癌および他の疾患の治療のための新規な(ピロロキノキサリニル)ピラジンカルボヒドラジド−シュウ酸共結晶
N’−(7−フルオロピロロ[1,2a]キノキサリン−4−イル)ピラジン−2−カルボヒドラジドのシュウ酸との新規な共結晶が開示される。開示されるシュウ酸共結晶は、癌細胞増殖抑制を示し、懸濁液として投与したとき、対応する遊離塩基より生物学的利用能が高い。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この開示は、疾患治療のための含窒素複素環のカルボン酸との共結晶に関する。
【背景技術】
【0002】
Neamatiらは、癌および血管形成機能と関連付けられる疾患の治療のための含窒素複素環を報告している(その全体が参照により本明細書に特に援用される、米国特許出願第11/265593号;Grandeら、「Synthesis and Antitumor Activities of a Series of Novel Quinoxalinhydrazines」、Bioorg.Med.Chem.第15巻、288〜94頁(2007年)を参照されたい)。こうした含窒素複素環には、式IIの化合物
【0003】
【化1】
[式中、Rは、H、アルキル、またはハロゲンであり;R’は、H、アルキル、またはハロゲンであり;Xは、CHまたはNであり;Yは、単素環または複素環を含み;ただし、RがHであり、R’がHであり、XがCHであり、Yがピラジニルまたはピリジニルであるとき、Yは、3−、5−もしくは6−ピラジニル、または3−、4−、5−もしくは6−ピリジニルである]が含まれる。その中で報告されている一例が、N’−(7−フルオロピロロ[1,2a]キノキサリン−4−イル)ピラジン−2−カルボヒドラジド(「NVX−144」)である。
【0004】
【化2】
【0005】
Aakeroyらは、含窒素複素環のカルボン酸との共結晶の、対応する塩に優る利点を論じている(その全体が参照により本明細書に特に援用される、Aakeroyら、「Cocrystal or Salt: Does It Really Matter?」、Mol.Pharmaceutics、第4巻、317〜22頁(2007年)を参照されたい)。この著者らは、酸から塩基へのプロトン移動の結果として起こる塩形成は、予測できない化学組成(溶媒和物)または化学量論組成の格子が生じる見込みが、プロトン移動が起こらない分子共結晶形成のほぼ10倍であることを報告している。著者らは、この結果構造予測およびターゲットとなる超分子合成が簡素化するので、望ましい性質を示す、利用しやすい原薬固体形態の多様性が増すようになるはずであると結論付けている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
N’−(7−フルオロピロロ[1,2a]キノキサリン−4−イル)ピラジン−2−カルボヒドラジドのシュウ酸との新規な共結晶(「NVX−412」)を開示する。開示されるシュウ酸共結晶は、癌細胞増殖抑制を示し、懸濁液として投与したとき、対応する遊離塩基より生物学的利用能が高い。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】米国国立癌研究所癌細胞系の標準パネル(NCI60)をNVX−412で処理した結果を示す表である。
【図2】518A2黒色腫細胞系をNVX−412で処理した結果を示すグラフである。
【図3】CaCo2結腸癌細胞系をNVX−412で処理した結果を示すグラフである。
【図4】HELA子宮頚癌細胞系をNVX−412で処理した結果を示すグラフである。
【図5】U87MG神経膠芽腫細胞系をNVX−412で処理した結果を示すグラフである。
【図6】TC32およびTC71ユーイング肉腫細胞系をNVX−412で処理した結果を示すグラフである。
【図7A−7O】薬物動態データの片対数プロットを個々の動物について示すグラフである。
【図8】静脈内投与したNVX−144について、個々および平均の濃度−時間データの片対数プロットを示すグラフである。
【図9】懸濁液にして経口投与したNVX−144遊離塩基について、個々および平均の濃度−時間データの片対数プロットを示すグラフである。
【図10】懸濁液にして経口投与したNVX−412について、個々および平均の濃度−時間データの片対数プロットを示すグラフである。
【図11】溶液にして経口投与したNVX−144遊離塩基について、個々および平均の濃度−時間データの片対数プロットを示すグラフである。
【図12】溶液にして経口投与したNVX−412について、個々および平均の濃度−時間データの片対数プロットを示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
NVX−144・HClは、綿毛状の静電荷電した吸湿性結晶として存在し、こうした物理的特性が、錠剤やカプセル剤のような経口剤形の製剤において問題となる場合がある。したがって、医薬製剤にいっそう適した、可能性のある新規な化合物としての、塩酸以外の酸のNVX−144塩の調製を評価するために、一連の実験を行った。そうした実験では、(NVX−144・HClから調製した)遊離のNVX−144塩基が非常に弱い塩基であり、したがって典型的な弱い有機酸とは塩を形成しなかったことが示された。予想したとおり、NVX−144塩基は、強い有機酸と容易に塩を形成した。しかし、非常に意外なことに、NVX−144塩基をシュウ酸で処理すると、予想されたNVX−144シュウ酸塩の性質とは一致しない性質を有する新規な結晶性物質が生成した。新規なNVX−144−シュウ酸生成物の分光特性を評価すると、以下の構造を有する新たなNVX−144−シュウ酸共結晶(「NVX−412」)が生成したことが示唆された。
【0009】
【化3】
【0010】
シュウ酸共結晶は希有ではあるが、Traskらが、カフェインのシュウ酸との共結晶を報告している(Traskら、「Pharmaceutical Cocrystallization: Engineering a Remedy for Caffeine Hydration」、Crystal Growth&Design、第5巻、1013〜21頁(2005年)を参照されたい)。NVX−412は、医薬品の製剤に適する安定な一水和物および二水和物を形成し、様々な疾患の治療に有用であることがわかった。
【0011】
NVX−412の合成
以下で詳述するとおり、シュウ酸共結晶NVX−412は、NVX−144遊離塩基から生成した。4−クロロ−7−フルオロピロロ[1,2a]キノキサリン溶液にピラジン酸ヒドラジドを加えることにより、NVX−144・HClをまず合成した。次いで、単離した塩酸塩NVX−144・HClを水酸化ナトリウム溶液で中和して、NVX−144遊離塩基を生成した。次いで、単離した遊離塩基NVX−144をシュウ酸溶液に加えて、NVX−412を生成した。
【実施例】
【0012】
〈実施例1〉
N’−(7−フルオロピロロ[1,2a]キノキサリン−4−イル)ピラジン−2−カルボヒドラジド塩酸塩(NVX−144・HCl)の調製。アルゴン中にて、8.0gの4−クロロ−7−フルオロピロロ[1,2a]キノキサリンを100mLのエタノールに溶かした溶液に、撹拌しながら5.0gのピラジン酸ヒドラジドを加えた。混合物を4時間撹拌し、濾過して、11g(94%)のNVX−144・HClをオフホワイトの結晶、融点282℃、LC/MSによる純度98%として得た。1H−NMR(300MHz,DMSO−d6)δ:7.03(m,1H)、7.41(t,1H)、7.73(m,2H)、8.37(dd,1H)、8.65(bs,1H)、8.90(m,1H)、9.01(d,1H)、9.30(s,1H)、11.69(bs,1H)。元素分析:C16H12N6ClFOの計算値:C 53.57、H 3.37、N 23.43、Cl 9.88、F 5.30;実測値:C 53.70、H 3.41、N 23.29、Cl 9.92、F 5.21。HRMS計算値 322.0978;実測値 322.0984。UV λmax 220nm。FTIR(ニート)3084、1673、1929cm−1。
【0013】
〈実施例2〉
N’−(7−フルオロピロロ[1,2a]キノキサリン−4−イル)ピラジン−2−カルボヒドラジド(NVX−144)の調製。4.5gのNVX−144・HCl、100mLの水、および100mLのアセトニトリルの混合物を加熱して、溶液を生成した。溶液を、撹拌しながら6.5mLの2N水酸化ナトリウムでpH7に調整し、室温に冷まし、その後沈殿を分離した。混合物を濾過して、3.0g(68%)のNVX−144をオフホワイトの結晶、融点166〜170℃、LC/MSによる純度96%として得た。1H−NMR(300MHz,DMSO−d6)δ:6.81(m,1H)、7.13(m,1H)、7.20(m,2H)、8.15(dd,1H)、8.33(m,1H)、8.85(m,1H)、8.96(m,1H)、9.24(m,1H)、9.78(bs,1H)、10.96(bs,1H)。LC/MS m/z 323.1[M+H]+。UV λmax 225nm。FTIR(ニート)3117、1671、1489cm−1。
【0014】
〈実施例3〉
N’−(7−フルオロピロロ[1,2a]キノキサリン−4−イル)ピラジン−2−カルボヒドラジドシュウ酸共結晶(NVX−412)の調製。窒素中にて、5.1gのNVX−144と590mLの水の混合物に、3.91gのシュウ酸を60mLの水に溶かした溶液を撹拌しながら滴下した。2時間撹拌した後、スラリーを濾過し、水で洗浄し、乾燥させて、11.8g(92%)のNVX−412を淡黄色の結晶、LC/MSによる純度99%として得た。1H−NMR(300MHz,DMSO−d6)δ:6.8(1H)、7.1〜7.2(3H)、8.15(1H)、8.3(1H)、8.85(1H)、8.95(1H)、9.25(1H)、10.95(1H)。
【0015】
NVX−144は、強酸(たとえば、塩酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸)とは容易に塩を形成するが、弱いモノカルボン酸(たとえば、酢酸、アスパラギン酸、グルコン酸、乳酸)またはそれよりも強いジカルボン酸(たとえば、フマル酸、リンゴ酸、マレイン酸、ムコン酸、コハク酸)とは塩を形成しない。したがって、NVX−144は、比較的強いジカルボン酸であるシュウ酸と塩を形成するとは予想されないことになる。
【0016】
しかし、NVX−144は、シュウ酸と、1:1の化学量論性を有する新規な実在物(NVX−412)を形成する。NVX−412のX線回折(XRD)パターンは、NVX−144のパターンとは著しく異なり、新たな結晶性物質が生成されたことを示している。さらに、NVX−412の1H NMR化学シフトは、NVX−144・HClの化学シフトとは異なっており、NVX−144塩基の1H NMR化学シフトと基本的に同一である。これは、共結晶では、2種の構成成分がNMR溶液中で別々に溶媒和するので、予想される結果である。表1は、DMSO−d6中でのNVX−144、NVX−144.HCl、およびNVX−412の1H NMR化学シフトの比較を示す。
【0017】
【表1】
【0018】
NVX−412の治療への使用
NVX−412は、様々な疾患の治療に有用であることが実証された。一実施形態では、NVX−412は、癌細胞の増殖を抑制する。図1〜6は、以下のヒト癌細胞系をNVX−412で処理した結果を示すものである。CCRF−CEM(白血病)、HL−60(白血病)、K562(白血病)、MOLT−4(白血病)、RPMI−8226(白血病)、SR(白血病)、A−549(肺癌)、EKVX(肺癌)、HOP−62(肺癌)、HOP−92(肺癌)、NCI−H226(肺癌)、NCI−H23(肺癌)、NCI−H322M(肺癌)、NCI−H460(肺癌)、NCI−H522(肺癌)、COLO205(結腸癌)、HCC−2998(結腸癌)、HCT−116(結腸癌)、HCT−15(結腸癌)、HT29(結腸癌)、KM12(結腸癌)、SW−620(結腸癌)、CaCo2(結腸癌)、SF−268(CNS癌)、SF−295(CNS癌)、SF−539(CNS癌)、SNB−19(CNS癌)、SNB−75(CNS癌)、U251(CNS癌)、U87MG(神経膠芽腫)、LOX IMVI(黒色腫)、MALME−3M(黒色腫)、M14(黒色腫)、MDA−MB−435(黒色腫)、SK−MEL−2(黒色腫)、SK−MEL−28(黒色腫)、SK−MEL−5(黒色腫)、UACC−257(黒色腫)、UACC−62(黒色腫)、518A2(黒色腫)、OVCAR−3(卵巣癌)、OVCAR−4(卵巣癌)、OVCAR−5(卵巣癌)、OVCAR−8(卵巣癌)、NCI/ADR−RES(卵巣癌)、SK−OV−3(卵巣癌)、HELA(子宮頚癌)、786−0(腎癌)、A498(腎癌)、ACHN(腎癌)、CAKI−1(腎癌)、RXF 393(腎癌)、SN12C(腎癌)、TK−10(腎癌)、UO−31(腎癌)、PC−3(前立腺癌)、DU−145(前立腺癌)、MCF7(乳癌)、MDA−MB−231(乳癌)、HS 578T(乳癌)、T−47D(乳癌)、MDA−MB−468(乳癌)、TC71luc(ユーイング肉腫)、およびTC32luc(ユーイング肉腫)。実験の詳細を以下での実施例4および5に示す。
【0019】
〈実施例4〉
様々な癌細胞系のNVX−412での処理。National Cancer Institute Developmental Therapeutics Program(dtp.nci.nih.gov/branches/btb/ivclsp.htmlを参照されたい)およびShoemaker RH(Nat.Rev.Cancer、第6巻、813〜823頁(2006年))ならびにそこに引用されている参考資料に詳述されている手順に従い、60種を超えるヒト癌細胞系をNVX−412で処理した。試験した細胞系の多くは、アメリカ培養細胞系統保存機関(米国メリーランド州ロックヴィル)から入手可能である。黒色腫細胞系518A2については、以前に記述がなされている(Jansenら、「Activated
N−Ras Contributes to the Chemoresistance of Human Melanoma in Severe Combined
Immunodeficiency (SCID) Mice by Blocking Apoptosis」、Cancer Research第57巻、362〜65頁(1997年))。NVX−412による癌細胞処理の典型的なスクリーニングには、以下の手順を用いた。
【0020】
癌スクリーニングパネルのヒト腫瘍細胞系を、5%のウシ胎児血清および2mMのL−グルタミンを含有するRPMI 1640培地で増殖させた。典型的なスクリーニング実験では、細胞を、個々の細胞系の倍加時間に応じて5,000〜40,000細胞/ウェルの範囲のプレーティング密度で、96ウェルマイクロタイタープレートに100μLにして播種した。細胞を播種した後、NVX−412を加える前に、マイクロタイタープレートを相対湿度100%の5%CO2/95%空気中にて37℃で24時間インキュベートした。
【0021】
24時間後、各細胞系の2枚のプレートをin situでTCA固定して、NVX−412を加える時点における各細胞系の細胞集団を測定値とした(Tz)。NVX−412を、所望の最終最大試験濃度の400倍でジメチルスルホキシドに可溶化し、使用前に凍結保存した。NVX−412を加える時点で、一定分量の凍結した濃縮物を解凍し、50μg/molのゲンタマイシンを含有する完全培地で所望の最終最大試験濃度の2倍に希釈した。追加の4段階の10倍または1/2対数段階希釈を行って、合計5段階の濃度のNVX−412プラス対照を準備した。これらの異なるNVX−412希釈物の一定分量100μlを、100μLの培地をすでに含有する適切なマイクロタイターウェルに加え、必要な最終NVX−412濃度とした。
【0022】
NVX−412を加えた後、プレートを相対湿度100%の5%CO2/95%空気中にて37℃でさらに48時間インキュベートした。付着細胞については、冷TCAを加えてアッセイを終わらせた。50μLの冷50%(w/v)TCA(最終濃度、10%TCA)を穏やかに加えて細胞をin situで固定し、4℃で60分間インキュベートした。上清を捨て、プレートを水道水で5回洗浄し、風乾した。1%酢酸中0.4%(w/v)のスルホローダミンB(SRB)溶液(100μL)を各ウェルに加え、プレートを室温で10分間インキュベートした。染色後、1%酢酸で5回洗浄して、結合していない色素を除去し、プレートを風乾した。引き続いて、結合した着色を10mMのTrizma塩基で可溶化し、自動化プレートリーダーにおいて515nmの波長で吸光度を読み取った。浮遊細胞については、ウェルの底の沈降した細胞を、50μLの80%TCA(最終濃度、16%TCA)を穏やかに加えることにより固定してアッセイを終わらせたことを除き、方法は同じであった。7つの吸光度測定値[0時間(Tz)、対照増殖物(C)、および5段階の濃度レベルのNVX−412存在下の試験増殖物(Ti)]を使用して、各NVX−412濃度レベルでの増殖パーセンテージを算出した。増殖抑制パーセンテージは、以下のように算出した。
Ti≧Tzである濃度については、[(Ti−Tz)/(C−Tz)]×100
Ti<Tzである濃度については、[(Ti−Tz)/Tz]×100
【0023】
3つの用量反応パラメーターを算出した。50%増殖抑制(GI50)は、[(Ti−Tz)/(C−Tz)]×100=50から算出したが、これは、インキュベートの間、対照細胞における(SRB染色によって測定される)正味のタンパク質増加を50%減少させる濃度である。完全増殖抑制(TGI)をもたらす濃度は、Ti=Tzから算出した。処理の後の細胞の正味の減少を示す、LC50(処理の終わりのタンパク質測定値を、始めの測定値と比べて50%減少させる濃度)は、[(Ti−Tz)/Tz]×100=−50から算出した。活性のレベルに達していれば、これら3つのパラメーターそれぞれについて値を算出したが、しかし、効果が及ばない、または上回る場合、パラメーターの値は、最大または最小試験濃度超過または未満であると表示した。
【0024】
図1には、試験したそれぞれの癌細胞系の増殖を50%減少させるのに必要となるNVX−412濃度(GI50)を示す。
【0025】
結果を図2〜5に示す追加実験では、518A2黒色腫細胞、CaCo2結腸癌細胞、HELA子宮頚癌細胞、およびU87MG神経膠芽腫細胞をNVX−412で処理した。細胞は、Gibco BRL(Life Technologies、ドイツ国ベルリン)の10%のウシ胎児血清(FCS)を補充した、4500mg/Lのグルコースを含有するダルベッコ変法イーグル培地(DMEM)で維持した。細胞生存アッセイでは、細胞を24ウェルプレート(5T/ウェル)に播種し、3日間処理するか、または処理しなかった。次いで、細胞数をカウントし、未処理対照に対するパーセンテージとして記した。各データポイントは、4つのウェルから得られる平均細胞数を表す。各実験を3回行った。細胞増殖を評価するために、Beckman Coulter GmbH(ドイツ国クレーフェルト)の自動化細胞カウンターを使用して、処理期間終了時の生存細胞の数を求めた。
【0026】
図2〜5には、表示した癌細胞系をNVX−412処理した後の、腫瘍細胞増殖の対照に対する抑制パーセントを示す(適用できる場合、表示した濃度での3日間の癌細胞の処理について平均および標準偏差(n=3)を示す)。
【0027】
要約すると、NVX−412処理によって、腫瘍細胞増殖が著しく抑制され、試験したほとんどすべての細胞系のGI50値が、ナノモルの範囲にあった。
【0028】
〈実施例5〉
ユーイング肉腫のNVX−412処理。TC71lucおよびTC32lucユーイング腫瘍細胞系は、ルシフェラーゼ遺伝子を安定して発現させる。細胞を、活性化合物で処理する24時間前に96ウェルプレートに播種して、付着させた。細胞を72時間NVX−412で処理した。NVX−412の段階希釈物を、10μMのDMSO保存液から培地中に調製した。このアッセイにおける最大DMSO濃度は、細胞生存度に影響を及ぼさない(データは示さない)、0.1%とした。72時間後、Saphire2プレートリーダーを使用して、細胞生存度を発光によって測定した。実験はトリプリケートで実施し、図6には、少なくとも3回の独立した実験についての平均および標準偏差を示す。表2には、3日後に残存する細胞の割合をNVX−412の濃度に応じて示す。
【0029】
【表2】
【0030】
要約すると、NVX−412は、上述のようにいくつかの上皮細胞系の増殖を抑制し得るだけでなく、肉腫、黒色腫、およびCNS癌細胞系に対しても非常に有効であった。
【0031】
薬物動態学
薬物動態実験では、懸濁液として投与したとき、NVX−412の生物学的利用能がNVX−144と比べて向上したことが実証された。実験の詳細および結果を以下の実施例6に示す。薬物動態実験では、NVX−412は、ラットに静脈内投与したとき、0.93〜1.15時間の終末血漿半減期を有し、クリアランスが中等度の3806mL/h/kg、分布容積が中等度の3985mL/kgとなったことが示された。溶液または懸濁液として投与したときのNVX−144およびNVX−412の経口吸収は、どちらも中等度であった。NVX−144の経口生物学的利用能は、懸濁液として経口投与後は平均して34.7%であり、溶液として経口投与後は46.1%であった。NVX−412の経口生物学的利用能は、懸濁液として経口投与後は平均して43.9%であり、溶液として経口投与後は43.5%であった。すなわち、溶液として投与したとき、経口吸収ではNVX−412とNVX−144とに有意差はなかったが、懸濁液として投与したとき、NVX−412の経口吸収がNVX−144遊離塩基より若干向上していた。
【0032】
〈実施例6〉
NVX−412およびNVX−144の薬物動態実験
用量調製
経口懸濁液製剤は、試験物を5%のPEG−200/95%のメチルセルロース0.5%溶液に懸濁させて調製した。試験物の濃度は、10mL/kgの投与体積によって目的の投与量レベルが送達されるようなものとした。NVX−144およびNVX−412の経口溶液製剤は、試験物を10体積%のジメチルアセトアミド、続いて60体積%のPEG−400に溶解させ、次いで30%Captisol(登録商標)を50mMの乳酸に溶かした溶液をゆっくりと加えて、残りの30%の体積に充てることにより調製した。試験物の濃度は、10mL/kgの投与体積によって目的の投与量レベルが送達されるようなものとした。NVX−412のIV製剤は、試験物を10体積%のジメチルアセトアミド、続いて10体積%のPEG−400に溶解させ、次いで10%Captisol(登録商標)を50mMの乳酸に溶かした溶液をゆっくりと加えて、残りの80%の体積に充てることにより調製した。試験物の濃度は、2.5mL/kgの投与体積によって目的の投与量レベルが送達されるようなものとした。投与する用量は、投与のすぐ前に計測した各動物の体重に基づくものとした。製剤は、調製後直ちに使用した。
【0033】
研究計画
合計15匹のラットを研究に割り当てた。それぞれ3匹の雄ラットからなる5群によって研究を構成した。以下の表3に明細に記すとおり、各群を、経口経管栄養または尾静脈からの静脈内注射によって1回処置した。
【0034】
【表3】
【0035】
試験物投与
動物を投与前に一晩絶食させ、投与の約2時間後に飼料を戻した。各動物の用量は、最新の体重に基づくものとした。経口用量を経管栄養によって投与した。動物には経口1回量あたり10mL/kgを与えた。静脈内用量を尾静脈注射によって投与した。各動物の用量は、最新の体重に基づくものとした。動物には静脈内1回量あたり2.5mL/kgで投与した。
【0036】
生存能観察
動物の生存能を、研究の間終始少なくとも朝1回晩1回観察した。
【0037】
体重
すべての動物について、投与の直前に体重を測定した。
【0038】
薬物動態サンプル
薬物動態分析用に、群1〜5の動物の血液を収集した。経口経路によって処置した各ラットから、4度の時点(投与後30分、1時間、4時間、および8時間)で、約0.3mLの血液を眼窩静脈叢からEDTAカリウム管に収集し、血液サンプルを処理にかけて、血漿を調製した。静脈内経路によって処置した各ラットからは、4度の時点(投与後5分、30分、1時間、および2時間)で血液を収集し、血液サンプルを処理にかけて、血漿を調製した。動物をその最後のサンプル収集の後に(剖検せずに)処分した。
【0039】
全血サンプルは、(約5℃にセットした)冷却遠心機にて最短で10分間遠心分離した(約1500×g)。血液収集/遠心分離から30分以内に、血漿を調製し、適切にラベルされた管に移した。次いで、管を凍結させ、分析するまで暗所にて−70℃以下で保存した。血漿サンプルは、LC−MS/MSによって分析して、NVX−144およびNVX−412の血漿濃度を求めた。WinNonlin Version 4.1を用い、ノンコンパートメント解析を使用して、血漿濃度データの薬物動態分析を行った。
【0040】
NVX−412を5mg/kgで静脈内投与した後、投与後0.083時間でピーク血漿濃度に到達し、平均濃度は1842ng/mLであった。終末血漿半減期は1.0時間であり、平均AUC(0〜∞)は1314h・ng/mLであった。NVX−144遊離塩基を懸濁液として20mg/kgで経口投与した後、投与後0.5時間〜1時間の間にピーク血漿濃度に到達し、平均濃度は487ng/mLであった。終末血漿半減期は、1.4時間と推定され、平均AUC(0〜∞)は1826h・ng/mLであった。表4に、NVX−412を静脈内投与後の個々の動物について(ng/mLで)血漿濃度データを示す。
【0041】
【表4】
【0042】
表5に、静脈内投与後のNVX−412について、算出された薬物動態パラメーターを示す。
【0043】
【表5】
【0044】
NVX−412を懸濁液として20mg/kgで経口投与した後、投与後1時間でピーク血漿濃度に到達し、平均濃度は525ng/mLであった。終末血漿半減期は1.2時間と推定され、平均AUC(0〜∞)は2307h・ng/mLであった。NVX−144遊離塩基を溶液として20mg/kgで経口投与した後、投与後0.5時間〜1時間の間にピーク血漿濃度に到達し、平均濃度は714ng/mLであった。終末血漿半減期は1.6時間と推定され、平均AUC(0〜∞)は2521h・ng/mLであった。
【0045】
NVX−412を溶液として20mg/kgで経口投与した後、投与後0.5時間〜1時間の間にピーク血漿濃度に到達し、平均濃度は643ng/mLであった。終末血漿半減期は1.4時間と推定され、平均AUC(0〜∞)は2289h・ng/mLであった。NVX−144遊離塩基を懸濁液として経口投与後の生物学的利用能は平均して34.7%であり、溶液として経口投与後は46.1%であった。NVX−412を懸濁液として経口投与後の生物学的利用能は平均して43.9%であり、溶液として経口投与後は43.5%であった。
【0046】
表6に、NVX−144およびNVX−412を経口投与後の個々の動物について(ng/mLで)血漿濃度データを示す。
【0047】
【表6】
【0048】
表7に、経口投与後のNVX−144およびNVX−412について、算出された薬物動態パラメーターを示す。
【0049】
【表7】
【0050】
図7A〜7Oは、個々の各動物について、薬物動態データの片対数プロットを示すものである。
【0051】
図8〜12は、静脈内投与、懸濁液で経口投与、および溶液で経口投与したNVX−412およびNVX−144遊離塩基について、個別および平均の濃度−時間データの片対数プロットを示すものである。
【0052】
すなわち、以下の事項が発見された。
● NVX−412は、ラットに静脈内投与したとき、終末血漿半減期が0.93〜1.15時間であった。
● NVX−412は、ラットに静脈内投与したとき、クリアランスが中等度の3806mL/hr/kg、分布容積が中等度の3985mL/kgとなった。
● NVX−144遊離塩基の経口吸収は、溶液または懸濁液として投与したとき、中等度であった。
● NVX−412の経口吸収は、溶液または懸濁液として投与したとき、中等度であった。
● NVX−144遊離塩基を懸濁液として経口投与後の経口生物学的利用能は平均して34.7%であり、溶液として経口投与後は46.1%であった。
● NVX−412を懸濁液として経口投与後の経口生物学的利用能は平均して43.9%であり、溶液として経口投与後は43.5%であった。
● 溶液として投与したとき、経口吸収ではNVX−412とNVX−144遊離塩基とに有意差はなかった。
● 懸濁液として投与したとき、NVX−412の経口吸収がNVX−144遊離塩基より若干向上していた。
【0053】
こうして、N’−(7−フルオロピロロ[1,2a]キノキサリン−4−イル)ピラジン−2−カルボヒドラジドのシュウ酸との新規な共結晶、NVX−412が発見された。この新規な化合物は、十分な生物学的利用能および癌細胞増殖抑制能を示した。
【0054】
本発明の特定の実施形態について上で述べてきたが、そうした実施形態は、本発明を例示するものにすぎず、以下の特許請求の範囲に従って解釈される本発明を限定するとみなすべきでない。
【技術分野】
【0001】
この開示は、疾患治療のための含窒素複素環のカルボン酸との共結晶に関する。
【背景技術】
【0002】
Neamatiらは、癌および血管形成機能と関連付けられる疾患の治療のための含窒素複素環を報告している(その全体が参照により本明細書に特に援用される、米国特許出願第11/265593号;Grandeら、「Synthesis and Antitumor Activities of a Series of Novel Quinoxalinhydrazines」、Bioorg.Med.Chem.第15巻、288〜94頁(2007年)を参照されたい)。こうした含窒素複素環には、式IIの化合物
【0003】
【化1】
[式中、Rは、H、アルキル、またはハロゲンであり;R’は、H、アルキル、またはハロゲンであり;Xは、CHまたはNであり;Yは、単素環または複素環を含み;ただし、RがHであり、R’がHであり、XがCHであり、Yがピラジニルまたはピリジニルであるとき、Yは、3−、5−もしくは6−ピラジニル、または3−、4−、5−もしくは6−ピリジニルである]が含まれる。その中で報告されている一例が、N’−(7−フルオロピロロ[1,2a]キノキサリン−4−イル)ピラジン−2−カルボヒドラジド(「NVX−144」)である。
【0004】
【化2】
【0005】
Aakeroyらは、含窒素複素環のカルボン酸との共結晶の、対応する塩に優る利点を論じている(その全体が参照により本明細書に特に援用される、Aakeroyら、「Cocrystal or Salt: Does It Really Matter?」、Mol.Pharmaceutics、第4巻、317〜22頁(2007年)を参照されたい)。この著者らは、酸から塩基へのプロトン移動の結果として起こる塩形成は、予測できない化学組成(溶媒和物)または化学量論組成の格子が生じる見込みが、プロトン移動が起こらない分子共結晶形成のほぼ10倍であることを報告している。著者らは、この結果構造予測およびターゲットとなる超分子合成が簡素化するので、望ましい性質を示す、利用しやすい原薬固体形態の多様性が増すようになるはずであると結論付けている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
N’−(7−フルオロピロロ[1,2a]キノキサリン−4−イル)ピラジン−2−カルボヒドラジドのシュウ酸との新規な共結晶(「NVX−412」)を開示する。開示されるシュウ酸共結晶は、癌細胞増殖抑制を示し、懸濁液として投与したとき、対応する遊離塩基より生物学的利用能が高い。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】米国国立癌研究所癌細胞系の標準パネル(NCI60)をNVX−412で処理した結果を示す表である。
【図2】518A2黒色腫細胞系をNVX−412で処理した結果を示すグラフである。
【図3】CaCo2結腸癌細胞系をNVX−412で処理した結果を示すグラフである。
【図4】HELA子宮頚癌細胞系をNVX−412で処理した結果を示すグラフである。
【図5】U87MG神経膠芽腫細胞系をNVX−412で処理した結果を示すグラフである。
【図6】TC32およびTC71ユーイング肉腫細胞系をNVX−412で処理した結果を示すグラフである。
【図7A−7O】薬物動態データの片対数プロットを個々の動物について示すグラフである。
【図8】静脈内投与したNVX−144について、個々および平均の濃度−時間データの片対数プロットを示すグラフである。
【図9】懸濁液にして経口投与したNVX−144遊離塩基について、個々および平均の濃度−時間データの片対数プロットを示すグラフである。
【図10】懸濁液にして経口投与したNVX−412について、個々および平均の濃度−時間データの片対数プロットを示すグラフである。
【図11】溶液にして経口投与したNVX−144遊離塩基について、個々および平均の濃度−時間データの片対数プロットを示すグラフである。
【図12】溶液にして経口投与したNVX−412について、個々および平均の濃度−時間データの片対数プロットを示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
NVX−144・HClは、綿毛状の静電荷電した吸湿性結晶として存在し、こうした物理的特性が、錠剤やカプセル剤のような経口剤形の製剤において問題となる場合がある。したがって、医薬製剤にいっそう適した、可能性のある新規な化合物としての、塩酸以外の酸のNVX−144塩の調製を評価するために、一連の実験を行った。そうした実験では、(NVX−144・HClから調製した)遊離のNVX−144塩基が非常に弱い塩基であり、したがって典型的な弱い有機酸とは塩を形成しなかったことが示された。予想したとおり、NVX−144塩基は、強い有機酸と容易に塩を形成した。しかし、非常に意外なことに、NVX−144塩基をシュウ酸で処理すると、予想されたNVX−144シュウ酸塩の性質とは一致しない性質を有する新規な結晶性物質が生成した。新規なNVX−144−シュウ酸生成物の分光特性を評価すると、以下の構造を有する新たなNVX−144−シュウ酸共結晶(「NVX−412」)が生成したことが示唆された。
【0009】
【化3】
【0010】
シュウ酸共結晶は希有ではあるが、Traskらが、カフェインのシュウ酸との共結晶を報告している(Traskら、「Pharmaceutical Cocrystallization: Engineering a Remedy for Caffeine Hydration」、Crystal Growth&Design、第5巻、1013〜21頁(2005年)を参照されたい)。NVX−412は、医薬品の製剤に適する安定な一水和物および二水和物を形成し、様々な疾患の治療に有用であることがわかった。
【0011】
NVX−412の合成
以下で詳述するとおり、シュウ酸共結晶NVX−412は、NVX−144遊離塩基から生成した。4−クロロ−7−フルオロピロロ[1,2a]キノキサリン溶液にピラジン酸ヒドラジドを加えることにより、NVX−144・HClをまず合成した。次いで、単離した塩酸塩NVX−144・HClを水酸化ナトリウム溶液で中和して、NVX−144遊離塩基を生成した。次いで、単離した遊離塩基NVX−144をシュウ酸溶液に加えて、NVX−412を生成した。
【実施例】
【0012】
〈実施例1〉
N’−(7−フルオロピロロ[1,2a]キノキサリン−4−イル)ピラジン−2−カルボヒドラジド塩酸塩(NVX−144・HCl)の調製。アルゴン中にて、8.0gの4−クロロ−7−フルオロピロロ[1,2a]キノキサリンを100mLのエタノールに溶かした溶液に、撹拌しながら5.0gのピラジン酸ヒドラジドを加えた。混合物を4時間撹拌し、濾過して、11g(94%)のNVX−144・HClをオフホワイトの結晶、融点282℃、LC/MSによる純度98%として得た。1H−NMR(300MHz,DMSO−d6)δ:7.03(m,1H)、7.41(t,1H)、7.73(m,2H)、8.37(dd,1H)、8.65(bs,1H)、8.90(m,1H)、9.01(d,1H)、9.30(s,1H)、11.69(bs,1H)。元素分析:C16H12N6ClFOの計算値:C 53.57、H 3.37、N 23.43、Cl 9.88、F 5.30;実測値:C 53.70、H 3.41、N 23.29、Cl 9.92、F 5.21。HRMS計算値 322.0978;実測値 322.0984。UV λmax 220nm。FTIR(ニート)3084、1673、1929cm−1。
【0013】
〈実施例2〉
N’−(7−フルオロピロロ[1,2a]キノキサリン−4−イル)ピラジン−2−カルボヒドラジド(NVX−144)の調製。4.5gのNVX−144・HCl、100mLの水、および100mLのアセトニトリルの混合物を加熱して、溶液を生成した。溶液を、撹拌しながら6.5mLの2N水酸化ナトリウムでpH7に調整し、室温に冷まし、その後沈殿を分離した。混合物を濾過して、3.0g(68%)のNVX−144をオフホワイトの結晶、融点166〜170℃、LC/MSによる純度96%として得た。1H−NMR(300MHz,DMSO−d6)δ:6.81(m,1H)、7.13(m,1H)、7.20(m,2H)、8.15(dd,1H)、8.33(m,1H)、8.85(m,1H)、8.96(m,1H)、9.24(m,1H)、9.78(bs,1H)、10.96(bs,1H)。LC/MS m/z 323.1[M+H]+。UV λmax 225nm。FTIR(ニート)3117、1671、1489cm−1。
【0014】
〈実施例3〉
N’−(7−フルオロピロロ[1,2a]キノキサリン−4−イル)ピラジン−2−カルボヒドラジドシュウ酸共結晶(NVX−412)の調製。窒素中にて、5.1gのNVX−144と590mLの水の混合物に、3.91gのシュウ酸を60mLの水に溶かした溶液を撹拌しながら滴下した。2時間撹拌した後、スラリーを濾過し、水で洗浄し、乾燥させて、11.8g(92%)のNVX−412を淡黄色の結晶、LC/MSによる純度99%として得た。1H−NMR(300MHz,DMSO−d6)δ:6.8(1H)、7.1〜7.2(3H)、8.15(1H)、8.3(1H)、8.85(1H)、8.95(1H)、9.25(1H)、10.95(1H)。
【0015】
NVX−144は、強酸(たとえば、塩酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸)とは容易に塩を形成するが、弱いモノカルボン酸(たとえば、酢酸、アスパラギン酸、グルコン酸、乳酸)またはそれよりも強いジカルボン酸(たとえば、フマル酸、リンゴ酸、マレイン酸、ムコン酸、コハク酸)とは塩を形成しない。したがって、NVX−144は、比較的強いジカルボン酸であるシュウ酸と塩を形成するとは予想されないことになる。
【0016】
しかし、NVX−144は、シュウ酸と、1:1の化学量論性を有する新規な実在物(NVX−412)を形成する。NVX−412のX線回折(XRD)パターンは、NVX−144のパターンとは著しく異なり、新たな結晶性物質が生成されたことを示している。さらに、NVX−412の1H NMR化学シフトは、NVX−144・HClの化学シフトとは異なっており、NVX−144塩基の1H NMR化学シフトと基本的に同一である。これは、共結晶では、2種の構成成分がNMR溶液中で別々に溶媒和するので、予想される結果である。表1は、DMSO−d6中でのNVX−144、NVX−144.HCl、およびNVX−412の1H NMR化学シフトの比較を示す。
【0017】
【表1】
【0018】
NVX−412の治療への使用
NVX−412は、様々な疾患の治療に有用であることが実証された。一実施形態では、NVX−412は、癌細胞の増殖を抑制する。図1〜6は、以下のヒト癌細胞系をNVX−412で処理した結果を示すものである。CCRF−CEM(白血病)、HL−60(白血病)、K562(白血病)、MOLT−4(白血病)、RPMI−8226(白血病)、SR(白血病)、A−549(肺癌)、EKVX(肺癌)、HOP−62(肺癌)、HOP−92(肺癌)、NCI−H226(肺癌)、NCI−H23(肺癌)、NCI−H322M(肺癌)、NCI−H460(肺癌)、NCI−H522(肺癌)、COLO205(結腸癌)、HCC−2998(結腸癌)、HCT−116(結腸癌)、HCT−15(結腸癌)、HT29(結腸癌)、KM12(結腸癌)、SW−620(結腸癌)、CaCo2(結腸癌)、SF−268(CNS癌)、SF−295(CNS癌)、SF−539(CNS癌)、SNB−19(CNS癌)、SNB−75(CNS癌)、U251(CNS癌)、U87MG(神経膠芽腫)、LOX IMVI(黒色腫)、MALME−3M(黒色腫)、M14(黒色腫)、MDA−MB−435(黒色腫)、SK−MEL−2(黒色腫)、SK−MEL−28(黒色腫)、SK−MEL−5(黒色腫)、UACC−257(黒色腫)、UACC−62(黒色腫)、518A2(黒色腫)、OVCAR−3(卵巣癌)、OVCAR−4(卵巣癌)、OVCAR−5(卵巣癌)、OVCAR−8(卵巣癌)、NCI/ADR−RES(卵巣癌)、SK−OV−3(卵巣癌)、HELA(子宮頚癌)、786−0(腎癌)、A498(腎癌)、ACHN(腎癌)、CAKI−1(腎癌)、RXF 393(腎癌)、SN12C(腎癌)、TK−10(腎癌)、UO−31(腎癌)、PC−3(前立腺癌)、DU−145(前立腺癌)、MCF7(乳癌)、MDA−MB−231(乳癌)、HS 578T(乳癌)、T−47D(乳癌)、MDA−MB−468(乳癌)、TC71luc(ユーイング肉腫)、およびTC32luc(ユーイング肉腫)。実験の詳細を以下での実施例4および5に示す。
【0019】
〈実施例4〉
様々な癌細胞系のNVX−412での処理。National Cancer Institute Developmental Therapeutics Program(dtp.nci.nih.gov/branches/btb/ivclsp.htmlを参照されたい)およびShoemaker RH(Nat.Rev.Cancer、第6巻、813〜823頁(2006年))ならびにそこに引用されている参考資料に詳述されている手順に従い、60種を超えるヒト癌細胞系をNVX−412で処理した。試験した細胞系の多くは、アメリカ培養細胞系統保存機関(米国メリーランド州ロックヴィル)から入手可能である。黒色腫細胞系518A2については、以前に記述がなされている(Jansenら、「Activated
N−Ras Contributes to the Chemoresistance of Human Melanoma in Severe Combined
Immunodeficiency (SCID) Mice by Blocking Apoptosis」、Cancer Research第57巻、362〜65頁(1997年))。NVX−412による癌細胞処理の典型的なスクリーニングには、以下の手順を用いた。
【0020】
癌スクリーニングパネルのヒト腫瘍細胞系を、5%のウシ胎児血清および2mMのL−グルタミンを含有するRPMI 1640培地で増殖させた。典型的なスクリーニング実験では、細胞を、個々の細胞系の倍加時間に応じて5,000〜40,000細胞/ウェルの範囲のプレーティング密度で、96ウェルマイクロタイタープレートに100μLにして播種した。細胞を播種した後、NVX−412を加える前に、マイクロタイタープレートを相対湿度100%の5%CO2/95%空気中にて37℃で24時間インキュベートした。
【0021】
24時間後、各細胞系の2枚のプレートをin situでTCA固定して、NVX−412を加える時点における各細胞系の細胞集団を測定値とした(Tz)。NVX−412を、所望の最終最大試験濃度の400倍でジメチルスルホキシドに可溶化し、使用前に凍結保存した。NVX−412を加える時点で、一定分量の凍結した濃縮物を解凍し、50μg/molのゲンタマイシンを含有する完全培地で所望の最終最大試験濃度の2倍に希釈した。追加の4段階の10倍または1/2対数段階希釈を行って、合計5段階の濃度のNVX−412プラス対照を準備した。これらの異なるNVX−412希釈物の一定分量100μlを、100μLの培地をすでに含有する適切なマイクロタイターウェルに加え、必要な最終NVX−412濃度とした。
【0022】
NVX−412を加えた後、プレートを相対湿度100%の5%CO2/95%空気中にて37℃でさらに48時間インキュベートした。付着細胞については、冷TCAを加えてアッセイを終わらせた。50μLの冷50%(w/v)TCA(最終濃度、10%TCA)を穏やかに加えて細胞をin situで固定し、4℃で60分間インキュベートした。上清を捨て、プレートを水道水で5回洗浄し、風乾した。1%酢酸中0.4%(w/v)のスルホローダミンB(SRB)溶液(100μL)を各ウェルに加え、プレートを室温で10分間インキュベートした。染色後、1%酢酸で5回洗浄して、結合していない色素を除去し、プレートを風乾した。引き続いて、結合した着色を10mMのTrizma塩基で可溶化し、自動化プレートリーダーにおいて515nmの波長で吸光度を読み取った。浮遊細胞については、ウェルの底の沈降した細胞を、50μLの80%TCA(最終濃度、16%TCA)を穏やかに加えることにより固定してアッセイを終わらせたことを除き、方法は同じであった。7つの吸光度測定値[0時間(Tz)、対照増殖物(C)、および5段階の濃度レベルのNVX−412存在下の試験増殖物(Ti)]を使用して、各NVX−412濃度レベルでの増殖パーセンテージを算出した。増殖抑制パーセンテージは、以下のように算出した。
Ti≧Tzである濃度については、[(Ti−Tz)/(C−Tz)]×100
Ti<Tzである濃度については、[(Ti−Tz)/Tz]×100
【0023】
3つの用量反応パラメーターを算出した。50%増殖抑制(GI50)は、[(Ti−Tz)/(C−Tz)]×100=50から算出したが、これは、インキュベートの間、対照細胞における(SRB染色によって測定される)正味のタンパク質増加を50%減少させる濃度である。完全増殖抑制(TGI)をもたらす濃度は、Ti=Tzから算出した。処理の後の細胞の正味の減少を示す、LC50(処理の終わりのタンパク質測定値を、始めの測定値と比べて50%減少させる濃度)は、[(Ti−Tz)/Tz]×100=−50から算出した。活性のレベルに達していれば、これら3つのパラメーターそれぞれについて値を算出したが、しかし、効果が及ばない、または上回る場合、パラメーターの値は、最大または最小試験濃度超過または未満であると表示した。
【0024】
図1には、試験したそれぞれの癌細胞系の増殖を50%減少させるのに必要となるNVX−412濃度(GI50)を示す。
【0025】
結果を図2〜5に示す追加実験では、518A2黒色腫細胞、CaCo2結腸癌細胞、HELA子宮頚癌細胞、およびU87MG神経膠芽腫細胞をNVX−412で処理した。細胞は、Gibco BRL(Life Technologies、ドイツ国ベルリン)の10%のウシ胎児血清(FCS)を補充した、4500mg/Lのグルコースを含有するダルベッコ変法イーグル培地(DMEM)で維持した。細胞生存アッセイでは、細胞を24ウェルプレート(5T/ウェル)に播種し、3日間処理するか、または処理しなかった。次いで、細胞数をカウントし、未処理対照に対するパーセンテージとして記した。各データポイントは、4つのウェルから得られる平均細胞数を表す。各実験を3回行った。細胞増殖を評価するために、Beckman Coulter GmbH(ドイツ国クレーフェルト)の自動化細胞カウンターを使用して、処理期間終了時の生存細胞の数を求めた。
【0026】
図2〜5には、表示した癌細胞系をNVX−412処理した後の、腫瘍細胞増殖の対照に対する抑制パーセントを示す(適用できる場合、表示した濃度での3日間の癌細胞の処理について平均および標準偏差(n=3)を示す)。
【0027】
要約すると、NVX−412処理によって、腫瘍細胞増殖が著しく抑制され、試験したほとんどすべての細胞系のGI50値が、ナノモルの範囲にあった。
【0028】
〈実施例5〉
ユーイング肉腫のNVX−412処理。TC71lucおよびTC32lucユーイング腫瘍細胞系は、ルシフェラーゼ遺伝子を安定して発現させる。細胞を、活性化合物で処理する24時間前に96ウェルプレートに播種して、付着させた。細胞を72時間NVX−412で処理した。NVX−412の段階希釈物を、10μMのDMSO保存液から培地中に調製した。このアッセイにおける最大DMSO濃度は、細胞生存度に影響を及ぼさない(データは示さない)、0.1%とした。72時間後、Saphire2プレートリーダーを使用して、細胞生存度を発光によって測定した。実験はトリプリケートで実施し、図6には、少なくとも3回の独立した実験についての平均および標準偏差を示す。表2には、3日後に残存する細胞の割合をNVX−412の濃度に応じて示す。
【0029】
【表2】
【0030】
要約すると、NVX−412は、上述のようにいくつかの上皮細胞系の増殖を抑制し得るだけでなく、肉腫、黒色腫、およびCNS癌細胞系に対しても非常に有効であった。
【0031】
薬物動態学
薬物動態実験では、懸濁液として投与したとき、NVX−412の生物学的利用能がNVX−144と比べて向上したことが実証された。実験の詳細および結果を以下の実施例6に示す。薬物動態実験では、NVX−412は、ラットに静脈内投与したとき、0.93〜1.15時間の終末血漿半減期を有し、クリアランスが中等度の3806mL/h/kg、分布容積が中等度の3985mL/kgとなったことが示された。溶液または懸濁液として投与したときのNVX−144およびNVX−412の経口吸収は、どちらも中等度であった。NVX−144の経口生物学的利用能は、懸濁液として経口投与後は平均して34.7%であり、溶液として経口投与後は46.1%であった。NVX−412の経口生物学的利用能は、懸濁液として経口投与後は平均して43.9%であり、溶液として経口投与後は43.5%であった。すなわち、溶液として投与したとき、経口吸収ではNVX−412とNVX−144とに有意差はなかったが、懸濁液として投与したとき、NVX−412の経口吸収がNVX−144遊離塩基より若干向上していた。
【0032】
〈実施例6〉
NVX−412およびNVX−144の薬物動態実験
用量調製
経口懸濁液製剤は、試験物を5%のPEG−200/95%のメチルセルロース0.5%溶液に懸濁させて調製した。試験物の濃度は、10mL/kgの投与体積によって目的の投与量レベルが送達されるようなものとした。NVX−144およびNVX−412の経口溶液製剤は、試験物を10体積%のジメチルアセトアミド、続いて60体積%のPEG−400に溶解させ、次いで30%Captisol(登録商標)を50mMの乳酸に溶かした溶液をゆっくりと加えて、残りの30%の体積に充てることにより調製した。試験物の濃度は、10mL/kgの投与体積によって目的の投与量レベルが送達されるようなものとした。NVX−412のIV製剤は、試験物を10体積%のジメチルアセトアミド、続いて10体積%のPEG−400に溶解させ、次いで10%Captisol(登録商標)を50mMの乳酸に溶かした溶液をゆっくりと加えて、残りの80%の体積に充てることにより調製した。試験物の濃度は、2.5mL/kgの投与体積によって目的の投与量レベルが送達されるようなものとした。投与する用量は、投与のすぐ前に計測した各動物の体重に基づくものとした。製剤は、調製後直ちに使用した。
【0033】
研究計画
合計15匹のラットを研究に割り当てた。それぞれ3匹の雄ラットからなる5群によって研究を構成した。以下の表3に明細に記すとおり、各群を、経口経管栄養または尾静脈からの静脈内注射によって1回処置した。
【0034】
【表3】
【0035】
試験物投与
動物を投与前に一晩絶食させ、投与の約2時間後に飼料を戻した。各動物の用量は、最新の体重に基づくものとした。経口用量を経管栄養によって投与した。動物には経口1回量あたり10mL/kgを与えた。静脈内用量を尾静脈注射によって投与した。各動物の用量は、最新の体重に基づくものとした。動物には静脈内1回量あたり2.5mL/kgで投与した。
【0036】
生存能観察
動物の生存能を、研究の間終始少なくとも朝1回晩1回観察した。
【0037】
体重
すべての動物について、投与の直前に体重を測定した。
【0038】
薬物動態サンプル
薬物動態分析用に、群1〜5の動物の血液を収集した。経口経路によって処置した各ラットから、4度の時点(投与後30分、1時間、4時間、および8時間)で、約0.3mLの血液を眼窩静脈叢からEDTAカリウム管に収集し、血液サンプルを処理にかけて、血漿を調製した。静脈内経路によって処置した各ラットからは、4度の時点(投与後5分、30分、1時間、および2時間)で血液を収集し、血液サンプルを処理にかけて、血漿を調製した。動物をその最後のサンプル収集の後に(剖検せずに)処分した。
【0039】
全血サンプルは、(約5℃にセットした)冷却遠心機にて最短で10分間遠心分離した(約1500×g)。血液収集/遠心分離から30分以内に、血漿を調製し、適切にラベルされた管に移した。次いで、管を凍結させ、分析するまで暗所にて−70℃以下で保存した。血漿サンプルは、LC−MS/MSによって分析して、NVX−144およびNVX−412の血漿濃度を求めた。WinNonlin Version 4.1を用い、ノンコンパートメント解析を使用して、血漿濃度データの薬物動態分析を行った。
【0040】
NVX−412を5mg/kgで静脈内投与した後、投与後0.083時間でピーク血漿濃度に到達し、平均濃度は1842ng/mLであった。終末血漿半減期は1.0時間であり、平均AUC(0〜∞)は1314h・ng/mLであった。NVX−144遊離塩基を懸濁液として20mg/kgで経口投与した後、投与後0.5時間〜1時間の間にピーク血漿濃度に到達し、平均濃度は487ng/mLであった。終末血漿半減期は、1.4時間と推定され、平均AUC(0〜∞)は1826h・ng/mLであった。表4に、NVX−412を静脈内投与後の個々の動物について(ng/mLで)血漿濃度データを示す。
【0041】
【表4】
【0042】
表5に、静脈内投与後のNVX−412について、算出された薬物動態パラメーターを示す。
【0043】
【表5】
【0044】
NVX−412を懸濁液として20mg/kgで経口投与した後、投与後1時間でピーク血漿濃度に到達し、平均濃度は525ng/mLであった。終末血漿半減期は1.2時間と推定され、平均AUC(0〜∞)は2307h・ng/mLであった。NVX−144遊離塩基を溶液として20mg/kgで経口投与した後、投与後0.5時間〜1時間の間にピーク血漿濃度に到達し、平均濃度は714ng/mLであった。終末血漿半減期は1.6時間と推定され、平均AUC(0〜∞)は2521h・ng/mLであった。
【0045】
NVX−412を溶液として20mg/kgで経口投与した後、投与後0.5時間〜1時間の間にピーク血漿濃度に到達し、平均濃度は643ng/mLであった。終末血漿半減期は1.4時間と推定され、平均AUC(0〜∞)は2289h・ng/mLであった。NVX−144遊離塩基を懸濁液として経口投与後の生物学的利用能は平均して34.7%であり、溶液として経口投与後は46.1%であった。NVX−412を懸濁液として経口投与後の生物学的利用能は平均して43.9%であり、溶液として経口投与後は43.5%であった。
【0046】
表6に、NVX−144およびNVX−412を経口投与後の個々の動物について(ng/mLで)血漿濃度データを示す。
【0047】
【表6】
【0048】
表7に、経口投与後のNVX−144およびNVX−412について、算出された薬物動態パラメーターを示す。
【0049】
【表7】
【0050】
図7A〜7Oは、個々の各動物について、薬物動態データの片対数プロットを示すものである。
【0051】
図8〜12は、静脈内投与、懸濁液で経口投与、および溶液で経口投与したNVX−412およびNVX−144遊離塩基について、個別および平均の濃度−時間データの片対数プロットを示すものである。
【0052】
すなわち、以下の事項が発見された。
● NVX−412は、ラットに静脈内投与したとき、終末血漿半減期が0.93〜1.15時間であった。
● NVX−412は、ラットに静脈内投与したとき、クリアランスが中等度の3806mL/hr/kg、分布容積が中等度の3985mL/kgとなった。
● NVX−144遊離塩基の経口吸収は、溶液または懸濁液として投与したとき、中等度であった。
● NVX−412の経口吸収は、溶液または懸濁液として投与したとき、中等度であった。
● NVX−144遊離塩基を懸濁液として経口投与後の経口生物学的利用能は平均して34.7%であり、溶液として経口投与後は46.1%であった。
● NVX−412を懸濁液として経口投与後の経口生物学的利用能は平均して43.9%であり、溶液として経口投与後は43.5%であった。
● 溶液として投与したとき、経口吸収ではNVX−412とNVX−144遊離塩基とに有意差はなかった。
● 懸濁液として投与したとき、NVX−412の経口吸収がNVX−144遊離塩基より若干向上していた。
【0053】
こうして、N’−(7−フルオロピロロ[1,2a]キノキサリン−4−イル)ピラジン−2−カルボヒドラジドのシュウ酸との新規な共結晶、NVX−412が発見された。この新規な化合物は、十分な生物学的利用能および癌細胞増殖抑制能を示した。
【0054】
本発明の特定の実施形態について上で述べてきたが、そうした実施形態は、本発明を例示するものにすぎず、以下の特許請求の範囲に従って解釈される本発明を限定するとみなすべきでない。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
N’−(7−フルオロピロロ[1,2a]キノキサリン−4−イル)ピラジン−2−カルボヒドラジドのシュウ酸との共結晶を含む化合物。
【請求項2】
シュウ酸の溶液をN’−(7−フルオロピロロ[1,2a]キノキサリン−4−イル)ピラジン−2−カルボヒドラジドに加えることを含む、請求項1に記載の化合物の調製方法。
【請求項3】
ヒトまたは動物における疾患の治療方法であって、請求項1に記載の化合物を前記ヒトまたは動物に投与することを含む方法。
【請求項4】
前記疾患が癌である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記疾患が、子宮頚癌、結腸癌、肺癌、皮膚癌、乳癌、脳の癌、卵巣癌、腎癌、前立腺癌、白血病、および肉腫からなる群から選択される、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
請求項1に記載の化合物を、前記疾患の治療に十分な量で投与する、請求項3に記載の方法。
【請求項7】
前記化合物を経口投与する、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記化合物を非経口投与する、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記化合物を局所投与する、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
前記化合物をヒトに投与する、請求項6に記載の方法。
【請求項11】
前記化合物を動物に投与する、請求項6に記載の方法。
【請求項12】
請求項1に記載の化合物を含む医薬製剤。
【請求項13】
請求項12に記載の医薬製剤を投与することを含む、疾患の治療方法。
【請求項14】
前記疾患が癌である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
請求項1に記載の化合物を含む、疾患の治療に適する医薬品賦形剤。
【請求項16】
前記疾患が癌である、請求項15に記載の医薬品賦形剤。
【請求項1】
N’−(7−フルオロピロロ[1,2a]キノキサリン−4−イル)ピラジン−2−カルボヒドラジドのシュウ酸との共結晶を含む化合物。
【請求項2】
シュウ酸の溶液をN’−(7−フルオロピロロ[1,2a]キノキサリン−4−イル)ピラジン−2−カルボヒドラジドに加えることを含む、請求項1に記載の化合物の調製方法。
【請求項3】
ヒトまたは動物における疾患の治療方法であって、請求項1に記載の化合物を前記ヒトまたは動物に投与することを含む方法。
【請求項4】
前記疾患が癌である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記疾患が、子宮頚癌、結腸癌、肺癌、皮膚癌、乳癌、脳の癌、卵巣癌、腎癌、前立腺癌、白血病、および肉腫からなる群から選択される、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
請求項1に記載の化合物を、前記疾患の治療に十分な量で投与する、請求項3に記載の方法。
【請求項7】
前記化合物を経口投与する、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記化合物を非経口投与する、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記化合物を局所投与する、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
前記化合物をヒトに投与する、請求項6に記載の方法。
【請求項11】
前記化合物を動物に投与する、請求項6に記載の方法。
【請求項12】
請求項1に記載の化合物を含む医薬製剤。
【請求項13】
請求項12に記載の医薬製剤を投与することを含む、疾患の治療方法。
【請求項14】
前記疾患が癌である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
請求項1に記載の化合物を含む、疾患の治療に適する医薬品賦形剤。
【請求項16】
前記疾患が癌である、請求項15に記載の医薬品賦形剤。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図7D】
【図7E】
【図7F】
【図7G】
【図7H】
【図7I】
【図7J】
【図7K】
【図7L】
【図7M】
【図7N】
【図7O】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図7D】
【図7E】
【図7F】
【図7G】
【図7H】
【図7I】
【図7J】
【図7K】
【図7L】
【図7M】
【図7N】
【図7O】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公表番号】特表2011−516567(P2011−516567A)
【公表日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−504158(P2011−504158)
【出願日】平成21年4月8日(2009.4.8)
【国際出願番号】PCT/US2009/039961
【国際公開番号】WO2009/126743
【国際公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【出願人】(510267993)ノベリックス ファーマシューティカルズ、 インク. (1)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年4月8日(2009.4.8)
【国際出願番号】PCT/US2009/039961
【国際公開番号】WO2009/126743
【国際公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【出願人】(510267993)ノベリックス ファーマシューティカルズ、 インク. (1)
【Fターム(参考)】
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