説明

発光型表示装置および遮光板

【課題】発光型表示装置の積雪等による視認性悪化を確実に防止する
【解決手段】本発明の発光型表示装置に取り付けるルーバー10は、発光素子へ入射する外来光を遮光する遮光板10aを備えており、この遮光板10aの内部にはヒーター11が埋め込まれている。このため、遮光板10a自体の発熱により、発光型表示装置の表示面側に熱が確実、かつ効率よく伝わる。したがって、例えば、降雪地域等の屋外に設置されても、積雪による表示障害を確実に防止することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、文字や映像等の情報を表示するのに用いられる発光型表示装置に関するものであり、より詳細には、ヒーターを内蔵することにより、例えば、屋外使用時の積雪による表示障害を防止するようにした発光型表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
LED表示装置は、発光素子を用いて文字情報等を表示する発光型表示装置の代表例である。LED表示装置に備えられた発光ダイオード(LED)は、高輝度に発光可能な発光素子であるため、LED表示装置は、外来光の強い屋外における用途にも適している。
このLED表示装置を降雪地域等の屋外に設置する場合には、装置表示面側への積雪による表示の視認性悪化が問題となる。表示面側に付着した雪は、装置自身の発熱によっても融雪するが、迅速な融雪が要求されている。
【0003】
このため、降雪地域等の屋外に設置されるLED表示装置には、融雪用ヒーターが備えられている。この融雪用ヒーターを備えたLED表示装置として、図5および図6に示す装置が、下記の特許文献1(特開平11−338387号公報)に開示されている。
【0004】
図5(a)〜(c)に示すLED表示装置50において、複数個のLEDランプ52と基板53とがケース51に収納されている。LEDランプ52は、基板53に対しマトリクス状に配置されている。また、複数個のLEDランプ52に対し、ルーバー55が設けられ、太陽光がLEDランプ52へ入射することによる視認性の悪化を防ぐようになっている。ルーバー55は、マトリクス状に配列されたLEDランプ52の水平方向の各段毎に、庇状の遮光板55aを有している。この遮光板55aは、LED表示装置50の表示面側に設けられている。
【0005】
なお、図示しないが、基板53には駆動回路も実装されている。この駆動回路部に雨水が浸入しないように、ケース51とLEDランプ52との間の空間には樹脂等が充填されている。
【0006】
さらに、LED表示装置50は、表示面またはルーバー55に付着した雪を融かすためのヒーター54を備えている。ヒーター54は、ケース51とLEDランプ52との間の空間に、防水のために充填される樹脂をもちいて固定されている。また、ヒーター54は、ルーバー55の背板部に貼り付けて固定されていてもよく、その背板部の裏面に設けられた溝部に収納されていてもよい。
【0007】
また、図6(a)(b)に示すLED表示装置60は、LED表示装置50と同様に、ケース51、LEDランプ52、基板53、ヒーター54、およびルーバー55に相当するケース61、LEDランプ62、基板63、ヒーター64、およびルーバー65を備えている。また、ルーバー65は、遮光板55aに相当する遮光板65aを有している。
【0008】
一方、LED表示装置60は熱伝導部材66を備えている。熱伝導部材66はマトリクス状に配置された複数個のLEDランプ62同士の間隙に配置されるように、そのLEDランプ62が貫通するような挿通孔がマトリクス状に複数形成されている。ヒーター64は、熱伝導部材66に設けられた溝に収納されている。熱伝導部材66とルーバー65の背板部とが互いに接するように配置されているため、ヒーター64が発する熱は熱伝導部材66を介してルーバー65へ伝導される。
【0009】
上記のように、LED表示装置内に設置したヒーターが発する熱を、装置内の部材を介して装置の表示面側に伝導させ、表示面側に付着した雪を融かすように構成されている。
【特許文献1】特開平11−338387号公報(1999年12月10日公開)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、図5(a)〜(c)に示すLED表示装置50において、ヒーター54は、ケース51とLEDランプ52との間の空間に充填される樹脂を用いて固定されており、直接装置に接していない。このため、表示面側へヒーター54が発する熱を十分に伝導させることができない。
【0011】
また、ヒーター54が、ルーバー55の背板部に貼り付けて固定されている、または、その背板部の裏面に設けられた溝部に収納されている場合においては、ルーバー55の背板部から表示面側にある庇状の遮光板55aまで、ヒーター54が発する熱を伝導させて融雪する。このため、熱伝導率の低い材料からなるルーバー55を用いた場合には、表示面側にヒーター54が発する熱が伝わりにくい。
【0012】
さらに、図6(a)(b)に示すLED表示装置60において、ヒーター64は、熱伝導部材66に設けられた溝部に収納されており、この熱伝導部材66が接するルーバー65の背板部から表示面側にある庇状の遮光板65aまで、ヒーター64が発する熱を伝導させて融雪する。このため、上記と同様に、熱伝導率の低い材料からなるルーバー65を用いた場合には、表示面側にヒーター64が発する熱が伝わりにくい。
【0013】
このように、熱伝導率の低い材料からなるルーバーを用いた発光型表示装置では、表示面側に雪が付着したような場合、LEDランプ点灯状態におけるLEDランプや回路部等の装置自体の自己発熱によって、表示面に付着した少量の雪が融けるのを待たなければならず、しかも、その少量の雪が融けるまでに、LEDランプの点灯後長時間の経過を要するというのが現状である。
【0014】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、発光型表示装置にヒーターを内蔵する場合に、その内蔵の仕方を工夫することにより、例えば、降雪地域等の屋外に設置されても、積雪による表示障害を確実に防止することが可能な発光型表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題を解決するために、本発明に係る発光型表示装置は、発光素子を備えた発光型表示装置において、発光素子へ入射する外来光を遮光する遮光板を備えており、該遮光板の内部にヒーターが埋め込まれていることを特徴としている。
【0016】
上記の構成によれば、発光素子へ入射する外来光を遮光する遮光板の内部にヒーターを埋め込んだことにより、遮光板自体が発熱する。この結果、ヒーターの熱を効果的に表示面側に伝導させ、融雪効果を高めることが可能となる。すなわち、本発明の発光型表示装置によれば、例えば、屋外使用時の表示面側に付着した雪を融かすのに発光素子自身または回路部等の発熱に頼ることなく、ヒーターを用いて積極的、かつ効率的に融雪することが可能となる。
【0017】
さらに、遮光板の内部にヒーターを埋め込んだことにより、遮光板に熱伝導率の低い材料を用いたとしても、同様の融雪効果を得ることができる。
【0018】
熱伝導率の低い材料として樹脂を選択すると、遮光板の成形が容易であり、遮光板を軽量化することができる。また、後述するように、遮光板の内部に熱伝導部材を埋め込むように、遮光板と熱伝導部材とを一体成形することが容易になる。
【0019】
なお、本発明に係る発光型表示装置では、発光素子の配列数は1つ以上であればよく、特に限定されない。発光素子の1次元方向の配列数が増えれば、外来光を遮光するのに必要な遮光板のサイズが大きくなる。また、発光素子を2次元的に配列した発光型表示装置では、1次元方向の配列毎に、遮光板を設けてもよい。
【0020】
また、本発明に係る発光型表示装置において、上記遮光板は、その内部に熱伝導部材が埋め込まれていることを特徴としている。
【0021】
これにより、ヒーターと熱伝導部材との組み合わせ方を多様に選択することができるので、遮光板を効率よく発熱させるヒーターの設け方を多様に設計することができる。
【0022】
また、本発明に係る発光型表示装置において、上記熱伝導部材は金属で形成されており、当該熱伝導部材を電気的に接地するための接地端子を有していることを特徴としている。
【0023】
これにより、落雷時の異常な高電圧から装置を保護することができる。また、不要な電磁波の放射を防ぐため、および遮光板の帯電を防ぐためにも用いることができる。
【0024】
また、本発明に係る発光型表示装置において、上記熱伝導部材は、網状構造であることを特徴としている。
【0025】
すなわち、熱伝導部材は連続した平面状である必要は無い。熱伝導部材が網状構造であっても、遮光板自体を発熱させ、ヒーターの熱を効果的に表示面側に伝導させることができる。
【0026】
また、本発明に係る発光型表示装置において、上記遮光板に金属箔を貼り付けたことを特徴としている。
【0027】
この場合、金属箔は、遮光板における熱伝導を促進する熱伝導部材として機能する。すなわち、熱伝導部材を遮光板に貼り付ける構成は、遮光板に熱伝導部材を埋め込む構成に比べて、熱伝導部材を遮光板により簡易に設けることができる。
【0028】
また、本発明に係る発光型表示装置において、上記遮光板は、樹脂にAlを混入させた材料から成ることを特徴としている。
【0029】
この場合、遮光板の母材である樹脂自体の熱伝導性の低さを、Alによって高めることができる。なお、樹脂に混入させるAlは粉末であることが、樹脂内の分散を良くし、遮光板の熱伝導性を一様に高めることができる点で好ましい。
【0030】
本発明に係る遮光板は、発光型表示装置に備えられた発光素子へ入射する外来光を遮光する遮光板において、内部にヒーターが埋め込まれていることを特徴としている。
【0031】
これにより、既に説明したとおり、遮光板自体が発熱する結果、ヒーターの熱を効果的に発光型表示装置の表示面側に伝導させ、融雪効果を高めることが可能な遮光板を提供することができる。かつ、遮光板を熱伝導率の低い材料で形成することを可能にする。
【0032】
なお、本発明の遮光板を発光型表示装置から着脱可能としてもよい。これによれば、遮光板および発光型表示装置それぞれのメンテナンスが容易となる。さらに、遮光板を発光型表示装置から着脱可能とすることにより、例えば、該遮光板を取り付けた発光型表示装置は降雪地域使用に適した構成となり、また該遮光板を取り付けない発光型表示装置は通常地域使用に適した構成となる。これにより、設置場所に応じた発光型表示装置を容易に製造することが可能となる。
【発明の効果】
【0033】
本発明の発光型表示装置は、発光素子へ入射する外来光を遮光する遮光板を備えており、該遮光板の内部にヒーターが埋め込まれていることを特徴としている。
【0034】
それゆえ、ヒーターの熱を効果的に遮光板、および表示面側に伝導させ、融雪効果を高めることが可能となるという効果を奏する。
【0035】
また、本発明の遮光板は、発光型表示装置に備えられた発光素子へ入射する外来光を遮光する遮光板の内部にヒーターが埋め込まれていることを特徴としている。
【0036】
それゆえ、発光型表示装置の表示面側に、ヒーターの熱を効果的に伝導させ、融雪効果を高めた遮光板を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
本発明の好適な実施形態について、図面を参照して説明する。
【0038】
《第一の実施形態》
図1は、本発明の第一の実施形態であり、発光型表示装置に取り付ける遮光板の一部を切り欠いた斜視図である。まず、発光型表示装置としてのLED表示装置40は、図4(a)(b)に示すように、発光素子としてのLEDランプ42が、複数配列されている。但し、本発明にとって、発光素子の数は本質的事項ではなく、1つ以上であればよい。
【0039】
図1に示すルーバー10は、上記のような発光素子へ入射する外来光を遮光する遮光板10aを有している。遮光板10aは、ルーバー10の背面側に配置された背板部10bから、発光型表示装置の正面方向へ、庇状に延び出している。また、上記背板部10bには、発光素子を貫通させる挿通孔12が形成されている。但し、図4(a)(b)に示すように、発光型表示装置の基板上にマトリクス状に配列される複数の発光素子を貫通させるために、発光素子の配列に合わせて複数の挿通孔12が形成されている。
【0040】
なお、遮光板10aが庇状に形成されているのは、太陽光等の外来光が発光素子に入射することによる表示の視認性悪化を防止するためである。したがって、遮光板10aは、外来光が発光素子に直接当たらないように配置することが好ましい。また、発光素子が、図4(a)に示したように、マトリクス状に配列されている場合には、発光素子の水平方向の各段毎に遮光板10aを設けることが好ましい。
【0041】
ところで、本発明の特徴の一つとして、遮光板10aの内部には、ヒーター11が埋め込まれている。このため、遮光板10aの内部に埋め込まれたヒーター11が発する熱により、ルーバー10または表示面側に雪が付着しても、その雪を確実に融かすことができる。すなわち、本実施形態のルーバー10によれば、発光型表示装置内に伝導部材を設け、その伝導部材を介して遮光板10aに熱を伝導させる必要がなく、遮光板10aに埋め込まれたヒーター11が発する熱により直接、ルーバー10および表示面側に付着した雪を確実に融かすことができる。
【0042】
このように、本実施形態のルーバー10は、ヒーター11の発する熱を表示面側および遮光板10aへ伝導させる必要性がないので、熱伝導率の低い樹脂等をルーバー10の素材に用いることができる。すなわち、熱伝導率の低い形成材料から成るルーバー10を用いた構成でも、十分に融雪効果が得られる。また、遮光板10aおよびルーバー10の素材に樹脂を用いた場合、樹脂以外の金属などの材料に比べて、ルーバー10の成形が容易になる。さらに、上記素材に樹脂を用いるなら、遮光板10aの内部にヒーター11を埋め込むように、遮光板10aとヒーター11とを一体成形することが容易になる。
【0043】
次に、ヒーター11の遮光板10aに対する設け方について、より具体的に説明する。ヒーター11は、例えば線状ヒーターであって、遮光板10aの先端部および両端部に直線状に埋め込まれ、U字状をなしている。当該先端部とは、発光型表示装置の背面から正面に向かって、遮光板10aの先端側に位置するエッジに沿った部位の付近をさす。また、当該両端部とは、発光型表示装置の背面から正面に向かって、遮光板10aの左右両端側に位置するエッジに沿った部位の付近をさす。
【0044】
なお、隣り合う遮光板10aの各両端部の一方に埋め込まれたヒーター11同士は、上記背板部10b付近において、互いに接続されている。同様に、隣り合う遮光板10aの各両端部の他方に埋め込まれたヒーター11同士も、上記背板部10b付近において、互いに接続されている。
【0045】
このように、ヒーター11の配線長を最小限に抑えることにより、ヒーター11の消費電力量を削減することが可能となる。また、ヒーター11が遮光板10aの先端部に埋め込まれていることにより、遮光板10aの先端部から発熱するため、隣接した遮光板10a同士の間に形成される間隙の前面に溜まり易い雪に熱を迅速に伝導させ、効率よく融雪することが可能となる。
【0046】
また、ヒーター11は、遮光板10aの平面形状と相似形の面状ヒーターであってもよい。すなわち、ヒーター11は、その発する熱が遮光板の先端部に十分に伝導するように設けられていればよい。
【0047】
《第二の実施形態》
図2は、本発明の第二の実施形態であり、発光型表示装置に取り付ける遮光板の一部を切り欠いた斜視図である。図2に示すルーバー20は、ルーバー10と同様に、ヒーター11、および挿通孔12に相当するヒーター21、および挿通孔22を備えている。またルーバー20は、ルーバー10と同様に、庇状の遮光板20aおよび背板部20bを有している。
【0048】
一方、ルーバー20は、遮光板20aの内部に、ヒーター21とともに熱伝導部材23が埋め込まれている。遮光板20aの内部に埋め込まれている熱伝導部材23とヒーター21とは互いに接するように配置されている。
【0049】
なお、図2において、ヒーター21および熱伝導部材23が遮光板20に埋め込まれている様子を示すために、ヒーター21と熱伝導部材23との間に空間を設けている。これは便宜上図示したに過ぎず、本実施形態においてヒーター21と熱伝導部材23とは互いに接するように配置されている。
【0050】
すなわち、本実施形態のルーバー20によれば、ヒーター21の発する熱が熱伝導部材23を介して、遮光板20aの先端部に伝導されるため、ルーバー20および表示面側に雪が付着しても、その雪を確実に融かすことができる。
【0051】
このように本実施形態のルーバー20は、ヒーター21の発する熱を、熱伝導部材23を介して表示面および遮光板20aへ伝導させるため、上記第一の実施形態と同様に、熱伝導率の低い形成材料から成るルーバー20を用いた構成でも、十分に融雪効果が得られる。さらに、上記形成材料として樹脂を用いるなら、遮光板20aの内部にヒーター21と熱伝導部材23とを埋め込むように、遮光板20aとヒーター21および熱伝導部材23とを一体成形することが容易になる。
【0052】
次に、熱伝導部材23およびヒーター21の遮光板20aに対する設け方について、より具体的に説明する。ヒーター21は、例えば線状ヒーターであって、背板部20b付近において、遮光板20aの内部に埋め込まれている。このヒーター21は、遮光板20aの両端部の一方から他方へと直線状に埋め込まれている。なお、隣り合う遮光板20aに埋め込まれたヒーター21同士は、その両端部の一方において互いに接続されており、同様に、他方においても互いに接続されている。
【0053】
熱伝導部材23は、例えば、遮光板20aの平面形状と相似形の面状であり、遮光板20aの先端部から背板部20b付近に埋め込まれたヒーター21に接するような幅に形成されている。
【0054】
これにより、背板部20b付近に埋め込まれたヒーター21の熱を高効率に表示面側に伝導させることが可能となる。さらに、熱伝導部材23を介することにより、ヒーター21の配線長が抑えられるため、ヒーター21の消費電力量を削減することが可能となる。
【0055】
また、この熱伝導部材23は金属製の網状構造であってもよい。すなわち、熱伝導部材23は、遮光板20aの内部に埋め込まれているヒーター21と互いに接するように配置され、なおかつヒーター21の発する熱を遮光板20aの先端部まで伝導させ得るように、構成されていればよい。
【0056】
また、本実施形態において、遮光板20aは、熱伝導部材23を内部に埋め込む代わりに、金属箔が貼り付けられた構成であってもよい。これにより、遮光板20aの熱伝導率が高められ、ヒーター21の発する熱を遮光板20aの先端部へと伝導させることが可能となる。さらに、この構成によると、熱伝導板を遮光板の内部に埋め込んだ構成と比較して、ルーバー20の製造が容易になる。
【0057】
さらに、本実施形態において、遮光板20aは、樹脂にAl、好ましくはAlの粉末を混入させた材料からなる遮光板であってもよい。Alを混入させた材料からなる遮光板20aは、遮光板20aの素材自体の熱伝導率が低くても、Alにより熱伝導率が高められているため、熱伝導部材23を用いずとも、ヒーター21の発する熱を遮光板20aの先端部まで伝導させることが可能となる。
【0058】
《第三の実施形態》
図3は、本発明の第三の実施形態であり、発光型表示装置に取り付ける遮光板の一部を切り欠いた斜視図である。図3に示すルーバー30は、ルーバー20と同様に、庇状の遮光板20a、背板部20b、ヒーター21、および挿通孔22に相当する庇状の遮光板30a、背板部30b、ヒーター31、および挿通孔32を備えている。
【0059】
なお、遮光板30aに埋め込まれたヒーター31の長さは、ヒーター21に比べて短くなっているが、消費電力、発熱量、配線レイアウト、コストなどを考慮して適宜選択し得る設計上の変更である。
【0060】
また、遮光板30aには、遮光板20aの熱伝導部材23とは構成の若干異なった熱伝導部材33が埋め込まれている。具体的には、本実施形態では、各遮光板30aに内蔵された熱伝導部材33が、互いに電気的に接続されている点で、遮光板20aと相違している。
【0061】
なお、遮光板30aに内蔵した熱伝導部材33を金属で形成した場合、熱伝導部材33を電気的に接地するための金属端子34(接地端子)を、熱伝導部材33に設けることが好ましい。本実施形態のように、各熱伝導部材33を互いに電気的に接続した構成では、金属端子34は、任意の熱伝導部材33に1箇所設けるだけでよい。
【0062】
これにより、落雷時の異常な高電圧から装置を保護することができる。また、不要な電磁波の放射を防ぐため、および遮光板の帯電を防ぐためにも用いることができる。
【0063】
このように、遮光板内に、ヒーターのみならず、熱伝導部材をも一体的に埋め込むことにより、ヒーターおよび熱伝導部材の設け方を、多様に設計することが可能となる。
【実施例】
【0064】
図4(a)(b)は、本発明の一実施例であるヒーターを内蔵した遮光板を取り付けたLED表示装置を示している。図4(a)は、外観斜視図であり、図4(b)はLED表示装置の一部を切り欠いた側面図である。
【0065】
図4(a)(b)に示すLED表示装置40は、複数個のLEDランプ42がマトリクス状に配列され、ケース41に収納されている。複数個のLEDランプ42に対し、ルーバー43が設けられている。ルーバー43は、LEDランプ42へ入射する外来光を遮光する遮光板43aを有している。遮光板43aは、ルーバー43の背面側に配置された背板部43bから、LED表示装置40の正面方向へ、庇状に延び出している。また、背板部43bには、LEDランプ42を貫通させる挿通孔が、LEDランプ42の配列に合わせて複数形成されている。これにより、ルーバー43が複数個のLEDランプ42の間隙に配置される。
【0066】
なお、遮光板43aは、太陽光等の外来光がLEDランプ42に入射することによる表示の視認性悪化を防止するために設けられている。したがって、遮光板43aは、外来光がLEDランプ42に直接当たらないように配置することが好ましい。また、遮光板43aは、マトリクス状に配列されたLEDランプ42の水平方向の各段毎に設けられている。
【0067】
なお、図示しないが、LED表示装置40は駆動回路部も備えている。この駆動回路部に雨水が浸入しないように、ケース41とLEDランプ42との間の空間は樹脂等により充填されている。
【0068】
また、遮光板43aの内部には、ヒーターが埋め込まれている。図4(a)(b)では、ヒーターが埋め込まれた遮光板43aを説明の便宜上、灰色で表し、識別できるようにしている。このため、本実施例のLED表示装置40によれば、遮光板43aの内部からヒーターが発する熱が、高効率に表示面に伝導され、表示面側および遮光板43aに雪が付着しても、その雪を確実に融かすことができる。さらに、ルーバー43が複数個のLEDランプ42の間隙に配置され、遮光板43aがLEDランプ42の水平方向の各段毎に設けられているので、各遮光板43aにヒーターを埋め込むことにより、ヒーターをLED表示装置40に対して均一に配置することができる。これにより、ヒーターの発する熱が表示面側に均一に伝導される。
【0069】
なお、より高い融雪効果を得るために、各段毎に設けられた遮光板43aのそれぞれにヒーターを埋め込んでもよいが、このような構成に限らず、図4(a)(b)に示しているように、所望の融雪効果が得られる限りにおいて、一部の遮光板43aにのみヒーターを埋め込む構成であってもよい。これにより、ヒーターの配線長が抑えられるため、ヒーターの消費電力量を削減することが可能となる。
【0070】
また、ヒーター44が埋め込まれたルーバー43を表示装置から着脱可能な構成としていてもよい。これにより、例えば通常のLED表示装置にヒーターが埋め込まれたルーバー43を取り付けるだけで、降雪地域で用いるのに適したLED表示装置を容易に製造することができる。
【0071】
さらに、ルーバー43を表示装置から着脱可能な構成とすれば、ルーバー43および表示装置の双方のメンテナンスが容易になる。
【0072】
なお、本実施例において用いられる発光素子として、LEDランプ以外の素子を用いることも可能である。
【0073】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0074】
本発明は、例えば、降雪地域等の屋外に設置され、積雪による表示障害を防止することが必要な発光型表示装置に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】第一の実施形態である遮光板の一部を切り欠いた斜視図である。
【図2】第二の実施形態である遮光板の一部を切り欠いた斜視図である。
【図3】第三の実施形態である遮光板の一部を切り欠いた斜視図である。
【図4】(a)は、本発明の一実施例であるLED表示装置の外観斜視図、(b)は、上記LED表示装置の一部を切り欠いた側面図である。
【図5】(a)は、従来技術であるLED表示装置の外観斜視図、(b)は、上記LED表示装置の一部を切り欠いた側面図、および(c)は、(b)の領域Xの拡大図である。
【図6】(a)は、従来技術であるLED表示装置の外観斜視図、(b)は、上記LED表示装置の一部を切り欠いた側面図である。
【符号の説明】
【0076】
10,20,30,43 ルーバー
10a,20a,30a,43a 遮光板
10b,20b,30b,43b 背板部
11,21,31,44 ヒーター
23,33 熱伝導部材
34 接地用端子
40 LED表示装置
41 ケース
42 LEDランプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光素子を備えた発光型表示装置において、発光素子へ入射する外来光を遮光する遮光板を備えており、該遮光板の内部にヒーターが埋め込まれていることを特徴とする発光型表示装置。
【請求項2】
前記遮光板は、該遮光板の内部にさらに熱伝導部材が埋め込まれていることを特徴とする請求項1記載の発光型表示装置。
【請求項3】
上記熱伝導部材は金属で形成されており、当該熱伝導部材を電気的に接地するための接地端子を有していることを特徴とする請求項2記載の発光型表示装置。
【請求項4】
前記熱伝導部材は、網状構造であることを特徴とする請求項2記載の発光型表示装置。
【請求項5】
前記遮光板に金属箔を貼り付けたことを特徴とする請求項1記載の発光型表示装置。
【請求項6】
前記遮光板は、樹脂にAlを混入させた材料から成ることを特徴とする請求項1記載の発光型表示装置。
【請求項7】
発光型表示装置に備えられた発光素子へ入射する外来光を遮光する遮光板において、内部にヒーターが埋め込まれていることを特徴とする遮光板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−187752(P2007−187752A)
【公開日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−4134(P2006−4134)
【出願日】平成18年1月11日(2006.1.11)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】