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発がんプロモーション抑制剤、及びその製造方法
説明

発がんプロモーション抑制剤、及びその製造方法

【課題】細胞の発がんプロモーションを効果的に抑制する発がんプロモーション抑制剤を提供する。
【解決手段】発がんプロモーション抑制剤は、茶葉由来高分子組成物を有効成分として含有する。茶葉由来高分子組成物として、茶葉の水溶性抽出物から分子量10000未満の低分子成分を限外ろ過により除去して得られる画分を用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、茶葉由来高分子組成物を有効成分として含有する発がんプロモーション抑制剤、及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、緑茶、紅茶、烏龍茶、黒茶等の茶葉の水溶性抽出物に含有される茶葉由来高分子組成物に、細胞の発がんプロモーションを抑制する作用があることが報告されている(非特許文献1参照)。この非特許文献1においては、茶葉由来高分子組成物は以下の調製方法により得ている。まず、茶葉に沸騰水を加えて攪拌及びろ過することにより第1茶葉抽出液を得る。次いで、第1茶葉抽出液に対して、クロロホルム、酢酸エチル、n−ブタノールを用いて順に抽出処理を行い、第1茶葉抽出液から各溶剤可溶性成分を除去した第2茶葉抽出液を得る。その後、第2茶葉抽出液を濃縮し、その濃縮液を分画分子量12000の透析膜チューブ内に入れるとともに水を透析外液として透析処理を行う。そして、透析膜チューブ内の透析内液を回収し、これを濃縮乾固することによって粉末状の茶葉由来高分子組成物を得る。上記の調整方法により得られた茶葉由来高分子組成物は、細胞の発がんプロモーションを抑制する作用を示す。また、天然の食用植物由来であり、生体への安全性が高いと考えられることから、発がんプロモーション抑制剤としての適用が期待されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】Nakamura Y et al,:Plant Polyphenols 2, ed by Gross (1999),629-641.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この発明は、本発明者らの鋭意研究の結果、茶葉由来高分子組成物の調製方法として、限外ろ過を用いた調製方法を選択することにより、上記従来の調製方法と比較して茶葉由来高分子組成物の発がんプロモーション抑制作用が顕著に向上することを見出したことに基づいてなされたものである。その目的とするところは、細胞の発がんプロモーションを効果的に抑制することのできる発がんプロモーション抑制剤、及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するために請求項1に記載の発がんプロモーション抑制剤は、茶葉由来高分子組成物を有効成分として含有する発がんプロモーション抑制剤であって、前記茶葉由来高分子組成物として、茶葉の水溶性抽出物から分子量10000未満の低分子成分を限外ろ過により除去して得られる画分を含有することを特徴とする。
【0006】
請求項2に記載の発がんプロモーション抑制剤の製造方法は、茶葉由来高分子組成物を有効成分として含有する発がんプロモーション抑制剤の製造方法であって、水を含む抽出溶媒により茶葉の水溶性抽出物を得る抽出工程と、茶葉の水溶性抽出物から分子量10000未満の低分子成分を限外ろ過により除去して前記茶葉由来高分子組成物を得る限外ろ過工程とを有することを特徴とする。
【0007】
請求項3に記載の発がんプロモーション抑制剤の製造方法は、請求項2に記載の発明において、前記限外ろ過工程は、分画分子量が10000〜14000の範囲のろ過膜を用いて限外ろ過を行う工程であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の発がんプロモーション抑制剤によれば、細胞の発がんプロモーションを効果的に抑制することができる。また、本発明の発がんプロモーション抑制剤の製造方法によれば、高い発がんプロモーション抑制作用を有する発がんプロモーション抑制剤を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】軟寒天コロニー形成試験の結果を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を具体化した実施形態の発がんプロモーション抑制剤を詳細に説明する。
発がんプロモーション抑制剤は、茶葉に含まれる水溶性の高分子組成物である茶葉由来高分子組成物を有効成分として含有する。茶葉由来高分子組成物は、水を含む抽出溶媒により茶葉の水溶性抽出物を得る抽出工程と、抽出工程にて得られた水溶性抽出物から低分子成分を限外ろ過により除去する限外ろ過工程とを経ることによって得られるものである。
【0011】
[原料]
茶葉由来高分子組成物は茶葉を原料とする。本発明における茶葉とは、各種製茶及び茶樹から採取された生の各部位を含む概念である。具体的には、上記茶葉はツバキ科ツバキ属の常緑樹である茶樹の芽、葉、茎等の各部位であって、茶樹の品種、産地を問わず原料として使用することができる。上記茶樹の芽、葉、茎等の各部位は、生の状態であっても、飲用処理された製茶の状態であっても原料として使用可能であるが、収率や効果等の観点から、飲用処理された製茶を使用することが特に好ましい。なお、上記飲用処理としては、例えば発酵処理が挙げられる。そして、発酵処理状態別の製茶としては、緑茶(不発酵茶)、白茶(弱発酵茶)、青茶(半発酵茶)、紅茶(完全発酵茶)、黄茶(弱後発酵茶)、及び黒茶(後発酵茶)等があり、これらの製茶の何れも原料として好適に使用することができる。
【0012】
[抽出工程]
抽出工程は、原料としての茶葉から水溶性抽出物を抽出する工程である。
茶葉は、採取したままの状態、採取後に粉砕処理(破砕処理やすり潰しを含む、以下同じ)した状態、採取・乾燥後に粉砕処理した状態、又は採取後に粉砕処理し、乾燥させた状態として抽出工程に供することができる。抽出工程を効率的に行うべく、粉砕処理した状態の茶葉を用いることが好ましい。上記粉砕処理には、例えばカッター、裁断機、クラッシャー、ミル、グラインダー、ニーダー、乳鉢等を用いることができる。
【0013】
上記原料から水溶性抽出物を抽出するための抽出溶媒としては、水、又は水と有機溶媒との混合溶媒を用いることができる。水と有機溶媒との混合溶媒を用いる場合には、混合溶媒中における水の含有量を50体積%以上とすることが好ましく、80体積%以上とすることがより好ましい。上記有機溶媒としては、例えば、メタノールやエタノール等の低級アルコール類が挙げられる。また、抽出溶媒中に添加剤、例えば、有機塩、無機塩、緩衝剤、及び乳化剤等が溶解されていてもよい。
【0014】
抽出方法としては、例えば冷水抽出、温水抽出、熱水抽出、及び蒸気抽出等の公知の抽出方法のいずれの方法も用いることができるが、抽出効率の観点から温水抽出や熱水抽出を用いることが好ましい。具体的な抽出操作としては、抽出溶媒中に原料である茶葉を所定時間浸漬させる。その際、抽出溶媒中における原料の濃度は、抽出溶媒や抽出方法等に応じて適宜設定すればよい。
【0015】
こうした抽出操作においては、抽出効率を高めるために、必要に応じて攪拌処理、加圧処理、及び超音波処理等の処理を更に行ってもよい。また、抽出操作は同一の原料に対して一回のみ行なってもよいし、複数回繰り返して行なってもよい。そして、抽出操作の後に固液分離操作が行われることで、抽出液と原料の残渣とを分離する。固液分離処理の方法としては、ろ過や遠心分離等の公知の分離法を用いることができる。また、必要に応じて得られた抽出液の濃縮を行ってもよい。
【0016】
[限外ろ過工程]
限外ろ過工程は、茶葉の水溶性抽出物から分子量10000未満の低分子成分を限外ろ過により除去して茶葉由来高分子組成物を得る工程である。なお、限外ろ過とは、特定のろ過膜を用いて大きい溶質分子を小さい溶質分子や溶媒分子からふるい分ける分子レベルのろ過処理である。
【0017】
限外ろ過工程においては、まず茶葉の水溶性抽出物の溶液を用意する。この溶液としては、上記抽出工程における固液分離処理後の抽出液をそのまま使用してもよいし、その抽出液を濃縮したものを水等の溶媒に希釈又は溶解させた溶液を使用してもよい。なお、上記溶媒としては、茶葉の水溶性抽出物を溶解させることが可能であり、かつ限界ろ過用のろ過膜に使用可能な溶媒であればよい。
【0018】
ろ過膜としては、限外ろ過に用いられるろ過膜、例えばセルロースアセテートやポリスルホン等の非イオン性の合成ポリマー製の膜を用いることができる。ろ過膜の分画分子量は分子量10000未満の低分子成分を分画することができるものであれば特に限定されないが、例えば10000〜14000の範囲であることが好ましい。
【0019】
限外ろ過操作の具体的な方法としては、例えばガスボンベの圧力を利用した濃縮器を用いる方法や遠心機を利用した方法等の公知の方法を用いることができる。なお、限外ろ過を行う際にはろ過膜の一次側に所定の加圧を要するが、この加圧条件は使用するろ過膜に応じて適宜設定すればよい。
【0020】
そして、限外ろ過後にろ過膜の一次側に残った残渣を茶葉由来高分子組成物として回収する。回収した茶葉由来高分子組成物は、保存安定性の観点や発がんプロモーション抑制剤への適用の容易性の観点から、凍結乾燥させて粉末状の状態としておくことが好ましい。また、ろ過処理時の温度、及び茶葉由来高分子組成物の保存温度は特に限定されるものではないが、低温下にてろ過処理及び保存することが好ましい。
【0021】
本実施形態の発がんプロモーション抑制剤は、茶葉を原料とし、上記抽出工程及び上記限外ろ過工程を経て得られる茶葉由来高分子組成物を有効成分として含有する。この発がんプロモーション抑制剤は、例えば健康食品や食品等の飲食品等の添加剤、医薬品、及び医薬部外品として有用である。発がんプロモーション抑制剤は、液状であっても、固体状であってもよい。具体的な剤形としては、例えば散剤、粉剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤、丸剤、液剤等が挙げられる。また、本発明の目的を損なわない範囲において、賦形剤、基剤、乳化剤、安定剤、溶剤、香料、甘味料等の添加剤を配合してもよい。
【0022】
次に、本実施形態の作用について説明する。
上記茶葉由来高分子組成物は、細胞の発がんプロモーションを抑制する作用を有している。そのため、上記茶葉由来高分子組成物を有効成分として含有する発がんプロモーション抑制剤は優れた抗がん作用を発揮する。
【0023】
また、茶葉の水溶性抽出物から茶葉由来高分子組成物を得るための方法として、限外ろ過法を採用している。限外ろ過法を採用した場合には、他の方法、例えば、溶剤分画と透析を組み合わせた段階的分画法(非特許文献1に記載の方法)や、限外ろ過法に代えて透析法を採用した場合と比較して、得られる茶葉由来高分子組成物の発がんプロモーション抑制作用が顕著に向上する。限外ろ過法を採用した場合に発がんプロモーション抑制作用が向上する要因は現時点において明らかではないが、その要因としては、例えば以下の点が考えられる。
【0024】
第1に、茶葉中には発がんプロモーション抑制作用を示す何らかの活性成分が含有されているが、限外ろ過法を採用した場合には、この活性成分を茶葉の水溶性抽出物から選択的に回収することが可能であり、活性成分を高純度で含有する茶葉由来高分子組成物が得られている。
【0025】
第2に、茶葉中には発がんプロモーション抑制作用を示す活性成分と共に、その活性成分の発がんプロモーション抑制作用を阻害する阻害成分も含有されている可能性がある。そして、限外ろ過法を採用した場合には、この阻害成分を効果的に除去することができている。
【0026】
次に、本実施形態の効果について記載する。
(1)本実施形態の発がんプロモーション抑制剤は、茶葉由来高分子組成物を有効成分として含有している。上記構成によれば、細胞の発がんプロモーションを抑制することができ、優れた抗がん作用を発揮する。
【0027】
(2)茶葉由来高分子組成物として、茶葉の水溶性抽出物から分子量10000未満の低分子成分を限外ろ過により除去して得られる画分を含有している。上記構成によれば、段階的分画法や透析法等の他の方法により得られる茶葉由来高分子組成物と比較して、発がんプロモーションの抑制作用が顕著に高められる。
【0028】
(3)茶葉由来高分子組成物は、天然の食用植物由来であるため、安全性が高く、医薬品、飲食品に容易に適用することができる。
(4)本実施形態の発がんプロモーション抑制剤の製造方法は、水を含む抽出溶媒により茶葉の水溶性抽出物を得る抽出工程と、茶葉の水溶性抽出物から分子量10000未満の低分子成分を限外ろ過により除去して前記茶葉由来高分子組成物を得る限外ろ過工程とを有している。上記構成によれば、水溶性抽出物から低分子成分を除去する方法として、段階的分画法や透析法等の他の方法を採用した場合と比較して、発がんプロモーション抑制作用の高い茶葉由来高分子組成物を得ることができる。
【0029】
(5)本実施形態の発がんプロモーション抑制剤の製造方法は、水溶性抽出物から低分子成分を除去する方法として、段階的分画法や透析法等の他の方法を採用した場合と比較して、茶葉由来高分子組成物の収率の面においても優れている。そのため、大量生産化が容易であるとともに、コストの観点においても有用である。
【0030】
なお、上記実施形態は、次のように変更して具体化することも可能である。
・ 上記実施形態では、茶葉を原料として上記抽出工程及び上記限外ろ過工程の2工程を経て得られた物質を茶葉由来高分子組成物としていたが、上記の2工程に加えて、高分子組成物の精製に用いられる公知の精製工程を更に行って得られた物質を茶葉由来高分子組成物として用いることもできる。
【0031】
次に、実施例を挙げて上記実施形態を更に具体的に説明する。
[茶葉由来高分子組成物の調製]
(実施例1:限外ろ過法)
紅茶の茶葉50gに対して沸騰水500mlを加え、攪拌しながら20分間浸漬させて熱水抽出を行った後、ろ紙を用いてろ過することにより茶葉抽出液を得た。この茶葉抽出液について、分画分子量が10000であるろ過膜(Advantec社製、Q0100)を装着したろ過器(Advantec社製、攪拌型ウルトラホルダー(UHP−62K))を用いて、最高容量200ml、最高圧力0.39Mpa、温度5℃の条件にて限外ろ過を行った。その後、ろ過器内に少量の水を加えて、ろ過膜上に残った残渣を溶かし、その溶液を回収した。この回収処理を3回繰り返し行った。回収した溶液を凍結乾燥することにより、実施例1の茶葉由来高分子組成物を得た。なお、茶葉100g当たりの茶葉由来高分子組成物の収量は6.1gであった。
【0032】
(比較例1:段階的分画法)
紅茶の茶葉50gに対して沸騰水500mlを加え、攪拌しながら20分間浸漬させて熱水抽出を行った後、ろ紙を用いてろ過することにより茶葉抽出液を得た。この茶葉抽出液にクロロホルムを加え、分液ロートを用いて抽出処理を行った後、水層側を回収した。回収した水層について、クロロホルムによる同様の抽出処理を2度繰り返し行った。クロロホルムによる抽出処理後の水層に対して、酢酸エチルによる抽出処理、n−ブタノールによる抽出処理を順に同様に3回ずつ行った後、水層を濃縮乾固することによって中間精製物を得た。
【0033】
次に、分画分子量が12000である透析膜チューブ(三光純薬社製、UC16−32−100)を20cm長に切り、水に浸してほぐした後、一方の開口をクローザーで閉鎖したものを用意し、この中に中間精製物を水で溶解させた溶液を加えて他方の開口を同じく閉鎖した。この中間精製物の溶液を含む透析膜チューブを十分な水を張った容器内に吊るし入れ、穏やかに攪拌しながら低温庫(5℃)にて2日間、透析処理を行った。なお、容器内の水は1日4回、新しい水と交換した。2日間の透析処理後、透析膜チューブ内の透析内液を回収するとともに、これを凍結乾燥することにより比較例1の茶葉由来高分子組成物を得た。なお、茶葉100g当たりの茶葉由来高分子組成物の収量は2.0gであった。
【0034】
(比較例2:透析法)
紅茶の茶葉50gに対して沸騰水500mlを加え、攪拌しながら20分間浸漬させて熱水抽出を行った後、ろ紙を用いてろ過することにより茶葉抽出液を得た。次に、分画分子量が12000である透析膜チューブ(三光純薬社製、UC16−32−100)を20cm長に切り、水に浸してほぐした後、一方の開口をクローザーで閉鎖したものを用意し、この中に茶葉抽出液を加えて他方の開口を同じく閉鎖した。
【0035】
この茶葉抽出液を含む透析膜チューブを十分な水を張った容器内に吊るし入れ、穏やかに攪拌しながら低温庫(5℃)にて2日間、透析処理を行った。なお、容器内の水は1日4回、新しい水と交換した。2日間の透析処理後、透析膜チューブ内の透析内液を回収するとともに、これを凍結乾燥することにより比較例2の茶葉由来高分子組成物を得た。なお、茶葉100g当たりの茶葉由来高分子組成物の収量は2.9gであった。
【0036】
[発がんプロモーション抑制試験]
Balb/cマウス表皮由来のJB6細胞を用いた軟寒天コロニー形成試験により各例の茶葉由来高分子組成物の発がんプロモーション抑制作用を評価した。
【0037】
まず、2×MEM、PBS、FBS、及び溶かした1.25%寒天(45℃)を体積比4:1:1:4で混合して0.5%寒天MEM培地を調製した。そして、0.5%寒天MEM培地に対して、茶葉由来高分子組成物、及び発がんプロモーターとしてのTPA(12−O−テトラデカノイルホルボール13−アセタート)を添加して、茶葉由来高分子組成物濃度の異なる4種類のボトムアガー溶液を調製した。各ボトムアガー溶液中における茶葉由来高分子組成物の濃度はそれぞれ0、1、3、10μg/mlとした。また、各ボトムアガー溶液中におけるTPA濃度は全て1ng/mlとした。そして、各ボトムアガー溶液を7mlずつ60mmプラスチックシャーレに移し、放冷固化させることによりボトムアガーを作成した。
【0038】
次に、対数増殖期のJB6細胞から常法により2×10cell/mlの細胞浮遊液を調製した。また、2×MEM、PBS、FBS、及び溶かした1.25%寒天(45℃)を体積比4:1:1:4で混合して0.5%寒天MEM培地を調製した。そして、0.5%寒天MEM培地に対して、茶葉由来高分子組成物及びTPAを添加して、茶葉由来高分子組成物濃度の異なる4種類のトップアガー中間液を調製した。その後、各トップアガー中間液3mlと上記細胞浮遊液1.5mlとをそれぞれ混和して、茶葉由来高分子組成物濃度の異なる4種類のトップアガー溶液を調製した。各トップアガー溶液中における茶葉由来高分子組成物の濃度はそれぞれ0、1、3、10μg/mlとした。また、各トップアガー溶液中におけるTPA濃度は全て1ng/mlとした。
【0039】
そして、各トップアガー溶液1.5mlを、茶葉由来高分子組成物濃度の等しいボトムアガー上にそれぞれ移し、一様に広げた状態として放冷固化させることによりトップアガーを作成した。なお、トップアガーの最終寒天濃度は0.33%である。トップアガーを固化させた後、COインキュベータ(37℃、95%air、5%CO)中にて2週間、培養を行った。
【0040】
2週間の培養後、各寒天培地に形成されたコロニー数をそれぞれ計測するとともに、その計測値に基づいて、茶葉由来高分子組成物濃度に応じた細胞数2×10当たりのコロニー形成数をそれぞれ算出した。そして、茶葉由来高分子組成物濃度が0μg/mlの場合におけるコロニー形成数を100として、茶葉由来高分子組成物濃度とコロニー形成数との関係をグラフ化した(図1)。そして、図1に示すグラフからコロニー形成に対する茶葉由来高分子組成物のIC50値を算出した。その結果を表1に示す。なお、上記の軟寒天コロニー形成試験は、実施例1、比較例1及び2の各茶葉由来高分子組成物についてそれぞれ行った。
【0041】
【表1】

図1のグラフに示すように、実施例1、比較例1及び2のいずれの茶葉由来高分子組成物を用いた場合にも、茶葉由来高分子組成物の濃度依存的にコロニー形成数が減少している。この結果から、各例の茶葉由来高分子組成物が細胞の発がんプロモーションを抑制する作用を有していることが分かる。そして、各例の茶葉由来高分子組成物のなかでも、特に実施例1の茶葉由来高分子組成物が高い発がんプロモーション抑制作用を示している。実施例1の茶葉由来高分子組成物の発がんプロモーション抑制作用は、IC50値の比較において、比較例1の茶葉由来高分子組成物の約10倍、比較例2の茶葉由来高分子組成物の約2倍であった。この結果から、茶葉の水溶性抽出物から茶葉由来高分子組成物を得るための方法として、限外ろ過法を採用した場合には、段階的分画法や透析法を採用した場合と比較して、得られる茶葉由来高分子組成物の発がんプロモーション抑制作用が顕著に向上することが分かる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
茶葉由来高分子組成物を有効成分として含有する発がんプロモーション抑制剤であって、
前記茶葉由来高分子組成物として、茶葉の水溶性抽出物から分子量10000未満の低分子成分を限外ろ過により除去して得られる画分を含有することを特徴とする発がんプロモーション抑制剤。
【請求項2】
茶葉由来高分子組成物を有効成分として含有する発がんプロモーション抑制剤の製造方法であって、
水を含む抽出溶媒により茶葉の水溶性抽出物を得る抽出工程と、
茶葉の水溶性抽出物から分子量10000未満の低分子成分を限外ろ過により除去して前記茶葉由来高分子組成物を得る限外ろ過工程とを有することを特徴とする発がんプロモーション抑制剤の製造方法。
【請求項3】
前記限外ろ過工程は、分画分子量が10000〜14000の範囲のろ過膜を用いて限外ろ過を行う工程であることを特徴とする請求項2に記載の発がんプロモーション抑制剤の製造方法。

【図1】
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【公開番号】特開2013−95694(P2013−95694A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−239378(P2011−239378)
【出願日】平成23年10月31日(2011.10.31)
【出願人】(593206964)マイクロアルジェコーポレーション株式会社 (17)
【Fターム(参考)】