癌治療のための新規の組成物および方法
本発明は、癌の組合せ治療での、Stat3経路阻害剤または癌幹細胞阻害剤の組成物および使用方法に関する。本発明の第1の態様は、異常なStat3経路活性に関連する障害を有する対象を治療する方法であって、(a)異常なStat3経路活性の少なくとも一部を阻害するために、対象に第1の作用物質の第1の量を投与するステップと、(b)対象にシグナル伝達阻害剤を含む第2の作用物質の第2の量を投与するステップとを含む方法を提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願への相互参照)
本願は、それぞれ2007年9月10日および2007年12月13日に出願された米国仮特許出願第60/971,144号、61/013,372号の利益を主張し、これらの米国仮特許出願の全体の内容は、本明細書中に参考として援用される。
【0002】
発明の分野
本発明は、癌および他の障害の組合せの治療での、Stat3経路阻害剤および癌幹細胞阻害剤の組成物および使用方法に関する。
【背景技術】
【0003】
癌幹細胞(CSC)
近年では、腫瘍形成のニューモデルが広く受け入れられ、そこでは、腫瘤全体の小さな画分だけが腫瘍内の腫瘍形成活性を担うと仮定されているが、古いモデルまたはクローン遺伝モデルは、すべての変異腫瘍細胞がそのような腫瘍形成活性に等しく寄与すると仮定している。ニューモデルに従うと、腫瘍形成性細胞のこの小さな画分は、幹細胞様特性を有する形質転換細胞であり、「癌幹細胞」(CSC)と呼ばれる。BonnetおよびDickは、1990年代に、急性骨髄性白血病(AML)におけるCSCの存在をインビボで最初に証明した。彼らのデータは、免疫不全マウスに移植すると、ヒトAML細胞の小さな亜集団だけがAMLを転移させる能力を有し、他のAML細胞は白血病を誘発することができないことを示した。後に、これらのCSCは、原始造血幹細胞と同じ細胞マーカー、CD34+/CD38−を有することが判明した[1]。それ以来、研究者は、脳、乳房、皮膚、前立腺その他の腫瘍を含む各種の腫瘍で、CSCを確定的に認めた。
【0004】
腫瘍形成のCSCモデルは、腫瘍移植を確立するために、数万または数十万の腫瘍細胞を実験動物に注入する必要がある理由を説明するであろう。ヒトAMLでは、これらの細胞の頻度は、10,000分の1未満である[2]。所与の腫瘍細胞集団内で稀であるとしても、そのような細胞がほとんどすべての腫瘍型に存在するという証拠が増えている。しかし、癌細胞系は、組織培養で成長するように特に適応させた癌細胞の亜集団から選択されるので、癌細胞系の生物学的特性および機能的特性は、劇的な変化を経る可能性がある。したがって、すべての癌細胞系が、CSCを含むというわけではない。
【0005】
癌幹細胞は、多くの類似した形質を正常幹細胞と共有する。例えば、CSCは、限られた分裂数とは対照的に、自己再生能力、すなわち、さらなる腫瘍形成性癌幹細胞を、一般的に他の分裂腫瘍細胞よりも遅い速度で生成する能力を有する。CSCは、複数の細胞型に分化する能力を有するが、そのことは、多くの腫瘍が宿主器官に固有の複数の細胞型を含むだけでなく、不均一性が腫瘍転移で通常保持されもするという、組織学的証拠を説明するであろう。CSCは、基本的に腫瘍形成、癌転移および癌再発を担うことが証明されている。CSCは、腫瘍開始細胞、癌幹様細胞、幹様癌細胞、高度腫瘍形成性細胞、腫瘍幹細胞、固形腫瘍幹細胞または超悪性細胞とも呼ばれる。
【0006】
癌幹細胞の存在は、将来の癌治療および療法に、基本的な関連性を有する。現在の癌治療の効力は、試験の初期の段階では、腫瘍縮みのサイズ、すなわち死滅する腫瘤の量でしばしば測定される。CSCは腫瘍の非常に小さな割合を形成し、それらのより分化した後代よりも著しく異なる生物特性を有するので、腫瘤の測定は、幹細胞に特異的に作用する薬剤を必ずしも選択できるわけではない。実際、癌幹細胞は、放射線療法(XRT)に耐性であるようで、化学療法薬および対標的薬剤にも治療抵抗性である[3〜5]。正常な体細胞性幹細胞は本来化学療法剤に耐性である−それらは、薬剤を送り出す様々なポンプ(MDRなど)を有し、効率的なDNA修復機構を備える。さらに、それらは遅い速度の細胞ターンオーバーも有するが、化学療法剤は複製速度の速い細胞を標的にする。正常幹細胞の突然変異した対応物である癌幹細胞は、それらが薬剤療法および放射線治療を生き延びることを可能にする、類似した機構を有することもできる。言い換えると、従来の化学療法および放射線療法は、腫瘍を再生することができない腫瘍の大部分を形成する、分化した細胞または分化中の細胞を死滅させる。他方、分化した細胞および分化中の細胞をもたらす癌幹細胞の集団は、手付かずの状態であることができ、疾患の再発を引き起こすことができよう。従来の抗癌療法のさらなる危険は、例えば化学療法の治療が、化学療法に耐性の癌幹細胞だけを残し、続いて起こる再発性の腫瘍も化学療法におそらく耐性であろうという可能性である。
【0007】
生存癌幹細胞は腫瘍を再生息させ、再発を引き起こすことができるので、抗癌療法はCSCに対する戦略を含むことが不可避である(図1を参照)。これは、雑草の再成長を阻止するためにタンポポの根部を除去することの必要性に例えられた[6]。癌幹細胞を選択的に標的にすることによって、攻撃的で切除不能な腫瘍、および治療抵抗性もしくは再発性の癌を有する患者を治療すること、ならびに、腫瘍転移および再発を予防することが可能になる。したがって、癌幹細胞を標的にする特異的療法の開発は、癌患者の生存および生活の質の改善に、特に転移癌を有する患者のために希望を与える。この未開拓の可能性の錠を開ける鍵は、癌幹細胞の自己再生および生存にとって選択的に重要である経路の特定および検証である。癌および胚性幹細胞もしくは成体幹細胞での腫瘍形成の基礎をなす複数の経路が過去に解明されているが、癌幹細胞の自己再生および生存についてはいかなる経路も特定、検証されていない。
【0008】
癌幹細胞の特定および単離について、多くの研究がなされてきた。用いられる方法は、薬剤を排出するCSCの能力を主に活用するか、癌幹細胞に関連する表面マーカーの発現に基づく。
【0009】
例えば、CSCは多くの化学療法剤に耐性であるので、CSCが、ABCG2(BCRP−1)などの薬剤流出ポンプ[7〜11]、および他のATP結合カセット(ABC)スーパーファミリー構成員[12、13]をほとんど遍在的に過剰発現することは、驚くべきことでない。したがって、当初、造血幹細胞および白血病幹細胞を富化するために用いられたサイドポピュレーション(SP)技術も、CSCの特定および単離のために採用された[14]。最初にGoodellらによって記載されたこの技術は、CSCを濃縮した細胞集団を定義および単離するために、Hoechst 33342などの蛍光色素の識別的ABC輸送体依存性流出を利用する[10、15]。具体的には、SPはベラパミルで薬剤流出をブロックすることによって明らかにされ、その時点では、もはや色素をSPから排出することができない。
【0010】
研究者は、癌幹細胞と大部分の腫瘍とを区別する特異的マーカーの発見にも集中した。最も一般的に発現されるCSC表面マーカーには、CD44、CD133およびCD166が含まれる[16〜24]。これらの表面マーカー(複数可)の差次的発現に主に基づく腫瘍細胞の選別は、今日まで記載されている大部分の高度に腫瘍形成性のCSCを説明してきた。したがって、これらの表面マーカーは、癌細胞系、および大半の腫瘍組織からの癌幹細胞の特定および単離のためによく検証される。
【0011】
Stat3経路。
【0012】
多くの異なる遺伝子欠損が哺乳動物またはヒトの癌細胞にあり、多くのものが、癌の治癒に向けた探求で研究されてきた。例えば、p53腫瘍サプレッサーは、半分を超えるヒト癌で欠陥があるか、全く欠けていることがわかっている。STAT(シグナルトランスデューサおよび転写アクチベータ(Signal Transducers and Activator of Transcription))タンパク質ファミリーは、増殖、生存および他の生物学的過程を促進するために、サイトカイン/成長因子に応じて活性化される潜在性の転写因子である。それらの中で、Stat3は、成長因子受容体チロシンキナーゼ、JanusキナーゼまたはSrcファミリーキナーゼなどによって媒介される、重要なチロシン残基のリン酸化によって活性化される。これらのキナーゼには、それらに限定されないが、EGFR、JAK、Abl、KDR、c−Met、Src、およびHer2が含まれる[25]。チロシンリン酸化後、Stat3はホモ二量体を形成し、核に移行し、標的遺伝子のプロモーター領域内の特異的DNA応答エレメントに結合し、遺伝子発現を誘導する[26](図2を参照)。
【0013】
正常な細胞では、Stat3活性化は一時的で、厳しく制御されており、30分〜数時間持続する。しかし、Stat3は、すべての主要な癌腫ならびに一部の血液系腫瘍を含む、広範なヒト癌で異常に活動的であることがわかっている。Stat3は、癌の進行において複数の役割を演ずる。強力な転写調節因子として、それは多くの重要な細胞機能に関与する遺伝子、例えばBcl−xl、c−myc、サイクリンD1、Vegf、MMP−2、およびサバイビン(survivin)を標的にする[27〜32]。それは、腫瘍免疫監視機構および免疫細胞動員の重要な負の調節因子でもある[33〜35]。
【0014】
アンチセンス、siRNA、Stat3のドミナントネガティブ型、および/またはチロシンキナーゼの遮断によってStat3シグナル伝達を切断することは、インビトロおよび/またはインビボである癌細胞系または腫瘍を阻害する[26、28、36、37]。しかし、これまで、Stat3と癌幹細胞機能の間に、実験的にいかなる明白な関連付けもされていない。また、研究者は、癌幹細胞を含むことが見いだされている癌に関して潜在的治療用途を探究するための、有効なStat3経路阻害剤を見いだしていない。前に記載のように、癌幹細胞(CSC)は、基本的に腫瘍形成、癌転移および癌再発の役割を担うことが最近証明されており、それらが腫瘤のどんなに小さい部分を構成しようとも、これらの細胞を有することが公知である腫瘍を標的にするいかなる治癒治療の設計においても考慮するべきである。
【0015】
癌以外の疾患では、インターロイキン6(IL6)などの様々なサイトカインによるStat3の過度の活性化が、いくつかの自己免疫疾患および炎症性疾患で証明されている[38]。近年では、Stat3経路は、TH17 T細胞応答の生成におけるその必要不可欠な役割を通して、病的免疫応答を促進することも明らかにされている[39]。さらに、IL6−Stat3経路媒介性の炎症が、アテローム硬化、末梢血管疾患、冠状動脈疾患、高血圧症、骨粗鬆症、2型糖尿病および認知症の共通の原因であることがわかっている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、Stat3が、広範囲の癌にわたって癌幹細胞(CSC)の生存能および自己再生能の両方において重要な役割を果たすという本明細書で提供される実験的証拠に一部基づく。本発明は、ある化合物がStat3経路阻害剤として作用し、それらがインビトロおよびインビボの両方で効果的にCSCを阻害することを確認するデータも提供する。
【0017】
したがって、本発明の第1の態様は、異常なStat3経路活性に関連する障害を有する対象を治療する方法であって、(a)異常なStat3経路活性の少なくとも一部を阻害するために、対象に第1の作用物質の第1の量を投与するステップと、(b)対象にシグナル伝達阻害剤を含む第2の作用物質の第2の量を投与するステップとを含む方法を提供する。
【0018】
第1の作用物質は、以下の作用のうちの少なくとも1つを通して、Stat3経路活性を阻害することができる:Stat3タンパク質のリン酸化を実質的に阻害すること、Stat3タンパク質の二量体化を実質的に阻害すること、Stat3タンパク質の核移行を実質的に阻害すること、Stat3タンパク質のDNA結合活性を実質的に阻害すること、およびStat3タンパク質の転写活性を実質的に阻害すること。
【0019】
一実施形態では、第1の作用物質は、2−(1−ヒドロキシエチル)−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン、2−アセチル−7−クロロ−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン、2−アセチル−7−フルオロ−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン、2−アセチルナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン、2−エチル−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン、その鏡像異性体、ジアステレオマー、互変異性体およびその塩または溶媒和物(以下、「本発明の化合物」と称する)からなる群から選択される。
【0020】
本発明の第1の態様の方法によって治療することができる癌以外の障害には、それらに限定されないが、自己免疫疾患、炎症性疾患、炎症性腸疾患、関節炎、喘息および全身性エリテマトーデス、自己免疫脱髄障害、アルツハイマー病、脳卒中、虚血再灌流傷害および多発性硬化症が含まれる。本方法によって治療することができる癌には、それらに限定されないが、乳癌、頭頸部癌、肺癌、卵巣癌、膵臓癌、結腸直腸癌、前立腺癌、腎細胞癌、黒色腫、肝細胞癌、子宮頸癌、肉腫、脳腫瘍、胃癌、多発性骨髄腫、白血病およびリンパ腫が含まれる。これらの癌以外の障害および癌性の障害は、異常なStat3経路活性に関連することが公知である。
【0021】
1つの特徴では、第2の作用物質は対標的剤であり、それは、成長因子受容体標的剤、キナーゼ標的剤または新脈管形成阻害剤であってよい。
【0022】
第2の態様では、本発明は、異常なStat3経路活性に関連する癌の対象を治療する方法であって、(a)異常なStat3経路活性の少なくとも一部を阻害するために、対象に第1の作用物質の第1の量を投与するステップと、(b)対象に第2の抗癌剤の第2の量を投与するステップとを含む方法を提供する。
【0023】
第1の作用物質に関する特徴は、本発明の第1の態様に関して記載される特徴に類似することができるが、第2の抗癌剤は、細胞傷害性薬または化学療法剤であることができる。一実施形態では、第2の作用物質は、少なくとも1つの癌に対する標準の第1選択の治療薬である。
【0024】
1つの特徴では、抗癌剤はDNA損傷剤、抗有糸分裂剤および/または代謝拮抗剤である。例えば、DNA損傷剤は、アルキル化剤、トポイソメラーゼ阻害剤またはDNAインターカレータであることができる。一実施形態では、第2の作用物質は、カルボプラチン、ドキソルビシン、ゲムシタビン、ドセタキセルまたはエトポシドの1つである。
【0025】
本発明の第2の態様の方法によって治療することができる癌には、異常なStat3経路活性に関連することが公知であるものが含まれ、それらは上で記載されているので、ここでは繰り返さない。
【0026】
癌幹細胞は放射線療法および従来の化学療法に一般に耐性であるので、癌幹細胞を標的にする薬剤は、他の抗癌療法と併用される場合、相乗効果を有するはずである。したがって、本発明の第3の態様によれば、対象の癌を治療する方法は、(a)癌幹細胞(CSC)集団を阻害するために、対象に第1の抗癌剤の第1の量を投与するステップと、(b)複数の通常の癌細胞を阻害するために、対象に第2の抗癌剤の第2の量を投与するステップとを含む。
【0027】
様々な実施形態では、この方法のステップ(a)は、少なくとも1つのCSCの自己再生を阻害し、かつ/または少なくとも1つのCSCを死滅させる。一実施形態では、第1の抗癌剤の第1の量は、複数の通常の癌細胞も死滅させる。一実施形態では、ステップ(a)において、癌幹細胞で少なくとも一部のStat3経路活性を阻害する。本発明はStat3経路阻害剤がCSCを効果的に阻害することができるという証拠を提供しているので、第1の抗癌剤は、本発明の第1の態様による方法の第1の作用物質と同じ特徴および特性を共有する。共有される特徴には、例えば、ここで挙げる第1の抗癌剤が標的にすることができるStat3経路の様々な段階が含まれる。様々な実施形態では、第1の抗癌剤は、小分子Stat3阻害剤、Stat3に対するRNAi剤、Stat3に対するアンチセンス剤、ペプチド模倣物Stat3阻害剤、またはG−カルテットオリゴデオキシヌクレオチドStat3阻害剤であってよい。
【0028】
この方法によって治療することができる癌は、好ましくは、CSCを含むことが公知であるかCSCを含むことが確認されているものであり、それらには、乳癌、頭頸部癌、肺癌、卵巣癌、膵臓癌、多発性骨髄腫、結腸直腸癌、前立腺癌、黒色腫、カポジ肉腫、ユーイング肉腫、肝癌、胃癌、髄芽細胞腫、脳腫瘍および白血病が含まれるが、これらに限定されない。
【0029】
本発明の第3の態様による方法の「第2の抗癌剤」は、本発明の第2の態様による方法の同じ「第2の抗癌剤」であることができるが、共有されるすべての特徴をここで繰り返すことはしない。
【0030】
一実施形態では、第2の作用物質は、少なくとも1つの癌に対する標準の第1選択の治療薬である。第2の作用物質は、細胞傷害性薬であることができる。1つの特徴では、抗癌剤はDNA損傷剤、抗有糸分裂剤および/または代謝拮抗剤である。例えば、DNA損傷剤は、アルキル化剤、トポイソメラーゼ阻害剤またはDNAインターカレータであることができる。一実施形態では、第2の作用物質は、カルボプラチン、ドキソルビシン、ゲムシタビン、ドセタキセルまたはエトポシドの1つである。
【0031】
本発明の第4の態様によれば、対象の癌を治療する方法であって、(a)Stat3経路活性を阻害するために、対象に第1の癌幹細胞阻害剤の第1の量を投与するステップと、(b)異なる経路の活性を阻害するために、対象に第2の癌幹細胞阻害剤の第2の量を投与するステップとを含む方法が提供される。
【0032】
一実施形態では、第2の癌幹細胞阻害剤は、ラパチニブである。一部の実施形態では、第2の抗癌剤の第2の量は、それ単独では癌幹細胞集団に対して治療的に有効でない。この方法によって治療することができる癌は、好ましくはCSCを含むことが公知であるかCSCを含むことが確認されているものであり、一部の例は上に記載されている。様々な実施形態では、癌は転移性であるか、標準の第1選択の癌治療薬に抵抗性であるか、再発性である。
【0033】
本発明の第5の態様によれば、対象の癌を治療する方法であって、(a)2−(1−ヒドロキシエチル)−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン、2−アセチル−7−クロロ−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン、2−アセチル−7−フルオロ−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン、2−アセチルナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン、2−エチル−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン、および薬学的に許容されるその塩または溶媒和物からなる群から選択される第1の抗癌剤の治療的有効量を対象に投与するステップと、(b)同群から選択されない第2の抗癌剤を投与するステップとを含む方法が提供される。
【0034】
第2の抗癌剤は、細胞傷害性薬または化学療法剤のいずれか、および対標的剤のいずれかを含む、本発明の他の態様に記載される作用物質のいずれかでよい。
【0035】
第6の態様では、本発明は、2−(1−ヒドロキシエチル)−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン、2−アセチル−7−クロロ−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン、2−アセチル−7−フルオロ−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン、2−アセチルナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン、2−エチル−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン、および薬学的に許容されるその塩または溶媒和物からなる群から選択される第1の抗癌剤の治療的有効量、ならびに、細胞傷害性薬、対標的剤、放射線療法剤、生物剤、ホルモン剤、HDAC阻害剤、レチノイド剤、チェックポイント活性化剤、プロテアソーム阻害剤、アジュバント剤または補助剤からなる群から選択される第2の抗癌治療薬を含む医薬組成物を提供する。
【0036】
一実施形態では、本組成物は、薬学的に許容される賦形剤、担体または希釈剤をさらに含む。
【0037】
本明細書で記載される方法および本発明の実施形態に関連するすべての組成物およびキットを含む他の態様は、示されるか、本発明の以下の詳細な記載から容易に明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】癌幹細胞特異的療法および従来の癌療法の違いを示す図である。
【図2】癌におけるStat3経路を示す図である。
【図3】図3Aは、Stat3が、Hoechstサイドポピュレーション細胞において構成的に活性であることを示す図である。図3Bは、Stat3が、CD133+細胞において構成的に活性であることを示す図である。
【図4】癌幹細胞において、Stat3のノックダウンがアポトーシスを誘導することを示す図である。
【図5】癌幹細胞において、Stat3のノックダウンが、癌幹細胞の球体形成性を阻害することを示す図である。
【図6】化合物401が、Stat3の転写活性化活性を阻害することを示す図である。
【図7】図7Aは、化合物401が、核抽出物においてStat3のDNA結合活性を阻害することを示す図である。図7Bは、化合物401、416および418が、核抽出物においてStat3のDNA結合活性を阻害することを示す図である。
【図8】図8Aは、化合物401が、異種移植腫瘍組織においてStat3のDNA結合活性を阻害することを示す図である。図8Bは、化合物401が、異種移植腫瘍組織において、Stat3下流エフェクターの発現レベルを阻害することを示す図である。
【図9A】Hoechstサイドポピュレーションのソーティングおよび分析を示す図である。
【図9B】Hoechstサイドポピュレーションが、非サイドポピュレーションと同じ程度に化合物401に対して感受性であることを示す図である。
【図10】図10Aは、化合物401が、Hoechstサイドポピュレーション細胞に対してアポトーシス性であることを示す図である。図10Bは、化合物401が、CD133+細胞に対してアポトーシス性であることを示す図である。
【図11】化合物401が、CD44高の球体形成を遮断することを示す図である。
【図12】インビボの化合物401による処置が、異種移植された腫瘍細胞の球体形成性を減少させることを示す図である。
【図13】化合物401が、ISMSモデルにおいて転移を阻害することを示す図である。
【図14】化合物401が、A549ヒト肺癌細胞においてソラフェニブとの相乗効果を有することを示す図である。
【図15】化合物401が、A549ヒト肺癌細胞においてエルロチニブとの相乗効果を有することを示す図である。
【図16】化合物401が、A549ヒト肺癌細胞においてラパチニブとの相乗効果を有することを示す図である。
【図17】化合物401が、A549ヒト肺癌細胞においてSutentとの相乗効果を有することを示す図である。
【図18】化合物401が、Paca−2ヒト膵臓異種移植モデルにおいてゲムシタビンとの相乗効果を有することを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
本明細書で用いるように、単数形「a」、「an」および「the」は、文脈上明らかにそうでないことが示されない限り、複数形を含む。例えば、用語「細胞(a cell)」は、その混合物を含む複数の細胞を含む。
【0040】
本明細書で用いるように、用語「単離された」または「精製された」は、その天然の状態で通常それに付随する成分を、実質的にまたは基本的に含まない物質を指す。純度および均一性は、一般的に、ポリアクリルアミドゲル電気泳動または高速液体クロマトグラフィーなどの分析化学技術を用いて決定される。
【0041】
本明細書で用いるように、用語「癌幹細胞」および「CSC」は、互換性である。CSCは哺乳動物性であり、好ましい実施形態では、これらのCSCはヒト起源であるが、それらはそれに限定されるものではない。癌幹細胞は、(1)多大な増殖能力を有し、(2)増殖能力または発達能力が低下した1種類または複数種類の分化した後代を生成する非対称性の細胞分裂が可能であり、そして(3)自己再生または自己維持のための対称性の細胞分裂が可能である、固形腫瘍由来の細胞の集団と定義され、機能的に特徴づけられる。CSCを特徴づけるための他の一般的な手法は、形態学ならびに、細胞表面マーカー、転写プロフィールおよび薬剤応答の調査を含む。CSCは、研究文献において、腫瘍/癌開始細胞、癌幹様細胞、幹様癌細胞、高度腫瘍形成性細胞、腫瘍幹細胞、固形腫瘍幹細胞、薬剤耐久細胞(drug survival cell)(DSC)、薬剤抵抗性細胞(DRC)または超悪性細胞とも呼ばれる。
【0042】
本明細書で用いるように、用語「自己再生」は、それらの数を補充または増加させるために、新しい腫瘍形成性の癌幹細胞を生成する、癌幹細胞の能力を指す。
【0043】
本明細書で用いるように、用語「癌」および「癌性」は、細胞集団が無秩序な細胞増殖を特徴とする哺乳動物の生理的状態を指すか、記載する。本明細書で用いるように、「癌細胞」および「腫瘍細胞」は、腫瘍細胞集団の大部分を含む非腫瘍形成性細胞と、腫瘍形成性幹細胞(癌幹細胞)の両方を含む、腫瘍に由来する細胞の全集団を指す。癌の例には、癌腫、リンパ腫、芽細胞腫、肉腫および白血病を含むが、これらに限定されない。そのような癌のより特定の例には、扁平上皮細胞癌、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、肺腺癌、肺扁平上皮癌、腹膜の癌、肝細胞癌、胃腸癌、膵臓癌、グリア芽細胞腫、子宮頸癌、卵巣癌、肝癌、膀胱癌、肝癌、乳癌、結腸癌、結腸直腸癌、子宮内膜癌もしくは子宮癌、唾液腺癌、腎臓癌、肝癌、前立腺癌、外陰部癌、甲状腺癌、肝癌および各種の頭頸部癌が含まれる。
【0044】
「腫瘍」は、本明細書で用いるように、良性(非癌性)または、前癌性病変を含む悪性(癌性)の、過剰の細胞成長もしくは増殖から生じる任意の組織塊を指す。
【0045】
「転移」は、本明細書で用いるように、癌が体の原発部位から他の領域に広がるか移って新しい場所に類似した癌性の病巣が発達する過程を指す。「転移性」または「転移する」細胞は、隣接細胞との接着性接触を失い、血流またはリンパを通して疾患の原発部位から移動して、近隣の体構造に侵入する細胞である。
【0046】
本明細書で用いるように、用語「対象」は、それらに限定されないが、ヒト、ヒト以外の霊長類、齧歯動物などを含む、特定の治療のレシピエントとなる任意の動物(例えば、哺乳動物)を指す。一般に、用語「対象」および「患者」は、ヒト対象に関して、本明細書で互換的に用いられる。
【0047】
本明細書で用いる、「治療する」または「治療」または「治療すること」または「軽減する」または「軽減すること」などの用語は、1)診断された病的状態または障害の症状を治癒させ、遅くし、軽くし、および/または診断された病的状態または障害の進行を停止させる治療措置、ならびに、2)標的の病的状態または障害の発達を予防するか遅くする、予防的または防止的措置の両方を指す。したがって、治療が必要な者には、障害をすでに有する者、障害を起こしやすい者、および、障害が予防されるべき者が含まれる。患者が以下の1つまたは複数を示す場合、対象は本発明の方法によって首尾よく「治療される」:癌細胞の数の減少またはその完全な非存在;腫瘍サイズの縮小;軟組織および骨への癌の広がりを含む周辺器官への癌細胞の浸入の阻害または癌細胞の浸入の非存在;腫瘍転移の阻害または非存在;腫瘍増殖の阻害または非存在;特定の癌に関連する1つまたは複数の症状の軽減;罹患率および死亡率の低下;ならびに、生活の質の向上。
【0048】
本明細書で用いるように、用語「阻害する」、「阻害すること」およびそれらの文法上の同等物は、生物活性との関連で用いられる場合、生物活性の下方制御を指し、それは、タンパク質の生成または分子のリン酸化などの標的にした機能を低下または除去することができる。特定の実施形態では、阻害は、標的にした活性の約20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%または95%の低下を指すことができる。障害または疾患との関連で用いられる場合、本用語は、症状の発生の予防、症状の軽減、または、疾患、状態もしくは障害の緩和の成功を指す。
【0049】
単数形もしくは複数形であれ、本明細書で用いる「通常の癌細胞」は、癌幹細胞でない癌細胞を指す。
【0050】
本明細書で用いるように、「併用」または「組合せ」の療法または治療は、障害、状態または症状、例えば癌状態を治療するための、少なくとも2つの異なる治療剤の投与を意味する。そのような併用療法は、他の治療剤の投与の前、その間、および/またはその後の、1つの治療剤の投与を含むことができる。治療剤の投与は、最高数週間まで、より一般的には48時間以内、最も一般的には24時間以内の時間で分離されてもよい。
【0051】
本明細書で用いるように、用語「薬学的に許容される賦形剤、担体または希釈剤」は、1つの器官または体の一部から別の器官または体の一部への、対象の医薬用薬剤の運搬または輸送に関与する、液体もしくは固体の充填剤、希釈剤、賦形剤、溶媒またはカプセル化材などの、薬学的に許容される物質、組成物または媒体を意味する。各担体は、その製剤の他の成分と適合するという意味において「許容される」ものでなければならず、患者に有害であってはならない。薬学的に許容される担体の役目を果たすことができる物質の一部の例には、以下のものが含まれる:乳糖、グルコースおよびショ糖などの糖;トウモロコシデンプンおよびジャガイモデンプンなどのデンプン;カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロースおよび酢酸セルロースなどのセルロースおよびその誘導体;トラガント末;麦芽;ゼラチン;タルク;カカオバターおよび坐薬ワックスなどの賦形剤;落花生油、綿実油、サフラワー油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油およびダイズ油などの油;プロピレングリコールなどのグリコール;グリセリン、ソルビトール、マンニトールおよびポリエチレングリコールなどのポリオール;オレイン酸エチルおよびラウリン酸エチルなどのエステル;寒天;水酸化マグネシウムおよび水酸化アルミニウムなどの緩衝剤;アルギン酸;発熱物質を含まない水;等張性の食塩水;リンガー液;エチルアルコール;リン酸緩衝液;ならびに、医薬製剤で使用される他の無毒性適合物質。湿潤剤、乳化剤および滑沢剤、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウムおよびポリエチレンオキシド−ポリプロピレンオキシド共重合体、ならびに着色剤、放出剤、コーティング剤、甘味料、香味料および香料、防腐剤および抗酸化剤が、組成物に存在してもよい。
【0052】
本発明の化合物は塩を形成することができ、それらも本発明の範囲内である。本明細書で本発明の化合物への言及は、特に明記しない限り、その塩への言及を含むものと理解される。本明細書で使用されるように、用語「塩(複数可)」は、無機および/または有機の酸および塩基と形成される、酸性および/または塩基性の塩を表す。さらに、本発明の化合物が、それらに限定されないがピリジンまたはイミダゾールなどの塩基性の部分、および、それらに限定されないがカルボン酸などの酸性部分の両方を含む場合、双性イオン(「内塩」)を形成することができ、それらは本明細書で用いる用語「塩(複数可)」の範囲に含まれる。薬学的に許容される(すなわち、無毒性で、生理的に許容される)塩が好ましいが、他の塩も、例えば、調製中に使用することができる単離または精製ステップで有用である。本発明の化合物の塩は、例えば、化合物I、IIまたはIIIを、酸または塩基のある量(例えば同等量)と、塩がその中で沈殿するような媒体中で反応させて形成するかまたは水性媒体中で反応させ、その後凍結乾燥することによって形成させることができる。
【0053】
本発明の化合物の溶媒和物も、本明細書で企図される。本発明の化合物の溶媒和物には、例えば水和物が含まれる。
【0054】
Stat3経路のターゲティング
本発明は、Stat3経路活性の有効な阻害剤である化合物を提供する(実施例2)。Stat3経路は増殖、生存および他の多くの生物過程を促進するために活性化される潜在性の転写因子であるので、それは、多種多様のヒト癌ならびに、いくつかの自己免疫疾患および炎症性疾患を含む非癌性の障害と関連付けされている(表1)。したがって、本発明は、第1の態様では、異常な、例えば過剰発現するStat3経路活性に関連する障害の併用治療を提供する。具体的には、患者対象に、異常なStat3経路活性の少なくとも一部を阻害する第1の作用物質の第1の量を、さらにはシグナル伝達阻害剤を含む第2の作用物質の第2の量を投与する。様々な実施形態では、異常なStat3経路活性の一部(例えば、20%、30%、40%)、ほとんど(約50%を超える)または実質的にすべて(例えば、60%、70%、80%、90%、95%または100%)が阻害される。第1の量および第2の量の片方または両方が、併用使用の前の、すなわち、障害に対して単独で用いられる場合のそれぞれの作用物質の治療的有効量であってもよく、または、併用による顕著な相乗効果のためにその量より少なくてもよい。第1の作用物質は、Stat3経路の1つまたは複数の段階を標的にすることができる。一実施形態では、第1の作用物質は、本発明の化合物である。
【0055】
【表1】
第2の作用物質、すなわち、シグナル伝達阻害剤は、異なる経路、関連する経路、または、同じStat3経路内の、第1の作用物質によって阻害される段階と異なる段階を標的にするために用いることができる。通常、併用療法の2つの作用物質が同じ経路を標的にする場合、異なる段階であっても、予想される相乗作用の量は限定される。しかし、下の実施例5で提供されるデータは、本発明の化合物と、おそらく同じ経路の他の段階を標的にする第2の作用物質、例えばチロシンキナーゼおよびGFR標的剤との間で、驚くほど高い量の相乗作用を示し、予想外の阻害機構が作用していることを示唆する。
【0056】
具体的には、Stat3は、成長因子受容体チロシンキナーゼ、JanusキナーゼまたはSrcファミリーキナーゼなどによって媒介される、重要なチロシン残基のリン酸化によって活性化され、チロシンのリン酸化後、Stat3はホモ二量体を形成し、核に移行し、標的遺伝子のプロモーター領域内の特異的DNA応答エレメントに結合し、遺伝子発現を誘導する。本発明の実施例2は、Stat3経路では、本発明の化合物による阻害作用がDNA結合段階に対して明白であることを示す。さらに、そのような作用は構成的に活性化されたStat3の上で見られるので、本発明の化合物がStat3タンパク質の二量体化および/または核移行を阻害する可能性がある。したがって、同じStat3経路を標的にするチロシンキナーゼ(TKI)標的剤およびGFR標的剤と組み合わせると、観察された相乗作用の量は、驚くほど高かった。例えば、化合物401をTKIソラフェニブと組み合わせたときに、膵臓癌細胞系からの細胞の100%阻害が達成されたが、個々に投与したときには、化合物401およびソラフェニブはどちらも、同じ細胞系の66%阻害をそれぞれ達成できただけであった−膵臓癌は、Stat3の過剰発現に関係することが公知である[44]。実際、化合物401と併用されて試験された全4つのTKIは、著しい相乗作用を示した。本発明の好ましい実施形態では、併用治療は、約50%を超える、または70%、または90%の癌細胞の阻害を達成する。
【0057】
本発明のこの第1の態様による方法は、癌または非癌性の障害、好ましくは異常なStat3経路活性に関連することが公知であるものの治療に適用することができる。異常なStat3経路活性に関連する非癌性障害の例には、それらに限定されないが、自己免疫疾患、炎症性疾患、炎症性腸疾患、関節炎、喘息および全身性エリテマトーデス、自己免疫脱髄障害、アルツハイマー病、脳卒中、虚血再灌流傷害および多発性硬化症が含まれる。異常なStat3経路活性に関連する癌の例には、それらに限定されないが、乳癌、頭頸部癌、肺癌、卵巣癌、膵臓癌、結腸直腸癌、前立腺癌、腎細胞癌、黒色腫、肝細胞癌、子宮頸癌、肉腫、脳腫瘍、胃癌、多発性骨髄腫、白血病およびリンパ腫が含まれる。
【0058】
本発明のこの第1の態様による第2の作用物質は、対標的剤、例えば、成長因子受容体標的剤(実施例5のエルロチニブ(Tarceva)のデータを参照)、キナーゼ標的剤(実施例5のラパチニブ、エルロチニブ、スニチニブおよびソラフェニブのデータを参照)または新脈管形成阻害剤(実施例5のスニチニブおよびソラフェニブのデータを参照)であってよい。
【0059】
一実施形態では、第2の作用物質は、成長因子受容体標的剤、例えば、上皮成長因子受容体(EGFR)または血管内皮成長因子受容体(VEGFR)などの、キナーゼに関連する成長因子受容体を標的にする抗体である。例えば、標的剤は、ゲフィチニブ(Iressa)、エルロチニブ(Tarceva)、PD153035、セツキシマブ(Erbitux)、Avastin、パニツムマブ、トラスツズマブおよび抗c−Met抗体であってよい。
【0060】
一実施形態では、第2の作用物質はキナーゼ標的剤であり、それは、チロシンキナーゼ阻害剤(TKI)などのキナーゼ阻害剤であってよい。例えば、TKIは、エルロチニブ(Tarceva)、Sutent(スニチニブ)、ラパチニブ、ソラフェニブ(Nexavar)、バンデタニブ、アキシチニブ、ボスチニブ、セジバニブ、ダサチニブ(Sprycel)、ゲフィチニブ(Irressa)、イマチニブ(Gleevac)、レスタウルチニブおよび/またはARQ197であってよい。
【0061】
様々な実施形態では、キナーゼ標的剤は、以下の1つである:ゲフィチニブ(Iressa)、ZD6474(AZD6474)、EMD−72000(マツズマブ)、パニツマブ(ABX−EGF)、ICR−62、CI−1033(PD183805)、ラパチニブ(Tykerb)、AEE788(ピロロ−ピリミジン)、EKB−569、Exel 7647/Exel 0999、エルロチニブ(Tarceva)、イマチニブ(Gleevec)、ソラフィニブ(Nexavar)、スニチニブ(Sutent)、ダサチニブ(Sprycel)、バンデチニブ(ZACTIMA)、テムシロリムス(Torisel)、PTK787(バタラニブ)、パゾパニブ、AZD2171、エベロリムス、セリシクリブ(seliciclib)、AMG 706、アキシチニブ、PD0325901、PKC−412、CEP701、XL880、ボスチニブ、BIBF1120、BIBF1120、ニロチニブ、AZD6244、HKI−272、MS−275、BI2536、GX15−070、AZD0530、エンザスタウリン、MLN−518およびARQ197。
【0062】
一実施形態では、第2の作用物質は、以下の1つであってよい新脈管形成阻害剤である:CM101、IFN−α、IL−12、血小板因子−4、スラミン、SU5416、トロンボスポンジン、VEGFRアンタゴニスト、新脈管形成抑制ステロイドプラスヘパリン、軟骨由来新脈管形成阻止因子、マトリックスメタロプロテアーゼ阻害剤、バチマスタット、マリマスタット、アンギオスタチン、エンドスタチン、2−メトキシエストラジオール、テコガラン、トロンボスポンジン、αVβ3阻害剤、リノミドおよびADH−1。
【0063】
関連する第2の態様では、本発明は、異常なStat3経路活性に関連する癌の対象を治療する方法であって、(a)異常なStat3経路活性の少なくとも一部を阻害するために、対象に第1の作用物質の第1の量を投与するステップと、(b)対象に第2の抗癌剤の第2の量を投与するステップとを含む方法を提供する。この方法で治療することができる癌には、異常なStat3経路活性に関連する、例えば少なくとも一部それによって引き起こされることが公知である癌が含まれ、それらのリストは、本発明の第1の態様に関して上で提供されている。
【0064】
第1の作用物質に関する特徴は、本発明の第1の態様に関して記載される特徴に類似することができるが、第2の抗癌剤は、細胞傷害性薬または化学療法剤であることができる。一実施形態では、第2の作用物質は、少なくとも1つの癌に対する標準の第1選択の治療薬である。本方法で用いられる第1の作用物質および第2の作用物質の量は、併用使用の前のそれぞれの作用物質の治療的有効量またはそれ未満であってよい。
【0065】
1つの特徴では、抗癌剤はDNA損傷剤、抗有糸分裂剤および/または代謝拮抗剤である。DNA損傷剤は、アルキル化剤、トポイソメラーゼ阻害剤および/またはDNAインターカレータであってよい。実施例5に示すように、本発明の化合物401を、以下のそれぞれと一緒にPaca2膵臓癌細胞に加えた:カルボプラチン(DNAアルキル化剤)、エトポシド(トポイソメラーゼIIの阻害剤)、ドキソルビシン(DNAインターカレータ)、ドセタキセル(抗有糸分裂剤)およびGemzar/ゲムシタビン(代謝拮抗剤)。各併用で、かなりの量の相乗作用が見られた。例えば、化合物401をGemzar/ゲムシタビンと併用した場合、膵臓癌細胞の96%の阻害が達成されたが、個々に投与した場合、化合物401およびGemzarは、同じ細胞系の66%および36%の阻害をそれぞれ達成できただけであった。
【0066】
アルキル化剤は、以下の1つでよい:クロラムブシル、シクロホスファミド、イホスファミド、メクロルエタミン、メルファラン、ウラシルマスタード、チオテパ、ブスルファン、カルムスチン、ロムスチン、ストレプトゾシン、カルボプラチン、シスプラチン、サトラプラチン、オキサリプラチン、アルトレタミン、ET−743、XL119(ベカテカリン)、ダカルバジン、クロルメチン、ベンダムスチン、トロホスファミド、ウラムスチン、ホテムスチン、ニムスチン、プレドニムスチン、ラニムスチン、セムスチン、ネダプラチン、四硝酸トリプラチン、マンノスルファン、トレオスルファン、テモゾロミド、カルボコン、トリアジコン、トリエチレンメラミンおよびプロカルバジン。
【0067】
トポイソメラーゼ阻害剤は、以下の1つでよい:ドキソルビシン(Doxil)、ダウノルビシン、エピルビシン、イダルビシン、アントラセンジオン(Novantrone)、ミトキサントロン、マイトマイシンC、ブレオマイシン、ダクチノマイシン、プリカトマイシン、イリノテカン(Camptosar)、カンプトテシン、ルビテカン、ベロテカン、エトポシド、テニポシドおよびトポテカン(Hycamptin)。
【0068】
DNAインターカレータは、プロフラビン、ドキソルビシン(アドリアマイシン)、ダウノルビシン、ダクチノマイシンおよびサリドマイドであってよい。
【0069】
抗有糸分裂剤は、以下の1つでよい:パクリタキセル(Abraxane)/Taxol、ドセタキセル(Taxotere)、BMS−275183、Xyotax、Tocosal、ビノルレビン(vinorlebine)、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビンデシン、ビンゾリジン、エトポシド(VP−16)、テニポシド(VM−26)、イクサベピロン、ラロタキセル、オルタタキセル、テセタキセル(tesetaxel)およびイスピネシブ。
【0070】
代謝拮抗剤は、以下の1つでよい:フルオロウラシル(5−FU)、フロクスウリジン(5−FUdR)、メトトレキセート、Xeloda、Arranon、ロイコボリン、ヒドロキシ尿素、チオグアニン(6−TG)、メルカプトプリン(6−MP)、シタラビン、ペントスタチン、リン酸フルダラビン、クラドリビン(2−CDA)、アスパラギナーゼ、ゲムシタビン、ペメトレキセド、ボルテゾミブ、アミノプテリン、ラルチトレキセド、クロファラビン、エノシタビン、サパシタビンおよびアザシチジン。
【0071】
一実施形態では、第2の抗癌剤は、以下の1つである:カルボプラチン、ドキソルビシン、ゲムシタビン、ドセタキセルおよびエトポシド。この方法は、CSCの自己再生および生存の両方において重要であると本明細書で証明されるStat3経路を阻害し(実施例1のデータを参照)、CSCは、基本的に薬剤耐性、腫瘍の再発および転移について役割を担うことがわかっているので、好ましい実施形態では、この方法は治療抵抗性の癌、再発癌および/または転移癌の治療または予防のために用いられる。
【0072】
抗癌化学療法および生物学的療法に関するさらなる議論、および適する治療プロトコルの例は、両方ともLippincott Williams & Wilkins、Philadelphia、Pa.、U.S.A.からの、Cancer Chemotherapy and Biotherapy: Principles and Practice、第3版(2001年)、ChabnerおよびLongo編、およびHandbook of Cancer Chemotherapy、第6版(2003年)、Skeet編などの書籍で見ることができ;抗癌療法、特に化学療法の処方計画は、National Cancer Institute(www.cancer.gov)、American Society for Clinical Oncology(www.asco.org)およびNational Comprehensive Cancer Network(www.nccn.org)によって維持されるものなどのウェブサイトで見ることができる。
【0073】
癌幹細胞のターゲティング
本発明は、本発明の化合物がCSCの自己再生を阻害し、CSCにアポトーシス性であることを示す、インビトロおよびインビボデータも提供する(実施例3)。さらに、本発明は、転移癌に対する本発明の化合物の効力を実験的に確認する(実施例4)。
【0074】
癌療法(抗癌療法)の目的は、癌細胞が増殖し、侵入し、転移し、究極的にそれらの宿主生物体、例えばヒトまたは他の哺乳動物を死滅させることを阻止することである。細胞増殖は癌細胞だけでなく多くの正常な細胞の特徴であるので、既存の抗癌療法の大部分も、正常な細胞、特にターンオーバー速度の速いもの、例えば骨髄や粘液膜細胞に対して傷害作用を有する。したがって、有効な癌療法は、癌細胞に対して顕著な増殖阻害作用または制御作用を有する一方、宿主の正常細胞に対する傷害作用が最小限である必要がある。
【0075】
最初の有効な抗癌化合物が1940年代に臨床試験にかけられて以来、癌再発および薬剤耐性は、癌治療の最も大きい問題のまま残されている。しばしば、症状の退行を得ることができるが、応答はしばしば部分的でかつ短期間だけであり、再発する癌は元の薬剤に対し耐性である傾向がある。これは、現在、癌幹細胞(CSC)の存在によって説明することができる。上に述べたように、CSCは、化学療法剤のすべてとまではいかないがほとんどに元来耐性である、正常な体細胞性幹細胞と同じ種類の生物学的機構をおそらく共有するので、全体の癌腫瘤の中のこの小さい細胞集団は、残りの癌細胞に有効である薬剤および放射線療法を逃れることができる。癌腫瘤において腫瘍形成活性の真の根源であるので、CSCは、無処置のまま放置されると、癌再成長を再び助けるか、転移を引き起こすことができる。最初の治療は薬剤耐性の癌幹細胞だけを残すので、完全な再成長腫瘍または転移性腫瘍が、最初は「有効」な療法に対して耐性になる可能性は劇的に増加している。
【0076】
現在、抗癌療法は、いくつかの理由のために組合せにより用いられる。第1に、2つ以上の非交差耐性療法による治療は、腫瘍内での耐性クローンの形成を予防することができる。1つの抗癌剤、例えばシスプラチンなどの白金抗癌化合物への耐性は、同じクラスの他の薬剤、例えば他の白金化合物への交差耐性をしばしば伴う。さらに、1つの薬剤による治療が、その薬剤およびそのクラスの他の薬剤にだけでなく、無関係な薬剤にも耐性を与える、多面的薬剤耐性とも呼ばれる多剤耐性もある。第2には、増殖の異なるフェーズの細胞に対して活性である2つ以上の療法の組合せは、活発に分裂する細胞と同様に分裂の遅い細胞を死滅させることができ、そして/または、より活発に分裂する状態に細胞をリクルートし、それらを複数の抗癌療法により感受性にすることができる。第3に、併用は、単一の生化学経路の異なる経路または異なる段階に影響を及ぼすことによって、生化学的増強効果を生むことができる。
【0077】
併用抗癌治療薬のこれらの理論的根拠は、癌幹細胞の確認および特徴づけにおける最近の進歩を考慮していない。併用療法にCSC特異的療法が組み込まれていないことは、現在の併用療法が、転移性結腸癌および前立腺癌などの一般的な癌を治療することができない理由を説明することができよう。CSCに対する本発明の化合物の効力を確認する本明細書で提供されるデータ(実施例3)により、本発明は、CSC標的剤と通常の癌細胞を標的にする別の作用物質を組み合わせる癌治療方法を考案することができる。さらに、特定の理論によって束縛されることを望まないが、本発明は、現在一部の予備データによって裏付けされているシナリオを先取りする薬剤処方計画を提供し、そのシナリオでは、元のCSCがCSCだけを標的にする単一薬剤療法によって減少するので、無処置のまま放置されるか不十分に治療される一部の通常の癌細胞が回復するかCSCを生成する。
【0078】
癌幹細胞は放射線療法および従来の化学療法に一般に耐性であるので、癌幹細胞を標的にする薬剤は、他の抗癌療法と併用される場合、相乗効果を有するはずである。したがって、本発明は、対象の癌を治療する方法であって、(a)癌幹細胞集団を阻害するために対象に第1の抗癌剤の第1の量を投与するステップと、(b)複数の通常の癌細胞を阻害するために、対象に第2の抗癌剤の第2の量を投与するステップとを含む方法を提供する。
【0079】
様々な実施形態では、CSCの一部(例えば、20%、30%、40%)、ほとんど(約50%を超える)または実質的にすべて(例えば、60%、70%、80%、90%、95%または100%)が阻害される。第1の量および第2の量の片方または両方が、併用使用の前の、すなわち、癌に対して単独で用いられる場合のそれぞれの作用物質の治療的有効量であってもよく、または、併用による顕著な相乗効果のためにその量より少なくてもよい。一実施形態では、第1の作用物質は、本発明の化合物、すなわち、2−(1−ヒドロキシエチル)−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン、2−アセチル−7−クロロ−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン、2−アセチル−7−フルオロ−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン、2−アセチルナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン、2−エチル−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン、および薬学的に許容されるその塩または溶媒和物である。
【0080】
本明細書で「第2の抗癌剤」は、上記の方法と同じ「第2の抗癌剤」であってよく、共有されるすべての特徴をここで繰り返すわけではない。1つの特徴では、第2の抗癌剤はDNA損傷剤、抗有糸分裂剤および/または代謝拮抗剤である。例えば、DNA損傷剤は、アルキル化剤、トポイソメラーゼ阻害剤またはDNAインターカレータであることができる。適するアルキル化剤、トポイソメラーゼ阻害剤、DNAインターカレータ、抗有糸分裂剤および代謝拮抗剤のリストは上に記載しているので、ここでは繰り返さない。本発明の化合物を上の化学療法剤のクラスの各々と併用した癌阻害実験で、かなりの相乗作用が観察された(実施例5を参照)。一実施形態では、第2の作用物質は、カルボプラチン、ドキソルビシン、ゲムシタビン、ドセタキセルおよびエトポシドの1つである。
【0081】
別の特徴では、第2の抗癌剤は、対標的剤、例えば、成長因子受容体標的剤(実施例5のエルロチニブ(Tarceva)のデータを参照)、キナーゼ標的剤(実施例5のラパチニブ、エルロチニブ、スニチニブおよびソラフェニブのデータを参照)または新脈管形成阻害剤(実施例5のスニチニブおよびソラフェニブのデータを参照)である。本発明の化合物を上の対標的剤のクラスの各々と併用した癌阻害実験で、かなりの相乗作用が観察された。適する成長因子受容体標的剤、キナーゼ標的剤(特にTKI)および新脈管形成阻害剤のリストは上に記載されており、ここでは繰り返さない。
【0082】
この方法は、基本的に薬剤耐性、腫瘍の再発および転移の役割を担う腫瘍中のCSC細胞を特異的に標的にする治療剤を使用するので、好ましい実施形態では、この方法は、治療抵抗性の癌、再発癌および/または転移癌の治療または予防のために用いられる。
【0083】
併用治療でCSCを標的にすることにおいて、1つの戦略は、自己再生および生存などのCSCの重要な生物機能に関係する1つを超える経路を標的にすることを目的にするべきである。そのために、本発明は、対象の癌を治療する方法であって、(a)Stat3経路活性を阻害するために、対象に第1の癌幹細胞阻害剤の第1の量を投与するステップと、(b)異なる経路の活性を阻害するために、対象に第2の癌幹細胞阻害剤の第2の量を投与するステップとを含む方法を提供する。一実施形態では、この方法での第1および/または第2の抗癌剤の量は、単独で癌幹細胞集団に対して治療的に有効でない。しかし、併用を通して達成されるかなりの相乗作用のために、患者から応答を引き出すためにより低い量をこの方法で用いることができる。
【0084】
一実施形態では、第2の抗癌幹細胞剤は、ラパチニブ(INN)またはラパチニブジトシラート(USAN)であり、それは、進行した転移性乳癌を有する患者での使用のために、2007年にFDAによって承認された。ラパチニブは、ATP競合的上皮成長因子受容体(EGFR)およびHER2/neu(ErbB−2)二重チロシンキナーゼ阻害剤である。それは、EGFR/HER2タンパク質キナーゼドメインのATP結合ポケットへの結合によって、受容体自己リン酸化および活性化を阻害する。下の実施例5に示すデータは、Paca2膵臓癌細胞に対して顕著な相乗作用が達成されたことを示す。化合物401およびラパチニブの併用前阻害率はそれぞれ32%および27%であったが、併用後の阻害率は、2つの率の合計よりも高い74%まで急上昇した。この方法は、基本的に薬剤耐性、腫瘍の再発および転移の役割を担うCSCにさらなる注意を払うので、好ましい実施形態では、この方法は、治療抵抗性の癌、再発癌および/または転移癌の治療または予防のために用いられる。
【0085】
本発明の製剤には、経口、鼻、局所(口内および舌下を含む)、直腸、膣および/または非経口投与に適するものが含まれる。製剤は単位剤形で都合よく提供することができ、また薬剤学の分野で周知である任意の方法で調製することができる。単一の剤形を生成するために担体物質と組み合わせることができる有効成分の量は、治療される哺乳動物および特定の投与様式によって異なる。単一の剤形を生成するために担体物質と組み合わせることができる有効成分の量は、一般に、治療効果を生成する化合物の量である。一般に、この量は、100%のうち、例えば、有効成分約1%〜約99%、約5%〜約70%、約10%〜約30%の範囲である。
【0086】
材料および方法
生物アッセイ
本発明の化合物は、上記のプロトコルによって試験することができる。表2は、プロトコルに記載される化合物のリストを示す。
【0087】
【表2】
細胞培養:Hela、DU145、H1299、DLD1、SW480、A549、MCF7、LN18、HCT116、HepG2、Paca2、Panc1、LNcap、FaDu、HT29およびPC3細胞(ATCC、Manassas、VA)を、10%ウシ胎児血清(FBS)(Gemini Bio−Products、West Sacramento、CA)および5%ペニシリン/ストレプトマイシン/アンホテルシン(amphotercin) B(Invitrogen)を添加したダルベッコの修正イーグル培地(DMEM)(Invitrogen、Carlsbad、CA)で維持した。
【0088】
Hoechstサイドポピュレーション:サイドポピュレーション(SP)および非SP画分を特定、単離するために、トリプシンおよびEDTAを含む培養皿からSW480細胞を取り出し、遠心分離によってペレットにし、リン酸緩衝化食塩水(PBS)で洗浄し、2%FBSおよび1mM HEPESを含むダルベッコの修正イーグル培地(DMEM)に37℃で再懸濁した。次に、細胞を、5μg/mLの濃度のHoechst 33342(Invitrogen)で標識した。標識細胞を、単独で、または50μMベラパミル(Sigma−Aldrich、St.Louis)と一緒に、37℃で120分間インキュベートした。染色の後、細胞を、2%FBSおよび1mM HEPESを含むHanksの平衡化食塩溶液(HBSS;Invitrogen)に懸濁し、40μmメッシュフィルターに通し、フローサイトメトリー分析まで4℃に維持した。Hoechst色素を350nmで励起させ、その蛍光を、450DF10(450/20nmバンドパスフィルター)および675LP(675nmロングパスエッジフィルター)の光学フィルターを用いて、2波長で測定した。前方散乱光および側方散乱光のゲーティングはストリンジェントではなく、デブリだけが除外された[15]。
【0089】
表面マーカーによるCSC単離:表面マーカー(複数可)、例えばCD44またはCD133の差次的発現に主に基づく腫瘍細胞の選別は、今日まで記載されている大部分の高度の腫瘍形成性のCSCを説明してきた。CD133の単離は、わずかな修正を加えたRicci−Vitianiら[21]の方法に基づく。CD133+細胞は、蛍光標示式細胞分取(FACS)または磁気ナノ粒子に基づく分離によって単離した。簡潔には、107個の細胞/mLを、FACSに基づく細胞選別のためにCD133/1(AC133)−PEで標識、または、磁場に基づく分離のためにCD133/1(AC133)−ビオチン(Miltenyi Biotec、Auburn、CA)で標識したが、標識のためには、製造業者の推奨に従ってEasySep(登録商標)ビオチン選択キット(Miltenyi Biotec)を用いた。非特異的標識を、供給されたFcRブロッキング試薬でブロックし、抗体インキュベーション(1:11)を、氷上の2%FBSおよび1mM EDTAを含むPBS中で15分間実行した。5回の洗浄をEasySep(登録商標)単離のために行い、細胞を5分間の400×gでペレットにし、2×107/mLに再懸濁した後、FACSによって選別した。
【0090】
CD44高細胞を、わずかな修正を加えたPontiらに記載の方法に従ってFACSによって単離した[81]。簡潔には、増殖培地での37℃で30分間の細胞のトリプシン処理および回収の後、細胞を400×gでペレットにし、2%FBSおよび1mM EDTAを含むPBSに、1×106細胞/mLで再懸濁した。次に、細胞を、氷上でCD44−FITC(BD Biosicences、San Diego、CA)の1:100の希釈溶液と15分間インキュベートした。あるいは、陰性選択のために、CD24−PE(BD Bioscences、San Diego、CA)(1:100)を利用した。3回洗浄の後、細胞を2×106個/mLに再懸濁し、40μMメッシュに通した後に選別した。
【0091】
スフィアアッセイ:細胞集団の自己再生能力を測定する信頼できる方法は、血清または接着物が存在しない場合に球体として培養される能力である。球体形成を可能にするために、CD44高 FaDuまたはHoechstサイドポピュレーション癌幹細胞を、癌幹細胞培地(DMEM/F12、B27 Neurobasal補助剤、20ng/ml EGF、10ng/ml FGF、4μg/mlインスリンおよび0.4%BSA)が入った超低接着プレート中で培養した。一般的に、培養の10〜14日後に球体形成を鏡検によって評価し、細胞数>50の球体を記録した。
【0092】
ルシフェラーゼレポーターアッセイ:製造業者(Invitrogen)によって記載される通りにリポフェクタミン(Lipofectamine)2000を用いて、HeLa細胞をStat3−ルシフェラーゼ(Stat3−Luc)レポーターベクター(Panomics、Fremont、CA州)およびRenillaルシフェラーゼ(Promega、Madison、WI)でコトランスフェクトした。トランスフェクションの後、0.5%FBSを含む培地で細胞を24時間維持した。次に、細胞を指示された化合物で30分間処理し、その後、培地に25ng/mlオンコスタチンM(OSM)(R&D Systems、Minneapolis、MN)を加えた。OSMの添加の6時間後、細胞を収集し、製造業者(Promega)によって記載されるように、Dual−Gloルシフェラーゼアッセイ系を用いて、ホタルおよびrenillaルシフェラーゼのレベルを測定した。
【0093】
アポトーシスの分析:化合物によって処理した細胞または処理しなかった細胞を、アネキシンV染色のための処理の5時間後に収集した。収集した細胞をPBSで洗浄し、アネキシンV−FITC含有緩衝剤に再懸濁し、製造業者(Roche)の指示に従って染色した。アネキシンV陽性の細胞を、フローサイトメトリーによって判定した。
【0094】
STAT3 DNA結合アッセイ:電気泳動移動度シフトアッセイ(EMSA)を、製造業者(Li−Cor Biosciences、Lincoln、NE)によって記載される通りに実施した。簡潔には、製造業者(EMD Biosciences、San Diego、CA)によって記載される通りにNucBusterタンパク質抽出キットを用いて、核抽出物をHeLa細胞から作製した。5μgの核抽出物を、指示された化合物の指示された用量と30分間プレインキュベートし、その後、IR700標識コンセンサスStat3オリゴヌクレオチドと15分間インキュベートした。次に、試料をポリアクリルアミドゲル電気泳動にかけ、Odyssey赤外線画像システム(Li−Cor Biosciences)を用いて直ちに走査した。酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)のために、5μgの核抽出物を、指示された化合物の指示された濃度と30分間プレインキュベートし、その後、ビオチン化オリゴ(5’−ビオチン−GATCCTTCTGGGAATTCCTAGATC−3’配列番号1)を加えた。次に、Stat3−DNA複合体を、ストレプトアビジンコート96ウェルプレート(Pierce、Rockford、IL)で捕捉した。次に、結合した複合体をStat3ポリクローナル抗体(Santa Cruz Biotechnology、Santa Cruz、CA)と、続いて抗ウサギHRP標識二次抗体(GE Healthcare、Pittsburgh、PA)とインキュベートした。次に、TMB基質(Pierce)の添加によって結合抗体を可視化し、吸光度を450nmで測定した。
【0095】
細胞生存度判定:3−(4,5ジメチルチアゾール−2−イル)−2,5−ジフェニルテトラゾリウム(MTT)(Sigma−Aldrich、St.Louis、MO)分析のために、ウェルにつき10,000個の細胞で、細胞を96ウェルプレートにまいた。プレートにまいてから24時間後、化合物を指示された用量で細胞に加えた。化合物添加から22時間後、MTTを各ウェルに加え(0.5mg/ml、最終濃度)、プレートを37℃でさらに2時間インキュベートした。次に、培地を吸引し、ホルマザン生成物を100μlのイソプロピルアルコールに可溶化した。マイクロプレートリーダーを用いて、各ウェルの吸光度を570nmで測定した。
【0096】
免疫蛍光:指示された時間指示された化合物で処理した細胞は、それぞれアネキシンV、切断されたカスパーゼ3またはstat3の検出のために、4%ホルムアルデヒドまたは冷メタノールのいずれかで固定した。カバーガラスを空気乾燥させ、室温で10分間、PBS中に再水和させた。次に、湿気のあるチャンバ内で、室温で10分間、試料をブロック緩衝剤(PBS、5%FBS)中でインキュベートした。4℃で一晩、細胞を一次抗体とインキュベートした。洗浄の後、室温で1時間、細胞をFITC標識抗ウサギ抗体の1:500の希釈溶液とインキュベートした。落射蛍光(epifluorescence)およびSPOTモザイクCCDカメラを備えたニコンTE200顕微鏡で、画像を取得した。ポリクローナル抗切断カスパーゼ3抗体(1:100)は、Cell Signaling Technology、Danvers、MAから得た。アネキシンV−FITCは、Roche、Penzberg、Germanyから得た。ポリクローナル抗Stat3抗体は、Santa Cruzから得た。
【0097】
TPIV(登録商標)技術による遺伝子ノックダウン:TPIV(登録商標)(Therapeutic Pathway Identification and Validation)技術(Boston Biochemical Inc.、Norwood、MA、USA)は、細菌を先ずトランスフェクトし、次にその細菌を哺乳動物の対象に取り込ませるために用いることができるプラスミドを提供する。細菌溶解の後、TPIV(登録商標)プラスミドによってコードされ、細菌によってプロセシングされるdsRNAは、哺乳動物の細胞の細胞質に放出されて標的とする遺伝子ノックダウンをもたらす。TPIV(登録商標)技術は、共同所有される2008年6月30日に出願のPCT特許出願番号PCT/US08/68866に記載され、その全内容は参照により本明細書に組み込まれる。具体的には、以下のプライマーを用いて、Stat3に対して有効なsiRNA配列をコードするTPIV(登録商標)プラスミドを、Origene Technologies(Rockville、MD、USA)から購入したStat3プラスミドのPCRクローニングによって構築した:
TPIV−Stat3(300bp挿入断片)
【0098】
【化1】
対照プラスミドは、Promega(Madison、WI、USA)から購入したpGL2プラスミドを用いて構築する。
【0099】
TPIV−GL2(300bp挿入断片)
【0100】
【化2】
化学的にコンピテントなE.coli BL21(DE3)pLYSe細菌(50〜100μl)を、製造業者の説明書(Stratagene)に従って、対照プラスミドまたは100ngのStat3標的TPIV(登録商標)のプラスミドで形質転換した。次に、単一のコロニーを、100μg/mlアンピシリン含有BHI培地に接種し、37℃で一晩増殖させた。翌日、一晩培養物のそれぞれの5mlを、100μg/mlアンピシリンを含む新しいBHI培地で1:40に希釈し、さらなる2〜4時間(OD600=0.5まで)増殖させた。次に、各培養物をIPTG(1mMの最終濃度)で2〜4時間処理して、細菌によってカクテルsiRNAにプロセシングされるであろう長い二本鎖RNAの転写を誘導した。IPTG誘導の後、各培養物中の細菌総数を、OD600値(1ml培養物につき8×108個の細菌数は、OD600=1を有する)を測ることによって計算した。次に、細胞処理のための細菌数を、細胞集密度および適当な反応容量で必要とされた感染多重度(MOI;細菌数対細胞数が20:1〜2000:1の試行範囲)に従って計算した。経験則として、1000:1のMOIについて3×108/mlになるように反応容量を選択するべきである。次に、必要とされた細菌培養物の容量を、4℃で10分間、2500gで遠心分離し、細菌感染させる細胞のために用いた無血清培地と、100μg/mlアンピシリンおよび1mMのIPTGとでペレットを1回洗浄し、細菌感染(バクトフェクション(bactofection))に必要とされた密度で同じ培地に再懸濁した。
【0101】
同時に、癌細胞または癌幹細胞を単離した。バクトフェクションの30分前に、細胞培地を、100μg/mlのアンピシリンおよび1mMのIPTGを含む2mlの新しい無血清培地で置換した。次に、上で調製した細菌を、37℃で2時間、所望のMOIで細胞に加えた。
【0102】
感染期間の後、無血清細胞培地を用いて細胞を3回洗浄した。次に、細胞を、100μg/mlのアンピシリンおよび150μg/mlのゲンタマイシンを含む2mlの新しい完全細胞培地で2時間インキュベートして、あらゆる残存細胞外細菌を死滅させた。アンピシリンおよびゲンタマイシンによる処理の後、細胞を、10μg/mlのオフロキサシンを含む3mlの新しい完全RPMI 1640培地でインキュベートして、あらゆる細胞内細菌を死滅させた。次に、標的遺伝子のサイレンシングの程度および生じた表現型を調査するために、細胞を様々な時間に収集または分析した。
【0103】
生前評価:各動物の健康状態の検査も、毎日行った。体重は、3日ごとに検査した。食べ物および水は、施設の動物飼育手順に従って、毎日供給した。20%を超える死亡率をもたらす処理、および、または、20%を超える体重の減少は、有毒とみなした。結果を、平均腫瘍容積(mm3)±SEで表す。0.05未満のP値は、統計学的に関連があるとみなす。
【0104】
動物飼育:4〜5週齢の雄または雌の胸腺欠損ヌードマウス(Charles River Laboratories、Wilmington、MA)を、試験開始前の少なくとも1週間、動物飼育施設に順応させた。利用した実験手順のすべては、American Physiology SocietyおよびGuide for the Care and Use of Laboratory Animalsによって概説され、Boston Biomedical Inc.のInstitutional Animal Care and Use Committeeに承認されてもいるガイドラインに一致していた。動物は、制御された温度(68°F〜72°F)、光(12時間明暗周期)および湿度(45〜55%)の部屋内の、床が木材チップのケージに、4匹の群で収容した。実験の間、動物には、水および食物を自由摂取させた。
【0105】
脾臓内ヌードマウスモデル系(ISMSモデル):雌のヌードマウスに麻酔をかけ、無菌条件の下で、左側腹部を切開して脾臓を露出させた。0.1ml PBS中の100万個のヒト結腸癌HT29細胞を、27ゲージ針を用いて脾被膜下に注入した。脾臓を腹膜腔に戻して、切開を閉じた。処置は、移植の翌日に開始され、試験日までであった。処置計画は、腹腔内を介する5qd/週である。死にかけているとき、または注射の30日後に、マウスを犠牲にした。脾臓および肝臓を取り出して検査し、腫瘍病巣数を記録した。
【実施例】
【0106】
(実施例1)
抗癌幹細胞標的としてのStat3の同定
CSCにおいて、Stat3のノックダウンはアポトーシスを誘導する。癌幹細胞がStat3を発現するかどうか、そしてStat3が構成的に活性であるかどうかを決定するために、本発明者らは免疫蛍光顕微鏡法を実施し、免疫蛍光顕微鏡法は稀有な細胞集団の分析を可能にするだけでなく、タンパク質の局在についての、そして染色と表現型(すなわちアポトーシス)とを関連付ける能力についてのさらなる情報もまた提供する。SW480結腸癌細胞からFACSにより単離されたNSP細胞およびSP細胞中のp−Stat3およびStat3の免疫蛍光検出の後に、本発明者らは、Stat3が実際にSP細胞中に存在し、核において適度に富化されていると判定した(図3A)。さらに、本発明者らは、p−Stat3の染色がNSP細胞よりもSP細胞中で増加していることを観察し、SP細胞が、生存のためにStat3により強く頼ることができることが示唆された。
【0107】
Stat3の状態を、FaDuヒト頭頸部癌細胞およびLN18ヒトグリア芽腫細胞から単離されたCD133+細胞においてさらに評価した。図3Bに示すように、Stat3は、これらの細胞においてもまた構成的に活性である。総合的に、これらのデータは、標的としてのStat3が癌幹細胞にとって特に重要であることを示唆する。
【0108】
次に本発明者らは、TPIV(登録商標)を使用して、CSCにおけるStat3のノックダウンの効果を試験した。免疫蛍光分析により、新鮮に単離されたCSC(SP)において感染から24時間以内にStat3の有意な減少が達成され得たことが明らかになり(図4A)、Stat3標的化TPIV(登録商標)プラスミドにより処理された細胞の大部分が感染24時間以内にアポトーシスとなり、一方、対照TPIV(登録商標)プラスミドは、対照の未感染の細胞を上回るレベルまでアポトーシスを誘導しなかったことが見出された(図4B)。これらのデータは、癌幹細胞が生存のためにStat3に依存していることを実証する。
【0109】
CSCにおけるStat3のノックダウンは、CSCの球体形成性を阻害する。CD44高/CD24低FaDuまたはHoeschstのサイドポピュレーション癌幹細胞をFACSにより単離し、超低接着プレートにおいて、癌幹細胞培地(DMEM/F12、B27 Neurobasal添加物、20ng/mLのEGF、10ng/mLのFGF、4μg/mLのインスリンおよび0.4%のBSA)中で培養し、球体を形成させた。一次球体を回収し、トリプシンで分散させ、96ウェルの超低接着プレートに分注し、その後TPIV(登録商標)処理した。細菌を、MOIが1000で投与し、2時間後抗生物質カクテル(penstrep、ゲンタマイシン、オフロキサシン(oflaxacin))を加えた。球体形成を、培養10〜14日後に評価した。代表的な球体の画像を、トリパンブルーの添加前(図5、左上のパネル)または後に記録し、死細胞を同定した(図5、左下のパネル)。相対的球体形成性を、図5の右のパネルに示した。データは、癌幹細胞におけるStat3のノックダウンが、球体形成性を阻害したことを明らかに示し、Stat3が、癌幹細胞のカギとなる自己再生因子であることを実証している。
【0110】
(実施例2)
Stat3経路の活性を阻害する化合物の同定
Stat3の転写活性の阻害。化合物を、細胞においてStat3の転写活性化活性を阻害するそれらの能力に関して、Stat3−ルシフェラーゼ(Stat3−luc)レポーター構築体を使用して試験した。Stat3−lucを形質移入した細胞を、血清低減培地で培養し、その後表示の化合物を30分間加えた。その後、細胞を、25ng/mlのオンコスタチンM(OSM)を用いて6時間刺激し、続いてStat3−lucレポーター活性を検出した。細胞を化合物401と共にインキュベートすると、OSM刺激性Stat3レポーターの活性が阻害された(図6、左のパネル)。Jak−Stat経路の阻害剤として公知であるAG490は、Stat3の阻害に関する陽性対照に挙げられる。遺伝毒性作用の対照として挙げられるエトポシドは、Stat3をほとんど、または全く阻害しないことが示された。本発明の化合物としてのナフトキノンの代わりにナフタレンである化合物1001は、非常に高い濃度であってもOSM刺激性Stat3レポーターの活性を阻害しなかった(図6、右のパネル)。
【0111】
さらなる化合物を、Stat3ルシフェラーゼレポーターアッセイにおいて試験し、結果を表3に要約する。
【0112】
【表3】
Stat3 DNA結合活性の阻害。チロシン705残基のリン酸化により検出されるような、構成的に活性化されたStat3を含有する、HeLa細胞由来の核抽出物を、Stat3 EMSAの実施に使用し、Stat3のDNA結合活性をモニターした。核抽出物を、表示の化合物と共にインキュベートし、その後IR700標識Stat3コンセンサスオリゴヌクレオチドと共にインキュベートした。Stat3とオリゴヌクレオチドの結合を、ゲル電気泳動およびLiCor Odyssey赤外線走査装置を使用した検出によりモニターした。Stat3の低下したバンドを、抗Stat3抗体によるスーパーシフト(図7A、左のパネル)およびStat3ペプチドによる用量依存性阻害(図7A、中央のパネル)によって同定し確認した。Stat3のDNA結合の用量依存性阻害を、標識プローブと化合物401とのインキュベーションの後で観察した(図7A、右のパネル)。
【0113】
EMSAアッセイにおいてさらなる化合物を試験した。図7Bに示すように、化合物401、416および418は、Stat3のDNA結合活性を阻害できる。
【0114】
異種移植腫瘍組織におけるStat3下流エフェクターの阻害。化合物401またはビヒクルの対照により処理し、4時間後に収穫した異種移植されたPaca2腫瘍から、抽出物を調製した。サンプルを、ウェスタンブロットおよびEMSAにより分析し、Stat3下流エフェクターの発現レベルおよびStat3のDNA結合活性を評価した。化合物401により処理したサンプル(T)は、対照(V)よりもStat3のDNA結合活性が減少することが示された(図8A)。さらに、化合物401による処理は、Stat3の下流エフェクターである、サイクリンD1およびサバイビン(図8B)の発現レベルの減少をもたらした。
【0115】
(実施例3)
癌幹細胞を標的とする化合物の同定
癌幹細胞に対してアポトーシス性である化合物の同定。癌幹細胞は、Hoechstを活発に流出させることが実証されているので、SW480細胞を、Hoechstを用いて染色し、サイドポピュレーション(図9Aに示した、左のパネルのゲートエリア)を識別し、癌幹細胞を富化した。このサイドポピュレーションは、癌幹細胞が富化されていることを確認するために、一連の対照SW480細胞を、まずABC輸送体の阻害剤であるベラパミルを用いて処理し、その後Hoechstを用いて染色した。図9Aの右のパネルに示すように、ベラパミル処理により、サイドポピュレーションの欠損がもたらされる。
【0116】
Hoechstのサイドポピュレーションに対する化合物401のIC50をMTTアッセイにおいて評価し、非サイドポピュレーションに対するIC50と比較した。結果は、サイドポピュレーションは非サイドポピュレーションと同程度に、化合物401に対して感受性であることを示す(図9B、右のパネル)。しかしサイドポピュレーションは非サイドポピュレーションより、ドキソルビシンに対して非常に抵抗性であり(図9B、左のパネル)、さきの出版物と一致する[7、82]。これらのデータは、化合物401が癌幹細胞を死滅させることを示唆する。
【0117】
Hoechstのサイドポピュレーション細胞を、化合物401を用いて処理し、細胞死の様式をアネキシンV(アポトーシスの早期マーカー)染色により評価した。結果は、死にかけている細胞がアネキシンV陽性であり(図10A)、化合物401が癌幹細胞に対してアポトーシス性であることを実証している。
【0118】
または、本発明者らは、CD133(共通の癌幹細胞表面マーカーの1つ)抗体磁気ビーズプルダウンを実施し、癌幹細胞を富化した。その後、CD133+細胞を、化合物401を用いて処理し、続いて切断カスパーゼ3(アポトーシスの顕著な特徴)に対する抗体を用いて染色した。図10Bに示すように、化合物401による処理後、CD133+細胞の多くは切断カスパーゼ3陽性になり、化合物401が癌幹細胞に対してアポトーシス性であることを裏付ける。
【0119】
インビトロでCSCの球体形成性を阻害する化合物の同定。癌幹細胞の顕著な特徴の1つは、それらの自己再生能力である。細胞集団の自己再生能力を測定する信頼性のある方法は、血清または接着物が存在しない状態で、球体として培養される能力である。他の対標的薬または化学療法剤と化合物401の能力を比較するために、FACSにより単離されたCD44高CSCを球体として72時間成長させ、その後一連の治療薬でチャレンジした。被験薬剤の中で、化合物401のみが球体の増殖の防止に有効であった(図11)。球体は、同様のアッセイにおける細胞死に関するそれらのIC50濃度のおよそ10倍で用いたにもかかわらず、ドキソルビシンおよびドセタキセルに抵抗性であることに留意されたい。Tarceva、SutentおよびGleevecを、報告されたそれらの治療濃度のおよそ3倍で加えた。このことは、癌幹細胞は従来の化学療法薬および対標的薬に対して抵抗性であるが、化合物401はそれらの成長の阻害に非常に有効であるということを実証する。
【0120】
インビボでCSCの球体形成性を阻害する化合物の同定。6週齢の雌の無胸腺nu/nuマウスを、Charles River Labs(Wilmington、MA)より入手した。マウスに、0.2mLの無血清DMEM中の6×106のFaDu癌細胞またはPaca2癌細胞を、側部の皮下に注入した。異種移植片が約200mm3のサイズに達した後に、Paca2異種移植腫瘍を担持する動物に対し、ビヒクル、ゲムシタビン(120mg/kg、週に2回)または化合物401(20mg/kg)のいずれかを、犠牲にする前の1週間、ipで投与し、FaDu異種移植腫瘍を担持する動物に、ビヒクル、カルボプラチン(30mg/kg)または化合物401(20mg/kg)のいずれかを犠牲にする前の2週間ipを介して毎日投与した。その後Paca2細胞およびFaDu細胞それぞれに関して腫瘍を回収した。動物を犠牲にし、腫瘍を無菌除去した後で、単一細胞懸濁液を得た。簡潔に言うと、腫瘍を滅菌の外科用メスを用いて0.1mm3の断片に刻み、その後1mg/mLのコラゲナーゼ/HBSSにおいて15〜30分、一定の撹拌を行いながら消化した。40μmメッシュのフィルターを通した後で、細胞懸濁液を1mLのHistopaque上に層にし、1440×gで30分間遠心分離した後に界面層を回収することによって、RBC、死細胞および細胞のデブリを除去した。その後、生細胞を数え、球体を形成するそれらの能力を測定するために使用した。細胞を、超低接着96ウェルプレートに、癌幹細胞培地(DMEM/F12、B27 Neurobasal添加物、20ng/mLのEGF、10ng/mLのFGF、4μg/mLのインスリンおよび0.4%のBSA)中に100細胞/ウェルの密度で分注した。新鮮な培地を3日ごとに加え、球体の形成を10〜14日後の培養物で決定した。>50細胞の球体を数えた。実験の終わりにトリパンブルーを加え、死細胞を同定した。図12に示すように、標準的化学療法剤のゲムシタビン(上のパネル)およびカルボプラチン(下のパネル)は癌幹細胞を富化したことが、球体形成性の増加から明らかであった。対照的に、球体形成性の減少により明らかなように、化合物401による処理は、癌幹細胞を減少させた。
【0121】
(実施例4)
抗転移効力
化合物401を、ISMSモデルでの転移を阻害するその能力に関して、さらに試験した。脾臓内ヌードマウスモデル系(ISMSモデル)は、この技術により肝臓に実験的転移を起こすことができるので結腸直腸癌の悪性挙動の研究に適している。このモデルにおいて、0.1mlのPBS中の100万個のHT29細胞を、ヌードマウスの脾被膜下に注入した。脾臓を、腹膜腔内に戻し、切開部を閉じた。死にかけているときまたは注入30日後にマウスを犠牲にした。脾臓および肝臓を取り出し、試験し、腫瘍病巣の数を記録した。マウスを、2つの群に分け、対照群にビヒクルを与え(n=4)、他の群には20mg/kgの化合物401を与えた(n=4)。薬剤を、i.s.注入後の2日目から開始して30日目まで、ip.を介して5日/週投与した。一次腫瘍および転移肝臓腫瘍の数を顕微鏡によって評価した。代表的写真を、図13に示す。ビヒクルを用いた対照群において、脾臓に一次腫瘍の重大な負荷があった(図13、左上のパネル)。重度の自然発生の肝転移も観察された(図13、右上のパネル)。化合物401による処置は、一次腫瘍病巣の数および自然発生肝転移をかなり減少させた(図13、下のパネル)。
【0122】
(実施例5)
組合せの活性
Paca2ヒト膵臓癌細胞、A549ヒト肺癌細胞およびHepG2ヒト肝癌細胞(American Type Culture Collection)を、10%ウシ胎児血清、100単位/mLのペニシリン、100μg/mLのストレプトマイシンおよび2mMのLグルタミンを含有するダルベッコ変法イーグル培地において培養した。化合物401およびSutentは、Boston Biomedical,Incによって合成された。カルボプラチン、ドキソルビシン、ドセタキセル、エトポシドをSigma(St.Louis、MO)から入手し、水またはDMSOに、10mMで溶解した。エルロニチブは、American Custom Chemicals(San Diego、CA)由来であった。ゲムシタビンは、Eli Lilly (Indianapolis、IN)由来の、20mMのストック水溶液であった。ソラフェニブは、LKT(St.Paul、MN)由来であった。ラパチニブは、LC Laboratories(Woburn、MA)から入手した。特に明記しない限り、すべての化合物は、DMSOに10mMで可溶化し、−20℃においてアリコート分割した。指数関数的に成長するPaca2膵臓癌細胞を、1,000細胞/ウェルで、6ウェルプレートに播種し、24時間接着させた。漸増濃度の個別の薬剤およびそれらを併用して、培地に加えさらに24時間置いた。24時間曝露した後、薬剤を取り除き、新鮮な培地を加えさらに10〜14日間置いて、コロニーを形成させた。細胞を固定し、GIEMSA(Gibco BRL)を用いて染色した。50細胞を超えるコロニーを、生存として数え、細胞生存のパーセンテージを未処理対照に対して正規化した。結果は、二重実験の平均である。または、MTTアッセイを、A549細胞およびHepG2細胞において処理72時間後に実施した。
【0123】
本発明者らのデータは、被験薬剤と併用したすべての場合において、化合物401が有益な効果を有することを実証する。中でもチロシンキナーゼ阻害剤(TKI)との併用が、最も優れた結果を示した。例えば図14に示すように、化合物401は、ソラフェニブとの併用でヒト肺A549細胞において72時間の時点で相乗効果を有する。同様に、図15から17は、化合物401がエルロチニブ、ラパチニブおよびスニチニブ(Sutent(登録商標))との併用で、ヒト肺A549細胞において72時間の時点でそれぞれ相乗効果を有することを示す。データの残りを表4に要約し、化合物401が被験薬剤と併用したすべての場合において、有益な効果を示したことを実証する。
【0124】
【表4】
さらに、本発明者らは、ヒト膵臓癌異種移植モデルにおいて化合物401とゲムシタビンとの併用効果を試験した。簡潔に言うと、雌の無胸腺ヌードマウス(Ncr)に8×106のMIA PaCa−2ヒト膵臓癌細胞を皮下に接種し、腫瘍をおよそ150mm3のサイズまで成長させた。動物を、6匹の動物/群の4群にランダム化し、対照であるビヒクル、臨床製剤(20%Gelucire)の100mg/kgの化合物401を、経口で毎日、120mg/kg(PBS中)のゲムシタビン(Gemzar(登録商標))を腹腔内に3日ごとにまたは両方で処置した。マウスを計2週間処置し、腫瘍の平均体積を分析した。
【0125】
図18に示すように、化合物401(100mg/kg)またはゲムシタビン(120mg/kg)のいずれかを単独で用いた処置は、処置期間に同じ程度に腫瘍の成長を遅らせた。化合物401(100mg/kg)とゲムシタビン(120mg/kg)とを併用して処置した動物は、腫瘍成長に関して相乗効果を示した。いずれの処置計画に関しても、有意な毒性は認められなかった。本発明者らのデータは、化合物401とゲムシタビンとの併用が、膵臓癌の治療において臨床的に有益であることを示唆する。
【0126】
本明細書に引用されているすべての参考文献は、各個々の出版物または特許または特許出願が、あたかもすべての目的のためにその全体が参照により組み込まれることが具体的かつ個別に示されているかのような同じ程度で、適用法により認められる範囲で、そしてすべての目的のためにそれらの全体を参照により本明細書に組み込まれる。参照により組み込まれた出版物および特許または特許出願が、本明細書に含まれる開示と矛盾する範囲内において、本明細書は、このような矛盾材料のいずれにも優先する、そして/または勝るよう意図されている。
【0127】
本明細書および特許請求の範囲に使用される成分、反応条件、分析結果などの量を表すすべての数字は、「約」という用語によりすべての場合に修飾されていると理解するべきである。したがって、反することを特に明記しない限り、本明細書および添付の特許請求の範囲において記載される数値パラメーターは、本発明により得られることを追求される所望の特性に依存して変動可能な近似値である。少なくとも、特許請求の範囲と同等の原理の適用を限定するつもりはないが、各数値パラメーターは、有効数字および普通の丸め法の数字を考慮して解釈されるべきである。
【0128】
当業者には明らかなように、本発明の改良および変形は、本発明の精神および範囲を逸脱することなく実行可能である。本明細書に記載の特定の実施形態は単に例の目的で提示しており、決して限定することを意味するものではない。本明細書および実施例は単なる例示として考えるべきであり、本発明の真の範囲および精神は下記の特許請求の範囲により示されることを意味する。
【0129】
参考文献:
【0130】
【数1】
【0131】
【数2】
【0132】
【数3】
【0133】
【数4】
【0134】
【数5】
【技術分野】
【0001】
(関連出願への相互参照)
本願は、それぞれ2007年9月10日および2007年12月13日に出願された米国仮特許出願第60/971,144号、61/013,372号の利益を主張し、これらの米国仮特許出願の全体の内容は、本明細書中に参考として援用される。
【0002】
発明の分野
本発明は、癌および他の障害の組合せの治療での、Stat3経路阻害剤および癌幹細胞阻害剤の組成物および使用方法に関する。
【背景技術】
【0003】
癌幹細胞(CSC)
近年では、腫瘍形成のニューモデルが広く受け入れられ、そこでは、腫瘤全体の小さな画分だけが腫瘍内の腫瘍形成活性を担うと仮定されているが、古いモデルまたはクローン遺伝モデルは、すべての変異腫瘍細胞がそのような腫瘍形成活性に等しく寄与すると仮定している。ニューモデルに従うと、腫瘍形成性細胞のこの小さな画分は、幹細胞様特性を有する形質転換細胞であり、「癌幹細胞」(CSC)と呼ばれる。BonnetおよびDickは、1990年代に、急性骨髄性白血病(AML)におけるCSCの存在をインビボで最初に証明した。彼らのデータは、免疫不全マウスに移植すると、ヒトAML細胞の小さな亜集団だけがAMLを転移させる能力を有し、他のAML細胞は白血病を誘発することができないことを示した。後に、これらのCSCは、原始造血幹細胞と同じ細胞マーカー、CD34+/CD38−を有することが判明した[1]。それ以来、研究者は、脳、乳房、皮膚、前立腺その他の腫瘍を含む各種の腫瘍で、CSCを確定的に認めた。
【0004】
腫瘍形成のCSCモデルは、腫瘍移植を確立するために、数万または数十万の腫瘍細胞を実験動物に注入する必要がある理由を説明するであろう。ヒトAMLでは、これらの細胞の頻度は、10,000分の1未満である[2]。所与の腫瘍細胞集団内で稀であるとしても、そのような細胞がほとんどすべての腫瘍型に存在するという証拠が増えている。しかし、癌細胞系は、組織培養で成長するように特に適応させた癌細胞の亜集団から選択されるので、癌細胞系の生物学的特性および機能的特性は、劇的な変化を経る可能性がある。したがって、すべての癌細胞系が、CSCを含むというわけではない。
【0005】
癌幹細胞は、多くの類似した形質を正常幹細胞と共有する。例えば、CSCは、限られた分裂数とは対照的に、自己再生能力、すなわち、さらなる腫瘍形成性癌幹細胞を、一般的に他の分裂腫瘍細胞よりも遅い速度で生成する能力を有する。CSCは、複数の細胞型に分化する能力を有するが、そのことは、多くの腫瘍が宿主器官に固有の複数の細胞型を含むだけでなく、不均一性が腫瘍転移で通常保持されもするという、組織学的証拠を説明するであろう。CSCは、基本的に腫瘍形成、癌転移および癌再発を担うことが証明されている。CSCは、腫瘍開始細胞、癌幹様細胞、幹様癌細胞、高度腫瘍形成性細胞、腫瘍幹細胞、固形腫瘍幹細胞または超悪性細胞とも呼ばれる。
【0006】
癌幹細胞の存在は、将来の癌治療および療法に、基本的な関連性を有する。現在の癌治療の効力は、試験の初期の段階では、腫瘍縮みのサイズ、すなわち死滅する腫瘤の量でしばしば測定される。CSCは腫瘍の非常に小さな割合を形成し、それらのより分化した後代よりも著しく異なる生物特性を有するので、腫瘤の測定は、幹細胞に特異的に作用する薬剤を必ずしも選択できるわけではない。実際、癌幹細胞は、放射線療法(XRT)に耐性であるようで、化学療法薬および対標的薬剤にも治療抵抗性である[3〜5]。正常な体細胞性幹細胞は本来化学療法剤に耐性である−それらは、薬剤を送り出す様々なポンプ(MDRなど)を有し、効率的なDNA修復機構を備える。さらに、それらは遅い速度の細胞ターンオーバーも有するが、化学療法剤は複製速度の速い細胞を標的にする。正常幹細胞の突然変異した対応物である癌幹細胞は、それらが薬剤療法および放射線治療を生き延びることを可能にする、類似した機構を有することもできる。言い換えると、従来の化学療法および放射線療法は、腫瘍を再生することができない腫瘍の大部分を形成する、分化した細胞または分化中の細胞を死滅させる。他方、分化した細胞および分化中の細胞をもたらす癌幹細胞の集団は、手付かずの状態であることができ、疾患の再発を引き起こすことができよう。従来の抗癌療法のさらなる危険は、例えば化学療法の治療が、化学療法に耐性の癌幹細胞だけを残し、続いて起こる再発性の腫瘍も化学療法におそらく耐性であろうという可能性である。
【0007】
生存癌幹細胞は腫瘍を再生息させ、再発を引き起こすことができるので、抗癌療法はCSCに対する戦略を含むことが不可避である(図1を参照)。これは、雑草の再成長を阻止するためにタンポポの根部を除去することの必要性に例えられた[6]。癌幹細胞を選択的に標的にすることによって、攻撃的で切除不能な腫瘍、および治療抵抗性もしくは再発性の癌を有する患者を治療すること、ならびに、腫瘍転移および再発を予防することが可能になる。したがって、癌幹細胞を標的にする特異的療法の開発は、癌患者の生存および生活の質の改善に、特に転移癌を有する患者のために希望を与える。この未開拓の可能性の錠を開ける鍵は、癌幹細胞の自己再生および生存にとって選択的に重要である経路の特定および検証である。癌および胚性幹細胞もしくは成体幹細胞での腫瘍形成の基礎をなす複数の経路が過去に解明されているが、癌幹細胞の自己再生および生存についてはいかなる経路も特定、検証されていない。
【0008】
癌幹細胞の特定および単離について、多くの研究がなされてきた。用いられる方法は、薬剤を排出するCSCの能力を主に活用するか、癌幹細胞に関連する表面マーカーの発現に基づく。
【0009】
例えば、CSCは多くの化学療法剤に耐性であるので、CSCが、ABCG2(BCRP−1)などの薬剤流出ポンプ[7〜11]、および他のATP結合カセット(ABC)スーパーファミリー構成員[12、13]をほとんど遍在的に過剰発現することは、驚くべきことでない。したがって、当初、造血幹細胞および白血病幹細胞を富化するために用いられたサイドポピュレーション(SP)技術も、CSCの特定および単離のために採用された[14]。最初にGoodellらによって記載されたこの技術は、CSCを濃縮した細胞集団を定義および単離するために、Hoechst 33342などの蛍光色素の識別的ABC輸送体依存性流出を利用する[10、15]。具体的には、SPはベラパミルで薬剤流出をブロックすることによって明らかにされ、その時点では、もはや色素をSPから排出することができない。
【0010】
研究者は、癌幹細胞と大部分の腫瘍とを区別する特異的マーカーの発見にも集中した。最も一般的に発現されるCSC表面マーカーには、CD44、CD133およびCD166が含まれる[16〜24]。これらの表面マーカー(複数可)の差次的発現に主に基づく腫瘍細胞の選別は、今日まで記載されている大部分の高度に腫瘍形成性のCSCを説明してきた。したがって、これらの表面マーカーは、癌細胞系、および大半の腫瘍組織からの癌幹細胞の特定および単離のためによく検証される。
【0011】
Stat3経路。
【0012】
多くの異なる遺伝子欠損が哺乳動物またはヒトの癌細胞にあり、多くのものが、癌の治癒に向けた探求で研究されてきた。例えば、p53腫瘍サプレッサーは、半分を超えるヒト癌で欠陥があるか、全く欠けていることがわかっている。STAT(シグナルトランスデューサおよび転写アクチベータ(Signal Transducers and Activator of Transcription))タンパク質ファミリーは、増殖、生存および他の生物学的過程を促進するために、サイトカイン/成長因子に応じて活性化される潜在性の転写因子である。それらの中で、Stat3は、成長因子受容体チロシンキナーゼ、JanusキナーゼまたはSrcファミリーキナーゼなどによって媒介される、重要なチロシン残基のリン酸化によって活性化される。これらのキナーゼには、それらに限定されないが、EGFR、JAK、Abl、KDR、c−Met、Src、およびHer2が含まれる[25]。チロシンリン酸化後、Stat3はホモ二量体を形成し、核に移行し、標的遺伝子のプロモーター領域内の特異的DNA応答エレメントに結合し、遺伝子発現を誘導する[26](図2を参照)。
【0013】
正常な細胞では、Stat3活性化は一時的で、厳しく制御されており、30分〜数時間持続する。しかし、Stat3は、すべての主要な癌腫ならびに一部の血液系腫瘍を含む、広範なヒト癌で異常に活動的であることがわかっている。Stat3は、癌の進行において複数の役割を演ずる。強力な転写調節因子として、それは多くの重要な細胞機能に関与する遺伝子、例えばBcl−xl、c−myc、サイクリンD1、Vegf、MMP−2、およびサバイビン(survivin)を標的にする[27〜32]。それは、腫瘍免疫監視機構および免疫細胞動員の重要な負の調節因子でもある[33〜35]。
【0014】
アンチセンス、siRNA、Stat3のドミナントネガティブ型、および/またはチロシンキナーゼの遮断によってStat3シグナル伝達を切断することは、インビトロおよび/またはインビボである癌細胞系または腫瘍を阻害する[26、28、36、37]。しかし、これまで、Stat3と癌幹細胞機能の間に、実験的にいかなる明白な関連付けもされていない。また、研究者は、癌幹細胞を含むことが見いだされている癌に関して潜在的治療用途を探究するための、有効なStat3経路阻害剤を見いだしていない。前に記載のように、癌幹細胞(CSC)は、基本的に腫瘍形成、癌転移および癌再発の役割を担うことが最近証明されており、それらが腫瘤のどんなに小さい部分を構成しようとも、これらの細胞を有することが公知である腫瘍を標的にするいかなる治癒治療の設計においても考慮するべきである。
【0015】
癌以外の疾患では、インターロイキン6(IL6)などの様々なサイトカインによるStat3の過度の活性化が、いくつかの自己免疫疾患および炎症性疾患で証明されている[38]。近年では、Stat3経路は、TH17 T細胞応答の生成におけるその必要不可欠な役割を通して、病的免疫応答を促進することも明らかにされている[39]。さらに、IL6−Stat3経路媒介性の炎症が、アテローム硬化、末梢血管疾患、冠状動脈疾患、高血圧症、骨粗鬆症、2型糖尿病および認知症の共通の原因であることがわかっている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、Stat3が、広範囲の癌にわたって癌幹細胞(CSC)の生存能および自己再生能の両方において重要な役割を果たすという本明細書で提供される実験的証拠に一部基づく。本発明は、ある化合物がStat3経路阻害剤として作用し、それらがインビトロおよびインビボの両方で効果的にCSCを阻害することを確認するデータも提供する。
【0017】
したがって、本発明の第1の態様は、異常なStat3経路活性に関連する障害を有する対象を治療する方法であって、(a)異常なStat3経路活性の少なくとも一部を阻害するために、対象に第1の作用物質の第1の量を投与するステップと、(b)対象にシグナル伝達阻害剤を含む第2の作用物質の第2の量を投与するステップとを含む方法を提供する。
【0018】
第1の作用物質は、以下の作用のうちの少なくとも1つを通して、Stat3経路活性を阻害することができる:Stat3タンパク質のリン酸化を実質的に阻害すること、Stat3タンパク質の二量体化を実質的に阻害すること、Stat3タンパク質の核移行を実質的に阻害すること、Stat3タンパク質のDNA結合活性を実質的に阻害すること、およびStat3タンパク質の転写活性を実質的に阻害すること。
【0019】
一実施形態では、第1の作用物質は、2−(1−ヒドロキシエチル)−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン、2−アセチル−7−クロロ−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン、2−アセチル−7−フルオロ−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン、2−アセチルナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン、2−エチル−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン、その鏡像異性体、ジアステレオマー、互変異性体およびその塩または溶媒和物(以下、「本発明の化合物」と称する)からなる群から選択される。
【0020】
本発明の第1の態様の方法によって治療することができる癌以外の障害には、それらに限定されないが、自己免疫疾患、炎症性疾患、炎症性腸疾患、関節炎、喘息および全身性エリテマトーデス、自己免疫脱髄障害、アルツハイマー病、脳卒中、虚血再灌流傷害および多発性硬化症が含まれる。本方法によって治療することができる癌には、それらに限定されないが、乳癌、頭頸部癌、肺癌、卵巣癌、膵臓癌、結腸直腸癌、前立腺癌、腎細胞癌、黒色腫、肝細胞癌、子宮頸癌、肉腫、脳腫瘍、胃癌、多発性骨髄腫、白血病およびリンパ腫が含まれる。これらの癌以外の障害および癌性の障害は、異常なStat3経路活性に関連することが公知である。
【0021】
1つの特徴では、第2の作用物質は対標的剤であり、それは、成長因子受容体標的剤、キナーゼ標的剤または新脈管形成阻害剤であってよい。
【0022】
第2の態様では、本発明は、異常なStat3経路活性に関連する癌の対象を治療する方法であって、(a)異常なStat3経路活性の少なくとも一部を阻害するために、対象に第1の作用物質の第1の量を投与するステップと、(b)対象に第2の抗癌剤の第2の量を投与するステップとを含む方法を提供する。
【0023】
第1の作用物質に関する特徴は、本発明の第1の態様に関して記載される特徴に類似することができるが、第2の抗癌剤は、細胞傷害性薬または化学療法剤であることができる。一実施形態では、第2の作用物質は、少なくとも1つの癌に対する標準の第1選択の治療薬である。
【0024】
1つの特徴では、抗癌剤はDNA損傷剤、抗有糸分裂剤および/または代謝拮抗剤である。例えば、DNA損傷剤は、アルキル化剤、トポイソメラーゼ阻害剤またはDNAインターカレータであることができる。一実施形態では、第2の作用物質は、カルボプラチン、ドキソルビシン、ゲムシタビン、ドセタキセルまたはエトポシドの1つである。
【0025】
本発明の第2の態様の方法によって治療することができる癌には、異常なStat3経路活性に関連することが公知であるものが含まれ、それらは上で記載されているので、ここでは繰り返さない。
【0026】
癌幹細胞は放射線療法および従来の化学療法に一般に耐性であるので、癌幹細胞を標的にする薬剤は、他の抗癌療法と併用される場合、相乗効果を有するはずである。したがって、本発明の第3の態様によれば、対象の癌を治療する方法は、(a)癌幹細胞(CSC)集団を阻害するために、対象に第1の抗癌剤の第1の量を投与するステップと、(b)複数の通常の癌細胞を阻害するために、対象に第2の抗癌剤の第2の量を投与するステップとを含む。
【0027】
様々な実施形態では、この方法のステップ(a)は、少なくとも1つのCSCの自己再生を阻害し、かつ/または少なくとも1つのCSCを死滅させる。一実施形態では、第1の抗癌剤の第1の量は、複数の通常の癌細胞も死滅させる。一実施形態では、ステップ(a)において、癌幹細胞で少なくとも一部のStat3経路活性を阻害する。本発明はStat3経路阻害剤がCSCを効果的に阻害することができるという証拠を提供しているので、第1の抗癌剤は、本発明の第1の態様による方法の第1の作用物質と同じ特徴および特性を共有する。共有される特徴には、例えば、ここで挙げる第1の抗癌剤が標的にすることができるStat3経路の様々な段階が含まれる。様々な実施形態では、第1の抗癌剤は、小分子Stat3阻害剤、Stat3に対するRNAi剤、Stat3に対するアンチセンス剤、ペプチド模倣物Stat3阻害剤、またはG−カルテットオリゴデオキシヌクレオチドStat3阻害剤であってよい。
【0028】
この方法によって治療することができる癌は、好ましくは、CSCを含むことが公知であるかCSCを含むことが確認されているものであり、それらには、乳癌、頭頸部癌、肺癌、卵巣癌、膵臓癌、多発性骨髄腫、結腸直腸癌、前立腺癌、黒色腫、カポジ肉腫、ユーイング肉腫、肝癌、胃癌、髄芽細胞腫、脳腫瘍および白血病が含まれるが、これらに限定されない。
【0029】
本発明の第3の態様による方法の「第2の抗癌剤」は、本発明の第2の態様による方法の同じ「第2の抗癌剤」であることができるが、共有されるすべての特徴をここで繰り返すことはしない。
【0030】
一実施形態では、第2の作用物質は、少なくとも1つの癌に対する標準の第1選択の治療薬である。第2の作用物質は、細胞傷害性薬であることができる。1つの特徴では、抗癌剤はDNA損傷剤、抗有糸分裂剤および/または代謝拮抗剤である。例えば、DNA損傷剤は、アルキル化剤、トポイソメラーゼ阻害剤またはDNAインターカレータであることができる。一実施形態では、第2の作用物質は、カルボプラチン、ドキソルビシン、ゲムシタビン、ドセタキセルまたはエトポシドの1つである。
【0031】
本発明の第4の態様によれば、対象の癌を治療する方法であって、(a)Stat3経路活性を阻害するために、対象に第1の癌幹細胞阻害剤の第1の量を投与するステップと、(b)異なる経路の活性を阻害するために、対象に第2の癌幹細胞阻害剤の第2の量を投与するステップとを含む方法が提供される。
【0032】
一実施形態では、第2の癌幹細胞阻害剤は、ラパチニブである。一部の実施形態では、第2の抗癌剤の第2の量は、それ単独では癌幹細胞集団に対して治療的に有効でない。この方法によって治療することができる癌は、好ましくはCSCを含むことが公知であるかCSCを含むことが確認されているものであり、一部の例は上に記載されている。様々な実施形態では、癌は転移性であるか、標準の第1選択の癌治療薬に抵抗性であるか、再発性である。
【0033】
本発明の第5の態様によれば、対象の癌を治療する方法であって、(a)2−(1−ヒドロキシエチル)−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン、2−アセチル−7−クロロ−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン、2−アセチル−7−フルオロ−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン、2−アセチルナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン、2−エチル−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン、および薬学的に許容されるその塩または溶媒和物からなる群から選択される第1の抗癌剤の治療的有効量を対象に投与するステップと、(b)同群から選択されない第2の抗癌剤を投与するステップとを含む方法が提供される。
【0034】
第2の抗癌剤は、細胞傷害性薬または化学療法剤のいずれか、および対標的剤のいずれかを含む、本発明の他の態様に記載される作用物質のいずれかでよい。
【0035】
第6の態様では、本発明は、2−(1−ヒドロキシエチル)−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン、2−アセチル−7−クロロ−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン、2−アセチル−7−フルオロ−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン、2−アセチルナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン、2−エチル−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン、および薬学的に許容されるその塩または溶媒和物からなる群から選択される第1の抗癌剤の治療的有効量、ならびに、細胞傷害性薬、対標的剤、放射線療法剤、生物剤、ホルモン剤、HDAC阻害剤、レチノイド剤、チェックポイント活性化剤、プロテアソーム阻害剤、アジュバント剤または補助剤からなる群から選択される第2の抗癌治療薬を含む医薬組成物を提供する。
【0036】
一実施形態では、本組成物は、薬学的に許容される賦形剤、担体または希釈剤をさらに含む。
【0037】
本明細書で記載される方法および本発明の実施形態に関連するすべての組成物およびキットを含む他の態様は、示されるか、本発明の以下の詳細な記載から容易に明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】癌幹細胞特異的療法および従来の癌療法の違いを示す図である。
【図2】癌におけるStat3経路を示す図である。
【図3】図3Aは、Stat3が、Hoechstサイドポピュレーション細胞において構成的に活性であることを示す図である。図3Bは、Stat3が、CD133+細胞において構成的に活性であることを示す図である。
【図4】癌幹細胞において、Stat3のノックダウンがアポトーシスを誘導することを示す図である。
【図5】癌幹細胞において、Stat3のノックダウンが、癌幹細胞の球体形成性を阻害することを示す図である。
【図6】化合物401が、Stat3の転写活性化活性を阻害することを示す図である。
【図7】図7Aは、化合物401が、核抽出物においてStat3のDNA結合活性を阻害することを示す図である。図7Bは、化合物401、416および418が、核抽出物においてStat3のDNA結合活性を阻害することを示す図である。
【図8】図8Aは、化合物401が、異種移植腫瘍組織においてStat3のDNA結合活性を阻害することを示す図である。図8Bは、化合物401が、異種移植腫瘍組織において、Stat3下流エフェクターの発現レベルを阻害することを示す図である。
【図9A】Hoechstサイドポピュレーションのソーティングおよび分析を示す図である。
【図9B】Hoechstサイドポピュレーションが、非サイドポピュレーションと同じ程度に化合物401に対して感受性であることを示す図である。
【図10】図10Aは、化合物401が、Hoechstサイドポピュレーション細胞に対してアポトーシス性であることを示す図である。図10Bは、化合物401が、CD133+細胞に対してアポトーシス性であることを示す図である。
【図11】化合物401が、CD44高の球体形成を遮断することを示す図である。
【図12】インビボの化合物401による処置が、異種移植された腫瘍細胞の球体形成性を減少させることを示す図である。
【図13】化合物401が、ISMSモデルにおいて転移を阻害することを示す図である。
【図14】化合物401が、A549ヒト肺癌細胞においてソラフェニブとの相乗効果を有することを示す図である。
【図15】化合物401が、A549ヒト肺癌細胞においてエルロチニブとの相乗効果を有することを示す図である。
【図16】化合物401が、A549ヒト肺癌細胞においてラパチニブとの相乗効果を有することを示す図である。
【図17】化合物401が、A549ヒト肺癌細胞においてSutentとの相乗効果を有することを示す図である。
【図18】化合物401が、Paca−2ヒト膵臓異種移植モデルにおいてゲムシタビンとの相乗効果を有することを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
本明細書で用いるように、単数形「a」、「an」および「the」は、文脈上明らかにそうでないことが示されない限り、複数形を含む。例えば、用語「細胞(a cell)」は、その混合物を含む複数の細胞を含む。
【0040】
本明細書で用いるように、用語「単離された」または「精製された」は、その天然の状態で通常それに付随する成分を、実質的にまたは基本的に含まない物質を指す。純度および均一性は、一般的に、ポリアクリルアミドゲル電気泳動または高速液体クロマトグラフィーなどの分析化学技術を用いて決定される。
【0041】
本明細書で用いるように、用語「癌幹細胞」および「CSC」は、互換性である。CSCは哺乳動物性であり、好ましい実施形態では、これらのCSCはヒト起源であるが、それらはそれに限定されるものではない。癌幹細胞は、(1)多大な増殖能力を有し、(2)増殖能力または発達能力が低下した1種類または複数種類の分化した後代を生成する非対称性の細胞分裂が可能であり、そして(3)自己再生または自己維持のための対称性の細胞分裂が可能である、固形腫瘍由来の細胞の集団と定義され、機能的に特徴づけられる。CSCを特徴づけるための他の一般的な手法は、形態学ならびに、細胞表面マーカー、転写プロフィールおよび薬剤応答の調査を含む。CSCは、研究文献において、腫瘍/癌開始細胞、癌幹様細胞、幹様癌細胞、高度腫瘍形成性細胞、腫瘍幹細胞、固形腫瘍幹細胞、薬剤耐久細胞(drug survival cell)(DSC)、薬剤抵抗性細胞(DRC)または超悪性細胞とも呼ばれる。
【0042】
本明細書で用いるように、用語「自己再生」は、それらの数を補充または増加させるために、新しい腫瘍形成性の癌幹細胞を生成する、癌幹細胞の能力を指す。
【0043】
本明細書で用いるように、用語「癌」および「癌性」は、細胞集団が無秩序な細胞増殖を特徴とする哺乳動物の生理的状態を指すか、記載する。本明細書で用いるように、「癌細胞」および「腫瘍細胞」は、腫瘍細胞集団の大部分を含む非腫瘍形成性細胞と、腫瘍形成性幹細胞(癌幹細胞)の両方を含む、腫瘍に由来する細胞の全集団を指す。癌の例には、癌腫、リンパ腫、芽細胞腫、肉腫および白血病を含むが、これらに限定されない。そのような癌のより特定の例には、扁平上皮細胞癌、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、肺腺癌、肺扁平上皮癌、腹膜の癌、肝細胞癌、胃腸癌、膵臓癌、グリア芽細胞腫、子宮頸癌、卵巣癌、肝癌、膀胱癌、肝癌、乳癌、結腸癌、結腸直腸癌、子宮内膜癌もしくは子宮癌、唾液腺癌、腎臓癌、肝癌、前立腺癌、外陰部癌、甲状腺癌、肝癌および各種の頭頸部癌が含まれる。
【0044】
「腫瘍」は、本明細書で用いるように、良性(非癌性)または、前癌性病変を含む悪性(癌性)の、過剰の細胞成長もしくは増殖から生じる任意の組織塊を指す。
【0045】
「転移」は、本明細書で用いるように、癌が体の原発部位から他の領域に広がるか移って新しい場所に類似した癌性の病巣が発達する過程を指す。「転移性」または「転移する」細胞は、隣接細胞との接着性接触を失い、血流またはリンパを通して疾患の原発部位から移動して、近隣の体構造に侵入する細胞である。
【0046】
本明細書で用いるように、用語「対象」は、それらに限定されないが、ヒト、ヒト以外の霊長類、齧歯動物などを含む、特定の治療のレシピエントとなる任意の動物(例えば、哺乳動物)を指す。一般に、用語「対象」および「患者」は、ヒト対象に関して、本明細書で互換的に用いられる。
【0047】
本明細書で用いる、「治療する」または「治療」または「治療すること」または「軽減する」または「軽減すること」などの用語は、1)診断された病的状態または障害の症状を治癒させ、遅くし、軽くし、および/または診断された病的状態または障害の進行を停止させる治療措置、ならびに、2)標的の病的状態または障害の発達を予防するか遅くする、予防的または防止的措置の両方を指す。したがって、治療が必要な者には、障害をすでに有する者、障害を起こしやすい者、および、障害が予防されるべき者が含まれる。患者が以下の1つまたは複数を示す場合、対象は本発明の方法によって首尾よく「治療される」:癌細胞の数の減少またはその完全な非存在;腫瘍サイズの縮小;軟組織および骨への癌の広がりを含む周辺器官への癌細胞の浸入の阻害または癌細胞の浸入の非存在;腫瘍転移の阻害または非存在;腫瘍増殖の阻害または非存在;特定の癌に関連する1つまたは複数の症状の軽減;罹患率および死亡率の低下;ならびに、生活の質の向上。
【0048】
本明細書で用いるように、用語「阻害する」、「阻害すること」およびそれらの文法上の同等物は、生物活性との関連で用いられる場合、生物活性の下方制御を指し、それは、タンパク質の生成または分子のリン酸化などの標的にした機能を低下または除去することができる。特定の実施形態では、阻害は、標的にした活性の約20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%または95%の低下を指すことができる。障害または疾患との関連で用いられる場合、本用語は、症状の発生の予防、症状の軽減、または、疾患、状態もしくは障害の緩和の成功を指す。
【0049】
単数形もしくは複数形であれ、本明細書で用いる「通常の癌細胞」は、癌幹細胞でない癌細胞を指す。
【0050】
本明細書で用いるように、「併用」または「組合せ」の療法または治療は、障害、状態または症状、例えば癌状態を治療するための、少なくとも2つの異なる治療剤の投与を意味する。そのような併用療法は、他の治療剤の投与の前、その間、および/またはその後の、1つの治療剤の投与を含むことができる。治療剤の投与は、最高数週間まで、より一般的には48時間以内、最も一般的には24時間以内の時間で分離されてもよい。
【0051】
本明細書で用いるように、用語「薬学的に許容される賦形剤、担体または希釈剤」は、1つの器官または体の一部から別の器官または体の一部への、対象の医薬用薬剤の運搬または輸送に関与する、液体もしくは固体の充填剤、希釈剤、賦形剤、溶媒またはカプセル化材などの、薬学的に許容される物質、組成物または媒体を意味する。各担体は、その製剤の他の成分と適合するという意味において「許容される」ものでなければならず、患者に有害であってはならない。薬学的に許容される担体の役目を果たすことができる物質の一部の例には、以下のものが含まれる:乳糖、グルコースおよびショ糖などの糖;トウモロコシデンプンおよびジャガイモデンプンなどのデンプン;カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロースおよび酢酸セルロースなどのセルロースおよびその誘導体;トラガント末;麦芽;ゼラチン;タルク;カカオバターおよび坐薬ワックスなどの賦形剤;落花生油、綿実油、サフラワー油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油およびダイズ油などの油;プロピレングリコールなどのグリコール;グリセリン、ソルビトール、マンニトールおよびポリエチレングリコールなどのポリオール;オレイン酸エチルおよびラウリン酸エチルなどのエステル;寒天;水酸化マグネシウムおよび水酸化アルミニウムなどの緩衝剤;アルギン酸;発熱物質を含まない水;等張性の食塩水;リンガー液;エチルアルコール;リン酸緩衝液;ならびに、医薬製剤で使用される他の無毒性適合物質。湿潤剤、乳化剤および滑沢剤、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウムおよびポリエチレンオキシド−ポリプロピレンオキシド共重合体、ならびに着色剤、放出剤、コーティング剤、甘味料、香味料および香料、防腐剤および抗酸化剤が、組成物に存在してもよい。
【0052】
本発明の化合物は塩を形成することができ、それらも本発明の範囲内である。本明細書で本発明の化合物への言及は、特に明記しない限り、その塩への言及を含むものと理解される。本明細書で使用されるように、用語「塩(複数可)」は、無機および/または有機の酸および塩基と形成される、酸性および/または塩基性の塩を表す。さらに、本発明の化合物が、それらに限定されないがピリジンまたはイミダゾールなどの塩基性の部分、および、それらに限定されないがカルボン酸などの酸性部分の両方を含む場合、双性イオン(「内塩」)を形成することができ、それらは本明細書で用いる用語「塩(複数可)」の範囲に含まれる。薬学的に許容される(すなわち、無毒性で、生理的に許容される)塩が好ましいが、他の塩も、例えば、調製中に使用することができる単離または精製ステップで有用である。本発明の化合物の塩は、例えば、化合物I、IIまたはIIIを、酸または塩基のある量(例えば同等量)と、塩がその中で沈殿するような媒体中で反応させて形成するかまたは水性媒体中で反応させ、その後凍結乾燥することによって形成させることができる。
【0053】
本発明の化合物の溶媒和物も、本明細書で企図される。本発明の化合物の溶媒和物には、例えば水和物が含まれる。
【0054】
Stat3経路のターゲティング
本発明は、Stat3経路活性の有効な阻害剤である化合物を提供する(実施例2)。Stat3経路は増殖、生存および他の多くの生物過程を促進するために活性化される潜在性の転写因子であるので、それは、多種多様のヒト癌ならびに、いくつかの自己免疫疾患および炎症性疾患を含む非癌性の障害と関連付けされている(表1)。したがって、本発明は、第1の態様では、異常な、例えば過剰発現するStat3経路活性に関連する障害の併用治療を提供する。具体的には、患者対象に、異常なStat3経路活性の少なくとも一部を阻害する第1の作用物質の第1の量を、さらにはシグナル伝達阻害剤を含む第2の作用物質の第2の量を投与する。様々な実施形態では、異常なStat3経路活性の一部(例えば、20%、30%、40%)、ほとんど(約50%を超える)または実質的にすべて(例えば、60%、70%、80%、90%、95%または100%)が阻害される。第1の量および第2の量の片方または両方が、併用使用の前の、すなわち、障害に対して単独で用いられる場合のそれぞれの作用物質の治療的有効量であってもよく、または、併用による顕著な相乗効果のためにその量より少なくてもよい。第1の作用物質は、Stat3経路の1つまたは複数の段階を標的にすることができる。一実施形態では、第1の作用物質は、本発明の化合物である。
【0055】
【表1】
第2の作用物質、すなわち、シグナル伝達阻害剤は、異なる経路、関連する経路、または、同じStat3経路内の、第1の作用物質によって阻害される段階と異なる段階を標的にするために用いることができる。通常、併用療法の2つの作用物質が同じ経路を標的にする場合、異なる段階であっても、予想される相乗作用の量は限定される。しかし、下の実施例5で提供されるデータは、本発明の化合物と、おそらく同じ経路の他の段階を標的にする第2の作用物質、例えばチロシンキナーゼおよびGFR標的剤との間で、驚くほど高い量の相乗作用を示し、予想外の阻害機構が作用していることを示唆する。
【0056】
具体的には、Stat3は、成長因子受容体チロシンキナーゼ、JanusキナーゼまたはSrcファミリーキナーゼなどによって媒介される、重要なチロシン残基のリン酸化によって活性化され、チロシンのリン酸化後、Stat3はホモ二量体を形成し、核に移行し、標的遺伝子のプロモーター領域内の特異的DNA応答エレメントに結合し、遺伝子発現を誘導する。本発明の実施例2は、Stat3経路では、本発明の化合物による阻害作用がDNA結合段階に対して明白であることを示す。さらに、そのような作用は構成的に活性化されたStat3の上で見られるので、本発明の化合物がStat3タンパク質の二量体化および/または核移行を阻害する可能性がある。したがって、同じStat3経路を標的にするチロシンキナーゼ(TKI)標的剤およびGFR標的剤と組み合わせると、観察された相乗作用の量は、驚くほど高かった。例えば、化合物401をTKIソラフェニブと組み合わせたときに、膵臓癌細胞系からの細胞の100%阻害が達成されたが、個々に投与したときには、化合物401およびソラフェニブはどちらも、同じ細胞系の66%阻害をそれぞれ達成できただけであった−膵臓癌は、Stat3の過剰発現に関係することが公知である[44]。実際、化合物401と併用されて試験された全4つのTKIは、著しい相乗作用を示した。本発明の好ましい実施形態では、併用治療は、約50%を超える、または70%、または90%の癌細胞の阻害を達成する。
【0057】
本発明のこの第1の態様による方法は、癌または非癌性の障害、好ましくは異常なStat3経路活性に関連することが公知であるものの治療に適用することができる。異常なStat3経路活性に関連する非癌性障害の例には、それらに限定されないが、自己免疫疾患、炎症性疾患、炎症性腸疾患、関節炎、喘息および全身性エリテマトーデス、自己免疫脱髄障害、アルツハイマー病、脳卒中、虚血再灌流傷害および多発性硬化症が含まれる。異常なStat3経路活性に関連する癌の例には、それらに限定されないが、乳癌、頭頸部癌、肺癌、卵巣癌、膵臓癌、結腸直腸癌、前立腺癌、腎細胞癌、黒色腫、肝細胞癌、子宮頸癌、肉腫、脳腫瘍、胃癌、多発性骨髄腫、白血病およびリンパ腫が含まれる。
【0058】
本発明のこの第1の態様による第2の作用物質は、対標的剤、例えば、成長因子受容体標的剤(実施例5のエルロチニブ(Tarceva)のデータを参照)、キナーゼ標的剤(実施例5のラパチニブ、エルロチニブ、スニチニブおよびソラフェニブのデータを参照)または新脈管形成阻害剤(実施例5のスニチニブおよびソラフェニブのデータを参照)であってよい。
【0059】
一実施形態では、第2の作用物質は、成長因子受容体標的剤、例えば、上皮成長因子受容体(EGFR)または血管内皮成長因子受容体(VEGFR)などの、キナーゼに関連する成長因子受容体を標的にする抗体である。例えば、標的剤は、ゲフィチニブ(Iressa)、エルロチニブ(Tarceva)、PD153035、セツキシマブ(Erbitux)、Avastin、パニツムマブ、トラスツズマブおよび抗c−Met抗体であってよい。
【0060】
一実施形態では、第2の作用物質はキナーゼ標的剤であり、それは、チロシンキナーゼ阻害剤(TKI)などのキナーゼ阻害剤であってよい。例えば、TKIは、エルロチニブ(Tarceva)、Sutent(スニチニブ)、ラパチニブ、ソラフェニブ(Nexavar)、バンデタニブ、アキシチニブ、ボスチニブ、セジバニブ、ダサチニブ(Sprycel)、ゲフィチニブ(Irressa)、イマチニブ(Gleevac)、レスタウルチニブおよび/またはARQ197であってよい。
【0061】
様々な実施形態では、キナーゼ標的剤は、以下の1つである:ゲフィチニブ(Iressa)、ZD6474(AZD6474)、EMD−72000(マツズマブ)、パニツマブ(ABX−EGF)、ICR−62、CI−1033(PD183805)、ラパチニブ(Tykerb)、AEE788(ピロロ−ピリミジン)、EKB−569、Exel 7647/Exel 0999、エルロチニブ(Tarceva)、イマチニブ(Gleevec)、ソラフィニブ(Nexavar)、スニチニブ(Sutent)、ダサチニブ(Sprycel)、バンデチニブ(ZACTIMA)、テムシロリムス(Torisel)、PTK787(バタラニブ)、パゾパニブ、AZD2171、エベロリムス、セリシクリブ(seliciclib)、AMG 706、アキシチニブ、PD0325901、PKC−412、CEP701、XL880、ボスチニブ、BIBF1120、BIBF1120、ニロチニブ、AZD6244、HKI−272、MS−275、BI2536、GX15−070、AZD0530、エンザスタウリン、MLN−518およびARQ197。
【0062】
一実施形態では、第2の作用物質は、以下の1つであってよい新脈管形成阻害剤である:CM101、IFN−α、IL−12、血小板因子−4、スラミン、SU5416、トロンボスポンジン、VEGFRアンタゴニスト、新脈管形成抑制ステロイドプラスヘパリン、軟骨由来新脈管形成阻止因子、マトリックスメタロプロテアーゼ阻害剤、バチマスタット、マリマスタット、アンギオスタチン、エンドスタチン、2−メトキシエストラジオール、テコガラン、トロンボスポンジン、αVβ3阻害剤、リノミドおよびADH−1。
【0063】
関連する第2の態様では、本発明は、異常なStat3経路活性に関連する癌の対象を治療する方法であって、(a)異常なStat3経路活性の少なくとも一部を阻害するために、対象に第1の作用物質の第1の量を投与するステップと、(b)対象に第2の抗癌剤の第2の量を投与するステップとを含む方法を提供する。この方法で治療することができる癌には、異常なStat3経路活性に関連する、例えば少なくとも一部それによって引き起こされることが公知である癌が含まれ、それらのリストは、本発明の第1の態様に関して上で提供されている。
【0064】
第1の作用物質に関する特徴は、本発明の第1の態様に関して記載される特徴に類似することができるが、第2の抗癌剤は、細胞傷害性薬または化学療法剤であることができる。一実施形態では、第2の作用物質は、少なくとも1つの癌に対する標準の第1選択の治療薬である。本方法で用いられる第1の作用物質および第2の作用物質の量は、併用使用の前のそれぞれの作用物質の治療的有効量またはそれ未満であってよい。
【0065】
1つの特徴では、抗癌剤はDNA損傷剤、抗有糸分裂剤および/または代謝拮抗剤である。DNA損傷剤は、アルキル化剤、トポイソメラーゼ阻害剤および/またはDNAインターカレータであってよい。実施例5に示すように、本発明の化合物401を、以下のそれぞれと一緒にPaca2膵臓癌細胞に加えた:カルボプラチン(DNAアルキル化剤)、エトポシド(トポイソメラーゼIIの阻害剤)、ドキソルビシン(DNAインターカレータ)、ドセタキセル(抗有糸分裂剤)およびGemzar/ゲムシタビン(代謝拮抗剤)。各併用で、かなりの量の相乗作用が見られた。例えば、化合物401をGemzar/ゲムシタビンと併用した場合、膵臓癌細胞の96%の阻害が達成されたが、個々に投与した場合、化合物401およびGemzarは、同じ細胞系の66%および36%の阻害をそれぞれ達成できただけであった。
【0066】
アルキル化剤は、以下の1つでよい:クロラムブシル、シクロホスファミド、イホスファミド、メクロルエタミン、メルファラン、ウラシルマスタード、チオテパ、ブスルファン、カルムスチン、ロムスチン、ストレプトゾシン、カルボプラチン、シスプラチン、サトラプラチン、オキサリプラチン、アルトレタミン、ET−743、XL119(ベカテカリン)、ダカルバジン、クロルメチン、ベンダムスチン、トロホスファミド、ウラムスチン、ホテムスチン、ニムスチン、プレドニムスチン、ラニムスチン、セムスチン、ネダプラチン、四硝酸トリプラチン、マンノスルファン、トレオスルファン、テモゾロミド、カルボコン、トリアジコン、トリエチレンメラミンおよびプロカルバジン。
【0067】
トポイソメラーゼ阻害剤は、以下の1つでよい:ドキソルビシン(Doxil)、ダウノルビシン、エピルビシン、イダルビシン、アントラセンジオン(Novantrone)、ミトキサントロン、マイトマイシンC、ブレオマイシン、ダクチノマイシン、プリカトマイシン、イリノテカン(Camptosar)、カンプトテシン、ルビテカン、ベロテカン、エトポシド、テニポシドおよびトポテカン(Hycamptin)。
【0068】
DNAインターカレータは、プロフラビン、ドキソルビシン(アドリアマイシン)、ダウノルビシン、ダクチノマイシンおよびサリドマイドであってよい。
【0069】
抗有糸分裂剤は、以下の1つでよい:パクリタキセル(Abraxane)/Taxol、ドセタキセル(Taxotere)、BMS−275183、Xyotax、Tocosal、ビノルレビン(vinorlebine)、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビンデシン、ビンゾリジン、エトポシド(VP−16)、テニポシド(VM−26)、イクサベピロン、ラロタキセル、オルタタキセル、テセタキセル(tesetaxel)およびイスピネシブ。
【0070】
代謝拮抗剤は、以下の1つでよい:フルオロウラシル(5−FU)、フロクスウリジン(5−FUdR)、メトトレキセート、Xeloda、Arranon、ロイコボリン、ヒドロキシ尿素、チオグアニン(6−TG)、メルカプトプリン(6−MP)、シタラビン、ペントスタチン、リン酸フルダラビン、クラドリビン(2−CDA)、アスパラギナーゼ、ゲムシタビン、ペメトレキセド、ボルテゾミブ、アミノプテリン、ラルチトレキセド、クロファラビン、エノシタビン、サパシタビンおよびアザシチジン。
【0071】
一実施形態では、第2の抗癌剤は、以下の1つである:カルボプラチン、ドキソルビシン、ゲムシタビン、ドセタキセルおよびエトポシド。この方法は、CSCの自己再生および生存の両方において重要であると本明細書で証明されるStat3経路を阻害し(実施例1のデータを参照)、CSCは、基本的に薬剤耐性、腫瘍の再発および転移について役割を担うことがわかっているので、好ましい実施形態では、この方法は治療抵抗性の癌、再発癌および/または転移癌の治療または予防のために用いられる。
【0072】
抗癌化学療法および生物学的療法に関するさらなる議論、および適する治療プロトコルの例は、両方ともLippincott Williams & Wilkins、Philadelphia、Pa.、U.S.A.からの、Cancer Chemotherapy and Biotherapy: Principles and Practice、第3版(2001年)、ChabnerおよびLongo編、およびHandbook of Cancer Chemotherapy、第6版(2003年)、Skeet編などの書籍で見ることができ;抗癌療法、特に化学療法の処方計画は、National Cancer Institute(www.cancer.gov)、American Society for Clinical Oncology(www.asco.org)およびNational Comprehensive Cancer Network(www.nccn.org)によって維持されるものなどのウェブサイトで見ることができる。
【0073】
癌幹細胞のターゲティング
本発明は、本発明の化合物がCSCの自己再生を阻害し、CSCにアポトーシス性であることを示す、インビトロおよびインビボデータも提供する(実施例3)。さらに、本発明は、転移癌に対する本発明の化合物の効力を実験的に確認する(実施例4)。
【0074】
癌療法(抗癌療法)の目的は、癌細胞が増殖し、侵入し、転移し、究極的にそれらの宿主生物体、例えばヒトまたは他の哺乳動物を死滅させることを阻止することである。細胞増殖は癌細胞だけでなく多くの正常な細胞の特徴であるので、既存の抗癌療法の大部分も、正常な細胞、特にターンオーバー速度の速いもの、例えば骨髄や粘液膜細胞に対して傷害作用を有する。したがって、有効な癌療法は、癌細胞に対して顕著な増殖阻害作用または制御作用を有する一方、宿主の正常細胞に対する傷害作用が最小限である必要がある。
【0075】
最初の有効な抗癌化合物が1940年代に臨床試験にかけられて以来、癌再発および薬剤耐性は、癌治療の最も大きい問題のまま残されている。しばしば、症状の退行を得ることができるが、応答はしばしば部分的でかつ短期間だけであり、再発する癌は元の薬剤に対し耐性である傾向がある。これは、現在、癌幹細胞(CSC)の存在によって説明することができる。上に述べたように、CSCは、化学療法剤のすべてとまではいかないがほとんどに元来耐性である、正常な体細胞性幹細胞と同じ種類の生物学的機構をおそらく共有するので、全体の癌腫瘤の中のこの小さい細胞集団は、残りの癌細胞に有効である薬剤および放射線療法を逃れることができる。癌腫瘤において腫瘍形成活性の真の根源であるので、CSCは、無処置のまま放置されると、癌再成長を再び助けるか、転移を引き起こすことができる。最初の治療は薬剤耐性の癌幹細胞だけを残すので、完全な再成長腫瘍または転移性腫瘍が、最初は「有効」な療法に対して耐性になる可能性は劇的に増加している。
【0076】
現在、抗癌療法は、いくつかの理由のために組合せにより用いられる。第1に、2つ以上の非交差耐性療法による治療は、腫瘍内での耐性クローンの形成を予防することができる。1つの抗癌剤、例えばシスプラチンなどの白金抗癌化合物への耐性は、同じクラスの他の薬剤、例えば他の白金化合物への交差耐性をしばしば伴う。さらに、1つの薬剤による治療が、その薬剤およびそのクラスの他の薬剤にだけでなく、無関係な薬剤にも耐性を与える、多面的薬剤耐性とも呼ばれる多剤耐性もある。第2には、増殖の異なるフェーズの細胞に対して活性である2つ以上の療法の組合せは、活発に分裂する細胞と同様に分裂の遅い細胞を死滅させることができ、そして/または、より活発に分裂する状態に細胞をリクルートし、それらを複数の抗癌療法により感受性にすることができる。第3に、併用は、単一の生化学経路の異なる経路または異なる段階に影響を及ぼすことによって、生化学的増強効果を生むことができる。
【0077】
併用抗癌治療薬のこれらの理論的根拠は、癌幹細胞の確認および特徴づけにおける最近の進歩を考慮していない。併用療法にCSC特異的療法が組み込まれていないことは、現在の併用療法が、転移性結腸癌および前立腺癌などの一般的な癌を治療することができない理由を説明することができよう。CSCに対する本発明の化合物の効力を確認する本明細書で提供されるデータ(実施例3)により、本発明は、CSC標的剤と通常の癌細胞を標的にする別の作用物質を組み合わせる癌治療方法を考案することができる。さらに、特定の理論によって束縛されることを望まないが、本発明は、現在一部の予備データによって裏付けされているシナリオを先取りする薬剤処方計画を提供し、そのシナリオでは、元のCSCがCSCだけを標的にする単一薬剤療法によって減少するので、無処置のまま放置されるか不十分に治療される一部の通常の癌細胞が回復するかCSCを生成する。
【0078】
癌幹細胞は放射線療法および従来の化学療法に一般に耐性であるので、癌幹細胞を標的にする薬剤は、他の抗癌療法と併用される場合、相乗効果を有するはずである。したがって、本発明は、対象の癌を治療する方法であって、(a)癌幹細胞集団を阻害するために対象に第1の抗癌剤の第1の量を投与するステップと、(b)複数の通常の癌細胞を阻害するために、対象に第2の抗癌剤の第2の量を投与するステップとを含む方法を提供する。
【0079】
様々な実施形態では、CSCの一部(例えば、20%、30%、40%)、ほとんど(約50%を超える)または実質的にすべて(例えば、60%、70%、80%、90%、95%または100%)が阻害される。第1の量および第2の量の片方または両方が、併用使用の前の、すなわち、癌に対して単独で用いられる場合のそれぞれの作用物質の治療的有効量であってもよく、または、併用による顕著な相乗効果のためにその量より少なくてもよい。一実施形態では、第1の作用物質は、本発明の化合物、すなわち、2−(1−ヒドロキシエチル)−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン、2−アセチル−7−クロロ−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン、2−アセチル−7−フルオロ−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン、2−アセチルナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン、2−エチル−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン、および薬学的に許容されるその塩または溶媒和物である。
【0080】
本明細書で「第2の抗癌剤」は、上記の方法と同じ「第2の抗癌剤」であってよく、共有されるすべての特徴をここで繰り返すわけではない。1つの特徴では、第2の抗癌剤はDNA損傷剤、抗有糸分裂剤および/または代謝拮抗剤である。例えば、DNA損傷剤は、アルキル化剤、トポイソメラーゼ阻害剤またはDNAインターカレータであることができる。適するアルキル化剤、トポイソメラーゼ阻害剤、DNAインターカレータ、抗有糸分裂剤および代謝拮抗剤のリストは上に記載しているので、ここでは繰り返さない。本発明の化合物を上の化学療法剤のクラスの各々と併用した癌阻害実験で、かなりの相乗作用が観察された(実施例5を参照)。一実施形態では、第2の作用物質は、カルボプラチン、ドキソルビシン、ゲムシタビン、ドセタキセルおよびエトポシドの1つである。
【0081】
別の特徴では、第2の抗癌剤は、対標的剤、例えば、成長因子受容体標的剤(実施例5のエルロチニブ(Tarceva)のデータを参照)、キナーゼ標的剤(実施例5のラパチニブ、エルロチニブ、スニチニブおよびソラフェニブのデータを参照)または新脈管形成阻害剤(実施例5のスニチニブおよびソラフェニブのデータを参照)である。本発明の化合物を上の対標的剤のクラスの各々と併用した癌阻害実験で、かなりの相乗作用が観察された。適する成長因子受容体標的剤、キナーゼ標的剤(特にTKI)および新脈管形成阻害剤のリストは上に記載されており、ここでは繰り返さない。
【0082】
この方法は、基本的に薬剤耐性、腫瘍の再発および転移の役割を担う腫瘍中のCSC細胞を特異的に標的にする治療剤を使用するので、好ましい実施形態では、この方法は、治療抵抗性の癌、再発癌および/または転移癌の治療または予防のために用いられる。
【0083】
併用治療でCSCを標的にすることにおいて、1つの戦略は、自己再生および生存などのCSCの重要な生物機能に関係する1つを超える経路を標的にすることを目的にするべきである。そのために、本発明は、対象の癌を治療する方法であって、(a)Stat3経路活性を阻害するために、対象に第1の癌幹細胞阻害剤の第1の量を投与するステップと、(b)異なる経路の活性を阻害するために、対象に第2の癌幹細胞阻害剤の第2の量を投与するステップとを含む方法を提供する。一実施形態では、この方法での第1および/または第2の抗癌剤の量は、単独で癌幹細胞集団に対して治療的に有効でない。しかし、併用を通して達成されるかなりの相乗作用のために、患者から応答を引き出すためにより低い量をこの方法で用いることができる。
【0084】
一実施形態では、第2の抗癌幹細胞剤は、ラパチニブ(INN)またはラパチニブジトシラート(USAN)であり、それは、進行した転移性乳癌を有する患者での使用のために、2007年にFDAによって承認された。ラパチニブは、ATP競合的上皮成長因子受容体(EGFR)およびHER2/neu(ErbB−2)二重チロシンキナーゼ阻害剤である。それは、EGFR/HER2タンパク質キナーゼドメインのATP結合ポケットへの結合によって、受容体自己リン酸化および活性化を阻害する。下の実施例5に示すデータは、Paca2膵臓癌細胞に対して顕著な相乗作用が達成されたことを示す。化合物401およびラパチニブの併用前阻害率はそれぞれ32%および27%であったが、併用後の阻害率は、2つの率の合計よりも高い74%まで急上昇した。この方法は、基本的に薬剤耐性、腫瘍の再発および転移の役割を担うCSCにさらなる注意を払うので、好ましい実施形態では、この方法は、治療抵抗性の癌、再発癌および/または転移癌の治療または予防のために用いられる。
【0085】
本発明の製剤には、経口、鼻、局所(口内および舌下を含む)、直腸、膣および/または非経口投与に適するものが含まれる。製剤は単位剤形で都合よく提供することができ、また薬剤学の分野で周知である任意の方法で調製することができる。単一の剤形を生成するために担体物質と組み合わせることができる有効成分の量は、治療される哺乳動物および特定の投与様式によって異なる。単一の剤形を生成するために担体物質と組み合わせることができる有効成分の量は、一般に、治療効果を生成する化合物の量である。一般に、この量は、100%のうち、例えば、有効成分約1%〜約99%、約5%〜約70%、約10%〜約30%の範囲である。
【0086】
材料および方法
生物アッセイ
本発明の化合物は、上記のプロトコルによって試験することができる。表2は、プロトコルに記載される化合物のリストを示す。
【0087】
【表2】
細胞培養:Hela、DU145、H1299、DLD1、SW480、A549、MCF7、LN18、HCT116、HepG2、Paca2、Panc1、LNcap、FaDu、HT29およびPC3細胞(ATCC、Manassas、VA)を、10%ウシ胎児血清(FBS)(Gemini Bio−Products、West Sacramento、CA)および5%ペニシリン/ストレプトマイシン/アンホテルシン(amphotercin) B(Invitrogen)を添加したダルベッコの修正イーグル培地(DMEM)(Invitrogen、Carlsbad、CA)で維持した。
【0088】
Hoechstサイドポピュレーション:サイドポピュレーション(SP)および非SP画分を特定、単離するために、トリプシンおよびEDTAを含む培養皿からSW480細胞を取り出し、遠心分離によってペレットにし、リン酸緩衝化食塩水(PBS)で洗浄し、2%FBSおよび1mM HEPESを含むダルベッコの修正イーグル培地(DMEM)に37℃で再懸濁した。次に、細胞を、5μg/mLの濃度のHoechst 33342(Invitrogen)で標識した。標識細胞を、単独で、または50μMベラパミル(Sigma−Aldrich、St.Louis)と一緒に、37℃で120分間インキュベートした。染色の後、細胞を、2%FBSおよび1mM HEPESを含むHanksの平衡化食塩溶液(HBSS;Invitrogen)に懸濁し、40μmメッシュフィルターに通し、フローサイトメトリー分析まで4℃に維持した。Hoechst色素を350nmで励起させ、その蛍光を、450DF10(450/20nmバンドパスフィルター)および675LP(675nmロングパスエッジフィルター)の光学フィルターを用いて、2波長で測定した。前方散乱光および側方散乱光のゲーティングはストリンジェントではなく、デブリだけが除外された[15]。
【0089】
表面マーカーによるCSC単離:表面マーカー(複数可)、例えばCD44またはCD133の差次的発現に主に基づく腫瘍細胞の選別は、今日まで記載されている大部分の高度の腫瘍形成性のCSCを説明してきた。CD133の単離は、わずかな修正を加えたRicci−Vitianiら[21]の方法に基づく。CD133+細胞は、蛍光標示式細胞分取(FACS)または磁気ナノ粒子に基づく分離によって単離した。簡潔には、107個の細胞/mLを、FACSに基づく細胞選別のためにCD133/1(AC133)−PEで標識、または、磁場に基づく分離のためにCD133/1(AC133)−ビオチン(Miltenyi Biotec、Auburn、CA)で標識したが、標識のためには、製造業者の推奨に従ってEasySep(登録商標)ビオチン選択キット(Miltenyi Biotec)を用いた。非特異的標識を、供給されたFcRブロッキング試薬でブロックし、抗体インキュベーション(1:11)を、氷上の2%FBSおよび1mM EDTAを含むPBS中で15分間実行した。5回の洗浄をEasySep(登録商標)単離のために行い、細胞を5分間の400×gでペレットにし、2×107/mLに再懸濁した後、FACSによって選別した。
【0090】
CD44高細胞を、わずかな修正を加えたPontiらに記載の方法に従ってFACSによって単離した[81]。簡潔には、増殖培地での37℃で30分間の細胞のトリプシン処理および回収の後、細胞を400×gでペレットにし、2%FBSおよび1mM EDTAを含むPBSに、1×106細胞/mLで再懸濁した。次に、細胞を、氷上でCD44−FITC(BD Biosicences、San Diego、CA)の1:100の希釈溶液と15分間インキュベートした。あるいは、陰性選択のために、CD24−PE(BD Bioscences、San Diego、CA)(1:100)を利用した。3回洗浄の後、細胞を2×106個/mLに再懸濁し、40μMメッシュに通した後に選別した。
【0091】
スフィアアッセイ:細胞集団の自己再生能力を測定する信頼できる方法は、血清または接着物が存在しない場合に球体として培養される能力である。球体形成を可能にするために、CD44高 FaDuまたはHoechstサイドポピュレーション癌幹細胞を、癌幹細胞培地(DMEM/F12、B27 Neurobasal補助剤、20ng/ml EGF、10ng/ml FGF、4μg/mlインスリンおよび0.4%BSA)が入った超低接着プレート中で培養した。一般的に、培養の10〜14日後に球体形成を鏡検によって評価し、細胞数>50の球体を記録した。
【0092】
ルシフェラーゼレポーターアッセイ:製造業者(Invitrogen)によって記載される通りにリポフェクタミン(Lipofectamine)2000を用いて、HeLa細胞をStat3−ルシフェラーゼ(Stat3−Luc)レポーターベクター(Panomics、Fremont、CA州)およびRenillaルシフェラーゼ(Promega、Madison、WI)でコトランスフェクトした。トランスフェクションの後、0.5%FBSを含む培地で細胞を24時間維持した。次に、細胞を指示された化合物で30分間処理し、その後、培地に25ng/mlオンコスタチンM(OSM)(R&D Systems、Minneapolis、MN)を加えた。OSMの添加の6時間後、細胞を収集し、製造業者(Promega)によって記載されるように、Dual−Gloルシフェラーゼアッセイ系を用いて、ホタルおよびrenillaルシフェラーゼのレベルを測定した。
【0093】
アポトーシスの分析:化合物によって処理した細胞または処理しなかった細胞を、アネキシンV染色のための処理の5時間後に収集した。収集した細胞をPBSで洗浄し、アネキシンV−FITC含有緩衝剤に再懸濁し、製造業者(Roche)の指示に従って染色した。アネキシンV陽性の細胞を、フローサイトメトリーによって判定した。
【0094】
STAT3 DNA結合アッセイ:電気泳動移動度シフトアッセイ(EMSA)を、製造業者(Li−Cor Biosciences、Lincoln、NE)によって記載される通りに実施した。簡潔には、製造業者(EMD Biosciences、San Diego、CA)によって記載される通りにNucBusterタンパク質抽出キットを用いて、核抽出物をHeLa細胞から作製した。5μgの核抽出物を、指示された化合物の指示された用量と30分間プレインキュベートし、その後、IR700標識コンセンサスStat3オリゴヌクレオチドと15分間インキュベートした。次に、試料をポリアクリルアミドゲル電気泳動にかけ、Odyssey赤外線画像システム(Li−Cor Biosciences)を用いて直ちに走査した。酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)のために、5μgの核抽出物を、指示された化合物の指示された濃度と30分間プレインキュベートし、その後、ビオチン化オリゴ(5’−ビオチン−GATCCTTCTGGGAATTCCTAGATC−3’配列番号1)を加えた。次に、Stat3−DNA複合体を、ストレプトアビジンコート96ウェルプレート(Pierce、Rockford、IL)で捕捉した。次に、結合した複合体をStat3ポリクローナル抗体(Santa Cruz Biotechnology、Santa Cruz、CA)と、続いて抗ウサギHRP標識二次抗体(GE Healthcare、Pittsburgh、PA)とインキュベートした。次に、TMB基質(Pierce)の添加によって結合抗体を可視化し、吸光度を450nmで測定した。
【0095】
細胞生存度判定:3−(4,5ジメチルチアゾール−2−イル)−2,5−ジフェニルテトラゾリウム(MTT)(Sigma−Aldrich、St.Louis、MO)分析のために、ウェルにつき10,000個の細胞で、細胞を96ウェルプレートにまいた。プレートにまいてから24時間後、化合物を指示された用量で細胞に加えた。化合物添加から22時間後、MTTを各ウェルに加え(0.5mg/ml、最終濃度)、プレートを37℃でさらに2時間インキュベートした。次に、培地を吸引し、ホルマザン生成物を100μlのイソプロピルアルコールに可溶化した。マイクロプレートリーダーを用いて、各ウェルの吸光度を570nmで測定した。
【0096】
免疫蛍光:指示された時間指示された化合物で処理した細胞は、それぞれアネキシンV、切断されたカスパーゼ3またはstat3の検出のために、4%ホルムアルデヒドまたは冷メタノールのいずれかで固定した。カバーガラスを空気乾燥させ、室温で10分間、PBS中に再水和させた。次に、湿気のあるチャンバ内で、室温で10分間、試料をブロック緩衝剤(PBS、5%FBS)中でインキュベートした。4℃で一晩、細胞を一次抗体とインキュベートした。洗浄の後、室温で1時間、細胞をFITC標識抗ウサギ抗体の1:500の希釈溶液とインキュベートした。落射蛍光(epifluorescence)およびSPOTモザイクCCDカメラを備えたニコンTE200顕微鏡で、画像を取得した。ポリクローナル抗切断カスパーゼ3抗体(1:100)は、Cell Signaling Technology、Danvers、MAから得た。アネキシンV−FITCは、Roche、Penzberg、Germanyから得た。ポリクローナル抗Stat3抗体は、Santa Cruzから得た。
【0097】
TPIV(登録商標)技術による遺伝子ノックダウン:TPIV(登録商標)(Therapeutic Pathway Identification and Validation)技術(Boston Biochemical Inc.、Norwood、MA、USA)は、細菌を先ずトランスフェクトし、次にその細菌を哺乳動物の対象に取り込ませるために用いることができるプラスミドを提供する。細菌溶解の後、TPIV(登録商標)プラスミドによってコードされ、細菌によってプロセシングされるdsRNAは、哺乳動物の細胞の細胞質に放出されて標的とする遺伝子ノックダウンをもたらす。TPIV(登録商標)技術は、共同所有される2008年6月30日に出願のPCT特許出願番号PCT/US08/68866に記載され、その全内容は参照により本明細書に組み込まれる。具体的には、以下のプライマーを用いて、Stat3に対して有効なsiRNA配列をコードするTPIV(登録商標)プラスミドを、Origene Technologies(Rockville、MD、USA)から購入したStat3プラスミドのPCRクローニングによって構築した:
TPIV−Stat3(300bp挿入断片)
【0098】
【化1】
対照プラスミドは、Promega(Madison、WI、USA)から購入したpGL2プラスミドを用いて構築する。
【0099】
TPIV−GL2(300bp挿入断片)
【0100】
【化2】
化学的にコンピテントなE.coli BL21(DE3)pLYSe細菌(50〜100μl)を、製造業者の説明書(Stratagene)に従って、対照プラスミドまたは100ngのStat3標的TPIV(登録商標)のプラスミドで形質転換した。次に、単一のコロニーを、100μg/mlアンピシリン含有BHI培地に接種し、37℃で一晩増殖させた。翌日、一晩培養物のそれぞれの5mlを、100μg/mlアンピシリンを含む新しいBHI培地で1:40に希釈し、さらなる2〜4時間(OD600=0.5まで)増殖させた。次に、各培養物をIPTG(1mMの最終濃度)で2〜4時間処理して、細菌によってカクテルsiRNAにプロセシングされるであろう長い二本鎖RNAの転写を誘導した。IPTG誘導の後、各培養物中の細菌総数を、OD600値(1ml培養物につき8×108個の細菌数は、OD600=1を有する)を測ることによって計算した。次に、細胞処理のための細菌数を、細胞集密度および適当な反応容量で必要とされた感染多重度(MOI;細菌数対細胞数が20:1〜2000:1の試行範囲)に従って計算した。経験則として、1000:1のMOIについて3×108/mlになるように反応容量を選択するべきである。次に、必要とされた細菌培養物の容量を、4℃で10分間、2500gで遠心分離し、細菌感染させる細胞のために用いた無血清培地と、100μg/mlアンピシリンおよび1mMのIPTGとでペレットを1回洗浄し、細菌感染(バクトフェクション(bactofection))に必要とされた密度で同じ培地に再懸濁した。
【0101】
同時に、癌細胞または癌幹細胞を単離した。バクトフェクションの30分前に、細胞培地を、100μg/mlのアンピシリンおよび1mMのIPTGを含む2mlの新しい無血清培地で置換した。次に、上で調製した細菌を、37℃で2時間、所望のMOIで細胞に加えた。
【0102】
感染期間の後、無血清細胞培地を用いて細胞を3回洗浄した。次に、細胞を、100μg/mlのアンピシリンおよび150μg/mlのゲンタマイシンを含む2mlの新しい完全細胞培地で2時間インキュベートして、あらゆる残存細胞外細菌を死滅させた。アンピシリンおよびゲンタマイシンによる処理の後、細胞を、10μg/mlのオフロキサシンを含む3mlの新しい完全RPMI 1640培地でインキュベートして、あらゆる細胞内細菌を死滅させた。次に、標的遺伝子のサイレンシングの程度および生じた表現型を調査するために、細胞を様々な時間に収集または分析した。
【0103】
生前評価:各動物の健康状態の検査も、毎日行った。体重は、3日ごとに検査した。食べ物および水は、施設の動物飼育手順に従って、毎日供給した。20%を超える死亡率をもたらす処理、および、または、20%を超える体重の減少は、有毒とみなした。結果を、平均腫瘍容積(mm3)±SEで表す。0.05未満のP値は、統計学的に関連があるとみなす。
【0104】
動物飼育:4〜5週齢の雄または雌の胸腺欠損ヌードマウス(Charles River Laboratories、Wilmington、MA)を、試験開始前の少なくとも1週間、動物飼育施設に順応させた。利用した実験手順のすべては、American Physiology SocietyおよびGuide for the Care and Use of Laboratory Animalsによって概説され、Boston Biomedical Inc.のInstitutional Animal Care and Use Committeeに承認されてもいるガイドラインに一致していた。動物は、制御された温度(68°F〜72°F)、光(12時間明暗周期)および湿度(45〜55%)の部屋内の、床が木材チップのケージに、4匹の群で収容した。実験の間、動物には、水および食物を自由摂取させた。
【0105】
脾臓内ヌードマウスモデル系(ISMSモデル):雌のヌードマウスに麻酔をかけ、無菌条件の下で、左側腹部を切開して脾臓を露出させた。0.1ml PBS中の100万個のヒト結腸癌HT29細胞を、27ゲージ針を用いて脾被膜下に注入した。脾臓を腹膜腔に戻して、切開を閉じた。処置は、移植の翌日に開始され、試験日までであった。処置計画は、腹腔内を介する5qd/週である。死にかけているとき、または注射の30日後に、マウスを犠牲にした。脾臓および肝臓を取り出して検査し、腫瘍病巣数を記録した。
【実施例】
【0106】
(実施例1)
抗癌幹細胞標的としてのStat3の同定
CSCにおいて、Stat3のノックダウンはアポトーシスを誘導する。癌幹細胞がStat3を発現するかどうか、そしてStat3が構成的に活性であるかどうかを決定するために、本発明者らは免疫蛍光顕微鏡法を実施し、免疫蛍光顕微鏡法は稀有な細胞集団の分析を可能にするだけでなく、タンパク質の局在についての、そして染色と表現型(すなわちアポトーシス)とを関連付ける能力についてのさらなる情報もまた提供する。SW480結腸癌細胞からFACSにより単離されたNSP細胞およびSP細胞中のp−Stat3およびStat3の免疫蛍光検出の後に、本発明者らは、Stat3が実際にSP細胞中に存在し、核において適度に富化されていると判定した(図3A)。さらに、本発明者らは、p−Stat3の染色がNSP細胞よりもSP細胞中で増加していることを観察し、SP細胞が、生存のためにStat3により強く頼ることができることが示唆された。
【0107】
Stat3の状態を、FaDuヒト頭頸部癌細胞およびLN18ヒトグリア芽腫細胞から単離されたCD133+細胞においてさらに評価した。図3Bに示すように、Stat3は、これらの細胞においてもまた構成的に活性である。総合的に、これらのデータは、標的としてのStat3が癌幹細胞にとって特に重要であることを示唆する。
【0108】
次に本発明者らは、TPIV(登録商標)を使用して、CSCにおけるStat3のノックダウンの効果を試験した。免疫蛍光分析により、新鮮に単離されたCSC(SP)において感染から24時間以内にStat3の有意な減少が達成され得たことが明らかになり(図4A)、Stat3標的化TPIV(登録商標)プラスミドにより処理された細胞の大部分が感染24時間以内にアポトーシスとなり、一方、対照TPIV(登録商標)プラスミドは、対照の未感染の細胞を上回るレベルまでアポトーシスを誘導しなかったことが見出された(図4B)。これらのデータは、癌幹細胞が生存のためにStat3に依存していることを実証する。
【0109】
CSCにおけるStat3のノックダウンは、CSCの球体形成性を阻害する。CD44高/CD24低FaDuまたはHoeschstのサイドポピュレーション癌幹細胞をFACSにより単離し、超低接着プレートにおいて、癌幹細胞培地(DMEM/F12、B27 Neurobasal添加物、20ng/mLのEGF、10ng/mLのFGF、4μg/mLのインスリンおよび0.4%のBSA)中で培養し、球体を形成させた。一次球体を回収し、トリプシンで分散させ、96ウェルの超低接着プレートに分注し、その後TPIV(登録商標)処理した。細菌を、MOIが1000で投与し、2時間後抗生物質カクテル(penstrep、ゲンタマイシン、オフロキサシン(oflaxacin))を加えた。球体形成を、培養10〜14日後に評価した。代表的な球体の画像を、トリパンブルーの添加前(図5、左上のパネル)または後に記録し、死細胞を同定した(図5、左下のパネル)。相対的球体形成性を、図5の右のパネルに示した。データは、癌幹細胞におけるStat3のノックダウンが、球体形成性を阻害したことを明らかに示し、Stat3が、癌幹細胞のカギとなる自己再生因子であることを実証している。
【0110】
(実施例2)
Stat3経路の活性を阻害する化合物の同定
Stat3の転写活性の阻害。化合物を、細胞においてStat3の転写活性化活性を阻害するそれらの能力に関して、Stat3−ルシフェラーゼ(Stat3−luc)レポーター構築体を使用して試験した。Stat3−lucを形質移入した細胞を、血清低減培地で培養し、その後表示の化合物を30分間加えた。その後、細胞を、25ng/mlのオンコスタチンM(OSM)を用いて6時間刺激し、続いてStat3−lucレポーター活性を検出した。細胞を化合物401と共にインキュベートすると、OSM刺激性Stat3レポーターの活性が阻害された(図6、左のパネル)。Jak−Stat経路の阻害剤として公知であるAG490は、Stat3の阻害に関する陽性対照に挙げられる。遺伝毒性作用の対照として挙げられるエトポシドは、Stat3をほとんど、または全く阻害しないことが示された。本発明の化合物としてのナフトキノンの代わりにナフタレンである化合物1001は、非常に高い濃度であってもOSM刺激性Stat3レポーターの活性を阻害しなかった(図6、右のパネル)。
【0111】
さらなる化合物を、Stat3ルシフェラーゼレポーターアッセイにおいて試験し、結果を表3に要約する。
【0112】
【表3】
Stat3 DNA結合活性の阻害。チロシン705残基のリン酸化により検出されるような、構成的に活性化されたStat3を含有する、HeLa細胞由来の核抽出物を、Stat3 EMSAの実施に使用し、Stat3のDNA結合活性をモニターした。核抽出物を、表示の化合物と共にインキュベートし、その後IR700標識Stat3コンセンサスオリゴヌクレオチドと共にインキュベートした。Stat3とオリゴヌクレオチドの結合を、ゲル電気泳動およびLiCor Odyssey赤外線走査装置を使用した検出によりモニターした。Stat3の低下したバンドを、抗Stat3抗体によるスーパーシフト(図7A、左のパネル)およびStat3ペプチドによる用量依存性阻害(図7A、中央のパネル)によって同定し確認した。Stat3のDNA結合の用量依存性阻害を、標識プローブと化合物401とのインキュベーションの後で観察した(図7A、右のパネル)。
【0113】
EMSAアッセイにおいてさらなる化合物を試験した。図7Bに示すように、化合物401、416および418は、Stat3のDNA結合活性を阻害できる。
【0114】
異種移植腫瘍組織におけるStat3下流エフェクターの阻害。化合物401またはビヒクルの対照により処理し、4時間後に収穫した異種移植されたPaca2腫瘍から、抽出物を調製した。サンプルを、ウェスタンブロットおよびEMSAにより分析し、Stat3下流エフェクターの発現レベルおよびStat3のDNA結合活性を評価した。化合物401により処理したサンプル(T)は、対照(V)よりもStat3のDNA結合活性が減少することが示された(図8A)。さらに、化合物401による処理は、Stat3の下流エフェクターである、サイクリンD1およびサバイビン(図8B)の発現レベルの減少をもたらした。
【0115】
(実施例3)
癌幹細胞を標的とする化合物の同定
癌幹細胞に対してアポトーシス性である化合物の同定。癌幹細胞は、Hoechstを活発に流出させることが実証されているので、SW480細胞を、Hoechstを用いて染色し、サイドポピュレーション(図9Aに示した、左のパネルのゲートエリア)を識別し、癌幹細胞を富化した。このサイドポピュレーションは、癌幹細胞が富化されていることを確認するために、一連の対照SW480細胞を、まずABC輸送体の阻害剤であるベラパミルを用いて処理し、その後Hoechstを用いて染色した。図9Aの右のパネルに示すように、ベラパミル処理により、サイドポピュレーションの欠損がもたらされる。
【0116】
Hoechstのサイドポピュレーションに対する化合物401のIC50をMTTアッセイにおいて評価し、非サイドポピュレーションに対するIC50と比較した。結果は、サイドポピュレーションは非サイドポピュレーションと同程度に、化合物401に対して感受性であることを示す(図9B、右のパネル)。しかしサイドポピュレーションは非サイドポピュレーションより、ドキソルビシンに対して非常に抵抗性であり(図9B、左のパネル)、さきの出版物と一致する[7、82]。これらのデータは、化合物401が癌幹細胞を死滅させることを示唆する。
【0117】
Hoechstのサイドポピュレーション細胞を、化合物401を用いて処理し、細胞死の様式をアネキシンV(アポトーシスの早期マーカー)染色により評価した。結果は、死にかけている細胞がアネキシンV陽性であり(図10A)、化合物401が癌幹細胞に対してアポトーシス性であることを実証している。
【0118】
または、本発明者らは、CD133(共通の癌幹細胞表面マーカーの1つ)抗体磁気ビーズプルダウンを実施し、癌幹細胞を富化した。その後、CD133+細胞を、化合物401を用いて処理し、続いて切断カスパーゼ3(アポトーシスの顕著な特徴)に対する抗体を用いて染色した。図10Bに示すように、化合物401による処理後、CD133+細胞の多くは切断カスパーゼ3陽性になり、化合物401が癌幹細胞に対してアポトーシス性であることを裏付ける。
【0119】
インビトロでCSCの球体形成性を阻害する化合物の同定。癌幹細胞の顕著な特徴の1つは、それらの自己再生能力である。細胞集団の自己再生能力を測定する信頼性のある方法は、血清または接着物が存在しない状態で、球体として培養される能力である。他の対標的薬または化学療法剤と化合物401の能力を比較するために、FACSにより単離されたCD44高CSCを球体として72時間成長させ、その後一連の治療薬でチャレンジした。被験薬剤の中で、化合物401のみが球体の増殖の防止に有効であった(図11)。球体は、同様のアッセイにおける細胞死に関するそれらのIC50濃度のおよそ10倍で用いたにもかかわらず、ドキソルビシンおよびドセタキセルに抵抗性であることに留意されたい。Tarceva、SutentおよびGleevecを、報告されたそれらの治療濃度のおよそ3倍で加えた。このことは、癌幹細胞は従来の化学療法薬および対標的薬に対して抵抗性であるが、化合物401はそれらの成長の阻害に非常に有効であるということを実証する。
【0120】
インビボでCSCの球体形成性を阻害する化合物の同定。6週齢の雌の無胸腺nu/nuマウスを、Charles River Labs(Wilmington、MA)より入手した。マウスに、0.2mLの無血清DMEM中の6×106のFaDu癌細胞またはPaca2癌細胞を、側部の皮下に注入した。異種移植片が約200mm3のサイズに達した後に、Paca2異種移植腫瘍を担持する動物に対し、ビヒクル、ゲムシタビン(120mg/kg、週に2回)または化合物401(20mg/kg)のいずれかを、犠牲にする前の1週間、ipで投与し、FaDu異種移植腫瘍を担持する動物に、ビヒクル、カルボプラチン(30mg/kg)または化合物401(20mg/kg)のいずれかを犠牲にする前の2週間ipを介して毎日投与した。その後Paca2細胞およびFaDu細胞それぞれに関して腫瘍を回収した。動物を犠牲にし、腫瘍を無菌除去した後で、単一細胞懸濁液を得た。簡潔に言うと、腫瘍を滅菌の外科用メスを用いて0.1mm3の断片に刻み、その後1mg/mLのコラゲナーゼ/HBSSにおいて15〜30分、一定の撹拌を行いながら消化した。40μmメッシュのフィルターを通した後で、細胞懸濁液を1mLのHistopaque上に層にし、1440×gで30分間遠心分離した後に界面層を回収することによって、RBC、死細胞および細胞のデブリを除去した。その後、生細胞を数え、球体を形成するそれらの能力を測定するために使用した。細胞を、超低接着96ウェルプレートに、癌幹細胞培地(DMEM/F12、B27 Neurobasal添加物、20ng/mLのEGF、10ng/mLのFGF、4μg/mLのインスリンおよび0.4%のBSA)中に100細胞/ウェルの密度で分注した。新鮮な培地を3日ごとに加え、球体の形成を10〜14日後の培養物で決定した。>50細胞の球体を数えた。実験の終わりにトリパンブルーを加え、死細胞を同定した。図12に示すように、標準的化学療法剤のゲムシタビン(上のパネル)およびカルボプラチン(下のパネル)は癌幹細胞を富化したことが、球体形成性の増加から明らかであった。対照的に、球体形成性の減少により明らかなように、化合物401による処理は、癌幹細胞を減少させた。
【0121】
(実施例4)
抗転移効力
化合物401を、ISMSモデルでの転移を阻害するその能力に関して、さらに試験した。脾臓内ヌードマウスモデル系(ISMSモデル)は、この技術により肝臓に実験的転移を起こすことができるので結腸直腸癌の悪性挙動の研究に適している。このモデルにおいて、0.1mlのPBS中の100万個のHT29細胞を、ヌードマウスの脾被膜下に注入した。脾臓を、腹膜腔内に戻し、切開部を閉じた。死にかけているときまたは注入30日後にマウスを犠牲にした。脾臓および肝臓を取り出し、試験し、腫瘍病巣の数を記録した。マウスを、2つの群に分け、対照群にビヒクルを与え(n=4)、他の群には20mg/kgの化合物401を与えた(n=4)。薬剤を、i.s.注入後の2日目から開始して30日目まで、ip.を介して5日/週投与した。一次腫瘍および転移肝臓腫瘍の数を顕微鏡によって評価した。代表的写真を、図13に示す。ビヒクルを用いた対照群において、脾臓に一次腫瘍の重大な負荷があった(図13、左上のパネル)。重度の自然発生の肝転移も観察された(図13、右上のパネル)。化合物401による処置は、一次腫瘍病巣の数および自然発生肝転移をかなり減少させた(図13、下のパネル)。
【0122】
(実施例5)
組合せの活性
Paca2ヒト膵臓癌細胞、A549ヒト肺癌細胞およびHepG2ヒト肝癌細胞(American Type Culture Collection)を、10%ウシ胎児血清、100単位/mLのペニシリン、100μg/mLのストレプトマイシンおよび2mMのLグルタミンを含有するダルベッコ変法イーグル培地において培養した。化合物401およびSutentは、Boston Biomedical,Incによって合成された。カルボプラチン、ドキソルビシン、ドセタキセル、エトポシドをSigma(St.Louis、MO)から入手し、水またはDMSOに、10mMで溶解した。エルロニチブは、American Custom Chemicals(San Diego、CA)由来であった。ゲムシタビンは、Eli Lilly (Indianapolis、IN)由来の、20mMのストック水溶液であった。ソラフェニブは、LKT(St.Paul、MN)由来であった。ラパチニブは、LC Laboratories(Woburn、MA)から入手した。特に明記しない限り、すべての化合物は、DMSOに10mMで可溶化し、−20℃においてアリコート分割した。指数関数的に成長するPaca2膵臓癌細胞を、1,000細胞/ウェルで、6ウェルプレートに播種し、24時間接着させた。漸増濃度の個別の薬剤およびそれらを併用して、培地に加えさらに24時間置いた。24時間曝露した後、薬剤を取り除き、新鮮な培地を加えさらに10〜14日間置いて、コロニーを形成させた。細胞を固定し、GIEMSA(Gibco BRL)を用いて染色した。50細胞を超えるコロニーを、生存として数え、細胞生存のパーセンテージを未処理対照に対して正規化した。結果は、二重実験の平均である。または、MTTアッセイを、A549細胞およびHepG2細胞において処理72時間後に実施した。
【0123】
本発明者らのデータは、被験薬剤と併用したすべての場合において、化合物401が有益な効果を有することを実証する。中でもチロシンキナーゼ阻害剤(TKI)との併用が、最も優れた結果を示した。例えば図14に示すように、化合物401は、ソラフェニブとの併用でヒト肺A549細胞において72時間の時点で相乗効果を有する。同様に、図15から17は、化合物401がエルロチニブ、ラパチニブおよびスニチニブ(Sutent(登録商標))との併用で、ヒト肺A549細胞において72時間の時点でそれぞれ相乗効果を有することを示す。データの残りを表4に要約し、化合物401が被験薬剤と併用したすべての場合において、有益な効果を示したことを実証する。
【0124】
【表4】
さらに、本発明者らは、ヒト膵臓癌異種移植モデルにおいて化合物401とゲムシタビンとの併用効果を試験した。簡潔に言うと、雌の無胸腺ヌードマウス(Ncr)に8×106のMIA PaCa−2ヒト膵臓癌細胞を皮下に接種し、腫瘍をおよそ150mm3のサイズまで成長させた。動物を、6匹の動物/群の4群にランダム化し、対照であるビヒクル、臨床製剤(20%Gelucire)の100mg/kgの化合物401を、経口で毎日、120mg/kg(PBS中)のゲムシタビン(Gemzar(登録商標))を腹腔内に3日ごとにまたは両方で処置した。マウスを計2週間処置し、腫瘍の平均体積を分析した。
【0125】
図18に示すように、化合物401(100mg/kg)またはゲムシタビン(120mg/kg)のいずれかを単独で用いた処置は、処置期間に同じ程度に腫瘍の成長を遅らせた。化合物401(100mg/kg)とゲムシタビン(120mg/kg)とを併用して処置した動物は、腫瘍成長に関して相乗効果を示した。いずれの処置計画に関しても、有意な毒性は認められなかった。本発明者らのデータは、化合物401とゲムシタビンとの併用が、膵臓癌の治療において臨床的に有益であることを示唆する。
【0126】
本明細書に引用されているすべての参考文献は、各個々の出版物または特許または特許出願が、あたかもすべての目的のためにその全体が参照により組み込まれることが具体的かつ個別に示されているかのような同じ程度で、適用法により認められる範囲で、そしてすべての目的のためにそれらの全体を参照により本明細書に組み込まれる。参照により組み込まれた出版物および特許または特許出願が、本明細書に含まれる開示と矛盾する範囲内において、本明細書は、このような矛盾材料のいずれにも優先する、そして/または勝るよう意図されている。
【0127】
本明細書および特許請求の範囲に使用される成分、反応条件、分析結果などの量を表すすべての数字は、「約」という用語によりすべての場合に修飾されていると理解するべきである。したがって、反することを特に明記しない限り、本明細書および添付の特許請求の範囲において記載される数値パラメーターは、本発明により得られることを追求される所望の特性に依存して変動可能な近似値である。少なくとも、特許請求の範囲と同等の原理の適用を限定するつもりはないが、各数値パラメーターは、有効数字および普通の丸め法の数字を考慮して解釈されるべきである。
【0128】
当業者には明らかなように、本発明の改良および変形は、本発明の精神および範囲を逸脱することなく実行可能である。本明細書に記載の特定の実施形態は単に例の目的で提示しており、決して限定することを意味するものではない。本明細書および実施例は単なる例示として考えるべきであり、本発明の真の範囲および精神は下記の特許請求の範囲により示されることを意味する。
【0129】
参考文献:
【0130】
【数1】
【0131】
【数2】
【0132】
【数3】
【0133】
【数4】
【0134】
【数5】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
異常なStat3経路活性に関連する障害を有する対象を治療する方法であって、
(a)前記異常なStat3経路活性の少なくとも一部を阻害するために、前記対象に第1の作用物質の第1の量を投与するステップと、
(b)前記対象にシグナル伝達阻害剤を含む第2の作用物質の第2の量を投与するステップと
を含む方法。
【請求項2】
前記第1の作用物質が、Stat3タンパク質のリン酸化を実質的に阻害すること、Stat3タンパク質の二量体化を実質的に阻害すること、Stat3タンパク質の核移行を実質的に阻害すること、Stat3タンパク質のDNA結合活性を実質的に阻害すること、およびStat3タンパク質の転写活性を実質的に阻害することからなる群から選択される作用を通してStat3経路活性を阻害する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の作用物質が、2−(1−ヒドロキシエチル)−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン、2−アセチル−7−クロロ−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン、2−アセチル−7−フルオロ−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン、2−アセチルナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン、2−エチル−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン、および薬学的に許容されるその塩または溶媒和物からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記障害が、自己免疫疾患、炎症性疾患、炎症性腸疾患、関節炎、喘息および全身性エリテマトーデス、自己免疫脱髄障害、アルツハイマー病、脳卒中、虚血再灌流傷害および多発性硬化症からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記障害が癌である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記癌が、乳癌、頭頸部癌、肺癌、卵巣癌、膵臓癌、結腸直腸癌、前立腺癌、腎細胞癌、黒色腫、肝細胞癌、子宮頸癌、肉腫、脳腫瘍、胃癌、多発性骨髄腫、白血病およびリンパ腫からなる群から選択される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記第2の作用物質が対標的剤を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記第2の作用物質が成長因子受容体標的剤を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記成長因子受容体標的剤が、キナーゼに関連する成長因子受容体を標的にする抗体を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記成長因子受容体が、上皮成長因子受容体(EGFR)または血管内皮成長因子受容体(VEGFR)からなる群から選択される、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記成長因子受容体標的剤が、ゲフィチニブ(Iressa)、Tarceva、PD153035、セツキシマブ(Erbitux)、Avastin、パニツムマブ、トラスツズマブおよび抗c−Met抗体からなる群から選択される、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記第2の作用物質がキナーゼ標的剤を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記キナーゼ標的剤がキナーゼ阻害剤を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記キナーゼ標的剤がチロシンキナーゼ阻害剤(TKI)を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記TKIが、エルロチニブ(Tarceva)、Sutent(スニチニブ)、ラパチニブ、ソラフェニブ(Nexavar)、バンデタニブ、アキシチニブ、ボスチニブ、セジバニブ、ダサチニブ(Sprycel)、ゲフィチニブ(Irressa)、イマチニブ(Gleevac)、レスタウルチニブ、ARQ197からなる群から選択される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記キナーゼ標的剤が、セフィチニブ(cefitinib)(Iressa)、ZD6474(AZD6474)、EMD−72000(マツズマブ)、パニツマブ(ABX−EGF)、ICR−62、CI−1033(PD183805)、ラパチニブ(Tykerb)、AEE788(ピロロ−ピリミジン)、EKB−569、EXEL 7647/EXEL 0999、エルロチニブ(Tarceva)、イマチニブ(Gleevec)、ソラフィニブ(Nexavar)、スニチニブ(Sutent)、ダサチニブ(Sprycel)、バンデチニブ(ZACTIMA)、テムシロリムス(Torisel)、PTK787(バタラニブ)、パゾパニブ、AZD2171、エベロリムス、セリシクリブ、AMG 706、アキシチニブ、PD0325901、PKC−412、CEP701、XL880、ボスチニブ、BIBF1120、BIBF1120、ニロチニブ、AZD6244、HKI−272、MS−275、BI2536、GX15−070、AZD0530、エンザスタウリン、MLN−518およびARQ197からなる群から選択される、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
前記第2の作用物質が新脈管形成阻害剤を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記新脈管形成阻害剤が、CM101、IFN−α、IL−12、血小板因子−4、スラミン、SU5416、トロンボスポンジン、VEGFRアンタゴニスト、新脈管形成抑制ステロイド+ヘパリン、軟骨由来新脈管形成阻止因子、マトリックスメタロプロテアーゼ阻害剤、バチマスタット、マリマスタット、アンギオスタチン、エンドスタチン、2−メトキシエストラジオール、テコガラン、トロンボスポンジン、αVβ3阻害剤、リノミドおよびADH−1からなる群から選択される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
異常なStat3経路活性に関連する癌の対象を治療する方法であって、
(a)前記異常なStat3経路活性の少なくとも一部を阻害するために、前記対象に第1の作用物質の第1の量を投与するステップと、
(b)前記対象に第2の抗癌剤の第2の量を投与するステップと
を含む方法。
【請求項20】
前記第1の作用物質が、Stat3タンパク質のリン酸化を実質的に阻害すること、Stat3タンパク質の二量体化を実質的に阻害すること、Stat3タンパク質の核移行を実質的に阻害すること、Stat3タンパク質のDNA結合活性を実質的に阻害すること、およびStat3タンパク質の転写活性を実質的に阻害することからなる群から選択される作用を通してStat3経路活性を阻害する、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記第1の作用物質が、2−(1−ヒドロキシエチル)−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン、2−アセチル−7−クロロ−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン、2−アセチル−7−フルオロ−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン、2−アセチルナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン、2−エチル−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン、および薬学的に許容されるその塩または溶媒和物からなる群から選択される、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
前記癌が、乳癌、頭頸部癌、肺癌、卵巣癌、膵臓癌、結腸直腸癌、前立腺癌、腎細胞癌、黒色腫、肝細胞癌、子宮頸癌、肉腫、脳腫瘍、胃癌、多発性骨髄腫、白血病およびリンパ腫からなる群から選択される、請求項19に記載の方法。
【請求項23】
前記第2の作用物質が、少なくとも1つの癌に対する標準の第1選択の治療薬である、請求項19に記載の方法。
【請求項24】
前記第2の作用物質が細胞傷害性薬を含む、請求項19に記載の方法。
【請求項25】
前記第2の作用物質が、DNA損傷剤、抗有糸分裂剤および代謝拮抗剤からなる群から選択される、請求項19に記載の方法。
【請求項26】
前記DNA損傷剤が、アルキル化剤、トポイソメラーゼ阻害剤およびDNAインターカレータからなる群から選択される、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記アルキル化剤が、クロラムブシル、シクロホスファミド、イホスファミド、メクロルエタミン、メルファラン、ウラシルマスタード、チオテパ、ブスルファン、カルムスチン、ロムスチン、ストレプトゾシン、カルボプラチン、シスプラチン、サトラプラチン、オキサリプラチン、アルトレタミン、ET−743、XL119(ベカテカリン)、ダカルバジン、クロルメチン、ベンダムスチン、トロホスファミド、ウラムスチン、フォテムスチン、ニムスチン、プレドニムスチン、ラニムスチン、セムスチン、ネダプラチン、四硝酸トリプラチン、マンノスルファン、トレオスルファン、テモゾロミド、カルボコン、トリアジコン、トリエチレンメラミンおよびプロカルバジンからなる群から選択される、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記トポイソメラーゼ阻害剤が、ドキソルビシン(Doxil)、ダウノルビシン、エピルビシン、イダルビシン、アントラセンジオン(Novantrone)、ミトキサントロン、マイトマイシンC、ブレオマイシン、ダクチノマイシン、プリカトマイシン、イリノテカン(Camptosar)、カンプトテシン、ルビテカン、ベロテカン、エトポシド、テニポシドおよびトポテカン(Hycamptin)からなる群から選択される、請求項26に記載の方法。
【請求項29】
前記DNAインターカレータが、プロフラビン、ドキソルビシン(アドリアマイシン)、ダウノルビシン、ダクチノマイシンおよびサリドマイドからなる群から選択される、請求項26に記載の方法。
【請求項30】
前記抗有糸分裂剤が、パクリタキセル(Abraxane)/Taxol、ドセタキセル(Taxotere)、BMS−275183、Xyotax、Tocosal、ビノルレビン(vinorlebine)、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビンデシン、ビンゾリジン、エトポシド(VP−16)、テニポシド(VM−26)、イクサベピロン、ラロタキセル、オルタタキセル、テセタキセルおよびイスピネシブからなる群から選択される、請求項25に記載の方法。
【請求項31】
前記代謝拮抗剤が、フルオロウラシル(5−FU)、フロクスウリジン(5−FUdR)、メトトレキセート、Xeloda、Arranon、ロイコボリン、ヒドロキシ尿素、チオグアニン(6−TG)、メルカプトプリン(6−MP)、シタラビン、ペントスタチン、リン酸フルダラビン、クラドリビン(2−CDA)、アスパラギナーゼ、ゲムシタビン、ペメトレキセド、ボルテゾミブ、アミノプテリン、ラルチトレキセド、クロファラビン、エノシタビン、サパシタビンおよびアザシチジンからなる群から選択される、請求項25に記載の方法。
【請求項32】
前記第2の作用物質が、カルボプラチン、ドキソルビシン、ゲムシタビン、ドセタキセルおよびエトポシドからなる群から選択される、請求項19に記載の方法。
【請求項33】
前記癌が転移性であるか、標準の第1選択の癌治療薬に抵抗性であるか、再発性である、請求項19に記載の方法。
【請求項34】
対象の癌を治療する方法であって、
(a)癌幹細胞集団を阻害するために、前記対象に第1の抗癌剤の第1の量を投与するステップと、
(b)癌幹細胞ではない複数の癌性細胞を阻害するために、前記対象に第2の抗癌剤の第2の量を投与するステップと
を含む方法。
【請求項35】
ステップ(a)が少なくとも1つの癌幹細胞の自己再生を阻害するステップを含む、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
ステップ(a)が少なくとも1つの癌幹細胞を死滅させるステップを含む、請求項34に記載の方法。
【請求項37】
ステップ(a)が少なくとも別の癌幹細胞の自己再生を阻害するステップをさらに含む、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記第1の抗癌剤の前記第1の量が、複数の通常の癌細胞も死滅させる、請求項34に記載の方法。
【請求項39】
ステップ(a)において癌幹細胞の少なくとも一部のStat3経路活性を阻害する、請求項34に記載の方法。
【請求項40】
前記第1の抗癌剤が、Stat3タンパク質のリン酸化を実質的に阻害すること、Stat3タンパク質の二量体化を実質的に阻害すること、Stat3タンパク質の核移行を実質的に阻害すること、Stat3タンパク質のDNA結合活性を実質的に阻害すること、およびStat3タンパク質の転写活性を実質的に阻害することからなる群から選択される作用を通してStat3経路活性を阻害する、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記第1の抗癌剤が、小分子Stat3阻害剤、Stat3に対するRNAi剤、Stat3に対するアンチセンス剤、ペプチド模倣物Stat3阻害剤、およびG−カルテットオリゴデオキシヌクレオチドStat3阻害剤からなる群から選択される、請求項34に記載の方法。
【請求項42】
前記第1の抗癌剤が、2−(1−ヒドロキシエチル)−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン、2−アセチル−7−クロロ−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン、2−アセチル−7−フルオロ−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン、2−アセチルナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン、2−エチル−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン、および薬学的に許容されるその塩または溶媒和物からなる群から選択される、請求項34に記載の方法。
【請求項43】
前記癌が、乳癌、頭頸部癌、肺癌、卵巣癌、膵臓癌、多発性骨髄腫、結腸直腸癌、前立腺癌、黒色腫、カポジ肉腫、ユーイング肉腫、肝癌、胃癌、髄芽細胞腫、脳腫瘍および白血病からなる群から選択される、請求項34に記載の方法。
【請求項44】
前記第2の作用物質が、少なくとも1つの癌に対する標準の第1選択の治療薬である、請求項34に記載の方法。
【請求項45】
前記第2の作用物質が細胞傷害性薬を含む、請求項34に記載の方法。
【請求項46】
前記第2の作用物質が、DNA損傷剤、抗有糸分裂剤および代謝拮抗剤からなる群から選択される、請求項34に記載の方法。
【請求項47】
前記DNA損傷剤が、アルキル化剤、トポイソメラーゼ阻害剤およびDNAインターカレータからなる群から選択される、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記アルキル化剤が、クロラムブシル、シクロホスファミド、イホスファミド、メクロルエタミン、メルファラン、ウラシルマスタード、チオテパ、ブスルファン、カルムスチン、ロムスチン、ストレプトゾシン、カルボプラチン、シスプラチン、サトラプラチン、オキサリプラチン、アルトレタミン、ET−743、XL119(ベカテカリン)、ダカルバジン、クロルメチン、ベンダムスチン、トロホスファミド、ウラムスチン、フォテムスチン、ニムスチン、プレドニムスチン、ラニムスチン、セムスチン、ネダプラチン、四硝酸トリプラチン、マンノスルファン、トレオスルファン、テモゾロミド、カルボコン、トリアジコン、トリエチレンメラミンおよびプロカルバジンからなる群から選択される、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記トポイソメラーゼ阻害剤が、ドキソルビシン(Doxil)、ダウノルビシン、エピルビシン、イダルビシン、アントラセンジオン(Novantrone)、ミトキサントロン、マイトマイシンC、ブレオマイシン、ダクチノマイシン、プリカトマイシン、イリノテカン(Camptosar)、カンプトテシン、ルビテカン、ベロテカン、エトポシド、テニポシドおよびトポテカン(Hycamptin)からなる群から選択される、請求項47に記載の方法。
【請求項50】
前記DNAインターカレータが、プロフラビン、ドキソルビシン(アドリアマイシン)、ダウノルビシン、ダクチノマイシン、サリドマイドからなる群から選択される、請求項47に記載の方法。
【請求項51】
前記抗有糸分裂剤が、パクリタキセル(Abraxane)/Taxol、ドセタキセル(Taxotere)、BMS−275183、Xyotax、Tocosal、ビノルレビン(vinorlebine)、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビンデシン、ビンゾリジン、エトポシド(VP−16)、テニポシド(VM−26)、イクサベピロン、ラロタキセル、オルタタキセル、テセタキセルおよびイスピネシブからなる群から選択される、請求項46に記載の方法。
【請求項52】
前記代謝拮抗剤が、フルオロウラシル(5−FU)、フロクスウリジン(5−FUdR)、メトトレキセート、Xeloda、Arranon、ロイコボリン、ヒドロキシ尿素、チオグアニン(6−TG)、メルカプトプリン(6−MP)、シタラビン、ペントスタチン、リン酸フルダラビン、クラドリビン(2−CDA)、アスパラギナーゼ、ゲムシタビン、ペメトレキセド、ボルテゾミブ、アミノプテリン、ラルチトレキセド、クロファラビン、エノシタビン、サパシタビンおよびアザシチジンからなる群から選択される、請求項46に記載の方法。
【請求項53】
前記第2の作用物質が、カルボプラチン、ドキソルビシン、ゲムシタビン、ドセタキセルおよびエトポシドからなる群から選択される、請求項34に記載の方法。
【請求項54】
前記第2の作用物質が対標的剤を含む、請求項34に記載の方法。
【請求項55】
前記第2の作用物質が成長因子受容体標的剤を含む、請求項34に記載の方法。
【請求項56】
前記成長因子受容体標的剤が、キナーゼに関連する成長因子受容体を標的にする抗体を含む、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
前記成長因子受容体が、上皮成長因子受容体(EGFR)または血管内皮成長因子受容体(VEGFR)からなる群から選択される、請求項55に記載の方法。
【請求項58】
前記成長因子受容体標的剤が、ゲフィチニブ(Iressa)、Tarceva、PD153035、セツキシマブ(Erbitux)、Avastin、パニツムマブ、トラスツズマブおよび抗c−Met抗体からなる群から選択される、請求項55に記載の方法。
【請求項59】
前記第2の作用物質がキナーゼ標的剤を含む、請求項34に記載の方法。
【請求項60】
前記キナーゼ標的剤がキナーゼ阻害剤を含む、請求項59に記載の方法。
【請求項61】
前記キナーゼ標的剤がチロシンキナーゼ阻害剤(TKI)を含む、請求項59に記載の方法。
【請求項62】
前記TKIが、エルロチニブ(Tarceva)、Sutent(スニチニブ)、ラパチニブ、ソラフェニブ(Nexavar)、バンデタニブ、アキシチニブ、ボスチニブ、セジバニブ、ダサチニブ(Sprycel)、ゲフィチニブ(Irressa)、イマチニブ(Gleevac)、レスタウルチニブ、ARQ197からなる群から選択される、請求項61に記載の方法。
【請求項63】
前記キナーゼ標的剤が、セフィチニブ(Iressa)、ZD6474(AZD6474)、EMD−72000(マツズマブ)、パニツマブ(ABX−EGF)、ICR−62、CI−1033(PD183805)、ラパチニブ(Tykerb)、AEE788(ピロロ−ピリミジン)、EKB−569、EXEL 7647/EXEL 0999、エルロチニブ(Tarceva)、イマチニブ(Gleevec)、ソラフィニブ(Nexavar)、スニチニブ(Sutent)、ダサチニブ(Sprycel)、バンデチニブ(ZACTIMA)、テムシロリムス(Torisel)、PTK787(バタラニブ)、パゾパニブ、AZD2171、エベロリムス、セリシクリブ、AMG 706、アキシチニブ、PD0325901、PKC−412、CEP701、XL880、ボスチニブ、BIBF1120、BIBF1120、ニロチニブ、AZD6244、HKI−272、MS−275、BI2536、GX15−070、AZD0530、エンザスタウリン、MLN−518およびARQ197からなる群から選択される、請求項59に記載の方法。
【請求項64】
前記第2の作用物質が新脈管形成阻害剤を含む、請求項34に記載の方法。
【請求項65】
前記新脈管形成阻害剤が、CM101、IFN−α、IL−12、血小板因子−4、スラミン、SU5416、トロンボスポンジン、VEGFRアンタゴニスト、新脈管形成抑制ステロイド+ヘパリン、軟骨由来新脈管形成阻止因子、マトリックスメタロプロテアーゼ阻害剤、バチマスタット、マリマスタット、アンギオスタチン、エンドスタチン、2−メトキシエストラジオール、テコガラン、トロンボスポンジン、αVβ3阻害剤、リノミドおよびADH−1からなる群から選択される、請求項64に記載の方法。
【請求項66】
前記癌が転移性であるか、標準の第1選択の癌治療薬に抵抗性であるか、再発性である、請求項34に記載の方法。
【請求項67】
対象の癌を治療する方法であって、
(a)Stat3経路活性を阻害するために、前記対象に第1の癌幹細胞阻害剤の第1の量を投与するステップと、
(b)異なる経路の活性を阻害するために、前記対象に第2の癌幹細胞阻害剤の第2の量を投与するステップと
を含む方法。
【請求項68】
前記第2の癌幹細胞阻害剤は、ラパチニブである、請求項67に記載の方法。
【請求項69】
前記第2の抗癌剤の前記第2の量が、単独で癌幹細胞集団に対して治療的に有効でない、請求項67に記載の方法。
【請求項70】
前記癌が、乳癌、頭頸部癌、肺癌、卵巣癌、膵臓癌、多発性骨髄腫、結腸直腸癌、前立腺癌、黒色腫、カポジ肉腫、ユーイング肉腫、肝癌、胃癌、髄芽細胞腫、脳腫瘍および白血病からなる群から選択される、請求項67に記載の方法。
【請求項71】
前記癌が転移性であるか、標準の第1選択の癌治療薬に抵抗性であるか、再発性である、請求項67に記載の方法。
【請求項72】
対象の癌を治療する方法であって、
(a)2−(1−ヒドロキシエチル)−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン、2−アセチル−7−クロロ−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン、2−アセチル−7−フルオロ−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン、2−アセチルナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン、2−エチル−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン、および薬学的に許容されるその塩または溶媒和物からなる群から選択される第1の抗癌剤の治療的有効量を前記対象に投与するステップと、
(b)同群から選択されない第2の抗癌剤を投与するステップと
を含む方法。
【請求項73】
前記第2の作用物質が、少なくとも1つの癌に対する標準の第1選択の治療薬である、請求項72に記載の方法。
【請求項74】
前記第2の作用物質が細胞傷害性薬を含む、請求項72に記載の方法。
【請求項75】
前記第2の作用物質が、DNA損傷剤、抗有糸分裂剤および代謝拮抗剤からなる群から選択される、請求項72に記載の方法。
【請求項76】
前記DNA損傷剤が、アルキル化剤、トポイソメラーゼ阻害剤およびDNAインターカレータからなる群から選択される、請求項84に記載の方法。
【請求項77】
前記アルキル化剤が、クロラムブシル、シクロホスファミド、イホスファミド、メクロルエタミン、メルファラン、ウラシルマスタード、チオテパ、ブスルファン、カルムスチン、ロムスチン、ストレプトゾシン、カルボプラチン、シスプラチン、サトラプラチン、オキサリプラチン、アルトレタミン、ET−743、XL119(ベカテカリン)、ダカルバジン、クロルメチン、ベンダムスチン、トロホスファミド、ウラムスチン、フォテムスチン、ニムスチン、プレドニムスチン、ラニムスチン、セムスチン、ネダプラチン、四硝酸トリプラチン、マンノスルファン、トレオスルファン、テモゾロミド、カルボコン、トリアジコン、トリエチレンメラミンおよびプロカルバジンからなる群から選択される、請求項85に記載の方法。
【請求項78】
前記トポイソメラーゼ阻害剤が、ドキソルビシン(Doxil)、ダウノルビシン、エピルビシン、イダルビシン、アントラセンジオン(Novantrone)、ミトキサントロン、マイトマイシンC、ブレオマイシン、ダクチノマイシン、プリカトマイシン、イリノテカン(Camptosar)、カンプトテシン、ルビテカン、ベロテカン、エトポシド、テニポシドおよびトポテカン(Hycamptin)からなる群から選択される、請求項85に記載の方法。
【請求項79】
前記DNAインターカレータが、プロフラビン、ドキソルビシン(アドリアマイシン)、ダウノルビシン、ダクチノマイシン、サリドマイドからなる群から選択される、請求項85に記載の方法。
【請求項80】
前記抗有糸分裂剤が、パクリタキセル(Abraxane)/Taxol、ドセタキセル(Taxotere)、BMS−275183、Xyotax、Tocosal、ビノルレビン(vinorlebine)、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビンデシン、ビンゾリジン、エトポシド(VP−16)、テニポシド(VM−26)、イクサベピロン、ラロタキセル、オルタタキセル、テセタキセルおよびイスピネシブからなる群から選択される、請求項84に記載の方法。
【請求項81】
前記代謝拮抗剤が、フルオロウラシル(5−FU)、フロクスウリジン(5−FUdR)、メトトレキセート、Xeloda、Arranon、ロイコボリン、ヒドロキシ尿素、チオグアニン(6−TG)、メルカプトプリン(6−MP)、シタラビン、ペントスタチン、リン酸フルダラビン、クラドリビン(2−CDA)、アスパラギナーゼ、ゲムシタビン、ペメトレキセド、ボルテゾミブ、アミノプテリン、ラルチトレキセド、クロファラビン、エノシタビン、サパシタビンおよびアザシチジンからなる群から選択される、請求項84に記載の方法。
【請求項82】
前記第2の作用物質が、カルボプラチン、ドキソルビシン、ゲムシタビン、ドセタキセルおよびエトポシドからなる群から選択される、請求項72に記載の方法。
【請求項83】
前記第2の作用物質が対標的剤を含む、請求項72に記載の方法。
【請求項84】
前記第2の作用物質が成長因子受容体標的剤を含む、請求項72に記載の方法。
【請求項85】
前記成長因子受容体標的剤が、キナーゼに関連する成長因子受容体を標的にする抗体を含む、請求項93に記載の方法。
【請求項86】
前記成長因子受容体が、上皮成長因子受容体(EGFR)または血管内皮成長因子受容体(VEGFR)からなる群から選択される、請求項93に記載の方法。
【請求項87】
前記成長因子受容体標的剤が、ゲフィチニブ(Iressa)、Tarceva、PD153035、セツキシマブ(Erbitux)、Avastin、パニツムマブ、トラスツズマブおよび抗c−Met抗体からなる群から選択される、請求項93に記載の方法。
【請求項88】
前記第2の作用物質がキナーゼ標的剤を含む、請求項72に記載の方法。
【請求項89】
前記キナーゼ標的剤がキナーゼ阻害剤を含む、請求項97に記載の方法。
【請求項90】
前記キナーゼ標的剤がチロシンキナーゼ阻害剤(TKI)を含む、請求項97に記載の方法。
【請求項91】
前記TKIが、エルロチニブ(Tarceva)、Sutent(スニチニブ)、ラパチニブ、ソラフェニブ(Nexavar)、バンデタニブ、アキシチニブ、ボスチニブ、セジバニブ、ダサチニブ(Sprycel)、ゲフィチニブ(Irressa)、イマチニブ(Gleevac)、レスタウルチニブ、ARQ197からなる群から選択される、請求項99に記載の方法。
【請求項92】
前記キナーゼ標的剤が、セフィチニブ(Iressa)、ZD6474(AZD6474)、EMD−72000(マツズマブ)、パニツマブ(ABX−EGF)、ICR−62、CI−1033(PD183805)、ラパチニブ(Tykerb)、AEE788(ピロロ−ピリミジン)、EKB−569、EXEL 7647/EXEL 0999、エルロチニブ(Tarceva)、イマチニブ(Gleevec)、ソラフィニブ(Nexavar)、スニチニブ(Sutent)、ダサチニブ(Sprycel)、バンデチニブ(ZACTIMA)、テムシロリムス(Torisel)、PTK787(バタラニブ)、パゾパニブ、AZD2171、エベロリムス、セリシクリブ、AMG 706、アキシチニブ、PD0325901、PKC−412、CEP701、XL880、ボスチニブ、BIBF1120、BIBF1120、ニロチニブ、AZD6244、HKI−272、MS−275、BI2536、GX15−070、AZD0530、エンザスタウリン、MLN−518およびARQ197からなる群から選択される、請求項97に記載の方法。
【請求項93】
前記第2の作用物質が新脈管形成阻害剤を含む、請求項72に記載の方法。
【請求項94】
前記新脈管形成阻害剤が、CM101、IFN−α、IL−12、血小板因子−4、スラミン、SU5416、トロンボスポンジン、VEGFRアンタゴニスト、新脈管形成抑制ステロイド+ヘパリン、軟骨由来新脈管形成阻止因子、マトリックスメタロプロテアーゼ阻害剤、バチマスタット、マリマスタット、アンギオスタチン、エンドスタチン、2−メトキシエストラジオール、テコガラン、トロンボスポンジン、αVβ3阻害剤、リノミドおよびADH−1からなる群から選択される、請求項102に記載の方法。
【請求項95】
前記癌が転移性であるか、標準の第1選択の癌治療薬に抵抗性であるか、再発性である、請求項72に記載の方法。
【請求項96】
前記癌が、乳癌、頭頸部癌、肺癌、卵巣癌、膵臓癌、結腸直腸癌、前立腺癌、黒色腫、肉腫、肝癌、脳腫瘍および白血病からなる群から選択される、請求項72に記載の方法。
【請求項97】
前記対象に薬学的に許容される賦形剤、担体または希釈剤を投与するステップをさらに含む、請求項1、19、34、67および72のいずれか一項に記載の方法。
【請求項98】
前記作用物質の少なくとも1つが、経口、鼻、局所、直腸、膣または非経口の投与、または静脈内(IV)、皮下もしくは筋肉内の注射からなる群から選択される様式で投与される、請求項1、19、34、67および72のいずれか一項に記載の方法。
【請求項99】
前記第2の作用物質が、放射線療法剤、生物剤、ホルモン剤、HDAC阻害剤、レチノイド剤、チェックポイント活性化剤、プロテアソーム阻害剤、アジュバント剤および補助剤からなる群から選択される、請求項19、34および72のいずれか一項に記載の方法。
【請求項100】
前記放射線療法剤が放射性物質または放射線増感剤を含む、請求項99に記載の方法。
【請求項101】
前記DNAトポイソメラーゼ調整剤が、ドキソルビシン(Doxil)、ダウノルビシン、エピルビシン、イダルビシン、アントラセンジオン(Novantrone)、ミトキサントロン、マイトマイシンC、ブレオマイシン、ダクチノマイシン、プリカトマイシン、イリノテカン(Camptosar)およびトポテカン(Hycamptin)からなる群から選択される、請求項99に記載の方法。
【請求項102】
前記生物剤が、インターロイキン−2(Aldesleukin)、インターフェロン−α、インターフェロン−β、インターフェロン−γ、エリスロポイエチン(EPO)、顆粒球CSF(フィルグラスチン)、顆粒球、マクロファージCSF(サルグラモスチム)、IL13−PE38QQR、バチルスカルメット−ゲラン、レバミゾール、オクトレオチド、CPG7909、Provenge、GVAX、Myvax、Favld、Revlimid(レナリドミド)、Herceptin(トラスツズマブ)、Rituxan(リツキシマブ)、Myelotarg(ゲムツズマブオゾガマイシン)、Campath(アレムツズマブ)、エンドスタチン、Zevalin(イブリツモマブチウキセタン)、Bexxar(トシツモマブ)、Erbitux(セツキシマブ)、ザノリムマブ、オファツムマブ、HGS−ETR1、ペルツズマブ、M200、SGN−30、マツズマブ、アデカツマブ、デノスマブ、ザルツムマブ、MDX−060、ニモツズマブ、MORAb−003、Vitaxin、MDX−101、MDX−010、DPC4抗体、NF−1抗体、NF−2抗体、Rb抗体、p53抗体、WT1抗体、BRCA1抗体、BRCA2抗体、ガングリオシド(GM2)、前立腺特異抗原(PSA)、α−フェトプロテイン(AFP)、癌胎児性抗原(CEA)、黒色腫関連抗原(MART−1、gap100、MAGE1,3チロシン)ならびに乳頭腫ウイルスE6およびE7断片からなる群から選択される、請求項99に記載の方法。
【請求項103】
前記ホルモン剤が、ジエチルスチベストロール(diethylstibestrol)、タモキシフェン、Aromasin、Tormifene、フルオキシメステロール、ラロキシフェン、ビカルタミド、ニルタミド、フルタミド、アミノグルテチミド、アナストロゾール(Arimidex)、テトラゾール、ケトコナゾール、黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHRH)類似体、酢酸ゴセレリン、ロイプロリド、酢酸メゲストロール、ミフェプリストンおよびプレドニゾン(Deltasone)からなる群から選択される、請求項99に記載の方法。
【請求項104】
前記HDAC阻害剤が、ヒドロキサミド酸サブエロイルアニリド(suberoylanilide hydroxamide acid)(SAHA)、PXD101およびFK228からなる群から選択される、請求項99に記載の方法。
【請求項105】
前記レチノイド剤が、TargretinおよびDN101からなる群から選択される、請求項99に記載の方法。
【請求項106】
前記チェックポイント活性化剤がARQ 501である、請求項99に記載の方法。
【請求項107】
前記補助剤が、アプレピタント(Emend)、オンダンセトロン(Zofran)、ロラゼパム、デキサメタゾン(Decadron)、ジフェンヒドラミン(Benadryl)、ラニチジン(Zantac)、シメチジン(Tagamet)、ラニチジン、ファモチジン、シメチジン、プロクリット、Epogen、Neupogen、Neumega、ロイコボリンおよびGM−CSFからなる群から選択される、請求項99に記載の方法。
【請求項108】
第2の作用物質がDacogen(デシタビン)、Telcyta(カンホスファミド)、EFAPROXYN、ZarnestraおよびIonafarnib、タモキシフェン、トレミフェン、ラロキシフェン、ドロロキシフェン、イオドキシフェン、酢酸メゲストロール、アナストロゾール、レトロゾール、ボラゾール、エクセメスタン、フルタミド、ニルタミド、ビカルタミド、酢酸シプロテロン、酢酸ゴセレリン、ロイプロリド、フィナステリド、メタロプロテアーゼ阻害剤、ウロキナーゼプラスミノーゲン活性化因子受容体機能阻害剤、成長因子抗体、成長因子受容体抗体、ベバシズマブ、セツキシマブ、セリン/トレオニンキナーゼ阻害剤、メトトレキセート、5−フルオロウラシル、プリンおよびアデノシン類似体、シトシンアラビノシド、ドキソルビシン、ダウノマイシン、エピルビシン、イダルビシン、マイトマイシンC、ダクチノマイシン、ミトラマイシン、シスプラチン、カルボプラチン、ナイトロジェンマスタード、メルファラン、クロラムブシル、ブスルファン、シクロホスファミド、イホスファミド、ニトロソウレア、チオテパ、ビンクリスチン、ビノレルビン、ビンブラスチン、ビンフルニン、パクリタキセル、ドセタキセル、エポチロン類似体、ディスコデルモリド類似体、エロイテロビン類似体、エトポシド、テニポシド、アムサクリン、トポテカン、フラボピリドール、プロテアソーム阻害剤、例えばボルテゾミブおよび生体応答調節剤、アンドロゲン受容体アンタゴニスト、LH/RHアンタゴニスト、タキサン類似体ならびにエストロゲン受容体アンタゴニストからなる群から選択される、請求項19、34および72のいずれか一項に記載の方法。
【請求項109】
前記癌が、肺癌、乳癌、子宮頸癌、結腸直腸癌、肝癌、頭頸部癌、膵臓癌、脳腫瘍、胃癌および前立腺癌からなる群から選択される、請求項19、34および72のいずれか一項に記載の方法。
【請求項110】
2−(1−ヒドロキシエチル)−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン、2−アセチル−7−クロロ−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン、2−アセチル−7−フルオロ−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン、2−アセチルナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン、2−エチル−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン、および薬学的に許容されるその塩または溶媒和物からなる群から選択される第1の抗癌剤の治療的有効量、ならびに
細胞傷害性薬、対標的剤、放射線療法剤、生物剤、ホルモン剤、HDAC阻害剤、レチノイド剤、チェックポイント活性化剤、プロテアソーム阻害剤、アジュバント剤および補助剤からなる群から選択される第2の抗癌治療薬を含む医薬組成物。
【請求項111】
薬学的に許容される賦形剤、担体または希釈剤をさらに含む、請求項110に記載の医薬組成物。
【請求項1】
異常なStat3経路活性に関連する障害を有する対象を治療する方法であって、
(a)前記異常なStat3経路活性の少なくとも一部を阻害するために、前記対象に第1の作用物質の第1の量を投与するステップと、
(b)前記対象にシグナル伝達阻害剤を含む第2の作用物質の第2の量を投与するステップと
を含む方法。
【請求項2】
前記第1の作用物質が、Stat3タンパク質のリン酸化を実質的に阻害すること、Stat3タンパク質の二量体化を実質的に阻害すること、Stat3タンパク質の核移行を実質的に阻害すること、Stat3タンパク質のDNA結合活性を実質的に阻害すること、およびStat3タンパク質の転写活性を実質的に阻害することからなる群から選択される作用を通してStat3経路活性を阻害する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の作用物質が、2−(1−ヒドロキシエチル)−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン、2−アセチル−7−クロロ−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン、2−アセチル−7−フルオロ−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン、2−アセチルナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン、2−エチル−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン、および薬学的に許容されるその塩または溶媒和物からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記障害が、自己免疫疾患、炎症性疾患、炎症性腸疾患、関節炎、喘息および全身性エリテマトーデス、自己免疫脱髄障害、アルツハイマー病、脳卒中、虚血再灌流傷害および多発性硬化症からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記障害が癌である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記癌が、乳癌、頭頸部癌、肺癌、卵巣癌、膵臓癌、結腸直腸癌、前立腺癌、腎細胞癌、黒色腫、肝細胞癌、子宮頸癌、肉腫、脳腫瘍、胃癌、多発性骨髄腫、白血病およびリンパ腫からなる群から選択される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記第2の作用物質が対標的剤を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記第2の作用物質が成長因子受容体標的剤を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記成長因子受容体標的剤が、キナーゼに関連する成長因子受容体を標的にする抗体を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記成長因子受容体が、上皮成長因子受容体(EGFR)または血管内皮成長因子受容体(VEGFR)からなる群から選択される、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記成長因子受容体標的剤が、ゲフィチニブ(Iressa)、Tarceva、PD153035、セツキシマブ(Erbitux)、Avastin、パニツムマブ、トラスツズマブおよび抗c−Met抗体からなる群から選択される、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記第2の作用物質がキナーゼ標的剤を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記キナーゼ標的剤がキナーゼ阻害剤を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記キナーゼ標的剤がチロシンキナーゼ阻害剤(TKI)を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記TKIが、エルロチニブ(Tarceva)、Sutent(スニチニブ)、ラパチニブ、ソラフェニブ(Nexavar)、バンデタニブ、アキシチニブ、ボスチニブ、セジバニブ、ダサチニブ(Sprycel)、ゲフィチニブ(Irressa)、イマチニブ(Gleevac)、レスタウルチニブ、ARQ197からなる群から選択される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記キナーゼ標的剤が、セフィチニブ(cefitinib)(Iressa)、ZD6474(AZD6474)、EMD−72000(マツズマブ)、パニツマブ(ABX−EGF)、ICR−62、CI−1033(PD183805)、ラパチニブ(Tykerb)、AEE788(ピロロ−ピリミジン)、EKB−569、EXEL 7647/EXEL 0999、エルロチニブ(Tarceva)、イマチニブ(Gleevec)、ソラフィニブ(Nexavar)、スニチニブ(Sutent)、ダサチニブ(Sprycel)、バンデチニブ(ZACTIMA)、テムシロリムス(Torisel)、PTK787(バタラニブ)、パゾパニブ、AZD2171、エベロリムス、セリシクリブ、AMG 706、アキシチニブ、PD0325901、PKC−412、CEP701、XL880、ボスチニブ、BIBF1120、BIBF1120、ニロチニブ、AZD6244、HKI−272、MS−275、BI2536、GX15−070、AZD0530、エンザスタウリン、MLN−518およびARQ197からなる群から選択される、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
前記第2の作用物質が新脈管形成阻害剤を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記新脈管形成阻害剤が、CM101、IFN−α、IL−12、血小板因子−4、スラミン、SU5416、トロンボスポンジン、VEGFRアンタゴニスト、新脈管形成抑制ステロイド+ヘパリン、軟骨由来新脈管形成阻止因子、マトリックスメタロプロテアーゼ阻害剤、バチマスタット、マリマスタット、アンギオスタチン、エンドスタチン、2−メトキシエストラジオール、テコガラン、トロンボスポンジン、αVβ3阻害剤、リノミドおよびADH−1からなる群から選択される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
異常なStat3経路活性に関連する癌の対象を治療する方法であって、
(a)前記異常なStat3経路活性の少なくとも一部を阻害するために、前記対象に第1の作用物質の第1の量を投与するステップと、
(b)前記対象に第2の抗癌剤の第2の量を投与するステップと
を含む方法。
【請求項20】
前記第1の作用物質が、Stat3タンパク質のリン酸化を実質的に阻害すること、Stat3タンパク質の二量体化を実質的に阻害すること、Stat3タンパク質の核移行を実質的に阻害すること、Stat3タンパク質のDNA結合活性を実質的に阻害すること、およびStat3タンパク質の転写活性を実質的に阻害することからなる群から選択される作用を通してStat3経路活性を阻害する、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記第1の作用物質が、2−(1−ヒドロキシエチル)−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン、2−アセチル−7−クロロ−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン、2−アセチル−7−フルオロ−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン、2−アセチルナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン、2−エチル−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン、および薬学的に許容されるその塩または溶媒和物からなる群から選択される、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
前記癌が、乳癌、頭頸部癌、肺癌、卵巣癌、膵臓癌、結腸直腸癌、前立腺癌、腎細胞癌、黒色腫、肝細胞癌、子宮頸癌、肉腫、脳腫瘍、胃癌、多発性骨髄腫、白血病およびリンパ腫からなる群から選択される、請求項19に記載の方法。
【請求項23】
前記第2の作用物質が、少なくとも1つの癌に対する標準の第1選択の治療薬である、請求項19に記載の方法。
【請求項24】
前記第2の作用物質が細胞傷害性薬を含む、請求項19に記載の方法。
【請求項25】
前記第2の作用物質が、DNA損傷剤、抗有糸分裂剤および代謝拮抗剤からなる群から選択される、請求項19に記載の方法。
【請求項26】
前記DNA損傷剤が、アルキル化剤、トポイソメラーゼ阻害剤およびDNAインターカレータからなる群から選択される、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記アルキル化剤が、クロラムブシル、シクロホスファミド、イホスファミド、メクロルエタミン、メルファラン、ウラシルマスタード、チオテパ、ブスルファン、カルムスチン、ロムスチン、ストレプトゾシン、カルボプラチン、シスプラチン、サトラプラチン、オキサリプラチン、アルトレタミン、ET−743、XL119(ベカテカリン)、ダカルバジン、クロルメチン、ベンダムスチン、トロホスファミド、ウラムスチン、フォテムスチン、ニムスチン、プレドニムスチン、ラニムスチン、セムスチン、ネダプラチン、四硝酸トリプラチン、マンノスルファン、トレオスルファン、テモゾロミド、カルボコン、トリアジコン、トリエチレンメラミンおよびプロカルバジンからなる群から選択される、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記トポイソメラーゼ阻害剤が、ドキソルビシン(Doxil)、ダウノルビシン、エピルビシン、イダルビシン、アントラセンジオン(Novantrone)、ミトキサントロン、マイトマイシンC、ブレオマイシン、ダクチノマイシン、プリカトマイシン、イリノテカン(Camptosar)、カンプトテシン、ルビテカン、ベロテカン、エトポシド、テニポシドおよびトポテカン(Hycamptin)からなる群から選択される、請求項26に記載の方法。
【請求項29】
前記DNAインターカレータが、プロフラビン、ドキソルビシン(アドリアマイシン)、ダウノルビシン、ダクチノマイシンおよびサリドマイドからなる群から選択される、請求項26に記載の方法。
【請求項30】
前記抗有糸分裂剤が、パクリタキセル(Abraxane)/Taxol、ドセタキセル(Taxotere)、BMS−275183、Xyotax、Tocosal、ビノルレビン(vinorlebine)、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビンデシン、ビンゾリジン、エトポシド(VP−16)、テニポシド(VM−26)、イクサベピロン、ラロタキセル、オルタタキセル、テセタキセルおよびイスピネシブからなる群から選択される、請求項25に記載の方法。
【請求項31】
前記代謝拮抗剤が、フルオロウラシル(5−FU)、フロクスウリジン(5−FUdR)、メトトレキセート、Xeloda、Arranon、ロイコボリン、ヒドロキシ尿素、チオグアニン(6−TG)、メルカプトプリン(6−MP)、シタラビン、ペントスタチン、リン酸フルダラビン、クラドリビン(2−CDA)、アスパラギナーゼ、ゲムシタビン、ペメトレキセド、ボルテゾミブ、アミノプテリン、ラルチトレキセド、クロファラビン、エノシタビン、サパシタビンおよびアザシチジンからなる群から選択される、請求項25に記載の方法。
【請求項32】
前記第2の作用物質が、カルボプラチン、ドキソルビシン、ゲムシタビン、ドセタキセルおよびエトポシドからなる群から選択される、請求項19に記載の方法。
【請求項33】
前記癌が転移性であるか、標準の第1選択の癌治療薬に抵抗性であるか、再発性である、請求項19に記載の方法。
【請求項34】
対象の癌を治療する方法であって、
(a)癌幹細胞集団を阻害するために、前記対象に第1の抗癌剤の第1の量を投与するステップと、
(b)癌幹細胞ではない複数の癌性細胞を阻害するために、前記対象に第2の抗癌剤の第2の量を投与するステップと
を含む方法。
【請求項35】
ステップ(a)が少なくとも1つの癌幹細胞の自己再生を阻害するステップを含む、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
ステップ(a)が少なくとも1つの癌幹細胞を死滅させるステップを含む、請求項34に記載の方法。
【請求項37】
ステップ(a)が少なくとも別の癌幹細胞の自己再生を阻害するステップをさらに含む、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記第1の抗癌剤の前記第1の量が、複数の通常の癌細胞も死滅させる、請求項34に記載の方法。
【請求項39】
ステップ(a)において癌幹細胞の少なくとも一部のStat3経路活性を阻害する、請求項34に記載の方法。
【請求項40】
前記第1の抗癌剤が、Stat3タンパク質のリン酸化を実質的に阻害すること、Stat3タンパク質の二量体化を実質的に阻害すること、Stat3タンパク質の核移行を実質的に阻害すること、Stat3タンパク質のDNA結合活性を実質的に阻害すること、およびStat3タンパク質の転写活性を実質的に阻害することからなる群から選択される作用を通してStat3経路活性を阻害する、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記第1の抗癌剤が、小分子Stat3阻害剤、Stat3に対するRNAi剤、Stat3に対するアンチセンス剤、ペプチド模倣物Stat3阻害剤、およびG−カルテットオリゴデオキシヌクレオチドStat3阻害剤からなる群から選択される、請求項34に記載の方法。
【請求項42】
前記第1の抗癌剤が、2−(1−ヒドロキシエチル)−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン、2−アセチル−7−クロロ−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン、2−アセチル−7−フルオロ−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン、2−アセチルナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン、2−エチル−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン、および薬学的に許容されるその塩または溶媒和物からなる群から選択される、請求項34に記載の方法。
【請求項43】
前記癌が、乳癌、頭頸部癌、肺癌、卵巣癌、膵臓癌、多発性骨髄腫、結腸直腸癌、前立腺癌、黒色腫、カポジ肉腫、ユーイング肉腫、肝癌、胃癌、髄芽細胞腫、脳腫瘍および白血病からなる群から選択される、請求項34に記載の方法。
【請求項44】
前記第2の作用物質が、少なくとも1つの癌に対する標準の第1選択の治療薬である、請求項34に記載の方法。
【請求項45】
前記第2の作用物質が細胞傷害性薬を含む、請求項34に記載の方法。
【請求項46】
前記第2の作用物質が、DNA損傷剤、抗有糸分裂剤および代謝拮抗剤からなる群から選択される、請求項34に記載の方法。
【請求項47】
前記DNA損傷剤が、アルキル化剤、トポイソメラーゼ阻害剤およびDNAインターカレータからなる群から選択される、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記アルキル化剤が、クロラムブシル、シクロホスファミド、イホスファミド、メクロルエタミン、メルファラン、ウラシルマスタード、チオテパ、ブスルファン、カルムスチン、ロムスチン、ストレプトゾシン、カルボプラチン、シスプラチン、サトラプラチン、オキサリプラチン、アルトレタミン、ET−743、XL119(ベカテカリン)、ダカルバジン、クロルメチン、ベンダムスチン、トロホスファミド、ウラムスチン、フォテムスチン、ニムスチン、プレドニムスチン、ラニムスチン、セムスチン、ネダプラチン、四硝酸トリプラチン、マンノスルファン、トレオスルファン、テモゾロミド、カルボコン、トリアジコン、トリエチレンメラミンおよびプロカルバジンからなる群から選択される、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記トポイソメラーゼ阻害剤が、ドキソルビシン(Doxil)、ダウノルビシン、エピルビシン、イダルビシン、アントラセンジオン(Novantrone)、ミトキサントロン、マイトマイシンC、ブレオマイシン、ダクチノマイシン、プリカトマイシン、イリノテカン(Camptosar)、カンプトテシン、ルビテカン、ベロテカン、エトポシド、テニポシドおよびトポテカン(Hycamptin)からなる群から選択される、請求項47に記載の方法。
【請求項50】
前記DNAインターカレータが、プロフラビン、ドキソルビシン(アドリアマイシン)、ダウノルビシン、ダクチノマイシン、サリドマイドからなる群から選択される、請求項47に記載の方法。
【請求項51】
前記抗有糸分裂剤が、パクリタキセル(Abraxane)/Taxol、ドセタキセル(Taxotere)、BMS−275183、Xyotax、Tocosal、ビノルレビン(vinorlebine)、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビンデシン、ビンゾリジン、エトポシド(VP−16)、テニポシド(VM−26)、イクサベピロン、ラロタキセル、オルタタキセル、テセタキセルおよびイスピネシブからなる群から選択される、請求項46に記載の方法。
【請求項52】
前記代謝拮抗剤が、フルオロウラシル(5−FU)、フロクスウリジン(5−FUdR)、メトトレキセート、Xeloda、Arranon、ロイコボリン、ヒドロキシ尿素、チオグアニン(6−TG)、メルカプトプリン(6−MP)、シタラビン、ペントスタチン、リン酸フルダラビン、クラドリビン(2−CDA)、アスパラギナーゼ、ゲムシタビン、ペメトレキセド、ボルテゾミブ、アミノプテリン、ラルチトレキセド、クロファラビン、エノシタビン、サパシタビンおよびアザシチジンからなる群から選択される、請求項46に記載の方法。
【請求項53】
前記第2の作用物質が、カルボプラチン、ドキソルビシン、ゲムシタビン、ドセタキセルおよびエトポシドからなる群から選択される、請求項34に記載の方法。
【請求項54】
前記第2の作用物質が対標的剤を含む、請求項34に記載の方法。
【請求項55】
前記第2の作用物質が成長因子受容体標的剤を含む、請求項34に記載の方法。
【請求項56】
前記成長因子受容体標的剤が、キナーゼに関連する成長因子受容体を標的にする抗体を含む、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
前記成長因子受容体が、上皮成長因子受容体(EGFR)または血管内皮成長因子受容体(VEGFR)からなる群から選択される、請求項55に記載の方法。
【請求項58】
前記成長因子受容体標的剤が、ゲフィチニブ(Iressa)、Tarceva、PD153035、セツキシマブ(Erbitux)、Avastin、パニツムマブ、トラスツズマブおよび抗c−Met抗体からなる群から選択される、請求項55に記載の方法。
【請求項59】
前記第2の作用物質がキナーゼ標的剤を含む、請求項34に記載の方法。
【請求項60】
前記キナーゼ標的剤がキナーゼ阻害剤を含む、請求項59に記載の方法。
【請求項61】
前記キナーゼ標的剤がチロシンキナーゼ阻害剤(TKI)を含む、請求項59に記載の方法。
【請求項62】
前記TKIが、エルロチニブ(Tarceva)、Sutent(スニチニブ)、ラパチニブ、ソラフェニブ(Nexavar)、バンデタニブ、アキシチニブ、ボスチニブ、セジバニブ、ダサチニブ(Sprycel)、ゲフィチニブ(Irressa)、イマチニブ(Gleevac)、レスタウルチニブ、ARQ197からなる群から選択される、請求項61に記載の方法。
【請求項63】
前記キナーゼ標的剤が、セフィチニブ(Iressa)、ZD6474(AZD6474)、EMD−72000(マツズマブ)、パニツマブ(ABX−EGF)、ICR−62、CI−1033(PD183805)、ラパチニブ(Tykerb)、AEE788(ピロロ−ピリミジン)、EKB−569、EXEL 7647/EXEL 0999、エルロチニブ(Tarceva)、イマチニブ(Gleevec)、ソラフィニブ(Nexavar)、スニチニブ(Sutent)、ダサチニブ(Sprycel)、バンデチニブ(ZACTIMA)、テムシロリムス(Torisel)、PTK787(バタラニブ)、パゾパニブ、AZD2171、エベロリムス、セリシクリブ、AMG 706、アキシチニブ、PD0325901、PKC−412、CEP701、XL880、ボスチニブ、BIBF1120、BIBF1120、ニロチニブ、AZD6244、HKI−272、MS−275、BI2536、GX15−070、AZD0530、エンザスタウリン、MLN−518およびARQ197からなる群から選択される、請求項59に記載の方法。
【請求項64】
前記第2の作用物質が新脈管形成阻害剤を含む、請求項34に記載の方法。
【請求項65】
前記新脈管形成阻害剤が、CM101、IFN−α、IL−12、血小板因子−4、スラミン、SU5416、トロンボスポンジン、VEGFRアンタゴニスト、新脈管形成抑制ステロイド+ヘパリン、軟骨由来新脈管形成阻止因子、マトリックスメタロプロテアーゼ阻害剤、バチマスタット、マリマスタット、アンギオスタチン、エンドスタチン、2−メトキシエストラジオール、テコガラン、トロンボスポンジン、αVβ3阻害剤、リノミドおよびADH−1からなる群から選択される、請求項64に記載の方法。
【請求項66】
前記癌が転移性であるか、標準の第1選択の癌治療薬に抵抗性であるか、再発性である、請求項34に記載の方法。
【請求項67】
対象の癌を治療する方法であって、
(a)Stat3経路活性を阻害するために、前記対象に第1の癌幹細胞阻害剤の第1の量を投与するステップと、
(b)異なる経路の活性を阻害するために、前記対象に第2の癌幹細胞阻害剤の第2の量を投与するステップと
を含む方法。
【請求項68】
前記第2の癌幹細胞阻害剤は、ラパチニブである、請求項67に記載の方法。
【請求項69】
前記第2の抗癌剤の前記第2の量が、単独で癌幹細胞集団に対して治療的に有効でない、請求項67に記載の方法。
【請求項70】
前記癌が、乳癌、頭頸部癌、肺癌、卵巣癌、膵臓癌、多発性骨髄腫、結腸直腸癌、前立腺癌、黒色腫、カポジ肉腫、ユーイング肉腫、肝癌、胃癌、髄芽細胞腫、脳腫瘍および白血病からなる群から選択される、請求項67に記載の方法。
【請求項71】
前記癌が転移性であるか、標準の第1選択の癌治療薬に抵抗性であるか、再発性である、請求項67に記載の方法。
【請求項72】
対象の癌を治療する方法であって、
(a)2−(1−ヒドロキシエチル)−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン、2−アセチル−7−クロロ−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン、2−アセチル−7−フルオロ−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン、2−アセチルナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン、2−エチル−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン、および薬学的に許容されるその塩または溶媒和物からなる群から選択される第1の抗癌剤の治療的有効量を前記対象に投与するステップと、
(b)同群から選択されない第2の抗癌剤を投与するステップと
を含む方法。
【請求項73】
前記第2の作用物質が、少なくとも1つの癌に対する標準の第1選択の治療薬である、請求項72に記載の方法。
【請求項74】
前記第2の作用物質が細胞傷害性薬を含む、請求項72に記載の方法。
【請求項75】
前記第2の作用物質が、DNA損傷剤、抗有糸分裂剤および代謝拮抗剤からなる群から選択される、請求項72に記載の方法。
【請求項76】
前記DNA損傷剤が、アルキル化剤、トポイソメラーゼ阻害剤およびDNAインターカレータからなる群から選択される、請求項84に記載の方法。
【請求項77】
前記アルキル化剤が、クロラムブシル、シクロホスファミド、イホスファミド、メクロルエタミン、メルファラン、ウラシルマスタード、チオテパ、ブスルファン、カルムスチン、ロムスチン、ストレプトゾシン、カルボプラチン、シスプラチン、サトラプラチン、オキサリプラチン、アルトレタミン、ET−743、XL119(ベカテカリン)、ダカルバジン、クロルメチン、ベンダムスチン、トロホスファミド、ウラムスチン、フォテムスチン、ニムスチン、プレドニムスチン、ラニムスチン、セムスチン、ネダプラチン、四硝酸トリプラチン、マンノスルファン、トレオスルファン、テモゾロミド、カルボコン、トリアジコン、トリエチレンメラミンおよびプロカルバジンからなる群から選択される、請求項85に記載の方法。
【請求項78】
前記トポイソメラーゼ阻害剤が、ドキソルビシン(Doxil)、ダウノルビシン、エピルビシン、イダルビシン、アントラセンジオン(Novantrone)、ミトキサントロン、マイトマイシンC、ブレオマイシン、ダクチノマイシン、プリカトマイシン、イリノテカン(Camptosar)、カンプトテシン、ルビテカン、ベロテカン、エトポシド、テニポシドおよびトポテカン(Hycamptin)からなる群から選択される、請求項85に記載の方法。
【請求項79】
前記DNAインターカレータが、プロフラビン、ドキソルビシン(アドリアマイシン)、ダウノルビシン、ダクチノマイシン、サリドマイドからなる群から選択される、請求項85に記載の方法。
【請求項80】
前記抗有糸分裂剤が、パクリタキセル(Abraxane)/Taxol、ドセタキセル(Taxotere)、BMS−275183、Xyotax、Tocosal、ビノルレビン(vinorlebine)、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビンデシン、ビンゾリジン、エトポシド(VP−16)、テニポシド(VM−26)、イクサベピロン、ラロタキセル、オルタタキセル、テセタキセルおよびイスピネシブからなる群から選択される、請求項84に記載の方法。
【請求項81】
前記代謝拮抗剤が、フルオロウラシル(5−FU)、フロクスウリジン(5−FUdR)、メトトレキセート、Xeloda、Arranon、ロイコボリン、ヒドロキシ尿素、チオグアニン(6−TG)、メルカプトプリン(6−MP)、シタラビン、ペントスタチン、リン酸フルダラビン、クラドリビン(2−CDA)、アスパラギナーゼ、ゲムシタビン、ペメトレキセド、ボルテゾミブ、アミノプテリン、ラルチトレキセド、クロファラビン、エノシタビン、サパシタビンおよびアザシチジンからなる群から選択される、請求項84に記載の方法。
【請求項82】
前記第2の作用物質が、カルボプラチン、ドキソルビシン、ゲムシタビン、ドセタキセルおよびエトポシドからなる群から選択される、請求項72に記載の方法。
【請求項83】
前記第2の作用物質が対標的剤を含む、請求項72に記載の方法。
【請求項84】
前記第2の作用物質が成長因子受容体標的剤を含む、請求項72に記載の方法。
【請求項85】
前記成長因子受容体標的剤が、キナーゼに関連する成長因子受容体を標的にする抗体を含む、請求項93に記載の方法。
【請求項86】
前記成長因子受容体が、上皮成長因子受容体(EGFR)または血管内皮成長因子受容体(VEGFR)からなる群から選択される、請求項93に記載の方法。
【請求項87】
前記成長因子受容体標的剤が、ゲフィチニブ(Iressa)、Tarceva、PD153035、セツキシマブ(Erbitux)、Avastin、パニツムマブ、トラスツズマブおよび抗c−Met抗体からなる群から選択される、請求項93に記載の方法。
【請求項88】
前記第2の作用物質がキナーゼ標的剤を含む、請求項72に記載の方法。
【請求項89】
前記キナーゼ標的剤がキナーゼ阻害剤を含む、請求項97に記載の方法。
【請求項90】
前記キナーゼ標的剤がチロシンキナーゼ阻害剤(TKI)を含む、請求項97に記載の方法。
【請求項91】
前記TKIが、エルロチニブ(Tarceva)、Sutent(スニチニブ)、ラパチニブ、ソラフェニブ(Nexavar)、バンデタニブ、アキシチニブ、ボスチニブ、セジバニブ、ダサチニブ(Sprycel)、ゲフィチニブ(Irressa)、イマチニブ(Gleevac)、レスタウルチニブ、ARQ197からなる群から選択される、請求項99に記載の方法。
【請求項92】
前記キナーゼ標的剤が、セフィチニブ(Iressa)、ZD6474(AZD6474)、EMD−72000(マツズマブ)、パニツマブ(ABX−EGF)、ICR−62、CI−1033(PD183805)、ラパチニブ(Tykerb)、AEE788(ピロロ−ピリミジン)、EKB−569、EXEL 7647/EXEL 0999、エルロチニブ(Tarceva)、イマチニブ(Gleevec)、ソラフィニブ(Nexavar)、スニチニブ(Sutent)、ダサチニブ(Sprycel)、バンデチニブ(ZACTIMA)、テムシロリムス(Torisel)、PTK787(バタラニブ)、パゾパニブ、AZD2171、エベロリムス、セリシクリブ、AMG 706、アキシチニブ、PD0325901、PKC−412、CEP701、XL880、ボスチニブ、BIBF1120、BIBF1120、ニロチニブ、AZD6244、HKI−272、MS−275、BI2536、GX15−070、AZD0530、エンザスタウリン、MLN−518およびARQ197からなる群から選択される、請求項97に記載の方法。
【請求項93】
前記第2の作用物質が新脈管形成阻害剤を含む、請求項72に記載の方法。
【請求項94】
前記新脈管形成阻害剤が、CM101、IFN−α、IL−12、血小板因子−4、スラミン、SU5416、トロンボスポンジン、VEGFRアンタゴニスト、新脈管形成抑制ステロイド+ヘパリン、軟骨由来新脈管形成阻止因子、マトリックスメタロプロテアーゼ阻害剤、バチマスタット、マリマスタット、アンギオスタチン、エンドスタチン、2−メトキシエストラジオール、テコガラン、トロンボスポンジン、αVβ3阻害剤、リノミドおよびADH−1からなる群から選択される、請求項102に記載の方法。
【請求項95】
前記癌が転移性であるか、標準の第1選択の癌治療薬に抵抗性であるか、再発性である、請求項72に記載の方法。
【請求項96】
前記癌が、乳癌、頭頸部癌、肺癌、卵巣癌、膵臓癌、結腸直腸癌、前立腺癌、黒色腫、肉腫、肝癌、脳腫瘍および白血病からなる群から選択される、請求項72に記載の方法。
【請求項97】
前記対象に薬学的に許容される賦形剤、担体または希釈剤を投与するステップをさらに含む、請求項1、19、34、67および72のいずれか一項に記載の方法。
【請求項98】
前記作用物質の少なくとも1つが、経口、鼻、局所、直腸、膣または非経口の投与、または静脈内(IV)、皮下もしくは筋肉内の注射からなる群から選択される様式で投与される、請求項1、19、34、67および72のいずれか一項に記載の方法。
【請求項99】
前記第2の作用物質が、放射線療法剤、生物剤、ホルモン剤、HDAC阻害剤、レチノイド剤、チェックポイント活性化剤、プロテアソーム阻害剤、アジュバント剤および補助剤からなる群から選択される、請求項19、34および72のいずれか一項に記載の方法。
【請求項100】
前記放射線療法剤が放射性物質または放射線増感剤を含む、請求項99に記載の方法。
【請求項101】
前記DNAトポイソメラーゼ調整剤が、ドキソルビシン(Doxil)、ダウノルビシン、エピルビシン、イダルビシン、アントラセンジオン(Novantrone)、ミトキサントロン、マイトマイシンC、ブレオマイシン、ダクチノマイシン、プリカトマイシン、イリノテカン(Camptosar)およびトポテカン(Hycamptin)からなる群から選択される、請求項99に記載の方法。
【請求項102】
前記生物剤が、インターロイキン−2(Aldesleukin)、インターフェロン−α、インターフェロン−β、インターフェロン−γ、エリスロポイエチン(EPO)、顆粒球CSF(フィルグラスチン)、顆粒球、マクロファージCSF(サルグラモスチム)、IL13−PE38QQR、バチルスカルメット−ゲラン、レバミゾール、オクトレオチド、CPG7909、Provenge、GVAX、Myvax、Favld、Revlimid(レナリドミド)、Herceptin(トラスツズマブ)、Rituxan(リツキシマブ)、Myelotarg(ゲムツズマブオゾガマイシン)、Campath(アレムツズマブ)、エンドスタチン、Zevalin(イブリツモマブチウキセタン)、Bexxar(トシツモマブ)、Erbitux(セツキシマブ)、ザノリムマブ、オファツムマブ、HGS−ETR1、ペルツズマブ、M200、SGN−30、マツズマブ、アデカツマブ、デノスマブ、ザルツムマブ、MDX−060、ニモツズマブ、MORAb−003、Vitaxin、MDX−101、MDX−010、DPC4抗体、NF−1抗体、NF−2抗体、Rb抗体、p53抗体、WT1抗体、BRCA1抗体、BRCA2抗体、ガングリオシド(GM2)、前立腺特異抗原(PSA)、α−フェトプロテイン(AFP)、癌胎児性抗原(CEA)、黒色腫関連抗原(MART−1、gap100、MAGE1,3チロシン)ならびに乳頭腫ウイルスE6およびE7断片からなる群から選択される、請求項99に記載の方法。
【請求項103】
前記ホルモン剤が、ジエチルスチベストロール(diethylstibestrol)、タモキシフェン、Aromasin、Tormifene、フルオキシメステロール、ラロキシフェン、ビカルタミド、ニルタミド、フルタミド、アミノグルテチミド、アナストロゾール(Arimidex)、テトラゾール、ケトコナゾール、黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHRH)類似体、酢酸ゴセレリン、ロイプロリド、酢酸メゲストロール、ミフェプリストンおよびプレドニゾン(Deltasone)からなる群から選択される、請求項99に記載の方法。
【請求項104】
前記HDAC阻害剤が、ヒドロキサミド酸サブエロイルアニリド(suberoylanilide hydroxamide acid)(SAHA)、PXD101およびFK228からなる群から選択される、請求項99に記載の方法。
【請求項105】
前記レチノイド剤が、TargretinおよびDN101からなる群から選択される、請求項99に記載の方法。
【請求項106】
前記チェックポイント活性化剤がARQ 501である、請求項99に記載の方法。
【請求項107】
前記補助剤が、アプレピタント(Emend)、オンダンセトロン(Zofran)、ロラゼパム、デキサメタゾン(Decadron)、ジフェンヒドラミン(Benadryl)、ラニチジン(Zantac)、シメチジン(Tagamet)、ラニチジン、ファモチジン、シメチジン、プロクリット、Epogen、Neupogen、Neumega、ロイコボリンおよびGM−CSFからなる群から選択される、請求項99に記載の方法。
【請求項108】
第2の作用物質がDacogen(デシタビン)、Telcyta(カンホスファミド)、EFAPROXYN、ZarnestraおよびIonafarnib、タモキシフェン、トレミフェン、ラロキシフェン、ドロロキシフェン、イオドキシフェン、酢酸メゲストロール、アナストロゾール、レトロゾール、ボラゾール、エクセメスタン、フルタミド、ニルタミド、ビカルタミド、酢酸シプロテロン、酢酸ゴセレリン、ロイプロリド、フィナステリド、メタロプロテアーゼ阻害剤、ウロキナーゼプラスミノーゲン活性化因子受容体機能阻害剤、成長因子抗体、成長因子受容体抗体、ベバシズマブ、セツキシマブ、セリン/トレオニンキナーゼ阻害剤、メトトレキセート、5−フルオロウラシル、プリンおよびアデノシン類似体、シトシンアラビノシド、ドキソルビシン、ダウノマイシン、エピルビシン、イダルビシン、マイトマイシンC、ダクチノマイシン、ミトラマイシン、シスプラチン、カルボプラチン、ナイトロジェンマスタード、メルファラン、クロラムブシル、ブスルファン、シクロホスファミド、イホスファミド、ニトロソウレア、チオテパ、ビンクリスチン、ビノレルビン、ビンブラスチン、ビンフルニン、パクリタキセル、ドセタキセル、エポチロン類似体、ディスコデルモリド類似体、エロイテロビン類似体、エトポシド、テニポシド、アムサクリン、トポテカン、フラボピリドール、プロテアソーム阻害剤、例えばボルテゾミブおよび生体応答調節剤、アンドロゲン受容体アンタゴニスト、LH/RHアンタゴニスト、タキサン類似体ならびにエストロゲン受容体アンタゴニストからなる群から選択される、請求項19、34および72のいずれか一項に記載の方法。
【請求項109】
前記癌が、肺癌、乳癌、子宮頸癌、結腸直腸癌、肝癌、頭頸部癌、膵臓癌、脳腫瘍、胃癌および前立腺癌からなる群から選択される、請求項19、34および72のいずれか一項に記載の方法。
【請求項110】
2−(1−ヒドロキシエチル)−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン、2−アセチル−7−クロロ−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン、2−アセチル−7−フルオロ−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン、2−アセチルナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン、2−エチル−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン、および薬学的に許容されるその塩または溶媒和物からなる群から選択される第1の抗癌剤の治療的有効量、ならびに
細胞傷害性薬、対標的剤、放射線療法剤、生物剤、ホルモン剤、HDAC阻害剤、レチノイド剤、チェックポイント活性化剤、プロテアソーム阻害剤、アジュバント剤および補助剤からなる群から選択される第2の抗癌治療薬を含む医薬組成物。
【請求項111】
薬学的に許容される賦形剤、担体または希釈剤をさらに含む、請求項110に記載の医薬組成物。
【図1】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公表番号】特表2010−539098(P2010−539098A)
【公表日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−524251(P2010−524251)
【出願日】平成20年9月10日(2008.9.10)
【国際出願番号】PCT/US2008/075906
【国際公開番号】WO2009/036101
【国際公開日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【出願人】(510055334)ボストン バイオメディカル, インコーポレイテッド (8)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年9月10日(2008.9.10)
【国際出願番号】PCT/US2008/075906
【国際公開番号】WO2009/036101
【国際公開日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【出願人】(510055334)ボストン バイオメディカル, インコーポレイテッド (8)
【Fターム(参考)】
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