癌の診断及び治療のためのeIF3mの用途
本発明は、eIF3mの発現レベルを測定する製剤を含む癌診断用組成物、及び前記発現レベルを調節を通じた癌治療用組成物に関し、より詳細には、mRNAまたは、その蛋白質の発現レベルを測定する製剤を含む、癌マーカー検出用組成物、前記組成物を含む癌診断用キット、生物学的試料に前記製剤を処理して製剤と特異的に結合する物質の検出、及びその量を対照群と比較することにより、eIF3mポリヌクレオチド、またはeIF3m蛋白質を検出する方法、eIF3mポリヌクレオチド、またはeIF3m蛋白質の発現を抑制させ得る製剤を含む癌の治療及び予防用組成物に関する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、eIF3mの発現レベルを測定する製剤を含む癌診断用組成物及び前記発現レベルを調節を介した癌治療用組成物に関し、より詳細には、mRNAまたはその蛋白質の発現レベルを測定する製剤を含む癌マーカー検出用組成物、前記の組成物を含む癌診断用キット、生物学的試料に前記の製剤を処理して製剤と特異的に結合する物質の検出、及びその量を対照群と比較することにより、eIF3mポリヌクレオチドまたはeIF3m蛋白質を検出する方法、eIF3mポリヌクレオチドまたはeIF3m蛋白質の発現を抑制させ得る製剤を含む癌の治療及び予防用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
癌は、全世界的に最も多い死亡者を出す疾病のうちの一つであって、発生年齢が引き下がれ、平均寿命の延長に応じて癌の発生率もさらに増加すると展望している。米国の癌協会(ACS;American Cancer Society)の資料によると、2007年の一年で世界的に新しく癌の診断を受けた患者は1、200万人以上であり、死亡者は760万人であって、毎日約2万人ずつ癌で死亡したと分析された。
【0003】
前記癌のうち、多くの死亡者を出す代表的な癌の種類として、肺癌、乳癌、大腸癌等が挙げられるが、特に大腸癌と関連して、韓国内の発生率が著しく増加している実情である。大腸癌による死亡は、男性の場合、胃癌、肺癌、肝癌に引き続き4番目を占めてあり、女性の場合も類似している。年齢別では、50代が最も多く、60代がその後に引き続いている。韓国はヨーロッパや米国と比較した際に、発生年齢が10歳程度幼い傾向を示してあり、5%−10%の頻度で30代の若い人から発生すると報告されている。また、このような大腸癌の発生は、約5%前後を占める遺伝的要因の他にも食生活の急激な西欧化、特に動物性脂肪や蛋白質の過多摂取が原因であると認識されている。前記のような事実及びその他に報告されたところによると、大腸癌にかかりやすい危険因子としては、1)大腸ポリープにかかった経験がある場合、2)家族歴がある場合、3)長期間潰瘍性大腸炎に苦しめられている場合、4)治し難い痔瘻にかかった場合等があると知られている。
【0004】
このような大腸癌は、早期発見時に内視鏡的切除療法または外科療法によって完治が可能であると知られてあり、進行されて肝や肺に転移(遠隔転移)されたとしても手術が可能である時期ならば、外科療法による完治を期待することができる。しかし、大腸癌の発病は、おおむね自覚症状がなく、検査時点では既に外科的治療が難しい場合が頻繁なだけでなく、外科的手術によって完治が可能な初期に大腸癌を発見するために、不便で苦痛が伴う定期的な検診が伴わなければならない。比較的に便利な大腸癌診断方法として、潜血検査を考慮できるが、前記の検査結果、陽性が現れるとしても僞陽性(false positive)の場合が多く、逆に僞陰性の場合も多数報告されてあり、正確な診断用途に用いられるには無理がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、eIF3mのmRNAまたはその蛋白質の発現レベルを測定する製剤を含む、癌マーカー検出用組成物を提供することにある。
【0006】
本発明の他の目的は、eIF3mのmRNAまたはその蛋白質の発現レベルを測定する製剤を含む、癌診断用キットを提供することにある。
【0007】
本発明のまた他の目的は、生物学的試料にeIF3mのmRNAまたはその蛋白質の発現レベルを測定する製剤を処理し、前記製剤と前記製剤に相補的なポリヌクレオチドまたは蛋白質の結合を検出する一方、前記検出された量を正常対照群と比較してeIF3mポリヌクレオチドまたはeIF3m蛋白質を検出する方法を提供することにある。
【0008】
本発明のまた他の目的は、eIF3mポリヌクレオチドの発現を抑制するオリゴヌクレオチドを含む、癌の治療及び予防用組成物を提供することにある。
【0009】
本発明のまた他の目的は、eIF3mポリペプチドの活性を抑制する抗体またはその抗原結合断片を含む、癌の治療及び予防用組成物を提供することにある。
【0010】
本発明の更なる他の目的は、eIF3mポリペプチドを発現する細胞に候補化合物を処理するステップ及び、eIF3mポリペプチド及び/ポリヌクレオチドの発現レベルを測定するステップを含む、癌治療剤のスクリーニング方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
これに、本発明者らは苦痛・不便を最小化することができる大腸癌の診断方法及び治療剤を開発しようと鋭意努力した結果、特定遺伝子及び遺伝子の発現産物が癌診断マーカーだけでなく治療剤のターゲットとして使用され得る可能性があることを確認し、本発明を完成した。
【発明の効果】
【0012】
本発明のeIF3mを癌診断用マーカーとして利用する場合、高い診断感度及び、特異度を有して癌を診断することができ、特に肺癌、乳癌、肝癌、白血病、リンパ腫、結腸癌、黒色腫及び、大腸癌の診断に有用である。また、さらに本発明のeIF3mの発現を調節できる製剤を個体に投与し、該当過発現を遮断することによって前記癌腫に対する癌形成を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、対になった患者組織におけるeIF3サブユニットの発現レベルを示した結果である。表1に記載されたプライマーを用いてqRT−PCRのすべての反応を行い、AQ方法で定量化した。
【図2】図2は、癌細胞株及びヒト大腸組織におけるeIF3m(eukaryotic translation factor 3 m-subunit)の発現を確認した写真である。
【図3】図3は、患者サンプルにおける増加したeIF3m発現を示した結果である。qRT−PCRを用いて大腸腺癌腫患者の正常−腫瘍組織20対でのeIF3m発現レベルを分析した。
【図4】図4は、正常ヒト組織及びヒト癌細胞株においてeIF3mのノーザンブロット分析した結果である。
【図5】図5は、大腸癌患者から正常−腫瘍組織対を収得してqRT−PCR及びウエスタンブロット分析を行った結果である。
【図6】図6は、ヒト組織におけるeIF3mに対する免疫組織化学分析結果である。
【図7】図7は、siRNAによるeIF3m発現サイレンシングは、細胞増殖率を減少させるという結果である。HCT−116(wt)細胞にeIF3m siRNA−1を形質感染させて96時間培養した。対照群としては、siRNAなく緩衝溶液のみ使用した群(BF)及び非−ヒト陰性対照群siRNA(NC)を使用した。
【図8】図8は、siRNA−3によるeIF3m発現サイレンシングは、細胞増殖を減少させるという結果である。HCT−116(wt)細胞にeIF3m siRNA−3を形質感染させて96時間培養した。対照群としては、siRNAなくバッハァのみ使用した群(BF)及び非−ヒト陰性対照群siRNA(NC)を使用した。
【図9】図9は、HCT−116細胞の免疫沈殿におけるeIF3mとRNAとを示す結果である。(a)免疫沈澱された細胞溶解物のeIF3mのウエスタンブロット、空ベクター(pFLAG−CMV2)は、IC(input control)と、抗−FLAG抗体結合された親和度ゲルの免疫沈澱物(IP)のすべてでバンドが観察されなかった。しかし、pFLAG−CMV2−eIF3mが形質感染されたHCT−116細胞のIPでは表示されたサイズのバンドが示された。(b)免疫沈澱から抽出したRNAは、ホルムアルデヒドゲルに分離した。空ベクターで感染された細胞ではRNAが探知されなかったが、pFLAG−CMV2−eIF3mで感染された細胞RNAが示された。
【図10】図10は、関連した分子等を分析するためのオントロジー分析結果である。
【図11】図11は、HCT−116細胞をeIF3m siRNA−1で形質感染させて0、24、48、72、96時間経過後、大食細胞移動抑制因子(MIF)(a)と MT2A(metallothione 2A)(b)との蛋白質発現レベルをウエスタンブロットで探知した結果である。ローディング対照群であるヒトベター−アクチンも探知された。(c)HCT−116細胞をeIF3m siRNA−1で形質感染させて0、24、48、72、96時間経過後、MIFとMT2Aとの転写レベルをRT−PCRで探知した結果である。
【図12】図12は、PCR生成物配列で確認した反応特異性を示す。HCT−116細胞をeIF3m siRNAで形質感染させた後、様々な時間のMIF(a)とMT2A(b)のmRNAレベルをqRT−PCR(ベター−アクチンmRNA発現で標準化させた相対的定量)を用いて測定した。
【図13】図13は、eIF3m siRNA−1で形質感染させて0、24、48、72、96時間経過後、HCT−116細胞でCDC25A(cell division cycle 25 homolog A)蛋白質の発現調節に対して示した結果である。ローディング対照群であるヒトベター−アクチンも探知された。
【図14】図14は、eIF3m発現をサイレンシングした際に、HCT−116大腸癌細胞株でSub−G0/G1分布が増加したことを示した結果である。感染後24時間毎に流細胞分析器を用いてsiRNAが形質感染された細胞の核内容物の細胞周期進行を分析した。BF及びNC対照群では、体細胞分裂周期ステップの明らかな相異点は示さなかった。eIF3m siRNA−1で形質感染24時間以後、sub−G0/G1が増加して96時間状態が維持された。
【図15】図15は、感染後24時間毎に流細胞分析器を用いてsiRNAが形質感染された細胞の核内容物の細胞周期進行を分析した。BF及びNC対照群では、sub−G0/G1の明らかな相異点が存在しなかったが、eIF3m siRNA−3で感染後、sub−G0/G1ステップは96時間まで増加された。
【発明を実施するための形態】
【0014】
前記の目的を達成するために、一つの態様として、本発明は、eIF3mのmRNAまたはその蛋白質の発現レベルを測定する製剤を含む、癌マーカー検出用組成物に関する。
【0015】
本発明における用語「eIF3m」とは、eIF3(eukaryotic translation initiation factor 3)のサブユニットm(eukaryotic translation factor 3m-subunit)の略字であり、eIF3は、約800kDaに至る巨大な哺乳類の翻訳開始因子複合体を意味する。前記のeIF3複合体は、13個のサブユニットから形成されており、これらをeIF3a乃至eIF3mと命名している。これらのうち、一部のサブユニットは、特定癌組織において発現が増加すると知られているが、本発明のサブユニットと関連して特定癌特異的発現増加に対しては知られたところがない。eIF3mは、PCID1(PCI domain contatining 1)でも呼ばれ、単純ヘルペスウイルス(herpes simples virus、HSV)の浸透のための受容体または、共受容体(coreceptor)として作用するという事実は一部知られているが、該当サブユニットの癌発病または、治療との関連性に対しては知られたところがない。ひいては特に本発明のeIF3mサブユニットが特定癌細胞株及び特定癌において発現が増加するという事実を本発明で最初に糾明した。本発明者らは本発明のeIF3mがいくつかのヒト癌細胞株だけでなく、ヒト腫瘍組織で転写レベル及び翻訳レベルのいずれにおいて発現が増加することを確認した。eIF3mサブユニットが肺癌、乳癌、肝癌、白血病、リンパ腫、大腸癌、黒色腫及び結腸癌細胞株において高いレベルで発現することを確認し、ヒト大腸組織の腫瘍領域においても発現が増加することを確認した。
【0016】
本発明における用語「マーカーまたは診断マーカー(diagnosis marker)」とは、癌細胞または癌疾患を有した個体を正常細胞または正常個体と区分して診断することができる物質であって、正常細胞に比べて癌を有した細胞または個体で増加または、減少を示すポリペプチド、蛋白質または、核酸(例えば:mRNA等)、脂質、糖脂質、糖蛋白質または、糖(単糖類、二糖類、オリゴ糖類等)等の有機生体分子等を含む。本発明の目的上、本発明の癌診断マーカーは、正常細胞または、組織の細胞に比べて、癌細胞で特異的に高いレベルの発現を示すeIF3mポリペプチドまたは、それをコードするポリヌクレオチドである。
【0017】
本発明における用語「mRNA発現レベルの測定」またはそれに相応する文句は、癌を診断するために生物学的試料において、癌マーカー遺伝子のmRNA存在有無と発現程度を確認する過程であって、mRNAの量を測定することによって知ることができる。このための分析方法としては、RT−PCR、競争的RT−PCR、実時間RT−PCR、RNAse保護分析法(RPA;RNAse protection assay)、ノーザンブロット(Northern Blotting)、DNAチップ等があるが、これに制限されるものではない。
【0018】
本発明における用語「蛋白質発現レベルの測定」またはそれに相応する文句は、癌を診断するために生物学的試料における癌マーカー遺伝子で発現された蛋白質の存在有無と発現程度を確認する過程であって、前記遺伝子の蛋白質に対して特異的に結合する抗体を用いて蛋白質の量を確認する。このための分析方法としては、ウエスタンブロット(Western blotting)、ELISA(enzyme linked immunosorbent asay)、 放射線免疫分析(RIA:Radioimmunoassay)、放射免疫拡散法(radioimmunodiffusion)、 オクテロニー(Ouchterlony)免疫拡散法、ロケット(rocket)免役電気泳動、組織免疫染色、免疫沈殿分析法(Immunoprecipitation assay)、補体固定分析法(Complement Fixation Assay)、FACS、蛋白質チップ(protein chip)等があるが、それに制限されるものではない。
【0019】
好ましくは、前記mRNAレベルを測定する製剤は、本発明のeIF3mポリヌクレオチドまたは、この断片に対するプライマー(primer)対、プローブ(probe)、または、アンチセンスヌクレオチド(anti-sense nucleotide)であり、本発明のポリヌクレオチド配列によって当業者がプライマー、プローブ、または、アンチセンスヌクレオチド配列を容易にデザインすることができる。
【0020】
本発明における用語「プライマー」とは、短い遊離3’末端ヒドロキシル基(free 3’-hydroxyl group)を有する核酸配列で相補的なテンプレート(template)と塩基対(base pair)を形成することができ、テンプレート鎖の複製のための開始地点として機能する短い核酸配列を意味する。DNA合成または複製は、適切な緩衝溶液及び温度、重合反応(即ち、DNAポリメラーゼまたは、逆転写酵素)のための試薬及び、4個のヌクレオチド三リン酸の存在下でプライマーが追加されるべきである。本発明では、eIF3mポリヌクレオチドのセンス及びアンチセンスプライマーを用い、PCR増幅を行って所望する生成物の生成有無を通じて癌を診断することができる。PCR条件、センス及びアンチセンスプライマーの長さは、当業界に公知されたものを基にして適切に変形することができる。
【0021】
本発明における用語「プローブ」とは、mRNAと特異的結合をなし得る、短くは1個の塩基乃至長くは数百個の塩基に該当するRNAまたは、DNA等の核酸断片を意味し、ラベリング(labeling)されており、特定mRNAを確認することができる。本発明における有用なプローブは、オリゴヌクレオチド(oligonucleotide)プローブ、単一鎖DNA(single stranded DNA)プローブ、二重鎖DNA(double stranded DNA)プローブ、RNAプローブ等の形態で製作され得る。本発明の実施態様では、本発明のeIF3mポリヌクレオチドと相補的なプローブを用いて混成化を行い、混成化有無を通じて癌疾患の発病有無を診断することができる。適当なプローブの選択及び混成化条件は、当業界に公知されたものに基づいて変形することができる。
【0022】
本発明のプライマーまたはプローブは、ホスホルアイミダイド固体支持体方法、またはその他の広く公知された方法を用いて化学的に合成することができる。これらのヌクレオチド配列はまた、当該分野に公知の多くの手段を用いて変形させることができる。このような変形の非制限的な例としては、メチル化、キャップ化、一個以上の天然ヌクレオチドの同族体への置換及びヌクレオチド間の変形、例えば、荷電されていない連結体(例:メチルホスホン酸塩、リン酸トリエステル、ホスホロアミデート、カルバメート等)または荷電された連結体(例:ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート等)への変形がある。
【0023】
前記プライマーまたはプローブは、8個または、それ以上のヌクレオチドを含むことが好ましく、ハイブリッド化方法は、本発明のeIF3mポリヌクレオチドに前記プライマーまたは、プローブを露出または、接触させることによって達成され得る。好ましくこれらの配列は、非特異的な結合を最小化するように適切に調節された条件で混成化され、例えば、本発明のeIF3mポリヌクレオチドと約80%乃至90%の相同性を有した配列の検出のための適切な混成化条件は、0.25M Na2HPO4、pH7.2、6.5% SDS、10%デキストラン硫酸を含んだ緩衝溶液で、42℃で一夜(overnight)混成化させ、最終的に0.1×SSC、0.1% SDSを含んだ溶液内、55℃で洗浄するものを含む。また、本発明のeIF3mポリヌクレオチドと90%以上の相同性を有した配列の検出のための適切な条件は0.25M Na2HPO4、pH7.2、6.5% SDS、10%デキストラン硫酸塩を含んだ緩衝溶液で、65℃で一夜混成化させ、最終的に0.1×SSC、0.1%SDSを含んだ溶液内、60℃で洗浄することを含むことができる。
【0024】
本発明の実施形態に応じてeIF3m蛋白質(以下「eIF3mポリペプチド」と混用)レベルを測定する製剤は、好ましくは抗体である。本発明における用語「抗体」とは、当該分野における公知された用語であって、抗原性部位に対して指示される特異的な蛋白質分子を意味する。本発明の目的上、抗体は本発明のマーカーであるeIF3mポリペプチドに対して特異的に結合する抗体を意味し、このような抗体は、各遺伝子を通常の方法により発現ベクターにクローニングして前記マーカー遺伝子によりコードされる蛋白質を得て、得られた蛋白質から通常の方法によって製造され得る。
【0025】
ここには前記蛋白質で作られ得る部分ペプチドも含まれ、本発明の部分ペプチドは、最小限7個のアミノ酸、好ましくは9個のアミノ酸、更に好ましくは12個以上のアミノ酸を含む。本発明の抗体の形態は、特に制限されず、ポリクローナル抗体、モノクロナール抗体または、抗原結合性を有するものならば、その一部も本発明の抗体に含まれ、すべての免疫グロブリン抗体が含まれる。更に、本発明の抗体には、ヒト化抗体等の特殊抗体も含まれる。このような本発明のeIF3m蛋白質に対する抗体は、当業界における公知された方法で製造され得るすべての抗体を含む。本発明のeIF3m蛋白質に対するどんな抗体でも本発明において使用することができる。
【0026】
また、本発明の癌診断マーカーの検出に使用される抗体は、2個の全長の軽鎖及び、2個の全長の重鎖を有する完全な形態だけでなく、抗体分子の機能的な断片を含む。抗体分子の機能的な断片とは、少なくとも抗原結合機能を保有している断片を意味し、Fab、F(ab’)、F(ab’)2及び、Fv等がある。
【0027】
本発明における用語「癌」とは、細胞の死滅調節に関連した疾病を称えるものであって、このような細胞群は非正常的なアポトーシスによって細胞が統制されず、過多増殖を示す。このような非正常的な過多増殖細胞等は、場合により周囲組織及び臓器に侵入して腫塊を形成し、体内の正常的な構造を破壊したり変形させることになるが、このような状態を癌という。一般的に腫瘍(tumor)といえば、身体組織の自律的な過剰成長によって非正常的に育った塊りを意味し、良性腫瘍(benign tumor)と悪性腫瘍(malignant tumor)に区分することができる。悪性腫瘍は、良性腫瘍に比べて成長速度が極めて速く、周辺組織に浸潤しながら転移(metastasis)が生じて生命を威嚇することになる。このような悪性腫瘍を通常的に「癌」といい、癌の種類としては、脳脊髄腫瘍、頭頸部癌、肺癌、乳癌、胸腺腫、中皮腫、 食道癌、膵癌、大腸癌、肝癌、胃癌、胆管癌、腎臓癌、膀胱癌、前立腺癌、睾丸癌、 生殖細胞腫、卵巣癌、子宮頸癌、子宮内膜癌、リンパ腫、急性白血病、慢性白血病、多発性骨髄腫、肉腫、悪性黒色腫及び皮膚癌を含むが、前記例等によって癌の種類が限定されるものではない。本発明の実施形態において、癌マーカー検出用組成物は、前記癌の診断のためのマーカーとして用いられることができ、本発明の好ましい実施例では、肺癌、肝癌、大腸癌、乳癌、白血病、リンパ腫及び黒色腫細胞株における発現増加を確認する一方、癌を有した個体の組織を対象に本発明のeIF3m蛋白質の発現を観察した結果、正常細胞及び正常個体の対照群に比べてその発現量が顕著に増加することを確認した。
【0028】
他の一つの態様として、本発明はeIF3mのmRNAまたはその蛋白質の発現レベルを測定する製剤を含む癌診断用キットに関する。
【0029】
本発明における用語「診断」とは、生物学的試料または組織サンプルで本発明のeIF3mポリペプチド及びこれをコードするポリヌクレオチドの存在または不在を測定することにより、前記遺伝子の発現と関連した疾患の存在または特徴を確認することを意味する。
【0030】
本発明のキットは、癌診断マーカーのeIF3mポリペプチドまたは、これをコードするポリヌクレオチドの発現レベルを確認することによってマーカーを検出することができる。本発明のキットは、癌診断マーカーの発現レベルを測定するためのプライマー、プローブまたは選択的にマーカーを認知する抗体または抗原結合能を維持するこれの断片だけでなく、前記ポリペプチドまたはポリヌクレオチド分析方法に適合した一つまたはそれ以上の他の構成成分組成物または、装置が含まれ得る。例えば、本発明のポリヌクレオチドまたは遺伝子定量検出のための診断キットは、eIF3mポリペプチドをコードするポリヌクレオチドに特異的に結合する1種以上のオリゴヌクレオチドを含むことができる。実施例において、本発明の診断キットはRT−PCRを行うために必要な必須的要素が含まれたものである。RT−PCRキットは、eIF3mのヌクレオチドまたは一部配列に対応するプライマー、逆転写酵素、Taqポリメラーゼ、PCR用プライマー及び、dNTPを含め、ポリヌクレオチド発現レベルを測定するために前記「mRNA発現レベル測定」と関連して記述された分析方法を用いたキットを制限なく利用することができる。
【0031】
好ましくは、本発明のeIF3m蛋白質のレベルを測定する癌診断キットは、本発明のeIF3m蛋白質に特異的に結合する抗体を含むことができる。また、蛋白質レベルを測定するキットは、「蛋白質発現レベルの測定」のために用いられる前述された方法を利用したキットを制限なく使用でき、好ましくはELISAキットまたは、蛋白質チップキットであり得る。
【0032】
抗体を用いた蛋白質発現有無測定は、eIF3m蛋白質及びその抗体間の抗原−抗体複合体を形成することによって測定され、多様な方法によって前記複合体の形成量を測定することにより、定量的に検出できるようになる。
【0033】
本発明における用語「抗原−抗体複合体」とは、癌マーカー蛋白質とこれに特異的な抗体の結合物を意味し、抗原−抗体複合体の形成量は、検出ラベル(detection label)のシグナルのサイズによって定量的な測定が可能である。
【0034】
例えば、癌疑い個体及び正常対照群の抗原−抗体複合体形成量を比較することにより、eIF3m蛋白質の有意した発現量増加を判断して特定個体における癌発病有無を診断することができるが、癌が疑われる個体の試料に本発明のeIF3m蛋白質に対する抗体を処理すると、eIF3m蛋白質と抗体とが抗原−抗体複合体を形成するようになり、これは前述されたELISA、RIA、サンドイッチ分析、ウエスタンブロット、放射線免疫拡散法、オクテロニー、免疫拡散法、ロケット免役電気泳動、組織免疫染色、免疫沈殿分析、補体固定分析、FACS、蛋白質チップ及び免疫ブロット方法を含むキットによってその量を測定できるようになる。また、前記分析結果を正常個体の定量結果と比較分析することにより、本発明のeIF3m蛋白質の発現増加に応じる癌発病有無を診断することができる。
【0035】
また他の一つの態様として、本発明は生物学的試料にeIF3mのmRNAまたはその蛋白質の発現レベルを測定する製剤を処理し、前記製剤と前記製剤に相補的なポリヌクレオチドまたは蛋白質の結合を検出する一方、前記検出された量を正常対照群と比較してeIF3mポリヌクレオチドまたはeIF3m蛋白質を検出する方法に関する。
【0036】
より具体的には、遺伝子の発現をmRNAレベルまたは蛋白質レベルで検出でき、生物学的試料からmRNAまたは蛋白質の分離は、公知された工程を用いて行うことができる。
【0037】
本発明における用語「生物学的試料」とは、eIF3m遺伝子または蛋白質発現レベルを検出できる試料を意味し、その例として、組織、細胞、全血、血清、血漿、唾液、喀痰、脳脊髄液または、尿のような試料等を含むが、これに制限されない。
【0038】
本発明の検出方法の一つの態様では、正常対照群における遺伝子発現レベルを癌疑い個体の遺伝子発現レベルと比較することにより、癌疑い個体の実際の癌疾患発病有無を診断することができる。より詳細には、癌と推定される試料または、細胞から本発明のマーカーの発現レベルを測定し、正常試料または、細胞から本発明のマーカーの発現レベルを測定して両者を比較した後、本発明のマーカーの発現レベルが正常試料のものより癌と推定される試料由来でさらに高いレベルで発現すると、癌と推定される試料を癌として予測できることである。
【0039】
好ましく、前記方法は、本発明のeIF3mポリペプチドをコードするポリヌクレオチドをマーカーとして用いる場合、(a)生物学的試料を提供するステップ;(b)前記生物学的試料にeIF3mの発現レベルを測定できる製剤を処理するステップ;(c)前記製剤と前記製剤に相補的なポリヌクレオチドの結合を検出するステップ;及び、(d)検出された量を正常対照群と比較するステップを含むことができる。また、本発明のeIF3mポリペプチドマーカーを用いる場合、(a)生物学的試料を提供するステップ;(b)前記生物学的試料にeIF3m蛋白質に対する抗体を処理するステップ;(c)抗体−抗原複合体を検出するステップ;及び、(d)検出された量を正常対照群と比較するステップを含むことができ、前記方法を用いて本発明のeIF3m蛋白質を検出できるようになる。
【0040】
また他の一つの態様として、本発明は、eIF3mポリヌクレオチドの発現を抑制するオリゴヌクレオチドを含む、癌治療及び予防用組成物または、eIF3mポリペプチドの活性を抑制する抗体またはその抗原結合断片を含む癌治療及び予防用組成物に関する。
【0041】
好ましく、本発明の薬学組成物は、eIF3mポリヌクレオチドの発現を抑制する物質を含むことができ、前記ポリヌクレオチドの発現を抑制する物質は、siRNA、shRNA、アプタマー(aptamer)及び、アンチセンスオリゴヌクレオチドより構成される群から選択され得る。
【0042】
本発明における用語「siRNA(small interfering RNA)」とは、RNA干渉または、遺伝子サイレンシング(silencing)を媒介できる約20ヌクレオチドサイズの小さい核酸分子を意味し、siRNAが細胞内に導入されると、ダイサー(Dicer)蛋白質によって認知され、前記eIF3mポリペプチドをコードする遺伝子を分解し、結局、遺伝子の発現を阻害するようになる。
【0043】
「shRNA(short hairpin RNA)」とは、siRNAターゲット配列のセンス及び、アンチセンス配列が5−9個の塩基から構成されたループ(loop)を挟んで位置した短いヘアピンRNAを意味する。
【0044】
「アプタマー」とは、小さいRNA片を意味し、20乃至60nt程度の小さいサイズを有するオリゴマー分子である。配列により多様な3次元構造を有することができ、特定物質と高い親和力を有することができ、目的とするターゲット配列と反応して効果的に抑制が可能である。
【0045】
最近、遺伝子レベルで蛋白質の発現を調節するための方法として、RNA干渉(RNA interference、RNAi)現象を用いた方法が研究されており、一般にsiRNAは、相補的な配列を有するmRNAに特異的に結合して蛋白質発現を抑制すると明らかになった。
【0046】
本発明のsiRNAまたはshRNAを含む組成物は、これらのRNAsを用いた遺伝子治療で利用される通常の方法により個体に投与され、発癌または、転移遺伝子の発現を阻害することができる。例えば、Filleurら、Cancer Res.,63(14):3919-22,2003等の文献により、少ない量の静脈注射方法(low-volume intravenous injection)によってsiRNAで遺伝子発現調節ができる。また、siRNA生体内吸収量と安全性とを増加させるために、Chienら、Cancer Gene Ther.,12(3)321-8,2005等の文献により、siRNA注入において、複合体を製造して使うこともできる。
【0047】
本発明の組成物に含まれるsiRNAを製造する方法には、siRNAを直接化学的に合成する方法(Sui Gら、(2002)Proc Natl Acad Sci USA 99:5515-5520)、イン・ビトロ転写を用いたsiRNAの合成法(Brummelkamp TRら、(2002)Science 296:550-553)等があるが、これに限定されるものではない。また、shRNAは、siRNAの高価の生合成コスト、低い細胞形質感染効率によるRNA干渉効果の短時間維持等の短所を克服するためのものであって、RNA重合酵素IIIのプロモーターからアデノウイルス、レンチウイルス及び、プラスミド発現ベクターシステムを用いてこれを細胞内に導入して発現させることができ、このようなshRNAは、細胞内に存在するsiRNAプロセシング酵素(Dicer or RNAse III)により正確な構造を有するsiRNAに転換され、目的遺伝子のサイレンシングを誘導するということが広く知られている。
【0048】
用語の「アンチセンス」とは、アンチセンスオリゴマーがワトソン-クリック塩基対形成によってRNA内の標的配列と混成化され、標的配列内で、典型的にmRNAとRNA:オリゴマーヘテロ二量体の形成を許容する、ヌクレオチド塩基の配列及び、サブユニット間バックボーンを有するオリゴマーを称する。オリゴマーは、標的配列に対する正確な配列相補性または、近似相補性を有することができる。このアンチセンスオリゴマーは、mRNAの翻訳を遮断または、阻害し、mRNAのスプライス変異体を生産するmRNAのプロセシング過程を変化させ得る。したがって、本発明のアンチセンスオリゴマーは、eIF3mポリペプチドをコードするポリヌクレオチドに相補的なアンチセンスオリゴマーである。本発明のアンチセンス遺伝子を用いた治療は、通常の方法で個体に投与されることができ、前記組成物の投与として発癌遺伝子の発現を予防または、抑制することができる。例えば、J.S.kim et al.,J controlled Release 53、175-182(1998)の方法により、アンチセンスオリゴデオキシヌクレオチドをポリ−L−リジン誘導体と静電気的引力によって混合させ、前記混合体を個体の静脈に投与する方法が使用され得るが、本発明のアンチセンス単子を個体に投与する方法が前記例によって制限されるものではない。
【0049】
好ましくは、本発明の組成物には、公知の治療剤を直接または、間接的に結合させたり、共に含ませることができる。抗体と結合され得る治療剤には、放射性核種、薬剤、リンフォカイン、毒素及び、二重特異的抗体等が含まれるが、本発明の組成物に含まれる治療剤はこれに制限されるものではなく、抗体と結合させることができたり、抗体、siRNA、shRNA及び、アンチセンスオリゴヌクレオチドとともに投与して癌治療効果を得ることができる公知の治療剤ならば可能である。
【0050】
前記の放射線核種には、3H、14C、32P、35S、36Cl、51Cr、57Co、58Co、59Fe、90Y、125I、131I及び、186Re等があり、これに制限されない。
【0051】
前記の薬剤及び毒素には、エトポシド、テニポシド、アドリアマイシン、ダウノマイシン、カルミノマイシン、アミノプテリン、ダクチノマイシン、マイトマイシン類、シース−白金及びシース−白金同族体、ブレオマイシン類、エスペラミシン類、5−フルオロウラシル、メルファラン及び、その他窒素マスタード等があり、これに制限されない。
【0052】
本発明者らは、本発明のeIF3m遺伝子または蛋白質発現抑制にともなう癌形成抑制能を確認するために、eIF3mに対するsiRNAを処理する一方、これを対照群と比較した結果、本発明のeIF3mサイレンシングにより細胞増殖及び、細胞周期と関連した発現様相が調節されることを確認した。
【0053】
また好ましい実施例において、本発明の組成物は、eIF3m蛋白質の活性または、発現を抑制する物質を含む、癌の成長または、転移を抑制する組成物であり得る。好ましく前記活性抑制物質は、eIF3m蛋白質を特異的に認識する抗体である。このような抗体は、単一クローン抗体及び、これに対するキメリック抗体(chimeric antibody)、ヒト化抗体(humanized antibody)及び、ヒト抗体(human antibody)をすべて含む。また、前記抗体は、eIF3m蛋白質を特異的に認識する結合の特性を有する限り、2個の重鎖(heavy chain)と2個の軽鎖(light chain)の全長を有する完全な形態だけでなく、抗体分子の機能的な断片を含む。抗体の分子の機能的な断片とは、少なくとも抗原結合機能を保有している断片を意味し、Fab、F(ab’)、F(ab’)2及びFv等がある。
【0054】
好ましく、本発明の組成物は、投与方式により許容可能な担体を含むことができる。
【0055】
薬学的に許容可能な担体、賦形剤または添加剤とともに混合され得る。薬学的に許容可能な担体の種類の例としては、食塩水、滅菌水、リンガー液、緩衝食塩水、デキストロース溶液、マルトデキストリン溶液、グリセロール、エタノール、リポソーム及び、前記成分のうち、いずれか一つの以上の成分を混合して使用することができ、必要により抗酸化剤、緩衝溶液等通常的に使われる他の添加剤を更に含むことができる。また、投与目的により希釈剤、分散剤、界面活性剤、結合剤及び、潤滑剤を添加して水溶液、懸濁液、乳濁液等のような注射用剤形、丸薬、カプセル、果粒または、錠剤で製剤化することができ、標的器官に特異的に作用することができるように標的器官または、組織特異的抗体または、その他リガンドを前記担体と結合させて使うことができる。前記のような担体、賦形剤または、添加剤の種類は、当業界の通常の製剤をすべて含み、前記例によって使用可能な担体、賦形剤または、添加剤の種類が制限されるものではない。
【0056】
前記のような組成物または、混合物は、目的または、必要により当業界で使われる通常の方法、投与経路、投与量により適切に個体に投与され得る。投与経路の例としては、経口、非経口、皮下、腹腔内、肺内及び、鼻腔内に投与されることができ、局部的免疫抑制治療のために、必要ならば、病変内投与を含む適合した方法によって投与される。非経口注入には、筋肉内、静脈内、動脈内、腹腔内または、皮下投与が含まれる。また、当業界における公知された方法により適切な投与量及び、投与回数が選択されることができ、実際に投与される本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド、siRNAまたはshRNAを含む組成物の量及び投与回数は、予防または、治療しようとする症状の種類、投与経路、性別、健康状態、食餌、個体の年齢及び体重並びに、疾患の重症度のような多様な因子によって適切に決定され得る。
【0057】
また他の一つの態様として、本発明はeIF3mポリペプチド及び/またはポリヌクレオチドを発現する細胞に候補化合物を処理するステップ及び、eIF3mポリペプチドまたはポリヌクレオチドの発現レベルを測定するステップを含む、癌治療剤のスクリーニング方法に関する。
【0058】
本発明の癌治療剤スクリーニング方法は、候補物質の処理によってeIF3m発現が増加する場合、前記候補物質を癌疾患を促進させる物質として判断することができる。また、候補物質によってeIF3m発現が減少する場合、処理された候補物質が癌治療剤として使用され得ると判断できる。このようなスクリーニング方法において、その活性測定は。eIF3m発現レベルにより容易に判断され得る。
【0059】
以下、本発明を実施例を通じてより詳細に説明する。しかし、これらの実施例は、本発明を例示的に実施するためのものであって、本発明の範囲がこれらの実施例に限定されるものではない。
【実施例】
【0060】
〔実施例1.大腸組織〕
ヒト大腸組織をヘルシンキ条約により収得した。決められたプロトコルで患者から外科的に切除された組織を収得し、使用するまで−80℃で貯蔵した。
【0061】
〔実施例2.細胞培養〕
ATCC(American Type Culture Collection、Manassas、VA)及び、韓国細胞株銀行(Korean Cell Line Bank、Seoul、Korea)からすべての細胞株を収得した。各細胞株を10%FBS(fetal bovine serum、Invitrogen)が添加された維持培地で維持させた。
【0062】
〔実施例3.実時間定量RT−PCR(Real-time quantitative RT-PCR)〕
製造会社のプロトコルによりトリゾル試薬(Trizol regent、Invitroge)を使って全体RNAを抽出及び洗浄し、DNAse Iを処理してRNeasy column(Qiagen)で残余ゲノムDNAを除去した。RNA量をナノドロップ1000(nanodrop)(Thermo Scientific)で測定し、全体RNAのマイクログラムをプライマーとして50mM Tris−HCl(pH8.3)内50μMオリゴ(dT)、1μlを使用し、75mM KCl、3mM MgCl2、5mM DTT、0.5mM dNTP、及び40U RNase Out(invitrogen)を含むRT mixの20μl内にあるSuperscript III transcriptase(Invitrogen)を使用して逆転写させた。37℃で20分間RNaseH(2units)の1μlを添加してで培養することによって鋳型RNAを除去した。1.0X1010copies/μl乃至1.0X102copies/μlの範囲内のpCR2.1 TOPOベクターにクローンされたアンプリコン(amplicon)を10倍連続的希釈(serial dilution)により標準曲線を導き出した。実時間PCR分析は、Superscript RTIII(Invitrogen,USA)により合成された1/10cDNAとQuanti Fast SYBR Green PCR master mix(Qiagen)内の5pmole正方向及び逆方向プライマー(表1)を用いて次のような熱的プロファイルによって行った。 Light Cycler 480(Roche)内で、50℃で2分間維持、95℃で10分間維持、95℃で30秒、−58℃で30秒、−72℃で30秒を40周期繰り返した。データは、GAPDHまたはACTBで標準化された相対的定量化(RQ)または絶対的定量化(AQ)方法によって分析した。
【0063】
【表1】
【0064】
〔実施例4.ノーザンプロッティング(Norhern blotting)〕
eIF3m遺伝子配列をコードする全長のうち、1,126bpをPCRで増幅した。PCR産物を製造会社のプロトコルによりRediPrimeキット(GE Healthcare)を用いて[alpha−32P]dCTP(3000Ci/mmol、10mCi/ml;PerkinElmer NEN)で標識し、G−50 Microcolumn(GE Healthcare)にろ過させることによって結合しなかったヌクレオチドを除去した。変性(denatured)されたプローブをULTRAhyb溶液(Ambion)内の事前に混成化されたMTNブロット(BD clontech)に適用し、42℃で一夜混成化させた。標準プロトコルにより膜を洗浄し、−80℃でスクリーンを増強させてBioMax MSフィルム(Kodak)に露出させた。
【0065】
〔実施例5.ウエスタンプロッティング(Western blotting)〕
Haltプロテアーゼ抑制剤(Thermo Scientific)が添加されたM−PER溶解バッファ(Thermo Scientific)を用いて培養された細胞を均質化することによって細胞溶解物を製造した。Haltプロテアーゼ抑制剤が添加されたT−PER溶解緩衝溶液(Thermo Scientific)内のスライスされた組織を均質化することによって組織溶解物を製造した。組織均質化物をタングステンビーズを用いて30Hzで2分間TissueLyzer(Qiagen)内でマイクロチューブ(microtubes)を混ぜることによって製作した。製造会社のプロトコルによりBCA蛋白質分析キット(Thermo Scientific)を用いて蛋白質の濃度を測定した。細胞または、組織溶解物を1x MOPSランニングバッファ内の4−12%NuPAGEゲルを電気泳動して溶解させた。分離した蛋白質をImmobilon−P膜(Millipore)上に移し、1:2,000で希釈された1次eIF3m抗体(proteintech Group)または、抗−MIF抗体(Abnova)1:500、及びHRP−融合した抗−ウサギ抗体(Sigma-Aldrich)で検出した。
【0066】
〔実施例6.免疫組織化学(Immunohistochemistry)〕
腫瘍部位の大腸組織を10%中和緩衝溶液ホルマリン溶液に固定させ、標準方法を通じてパラフィンで固定した。4μmの厚いスライドされた組織をスライドの上にマウンティングし、プロテイナーゼ(proteinase)で事前処理した。BechMark XT(Ventana Medical System)自動化されたシステムによりすべての染色過程を行った。ウエスタンプロッティングに対する同一の1次抗体を希釈(1:100)して用い、偽陽性シグナル(false positive signal)検出を避けるために、内在性ビオチン(endogenous biotin)を付けた(mask)。ピオチン化された2次抗体によってシグナルを検出し、ストレプトアビジン−HRP(streptavidin-HRP(horseradish peroxidase))融合体を結合させた。複合体は、過酸化水素基質及び3、3’−DAB(diaminobenzidine tetrahydrochloride)クロモゲンを用い、暗い茶色沈殿物の生成によって可視化された。ヘマトキシリン−エオシン(hematoxylin-eosin)を使用してスライドを対比染色(counterstained)し、光学顕微鏡を通じて観察した。
【0067】
〔実施例7.タグされたeIF3m発現クローン〕
eIF3mのORFを次のオリゴヌクレオチドを使って増幅し、pCR2.1−TOPOベクター内にクローンした。
【0068】
F:5’−CAC CAT GAG GGT CCC GGC−3’(配列番号33)
R:5’−GGT ATC AGA AAG ACT CAA AAG GCT G−3’(配列番号34)。
【0069】
挿入物の配列を確認し、pFLAG−CMV2ベクター(Sigma-Aldrich)に移した。
【0070】
〔実施例8.リボノミックス(Ribonomics)〕
pFLAG−CMV2−eIF3m発現クローンの4μgをリポフェクタミン2000を使ってHCT−116大腸癌細胞株2millionに形質感染させ、10%FBSが添加されたDMEMで、5%CO2培養器内37℃で48時間培養した。培養された細胞をSymplekin免疫沈殿緩衝溶液(150mM NaCl、25mM HEPES-KOH[pH7.5]、10%[v/v]glycerol、1mM MgCl2、2mMオルトバナジン酸トリナトリウム(sodium orthovanadate)、2mMベータ−グリセロリン酸(β-glycerophosphate)、1mM PMSF(phenylmethylsulphonylfluoride)、1mM DTT、2mM EDTA、0.5% TritonX-100、50μg/ml RNase A[Sigma-Aldrich]、and 1×protease inhibitor cocktail[Roche])を使って均質化させた。遠心分離して溶解物をきれいにし、FLAG−M2親和性ゲル40μlと混合した。免疫沈殿されたゲルペレットに0.5mlトリゾール試薬(Trizol reagent(Invitrogen))を添加し、全体RNAを製造会社のプロトコルにより抽出した。RNAの濃度をナノドロップ1000で測定し、1.575μgを使ってGeneRacerキット(Invitrogen)にcDNAライブラリーを製造した。全体RNAを脱燐酸化させ、キャップを除去し、RNA連結子(adaptor)と連結し、逆転写させ、連結子特異的GeneRacer5’及び3’プライマーを用いて次の熱的プロファイルによりPCRを25周期行うことによって増幅された。PCR生産物をEcoRV切断pBlueScriptII−KS(+)ベクターにクローンし、DH10Bコンピテント細胞に電気穿孔で形質転換させた。単一コロニーを同情し、各クローンの挿入物を配列分析した。
【0071】
〔実施例9.細胞増殖及び細胞周期分析〕
細胞増殖及び細胞周期増殖においてeIF3mの影響を分析するためにヒト大腸癌細胞株HCT−116野生型にsiRNAを処理してみた。事前−デザインされたsiRNAをQiagenから購入し、20,000HCT−116細胞を6−ウェルプレートに形質感染させた。形質感染された細胞等を96時間培養し、MTT(3-[4、5-dimethylthiazol-2-yl]-2、5-diphenyltetrazoliumbromide)分析によって増殖する細胞を24時間毎に観察した。非−特異的対照群siRNA、eIF3mに特異的なsiRNA、及び単独RNase−非存在緩衝溶液(untreated 100% survival control)からなった3種類のHCT−116細胞培養を横断切開(transect)し、6−ウェル培養プレートに分株した。各時間ごとに、MTT(2mg/ml)溶液725μlを各ウェルに添加した。培養4時間経過後、培地を除去し、細胞上に1.955mlDMSO(dimethyl sulfoxide)を添加して10分間培養、細胞を溶解した。スキャニングマイクロプレートリーダーVERASmax(Molecular Devices)によって540nmでシグナルを測定した。細胞周期進行を流細胞分析(flow cytometry)を通じて分析した。約5X104HCT−116細胞を6−ウェルプレートに分株し、非−スライスされた対照群siRNA、eIF3mに対するsiRNA、及び単独RNase−非存在緩衝溶液で処理した。毎時間ごとに、0.5%トリプシンで細胞を収去し、ice−cold PBSで洗浄し、70%エタノール貯蔵液で4℃で固定した。その後、細胞を洗浄し、暗いところで37℃で20分間PI(propidium iodide)染色緩衝溶液バッファ(l0μg/ml DNAse-free RNase A、50μg/ml PI in PBS)内再懸濁した。PI染色された細胞をFACScaliburTM流細胞分析器(BD Biosciences)上のBD Cellquestソフトウェアを用いて分析した。eIF3mの発現減少(knockdown)をウエスタンプロッティングでモニタリングした。
【0072】
〔実施例10.統計的意味の評価〕
統計的有意性を対になっていない群の間は、Student’s two−tail t−testで、正常/腫瘍組織間の比較は、Student’s paired two−tail t−testで分析した。表示される誤差範囲として、各群間の標準偏差または、標準誤差平均(SEM)を適用した。
【0073】
<結果>
[癌においてeIF3mサブユニットの増加した発現]
eIF3mサブユニットの増加−調節がヒト大腸腫瘍の進行とどんな関係があるのか確認するために、本発明者らは実時間qRT−PCRを行って13個のeIF3サブユニットの転写体を検出した。19人の患者から正常大腸及び腫瘍(腺癌)組織を対で用いた。発現差の程度をGAPDHによって標準化されたRQ(relative quantitation)(図1)で測定した。eIF3サブユニットの中心因子の一つである、eIF3bはすべての患者において高い発現率を示したが(18/19)、残り4個はそうではなかった。8つの非−中心サブユニットである、eIF3d、e、h、k及びmサブユニットは、腫瘍患者の50%以上で増加した発現を示した。腫瘍で高い発現を示すこれらの4個のサブユニット等のうち、eIF3mを選択して、その特性を追加的に分析した。腫瘍でeIF3mの増加した発現を再確認するために、7つの他の培養された癌細胞株だけでなく、同じ患者に対するAQ(absolute quantitation)による転写レベルを測定した。標準曲線(correlation coefficient r2>0.95)を描いた後、曲線から分子数を計算した(図2a)。肺癌細胞株のうちの一つであるA549は、4.25X104copies/ng全体RNAを示した。4個の大腸癌細胞株においては、1.92X104乃至3.44X104copies/ng全体RNAの範囲を有する発現を示した。他の2個の乳癌細胞株では、特にハーセプチン(herceptin)抵抗細胞株JIMT−1の場合、ハーセプチン敏感性SK−BR−3(2.57X104copies/ng全体RNA)の2倍以上の発現レベル(6.09X104copies/ng全体RNA)を示した。7つの互いに異なる癌細胞株に比べて、正常細胞株HDFは極めて低いレベルの発現(1.17X103copies/ng全体RNA)を示した。19人の患者のうち、12人の腫瘍において高い発現を現わしたRQデータと比較してAQは、3.50X10乃至2.51X103の範囲を有する正常患者のそれに比べて3.44X102乃至3.27X104copies/ng全体RNAを示し、殆どすべての患者(paired T-test p=0.00013)の腫瘍において、eIF3mの顕著に増加した発現を示した(図2b)。細胞株の同一のセット及び組織対において、eIF3m蛋白質レベルを確認した。培養された癌細胞株は、正常細胞株HDFに比べて高いeIF3m発現レベルを示し、それらの発現強度は転写レベルと一致した(図2c)。翻訳レベルで乳癌細胞株のeIF3m発現は、前記言及されたような転写レベルと類似するように示された。eIF3m蛋白質発現も正常大腸組織及び腫瘍大腸組織の間に差があったが、転写レベルでは顕著に有意的ではなかった(図2d)。
【0074】
発現差を確認するために、更に20個の対になった患者組織におけるmRNAと蛋白質との発現レベルを測定した(図3a及び図3b)。そして、密度計測器を用いて正常組織と腫瘍組織間の蛋白質発現差を確認した(図3c)。eIF3mの平均密度は、正常組織(66.6)に比べて腫瘍組織(86.6)で1.3倍高かった(paired t-test p=0.00098)。ベータ−クチンで標準化された密度の変化は1.3倍であった(p=0.00070)。
【0075】
このような分析結果は、eIF3mが大腸組織だけでなく、細胞株で腫瘍状態と連関されている事実を暗示する。
【0076】
[eIF3m mRNA発現の組織特異性]
eIF3m発現の腫瘍特異性を窺ってみるために、ノーザン混成化による転写レベルでの発現を測定した。正常組織心臓、骨格筋、腎臓、肝、子宮、及び末梢血液白血球では増加した発現を示したが、脳、大腸、胸腺、小腸、及び肺では検出可能な発現シグナルを示されず、ベータ−アクチン(β-actin)の場合はすべての組織で殆ど一致した(図4a)。ヒト癌細胞株もeIF3m mRNAの発現を示した(図4b)。いくつかの白血病細胞株及びリンパ腫細胞株でeIF3m発現は極めて強く示され、結腸腺癌(colorectal adenocarcinoma)SW480でeIF3m発現は黒色腫(melanoma)より高く示された。肺癌細胞株A549での発現レベルもqRT−PCRによって高いレベルで測定された。しかし、このような混成化においてeIF3m転写体のスプライス変異体(splice variant)は観察されなかった。
【0077】
また、大腸腺癌患者から正常−腫瘍組織対を収得してqRT−PCRを用い、転写レベルでeIF3mの発現を分析した(図5)。その結果、大部分の患者において腫瘍組織のeIF3m転写レベルが顕著に増加したことを確認し、一部の患者において、その発現増加は正常組織に比べて約10倍程度高い発現レベルを示したした(図5a#33及び#34参照)。また、ウエスタンプロット分析においても正常組織に比べて顕著に厚いバンドを示すと確認された。(図5b)
【0078】
[ヒト大腸癌組織のeIF3mの優勢表現確認]
qRT−PCR及びウエスタンプロットにより観察されたeIF3mの発現は、正常組織においての発現からも観察された。eIF3mが組織で特異的細胞上のみで発現するか否かの有無を確認するために、IHC(immunohistochemistry)により組織セクション(section)を観察した。ウエスタンプロットに用いるための同じ1次抗体をよく分化したリンパ節転移性大腸腺癌(図6a、c)及び中間程度分化した大腸腺癌の細胞に処理した(図6d、f)。その結果、腫瘍領域の細胞内eIF3mの顕著な発現を観察することができ(図6c、f)、これは隣接したリンパ節(lymph node、LN)内の細胞内でも観察された(図6a)。しかし、腫瘍周囲組織(peritumoral tissue)の上皮領域では低いシグナルが観察された。
【0079】
そこは大腸の内層内腔(lining lumen)部位であり、前記部位は常に再生が生じる部位である(図6b、e)。eIF3m発現の細胞下部位(subcellular location)は拡大して確認することができた。前記発現は、青色内対比染色された核内では観察されず、腫瘍周囲及び腫瘍領域すべての細胞質(cytosol)に限定された。隙間(crypt)領域内の上皮細胞と比較して、それらの間に存在する基質細胞はさらに低いレベルで発現され、筋肉層(図6a、d)では観察されなかった。肝組織上の転移性癌においてもeIF3mの強い発現が示された(図6g乃至i)。腫瘍周辺領域は、相対的にきれいに示されたが、転移性領域はeIF3mの強い発現を示し、図6g及び6fに示されたような大腸腺癌に対する腫瘍の形態と類似するように示された。肝細胞癌(hepatocelluar carcinoma)で強いeIF3m発現を示した(図6j及び6l)。反応性増殖が生じる硬化(cirrhosis)領域のRN(regenerating nodules)も正常の場合の周辺に比べて高いeIF3m発現を示した。類似するのに、卵巣癌(serous cystadno carcinoma;図6M及び6O)は、卵巣組織の腫瘍周辺領域と比較してさらに強いeIF3m発現を示した。このような結果は、腫瘍内に形質転換されなかったが、細胞増殖が活発に生じる腫瘍及び腫瘍周辺組織領域でeIF3mが発現するということを意味する。
【0080】
[eIF3m発現のサイレンシングは、ヒト大腸癌細胞の増殖を減少させる]
免疫組織化学法(IHC)によって確認された腫瘍周辺領域でのeIF3mの低い発現量は, eIF3mが腫瘍進行だけでなく増殖活性とも関連があるということを示唆する。eIF3mが細胞増殖に及ぶ影響を確認するために、siRNAを用いてHCT−116大腸癌細胞でeIF3m mRNA発現のサイレンシング効果を分析した。まず、本発明者らは、HCT−116大腸癌細胞を緩衝溶液(BF)、非−ヒト陰性対照群siRNA(NC)及び、eIF3m特異的siRNA−1/−3で形質感染させた。そして、形質感染後、96時間、eIF3m発現を24時間毎にウエスタンブロットで確認した(図7a及び図8a)。siRNAによる形質感染後、24時間から96時間の間にeIF3m発現が減少された。これと対照的に、BFまたはNCは、eIF3m発現に影響を及ぼさなかった。BFとNCを処理した以後、細胞成長率(confluency)は急激に増加して72時間の際に停滞期に到達したが図7b)、eIF3m siRNA−1で形質感染後、24時間からは増殖が減少した。eIF3m siRNAで形質感染96時間経過後、細胞成長率は、BFまたはNCに比べて低かった(図7b)。形質感染72時間経過後、NCで感染させた際に6倍、BFで感染させた際に5倍増加したが、eIF3m siRNAで感染させた際には3倍以上増加しないことをMTT分析で確認した(図7c)。このような結果は、他のsiRNAであるsiRNA−3を通じても再び確認された(図8b)。siRNA−1、siRNA−3のサイレンシング効率は、NCに比べて96時間でそれぞれ46.4%(Student’s t-test p=1.3X10-5)、65.3%(Student’s t-test p=2.8X10-9)であった。このような結果は、eIF3m発現をサイレンシングすると、癌細胞増殖が遅延されるということを意味する。
【0081】
[eIF3m関連転写体]
eIF3mは、eIF3の「非−中心」サブユニット中の一つとして知られている。推定eIF3mは40Sリボソームサブユニット(ribosomal subunit)の構成要素中の一つであり、生理学的要求により細胞増殖と共に連携され転写体の小集合(subset)の発現に関与することができる。従って、本発明者らはeIF3mが高いレベルで発現する関連転写体を明らかにするためにリボノミックス戦略(ribonomics strategy)を導入した。eIF3mをFLAGタギング発現プラスミドにクローンし、HCT−116大腸癌細胞株内CMV2プロモーターによって調節されるように発現させた。形質感染48時間経過後、培養された細胞を収得して溶解物をFLAG−M2親和性ゲルで免疫沈殿させた。eIF3m導入されたプラスミドはウエスタンプロット上のeIF3mバンドサイズで示された反面、空ベクターを有した対照群は前記バンドが示されない(図9a)。前記のような条件をRNA抽出のために、免疫沈殿された細胞溶解物収得用として使用した。空ベクターからのRNAは認識可能なRNAを示されなかったが、eIF3mが挿入された発現クローンは免疫沈殿から検出可能なRNAの量を示した(図9b)。このようなRNAを前述したようにcDNAライブラリーを製造するために使用した。ランダムに344個のクローンを選択し、181個を成功的に配列分析し、eIF3m関連した遺伝子のうち、代表的な81種類を下記表2に示した。前記配列等は75個のリボソーム蛋白質遺伝子(41.4%)、eIF3mその自体(25.4%)、54個の単一代表的遺伝子(29.8%)及び、8個の分類されなかった種類等(4.4%)を含む。オントロジー分析によってこのような遺伝子等を機能的に分類した結果、eIF3m関連性転写体の大部分は蛋白質翻訳(蛋白質結合、リボソームの構造的構成成分、翻訳因子活性及び、リボヌクレオ蛋白質結合)及び、RNA結合(核酸結合、RNA結合及び、rRNA結合)と関連した遺伝子をインコードすることと示された(図10)。注目するほどの他の分類は金属イオン結合活性であった(カドミウムイオン結合及び銅イオン結合)。このような転写体において追加的な研究のために、本発明者らは候補遺伝子、大食細胞(macrophage)移動抑制因子(macrophage migration inhibitory factor、 MIF)を選択した。eIF3m siRNA処理されたHCT−116細胞溶解物をウエスタンプロットで観察してみた結果、MIFの発現はeIF3mの発現が減少することに応じて48時間まで減少した反面、72時間からは再び回復した(図11a)。UC1MT抗体はMT1とMT2アイソフォーム(isoform)を探知するが、MT2Aはリボノミックスでの主な形態である。従って、私達は、UC1MT抗体を用いてMT2A蛋白質を探知しようとした。MT2A蛋白質レベルも48時間まで減少したが、MIFと異なって正常レベルに回復されなかった(図11b)。しかし、mRNAレベルが蛋白質レベルと一致しなかったが、他の方法で小さい変化を示した(図12a、b及びc)。翻訳効率を調整するか、目標mRNAの安定性に影響を及ぼすことにより、eIF3mが細胞増殖遺伝子に関連した下位集合の発現に影響を及ぼすということを意味するところである。
【0082】
また、HCT−116細胞内eIF3m発現によって調節される翻訳を調節できるか否かを確認した。Lim et al.(2009)が乳癌細胞でのサイレンシングによるCDC25A(cell division cycle 25 homolog A)分解及びG1−停止に対して報告した以後、本発明者らは、eIF3mサイレンシングがCDC25Aレベルに及ぶ影響を観察し、24時間からCDC25Aが減少し始め72時間まで持続することを確認した(図13)。このような結果は、eIF3m発現が細胞周期調節に影響を及ぼすということを意味するところである。
【0083】
【表2】
【0084】
【0085】
【0086】
【0087】
[細胞周期上においてeIF3mサイルロンシンの効果]
細胞増殖または、細胞死滅は、細胞分化周期と密接に関連しているが、これは細胞周期の連続性は増殖または、自家死滅すべてを決める初期関門であるからである。したがって、図7に示された細胞増殖抑制において、eIF3mサイレンシングの結果との関連性を研究するために、本発明者らは流細胞分析(flow cytometry)によりeIF3mノックダウン(knock down)HCT−116細胞株の細胞周期進行を分析した。HCT−116細胞をBF及びNC対照群と共にeIF3m siRNAで処理した。siRNA形質感染24時間後、NC、BF、またはeIF3m siRNAにおいて各有糸分裂(mitosis)において、比率上の目立つ差は観察されなかった(図14、15)。24時間乃至48時間ごとで進行しながら、eIF3mがsiRNA処理された細胞でsub−G0/G1ステップの比率は、1.65%乃至7.87%に増加した反面、BF及びNCのsub−G0/G1は各々相変らず1.44%及び2.37%を維持した。興味深く、eIF3m siRNA−1を形質感染させた細胞のSステップ比率が26.40%から22.16%に減少した反面、BF及びNCではそれぞれ24.67%から30.12%に、26.00%から31.06%に増加した。細胞を72時間培養した際に、sub−G0/G1ステップの比率増加は、eIF3m siRNA−1(11.36%)がBF(1.97%)、NC(2.78%)に比べて優勢した。同一時間でSステップの比率は、eIF3m siRNA−1(23.73%)がBF(29.15%)、NC(25.67%)に比べて低かった。さらに、以前の時間で明らかな差を示さなかったG2/Mステップの比率は、72時間でeIF3m siRNA−1がBF(27.03%)とNC(29.46%)に比べて22.91%に減少した。このような傾向は、96時間維持され、sub−G0/G1ステップの比率は、eIF3m siRNA−1が12.36%を示したが、BF(0.49%)、NC(0.91%)では低かった。反面に、Sステップの比率は、BF(32.22%)、NC(30.56%)に比べてeIF3m siRNA−1(19.49%)で低かったし、これと類似するにG2/Mステップの比率もBF(25.63%)、NC(27.40%)に比べてeIF3m siRNA−1(21.81%)で低かった。24時間以後からeIF3m siRNA−3のsub−G0/G1ステップの比率も増加して96時間でBF(2.52%)、NC(3.31%)に比べて11.26%を示し、G2/Mステップの比率は、BF(31.16%)、NC(29.22%)に比べて減少(19.75%)した。即ち、eIF3m発現のサイレンシングは、sub−G0/G1ステップの比率を増加させ、細胞死滅を生じることを示す。従って、eIF3m発現は、細胞周期が持続するのに必要であり、結局、細胞増殖に必要であることを意味する。
【0088】
本発明の実施形態は、例示的な目的として開示されたが、当業者らは、添付された特許請求の範囲に記述されたような本発明の範囲及び思想を逸脱せず、様々な変形、添加、及び代替が可能であることを認識するでしょう。
【技術分野】
【0001】
本発明は、eIF3mの発現レベルを測定する製剤を含む癌診断用組成物及び前記発現レベルを調節を介した癌治療用組成物に関し、より詳細には、mRNAまたはその蛋白質の発現レベルを測定する製剤を含む癌マーカー検出用組成物、前記の組成物を含む癌診断用キット、生物学的試料に前記の製剤を処理して製剤と特異的に結合する物質の検出、及びその量を対照群と比較することにより、eIF3mポリヌクレオチドまたはeIF3m蛋白質を検出する方法、eIF3mポリヌクレオチドまたはeIF3m蛋白質の発現を抑制させ得る製剤を含む癌の治療及び予防用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
癌は、全世界的に最も多い死亡者を出す疾病のうちの一つであって、発生年齢が引き下がれ、平均寿命の延長に応じて癌の発生率もさらに増加すると展望している。米国の癌協会(ACS;American Cancer Society)の資料によると、2007年の一年で世界的に新しく癌の診断を受けた患者は1、200万人以上であり、死亡者は760万人であって、毎日約2万人ずつ癌で死亡したと分析された。
【0003】
前記癌のうち、多くの死亡者を出す代表的な癌の種類として、肺癌、乳癌、大腸癌等が挙げられるが、特に大腸癌と関連して、韓国内の発生率が著しく増加している実情である。大腸癌による死亡は、男性の場合、胃癌、肺癌、肝癌に引き続き4番目を占めてあり、女性の場合も類似している。年齢別では、50代が最も多く、60代がその後に引き続いている。韓国はヨーロッパや米国と比較した際に、発生年齢が10歳程度幼い傾向を示してあり、5%−10%の頻度で30代の若い人から発生すると報告されている。また、このような大腸癌の発生は、約5%前後を占める遺伝的要因の他にも食生活の急激な西欧化、特に動物性脂肪や蛋白質の過多摂取が原因であると認識されている。前記のような事実及びその他に報告されたところによると、大腸癌にかかりやすい危険因子としては、1)大腸ポリープにかかった経験がある場合、2)家族歴がある場合、3)長期間潰瘍性大腸炎に苦しめられている場合、4)治し難い痔瘻にかかった場合等があると知られている。
【0004】
このような大腸癌は、早期発見時に内視鏡的切除療法または外科療法によって完治が可能であると知られてあり、進行されて肝や肺に転移(遠隔転移)されたとしても手術が可能である時期ならば、外科療法による完治を期待することができる。しかし、大腸癌の発病は、おおむね自覚症状がなく、検査時点では既に外科的治療が難しい場合が頻繁なだけでなく、外科的手術によって完治が可能な初期に大腸癌を発見するために、不便で苦痛が伴う定期的な検診が伴わなければならない。比較的に便利な大腸癌診断方法として、潜血検査を考慮できるが、前記の検査結果、陽性が現れるとしても僞陽性(false positive)の場合が多く、逆に僞陰性の場合も多数報告されてあり、正確な診断用途に用いられるには無理がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、eIF3mのmRNAまたはその蛋白質の発現レベルを測定する製剤を含む、癌マーカー検出用組成物を提供することにある。
【0006】
本発明の他の目的は、eIF3mのmRNAまたはその蛋白質の発現レベルを測定する製剤を含む、癌診断用キットを提供することにある。
【0007】
本発明のまた他の目的は、生物学的試料にeIF3mのmRNAまたはその蛋白質の発現レベルを測定する製剤を処理し、前記製剤と前記製剤に相補的なポリヌクレオチドまたは蛋白質の結合を検出する一方、前記検出された量を正常対照群と比較してeIF3mポリヌクレオチドまたはeIF3m蛋白質を検出する方法を提供することにある。
【0008】
本発明のまた他の目的は、eIF3mポリヌクレオチドの発現を抑制するオリゴヌクレオチドを含む、癌の治療及び予防用組成物を提供することにある。
【0009】
本発明のまた他の目的は、eIF3mポリペプチドの活性を抑制する抗体またはその抗原結合断片を含む、癌の治療及び予防用組成物を提供することにある。
【0010】
本発明の更なる他の目的は、eIF3mポリペプチドを発現する細胞に候補化合物を処理するステップ及び、eIF3mポリペプチド及び/ポリヌクレオチドの発現レベルを測定するステップを含む、癌治療剤のスクリーニング方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
これに、本発明者らは苦痛・不便を最小化することができる大腸癌の診断方法及び治療剤を開発しようと鋭意努力した結果、特定遺伝子及び遺伝子の発現産物が癌診断マーカーだけでなく治療剤のターゲットとして使用され得る可能性があることを確認し、本発明を完成した。
【発明の効果】
【0012】
本発明のeIF3mを癌診断用マーカーとして利用する場合、高い診断感度及び、特異度を有して癌を診断することができ、特に肺癌、乳癌、肝癌、白血病、リンパ腫、結腸癌、黒色腫及び、大腸癌の診断に有用である。また、さらに本発明のeIF3mの発現を調節できる製剤を個体に投与し、該当過発現を遮断することによって前記癌腫に対する癌形成を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、対になった患者組織におけるeIF3サブユニットの発現レベルを示した結果である。表1に記載されたプライマーを用いてqRT−PCRのすべての反応を行い、AQ方法で定量化した。
【図2】図2は、癌細胞株及びヒト大腸組織におけるeIF3m(eukaryotic translation factor 3 m-subunit)の発現を確認した写真である。
【図3】図3は、患者サンプルにおける増加したeIF3m発現を示した結果である。qRT−PCRを用いて大腸腺癌腫患者の正常−腫瘍組織20対でのeIF3m発現レベルを分析した。
【図4】図4は、正常ヒト組織及びヒト癌細胞株においてeIF3mのノーザンブロット分析した結果である。
【図5】図5は、大腸癌患者から正常−腫瘍組織対を収得してqRT−PCR及びウエスタンブロット分析を行った結果である。
【図6】図6は、ヒト組織におけるeIF3mに対する免疫組織化学分析結果である。
【図7】図7は、siRNAによるeIF3m発現サイレンシングは、細胞増殖率を減少させるという結果である。HCT−116(wt)細胞にeIF3m siRNA−1を形質感染させて96時間培養した。対照群としては、siRNAなく緩衝溶液のみ使用した群(BF)及び非−ヒト陰性対照群siRNA(NC)を使用した。
【図8】図8は、siRNA−3によるeIF3m発現サイレンシングは、細胞増殖を減少させるという結果である。HCT−116(wt)細胞にeIF3m siRNA−3を形質感染させて96時間培養した。対照群としては、siRNAなくバッハァのみ使用した群(BF)及び非−ヒト陰性対照群siRNA(NC)を使用した。
【図9】図9は、HCT−116細胞の免疫沈殿におけるeIF3mとRNAとを示す結果である。(a)免疫沈澱された細胞溶解物のeIF3mのウエスタンブロット、空ベクター(pFLAG−CMV2)は、IC(input control)と、抗−FLAG抗体結合された親和度ゲルの免疫沈澱物(IP)のすべてでバンドが観察されなかった。しかし、pFLAG−CMV2−eIF3mが形質感染されたHCT−116細胞のIPでは表示されたサイズのバンドが示された。(b)免疫沈澱から抽出したRNAは、ホルムアルデヒドゲルに分離した。空ベクターで感染された細胞ではRNAが探知されなかったが、pFLAG−CMV2−eIF3mで感染された細胞RNAが示された。
【図10】図10は、関連した分子等を分析するためのオントロジー分析結果である。
【図11】図11は、HCT−116細胞をeIF3m siRNA−1で形質感染させて0、24、48、72、96時間経過後、大食細胞移動抑制因子(MIF)(a)と MT2A(metallothione 2A)(b)との蛋白質発現レベルをウエスタンブロットで探知した結果である。ローディング対照群であるヒトベター−アクチンも探知された。(c)HCT−116細胞をeIF3m siRNA−1で形質感染させて0、24、48、72、96時間経過後、MIFとMT2Aとの転写レベルをRT−PCRで探知した結果である。
【図12】図12は、PCR生成物配列で確認した反応特異性を示す。HCT−116細胞をeIF3m siRNAで形質感染させた後、様々な時間のMIF(a)とMT2A(b)のmRNAレベルをqRT−PCR(ベター−アクチンmRNA発現で標準化させた相対的定量)を用いて測定した。
【図13】図13は、eIF3m siRNA−1で形質感染させて0、24、48、72、96時間経過後、HCT−116細胞でCDC25A(cell division cycle 25 homolog A)蛋白質の発現調節に対して示した結果である。ローディング対照群であるヒトベター−アクチンも探知された。
【図14】図14は、eIF3m発現をサイレンシングした際に、HCT−116大腸癌細胞株でSub−G0/G1分布が増加したことを示した結果である。感染後24時間毎に流細胞分析器を用いてsiRNAが形質感染された細胞の核内容物の細胞周期進行を分析した。BF及びNC対照群では、体細胞分裂周期ステップの明らかな相異点は示さなかった。eIF3m siRNA−1で形質感染24時間以後、sub−G0/G1が増加して96時間状態が維持された。
【図15】図15は、感染後24時間毎に流細胞分析器を用いてsiRNAが形質感染された細胞の核内容物の細胞周期進行を分析した。BF及びNC対照群では、sub−G0/G1の明らかな相異点が存在しなかったが、eIF3m siRNA−3で感染後、sub−G0/G1ステップは96時間まで増加された。
【発明を実施するための形態】
【0014】
前記の目的を達成するために、一つの態様として、本発明は、eIF3mのmRNAまたはその蛋白質の発現レベルを測定する製剤を含む、癌マーカー検出用組成物に関する。
【0015】
本発明における用語「eIF3m」とは、eIF3(eukaryotic translation initiation factor 3)のサブユニットm(eukaryotic translation factor 3m-subunit)の略字であり、eIF3は、約800kDaに至る巨大な哺乳類の翻訳開始因子複合体を意味する。前記のeIF3複合体は、13個のサブユニットから形成されており、これらをeIF3a乃至eIF3mと命名している。これらのうち、一部のサブユニットは、特定癌組織において発現が増加すると知られているが、本発明のサブユニットと関連して特定癌特異的発現増加に対しては知られたところがない。eIF3mは、PCID1(PCI domain contatining 1)でも呼ばれ、単純ヘルペスウイルス(herpes simples virus、HSV)の浸透のための受容体または、共受容体(coreceptor)として作用するという事実は一部知られているが、該当サブユニットの癌発病または、治療との関連性に対しては知られたところがない。ひいては特に本発明のeIF3mサブユニットが特定癌細胞株及び特定癌において発現が増加するという事実を本発明で最初に糾明した。本発明者らは本発明のeIF3mがいくつかのヒト癌細胞株だけでなく、ヒト腫瘍組織で転写レベル及び翻訳レベルのいずれにおいて発現が増加することを確認した。eIF3mサブユニットが肺癌、乳癌、肝癌、白血病、リンパ腫、大腸癌、黒色腫及び結腸癌細胞株において高いレベルで発現することを確認し、ヒト大腸組織の腫瘍領域においても発現が増加することを確認した。
【0016】
本発明における用語「マーカーまたは診断マーカー(diagnosis marker)」とは、癌細胞または癌疾患を有した個体を正常細胞または正常個体と区分して診断することができる物質であって、正常細胞に比べて癌を有した細胞または個体で増加または、減少を示すポリペプチド、蛋白質または、核酸(例えば:mRNA等)、脂質、糖脂質、糖蛋白質または、糖(単糖類、二糖類、オリゴ糖類等)等の有機生体分子等を含む。本発明の目的上、本発明の癌診断マーカーは、正常細胞または、組織の細胞に比べて、癌細胞で特異的に高いレベルの発現を示すeIF3mポリペプチドまたは、それをコードするポリヌクレオチドである。
【0017】
本発明における用語「mRNA発現レベルの測定」またはそれに相応する文句は、癌を診断するために生物学的試料において、癌マーカー遺伝子のmRNA存在有無と発現程度を確認する過程であって、mRNAの量を測定することによって知ることができる。このための分析方法としては、RT−PCR、競争的RT−PCR、実時間RT−PCR、RNAse保護分析法(RPA;RNAse protection assay)、ノーザンブロット(Northern Blotting)、DNAチップ等があるが、これに制限されるものではない。
【0018】
本発明における用語「蛋白質発現レベルの測定」またはそれに相応する文句は、癌を診断するために生物学的試料における癌マーカー遺伝子で発現された蛋白質の存在有無と発現程度を確認する過程であって、前記遺伝子の蛋白質に対して特異的に結合する抗体を用いて蛋白質の量を確認する。このための分析方法としては、ウエスタンブロット(Western blotting)、ELISA(enzyme linked immunosorbent asay)、 放射線免疫分析(RIA:Radioimmunoassay)、放射免疫拡散法(radioimmunodiffusion)、 オクテロニー(Ouchterlony)免疫拡散法、ロケット(rocket)免役電気泳動、組織免疫染色、免疫沈殿分析法(Immunoprecipitation assay)、補体固定分析法(Complement Fixation Assay)、FACS、蛋白質チップ(protein chip)等があるが、それに制限されるものではない。
【0019】
好ましくは、前記mRNAレベルを測定する製剤は、本発明のeIF3mポリヌクレオチドまたは、この断片に対するプライマー(primer)対、プローブ(probe)、または、アンチセンスヌクレオチド(anti-sense nucleotide)であり、本発明のポリヌクレオチド配列によって当業者がプライマー、プローブ、または、アンチセンスヌクレオチド配列を容易にデザインすることができる。
【0020】
本発明における用語「プライマー」とは、短い遊離3’末端ヒドロキシル基(free 3’-hydroxyl group)を有する核酸配列で相補的なテンプレート(template)と塩基対(base pair)を形成することができ、テンプレート鎖の複製のための開始地点として機能する短い核酸配列を意味する。DNA合成または複製は、適切な緩衝溶液及び温度、重合反応(即ち、DNAポリメラーゼまたは、逆転写酵素)のための試薬及び、4個のヌクレオチド三リン酸の存在下でプライマーが追加されるべきである。本発明では、eIF3mポリヌクレオチドのセンス及びアンチセンスプライマーを用い、PCR増幅を行って所望する生成物の生成有無を通じて癌を診断することができる。PCR条件、センス及びアンチセンスプライマーの長さは、当業界に公知されたものを基にして適切に変形することができる。
【0021】
本発明における用語「プローブ」とは、mRNAと特異的結合をなし得る、短くは1個の塩基乃至長くは数百個の塩基に該当するRNAまたは、DNA等の核酸断片を意味し、ラベリング(labeling)されており、特定mRNAを確認することができる。本発明における有用なプローブは、オリゴヌクレオチド(oligonucleotide)プローブ、単一鎖DNA(single stranded DNA)プローブ、二重鎖DNA(double stranded DNA)プローブ、RNAプローブ等の形態で製作され得る。本発明の実施態様では、本発明のeIF3mポリヌクレオチドと相補的なプローブを用いて混成化を行い、混成化有無を通じて癌疾患の発病有無を診断することができる。適当なプローブの選択及び混成化条件は、当業界に公知されたものに基づいて変形することができる。
【0022】
本発明のプライマーまたはプローブは、ホスホルアイミダイド固体支持体方法、またはその他の広く公知された方法を用いて化学的に合成することができる。これらのヌクレオチド配列はまた、当該分野に公知の多くの手段を用いて変形させることができる。このような変形の非制限的な例としては、メチル化、キャップ化、一個以上の天然ヌクレオチドの同族体への置換及びヌクレオチド間の変形、例えば、荷電されていない連結体(例:メチルホスホン酸塩、リン酸トリエステル、ホスホロアミデート、カルバメート等)または荷電された連結体(例:ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート等)への変形がある。
【0023】
前記プライマーまたはプローブは、8個または、それ以上のヌクレオチドを含むことが好ましく、ハイブリッド化方法は、本発明のeIF3mポリヌクレオチドに前記プライマーまたは、プローブを露出または、接触させることによって達成され得る。好ましくこれらの配列は、非特異的な結合を最小化するように適切に調節された条件で混成化され、例えば、本発明のeIF3mポリヌクレオチドと約80%乃至90%の相同性を有した配列の検出のための適切な混成化条件は、0.25M Na2HPO4、pH7.2、6.5% SDS、10%デキストラン硫酸を含んだ緩衝溶液で、42℃で一夜(overnight)混成化させ、最終的に0.1×SSC、0.1% SDSを含んだ溶液内、55℃で洗浄するものを含む。また、本発明のeIF3mポリヌクレオチドと90%以上の相同性を有した配列の検出のための適切な条件は0.25M Na2HPO4、pH7.2、6.5% SDS、10%デキストラン硫酸塩を含んだ緩衝溶液で、65℃で一夜混成化させ、最終的に0.1×SSC、0.1%SDSを含んだ溶液内、60℃で洗浄することを含むことができる。
【0024】
本発明の実施形態に応じてeIF3m蛋白質(以下「eIF3mポリペプチド」と混用)レベルを測定する製剤は、好ましくは抗体である。本発明における用語「抗体」とは、当該分野における公知された用語であって、抗原性部位に対して指示される特異的な蛋白質分子を意味する。本発明の目的上、抗体は本発明のマーカーであるeIF3mポリペプチドに対して特異的に結合する抗体を意味し、このような抗体は、各遺伝子を通常の方法により発現ベクターにクローニングして前記マーカー遺伝子によりコードされる蛋白質を得て、得られた蛋白質から通常の方法によって製造され得る。
【0025】
ここには前記蛋白質で作られ得る部分ペプチドも含まれ、本発明の部分ペプチドは、最小限7個のアミノ酸、好ましくは9個のアミノ酸、更に好ましくは12個以上のアミノ酸を含む。本発明の抗体の形態は、特に制限されず、ポリクローナル抗体、モノクロナール抗体または、抗原結合性を有するものならば、その一部も本発明の抗体に含まれ、すべての免疫グロブリン抗体が含まれる。更に、本発明の抗体には、ヒト化抗体等の特殊抗体も含まれる。このような本発明のeIF3m蛋白質に対する抗体は、当業界における公知された方法で製造され得るすべての抗体を含む。本発明のeIF3m蛋白質に対するどんな抗体でも本発明において使用することができる。
【0026】
また、本発明の癌診断マーカーの検出に使用される抗体は、2個の全長の軽鎖及び、2個の全長の重鎖を有する完全な形態だけでなく、抗体分子の機能的な断片を含む。抗体分子の機能的な断片とは、少なくとも抗原結合機能を保有している断片を意味し、Fab、F(ab’)、F(ab’)2及び、Fv等がある。
【0027】
本発明における用語「癌」とは、細胞の死滅調節に関連した疾病を称えるものであって、このような細胞群は非正常的なアポトーシスによって細胞が統制されず、過多増殖を示す。このような非正常的な過多増殖細胞等は、場合により周囲組織及び臓器に侵入して腫塊を形成し、体内の正常的な構造を破壊したり変形させることになるが、このような状態を癌という。一般的に腫瘍(tumor)といえば、身体組織の自律的な過剰成長によって非正常的に育った塊りを意味し、良性腫瘍(benign tumor)と悪性腫瘍(malignant tumor)に区分することができる。悪性腫瘍は、良性腫瘍に比べて成長速度が極めて速く、周辺組織に浸潤しながら転移(metastasis)が生じて生命を威嚇することになる。このような悪性腫瘍を通常的に「癌」といい、癌の種類としては、脳脊髄腫瘍、頭頸部癌、肺癌、乳癌、胸腺腫、中皮腫、 食道癌、膵癌、大腸癌、肝癌、胃癌、胆管癌、腎臓癌、膀胱癌、前立腺癌、睾丸癌、 生殖細胞腫、卵巣癌、子宮頸癌、子宮内膜癌、リンパ腫、急性白血病、慢性白血病、多発性骨髄腫、肉腫、悪性黒色腫及び皮膚癌を含むが、前記例等によって癌の種類が限定されるものではない。本発明の実施形態において、癌マーカー検出用組成物は、前記癌の診断のためのマーカーとして用いられることができ、本発明の好ましい実施例では、肺癌、肝癌、大腸癌、乳癌、白血病、リンパ腫及び黒色腫細胞株における発現増加を確認する一方、癌を有した個体の組織を対象に本発明のeIF3m蛋白質の発現を観察した結果、正常細胞及び正常個体の対照群に比べてその発現量が顕著に増加することを確認した。
【0028】
他の一つの態様として、本発明はeIF3mのmRNAまたはその蛋白質の発現レベルを測定する製剤を含む癌診断用キットに関する。
【0029】
本発明における用語「診断」とは、生物学的試料または組織サンプルで本発明のeIF3mポリペプチド及びこれをコードするポリヌクレオチドの存在または不在を測定することにより、前記遺伝子の発現と関連した疾患の存在または特徴を確認することを意味する。
【0030】
本発明のキットは、癌診断マーカーのeIF3mポリペプチドまたは、これをコードするポリヌクレオチドの発現レベルを確認することによってマーカーを検出することができる。本発明のキットは、癌診断マーカーの発現レベルを測定するためのプライマー、プローブまたは選択的にマーカーを認知する抗体または抗原結合能を維持するこれの断片だけでなく、前記ポリペプチドまたはポリヌクレオチド分析方法に適合した一つまたはそれ以上の他の構成成分組成物または、装置が含まれ得る。例えば、本発明のポリヌクレオチドまたは遺伝子定量検出のための診断キットは、eIF3mポリペプチドをコードするポリヌクレオチドに特異的に結合する1種以上のオリゴヌクレオチドを含むことができる。実施例において、本発明の診断キットはRT−PCRを行うために必要な必須的要素が含まれたものである。RT−PCRキットは、eIF3mのヌクレオチドまたは一部配列に対応するプライマー、逆転写酵素、Taqポリメラーゼ、PCR用プライマー及び、dNTPを含め、ポリヌクレオチド発現レベルを測定するために前記「mRNA発現レベル測定」と関連して記述された分析方法を用いたキットを制限なく利用することができる。
【0031】
好ましくは、本発明のeIF3m蛋白質のレベルを測定する癌診断キットは、本発明のeIF3m蛋白質に特異的に結合する抗体を含むことができる。また、蛋白質レベルを測定するキットは、「蛋白質発現レベルの測定」のために用いられる前述された方法を利用したキットを制限なく使用でき、好ましくはELISAキットまたは、蛋白質チップキットであり得る。
【0032】
抗体を用いた蛋白質発現有無測定は、eIF3m蛋白質及びその抗体間の抗原−抗体複合体を形成することによって測定され、多様な方法によって前記複合体の形成量を測定することにより、定量的に検出できるようになる。
【0033】
本発明における用語「抗原−抗体複合体」とは、癌マーカー蛋白質とこれに特異的な抗体の結合物を意味し、抗原−抗体複合体の形成量は、検出ラベル(detection label)のシグナルのサイズによって定量的な測定が可能である。
【0034】
例えば、癌疑い個体及び正常対照群の抗原−抗体複合体形成量を比較することにより、eIF3m蛋白質の有意した発現量増加を判断して特定個体における癌発病有無を診断することができるが、癌が疑われる個体の試料に本発明のeIF3m蛋白質に対する抗体を処理すると、eIF3m蛋白質と抗体とが抗原−抗体複合体を形成するようになり、これは前述されたELISA、RIA、サンドイッチ分析、ウエスタンブロット、放射線免疫拡散法、オクテロニー、免疫拡散法、ロケット免役電気泳動、組織免疫染色、免疫沈殿分析、補体固定分析、FACS、蛋白質チップ及び免疫ブロット方法を含むキットによってその量を測定できるようになる。また、前記分析結果を正常個体の定量結果と比較分析することにより、本発明のeIF3m蛋白質の発現増加に応じる癌発病有無を診断することができる。
【0035】
また他の一つの態様として、本発明は生物学的試料にeIF3mのmRNAまたはその蛋白質の発現レベルを測定する製剤を処理し、前記製剤と前記製剤に相補的なポリヌクレオチドまたは蛋白質の結合を検出する一方、前記検出された量を正常対照群と比較してeIF3mポリヌクレオチドまたはeIF3m蛋白質を検出する方法に関する。
【0036】
より具体的には、遺伝子の発現をmRNAレベルまたは蛋白質レベルで検出でき、生物学的試料からmRNAまたは蛋白質の分離は、公知された工程を用いて行うことができる。
【0037】
本発明における用語「生物学的試料」とは、eIF3m遺伝子または蛋白質発現レベルを検出できる試料を意味し、その例として、組織、細胞、全血、血清、血漿、唾液、喀痰、脳脊髄液または、尿のような試料等を含むが、これに制限されない。
【0038】
本発明の検出方法の一つの態様では、正常対照群における遺伝子発現レベルを癌疑い個体の遺伝子発現レベルと比較することにより、癌疑い個体の実際の癌疾患発病有無を診断することができる。より詳細には、癌と推定される試料または、細胞から本発明のマーカーの発現レベルを測定し、正常試料または、細胞から本発明のマーカーの発現レベルを測定して両者を比較した後、本発明のマーカーの発現レベルが正常試料のものより癌と推定される試料由来でさらに高いレベルで発現すると、癌と推定される試料を癌として予測できることである。
【0039】
好ましく、前記方法は、本発明のeIF3mポリペプチドをコードするポリヌクレオチドをマーカーとして用いる場合、(a)生物学的試料を提供するステップ;(b)前記生物学的試料にeIF3mの発現レベルを測定できる製剤を処理するステップ;(c)前記製剤と前記製剤に相補的なポリヌクレオチドの結合を検出するステップ;及び、(d)検出された量を正常対照群と比較するステップを含むことができる。また、本発明のeIF3mポリペプチドマーカーを用いる場合、(a)生物学的試料を提供するステップ;(b)前記生物学的試料にeIF3m蛋白質に対する抗体を処理するステップ;(c)抗体−抗原複合体を検出するステップ;及び、(d)検出された量を正常対照群と比較するステップを含むことができ、前記方法を用いて本発明のeIF3m蛋白質を検出できるようになる。
【0040】
また他の一つの態様として、本発明は、eIF3mポリヌクレオチドの発現を抑制するオリゴヌクレオチドを含む、癌治療及び予防用組成物または、eIF3mポリペプチドの活性を抑制する抗体またはその抗原結合断片を含む癌治療及び予防用組成物に関する。
【0041】
好ましく、本発明の薬学組成物は、eIF3mポリヌクレオチドの発現を抑制する物質を含むことができ、前記ポリヌクレオチドの発現を抑制する物質は、siRNA、shRNA、アプタマー(aptamer)及び、アンチセンスオリゴヌクレオチドより構成される群から選択され得る。
【0042】
本発明における用語「siRNA(small interfering RNA)」とは、RNA干渉または、遺伝子サイレンシング(silencing)を媒介できる約20ヌクレオチドサイズの小さい核酸分子を意味し、siRNAが細胞内に導入されると、ダイサー(Dicer)蛋白質によって認知され、前記eIF3mポリペプチドをコードする遺伝子を分解し、結局、遺伝子の発現を阻害するようになる。
【0043】
「shRNA(short hairpin RNA)」とは、siRNAターゲット配列のセンス及び、アンチセンス配列が5−9個の塩基から構成されたループ(loop)を挟んで位置した短いヘアピンRNAを意味する。
【0044】
「アプタマー」とは、小さいRNA片を意味し、20乃至60nt程度の小さいサイズを有するオリゴマー分子である。配列により多様な3次元構造を有することができ、特定物質と高い親和力を有することができ、目的とするターゲット配列と反応して効果的に抑制が可能である。
【0045】
最近、遺伝子レベルで蛋白質の発現を調節するための方法として、RNA干渉(RNA interference、RNAi)現象を用いた方法が研究されており、一般にsiRNAは、相補的な配列を有するmRNAに特異的に結合して蛋白質発現を抑制すると明らかになった。
【0046】
本発明のsiRNAまたはshRNAを含む組成物は、これらのRNAsを用いた遺伝子治療で利用される通常の方法により個体に投与され、発癌または、転移遺伝子の発現を阻害することができる。例えば、Filleurら、Cancer Res.,63(14):3919-22,2003等の文献により、少ない量の静脈注射方法(low-volume intravenous injection)によってsiRNAで遺伝子発現調節ができる。また、siRNA生体内吸収量と安全性とを増加させるために、Chienら、Cancer Gene Ther.,12(3)321-8,2005等の文献により、siRNA注入において、複合体を製造して使うこともできる。
【0047】
本発明の組成物に含まれるsiRNAを製造する方法には、siRNAを直接化学的に合成する方法(Sui Gら、(2002)Proc Natl Acad Sci USA 99:5515-5520)、イン・ビトロ転写を用いたsiRNAの合成法(Brummelkamp TRら、(2002)Science 296:550-553)等があるが、これに限定されるものではない。また、shRNAは、siRNAの高価の生合成コスト、低い細胞形質感染効率によるRNA干渉効果の短時間維持等の短所を克服するためのものであって、RNA重合酵素IIIのプロモーターからアデノウイルス、レンチウイルス及び、プラスミド発現ベクターシステムを用いてこれを細胞内に導入して発現させることができ、このようなshRNAは、細胞内に存在するsiRNAプロセシング酵素(Dicer or RNAse III)により正確な構造を有するsiRNAに転換され、目的遺伝子のサイレンシングを誘導するということが広く知られている。
【0048】
用語の「アンチセンス」とは、アンチセンスオリゴマーがワトソン-クリック塩基対形成によってRNA内の標的配列と混成化され、標的配列内で、典型的にmRNAとRNA:オリゴマーヘテロ二量体の形成を許容する、ヌクレオチド塩基の配列及び、サブユニット間バックボーンを有するオリゴマーを称する。オリゴマーは、標的配列に対する正確な配列相補性または、近似相補性を有することができる。このアンチセンスオリゴマーは、mRNAの翻訳を遮断または、阻害し、mRNAのスプライス変異体を生産するmRNAのプロセシング過程を変化させ得る。したがって、本発明のアンチセンスオリゴマーは、eIF3mポリペプチドをコードするポリヌクレオチドに相補的なアンチセンスオリゴマーである。本発明のアンチセンス遺伝子を用いた治療は、通常の方法で個体に投与されることができ、前記組成物の投与として発癌遺伝子の発現を予防または、抑制することができる。例えば、J.S.kim et al.,J controlled Release 53、175-182(1998)の方法により、アンチセンスオリゴデオキシヌクレオチドをポリ−L−リジン誘導体と静電気的引力によって混合させ、前記混合体を個体の静脈に投与する方法が使用され得るが、本発明のアンチセンス単子を個体に投与する方法が前記例によって制限されるものではない。
【0049】
好ましくは、本発明の組成物には、公知の治療剤を直接または、間接的に結合させたり、共に含ませることができる。抗体と結合され得る治療剤には、放射性核種、薬剤、リンフォカイン、毒素及び、二重特異的抗体等が含まれるが、本発明の組成物に含まれる治療剤はこれに制限されるものではなく、抗体と結合させることができたり、抗体、siRNA、shRNA及び、アンチセンスオリゴヌクレオチドとともに投与して癌治療効果を得ることができる公知の治療剤ならば可能である。
【0050】
前記の放射線核種には、3H、14C、32P、35S、36Cl、51Cr、57Co、58Co、59Fe、90Y、125I、131I及び、186Re等があり、これに制限されない。
【0051】
前記の薬剤及び毒素には、エトポシド、テニポシド、アドリアマイシン、ダウノマイシン、カルミノマイシン、アミノプテリン、ダクチノマイシン、マイトマイシン類、シース−白金及びシース−白金同族体、ブレオマイシン類、エスペラミシン類、5−フルオロウラシル、メルファラン及び、その他窒素マスタード等があり、これに制限されない。
【0052】
本発明者らは、本発明のeIF3m遺伝子または蛋白質発現抑制にともなう癌形成抑制能を確認するために、eIF3mに対するsiRNAを処理する一方、これを対照群と比較した結果、本発明のeIF3mサイレンシングにより細胞増殖及び、細胞周期と関連した発現様相が調節されることを確認した。
【0053】
また好ましい実施例において、本発明の組成物は、eIF3m蛋白質の活性または、発現を抑制する物質を含む、癌の成長または、転移を抑制する組成物であり得る。好ましく前記活性抑制物質は、eIF3m蛋白質を特異的に認識する抗体である。このような抗体は、単一クローン抗体及び、これに対するキメリック抗体(chimeric antibody)、ヒト化抗体(humanized antibody)及び、ヒト抗体(human antibody)をすべて含む。また、前記抗体は、eIF3m蛋白質を特異的に認識する結合の特性を有する限り、2個の重鎖(heavy chain)と2個の軽鎖(light chain)の全長を有する完全な形態だけでなく、抗体分子の機能的な断片を含む。抗体の分子の機能的な断片とは、少なくとも抗原結合機能を保有している断片を意味し、Fab、F(ab’)、F(ab’)2及びFv等がある。
【0054】
好ましく、本発明の組成物は、投与方式により許容可能な担体を含むことができる。
【0055】
薬学的に許容可能な担体、賦形剤または添加剤とともに混合され得る。薬学的に許容可能な担体の種類の例としては、食塩水、滅菌水、リンガー液、緩衝食塩水、デキストロース溶液、マルトデキストリン溶液、グリセロール、エタノール、リポソーム及び、前記成分のうち、いずれか一つの以上の成分を混合して使用することができ、必要により抗酸化剤、緩衝溶液等通常的に使われる他の添加剤を更に含むことができる。また、投与目的により希釈剤、分散剤、界面活性剤、結合剤及び、潤滑剤を添加して水溶液、懸濁液、乳濁液等のような注射用剤形、丸薬、カプセル、果粒または、錠剤で製剤化することができ、標的器官に特異的に作用することができるように標的器官または、組織特異的抗体または、その他リガンドを前記担体と結合させて使うことができる。前記のような担体、賦形剤または、添加剤の種類は、当業界の通常の製剤をすべて含み、前記例によって使用可能な担体、賦形剤または、添加剤の種類が制限されるものではない。
【0056】
前記のような組成物または、混合物は、目的または、必要により当業界で使われる通常の方法、投与経路、投与量により適切に個体に投与され得る。投与経路の例としては、経口、非経口、皮下、腹腔内、肺内及び、鼻腔内に投与されることができ、局部的免疫抑制治療のために、必要ならば、病変内投与を含む適合した方法によって投与される。非経口注入には、筋肉内、静脈内、動脈内、腹腔内または、皮下投与が含まれる。また、当業界における公知された方法により適切な投与量及び、投与回数が選択されることができ、実際に投与される本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド、siRNAまたはshRNAを含む組成物の量及び投与回数は、予防または、治療しようとする症状の種類、投与経路、性別、健康状態、食餌、個体の年齢及び体重並びに、疾患の重症度のような多様な因子によって適切に決定され得る。
【0057】
また他の一つの態様として、本発明はeIF3mポリペプチド及び/またはポリヌクレオチドを発現する細胞に候補化合物を処理するステップ及び、eIF3mポリペプチドまたはポリヌクレオチドの発現レベルを測定するステップを含む、癌治療剤のスクリーニング方法に関する。
【0058】
本発明の癌治療剤スクリーニング方法は、候補物質の処理によってeIF3m発現が増加する場合、前記候補物質を癌疾患を促進させる物質として判断することができる。また、候補物質によってeIF3m発現が減少する場合、処理された候補物質が癌治療剤として使用され得ると判断できる。このようなスクリーニング方法において、その活性測定は。eIF3m発現レベルにより容易に判断され得る。
【0059】
以下、本発明を実施例を通じてより詳細に説明する。しかし、これらの実施例は、本発明を例示的に実施するためのものであって、本発明の範囲がこれらの実施例に限定されるものではない。
【実施例】
【0060】
〔実施例1.大腸組織〕
ヒト大腸組織をヘルシンキ条約により収得した。決められたプロトコルで患者から外科的に切除された組織を収得し、使用するまで−80℃で貯蔵した。
【0061】
〔実施例2.細胞培養〕
ATCC(American Type Culture Collection、Manassas、VA)及び、韓国細胞株銀行(Korean Cell Line Bank、Seoul、Korea)からすべての細胞株を収得した。各細胞株を10%FBS(fetal bovine serum、Invitrogen)が添加された維持培地で維持させた。
【0062】
〔実施例3.実時間定量RT−PCR(Real-time quantitative RT-PCR)〕
製造会社のプロトコルによりトリゾル試薬(Trizol regent、Invitroge)を使って全体RNAを抽出及び洗浄し、DNAse Iを処理してRNeasy column(Qiagen)で残余ゲノムDNAを除去した。RNA量をナノドロップ1000(nanodrop)(Thermo Scientific)で測定し、全体RNAのマイクログラムをプライマーとして50mM Tris−HCl(pH8.3)内50μMオリゴ(dT)、1μlを使用し、75mM KCl、3mM MgCl2、5mM DTT、0.5mM dNTP、及び40U RNase Out(invitrogen)を含むRT mixの20μl内にあるSuperscript III transcriptase(Invitrogen)を使用して逆転写させた。37℃で20分間RNaseH(2units)の1μlを添加してで培養することによって鋳型RNAを除去した。1.0X1010copies/μl乃至1.0X102copies/μlの範囲内のpCR2.1 TOPOベクターにクローンされたアンプリコン(amplicon)を10倍連続的希釈(serial dilution)により標準曲線を導き出した。実時間PCR分析は、Superscript RTIII(Invitrogen,USA)により合成された1/10cDNAとQuanti Fast SYBR Green PCR master mix(Qiagen)内の5pmole正方向及び逆方向プライマー(表1)を用いて次のような熱的プロファイルによって行った。 Light Cycler 480(Roche)内で、50℃で2分間維持、95℃で10分間維持、95℃で30秒、−58℃で30秒、−72℃で30秒を40周期繰り返した。データは、GAPDHまたはACTBで標準化された相対的定量化(RQ)または絶対的定量化(AQ)方法によって分析した。
【0063】
【表1】
【0064】
〔実施例4.ノーザンプロッティング(Norhern blotting)〕
eIF3m遺伝子配列をコードする全長のうち、1,126bpをPCRで増幅した。PCR産物を製造会社のプロトコルによりRediPrimeキット(GE Healthcare)を用いて[alpha−32P]dCTP(3000Ci/mmol、10mCi/ml;PerkinElmer NEN)で標識し、G−50 Microcolumn(GE Healthcare)にろ過させることによって結合しなかったヌクレオチドを除去した。変性(denatured)されたプローブをULTRAhyb溶液(Ambion)内の事前に混成化されたMTNブロット(BD clontech)に適用し、42℃で一夜混成化させた。標準プロトコルにより膜を洗浄し、−80℃でスクリーンを増強させてBioMax MSフィルム(Kodak)に露出させた。
【0065】
〔実施例5.ウエスタンプロッティング(Western blotting)〕
Haltプロテアーゼ抑制剤(Thermo Scientific)が添加されたM−PER溶解バッファ(Thermo Scientific)を用いて培養された細胞を均質化することによって細胞溶解物を製造した。Haltプロテアーゼ抑制剤が添加されたT−PER溶解緩衝溶液(Thermo Scientific)内のスライスされた組織を均質化することによって組織溶解物を製造した。組織均質化物をタングステンビーズを用いて30Hzで2分間TissueLyzer(Qiagen)内でマイクロチューブ(microtubes)を混ぜることによって製作した。製造会社のプロトコルによりBCA蛋白質分析キット(Thermo Scientific)を用いて蛋白質の濃度を測定した。細胞または、組織溶解物を1x MOPSランニングバッファ内の4−12%NuPAGEゲルを電気泳動して溶解させた。分離した蛋白質をImmobilon−P膜(Millipore)上に移し、1:2,000で希釈された1次eIF3m抗体(proteintech Group)または、抗−MIF抗体(Abnova)1:500、及びHRP−融合した抗−ウサギ抗体(Sigma-Aldrich)で検出した。
【0066】
〔実施例6.免疫組織化学(Immunohistochemistry)〕
腫瘍部位の大腸組織を10%中和緩衝溶液ホルマリン溶液に固定させ、標準方法を通じてパラフィンで固定した。4μmの厚いスライドされた組織をスライドの上にマウンティングし、プロテイナーゼ(proteinase)で事前処理した。BechMark XT(Ventana Medical System)自動化されたシステムによりすべての染色過程を行った。ウエスタンプロッティングに対する同一の1次抗体を希釈(1:100)して用い、偽陽性シグナル(false positive signal)検出を避けるために、内在性ビオチン(endogenous biotin)を付けた(mask)。ピオチン化された2次抗体によってシグナルを検出し、ストレプトアビジン−HRP(streptavidin-HRP(horseradish peroxidase))融合体を結合させた。複合体は、過酸化水素基質及び3、3’−DAB(diaminobenzidine tetrahydrochloride)クロモゲンを用い、暗い茶色沈殿物の生成によって可視化された。ヘマトキシリン−エオシン(hematoxylin-eosin)を使用してスライドを対比染色(counterstained)し、光学顕微鏡を通じて観察した。
【0067】
〔実施例7.タグされたeIF3m発現クローン〕
eIF3mのORFを次のオリゴヌクレオチドを使って増幅し、pCR2.1−TOPOベクター内にクローンした。
【0068】
F:5’−CAC CAT GAG GGT CCC GGC−3’(配列番号33)
R:5’−GGT ATC AGA AAG ACT CAA AAG GCT G−3’(配列番号34)。
【0069】
挿入物の配列を確認し、pFLAG−CMV2ベクター(Sigma-Aldrich)に移した。
【0070】
〔実施例8.リボノミックス(Ribonomics)〕
pFLAG−CMV2−eIF3m発現クローンの4μgをリポフェクタミン2000を使ってHCT−116大腸癌細胞株2millionに形質感染させ、10%FBSが添加されたDMEMで、5%CO2培養器内37℃で48時間培養した。培養された細胞をSymplekin免疫沈殿緩衝溶液(150mM NaCl、25mM HEPES-KOH[pH7.5]、10%[v/v]glycerol、1mM MgCl2、2mMオルトバナジン酸トリナトリウム(sodium orthovanadate)、2mMベータ−グリセロリン酸(β-glycerophosphate)、1mM PMSF(phenylmethylsulphonylfluoride)、1mM DTT、2mM EDTA、0.5% TritonX-100、50μg/ml RNase A[Sigma-Aldrich]、and 1×protease inhibitor cocktail[Roche])を使って均質化させた。遠心分離して溶解物をきれいにし、FLAG−M2親和性ゲル40μlと混合した。免疫沈殿されたゲルペレットに0.5mlトリゾール試薬(Trizol reagent(Invitrogen))を添加し、全体RNAを製造会社のプロトコルにより抽出した。RNAの濃度をナノドロップ1000で測定し、1.575μgを使ってGeneRacerキット(Invitrogen)にcDNAライブラリーを製造した。全体RNAを脱燐酸化させ、キャップを除去し、RNA連結子(adaptor)と連結し、逆転写させ、連結子特異的GeneRacer5’及び3’プライマーを用いて次の熱的プロファイルによりPCRを25周期行うことによって増幅された。PCR生産物をEcoRV切断pBlueScriptII−KS(+)ベクターにクローンし、DH10Bコンピテント細胞に電気穿孔で形質転換させた。単一コロニーを同情し、各クローンの挿入物を配列分析した。
【0071】
〔実施例9.細胞増殖及び細胞周期分析〕
細胞増殖及び細胞周期増殖においてeIF3mの影響を分析するためにヒト大腸癌細胞株HCT−116野生型にsiRNAを処理してみた。事前−デザインされたsiRNAをQiagenから購入し、20,000HCT−116細胞を6−ウェルプレートに形質感染させた。形質感染された細胞等を96時間培養し、MTT(3-[4、5-dimethylthiazol-2-yl]-2、5-diphenyltetrazoliumbromide)分析によって増殖する細胞を24時間毎に観察した。非−特異的対照群siRNA、eIF3mに特異的なsiRNA、及び単独RNase−非存在緩衝溶液(untreated 100% survival control)からなった3種類のHCT−116細胞培養を横断切開(transect)し、6−ウェル培養プレートに分株した。各時間ごとに、MTT(2mg/ml)溶液725μlを各ウェルに添加した。培養4時間経過後、培地を除去し、細胞上に1.955mlDMSO(dimethyl sulfoxide)を添加して10分間培養、細胞を溶解した。スキャニングマイクロプレートリーダーVERASmax(Molecular Devices)によって540nmでシグナルを測定した。細胞周期進行を流細胞分析(flow cytometry)を通じて分析した。約5X104HCT−116細胞を6−ウェルプレートに分株し、非−スライスされた対照群siRNA、eIF3mに対するsiRNA、及び単独RNase−非存在緩衝溶液で処理した。毎時間ごとに、0.5%トリプシンで細胞を収去し、ice−cold PBSで洗浄し、70%エタノール貯蔵液で4℃で固定した。その後、細胞を洗浄し、暗いところで37℃で20分間PI(propidium iodide)染色緩衝溶液バッファ(l0μg/ml DNAse-free RNase A、50μg/ml PI in PBS)内再懸濁した。PI染色された細胞をFACScaliburTM流細胞分析器(BD Biosciences)上のBD Cellquestソフトウェアを用いて分析した。eIF3mの発現減少(knockdown)をウエスタンプロッティングでモニタリングした。
【0072】
〔実施例10.統計的意味の評価〕
統計的有意性を対になっていない群の間は、Student’s two−tail t−testで、正常/腫瘍組織間の比較は、Student’s paired two−tail t−testで分析した。表示される誤差範囲として、各群間の標準偏差または、標準誤差平均(SEM)を適用した。
【0073】
<結果>
[癌においてeIF3mサブユニットの増加した発現]
eIF3mサブユニットの増加−調節がヒト大腸腫瘍の進行とどんな関係があるのか確認するために、本発明者らは実時間qRT−PCRを行って13個のeIF3サブユニットの転写体を検出した。19人の患者から正常大腸及び腫瘍(腺癌)組織を対で用いた。発現差の程度をGAPDHによって標準化されたRQ(relative quantitation)(図1)で測定した。eIF3サブユニットの中心因子の一つである、eIF3bはすべての患者において高い発現率を示したが(18/19)、残り4個はそうではなかった。8つの非−中心サブユニットである、eIF3d、e、h、k及びmサブユニットは、腫瘍患者の50%以上で増加した発現を示した。腫瘍で高い発現を示すこれらの4個のサブユニット等のうち、eIF3mを選択して、その特性を追加的に分析した。腫瘍でeIF3mの増加した発現を再確認するために、7つの他の培養された癌細胞株だけでなく、同じ患者に対するAQ(absolute quantitation)による転写レベルを測定した。標準曲線(correlation coefficient r2>0.95)を描いた後、曲線から分子数を計算した(図2a)。肺癌細胞株のうちの一つであるA549は、4.25X104copies/ng全体RNAを示した。4個の大腸癌細胞株においては、1.92X104乃至3.44X104copies/ng全体RNAの範囲を有する発現を示した。他の2個の乳癌細胞株では、特にハーセプチン(herceptin)抵抗細胞株JIMT−1の場合、ハーセプチン敏感性SK−BR−3(2.57X104copies/ng全体RNA)の2倍以上の発現レベル(6.09X104copies/ng全体RNA)を示した。7つの互いに異なる癌細胞株に比べて、正常細胞株HDFは極めて低いレベルの発現(1.17X103copies/ng全体RNA)を示した。19人の患者のうち、12人の腫瘍において高い発現を現わしたRQデータと比較してAQは、3.50X10乃至2.51X103の範囲を有する正常患者のそれに比べて3.44X102乃至3.27X104copies/ng全体RNAを示し、殆どすべての患者(paired T-test p=0.00013)の腫瘍において、eIF3mの顕著に増加した発現を示した(図2b)。細胞株の同一のセット及び組織対において、eIF3m蛋白質レベルを確認した。培養された癌細胞株は、正常細胞株HDFに比べて高いeIF3m発現レベルを示し、それらの発現強度は転写レベルと一致した(図2c)。翻訳レベルで乳癌細胞株のeIF3m発現は、前記言及されたような転写レベルと類似するように示された。eIF3m蛋白質発現も正常大腸組織及び腫瘍大腸組織の間に差があったが、転写レベルでは顕著に有意的ではなかった(図2d)。
【0074】
発現差を確認するために、更に20個の対になった患者組織におけるmRNAと蛋白質との発現レベルを測定した(図3a及び図3b)。そして、密度計測器を用いて正常組織と腫瘍組織間の蛋白質発現差を確認した(図3c)。eIF3mの平均密度は、正常組織(66.6)に比べて腫瘍組織(86.6)で1.3倍高かった(paired t-test p=0.00098)。ベータ−クチンで標準化された密度の変化は1.3倍であった(p=0.00070)。
【0075】
このような分析結果は、eIF3mが大腸組織だけでなく、細胞株で腫瘍状態と連関されている事実を暗示する。
【0076】
[eIF3m mRNA発現の組織特異性]
eIF3m発現の腫瘍特異性を窺ってみるために、ノーザン混成化による転写レベルでの発現を測定した。正常組織心臓、骨格筋、腎臓、肝、子宮、及び末梢血液白血球では増加した発現を示したが、脳、大腸、胸腺、小腸、及び肺では検出可能な発現シグナルを示されず、ベータ−アクチン(β-actin)の場合はすべての組織で殆ど一致した(図4a)。ヒト癌細胞株もeIF3m mRNAの発現を示した(図4b)。いくつかの白血病細胞株及びリンパ腫細胞株でeIF3m発現は極めて強く示され、結腸腺癌(colorectal adenocarcinoma)SW480でeIF3m発現は黒色腫(melanoma)より高く示された。肺癌細胞株A549での発現レベルもqRT−PCRによって高いレベルで測定された。しかし、このような混成化においてeIF3m転写体のスプライス変異体(splice variant)は観察されなかった。
【0077】
また、大腸腺癌患者から正常−腫瘍組織対を収得してqRT−PCRを用い、転写レベルでeIF3mの発現を分析した(図5)。その結果、大部分の患者において腫瘍組織のeIF3m転写レベルが顕著に増加したことを確認し、一部の患者において、その発現増加は正常組織に比べて約10倍程度高い発現レベルを示したした(図5a#33及び#34参照)。また、ウエスタンプロット分析においても正常組織に比べて顕著に厚いバンドを示すと確認された。(図5b)
【0078】
[ヒト大腸癌組織のeIF3mの優勢表現確認]
qRT−PCR及びウエスタンプロットにより観察されたeIF3mの発現は、正常組織においての発現からも観察された。eIF3mが組織で特異的細胞上のみで発現するか否かの有無を確認するために、IHC(immunohistochemistry)により組織セクション(section)を観察した。ウエスタンプロットに用いるための同じ1次抗体をよく分化したリンパ節転移性大腸腺癌(図6a、c)及び中間程度分化した大腸腺癌の細胞に処理した(図6d、f)。その結果、腫瘍領域の細胞内eIF3mの顕著な発現を観察することができ(図6c、f)、これは隣接したリンパ節(lymph node、LN)内の細胞内でも観察された(図6a)。しかし、腫瘍周囲組織(peritumoral tissue)の上皮領域では低いシグナルが観察された。
【0079】
そこは大腸の内層内腔(lining lumen)部位であり、前記部位は常に再生が生じる部位である(図6b、e)。eIF3m発現の細胞下部位(subcellular location)は拡大して確認することができた。前記発現は、青色内対比染色された核内では観察されず、腫瘍周囲及び腫瘍領域すべての細胞質(cytosol)に限定された。隙間(crypt)領域内の上皮細胞と比較して、それらの間に存在する基質細胞はさらに低いレベルで発現され、筋肉層(図6a、d)では観察されなかった。肝組織上の転移性癌においてもeIF3mの強い発現が示された(図6g乃至i)。腫瘍周辺領域は、相対的にきれいに示されたが、転移性領域はeIF3mの強い発現を示し、図6g及び6fに示されたような大腸腺癌に対する腫瘍の形態と類似するように示された。肝細胞癌(hepatocelluar carcinoma)で強いeIF3m発現を示した(図6j及び6l)。反応性増殖が生じる硬化(cirrhosis)領域のRN(regenerating nodules)も正常の場合の周辺に比べて高いeIF3m発現を示した。類似するのに、卵巣癌(serous cystadno carcinoma;図6M及び6O)は、卵巣組織の腫瘍周辺領域と比較してさらに強いeIF3m発現を示した。このような結果は、腫瘍内に形質転換されなかったが、細胞増殖が活発に生じる腫瘍及び腫瘍周辺組織領域でeIF3mが発現するということを意味する。
【0080】
[eIF3m発現のサイレンシングは、ヒト大腸癌細胞の増殖を減少させる]
免疫組織化学法(IHC)によって確認された腫瘍周辺領域でのeIF3mの低い発現量は, eIF3mが腫瘍進行だけでなく増殖活性とも関連があるということを示唆する。eIF3mが細胞増殖に及ぶ影響を確認するために、siRNAを用いてHCT−116大腸癌細胞でeIF3m mRNA発現のサイレンシング効果を分析した。まず、本発明者らは、HCT−116大腸癌細胞を緩衝溶液(BF)、非−ヒト陰性対照群siRNA(NC)及び、eIF3m特異的siRNA−1/−3で形質感染させた。そして、形質感染後、96時間、eIF3m発現を24時間毎にウエスタンブロットで確認した(図7a及び図8a)。siRNAによる形質感染後、24時間から96時間の間にeIF3m発現が減少された。これと対照的に、BFまたはNCは、eIF3m発現に影響を及ぼさなかった。BFとNCを処理した以後、細胞成長率(confluency)は急激に増加して72時間の際に停滞期に到達したが図7b)、eIF3m siRNA−1で形質感染後、24時間からは増殖が減少した。eIF3m siRNAで形質感染96時間経過後、細胞成長率は、BFまたはNCに比べて低かった(図7b)。形質感染72時間経過後、NCで感染させた際に6倍、BFで感染させた際に5倍増加したが、eIF3m siRNAで感染させた際には3倍以上増加しないことをMTT分析で確認した(図7c)。このような結果は、他のsiRNAであるsiRNA−3を通じても再び確認された(図8b)。siRNA−1、siRNA−3のサイレンシング効率は、NCに比べて96時間でそれぞれ46.4%(Student’s t-test p=1.3X10-5)、65.3%(Student’s t-test p=2.8X10-9)であった。このような結果は、eIF3m発現をサイレンシングすると、癌細胞増殖が遅延されるということを意味する。
【0081】
[eIF3m関連転写体]
eIF3mは、eIF3の「非−中心」サブユニット中の一つとして知られている。推定eIF3mは40Sリボソームサブユニット(ribosomal subunit)の構成要素中の一つであり、生理学的要求により細胞増殖と共に連携され転写体の小集合(subset)の発現に関与することができる。従って、本発明者らはeIF3mが高いレベルで発現する関連転写体を明らかにするためにリボノミックス戦略(ribonomics strategy)を導入した。eIF3mをFLAGタギング発現プラスミドにクローンし、HCT−116大腸癌細胞株内CMV2プロモーターによって調節されるように発現させた。形質感染48時間経過後、培養された細胞を収得して溶解物をFLAG−M2親和性ゲルで免疫沈殿させた。eIF3m導入されたプラスミドはウエスタンプロット上のeIF3mバンドサイズで示された反面、空ベクターを有した対照群は前記バンドが示されない(図9a)。前記のような条件をRNA抽出のために、免疫沈殿された細胞溶解物収得用として使用した。空ベクターからのRNAは認識可能なRNAを示されなかったが、eIF3mが挿入された発現クローンは免疫沈殿から検出可能なRNAの量を示した(図9b)。このようなRNAを前述したようにcDNAライブラリーを製造するために使用した。ランダムに344個のクローンを選択し、181個を成功的に配列分析し、eIF3m関連した遺伝子のうち、代表的な81種類を下記表2に示した。前記配列等は75個のリボソーム蛋白質遺伝子(41.4%)、eIF3mその自体(25.4%)、54個の単一代表的遺伝子(29.8%)及び、8個の分類されなかった種類等(4.4%)を含む。オントロジー分析によってこのような遺伝子等を機能的に分類した結果、eIF3m関連性転写体の大部分は蛋白質翻訳(蛋白質結合、リボソームの構造的構成成分、翻訳因子活性及び、リボヌクレオ蛋白質結合)及び、RNA結合(核酸結合、RNA結合及び、rRNA結合)と関連した遺伝子をインコードすることと示された(図10)。注目するほどの他の分類は金属イオン結合活性であった(カドミウムイオン結合及び銅イオン結合)。このような転写体において追加的な研究のために、本発明者らは候補遺伝子、大食細胞(macrophage)移動抑制因子(macrophage migration inhibitory factor、 MIF)を選択した。eIF3m siRNA処理されたHCT−116細胞溶解物をウエスタンプロットで観察してみた結果、MIFの発現はeIF3mの発現が減少することに応じて48時間まで減少した反面、72時間からは再び回復した(図11a)。UC1MT抗体はMT1とMT2アイソフォーム(isoform)を探知するが、MT2Aはリボノミックスでの主な形態である。従って、私達は、UC1MT抗体を用いてMT2A蛋白質を探知しようとした。MT2A蛋白質レベルも48時間まで減少したが、MIFと異なって正常レベルに回復されなかった(図11b)。しかし、mRNAレベルが蛋白質レベルと一致しなかったが、他の方法で小さい変化を示した(図12a、b及びc)。翻訳効率を調整するか、目標mRNAの安定性に影響を及ぼすことにより、eIF3mが細胞増殖遺伝子に関連した下位集合の発現に影響を及ぼすということを意味するところである。
【0082】
また、HCT−116細胞内eIF3m発現によって調節される翻訳を調節できるか否かを確認した。Lim et al.(2009)が乳癌細胞でのサイレンシングによるCDC25A(cell division cycle 25 homolog A)分解及びG1−停止に対して報告した以後、本発明者らは、eIF3mサイレンシングがCDC25Aレベルに及ぶ影響を観察し、24時間からCDC25Aが減少し始め72時間まで持続することを確認した(図13)。このような結果は、eIF3m発現が細胞周期調節に影響を及ぼすということを意味するところである。
【0083】
【表2】
【0084】
【0085】
【0086】
【0087】
[細胞周期上においてeIF3mサイルロンシンの効果]
細胞増殖または、細胞死滅は、細胞分化周期と密接に関連しているが、これは細胞周期の連続性は増殖または、自家死滅すべてを決める初期関門であるからである。したがって、図7に示された細胞増殖抑制において、eIF3mサイレンシングの結果との関連性を研究するために、本発明者らは流細胞分析(flow cytometry)によりeIF3mノックダウン(knock down)HCT−116細胞株の細胞周期進行を分析した。HCT−116細胞をBF及びNC対照群と共にeIF3m siRNAで処理した。siRNA形質感染24時間後、NC、BF、またはeIF3m siRNAにおいて各有糸分裂(mitosis)において、比率上の目立つ差は観察されなかった(図14、15)。24時間乃至48時間ごとで進行しながら、eIF3mがsiRNA処理された細胞でsub−G0/G1ステップの比率は、1.65%乃至7.87%に増加した反面、BF及びNCのsub−G0/G1は各々相変らず1.44%及び2.37%を維持した。興味深く、eIF3m siRNA−1を形質感染させた細胞のSステップ比率が26.40%から22.16%に減少した反面、BF及びNCではそれぞれ24.67%から30.12%に、26.00%から31.06%に増加した。細胞を72時間培養した際に、sub−G0/G1ステップの比率増加は、eIF3m siRNA−1(11.36%)がBF(1.97%)、NC(2.78%)に比べて優勢した。同一時間でSステップの比率は、eIF3m siRNA−1(23.73%)がBF(29.15%)、NC(25.67%)に比べて低かった。さらに、以前の時間で明らかな差を示さなかったG2/Mステップの比率は、72時間でeIF3m siRNA−1がBF(27.03%)とNC(29.46%)に比べて22.91%に減少した。このような傾向は、96時間維持され、sub−G0/G1ステップの比率は、eIF3m siRNA−1が12.36%を示したが、BF(0.49%)、NC(0.91%)では低かった。反面に、Sステップの比率は、BF(32.22%)、NC(30.56%)に比べてeIF3m siRNA−1(19.49%)で低かったし、これと類似するにG2/Mステップの比率もBF(25.63%)、NC(27.40%)に比べてeIF3m siRNA−1(21.81%)で低かった。24時間以後からeIF3m siRNA−3のsub−G0/G1ステップの比率も増加して96時間でBF(2.52%)、NC(3.31%)に比べて11.26%を示し、G2/Mステップの比率は、BF(31.16%)、NC(29.22%)に比べて減少(19.75%)した。即ち、eIF3m発現のサイレンシングは、sub−G0/G1ステップの比率を増加させ、細胞死滅を生じることを示す。従って、eIF3m発現は、細胞周期が持続するのに必要であり、結局、細胞増殖に必要であることを意味する。
【0088】
本発明の実施形態は、例示的な目的として開示されたが、当業者らは、添付された特許請求の範囲に記述されたような本発明の範囲及び思想を逸脱せず、様々な変形、添加、及び代替が可能であることを認識するでしょう。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
eIF3mのmRNAまたはその蛋白質の発現レベルを測定する製剤を含む、癌マーカー検出用組成物。
【請求項2】
前記ポリヌクレオチドのmRNA発現レベルを測定する製剤は、前記ポリヌクレオチドに特異的に結合するプライマー対、プローブおよびアンチセンスオリゴヌクレオチドである、請求項1に記載の癌マーカー検出用組成物。
【請求項3】
前記eIF3mの蛋白質発現レベルを測定する製剤は、抗体である、請求項1に記載の癌マーカー検出用組成物。
【請求項4】
前記癌マーカーは、肺癌、乳癌、肝癌、白血病、リンパ腫、大腸癌、黒色腫及び、結腸癌より構成された群から選ばれた癌を対象とする、請求項1に記載の癌マーカー検出用組成物。
【請求項5】
請求項1乃至4のうち、いずれかの組成物を含む、癌診断用キット。
【請求項6】
前記キットは、RT−PCRキット、競争的RT−PCRキット、実時間RT−PCRキット、実時間RT−PCRキット、DNAチップキットまたは、蛋白質チップキットであることを特徴とする、請求項5に記載の癌診断用キット。
【請求項7】
(a)生物学的試料を提供するステップ;
(b)前記生物学的試料に請求項2の製剤を処理するステップ;
(c)前記製剤と前記製剤に相補的なポリヌクレオチドの結合を検出するステップ;及び
(d)検出された量を正常対照群と比較するステップを含む、eIF3mポリヌクレオチドを検出する方法。
【請求項8】
(a)生物学的試料を提供するステップ;
(b)前記生物学的試料にeIF3m蛋白質に対する抗体を処理するステップ;
(c)抗体−抗原複合体を検出するステップ;及び
(d)検出された量を正常対照群と比較するステップを含む、eIF3m蛋白質を検出する方法。
【請求項9】
eIF3mポリヌクレオチドの発現を抑制するオリゴヌクレオチドを含む、癌治療及び予防用組成物。
【請求項10】
前記オリゴヌクレオチドは、eIF3m遺伝子に対して特異的なアンチセンスオリゴヌクレオチド、アプタマー、siRNAまたはshRNAである、請求項9に記載の癌治療及び予防用組成物。
【請求項11】
eIF3mポリペプチドの活性を抑制する抗体またはその抗原結合断片を含む、癌治療及び予防用組成物。
【請求項12】
前記癌は、肺癌、乳癌、肝癌、白血病、リンパ腫、大腸癌、黒色腫及び、結腸癌より構成された群から選ばれた癌である、請求項9または11に記載の癌治療及び予防用組成物。
【請求項13】
eIF3mポリペプチドおよび/またはポリヌクレオチドを発現する細胞に候補化合物を処理するステップ;及び
細胞でeIF3mポリペプチドおよび/またはポリヌクレオチドの発現レベルを測定するステップを含む、癌治療剤のスクリーニング方法。
【請求項1】
eIF3mのmRNAまたはその蛋白質の発現レベルを測定する製剤を含む、癌マーカー検出用組成物。
【請求項2】
前記ポリヌクレオチドのmRNA発現レベルを測定する製剤は、前記ポリヌクレオチドに特異的に結合するプライマー対、プローブおよびアンチセンスオリゴヌクレオチドである、請求項1に記載の癌マーカー検出用組成物。
【請求項3】
前記eIF3mの蛋白質発現レベルを測定する製剤は、抗体である、請求項1に記載の癌マーカー検出用組成物。
【請求項4】
前記癌マーカーは、肺癌、乳癌、肝癌、白血病、リンパ腫、大腸癌、黒色腫及び、結腸癌より構成された群から選ばれた癌を対象とする、請求項1に記載の癌マーカー検出用組成物。
【請求項5】
請求項1乃至4のうち、いずれかの組成物を含む、癌診断用キット。
【請求項6】
前記キットは、RT−PCRキット、競争的RT−PCRキット、実時間RT−PCRキット、実時間RT−PCRキット、DNAチップキットまたは、蛋白質チップキットであることを特徴とする、請求項5に記載の癌診断用キット。
【請求項7】
(a)生物学的試料を提供するステップ;
(b)前記生物学的試料に請求項2の製剤を処理するステップ;
(c)前記製剤と前記製剤に相補的なポリヌクレオチドの結合を検出するステップ;及び
(d)検出された量を正常対照群と比較するステップを含む、eIF3mポリヌクレオチドを検出する方法。
【請求項8】
(a)生物学的試料を提供するステップ;
(b)前記生物学的試料にeIF3m蛋白質に対する抗体を処理するステップ;
(c)抗体−抗原複合体を検出するステップ;及び
(d)検出された量を正常対照群と比較するステップを含む、eIF3m蛋白質を検出する方法。
【請求項9】
eIF3mポリヌクレオチドの発現を抑制するオリゴヌクレオチドを含む、癌治療及び予防用組成物。
【請求項10】
前記オリゴヌクレオチドは、eIF3m遺伝子に対して特異的なアンチセンスオリゴヌクレオチド、アプタマー、siRNAまたはshRNAである、請求項9に記載の癌治療及び予防用組成物。
【請求項11】
eIF3mポリペプチドの活性を抑制する抗体またはその抗原結合断片を含む、癌治療及び予防用組成物。
【請求項12】
前記癌は、肺癌、乳癌、肝癌、白血病、リンパ腫、大腸癌、黒色腫及び、結腸癌より構成された群から選ばれた癌である、請求項9または11に記載の癌治療及び予防用組成物。
【請求項13】
eIF3mポリペプチドおよび/またはポリヌクレオチドを発現する細胞に候補化合物を処理するステップ;及び
細胞でeIF3mポリペプチドおよび/またはポリヌクレオチドの発現レベルを測定するステップを含む、癌治療剤のスクリーニング方法。
【図1】
【図9】
【図10】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図11】
【図9】
【図10】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図11】
【公表番号】特表2012−501193(P2012−501193A)
【公表日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−538576(P2011−538576)
【出願日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際出願番号】PCT/KR2010/006878
【国際公開番号】WO2011/052906
【国際公開日】平成23年5月5日(2011.5.5)
【出願人】(510153696)ナショナル キャンサー センター (2)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際出願番号】PCT/KR2010/006878
【国際公開番号】WO2011/052906
【国際公開日】平成23年5月5日(2011.5.5)
【出願人】(510153696)ナショナル キャンサー センター (2)
【Fターム(参考)】
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