説明

癌の予防・治療剤

【課題】癌におけるTRAILシグナル活性化薬感受性マーカーの同定、それらを用いた癌患者におけるTRAILシグナル活性化薬感受性の診断方法の提供、TRAILシグナル活性化薬感受性癌患者に対してTRAILシグナル活性化薬を投与するテイラーメイド型医療の提供。
【解決手段】TRAILシグナル活性化薬を含有してなる、TRAILシグナル活性化薬感受性患者のための癌の予防または治療剤であって、該患者が、被験者から採取した試料におけるTRAILシグナル活性化薬感受性マーカーの発現または活性が変動していることを指標として選別される剤。TRAILシグナル活性化薬感受性マーカーとして、AIM1、STK17B、LOC93349、CASP8等が挙げられる。


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【特許請求の範囲】
【請求項1】
TRAILシグナル活性化薬を含有してなる、TRAILシグナル活性化薬感受性患者のための癌の予防または治療剤であって、該患者が、被験者から採取した試料におけるTRAILシグナル活性化薬感受性マーカーの発現または活性が変動していることを指標として選別される剤。
【請求項2】
TRAILシグナル活性化薬感受性患者が、被験者から採取した試料における(i) AIM1の発現または活性が亢進していないこと、並びに(ii) STK17B、LOC93349、CASP8、SP110、NOD27およびRHOBTB3からなる群より選択される2以上の発現または活性が亢進していることを指標として選別される、請求項1記載の剤。
【請求項3】
TRAILシグナル活性化薬感受性患者が、被験者から採取した試料におけるAIM1の発現又は活性が低下しており、かつSTK17Bおよび/またはLOC93349および/またはCASP8の発現または活性が亢進していることを指標として選別される、請求項1記載の剤。
【請求項4】
TRAILシグナル活性化薬感受性患者が、被験者から採取した試料におけるSTK17Bの発現または活性が亢進していることを指標として選別される、請求項1記載の剤。
【請求項5】
TRAILシグナル活性化薬感受性マーカーがAIM1、STK17B、LOC93349およびCASP8であり、(1)2以上の既知TRAILシグナル活性化薬感受性癌細胞および2以上の既知TRAILシグナル活性化薬非感受性癌細胞におけるAIM1、STK17B、LOC93349およびCASP8の発現量または活性を測定し、
(2)(i) (1)で測定したTRAILシグナル活性化薬感受性癌細胞およびTRAILシグナル活性化薬非感受性癌細胞のうち、乳癌または大腸癌細胞におけるAIM1の発現量または活性とTRAILシグナル活性化薬感受性との関係から、癌細胞のTRAILシグナル活性化薬に対する感受性の有無を正しく判定することができる相対発現量または相対活性の値を基準値とし、(ii) (1)で測定したTRAILシグナル活性化薬感受性癌細胞およびTRAILシグナル活性化薬非感受性癌細胞におけるSTK17B、LOC93349またはCASP8の発現量または活性とTRAILシグナル活性化薬感受性との関係から、癌細胞のTRAILシグナル活性化薬感受性を正しく判定することができる相対発現量または相対活性の値を上方基準値、癌細胞のTRAILシグナル活性化薬非感受性を正しく判定することができる相対発現量または相対活性の値を下方基準値としたとき、
以下の(a)または(b)に該当する被験者をTRAILシグナル活性化薬感受性患者として選別することを特徴とする、請求項1記載の剤。
(a)被験者が乳癌または大腸癌患者の場合には、被験者から採取した試料におけるAIM1の発現量または活性が該基準値未満である、および、被験者から採取した試料におけるSTK17B、LOC93349またはCASP8の発現量または活性が該上方基準値以上である場合にプラス1ポイント、下方基準値以上かつ上方基準値未満である場合にゼロポイント、下方基準値未満である場合に、マイナス1ポイントとして、STK17B、LOC93349およびCASP8のポイントの総和が正である;
(b)被験者が乳癌および大腸癌以外の癌患者の場合には、被験者から採取した試料におけるSTK17B、LOC93349またはCASP8の発現量または活性が該上方基準値以上である場合にプラス1ポイント、下方基準値以上かつ上方基準値未満である場合にゼロポイント、下方基準値未満である場合にマイナス1ポイントとして、STK17B、LOC93349およびCASP8のポイントの総和が正である。
【請求項6】
TRAILシグナル活性化薬感受性マーカーがAIM1、STK17B、LOC93349およびCASP8であり、
(1)2以上の既知TRAILシグナル活性化薬感受性癌細胞および2以上の既知TRAILシグナル活性化薬非感受性癌細胞におけるAIM1、STK17B、LOC93349およびCASP8の発現量または活性を測定し、
(2)(i) (1)で測定したTRAILシグナル活性化薬感受性癌細胞およびTRAILシグナル活性化薬非感受性癌細胞の中から任意に選択された1つの細胞(基準癌細胞)におけるAIM1、STK17B、LOC93349およびCASP8の発現量または活性を1.0として、他の癌細胞におけるAIM1、STK17B、LOC93349およびCASP8の相対発現量または相対活性を算出し、
(ii) (1)で測定した他の細胞におけるAIM1の相対発現量(小数点下2ケタ)または相対活性(小数点下2ケタ)とTRAILシグナル活性化薬感受性の有無との関係を比較し、TRAILシグナル活性化薬感受性癌細胞群における最も大きい相対発現量Aまたは相対活性Aを選択し、ついでTRAILシグナル活性化薬非感受性癌細胞群において当該相対発現量Aまたは相対活性Aよりも大きく、かつ最も近い相対発現量Bまたは相対活性Bを選択し、当該相対発現量Bまたは相対活性Bの小数点下2ケタ目を削除した値を基準値とし、
(iii) (1)で測定した他の細胞におけるSTK17B, LOC93349, およびCASP8の相対発現量(小数点下2ケタ)または相対活性(小数点下2ケタ)とTRAILシグナル活性化薬感受性の有無との関係を比較し、TRAILシグナル活性化薬感受性癌細胞群における相対発現量または相対活性の中央値の80%値を上方基準値とし、TRAILシグナル活性化薬非感受性癌細胞群における相対発現量または相対活性の中央値の120%値を下方基準値としたとき、
以下の(a)または(b)に該当する被験者をTRAILシグナル活性化薬感受性患者として選別することを特徴とする、請求項5記載の剤。
(a)被験者が乳癌または大腸癌患者の場合には、被験者から採取した試料におけるAIM1の発現量または活性が該基準値未満である、および、被験者から採取した試料におけるSTK17B、LOC93349またはCASP8の発現量または活性が該上方基準値以上である場合にプラス1ポイント、下方基準値以上かつ上方基準値未満である場合にゼロポイント、下方基準値未満である場合に、マイナス1ポイントとして、STK17B、LOC93349およびCASP8のポイントの総和が正である;
(b)被験者が乳癌および大腸癌以外の癌患者の場合には、被験者から採取した試料におけるSTK17B、LOC93349またはCASP8の発現量または活性が該上方基準値以上である場合にプラス1ポイント、下方基準値以上かつ上方基準値未満である場合にゼロポイント、下方基準値未満である場合にマイナス1ポイントとして、STK17B、LOC93349およびCASP8のポイントの総和が正である。
【請求項7】
AIM1、STK17B、LOC93349およびCASP8の発現量がそれらをコードするmRNAの発現量であり、相対発現量がCOLO205細胞株における発現量に対する相対値であり、AIM1における基準値が2.2であり、STK17Bにおける上方基準値が1.036、下方基準値が0.514であり、LOC93349における上方基準値が0.666、下方基準値が0.211であり、CASP8における上方基準値が0.833、下方基準値が0.519である、請求項6記載の剤。
【請求項8】
試料が癌細胞、癌組織、血液、血清、血漿または尿である、請求項1記載の剤。
【請求項9】
TRAILシグナル活性化薬がTRAIL、TRAILR1アゴニスト化合物またはTRAILR2アゴニスト化合物である、請求項1〜8のいずれかに記載の剤。
【請求項10】
癌患者のTRAILシグナル活性化薬に対する感受性を診断する方法であって、該患者から採取した試料におけるSTK17B、LOC93349およびCASP8の発現または活性を調べることを含む方法。
【請求項11】
乳癌または大腸癌患者のTRAILシグナル活性化薬に対する感受性を診断する方法であって、該患者から採取した試料におけるAIM1の発現または活性をさらに調べることを含む、請求項10記載の方法。
【請求項12】
TRAILシグナル活性化薬がTRAIL、TRAILR1アゴニスト化合物またはTRAILR2アゴニスト化合物である、請求項10記載の方法。
【請求項13】
STK17B、LOC93349およびCASP8の発現または活性を検出し得る試薬を含んでなる、癌患者のTRAILシグナル活性化薬に対する感受性の診断薬。
【請求項14】
AIM1の発現または活性を検出し得る試薬をさらに含んでなる、乳癌または大腸癌患者用である、請求項13記載の診断薬。
【請求項15】
AIM1阻害薬を含有してなる癌の予防または治療剤。
【請求項16】
AIM1阻害を指標とする、抗癌作用を有する化合物またはその塩のスクリーニング方法。
【請求項17】
STK17B、LOC93349、SP110、NOD27またはRHOBTB3活性化薬を含有してなる癌の予防または治療剤。
【請求項18】
STK17B、LOC93349、SP110、NOD27またはRHOBTB3活性化を指標とする、抗癌作用を有する化合物またはその塩のスクリーニング方法。
【請求項19】
被験者から採取した試料におけるTRAILシグナル活性化薬感受性マーカーの発現または活性が変動していることを指標として選別されたTRAILシグナル活性化薬感受性患者に対して、TRAILシグナル活性化薬の有効量を投与することを特徴とする癌の予防または治療方法。
【請求項20】
哺乳動物に対して、AIM1阻害薬の有効量を投与することを特徴とする癌の予防または治療方法。
【請求項21】
哺乳動物に対して、STK17B、LOC93349、SP110、NOD27またはRHOBTB3活性化薬の有効量を投与することを特徴とする癌の予防または治療方法。
【請求項22】
TRAILシグナル活性化薬感受性患者のための癌の予防または治療剤を製造するための、TRAILシグナル活性化薬の使用であって、該患者が、被験者から採取した試料におけるTRAILシグナル活性化薬感受性マーカーの発現または活性が変動していることを指標として選別される使用。
【請求項23】
癌の予防または治療剤を製造するためのAIM1阻害薬の使用。
【請求項24】
癌の予防または治療剤を製造するための、STK17B、LOC93349、SP110、NOD27またはRHOBTB3活性化薬の使用。

【公表番号】特表2011−502108(P2011−502108A)
【公表日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−528585(P2010−528585)
【出願日】平成20年10月15日(2008.10.15)
【国際出願番号】PCT/JP2008/069079
【国際公開番号】WO2009/051268
【国際公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【出願人】(000002934)武田薬品工業株式会社 (396)
【Fターム(参考)】