, 1975)。
【0041】
いくつかの動物モデルにおけるTNFαの抗腫瘍効力は、ヒト癌における治療剤としてのその可能性ある使用の希望を促進する。しかしながら、TNFαの抗腫瘍効力を示すために行われる臨床学的試験は、全身的な投与される、治療的有効用量から許容できない高レベルの全身性毒性、すなわち最も共通する用量限定毒性効果である低血圧を伴なうことを示した。さらに、TNFαは、治療レベル下で血液濃度を非常に急速に低める、血流からの非常に早いクリアランスを有する(一般的に30分以下の血漿半減期)(Blick M. M.など. Cancer Res., 47: 2989, 1987)。良好な臨床学的結果が、非散在性腫瘍の局部処理(肉腫及びメラノーマに関しての単離された−四肢−灌流)においてのみヒトにおいて達成されている(Franker D. L., など, Important Adv. Oncol. 179-192, 1994)。
【0042】
多くの動物モデルにおけるTNFαの抗−腫瘍活性は、増殖する腫瘍血管形成の内皮細胞に対する直接的な毒性効果の組み合わせ(TNFαにより相乗する腫瘍由来の因子との組み合わせ)(Clauss M., など. J. Biol. Chem., 265: 7078-7083, 1990a)、及び腫瘍脈管形成における増殖する内皮細胞のうっ血性質の変更(Clauss., など. J. Exp. Med., 172: 1535-1545, 1990b)によると思われる。腫瘍細胞に対する直接的な細胞毒性効果の証拠もまた存在する。TNFαの間接的(宿主介在性)な効果、例えばT細胞−依存性免疫性の誘発は、動物モデルに対する腫瘍緩解に寄与することができる(Palladino Jr. M. A.,など. J. Immunol., 138: 4023-4032, 1987)。
【0043】
下記に記載される実験においては、本発明者は、哺乳類細胞上に、抗体−ネズミTNFα(mTNFα)融合タンパク質を構成し、そして発現し、前記抗体L19は、病理学的病変における脈管形成に存在するECMの成分(特に、B−FN)に対して向けられる。腫瘍担持のマウスにおけるインビボ生分布実験は、新規形成性腫瘍血管の周囲の融合タンパク質の蓄積を示した。融合タンパク質が腫瘍担持の動物における治療実験において試験され、そして驚くべきことには、抗腫瘍効果を誘発し、そして腫瘍増殖の軽減において活性的であることが見出された。
本明細書に引用されるすべての記録は引用により組み込まれる。
本発明は、病理学的脈管形成の病変の処理を提供する。
【0044】
1つの観点においては、本発明は、(i)細胞相互作用により標的細胞に対する殺生物性又は細胞毒性効果を発揮する分子、及び(ii)病理学的病変における脈管形成に存在する細胞外マトリックス成分に対して特異的な特異的結合メンバーの接合体を投与することを含んで成る、病理学的病変における脈管形成を処理するための方法を提供する。
もう1つの観点においては、本発明は病理学的脈管形成の処理のための医薬の製造のためへの(i)細胞相互作用により標的細胞に対する殺生物性又は細胞毒性効果を発揮する分子、及び(ii)病理学的病変における脈管形成に存在する細胞外マトリックス成分に対して特異的な特異的結合メンバーの接合体の使用を提供する。
【0045】
さらなる観点においては、本発明は、治療によるヒト又は動物の処理方法への使用のために、(i)細胞相互作用により標的細胞に対する殺生物性又は細胞毒性効果を発揮する分子、及び(ii)病理学的病変における脈管形成に存在する細胞外マトリックス成分に対して特異的な特異的結合メンバーの接合体を提供する。そのような処理は、脈管形成を含んで成る病理学的病変に対してであり得る。
【0046】
本発明のさらなる観点は、(i)細胞相互作用により標的細胞に対する殺生物性又は細胞毒性効果を発揮する分子、及び(ii)病理学的病変における脈管形成に存在する細胞外マトリックス成分に対して特異的な特異的結合メンバーの接合体を提供する。そのような接合体は好ましくは、殺生物性又は細胞毒性分子及び特異的結合メンバーを含んで成るタンパク質を含んで成り、又は前記特異的結合メンバーが二本鎖又は多鎖である場合、融合タンパク質は、殺生物性又は細胞毒性分子及び前記特異的結合メンバーのポリペプチド鎖成分を含んで成る。好ましくは、前記特異的結合メンバーは、一本鎖ポリペプチド、例えば一本鎖抗体分子、例えばscFvである。
【0047】
従って、本発明のさらなる観点は、殺生物性又は動物毒性分子、及び脈管形成を含んで成る病変に存在する細胞外マトリックス成分、特に腫瘍関連細胞外マトリックス成分に対して特異的な一本鎖Fv抗体分子を含んで成る融合タンパク質を提供する。論じられたように、好ましい態様においては、正常なものと比較し、病理学的病変の細胞外マトリックスの差別的標的化を可能にする成分は、フィブロネクチンED−Bである。もう1つの好ましい態様においては、成分は、テナスシン−CのC−ドメインである(Carnemollaなど. (1999) Am. J. Pathol., 154, 1345-1352)。
【0048】
細胞相互作用により標的細胞に対してその効果を発揮する殺生物性又は細胞毒性分子は、標的細胞と直接的に相互作用することができ、標的細胞上の膜結合された受容体と相互作用することができ、又は細胞膜の電気化学電位を阻害することができる。膜結合された受容体と相互作用する分子は、ケモカイン、サイトカイン及びホルモンを包含する。細胞膜の電気化学的電位を阻害する化合物は、ヘモリシン、イオノフォア、イオンチャネルに対して作用する薬剤を包含する。典型的な好ましい態様においては、分子は、インターロイキン−2、組織因子(好ましくは、切断された)又はドキソルビシンである。他の態様は、インターロイキンに、インターフェロン−γ、IP−10及び腫瘍壊死因子−α(TNF−α)を用いることができる。
【0049】
下記において論じられるように、特異的結合メンバーは好ましくは、抗体であり、又は抗体抗原−結合部位を含んで成る。便利には、特異的結合メンバーは、一本鎖ポリペプチド、例えば一本鎖抗体であり得る。これは、一本鎖抗体、及び殺生物性又は細胞毒性分子(例えば、インターロイキン−2又は組織因子)を含ん成る融合タンパク質の便利な生成を可能にする。他の態様においては、抗体抗原−結合部位は、別々のポリペプチドにおける、例えば完全な抗体における、又は抗体フラグメント、たとえばFab又はジアボディ(diabody)における抗体VHドメイン及び抗体VLドメインの結合により提供される。特異的結合メンバーが二本鎖又は多鎖分子(例えば、それぞれFab又は完全な抗体)である場合、殺生物性又は細胞毒性分子は、特異的結合メンバーにおける1又は複数のポリペプチド鎖により、融合ポリペプチドとして接合され得る。
【0050】
特異的結合メンバーは、フィブロネクチンED−B、又はテナスシン−CのCドメインに対して特異的であり得る。
本発明に従っての特異的結合メンバーに使用される抗体抗原−結合部位は、抗体L19、又はED−Bに対する結合についてL19と競争する抗体のVH及び/又はVLドメインを包含することができる。L19 VH及びL19 VLドメイン配列は、Piniなど. (1998) J. Biol. Chem. 273: 21769-12776に開示される。
IL−2、TF、ドキソ、IL−12、IFN−γ又はTHF−α又は他の殺生物性又は細胞毒性分子と接合され得、そして本発明に従って使用され得る他の非抗体特異的結合メンバーは、病理学的病変に関連するECMの成分と相互作用できる、ペプチド、アプタマー及び小有機分子を包含する。
【0051】
注目されるように、好ましくは、特異的結合メンバーは、ペプチド結合により殺生物性又は細胞毒性分子と接合され、すなわち前記分子及び前記特異的結合メンバー又はそのポリペプチド鎖成分を含んで成る融合ポリペプチド内に存在する。IL−2を含んで成る融合ポチペプチドの調製において有用なIL−2配列情報については、Taniguchiなど. (1983) Nature 301, 305-310; Maeda など. (1983) Biochem. Biophys. Res. Comm. 115: 1040-1047; Devosなど. (1983) Nucl. Acids Res. 11: 4307-4823を参照のこと。切断された組織因子についての配列情報は、Scarpatiなど. (1987) Biochemistry 26: 5234-5238及びRufなど. (1981) J. Biol. Chem. 226: 15719-15725により提供される。接合についての他の手段は、二管能価試薬を用いての化学的接合、特に架橋を包含する(例えば、ADOUBLE−REAGENTSTM Croos-linking Reagents Selection Guide, Pierceを用いる)。
【0052】
遅い開放が所望される場合、例えば殺生物性又は細胞毒性分子がドキソルビシン、又は細胞膜の電気化学電位を阻害する他の分子である場合、化学的接合は、特異的結合メンバー(ポリペプチド、例えば抗体又は抗体フラグメント)の第一アミノ基と、殺生物性又は細胞毒性分子、例えばドキソルシビンの酸化された糖成分(ダウノサミン)との間でのシッフ塩基(イミン)の形成によることができる。
【0053】
処理される病変は、腫瘍、例えば次のもののいずれか1つ又は複数のものを包含するが、但しそれらだけには限定されない:メラノーマ、神経芽腫、結腸直腸癌、腎癌、肺癌、肺転移、乳癌、高度星状細胞腫(III度、IV度)、髄膜腫、血管腫。
病変は、例えば年齢関連の黄斑変性から発生する接眼レンズであり得、ここで脈管形成が脈絡膜血管から生じる。
【0054】
特異的結合メンバー:
これは、お互いに対して結合特異性を有する1対の分子のメンバーを記載する。特異的結合対のメンバーは、天然に由来し、又は完全に又は部分的に合成生成され得る。1対の分子の1つのメンバーは、1対の分子の他のメンバーの特定の空間的及び極性機構に対して特異的に結合し、そして従って、それに対して相補的である、その表面上での領域又はキャビティを有する。従って、前記の対のメンバーは、お互いに対して特異的に結合する性質を有する。
【0055】
抗体:
これは、天然であるか、又は部分的又は完全に合成生成される免疫グロブリンを記載する。この用語はまた、抗体抗原−結合ドメインであるか、又はそれに対して実質的に相同である結合ドメインを有するいずれかのポリペプチド又はタンパク質を包含する。それらは天然源に由来し、又はそれらは部分的に又は完全に合成的に生成され得る。抗体の例は、免疫グロブリンイソタイプ及びそれらのイソタイプのサブクラス;抗原結合ドメイン、例えばFab, scFv, Fv, dAb, Fdを含んで成るフラグメント;及びジアボディである。
【0056】
元の抗体の特異性を保持する他の抗体又はキメラ分子を生成するために、モノクローナル及び他の抗体を採取し、そして組換えDNA技術の技法を用いることが可能である。そのような技法は、異なった免疫グルブリンの不変領域、又は不変領域及び骨格領域に、抗体の免疫グロブリン可変領域又は相補性決定領域(CDR)をコードするDNAを導入することを包含することができる。例えば、EP−A−184187号、GB2188638A号又はEP−A−239400号を参照のこと。抗体を生成するハイブリドーマ又は他の細胞は、生成される抗体の結合特異性を変更できるか又はできない、遺伝子突然変異誘発又は他の変化を受けることができる。
【0057】
抗体は多くの手段で修飾され得るので、用語“抗体”は、必要とされる特異的を有する抗体抗原−結合ドメインを有するいずれかの特異的結合メンバーを包含するよう構成されるべきである。従って、この用語は、抗体フラグメント、抗体の誘導体、機能的同等物及び相同体、例えば天然の、又は完全に又は部分的合成のいずれかの免疫グロブリン結合ドメインを含んで成るいずれかのポリペプチドを包含する。従って、他のポリペプチドに融合される、免疫グロブリン結合ドメイン又はその同等物を含んで成るキメラ分子が包含される。キメラ抗体のクローニング及び発現は、EP−A−0120694号及びEP−A−0125023号に記載される。
【0058】
完全な抗体のフラグメントは、結合抗原の機能を行うことができることが示されている。結合フラグメントの例は次のものである:(i)VL, VH, CL及びCH1ドメインから成るFabフラグメント;(ii)VH及びCH1ドメインから成るFdフラグメント;(iii)一本鎖抗体のVH及びVHドメインから成るFvフラグメント;(iv) VHドメインから成るdAbフラグメント(Ward, E.S. など., Nature 341, 544-546 (1989)); (v) 単離されたCDR領域;(vi)F (ab’)2フラグメント、すなわち2種の結合されるFabフラグメントを含んで成る二価フラグメント;
【0059】
(vii)一本鎖Fv分子(scFv)、ここでVH及びVLドメインは、抗原結合部位を形成するために2種のドメインの会合を可能にするペプチドリンカーにより連結される(Birdなど, Science, 242, 423-426, 1988; Hustonなど., PNAS USA, 85, 5879-5883, 1988); (viii) 二特異的一本鎖Fvダイマー(PCT/US92/09965号)、及び(ix)“ディアボディ”、すなわち遺伝子融合により構成される多価又は多特異的フラグメント(WO94/13804号;P. Holligerなど, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90: 6448-6448, 1993)。Fv, scFv又はディアボディ分子は、VH及びVLドメインを連結するジスルフィド橋の組み込みにより確立され得る(Y. Reiterなど, Nature Biotech, 14: 1239-1245, 1996)。CH3ドメインに連結されるscFvを含んで成るミニボディもまた、製造され得る(S. Huなど, Cancer Res., 56: 3055-3061, 1996)。
【0060】
抗原結合ドメイン:
これは、抗原の一部又はすべてに対して特異的に結合し、そしてそれに対して相補的である領域を含んで成る、抗体の部分を記載する。抗原が大きい場合、抗体は、エピトープと称する、抗原の特定の部分に単に結合することができる。抗原結合ドメインは、1又は複数の抗体可変ドメイン(例えば、いわゆるVHドメインから成るFd抗体フラグメント)により供給され得る。好ましくは、抗原結合ドメインは、抗体L鎖可変領域(VL)及び抗体H鎖可変領域(VH)と含んで成る。
【0061】
特異的:
これは、特異的結合対の1つのメンバーが、その特異的結合パートナー以外の分子に対していずれかの有意な結合も示さないであろう情況を言及するために使用され得る。この用語はまた、例えば抗原結合ドメインが多くの抗原により担持される特定のエピトープに対して特異的である場合、適用でき、この場合、抗原結合ドメインを担持する特異的結合メンバーはエピトープを担持する種々の抗原に結合できるであろう。
【0062】
含んで成る:
これは一般的に、包含の意味で使用され、すなわち1又は複数の特徴又は成分の存在を可能にする。
【0063】
単離された:
これは、本発明の特徴的結合メンバー、又はそのような結合メンバーをコードする核酸が一般的に、本発明に従って使用されるであろう状態を言及する。メンバー及び核酸は、それらが天然において結合される材料、例えばそれらの天然の環境下で、又はそれらが調製される環境(例えば、細胞培養)(この場合、そのような調製はインビトロ又はインビボで実施される組換えDNA技法によってである)下で見出される他のポリペプチド又は核酸を有さず、又は実質的に有さないであろう。
【0064】
メンバー及び核酸は、稀釈剤又はアジュバンドと共に配合され得、そしてさらに、単離される実施目的のためには、メンバーは通常、イムノアッセイへの使用のためにマイクロタイタープレートを被覆するために使用される場合、ゼラチン又は他のキャリヤーと共に混合され、又は診断又は治療に使用される場合、医薬的に許容できるキャリヤー又は稀釈剤と共に混合されるであろう。特異的結合メンバーは、天然において、又は異種真核細胞(例えば、CHO又はNSO(ECACC85110503)細胞)のシステムにより糖化され得、又はそれらは糖化され得ない(例えば、原核細胞における発現により生成される場合)。
【0065】
注目されるように、フィブロネクチンED−Bに対して向けられた抗体抗原−結合ドメインが本発明の態様において使用される場合、好ましいそのようなドメインは、L19抗体VH及びVLドメインを含んで成る。1つの又は他のそれらのドメインの修飾された形、例えば1,2,3,4又は5個のアミノ酸置換が、特異的結合メンバーがフィブロネクチンED−Bを結合する能力を保持しているCDR、例えばCDR3及び/又はFRにおいて行われているL19 VH又はL19 VLドメインが、追加の態様において使用され得る。そのようなアミノ酸置換、例えば1つの疎水性残基、例えばイソロイシン、バリン、ロイシン又はメチオニンの他の残基による置換、又は1つの極性残基の他の残基による、例えばアルギニンのリシンによる、グルタミン酸のアスパラギン酸による、又はグルタミンのアスパラギンによる置換は、一般的に“保存性”である。一定の位置で、非保存性置換が可能である。
【0066】
本発明はさらに、フィブロネクチンED−Bへの結合のためにL19抗体と競争する特異的結合メンバーの使用にも及ぶ。結合メンバー間の競争は、例えば同じエピトープ又はオーバーラップするエピトープを結合する特異的結合メンバーの同定を可能にするために、他の標識されていない結合メンバーの存在下で検出される1つの結合メンバーに、特異的受容体分子を標的化することによって、インビトロで容易にアッセイされ得る。
抗体配列の他に、本発明に従って使用される特異的結合メンバーは、例えば抗原を結合する能力の他に、もう1つの機能的特徴を分子に付与するために、ペプチド又はポリペプチド、例えば折りたたまれたドメインを形成する他のアミノ酸を含んで成ることができる。本発明の特異的結合メンバーは、検出できるラベルを担持することができる。
【0067】
さらなる観点においては、本発明は、上記で定義されたような特異的結合メンバーをコードする配列を含んで成る単離された核酸(例えば、特異的結合メンバー又はポリペプチド鎖成分が殺生物性又は細胞毒性分子との融合ポリペプチドとして供給される場合)、及び前記結合メンバーの発現をもたらす条件下で前記核酸を発現し、そして結合メンバーを回収することを含んで成る、本発明の特異的結合メンバーの調製方法を提供する。
本発明はまた、上記のような少なくとも1つの核酸を含んで成る、プラスミド、ベクター、転写又は発現カセットの形で構造体を供給する。
【0068】
本発明はまた、上記のような1又は複数の構造体を含んで成る組換え宿主細胞を提供する。さらなる観点は、宿主中にそのような核酸を導入することを含んで成る方法を提供する。前記導入は、いずれかの入手できる技法を用いることができる。真核細胞に関しては、適切な技法は、レトロウィルス又は他のウィルス、例えばワクシニアを用いての、又は昆虫細胞、バキュロウィルスに関しての、リン酸カルシウムトランスフェクション、DEAE−デキストラン、エレクトロポレーション、リポソーム介在性トランスフェクション、及びトランスダクションを包含することができる。細菌細胞に関しては、適切な技法は、バクテリオファージを用いての、塩化カルシウム形質転換、エレクトロポレーション及びトランスフェクションを包含する。
【0069】
導入は、核酸からの発現を引き起こすか、又はその発現を可能にすることにより、例えば遺伝子の発現にための条件下で宿主細胞を培養することによって追跡され得る。
発現は、核酸を含む組換え宿主細胞を、適切な条件下で培養することによって便利には達成され得る。発現による生成に続いて、特異的結合メンバーは、いずれかの適切な技法を用いて単離され、そして/又は精製され、次に適切なように使用され得る。
1つの態様においては、本発明の核酸は、宿主細胞のゲノム(例えば、染色体)中に組み込まれる。組み込みは、標準の技法に従って、ゲノムによる組換えを促進する配列の包含により促進され得る。
【0070】
種々の異なった宿主細胞におけるポリペプチドのクローニング及び発現のためのシステムは、良く知られている。適切な宿主細胞は、細菌、哺乳類細胞、酵母及びバキュロウィルス系を包含する。異種ポリペプチドの発現のための当業界において入手できる哺乳類細胞系は、チャイニーズハムスター卵巣細胞、HeLa細胞、子供ハムスター腎臓細胞、NSOマウスメラノーマ細胞及び多くの他のものを包含する。通常の好ましい細菌宿主は、E.コリである。原核細胞、例えばE.コリにおける抗体又は抗体フラグメントの発現は、当業界において良く知られている。再考のためには、例えばPluckthun, A. Bio/technology 9: 545-551 (1991) を参照のこと。培養での真核細胞における発現はまた、特異的結合メンバーの生成のための選択として、当業者に入手できる。最近の再考のためには、例えばReff, M.E. (1993) Curr. Opinion Biotech. 4: 573-576; Trill J.J. など. (1995) Curr. Opinion Biotech. 6: 553-560を参照のこと。
【0071】
適切な調節配列、例えばプロモーター配列、ターミネーター配列、ポリアデニル化配列、エンハンサー配列、マーカー遺伝子及び他の配列を含む適切なベクターが選択されるか、又は構成され得る。ベクターは、適切な場合、プラスミド、ウィルス、例えばファージ、又はファゲミドであり得る。さらなる詳細のためには、例えばMolecular Cloning: a Laboratory Manual: 2nd edition, Sambrook など., 1989, Cold Spring Harbor Laboratory Press を参照のこと。核酸構造体の調製、突然変異誘発、配列決定、細胞中へのDNAの導入及び遺伝子発現、及びタンパク質の分析における核酸の操作のための多くの既知技法及びプロトコールは、Short Protecols in Molecular Biology, Second Edition, Ausubel など., eds., John Wiley & Sons, 1992に詳細に記載される。Sambrookなど. 及びAusubelなど. の開示は、引用により本明細書に組み込まれる。
【0072】
本発明はまた、上記のような特異的結合メンバー又はポリペプチドを発現するために、発現システムにおける上記で定義されたような構造体を用いることを含んで成る方法も提供する。
本発明の特異的結合メンバーは、ヒト又は動物の処理方法、例えば有効量の本発明の特異的結合メンバーを患者に投与することを含んで成る、ヒト患者における疾病又は障害の処理方法(予防処理を包含する)に使用され得る。本発明に従って処理できる条件は、本明細書論じられている。
【0073】
従って、本発明のされなる観点は、供給されるような特異的結合メンバーの投与を含んで成る処理方法、そのような特異的結合メンバーを含んで成る医薬組成物、及び医薬的に許容できる賦形剤と共に特異的結合メンバーを配合することを含んで成る、薬剤又は医薬組成物の製造方法での投与のための薬剤の製造へのそのような特異的結合メンバーの使用を提供する。
【0074】
本発明によれば、供給される組成物は、個人に投与され得る。投与は好ましくは、“治療的有効量”で行われ、これは患者に対して有益性を示すのに十分である。そのような有益性は、少なくとも1つの徴候の少なくとも改善であり得る。投与される実際の量、及び投与の速度及び時間の経過は、処理されるものの性質及び重症度に依存するであろう。処理の規定、例えば投用量の決定、等は、一般的な実施者及び他の医者の責任の範囲内である。抗体の適切な用量は、当業者において良く知られている;Ledermann J.A. など. (1991) Int. J. Cancer 47: 659-664; Bugshawe K.D. など. (1991) Antibody, Immunoconjugates and Radiopharmaceuticals 4: 915-922を参照のこと。
組成物は、処理される条件に依存して、単独で、又は他の処理と組合して、同時に又は連続的に投与され得る。
【0075】
本発明の特異的結合メンバー、例えば抗体抗原−結合ドメインを含んで成るそれらのメンバーは、いずれかの適切な経路を通して、通常血流中への注射により、及び/又は処理される部位、例えば腫瘍中に直接的に注入の必要な患者に投与され得る。正確な用量は、多くの要因、処理の経路、処理される領域(例えば、腫瘍)のサイズ及び位置、抗体の正確な性質(例えば、完全な抗体、scFv分子)、及び抗体に結合されるいずれか検出できるラベル又は他の分子の性質に依存するであろう。典型的な抗体用量は、10〜50mgの範囲であろう。これは、成人患者の一回の処理のための用量であり、これは子供及び幼児のためには、比例して調節され得、そしてまた、分子量に比例して、他の抗体型式のために調節され得る。処理は、医師の考えで、毎日1度、週2度、週1度又は月1度の間隔で反復され得る。
【0076】
本発明の特異的結合メンバーは通常、特異的結合メンバーの他に、少なくとも1つの成分を含んで成る医薬組成物の形で投与されるであろう。
従って、本発明の及び本発明に従っての使用のための医薬組成物は、活性成分の他に、医薬的に許容できる賦形剤、キャリヤー、緩衝液、安定剤、又は当業者に良く知られている他の材料を含んで成ることができる。そのような材料は、非毒性であるべきであり、そして活性成分の効能を阻害すべきではない。キャリヤー又は他の材料の正確な性質は、経口であり得るか、又は注射、例えば静脈内によってであり得る、投与の経路に依存するであろう。
【0077】
静脈内注射、又は苦痛の部位での注射に関しては、活性成分は、発熱物質を有さず、そして適切なpH、等張性及び安定性を有する非経口的に許容できる水溶性の形で存在するであろう。当業者は、例えば等張ビークル、例えば塩化ナトリウム注射剤、リンガー注射剤、乳酸化されたリンガー注射剤を用いて、適切な溶液を十分に調製することができる。保存剤、安定剤、緩衝剤、酸化防止剤及び/又は他の添加剤が、必要とされる場合、包含され得る。
【0078】
組成物は、単独で又は他の処理と組合して、処理される条件に依存して、同時に又は連続的に投与され得る。他の処理は、適切な用量の苦痛緩和薬剤、例えば非ステロイド抗炎症薬剤(例えば、アスピリン、パラセタモール、イブプロフェン又はケトプロフェン)又はアヘン誘導体、例えばモルフィン又は抗催吐薬の投与を包含することができる。
【0079】
本発明は、病理学的病変における脈管形成に存在する細胞外マトリックス成分への、本明細書において供給されるような特異的結合メンバーの結合を引き起こすか、又は可能にすることを含んで成る方法を提供する。注目されるように、そのような結合は、例えば特異的結合メンバー、又は特異的結合メンバーをコードする核酸の投与に続いて、インビボで生じる。
本発明のさらなる観点及び態様は、当業者に明らかであろう。本発明の観点及び態様は、次に実験セクションにより示される。
【実施例】
【0080】
例1抗体−IL2融合体の構成及びインビボ抗腫瘍活性
材料及び方法:
L19−IL2融合タンパク質の構成及び発現:
L19−IL2 cDNAを、scFv L19をコードする配列の3’末端へのヒトIL2をコードする合成配列の融合により構成した。L19−IL2 cDNA構造体の図表は、図1に示される。IL2 cDNAを、BC−666及びBC695プライマー、及びMeazzaなど. 1996 (18) により記載のようにして、ヒト植物凝集素(PHA)−活性化された末梢血液リンパ球から出発して逆転写酵素−ポリメラーゼ鎖反応(RT−PCR)により生成されたIL2 cDNA(鋳型として)を用いて、ポリメラーゼ鎖反応(PCR)により増幅した。
【0081】
前方向BC666プライマー(配列:ctcgaattctcttcctcatcgggtagtagctcttccggctcatcgtccagcggcgcacctacttcaagttctaca)は、EcoRI制限酵素配列、15個のアミノ酸リンカー (ser4-Gly)3 をコードする45bp及び成熟ヒトIL2配列の21個の塩基を含んだ。
逆方向BC−695プライマー(配列:ctcggatccttatcaattcagatcctcttctgagatgagtttttgttcagtcagtgttgagatgatgct)は、myc配列(13)、2個の停止コドン及びBamHI制限酵素配列を含んだ。
【0082】
Liなど. 1997 (19) により報告されるようなシグナル分泌リーダーペプチドのゲノム配列を、その5’末端に含むscFvL19を、ベクターpcDNA3.1(Invitrogen, Coningen, The Netherlands)上のT7プライマー、及びL19の3’末端の21bp及びEcoRI制限酵素配列を含むBC679プライマー(配列:CTCGAATTCtttgatttccaccttggtccc)を用いて、PCRにより増幅した。融合された遺伝子を配列決定し、サイトメガロウィルス(CMV)プロモーターを含むベクターpcDNA3.1中に導入し、そしてG418 (750μg/ml、Calbiochem. San Diego, CA) の存在下でP3U1細胞において発現した。G418−耐性細胞のクローンを、ヒトフィブロネクチン(FN)の組換えED−Bドメインを抗原として用いてのELISAによりL19−IL2融合タンパク質の分泌についてスクリーンした。
【0083】
L19−IL2融合タンパク質のFN組換えフラグメント、ELISAイムノアッセイ及び精製:
タイプIII相同反復体7B89及びED−Bを含む組換えFNフラグメントを、Carnemollaなど. 1996 (20) により記載のようにして生成した。ELISAイムノアッセイを、Carnemollaなど. 1996 (20) により報告されるようにして行った。L19−IL2融合タンパク質を、Carnemollaなど. 1996 (20) により報告されるようにして、親和性クロマトグラフィーにより、セファロースに接合される組換えヒトフィブロネクチンフラグメント7B89を用いて、1つの陽性クローンのならし培地から精製した。融合タンパク質のサイズを、Superdex S-200クロマトグラフィーカラム(Amersham Pharmacia Biotech, Uppsala, Sweden)上でのFPLCゲル濾過により、SDS−PAGE上での還元条件下で及び天然の条件下で分析した。
【0084】
IL2バイオアッセイ:
L19−IL2融合タンパク質のIL2活性を、Meazzaなど. 1996 (18) により記載されるようにして、ヒトIL2に応答して増殖することが知られているCTLLマウス増殖細胞系を用いて決定した。L19−IL2融合タンパク質、及び1000〜0.01ng/mlの濃度でのL19及び組換えヒトIL2 (Proleukin, Chiron) の等モル混合物の一連の稀釈溶液を、CTLL−2増殖アッセイに使用した。
【0085】
動物及び細胞系:
雌の無胸腺症ヌードマウス(生後8周目のヌード/ヌードCD1マウス、雌)を、Harlan Italy (Currezzana, Milano, Italy) から得た。F9、マウス胚癌腫、マウスT細胞(CTLL−2)及びマウスメラノーマ細胞を、ATCC (American Type Culture Collection, Rockville, MD, USA) から購入し;N592, すなわちヒト小細胞肺癌(SCLC)細胞系は、Dr. J.D. Minna (National Cancer institute and Naval Hospital, Bethesda, Maryland) により提供される腎臓であり;C51、すなわちBALB/cに由来するマウス結腸腺癌細胞系は、Dr. M. P. Colombo (21) により提供される腎臓であった。
【0086】
L19−IL2融合タンパク質の生分布:
精製されたL19−IL−2を、Iodogen方法(22)(Pierce, Rockford, IL)を用いて、ヨウ素125により放射性ラベルした。免疫反応性放射性ラベルされたL19-IL-2(90%以上)を、7B89/セファロースクロマトグラフィーカラム上で親和性精製した。皮下移植されたF9ネズミ奇形癌を有するヌードマウス(20, 23)に、塩溶液100μl中、約10μg(4μCi)のタンパク質を静脈内注入した。3匹の動物を、個々の時点で使用した。器官の重量を計量し、そして放射能を計算した。すべての器官及び腫瘍を、組織学的分析及びマイクロオートラジオグラフィーのために固定剤に配置した。代表的な器官の標的化結果を、組織1g当たりの注射された用量の%として表す(%ID/g)。
【0087】
L19−IL2融合タンパク質によるインビボ処理:
精製されたL19−IL2融合タンパク質による処理を、20×106個のN592,106個のC51又は3×106個のF9細胞によりそれぞれ皮下注入された6匹のマウスのグループにおいて行った。N592,F9及びC51細胞注入の24時間後、12μgのL19−IL2融合タンパク質を、個々の動物の尾静脈中に10〜15日間、毎日注入した。類似するグループの動物(グループ当たり6匹)に、L19(8μg)及び組換えヒトIL2(4μg、72,000UIに対応する;Proleukin, 18×106UI, Chiron)の混合物、及びリン酸緩衝溶液(PBS)(pH7.4)により、同じ日数、注入した。処理の最後で、動物を殺害し、腫瘍を計量し、そして器官(肺、肝臓、心臓、腎臓)を計量し、そして腫瘍を組織学的分析のために固定剤に配置した。
【0088】
マイクロオートラジオグラフィー分析、免疫組織化学及び統計学的分析:
腫瘍及び器官検体を、Tarliなど., 1999 (12) により記載されるようにして、腫瘍又は器官内での125I−L19−IL2融合タンパク質のパターンを評価するために、マイクロオートラジオグラフィーのために処理した。免疫組織化学方法を、Castellaniなど. 1994 (11) により報告されるようにして、行った。非パラメトリックMann−Whitney試験を用いて、3種の異なった動物グループ(L19−IL2融合タンパク質、L19+IL2及びPBSの混合物により処理されたマウス)間での腫瘍重量の差異を評価した。
【0089】
結果:
L19−IL2構造体及びL19−IL2融合タンパク質を発現するクローンの選択:
G418耐性クローンを、前に記載されたようなELISAによりED−B配列に対する上清液の抗体特異性についてスクリーンした。ED−B配列に対する免疫学的特異性を示すクローンの上清液を、IL2生物学的活性について試験した。
【0090】
scFv L19及びL19-IL2融合タンパク質を、SDS−PAGE上で試験した。L19−IL2を、親和性クロマトグラフィーにより一段階で精製し、10%よりも低い汚染率がSDS−PAGEにより検出できた。融合タンパク質は、約42kdの見掛け分子量を示し、これは、融合タンパク質の予測されるサイズと一致した。S200 Superdexクロマトグラフィーカラム(Pharmacia)上での融合タンパク質のFPLC分析は、天然の条件下での前記タンパク質が、scFv L19について前で観察されたように、約70%のダイマー及び30%のモノマーから製造されることを示した。精製されたタンパク質における、ScFv L19成分の免疫学的活性及びIL−2成分の生物学的活性を試験した(図3)。両比活性は、精製され、分離された分子と比較できる。
【0091】
腫瘍担持のマウスにおける放射性ラベルされたL19−IL2融合タンパク質の生分布:
L19−IL2融合タンパク質が腫瘍血管において効果的に局在化できるかどうかを調べるために、Tarliなど. 1999 (12) によりscFv L19について報告されるように、生分布実験を、F9奇形癌担持のマウスにおいて行った。
【0092】
L19−IL2融合タンパク質を、グリア芽腫腫瘍の強く染色された血管に対して免疫組織化学的に示した。放射生ラベルされたL19−IL2融合タンパク質を、皮下移植されたF9腫瘍を有するマウスの尾静脈に注入し、そしてL19−IL2融合タンパク質分布を、3,6及び24時での異なった時点で得た。組織1g当たりの注入された用量の14%(%ID/g)が、表1に報告されるように、注入の3時間後、腫瘍において局在化した。腫瘍性新規血管形成におけるL19−IL2融合タンパク質の局在化を、マイクロラジオグラフィー分析により確かめられた。
放射成ラベルされた融合タンパク質の蓄積が、F9マウス腫瘍の血管において示された。放射性ラベルされた融合タンパク質の蓄積が肝血管又は腫瘍担持のマウスの他の器官の血管において検出された。
【0093】
L19−IL2融合タンパク質による腫瘍担持のマウスの処理:
腫瘍の増殖を抑制することにおけるL19−IL2融合タンパク質の効率を、次の3種の異なった実験腫瘍モデルに基づいて試験した:マウス奇形癌、F9;マウス腺癌、C51及びヒト小細胞癌、N592。腫瘍誘発のために、個々の腫瘍型の細胞(特に、N592に関して20×106、C51に関して106及びF9に関して3×106)を動物に皮化注入した。24時後、動物は、PBS(6匹の動物)、L19がIL2の混合物(6匹の相物)又はL19−IL2融合タンパク質(6匹の動物)の15日間の毎日の静脈内注入を受け始めた。最後の注入の24時間後、動物を殺害し、腫瘍塊状物を除去し、そして腫瘍を計量した。
【0094】
表2に要約される結果は、L19及びIL2タンパク質の等モル混合物により注入された動物及びPBSにより処理された第3グループの両者に関して、L19−IL2融合タンパク質により処理された動物のグループにおいて腫瘍増殖の有意な低下を示す。
F9奇形癌腫瘍を、静脈内処理の11日後、ヌードマウスから切除した。L19−IL2融合タンパク質処理グループにおいては、腫瘍塊状物は、6匹のマウスのうち3匹においてのみ増殖した。非パラメトリックMann-Whitney試薬を用いて、動物の3種のグループ間での腫瘍重量の差異の統計学的有意性を決定した。融合タンパク質(L19−IL2)による処理、PBS又は混合物(L19+IL2)による処理の間の腫瘍重量の差異は、統計学的に有意であった(表3を参照のこと)。
【0095】
例2抗体−組織因子融合体の構成及びそのインビボ使用
切断された組織因子に遺伝子的に融合された、scFv形状での抗体フラグメントを含んで成る融合タンパク質(scFv-TF)を、クローン化し、そして発現した。フィブロネクチンED−Bドメインに対して特異的な標的化剤としてのscFv(L19)を、標的化のために、及び負の対照そしてscFv(D1.3)(めんどり卵リゾチームに対して特異的)を使用した。融合タンパク質scFv (L19)-TF及びscFv (D1.3)−TFを、E. コリにおいて発現し、そして均質に精製した。抗体成分は、抗原結合アッセイにより活性的であることが示された。TF成分は、Rufなど, J. Biol. Chem. 226: 2158-2166の方法を用いて、活性的であることが示された。固形腫瘍を標的化するscFv (L19)-TFの能力を、腫瘍担持のマウスにおいて、静脈内注入された、放射性ラベルされたscFv (L19)-TFを用いて、定量的生分布分析により示した(図3)。
【0096】
scFv (L19)-TF及びscFv (D1.3)-TFの抗腫瘍活性を、F9ネズミ奇形癌、C51ネズミ癌又はFE8腫瘍(皮下移植されたras−形質転換されたラット繊維芽細胞に由来する)を担持するネズミにおいて試験した。実験は、小さな腫瘍を担持するマウス及び非常に大きな腫瘍を担持するマウスの両者において行われた。
scFv (D1.3) 又は塩溶液ではなく、scFv (L19)−TFは、注入の数時間後、急速且つ集中的な腫瘍梗塞を仲介した。
【0097】
20μgのscFv (L19)-TFの3回の注入は、小さな腫瘍いおいて増殖速度の約50%の低下をもたらした(図4及び5)。大きな腫瘍においては、20μgのscFv (L19)-TFの一回の注入が、大部分の腫瘍を黒色で皮殻質の塊状物に向けることによって、腫瘍増殖を停止せしめた(図6及び7)。対照的に、20μgのscFv (F1.3)-TFの1回の注入は、抗腫瘍効果を有さなかった(図6及び7)。
【0098】
材料及び方法
scFv (L19)-TFのクローニング:
scFv (L19)-TF発現ベクターを、scFv (D1.3) 遺伝子がscFv (L19) 遺伝子により置換されている、ベクターpDN5 (D. Neriなど. (1996) Nature Biotechnology 14, 485-490) の誘導体のNot1/EcoR1部位を用いて、ヒトscFv (L19) をコードするDNA配列の3’末端で、ヒトTFをコードする合成DNA配列をクローニングすることによって構成した。ヒトTF DNA配列は、ATCCから購入され、そして次の通りにしてPCRにより修飾された:
【0099】
プライマーTF−banot (5’−T GAG TCA TTC GCG GCC GCA GGT GGC GGT GGC TCT GGC ACT ACA AAT ACT GTG GCA−3’) は、エンドヌクレアーゼNot1のための制限部位を、TF DNA配列の5’末端に導入した。それはまた、4個のグリシン及びセリンから成る制限部位の短いリンカー(GGGGS)をC−末端に導入した。
プライマーTF−fostuecol (5’−GTC CTT GTA GTC AGG CCT TTC AGC GAA CTC ACC TTT CTC CTG GCC CAT ACA−3’) は、TF DNA配列の3’末端に、Stu1エンドヌクレアーゼ制限部位及び次に、FLAG−標識の最初の4個の残基を導入した。それはまた、サイレント突然変異誘発により、TF配列におけるアミノ酸216のためのコドンにおけるEcoRI制限部位を除去した。
プライマーTF−fostueco2 (5’−AGA GAA TTC TTA TTA CTT ATC GTC ATC GTC CTT GTA GTC TGG CCT TTC ACG−3’) は、TF−fostuecolの生成物の3’末端に、FLAG−標識の残り(DYKDDDDK)、EcoRI制限部位及び最終的に、2個の停止コドンを導入した。
【0100】
scFv (D1.3)-TFのクローニング:
scFv (D1.3)-TF 発現ベクターを、scFv (L19)-TFについて上記に記載のようにして類似する態様で構成した。手短には、TF遺伝子を、scFv (D1.3) 遺伝子をすでに含むベクター、pDN5のNot1/EcoR1部位においてクローン化した。
【0101】
scFv-TF融合タンパク質の発現及び精製:
ベクターを、TG1 E.コリ細胞に導入した。タンパク質発現、及び親和性クロマトグラフィーによる精製を、scFv (D1.3) 及びscFv (L19) について記載のようにして行った(Neriなど., 1996; Tarliなど., (1999) Blood, 94, 192-198)。さらに、イオン交換クロマトグラフィーによる精製段階を、相同タンパク質調製物を得るために行った。
融合タンパク質のサイズを、SDS−PAGE上で還元条件下で、及びSuperdex S-75 (Amersham Pharmacia Biotech, Uppsala, Sweden) 上でのFPLCゲル濾過により天然の条件下で分析した。
【0102】
組換えscFv-TF融合タンパク質のインビトロ活性:
scFv-TF融合タンパク質の免疫反応性を、Neriなど., 1996: D. Neriなど., 1997, Nature Biotechnology, 15, 1271-1275; Tarliなど., 1999により記載のようにして、ELISAイムノアッセイにより、BIAcoreにより、及び抗原カラム上での親和性クロマトグラフィーにより分析した。
svFv-TF融合タンパク質の酵素活性を、Rufなど., 1991により記載のようにして、Spectrozyme FXa アッセイ(American Diagnostica, Pfungstadt, Germany)を用いて分析した。
【0103】
組換えL19-TF融合タンパク質のインビボ標的化活性:
インビボ標的化性能を、Tarliなど. (1999) に記載のようにして、生分布分析により分析した。手短には、精製されたscFv (L19)-TF融合タンパク質を、放射性ラベルし、そして皮下移植されたF9ネズミ奇形癌を有するヌードマウス中に注入した。マウスを、注入後24時間で殺害した。器官を計量し、そして放射能を計数した。代表的器官の標的化結果を、組織1g当たり注入された用量の%(%ID/g)として表される。
【0104】
組換えL19-TF融合タンパク質によるインビボ処理:
腫瘍担持のマウスを、106個のFE8ラット線維芽細胞、C51結腸癌又はF9奇形癌細胞の皮下注入により得た(Tarliなど., 1999)。細胞を、腫瘍体積がスライド−カリパスにより測定されるまで、増殖せしめた。
約200−300mm3の腫瘍体積を有するマウスに、塩溶液200μl中、10μgに対応するscFv-TF融合タンパク質20μgを注入した。注入は、48及び96時間後、反復された。マウスを、腫瘍体積、重量及び外観、例えば写真記録によりモニターした。
約500mm3の体積の腫瘍を有するマウスに、塩溶液200μl中、10μgのTFに対応するscFv-TF融合タンパク質20μgを、1回の用量で注入した。注入は反復されなかった。マウスを、腫瘍体積、重量及び外観、例えば写真記録によりモニターした。
【0105】
例3抗体−ドキソルビシンの構成及びインビボ使用
抗−FN ED-B scFv L19及びドキソルビシンの結合体を構成した。切断可能リンカーについての化学として、L19抗体の第1アミノ基とドキソルビシンの酸化された糖成分(ダウノサミン)との間にシッフ塩基(イミン)の形成を選択した。
scFv (L19) からのドキソルビシンの開放能力を、HPLCによりアッセイした。ドキソルビシン開放の半減期は、pH7.4及び37℃で約10時間であった(図8)。
【0106】
開放されたドキソルビシンの隣接する細胞により取り組まれる能力(インビボ)及び殺生物性活性を仲介する能力を、C51ネズミ癌細胞系を用いて細胞毒性アッセイにより試験した。図9は、純粋なドキソルビシン及びscFv (L19)−ドキソルビシンから開放されるドキソルビシンの両者は、0.1μMの範囲で、C51細胞に対して50%阻害濃度を有することを示す。
scFv (L19)−ドキソルビシン免疫接合体の抗腫瘍活性性を、皮下移植されたC51ネズミ腫瘍を担持するマウスにおける反復された静脈内注入によりインビボで試験した。18μgのscFv (L19)−ドキソルビシンの5回の注入が、塩溶液を注入された対照マウスに比較して、腫瘍増殖速度の50%低下を引き起こした。
【0107】
材料及び方法
scFv (L19) に対するドキソルビシンの接合:
抗体フラグメントscFv (L19) を、Tarliなど. (1999) Bloud, 94, 192-198に記載のようにして調製した。
1mg(1.72μモル)のドキソルビシンを、1mlのリン酸緩衝液(pH=7.4)において、0.53mg(2.5μモル)のNaIO4と共に混合し、そして暗室において室温で1時間インキュベートした。次に、1μlの20%グリセロールを添加し、過剰の過ヨウ素酸塩を消費した。酸化された薬剤の溶液を、0.15Mの炭酸カリウム緩衝液(pH=9.5)において、1.3mg(43nモル)のscFv (L19) と共に混合した。形成された沈殿物を、遠心分離(4000rpm,1’)により除去し、そして液体相を、PD−10の使い捨てゲル濾過カラム上に負荷した。
【0108】
ドキソルビシン及びscFv (L19) のモル濃度を、280nmでのドキソルビシンの吸光度についての補正を伴なって、それぞれ496及び280nmでそれらのUV吸光度から決定した。接合体カップリングの程度を、次の式から(scFv: ドキソ)モル比(MR)として計算した:
MR={[A290B (0.724×A496)]/[(1.4)(2.7×104)]}/[A496/(8.03×103)]
ここで、Aは分光光度吸光度を示し:0.724は280nmでのドキソルビシン吸光度のための補正値であり;2.7×104はscFvの分子量であり;1.4はscFvの1mg/ml溶液の280nmでの吸光値であり;8.03×103(M-1cm-1)は496nmでのドキソルビシンの吸光度数である。
【0109】
NaIO4により前もって酸化されたドキソルビシンによりL19抗体ブラグメントをカップリングする場合、抗体フラグメント1モル当たり結合されるドキソルビシン5分子が得られた。
接合の後の抗体免疫反応性を、パスツールピペット上の200μlのED−B−Sepharose樹脂(容量>2mgED−B/ml樹脂)上への200μgの(L19−ドキソ)接合体の負荷、続く496nmでの流動及び溶出液画分の吸光度測定により測定した。抽出された画分の吸光度値と、溶出された画分及び流動画分の値の合計との間の割合として定義される免疫反応性は、30%であった。
【0110】
細胞毒性試験:
15mlのFalcon管において、scFv−ドキソ接合体(2ml)のサンプルを、12,000−14,000の分子量カットオフ(MMCO)(Socochim SA, Switzerland) を用いて、37℃で振盪しながら、PBS(4ml)に対して透析した。
異なった時間の間隔で、透析緩衝液を抜き取り、そして濾過した。放出されるドキソルビシンの量を、496nmでの吸光度から測定し、そしてシグナルの組込みを、逆相HPLCにより得た(図8)。放出される薬剤の活性の評価のために、マイクロ滴定プレートにおける比色細胞毒性アッセイを、Crystal Violet (Serva) により細胞の染色によるバイオマスの定量化に基づいて使用した。接合されていないドキソルビシン及び接合体から放されるドキソルビシンを同時に分析した。
【0111】
C51ネズミ腺癌細胞を、ウェル当たり106〜107個の細胞の密度で、24−ウェルプレートに接種した。プレートを、単層の増殖を確保するために、湿潤された5%CO2雰囲気下で、37℃で一晩インキュベートした。次に、培地を除去し、そして異なった濃度のドキソルビシンを添加した。処理された及び対照プレートにおける相対的細胞数を、結晶紫色染色により決定した。定量化は、70%エタノールに吸収された色素を溶解し、そして590nmで光学密度を決定することによって可能であり、ここで吸光度は細胞数に直接的に比例する。相対的細胞数は、T/C=T−C0/C-C0×100[T=処理された培養物の吸光度、C=対照培養物の吸光度、及びCo=インキュベーションの開始(t=0)での培養物の吸光度]としてあらわされ得る。この研究の結果は、図9に示される。
【0112】
インビボ抗腫瘍活性:
C51腺癌細胞を前もって皮下注入された1組の6匹のヌードマウスは、過ヨウ素酸塩酸化を通して、scFv (V19) に接合されたドキソの静脈内注入を受けた。同じ時点で、1組の5匹のマウスは、塩溶液緩衝液の注入を受けた。
5回の注入を、マウスに対して行い、それぞれは、約18μgのドキソルビシン誘導体に対応する(静脈内注入されたドキソルビシンについての最大の耐性用量の1/10以下、すなわち8mg/kg)。
L19−ドキソにより処理されたマウスの腫瘍を、カリペスにより規則的に測定し、そしてそれは、未処理のマウスにおける腫瘍よりも遅く増殖した。腫瘍移植後14日で、処理された動物における腫瘍の平均体積は、未処理の動物における腫瘍の平均体積の約半分であった。
【0113】
例4IL12−L19融合タンパク質をコードするDNA構造体の調製及び融合タンパク質の生成
DNA構造体の調製
IL12−L19 cDNA構造体の図示が、図11に与えられる。遺伝子融合体を、ネズミIL−12サブユニットp35及びp40及びscFv (V19) の個々の遺伝子からの2回のPCRアセンブリーを行うことによって構成した。
ネズミIL−12サブユニットp35及びp40の配列を、ATCC (American Type Culture Collection, Manassas, VA 20110, USA) から得、そして次のプライマーによるPCRにより増幅した:
【0114】
プライマーsp40bockEco (5’−ccg gaa ttc atg tgt cct cag aag cta acc atc−3’) は、p40の内因性分泌配列に対してアニーリングし、そしてエンドヌクレアーゼEcoR1のための制限部位をその5’末端に付加する。
プライマーlinkp40for (5’−cc gcc acc gct ccc tcc gcc acc gga acc tcc ccc gcc gga tcg gac cct gca ggg aac−3’) は、p35の5’末端へのそのPCRアセンブリーを可能にするために、(Gly4Ser)3−リンカーの一部を、p40の3’末端に導入する。
プライマーlinkp35back (5’−ggc gga ggg agc ggt ggc gga ggt tcg agg gtc att cca gtc tct gga cct−3’) は、p40とのPCRアセンブリーのための (Gly4Ser)3−リンカーの相補的配列を、5’末端に導入する。
【0115】
プライマーlinkp35for (5’−ctc acc tcc atc agc gct tcc ggc gga gct cag ata gcc−3’) は、p40の3’末端にアニーリングし、そしてIL12及びL19のp45サブユニットを連結するために、短いアミノ酸リンカー(GSADGG)の配列を付加する。
FLAG標識を有するL19の遺伝子配列を、次のプライマーによりPCR増幅した:
プライマーlink19back (5’−gcc gga agc gct gat gga ggt gag gtg cag ctg ttg gag tc−3’) は、p35とL19との間の短いアミノ酸リンカー(GSADGG)相補的配列を、L19の5’末端に付加する。
【0116】
プライマーFlagforNot (5’−a agg aaa aaa gcggccgc cta ttt gtc atc atc gtc ttt gta gtc−3’) は、L19FlagのFlag配列にアニーリングし、3’末端で、停止コドン、及びエンドヌクレアーゼNot1のための制限部位を導入する。
IL12−L19をコードする核酸を、2回のPCRアセンブリーを行うことによって構成した。最初に、p40及びp35フラグメントを、プライマーsp40backEco及びlinkp35forを用いて、PCRアセンブリーにより融合した。プライマーsp40backEco及びFlagforNotによる第2のPCRアセンブリー段階においては、p40−リンカー−p35をコードするDNAフラグメントを、L19の5’末端に融合した。アセンブルされたIL12−L19を、哺乳類細胞発現ベクターpcDNA3.1(+)ベクター(Invitrogen, Croningen, The Netherlands)中に、ベクターのEcoR1/Not1部位を用いて、クローン化した。
【0117】
IL12−IL19の発現及び精製
HEK293細胞(ヒト胚腎臓細胞)を、ベクターによりトランスフェクとし、そして安定したトランスフェクタントをG418 (500μg/ml)の存在下で選択した。G418耐性細胞のクローンを、抗原としてヒトフィブロネクチンの組換えED−Bドメインを用いて、ELISAにより、ILに発現についてスクリーンした。
IL12−L19融合タンパク質を、セファロースに接合されるED−B上での親和性クロマトグラフィーにより細胞培養培地から精製した。融合タンパク質のサイズを、SDS−PAGE上で、還元条件下で、及びSuperdex S-200 (Amersham Pharmaceutica Biotech, Uppsala, Sweden) 上でのFPLCゲル濾過により天然の条件下で分析した。
【0118】
IL−12生活性の決定
IL12−L19融合タンパク質のIL12活性を、T細胞増殖アッセイを行うことによって決定した(Gatelyなど., Current Protecols in Immunology, 1997)。休止ヒト末端血液単球(PBMC)を、マイトジェン(植物凝集素及びIL−12)と共に3日間、培養し、そして次に、融合タンパク質又は市販の組換えネズミIL12標準のいずれかの一連の稀釈溶液と共にインキュベートした。増殖を、[3H] チミジン組込みにより連続的に測定した(図12)。
【0119】
例5IL12−L19融合タンパク質のインビボ処理
インビボ標的化活性を、皮下移植されたF9ネズミ奇形癌を担持するヌードマウス(RCC Fullinsdorf)において、放射性ヨウ素化された融合タンパク質による生分布実験を行うことによって分析した(Tarliなど., 1999)。生分布データは、注入の1,4及び24時間後で殺害されたマウスから得られた。それらの時点で、腫瘍、器官及び血液を除去し、計量し、そして放射能を計数した。標的化結果を、組織g当たりの%注入された用量(%ID/g)として表された。結果は図13に示される。
【0120】
BALB/cマウス(RCC Fullinsdorf)に、C51結腸癌の5×106個の細胞を皮下注入した。グループ当たり5又は6匹の動物を包含する2つの治療実験を、小さな又は大きな腫瘍を担持するマウスに対して行った。
第1の場合、治療を、小さな腫瘍が明白に見える場合(約30mm3)、腫瘍細胞注入の4日後に開始した。処理されたグループにおいては、マウスの尾静脈中に2.5μgのIL12−L19融合タンパク質を、48時間ごとに注入した。対照グループは、同じスケジュールに従って、PBS注入を受けた。処理の最後で、動物を殺害し、腫瘍を計量し、そして器官及び腫瘍を、組織分析のために固定剤に配置した。
【0121】
結果は、図14に示される。
第2の実験においては、治療を、平均腫瘍体積が300mm3に達した場合に開始した。治療されたグループのマウスに、10μgのIL12−L19融合タンパク質を、48時間ごとに静脈内注入し、そして対照グループは、PBS注入を受けた。
結果は、図15に示される。
【0122】
例6scFv(L19)−インターフェロン−γ
本発明者は、腫瘍担持のマウスにおける腫瘍血管形成にL19−インターロイキン−12融合タンパク質を標的化する場合、血液における高められたレベルのIFN−γが観察されたことを見出した。対照的に、高められたレベルのIFN−γは、標的化されていないscFv−インターロイキン−12融合タンパク質により検出され得なかった。
【0123】
本発明者は、scFv(例えばL19)にIFN−γを融合するための2種の達成方法を研究した。これまでは、IFN−γは、生物学的活性であるためにはホモダイマーである必要がある事実により提供される困難性が存在している。IFN−γと(他方では、ホモダイマー分子である)IgG(のH鎖又はL鎖のいずれか)との間の融合タンパク質は、その得られる融合タンパク質の非共有重合/沈殿をもたらすであろう。
【0124】
第1のアプローチ(図17)においては、IFN−γモノマーを、scFvのC−末端で融合した。得られる融合タンパク質を、安定してトランスフェクロされた哺乳類細胞培養物において十分に発現し、還元SDS−PAGEにおいて43キロドルトンの見掛け分子量を有する純粋なタンパク質(ED−B樹脂上での親和性クロマトグラフィー処理の後)を生成した。タンパク質は、Superdex-200カラム(Amersham−Pharmacia, Zurich, Switzerland)を用いて、ゲル濾過クロマトフラフィーにより決定される場合、溶液において主にホモダイマーであった。scFv(実際,L19)−IFN−γは、典型的なIFN−γ−依存性態において、フィブロネクチンのED−Bドメインに高い親和性で結合し、そして腫瘍細胞の増殖阻止することができるので、融合タンパク質において活性的であることが示された。
【0125】
第2のアプローチ(図18)においては、IFN−γホモダイマー(ポリペプチドリンカーにより一緒に連結された2つのIFN−γから成る)を、scFv (L19) のC−末端で融合した。得られる融合タンパク質を、安定してトランスフェクトされた哺乳類細胞培養物において十分に発現し、還元SDS−PAGEにおいて59キロドルトンの見掛け分子量を有する純粋なタンパク質(ED−B樹脂上での親和性クロマトグラフィー処理の後)を生成した。タンパク質は、Superdex−200カラム(Amersham−Pharmacia, Dubendrf, Zurich, Switzerland)を用いて、ゲル濾過クロマトグラフィーにより決定される場合、溶液において主にホモダイマー性であった。
【0126】
4個の抗原−結合部位及び4個のIFN−γモノマー単位を有する融合タンパク質の溶液における性質は、生物学的活性と適合できる。融合タンパク質は、典型的なIFN−γ−依存性態様で、ELISA及びBIAcore分析により、フィブロネクチンのED−Bドメインへの強い結合を示し、そしてそれは腫瘍細胞の増殖を阻止することができた。
scFv (L19)−IFN−γ及びscFv (L19)−(IFN−γ)2の抗腫瘍活性が、腫瘍担持のマウスにおいて示される。
【0127】
実験方法
プライマー配列は、表4に示される。
pcDNA3.1 (+)ベクター: プラスミドpIS14中へのL19−IFN−γのクローニング
ネズミIFN−γコード配列(ATCC、Manassas, VA20110,USA, ATCC No. 63170) を、プライマー6及び5を用いて増幅した。第2のPCR反応においては、ペプチドフラグ標識を、プライマー6及び2を用いて、融合タンパク質のC−末端に付加した。
【0128】
得られる挿入体を精製し、SacII/NotIにより消化し、そしてSacII/NotI二重消化され、修飾されたpcDNA3.1 (+) ベクターにおいて連結した。前記ベクターは、次の通りに前もって修飾されていた:IgG分泌配列を、scFv (L19) にN−末端的に融合し、そしてその構造体を、HindIII/EcoRI消化されたpcDNA3.1(+)ベクター中にクローン化した。scFv (L19) のC−末端は、TCC GGA TCC GCG GGAによりコードされる短い5個のアミノ酸リンカーである。図19を参照のこと。
【0129】
pcDNA3.1 (+)ベクター:プラスミドpIS16中へのL19−(IFN−γ)2のクローニング
ネズミIFN−γダイマーを、2種の別々に増幅されたIFN−γモノマーを連結することによってクローン化した。1つのIFN−γモノマーを、プライマー6及び8を用いて増幅し、従ってSacII制限部位を、その5’末端に付加し、そして内部EcoRI制限部位を含む、GGC GAT GGG GGA ATT CTT GGT TCA TCC GGAによりコードされる10個のアミノ酸リンカーをその3’末端に付加した。図18を参照のこと。第2のIFN−γモノマーを、プライマー7及び5により増幅し、続いてプライマー7及び2を用いて、第2のPCR反応にゆだね、従って、内部EcoRI制限部位を含む10個のアミノ酸のリンカーをその5’末端に、及びペプチドFlag−標識、続いてNotI制限部位をその3’末端に付加した。
【0130】
IFN−γのモノマーサブユニットに対応する2種のフラグメントを、EcoRIにより消化し、そして連結した。連結生成物に対応するバンドを、アガロースゲル上でゲル精製し、SacII/NotIにより消化し、そしてSacII/NotIにより二重消化され、修飾されたpcDNA3.1(+)ベクター中に連結した。前記ベクターは次の通りに前もって修飾されていた:IgG分泌配列を、scFv (L19) にN−末端的に融合し、そしてその構造体を、HindIII/EcoRIにより消化されたpcDNA3.1 (+)ベクター中にクローン化した。scFv (L19) のC−末端は、短い5個のアミノ酸リンカーである(図20を参照のこと)。
【0131】
L19−IFN−γ及びL19−(IFN−γ)2の発現及び精製
HEK293細胞(ヒト胚腎臓細胞)を、ベクターpIS14及びpIS16によりトランスフェクトし、そして安定したトランスフェクタントを、標準のプロトコール(Invitrogen, Groningen, the Nether lands)を用いて、G418 (500/μg/ml)の存在下で選択した。G418−耐性細胞のクローンを、抗原としてヒトフィブロネクチンの組換えED−Bドメインを用いて、ELISAによりIFN−γ発現についてスクリーンした。L19−IFN−γ及びL19−(IFN−γ)2融合タンパク質を、ED−B結合されたCMセファロースカラム上での親和性クロマトグラフィーにより、細胞培養培地から精製した。融合タンパク質のサイズを、SDS−PAGE上での還元条件下で、及びSuperdex S-200カラム(Amersham Pharmacia Biotech, Uppsala, Sweden)上でのFPLCゲル濾過により天然の条件下で分析した。
【0132】
例7抗体mTNFα融合体の構成及びインビボ抗腫瘍活性
材料及び方法
L19−mTNFα融合タンパク質の構成及び発現:
L19−mTNFα cDNAを、マウスTNFα(Pennica など., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 82: 6060-6064, 1985)をコードする合成配列のscFv L19をコードする配列の3’末端への融合により構成した。L19− mTNFα cDNA構造体の図表は、図21に示される。TNFαcDNAを、BC742及びBC749プライマー、及び免疫化されたマウスの脾臓から得られたRNAから出発して逆転写酵素−ポリメラーゼ鎖反応(RT−PCR)により生成されたmTNFα cDNA(鋳型として)を用いて、ポリメラーゼ鎖反応(PCR)により増幅した。
【0133】
前方向プライマー(BC724)(配列:5’−CTCGAATTCTCTTCCTCATCGGGTAGTAGCTCTTCCGGCTCATCGTCCAGCGGCCTCAGATCATCTTCTCAAAAT−3’)は、EcoRI制限酵素配列、15個のアミノ酸リンカー (ser4-Gly)3 をコードする45bp及び成熟マウスTNFα配列(Pennicaなど., 1985)の21個の塩基を含んだ。
逆方向BC−749プライマー(配列:5’−CTCGCGGCCGCTCATCACAGAGCAATGACTCCAAAGTA−3’)は、成熟マウスTNFα配列(Pennicaなど., 1985)の21個の塩基、2個の停止コドン及びNotI制限酵素配列を含んだ。
【0134】
Liなど. (Protein Engineering, 10: 731, 1996又は1997)により報告されるようなシグナル分泌リーダーペプチドのゲノム配列を、その5’末端に含むscFvL19を、ベクターpcDNA3.1(Invitrogen, Coningen, The Netherlands)上のT7プライマー、及びL19の3’末端の21bp及びEcoRI制限酵素配列を含むBC679プライマー(配列:CTCGAATTCtttgatttccaccttggtccc)を用いて、PCRにより増幅した。
【0135】
融合された遺伝子を配列決定し、サイトメガロウィルス(CMV)プロモーターを含むベクターpcDNA3.1中に導入し、そしてG418 (750μg/ml、Calbiochem. San Diego, CA) の存在下でP3U1細胞において発現した。G418−耐性細胞のクローンを、ヒトフィブロネクチン(FN)の組換えED−BドメインをL19のための抗原として用いて、及び免疫反応性mTNFαのための特異的試薬としてのウサギ抗−ネズミTNFαポリクローナル抗体(PeproTech, UK)もちいてのELISAによりL19− mTNFα融合タンパク質の分泌についてスクリーンした。
【0136】
L19− mTNFα融合タンパク質のFN組換えフラグメント、ELISAイムノアッセイ及び精製:
組換えED−B FNフラグメントを、Carnemollaなど. (Int.J.Cancer,68:397、1996 ) により記載のようにして生成した。ELISAイムノアッセイを、Carnemollaなど. 1996 により報告されるようにして行った。L19− mTNFα融合タンパク質を、Carnemollaなど. 1996 により報告されるようにして、親和性クロマトグラフィーにより、セファロースに接合される組換えヒトフィブロネクチンフラグメントEd-Bを用いて、1つの陽性クローンのならし培地から精製した。融合タンパク質のサイズを、Superdex S-200クロマトグラフィーカラム(Amersham Pharmacia Biotech, Uppsala, Sweden)上でのFPLCゲル濾過により、SDS−PAGE上での還元条件下で及び天然の条件下で分析した。
【0137】
L−M細胞毒性アッセイ:
L19−mTNFα融合タンパク質のmTNFα活性を、Cortiなど. (J. Immunol. Methods, 177: 191-194, 1994) により記載されるようにして、マウスL−M線維芽細胞を用いて、細胞毒性アッセイにより決定した。1000〜0.4pg/mlの濃度でのL19−mTNFα融合タンパク質及び組換えmTNFα(2×107単位/ml)の一連の稀釈溶液を、細胞毒性アッセイに使用した。結果は、負の対照に関して、生存細胞の%として表される。
【0138】
動物及び細胞系
雄及び雌の129及びBalb-Cマウス(生後8周目雌)を、Harlan Italy (Currezzana, Milano, Italy) から得た。F9、マウス胚癌腫、マウスL-M線維芽細胞及びマウスメラノーマ細胞を、ATCC (American Type Culture Collection, Rockville, MD, USA) から購入し; C51、すなわちBALB/cに由来するマウス結腸腺癌細胞系を使用した(Colombo など., Cancer Metastasis Rev., 16: 412-432, 1997)。
【0139】
L19− mTNFα融合タンパク質の生分布
精製されたL19− mTNFαを、Iodogen方法(Salacinski など., Anal. Biochem., 117: 136, 1981)(Pierce, Rockford, IL)を用いて、ヨウ素125により放射性ラベルした。ラベリングの後、免疫反応性放射性は90%以上であった。皮下移植されたF9ネズミ奇形癌を有する129匹のマウスに、塩溶液100μl中、約4μg(2μCi)のタンパク質を静脈内注入した。3匹の動物を、個々の時点で使用した。マウスを、注入後3,6,24及び48時間後に殺害した。器官の重量を計量し、そして放射能を計算した。すべての器官及び腫瘍を、組織学的分析及びマイクロオートラジオグラフィーのために固定剤に配置した。代表的な器官の標的化結果を、組織1g当たりの注射された用量の%として表す(%ID/g)。
【0140】
L19− mTNFα融合タンパク質によるインビボ処理
精製されたL19− mTNFα融合タンパク質による処理を106個のC51細胞によりそれぞれ皮下注入された3匹のBalb.cマウスのグループにおいて行った。C51細胞注入の12日後、0.8 μgのL19− mTNFα融合タンパク質を、個々の動物の尾静脈中に注入した。類似するグループの動物(グループ当たり3匹)に、リン酸緩衝溶液(PBS)(pH7.4)を注入した。動物を全身性毒性(体重の低下)及び腫瘍増殖について毎日6日間、追跡した。処理の最後で、動物を殺害し、腫瘍を組織学的分析のために固定剤に配置し、そして免疫組織学的分析のために凍結した。
【0141】
マイクロオートラジオグラフィー分析、免疫組織化学及び統計学的分析
腫瘍及び器官検体を、Tarliなど., (Blood, 94: 192-198, 1999) により記載されるようにして、腫瘍又は器官内での125I−L19 mTNFα融合タンパク質のパターンを評価するために、マイクロオートラジオグラフィーのために処理した。免疫組織化学方法を、Castellaniなど. (Int. J. Cancer, 59: 612-618, 1994)により報告されるようにして、行った。
【0142】
結果
L19− mTNFα構造体及びL19− mTNFα融合タンパク質を発現するクローンの選択:
G418耐性クローンを、材料及び方法に記載されるようなELISAにより、ED−B配列に対する及び免疫反応性mTNFαに対する上清液の抗体特異性についてスクリーンした。
ED−B配列及び免疫反応mTNFαに対する免疫学的特異性を示すクローンの上清液を、L−M細胞毒性アッセイにおけるTNFα生物学的活性について試験した(材料及び方法を参照のこと)。
【0143】
L19−mTNFα融合タンパク質を、次の2段階方法で精製した:
a)ED−Bセファロースカラム上での免疫親和性クロマトグラフィー、続いて
b)サイズ排除クロマトグラフィー(Superdex200、Pharmacia)。
SDS−PAGEにおいては、融合タンパク質は、予測されるように、約42kDaの見掛け分子量を示した。精製されたタンパク質におけるscFv L19成分の免疫学的活性及びmTNFα成分の生物学的活性を試験した。
【0144】
腫瘍担持のマウスにおける放射性ラベルされたL19− mTNFα融合タンパク質の生分布:
L19− mTNFα融合タンパク質が腫瘍血管において効果的に局在化できるかどうかを調べるために、Tarliなど. (Blood, 94: 192-198, 1999)によりscFv L19について報告されるように、生分布実験を、F9奇形癌担持のマウスにおいて行った。
【0145】
L19− mTNFα融合タンパク質を、グリア芽腫腫瘍の強く染色された血管に対して免疫組織化学的に示した。放射生ラベルされたL19− mTNFα融合タンパク質を、皮下移植されたF9腫瘍を有するマウスの尾静脈に注入し、そしてL19− mTNFα融合タンパク質分布を、3,6,24及び48時での異なった時点で得た。組織1g当たりの注入された用量の22%(%ID/g)が、表1に報告されるように、注入の3時間後、腫瘍において局在化し、そして48時間後、9%ID/gが腫瘍において存在した。腫瘍性新規血管形成におけるL19− mTNFα融合タンパク質の局在化を、マイクロラジオグラフィー分析により確かめられた。放射成ラベルされた融合タンパク質の蓄積が、F9マウス腫瘍の血管において示された。放射性ラベルされた融合タンパク質の蓄積が肝血管又は腫瘍担持のマウスの他の器官の血管において検出された。
【0146】
L19−mTNFα融合タンパク質による腫瘍担持のマウスの処理
腫瘍増殖の抑制におけるL19−mTNFα融合タンパク質の効率を、マウス腺癌C51の1つの実験腫瘍モデルに基づいて試験した。腫瘍誘発のために、106個のC51細胞を、Balb/c動物に皮下注入した。12日後(腫瘍が約100−200mm3に達する場合)、動物は、PBS (3匹の動物)又はL19−mTNFα融合タンパク質(3匹の動物)のいずれかの静脈内注入を受けた。動物を、受領及び腫瘍増殖について、6日間、毎日モニターした。図23に要約される結果は、PBSを注入された動物(棒はSEを表す)に対する、L19−mTNFα融合タンパク質により処理された動物のグループにおける腫瘍増殖ン低下を示す。重量の低下は、実験時間じゅうで、常6%以下であった。
【0147】
参考文献:
1) Folkman Nat. Med. 1: 27, 1995.
2) O’Reilly など. Nat. Med. 2: 689, 1996.
3) O’Reilly など. Cell, 88, 277, 1997.
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6) Huang など. Science, 275: 547, 1997.
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8) Schmidt-Erfurth など. Br. J. Cancer, 75: 54, 1997.
9) Zardi など. EMBO J., 6, 2337-2342, 75: 54, 1997.
10) Carnemolla など. J. Cell Biol., 108, 1139-1148 (1989).
11) Castellani など. Int. J. Cancer, 59, 612-618 (1994).
【0148】
12) Tarli など. Blood, 94: 192-198, 1999.
13) Vitiなど. Cancer Res. 59: 347, 1999.
14) Taniguchi など. Cell 73: 5-8, 1993.
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17) Lode など. Pharmacol. Ther. 80: 277-292, 1998.
18) Meazza など. Br. J. Cancer, 74: 788-795, 1996.
19) Li など. Protein Engineering, 10: 731, 1997.
20) Carnemolla など. Int. J. J. Cancer 68: 397, 1996.
21) Colombo など. Cancer Metastasis Rev. 16: 421-432, 1997.
22) Salacinskiなど. Anal. Biochem. 117: 136, 1981.
23) Neri など. Nat. Biotechnol. 15: 1271, 1997.
【0149】
【表1】

【0150】
【表2】

【0151】
【表3】

【0152】
【表4】

【0153】
【表5】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)病理学的病変における脈管形成に存在する細胞外マトリックス成分に対して特異的な特異的接合メンバー、及び(ii)インターロイキン−2(IL−2)、インターロイキン−12(IL−12)、腫瘍壊死因子α(TNFα)、インターフェロン−γ(IFN−γ)、組織因子タンパク質及びドキソルビシンから成る群から選択された分子(但し、前記分子が組織因子タンパク質である場合、前記特異的結合メンバーは、抗体L19の1又は複数のVH及び/又はVLドメインを含んで成り、そして/又はフィブロネクチンED−Bへの結合について抗体L19と競争し、前記抗体L19のVH及びVLドメインのアミノ酸配列は、Piniなど. (1998) J. Biol. Chem. 273: 12769-21776に開示される)の接合体。
【請求項2】
前記特異的結合メンバーが、腫瘍における脈管形成に存在する細胞外マトリックス成分に対して特異的である請求項1記載の接合体。
【請求項3】
前記細胞外マトリックス成分が、フィブロネクチンED−Bである請求項2記載の接合体。
【請求項4】
(i)病理学的病変における脈管形成に存在する細胞外マトリックス成分に対して特異的な特異的接合メンバーと、(ii)細胞相互作用により標的細胞に対して殺生物性又は細胞毒性効果を発揮する分子との接合体であって、前記特異的結合メンバーが、抗体L19の1又は複数のVH及び/又はVLドメインを含んで成り、そして/又はフィブロネクチンED−Bへの結合について抗体L19と競争し、前記抗体L19のVH及びVLドメインのアミノ酸配列は、Piniなど. (1998) J. Biol. Chem. 273: 12769-21776に開示されることを特徴とする接合体。
【請求項5】
前記分子が、インターロイキン−2(IL−2)、インターロイキン−12(IL−12)、腫瘍壊死因子α(TNFα)、インターフェロン−γ(IFN−γ)、組織因子タンパク質及びドキソルビシンから成る群から選択された請求項4記載の接合体。
【請求項6】
前記特異的結合メンバーが一本鎖である請求項1〜5のいずれか1項記載の接合体。
【請求項7】
(a)前記特異的結合メンバー、及び(b)前記分子、又は前記分子の第2ポリペプチド鎖と結合する前記分子のポリペプチド鎖の融合タンパク質を含んで成る請求項6記載の接合体。
【請求項8】
前記特異的結合メンバーが多鎖である請求項1〜5のいずれか1項記載の接合体。
【請求項9】
(a)前記特異的結合メンバーの第1鎖及び前記分子の鎖の融合タンパク質、及び(b)前記特異的結合メンバーの第2鎖及び前記分子の鎖の融合タンパク質を含んで成る請求項8記載の接合体。
【請求項10】
治療によるヒト又は動物の処理方法への使用のための請求項1〜9のいずれか1項記載の接合体。
【請求項11】
病理学的病変における脈管形成の処理方法への使用のための請求項10記載の接合体。
【請求項12】
腫瘍の処理方法への使用のための請求項11記載の接合体。
【請求項13】
病理学的病変における脈管形成の処理のための医薬の製造への請求項1〜9のいずれか1項記載の接合体の使用。
【請求項14】
前記医薬が、腫瘍の処理のためである請求項13記載の使用。
【請求項15】
請求項1〜9のいずれか1項記載の接合体を投与することを含んで成る、病理学的病変における脈管形成を処理するための方法。
【請求項16】
腫瘍を処理することを含んで成る請求項15記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2012−36216(P2012−36216A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−236144(P2011−236144)
【出願日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【分割の表示】特願2001−561361(P2001−561361)の分割
【原出願日】平成13年2月22日(2001.2.22)
【出願人】(504343144)フィロジェン ソチエタ ペル アツィオニ (4)
【Fターム(参考)】