説明

痩身補助香

【課題】 香りを楽しむと同時に、それを吸入することにより食欲を抑制し使用者の痩身化を補助しうるようにする。
【解決手段】 茴香精油及びパチュリ油の少なくとも一種を食欲抑制芳香成分とし、当該食欲抑制芳香成分を吸着保持する炭粉末及び吸着剤の少なくとも一種からなる食欲抑制芳香成分担体を香組成物に含有させる。前記香組成物は、その固形成分として木質基材5〜60重量%、無機質基材粉末60重量%以下及び前記食欲抑制芳香成分を吸着保持する食欲抑制芳香成分担体1〜80重量%を含んでなり、前記食欲抑制芳香成分担体が炭粉末80重量%以下及び吸着剤50重量%以下の少なくとも一種であって、前記固形成分100重量部に対して茴香精油及びパチュリ油の少なくとも一種を1〜30重量%量含有してなる。また、固形成分の一部として茴香粉末及びカッ香粉末の少なくとも一種を1〜40重量%含有させてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は痩身補助香、即ち、香りと共に食欲を抑制する成分を放出し痩身化を補助するお香に関するものである。
【背景技術】
【0002】
お香は、仏事において身を清めて仏を供養するために使用されるだけでなく、お香の持つ消臭作用や芳香作用並びに気分を安らげる鎮静作用に着目して、部屋の臭気を消したり、香りを楽しむために使用されている。これらのお香は、用途によって組成は異なるが、一般に、漢薬香料粉末(例えば、白檀、丁子、沈香、桂皮、乳香、伽羅などの植物性香料粉末又は爵香や竜涎香などの動物性香料粉末)を調合し、これをタブノキ樹皮粉末や白樺樹皮粉末などの粘着力のある木質基材に加え、必要に応じて助燃剤、防腐剤、充填剤等を添加して混練し、棒状その他の形状に成型した後、乾燥することにより製造されている(例えば、特許文献1参照)。また、最近では、香料としてハーブや花の精油などを単独で或いは漢薬香料粉末と共に添加したお香も実用に供されている(例えば、特許文献2参照)。
【0003】
お香は、日常生活において香りを楽しむことを目的として特に女性に愛用されていることに鑑み、お香に芳香作用や鎮静作用以外の特別な作用、特に、女性の悩みの種の一つである肥満を抑制する作用を持たせることの可能性について研究した結果、漢方生薬のなかには食欲を抑制する働きを有するものが知見し、これをお香に適用すれば、香りを楽しむと同時に、使用者の食間に生じる異常な食欲(即ち、空腹ではないのに菓子、スナック菓子その他の食品を食べたいという欲望)を抑制し、その痩身化を補助できる可能性があることを見出した。
【0004】
他方、生薬を痩身化に利用する試みとして、カクコウ、カシュウ、ニュウコウ又はヒカイより選ばれる1種又は2種以上の生薬をリパーゼ活性賦活剤として含有させた皮膚外用剤或いは浴用剤が提案されている(特許文献3参照)。
【0005】
【特許文献1】特開平9−136820号公報
【特許文献2】特開平5−310546号公報
【特許文献3】特開2003−146902号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、お香は、皮膚外用剤或いは浴用剤のように人肌に直接接触させ皮膚から吸収又は浸透させるものとは異なり、香を焚くことにより芳香成分等を空間に放出し、その芳香成分等を含む空気を吸うことにより香りを楽しむものであるため、生薬を含むお香を燃焼させた場合に、生薬に含まれる食欲抑制作用を有する成分が加熱蒸発して痩身化を補助する役割を必ずしも期待できないという問題がある。因みに、食欲抑制効果を持つカッ香粉末を前記木質基材に添加して線香を作り、これを焚いてみると、カッ香粉末の含有量が20重量%程度でも食欲抑制効果が殆ど得られず、また、それ以上になると食欲抑制効果をある程度奏し始めるが、含有量が増加するにつれて香りが強くなると共に煙が多くなり過ぎて実用に供し得ないことが明かとなった。
【0007】
従って、本発明は、香りを楽しむと同時に、それを吸入することにより食欲を抑制し使用者の痩身化を補助しうるお香、即ち、痩身補助香を得ることを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、前記課題を解決するための手段として、茴香精油及びパチュリ油の少なくとも一種を食欲抑制芳香成分とし、該食欲抑制芳香成分を吸着又は保持する炭粉末及び吸着剤の少なくとも一種からなる食欲抑制芳香成分担体を香組成物に含有させるようにしたものである。
【0009】
より具体的には、本発明に係る痩身補助香は、基本的には、固形成分として木質基材5〜60重量%、無機質基材粉末60重量%以下及び前記食欲抑制芳香成分を吸着保持する食欲抑制芳香成分担体1〜80重量%を含んでなり、前記食欲抑制芳香成分担体が炭粉末80重量%以下及び吸着剤50重量%以下の少なくとも一種であって、前記固形成分100重量部に対して茴香精油及びパチュリ油の少なくとも一種を1〜30重量%量含有させてなることを特徴とするものである。
【0010】
好ましい実施態様においては、前記固形成分の一部として茴香粉末及びカッ香粉末(パチュリ末)の少なくとも一種を1〜40重量%含有してなる香組成物が採用される。この場合、前記香組成物は、その固形成分が木質基材5〜60重量%、無機質基材粉末60重量%以下、食欲抑制芳香成分担体1〜80重量%と、茴香粉末及びカッ香粉末の少なくとも一種1〜40重量%とからなり、前記食欲抑制芳香成分担体が炭粉末80重量%以下及び吸着剤50重量%以下の少なくとも一種からなり、前記固形成分100重量部に対して茴香精油及びパチュリ油の少なくとも一種からなる食欲抑制芳香成分を1〜30重量%量添加してなるものが好適である。
【0011】
前記木質基材は、お香(線香)を形作るために糊剤として使用されるが、代表的なものとしては、粘着力のある樹木皮粉、例えば、タブノキ樹皮粉末や白樺樹皮粉末などが挙げられる。前記木質基材の含有量が少ない場合、糊剤を併用しても良い。また、前記木質基材として粘着力の無い木粉を併用しても良いが、この場合、糊剤を併用するのが好ましい。前記糊剤としては、粘性を持つものであれば任意の材料、例えば、アルファ化澱粉、グアーガム、CMCなどのバインダを使用できる。前記木質基材は、通常、5〜60重量%、好ましくは、10〜40重量%含有されるが、これは木質基材の含有量が5重量%未満では成形に必要な粘りが得られず、また、60重量%を超えると、粘りが強すぎて成形し難くなるからである。
【0012】
前記無機質基材は、炭粉末を多く使用した場合に燃焼を抑制し燃焼を安定させるために必要に応じて使用されるが、主材としての木質基材が木粉などの煙を発生するものである場合、無機質基材を使用した分だけ少煙化を図ることができる。前記無機質基材としては、炭酸カルシウム、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、水酸化アルミニウム、二酸化珪素、チタン酸カルシウムなど任意のものを単独で或いは二種以上を組み合わせて使用することができる。前記無機質基材は、含有量を多くするほどお香の燃焼を安定させることができるが、多すぎると燃焼そのものを阻害する恐れがあるため、通常、60重量%以下、好ましくは、1〜40重量%含有される。
【0013】
前記炭粉末は、燃焼性を良くすると共に、煙量を少なくし香りを綺麗に放出させるために使用されるが、その含有量が多くなりすぎると、燃焼が強くなり過ぎ、また所望の色への着色が困難になることから80重量%以下にするのが望ましい。また、煙があっても特に問題がなければ含有させなくても良いが、通常、1〜50重量%含有させるのが好ましい。前記炭粉末としては、植物を炭化させたものであれば任意のものを使用でき、代表的なものとしては、備長炭、木炭、ヤシ殻炭、竹炭などが挙げられる。前記炭粉末は、後述の吸着剤と共に食欲抑制芳香成分担体として機能するが、その中でも吸着能の高い備長炭粉末を使用する場合には、吸着剤を使用することなく単独で使用することができる。また、前記炭粉末を吸着剤と併用する場合には、両者の含有量の合計が1〜80重量%、好ましくは、5〜65重量%であるのが望ましい。
【0014】
前記吸着剤は、前記食欲抑制芳香成分を吸着保持させ、そのお香表面への滲み出しや結晶析出を防止する食欲抑制芳香成分担体として使用されるが、前記食欲抑制芳香成分を吸着保持する能力を持つ粉末であれば任意のものを採用できる。前記吸着剤の代表的なものとしては、活性炭、活性アルミナゲル、ゼオライト、珪酸カルシウム系多孔質体、シリカゲルなどが挙げられ、これらは、必要に応じて単独で又は二種以上を組み合わせて使用されるが、その含有量が55重量%以上になると、吸着剤が活性炭以外の場合には燃焼を阻害する恐れがあり、また、活性炭の場合には、燃焼は阻害しないが、香りを閉じ込めすぎて上匂い(焚く前の匂い)が無くなるので、吸着剤の含有量は55重量%未満、好ましくは、1〜50重量%とするのが好ましい。
【0015】
前記茴香精油及びパチュリ油は、食間に生じる異常な食欲を抑制し痩身化を補助する目的で食欲抑制芳香成分として単独で又は組み合わせて前記固形成分に添加されるが、その添加量がある程度以上になると、お香の保存中にこれらの成分がお香の表面に滲み出し、結晶を析出し商品の外観の低下をもたらすという問題を生じるため、その添加量は、通常、前記固形成分100重量部に対し0.5〜30重量%量、好ましくは、3〜20重量%量とするのが好ましい。これは、その添加量が0.5%量未満では、十分に香りが出ず食欲抑制効果も期待し難く、また、30%量を超えると、香りが強くなり過ぎると同時に、粘性が落ちるため成形が困難となり、しかも、吸着剤を最大限入れても結晶析出が起こる可能性があるからである。
【0016】
前記茴香粉末及びカッ香粉末は、それぞれ茴香精油及びパチュリ油の原料であるが、食欲抑制芳香成分を補うため他の固形成分の代わりに、必要に応じて添加されるが、その含有量が多くなると、香りと煙が多くなり過ぎて生活空間で使用するには適さないので、その含有量は40重量%以下、好ましくは、1〜20重量%が適当である。なお、前記茴香粉末及びカッ香粉末の含有量が1重量%未満では、香りが少なすぎて添加効果が期待できないので1重量%以上とするのが好ましい。因みに、これらの原料、例えば、カッ香粉末だけで前記最低限量のパチュリ油(0.5重量%量)を含有させようとすると、パチュリ油の収油量はカッ香乾燥物に対して平均2.5%であることから、カッ香粉末を約20重量%含有させる必要があり、その含有量を40重量%にまで増やしても2重量%量にしかならず、十分な食欲抑制効果が得られない。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、お香に茴香精油及びパチュリ油の少なくとも一種を食欲抑制芳香成分として添加し、その少なくとも一部を食欲抑制芳香成分担体に吸着保持させるようにしたので、お香を焚くことにより食欲抑制芳香成分が空間に放出され、当該食欲抑制芳香成分を含む空気を吸うことにより、香りが楽しめるだけでなく食間に生じる異常な食欲が抑制され、必然的に肥満の原因となる間食が抑えられ、痩身化を補助する効果が得られる。
【実施例】
【0018】
表1に示す成分組成の固形成分100重量部に対し、フェンネルオイル、蜂蜜及び水を同表に示す所定重量%量だけ添加し、これを混練して線状に成形した後、乾燥させてお香(寸法φ2.5×100mm)を得た。なお、実施例では、添加物として食欲抑制芳香成分と共に蜂蜜を添加しているが、これはお香を焚いたときの甘さを引き出すために古くから使用されていることに習ったものである。
【0019】
【表1】

【0020】
前記各試料について機能の評価をしたところ次のような結果が得られた。
試料1:香りも調度良く、煙も少なく、結晶析出もない
試料2:試料1に比べて、香りが物足らない
試料3:乾燥後、密閉容器に入れ保管すると結晶析出が発生
試料4:試料1に比べて、香りが強い。密閉容器に保管すると少し結晶析出が起こった。これはオイルが多すぎたためと考えられる。また、オイルが多いため煙量が多い
試料5:他の試料に比べ、煙量が多く、煙の香りが邪魔し少し香りが良くない。結晶析出は無かった
試料6:香り、成形性に問題は無いが密封容器に保存すると結晶析出が起こった
試料7:香り、成形性に問題は無いが密封容器に保存すると結晶析出が少量起こった
試料8:結晶析出は起こらなかったが、乾燥度合いにより起こる危険性が考えられる
試料9:適量と思われる
試料10:析出は起こらないが、上匂いが少なく、燃焼の安定性が悪い
試料11:燃焼が悪く、上匂いもない
試料12:香りが少し強いが、析出は起こらなかった
試料13:適量と思われる
試料14:燃焼、焚き匂いには問題はないが、上匂いがかなりなくなっている
試料15:適量と思われる
試料16:析出はなかったが燃焼性が悪く、上匂いもかなり少ない。
【0021】
試料1〜12の結果から、食欲抑制芳香成分に対して最低4分の1量の吸着剤が必要であり、吸着剤の適量は食欲抑制芳香成分と等量〜倍量と思われる。また、吸着剤の含有量は、50重量%を超えると燃焼性が悪くなり、上匂いがなくなるため、その含有量は燃焼力の問題と上匂いの問題から50%量以下が適当であり、適量が5重量%であることがわかる。
【0022】
また、試料1を用い、20〜40歳の女性を対象とし、お香を1回1本、1日1〜3本程度任意の時間に焚いて15〜30日間続けるという条件下でモニタテストを行ったところ、食間の食欲を抑えられたと感じたか否かという問いに対して、よく感じた、時々感じたという回答があり、その理由として(1)いつもなら食べたくなるスナック菓子に手がでなかった、(2)お香の香りだけのときはあまり感じなかったが、ストレッチやツボマッサージを同時に行うと食欲を抑えられた、(3)お腹が空いたと感じたとき、とりあえず何か口に入れていたのが、香りのため今すぐ食べたいという気持ちが抑えられた、などの回答が得られた。また、食間の食欲を抑えられたとよく感じたモニターは体重が3kg減少し、香りだけではあまり感じなかったモニターは、体重の変化無し、香りのため今すぐ食べたいという気持ちが抑えられたモニターは体重が2kg減という結果であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
茴香精油及びパチュリ油の少なくとも一種を食欲抑制芳香成分とし、該食欲抑制芳香成分を吸着保持する炭粉末及び吸着剤の少なくとも一種からなる食欲抑制芳香成分担体を含有してなる香組成物からなることを特徴とする痩身補助香。
【請求項2】
前記香組成物が、その固形成分として木質基材5〜60重量%、無機質基材粉末60重量%以下及び前記食欲抑制芳香成分を吸着保持する食欲抑制芳香成分担体1〜80重量%を含んでなり、前記食欲抑制芳香成分担体が炭粉末80重量%以下及び吸着剤50重量%以下の少なくとも一種であって、前記固形成分100重量部に対して茴香精油及びパチュリ油の少なくとも一種を1〜30重量%量含有してなることを特徴とする請求項1に記載の痩身補助香。
【請求項3】
前記香組成物が、その固形成分の一部として茴香粉末及びカッ香粉末の少なくとも一種を1〜40重量%含有してなることを特徴とする請求項1又は2に記載の痩身補助香。
【請求項4】
前記吸着剤が活性炭、活性アルミナ、ゼオライト、フローライト、シリカゲルからなる群から選ばれた少なくとも一種である請求項1〜3のいずれか一に記載の痩身補助香。

【公開番号】特開2007−70242(P2007−70242A)
【公開日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−256114(P2005−256114)
【出願日】平成17年9月5日(2005.9.5)
【出願人】(594168517)株式会社薫寿堂 (6)
【Fターム(参考)】