説明

発光デバイスおよびその用途

【課題】
パーティクル汚染が少なく、しかも有機EL層が簡易に形成され、大型パネル等としての使用にも適した発光装置を提供すること。
【解決手段】
外気を遮断する容器と、該容器内に設けられた有機EL素子とを有する発光装置であって、
該有機EL素子はその有機EL化合物層に発光性高分子化合物を含有し、
該容器内に、さらに、水分を化学吸着しかつ水分を吸着後も固相を維持できる化合物からなる乾燥剤が設けられ、
該乾燥剤が、多孔度が20%以上の多孔体である
ことを特徴とする発光装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、陽極、陰極およびEL(Electro Luminescence;電場を加えることで発生するルミネッセンス)が得られる有機化合物を含む膜(以下「有機EL化合物層」ともいう。)とを有する素子(以下、「有機EL素子」ともいう。)を用いた発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
互いに対向する一対の電極間に有機EL化合物層が挟持され、この有機EL化合物層に一方の電極から電子が注入されるとともに他方の電極から正孔が注入されることにより有機EL化合物層内で電子と正孔とが結合して発光する有機EL(エレクトロルミネッセンス)素子は、視認性および耐衝撃性に優れるととともに、有機EL化合物層を形成する有機物の発光色が多様である等の利点を有することから、例えば各種情報産業機器用の各種ディスプレーや発光素子等に好適に用いられる。
【0003】
有機EL素子を製造する際には、有機EL素子を気密性の環境内に保持するために、通常は有機EL素子に対向基板を張り合わせて封止するという作業、すなわち、外気を遮断する容器内に有機EL素子を設ける作業が行われる。有機EL素子を用いた発光装置に関しても、同様に封止が行われている。
【0004】
封止の目的の一つは、機械的要因(圧力や衝撃)からの有機EL素子の保護であり、さらに原理的かつ重要なもう一つの目的は、化学的要因(水分や酸素)からの有機EL素子の保護である。有機EL化合物層に用いられる材料、および主に仕事関数の小さい(すなわち活性な)金属を用いる陰極材料は、水分や酸素と反応し易いため、容易に素子の劣化がもたらされる。
【0005】
封止の際に、基板と対向基板とを張り合わせるために用いる接着剤としては、一般に光硬化性樹脂が用いられる。しかし、光硬化性樹脂を用いて外気を遮断するように封止したとしても、完全に水分や酸素を遮断することは困難である。例えば、UV硬化樹脂を接着剤として封止した有機EL素子であっても、高温高湿下で保持した場合にはダークスポットが多数発生し、素子の劣化が促進されてしまう。
【0006】
そこで近年は、一般的には、有機EL素子を、水分の吸着(以下「吸湿」ともいう。)が可能である乾燥剤と共に封止している。この乾燥剤は、酸素に対する効果はないと思われるが、少なくとも外気を遮断する容器内に侵入してきた水分を吸着できるため、水分による素子の劣化はある程度抑えられる。
【0007】
例えば、特開平6−176867号公報には、有機EL素子の周囲に保護ケースを設け、その
保護ケース内に微粉末固体脱水剤を充填するという素子が開示され、この微粉末固体脱水剤としては、ゼオライト、活性アルミナ、シリカゲル、酸化カルシウムなどが挙げられている。
【0008】
しかしながら、ゼオライトやシリカゲルのように、水分を物理吸着する乾燥剤を用いた場合には、一度吸着した水分が有機EL素子を発光させる際に生じるジュール熱によって放出され、ダークスポットの成長を十分に抑制できない危険性がある。
【0009】
これに対し特開平9−148066号公報には、乾燥剤として、水分を化学吸着すると共に吸
湿しても固体状態を維持できる化合物を用いた有機EL素子が開示され、この乾燥剤としてはアルカリ金属酸化物、アルカリ土類金属酸化物、硫酸塩、金属ハロゲン化物、過塩素
酸塩、有機物などが挙げられている。このような乾燥剤を用いた場合、一度吸着した水分が熱により容易に放出されることもなく、また、吸湿により乾燥剤が液化して素子に悪影響が及ぼされることもない。
【0010】
上記乾燥剤は、微粉末形状で用いられることが多い。塊(以下「バルク」ともいう。)の形状の乾燥剤よりも、同体積で比較した場合の表面積が大きいため、少量でより大きな吸湿効果が現れるからである。
【0011】
有機EL素子の作製工程は、微細な配線等が施された基板を用いるため、通常の半導体製造工程で利用されるようなクリーンルーム内で行われる。有機EL化合物層に用いる材料自体の純度も素子特性に影響を及ぼすと考えられるため、クリーンルーム内での作業が必須である。
【0012】
しかしながら、乾燥剤として微粉末、特にアルカリ金属やアルカリ土類金属を含む材料の微粉末をクリーンルーム内に持ち込む場合は、クリーンルーム内の汚染に対して大きな影響を及ぼしかねない。
【0013】
一方、通常のバルクや膜の状態では、水分を含む空間に接触している表面積が極めて限られる(バルクや膜の表面のみとなってしまう)ため、吸湿能力としては十分な性能を示さないことが問題点となる。すなわち、単に乾燥剤を真空蒸着法、スパッタ法、スピンコート法などで成膜するだけでは、本来の目的である吸湿能力が十分に発揮できない恐れがある。そのため、実際のプロセスとしては、注意深く微粉末形状の乾燥剤を用いることが多かった。
【0014】
特開2002−216951号公報(特許文献1)には、水分を化学吸着できる化合物からなる乾燥剤を、バルク状多孔体としてまたは多孔質膜として形成し、外気を遮断する容器内に有機EL素子とともに設けた発光装置が開示されている。さらに、この乾燥剤が微粉末形状の乾燥剤と同様の吸湿能力を発揮でき、パーティクル汚染も少ないことがきさいされている。
【0015】
しかしながら、この発光装置における有機EL層はAlq3等の発光性低分子化合物で
あるため、その形成には蒸着装置等が必要であり、この発光装置を大型パネル等に使用することが困難であるという問題があった。
【特許文献1】特開2002−216951号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明は、このような従来技術に伴う問題点に鑑みてなされたものであり、パーティクル汚染が少なく、しかも有機EL層が簡易に形成され、大型パネル等としての使用にも適した発光装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究し、本発明を完成させた。本発明は以下の〔1〕〜〔16〕に関する。
【0018】
〔1〕
外気を遮断する容器と、該容器内に設けられた有機EL素子とを有する発光装置であって、
該有機EL素子はその有機EL化合物層に発光性高分子化合物を含有し、
該容器内に、さらに、水分を化学吸着しかつ水分を吸着後も固相を維持できる化合物か
らなる乾燥剤が設けられ、
該乾燥剤が、多孔度が20%以上の多孔体である
ことを特徴とする発光装置。
【0019】
〔2〕
外気を遮断する容器と、該容器内に設けられた有機EL素子とを有する発光装置であって、
該有機EL素子はその有機EL化合物層に発光性高分子化合物を含有し、
該容器内に、さらに、水分を化学吸着しかつ水分を吸着後も固相を維持できる化合物からなる乾燥剤が設けられ、
該乾燥剤が、多孔度が20%以上の多孔質膜である
ことを特徴とする発光装置。
【0020】
〔3〕
外気を遮断する容器と、該容器内に設けられた有機EL素子とを有する発光装置であって、
該有機EL素子はその有機EL化合物層に発光性高分子化合物を含有し、
該容器内に、さらに、アルカリ金属酸化物および/またはアルカリ土類金属酸化物からなる乾燥剤が設けられ、
該乾燥剤が、多孔度が20%以上の多孔質膜である
ことを特徴とする発光装置。
【0021】
〔4〕
前記多孔質膜がゾル−ゲル法により形成されることを特徴とする請求項3に記載の発光装置。
【0022】
〔5〕
前記容器が、前記有機EL素子から隔離して設けられた対向基板を含み、
前記乾燥剤が該対向基板に接している
ことを特徴とする上記〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の発光装置。
【0023】
〔6〕
前記容器の内壁が凹状の部位を有し、前記乾燥剤は該凹状の部位に形成されていることを特徴とする上記〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載の発光装置。
【0024】
〔7〕
前記発光性高分子化合物が燐光発光性高分子化合物であることを特徴とする上記〔1〕〜〔6〕のいずれかに記載の発光装置。
【0025】
〔8〕
前記発光性高分子化合物が発光性非共役高分子化合物であることを特徴とする上記〔1〕〜〔7〕のいずれかに記載の発光装置。
【0026】
〔9〕
前記発光性高分子化合物が燐光発光性非共役高分子化合物を含んでなることを特徴とする上記〔1〕〜〔8〕のいずれかに記載の発光装置。
【0027】
〔10〕
上記〔1〕〜〔9〕のいずれかに記載の発光装置を備えた電気器具。
【0028】
〔11〕
上記〔1〕〜〔9〕のいずれかに記載の発光装置を備えた面発光光源。
【0029】
〔12〕
上記〔1〕〜〔9〕のいずれかに記載の発光装置を備えた表示装置用バックライト。
【0030】
〔13〕
上記〔1〕〜〔9〕のいずれかに記載の発光装置を備えた表示装置。
【0031】
〔14〕
上記〔1〕〜〔9〕のいずれかに記載の発光装置を備えた照明装置。
【0032】
〔15〕
上記〔1〕〜〔9〕のいずれかに記載の発光装置を備えたインテリア。
【0033】
〔16〕
上記〔1〕〜〔9〕のいずれかに記載の発光装置を備えたエクステリア。
【発明の効果】
【0034】
本発明によれば、有機EL素子の長所(低消費電力、薄型軽量、高視野角など)を活かしつつ、寿命が長く、なおかつ製造工程においてクリーンルームを従来よりも清浄に保つことができる発光装置を提供できる。
【0035】
また、そのような発光装置を用いた電気器具を作製することにより、寿命が長く、なおかつ製造工程においてクリーンルームを従来よりも清浄に保つことができる電気器具を提供できる。
【0036】
さらに、塗布された有機EL化合物層に乾燥剤粉末が混入することが防止されるので、有機EL化合物の諸特性が損なわれない。
また、塗布法などによって有機EL化合物層が簡易に均一に形成されるため、本発明の発光装置は、大型パネル等に好適に用いることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
以下に、本発明の発光装置についてより詳細に説明する。
なお、本明細書において「発光装置」という用語は、発光素子として有機EL素子を用いた画像表示デバイスまたは発光デバイスを意味する。また、有機EL素子にTAB(Tape Automated Bonding)テープもしくはTCP(TapeCarrier Package)が取り付けられたモジ
ュール、TABテープやTCPの先にプリント配線板が設けられたモジュール、または有機EL素子にCOG(Chip On Glass)方式によりIC(集積回路)が直接実装されたモジュールも全て発光装置に含むものとする。
【0038】
本発明の発光装置は、外気を遮断する容器と、該容器内に設けられた有機EL素子とを有する発光装置であって、該有機EL素子はその有機EL化合物層に発光性高分子化合物を含有し、該容器内に、さらに、水分を化学吸着しかつ水分を吸着後も固相を維持できる化合物からなる乾燥剤が設けられ、該乾燥剤は、多孔度が20%以上の多孔体である。
【0039】
本発明の発光装置においては、乾燥剤をバルク形状とすることで微粉末によるパーティクル汚染および微粉末から派生する化学汚染を防ぎ、その上乾燥剤を多孔体とすることで微粉末と同様の大きな表面積が達成される。バルク状多孔体は、形成した後に前記容器内に封入してもよいし、あらかじめ前記容器上に形成しておいてもよい。
【0040】
また、前記乾燥剤は多孔度が20%以上なる多孔体である。
なお、多孔度とは、与えられた物質の持つ細孔だけの全体積V1と、細孔を含めたその物質の全体積V2との比の百分率((V1 /V2)×100)で表される値である。体積分率で20%
程度の細孔があれば、細孔につながりが生じ、表面積が増大される。
【0041】
また前記の多孔体は多孔質膜であってもよい。乾燥剤が多孔質膜の形態であれば、薄型の発光素子という有機EL素子の利点も損なうことがない点で好ましい。
従来の技術を用いて容易に金属酸化物の成膜が可能であり、しかもアルカリ金属酸化物ないしはアルカリ土類金属酸化物は乾燥剤して有効であるから、乾燥剤である前記多孔質膜は、アルカリ金属酸化物ないしはアルカリ土類金属酸化物からなる多孔質膜であることが好ましい。
【0042】
金属酸化物の多孔体を形成する手法としては様々なものがあるが、特に液相反応は任意の形状、特に膜状の形成が容易であるため、本発明では好適である。液相反応によって金属酸化物の多孔体を膜状に形成する手法として、代表的なものにゾル−ゲル法があるが、本発明においても、容器内にゾル−ゲル法を用いて金属酸化物の多孔体を膜状に形成し、この容器内に有機EL素子を封止する手法が適用できる。金属酸化物としては、乾燥剤として有効なアルカリ金属酸化物またはアルカリ土類金属酸化物を用いることができる。
【0043】
乾燥剤である多孔体(多孔質膜)は、有機EL素子とは直接に接することなく、隔離された場所に設置されることが好ましい。このように設置すれば、乾燥剤が有機EL素子と直接接することにより、リーク電流等が発生し、発光特性に悪影響が及ぼされることがない。
【0044】
そこで本発明では、たとえば前記容器に、前記有機EL素子に接する基板と、前記有機EL素子から隔離して設けられた対向基板を設け、乾燥剤の多孔質膜を前記対向基板に接して形成することができる。
【0045】
さらに、外気を遮断する容器内に凹状の部位を設け、前記凹状の部位に乾燥剤の多孔質膜を設置しても良い。乾燥剤をこのように設置すると、光硬化性樹脂などで封止する際も樹脂の塗布部分において乾燥剤が邪魔にならない上に、省スペースにもつながる点で好ましい。
【0046】
[有機EL素子]
本発明に用いられる有機EL素子(以下「有機発光素子」ともいう。)は、陽極と陰極と両極間に配置された有機EL化合物層を備えている。
【0047】
1.素子構成;
図13は、本発明に用いられる有機発光素子構成の一例を示す断面図であり、透明基板上に設けた陽極と陰極の間に正孔輸送層、発光層、電子輸送層を順次設けたものである。また、本発明に用いられる有機発光素子の構成は図13の例に限定されず、陽極と陰極の間に順次、1)陽極バッファー層/正孔輸送層/発光層、2)陽極バッファー層/発光層/電子輸送層、3)陽極バッファー層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層、4)陽極バッファー層/正孔輸送性化合物、発光性化合物、電子輸送性化合物を含む層、5)陽極バッファー層/正孔輸送性化合物、発光性化合物を含む層、6)陽極バッファー層/発光性化合物、電子輸送性化合物を含む層、7)陽極バッファー層/正孔電子輸送性化合物、発光性化合物を含む層、8)陽極バッファー層/発光層/正孔ブロック層/電子輸送層を設けた素子構成などを挙げることができる。また、図13に示した発光層は1層であるが、発光層を2層以上有していてもよい。さらに、陽極バッファー層を用いずに直接的に、正孔
輸送性化合物を含む層が陽極の表面に接していてもかまわない。
【0048】
なお、本明細書中においては、特に断りのない限り、電子輸送性化合物、正孔輸送性化合物、発光性化合物の全てあるいは一種類以上からなる化合物を有機EL化合物、また層を有機EL化合物層と呼ぶこととする。
【0049】
2.陽極表面処理;
また、陽極バッファー層、あるいは、正孔輸送性化合物を含む層の成膜時に陽極表面を前もって処理することによりオーバーコートされる層の性能(陽極基板との密着性、表面平滑性、正孔注入障壁の低減化など)を改善することができる。前もって処理する方法には高周波プラズマ処理を始めとしてスパッタリング処理、コロナ処理、UVオゾン照射処理、または酸素プラズマ処理などがある。
【0050】
3.陽極バッファー層:バイトロンなどを使う場合
陽極バッファー層をウェットプロセスにて塗布して作製する場合には、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイアーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェットプリント法等の塗布法などを用いて成膜することが出来る。
【0051】
上記ウェットプロセスによる成膜で用い得る化合物は、陽極表面とその上層に含まれる有機EL化合物に良好な付着性を有した化合物であれば特に制限はないが、これまで一般に用いられてきた陽極バッファーを適用することがより好ましい。例えば、ポリ(3,4)−エチレンジオキシチオフェンとポリスチレンスルホン酸塩との混合物であるPEDOT−PSS、ポリアニリンとポリスチレンスルホン酸塩との混合物であるPANIなどの導電性ポリマーを挙げることができる。さらに、これら導電性ポリマーにトルエン、イソプロピルアルコールなどの有機溶剤を添加して用いてもよい。また、界面活性剤などの第三成分を含む導電性ポリマーでもよい。前記界面活性剤としては、例えばアルキル基、アルキルアリール基、フルオロアルキル基、アルキルシロキサン基、硫酸塩、スルホン酸塩、カルボキシレート、アミド、ベタイン構造、及び第4級化アンモニウム基からなる群から選択される1種の基を含む界面活性剤が用いられるが、フッ化物ベースの非イオン性界面活性剤も用い得る。
【0052】
4.有機EL化合物;
本発明に用いられる有機発光素子における有機EL化合物層、すなわち発光層、正孔輸送層、及び電子輸送層に使用する化合物としては、発光性高分子化合物が使用される。
【0053】
発光性化合物を塗布する際、または塗布したあとには、塗膜に乾燥剤粉末などの異物が混入してはならないが、本発明ではバルク形状の乾燥剤が使用されるため、塗膜に乾燥剤等の粉末が混入して有機EL素子の特性が損なわれることがない。
【0054】
本発明に用いられる有機発光素子の発光層を形成する有機EL化合物としては、大森裕:応用物理、第70巻、第12号、1419−1425頁(2001年)に記載されている発光性高分子化合物などを例示することができる。この中でも、素子作製プロセスが簡素化されるという点で発光性高分子化合物が好ましく、発光効率が高い点で燐光発光性化合物が好ましい。従って、特に燐光発光性高分子化合物がさらに好ましい。
【0055】
また、発光性高分子化合物は、共役発光性高分子化合物と非共役発光性高分子化合物とに分類することもできるが、中でも非共役発光性高分子化合物が好ましい。
上記の理由から、本発明で用いられる発光材料としては、燐光発光性非共役高分子化合
物(前記燐光発光性高分子であり、かつ前記非共役発光性高分子化合物でもある発光材料)が特に好ましい。
【0056】
本発明に用いられる有機発光素子における有機EL化合物層は、好ましくは燐光を発光する燐光発光性単位とキャリアを輸送するキャリア輸送性単位とを一つの分子内に備えた、燐光発光性高分子を少なくとも一つ含む。前記燐光発光性高分子は、重合性置換基を有する燐光発光性化合物と、重合性置換基を有するキャリア輸送性化合物を共重合することによって得られる。燐光発光性化合物はイリジウム、白金および金の中から一つ選ばれる金属元素を含む金属錯体であり、中でもイリジウム錯体が好ましい。
【0057】
前記重合性置換基を有する燐光発光性化合物としては、例えば下記式(E−1)〜(E−42)に示す金属錯体の一つ以上の水素原子を重合性置換基で置換した化合物を挙げることができる。
【0058】
【化1】

【0059】
【化2】

【0060】
【化3】

【0061】
【化4】

【0062】
【化5】

【0063】
これらの燐光発光性化合物における重合性置換基としては、例えばビニル基、アクリレート基、メタクリレート基、メタクリロイルオキシエチルカルバメート基等のウレタン(メタ)アクリレート基、スチリル基およびその誘導体、ビニルアミド基およびその誘導体などが挙げられ、中でもビニル基、メタクリレート基、スチリル基およびその誘導体が好ましい。これらの置換基は、ヘテロ原子を有してもよい炭素数1〜20の有機基を介して金属錯体に結合していてもよい。
【0064】
前記重合性置換基を有するキャリア輸送性化合物は、正孔輸送性および電子輸送性の内のいずれか一方または両方の機能を有する有機化合物における一つ以上の水素原子を重合性置換基で置換した化合物を挙げることができる。このような化合物の代表的な例として、下記式(E−43)〜(E−60)に示した化合物を挙げることができる。
【0065】
【化6】

【0066】
【化7】

【0067】
なお、上記式(E−39)〜(E−42)において、Phはフェニル基を表す。
例示したこれらのキャリア輸送性化合物における重合性置換基はビニル基であるが、ビニル基をアクリレート基、メタクリレート基、メタクリロイルオキシエチルカルバメート基等のウレタン(メタ)アクリレート基、スチリル基およびその誘導体、ビニルアミド基およびその誘導体などの重合性置換基で置換した化合物であってもよい。また、これらの重合性置換基は、ヘテロ原子を有してもよい炭素数1〜20の有機基を介して結合していてもよい。
【0068】
重合性置換基を有する燐光発光性化合物と、重合性置換基を有するキャリア輸送性化合物の重合方法は、ラジカル重合、カチオン重合、アニオン重合、付加重合のいずれでもよいが、ラジカル重合が好ましい。また、重合体の分子量は重量平均分子量で1,000〜2,000
,000が好ましく、5,000〜1,000,000がより好ましい。ここでの分子量はGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)法を用いて測定されるポリスチレン換算分子量である。
【0069】
前記燐光発光性高分子は、一つの燐光発光性化合物と一つのキャリア輸送性化合物、一つの燐光発光性化合物と二つ以上のキャリア輸送性化合物を共重合したものであってもよく、また二つ以上の燐光発光性化合物をキャリア輸送性化合物と共重合したものであってもよい。
【0070】
燐光発光性高分子におけるモノマーの配列は、ランダム共重合体、ブロック共重合体、交互共重合体のいずれでもよく、燐光発光性化合物構造の繰り返し単位数をm、キャリア輸送性化合物構造の繰り返し単位数をnとしたとき(m、nは1以上の整数)、全繰り返し単位数に対する燐光発光性化合物構造の繰り返し単位数の割合、すなわちm/(m+n)の値は0.001〜0.5が好ましく、0.001〜0.2がより好ましい。
【0071】
燐光発光性高分子のさらに具体的な例と合成法は、例えば特開2003−342325号公報、特開2003−119179号公報、特開2003−113246号公報、特開2003−206320号公報、特開2003−147021号公報、特開2003−171391号公報、特開2004−346312号公報、特開2005−97589号公報に開示されている。
【0072】
本発明の有機発光素子における発光層は、好ましくは前記燐光発光性化合物を含む層であるが、発光層のキャリア輸送性を補う目的で正孔輸送性化合物や電子輸送性化合物が含まれていてもよい。これらの目的で用いられる正孔輸送性化合物としては、例えば、TPD(N,N’−ジメチル−N,N’−(3−メチルフェニル)−1,1’−ビフェニル−4,4’ジアミン)、α−NPD(4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル)、m−MTDATA(4、4’,4’’−トリス(3−メチルフェニルフェニルアミノ)トリフェニルアミン)などの低分子トリフェニルアミン誘導体や、ポリビニルカルバゾール、前記トリフェニルアミン誘導体に重合性官能基を導入して高分子化したもの、例えば特開平8−157575号公報に開示されているトリフェニルアミン骨格の高分子化合物、ポリパラフェニレンビニレン、ポリジアルキルフルオレンなどが挙げられ、また、電子輸送性化合物としては、例えば、Alq3(アルミニウムトリスキノリノレート)などのキノリノール誘導体金属錯体、オキサジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、トリアジン誘導体、トリアリールボラン誘導体などの低分子材料や、上記の低分子電子輸送性化合物に重合性官能基を導入して高分子化したもの、例えば特開平10−1665号公報に開示されているポリPBDなどの既知の電子輸送性化合物が使用できる。
【0073】
5.有機EL化合物層の形成法;
上記の有機EL化合物層は、抵抗加熱蒸着法、電子ビーム蒸着法、スパッタリング法、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイアーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェットプリント法等の塗布法などにより形成することが可能である。発光性低分子化合物の場合は主として抵抗加熱蒸着法及び電子ビーム蒸着法が用いられ、発光性高分子化合物の場合は主にスピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイアーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェットプリント法等の塗布法が用いられる。
【0074】
6.正孔ブロック層;
また、正孔が発光層を通過することを抑え、発光層内で電子と効率よく再結合させる目的で、発光層の陰極側に隣接して正孔ブロック層を設けてもよい。この正孔ブロック層には発光性化合物より最高占有分子軌道(Highest Occupied Molecular Orbital;HOMO)準位の深い化合物を用いることができ、トリアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、フェナントロリン誘導体、アルミニウム錯体などを例示することができる。
【0075】
さらに、励起子(エキシトン)が陰極金属で失活することを防ぐ目的で、発光層の陰極側に隣接してエキシトンブロック層を設けてもよい。このエキシトンブロック層には発光性化合物より励起三重項エネルギーの大きな化合物を用いることができ、トリアゾール誘導体、フェナントロリン誘導体、アルミニウム錯体などを例示することができる。
【0076】
7.陰極;
本発明に用いられる有機発光素子の陰極材料としては、仕事関数が低く、かつ化学的に安定なものが使用され、Al、MgAg合金、AlLiやAlCaなどのAlとアルカリ金属の合金などの既知の陰極材料を例示することができるが、化学的安定性を考慮すると仕事関数は2.9eV以上であることが好ましい。これらの陰極材料の成膜方法としては
、抵抗加熱蒸着法、電子ビーム蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法などを用いることができる。陰極の厚さは10nm〜1μmが好ましく、50〜500nmがより好ましい。
【0077】
また、陰極から有機層への電子注入障壁を下げて電子の注入効率を上げる目的で、陰極バッファー層として、陰極より仕事関数の低い金属層を陰極と陰極に隣接する有機層の間に挿入してもよい。このような目的に使用できる低仕事関数の金属としては、アルカリ金属(Na、K、Rb、Cs)、アルカリ土類金属(Sr、Ba、Ca、Mg)、希土類金属(Pr、Sm、Eu、Yb)等を挙げることができる。また、陰極より仕事関数の低いものであれば、合金または金属化合物も使用することができる。これらの陰極バッファー層の成膜方法としては、蒸着法やスパッタ法などを用いることができる。陰極バッファー層の厚さは0.05〜50nmが好ましく、0.1〜20nmがより好ましく、0.5〜1
0nmがより一層好ましい。
【0078】
さらに、陰極バッファー層は、上記の低仕事関数の物質と電子輸送性化合物の混合物として形成することもできる。なお、ここで用いられる電子輸送性化合物としては前述の電子輸送層に用いられる有機化合物を用いることができる。この場合の成膜方法としては共蒸着法を用いることができる。また、溶液による塗布成膜が可能な場合は、スピンコーティング法、ディップコーティング法、インクジェット法、印刷法、スプレー法、ディスペンサー法などの既述の成膜方法を用いることができる。この場合の陰極バッファー層の厚さは0.1〜100nmが好ましく、0.5〜50nmがより好ましく、1〜20nmがより一層好ましい。陰極と有機物層との間に、導電性高分子からなる層、あるいは金属酸化物や金属フッ化物、有機絶縁材料等からなる平均膜厚2nm以下の層を設けてもよい。
【0079】
8.基板種類;
本発明に係る有機発光素子の基板としては、発光性化合物の発光波長に対して透明な絶縁性基板、例えば、ガラス、PET(ポリエチレンテレフタレート)やポリカーボネートを始めとする透明プラスチック、シリコン基板などの既知の材料が使用できる。
【0080】
[容器]
本発明の発光装置においては、前記有機EL素子(有機発光素子)は、容器(以下「封止缶」ともいう。)に収納され外気から遮断される。この容器としては、ガラス板、表面に低透水率処理を施したプラスチック板、金属などを用いることができ、該気密性容器を
熱効果樹脂や光硬化樹脂で素子基板と貼り合わせて密閉する方法が好適に用いられる。スペーサーを用いて空間を維持すれば、素子がキズつくのを防ぐことが容易である。
【0081】
[乾燥剤]
乾燥剤は、特許文献1の記載を参照して調整することができる。
まず、乾燥剤(以下「化学吸着性乾燥剤」ともいう。)である多孔体をバルクの形状で備える発光装置の形態について述べる。その構造を図1に示す。
【0082】
図1(a)は、対向基板103a側に、あらかじめ作製した化学吸着性乾燥剤のバルク状多孔
体104aを設け、この対向基板を用いて基板101a上に設けた有機EL素子102aを封止した構造を示す。封止材105aとしては光硬化樹脂が一般的に用いられる。図1に示す構造においては、前記バルク状多孔体104aが有機EL素子102aから隔離され、かつ容器内の雰囲気107aに前記バルク状多孔体104aが接触できるように、通気性のシール106aで前記バルク状多孔体を保持する必要がある。
【0083】
図1(b)は、対向基板103b上に化学吸着性乾燥剤の原料物質108bを設け、焼成等行うこ
とによって原料物質108bからバルク状多孔体104bを形成する方法を例示する。このように、あらかじめ化学吸着性乾燥剤のバルク状多孔体104bを対向基板103b上に形成しておき、この対向基板を用いて基板101b上に設けた有機EL素子102bを封止する。封止材105aとしては光硬化樹脂が一般的に用いられる。
【0084】
前記化学吸着性乾燥剤としては、アルカリ金属酸化物(例えばNa2O)、アルカリ土類金属酸化物(例えばCaO)、金属ハロゲン化物(例えばCaCl2)などが挙げられる。乾燥剤を多孔体化させる方法としては、乾燥剤原料を含むスラリーをポリマーなどに含侵させてこれを焼成する方法や、低圧で成型体を造り出して比較的低温で短時間焼成する方法などが挙げられる。
【0085】
次に、化学吸着性乾燥剤である多孔質膜を備える発光装置について述べる。その構造を図2に示す。
対向基板203上に化学吸着性乾燥剤の多孔質膜204を成膜し、この対向基板203を用いて
、基板201上に設けた有機EL素子202を封止する。封止材105aとしては光硬化樹脂が一般的に用いられる。図2は、対向基板にあらかじめ形成した凹状の部位206に、前記多孔質
膜204を成膜した構造を示す。
【0086】
前記多孔質膜204の成膜方法としては、多孔体を成膜することを考慮すると気相法は困
難であると考えられるため、固相法または液相法が望ましい。固相法としては、スラリーを塗布した後に加熱して多孔質膜を形成する方法や、有機金属化合物を溶媒に溶解させてなる液を塗布した後に加熱分解して多孔質膜を形成する方法が挙げられる。また、液相法としてはゾル−ゲル法が挙げられ、この方法によれば極めて簡便に製膜を行なうことができる。塗布の方法としては、スピンコート法やディップコート法などが挙げられる。
【0087】
以下に、ゾル−ゲル法による乾燥剤の多孔質膜の形成について述べる。
ゾル−ゲル法は液相反応の一種であり、溶液中で重合反応により分子がポリマー化し、このポリマーがゾルからゲルへと固化する反応を利用したものである。ゾル−ゲル法は、特に金属酸化物の形成に用いられ、多孔体の形成に用いることも可能である。スピンコート法やディップコート法などの公知の方法で、ゾルから容易に膜を形成できるので、ゾル−ゲル法は本発明に適している。
【0088】
ゾル−ゲル法では、通常、金属アルコキシド〔M(OR)x(Mは金属元素、ORはアルコキシ
基、xはMの価数と同じ整数を表す。)〕が原料として用いられ、加水分解などにより金属
アルコキシドを安定なゾルとした後、このゾルを基板上にコーティングし、乾燥・焼成する。なお、金属アルコキシド原料として、ハロゲン化物や硝酸塩などの無機塩を使用することも可能である。
【0089】
例えば、ゾル−ゲル法により、アルコキシシラン〔Si(OR)4〕を用いてSiO2の膜を形成
する場合では、まずSi(OR)4を、弱酸性の溶液で加水分解する(下式(a)参照)。この
反応により生じた少量の水酸基を持つオリゴマーは、安定なゾルを形成する。
【0090】
【化8】

【0091】
スピンコート法などを用いて、基板上にこのゾルからなる膜を形成し、乾燥・焼成を繰り返すことによりSiO2薄膜が得られる。
同様の方法により、乾燥剤として有効なアルカリ金属酸化物またはアルカリ土類金属酸化物の薄膜を形成することができる。
【0092】
また、有機EL素子は薄型の発光素子としての用途が考えられる。そのため、外気を遮断する容器内に設置する乾燥剤の多孔質膜も、できる限り薄いことが望ましい。できる限り薄い多孔質膜の形成には、表面ゾル−ゲル法が有効である。表面ゾル−ゲル法とは、物質間の脱水重合反応をもとに無機薄膜を成長させる方法である(図3参照)。
【0093】
まず、金属301表面を親水処理することによって、金属301表面に水酸基302aを導入する(図3(a))。次に、水酸基302aが形成された金属301表面に、金属301と同種の金属を含
む金属アルコキシド303(Mは金属)を化学吸着させる(操作1:図3(b))。最後に、化
学吸着した金属アルコキシドを加水分解することによって、水酸基302bを形成する(操作2:図3(c))。これら操作1および操作2を繰り返すことによって、任意の膜厚の無機
薄膜が得られる。操作1および操作2の1サイクルで成長する膜厚は数nmであるため、多孔質膜形状の乾燥剤を形成するためには好適である。
【0094】
[実施例]
以下、実施例及び比較例を挙げ本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの記載により何らの限定を受けるものではない。
【0095】
[実施例1]
本実施例では、化学吸着性乾燥剤のバルク状多孔体を前記容器内に封入した発光装置について具体的に例示する(図4)。なお乾燥剤としては、アルカリ土類金属酸化物である酸化カルシウム(CaO)を用いる。
【0096】
まず、ガラス基板401上に透明電極としてITOをスパッタリングにより成膜し、陽極402
とする。次に、有機EL化合物層403を、たとえば以下のように形成する。
まず、ITO(陽極)上に、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)・ポリスチレンスルホン酸(バイエル社製、商品名「バイトロンP」)をスピンコート法により、回転数3500rpm、塗布時間40秒の条件で塗布した後、真空乾燥器で減圧下、60℃で2時間乾燥を行い、膜厚が約50nmの陽極バッファ層403aを形成する。
【0097】
次に、発光材料およびキャリア輸送材料を含む層403bを形成するために、ポリ(ジ[4
−(3,5−ジメチルビフェニル)]−2,6−ジメチル−4−スチリルフェニルボラン−co−N,N,N'−トリス(3−メチルフェニル)−N'−(4−ビニルフェニル)−1,1'−(3,3'−ジメチル)ビフェニル−4,4'ジアミン−co−(2−(4−ビ
ニルフェニル)ピリジン)ビス(2−フェニルピリジン)イリジウム(III))90mg
をトルエン(和光純薬工業製、特級)2910mgに溶解し、得られる溶液を孔径0.2μmのフィルターで濾過して塗布溶液を調製する。続いて、陽極バッファ層上に、調製した塗布溶液をスピンコート法により、回転数3000rpm、塗布時間30秒の条件で塗布し、130℃にて30分間乾燥することにより、層403bを形成する。
【0098】
このようにして、膜厚が陽極バッファー層を含めて約150nmである、有機EL化合物層403が形成される。
化学吸着性乾燥剤のバルク状多孔体としては、酸化カルシウムのバルク状多孔体406を
合成する。原料として粉末を用いるため、合成はクリーンルーム外で行い、合成されたバルク状多孔体406は、ビニール等に密封してクリーンルームに搬入すればよい。
【0099】
バルク状多孔体406は、原料である酸化カルシウム粉末を、ほとんど圧がかからないよ
う油圧式プレス器の自重による圧力程度で成形し、1200℃で数分焼成することで合成できる。この方法により、多孔度が30%程度の多孔体が得られる。
【0100】
このようにして得られた多孔体406を、対向基板405の凹部に配置し、対向基板405を通
気性のシール407でシールする。最後に、対向基板405と、表面に有機EL素子が設けられた基板404とをUV硬化樹脂408で接着し、UVを照射することによって封止を完了させる。
【0101】
[実施例2]
本実施例では、化学吸着性乾燥剤を、外気を遮断する容器内に多孔質膜の形状で設けた発光装置について具体的に例示する(図5)。前記多孔質膜の形成にはゾル−ゲル法を用い、前記化学吸着性乾燥剤の材料としては、アルカリ土類金属酸化物である酸化バリウムを用いる。
【0102】
まず、ガラス基板501上に透明電極としてITOをスパッタリングにより成膜し、陽極502
とする。次に、有機EL化合物層503を、たとえば前記有機EL化合物層403と同様の方法で形成する。
【0103】
化学吸着性乾燥剤である多孔質酸化バリウム膜506は、対向基板505上にゾル−ゲル法によって成膜する。原料としてジイソプロポキシバリウム〔Ba(OC3H7)2;常温で固体〕を用い、以下のように多孔質酸化バリウム膜506を形成する。まず、ジイソプロポキシバリウ
ムの2−イソプロパノール溶液を調製し、アセチルアセトンを加えて80℃において2時間ほど撹拌する。ついで、酢酸および水の2−プロパノール溶液を加え、80℃で加熱撹拌する。得られた溶液を対向基板505にスピンコートしたあと、焼成することによって多
孔質酸化バリウム膜506が得られる。
【0104】
最後に、多孔質酸化バリウム膜506を成膜した対向基板505と、有機EL素子を設けた基板501とを、UV硬化樹脂508で接着し、UVを照射することによって封止を完了させる。
[実施例3]
図6は、本発明の発光装置(アクティブマトリクス型発光装置)の断面図である。なお、能動素子としてここでは薄膜トランジスタ(以下「TFT」ともいう。)を用いているが
、MOSトランジスタを用いてもよい。
【0105】
また、TFTとしてトップゲート型TFT(具体的にはプレーナ型TFT)を例示するが、ボト
ムゲート型TFT(典型的には逆スタガ型TFT)を用いることもできる。
図6において、601は基板であり、ここでは可視光を透過する基板を用いる。具体的に
は、ガラス基板、石英基板、結晶化ガラス基板もしくはプラスチック基板(プラスチックフィルムを含む)を用いればよい。なお、基板601には、基板の表面に設けた絶縁膜も含
めるものとする。
【0106】
基板601の上には、画素部611および駆動回路612が設けられている。
まず、画素部611について説明する。
画素部611は画像表示を行う領域であり、複数の画素を有し、各画素には有機EL素子
に流れる電流を制御するためのTFT(以下「電流制御TFT」ともいう。)602、画素電極(
陽極)603、有機EL化合物層604および陰極605が設けられている。なお、図6では電流
制御TFTしか図示していないが、電流制御TFTのゲートに加わる電圧を制御するためのTFT
(以下「スイッチングTFT」ともいう。)が設けられている。
【0107】
電流制御TFT602としては、pチャネル型TFTを用いることが望ましい。nチャネル型TFTとすることも可能であるが、図6のように有機EL素子の陽極に電流制御TFTを接続する場
合は、pチャネル型TFTの方が消費電力を抑えることができる。ただし、スイッチングTFT
はnチャネル型TFTでもpチャネル型TFTでもよい。
【0108】
また、電流制御TFT602のドレインには画素電極603が電気的に接続されている。本実施
例では、画素電極603の材料として仕事関数が4.5〜5.5eVの導電性材料が望ましく、画素
電極603は有機EL素子の陽極として機能する。画素電極603として代表的には、酸化インジウム、酸化錫、酸化亜鉛もしくはこれらの化合物(ITOなど)を用いればよい。画素電
極603の上には有機EL化合物層604が設けられている。
【0109】
さらに、有機EL化合物層604の上には陰極605が設けられている。陰極605の材料とし
ては、仕事関数が低く、かつ化学的に安定なものが使用され、Al、MgAg合金、AlLiやAlCaなどのAlとアルカリ金属の合金などの既知の陰極材料を例示することができるが、化学的安定性を考慮すると仕事関数は2.9eV以上であることが好ましい。
これらの陰極材料の成膜方法としては、抵抗加熱蒸着法、電子ビーム蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法などを用いることができる。陰極の厚さは10nm〜1μmが好ましく、50〜500nmがより好ましい。
【0110】
また、画素電極603、有機EL化合物層604、および陰極605からなる層は、封止缶(対
向基板)606で覆われている。封止缶(対向基板)606は、有機EL素子を酸素および水から保護するために設けられている。また、封止缶(対向基板)606上には、上述したよう
な、乾燥剤の多孔質膜609が成膜されている。
【0111】
次に、駆動回路612について説明する。駆動回路612は画素部611に伝送される信号(ゲ
ート信号およびデータ信号)のタイミングを制御する領域であり、シフトレジスタ、バッファ、ラッチ、アナログスイッチ(トランスファゲート)もしくはレベルシフタが設けられている。図では、これらの回路の基本単位としてnチャネル型TFT607およびpチャネル型TFT608からなるCMOS回路を示している。
【0112】
なお、シフトレジスタ、バッファ、ラッチ、アナログスイッチ(トランスファゲート)もしくはレベルシフタの回路構成は、公知のものでよい。また図では、同一の基板上に画素部611および駆動回路612を設けているが、駆動回路612を設けずにICやLSIを電気的に接続することもできる。
【0113】
また、図6では電流制御TFT602に画素電極(陽極)603が電気的に接続されているが、
陰極が電流制御TFTに接続された構造をとることもできる。その場合、画素電極を陰極605
と同様の材料で形成し、陰極を画素電極(陽極)603と同様の材料で形成すればよい。そ
の場合、電流制御TFTはnチャネル型TFTとすることが望ましい。
【0114】
ここで、図6に示したアクティブマトリクス型発光装置の外観を図7に示す。なお、図7(a)には上面図を示し、図7(b)には図7(a)をP−P'で切断した時の断面図を示す。また、図6の符号を引用する。
【0115】
図7(a)において、701は画素部、702はゲート信号側駆動回路、703はデータ信号側駆動回路である。また、ゲート信号側駆動回路702およびデータ信号側駆動回路703に伝送される信号は、入力配線704を介してTAB(Tape Automated Bonding)テープ705から入力され
る。なお、図示しないが、TABテープ705の代わりに、TABテープにIC(集積回路)を設け
たTCP(Tape Carrier Package)を接続してもよい。
【0116】
このとき、706aは図6で示したような有機EL素子の上方に設けられる封止缶(対向基板)であり、樹脂からなるシール材707により接着されている。また、封止缶(対向基板
)上には、図6で示したとおり乾燥剤の多孔質膜706bが成膜されている。
【0117】
さらに、図7(b)に示すように、シール材707は樹脂からなる封止材708で覆われ、有機
EL素子を密閉空間709に封入するようになっている。密閉空間709は不活性ガス(代表的には窒素ガスや希ガス)を充填しておくことが好ましい。
【0118】
また、本実施例に示した発光装置の表示面(画像を観測する面)に偏光板を設けてもよい。この偏光板は、外部から入射した光の反射を押さえ、観測者が表示面に映り込むことを防ぐ効果がある。一般的には、円偏光板が用いられている。ただし、有機EL化合物層から発した光が偏光板により反射されて内部に戻ることを防ぐため、屈折率を調節して内部反射の少ない構造とすることが望ましい。
【0119】
なお、本実施例の発光装置に含まれる乾燥剤である多孔体は、上記の多孔体のいずれの形態を用いてもよい。
[実施例4]
本実施例では、本発明の発光装置の例として、パッシブマトリクス型発光装置を例示する。図8(a)にはその上面図を示し、図8(b)には図8(a)をP−P'で切断した時の断面図を示す。
【0120】
図8(a)において、801は基板であり、ここではガラス(石英ガラスを含む)材を用いる。802は酸化導電膜からなる走査線(陽極)であり、本実施例では酸化亜鉛に酸化ガリウ
ムを添加した酸化物導電膜を用いる。また、803は金属膜からなるデータ線(陰極)であ
り、本実施例ではAl:Li合金膜を用いる。また、804はアクリル樹脂からなるバンクであり、データ線803を分断するための隔壁として機能する。走査線802とデータ線803は両方と
も、ストライプ状に複数形成されており、互いに直交するように設けられている。なお、図8(a)では図示していないが、走査線802とデータ線803の間には有機EL化合物層813が挟まれており、交差部805が画素となる。
【0121】
そして、走査線802およびデータ線803はTABテープ807を介して外部の駆動回路に接続される。なお、808は走査線802が集合してなる配線群を表しており、809はデータ線803に接続された接続配線806の集合からなる配線群を表す。また、図示していないが、TABテープ807の代わりに、TABテープにICを設けたTCPを接続してもよい。
【0122】
また、図8(b)において、810は封止材、811aは封止材810によりガラス材801に貼り合わされた対向基板である。封止材810としては光硬化樹脂を用いればよく、脱ガスが少なく
、吸湿性の低い材料が望ましい。対向基板811aとしては基板801と同一の材料が望ましい
が、ガラス(石英ガラスを含む)、プラスチックもしくは金属を用いることができる。さらに、対向基板811a上には、発明の実施の形態で示したように、乾燥剤の多孔質膜811bが成膜されている。
【0123】
次に、画素領域812の構造の拡大図を図8(c)に示す。813は有機EL化合物層である。
なお、図8(c)に示すように、バンク804は下層の幅が上層の幅よりも狭い形状になっており、データ線803を物理的に分断できる。
【0124】
以上のような構成からなる本発明の発光装置は、画素部814が走査線802、データ線803
、バンク804および有機EL化合物層813で形成されるため、非常に簡単なプロセスで作製することができる。
【0125】
また、本実施例に示した発光装置の表示面(画像を観測する面)に偏光板を設けてもよい。この偏光板は、外部から入射した光の反射を押さえ、観測者が表示面に映り込むことを防ぐ効果がある。一般的には、円偏光板が用いられている。ただし、有機EL化合物層から発した光が偏光板により反射されて内部に戻ることを防ぐため、屈折率を調節して内部反射の少ない構造とすることが望ましい。
【0126】
なお、本実施例の発光装置に用いられる、乾燥剤である多孔体は、本発明で開示した多孔体のいずれの形態を用いてもよい。
[実施例5]
本実施例では、実施例4で示した発光装置にプリント配線板を設けてモジュール化した例を示す。
【0127】
図9(a)に示すモジュールは、基板900(ここでは、画素部901、配線902a、 902bを含む)にTABテープ903が取り付けられ、前記TABテープ903を介してプリント配線板904が取り
付けられている。
【0128】
ここで、プリント配線板904の機能ブロック図を図9(b)に示す。プリント配線板904の
内部には少なくともI/Oポート(入力もしくは出力部)905、 908、データ信号側駆動回路906およびゲート信号側回路907として機能するICが設けられている。
【0129】
このように、基板面に画素部が形成された基板にTABテープが取り付けられ、そのTABテープを介して駆動回路としての機能を有するプリント配線版が取り付けられた構成のモジュールを、本明細書では特に駆動回路外付け型モジュールと呼ぶことにする。
【0130】
[実施例6]
本実施例では、実施例3もしくは実施例4に示した発光装置にプリント配線板を設けてモジュール化した例を示す。
【0131】
図10(a)に示すモジュールは、基板1000(ここでは、画素部1001、データ信号側駆動
回路1002、ゲート信号側駆動回路1003、配線1002a、 1003aを含む)にTABテープ1004が取り付けられ、そのTABテープ1004を介してプリント配線板1005が取り付けられている。プ
リント配線板1005の機能ブロック図を図10(b)に示す。
【0132】
図10(b)に示すように、プリント配線板1005の内部には少なくともI/Oポート1006、 1009、コントロール部1007として機能するICが設けられている。なお、ここではメモリ部1008を設けてあるが、必ずしも必要ではない。またコントロール部1007は、駆動回路の制
御、映像データの補正などをコントロールするための機能を有した部位である。
【0133】
このように、有機EL素子の形成された基板にコントローラーとしての機能を有するプリント配線板が取り付けられた構成のモジュールを、本明細書では特にコントローラー外付け型モジュールと呼ぶことにする。
【0134】
[実施例7]
有機EL素子を光源とする発光装置は、明るく低消費電力であるという利点を有する。したがって、前記発光装置が表示部等として含まれる電気器具は、従来よりも低い消費電力で動作可能な電気器具となる。特に電源としてバッテリーを使用する携帯機器のような電気器具に関しては、低消費電力化が便利さに直結する(電池切れが起こりにくい)ため、極めて有用である。
【0135】
また、前記発光装置は、自発光型であることから液晶表示装置のようなバックライトは必要なく、有機EL化合物層の厚みも1μmに満たないため、薄型軽量化が可能である。
したがって、前記発光装置が表示部等として含まれる電気器具は、従来よりも薄型軽量な電気器具となる。このことも、特に携帯機器のような電気器具に関して、便利さ(持ち運びの際の軽さやコンパクトさ)に直結するため、極めて有用である。さらに、電気器具全般においても、薄型である(かさばらない)ことは運送面(大量輸送が可能)、設置面(部屋などのスペース確保)からみても有用であることは疑いない。
【0136】
なお、前記発光装置は自発光型であるために、液晶表示装置に比べて明るい場所での視認性に優れ、しかも視野角が広いという特徴を持つ。したがって、前記発光装置を表示部として有する電気器具は、表示の見やすさの点でも大きなメリットがある。
【0137】
すなわち、有機EL素子を含む発光装置を用いた電気器具は、低消費電力・薄型軽量・高視認性といった長所を持っている。ただし、従来技術では、有機EL素子は水分による劣化が激しく、これらの長所を活かす電気器具が作製できなかった。しかしながら、本発明の発光装置を電気器具に用いることにより、これらの長所を持ち、なおかつ寿命の長い電気器具を作製できる。さらに本発明の発光装置を用いた電気器具の場合は、その製造工程において、クリーンルームを従来よりも清浄に保つことが可能であるというメリットを持つ。
【0138】
[実施例8]
本実施例では、本発明の発光装置を表示部として含む電気器具を例示する。その具体例を図11および図12に示す。なお、本実施例の電気器具に含まれる発光装置は、図1〜図2および図4〜図1010のいずれの形態を用いても良い。
【0139】
図11(a)は有機ELディスプレイであり、筐体1101a、支持台1102a、表示部1103aを含む。本発明の発光装置を表示部1103aとして用いたディスプレイを作製することにより、
薄く軽量なディスプレイを実現できる。よって、輸送が簡便になり、さらに設置の際の省スペースが可能となる。
【0140】
図11(b)はビデオカメラであり、本体1101b、表示部1102b、音声入力部1103b、操作スイッチ1104b、バッテリー1105b、受像部1106bを含む。本発明の発光装置を表示部1102bとして用いたビデオカメラを作製することにより、消費電力が少なく、軽量なビデオカメラを実現できる。よって、電池の消費量が少なくなり、持ち運びも簡便になる。
【0141】
図11(c)はデジタルカメラであり、本体1101c、表示部1102c、接眼部1103c、操作スイッチ1104cを含む。本発明の発光装置を表示部1102cとして用いたデジタルカメラを作製することにより、消費電力が少なく、軽量なデジタルカメラを実現できる。よって、電池の
消費量が少なくなり、持ち運びも簡便になる。
【0142】
図11(d)は記録媒体を備えた画像再生装置であり、本体1101d、記録媒体(CD、LD、またはDVDなど)1102d、操作スイッチ1103d、表示部(A)1104d、表示部(B)1105dを含む。表
示部(A)1104dは主として画像情報を表示し、表示部(B)1105dは主として文字情報を表示する。本発明の発光装置をこれら表示部(A)1104dや表示部(B)1105dとして用いた前記画像再生装置を作製することにより、消費電力が少なく、軽量な前記画像再生装置を実現できる。なお、この記録媒体を備えた画像再生装置には、CD再生装置、ゲーム機器なども含む。
【0143】
図11(e)は携帯型(モバイル)コンピュータであり、本体1101e、表示部1102e、受像
部1103e、操作スイッチ1104e、メモリスロット1105eを含む。本発明の発光装置を表示部1102eとして用いた携帯型コンピュータを作製することにより、消費電力が少なく、薄型軽量な携帯型コンピュータを実現できる。よって、電池の消費量が少なくなり、持ち運びも簡便になる。なお、この携帯型コンピュータはフラッシュメモリや不揮発性メモリを集積化した記録媒体に情報を記録したり、それを再生したりすることができる。
【0144】
図11(f)はパーソナルコンピュータであり、本体1101f、筐体1102f、表示部1103f、キーボード1104fを含む。本発明の発光装置を表示部1103fとして用いたパーソナルコンピュータを作製することにより、消費電力が少なく、薄型軽量なパーソナルコンピュータを実現できる。特に、ノートパソコンのように持ち歩く用途が必要な場合、電池の消費量や軽さの点で大きなメリットとなる。
【0145】
なお、上記電気器具はインターネットなどの電子通信回線や電波などの無線通信を通じて配信される情報を表示することが多くなってきており、特に動画情報を表示する機会が増えている。有機EL素子の応答速度は非常に速く、そのような動画表示に好適である。
【0146】
次に、図12(a)は携帯電話であり、本体1201a、音声出力部1202a、音声入力部1203a、表示部1204a、操作スイッチ1205a、アンテナ1206aを含む。本発明の発光装置を表示部1204aとして用いた携帯電話を作製することにより、消費電力が少なく、薄型軽量な携帯電話を実現できる。よって、携帯電話の電池の消費量が少なくなり、持ち運びも楽になる上に、携帯電話本体がコンパクトになる。
【0147】
図12(b)は音響機器(具体的には車載用オーディオ)であり、本体1201b、表示部1202b、操作スイッチ1203b、1204bを含む。本発明の発光装置を表示部1202bとして用いた音響機器を作製することにより、消費電力が少なく、軽量な音響機器を実現できる。また、本実施例では車載用オーディオを例として示すが、本発明の発光装置は、家庭用オーディオに用いても良い。
【0148】
なお、図11〜図12で示したような電気器具において、さらに光センサを内蔵させ、使用環境の明るさを検知する手段を設けることで、使用環境の明るさに応じて発光輝度を変調させるような機能を持たせることは有効である。使用者は、使用環境の明るさに比べてコントラスト比で100〜150の明るさを確保できれば、問題なく画像もしくは文字情報を認識できる。すなわち、使用環境が明るい場合は画像の輝度を上げて見やすくし、使用環境が暗い場合は画像の輝度を抑えて消費電力を抑えるといったことが可能となる。
【0149】
また、本発明の発光装置を光源として用いた様々な電気器具も、低消費電力での動作や薄型軽量化が可能であるため、非常に有用である。代表的には、液晶表示装置のバックライトもしくはフロントライトといった光源、または照明機器の光源として本発明の発光装置を含む電気器具は、低消費電力の実現や薄型軽量化が可能である。
【0150】
したがって、本実施例に示した図11〜図12の電気器具の表示部を、全て液晶ディスプレイにする場合においても、その液晶ディスプレイのバックライトもしくはフロントライトとして本発明の発光装置を用いた電気器具を作製することにより、消費電力が少なく、薄型軽量な電気器具が達成できる。この場合ももちろん、寿命が長く、なおかつその製造工程においてクリーンルームを従来よりも清浄に保つことができる電気器具が達成される。
【図面の簡単な説明】
【0151】
【図1】図1は、発光装置の断面構造を示す図である。
【図2】図2は、発光装置の断面構造を示す図である。
【図3】図3は、表面ゾル−ゲル法の機構を示す図である。
【図4】図4は、発光装置の断面構造を示す図である。
【図5】図5は、発光装置の断面構造を示す図である。
【図6】図6は、発光装置の断面構造を示す図である。
【図7】図7は、発光装置の上面構造および断面構造を示す図である。
【図8】図8は、発光装置の上面構造および断面構造を示す図である。
【図9】図9は、発光装置の構成を示す図である。
【図10】図10は、発光装置の構成を示す図である。
【図11】図11は、電気器具の具体例を示す図である。
【図12】図12は、電気器具の具体例を示す図である。
【図13】図13は、本発明に用いられる有機EL素子の一実施態様の断面図である。
【符号の説明】
【0152】
1 透明基板
2 陽極
3 正孔輸送層
4 発光層
5 電子輸送層
6 陰極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外気を遮断する容器と、該容器内に設けられた有機EL素子とを有する発光装置であって、
該有機EL素子はその有機EL化合物層に発光性高分子化合物を含有し、
該容器内に、さらに、水分を化学吸着しかつ水分を吸着後も固相を維持できる化合物からなる乾燥剤が設けられ、
該乾燥剤が、多孔度が20%以上の多孔体である
ことを特徴とする発光装置。
【請求項2】
外気を遮断する容器と、該容器内に設けられた有機EL素子とを有する発光装置であって、
該有機EL素子はその有機EL化合物層に発光性高分子化合物を含有し、
該容器内に、さらに、水分を化学吸着しかつ水分を吸着後も固相を維持できる化合物からなる乾燥剤が設けられ、
該乾燥剤が、多孔度が20%以上の多孔質膜である
ことを特徴とする発光装置。
【請求項3】
外気を遮断する容器と、該容器内に設けられた有機EL素子とを有する発光装置であって、
該有機EL素子はその有機EL化合物層に発光性高分子化合物を含有し、
該容器内に、さらに、アルカリ金属酸化物および/またはアルカリ土類金属酸化物からなる乾燥剤が設けられ、
該乾燥剤が、多孔度が20%以上の多孔質膜である
ことを特徴とする発光装置。
【請求項4】
前記多孔質膜がゾル−ゲル法により形成されることを特徴とする請求項3に記載の発光装置。
【請求項5】
前記容器が、前記有機EL素子から隔離して設けられた対向基板を含み、
前記乾燥剤が該対向基板に接している
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の発光装置。
【請求項6】
前記容器の内壁が凹状の部位を有し、前記乾燥剤は該凹状の部位に形成されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の発光装置。
【請求項7】
前記発光性高分子化合物が燐光発光性高分子化合物であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の発光装置。
【請求項8】
前記発光性高分子化合物が発光性非共役高分子化合物であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の発光装置。
【請求項9】
前記発光性高分子化合物が燐光発光性非共役高分子化合物を含んでなることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の発光装置。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれかに記載の発光装置を備えた電気器具。
【請求項11】
請求項1〜9のいずれかに記載の発光装置を備えた面発光光源。
【請求項12】
請求項1〜9のいずれかに記載の発光装置を備えた表示装置用バックライト。
【請求項13】
請求項1〜9のいずれかに記載の発光装置を備えた表示装置。
【請求項14】
請求項1〜9のいずれかに記載の発光装置を備えた照明装置。
【請求項15】
請求項1〜9のいずれかに記載の発光装置を備えたインテリア。
【請求項16】
請求項1〜9のいずれかに記載の発光装置を備えたエクステリア。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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