説明

発光ダイオードモジュール、照明装置、および発光ダイオードモジュールの配線パターン設定方法

【課題】発光ダイオードを消灯状態としたときに微弱電流によって微弱発光を生じることがなく、微弱点灯の生じない信頼性、機能性、および視認性の高い発光ダイオードモジュール、照明装置、および発光ダイオードモジュールの配線パターン設定方法を提供する。
【解決手段】発光ダイオードモジュール10は、配線パターン13を有するプリント基板14と、配線パターン13によって直列に接続された複数の発光ダイオード15とを備え、点灯回路20を介して交流電源ACSに接続される。配線パターン13の面積Sは、配線パターン13によって生じる寄生容量Cによって発光ダイオード15に流れる微弱電流Isが、外部からわずかに視認される微弱な発光としての微弱発光を発光ダイオード15に生じさせる限界値としての微弱発光限界電流Iwより小さくなるように設定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、点灯回路を介して交流電源に接続される発光ダイオードモジュール、発光ダイオードモジュールを備える照明装置、および発光ダイオードモジュールの配線パターン設定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)の開発が進み、白色発光が可能な技術が開発されたことから、発光ダイオードを照明灯の光源として利用することが提案されている。
【0003】
しかし、1個の発光ダイオードでは、光量が少ないことから照明灯としては不十分な状況にある。そこで、複数の発光ダイオードを実装した発光ダイオードモジュールを搭載した照明灯が提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照。)。
【0004】
図5は、従来例に係る発光ダイオードモジュールの平面状態を示す平面図である。
【0005】
従来例に係る発光ダイオードモジュール110は、絶縁性基材112に形成された配線パターン113を有するプリント基板114と、配線パターン113によって直列に接続された複数(例えば5個)の発光ダイオード115とを備え、点灯回路120(図6参照)を介して交流電源ACS(図6参照)に接続される。なお、配線パターン113は、絶縁性基材112に重ねて形成してあり、両者でプリント基板114を構成している。
【0006】
また、照明装置130は、金属製の照明器具本体130bと、照明器具本体130bに取り付けられた発光ダイオードモジュール110と、点灯回路120とを備える。
【0007】
照明器具本体130bとしては、例えばアルミニウムが採用されている。また、プリント基板114は、絶縁性基材112として紙フェノール、ガラスエポキシ、コンポジットなどの絶縁物が採用され、配線パターン113として銅箔が形成されている。
【0008】
発光ダイオード115は、配線パターン113に接続された端子電極115tおよび端子電極115tを固定して発光ダイオード素子部を封止する封止部115pを有する。また、端子電極115tは、配線パターン113に対して半田付けしてある。
【0009】
発光ダイオード115は、外周が円形に形成された照明器具本体130b、絶縁性基材112の外周に沿って環状に配置された配線パターン113によって相互に直列接続してある。配線パターン113pは、例えばプラス側とされ点灯回路120の出力プラス端子122p(図6参照)に接続され、配線パターン113mは、例えばマイナス側とされ点灯回路120の出力マイナス端子122m(図6参照)に接続され、点灯回路120から電力が供給される。
【0010】
配線パターン113は、寄生抵抗の低減、接続作業の容易性などを考慮して比較的大きな面積で形成される。したがって、配線パターン113は、配線パターン113と照明器具本体130bとの間の絶縁性基材112によって寄生容量C(図6参照)を生じる。
【0011】
図6は、図5に示した従来例に係る発光ダイオードモジュールを備えた照明装置の概略構成を説明するブロック図である。
【0012】
従来例に係る照明装置130は、直列に接続された複数の発光ダイオード115(図6では、発光ダイオードLED1、発光ダイオードLED2として示す。)を有する発光ダイオードモジュール110と、交流電源ACSに接続され交流電源ACSから供給された交流電力を直流電力に変換して発光ダイオードモジュール110に供給し、発光ダイオードモジュール110を点灯する点灯回路120とを備える。なお、発光ダイオードモジュール110は、照明器具本体130bに取り付けてある。
【0013】
点灯回路120は、例えば、交流を整流して直流とする整流回路と、整流回路で得られた直流を降圧するチョッパ回路(直流/直流変換回路)とで構成される。
【0014】
点灯回路120は、交流電力を直流電力に変換し、発光ダイオードモジュール110に直流電力を供給する。つまり、点灯回路120の出力側に配置された出力プラス端子122pを発光ダイオードLED1のプラス端子に接続し、点灯回路120の出力側に配置された出力マイナス端子122mを発光ダイオードLED2のマイナス端子に接続してある。また、発光ダイオードLED1と発光ダイオードLED2とは直列接続してある。
【0015】
発光ダイオードモジュール110(照明器具本体130b)は、図5で示した発光ダイオードモジュール110をそのまま適用してある。なお、理解を容易にするために、発光ダイオードモジュール110を構成する発光ダイオード115は、発光ダイオードLED1、発光ダイオードLED2の2個の場合として説明する。
【0016】
発光ダイオードLED1のプラス端子には、配線パターン113p(図5参照)が形成してあり、寄生容量C(寄生容量Ca)が存在する。発光ダイオードLED1と発光ダイオードLED2とは配線パターン113(面積S)を介して接続されていることから、寄生容量C(寄生容量Cb)が存在する。また、発光ダイオードLED2のマイナス端子には、配線パターン113mが形成してあり、寄生容量C(寄生容量Cc)が存在する。
【0017】
交流電源ACSは、商用の交流電源であり、需要者の安全性を考慮して一方の端子を接地(中性点接地)して接地側端子tnとし、他方の端子は、非接地側端子taとしてある。点灯回路120の入力側の電源接続端子121には、非接地側端子taが接続され、電源接続端子121gには、接地側端子tnがスイッチ125を介して接続してあり、交流電源ACSから交流電力の供給を受けている。
【0018】
スイッチ125は、交流電源ACSの接地側端子tnと電源接続端子121gとの間の配線に設けられ、いわゆる片切りスイッチとして構成してある。この形態のスイッチでは、スイッチ125を切断して消灯した状態でも、アース電位GND(発光ダイオードモジュール110の照明器具本体130bに対応する。)と非接地側端子taに接続された配線、点灯回路120、および寄生容量C(寄生容量Cb)を介して電流経路を生じ、寄生電流としての微弱電流Is(微弱電流Isp、微弱電流Ism)が流れる。
【0019】
つまり、微弱電流Ispは、交流電源ACSが正の半波波形(正の半波電圧)のとき、交流電源ACSの非接地側端子ta→電源接続端子121→出力プラス端子122p→発光ダイオードLED1→寄生容量Cb→アース電位GND→交流電源ACSの接地側端子tnの経路で流れる。
【0020】
他方、微弱電流Ismは、交流電源ACSが負の半波波形(負の半波電圧)のとき、交流電源ACSの接地側端子tn→アース電位GND→寄生容量Cb→発光ダイオードLED2→出力マイナス端子122m→電源接続端子121→交流電源ACSの非接地側端子taの経路で流れる。
【0021】
本願発明者は、発光ダイオードモジュール110の開発を進める過程で、スイッチ125を切断して消灯した状態でも寄生容量Cによる微弱電流Isが発光ダイオード115に流れ、それに伴って発光ダイオード115(発光ダイオードLED1、発光ダイオードLED2)が完全消灯しないで微弱発光する場合があることを見出した。
【0022】
つまり、交流電源ACSの接地側(接地側端子tn)への接続を接地線側のスイッチ125で切断して消灯した状態でも、発光ダイオード115に微弱電流Isが流れる状態となり、外部から視認される微弱な微弱発光を生じる現象を確認した。
【0023】
スイッチ125を切断して消灯した状態での微弱点灯は、接地を実施する照明装置130の場合に発生しやすく、接地をしない場合でも操作者が手で触れたりしたときに発生しやすいことを確認した。
【0024】
また、スイッチ125を切断せず、リモートコントローラで点灯回路120の動作を停止させて消灯する場合でも同様の問題を生じることを確認した。
【0025】
点灯/消灯の切り替えは、照明灯(照明装置)にとって基本的な機能であり、消灯状態としたときに、寄生容量に起因する微弱発光を生じることは、照明灯としての信頼性、機能性、視認性の観点から大きな問題となる場合がある。
【0026】
なお、微弱発光に言及したものとして、例えば特許文献3があるが、スイッチの両端に入れられたインピーダンス素子を介して微弱電流が流れ、発光ダイオードが微弱発光するのを防止することを課題とするものであり、本願とは全く異なるものである。
【特許文献1】特開2006−295085号公報
【特許文献2】特開2007−295007号公報
【特許文献3】特開2004−296205号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0027】
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、配線パターンを有するプリント基板と、配線パターンによって直列に接続された複数の発光ダイオードとを備え、点灯回路を介して交流電源に接続される発光ダイオードモジュールであって、前記配線パターンは、発光ダイオードを消灯状態としたときに配線パターンによって生じる寄生容量を介して発光ダイオードに流れる微弱電流(寄生電流)が、外部から視認される微弱発光を発光ダイオードに生じさせる微弱発光限界電流より小さくなる面積に設定してあることにより、発光ダイオードを消灯状態としたときに、微弱電流による微弱発光を生じない信頼性、機能性、および視認性の高い発光ダイオードモジュールを提供することを目的とする。
【0028】
また、本発明は、発光ダイオードモジュールを備える照明装置であって、発光ダイオードモジュールを本発明に係る発光ダイオードモジュールとすることにより、発光ダイオードを消灯状態としたときに発光ダイオードに流れる微弱電流が微弱発光限界電流より小さくなるように抑制して、微弱発光を生じない信頼性、機能性、および視認性の高い照明装置を提供することを他の目的とする。
【0029】
また、本発明は、本発明に係る発光ダイオードモジュールの配線パターン設定方法であって、微弱発光を発光ダイオードに生じさせる微弱発光限界電流を検出する微弱発光限界電流検出過程と、微弱電流が微弱発光限界電流より小さくなる配線パターンの面積を算出するパターン面積算出過程と、配線パターンの面積およびプリント基板上に配置する発光ダイオード相互の間隔に基づいて配線パターンの形状を設定するパターン形状設定過程とを備えることにより、発光ダイオードを消灯状態としたときに微弱電流によって微弱発光を生じない信頼性、機能性、および視認性の高い発光ダイオードモジュールの配線パターンの形状を容易かつ高精度に設定することが可能な発光ダイオードモジュールの配線パターン設定方法を提供することを他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0030】
本発明に係る発光ダイオードモジュールは、絶縁性基材上に形成された配線パターンを有するプリント基板と、前記配線パターンによって直列に接続された複数の発光ダイオードとを備え、点灯回路を介して交流電源に接続される発光ダイオードモジュールであって、前記配線パターンは、発光ダイオードを消灯状態としたときに前記配線パターンによって生じる寄生容量を介して前記発光ダイオードに流れる微弱電流が、外部から視認される微弱発光を前記発光ダイオードに生じさせる微弱発光限界電流より小さくなる面積に設定してあることを特徴とする。
【0031】
この構成により、配線パターンによる寄生容量を抑制し、微弱電流を低減できるので、発光ダイオードを消灯状態としたときに、発光ダイオードに流れる微弱電流による微弱発光を生じない信頼性、機能性、および視認性の高い発光ダイオードモジュールとすることが可能となる。
【0032】
本発明に係る発光ダイオードモジュールでは、前記プリント基板は、前記配線パターンに隣接し、前記配線パターンから絶縁された放熱パターンを備えることを特徴とする。
【0033】
この構成により、プリント基板の放熱性を向上させ、信頼性の高い照明装置を提供することが可能な発光ダイオードモジュールとすることができる。
【0034】
また、本発明に係る照明装置は、金属製の照明器具本体と、直列に接続された複数の発光ダイオードを有し前記照明器具本体に取り付けられた発光ダイオードモジュールと、交流電源から供給された交流電力を直流電力に変換して前記発光ダイオードモジュールを点灯する点灯回路とを備える照明装置であって、前記発光ダイオードモジュールは、本発明に係る発光ダイオードモジュールであることを特徴とする。
【0035】
この構成により、発光ダイオードを消灯状態としたときに発光ダイオードに流れる微弱電流を生じる寄生容量を抑制し、微弱電流が微弱発光限界電流より小さくなるようにして、微弱点灯を生じない信頼性、機能性、および視認性の高い照明装置とすることができる。
【0036】
また、本発明に係る照明装置では、前記照明器具本体に、絶縁性伝熱シートを介して前記発光ダイオードモジュールを装着してあることを特徴とする。
【0037】
この構成により、プリント基板が絶縁性基材の裏面(配線パターンが形成された表面の反対側)に裏面パターンを有する場合でも、優れた絶縁性、放熱性を確保して信頼性を向上させた照明装置とすることができる。
【0038】
また、本発明に係る発光ダイオードモジュールの配線パターン設定方法は、配線パターンを有するプリント基板と、前記配線パターンによって直列に接続された複数の発光ダイオードとを備え、点灯回路を介して交流電源に接続され金属製の照明器具本体に取り付けられる発光ダイオードモジュールの配線パターン設定方法であって、外部から視認される微弱発光を前記発光ダイオードに生じさせる微弱発光限界電流を検出する微弱発光限界電流検出過程と、前記発光ダイオードを消灯状態としたときに前記配線パターンによって生じる寄生容量を介して前記発光ダイオードに流れる微弱電流が前記微弱発光限界電流より小さくなる前記配線パターンの面積を算出するパターン面積算出過程と、算出した前記配線パターンの面積および前記プリント基板上に配置する発光ダイオード相互の間隔に基づいて前記配線パターンの形状を設定するパターン形状設定過程とを備えることを特徴とする。
【0039】
この構成により、配線パターンによる寄生容量を抑制して微弱電流を低減できる発光ダイオードモジュールを形成することができるので、発光ダイオードを消灯状態としたときに微弱電流によって微弱発光を生じない信頼性、機能性、および視認性の高い発光ダイオードモジュールの配線パターンの形状を容易かつ高精度に設定することが可能となる。
【発明の効果】
【0040】
本発明に係る発光ダイオードモジュールによれば、絶縁性基材上に形成された配線パターンを有するプリント基板と、配線パターンによって直列に接続された複数の発光ダイオードとを備え、点灯回路を介して交流電源に接続される発光ダイオードモジュールであって、配線パターンは、発光ダイオードを消灯状態としたときに配線パターンによって生じる寄生容量を介して発光ダイオードに流れる微弱電流が、外部から視認される微弱発光を発光ダイオードに生じさせる微弱発光限界電流より小さくなる面積に設定してあることから、配線パターンによる寄生容量を抑制して微弱電流を低減できるので、発光ダイオードを消灯状態としたときに、微弱電流によって微弱発光を生じない信頼性、機能性、および視認性の高い発光ダイオードモジュールとすることが可能となるという効果を奏する。
【0041】
また、本発明に係る照明装置によれば、金属製の照明器具本体と、直列に接続された複数の発光ダイオードを有し照明器具本体に取り付けられた発光ダイオードモジュールと、交流電源から供給された交流電力を直流電力に変換して発光ダイオードモジュールを点灯する点灯回路とを備える照明装置であって、発光ダイオードモジュールは、本発明に係る発光ダイオードモジュールとすることから、発光ダイオードを消灯状態としたときに発光ダイオードモジュールに微弱電流を生じる寄生容量を抑制することが可能となり、発光ダイオードを消灯状態としたときに微弱電流が微弱発光限界電流より小さくなるようにして、微弱発光を生じない信頼性、機能性、および視認性の高い照明装置とすることができるという効果を奏する。
【0042】
また、本発明に係る発光ダイオードモジュールの配線パターン設定方法によれば、配線パターンを有するプリント基板と、配線パターンによって直列に接続された複数の発光ダイオードとを備え、点灯回路を介して交流電源に接続され金属製の照明器具本体に取り付けられる発光ダイオードモジュールの配線パターン設定方法であって、外部から視認される微弱発光を前記発光ダイオードに生じさせる微弱発光限界電流を検出する微弱発光限界電流検出過程と、発光ダイオードを消灯状態としたときに配線パターンによって生じる寄生容量を介して発光ダイオードに流れる微弱電流が微弱発光限界電流より小さくなる配線パターンの面積を算出するパターン面積算出過程と、算出した前記配線パターンの面積およびプリント基板上に配置する発光ダイオード相互の間隔に基づいて配線パターンの形状を設定するパターン形状設定過程とを備えることから、配線パターンによる寄生容量を抑制して微弱電流を低減できる発光ダイオードモジュールを形成することができるので、発光ダイオードを消灯状態としたときに微弱電流によって微弱発光を生じない信頼性、機能性、および視認性の高い発光ダイオードモジュールの配線パターンの形状を容易かつ高精度に設定することが可能となるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0043】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0044】
<実施の形態1>
図1に基づいて、本実施の形態に係る発光ダイオードモジュールおよび照明装置について説明する。
【0045】
図1は、本発明の実施の形態1に係る発光ダイオードモジュールおよび照明装置の概略構造を説明する説明図であり、(A)は平面状態を示す平面図、(B)は(A)の矢符B−Bでの端面図である。なお、端面図でのハッチングは図の見易さを考慮して省略してある。以下の図においても同様とする。
【0046】
本実施の形態に係る発光ダイオードモジュール10は、絶縁性基材12に重ねて形成された配線パターン13を有するプリント基板14と、配線パターン13によって直列に接続された複数(例えば5個)の発光ダイオード15とを備え、点灯回路20(図4参照)を介して交流電源ACS(図4参照)に接続される。
【0047】
また、本実施の形態に係る照明装置30は、金属製の照明器具本体30bと、照明器具本体30bに取り付けられた発光ダイオードモジュール10と、本実施の形態では図示しない点灯回路20とを備える。
【0048】
プリント基板14は、絶縁性基材12として紙フェノール、ガラスエポキシ、コンポジットなどの絶縁物を例えば0.5mm程度として適用し、配線パターン13として銅箔を例えば35あるいは70μmとして適用することによって形成することが可能である。また、照明器具本体30bとしては、例えばアルミニウムが採用されている。
【0049】
照明器具本体30bの平面的な大きさは必要とされる発光面積によって規定され、発光ダイオード15の個数は必要とされる光量によって規定される。発光ダイオード15は、発光の均一性、発光ダイオード15の有効利用などを考慮してプリント基板14の外周に沿って等間隔で配置してある。したがって、配線パターン13の長さ(隣接する発光ダイオード15相互間の間隔)は、発光ダイオード15(封止部15p)に比較して長くなることがある。
【0050】
本実施の形態での配線パターン13は、照明器具本体30b(プリント基板14)の外周部に沿って均等に配置された5個の発光ダイオード15を直列接続するように4個の均等のパターンとして配置してある。なお、5個の発光ダイオード15のうち、両端に位置する発光ダイオード15に対しては、一方に配線パターン13p、他方に配線パターン13mが配置され、点灯回路20に接続できるように構成してある。
【0051】
発光ダイオード15は、配線パターン13に接続された端子電極15tと、端子電極15tを固定すると共に内蔵する発光ダイオード素子部(不図示)を封止する封止部15pとを有する。端子電極15tは配線パターン13に対して容易に半田付けすることが可能であり、交換も容易に実施することが可能である。したがって、発光ダイオードモジュール10は、高い信頼性を有することが可能となる。
【0052】
発光ダイオード15は、外周が円形に形成されたプリント基板14の外周に沿って環状に配置された配線パターン13によって相互に直列接続してある。配線パターン13pは、例えばプラス側とされ点灯回路20の出力プラス端子22p(図4参照)に接続され、配線パターン13mは、例えばマイナス側とされ点灯回路20の出力マイナス端子22m(図4参照)に接続され、点灯回路20から電力が供給される。
【0053】
また、発光ダイオード15が内蔵する発光ダイオード素子部は、例えば蛍光体を適用して白色発光できるように構成してある。なお、発光色は適宜調整することが可能である。
【0054】
配線パターン13は、交流電源ACSの接地側端子tn(図4参照)と点灯回路20の接続をスイッチ25(図4参照)で切断して発光ダイオード15を消灯した状態(消灯状態)のときに、配線パターン13によって生じる寄生容量C(図4参照)を介して発光ダイオード15に流れる微弱電流Is(図4参照)が、外部から視認される微弱な発光としての微弱発光を発光ダイオード15に生じさせる限界値としての微弱発光限界電流Iw(詳細は実施の形態4で説明する。)より小さくなる面積Sに設定してある(面積Sの設定についての詳細は実施の形態2、実施の形態5で説明する。)。
【0055】
つまり、本実施の形態に係る発光ダイオードモジュール10では、配線パターン13の面積Sを抑制することによって、配線パターン13と照明器具本体30bとの間の絶縁性基材12による寄生容量Cを抑制し、微弱電流Isを低減できるので、交流電源ACSを切断して発光ダイオード15を消灯状態としたときに、微弱電流Isによって微弱発光を生じない信頼性、機能性、および視認性の高い発光ダイオードモジュール10とすることが可能となる。
【0056】
なお、発光ダイオード15を消灯した状態(消灯状態)とは、例えばスイッチ25によって交流電源ACSを切断するなどして点灯回路20から発光ダイオード15への直流電流(直流電力)の供給を停止した状態をいう(実施の形態4参照)。
【0057】
本実施の形態では、寄生容量Cは、配線パターン13と照明器具本体30bとの間に配置された絶縁性基材12によって生じるが、配線パターン13に起因する寄生容量Cであれば該当し、これに限るものではない。
【0058】
なお、面積Sと寄生容量Cとの関係については、実施の形態2で説明する。
【0059】
また、照明器具本体30bに重ねて形成したプリント基板14の配線パターン13に対して発光ダイオード15を実装することから、発光ダイオード15の実装工程を簡略化することが可能となり、生産性良く発光ダイオードモジュール10を形成することが可能となる。
【0060】
プリント基板14は、絶縁性基材12に配線パターン13を形成してある。したがって、絶縁性基材12は、相当の厚さを持つことから照明器具本体30bを介しての放熱性が問題となる場合がある。本実施の形態では、プリント基板14は、配線パターン13に隣接し、配線パターン13から絶縁された放熱パターン16を備える。したがって、照明器具本体30bに限らず放熱パターン16を介して空間へ放熱することも可能であり、プリント基板14の放熱性を向上させ、信頼性の高い照明装置30を製造することが可能な発光ダイオードモジュール10とすることができる。
【0061】
<実施の形態2>
図2に基づいて、本実施の形態に係る発光ダイオードモジュールおよび照明装置について説明する。
【0062】
図2は、本発明の実施の形態2に係る発光ダイオードモジュールおよび照明装置の概略構造を説明する説明図であり、(A)は平面状態を示す平面図、(B)は(A)の矢符B−Bでの端面を示す端面図である。
【0063】
実施の形態1では、発光ダイオード15は環状に配置されたが、本実施の形態に係る発光ダイオードモジュール10では、発光ダイオード15を直線状に例えば2個配置してある。
【0064】
発光ダイオードモジュール10は、絶縁性基材12に形成された配線パターン13を有するプリント基板14と、配線パターン13によって直列に接続された複数の発光ダイオード15を備える。また、発光ダイオード15は、端子電極15t、封止部15pを有するなど、発光ダイオードモジュール10の基本的な構成は実施の形態1と同様であるので詳細な説明は省略する。
【0065】
また、本実施の形態に係る照明装置30では、発光ダイオードモジュール10は、照明装置30の筐体を構成する金属製の照明器具本体30bに取り付けられ、本実施の形態では図示しない点灯回路20に接続される。
【0066】
上述したとおり、本実施の形態に係る発光ダイオードモジュール10は、実施の形態1の場合と比較して平面図での配置状態が異なるだけで、基本的な構成は実施の形態1と同様であるので、主に異なる事項について説明する。
【0067】
プリント基板14は、実施の形態1と同様に、絶縁性基材12として紙フェノール、ガラスエポキシ、コンポジットなどの絶縁物を例えば0.5mm程度として適用し、配線パターン13として銅箔を例えば35あるいは70μmとして絶縁性基材12に積層して形成することが可能である。
【0068】
照明器具本体30bの平面的な大きさは必要とされる発光面積によって規定され、発光ダイオード15の個数は必要とされる光量によって規定される。発光ダイオード15は、発光の均一性、発光ダイオード15の有効利用などを考慮して照明器具本体30bの平面外周に沿って配置してある。したがって、配線パターン13の長さ(隣接する発光ダイオード15相互間の間隔)は、発光ダイオード15(封止部15p)に比較して長くなることがある。
【0069】
なお、配線パターン13による寄生容量Cは、次のようにして算出することが可能である。
【0070】
配線パターン13の面積をS、絶縁性基材12の厚さをd、真空の誘電率をε(0)、比誘電率をε(r)としたときに、寄生容量C=ε(0)・ε(r)・S/dとして算出することができる。したがって、配線パターン13の寄生容量Cを高精度に算出することが可能となり、微弱点灯の生じない発光ダイオードモジュール10を容易に構成することができる。なお、単位は例えば面積S(mm2)、厚さd(m)、真空の誘電率ε(0)=8.854×101-12(F/m)とすることができる。また、紙フェノール、ガラスエポキシ、コンポジットなどの絶縁物では、比誘電率ε(r)は例えば5とすることが可能である。
【0071】
したがって、面積S=50(mm2)、厚さd=0.5(mm)、比誘電率ε(r)=5とした場合、寄生容量C=4.4(pF)として算出できる。また、他の条件を同一として面積S=30(mm2)とした場合は、寄生容量C=2.64(pF)として算出できる。面積Sは、矩形状とした場合は、隣接する2辺の長さを用いて単純に算出すれば良く、実施の形態1のように曲線で構成した場合は、適宜の方程式を適用して算出すれば良い。
【0072】
<実施の形態3>
図3に基づいて、本実施の形態に係る発光ダイオードモジュールおよび照明装置について説明する。本実施の形態に係る発光ダイオードモジュールは、実施の形態1、実施の形態2に係る発光ダイオードモジュール10と同様であるので、主に異なる事項について説明する。
【0073】
図3は、本発明の実施の形態3に係る発光ダイオードモジュールおよび照明装置での部材の配置状態を示す透視側面図である。
【0074】
本実施の形態に係る照明装置30では、実施の形態1、実施の形態2に係る発光ダイオードモジュール10を照明装置30の筐体としての金属製の照明器具本体30bに絶縁性伝熱シート18を介して取り付けてある。つまり、発光ダイオードモジュール10は、照明装置30の筐体(照明器具本体30b)に取り付けられる構成としてあり、配線パターン13、絶縁性基材12、裏面パターン11、絶縁性伝熱シート18、照明器具本体30bの順に配置してある。
【0075】
裏面パターン11と照明器具本体30bとの間に絶縁性伝熱シート18を設けてあることから、配線パターン13と照明器具本体30bとの間の絶縁性の信頼性を向上させ、優れた実装性を有し、絶縁性、放熱性の良い照明装置30を製造することが可能な発光ダイオードモジュール10とすることができる。
【0076】
なお、裏面パターン11は、絶縁性基材12の裏面(配線パターン13が形成された表面の反対側)の例えば全面に配線パターン13と同様に形成された全面パターンである。裏面パターン11により、発光ダイオード15の放熱性を向上させることが可能となる。
【0077】
なお、発光ダイオードモジュール10(プリント基板14)は、例えば、ネジ締め、接着などによって金属製の照明器具本体30bに取り付けてある。また、絶縁性伝熱シート18としては、シリコーンゴムシート、シリコーンゲルシートなどを適用することが可能である。
【0078】
本実施の形態に係る照明装置30は、直列に接続された複数の発光ダイオードLEDを有する発光ダイオードモジュール10と、交流電源ACSから供給された交流電力を直流電力に変換して発光ダイオードモジュール10を点灯する点灯回路20(図4参照)とを備える。
【0079】
また、配線パターン13の面積Sでの絶縁性基材12(厚さd1)による寄生容量Cに対して、裏面パターン11と照明器具本体30bとの間での絶縁性伝熱シート18(厚さd2)による寄生容量Cが直列に寄与することから、合計としての寄生容量Cを抑制することが可能となる。
【0080】
なお、絶縁性基材12(厚さd1)と絶縁性伝熱シート18(厚さd2)とを適用した場合の寄生容量Cの算出は、電気理論に従って適宜算出すれば良いので説明は省略する。いずれが支配的になるかは実際に使用する部材の種類、厚さなどによって決定される。しかし、いずれの場合であっても、配線パターン13に起因する寄生容量Cとして把握することが可能である。
【0081】
また、絶縁性伝熱シート18を用いずに裏面パターン11と照明器具本体30bとを一体化することも可能である。この場合は、照明器具本体30bを裏面パターン11として扱うことが可能であり、寄生容量Cは、厚さd1によって規定される。
【0082】
また、照明器具本体30bとしては、例えば厚さ1ないし2mm程度のアルミニウムを採用することにより、軽量化を図り放熱性を確保して信頼性の高い発光ダイオードモジュール10とすることができる。
【0083】
<実施の形態4>
図4に基づいて、本実施の形態に係る発光ダイオードモジュールおよび照明装置について説明する。本実施の形態に係る発光ダイオードモジュールは、実施の形態1ないし実施の形態3に係る発光ダイオードモジュール10と同様であるので、主に異なる事項について説明する。
【0084】
図4は、本発明の実施の形態4に係る発光ダイオードモジュールおよび照明装置の概略構成を示すブロック図である。
【0085】
本実施の形態に係る照明装置30は、直列に接続された複数の発光ダイオード15(同図では、発光ダイオードLED1、発光ダイオードLED2として示す。)を有する発光ダイオードモジュール10と、交流電源ACSに接続され交流電源ACSから供給された交流電力を直流電力に変換して発光ダイオードモジュール10に供給し、発光ダイオードモジュール10を点灯する点灯回路20とを備える。なお、発光ダイオードモジュール10は、照明器具本体30bに取り付けてある。
【0086】
点灯回路20は、例えば、交流を整流して直流とする整流回路と、整流回路で得られた直流を降圧するチョッパ回路(直流/直流変換回路)とで構成される。適宜の回路を適用することが可能であるので、説明は省略する。
【0087】
点灯回路20は、上述したとおり、交流電力を直流電力に変換し、発光ダイオードモジュール10に直流電力を供給する。つまり、点灯回路20の出力側に配置された出力プラス端子22pを発光ダイオードLED1のプラス端子に接続し、点灯回路20の出力側に配置された出力マイナス端子22mを発光ダイオードLED2のマイナス端子に接続してある。また、発光ダイオードLED1と発光ダイオードLED2とは直列接続してある。
【0088】
発光ダイオードモジュール10は、実施の形態1ないし実施の形態3で説明した発光ダイオードモジュール10をそのまま適用してある。なお、理解を容易にするために、発光ダイオードモジュール10を構成する発光ダイオード15は、発光ダイオードLED1、発光ダイオードLED2の2個の場合として説明する。
【0089】
また、本実施の形態に係る照明装置30は、発光ダイオードモジュール10を装着する金属製の照明器具本体30bと、照明器具本体30bと発光ダイオードモジュール10との間に配置された絶縁性伝熱シート18とを備える(図3参照)。
【0090】
発光ダイオードLED1のプラス端子には、配線パターン13p(実施の形態1参照)が形成してあり、寄生容量C(寄生容量Ca)が存在する。発光ダイオードLED1と発光ダイオードLED2とは配線パターン13(面積S)を介して接続されていることから、寄生容量C(寄生容量Cb)が存在する。また、発光ダイオードLED2のマイナス端子には、配線パターン13mが形成してあり、寄生容量C(寄生容量Cc)が存在する。
【0091】
交流電源ACSは、例えば商用の交流電源であり、需要者の安全性を考慮して一方の端子を接地(中性点接地)して接地側端子tnとし、他方の端子は、非接地側端子taとしてある。点灯回路20の入力側の電源接続端子21には、非接地側端子taが接続され、電源接続端子21gには、接地側端子tnがスイッチ25を介して接続してあり、交流電源ACSから交流電力の供給を受けることが可能となっている。
【0092】
スイッチ25は、交流電源ACSの接地側端子tnと電源接続端子21gとの間の配線に設けられ、いわゆる片切りスイッチとして構成してある。従来例で説明したとおり、この形態のスイッチでは、スイッチ25を切断して発光ダイオード15を消灯状態としたときでも、アース電位GND(実施の形態1ないし実施の形態3での照明器具本体30b)と非接地側端子taに接続された配線、点灯回路20、および寄生容量C(寄生容量Cb)を介して電流経路を生じ、微弱電流Is(微弱電流Isp、微弱電流Ism)が流れる。
【0093】
なお、スイッチ25を切断せず、リモートコントローラで点灯回路20の動作を停止させることによって消灯する場合などについても同様に適用することが可能である。
【0094】
次に、本実施の形態での寄生容量C(寄生容量Cb。例えば、図1、図2で示した配線パターン13に対応する。)による微弱電流Isについて説明する。
【0095】
従来例で説明したとおり、交流電源ACSが正の半波波形(正の半波電圧)のとき、交流電源ACSの非接地側端子ta→電源接続端子21→出力プラス端子22p→発光ダイオードLED1→寄生容量Cb→アース電位GND→交流電源ACSの接地側端子tnの経路で微弱電流Ispが流れる。
【0096】
また、交流電源ACSが負の半波波形(負の半波電圧)のとき、交流電源ACSの接地側端子tn→アース電位GND→寄生容量Cb→発光ダイオードLED2→出力マイナス端子22m→電源接続端子21→交流電源ACSの非接地側端子taの経路で微弱電流Ismが流れる。
【0097】
なお、微弱電流Ispおよび微弱電流Ismを区別する必要が無い場合には単に微弱電流Isとすることがある。
【0098】
寄生容量C(ここでは、寄生容量Cb)をC(F)、交流電源ACSの電圧の実効値をE(V)、交流電源ACSの周波数をf(Hz)としたときに、寄生容量CによるインピーダンスZcはZc=1/(ωC)=1/(2πfC)で表され、微弱電流Is(A)が流れる経路でのインピーダンスによる電圧降下を無視すると、寄生容量C(インピーダンスZc)の両端に交流電源ACSの電圧の実効値E(V)が印加された状態となる。
【0099】
したがって、微弱電流Is=E/Zc=2πfCE(A)として算出することができる。つまり、簡単な式を適用することが可能であることから、高精度に微弱電流Isを算出することが可能となるので、寄生容量Cを抑制して微弱電流Isを抑制することによって微弱発光を確実に回避することができる。
【0100】
また、発光ダイオードモジュール10の外部からわずかに視認される微弱な発光としての微弱発光を発光ダイオード15に生じさせる限界値としての微弱発光限界電流Iwは、次のようにして検出した(微弱発光限界電流検出過程)。
【0101】
被験者を5人準備し、真っ暗な部屋で、発光ダイオード15に電流を流して発光させ、その電流を1μAから徐々に低減して観測させ、完全消灯と認識したときの電流値を調べた。その結果、0.2μAでは全員が微弱点灯を認識し、0.17μAでは2名が完全消灯と認識し、0.15μAでさらに2名が完全消灯と認識し、0.1μAで最後の1名が完全消灯と認識した。
【0102】
したがって、本実施の形態では、発光ダイオード15に微弱発光を生じさせる限界値としての微弱発光限界電流Iwは0.1(μA)とした。つまり、微弱発光を生じる微弱発光限界電流Iwを特定することによって微弱電流Isの許容値(微弱発光限界電流Iwより小さい値)を把握でき、許容できる配線パターン13の面積Sを求めることが可能となることから、配線パターン13の面積Sを抑制して微弱点灯を確実に回避することができる。
【0103】
なお、微弱発光限界電流Iwは、発光ダイオード15に内蔵された半導体素子部(発光ダイオードLED1、発光ダイオードLED2)の特性によって定まるものであり、例えば、pn接合を構成する化合物半導体材料、pn接合の形状などの素子形状(素子特性)によって定まるものである。したがって、微弱発光限界電流は、採用する半導体素子部の特性に対応させて適宜実験的に求めることが必要である。
【0104】
<実施の形態5>
本実施の形態では、実施の形態1ないし実施の形態4で説明した発光ダイオードモジュールの配線パターン設定方法について説明する。つまり、本実施の形態に係る配線パターン設定方法は、上述した微弱発光限界電流検出過程と、微弱発光限界電流検出過程での検出結果に基づいて実行されるパターン面積算出過程およびパターン形状設定過程とを備える。
【0105】
先ず、微弱電流Isを微弱発光限界電流Iwより小さくできる配線パターン13の面積Sの算出方法(パターン面積算出過程)について説明する。なお、簡単のため実施の形態2で説明した寄生容量Cの算出式、および実施の形態4で説明した微弱電流Isの算出式を適宜用いて説明する。また、発光ダイオードモジュール10、照明装置30、照明器具本体30bの基本的な構成は、実施の形態1ないし実施の形態4と同様であるので適宜援用して説明する。
【0106】
実施の形態1で説明した寄生容量Cの算出式、つまり寄生容量C=ε(0)・ε(r)・S/d、実施の形態4で説明した微弱電流Isの算出式、つまり微弱電流Is=2πfCEの2つの算出式から、微弱電流Is=2πf・ε(0)・ε(r)・S・E/dが求まる。この微弱電流Isの式を面積Sの算出式に書き直すと、面積S=d・Is/(2πf・ε(0)・ε(r)・E)となる。
【0107】
例えば、微弱発光限界電流Iwに対応させた微弱電流Is=0.1(μA)、周波数f=50Hz、真空の誘電率ε(0)=8.854×10-12F/mを面積S=d・Is/(2πf・ε(0)・ε(r)・E)に代入すると、面積S=36×d/(ε(r)×E)(mm2)となる。つまり、配線パターン13の面積Sは、36×d/(ε(r)×E)(mm2)より小さくする必要がある。
【0108】
さらに、面積S=36×d/(ε(r)×E)(mm2)に対して、例えば、厚さd=0.5(mm)、比誘電率ε(r)=5、実効値E=100Vを代入すると、面積S=36(mm2)となる。
【0109】
つまり、交流電源ACSの周波数f=50Hz、実効値E=100Vの場合に、厚さd=0.5(mm)、比誘電率ε(r)=5の絶縁性基材12を適用した配線部材14を適用するとき、微弱電流Isを微弱発光限界電流Iwより小さくするための配線パターン13の面積Sは、36(mm2)より小さくすることが必要である。
【0110】
したがって、算出した配線パターン13の面積Sおよび配線部材14上に配置する発光ダイオード15相互の間隔(長さ)に基づいて配線パターン13の形状を設定する(パターン形状設定過程)ことが可能となる。
【0111】
例えば、配線パターン13の面積S=36(mm2)に対して配線パターン13の長さL=20mmとすれば、配線パターン13の幅Wは1.8mmより小さくする必要がある。
【0112】
なお、配線パターン13の幅Wを小さくした場合に、導体抵抗の増大が問題になることが考えられる。その場合には、配線パターン13の膜厚を大きくすることで解決することが可能である。
【0113】
上述したとおり、照明装置30(発光ダイオードモジュール10)では、配線パターン13の面積Sを所定の算出値より小さく設定することから、交流電源ACSの接地側端子tnに接続されたスイッチ25によって点灯回路20を交流電源ACSから切断して発光ダイオード15を消灯した状態で、発光ダイオードモジュール10(発光ダイオードLED1、発光ダイオードLED2)に微弱電流Isを生じる寄生容量C(寄生容量Cb)を抑制することが可能となり、交流電源ACSを切断して消灯状態とした場合に微弱電流Isを微弱発光限界電流Iwより小さくなるように抑制して、微弱点灯を生じない信頼性、機能性、および視認性の高い照明装置30とすることができる。
【0114】
上述したとおり、本実施の形態に係る配線パターン設定方法は、配線パターン13を有するプリント基板14と、配線パターン13によって直列に接続された複数の発光ダイオード15とを備え、点灯回路20を介して交流電源ACSに接続され金属製の照明器具本体30bに取り付けられる発光ダイオードモジュール10の配線パターン設定方法であって、外部から視認される微弱発光を発光ダイオード15に生じさせる微弱発光限界電流Iwを検出する微弱発光限界電流検出過程と、発光ダイオード15を消灯状態としたときに配線パターン13によって生じる寄生容量Cを介して発光ダイオード15に流れる微弱電流Isが微弱発光限界電流Iwより小さくなる配線パターン13の面積Sを算出するパターン面積算出過程と、算出した配線パターン13の面積Sおよびプリント基板14上に配置する発光ダイオード15相互の間隔に基づいて配線パターン13の形状を設定するパターン形状設定過程とを備える。
【0115】
したがって、発光ダイオード15を消灯状態としたときに、微弱電流Isによって微弱発光を生じない信頼性、機能性、および視認性の高い発光ダイオードモジュール10の配線パターン13の形状を容易かつ高精度に設定することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0116】
【図1】本発明の実施の形態1に係る発光ダイオードモジュールおよび照明装置の概略構造を説明する説明図であり、(A)は平面状態を示す平面図、(B)は(A)の矢符B−Bでの端面図である。
【図2】本発明の実施の形態2に係る発光ダイオードモジュールおよび照明装置の概略構造を説明する説明図であり、(A)は平面状態を示す平面図、(B)は(A)の矢符B−Bでの端面を示す端面図である。
【図3】本発明の実施の形態3に係る発光ダイオードモジュールおよび照明装置での部材の配置状態を示す透視側面図である。
【図4】本発明の実施の形態4に係る発光ダイオードモジュールおよび照明装置の概略構成を示すブロック図である。
【図5】従来例に係る発光ダイオードモジュールの平面状態を示す平面図である。
【図6】図5に示した従来例に係る発光ダイオードモジュールを備えた照明装置の概略構成を説明するブロック図である。
【符号の説明】
【0117】
10 発光ダイオードモジュール
10b 照明器具本体
11 裏面パターン
12 絶縁性基材
13、13p、13m 配線パターン
14 プリント基板
15 発光ダイオード
15p 封止部
15t 端子電極
16 放熱パターン
18 絶縁性伝熱シート
20 点灯回路
21 電源接続端子
21g 電源接続端子
22m 出力マイナス端子
22p 出力プラス端子
25 スイッチ
30 照明装置
30b 照明器具本体
ACS 交流電源
C、Ca、Cb、Cc 寄生容量
d、d1、d2 厚さ
GND アース電位
Is、Ism、Isp 微弱電流
LED1、LED2 発光ダイオード
S 面積
ta 非接地側端子
tn 接地側端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁性基材上に形成された配線パターンを有するプリント基板と、前記配線パターンによって直列に接続された複数の発光ダイオードとを備え、点灯回路を介して交流電源に接続される発光ダイオードモジュールであって、
前記配線パターンは、前記発光ダイオードを消灯状態としたときに前記配線パターンによって生じる寄生容量を介して前記発光ダイオードに流れる微弱電流が、外部から視認される微弱発光を前記発光ダイオードに生じさせる微弱発光限界電流より小さくなる面積に設定してあること
を特徴とする発光ダイオードモジュール。
【請求項2】
請求項1に記載の発光ダイオードモジュールであって、
前記プリント基板は、前記配線パターンに隣接し、前記配線パターンから絶縁された放熱パターンを備えること
を特徴とする発光ダイオードモジュール。
【請求項3】
金属製の照明器具本体と、直列に接続された複数の発光ダイオードを有し前記照明器具本体に取り付けられた発光ダイオードモジュールと、交流電源から供給された交流電力を直流電力に変換して前記発光ダイオードモジュールを点灯する点灯回路とを備える照明装置であって、
前記発光ダイオードモジュールは、請求項1または請求項2に記載の発光ダイオードモジュールであること
を特徴とする照明装置。
【請求項4】
請求項3に記載の照明装置であって、
前記照明器具本体に、絶縁性伝熱シートを介して前記発光ダイオードモジュールを装着してあること
を特徴とする照明装置。
【請求項5】
配線パターンを有するプリント基板と、前記配線パターンによって直列に接続された複数の発光ダイオードとを備え、点灯回路を介して交流電源に接続され金属製の照明器具本体に取り付けられる発光ダイオードモジュールの配線パターン設定方法であって、
外部から視認される微弱発光を前記発光ダイオードに生じさせる微弱発光限界電流を検出する微弱発光限界電流検出過程と、
前記発光ダイオードを消灯状態としたときに前記配線パターンによって生じる寄生容量を介して前記発光ダイオードに流れる微弱電流が前記微弱発光限界電流より小さくなる前記配線パターンの面積を算出するパターン面積算出過程と、
算出した前記配線パターンの面積および前記プリント基板上に配置する発光ダイオード相互の間隔に基づいて前記配線パターンの形状を設定するパターン形状設定過程とを備えること
を特徴とする発光ダイオードモジュールの配線パターン設定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−194008(P2009−194008A)
【公開日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−30303(P2008−30303)
【出願日】平成20年2月12日(2008.2.12)
【出願人】(505455945)コイズミ照明株式会社 (65)
【Fターム(参考)】