説明

療法調整のための感知システム、デバイス、および方法

療法調整のための感知システム、デバイス、および方法を提供する。種々の態様は、受信モジュールと療法関連動作モジュールとを含む。受信モジュールは、個人の療法パラメータを受信する場合がある。療法関連動作モジュールは、療法パラメータに基づき、個人の神経系に関連する療法関連動作を生じさせることができる。療法パラメータは、生理学的パラメータ、自覚的パラメータ、化学的パラメータ、および電気的パラメータから本質的に成る群より選択される場合がある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
35U.S.C.§119(e)に従い、本願は、2008年11月18日出願の米国特許仮出願整理番号第61/115,902号の出願日の優先権を主張し、その開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
哺乳動物の神経系は、生物の周囲およびそれ自体に関する情報を伝える、特殊化細胞、すなわち、ニューロンの回路網を含む。神経系のニューロンは、複雑な配列で相互接続され、1つのニューロンから次のニューロンにインパルスを伝達するために、電気化学的シグナルおよび神経伝達物質を使用する。異なるニューロンの相互作用は、生物の知覚世界およびその身体と関連する活動を調節し、それによりその行動を調節する、神経回路を形成する。
【0003】
神経系に関する疾患は、慢性および/または急性の痛覚をもたらし得る。一般的な慢性疼痛の訴えとしては、頭痛、腰痛、癌性疼痛、関節炎痛、神経原性疼痛、および心因性疼痛が挙げられる。疼痛等の神経疾患を治療するために、神経刺激/調整等の神経関連療法が導入される場合、該療法は、固定組織部位を電気的標的とする場合がある。この方法は、概して、慢性疼痛に関連する神経領域に焦点を合わせる場合があるが、該方法は、基礎的なデータに関して十分に情報を与えられて予測されてはいない場合がある。したがって、治療は、概して、一般的な特徴および状態パラメータを共有する様々な個人の幅広いサンプルに適用可能であるかもしれないが、その治療が、個人に特有の異なるパラメータまたは状態を考慮しない場合がある。したがって、その治療が、患者の個人的なニーズを満たしつつ、患者の療法結果を最適化することはできない場合がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
療法調整のための感知方法を提供する。本方法は、感知または受信される療法パラメータに基づき、療法関連動作を適用することを含む。また、異なるコンポーネントを使用して、種々のアプリケーションで該方法を実行するシステムおよびデバイスも提供する。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【図1】患者療法環境における療法調整のための感知システムを示す図である。
【図2】図1の療法調整のための感知システムをより詳細に示す図である。
【図3】療法調整のためのデバイスを示す図である。
【図4】療法調整のための方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
概して、本発明は、療法調整のための感知方法、システム、およびデバイスを提供する。より具体的には、本発明は、療法を強化するための1つ以上の療法パラメータの使用を含む。典型的には、該療法は、神経関連疾患に関する神経関連治療および/または治療、例えば、疼痛管理のための療法を伴う。
【0007】
種々の態様において、単独で、または種々のアルゴリズムと併せて使用される療法パラメータは、例えば、療法調節を伝達すること、療法プログラムを介して刺激すること、および療法範囲を自動的に調整することにより、種々の療法結果をもたらす。例えば、後者において、自動調整は、療法パラメータに関連するフィードバックシステム、例えば、療法パラメータに基づく閉ループフィードバックシステムの結果として、またはその一部として達成されてもよい。
【0008】
種々の態様において、療法パラメータは、追跡および記憶されてもよい。追跡および記憶されたデータは、本明細書において、時に「病歴データ」と称される。病歴データは、種々の目的で採用され得る。例えば、病歴データは、長期的情報として表示されてもよい。病歴データはまた、療法および反応のための個々の患者の「基準」を決定するために分析されてもよい。さらに、病歴データは、効果的なプログラム管理のため、勧告などに分析およびモデル化されてもよい。
【0009】
種々の態様において、療法パラメータは、調整された「チューニング」プログラム、すなわち、患者、臨床医等が結果の改善等のために現在の療法を知的に修正するという要求に応じて実行し得るプログラムのための基礎として使用されてもよい。例えば、チューニングプログラムは、患者にフィードバック(種々の療法パラメータ)を促し、そのフィードバックに基づき、療法を調節する。他のデータ、例えば、他覚的療法パラメータが調節計算のために組み込まれてもよい。
【0010】
本発明の使用は、神経刺激および/または神経調節(本明細書において、時に集合的に「神経刺激」と称される)、心調律管理等が挙げられる、多くの応用分野を有してもよい。ある態様は、少なくとも1つの療法パラメータを感知するための1つ以上のセンサを含んでもよい。該センサは、体外式、埋込型、またはその両方であってもよい。該センサは、外部デバイスまたは埋込型デバイス等のデバイスと、例えば、電気的に、機械的に等、通信可能に付随してもよい。外部デバイスの例としては、例えば、国際公開第WO/2008/095183号として公開されたPCT出願整理番号第PCT/US2008/052845号および国際公開第WO/2006/116718号として公開されたPCT出願整理番号第PCT/US2006/016370号に開示および記載されるような、着脱可能に取付け可能な受信器等の個人用受信器が挙げられ、それらの開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0011】
ある態様は、体内療法に関してもよく、例えば、埋込型医療デバイスを含んでもよい。本明細書で使用する場合、「埋込型医療デバイス」という用語は、少なくとも部分的に生体上に、少なくとも部分的に生体内に、またはそれらの組み合わせで位置付けられるように構成されるデバイスを指す。例えば、埋込型医療デバイスは、制御器回路、電源等に通信可能に付随する、種々の電極構成を有するリード線、および療法パラメータを感知するための、例えば、神経感知等の1つ以上のセンサを含んでもよい。
【0012】
より具体的に、かつ例示的に、埋込型医療デバイスは、複数のインライン分割電極サテライトを有する1つ以上のリード線を備えてもよく、各電極は、独立して制御可能であり、複数の分割電極サテライトを多重化するための電力/データ線である。本発明と併用され得るデバイスの種々の構成は、国際公開第WO2004/052182号として公開されたPCT出願第PCT/US2003/039524号、国際公開第WO2006/029090号として公開されたPCT出願第PCT/US2005/031559号、国際公開第WO2006/069322号として公開されたPCT出願第PCT/US2005/046811号、国際公開第WO2006/069323号として公開されたPCT出願第PCT/US2005/046815号、国際公開第WO2007/075974号として公開されたPCT出願第PCT/US2006/048944号、およびUS2008−0114230 A1号として公開された米国出願整理番号第11/939,524号に記載/開示され、それらの開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0013】
本発明と併用され得るデバイスの種々の構成は、国際公開第WO/2006/116718号として公開されたPCT出願第PCT/US2006/016370号、国際公開第WO/2008/052136号として公開されたPCT出願第PCT/US2007/082563号、国際公開第WO/2008/063626号として公開されたPCT出願第PCT/US2007/024225号、国際公開第WO/2008/066617号として公開されたPCT出願第PCT/US2007/022257号、国際公開第WO/2008/095183号として公開されたPCT出願第PCT/US2008/052845号、国際公開第WO/2008/101107号として公開されたPCT出願第PCT/US2008/053999号、国際公開第WO/2008/112577号として公開されたPCT出願第PCT/US2008/056296号、および国際公開第WO/2008/112578号として公開されたPCT出願第PCT/US2008/056299号、ならびに米国仮出願整理番号第61/114,433号、第61/114,437号、第61/115,887号、第61/114,441号、第61/114,442号、および第61/114,443号に記載/開示され、それらの開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0014】
(療法調整のための感知システム)
図1は、患者療法環境100における療法調整のための感知システム102を示す。本明細書において、時に「感知システム」102と称される、療法調整のための感知システム102は、個人、例えば、患者104に、例えば、該個人により装着される、該個人の上に配置される、または該個人に埋め込まれることにより付随されてもよい。感知システム102は、種々の通信手段、例えば、通信デバイス106、チャネル、および/またはモードを介して、1つ以上の人物、例えば、臨床医108、および1つ以上の記憶媒体、例えば、データベース110等と通信可能に相互運用してもよい。感知システム102は、以下に説明するように、種々のデバイス、モード、およびそれらの組み合わせを介して通信してもよい。
【0015】
図2は、図1の療法調整のための感知システム102をより詳細に示す。種々の態様において、感知システム102は、例えば、療法パラメータ202を受信し、療法パラメータ指示204を療法関連動作モジュール206に転送するための、受信モジュール200を備えてもよく、療法関連動作モジュール206は、受信モジュール200に通信可能に連結される。療法関連動作モジュール206は、療法パラメータ指示204に基づき、患者の療法に関連する療法関連動作208を生じさせてもよい。種々の態様において、感知システム102は、療法パラメータ202を感知するために、受信モジュール200に通信可能に連結されてもよい、遠隔感知モジュール201をさらに備えてもよい。
【0016】
受信モジュール200は、療法パラメータ202を受信する機能を実行することが可能であり、かつ療法パラメータ指示204を療法関連動作モジュール206に、直接的または間接的に生成および/または通信するために必要な機能がさらに可能な、任意のハードウェアコンポーネント、ソフトウェア、および/またはデバイス、ならびにそれらの組み合わせを備えてもよい。例えば、種々の態様において、受信モジュール200は、療法パラメータ202に関連するシグナルを受信するために、回路、例えば、集積回路を備えてもよく、かつ療法関連動作モジュール206に直接的または間接的にシグナルを送信するために、送信器デバイスをさらに備えてもよい。
【0017】
1つの例示的な実装において、受信モジュール200は、療法パラメータ202を受信および処理し、かつ療法パラメータ202に基づき、療法関連動作モジュール206への送信のための療法パラメータ指示204を生成するための受信器および回路論理を有する、リード線を備えるか、または該リード線に組み込まれてもよい。リード線は、複数の電極、例えば、感知電極および刺激電極をさらに備えてもよい。リード線は、患者104における神経活動に関連する領域に埋め込まれてもよく、かつ電極のうちの1つ以上を介して、神経組織領域に刺激を提供することが可能であってもよい。
【0018】
別の例示的な実装において、受信モジュール200は、その関連感知電極、例えば、遠隔感知モジュール201等を遠隔で有してもよい。遠隔感知モジュール201は、1つ以上のハードウェアおよび/またはソフトウェアコンポーネントを備えてもよく、療法パラメータ202を感知、生成、および/または通信する機能を実行することが可能である。例えば、遠隔感知モジュール201は、患者の心拍数等の心臓パラメータを感知または測定し、かつ心拍数を受信モジュール200に通信する、心調律デバイス等の、患者104に埋め込まれた心臓デバイスであってもよい。受信モジュール200は、現在および将来の報告目的等のために、心臓パラメータを含有する情報を記憶、処理、生成、送信等してもよい。一実施例は、アルゴリズムを報告すること、または療法パラメータ202もしくは療法パラメータ指示204を決定する際に採用される1つ以上のステップの処理することである。
【0019】
療法パラメータ202は、個人、例えば、患者104、または個人の療法に関連する任意のパラメータを含んでもよい。療法パラメータ202は、個人に関連する種々の分類上の区分のパラメータ、例えば、生理学的パラメータ、自覚的パラメータ、化学的パラメータ、電気的パラメータ等を含んでもよい。
【0020】
例えば、生理学的パラメータは、心拍数、心拍変動、浮腫指標、体液貯留指標、体温、発汗指標、電気皮膚反応、血圧、血管拡張指標等であってもよい。自覚的パラメータは、患者により知覚される疼痛指標(PPPI)、患者により知覚される耐性指標(PPTI)、および患者により知覚される最適治療指標(PPOTI)であってもよい。化学的パラメータは、細胞外シグナル調節キナーゼ(ERK)、γアミノ酪酸(GABA)、アセチルコリン(Ach)、および神経活動指標であってもよい。電気的パラメータは、神経系に関連する伝導パターンの指標、または他の電気的指標であってもよい。
【0021】
療法パラメータ202は、種々の手段およびデバイスを介して生成および感知されてもよい。例えば、生理学的パラメータは、本明細書において心臓感知デバイス、流体センサ、温度センサ、化学センサ、電気センサ等として具現化される、遠隔感知モジュール201等の1つ以上のセンサを介して感知されてもよい。自覚的パラメータは、種々の定性的および/または定量的療法パラメータ、例えば、PPPI、PPTI、PPOTI等を患者104が入力するのを容易にする、関連アプリケーションを有する携帯電話等、種々の通信デバイスを介して生成/取得されてもよい。患者104が上記のリード線を介して、神経組織領域において、電気刺激の形態で疼痛軽減療法を受ける際に、患者は、電気刺激にもかかわらず、あるレベルの疼痛をなおも経験することになる。そのような場合、患者104は、PPPI、例えば、経験される疼痛の程度またはレベルの患者の現在の知覚のスケーリングされた数値的指標を入力してもよい。PPPIは、例えば、患者の携帯電話またはコンピュータ上のアプリケーションを使用して、入力されてもよい。次いで、アプリケーションは、療法関連動作モジュール206をもたらすために、療法パラメータ202を受信モジュール200に転送してもよい。
【0022】
療法パラメータ指示204は、取るべき療法関連動作208に関するデータを得るために使用されてもよい。種々の態様において、療法パラメータ指示204は、療法関連動作モジュール206に通信され、かつ/または療法関連動作モジュール206により受信される、データ、例えば、データセット等を含む。
【0023】
療法関連動作モジュール206は、療法パラメータ指示204を受信する機能を実行することが可能であり、かつ療法関連動作208を生じさせるために、通信するために必要な機能、例えば、療法パラメータ指示204の能動または受動転送、アクセス性等がさらに可能な、任意のハードウェアコンポーネント、ソフトウェアモジュール、および/またはデバイス、ならびにそれらの組み合わせを備えてもよい。例えば、種々の態様において、療法関連動作モジュール206は、療法パラメータ指示204に関連するシグナルを受信するために、回路、例えば、集積回路を備えてもよく、かつ療法関連動作208を生じさせるために、療法パラメータ指示204を実行するための回路論理をさらに備えてもよい。
【0024】
種々の態様において、療法関連動作モジュール206は、受信モジュール200と完全または部分的に一体化されているか、または別様に受信モジュール200に付随してもよい。一実施例において、療法関連動作モジュール206および受信モジュール200は、リード線の一部または他の療法関連デバイスであってもよい。種々の態様において、例えば、デバイス、例えば、療法デバイス上の回路は、療法パラメータ指示204を解釈し、療法パラメータ指示204の対象、例えば、神経刺激デバイス等の療法デバイスに、療法を調整するようにコンポーネントを機械的に作動させるか、または例えば、刺激を中断する、電場の強度を増加させる、電極の焦点を調節する等、療法に影響を及ぼすように、療法デバイスの1つ以上のコンポーネントに電気的に影響を与えてもよい。
【0025】
種々の態様において、療法関連動作モジュール206は、受信モジュール200から独立していてもよい。一実施例において、療法関連動作モジュール206は、リード線の一部であってもよいが、受信モジュール200は、リード線から離れて実装されてもよい。2つのデバイスは、例えば、患者の体液に関連する伝導、無線周波数(RF)通信、または他の手段を介して通信してもよい。
【0026】
療法関連動作208は、療法を開始すること、療法を修正すること、療法を停止すること、療法を中断すること、療法を個人に報告すること、療法パラメータ202を追跡すること、療法パラメータ202を記憶すること、療法パラメータ202を表示すること、個人、例えば、患者104に関連する基線指標を生成すること、基線指標を表示すること、療法パラメータ202を含む病歴データモデルを生成すること、基線指標および病歴データモデルのうちの少なくとも1つに基づき、プログラムを決定すること、療法データを分析すること、療法データの分析に基づき、療法を自動的に勧告すること、個人にフィードバックを自動的に促すこと、ならびにフィードバックに基づき、療法を修正することを含む。
【0027】
種々の態様において、療法パラメータ202、療法パラメータ指示204、他のデータ、またはそれらの組み合わせのうちの少なくとも1つは、本発明のコンポーネントのうちの少なくとも1つと関連付けられているが、これと必ずしも機械的に一体化していない、種々のデバイスを介して、記憶/処理/表示等されてもよい。
【0028】
一実施例において、データ記憶および処理能力を有する遠隔サーバは、臨床医108のシステム、患者104の通信デバイス、または両方と相互作用するために、例えば、図1のデータベース110の、アプリケーションを利用してもよい。そのようなデバイスは、本発明の種々の態様を容易にしてもよく、例えば、サーバは、例えば、臨床医108のシステムまたは患者104の通信デバイスを介して、長期的表示のための種々の療法関連データを記憶、分析、処理等してもよい。
【0029】
別の実施例では、患者が入力した療法パラメータ、例えば、自覚的パラメータは、患者104に付随する通信デバイスから臨床医のシステムに通信されてもよく、臨床医のシステムは、例えば、患者の通信デバイスを介した療法デバイス、例えば、リード線、への自動伝達のために、例えば、調整された治療指示を生成するための種々の他の患者データと併せて、受信されたパラメータを自動的に(または臨床医の介入により)処理してもよい。療法パラメータ指示204を受信すると、リード線の回路は、患者の療法を強化し、患者の疼痛知覚を低下させるために、リード線の刺激強度の例えば、増加、減少、または変更なし等の制御を生じさせる。
【0030】
(療法調整のためのデバイス)
図3は、療法調整のためのデバイス300を示す。療法調整のためのデバイス300は、図1の患者104等の個人の少なくとも1つの療法パラメータ、例えば、図2の療法パラメータ202を感知するための、少なくとも1つのセンサ302、および療法パラメータを受信し、かつ療法パラメータに基づき、療法関連動作、例えば、療法関連動作208をもたらすための、センサ302と電気通信している、制御論理回路304を備える。
【0031】
種々の態様において、デバイス300は、能動的に電力供給または受動的に電力供給されてもよい、埋込型デバイス、埋込型神経デバイス、体外デバイス、または装着型デバイスである。種々の態様において、デバイス300は、個人に付随する組織領域308を刺激するための、1つ以上の電極306をさらに備える。種々の態様において、電極306は、電極の回路網に基づいてもよい。
【0032】
他の態様において、デバイス300は、リード線310上に組み合わせて実装される、制御論理回路304、例えば、図2の受信モジュール200および療法関連動作モジュール206を備える、集積チップを含む。リード線310はまた、上記の組み込まれた参考文献に記載されるように、組織領域308を刺激する、および/または療法パラメータを感知するために、電極306を含む。リード線310は、例えば、要望に応じて、対象となるシグナルを伝導する、対象となるシグナルを遮断する等のために、神経組織を刺激する等、神経領域に効果を与えるために、患者に埋め込まれてもよい。デバイス300の種々の態様において、電極306の特性は、制御可能に可変であってもよい。例えば、デバイス300の少なくとも1つの電極は、電圧に設定されてもよく、デバイス300の少なくとも1つの電極は、電流に設定されてもよく、および/または少なくとも1つの電極は、該電流の逆流に設定されてもよい。そのような構成に適切なデバイスの実施例は、米国仮出願整理番号第61/114,441号に開示および記載され、その開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0033】
(療法調整のための方法)
図4は、療法調整のための方法を示す。操作402において、個人、例えば、患者104に関連する療法パラメータ、例えば、図2の療法パラメータ202が受信される。操作404において、療法指示、例えば、療法指示204が、療法パラメータに基づき生成される。操作406において、個人の神経系に関連する療法関連動作、例えば、療法関連動作208が、療法パラメータにより起動された療法指示に基づき生じる。任意選択で、該方法は、種々の他のステップ、例えば、センサ、例えば、局所または遠隔センサを使用して療法パラメータを感知すること、療法パラメータを送信すること等を含んでもよい。
【0034】
当業者は、上記の構成が例示目的のみであること、および種々の他のコンポーネントおよび構成が可能であることに留意するであろう。通信関連モードとしては、手動、有線、および無線等が挙げられる。無線技術としては、X線、紫外線光、可視スペクトル、赤外線、マイクロ波、電波等の無線信号が挙げられる。無線サービスとしては、音声およびメッセージ、手持ち式、および他のインターネット対応デバイス、データネットワーク等が挙げられる。
【0035】
通信手段としては、インターネットと、有線チャネルと、無線チャネルと、電話、コンピュータ、電線、ラジオ、光、または他の電磁チャネルを含む通信デバイスと、それらの組み合わせとが挙げられ、データの通信が可能な/データの通信に関連する、他のデバイスおよび/またはコンポーネントを含む。例えば、通信環境としては、体内通信、種々のデバイス、無線通信、有線通信、およびそれらの組み合わせの種々の通信モード等が挙げられる。
【0036】
体内通信は、身体を介したデータまたは情報の任意の通信、すなわち、体間態様、体内態様、およびそれらの組み合わせを介した、またはそれらに関連する通信を含む。例えば、体間態様は、体表面に取り付けられるように設計された、デバイスに関連する通信を含む。体内態様は、体内から、例えば、身体自体により、または体内に埋め込まれた、摂取された、もしくは別様に設置可能な、部分的にあるデバイスにより生成されるデータに関する通信を含む。
【0037】
通信は、ソフトウェア、ハードウェア、回路、種々のデバイス、およびそれらの組み合わせを含み、かつ/またはそれらに関連してもよい。該デバイスは、療法パラメータ、送信、受信、通信等に関連するデバイスを含む。該デバイスは、人体または他の生物に関連する、種々の埋込可能、摂取可能、挿入可能、および/または取付け可能なデバイスをさらに含む。該デバイスは、電話、ステレオ、オーディオプレーヤ、PDA、手持ち式デバイス、およびマルチメディアプレーヤ等のマルチメディアデバイスをさらに含む。
【0038】
無線通信モードは、無線送信、データ、およびデバイスに関連する、種々のプロトコルおよびプロトコルの組み合わせを含む無線技術を少なくとも部分的に利用する点の間の任意の通信モードを含む。該点は、例えば、無線ヘッドセット等の無線デバイスと、オーディオプレーヤおよびマルチメディアプレーヤ等のオーディオデバイスおよびマルチメディアデバイスならびに機器と、携帯電話およびコードレス電話を含む電話と、コンピュータ、ならびにプリンタ等のコンピュータ関連デバイスおよびコンポーネントとを含む。
【0039】
有線通信モードは、有線送信、データ、およびデバイスに関連する、種々のプロトコルおよびプロトコルの組み合わせを含む有線技術を利用する点の間の任意の通信モードを含む。該点は、例えば、オーディオプレーヤおよびマルチメディアプレーヤ等のオーディオデバイスおよびマルチメディアデバイスならびに機器等のデバイスと、携帯電話およびコードレス電話を含む電話と、コンピュータ、ならびにプリンタ等のコンピュータ関連デバイスおよびコンピュータ関連コンポーネントとを含む。
【0040】
デバイスは、例えば、療法パラメータを受信、記憶、および/または送信することが可能な任意のデバイスを含む。そのようなデバイスの実施例としては、携帯電話、パーソナル・デジタル・アシスタント(PDA)、コンピュータ等が挙げられる。通信モードは、療法パラメータの送信、受信、記憶等を容易にすることが可能な任意のモード、チャネル等を含む。通信モードの実施例としては、有線、無線等が挙げられる。
【0041】
本発明の1つ以上の態様は、種々の方法、またはその種々のステップを実行するために、そこに記憶されたプログラムを有する、コンピュータ可読媒体の形態であってもよい。コンピュータ可読媒体は、電子的に、磁気的に、光学的に、もしくは他の手段によりデータ等を含有することが可能な、例えば、コンピュータディスクもしくはCD、フロッピー(登録商標)ディスク、磁気「ハードカード」、サーバ、または任意の他のコンピュータ可読媒体の形態であってもよい。したがって、本方法を実行するための記憶されたプログラム具現化ステップは、例えば、コンピュータネットワーク、サーバ、または他のインターフェース接続、例えば、インターネット、または他の中継手段により、プロセッサに転送または通信されてもよい。
【0042】
本発明は、変化する場合があるため、説明される特定の側面に限定されないことを理解されたい。また、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によってのみ限定されるため、本明細書で使用される用語は、特定の側面を説明する目的のためにすぎず、限定することを意図するものではないことを理解されたい。
【0043】
値の範囲が提供される場合、文脈によって別途明示的に示されない限り、下限の単位の10分の1まで、その範囲の上限と下限との間の各介在値と、その規定範囲内の任意の他の規定値または介在値とが、本発明の範囲内に包含されることを理解されたい。これらのより小範囲の上限および下限は、独立して、そのより小範囲内に含まれてもよく、また、本発明の範囲内に包含されるが、規定範囲内のあらゆる具体的に除外される限界の対象となる。規定範囲が、限界の一方または両方を含む場合、これらの含まれる限界のいずれか一方または両方を除外する範囲もまた、本発明に含まれる。
【0044】
本明細書において、「約」という用語が先行する数値を用いて、ある範囲が示される。本明細書において、「約」という用語は、それが先行する正確な数、ならびに該用語が先行する数に近い、または近似する数に対する文字的サポートを提供するために使用される。数が具体的に挙げられた数に近い、または近似するかどうかを判断する際に、挙げられていない数に近い、または近似する数は、それが提示される文脈において、具体的に挙げられた数の実質的な同等物を提供するものであってもよい。
【0045】
別途定義されない限り、本明細書で使用される技術的および科学的用語はすべて、本発明が属する当該技術分野における当業者によって一般的に理解されるものと同一意味を有する。本明細書に説明されるものと類似または同等の任意の方法および材料もまた、本発明の実践または試験で使用可能であるが、本明細書では、代表的例証方法および材料が説明される。
【0046】
本明細書に引用される刊行物および特許はすべて、あたかも各個々の刊行物または特許が、具体的かつ個々に示されるかのように、参照することによってその全体が本明細書に組み込まれ、全体として参照することによって本明細書に組み込まれ、それと関連して刊行物が引用される方法および/または材料を開示ならびに説明するように参照することによって本明細書に組み込まれる。任意の刊行物の引用は、出願日前のその開示のものであって、本発明が、先行発明を理由として、そのような刊行物に先行する権限がないものの承認として解釈されるべきではない。さらに、提供される刊行物の日付は、実際の公開日と異なる場合があり、個別に確認される必要があるかもしれない。
【0047】
本明細書および添付の請求項で使用される場合、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈によって別途明確に示されない限り、複数参照を含むことに留意されたい。さらに、請求項は、任意の任意選択要素を除外して草案されてもよいことに留意されたい。したがって、本記述は、請求要素の列挙、または「負」の制限の使用と関連する「唯一」、「だけ」等の排他的用語の使用のための先行詞としての役割を果たすことが意図される。
【0048】
本開示の熟読によって当業者には明白となるように、本明細書に説明および例証される個々の実施形態はそれぞれ、個別の構成要素および特徴を有し、本発明の範囲または精神から逸脱することなく、他のいくつかの実施形態のいずれかの特徴から容易に分離される、またはいずれかの特徴と組み合わせられてもよい。任意の列挙された方法は、列挙される事象の順番または論理的に可能な任意の他の順番で実行可能である。
【0049】
上述の発明は、理解を明確にする目的のために、例証および実施例として、ある程度詳細に説明されたが、添付の請求項の精神または範囲から逸脱することなく、これに対してある変更および修正が行われてもよいことは、本発明の教示に照らして、当業者には容易に明白である。
【0050】
故に、上述は、本発明の原理を例証するにすぎない。当業者は、本明細書では明示的に説明または図示されないが、本発明の原理を具現化する種々の配列を考案可能であって、それらはその精神および範囲内に含まれることを理解されるであろう。さらに、本明細書に列挙される側面および条件的用語はすべて、原則として、発明者らによって貢献される本発明の原理および概念を読者が理解し、本技術分野を促進する際の補助として意図され、そのような具体的に列挙される側面および条件に限定されるものではないものと解釈されたい。さらに、本発明の原理、側面、および実施形態、ならびにその具体的側面を列挙する本明細書における記述はすべて、その構造および機能の両方の均等物を包含するものと意図される。加えて、そのような均等物は、現在周知の均等物および将来的に開発される均等物、すなわち、構造にかかわらず、同一機能を果たすように開発される任意の要素の両方を含むものと意図される。したがって、本発明の範囲は、本明細書に図示および説明される例示的実施形態に限定されるものとして意図されない。むしろ、本発明の範囲および精神は、添付の請求項によって具現化される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
療法調整のための感知システムの方法であって、
前記感知システムの受信モジュールを介して、個人に関連する療法パラメータを受信することと、
前記療法パラメータに基づき、前記感知システムの療法関連動作モジュールを使用して、前記個人の神経系に関連する療法関連動作を生じさせることと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記療法パラメータを受信することは、前記療法関連動作を生じさせることを実行するために、前記療法パラメータに基づき、療法パラメータ指示を生成することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記療法パラメータは、生理学的パラメータ、自覚的パラメータ、化学的パラメータ、および電気的パラメータから本質的に成る群より選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記生理学的パラメータは、心拍数、心拍変動、浮腫指標、体液貯留指標、体温、発汗指標、電気皮膚反応、血圧、および血管拡張指標から本質的に成る群より選択される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記自覚的パラメータは、患者により知覚される疼痛指標、患者により知覚される耐容指標、および患者により知覚される最適治療指標から本質的に成る群より選択される、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記化学的パラメータは、細胞外シグナル調節キナーゼ、γアミノ酪酸、アセチルコリン、および神経活動指標から本質的に成る群より選択される、請求項3に記載の方法。
【請求項7】
前記電気的パラメータは、前記神経系に関連する伝導パターンの指標を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項8】
前記療法関連動作は、療法を開始すること、前記療法を修正すること、前記療法を停止すること、前記療法を中断すること、前記療法を前記個人に報告すること、前記療法パラメータを追跡すること、前記療法パラメータを記憶すること、前記療法パラメータを表示すること、前記個人に関連する基線指標を生成すること、前記基線指標を表示すること、前記療法パラメータを含む病歴データモデルを生成すること、前記基線指標および前記病歴データモデルに基づき、プログラムを決定すること、前記療法データを分析すること、療法データの前記分析に基づき、前記療法を自動的に勧告すること、前記個人にフィードバックを自動的に促すこと、ならびに前記フィードバックに基づき、前記療法を修正することから本質的に成る群より選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
療法調整のための感知システムであって、
個人に関連する療法パラメータを受信するための、受信モジュールと、
前記受信モジュールと通信可能に連結される、療法関連動作モジュールであって、前記療法パラメータに基づき、前記個人の神経系に関連する療法関連動作を生じさせる、療法関連動作モジュールと、
を備える、システム。
【請求項10】
前記療法パラメータは、生理学的パラメータ、自覚的パラメータ、化学的パラメータ、および電気的パラメータから本質的に成る群より選択される、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記療法パラメータを感知するために、前記受信モジュールに通信可能に連結される、遠隔感知モジュールをさらに備える、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記遠隔感知モジュールは、心臓感知デバイス、流体センサ、温度センサ、化学センサ、または電気センサである、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記自覚的パラメータは、前記個人の通信デバイスを介して、前記遠隔感知モジュールに通信される、請求項11に記載のシステム。
【請求項14】
前記自覚的パラメータは、患者により知覚される疼痛指標、患者により知覚される耐容指標、および患者により知覚される最適治療指標から本質的に成る群より選択される、請求項10に記載のシステム。
【請求項15】
前記受信モジュールは、前記療法パラメータに基づき、前記療法関連動作を誘発するために使用される、療法パラメータ指示を生成するように構成される、請求項9に記載のシステム。
【請求項16】
療法調整のためのデバイスであって、
個人の少なくとも1つの療法パラメータを感知するための、少なくとも1つのセンサと、
前記少なくとも1つの療法パラメータを受信するため、および前記少なくとも1つの療法パラメータに基づき、前記個人に関連する療法関連動作をもたらすために、前記少なくとも1つのセンサと電気通信している、制御論理回路と、
を備える、デバイス。
【請求項17】
前記デバイスは、埋込型デバイス、埋込型神経デバイス、体外デバイス、または装着可能型デバイスである、請求項16に記載のデバイス。
【請求項18】
前記個人の組織領域を刺激するように構成される、前記制御論理回路に電気的に連結される少なくとも1つの電極をさらに備える、請求項17に記載のデバイス。
【請求項19】
前記制御論理回路は、リード線上に実装される、請求項16に記載のデバイス。
【請求項20】
前記少なくとも1つのセンサは、電極の回路網を備える、請求項16に記載のデバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2012−509103(P2012−509103A)
【公表日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−536525(P2011−536525)
【出願日】平成21年11月13日(2009.11.13)
【国際出願番号】PCT/US2009/064427
【国際公開番号】WO2010/059527
【国際公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【出願人】(505222679)プロテウス バイオメディカル インコーポレイテッド (65)
【Fターム(参考)】