説明

発光パネル及びその製造方法、発光装置、並びに、電子機器

【課題】動作電圧の偏りや基板間ギャップの不均一に起因する画質の劣化を抑制することができるとともに、基板への押圧力や歪みによる不良の発生を抑制して製造歩留まりや品質の向上を図ることができる発光パネル及びその製造方法、発光装置、並びに、電子機器を提供する。
【解決手段】画素アレイ111に配列された隣接する画素PIX間の隔壁25上に、素子基板11側(隔壁25)と対向基板12側の双方に接着される、導電性を有する導電性接着部30が設けられている。導電性接着部30は、所定の粒径を有するフィラー31が拡散された導電性接着剤を含む導電性接着層32により形成され、隔壁25上に延在する対向電極23に電気的に接続されるように設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光パネル及びその製造方法、発光装置、並びに、電子機器に関し、特に、発光素子が形成された素子基板に対向して封止基板を接合した封止構造を有する発光パネル及びその製造方法、該発光パネルを備えた発光装置、並びに、該発光装置を実装した電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話機や携帯音楽プレーヤ等の電子機器の表示デバイスとして、有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、「有機EL素子」と略記する)等の発光素子を二次元配列した表示パネル(発光素子型表示パネル)を適用したものが知られている。特に、アクティブマトリクス駆動方式を適用した発光素子型表示パネルにおいては、広く普及している液晶表示装置に比較して、表示応答速度が速く、視野角依存性も小さく、また、高輝度・高コントラスト化、表示画質の高精細化等が可能であるという特長を有している。加えて、発光素子型表示パネルは、液晶表示装置のようにバックライトや導光板を必要としないので、一層の薄型軽量化が可能であるという特長を有している。
【0003】
このような発光素子型表示パネルに適用される発光素子の代表例である有機EL素子は、概略、対向して配置された一対の電極(陽極(アノード電極)と陰極(カソード電極))との間に、正孔輸送層、発光層及び電子輸送層からなる有機EL層が積層された素子構造を有している。そして、有機EL素子は、一般に、絶縁性の素子基板の一面側に形成され、外気(水分や酸素等)による素子特性の劣化や物理的衝撃等の外的環境から保護するために、素子基板の一面側に対向するように封止基板を接合した(貼り合わせた)構成や、素子基板の一面側を封止樹脂で封止した構成が採用されている。なお、有機EL素子の素子構造や封止構造については、例えば特許文献1に記載されている。
【0004】
そして、このような有機EL素子を適用した発光素子型表示パネルにおいては、いわゆるトップエミッション型とボトムエミッション型の発光構造が知られている。トップエミッション型は、上述した有機EL素子の素子構造において、一対の電極のうち、素子基板側に配置される一方側の電極を反射性を有する金属電極により形成し、封止基板側に配置される他方側の電極を透明電極により形成して、有機EL層から放射された光を、透明電極及び封止基板を介して、表示パネルの視野側に出射して画像を表示するものである。
【0005】
また、ボトムエミッション型は、有機EL素子の素子構造において、素子基板側に配置される一方側の電極を透明電極により形成し、封止基板側に配置される他方側の電極を反射性を有する金属電極により形成して、有機EL層から放射された光を、透明電極及び素子基板を介して、表示パネルの視野側(素子基板の他面側)に出射して画像を表示するものである。このような有機EL素子の発光構造については、例えば特許文献2に記載されている。
【0006】
なお、このような素子構造を有する有機EL素子を適用した発光素子型表示パネルにおいては、上記特許文献2にも記載されているように、有機EL層を挟んで対向する一対の電極のうち、素子基板側に配置される一方側の電極が画素ごとに形成され、封止基板側に配置される他方側の電極が素子基板に配列される複数の画素に対して共通するように単一の電極層により形成されている。そして、各画素の一方側の電極(すなわち、画素電極)には画像データに含まれる輝度階調に応じた電圧が個別に印加され、各画素の他方側の電極(すなわち、共通電極)には所定の基準電圧(例えば接地電位)が共通に印加されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2010−080307号公報
【特許文献2】特開2008−218004号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述したような有機EL素子を適用した発光素子型表示パネルにおいて、特に、上述したトップエミッション型の発光構造を有する場合には、有機EL層から放射された光が共通電極及び封止基板を介して視野側に出射するために、共通電極が透明電極である必要がある。ここで、近年の有機EL素子においては、透明電極として例えば錫ドープ酸化インジウム(ITO)等が多用されている。このような透明電極材料は、一般に金属電極に比較して配線抵抗が高いため、複数の画素が配列された表示パネルの略全域に単一の電極層により共通電極を形成した場合、共通電極の電気抵抗により表示パネルの位置(画素の配置位置)によって供給される動作電圧(基準電圧)の電圧値に偏りや低下が生じる場合がある。そのため、各画素の有機EL素子の電極間に印加される電位差にも偏りが生じて、画像データに応じた適切な輝度階調で発光動作させることができず、画質の劣化を招くという問題を有していた。
【0009】
また、上述したような素子基板の一面側に封止基板を接合した封止構造においては、通常、封止基板の周縁部において封止材を介して封止基板と素子基板が接合されている。ここで、封止基板の内面と、素子基板に形成される有機EL素子、及び、当該有機EL素子を発光駆動させるための能動素子(薄膜トランジスタ等)や信号配線の上面との間には、ある程度の間隙(基板間ギャップ)が設けられている。
【0010】
このような封止構造を有する表示パネルにおいては、素子基板に封止基板を貼り合わせる製造工程で封止基板を素子基板側に押圧したときや、当該表示パネルを搭載した電子機器の使用時に外部から押圧力が加えられたとき、また、表示パネル自体に熱等に起因する歪みが生じたとき等に、素子基板と封止基板間の間隙が不均一になる可能性があった。そのため、特にトップエミッション型の発光構造を有する表示パネルにおいて、発光素子からの出射光の光軸がずれて画像ににじみやぼけが生じ、画質の劣化を招くという問題を有していた。
【0011】
加えて、上述した押圧力や歪みが過大である場合には、封止基板の内面が素子基板側に接触して、例えば素子基板側に形成された薄膜トランジスタの素子破損やトランジスタ特性の変動、有機層や配線層、層間絶縁膜の剥離、配線間ショート、封止破損等の不良を招いて、製造歩留まりや品質の低下を招くという問題を有していた。
【0012】
そこで、本発明は、上述した問題点に鑑み、動作電圧の偏りや基板間ギャップの不均一に起因する画質の劣化を抑制することができるとともに、基板への押圧力や歪みによる不良の発生を抑制して製造歩留まりや品質の向上を図ることができる発光パネル及びその製造方法、発光装置、並びに、電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
請求項1記載の発明に係る発光パネルは、発光層と該発光層を介して互いに対向する一対の電極とを有してなる発光素子を有する複数の画素と、前記各画素の前記発光素子の形成領域を区画する境界領域に連続的に設けられた隔壁と、が一面側に設けられ、前記発光素子の前記一対の電極の何れか一方をなす電極層が前記隔壁上に延在して設けられた第1の基板と、一面側が前記第1の基板の前記一面側に対向して設けられ、前記第1の基板の前記一面側を封止する第2の基板と、導電性接着剤を含んで前記隔壁上の前記電極層のみに接着して設けられ、該電極層に電気的に接続されるとともに、前記第2の基板の前記一面側に接着される導電性接着層と、を備えることを特徴とする。
【0014】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発光パネルにおいて、前記第2の基板の前記一面側の前記導電性接着層に対応する領域に密着して設けられ、所定の厚みを有し、導電性を有する導電性スペーサ層を有し、前記導電性接着層は、前記導電性スペーサ層と前記第1の基板の前記一面側との間に設けられて、該導電性スペーサ層の前記第1の基板の前記一面側に対向する面と前記第1の基板の前記一面側とに接着されることを特徴とする。
請求項3記載の発明は、請求項2記載の発光パネルにおいて、前記発光素子はトップエミッション構造を有し、前記各画素は、少なくとも、前記発光素子を発光駆動させるための複数の薄膜トランジスタを備え、該各薄膜トランジスタはゲート電極が半導体層の下部に設けられたボトムゲート構造を有し、前記導電性スペーサ層及び前記導電性接着層は前記隔壁の平面パターンに対応した連続する平面パターンを有し、前記導電性スペーサ層及び前記導電性接着層の少なくとも何れか一方は遮光性を有していることを特徴とする。
請求項4記載の発明は、請求項1記載の発光パネルにおいて、前記第2の基板の前記一面側の、前記複数の画素に対応する領域に設けられた補助電極層を有し、前記導電性接着層は、前記第1の基板の前記電極層と、前記第2の基板の前記補助電極層とを電気的に接続していることを特徴とする。
請求項5記載の発明は、請求項4記載の発光パネルにおいて、前記各画素は、前記発光素子を発光駆動させるためのスイッチング素子と、前記発光素子を発光駆動させるための各種信号が印加される複数の配線と、を具備し、前記スイッチング素子及び前記複数の配線の少なくとも一部は、前記隔壁の下層に設けられ、前記導電性接着層は、前記隔壁上の、少なくとも前記スイッチング素子の形成領域、及び、前記複数の配線の交差領域に対応する領域以外の予め設定された領域に設けられていることを特徴とする。
請求項6記載の発明は、請求項5記載の発光パネルにおいて、前記第2の基板の前記補助電極層上の前記導電性接着層に対応する領域に密着して設けられ、所定の厚みを有し、導電性を有する導電性スペーサ層を有し、前記導電性接着層は、前記導電性スペーサ層と前記第1の基板の前記一面側との間に設けられて、該導電性スペーサ層の前記第1の基板の前記一面側に対向する面と前記第1の基板の前記一面側とに接着されることを特徴とする。
【0015】
請求項7記載の発明に係る発光パネルの製造方法は、第1の基板の一面側に、発光層と該発光層を介して互いに対向する一対の電極とを有してなる発光素子を有する複数の画素を形成する工程と、前記第1の基板の前記一面側の、前記各画素の前記発光素子の形成領域を区画する境界領域に連続的に設けられる隔壁上に、前記発光素子の前記一対の電極の何れか一方をなす電極層を延在して形成する工程と、前記第1の基板の前記一面側を封止するための第2の基板を準備する工程と、前記第1の基板の前記隔壁上の前記電極層上のみ又は前記第2の基板の一面側であって、前記第1の基板の前記隔壁上の前記電極層に対応する領域のみに、導電性接着剤による導電性接着剤層を形成する工程と、前記第1の基板の前記一面側に前記第2の基板の一面側を対向させ、押圧力を印加して、前記接着剤層を介して、前記第1の基板と前記第2の基板とを貼り合わせる工程と、前記第1の基板と前記第2の基板とを貼り合わせた状態で、前記導電性接着剤層を所定の条件により硬化させて導電性接着層を形成し、該導電性接着層を前記隔壁上の前記電極層に電気的に接続するとともに、該導電性接着層を介して前記第1の基板と前記第2の基板とを接着する工程と、を含むことを特徴とする。
【0016】
請求項8記載の発明は、請求項7記載の発光パネルの製造方法において、前記第2の基板を準備する工程は、前記第2の基板の前記一面側の、前記複数の画素に対応する領域に補助電極層を形成する工程を含み、前記第1の基板と前記第2の基板とを接着する工程は、前記導電性接着層を介して、前記第1の基板の前記電極層と前記第2の基板の前記補助電極層とを電気的に接続する工程を含むことを特徴とする。
請求項9記載の発明は、請求項7又は8に記載の発光パネルの製造方法において、前記第2の基板を準備する工程は、前記第2の基板の前記一面側の前記導電性接着層が設けられる領域に対応する領域に、所定の厚みを有し、導電性を有する導電性スペーサ層を形成する工程を含み、前記導電性接着剤層を形成する工程は、前記導電性スペーサ層の前記第1の基板の前記一面側に対向する側の面に前記導電性接着剤層を形成する工程を含むことを特徴とする。
【0017】
請求項10記載の発明に係る発光装置は、発光層と、該発光層を介して互いに対向する一対の電極と、を有してなる発光素子を有する複数の画素と、前記各画素の前記発光素子の形成領域を区画する境界領域に連続的に設けられた隔壁と、該複数の画素に接続された複数の選択ライン及び複数のデータラインとが一面側に設けられ、前記発光素子の前記一対の電極の何れか一方をなす電極層が前記隔壁上に延在して設けられた第1の基板と、一面側が前記第1の基板の前記一面側に対向して設けられ、前記第1の基板の前記一面側を封止する第2の基板と、導電性接着剤を含んで前記隔壁上の前記電極層のみに接着して設けられ、該電極層に電気的に接続されるとともに、前記第2の基板の前記一面側に接着される導電性接着層と、を具備する発光パネルと、前記各選択ラインを介して、前記画素を選択状態に設定するための選択信号を印加する選択駆動回路と、前記各データラインを介して、前記選択状態に設定された前記画素に画像データに応じた階調信号を書き込む信号駆動回路と、を備えていることを特徴とする。
【0018】
請求項11記載の発明は、請求項10記載の発光装置において、前記第2の基板の前記一面側の前記導電性接着層に対応する領域に密着して設けられ、所定の厚みを有し、導電性を有する導電性スペーサ層を有し、前記導電性接着層は、前記導電性スペーサ層と前記第1の基板の前記一面側との間に設けられて、該導電性スペーサ層の前記第1の基板の前記一面側に対向する面と前記第1の基板の前記一面側とに接着されることを特徴とする。
請求項12記載の発明は、請求項10記載の発光装置において、前記第2の基板の前記一面側の、前記複数の画素に対応する領域に設けられた補助電極層を有し、前記導電性接着層は、前記第1の基板の前記電極層と、前記第2の基板の前記補助電極層とを電気的に接続していることを特徴とする。
請求項13記載の発明に係る電子機器は、請求項10乃至12のいずれかに記載の発光装置が実装されてなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係る発光パネル及びその製造方法、発光装置、並びに、電子機器によれば、画質の劣化を抑制することができるとともに、製造歩留まりや品質の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明に係る発光装置を適用した表示装置の表示パネルの第1の実施形態を示す概略平面図である。
【図2】第1の実施形態に係る表示装置に適用される表示パネルの要部構成の一例を示す概略断面図である。
【図3】第1の実施形態に係る表示パネルの製造方法の一例を示す工程断面図である。
【図4】第1の実施形態に係る表示パネルの製造方法の他の例を示す工程断面図である。
【図5】第2の実施形態に係る表示装置に適用される表示パネルの要部構成を示す概略断面図である。
【図6】第2の実施形態に係る表示パネルの製造方法の一例を示す工程断面図である。
【図7】第3の実施形態に係る表示装置に適用される表示パネルの要部構成を示す概略断面図である。
【図8】第3の実施形態に係る表示パネルの製造方法の一例を示す工程断面図である。
【図9】第3の実施形態に係る表示装置に適用される表示パネルの要部構成を示す概略断面図である。
【図10】第3の実施形態に係る表示パネルの製造方法の一例を示す工程断面図である。
【図11】第3の実施形態に係る表示パネルの製造方法の他の例を示す工程断面図である。
【図12】本発明に係る表示パネル(発光パネル)を適用した表示装置の第1の具体例を示す概略構成図である。
【図13】第1の適用例に係る画素の一例を示す平面レイアウト図である。
【図14】第1の適用例に係る画素の要部断面図である。
【図15】第2の適用例に係る画素の一例を示す平面レイアウト図である。
【図16】第2の適用例に係る画素の要部断面図である。
【図17】本発明に係る表示パネルを適用した表示装置の第3の具体例を示す概略構成図である。
【図18】第3の適用例に係る画素の一例を示す平面レイアウト図である。
【図19】第3の適用例に係る画素の要部断面図である。
【図20】第4の適用例に係る画素の一例を示す平面レイアウト図である。
【図21】第4の適用例に係る画素の要部断面図である。
【図22】本発明に係る発光装置を適用したデジタルカメラの構成例を示す斜視図である。
【図23】本発明に係る発光装置を適用した薄型テレビジョンの構成例を示す斜視図である。
【図24】本発明に係る発光装置を適用したパーソナルコンピュータの構成例を示す斜視図である。
【図25】本発明に係る発光装置を適用した携帯電話機の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に係る発光パネル及びその製造方法、発光装置並びに電子機器について、実施形態を示して詳しく説明する。
<第1の実施形態>
まず、本発明に係る発光装置について説明する。ここでは、本発明に係る発光装置を表示装置として適用し、また、発光素子として有機EL素子を適用した場合について説明する。
【0022】
(表示装置)
図1は、本発明に係る発光装置を適用した表示装置の表示パネルの第1の実施形態を示す概略平面図である。なお、図示の都合上、図1においては対向基板の表示を省略した。図2は、本実施形態に係る表示装置に適用される表示パネルの要部構成の一例を示す概略断面図である。図2(a)は、図1に示した表示パネルにおけるIIA−IIA線(本明細書においては図1中に示したローマ数字の「2」に対応する記号として便宜的に「II」を用いる。)に沿った断面を示す図である。また、図2(b)は、本実施形態に係る表示装置に適用される表示パネルの要部構成の他の例を示す概略断面図である。
【0023】
本発明の第1の実施形態に係る表示装置に適用される表示パネル(発光パネル)110は、例えば図1、図2(a)に示すように、平板ガラス等の絶縁性の素子基板(第1の基板)11と対向基板(第2の基板;上述した封止基板に相当する)12とが対向して接合(接着)された構成を有している。素子基板11の一面側(図1の紙面手前側、及び、図2(a)の上面側)には、発光素子である有機EL素子OELを有する複数の画素PIXが二次元配列された画素アレイ111が設けられている。
【0024】
各画素PIXに設けられる有機EL素子OELは、例えば図2(a)に示すように、アノード電極となる画素電極21と、有機EL層(発光層)22と、カソード電極となる対向電極(共通電極層)23とが順次積層された素子構造を有している。また、隣接して配列された画素PIX間の領域(境界領域)には、画素電極21に接続されて有機EL素子OELを駆動するための薄膜トランジスタ等を有する発光駆動回路DCと、発光駆動回路DCを覆う絶縁膜24及び隔壁(バンク)25が形成され、少なくとも各有機EL素子OELを構成する画素電極21及び有機EL層22が、隣接する画素PIXとの間で電気的に絶縁されるように隔離されている。一方、対向電極23は、図2(a)に示すように、画素アレイ111に配列された複数の画素PIXに共通するように単一の電極層(べた電極)により形成され、上記隔壁25上にも延在するように設けられている。
【0025】
対向して配置された素子基板11と対向基板12は、図1、図2(a)に示すように、画素アレイ111の外周領域に設けられたシール部40を介して接合され、画素アレイ111が封止空間50内に封止されて外的環境の影響を受けないように保護されている。シール部40は、例えば図2(a)に示すように、フィラー41入りの封止層(シール材)42からなり、当該シール部40が画素アレイ111の外周領域に連続的に設けられることにより、素子基板11と平板ガラスからなる対向基板12が接合されて封止される。シール部40は、具体的には、所定の粒径を有する非導電性(絶縁性)の樹脂ビーズからなるフィラー41を、非導電性の光硬化性あるいは熱硬化性の樹脂材料からなる封止層42に拡散したものが適用される。
【0026】
また、シール部40の他の構造としては、例えば図2(b)に示すように、平板ガラスの縁辺部(上述した画素アレイ111の外周領域に対応する領域)を連続的に残すようにザグリ加工したザグリガラスを対向基板12として用いて、当該ザグリ部12zにおいて封止層(シール材)42を介して、素子基板11と対向基板12を接合して封止したものであってもよい。なお、以下に示す各実施形態においては、表示パネル110の構造として、説明の都合上、図2(a)に示したフィラー41入り封止層42を介して、素子基板11と平板ガラスからなる対向基板12を接合したパネル構造を用いた場合について説明する。なお、封止空間50内の例えば対向基板12の接合面(後述する接着面に対応、図2(a)下面側)側に、図示を省略した乾燥剤や乾燥シートを設けるようにしてもよい。この場合、封止空間50内の水分(湿気)や腐食性の気体が乾燥剤や乾燥シートにより除去又は低減されて、画素アレイ111(特に、有機EL素子OEL)の素子特性の劣化や接続不良の発生を抑制することができる。
【0027】
そして、本実施形態に係る表示パネル110においては、特に、図2(a)に示すように、対向基板12とシール部40により形成される封止空間50内に封止された画素アレイ111(隣接する画素PIX間)の隔壁25と対向基板12との間に導電性接着部30が設けられている。ここで、導電性接着部30は、所定の粒径を有するフィラー31が拡散された導電性接着層32により構成され、かつ、少なくとも導電性接着層32が導電性を有する導電性接着剤を含んで形成されている。そして、このような導電性接着部30は、隔壁25上に延在する対向電極23に電気的に接続されるように設けられている。ここで、導電性接着部30の隔壁25上における配置形状は特に限定されるものではないが、画素アレイ111内の隔壁25の平面パターンに沿って任意の方向に連続して延伸するように設けられ、全体が電気的に繋がっているように一体的に形成されていることが好ましい。この場合、図2(a)に示した各隔壁25上に設けられた導電性接着部30は、相互に電気的に接続されて、対向電極23の補助配線としても機能する。さらに、導電性接着部30は、上記導電性接着層32により素子基板11側の隔壁25の上面(対向電極23の表面)と、対向基板12の接着面(図面下面)の双方に接着されて、素子基板11と対向基板12とを接着し、かつ、上記フィラー31により素子基板11と対向基板12との間隙(基板間ギャップ)が均一になるように設けられている。なお、導電性接着部30を構成するフィラー31及び導電性接着層32は、透明であってもよいし、不透明であってもよいが、有機EL素子OELがトップエミッション型の発光構造を有する場合には、導電性接着層32が不透明で遮光性を有していることが好ましい。それにより発光駆動回路DCの信号配線や薄膜トランジスタの各電極で外光が反射して、これらの配線や電極が視野側に視認されてしまうことを抑制することができる。
【0028】
また、有機EL素子OELがトップエミッション型の発光構造を有し、発光駆動回路DCにおける薄膜トランジスタが、ゲート電極が半導体層の下部に設けられるボトムゲート構造を有している場合には、外光が薄膜トランジスタのチャネル領域が形成される半導体層に入射され、それによって薄膜トランジスタの特性が変動したり誤動作が生じたりし易い。そのため、導電性接着層32が不透明で遮光性を有していることが好ましく、それにより、隔壁25を介して外光が薄膜トランジスタの半導体層に入射することを抑制して、薄膜トランジスタの特性が変動したり誤動作が生じたりすることを抑制することができる。
【0029】
具体的には、導電性接着部30は、所定の粒径を有する導電性のフィラー31を導電性の導電性接着層32に拡散したものや、樹脂等の非導電性のフィラー31を導電性の導電性接着層32に拡散したものを適用することができる。要するに、隔壁25上の対向電極23上面に設けられる導電性接着部30は、導電性を有するとともに対向電極23電気的に導通しているものであればよい。ここで、導電性接着部30の導電性の値(すなわち、電気抵抗の値)は特に限定されるものではないが、対向電極23よりも導電性が優れている(換言すると、対向電極23よりも電気抵抗が低い)ことが好ましい。また、導電性接着部30のフィラー31は、比較的精度良く粒径(直径)を制御することができ、素子基板11と対向基板12との間隙(基板間ギャップ)を任意に設定することができる材料が適用される。フィラー31は、例えばカーボン粒子や金属粒子を良好に適用することができる。また、導電性接着層32は、素子基板11側(隔壁25上の対向電極23)と対向基板12側との双方に対して接着性が高く、強固に接着することができる材料が適用される。導電性接着層32は、例えば光硬化性あるいは熱硬化性の樹脂材料を含む導電性接着剤を良好に適用することができる。
【0030】
このようなパネル構造により、本実施形態に係る表示パネル110においては、画素アレイ111に配列された複数の画素PIXに共通して設けられた対向電極23に導電性を有する導電性接着部30が電気的に接続されて設けられていることにより、対向電極23の実効的な電気抵抗が低減されて、各画素PIXに供給される動作電圧(基準電圧;詳しくは後述する)の電圧値が均一化され、画素PIXの配置位置による電圧値の偏りや低下が抑制される。
【0031】
また、本実施形態においては、画素アレイ111内の隔壁25上に所定の粒径を有するフィラー31が拡散された導電性接着層32からなる導電性接着部30が設けられ、導電性接着部30を介して素子基板11と対向基板12とが所定の間隔を有して接着されていることにより、素子基板11の一面側(図2(a)上面側)と対向基板12の接着面側(下面側)との間隙が、表示パネル110の素子基板11と対向基板12が対向する略全域において、素子基板11に形成された画素アレイ111の上面に対向基板12が接触しないように、所定の値で、かつ、略均一に設定される。
【0032】
なお、図1に示すように、素子基板11上の画素アレイ111の周辺領域には、上記各画素PIXを駆動するための信号や電源を供給するための引き出し配線Lrが設けられている。引き出し配線Lrは一端側が画素アレイ111(各画素PIX)に接続され、他端側が例えば素子基板11の端部に設けられた接続端子TMに接続されている。接続端子TMは、例えばフィルム基板(フレキシブルプリント基板)FPC等を介して、素子基板11の外部に設けられた各種のドライバ(例えば選択ドライバ120やデータドライバ130;詳しくは後述する)、あるいは、これらの各ドライバ機能を備えたドライバチップに接続されている。
【0033】
また、図2(a)、(b)においては、素子基板11上に、有機EL素子OELの画素電極21が直接形成された素子構造を示したが、本発明はこれに限定されるものではない。有機EL素子OELは、例えば、素子基板11上に図示を省略した絶縁膜(ゲート絶縁膜や層間絶縁膜等)を介して画素電極21が形成された素子構造を有するものであってもよい。
【0034】
(表示パネルの製造方法)
次に、本実施形態に係る表示装置に適用される表示パネルの製造方法について説明する。
図3は、本実施形態に係る表示パネルの製造方法の一例を示す工程断面図である。ここでは、図2(a)に示した断面構造を有する表示パネルについて製造方法を説明する。また、導電性接着部30を構成する導電性接着層32として、便宜的に光硬化性あるいは熱硬化性の導電性接着剤を適用した場合について説明するが、所定の条件により硬化する接着剤や粘着剤であってもよいことはいうまでもない。
【0035】
上述した表示パネル110の製造方法は、まず、図3(a)に示すように、素子基板11の一面側(図面上面側)に、画素アレイ111の各画素PIXに含まれる有機EL素子OELを形成する。有機EL素子OELは、素子基板11上に、画素電極21と、例えば正孔輸送層、発光層及び電子輸送層からなる有機EL層(発光層)22と、対向電極23を順次積層することにより形成される。
【0036】
画素アレイ111の形成工程は、具体的には、素子基板11の一面側に、画素PIXの形成領域ごとに有機EL素子OELのアノード電極となる画素電極21と画素電極21に接続されて有機EL素子OELを駆動するための薄膜トランジスタ等を有する発光駆動回路DCを形成する。次いで、発光駆動回路DCを覆い、隣接する画素PIXの有機EL素子OEL相互を電気的に絶縁するとともに、個別の発光特性を設定するために、画素PIX間の境界領域に絶縁膜24及び隔壁25を形成する。ここで、隔壁25は、素子基板11表面から対向基板12方向に突出するように、例えば感光性の絶縁材料であるポリイミド系の樹脂材料により形成される。これにより、隔壁25は、後述する有機EL層22の形成工程において、隣接する画素PIX間で、有機化合物含有液の漏出や乗り越えを抑制して、隣接画素相互の混色を防止する。
【0037】
次いで、各画素PIXの形成領域において、絶縁膜24及び隔壁25に被覆されず、露出する画素電極21上に、インクジェット法やノズルプリンティング法等を用いて、有機高分子系の正孔輸送性材料を含む溶液(有機化合物含有液)を塗布し、加熱乾燥して正孔輸送層を形成する。次いで、正孔輸送層が形成された画素電極21上に、上記と同様の手法を用いて、有機高分子系の発光材料を含む溶液(有機化合物含有液)を塗布し、加熱乾燥して発光層を形成する。さらに、発光層が形成された画素電極21上に、上記と同様の手法を用いて、有機高分子系の電子輸送性材料を含む溶液(有機化合物含有液)を塗布し、加熱乾燥して電子輸送層を形成する。この一連の工程により、正孔輸送層、発光層及び電子輸送層が積層された有機EL層22が形成される。
【0038】
次いで、画素アレイ111に配列された各画素PIXに共通するように、単一の電極層(べた電極)からなる対向電極23を形成する。ここで、対向電極23は、図3(a)に示すように、各画素PIXの有機EL素子OELの形成領域だけでなく、画素PIX間の境界領域に形成された隔壁25上にも延在するように設けられている。
【0039】
なお、上述した有機EL素子OELがトップエミッション型の発光構造を有している場合には、画素電極21は、例えばアルミニウム等の光反射率が高い金属膜により形成され、対向電極23は、例えば錫ドープ酸化インジウム(ITO)等からなる透明電極膜により形成される。また、有機EL素子OELがボトムエミッション型の発光構造を有する場合には、画素電極21は、例えば錫ドープ酸化インジウム(ITO)等からなる透明電極膜により形成され、対向電極23は、例えばアルミニウム等の光反射率が高い金属膜により形成される。
【0040】
次いで、図1、図3(b)に示すように、素子基板11に形成された画素アレイ111の外周領域に、所定の粒径を有するフィラー41が拡散された光硬化性あるいは熱硬化性の樹脂材料からなる封止材層(フィラー41入り封止材層)42xを塗布して形成する。また、画素アレイ111内の隔壁25上に延在する対向電極23の上面に、印刷法や転写法、塗布法等を用いて、所定の粒径を有するフィラー31が拡散された光硬化性あるいは熱硬化性の樹脂材料を含む導電性接着剤により、導電性接着剤層(フィラー31入り導電性接着剤層)32xを形成する。
【0041】
ここで、隔壁25上に延在する対向電極23の上面に塗布されるフィラー31入り導電性接着剤層32xは、例えば、隔壁25の平面パターンに沿って、ストライプ状や格子状等、任意の方向に連続して延伸するように形成される。また、隔壁25上に延在する対向電極23の上面に塗布される導電性接着剤層32xに拡散されるフィラー31の粒径(直径)は、素子基板11表面から当該フィラー31入り導電性接着剤層32xの上面までの寸法が、画素アレイ111の外周領域に形成される封止材層42xに拡散されるフィラー41の粒径(直径)と同等、もしくは、フィラー41の粒径よりも僅かに大きくなるように、隔壁25の突出高さに応じて適切に設定される。
【0042】
なお、画素アレイ111内の隔壁25上に塗布して形成するフィラー31入り導電性接着剤層32xに用いる導電性接着剤は、エポキシ、シリコーン、ポリイミド、ポリウレタン系樹脂等をバインダとした、銀、ニッケル、カーボン等の導電性フィラーから構成され、例えば藤倉化成株式会社製の接着剤タイプの導電性樹脂材料「ドータイト」(登録商標)等を良好に適用することができる。
【0043】
次いで、図3(b)に示すように、素子基板11の一面側に対向基板12を対向するように貼り合わせる。このとき、素子基板11に対して対向基板12が所定の力で押圧されることにより、画素アレイ111の外周領域に形成された封止材層42x中のフィラー41、及び、画素アレイ111内の隔壁25上に塗布された導電性接着剤層32x中のフィラー31が撓む。これにより、画素アレイ111の外周領域においては、封止材層42xが素子基板11の一面側及び対向基板12の接着面側の双方の表面に接着される。また、同時に、画素アレイ111内において、導電性接着剤層32xが素子基板11の隔壁25上に延在する対向電極23及び対向基板12の接着面側の双方の表面に接着される。
【0044】
次いで、画素アレイ111の外周領域に形成された封止材層42x中のフィラー41及び画素アレイ111内の隔壁25上に塗布された導電性接着剤層32x中のフィラー31の撓みをなくした状態(あるいは、当該撓みがなくなる程度の力で対向基板12を押圧した状態)で、図3(c)に示すように、対向基板12が貼り合わせられた素子基板11に対して、所定の波長の光(例えば紫外線)UVを照射、あるいは、所定の温度で熱処理を施すことにより、画素アレイ111の外周領域の封止材層42x、及び、画素アレイ111内の導電性接着剤層32xを硬化させる。これにより、フィラー41入り封止材層42x及びフィラー31入り導電性接着剤層32xは、各々、素子基板11と対向基板12の双方に接着して硬化する。なお、このような封止工程は、例えば、所定の気圧の不活性ガス雰囲気中で行われる。
【0045】
すなわち、図2(a)に示したように、素子基板11の画素アレイ111の外周領域においてはフィラー41が拡散された封止層42からなるシール部40を介して、また、画素アレイ111内においては隔壁25上のフィラー31が拡散された導電性接着層32からなる導電性接着部30を介して、素子基板11に対向基板12が接着される。これにより、素子基板11上の画素アレイ111が対向基板12及びシール部40(フィラー41入り封止層42)により形成される封止空間50内に封止される。
【0046】
このとき、素子基板11と対向基板12との間隙(基板間ギャップ)は、画素アレイ111の外周領域においては、シール部40のフィラー41の粒径に基づいて設定され、また、画素アレイ111内においては、導電性接着部30のフィラー31の粒径に基づいて設定される。ここで、上述したように、導電性接着部30の導電性接着剤層32xに拡散されるフィラー31の粒径は、画素アレイ111の外周領域に塗布されるフィラー41の粒径に基づいて設定される。したがって、画素アレイ111内の導電性接着部30においては、画素アレイ111内における素子基板11と対向基板12の間隙(基板間ギャップ)が、外周領域における間隙(すなわちフィラー41の粒径)と同等になるように、導電性接着層32の厚みが調整されて硬化する。すなわち、画素アレイ111の外周領域及び内部において、素子基板11と対向基板12が略均一な間隙(基板間ギャップ)を有するとともに、強固に接着される。
【0047】
このように、本実施形態に係る表示パネル110においては、導電性を有する導電性接着部30が、画素アレイ111に配列された複数の画素PIXに共通して設けられた対向電極23に電気的に接続されて設けられている。これにより、対向電極23の実効的な電気抵抗が低減されて、本実施形態においては、各画素PIXの有機EL素子OELのカソード電極(対向電極23)に供給される動作電圧(基準電圧)の電圧値が均一化されて、画素PIXの配置位置による電圧値の偏りや低下を抑制することができる。
【0048】
特に、上述したように、表示パネル110に適用される有機EL素子OELがトップエミッション型の発光構造を有している場合には、対向電極23は、ITO等の透明電極膜により形成される。しかしながら、ITO等の酸化金属系の透明電極膜は、一般に金属電極に比較して電気抵抗が数桁程度高いため、表示パネル110上での画素PIXの配置位置によって供給される動作電圧(基準電圧)の偏りや低下が顕著になる問題を有している。
【0049】
これに対して、本実施形態に示したように、導電性を有する導電性接着部30を複数の画素PIXに共通して設けられた対向電極23に電気的に接続して設けたパネル構造を有することにより、対向電極23の実効的な電気抵抗を低減して、各画素PIXの有機EL素子OELのカソード電極(対向電極23)に供給される動作電圧(基準電圧)の偏りや低下を大幅に抑制することができる。したがって、本実施形態によれば、各画素PIXの有機EL素子OELに、画像データに応じた適切な電位差を印加して、適切な輝度階調で発光動作させることができ、画質を向上させることができる。
【0050】
一方、表示パネル110に適用される有機EL素子OELがボトムエミッション型の発光構造を有する場合には、対向電極23は、アルミニウム等の金属膜により形成される。ここで、対向電極23に適用される金属膜は、一般に電気抵抗が低い。しかしながら、画素アレイ111に配列された複数の画素PIXに共通して設けられた単一の金属膜を対向電極23に適用し、かつ、その配線抵抗を十分低く設定するためには、金属膜(対向電極23)の膜厚をある程度厚く形成する必要があるため、対向電極23の形成(成膜)工程に要する時間が長くなるという問題を有している。
【0051】
これに対して、本実施形態に示したように、導電性を有する導電性接着部30を対向電極23に電気的に接続して設けたパネル構造を有することにより、各画素PIXの有機EL素子OELのカソード電極(対向電極23)への動作電圧(基準電圧)の供給を、導電性接着部30を介して行うことができる。したがって、本実施形態によれば、各画素PIXの有機EL素子OELのカソード電極となる対向電極23を薄膜化して、その成膜時間を短縮することができ、製造プロセスの短縮又は効率化を図ることができる。
【0052】
また、本実施形態においては、素子基板11の画素アレイ111の外周領域においてはシール部40(フィラー41入り封止層42)を介して、また、画素アレイ111内においては隔壁25上の導電性接着部30(フィラー31入り導電性接着層32)を介して、素子基板11に対向基板12が接着される。これにより、本実施形態においては、素子基板11と対向基板12との間隙(基板間ギャップ)を画素アレイ111の略全域で均一化することができるとともに、素子基板11と対向基板12とを強固に接着することができる。
【0053】
したがって、本実施形態によれば、素子基板11に対向基板12を貼り合わせる工程において、対向基板12を素子基板11側に押圧したときや、本実施形態に係る表示パネル110を搭載した電子機器において、使用時に外部から表示パネル110に押圧力が加えられたとき、また、表示パネル自体に熱等に起因する歪みが生じたときであっても、素子基板11と対向基板12が強固に接着されているので、素子基板11と対向基板12の間隙(基板間ギャップ)が不均一になる現象を抑制することができる。それ故、本実施形態によれば、示パネル110(有機EL素子OEL)がトップエミッション型の発光構造を有している場合であっても、有機EL素子OELからの出射光の経路(角度及び距離)が均一化されて画像のにじみやぼけの発生を抑制することができ、良好な画質を実現することができる。
【0054】
また、本実施形態によれば、上述した押圧力や歪みが過大である場合であっても、素子基板11と対向基板12が所定の間隙を有して強固に接着されているので、対向基板12が素子基板11の画素アレイ111に直接接触することを回避することができるとともに、素子基板11上の画素アレイ111(各画素PIX)内に生じる歪みを抑制することができる。それ故、本実施形態によれば、有機EL素子OELや他の能動素子、配線等の破損や特性劣化、封止破損の発生を防止又は抑制することができ、製造歩留まりや品質の向上を図ることができる。このような本実施形態における作用効果は、素子基板11に対向基板12を接合するパネル構造を有する表示パネル全般において有効であるが、基板の変形が生じやすく、強度が重要視される大型の表示パネルにおいて特に有効である。
【0055】
なお、上述した製造方法(図3参照)においては、画素アレイ111内に設けられる導電性接着部30となるフィラー31入り導電性接着剤層32xを、素子基板11側の隔壁25上に延在する対向電極23上に塗布した後、対向基板12を貼り合わせて、導電性接着剤層32xを硬化させる工程について説明した。本実施形態は、この製造方法に限定されるものではなく、以下に示すように、例えば対向基板12の接着面側にフィラー31入り導電性接着剤層32xを塗布して形成した後、当該対向基板12を画素アレイ111が形成された素子基板11に貼り合わせて、導電性接着剤層32xを硬化させる工程を適用するものであってもよい。
【0056】
図4は、本実施形態に係る表示パネルの製造方法の他の例を示す工程断面図である。ここで、上述した製造方法(図3参照)と同等の工程については、説明を簡略化する。
本実施形態に係る表示パネルの製造方法の他の例は、まず、図4(a)に示すように、一面側に有機EL素子OELを含む画素アレイ111が形成された素子基板11において、図4(b)に示すように、素子基板11の画素アレイ111の外周領域に、所定の粒径を有するフィラー41が拡散された封止材層42xを塗布して形成する。一方、対向基板12の接着面側であって、かつ、画素アレイ111内の隔壁25の平面パターン(すなわち、画素PIX間の境界領域)に対応する領域に、印刷法や転写法、塗布法等を用いて、所定の粒径を有するフィラー31が拡散された導電性接着剤層32xを塗布して形成する。次いで、当該対向基板12を、素子基板11の一面側に対向するように貼り合わせ、図4(c)に示すように、紫外線UVを照射、あるいは、熱処理することにより、画素アレイ111の外周領域の封止材層42x、及び、画素アレイ111内の導電性接着剤層32xを硬化させる。
【0057】
これにより、導電性を有する導電性接着部30が対向電極23に電気的に接続されて設けられるので、各画素PIXに供給される動作電圧(基準電圧)が均一化され、画素PIXの配置位置による電圧値の偏りや低下が抑制される。また、素子基板11と対向基板12が導電性接着部30を介して、略均一な間隙(基板間ギャップ)で接合されるとともに、画素アレイ111の外周領域及び内部において強固に接着される。
【0058】
<第2の実施形態>
次に、本発明に係る表示装置に適用される表示パネルの第2の実施形態について説明する。
(表示パネル)
図5は、第2の実施形態に係る表示装置に適用される表示パネルの要部構成を示す概略断面図である。図5は、図2(a)、(b)と同様に、図1に示した表示パネルにおけるIIA−IIA線に沿った断面を示す図である。ここで、上述した第1の実施形態と同等の構成については同一の符号を付して説明を簡略化する。
【0059】
上述した第1の実施形態においては、表示パネル110を構成する素子基板11の画素アレイ111に配列された複数の画素PIXに所定の動作電圧を均一に供給するとともに、素子基板11と対向基板12との間隙を均一化して強固に接着するための手段として、フィラー31入り導電性接着層32からなる導電性を有する導電性接着部30を適用したパネル構造について説明した。第2の実施形態に係る表示パネル110においては、図5に示すように、上記のフィラー31入り導電性接着層32に替えて、導電性の導電性スペーサ層33及び導電性の導電性接着層34を積層した導電性接着部30を適用したパネル構造を有している。
【0060】
具体的には、導電性接着部30は、例えば図5に示すように、対向基板12側に設けられ、導電性を有する導電性スペーサ層33と、素子基板11(隔壁25)側に設けられ、導電性を有する導電性接着層34とを積層した構造を有している。ここで、導電性スペーサ層33は、それ自体では接着性の低い材料であってもよいが、少なくとも対向基板12の表面に密着して形成され、かつ、比較的精度良く厚みを制御することができ、素子基板11と対向基板12との間隙(基板間ギャップ)を任意に設定することができる導電性材料が適用される。一方、導電性接着層34は、素子基板11側の隔壁25上に延在して設けられた対向電極23と、対向基板12側に密着して設けられた導電性スペーサ層33との双方に対して接着して、強固に接着することができる導電性材料が適用される。導電性接着層34は光硬化性あるいは熱硬化性の導電性接着剤を適用することができる。また、本発明において、導電性接着部30を構成する導電性スペーサ層33及び導電性接着層34の導電性の値(すなわち、電気抵抗の値)は特に限定されるものではないが、対向電極23よりも電気抵抗が低い材料であることが好ましい。
【0061】
また、導電性接着部30の隔壁25上における配置形状は特に限定されるものではないが、素子基板11側の隔壁25の平面パターンに沿って任意の方向に連続して延伸するように設けられ、全体が電気的に繋がっているように一体的に形成されていることが好ましい。この場合、図5に示した各隔壁25上に設けられた導電性接着部30は、相互に電気的に接続されて、対向電極23の補助配線としても機能する。なお、導電性接着部30を構成する導電性スペーサ層33及び導電性接着層34は、透明であってもよいし、不透明であってもよいが、有機EL素子OELがトップエミッション型の発光構造を有する場合には、導電性スペーサ層33と導電性接着層34の少なくともいずれか一方は不透明で遮光性を有していることが好ましい。それにより発光駆動回路DCの信号配線や薄膜トランジスタの各電極で外光が反射して、これらの配線や電極が視野側に視認されてしまうことを抑制することができる。
【0062】
また、有機EL素子OELがトップエミッション型の発光構造を有し、発光駆動回路DCにおける薄膜トランジスタが、ゲート電極が半導体層の下部に設けられるボトムゲート構造を有している場合には、外光が薄膜トランジスタのチャネル領域が形成される半導体層に入射され、それによって薄膜トランジスタの特性が変動したり誤動作が生じたりし易い。そのため、導電性スペーサ層33と導電性接着層34の少なくともいずれか一方は不透明で遮光性を有していることが好ましく、それにより、隔壁25を介して外光が薄膜トランジスタの半導体層に入射することを抑制して、薄膜トランジスタの特性が変動したり誤動作が生じたりすることを抑制することができる。
【0063】
(表示パネルの製造方法)
次に、本実施形態に係る表示装置に適用される表示パネルの製造方法について説明する。
図6は、本実施形態に係る表示パネルの製造方法の一例を示す工程断面図である。ここで、上述した第1の実施形態(図3、図4参照)と同等の工程については、説明を簡略化する。
【0064】
図5に示した断面構造を有する表示パネル110の製造方法は、まず、予め対向基板12の接着面側に、無電界メッキ法やラミネート法、スパッタリング法、蒸着法等を用いて、銅(Cu)、金(Au)、銀(Ag)、クロム(Cr)、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、モリブデン(Mo)、ニッケル(Ni)、タングステン(W)などの金属材料、または、これらの合金等の遮光性を有する金属膜を密着して形成した後、フォトリソグラフィ法を用いて、素子基板11側に形成された隔壁25の平面パターンに対応する領域に、上記金属膜を残すようにパターニングして導電性を有する所定の膜厚の導電性スペーサ層33を形成する(図6(b)参照)。次いで、上記画素アレイ111内の隔壁25に対応して、対向基板12の接着面側に形成された各導電性スペーサ層33の表面(図6(b)では下面側)に、印刷法や転写法等を用いて、光/熱硬化性の導電性接着剤による導電性接着剤層34xを薄く形成する。
【0065】
また、図6(a)に示すように、上述した第1の実施形態と同様に、一面側に有機EL素子OELを含む画素アレイ111が形成された素子基板11において、図6(b)に示すように、素子基板11の画素アレイ111の外周領域に、フィラー41入り封止材層42xを塗布して形成する。
【0066】
ここで、導電性スペーサ層33の表面に形成される導電性接着剤層34xは、導電性スペーサ層33の平面パターンと同一の領域に形成されるものであってもよいし、当該導電性スペーサ層33の平面パターンのうちの一部の、特定の位置又は領域に、例えば周期的に配置形成(規則的に配置)されるものであってもよい。また、導電性スペーサ層33、及び、該導電性スペーサ層33の表面に形成される導電性接着剤層34xの厚みは、対向基板12表面から当該導電性接着剤層34xの上面までの寸法と、素子基板11表面から隔壁25上の対向電極23の上面までの寸法との総和が、画素アレイ111の外周領域に形成される封止材層42xに拡散されるフィラー41の粒径(直径)と同等、もしくは、該フィラー41の粒径よりも僅かに大きくなるように、上記隔壁25の突出高さに応じて適切に設定される。
【0067】
次いで、当該対向基板12を、素子基板11の一面側に対向するように貼り合わせ、図6(c)に示すように、紫外線UVを照射、あるいは、熱処理することにより、画素アレイ111の外周領域の封止材層42x、及び、画素アレイ111内の導電性接着剤層34xを硬化させる。これにより、素子基板11上の画素アレイ111が対向基板12及びシール部40(フィラー41入り封止層42)により形成される封止空間50内に封止される。
【0068】
このとき、素子基板11と対向基板12との間隙(基板間ギャップ)は、画素アレイ111の外周領域においては、フィラー41の粒径に基づいて設定され、また、画素アレイ111内においては、導電性スペーサ層33の厚みに基づいて設定される。ここで、上述したように、導電性スペーサ層33と導電性接着層34となる導電性接着剤層34xの厚みは、画素アレイ111の外周領域に塗布されるフィラー41の粒径に基づいて設定される。導電性スペーサ層33は金属膜により形成されているため、導電性接着剤層34xからなる導電性接着層34に比較して撓みが小さい(弾性が低い)。したがって、画素アレイ111内の導電性接着部30においては、画素アレイ111内における素子基板11と対向基板12の間隙(基板間ギャップ)が、外周領域における間隙(すなわちフィラー41の粒径)と同等かつ略均一になるように、導電性接着層34の厚みが調整されて硬化する。
【0069】
このように、本実施形態においては、素子基板11の画素アレイ111に配列された複数の画素PIXに共通して設けられた対向電極23に導電性を有する導電性接着部30が電気的に接続されていることにより、対向電極23の実効的な電気抵抗が低減されて、各画素PIXの有機EL素子OELのカソード電極(対向電極23)に供給される動作電圧(基準電圧;詳しくは後述する)の電圧値の偏りや低下が抑制されて均一化される。
【0070】
したがって、本実施形態によれば、上述した第1の実施形態と同様に、各画素PIXの有機EL素子OELに、画像データに応じた適切な電位差を印加して、適切な輝度階調で発光動作させることができ、画質を向上させることができる。このような作用効果は、表示パネル110に適用される有機EL素子OELがトップエミッション型の発光構造を有する場合に、特に有効である。一方、表示パネル110に適用される有機EL素子OELがボトムエミッション型の発光構造を有する場合には、各画素PIXの有機EL素子OELのカソード電極となる対向電極23を薄膜化して、その成膜時間を短縮することができ、製造プロセスの短縮又は効率化を図ることができる。
【0071】
また、本実施形態においては、素子基板11と対向基板12が所定の膜厚を有する導電性スペーサ層33及び導電性接着層34を積層した導電性を有する導電性接着部30を介して密着(接着)されていることにより、素子基板11と対向基板12との間隙が略均一に設定されるとともに、画素アレイ111の外周領域及び内部において強固に接着される。
【0072】
したがって、本実施形態によれば、上述した第1の実施形態と同様に、表示パネル110に対して押圧力が印加された場合や歪みが生じた場合等であっても、素子基板11と対向基板12の間隙(基板間ギャップ)を均一に保持して、有機EL素子OELからの出射光の経路(角度及び距離)を均一化することができ、良好な画質を実現することができる。また、上記の押圧力や歪みが過大である場合であっても、画素アレイ111に設けられる有機EL素子OELや他の能動素子、配線等の破損や特性劣化、封止破損の発生を防止又は抑制することができ、製造歩留まりや品質の向上を図ることができる。このような作用効果は、基板の変形が生じやすく、強度が重要視される大型の表示パネルにおいて、特に有効である。
【0073】
なお、本実施形態においては、素子基板11に設けられる隔壁25の平面パターンに対応するように、対向基板12の接着面側に銅(Cu)、金(Au)、銀(Ag)、クロム(Cr)、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、モリブデン(Mo)、ニッケル(Ni)、タングステン(W)などの金属材料、または、これらの合金等の金属膜からなる導電性スペーサ層33を形成した後、導電性接着層34を介して、素子基板11と対向基板12とを接着する表示パネルの製造方法について説明した。このような製造手順を適用するのは次のような理由によるものである。すなわち、一般に、金属膜を形成するために用いられる無電界メッキ法やラミネート法、スパッタリング法、蒸着法においては、薬液処理や高温での成膜処理を必要とする。一方、有機EL素子OELが形成された素子基板11は、有機EL層の劣化や層間剥離等の損傷を防止するため、薬液処理や高温での加熱処理を極力避ける必要がある。そこで、本実施形態においては、上述したように、有機EL素子OELが形成されていない対向基板12側に、金属膜からなる導電性スペーサ層33を無電界メッキ法やラミネート法、スパッタリング法、蒸着法等を用いて形成することにより、素子基板11に形成された有機EL素子OELの特性劣化や損傷を防止することができるとともに、成膜条件に制約を受けることなく、所望の厚みの導電性スペーサ層33を形成することができるものである。
【0074】
<第3の実施形態>
次に、本発明に係る表示装置に適用される表示パネルの第3の実施形態について説明する。
(表示パネル)
図7は、第3の実施形態に係る表示装置に適用される表示パネルの要部構成を示す概略断面図である。図7は、図2(a)、(b)と同様に、図1に示した表示パネルにおけるIIA−IIA線に沿った断面を示す図である。ここで、上述した第1及び第2の実施形態と同等の構成については同一の符号を付して説明を簡略化する。
【0075】
上述した第2の実施形態においては、導電性接着部30を構成する導電性スペーサ層33が対向基板12の接着面側の表面に直接設けられ、導電性接着層34を介して素子基板11と対向基板12が接着されたパネル構造について説明した。第3の実施形態に係る表示パネル110においては、図7に示すように、対向基板12の接着面側に設けられた補助電極層35と素子基板11側の対向電極23が、導電性を有する導電性接着部30を介して電気的に接続されたパネル構造を有している。
【0076】
具体的には、補助電極層35は、例えば図7に示すように、対向基板12の接着面側であって、画素アレイ111の形成領域に対応する領域に設けられている。素子基板11側の対向電極23と対向基板12側の補助電極層35とは、上述した第2の実施形態と同様に、導電性を有する導電性スペーサ層33と導電性を有する導電性接着層34とを積層した構造を有する導電性接着部30を介して電気的に接続されている。ここで、表示パネル110に適用される有機EL素子OELがトップエミッション型の発光構造を有している場合には、補助電極層35は、例えばITO等の酸化金属系の透明電極膜を適用することができる。また、表示パネル110に適用される有機EL素子OELがボトムエミッション型の発光構造を有している場合には、補助電極層35は、例えば銅(Cu)、金(Au)、銀(Ag)、クロム(Cr)、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、モリブデン(Mo)、ニッケル(Ni)、タングステン(W)などの金属材料、または、これらの合金等の金属膜を適用することができる。なお、本発明に適用される補助電極層35の材質は、導電性を有する材料であれば特に限定されるものではないが、対向電極23よりも電気抵抗の低い材料であることが好ましい。
【0077】
また、導電性接着部30を構成する導電性スペーサ層33及び導電性接着層34に適用される導電性材料は、上述した第2の実施形態と同様に、その導電性の値(すなわち、電気抵抗の値)が特に限定されるものではないが、対向電極23よりも電気抵抗の低い材料であることが好ましい。加えて、導電性接着部30は、第2の実施形態に示したように、素子基板11側の隔壁25の平面パターンに沿って任意の方向に連続して延伸するようにストライプ状や格子状に設けられ、電気的に繋がるように一体的に形成されているものであってもよいし、隔壁25の平面パターンのうちの、特定の位置又は領域に互いに離間して島状(スポット状)に設けられ、例えば周期的に配置形成(規則的に配置)されるものであってもよい。
【0078】
(表示パネルの製造方法)
次に、本実施形態に係る表示装置に適用される表示パネルの製造方法について説明する。
図8は、本実施形態に係る表示パネルの製造方法の一例を示す工程断面図である。ここで、上述した第2の実施形態(図6参照)と同等の工程については、説明を簡略化する。
【0079】
図7に示した断面構造を有する表示パネル110の製造方法は、まず、予め対向基板12の接着面側に補助電極層35を形成する(図8(b)参照)。具体的には、対向基板12の接着面側に、無電界メッキ法やラミネート法、スパッタリング法、蒸着法等を用いて、ITO等の透明電極膜又は銅(Cu)、金(Au)、銀(Ag)、クロム(Cr)、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、モリブデン(Mo)、ニッケル(Ni)、タングステン(W)などの金属材料、または、これらの合金等の金属膜を密着して形成した後、フォトリソグラフィ法を用いて、素子基板11側の画素アレイ111に対応する領域に、上記透明電極膜又は金属膜を残すようにパターニングして所定の膜厚の補助電極層35を形成する(図8(b)参照)。ここで、上述したように、表示パネル110に適用される有機EL素子OELがトップエミッション型の発光構造を有している場合には、上記補助電極層35は、ITO等の酸化金属系の透明電極膜が適用される。また、表示パネル110に適用される有機EL素子OELがボトムエミッション型の発光構造を有している場合には、補助電極層35は、金属膜が適用される。
【0080】
次いで、対向基板12の接着面側に、無電界メッキ法やラミネート法、スパッタリング法、蒸着法等を用いて、上記金属膜を密着して形成した後、フォトリソグラフィ法を用いて、素子基板11に形成された隔壁25の平面パターンに対応する領域に、上記金属膜を残すようにパターニングして、補助電極層35の表面に導電性を有する所定の膜厚の導電性スペーサ層33を形成する(図8(b)参照)。これにより、対向基板12側に形成された補助電極層35に電気的に接続するように導電性スペーサ層33が形成される。
【0081】
ここで、補助電極層35の表面に形成される導電性スペーサ層33は、上述したように、素子基板11側の隔壁25の平面パターンに対応する領域に沿って任意の方向に連続して延伸するようにストライプ状や格子状に設けられ、電気的に繋がるように一体的に形成されているものであってもよいし、隔壁25の平面パターンに対応する領域のうちの、特定の位置又は領域に互いに離間して島状(スポット状)に設けられ、例えば周期的に配置形成(規則的に配置)されるものであってもよい。要するに、後述する素子基板11と対向基板12の貼り合わせ工程により、素子基板11側の隔壁25上に延在して形成された対向電極23と、対向基板12側に形成された補助電極層35とが、導電性スペーサ層33を含む導電性を有する導電性接着部30を介して電気的に接続されるものであればよい。
【0082】
以下、上述した第2の実施形態と同様に、図8(a)に示すように、一面側に有機EL素子OELを含む画素アレイ111が形成された素子基板11において、図8(b)に示すように、素子基板11の画素アレイ111の外周領域に、フィラー41入り封止材層42xを塗布して形成する。また、上記画素アレイ111内の隔壁25に対応して、対向基板12の接着面側に形成された各導電性スペーサ層33の表面(図8(b)では下面側)に、印刷法や転写法等を用いて、光/熱硬化性の導電性接着剤層34xを薄く形成する。
【0083】
ここで、対向基板12側に形成される補助電極層35、導電性スペーサ層33、及び、該導電性スペーサ層33の表面に形成される導電性接着剤層34xの厚みは、対向基板12表面から当該導電性接着剤層34xの上面までの寸法と、素子基板11表面から隔壁25上の対向電極23の上面までの寸法との総和が、画素アレイ111の外周領域に形成される封止材層42xに拡散されるフィラー41の粒径(直径)と同等、もしくは、該フィラー41の粒径よりも僅かに大きくなるように、上記隔壁25の突出高さに応じて適切に設定される。
【0084】
次いで、対向基板12を、素子基板11の一面側に対向するように貼り合わせ、図8(c)に示すように、紫外線UVを照射、あるいは、熱処理することにより、画素アレイ111の外周領域の封止材層42x、及び、画素アレイ111内の導電性接着剤層34xを硬化させる。これにより、素子基板11上の画素アレイ111が、対向基板12及びシール部40(フィラー41入り封止層42)により形成される封止空間50内に封止される。
【0085】
このとき、素子基板11と対向基板12との間隙(基板間ギャップ)は、画素アレイ111内においては、補助電極層35と導電性スペーサ層33の厚みに基づいて設定される。ここで、上述したように、補助電極層35、導電性スペーサ層33及び導電性接着層34となる導電性接着剤層34xの厚みは、画素アレイ111の外周領域に塗布されるフィラー41の粒径に基づいて設定される。補助電極層35及び導電性スペーサ層33は金属膜により形成されているため、導電性接着剤層34xからなる導電性接着層34に比較して撓みが小さい(弾性が低い)。したがって、画素アレイ111内の導電性接着部30においては、画素アレイ111内における素子基板11と対向基板12の間隙(基板間ギャップ)が、外周領域における間隙(すなわちフィラー41の粒径)と同等かつ略均一になるように、導電性接着層34の厚みが調整されて硬化する。
【0086】
このように、本実施形態においては、素子基板11の画素アレイ111に配列された複数の画素PIXに共通して設けられた対向電極23が、導電性を有する導電性接着部30と導電性スペーサ層33とを介して、対向基板12側に設けられた補助電極層35に電気的に接続されていることにより、各画素PIXの有機EL素子OELのカソード電極(対向電極23)に供給される動作電圧(基準電圧;詳しくは後述する)の電圧値の偏りや低下が抑制されて均一化される。
【0087】
また、本実施形態においても、上述した各実施形態と同様に、素子基板11と対向基板12が所定の膜厚を有する導電性スペーサ層33及び導電性接着層34を積層した導電性を有する導電性接着部30を介して密着(接着)されていることにより、素子基板11と対向基板12との間隙が略均一に設定されるとともに、画素アレイ111の外周領域及び内部において強固に接着される。
【0088】
したがって、本実施形態によれば、上述した第2の実施形態と同様に、各画素PIXの有機EL素子OELに、画像データに応じた適切な電位差を印加して、適切な輝度階調で発光動作させることができ、画質を向上させることができる。また、本実施形態によれば、表示パネル110に押圧力が印加された場合や歪みが生じた場合であっても、素子基板11と対向基板12の間隙(基板間ギャップ)を均一に保持して、良好な画質を実現することができるとともに、有機EL素子OELや配線等の破損や特性劣化、封止破損を防止して、製造歩留まりや品質の向上を図ることができる。
【0089】
<第4の実施形態>
次に、本発明に係る表示装置に適用される表示パネルの第4の実施形態について説明する。
(表示パネル)
図9は、第3の実施形態に係る表示装置に適用される表示パネルの要部構成を示す概略断面図である。図9は、図2(a)、(b)と同様に、図1に示した表示パネルにおけるIIA−IIA線に沿った断面を示す図である。ここで、上述した第1乃至第3の実施形態と同等の構成については同一の符号を付して説明を簡略化する。
【0090】
上述した第3の実施形態においては、対向基板12の接着面側に設けられた補助電極層35と素子基板11側の対向電極23が、導電性を有する導電性スペーサ層33と導電性を有する導電性接着層34とを積層した導電性接着部30を介して、電気的に接続されたパネル構造について説明した。第4の実施形態に係る表示パネル110においては、図9に示すように、上記の導電性スペーサ層33及び導電性接着層34からなる積層構造に替えて、フィラー31入り導電性接着層32からなる導電性を有する導電性接着部30を介して、対向基板12の接着面側に設けられた補助電極層35と素子基板11側の対向電極23が電気的に接続されたパネル構造を有している。
【0091】
ここで、例えば図9に示すように、補助電極層35は、上述した第3の実施形態と同様に、対向基板12の接着面側であって、画素アレイ111の形成領域に対応する領域に設けられている。また、導電性接着部30は、上述した第1の実施形態と同様に、所定の粒径を有するフィラー31が拡散された導電性接着層32を適用する。
【0092】
また、導電性接着部30は、第3の実施形態と同様に、素子基板11側の隔壁25の平面パターンに沿って任意の方向に連続して延伸するようにストライプ状や格子状に設けられ、電気的に繋がるように一体的に形成されているものであってもよいし、隔壁25の平面パターンのうちの、特定の位置又は領域に互いに離間して島状(スポット状)に設けられ、例えば周期的に配置形成(規則的に配置)されるものであってもよい。
【0093】
(表示パネルの製造方法)
次に、本実施形態に係る表示装置に適用される表示パネルの製造方法について説明する。
図10は、本実施形態に係る表示パネルの製造方法の一例を示す工程断面図である。ここで、上述した第1及び第3の実施形態(図3、図8参照)と同等の工程については、説明を簡略化する。
【0094】
図9に示した断面構造を有する表示パネル110の製造方法は、まず、予め対向基板12の接着面側に、無電界メッキ法やラミネート法、スパッタリング法、蒸着法等を用いて、ITO等の透明電極膜又は銅(Cu)、金(Au)、銀(Ag)、クロム(Cr)、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、モリブデン(Mo)、ニッケル(Ni)、タングステン(W)などの金属材料、または、これらの合金等の金属膜を密着して形成した後、フォトリソグラフィ法を用いて、素子基板11側の画素アレイ111に対応する領域に、上記透明電極膜又は金属膜を残すようにパターニングして所定の膜厚の補助電極層35を形成する(図8(b)参照)。
【0095】
次いで、上述した第1の実施形態と同様に、図10(a)に示すように、一面側に有機EL素子OELを含む画素アレイ111が形成された素子基板11において、図10(b)に示すように、素子基板11の画素アレイ111の外周領域に、フィラー41入り封止材層42xを塗布して形成する。また、上記画素アレイ111内の隔壁25上に延在する対向電極23の上面に、印刷法や転写法、塗布法等を用いて、所定の粒径を有するフィラー31が拡散された導電性接着剤層(フィラー31入り導電性接着剤層)32xを形成する。
【0096】
ここで、フィラー31入り導電性接着剤層32xは、上述したように、素子基板11側の隔壁25の平面パターンに沿って任意の方向に連続して延伸するようにストライプ状や格子状に設けられ、全体が電気的に繋がるように一体的に形成されているものであってもよいし、隔壁25の平面パターンのうちの、特定の位置又は領域に互いに離間して島状(スポット状)に設けられ、周期的に配置形成(規則的に配置)されるものであってもよい。要するに、後述する素子基板11と対向基板12の貼り合わせ工程により、素子基板11側の隔壁25上に延在して形成された対向電極23と、対向基板12側に形成された補助電極層35とが、フィラー31入り導電性接着剤層32xからなる導電性を有する導電性接着部30を介して電気的に接続されるものであればよい。
【0097】
また、導電性接着剤層32xに拡散されるフィラー31の粒径(直径)は、素子基板11表面から当該フィラー31入り導電性接着剤層32xの上面までの寸法と、対向基板12表面から補助電極層35の上面までの寸法(すなわち補助電極層35の厚み)との総和が、画素アレイ111の外周領域に形成される封止材層42xに拡散されるフィラー41の粒径(直径)と同等、もしくは、フィラー41の粒径よりも僅かに大きくなるように、隔壁25の突出高さに応じて適切に設定される。
【0098】
次いで、対向基板12を、素子基板11の一面側に対向するように貼り合わせ、図10(c)に示すように、紫外線UVを照射、あるいは、熱処理することにより、画素アレイ111の外周領域の封止材層42x、及び、画素アレイ111内の導電性接着剤層32xを硬化させる。これにより、素子基板11上の画素アレイ111が、対向基板12及びシール部40(フィラー41入り封止層42)により形成される封止空間50内に封止される。
【0099】
このとき、素子基板11と対向基板12との間隙(基板間ギャップ)は、画素アレイ111内においては、導電性接着部30のフィラー31の粒径に基づいて設定される。ここで、上述したように、導電性接着部30の導電性接着剤層32xに拡散されるフィラー31の粒径は、画素アレイ111の外周領域に塗布されるフィラー41の粒径に基づいて設定される。したがって、画素アレイ111内の導電性接着部30においては、画素アレイ111内における素子基板11と対向基板12の間隙(基板間ギャップ)が、外周領域における間隙(すなわちフィラー41の粒径)と同等かつ略均一になるように、導電性接着層34の厚みが調整されて硬化する。
【0100】
このように、本実施形態においても、上述した第3の実施形態と同様に、素子基板11側の対向電極23が、導電性を有する導電性接着部30を介して対向基板12側の補助電極層35に電気的に接続されて、各画素PIXの有機EL素子OELのカソード電極(対向電極23)に供給される動作電圧(基準電圧;詳しくは後述する)の電圧値の偏りや低下が抑制されて均一化される。また、本実施形態においても、素子基板11と対向基板12が所定の粒径を有するフィラー31を拡散した導電性接着層32からなる導電性を有する導電性接着部30を介して密着(接着)されて、素子基板11と対向基板12との間隙が略均一に設定されるとともに、画素アレイ111の外周領域及び内部において強固に接着される。したがって、本実施形態によれば、上述した第3の実施形態と同様に、動作電圧の偏りや基板間ギャップの不均一に起因する画質の劣化を抑制することができるとともに、基板への押圧力や歪みによる不良の発生を抑制して製造歩留まりや品質の向上を図ることができる。
【0101】
なお、上述した製造方法(図10参照)においては、画素アレイ111内に設けられる導電性接着部30となるフィラー31入り導電性接着剤層32xを、素子基板11側の隔壁25上に延在する対向電極23上に塗布した後、対向基板12を貼り合わせて、導電性接着剤層32xを硬化させる工程について説明した。本実施形態は、この製造方法に限定されるものではなく、以下に示すように、例えば対向基板12の接着面側に形成された補助電極層35上にフィラー31入り導電性接着剤層32xを塗布した後、当該対向基板12を画素アレイ111が形成された素子基板11に貼り合わせて、導電性接着剤層32xを硬化させる工程を適用するものであってもよい。
【0102】
図11は、本実施形態に係る表示パネルの製造方法の他の例を示す工程断面図である。ここで、上述した製造方法(図4、図8参照)と同等の工程については、説明を簡略化する。
本実施形態に係る表示パネルの製造方法の他の例は、まず、予め対向基板12の接着面側であって、素子基板11側の画素アレイ111に対応する領域に、所定の膜厚の補助電極層35を形成する(図11(b)参照)。次いで、対向基板12の接着面側に形成された補助電極層35上であって、かつ、素子基板11に形成された隔壁25の平面パターンに対応する領域に、所定の粒径を有するフィラー31が拡散された導電性接着剤層32xを塗布して形成する。一方、図11(a)に示すように、一面側に有機EL素子OELを含む画素アレイ111が形成された素子基板11において、図11(b)に示すように、素子基板11の画素アレイ111の外周領域に、所定の粒径を有するフィラー41が拡散された封止材層42xを塗布して形成する。次いで、当該対向基板12を、素子基板11の一面側に対向するように貼り合わせ、図11(c)に示すように、紫外線UVを照射、あるいは、熱処理することにより、画素アレイ111の外周領域の封止材層42x、及び、画素アレイ111内の導電性接着剤層32xを硬化させる。
【0103】
これにより、素子基板11側の対向電極23が導電性接着部30を介して対向基板12側に設けられた補助電極層35に電気的に接続されていることにより、各画素PIXに供給される動作電圧(基準電圧)が均一化され、画素PIXの配置位置による電圧値の偏りや低下が抑制される。また、素子基板11と対向基板12が所定の粒径を有するフィラー31が拡散された導電性接着層32からなる導電性接着部30を介して、略均一な間隙(基板間ギャップ)で接着されるとともに、画素アレイ111の外周領域及び内部において強固に接着される。
【0104】
次に、上述した各実施形態に示した表示パネルが適用される表示装置と画素の具体例について、図面を参照して説明する。なお、以下に示す表示装置は、アクティブマトリクス駆動方式に対応した構成を有する場合について説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明は、例えばパッシブマトリクス駆動方式等、他の駆動方式に対応した表示装置に適用されるものであってもよい。
【0105】
<表示装置への適用例と画素の具体例>
次に、上述した各実施形態に示した表示パネル(発光パネル)が適用される表示装置(発光装置)と画素の具体例について、図面を参照して説明する。
なお、以下に示す各適用例のうち、第1及び第3の適用例に係る表示装置及び画素は、上述した第1乃至第4の実施形態に示した表示パネル110のいずれであっても良好に適用することができる。また、第2及び第4の適用例に係る表示装置及び画素は、上述した第3及び第4の実施形態に示した表示パネル110を良好に適用することができる。
【0106】
(第1の適用例)
図12は、本発明に係る表示パネル(発光パネル)を適用した表示装置の第1の具体例を示す概略構成図である。図12(a)は、本適用例に係る表示装置を示す概略ブロック図であり、図12(b)は、本適用例に係る表示装置に適用される画素の等価回路図である。なお、ここでは、上述した各実施形態に示した各図(図1〜図11)を適宜参照しながら説明する。
【0107】
図12(a)に示すように、第1の適用例に係る表示装置(発光装置)100は、概略、上述した第1乃至第4の実施形態のいずれかに示した表示パネル(発光パネル)110と、該表示パネル110に配列された各画素PIXを選択状態に設定するための選択ドライバ(選択駆動回路)120と、各画素PIXに画像データに応じた階調信号を供給するためのデータドライバ(信号駆動回路)130と、システムコントローラ140と、を備えている。
【0108】
本適用例に係る表示パネル110に配列される画素PIXは、例えば図12(b)に示すように、発光駆動回路DCと、電流駆動型の発光素子である有機EL素子OELと、を備えている。発光駆動回路DCは、画像データに応じた電流値の発光駆動電流を生成して、有機EL素子OELに供給する。有機EL素子OELは、発光駆動回路DCから供給される発光駆動電流に基づいて、画像データに応じた輝度階調で発光する。
【0109】
発光駆動回路DCは、例えば図12(b)に示すように、トランジスタ(能動素子;スイッチング素子)Tr11、Tr12とキャパシタCsとを備えている。トランジスタTr11は、ゲート端子が選択ラインLsに接続され、ドレイン端子がデータラインLdに接続され、ソース端子が接点N11に接続されている。トランジスタTr12は、ゲート端子が接点N11に接続され、ドレイン端子が高電位の電源電圧Vsaに接続され、ソース端子が接点N12に接続されている。キャパシタCsは、トランジスタTr12のゲート端子(接点N11)及びソース端子(接点N12)間に接続されている。
【0110】
また、有機EL素子(表示素子)OELは、アノード(アノード電極;上述した画素電極21)が上記発光駆動回路DCの接点N12に接続され、カソード(カソード電極;上述した対向電極23)が所定の低電位電源(基準電圧Vsc;例えば接地電位Vgnd)に接続されている。ここで、カソードに印加される基準電圧Vscは、上述した各実施形態に示した動作電圧に対応する。
【0111】
ここでは、トランジスタTr11、Tr12はいずれも、nチャネル型の薄膜トランジスタを適用することができる。なお、トランジスタTr11、Tr12がpチャネル型であれば、ソース端子及びドレイン端子が互いに逆になる。また、キャパシタCsは、トランジスタTr12のゲート、ソース間に形成される寄生容量、又は、該ゲート、ソース間に付加的に設けられた補助容量、もしくは、これらの寄生容量と補助容量からなる容量成分である。
【0112】
画素PIXに接続される選択ラインLsは、例えば表示パネル110の行方向(図12(a)の左右方向)に配設されて、選択ドライバ120に接続されている。そして、選択ラインLsには、選択ドライバ120から選択レベル又は非選択レベルの選択電圧(選択信号)Vselが印加される。また、画素PIXに接続されるデータラインLdは、例えば表示パネル110の列方向(図12(a)の上下方向)に配設されて、データドライバ130に接続されている。データラインLdには、データドライバ130から画像データに応じた階調電圧(階調信号)Vdataが印加される。
【0113】
システムコントローラ140は、表示装置100の外部から供給される画像データに基づいて、輝度階調データを含むデジタルデータからなる表示データを生成してデータドライバ130に供給する。また、システムコントローラ140は、画像データに基づいて生成又は抽出されるタイミング信号に基づいて、選択ドライバ120及びデータドライバ130の動作状態を制御して、表示パネル110における所定の画像表示動作を実行するための選択制御信号及びデータ制御信号を生成して出力する。
【0114】
これにより、選択ドライバ120は、選択制御信号に基づいて、各行の選択ラインLsに所定のタイミングで選択レベルの選択電圧Vselを印加することにより、各行の画素PIXを選択状態に設定する。また、データドライバ130は、データ制御信号に基づいて、画像データに応じた階調電圧Vdataを生成して、各データラインLdを介して、選択状態に設定された画素PIXに供給する。
【0115】
そして、このような回路構成を有する画素PIXを備えた表示装置における表示駆動動作を簡単に説明すると、まず、所定の選択期間に、選択ドライバ120から選択ラインLsに対して、選択レベル(ハイレベル)の選択電圧Vselを印加することにより、トランジスタTr11をオン動作させて、画素PIXを選択状態に設定する。このタイミングに同期して、データドライバ130から画像データに応じた電圧値の階調電圧VdataをデータラインLdに印加することにより、トランジスタTr11を介して接点N11に、階調電圧Vdataに応じた電位が印加される。
【0116】
これにより、トランジスタTr12が階調電圧Vdataに応じた導通状態でオン動作して、ドレイン、ソース間に所定の電流値の発光駆動電流が流れ、有機EL素子OELは、階調電圧Vdata(すなわち画像データ)に応じた輝度階調で発光する。このとき、トランジスタTr12のゲート、ソース間に接続されたキャパシタCsには、接点N11に印加された階調電圧Vdataに基づいて電荷が蓄積(充電)される。
【0117】
次いで、上記選択期間終了後の非選択期間において、選択ドライバ120から選択ラインLsに対して、非選択レベル(ローレベル)の選択電圧Vselを印加することにより、トランジスタTr11をオフ動作させて、画素PIXを非選択状態に設定する。このとき、上記キャパシタCsに蓄積された電荷(すなわち、ゲート、ソース間の電位差)が保持されて、トランジスタTr12のゲート端子に階調電圧Vdataに相当する電圧が印加される。したがって、トランジスタTr12のドレイン、ソース間に上記の発光動作状態(選択期間)と同等の電流値の発光駆動電流が流れて、有機EL素子OELは発光状態を継続する。そして、このような表示駆動動作を、表示パネル110に二次元配列された全ての画素PIXについて、例えば各行ごとに順次実行することにより、所望の画像情報が表示される。
【0118】
次に、上述したような回路構成を有する画素(発光駆動回路及び有機EL素子)の具体的なデバイス構造(平面レイアウト及び断面構造)について説明する。
図13は、本適用例に係る画素の一例を示す平面レイアウト図である。ここでは、図12(b)に示した発光駆動回路DCの各トランジスタ及び配線等が形成された層を主に示し、各トランジスタの電極及び各配線層を明瞭にするために、便宜的にハッチングを施して示した。ここで、同じハッチングを施した電極及び配線層は同層に設けられている。また、上述した各実施形態に示した隔壁25及び導電性接着部30の平面パターンを、画素PIXの平面レイアウトに重ねて示した。図14は、本適用例に係る画素の要部断面図である。ここでは、図14は、図13に示した平面レイアウトを有する画素におけるXIVB−XIVB線(本明細書においては図13中に示したローマ数字の「14」に対応する記号として便宜的に「XIV」を用いる。)に沿った断面を示す。
【0119】
図12(b)に示した画素PIXは、具体的には、図13、図14に示すように、ガラス等の絶縁性の素子基板11の一面側(図14の上面側)に設定された画素形成領域Rpxごとに設けられている。この画素形成領域Rpxには、少なくとも、有機EL素子OELの形成領域(EL素子形成領域)Relと、隣接する画素PIXとの間の境界領域と、が設定されている。
【0120】
図13に示した画素PIXにおいて、画素形成領域Rpxの図面上方及び下方の縁辺領域には、各々、行方向(図面左右方向)に延在するように選択ラインLs及び電源ラインLaが配設されている。一方、画素形成領域Rpxの図面右方側の領域には、選択ラインLs及び電源ラインLaに直交して、列方向(図面上下方向)に延在するようにデータラインLdが配設されている。
【0121】
また、図13に示した表示パネル110においては、例えば図14に示すように、画素形成領域Rpx内のEL素子形成領域Relに開口部が設けられた隔壁25が設けられている。すなわち、素子基板11上に、行方向(図面左右方向)及び列方向(図面上下方向)に隣接して配列される各画素PIX間の境界領域には、図13、図14に示すように、素子基板11表面から連続的に突出し、格子状の平面パターンを有する隔壁25が設けられている。そして、この隔壁25により囲まれ、かつ、画素電極21が露出した領域(すなわち、上記開口部)がEL素子形成領域Relとして画定されている。
【0122】
選択ラインLsは、例えば図13、図14に示すように、データラインLd及び電源ラインLaよりも下層側(素子基板11側)に設けられている。選択ラインLsは、トランジスタTr11、トランジスタTr12のゲート電極Tr11g、Tr12gと同層に設けられている。ここで、選択ラインLsは、図13に示すように、トランジスタTr11のゲート電極Tr11gと一体的に形成されている。
【0123】
また、データラインLdは、例えば図13、図14に示すように、電源ラインLaよりも下層側(素子基板11側)に設けられている。データラインLdは、トランジスタTr11、Tr12のソース電極Tr11s、Tr12s及びドレイン電極Tr11d、Tr12dと同層に設けられている。ここで、データラインLdは、図13に示すように、トランジスタTr11のドレイン電極Tr11dと一体的に形成されている。
【0124】
また、電源ラインLaは、例えば図13、図14に示すように、後述するトランジスタTr11、Tr12及び選択ラインLs、データラインLdを被覆する絶縁膜24上に設けられている。電源ラインLaは、図13に示すように、下層の絶縁膜24に設けられたコンタクトホールHL12を介して、トランジスタTr12のドレイン電極Tr11dに直接接続されている。
【0125】
また、図13に示した画素PIXにおいては、発光駆動回路DCに設けられるトランジスタTr11、Tr12が、例えば、データラインLdに沿って列方向(図面上下方向)に延在するように配置されている。具体的には、トランジスタTr11、Tr12のチャネルの幅方向が、データラインLdに平行に延在するように設定されている。また、トランジスタTr11、Tr12は、いずれも図14に示すような電界効果型の薄膜トランジスタ構造を有している。なお、以下のトランジスタTr11についての説明では、図示の都合上、図14に示したトランジスタTr12の断面構造を参照しながら説明するものとする。
【0126】
トランジスタTr11、Tr12はボトムゲート構造を有し、図13、図14に示すように、素子基板11上に形成されたゲート電極Tr11g、Tr12gを被覆するようにゲート絶縁膜13が設けられ、該ゲート絶縁膜13上の、ゲート電極Tr11g、Tr12gに対応する領域に半導体層SMC(図13では省略)が設けられている。また、半導体層SMCに形成されるチャネル領域上にはチャネル保護層BLが設けられ、当該チャネル保護層BLを挟んで対向するようにソース電極Tr11s、Tr12s及びドレイン電極Tr11d、Tr12dが設けられている。ソース電極Tr11s、Tr12s及びドレイン電極Tr11d、Tr12dと半導体層SMCとの間には不純物層OHMが設けられ、これにより、半導体層SMCとソース電極Tr11s、Tr12s及びドレイン電極Tr11d、Tr12dが各々オーミック接続している。
【0127】
そして、図12(b)に示した発光駆動回路DCの回路構成に対応するように、トランジスタTr11は、図13に示すように、ゲート電極Tr11gが選択ラインLsと一体的に形成されている。また、ドレイン電極Tr11dは、図13に示すように、データラインLdと一体的に形成されている。また、ソース電極Tr11sは、図13に示すように、ゲート絶縁膜13に設けられたコンタクトホールHL11を介して、トランジスタTr12のゲート電極Tr12gに接続されている。ここで、コンタクトホールHL11は、図8(b)に示した発光駆動回路DCの接点N11に対応する。
【0128】
また、トランジスタTr12は、図13に示すように、ゲート電極Tr12gがゲート絶縁膜13に設けられたコンタクトホールHL11を介して、トランジスタTr11のソース電極Tr11sに接続されている。また、ドレイン電極Tr12dは、図13に示すように、絶縁膜24に設けられたコンタクトホールHL12を介して、電源ラインLaに接続されている。また、ソース電極Tr12sは、図13、図14に示すように、有機EL素子OELの画素電極21と一体的に形成されている。
【0129】
有機EL素子OELは、図13、図14に示すように、上記画素電極(アノード電極)21と、有機EL層(発光層)22と、対向電極(カソード電極)23と、を順次積層した素子構造を有している。ここで、有機EL素子OELがトップエミッション型の発光構造を有している場合には、例えば画素電極21は、アルミニウム単体やアルミニウム合金等の光反射率の高い電極材料を含んで形成されている。また、対向電極23は、錫ドープ酸化インジウム(ITO)等の透光性(高い光透過率)を有する透明な電極材料により形成されている。
【0130】
画素電極21は、図13、図14に示すように、トランジスタTr12のソース電極Tr12sと一体的に形成されている。有機EL層22は、図13、図14に示すように、素子基板11上に連続的に突出して形成された隔壁25に設けられた開口部により画定されるEL素子形成領域Relに露出する画素電極21上に形成される。
【0131】
対向電極23は、素子基板11上に二次元配列された各画素PIXの画素電極21に対して、共通に対向するように、単一の電極層(べた電極)により形成されている。また、対向電極23は、図14に示すように、各画素PIXのEL素子形成領域Relだけでなく、当該EL素子形成領域Relを画定する隔壁25上にも延在するように設けられている。さらに、対向電極23は、図示を省略したコンタクト部や引き出し配線を介して、低電位電源(基準電圧Vsc)に接続されている。
【0132】
隔壁25は、例えば図13、図14に示すように、素子基板11上に配列された画素PIX相互の境界領域に形成された選択ラインLs、データラインLd、電源ラインLa、トランジスタTr11、Tr12、及び、絶縁膜24を被覆するように、素子基板11の表面から連続的に突出して、格子状の平面パターンを有するように設けられている。ここで、隔壁25は、上述した各実施形態に示したように、例えば感光性の絶縁材料であるポリイミド系の樹脂材料により形成される。
【0133】
そして、上述した発光駆動回路DC、有機EL素子OEL及び隔壁25が形成された素子基板11の一面側には、図13、図14に示すように、導電性を有する導電性接着部30を介して、透明なガラス等からなる対向基板12が所定の間隙を有して貼り合わされている。ここで、導電性接着部30は、上述した各実施形態に示したように、フィラー31入り導電性接着層32や、導電性スペーサ層33と導電性接着層34からなる積層構造を有するとともに、隔壁25上に延在して設けられた対向電極(カソード電極)23よりも配線抵抗が低くなるように設定されている。また、導電性接着部30は、上述した各実施形態に示したように、素子基板11側に形成された隔壁25の平面パターンに沿って連続して延伸するように、例えば図13に示すように格子状の平面パターンを有して設けられている。
【0134】
なお、図14においては、上述した第2の実施形態に示したパネル構造(図5参照)に対応した画素PIXの要部断面図を示すが、導電性接着部30としてフィラー31入り導電性接着層32を適用することにより、上述した第1の実施形態に示したパネル構造(図2参照)に対応した画素の要部断面図となる。さらに、図14において、対向基板12の接着面側に補助電極層35を設け、導電性接着部30を介して、素子基板11と対向基板12とを接着することにより、上述した第3及び第4の実施形態に示したパネル構造(図7、図9参照)に対応した画素の要部断面図となる。
【0135】
このように、本適用例に係る表示装置100の表示パネル110が、上述した第1及び第2の実施形態に示したパネル構造を有する場合には、連続する平面パターン(例えば図13に示した格子状)を有する導電性接着部30が、素子基板11側の対向電極23に電気的に接続されるとともに、当該導電性接着部30を介して、素子基板11と対向基板12が所定の間隙(基板間ギャップ)を有して強固に接着される。
【0136】
一方、本適用例に係る表示装置100の表示パネル110が、上述した第3及び第4の実施形態に示したパネル構造を有する場合には、連続する平面パターン(例えば図13に示した格子状)を有する導電性接着部30が、素子基板11側の対向電極23と対向基板12側の補助電極層35との双方に電気的に接続されるとともに、当該導電性接着部30を介して、素子基板11と対向基板12が所定の間隙(基板間ギャップ)を有して強固に接着される。
【0137】
したがって、本適用例に係る表示装置によれば、表示パネル110の各画素PIX(有機EL素子OEL)に供給される基準電圧Vsc(動作電圧)の低下を抑制して、画像データに応じた適切な電位差を印加することができるので、適切な輝度階調で発光動作させることができ、画質を向上させることができる。また、本適用例によれば、表示パネル110に押圧力が印加された場合や歪みが生じた場合であっても、素子基板11と対向基板12の間隙(基板間ギャップ)を均一に保持して、良好な画質を実現することができるとともに、有機EL素子OELやトランジスタTr11、Tr12、配線等の破損や特性劣化、封止破損を防止して、製造歩留まりや品質の向上を図ることができる。
【0138】
(第2の適用例)
次に、第2の適用例に係る表示装置における画素(発光駆動回路及び有機EL素子)の具体的なデバイス構造(平面レイアウト及び断面構造)について説明する。ここで、表示装置及び画素の構成は、上述した第1の適用例と同等であるので説明を省略する。
【0139】
図15は、第2の適用例に係る画素の一例を示す平面レイアウト図である。ここでは、第1の適用例に示した画素の平面レイアウト(図13参照)において、上述した第3及び第4の実施形態に示した導電性接着部30の配置位置の例を概念的に示した。図16は、本適用例に係る画素の要部断面図である。ここでは、図16は、図15に示した平面レイアウトを有する画素におけるXVIC−XVIC線(本明細書においては図15中に示したローマ数字の「16」に対応する記号として便宜的に「XVI」を用いる。)に沿った断面を示す。なお、図15、図16において、上述した第1の適用例と同等の構成については、説明を簡略化する。
【0140】
本適用例においては、例えば図15、図16に示すように、各画素PIX間に設けられる隔壁25上の任意の位置Psetに、導電性を有する導電性接着部30が島状(スポット状)に設けられている。また、対向基板12の接着面側には、図16に示すように、画素アレイ111に対応する領域に補助電極層35が設けられている。そして、素子基板11側の隔壁25上に延在して設けられた対向電極23と対向基板12側の補助電極層35とが、島状(スポット状)に設けられた導電性接着部30を介して電気的に接続されているとともに、素子基板11と対向基板12とが所定の間隙を有して強固に接着されている。
【0141】
ここで、導電性接着部30は、上述した各実施形態に示したように、フィラー31入り導電性接着層32や、導電性スペーサ層33と導電性接着層34からなる積層構造を有している。このような導電性接着部30が配置される位置Psetは、隔壁25上であれば特に限定するものではないが、表示パネル110に外部から印加される押圧力等によるトランジスタTr11、Tr12の素子破損や素子特性の変動、有機層や配線層(選択ラインLs、データラインLd、電源ラインLa)、層間絶縁膜の剥離、配線間ショート、封止破損等を防止、抑制する観点を加味すると、極力、下層にトランジスタTr11、Tr12や、配線相互の交差、電極の重なり等がない領域(例えば図15、図16の位置Pset)の隔壁25上に1乃至数カ所配置することが望ましい。また、本適用例においては、図15、図16に示す位置Psetに配置される導電性接着部30の平面形状についても特に限定するものではないが、例えば方形や円形を有するものであってもよい。
【0142】
なお、本適用例においては、図15、図16に示したように、表示パネル110の画素アレイ111内の1画素のみに注目して説明したが、画素アレイ111内の全ての画素PIXの画素形成領域Rpxごとに、導電性接着部30を1乃至数カ所設けるものであってもよいし、数画素PIXからなる領域ごとに1乃至数カ所設けるものであってもよいし、表示パネル110のパネルサイズによっては、画素アレイ111全体に1乃至数カ所のみ設けるものであってもよい。
このようなパネル構造により、本適用例に係る表示装置においても、上述した第1の適用例と同等の作用効果を得ることができる。
【0143】
(第3の適用例)
図17は、本発明に係る表示パネルを適用した表示装置の第3の具体例を示す概略構成図である。図17(a)は、本適用例に係る表示装置を示す概略ブロック図であり、図17(b)は、本適用例に係る表示装置に適用される画素の等価回路図である。ここで、上述した第1の適用例と同等の構成については、同一又は同等の符号を付してその説明を簡略化する。
【0144】
図17(a)に示すように、第3の適用例に係る表示装置(発光装置)100は、概略、上述した第1乃至第4の実施形態のいずれかに示した表示パネル(発光パネル)110と、選択ドライバ(選択駆動回路)120と、データドライバ130(信号駆動回路)と、システムコントローラ140と、電源ドライバ150と、を備えている。すなわち、本適用例に示す表示装置100は、第1の適用例に示した表示装置100に、電源ドライバ150を付加した構成を有している。
【0145】
本適用例に係る表示パネル110に配列される画素PIXは、例えば図17(b)に示すように、上述した第1の適用例と同様に、発光駆動回路DCと、有機EL素子OELと、を備えている。発光駆動回路DCは、例えば図17(b)に示すように、トランジスタ(能動素子;スイッチング素子)Tr21〜Tr23とキャパシタCsとを備えている。トランジスタTr21は、ゲート端子が選択ラインLsに接続され、ドレイン端子が電源ラインLaに接続され、ソース端子が接点N21に接続されている。トランジスタTr22は、ゲート端子が選択ラインLsに接続され、ソース端子がデータラインLdに接続され、ドレイン端子が接点N22に接続されている。トランジスタTr23は、ゲート端子が接点N21に接続され、ドレイン端子が電源ラインLaに接続され、ソース端子が接点N22に接続されている。キャパシタCsは、トランジスタTr23のゲート端子(接点N21)及びソース端子(接点N22)に接続されている。
【0146】
また、有機EL素子OELは、アノード(アノード電極;画素電極21)が上記発光駆動回路DCの接点N22に接続され、カソード(カソード電極;対向電極23)が所定の低電位電源(基準電圧Vsc;例えば接地電位Vgnd)に接続されている。ここで、カソードに印加される基準電圧Vscは、上述した各実施形態に示した動作電圧に対応する。
【0147】
ここで、本適用例においても、トランジスタTr21〜Tr23はいずれも、nチャネル型の薄膜トランジスタを適用することができる。また、キャパシタCsは、トランジスタTr23のゲート、ソース間に形成される寄生容量、又は、該ゲート、ソース間に付加的に設けられた補助容量、もしくは、これらの寄生容量と補助容量からなる容量成分である。
【0148】
画素PIXに接続される電源ラインLaは、例えば表示パネル110の行方向(図17(a)の左右方向)に配設されて、電源ドライバ150に接続されている。電源ドライバ150は、システムコントローラ140から供給される電源制御信号に基づいて、所定のタイミングで電源ラインLaに発光レベル又は非発光レベルの電源電圧Vsaを印加する。
【0149】
そして、このような回路構成を有する画素PIXを備えた表示装置における表示駆動動作を簡単に説明すると、まず、選択期間に、選択ドライバ120から選択ラインLsに対して、選択レベル(ハイレベル)の選択電圧Vselを印加するとともに、電源ドライバ150から電源ラインLaに非発光レベル(基準電圧Vsc以下の電圧レベル;例えば負電圧)の電源電圧Vsaを印加することにより、トランジスタTr21、Tr22をオン動作させて、画素PIXを選択状態に設定する。このタイミングに同期して、データドライバ130から画像データに応じた負の電圧値の階調電圧VdataをデータラインLdに印加することにより、トランジスタTr22を介して接点N22に、階調電圧Vdataに応じた電位が印加される。
【0150】
これにより、トランジスタTr23がオン動作して、トランジスタTr23のゲート、ソース間に生じた電位差に応じた書込電流が、電源ラインLaからトランジスタTr23、接点N22、トランジスタTr22を介してデータラインLd方向に流れる。このとき、トランジスタTr23のゲート、ソース間に接続されたキャパシタCsには、接点N21及びN22間に生じた電位差に応じた電荷が蓄積される。
【0151】
ここで、電源ラインLaには、基準電圧Vsc以下の電源電圧Vsaが印加され、さらに、書込電流が画素PIXからデータラインLd方向に引き抜くように設定されている。これにより、有機EL素子OELのアノード(接点N22)に印加される電位は、カソードの電位(基準電圧Vsc)よりも低くなるため、有機EL素子OELには電流が流れず、有機EL素子OELは発光しない(非発光動作)。そして、このような書込動作を、表示パネル110に二次元配列された全ての画素PIXについて、各行ごとに順次実行する。
【0152】
次いで、上記選択期間終了後の非選択期間において、選択ドライバ120から選択ラインLsに対して、非選択レベル(ローレベル)の選択電圧Vselを印加することにより、トランジスタTr21、Tr22をオフ動作させて、画素PIXを非選択状態に設定する。このとき、上記キャパシタCsに蓄積された電荷(すなわち、ゲート、ソース間の電位差)が保持されるので、トランジスタTr23はオン状態を維持する。そして、電源ドライバ150から電源ラインLaに発光レベル(基準電圧Vscよりも高い電圧レベル)の電源電圧Vsaを印加することにより、電源ラインLaからトランジスタTr23、接点N22を介して、有機EL素子OELに所定の発光駆動電流が流れる。
【0153】
ここで、キャパシタCsに蓄積される電荷(電圧成分)は、トランジスタTr23において階調電圧Vdataに対応する書込電流を流す場合の電位差に相当するので、有機EL素子OELに流れる発光駆動電流は、当該書込電流と略同等の電流値となる。これにより、各画素PIXの有機EL素子OELは、書込動作時に書き込まれた画像データ(階調電圧Vdata)に応じた輝度階調で発光し、表示パネル110に所望の画像情報が表示される。
【0154】
次に、上述したような回路構成を有する画素(発光駆動回路及び有機EL素子)の具体的なデバイス構造(平面レイアウト及び断面構造)について説明する。
図18は、本適用例に係る画素の一例を示す平面レイアウト図である。ここでは、図17(b)に示した発光駆動回路DCの各トランジスタ及び配線等が形成された層を主に示し、各トランジスタの電極及び各配線層を明瞭にするために、便宜的にハッチングを施して示した。ここで、同じハッチングを施した電極及び配線層は同層に設けられている。また、上述した各実施形態に示した隔壁25及び導電性接着部30の平面パターンを、画素PIXの平面レイアウトに重ねて示した。図19は、本適用例に係る画素の要部断面図である。ここでは、図19は、図18に示した平面レイアウトを有する画素におけるXIXD−XIXD線(本明細書においては図18中に示したローマ数字の「19」に対応する記号として便宜的に「XIX」を用いる。)に沿った断面を示す。なお、図18、図19において、上述した第1又は第2の適用例と同等の構成については、同一又は同等の符号を付してその説明を簡略化する。
【0155】
図18に示した画素PIXにおいて、画素形成領域Rpxの図面上方及び下方の縁辺領域には、各々、行方向(図面左右方向)に延在するように電源ラインLa及び選択ラインLsが配設されている。一方、画素形成領域Rpxの図面左方及び図面右方の領域には、各々、上記電源ラインLa及び選択ラインLsに直交して、列方向(図面上下方向)に延在するようにデータラインLd及び補助電源ラインLayが配設されている。
【0156】
また、図18に示した表示パネル110においては、例えば図19に示すように、画素形成領域Rpx内のEL素子形成領域Relに開口部が設けられた隔壁25が設けられている。すなわち、本適用例においても、素子基板11上の画素アレイ111に隣接して配列される各画素PIX間の境界領域には、図18、図19に示すように、素子基板11表面から連続的に突出し、格子状の平面パターンを有する隔壁25が設けられている。そして、この隔壁25により囲まれ、かつ、画素電極21が露出した領域(すなわち、上記開口部)がEL素子形成領域Relとして画定されている。
【0157】
データラインLdは、例えば図18、図19に示すように、選択ラインLs及び電源ラインLa、補助電源ラインLayよりも下層側(素子基板11側)に設けられている。データラインLdは、トランジスタTr21〜Tr23のゲート電極Tr21g〜Tr23gと同層に設けられている。また、データラインLdは、図18に示すように、上層のゲート絶縁膜13に設けられたコンタクトホールHL24を介して、トランジスタTr22のソース電極Tr22sに直接接続されている。
【0158】
また、選択ラインLs及び電源ラインLaは、例えば図18、図19に示すように、相互に同層に設けられ、かつ、トランジスタTr21〜Tr23及びデータラインLd、補助電源ラインLayを被覆する絶縁膜24上に設けられている。選択ラインLsは、図12に示すように、下層の絶縁膜24及びゲート絶縁膜13に設けられたコンタクトホールHL22を介して、トランジスタTr21、Tr22のゲート電極Tr21g、Tr22gに直接接続されている。また、電源ラインLaは、例えば図18、図19に示すように、下層の絶縁膜24に設けられたコンタクトホールHL23を介して、補助電源ラインLayに直接接続されている。
【0159】
補助電源ラインLayは、例えば図18、図19に示すように、トランジスタTr21〜Tr23のソース電極Tr21s〜Tr23s及びドレイン電極Tr21d〜Tr23dと同層に設けられている。ここで、補助電源ラインLayは、図18に示すように、トランジスタTr21、Tr23のドレイン電極Tr21d、Tr23dと一体的に形成されている。
【0160】
また、図18に示した画素PIXにおいては、発光駆動回路DCに設けられるトランジスタTr22が、例えば、データラインLdに沿って列方向(図面上下方向)に延在するように配置されている。また、トランジスタTr21、Tr23が、例えば、補助電源ラインLayに沿って列方向に延在するように配置されている。
【0161】
トランジスタTr21〜Tr23はボトムゲート構造を有し、図18、図19に示すように、素子基板11上に形成されたゲート電極Tr21g〜Tr23gを被覆するようにゲート絶縁膜13が設けられ、該ゲート絶縁膜13上の、ゲート電極Tr21g〜Tr23gに対応する領域に半導体層SMC(図18では省略)が設けられている。また、半導体層SMCに形成されるチャネル領域上にはチャネル保護層BLが設けられ、当該チャネル保護層BLを挟んで対向するようにソース電極Tr21s〜Tr23s及びドレイン電極Tr21d〜Tr23dが設けられている。ソース電極Tr21s〜Tr23s及びドレイン電極Tr21d〜Tr23dと半導体層SMCとの間には不純物層OHM(図示を省略)が設けられている。
【0162】
そして、図17(b)に示した発光駆動回路DCの回路構成に対応するように、トランジスタTr21は、図18に示すように、ゲート電極Tr21gがトランジスタTr22のゲート電極Tr22gと一体的に形成されている。また、ゲート電極Tr21gは、ゲート絶縁膜13及び絶縁膜24に設けられたコンタクトホールHL22を介して、選択ラインLsに接続されている。また、ドレイン電極Tr21dは、図18に示すように、補助電源ラインLayと一体的に形成されている。また、ソース電極Tr21sは、図18に示すように、ゲート絶縁膜13に設けられたコンタクトホールHL21を介して、トランジスタTr23のゲート電極Tr23g及びキャパシタCsの下部電極Ecaに接続されている。ここで、コンタクトホールHL21は、図17(b)に示した発光駆動回路DCの接点N21に対応する。
【0163】
また、トランジスタTr22は、図18に示すように、ゲート電極Tr22gがトランジスタTr21のゲート電極Tr21gと一体的に形成されている。また、ゲート電極Tr22gは、ゲート絶縁膜13及び絶縁膜24に設けられたコンタクトホールHL22を介して、選択ラインLsに接続されている。また、ドレイン電極Tr22dは、図18に示すように、キャパシタCsの上部電極Ecbを兼ねる画素電極21に接続されている。また、ソース電極Tr22sは、図18に示すように、ゲート絶縁膜13に設けられたコンタクトホールHL24を介して、データラインLdに接続されている。
【0164】
また、トランジスタTr23は、図18、図19に示すように、ゲート電極Tr23gがゲート絶縁膜13に設けられたコンタクトホールHL22を介して、トランジスタTr21のソース電極Tr21sに接続されている。また、ゲート電極Tr23gは、キャパシタCsの下部電極Ecaに接続されている。また、ドレイン電極Tr23dは、図18、図19に示すように、補助電源ラインLayと一体的に形成されている。また、ソース電極Tr23sは、図18、図19に示すように、キャパシタCsの上部電極Ecbを兼ねる画素電極21に接続されている。
【0165】
キャパシタCsは、図18、図19に示すように、素子基板11上に設けられた下部電極Ecaと、該下部電極Ecaに対向し、アルミニウム等の光反射率が高い金属膜からなる上部電極Ecbと、下部電極Eca及び上部電極Ecb間に介在するゲート絶縁膜13と、を有している。ここで、ゲート絶縁膜13は、キャパシタCsの誘電体層として兼用されている。また、上部電極Ecbは、有機EL素子OELの画素電極21として兼用されている。すなわち、キャパシタCsは、有機EL素子OELの下層側(素子基板11側)に設けられている。そして、下部電極Ecaは、図18、図19に示すように、トランジスタTr21のソース電極Tr21s及びトランジスタTr23のゲート電極Tr23gに接続されている。また、上部電極Ecbとして兼用される画素電極21は、図18、図19に示すように、トランジスタTr22のドレイン電極Tr22d及びトランジスタTr23のソース電極Tr23sと一体的に形成されている。ここで、画素電極21とドレイン電極Tr22d及びソース電極Tr23sとの接続部は、図17(b)に示した発光駆動回路DCの接点N22に対応する。
【0166】
有機EL素子OELは、上述した第1の適用例と同様に、図18、図19に示すように、トランジスタTr22のドレイン電極Tr22d及びトランジスタTr23のソース電極Tr12sに接続された画素電極(アノード電極)21と、有機EL層(発光層)22と、対向電極(カソード電極)23と、を順次積層した素子構造を有している。
【0167】
また、隔壁25は、上述した第1の適用例と同様に、例えば図18、図19に示すように、素子基板11上に配列された画素PIX相互の境界領域に形成された選択ラインLs、データラインLd、電源ラインLa、補助電源ラインLay、トランジスタTr21〜Tr23、及び、絶縁膜24を被覆するように、素子基板11表面から連続的に突出して、格子状の平面パターンを有するように設けられている。ここで、隔壁25は、上述した各実施形態に示したように、例えば感光性の絶縁材料であるポリイミド系の樹脂材料により形成される。
【0168】
そして、上述した発光駆動回路DC、有機EL素子OEL及び隔壁25が形成された素子基板11の一面側には、図18、図19に示すように、導電性を有する導電性接着部30を介して、対向基板12が所定の間隙を有するように貼り合わされている。ここで、本適用例においても、導電性接着部30は、上述した各実施形態に示したように、フィラー31入り導電性接着層32や、導電性スペーサ層33と導電性接着層34からなる積層構造を有するとともに、隔壁25上に延在して設けられた対向電極(カソード電極)23よりも配線抵抗が低くなるように設定されている。また、導電性接着部30は、上述した各実施形態に示したように、素子基板11側に形成された隔壁25の平面パターンに沿って連続して延伸するように、例えば図18に示すように格子状の平面パターンを有して設けられている。
【0169】
なお、図19においては、上述した第2の実施形態に示したパネル構造(図5参照)に対応した画素PIXの要部断面図を示すが、導電性接着部30としてフィラー31入り導電性接着層32を適用することにより、上述した第1の実施形態に示したパネル構造(図2参照)に対応した画素の要部断面図となる。さらに、図19において、対向基板12の接着面側に補助電極層35を設け、導電性接着部30を介して、素子基板11と対向基板12とを接着することにより、上述した第3及び第4の実施形態に示したパネル構造(図7、図9参照)に対応した画素の要部断面図となる。
【0170】
このように、本適用例に係る表示装置100の表示パネル110が、上述した第1及び第2の実施形態に示したパネル構造を有する場合には、連続する平面パターン(例えば図18に示した格子状)を有する導電性接着部30が、素子基板11側の対向電極23に電気的に接続されるとともに、当該導電性接着部30を介して、素子基板11と対向基板12が所定の間隙(基板間ギャップ)を有して強固に接着される。
【0171】
一方、本適用例に係る表示装置100の表示パネル110が、上述した第3及び第4の実施形態に示したパネル構造を有する場合には、連続する平面パターン(例えば図18に示した格子状)を有する導電性接着部30が、素子基板11側の対向電極23と対向基板12側の補助電極層35との双方に電気的に接続されるとともに、当該導電性接着部30を介して、素子基板11と対向基板12が所定の間隙(基板間ギャップ)を有して強固に接着される。
【0172】
したがって、本適用例に係る表示装置においても、表示パネル110の各画素PIX(有機EL素子OEL)に供給される基準電圧Vsc(動作電圧)の低下を抑制して、画像データに応じた適切な電位差を印加することができるので、適切な輝度階調で発光動作させることができ、画質を向上させることができる。また、本適用例においても、表示パネル110に押圧力が印加された場合や歪みが生じた場合であっても、素子基板11と対向基板12の間隙(基板間ギャップ)を均一に保持して、良好な画質を実現することができるとともに、有機EL素子OELやトランジスタTr21〜Tr23、配線等の破損や特性劣化、封止破損を防止して、製造歩留まりや品質の向上を図ることができる。
【0173】
(第4の適用例)
次に、第4の適用例に係る表示装置における画素(発光駆動回路及び有機EL素子)の具体的なデバイス構造(平面レイアウト及び断面構造)について説明する。ここで、表示装置及び画素の構成は、上述した第3の適用例と同等であるので説明を省略する。
【0174】
図20は、第4の適用例に係る画素の一例を示す平面レイアウト図である。ここでは、第3の適用例に示した画素の平面レイアウト(図18参照)において、上述した第3及び第4の実施形態に示した導電性接着部30の配置位置の例を概念的に示した。図21は、本適用例に係る画素の要部断面図である。ここでは、図21は、図20に示した平面レイアウトを有する画素におけるXXIE−XVIE線(本明細書においては図20中に示したローマ数字の「21」に対応する記号として便宜的に「XXI」を用いる。)に沿った断面を示す。なお、図20、図21において、上述した第3の適用例と同等の構成については、説明を簡略化する。
【0175】
本適用例においては、上述した第2の適用例と同様に、例えば図20、図21に示すように、各画素PIX間に設けられる隔壁25上の任意の位置Psetに、導電性を有する導電性接着部30が島状(スポット状)に設けられている。また、対向基板12の接着面側には、図21に示すように、画素アレイ111に対応する領域に補助電極層35が設けられている。そして、素子基板11側の隔壁25上に延在して設けられた対向電極23と対向基板12側の補助電極層35とが、島状(スポット状)に設けられた導電性を有する導電性接着部30を介して電気的に接続されているとともに、素子基板11と対向基板12とが所定の間隙を有して強固に接着されている。
【0176】
ここで、導電性接着部30は、上述した各実施形態に示したように、フィラー31入り導電性接着層32や、導電性スペーサ層33と導電性接着層34からなる積層構造を有し、隔壁25の下層にトランジスタTr21〜Tr23や、配線相互の交差、電極の重なり等がない領域(例えば図20、図21の位置Pset)の隔壁25上に1乃至数カ所配置することが望ましい。また、導電性接着部30は、例えば方形や円形の平面形状を有するものが適用される。
【0177】
また、本適用例においても、導電性接着部30は、画素アレイ111内の全ての画素PIXの画素形成領域Rpxごとに1乃至数カ所設けられているものであってもよいし、数画素PIXからなる領域ごとに1乃至数カ所設けられているものであってもよいし、画素アレイ111全体に1乃至数カ所のみ設けられているものであってもよい。
このようなパネル構造により、本適用例に係る表示装置においても、上述した第3の適用例と同等の作用効果を得ることができる。
【0178】
また、上述した第1及び第3の適用例(図13、図14又は図18、図19)に示したように、導電性接着部30を素子基板11側に形成された隔壁25の平面パターンに沿って連続して延伸するように、格子状の平面パターンに形成したパネル構造においては、次のような作用効果を得ることもできる。すなわち、上述した適用例に係る表示パネル110においては、図13、図18に示したように、画素アレイ111に配列された各画素PIX間の境界領域に、選択ラインLsやデータラインLd、電源ラインLa等の信号配線や、トランジスタTr11、Tr12、Tr21〜Tr23等の能動素子が設けられている。このような平面レイアウトを、トップエミッション型の発光構造を有する表示パネル110に適用した場合、表示パネル110の外部から入射した光(外光)が、上記の信号配線や能動素子の電極により反射して、視野側から認識されてしまうため、画質が劣化する可能性がある。
【0179】
そこで、上述した第1及び第3の適用例に示したパネル構造において、導電性接着部30を、遮光性を有する材料を用いて形成することにより、各画素PIX間の境界領域に設けられる選択ラインLsやデータラインLd、電源ラインLa等の信号配線や、トランジスタTr11、Tr12、Tr21〜Tr23等の能動素子の電極による外光反射が抑制され、各画素PIX(有機EL素子OEL)からの放射光のみが良好に視野側に出射されて視認されるので、画質を向上させることができる。
【0180】
さらに、この第1及び第3の適用例に示したパネル構造において、トランジスタTr11、Tr12、Tr21〜Tr23等の薄膜トランジスタがボトムゲート構造を有し、表示パネル110がトップエミッション型の発光構造を有している場合、外光が隔壁25を介して各薄膜トランジスタのチャネル領域が形成される半導体層に入射され、それによってリーク電流等が発生して、各薄膜トランジスタの特性が変動したり誤動作が生じたりし易い。これに対し、導電性接着部30を、遮光性を有する材料を用いて形成することにより、各薄膜トランジスタの半導体層への外光の入射が抑制されて、薄膜トランジスタの特性を安定させ誤動作が発生しないようにすることができる。
【0181】
<電子機器の適用例>
次に、上述した各実施形態に係る表示装置を適用した電子機器について図面を参照して説明する。
上述した各実施形態に示したパネル構造を有する表示パネル110を備える表示装置100は、例えばデジタルカメラや薄型テレビジョン、パーソナルコンピュータ、携帯電話機等、種々の電子機器の表示デバイスとして良好に適用できるものである。
【0182】
図22は、本発明に係る発光装置を適用したデジタルカメラの構成例を示す斜視図であり、図23は、本発明に係る発光装置を適用した薄型テレビジョンの構成例を示す斜視図であり、図24は、本発明に係る発光装置を適用したパーソナルコンピュータの構成例を示す斜視図であり、図25は、本発明に係る発光装置を適用した携帯電話機の構成例を示す図である。
【0183】
図22において、デジタルカメラ210は、大別して、本体部211と、レンズ部212と、操作部213と、上述した各実施形態に示した表示パネル110を備える表示装置100を適用した表示部214と、シャッターボタン215とを備えている。これによれば、表示部214において、画像データに応じた適切な輝度階調で発光動作させることができ、画質を向上させることができる。また、画素アレイ(発光素子や駆動回路、信号配線等)の破損や特性劣化を防止して製造歩留まりや品質の向上を図ることができる。
【0184】
また、図23において、薄型テレビジョン220は、大別して、本体部221と、上述した各実施形態に示した表示パネル110を備える表示装置100を適用した表示部222と、操作用コントローラ(リモコン)223と、を備えている。これによれば、表示部222において、画像データに応じた適切な輝度階調で発光動作させることができ、画質を向上させることができる。また、画素アレイ(発光素子や駆動回路、信号配線等)の破損や特性劣化を防止して製造歩留まりや品質の向上を図ることができる。
【0185】
また、図24において、パーソナルコンピュータ230は、大別して、本体部231と、キーボード232と、上述した各実施形態に示した表示パネル110を備える表示装置100を適用した表示部233とを備えている。この場合においても、表示部233において、画像データに応じた適切な輝度階調で発光動作させることができ、画質を向上させることができる。また、画素アレイ(発光素子や駆動回路、信号配線等)の破損や特性劣化を防止して製造歩留まりや品質の向上を図ることができる。
【0186】
また、図25において、携帯電話機240は、大別して、操作部241と、受話口242と、送話口243と、上述した各実施形態に示した表示パネル110を備える表示装置100を適用した表示部244とを備えている。この場合においても、表示部244において、画像データに応じた適切な輝度階調で発光動作させることができ、画質を向上させることができる。また、画素アレイ(発光素子や駆動回路、信号配線等)の破損や特性劣化を防止して製造歩留まりや品質の向上を図ることができる。
【0187】
なお、上述した各電子機器においては、本発明に係る発光パネルを、複数の画素が二次元配列された表示パネルとして適用した場合について詳しく説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明に係る発光装置は、例えば発光素子を有する複数の画素が一方向に配列された発光素子アレイを備え、感光体ドラムに画像データに応じて発光素子アレイから出射した光を照射して露光する露光装置に適用するものであってもよい。
【符号の説明】
【0188】
11 素子基板
12 対向基板
21 画素電極
22 有機EL層
23 対向電極
25 隔壁
30 導電性接着部
31 フィラー
32 導電性接着層
33 導電性スペーサ層
34 導電性接着層
40 シール部
41 フィラー
42 封止層
50 封止空間
100 表示装置
110 表示パネル
111 画素アレイ
PIX 画素
OEL 有機EL素子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光層と該発光層を介して互いに対向する一対の電極とを有してなる発光素子を有する複数の画素と、前記各画素の前記発光素子の形成領域を区画する境界領域に連続的に設けられた隔壁と、が一面側に設けられ、前記発光素子の前記一対の電極の何れか一方をなす電極層が前記隔壁上に延在して設けられた第1の基板と、
一面側が前記第1の基板の前記一面側に対向して設けられ、前記第1の基板の前記一面側を封止する第2の基板と、
導電性接着剤を含んで前記隔壁上の前記電極層のみに接着して設けられ、該電極層に電気的に接続されるとともに、前記第2の基板の前記一面側に接着される導電性接着層と、
を備えることを特徴とする発光パネル。
【請求項2】
前記第2の基板の前記一面側の前記導電性接着層に対応する領域に密着して設けられ、所定の厚みを有し、導電性を有する導電性スペーサ層を有し、
前記導電性接着層は、前記導電性スペーサ層と前記第1の基板の前記一面側との間に設けられて、該導電性スペーサ層の前記第1の基板の前記一面側に対向する面と前記第1の基板の前記一面側とに接着されることを特徴とする請求項1記載の発光パネル。
【請求項3】
前記発光素子はトップエミッション構造を有し、
前記各画素は、少なくとも、前記発光素子を発光駆動させるための複数の薄膜トランジスタを備え、該各薄膜トランジスタはゲート電極が半導体層の下部に設けられたボトムゲート構造を有し、
前記導電性スペーサ層及び前記導電性接着層は前記隔壁の平面パターンに対応した連続する平面パターンを有し、前記導電性スペーサ層及び前記導電性接着層の少なくとも何れか一方は遮光性を有していることを特徴とする請求項2記載の発光パネル。
【請求項4】
前記第2の基板の前記一面側の、前記複数の画素に対応する領域に設けられた補助電極層を有し、
前記導電性接着層は、前記第1の基板の前記電極層と、前記第2の基板の前記補助電極層とを電気的に接続していることを特徴とする請求項1記載の発光パネル。
【請求項5】
前記各画素は、前記発光素子を発光駆動させるためのスイッチング素子と、前記発光素子を発光駆動させるための各種信号が印加される複数の配線と、を具備し、
前記スイッチング素子及び前記複数の配線の少なくとも一部は、前記隔壁の下層に設けられ、
前記導電性接着層は、前記隔壁上の、少なくとも前記スイッチング素子の形成領域、及び、前記複数の配線の交差領域に対応する領域以外の予め設定された領域に設けられていることを特徴とする請求項4記載の発光パネル。
【請求項6】
前記第2の基板の前記補助電極層上の前記導電性接着層に対応する領域に密着して設けられ、所定の厚みを有し、導電性を有する導電性スペーサ層を有し、
前記導電性接着層は、前記導電性スペーサ層と前記第1の基板の前記一面側との間に設けられて、該導電性スペーサ層の前記第1の基板の前記一面側に対向する面と前記第1の基板の前記一面側とに接着されることを特徴とする請求項5記載の発光パネル。
【請求項7】
第1の基板の一面側に、発光層と該発光層を介して互いに対向する一対の電極とを有してなる発光素子を有する複数の画素を形成する工程と、
前記第1の基板の前記一面側の、前記各画素の前記発光素子の形成領域を区画する境界領域に連続的に設けられる隔壁上に、前記発光素子の前記一対の電極の何れか一方をなす電極層を延在して形成する工程と、
前記第1の基板の前記一面側を封止するための第2の基板を準備する工程と、
前記第1の基板の前記隔壁上の前記電極層上のみ又は前記第2の基板の一面側であって、前記第1の基板の前記隔壁上の前記電極層に対応する領域のみに、導電性接着剤による導電性接着剤層を形成する工程と、
前記第1の基板の前記一面側に前記第2の基板の一面側を対向させ、押圧力を印加して、前記接着剤層を介して、前記第1の基板と前記第2の基板とを貼り合わせる工程と、
前記第1の基板と前記第2の基板とを貼り合わせた状態で、前記導電性接着剤層を所定の条件により硬化させて導電性接着層を形成し、該導電性接着層を前記隔壁上の前記電極層に電気的に接続するとともに、該導電性接着層を介して前記第1の基板と前記第2の基板とを接着する工程と、
を含むことを特徴とする発光パネルの製造方法。
【請求項8】
前記第2の基板を準備する工程は、前記第2の基板の前記一面側の、前記複数の画素に対応する領域に補助電極層を形成する工程を含み、
前記第1の基板と前記第2の基板とを接着する工程は、前記導電性接着層を介して、前記第1の基板の前記電極層と前記第2の基板の前記補助電極層とを電気的に接続する工程を含むことを特徴とする請求項7記載の発光パネルの製造方法。
【請求項9】
前記第2の基板を準備する工程は、前記第2の基板の前記一面側の前記導電性接着層が設けられる領域に対応する領域に、所定の厚みを有し、導電性を有する導電性スペーサ層を形成する工程を含み、
前記導電性接着剤層を形成する工程は、前記導電性スペーサ層の前記第1の基板の前記一面側に対向する側の面に前記導電性接着剤層を形成する工程を含むことを特徴とする請求項7又は8に記載の発光パネルの製造方法。
【請求項10】
発光層と、該発光層を介して互いに対向する一対の電極と、を有してなる発光素子を有する複数の画素と、前記各画素の前記発光素子の形成領域を区画する境界領域に連続的に設けられた隔壁と、該複数の画素に接続された複数の選択ライン及び複数のデータラインとが一面側に設けられ、前記発光素子の前記一対の電極の何れか一方をなす電極層が前記隔壁上に延在して設けられた第1の基板と、一面側が前記第1の基板の前記一面側に対向して設けられ、前記第1の基板の前記一面側を封止する第2の基板と、導電性接着剤を含んで前記隔壁上の前記電極層のみに接着して設けられ、該電極層に電気的に接続されるとともに、前記第2の基板の前記一面側に接着される導電性接着層と、を具備する発光パネルと、
前記各選択ラインを介して、前記画素を選択状態に設定するための選択信号を印加する選択駆動回路と、
前記各データラインを介して、前記選択状態に設定された前記画素に画像データに応じた階調信号を書き込む信号駆動回路と、
を備えていることを特徴とする発光装置。
【請求項11】
前記第2の基板の前記一面側の前記導電性接着層に対応する領域に密着して設けられ、所定の厚みを有し、導電性を有する導電性スペーサ層を有し、
前記導電性接着層は、前記導電性スペーサ層と前記第1の基板の前記一面側との間に設けられて、該導電性スペーサ層の前記第1の基板の前記一面側に対向する面と前記第1の基板の前記一面側とに接着されることを特徴とする請求項10記載の発光装置。
【請求項12】
前記第2の基板の前記一面側の、前記複数の画素に対応する領域に設けられた補助電極層を有し、
前記導電性接着層は、前記第1の基板の前記電極層と、前記第2の基板の前記補助電極層とを電気的に接続していることを特徴とする請求項10記載の発光装置。
【請求項13】
請求項10乃至12のいずれかに記載の発光装置が実装されてなることを特徴とする電子機器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate


【公開番号】特開2012−59640(P2012−59640A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−203680(P2010−203680)
【出願日】平成22年9月10日(2010.9.10)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】