説明

発光ロープ、発色ロープ及び色彩表示体を取り付けたロープ並びにこれらを用いたマーキング方法

【課題】LED等の発光手段、又は、所望の色彩を呈する発色手段、を用いて、光学式認識コードをマーキングすることである。
【解決手段】赤色LED20と、青色LED22と、緑色LED24と、を一塊りにして組み合わせ、LED発光体40を構成する。このLED発光体40を所定間隔で100組程度接続して構成されている。また、発光ロープ10は、LED発光体40に電力を供給しその発光を制御する制御装置52と、を含んでいる。制御装置52は、外部から供給された情報を光学式認識コードに変換し、その光学式認識コードとなるように、各LEDの点灯/消灯を制御する。発光ロープ10を被印物に掛けることによって容易に光学式認識コードをマーキングすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、色彩を用いた光学式認識コードの新しいマーキング方法、及び、その方法を実現する手段に関する。
【背景技術】
【0002】
古典的な白と黒とから成るバーコードに比べて飛躍的に情報量を増やすことができる等の理由によって、白と黒以外の有彩色を利用した色彩付きの光学式認識コードが種々知られている。
【0003】
これらの白黒のバーコードや、有彩色のバーコードは、いずれも「バー」の位置・幅が厳密に定められているコードである。
【0004】
これに対して、色の遷移や組み合わせで情報を表し、各「バー」に厳密な位置や幅(大きさ)を要求しない光学式認識コードが最近開発されている。
【0005】
例えば、下記特許文献1には、有彩色を利用して、色の遷移や組み合わせで情報を表す光学式認識コードが開示されている。ここで開示されている光学式認識コードは、各セルに色を付して情報を表すが、その「セル」の位置や大きさは表そうとする情報には直接には影響を及ぼさない。あくまでも情報は、セルに付された色彩の組み合わせ・遷移(変化)によって表される。なお、ここで言うセルとは、所定の色が付された領域を言い、従来のバーコードの「バー」又は「スペース」に相当するものである。
【0006】
また、本願発明者らは、例えば、「1Dカラービットコード」と呼ぶ光学式認識コード(特願2006−196705)や、「1.5Dカラービットコード」と呼ぶ光学式認識コード(特願2006−196548)を独自に開発している。これらも、上記特許文献1と同様に、色彩の遷移(変化)・組み合わせによって情報を表しており、各セルの位置や大きさは「固定」ではなくかなりの自由度が存在する。理論的には、位置や大きさは完全に自由であるが、読み取りの際の効率等を考慮して事実上、セルの大きさはある程度は必要である。しかし、読み取りが円滑に行える限り、セルの大きさや位置には一切制限は存在しない。
【0007】
このように、色彩の遷移等で情報を表す新しい種類の光学式認識コードは、従来の古典的なバーコード、あるいはそれ(バー)に色(有彩色)を付したカラーバーコードと異なり、その表現するデータは、コードを構成するマーキングパターンの寸法形状には直接には依存しないという特徴を有している。すなわち、上で述べたように、マーキングされた色の順番もしくは境界部分の色の前後関係のみに依存するのである。
【0008】
さて、本発明はこのような自動認識のためのマーキング技術分野に属し、上記新しい種類のコードの特徴を生かすことで、従来では達成困難な用途にマーキングを施し、自動認識技術の活用分野を拡大しようとするものである。
【0009】
従来のバーコードは白黒(明暗)の太さや位置でデータを表現するため、マーキングもこれら太さや位置情報が正確に表現できる方法が求められた。したがって、この従来のバーコードでは、通常のマーキング方法は「正確な印刷」であり、バーコードを付する媒体は伸縮しない紙の表面や、固形物上の平坦な物体面(平面)などであった。
【0010】
然るに、上述した新しい種類の光学式認識コード(以下、このような種類の認識コードを、便宜上「カラービットコード」と呼ぶ)は色の並び順のみでデータを表現するものであるから、マーキングにおいて従来のバーコードとは全く別の手段が可能になる。
【0011】
このように、本特許では、「カラービットコード」という用語を、光学式認識コードであって、色彩の遷移・変化・組み合わせ等で情報を表す新しい種類の光学式認識コードを表す総称として用いている。
【0012】
すなわち、マーキング手段自身や、マーキング作業環境が起因となって寸法精度を出しにくい手段であっても、色の順番が所定の配列でさえあればカラービットコードのマーキングとして有用である。
【0013】
しかしながら、カラービットコードの上記特徴に鑑みたマーキング方法は、未だ知られていない。
【0014】
従来のマーキング技術
すなわち、従来から知られているバーコードのマーキング技術は、被印字物の表面への印刷やインクジェット、熱転写、等のプリンティングやレーザーマーキング、又はあらかじめマーキングされたシールの貼り付けのようなマーキング技術も知られている。
【0015】
しかし、これらのマーキング技術は、マーキング条件が厳密に調整されたプリンタや印刷機器、専用マーキング機器などを前提としており、このようなマーキング技術をカラービットコードに対して適用した場合は、むしろ必要以上の寸法精度が得られる。もちろんこれは何ら問題ではない。
【0016】
このような従来のマーキング技術は、一方において、異形面や凹凸面、またラフな位置精度など、形状、位置精度が不安定な対象物へのマーキングは困難である。具体的には、マーキングそのものができなかったり、更に過剰な設備や調整が必要であったりする等である。
【0017】
ところが、上述したように、新しい種類の「カラービットコード」は、高い印字精度を必要としないので、柔軟な材質や、凹凸面にも理論上マーキング可能であり、且つ、読み取り可能であるという特徴を有しているので、むしろ、異形面、凹凸面、柔軟な材質へのマーキングこそ、容易に行える技術が望まれている。
【0018】
繰り返しになるが、従来の自動認識用マーキング手段としては、従来のバーコード用の「印刷」や「プリンタ」の如き手段である。これらは、伸縮性をほとんど有しない材質の、ある程度平らな面、を前提としているので、柔軟な材質や、凹凸面へのマーキングには適さないことは容易に理解できよう。
【0019】
そこで、その他の伸縮性のある材質や柔軟な材質や、凹凸面にマーキングするのに適した技術が望まれている。これらは、「ラフなマーキング」、あるいは「塗装」や「描画」といった広範囲の技術を応用するものが好ましいとは考えられるが、未だそのような技術は知られていない。
【0020】
更に、マーキング作業の環境をみても、従来のバーコードマーキング手段は印刷やプリンタ技術が適用できる環境下に限られており、これ以外の異なった環境下での技術は開発されていない。
【0021】
新しい種類の光学式認識コードの対象物への付与
そこで、上述した新しい種類のカラービットコードを用いる場合は、従来の自動認識用マーキング(=バーコードマーキング)では困難な場合でもマーキングできる技術が望ましい。例えば、
(1)寸法精度を正確に保つことの困難な形状の物体へのマーキング
(2)寸法精度を正確に保つことの困難な環境条件下でのマーキング
(3)寸法精度を正確に保つことが困難な媒体を用いたマーキング
が望まれている。
【0022】
用語
ここで、用語の説明を行う。
「困難な形状の物体」における「物体」とは、光学式認識コードを付与する対象物を言い。特に「被印物」と呼ぶ場合もある。困難な形状とは、その表面が平滑な面ではなく、通常の印刷やシールの貼付が困難な場合を言う。例えば、凹凸面、ざらざらした面、波状面、起毛した面、等を言う。ここでは、形状という表現を採用したが、要するに印刷やシールの貼付が困難な場合一般を意味する。
【0023】
このような印刷の寸法精度を正確に保つことが困難な対象物に対しても、カラービットコードを付与したいという要望は大きい。
【0024】
「困難な環境条件」とは、温度や湿度等の条件が厳しい場合を言う。
【0025】
「困難な媒体」における「媒体」とは、光学式認識コードを付与するに際して、前記「困難な形状の物体」に付着する媒体を言う。具体的には「インク」などを言い、その他、光学式認識コードを印字した「粘着シール」や「タグ」等もここで言う「媒体」の一つである。
【0026】
また、光学式認識コードを対象物に付する動作を「マーキング」と呼ぶ。例えば、従来の手法で言えば、印刷や(粘着)シールの貼付、タグの取り付け、等が「マーキング」の好適な一例であった。
【0027】
従来の先行特許技術
例えば、下記特許文献1には、色の組み合わせ、色の遷移によって情報を表すコードの例が示されている。
【0028】
また、下記特許文献2には、レーザー波長によって異なる色彩の発色を可能とした材料が示されている。
【0029】
また、下記特許文献3には、LEDを用いて種々の色彩の発色を可能とした構成が開示されている。
【0030】
【特許文献1】特開2003−281481号公報
【特許文献2】特開2006−256308号公報
【特許文献3】特開2001−175202号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0031】
本発明は、以上述べたような状況に基づきなされたものであり、その目的はLED等の発光手段、又は、所望の色彩を呈する発色手段、を用いて、カラービットコード等の光学式認識コードをマーキングすることである。
【0032】
また、本発明の他の目的は、印刷や粘着シールの貼付等を経ずに簡単な作業でマーキングが可能な方法・手段を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0033】
単色又は複数色の光を発光するLEDなどの発光素子は既に知られている。本発明の一つの特徴は、このような発光素子を用いてカラービットコードをマーキングすることである。
【0034】
これらの発光素子は、あらかじめ配列することが容易である。
【0035】
例えば、近年、装飾用にLEDを鎖状に数珠繋ぎにし、一本の光るロープとして構成したものが知られている。このような発光ロープは、クリスマスツリーや窓などの光る装飾として利用される。多くの場合、50個から100個程度のLEDを数cm〜数10cm間隔で連結した構造をなしている。
【0036】
このような発光ロープは、ロープを構成するLEDの配列順を変えず自由に屈曲させることが可能である。一方、その発光ロープを構成するLEDは発光色(又は色の組み合わせ)が決まっており、ユーザーはお好みの色(の組み合わせ)の発光ロープを選んで購入する。
【0037】
従来の発光ロープは、LEDが全て直列に接続され、各LEDを独立に点灯/消灯することは困難であった。
【0038】
これに対し、本発明の1形態においては、各LEDを独立に点灯/消灯制御可能に構成し、これによって、所望の色彩を発光、所望の色彩の並びで発光させることを可能にしたものである。
【0039】
例えば、100個のLEDから成る発光ロープのそれぞれのLEDの点灯、消灯を制御するには、個別に導線を接続すればよい。アース線は共通とすることができるので、合計101本の導線を用いれば各LEDの点灯/消灯を個別に制御することができる。
【0040】
十分に細い導線を用いれば、101本程度の導線を十分に柔軟なロープとして構成することは可能である。そして、各LEDの点灯/消灯を制御すれば色彩の組み合わせや遷移(変化)等で情報を表す光学式認識コードを表現させることが可能である。
【0041】
したがって、このような発光ロープを、所定の商品や物品(被印物)に掛けたり、巻き付けたりすれば、極めて容易に被印物に光学式認識コード(例えばカラービットコード)を付与することが可能である。これが本発明の原理である。
【0042】
したがって、従来のバーコードマーキングでは困難な、曲面や変形面にも適用することが可能となる。また各色の発光素子の距離が多少ばらついたり、例えば発光素子列を透明なチューブ内に入れて固定するなどの光学的なばらつきの大きい手段であってもカラービットコードマーキングとして使えるので、より簡便な手段で自動認識マーキングを行うことが可能である。
【0043】
なお、後述する実施の形態で詳細に説明するように、発光していなくても、所定の色を呈する発色体でも同様に利用することができる。
【0044】
以下、具体的な手段を説明する。
【0045】
(1)本発明は、上記課題を解決するために、柔軟性のあるひも状のロープ部と、前記ロープ部に、所定間隔で取り付けられ、所定の色彩の光を発する複数の発光体と、前記複数の発光体のそれぞれを発光又は消灯させる制御装置と、を含む発光ロープである。
【0046】
(2)また、本発明は、上記(1)記載の発光ロープにおいて、前記発光体は、複数種の色彩の光を発光可能な発光体であり、前記制御装置は、前記複数の発光体のそれぞれに対して、発光する色を選択して発光させる又は消灯させる制御を行うことを特徴とする発光ロープである。
【0047】
(3)また、本発明は、上記(1)記載の発光ロープにおいて、前記各発光体は、互いに異なる色彩の光を発光可能な発光素子が複数個集合して構成され、いずれの発光素子が発光するかによって異なる色彩を発色する発光体であり、前記制御装置は、前記発光体を構成する前記発光素子のそれぞれに対して、発光させる又は消灯させる制御を行うことを特徴とする発光ロープである。
【0048】
(4)また、本発明は、上記(1)記載の発光ロープにおいて、前記発光体は、それぞれ所定の1種の色彩の光を発光可能な発光体であることを特徴とする発光ロープである。
【0049】
(5)また、本発明は、上記(1)記載の発光ロープにおいて、前記発光体は、電流によって発光する素子であることを特徴とする発光ロープである。
【0050】
(6)また、本発明は、上記(3)記載の発光ロープにおいて、前記発光素子は、電流によって発光する素子であることを特徴とする発光ロープである。
【0051】
(7)また、本発明は、上記(1)記載の発光ロープにおいて、前記制御装置は、前記発光体を点灯又は消灯を制御し、前記発光体を点灯制御する場合は、その輝度も含めて制御することを特徴とする発光ロープである。
【0052】
(8)また、本発明は、上記(1)〜(7)のいずれかに記載の発光ロープにおいて、前記制御装置は、外部から情報を入力する入力手段を有し、前記制御装置は、前記発光体が発光する光の色彩の並びが、前記入力した情報を表す光学式認識コードを形成するように、前記発光体の発光/消灯を制御することを特徴とする発光ロープである。
【0053】
(9)また、本発明は、上記(1)〜(8)のいずれかに記載の発光ロープを、被印物に掛ける、又は、巻き付けることによって、前記被印物に、前記発光ロープが発光する光の色彩によって表される光学式認識コードをマーキングする方法である。
【0054】
(10)本発明は、上記課題を解決するために、柔軟性のあるひも状のロープ部と、前記ロープ部に、所定間隔で取り付けられ、所定の色彩を呈する複数の発色体と、前記複数の発色体のそれぞれに色彩を呈示/非呈示させる制御装置と、を含む発色ロープである。
【0055】
(11)また、本発明は、上記(10)に記載の発色ロープにおいて、前記制御装置は、外部から情報を入力する入力手段を有し、前記制御装置は、前記発色体が呈する色彩の並びが、前記入力した情報を表す光学式認識コードを形成するように、前記発色体の色彩の呈示/非呈示を制御することを特徴とする発色ロープである。
【0056】
(12)また、本発明は、上記(10)又は(11)に記載の発色ロープを、被印物に掛ける、又は、巻き付けることによって、前記被印物に、前記発色ロープが呈する色彩によって表される光学式認識コードをマーキングする方法である。
【0057】
(13)本発明は、上記課題を解決するために、柔軟性のあるひも状のロープ部と、前記ロープ部に、所定間隔で取り付けられ、所定の色彩を呈する複数の色彩表示体と、前記複数の色彩表示体のそれぞれに色彩を呈示/非呈示させる制御装置と、を含む色彩表示体を取り付けたロープである。
【0058】
(14)また、本発明は、上記(13)に記載の色彩表示体を取り付けたロープにおいて、前記制御装置は、外部から情報を入力する入力手段を有し、前記制御装置は、前記色彩表示体が呈する色彩の並びが、前記入力した情報を表す光学式認識コードを形成するように、前記色彩表示体の色彩の呈示/非呈示を制御することを特徴とする色彩表示体を取り付けたロープである。
【0059】
(15)また、本発明は、上記(13)又は(14)に記載の色彩表示体を取り付けたロープを、被印物に掛ける、又は、巻き付けることによって、前記被印物に、前記色彩表示体を取り付けたロープが呈する色彩によって表される光学式認識コードをマーキングする方法である。
【発明の効果】
【0060】
以上述べたように、本発明によれば、ロープ状の媒体を被印物に掛ける、巻き付ける等の作業によって、容易にマーキングを行うことが可能である。
【0061】
また、表示される光学式認識コードの内容を制御する制御装置に表したい情報を供給することによって、容易に所望の光学式認識コードを被印物に対してマーキングすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0062】
以下、図面を参照して、本発明に係るカラービットマーキングの好適な実施の形態について詳細に説明する。
【0063】
1.概要(原理)
本実施の形態においては、複数色(又は所定の単色)に発光する物体もしく複数の異なる単色発光物体群を、複数、略線形(線状)に配置し、これらを制御する制御装置によって、カラービットコードの符号規則に則って発光させる。
【0064】
符号規則は、世の中で知られている任意の規則を採用することが可能である。換言すれば、任意の光学式認識コードを採用することができる。
【0065】
2.実施の形態1
本実施の形態1に係る発光ロープ10では、赤色LED20と、青色LED22と、緑色LED24と、を一塊りにして組み合わせ、LED発光体40を構成する。このLED発光体40を所定間隔で例えば100組程度接続して構成されている。この発光ロープ10の概念図が図1に示されている。
【0066】
発光ロープ10は、上述したLED発光体40が所定間隔で配置されているロープ部50と、LED発光体40に電力を供給しその発光を制御する制御装置52と、を含んでいる。
【0067】
ロープ部50は、LED発光体40を構成する赤色LED20と、青色LED22と、緑色LED24に電力を供給する導線を内蔵するロープであり、中空のパイプ等が好適に用いられる。柔軟性を確保するために軟質ビニル、軟質プラスチック等で構成することが好ましい。
【0068】
このロープ部50は、柔軟性があり、所定のLED発光体40を取り付けることができればどのようなものでも構わない。例えば、細い糸状のもの(例えばナイロンによるテグスなど)はもちろんのこと、金属製のワイヤーなどでも構わない。また、上述したように、電力を供給する導線を用いるが、この導線その物をロープ部50としても良く、またこの導線に所定の被覆が施されている構成も好ましい。その他、種々のひも状の材料を用いることができる。
【0069】
ロープ部50の一方の端は制御装置52に接続している。制御装置52は、各LEDへの導線が集中しており、各LED毎にその点灯/消灯を制御することができる。また、この制御装置52へは、外部商用電源からの電力が供給されている(不図示)。
【0070】
好ましくは、この制御装置52はコンピュータ(マイコン等が好ましい)で構成することが好ましく、所定のデータに基づき、そのデータを表す光学式認識コードとなるように、各LEDの点灯/消灯を制御する。
【0071】
一般的には、制御装置52に所定のインターフェース、例えばUSBや、LANのインターフェースを設け、このインターフェースを介して外部から表示したい情報をこの制御装置52に与えることが好ましい。制御装置52は、供給された情報を光学式認識コードに変換し、その光学式認識コードとなるように、各LEDの点灯/消灯を制御する。
【0072】
なお、LED発光体40は、RGB3色のLEDから成るので、それぞれの点灯/消灯を制御することによって、8色の色彩を表すことが可能である。色彩の数を増やすためには、単なる点灯/消灯だけでなく、輝度も制御すればよいが、LEDに供給する電流の大きさを変化させる必要があるので制御回路は多少複雑になる。しかし、電流の大きさを変える回路は従来から知られているので、当業者であれば、RGB3色の各LEDの輝度をそれぞれ制御するように電流値を変えることは容易に実行することができる。
【0073】
変形例
なお、本実施の形態1では、3色のLEDを一塊りにする例を示したが、3個のLEDを1個のLED素子として構成したいわゆるフルカラーLEDも知られている。そのため、上記実施の形態1における赤色LED20と、青色LED22と、緑色LED24とを、1個のフルカラーLEDに変えても好ましい。
【0074】
3.実施の形態2
本実施の形態2に係る発光ロープ60では、赤色LED70と、青色LED72と、緑色LED74と、を順に所定間隔でロープ部80上に配置している。例えば、赤色LED70と、青色LED72と、緑色LED74と、を順に33個ずつ所定間隔で接続して構成されている。この発光ロープ60の概念図が図2に示されている。
【0075】
発光ロープ60は、上述した赤色LED70と、青色LED72と、緑色LED74と、が順番に所定間隔で配置されているロープ部80と、各LEDに電力を供給しその発光を制御する制御装置82と、を含んでいる。
【0076】
ロープ部80は、図1におけるロープ部50と同様の構成である。
【0077】
ロープ部80の一方の端は制御装置82に接続している。制御装置82は、各LEDへの導線が集中しており、各LED毎にその点灯/消灯を制御することができることは図1の例と同様である。また、同様にこの制御装置82へは、外部商用電源からの電力が供給されている(不図示)。
【0078】
図1と同様に、この制御装置82はコンピュータ(マイコン等が好ましい)で構成することが好ましく、所定のデータに基づき、そのデータを表す光学式認識コードとなるように、各LEDの点灯/消灯を制御する。
【0079】
図2に示す例では、赤色LED70と、青色LED72と、緑色LED74と、個別に順番に配置されているので、光学式認識コードの色彩の構成によっては、各色彩の間があいてしまうこともあり得る。
【0080】
例えば、光学式認識コードの一部が赤の次に緑が続くような場合は、図2の例では赤色LED70と、それに隣接する緑色LED74とを点灯させれば、「赤」「緑」という色の組み合わせ、遷移を表現することができる。一方、光学式認識コードの一部が赤の次に青が続くような場合には、図2の例では赤色LED70を点灯させ、それに隣接する緑色LED74は消灯させる。そして、緑色LEDに続く青色LED72を点灯させる。この結果、間隔はあくものの、「赤」「青」という色の組み合わせ、遷移を表現することができる。
【0081】
したがって、各LEDが例えば、10cm毎に設けられている場合は、上記「赤」「緑」のパターンは、10cm間隔で色彩の組み合わせが表現されるが、「赤」「青」のパターンは、20cm間隔で色彩の組み合わせが表現されていることになる。
【0082】
本実施の形態で採用する光学式認識コードは、既に説明したように、色彩の組み合わせで情報を表現する光学式認識コードであるので、各色彩間の距離等は表す情報とは関係しない。したがって、このように、色彩の間隔が場所によって異なっていても特段問題が生じることなく、情報の表現、情報の読み取りを行うことが可能である。
【0083】
なお、色彩の数を増やすためには、他の色彩のLEDを用いることも好適である。
【0084】
ただし、図2に示す構成を維持したまま、色彩の数を増やすには、単なる点灯/消灯だけでなく、輝度も制御する必要がある。輝度制御のためにはLEDに供給する電流の大きさを変化させる必要があるので制御装置82の制御回路は多少複雑になる。しかし、電流の大きさを変える回路は従来から知られているので、当業者であれば、各LEDの輝度をそれぞれ制御するように電流値を変えることは容易に実行することができる。
【0085】
4.被印物へのマーキング
上述したような図1や図2に示された発光ロープを被印物に取り付けて、マーキングを行った例が図3に示されている。この図では、円柱状の物体である被印物100に対して、発光ロープ110が掛けられている様子が示されている。単に掛けるだけで光学式認識コードのマーキングを行うことができ、利便性に富むマーキング方法である。
【0086】
特に被印物100が大きい場合に、このような発光ロープ110によるマーキングは有効である。大きな被印物100は印刷の対象にすることが困難であり、また、大きな粘着シールや、巨大なタグを作成することも一般に困難である。
【0087】
また、単に光学式認識コードのマーキングだけでなく、取り外しも容易であるので、光学式認識コードの付与・除去を頻繁に行う場合に有用である。
【0088】
更に、様々な色彩を発光させているので装飾としても役にたつという効果を奏する。
【0089】
5.変形例
(1)上で述べた各実施の形態では、LEDを例として説明したが、所定の色彩に発色すればどのような手段でもかまわない。例えば、電球、蛍光灯、冷陰極線管、各種放電管、プラズマ発光装置、EL発光装置、等、従来知られている各種の発光手段を利用することが可能である。もちろん、バックライトを備えた液晶ディスプレイ等も好適である。
【0090】
(2)上記の、実施の形態1、2、及び上の、5.変形例(1)において、上記バックライトを備えた液晶ディスプレイの代わりに、バックライトを備えていない液晶ディスプレイなどの表示装置を用いて、各実施の形態を構成しても構わない。なお、このバックライトを備えていない液晶ディスプレイは、請求の範囲における「色彩表示体」の好適な一例に相当する。
【0091】
(3)また、上記実施の形態1、2、4.被印物へのマーキング、及び、5.変形例(1)では発光する場合を説明したが、単にそのものの色が変化する材料を用いるのも好適である。例えば、反射型液晶ディスプレイのように、自らは発光しないが、外部からの光を反射することによって、外部に異なる色彩を提示する手段でもかまわない。この場合、制御装置は、反射型液晶ディスプレイの表示を制御する必要があるが、液晶ディスプレイの表示を制御する装置は従来から広く知られているので、そのような制御装置を作成することは当業者にとって容易である。
【0092】
(4)また、温度によって、異なる色彩を呈する材料も広く知られている。このような材料を用いて、適宜ヒーター等で加熱して所望の色彩を呈するように構成してもかまわない。この場合は、ヒーターとその材料との組み合わせが、外部に色彩を提示する手段となる。
【0093】
(5)また、色彩を付した材料と、所望の温度で透明になる材料とを重畳した構造を採用することも好適である。この場合は、制御装置がヒーターに電流を流し、所望の温度に設定し、色彩を付した材料が外部から透けて見えるようにすることによって、外部に色彩を呈することが可能となる。
【0094】
(6)なお、反射型液晶ディスプレイや、ヒーターと温度によって異なる色彩を呈する材料との組み合わせ、等は、請求の範囲の「発色体」の好適な一例に相当する。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】本実施の形態1の発光ロープの形態図である。
【図2】本実施の形態2の発光ロープの形態図である。
【図3】発光ロープを被印物に取り付けた様子を示す説明図である。
【符号の説明】
【0096】
10 発光ロープ
20 赤色LED
22 青色LED
24 緑色LED
50 ロープ部
52 制御装置
60 発光ロープ
70 赤色LED
72 青色LED
74 緑色LED
80 ロープ部
82 制御装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
柔軟性のあるひも状のロープ部と、
前記ロープ部に、所定間隔で取り付けられ、所定の色彩の光を発する複数の発光体と、
前記複数の発光体のそれぞれを発光又は消灯させる制御装置と、
を含む発光ロープ。
【請求項2】
請求項1記載の発光ロープにおいて、
前記発光体は、複数種の色彩の光を発光可能な発光体であり、
前記制御装置は、前記複数の発光体のそれぞれに対して、発光する色を選択して発光させる又は消灯させる制御を行うことを特徴とする発光ロープ。
【請求項3】
請求項1記載の発光ロープにおいて、
前記各発光体は、互いに異なる色彩の光を発光可能な発光素子が複数個集合して構成され、いずれの発光素子が発光するかによって異なる色彩を発色する発光体であり、
前記制御装置は、前記発光体を構成する前記発光素子のそれぞれに対して、発光させる又は消灯させる制御を行うことを特徴とする発光ロープ。
【請求項4】
請求項1記載の発光ロープにおいて、
前記発光体は、それぞれ所定の1種の色彩の光を発光可能な発光体であることを特徴とする発光ロープ。
【請求項5】
請求項1記載の発光ロープにおいて、
前記発光体は、電流によって発光する素子であることを特徴とする発光ロープ。
【請求項6】
請求項3記載の発光ロープにおいて、
前記発光素子は、電流によって発光する素子であることを特徴とする発光ロープ。
【請求項7】
請求項1記載の発光ロープにおいて、
前記制御装置は、前記発光体を点灯又は消灯を制御し、前記発光体を点灯制御する場合は、その輝度も含めて制御することを特徴とする発光ロープ。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載の発光ロープにおいて、
前記制御装置は、外部から情報を入力する入力手段を有し、
前記制御装置は、前記発光体が発光する光の色彩の並びが、前記入力した情報を表す光学式認識コードを形成するように、前記発光体の発光/消灯を制御することを特徴とする発光ロープ。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれかに記載の発光ロープを、被印物に掛ける、又は、巻き付けることによって、前記被印物に、前記発光ロープが発光する光の色彩によって表される光学式認識コードをマーキングする方法。
【請求項10】
柔軟性のあるひも状のロープ部と、
前記ロープ部に、所定間隔で取り付けられ、所定の色彩を呈する複数の発色体と、
前記複数の発色体のそれぞれに色彩を呈示/非呈示させる制御装置と、
を含む発色ロープ。
【請求項11】
請求項10記載の発色ロープにおいて、
前記制御装置は、外部から情報を入力する入力手段を有し、
前記制御装置は、前記発色体が呈する色彩の並びが、前記入力した情報を表す光学式認識コードを形成するように、前記発色体の色彩の呈示/非呈示を制御することを特徴とする発色ロープ。
【請求項12】
請求項10又は11に記載の発色ロープを、被印物に掛ける、又は、巻き付けることによって、前記被印物に、前記発色ロープが呈する色彩によって表される光学式認識コードをマーキングする方法。
【請求項13】
柔軟性のあるひも状のロープ部と、
前記ロープ部に、所定間隔で取り付けられ、所定の色彩を呈する複数の色彩表示体と、
前記複数の色彩表示体のそれぞれに色彩を呈示/非呈示させる制御装置と、
を含む色彩表示体を取り付けたロープ。
【請求項14】
請求項13記載の色彩表示体を取り付けたロープにおいて、
前記制御装置は、外部から情報を入力する入力手段を有し、
前記制御装置は、前記色彩表示体が呈する色彩の並びが、前記入力した情報を表す光学式認識コードを形成するように、前記色彩表示体の色彩の呈示/非呈示を制御することを特徴とする色彩表示体を取り付けたロープ。
【請求項15】
請求項13又は14に記載の色彩表示体を取り付けたロープを、被印物に掛ける、又は、巻き付けることによって、前記被印物に、前記色彩表示体を取り付けたロープが呈する色彩によって表される光学式認識コードをマーキングする方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−282126(P2008−282126A)
【公開日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−124282(P2007−124282)
【出願日】平成19年5月9日(2007.5.9)
【出願人】(506226175)ビーコア株式会社 (39)
【Fターム(参考)】