説明

癌を抑制する放射性物質及びその調整方法

【課題】癌を抑制する放射性物質及びその調整方法の提供。
【解決手段】癌を抑制する放射性物質はM- SOCTA- Zで、Mは放射性核種で、188Re或いは99mTcで、ZはNH或いはNH2基団を含むアミノ酸のタンパク質あるいはペプチド類である。該癌を抑制する放射性物質の調整方法のステップは、SOCTAとタンパク質或いはペプチドを反応させ、SOCTAのエステル類構造(-COOR)とアミン類(-NH、- NH2)のボンド結合を利用し、ペプチドボンド(peptide bomd)のボンド結合を形成し、SOCTA-protein複合物を形成する。さらに該SOCTA-protein複合物と放射性核種Mを反応させ、M- SOCTA-protein或いはM- SOCTA-peptideを形成し、該放射性核種とタンパク質の特性を対応させ、M- SOCTA-protein或いはM- SOCTA-peptideを癌の診断或いは治療に用いることができる。本発明はハーセプチン(Herceptin)単株抗体の運用例であり、SOCTAの結合に、さらに放射線を組合せた治療方式に応用し、癌(乳癌など)の治療効果を高めることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一種の癌を抑制する放射性物質及びその調整方法に関する。特に一種の188Re- SOCTA-Herceptinの放射性物質とその調整方法で、癌細胞(乳癌細胞など)の生長を阻害し、癌細胞を破壊し、癌(乳癌など)の治療効果を向上させる癌を抑制する放射性物質及びその調整方法に係る。
【背景技術】
【0002】
女性は40歳以降、及び閉経後はホルモンの変化により乳癌、卵巣癌、子宮頸癌の発生率が増加する。乳癌は乳腺管細胞或いは腺泡細胞が異常な分裂を起こし繁殖し形成される悪性腫瘍である。これら悪性腫瘍は局部器官(乳房)を犯すだけでなく、離れた器官(骨格、肝臓、肺、脳など)に転移する可能性があり、身体の重要な器官の機能を破壊し、生命に危害を及ぼす。
台湾衛生署の統計データによれば、台湾の乳癌発生率と死亡率は年々増加しており、乳癌は、台湾女性の罹患する癌で2005年は第四位、欧米各国では第一位となっている。乳癌の悪化は多くの患者とその家庭に重大な生理的かつ心理的負担をもたらすため、台湾では既に乳癌は非常に重要な問題となっている。
乳癌の治療は伝統的には外科治療、補助薬物治療、ホルモン療法、放射線治療があるが、最近は乳癌の治療で画期的な進展があった。それが抗体治療である。これはハーセプチン(Herceptin)単株抗体を利用し、乳癌細胞上に位置するHer-2/neu(又はErb B-2)の抗原に対抗するものである。
【0003】
1983年Haymanなど、ニワトリの肉瘤或いは赤芽球症(erythroblastosis)の細胞内において、炭化タンパクを発生する発癌遺伝子を発見し、erb B-2と命名したことをレポートで明らかにした。
1986年にはBargmaなどが、ラットの神経胚芽細胞瘤(neuroblastoma)内において、ニワトリ赤芽球症(erythroblastosis)にフェーズ似の発癌遺伝子を発見し、neu(erb B-2)と命名し、後に人類正常細胞内の上皮生長因子EGFR遺伝子と酷似した発癌遺伝子HER-2(human epidermal growth factor receptor-2)を発見した。このため、正式名称をC-erb-B2/Her-2/neuとし、略称をHer-2/neuと命名した。この遺伝子のタンパク質産物はp185HER-2で、乳癌患者の癌細胞内においては約30%のHer-2/neuの突然変異現象が見られる。よってこの発癌遺伝子は乳癌細胞を確認するための重要な指標の一つとなっている。さらにHer-2/neuの高発癌は非小細胞肺癌、胃癌、前立腺癌、卵巣癌、子宮頸癌などの他の癌でもしばしば見られる。しかもHer-2/neu高発癌は若干の癌では予後の重要な因子と見なされる。
【0004】
Baselgaなどの学者は先ず、ハーセプチン(Herceptin)を用い実験を行った。46例の転移性乳癌にHer-2/neuの高発癌が合わさった患者に治療を施し、その反応率は11.6%であった。続いて、より規模の大きい第二レベルの臨床実験を行い、222例の類似の患者が化学治療で効果を得られなかった後にハーセプチン(Herceptin)治療を受け、反応率は16%であり、制御期間は9.1ヶ月であった。
16%の反応率は抗癌薬物としては話しにならないほどに低いが、実験に参加したすべての患者は多種の化学治療を受け効果が出なかった訳で、その癌細胞は非常に頑強である。よって、このような結果は重大な進歩と言うことができる。
独特の抗癌治療効果及び転機によりハーセプチン(Herceptin)は既に米国では優先審査薬品に列記されている。また1998年9月末、米国食品薬物管理局(FDA)から販売許可を受け、発癌遺伝子Her-2/neu oncogene高発癌型で、しかも一種(或いは一種以上)の化学療法で効果が見られない転移性乳癌患者の治療に用いられている。本研究はハーセプチン(Herceptin)に放射免疫治療方式を組合せ、188Reが放出するβ粒子を利用し乳癌細胞を破壊し、治療効果を増強する。
ハーセプチン(Herceptin)は乳癌Her-2/neu高発癌型患者に対して非常に高い治療効果を有する。単一薬物は約30%の腫瘍緩解率を示し、Her-2/neu receptorのジメライゼイション (dimerization)及びリン酸化を抑制することができる。こうして癌細胞生長を遅らせ、さらには死亡に至らせる。
ハーセプチン(Herceptin)と伝統的な化学療法の併用は、乳癌に対して高い制御効果を発揮する。アンスラサイクリンとシクロフォスファミド( Anthracyclines and cyclophosphamide)などの伝統的化学療法は臨床報告で転移線乳癌患者の病状制御に非常に有効であることが臨床報告に記載されている。
【0005】
188Reは188W子核種で、半減期は16.9時間である。放射可能なβ粒子は2.2MeV、γ線155keVに達し、診断と治療効果を兼ね備える数少ない放射性同位元素である。SOCTAは本研究機関核エネルギー研究所化学組の林正憲博士が合成した新双官能基有機配位子で、その化学構造中には活性化したカルボン酸を含み、タンパク質或いはペプチドをボンド結合することができる(本発明中では単株抗体ハーセプチン(Herceptin)をボンド結合する)。また、N2S2配位子を有しレニウムとテクネチウムをボンド結合することができる。よってタンパク質或いはペプチドをレニウム或いはテクネチウムにより標識とする化合物SOCTAは適当な選択である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の主要目的は、単株抗体ハーセプチン(Herceptin)の抗癌効果を高めるために、癌を抑制する放射性物質及びその調整方法を提供し、ハーセプチン(Herceptin)を利用し乳癌細胞上のHer-2/neu発癌遺伝子の作用を抑制し、ハーセプチン(Herceptin)とSOCTAをボンド結合させ、SOCTAを放射性同位元素M(188Reなど)にボンド結合し、188Re-SOCTA-Herceptinの構造を形成し、該構造上の同位元素188Reを利用し2.2MeVのβ粒子を放射し、組織貫通が6.4-11mmである特徴とハーセプチン(Herceptin)の既存の抗癌特性により、癌細胞(乳癌細胞など)の成長を阻害し、癌細胞を破壊し、癌(乳癌など)治療の効果を達成する。
【0007】
本発明の次要目的は、癌を抑制する放射性物質及びその調整方法を提供する。
該癌を抑制する放射性物質は放射性元素及び単株抗体ハーセプチン(Herceptin)を備えるため、癌細胞(乳癌細胞など)の生長抑制を強化し癌細胞を破壊し、癌(乳癌など)の治療効果を向上させることができる。
また該癌を抑制する放射性物質の調整方法は一段式の合成ステップを使用し、癌を抑制する放射性物質(188Re-SOCTA-Herceptinなど)の合成時間を短縮可能で、該癌を抑制する放射性物質の調整生産率を高めることができる。
該癌を抑制する放射性物質は以下の化学構造式1を含み、内、Mは188Re及び99mTcのグループの内の一つで、Zはアミン類基団を含むアミノ酸のタンパク質及びアミン類基団を含むアミノ酸のペプチドグループの内の一つである。
該癌を抑制する放射性物質の調整方法のステップは、SOCTAとタンパク質或いはペプチドを反応させ、SOCTA複合物を形成し、該SOCTA複合物はSOCTA-protein複合物及びSOCTA-peptide複合物のグループの内の一つで、及び該SOCTA複合物とMを反応させ、M-SOCTA複合物を形成し、該Mは188Re及び99mTcのグループの内の一つで、しかも該M-SOCTA複合物は188Re-SOCTA-protein複合物、188Re-SOCTA-peptide複合物、99mTc-SOCTA-protein複合物、99mTc-SOCTA-peptide複合物のグループの内の一つで、しかも該M-SOCTA複合物は癌を抑制する放射性物質である。
【化1】

【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の発明は、癌を抑制する放射性物質は以下の化学構造式2を含み、内、Mは188Re及び99mTcのグループの内の一つで、Zはアミン類基団を含むアミノ酸のタンパク質及びアミン類基団を含むアミノ酸のペプチドグループの内の一つであることを特徴とする癌を抑制する放射性物質としている。
【化2】

請求項2の発明は、請求項1記載の癌を抑制する放射性物質において、前記アミン類基団は-NH及び-NH2のグループの内の一つであることを特徴とする癌を抑制する放射性物質としている。
請求項3の発明は、請求項1記載の癌を抑制する放射性物質において、前記アミン類基団のアミノ酸はリシン(Lysine)、アルギニン(Arginine)、グルタミン(Glutamine)、アスパラギン(Asparagine) のグループの内の一つであることを特徴とする癌を抑制する放射性物質としている。
請求項4の発明は、請求項1記載の癌を抑制する放射性物質において、前記アミン類基団のアミノ酸のタンパク質は単株抗体であることを特徴とする癌を抑制する放射性物質としている。
請求項5の発明は、請求項4記載の癌を抑制する放射性物質において、前記単株抗体はハーセプチン(Herceptin)単株抗体であることを特徴とする癌を抑制する放射性物質としている。
【0009】
請求項6の発明は、癌を抑制する放射性物質の調整方法のステップは、
SOCTAとタンパク質或いはペプチドを反応させ、SOCTA複合物を形成し、該SOCTA複合物はSOCTA-protein複合物及びSOCTA-peptide複合物のグループの内の一つで、
該SOCTA複合物とMを反応させM- SOCTA複合物を形成し、該Mは188Re及び99mTcのグループの内の一つで、しかも該M- SOCTA複合物は188Re-SOCTA-protein複合物、188Re-SOCTA-peptide複合物、99mTc-SOCTA-protein複合物、99mTc -SOCTA-peptide複合物のグループの内の一つで、
該M- SOCTA複合物は癌を抑制する放射性物質であることを特徴とする癌を抑制する放射性物質の調整方法としている。
請求項7の発明は、請求項6記載の癌を抑制する放射性物質の調整方法において、前記タンパク質はハーセプチン(Herceptin)単株抗体で、SOCTA-protein複合物はSOCTA-Herceptin複合物で、M- SOCTA-protein複合物は188Re-SOCTA-Herceptin複合物であることを特徴とする癌を抑制する放射性物質の調整方法としている。
請求項8の発明は、請求項7記載の癌を抑制する放射性物質の調整方法において、前記SOCTAと該ハーセプチン(Herceptin)単株抗体反応が該SOCTA-Herceptin複合物を形成するステップにおいて、該SOCTAと該ハーセプチン(Herceptin)は結合反応を行うことを特徴とする癌を抑制する放射性物質の調整方法としている。
請求項9の発明は、請求7の癌を抑制する放射性物質の調整方法において、前記SOCTAと該ハーセプチン(Herceptin)単株抗体反応が該SOCTA-Herceptin複合物を形成するステップにおいては、さらに該SOCTAをジメチルホルムアミド(DMF)溶液に溶解させ、該ハーセプチン(Herceptin)をN-ジハイドロキエチルピレラジン-N'-ジエタンサルフォニック酸(N-[2-Hydroxyethyl]piperazine-N'-[2-ethanesulfonic acid] )緩衝液(HEPES Buffer)に溶解させるステップを含むことを特徴とする癌を抑制する放射性物質の調整方法としている。
請求項10の発明は、請求項7記載の癌を抑制する放射性物質の調整方法において、前記SOCTAと該ハーセプチン(Herceptin)単株抗体反応が該SOCTA-Herceptin複合物を形成するステップにおいて、該SOCTAと該ハーセプチン(Herceptin)の最適モル数比は1:1であることを特徴とする癌を抑制する放射性物質の調整方法としている。
請求項11の発明は、請求項7記載の癌を抑制する放射性物質の調整方法において、前記SOCTAと該ハーセプチン(Herceptin)単株抗体反応が該SOCTA-Herceptin複合物を形成するステップは室温下で反応させることを特徴とする癌を抑制する放射性物質の調整方法としている。
請求項12の発明は、請求項7記載の癌を抑制する放射性物質の調整方法において、前記SOCTAと該ハーセプチン(Herceptin)単株抗体反応が該SOCTA-Herceptin複合物を形成するステップには透析のステップを含むことを特徴とする癌を抑制する放射性物質の調整方法としている。
請求項13の発明は、請求項7記載の癌を抑制する放射性物質の調整方法において、前記SOCTA-Herceptin複合物と該188Reを反応させ該188Re-SOCTA-Herceptin複合物を形成するステップにおいて、該188Reは188Re高レニウム酸塩溶液(188Re perrhenate solution)により提供することを特徴とする癌を抑制する放射性物質の調整方法としている。
請求項14の発明は、請求項7記載の癌を抑制する放射性物質の調整方法において、前記SOCTA-Herceptin複合物と該188Reを反応させ該188Re-SOCTA-Herceptin複合物を形成するステップにおいては、さらに
先ず該188レニウム(188Re)、グルコヘプトネート(Glucoheptonate)と塩化スズ(SnCl2)を反応させ、188Re-Glucoheptonateを得、
188Re-Glucoheptonateと該SOCTA-Herceptinを反応させ、該188Re-SOCTA-Herceptinを得る二段式ステップを含むことを特徴とする癌を抑制する放射性物質の調整方法としている。
請求項15の発明は、請求項14記載の癌を抑制する放射性物質の調整方法において、前記188レニウム(188Re)、グルコヘプトネート(Glucoheptonate)と塩化スズ(SnCl2)を反応させ188Re-Glucoheptonateを得るステップ中の該グルコヘプトネートと該塩化スズの重量費は1.5:1〜5.4:1であることを特徴とする癌を抑制する放射性物質の調整方法としている。
請求項16の発明は、請求項15記載の癌を抑制する放射性物質の調整方法において、前記188レニウム(188Re)、グルコヘプトネート(Glucoheptonate)と塩化スズ(SnCl2)を反応させ188Re-Glucoheptonateを得るステップ中の該グルコヘプトネートと該塩化スズの最適重量比は1.6:1であることを特徴とする癌を抑制する放射性物質の調整方法としている。
請求項17の発明は、請求項14記載の癌を抑制する放射性物質の調整方法において、前記188レニウム(188Re)、グルコヘプトネート(Glucoheptonate)と塩化スズ(SnCl2)を反応させ188Re-Glucoheptonateを得るステップ中の該グルコヘプトネート(Glucoheptonate)はキレート剤であることを特徴とする癌を抑制する放射性物質の調整方法としている。
請求項18の発明は、請求項14記載の癌を抑制する放射性物質の調整方法において、前記188Re-Glucoheptonateと該SOCTA-Herceptinを反応させ該188Re-SOCTA-Herceptinを得るステップの反応温度は室温或いは37℃であることを特徴とする癌を抑制する放射性物質の調整方法としている。
請求項19の発明は、請求項7記載の癌を抑制する放射性物質の調整方法において、前記SOCTA-Herceptin複合物と該188Reを反応させ該188Re-SOCTA-Herceptin複合物を形成するステップ中には、該188レニウム(188Re)、グルコヘプトネート(Glucoheptonate)、塩化スズ(SnCl2)及び該SOCTA-Herceptin複合物に一段式反応を行わせ、188Re-SOCTA-Herceptin複合物を得る最適ステップを含むことを特徴とする癌を抑制する放射性物質の調整方法としている。
請求項20の発明は、請求項19記載の癌を抑制する放射性物質の調整方法において、前記188レニウム(188Re)、グルコヘプトネート(Glucoheptonate)、塩化スズ(SnCl2)及び該SOCTA-Herceptin複合物に一段式反応を行わせ、188Re-SOCTA-Herceptin複合物を得る最適ステップ中の該グルコヘプトネートと該塩化スズの重量比は1.5:1〜5.4:1であることを特徴とする癌を抑制する放射性物質の調整方法としている。
請求項21の発明は、請求項20記載の癌を抑制する放射性物質の調整方法において、前記188レニウム(188Re)、グルコヘプトネート(Glucoheptonate)、塩化スズ(SnCl2)及び該SOCTA-Herceptin複合物に一段式反応を行わせ、188Re-SOCTA-Herceptin複合物を得る最適ステップ中の該グルコヘプトネートと該塩化スズの重量比は1.6:1であることを特徴とする癌を抑制する放射性物質の調整方法としている。
請求項22の発明は、請求項19記載の癌を抑制する放射性物質の調整方法において、前記188レニウム(188Re)、グルコヘプトネート(Glucoheptonate)、塩化スズ(SnCl2)及び該SOCTA-Herceptin複合物に一段式反応を行わせ、188Re-SOCTA-Herceptin複合物を得る最適ステップ中の反応温度は室温或いは37℃であることを特徴とする癌を抑制する放射性物質の調整方法としている。
請求項23の発明は、請求項6記載の癌を抑制する放射性物質の調整方法において、前記SOCTAと該タンパク質或いは該ペプチドを反応させ、該SOCTA複合物を形成するステップ中において、該SOCTAのエステル類構造(-COOR)とタンパク質或いはペプチドボンド結合のアミン類(-NH、- NH2)を反応させ、ペプチドボンド(peptide bomd)のボンド結合を形成し、該SOCTA複合物を形成することを特徴とする癌を抑制する放射性物質の調整方法としている。
【発明の効果】
【0010】
本発明癌を抑制する放射性物質及びその調整方法の癌を抑制する放射性物質の調整方法は一段式合成ステップを使用し、癌を抑制する放射性物質(188Re-SOCTA-Herceptinなど)合成の時間を短縮し、その生産率を高めることができる。該癌を抑制する放射性物質は放射性元素及び単株抗体ハーセプチン(Herceptin)を備えるため、癌細胞(乳癌細胞など)の生長抑制を強化し、癌細胞を破壊することができ、癌(乳癌など)の治療効果を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明癌を抑制する放射性物質は以下の化学構造式3を含み、内、Mは188Re及び99mTcのグループの内の一つで、Zはアミン類基団を含むアミノ酸のタンパク質及びアミン類基団を含むアミノ酸のペプチドグループの内の一つである。該アミン類基団は-NH及び-NH2の内の一つである。該アミン類基団のアミノ酸はリシン(Lysine)、アルギニン(Arginine)、グルタミン(Glutamine)、アスパラギン(Asparagine) のグループの内の一つで、該アミン類基団を含むアミノ酸のタンパク質は単株抗体で、それはハーセプチン(Herceptin)単株抗体である。
【化3】

【0012】
SOCTA(図1参照)は本発明合成の新双官能基有機配位子で、その化学構造中には活性化したカルボン酸を含み、タンパク質或いはペプチドをボンド結合することができる(本発明中では単株抗体ハーセプチン(Herceptin)をボンド結合する)。またN2S2配位子を有しレニウムとテクネチウムをボンド結合することができる。よってタンパク質或いはペプチドをレニウム或いはテクネチウムにより標識とする化合物SOCTAは適当な選択である。
【0013】
本発明癌を抑制する放射性物質の調整方法は以下のステップを含む(図2参照)。
S1: SOCTAとタンパク質或いはペプチドを反応させSOCTA複合物を形成し、該SOCT
複合物はSOCTA-protein(SOCTA-プロテイン)複合物及びSOCTA-peptide(SOCTA-ペプチド)複合物のグループの内の一つである。
S2:該SOCTA複合物とMを反応させ、M-SOCTA複合物を形成し、該Mは188Re及び99mTcのグループの内の一つで、しかも該M-SOCTA複合物は188Re-SOCTA-protein複合物、188Re-SOCTA-peptide複合物、99mTc-SOCTA-protein複合物、99mTc-SOCTA-peptide複合物のグループの内の一つで、しかも該M-SOCTA複合物は癌を抑制する放射性物質である。
該タンパク質はハーセプチン(Herceptin)単株抗体で、SOCTA-protein複合物はSOCTA-Herceptin複合物及びM-SOCTA- protein複合物は188Re-SOCTA-Herceptin複合物である。
【0014】
ステップS1中でSOCTAとタンパク質或いはペプチドを反応させ、SOCTAのエステル類構造(-COOR)とタンパク質或いはペプチドのアミン類(-NH、-NH2)をボンド結合させペプチドボンド(peptide bond)のボンド結合を生じ、SOCTA-protein複合物或いはSOCTA- peptide複合物を形成する。S1の該SOCTAと該ハーセプチン(Herceptin)を反応させ、該SOCTA-Herceptin複合物を形成するステップにおいて、該SOCTAと該ハーセプチン(Herceptin)は結合反応を行う。しかも、ステップS1は該SOCTAをジメチルホルムアミド(DMF)溶液に溶解させ、該ハーセプチン(Herceptin)をN-ジハイドロキエチルピレラジン-N'-ジエタンサルフォニック酸(N-[2-Hydroxyethyl]piperazine-N'-[2-ethanesulfonic acid] )緩衝液(HEPES Buffer)に溶解させるステップを含む。しかも該SOCTAと該ハーセプチン(Herceptin)の最適モル数比は1:1である。S1の該SOCTAと該ハーセプチン(Herceptin)を反応させ、該SOCTA-Herceptin複合物を形成するステップは室温下で行い、しかもS1ステップ中においては透析のステップを含む。
【0015】
S2の該SOCTA-Herceptin複合物と該188Reを反応させ、該188Re-SOCTA-Herceptinを形成するステップ中において、該188Reは188Re高レニウム酸塩溶液(188Re perrhenate solution)により提供する。しかもS2の該SOCTA-Herceptin複合物と該188Reを反応させ、該188Re-SOCTA-Herceptinを形成するステップ中においては、先ず該188レニウム(188Re)、グルコヘプトネート(Glucoheptonate)と塩化スズ(SnCl2)を反応させ、188Re-Glucoheptonateを得、該188Re-Glucoheptonateと該SOCTA-Herceptinを反応させ、該188Re-SOCTA-Herceptinを得る二段式ステップを含む。内、先ず該188レニウム(188Re)、グルコヘプトネート(Glucoheptonate)と塩化スズ(SnCl2)を反応させ、188Re-Glucoheptonateを得るステップ中の、該グルコヘプトネートと該塩化スズの重量費は1.5:1〜5.4:1で、該グルコヘプトネートと該塩化スズの最適重量比は1.6:1である。先ず、該188レニウム(188Re)、グルコヘプトネート(Glucoheptonate)と塩化スズ(SnCl2)を反応させ、188Re-Glucoheptonateを得るステップ中の、該グルコヘプトネート(Glucoheptonate)はキレート剤で、しかも該188Re-Glucoheptonateと該該SOCTA-Herceptinを反応させ該188Re-SOCTA-Herceptinを得るステップの反応温度は室温或いは37℃である。
【0016】
本発明はステップS2中において該188レニウム(188Re)、グルコヘプトネート(Glucoheptonate)、塩化スズ(SnCl2)、及び該SOCTA-Herceptin複合物を使用し、一段式反応を行い188Re-SOCTA-Herceptinを得る最適ステップとすることもできる。該188レニウム(188Re)、グルコヘプトネート(Glucoheptonate)、塩化スズ(SnCl2)、及び該SOCTA-Herceptin複合物を使用し、一段式反応を行い188Re-SOCTA-Herceptinを得る最適ステップ中において、該グルコヘプトネートと該塩化スズの重量費は1.5:1〜5.4:1で、しかも最適重量比は1.6:1である。該188レニウム(188Re)、グルコヘプトネート(Glucoheptonate)、塩化スズ(SnCl2)、及び該SOCTA-Herceptin複合物を使用し、一段式反応を行い188Re-SOCTA-Herceptinを得る最適ステップ中において、反応温度は室温或いは37℃である。.
【0017】
[SOCTA-Herceptin(SOCTA-ハーセプチン)結合反応]
適量のSOCTAをジメチルホルムアミド(DMF)溶液に溶解させ、適量のハーセプチン(Herceptin)をN-ジハイドロキエチルピレラジン-N'-ジエタンサルフォニック酸(N-[2-Hydroxyethyl]piperazine-N'-[2-ethanesulfonic acid] )緩衝液(HEPES Buffer)に溶解させる。該HEPES Bufferの組成はジハイドロキエチルピレラジン-N'-ジエタンサルフォニック酸(N-[2-Hydroxyethyl]piperazine-N'-[2-ethanesulfonic acid] 、HEPES)と0.29gの塩化ナトリウム(NaCl)を水(Ph=7.4)に溶かし、それぞれSOCTA溶液とハーセプチン(Herceptin)溶液中から適当な体積を取り出し、両者のモル数比を1:1とする。上記組成に基づき、適量の溶液を取り出し1.5ml遠心管に入れ、室温下で3時間反応させる。反応完成後の溶液を透析袋内に入れ、袋の口を封鎖し、4℃の冷蔵庫に入れ、2日間透析する。透析緩衝液(Dialysis Buffer)の組成はクエン酸ナトリウム(Sodium Citrate)と塩化ナトリウム(NaCl)を2リットルの水に溶かし、pHを5.2に調整する。透析完成後、袋内の液体を4℃で10分間遠心処理し、上澄み液を収集する。
本実験が使用するSOCTAとハーセプチン(Herceptin)のモル比は1:1で、結合反応を経て、透析後のSOCTA-Herceptin(SOCTA-ハーセプチン)複合物を、ELISA測定標準液とサンプルの間の吸収値により、EXCEL内挿方式を使用し求めた平均タンパク質濃度は7.9mg/mlである。
【0018】
[188Re-SOCTA-Herceptinの二段式調整]
1.188Re-Glucoheptonate標識の調整
400μlの188レニウム高レニウム酸塩溶液(188Re perrhenate solution)を塩化スズ(SnCl2)6-14mgのグルコヘプトネート(Glucoheptonate、GHと略称)に加え、1.5ml遠心管に入れ、室温下で反応させる。混合後15分後にサンプルを取り放射化学純度分析を開始すする。展開システムの固定フェーズはITLC-SGで、移動フェーズは生理食塩水とメチルエチルケトン(Methylethylketone、MEKと略称)である。
今回の実験はグルコヘプトネート(Glucoheptonate(GH))を選択し弱キレート剤(weak chelating agent)とし、反応瓶にGH(32mg)、SnCl2(6mg)、 188Re perrhenate solutionを加え、室温下で反応させ、定時にサンプルを取り放射化学分析(図3参照)を行う。その結果、15分後に188Re-GHの放射化学純度は76%に達し、30分時点では100%に達し、60分まではその完全反応を維持することが分かった。188Re-GHが反応30~60分間で予期の放射化学標準に達したことを確認後、該反応条件を選定し、188Re-GHの次の段階のSOCTA-Herceptin反応に用いる。
2.188Re-SOCTA-Herceptinの調整
上記放射化学純度が既に100%に達した188Re-GH溶液を適量のSOCTA-Herceptinに加え反応を継続させる。反応温度の標識効率に与える影響を検討するため、本実験では2種の温度(室温と37℃)を選択する。混合物の反応を開始後、15、30、60、90分後及び2時間後にサンプルを取り分析する。ITLC-SG/MEK(or NS)などのシステム対応の放射線薄層式フェーズ分析器(Radio-TLC)により放射化学純度分析を行う。
反応が完了した188Re-GHを20μlのSOCTA-Herceptinに加え、2組(室温と37℃)に分け実験を行い、温度の標識効率に対する影響(図4参照)について検討する。その結果、37℃の反応条件下で、製品の標識効率は反応30分後48.99%から反応1時間では66.12%に向上し、2時間時点の標識効率は最高で96.01±0.13%に達することが分かった。
反応を室温で行う時には、反応が完了した188Re-GHを適量のSOCTA-Herceptinに加え、様々な時間点でサンプルを取り分析する。その結果、最高標識効率は1時間時点でわずかに60.83±8.59%であることが分かった。
【0019】
[188Re-SOCTA-Herceptinの一段式調整]
本実験が採用する方法は、188Re perrhenate solution、SnCl2、Glucoheptonate、及びSOCTA-Herceptinを同時に試験管内に加え、それぞれ室温と37℃で反応させ、様々な時間点における放射化学純度の変化を観察する。放射化学分析は二段式方法と同様で、ITLC-SG/MEK(or NS)システムを採用する。
二段式調整方法は37℃の条件下において96%の放射化学純度を得ることができるが、反応にかなりの時間を要するため、一段式調整方法を試みる。適量の188Re溶液を直接取り、グルコヘプトネート(Glucoheptonate)、SnCl2及びSOCTA-Herceptinを反応小瓶内に加え作用させる。反応温度、塩化スズ含量及びSOCTA-Herceptin含量などの条件が標識効率に与える影響を検討するため、関連試験を行った。その結果は以下に記載する。
1.温度の標識効率に対する影響
実験では先ず37℃の条件を選択し、反応30分後の標識効率は96.91%に達し、継続し24時間観察したところ、188Re-SOCTA-Herceptinの放射化学純度は97%を維持可能(図4参照)であることが分かった。同時に、室温での反応と比較したところ、図5に示すように、SnCl2の量が6mgである時、反応時間の延長に従い、188Re-SOCTA-Herceptinの放射化学純度も増加し、2時間時点での標識効率は95.18±0.50%に達する。しかし、SnCl2を8mg以上にまで増量すると、反応30分後には95%の放射化学純度に達する。
2.異なる含量のSnCl2が標識効率に与える影響
SnCl2は医薬物で最もよく使用される還元剤である。本実験でもSnCl2を採用し、七価の188Reを五価の188Re(V)に還元し、6、8、10、12、14、16、18、20mgのSnCl2を加え、室温下において反応させる時の標識に対する影響を比較する(図5参照)。その結果、SOCTA-Herceptinを14mg加えた15分間での標識効率は91%以上に達し、2時間の標識効率は98.71%に達し、しかも分析の結果14mgのSnCl2を加えた1時間毎の標識効率はすべて6mgのSnCl2を加えた標識効率より高く、かつ明らかな差異があることが分かった。実験では同時に、加えるSnCl2の量が8mg以上で、室温下で30分反応させた時には95%に達し、しかもその標識効率は2時間以上維持可能であるが、この結果は良好であるが、ジェル質を形成し易いことが後に分かった。よって、6mgのSnCl2及び室温下での反応を188Re-SOCTA-Herceptinの反応条件とすることとした。
3.異なる体積のSOCTA-Herceptin(SOCTA-ハーセプチン)が標識効率に与える影響関係
本研究では10、20及び40μlの3種の体積のSOCTA-Herceptinを選択し使用する(図6参照)。20μlに含有するSOCTA-Herceptinの量は0.158mgで、10μlとするなら質量は0.079mgに半減する。それを室温下で0.25、0.5時間の反応を行った時の標識効率はそれぞれ38.29%及び65.01%であった。この結果は同一時間点の20或いは40μlを加えた反応結果と顕著な差異があり、製品の最高標識効率は3時間時点に出現し、その値は93.30%であった。もし加える体積が20、或いは40μlであるなら、両者の平均標識効率は30分時点で93%以上に達するが、加える体積が20、或いは40μlである場合の同一時間点での標識効率には顕著な差異はない。
【0020】
[188Re-SOCTA-Herceptinの体外安定性試験]
体外安定性試験は二組に分かれて行う。一組は反応が完了した188Re-SOCTA-Herceptinを室温下に置き、異なる時間点での製品の放射純度変化を観察する。もう一組は、188Re-SOCTA-Herceptinをヒトの血清内に加え、37℃で反応させ、時間の経過に伴う製品の放射純度変化を観察する。
188Re-SOCTA-Herceptinの標識完成後、室温下で24時間、製品の安定性放射化学純度分析を行った。その結果により、188Re-SOCTA-Herceptinの標識効率は2~24時間で、94~96%を安定的に維持することが分かった。
実験では同時に血清の安定性についても検討する。188Re-SOCTA-Herceptinの標識完成後、37℃のヒト血清内に加え、24時間の製品の安定性放射化学純度分析を行った。その結果により、188Re-SOCTA-Herceptinの標識効率は2時間から徐々に90%に下降し、24時間ではなお83%を維持可能であることが分かった(図7参照)。
初期の二段式標識方式は188レニウム(188Re)とグルコヘプトネート(Glucoheptonate)に先にエステル化合物を形成させ、配位体交換(ligand-exchange)によりさらにSOCTA-Herceptinに換える。実験後期には、一段式標識方式は、標識時間上において1〜1.5時間を節減可能で、しかも加熱が不要で、平均室温22℃下において約1時間で標識が完成されることが発見された。これは、半減期を具える治療用放射性方位元素にとっては、治療効果を延長可能である他、さらには標識時間を節減することもできることを示す。また安定性についても、二段式標識方式は標識後2時間で徐々に分解し、24時間時点でなお77.29%を残し、一段式では96.88%を維持可能であることが分かった。
一段式標識方法反応の所要時間は最短で、標識効率を24時間維持可能な安定性を具える。本製品の現在の標識効率と安定性は、濾過プロセスを経なくとも95%以上を達成可能で、しかも24時間の安定を維持し、純度は100%に近い。研究により、高標識効率、24時間安定性、100%に近い純度の188Re-SOCTA-Herceptinが既に完成されたことは明らかである。今後は細胞及び動物に対する治療効果の試験を行い、将来の癌治療(乳癌治療など)に臨床上のより良い選択を提供できることを期する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明癌を抑制する放射性物質及びその調整方法が使用するSOCTA化合物の構造である。
【図2】本発明癌を抑制する放射性物質の調整方法のプロセスフローチャートである。
【図3】本発明最適実施例の188Re-Glucoheptonate標識効率と反応時間の関係図である。
【図4】本発明最適実施例の188Re-SOCTA-Herceptinの標識方式及び標識温度の標識効率と時間の関係図である。
【図5】本発明の一段式反応で添加する塩化スズのg数の標識効率と時間の関係図である。
【図6】本発明の一段式反応で添加するSOCTA-Herceptin(SOCTA-ハーセプチン)の体積の標識効率と時間の関係図である。
【図7】本発明の188Re-SOCTA-Herceptin血清安定テストの標識効率と時間の関係図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
癌を抑制する放射性物質は以下の化学構造式1を含み、内、Mは188Re及び99mTcのグループの内の一つで、Zはアミン類基団を含むアミノ酸のタンパク質及びアミン類基団を含むアミノ酸のペプチドグループの内の一つであることを特徴とする癌を抑制する放射性物質。
【化1】

【請求項2】
請求項1記載の癌を抑制する放射性物質において、前記アミン類基団は-NH及び-NH2のグループの内の一つであることを特徴とする癌を抑制する放射性物質。
【請求項3】
請求項1記載の癌を抑制する放射性物質において、前記アミン類基団のアミノ酸はリシン(Lysine)、アルギニン(Arginine)、グルタミン(Glutamine)、アスパラギン(Asparagine) のグループの内の一つであることを特徴とする癌を抑制する放射性物質。
【請求項4】
請求項1記載の癌を抑制する放射性物質において、前記アミン類基団のアミノ酸のタンパク質は単株抗体であることを特徴とする癌を抑制する放射性物質。
【請求項5】
請求項4記載の癌を抑制する放射性物質において、前記単株抗体はハーセプチン(Herceptin)単株抗体であることを特徴とする癌を抑制する放射性物質。
【請求項6】
癌を抑制する放射性物質の調整方法のステップは、
SOCTAとタンパク質或いはペプチドを反応させ、SOCTA複合物を形成し、該SOCTA複合物はSOCTA-protein複合物及びSOCTA-peptide複合物のグループの内の一つで、
該SOCTA複合物とMを反応させM- SOCTA複合物を形成し、該Mは188Re及び99mTcのグループの内の一つで、しかも該M- SOCTA複合物は188Re-SOCTA-protein複合物、188Re-SOCTA-peptide複合物、99mTc-SOCTA-protein複合物、99mTc -SOCTA-peptide複合物のグループの内の一つで、
該M- SOCTA複合物は癌を抑制する放射性物質であることを特徴とする癌を抑制する放射性物質の調整方法。
【請求項7】
請求項6記載の癌を抑制する放射性物質の調整方法において、前記タンパク質はハーセプチン(Herceptin)単株抗体で、SOCTA-protein複合物はSOCTA-Herceptin複合物で、M- SOCTA-protein複合物は188Re-SOCTA-Herceptin複合物であることを特徴とする癌を抑制する放射性物質の調整方法。
【請求項8】
請求項7記載の癌を抑制する放射性物質の調整方法において、前記SOCTAと該ハーセプチン(Herceptin)単株抗体反応が該SOCTA-Herceptin複合物を形成するステップにおいて、該SOCTAと該ハーセプチン(Herceptin)は結合反応を行うことを特徴とする癌を抑制する放射性物質の調整方法。
【請求項9】
請求7の癌を抑制する放射性物質の調整方法において、前記SOCTAと該ハーセプチン(Herceptin)単株抗体反応が該SOCTA-Herceptin複合物を形成するステップにおいては、さらに該SOCTAをジメチルホルムアミド(DMF)溶液に溶解させ、該ハーセプチン(Herceptin)をN-ジハイドロキエチルピレラジン-N'-ジエタンサルフォニック酸(N-[2-Hydroxyethyl]piperazine-N'-[2-ethanesulfonic acid] )緩衝液(HEPES Buffer)に溶解させるステップを含むことを特徴とする癌を抑制する放射性物質の調整方法。
【請求項10】
請求項7記載の癌を抑制する放射性物質の調整方法において、前記SOCTAと該ハーセプチン(Herceptin)単株抗体反応が該SOCTA-Herceptin複合物を形成するステップにおいて、該SOCTAと該ハーセプチン(Herceptin)の最適モル数比は1:1であることを特徴とする癌を抑制する放射性物質の調整方法。
【請求項11】
請求項7記載の癌を抑制する放射性物質の調整方法において、前記SOCTAと該ハーセプチン(Herceptin)単株抗体反応が該SOCTA-Herceptin複合物を形成するステップは室温下で反応させることを特徴とする癌を抑制する放射性物質の調整方法。
【請求項12】
請求項7記載の癌を抑制する放射性物質の調整方法において、前記SOCTAと該ハーセプチン(Herceptin)単株抗体反応が該SOCTA-Herceptin複合物を形成するステップには透析のステップを含むことを特徴とする癌を抑制する放射性物質の調整方法。
【請求項13】
請求項7記載の癌を抑制する放射性物質の調整方法において、前記SOCTA-Herceptin複合物と該188Reを反応させ該188Re-SOCTA-Herceptin複合物を形成するステップにおいて、該188Reは188Re高レニウム酸塩溶液(188Re perrhenate solution)により提供することを特徴とする癌を抑制する放射性物質の調整方法。
【請求項14】
請求項7記載の癌を抑制する放射性物質の調整方法において、前記SOCTA-Herceptin複合物と該188Reを反応させ該188Re-SOCTA-Herceptin複合物を形成するステップにおいては、さらに
先ず該188レニウム(188Re)、グルコヘプトネート(Glucoheptonate)と塩化スズ(SnCl2)を反応させ、188Re-Glucoheptonateを得、
188Re-Glucoheptonateと該SOCTA-Herceptinを反応させ、該188Re-SOCTA-Herceptinを得る二段式ステップを含むことを特徴とする癌を抑制する放射性物質の調整方法。
【請求項15】
請求項14記載の癌を抑制する放射性物質の調整方法において、前記188レニウム(188Re)、グルコヘプトネート(Glucoheptonate)と塩化スズ(SnCl2)を反応させ188Re-Glucoheptonateを得るステップ中の該グルコヘプトネートと該塩化スズの重量費は1.5:1〜5.4:1であることを特徴とする癌を抑制する放射性物質の調整方法。
【請求項16】
請求項15記載の癌を抑制する放射性物質の調整方法において、前記188レニウム(188Re)、グルコヘプトネート(Glucoheptonate)と塩化スズ(SnCl2)を反応させ188Re-Glucoheptonateを得るステップ中の該グルコヘプトネートと該塩化スズの最適重量比は1.6:1であることを特徴とする癌を抑制する放射性物質の調整方法。
【請求項17】
請求項14記載の癌を抑制する放射性物質の調整方法において、前記188レニウム(188Re)、グルコヘプトネート(Glucoheptonate)と塩化スズ(SnCl2)を反応させ188Re-Glucoheptonateを得るステップ中の該グルコヘプトネート(Glucoheptonate)はキレート剤であることを特徴とする癌を抑制する放射性物質の調整方法。
【請求項18】
請求項14記載の癌を抑制する放射性物質の調整方法において、前記188Re-Glucoheptonateと該SOCTA-Herceptinを反応させ該188Re-SOCTA-Herceptinを得るステップの反応温度は室温或いは37℃であることを特徴とする癌を抑制する放射性物質の調整方法。
【請求項19】
請求項7記載の癌を抑制する放射性物質の調整方法において、前記SOCTA-Herceptin複合物と該188Reを反応させ該188Re-SOCTA-Herceptin複合物を形成するステップ中には、該188レニウム(188Re)、グルコヘプトネート(Glucoheptonate)、塩化スズ(SnCl2)及び該SOCTA-Herceptin複合物に一段式反応を行わせ、188Re-SOCTA-Herceptin複合物を得る最適ステップを含むことを特徴とする癌を抑制する放射性物質の調整方法。
【請求項20】
請求項19記載の癌を抑制する放射性物質の調整方法において、前記188レニウム(188Re)、グルコヘプトネート(Glucoheptonate)、塩化スズ(SnCl2)及び該SOCTA-Herceptin複合物に一段式反応を行わせ、188Re-SOCTA-Herceptin複合物を得る最適ステップ中の該グルコヘプトネートと該塩化スズの重量比は1.5:1〜5.4:1であることを特徴とする癌を抑制する放射性物質の調整方法。
【請求項21】
請求項20記載の癌を抑制する放射性物質の調整方法において、前記188レニウム(188Re)、グルコヘプトネート(Glucoheptonate)、塩化スズ(SnCl2)及び該SOCTA-Herceptin複合物に一段式反応を行わせ、188Re-SOCTA-Herceptin複合物を得る最適ステップ中の該グルコヘプトネートと該塩化スズの重量比は1.6:1であることを特徴とする癌を抑制する放射性物質の調整方法。
【請求項22】
請求項19記載の癌を抑制する放射性物質の調整方法において、前記188レニウム(188Re)、グルコヘプトネート(Glucoheptonate)、塩化スズ(SnCl2)及び該SOCTA-Herceptin複合物に一段式反応を行わせ、188Re-SOCTA-Herceptin複合物を得る最適ステップ中の反応温度は室温或いは37℃であることを特徴とする癌を抑制する放射性物質の調整方法。
【請求項23】
請求項6記載の癌を抑制する放射性物質の調整方法において、前記SOCTAと該タンパク質或いは該ペプチドを反応させ、該SOCTA複合物を形成するステップ中において、該SOCTAのエステル類構造(-COOR)とタンパク質或いはペプチドボンド結合のアミン類(-NH、- NH2)を反応させ、ペプチドボンド(peptide bomd)のボンド結合を形成し、該SOCTA複合物を形成することを特徴とする癌を抑制する放射性物質の調整方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−51784(P2009−51784A)
【公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−221387(P2007−221387)
【出願日】平成19年8月28日(2007.8.28)
【出願人】(599171866)行政院原子能委員會核能研究所 (37)
【Fターム(参考)】