説明

発光性の材料およびデバイス

発光ポリマーは、一般式(I)を有する発光性の置換されていてもよい構造単位、またはその縮合誘導体を5mol%以下有する。この構造単位は、ポリマー主鎖の末端基を構成するか、またはポリマー主鎖中に1mol%未満の濃度で繰返し単位として提供されてもよい。とりわけ、9,9−ジアルキルフルオレン−2,7−ジイルのホモポリマーなどのフルオレン繰返し単位を有するポリマーは、電子輸送をもたらすために利用し得る、また、トリアリールアミン繰返し単位を含むコポリマーは、OLEDデバイスにおいて正孔輸送をもたらすために利用し得る。
【化1】

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光材料、および前記材料を含有する有機発光デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
通常の有機発光デバイス(OLED)は、基板を備え、その基板上にアノード、カソード、およびアノードとカソードとの間に位置し、少なくとも1種のポリマー性エレクトロルミネッセンス材料を含む発光層を支持している。動作時には、正孔が、アノードを介してデバイス中に注入され、電子が、カソードを介してデバイス中に注入される。正孔および電子は、発光層内で結合して励起子を形成し、次いでその励起子が、放射崩壊を経て発光する。
【0003】
他の層もOLED中に存在してもよく、例えば、ポリ(エチレンジオキシチオフェン)/ポリスチレンスルホネート(PEDOT/PSS)などの正孔注入材料の層を、アノードと発光層との間に設けることにより、アノードから発光層への正孔の注入を補助してもよい。更に、正孔輸送層を、アノードと発光層との間に設けることにより、正孔の発光層への輸送を補助してもよい。
【0004】
ルミネッセンス共役ポリマーは、次世代の情報技術に基づく消費者製品のための有機発光デバイスにおいて使用が見込まれる重要なクラスの材料である。無機半導体材料および有機色素材料とは対照的に、ポリマーの使用に対する主な関心は、膜形成材料の溶液処理を用いた低コストデバイス製造の見通しにある。ここ10年以来、高効率材料または効率的デバイス構造いずれかの開発による有機発光ダイオード(OLED)の発光効率の改良に多大な努力が注がれてきた。
【0005】
共役ポリマーの更なる利点は、これらがスズキまたはヤマモト重合により容易に形成し得ることである。これによって、生成ポリマーの位置規則性(regioregulatory)に対する高度な制御が可能になる。
【0006】
青色発光ポリマーは、これまで開示されている。P. L. Burn, A. B. Holmes, A. Kraft, D. D. C. Bradley, A. R. Brown および R. H. Friendによる「Synthesis of a segmented conjugated polymer chain giving a blue-shifted electroluminescence and improved efficiency」J. Chem. Soc., Chem. Commun., 1992, 32には、主鎖中に共役配列および非共役配列を有し、発光極大が508nmの青緑色エレクトロルミネッセンスを示す、発光ポリマーの調製が記載された。青色発光は、2種の共役ポリマーにおいて観察された。インジウムスズ酸化物およびアルミニウムの接触部間(contacts)に挟まれたポリ(p−フェニレン)が、G. Grem, G. Leditzky, B. Ullrich and G. Leising, Adv. Mater., 1992, 4, 36 により公表された。同様に、Y. Ohmori, M. Uchida, K. Muro and K. Yoshino は、Jpn. J. Appl. Phys., 1991, 30, L1941 に「Blue electroluminescent diodes utilizing poly(alkylfluorene)」について報告した。
【0007】
国際公開第00/55927号には、ポリマー主鎖の長さに沿って複数の領域を有し、以下の領域:
(i)負電荷担体を輸送するための、第1のLUMO準位および第1のHOMO準位で規定される第1のバンドギャップを有する第1の領域と、
(ii)正電荷担体を輸送するための、第2のLUMO準位および第2のHOMO準位で規定される第2のバンドギャップを有する第2の領域と、
(iii)正および負の電荷担体を受容し、結合して、光を発生させるための、第3のLUMO準位および第3のHOMO準位で規定される第3のバンドギャップを有する第3の領域
の2つ以上を含む有機ポリマーであって、各領域が1種または複数のモノマーを含み、有機ポリマー中のモノマーの量および配置は、第1、第2および第3のバンドギャップがポリマー中で相互にはっきりと異なるように選定されている、有機ポリマーが開示されている。次のポリマーが、青色光を放出すると言われている。
【0008】
【化1】

この種のアミン繰返し単位を含むポリマーは、通常約0.2のCIE(y)値を有する。
【0009】
特開2000−007594は、有機電子デバイス用のベンゾ[k]フルオランテン誘導体材料の調製を開示している。こうした小分子化合物は、青色を発光すると言われている。
【0010】
米国特許第6534198号は、アリール側鎖基を有するホモポリシランを開示している。このポリシランは、優れた電荷輸送特性を有すると言われている。
【0011】
米国出願第2003/0181617号は、次式のフルオランテン繰返し単位を含む導電性ポリマーを開示している。
【0012】
【化2】

このポリマーは、ヤマモトカップリングまたはスズキ重合により調製できると言われている。更に、このポリマーは、エレクトロルミネッセンスダイオードにおいて発光させるために使用できると言われている。コモノマー単位は、段落0029に開示されている。
【0013】
国際公開第2006/114364号は、次式の繰返し単位を含有するポリフルオランテンを製造する方法に関する。
【0014】
【化3】

このポリフルオランテンは、OLEDの発光層に使用することができる。実施例では、ホモポリマーおよびAB型コポリマーが調製されている。例示された1つのAB型コポリマーは、次式のものである。
【0015】
【化4】

【0016】
Rapta et al, Chemistry- A European Journal (2006), 12(11), 3103-3113 は、一連のフルオランテオピラシレンオリゴマーを開示している。発光色は緑青色であった。
【0017】
Tseng et al, Applied Letters Physics (2006), 88(9), 093512/1-093512/3 は、dlピレニルフルオレン(dlpyrenylfluorene)ホスト中の青色蛍光フルオランテンドーパントを開示している。Chiechi et al, Advanced Materials (2006), 18(3), 325-328 は、7,8,10−トリフェニルフルオランテン(TPF)からの青色発光を開示している。Suzuki et al, Synthetic Metals (2004), 143(1), 89-96 は、フルオランテン青色発光体Ide102用のホスト材料として、トリアリールベンゼンおよびテラアリールベンゼン(teraarylbenzenes)を開示している。
【0018】
Marchioni et al, Applied Letters Physics (2006), 89(6), 061101/1-061101/3 は、MEH−PPVとフルオランテン小分子とのブレンドを開示している。発光はMEH−PPVから示され、フルオランテン小分子の存在は、ルミネッセンスの量子収率を改善すると示唆されている。
【0019】
米国出願第2006/0238110号は、有機ELディスプレイを開示している。アノードおよびカソード間の有機層は、次式のモノマーの重合で得られるビニルポリマーを含有する。
【0020】
【化5】

重合した後、フルオランテンは、ポリマー主鎖からのペンダントである側鎖基に存在することになろう。このビニルポリマーは、ルミネッセンス用のドーパントとして作用する。段落0035によれば、このポリマーはコポリマーでもよい。
【0021】
米国出願第2007/0244295号は、有機エレクトロルミネッセンス用の化合物に関する。次式の「ポリマー分子」が開示されている。
【0022】
【化6】

米国出願第2007/0244295号の式8において、m=1、n=2、p=4、q=0、b=2およびr=1である。これは、フルオランテン誘導単位の14mol%に相当する。米国出願第2007/0244295号の式9において、m=1、n=2、p=4、q=2、b=2およびr=1である。これは、フルオランテン誘導単位の11mol%に相当する。
【0023】
しかし、本発明者らは、現在利用できる青色発光材料には問題があることを確認した。具体的には、材料の効率および寿命の十分な特性を得るために、その青色を低質化させねばならないことがしばしばある。青色発光半導体ポリマーの場合、これは、効率および寿命特性を改善するが、ポリマーの共役、したがって発光色に影響する繰返し単位の組込みによりなされる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0024】
上記のことに鑑みると、本発明の課題は、発光色と効率および寿命特性とを良好に組み合わせた、新たな発光材料、好ましくは青色発光材料を提供することである。非常に望ましい発光色は、CIE1931色度チャート上で評価した場合、y座標が0.12以下、より好ましくは0.04〜0.12の範囲にある深青色である。
【課題を解決するための手段】
【0025】
上記のことに鑑みると、本発明の第1の態様は、請求項1に明記したような発光ポリマーを提供する。該ポリマーは、一般式1の構造単位を含む発光性エンドキャップ基を1個または複数有し得る。
【0026】
【化7】

本発明の第1の態様に関して、一般式1の構造単位は、ポリマー主鎖の末端に直接連結した基の中に含まれ得る。あるいは、一般式1の構造単位は、ポリマー主鎖の末端に直接連結した基のペンダントである側鎖基の中に含まれ得る。
【0027】
該構造単位が側鎖基の中に含まれる実施形態では、それは、以下に示すアリール基またはヘテロアリール基などの共役基からのペンダントでもよい。
【0028】
【化8】

好ましいアリール基はフルオレンである。
【0029】
エンドキャップ基は、ポリマーに共役的または非共役的に連結していてもよい。一般式1を有する構造単位が側鎖基の中に含まれる場合、その単位が主鎖に非共役的に連結していることが好ましい。
【0030】
好ましくは、発光ポリマーは、エンドキャップ基を2個有し、その各々が、一般式1を有する構造単位またはその縮合誘導体を含む。
【0031】
エンドキャップ基が発光性となるためには、ポリマー鎖中の繰返し単位のバンドギャップは、繰返し単位が、発光性エンドキャップ基に電荷を輸送し、そこからの発光を消光しないようになるべきである。
【0032】
発光ポリマーは、好ましくは、一般式1を有する構造単位を含む繰返し単位を3mol%以下、より好ましくは2mol%以下含有する。より好ましくは、発光ポリマーは、一般式1を有する構造単位を含む繰返し単位を1mol%以下含有する。該繰返し単位のこうした組込みレベルは、繰返し単位がポリマー鎖における主成分とならない、ドーパントの組込みレベルであると見なすことができる。
【0033】
本発明の第1の態様に関して、好ましいエンドキャップ基または繰返し単位は、一般式1の縮合誘導体、例えば、式3を有する一般式1の縮合誘導体を含み、
【0034】
【化9】

式3は、置換されていても、置換されていなくてもよい。
【0035】
本発明の第1の態様に関して、好ましいエンドキャップ基または繰返し単位は、式4を有する構造単位を含み、
【0036】
【化10】

式中RおよびRは、独立に任意の適切な置換基を表す。好ましい置換基は、溶解度を高める、または共役を拡張する。好ましくは、RおよびRは、独立に、フェニル、より好ましくはアルキルフェニルを含む置換基を表す。更なる置換基(示していない)が、式4に示した構造単位上に存在してもよい。例えば、置換基R〜Rのうち1個または複数が存在していてもよく、
【0037】
【化11】

式中R〜Rは任意の適切な置換基を表す。好ましい置換基は、RおよびRについて定義した通りである。
【0038】
好ましいエンドキャップ基または繰返し単位は、一般式6を有するベンゾフルオランテンを含む。
【0039】
【化12】

一般式6の構造単位は、置換されていても、置換されていなくてもよい。
【0040】
一般式5の場合では、この構造単位は、下記に示す位置でポリマー鎖に共役的に連結することができよう。
【0041】
【化13】

あるいは、この構造単位は、下記に示す位置の1つで非共役的に連結することができよう。
【0042】
【化14】

一般式6の場合では、この構造単位は、好ましくはポリマー鎖中に共役的に連結される。
【0043】
エンドキャップ基または繰返し単位は、一般式3の縮合誘導体を含んでもよい。例えば、繰返し単位は、一般式10の構造単位を含んでもよく、式中点線で示した各環は、独立に任意選択される。
【0044】
【化15】

式4に関して上記に定義したような置換基RおよびRが、式10の構造単位上に存在してもよい。更なる置換基も存在してもよい。
【0045】
本発明の更なる実施形態は、一般式11、12または13の発光性繰返し単位を含む発光ポリマーを提供し、
【0046】
【化16】

式中、繰返し単位は、で示した位置の少なくとも1つで隣接繰返し単位に直接連結し、
【0047】
【化17】

式中、R、RおよびRは、アルキルおよび任意に置換されているアリールまたはヘテロアリールから独立に選択され;a≧0、b≧0、c≧0であるが、但しa+b+c≧1であり;R、RおよびRの少なくとも1つは、隣接繰返し単位に直接連結し、
【0048】
【化18】

式中、Xは、一般式11または12を有する基を表し、Xが一般式11を有する基を表す場合、Xはで示した位置の1つでArに直接連結し、Xが一般式12を有する基を表す場合、R、RおよびRのうち1つがArに直接連結している。
【0049】
式10の特に好ましいエンドキャップ基または繰返し単位は、式10(a)を有し、
【0050】
【化19】

式中、同じでも異なっていてもよい各Arは、上記に定義した通りである。
【0051】
一般式11の繰返し単位は、置換されていても、置換されていなくてもよい。
【0052】
一般式3において、a>1、b>1および/またはc>1である場合、各R、Rおよび/またはRは、同じでも異なっていてもよい。
【0053】
本発明に関して、ポリマーは、好ましくは共役ポリマーである。
【0054】
本発明に関して、ポリマーは、好ましくは溶液処理可能である。
【0055】
本発明に関して、ポリマーが放出する光は、好ましくは青色である。
【0056】
本発明に関して、ポリマーは、正孔輸送共繰返し(co-repeat)単位を含むことが好ましい。更に、ポリマーは、電子輸送共繰返し単位を含有することが好ましい。最も好ましくは、ポリマーは、正孔輸送共繰返し単位および電子輸送共繰返し単位を含む。
【0057】
共繰返し単位のバンドギャップおよび特にHOMO準位は、発光性繰返し単位からの発光が消光されないように、適当に選定しなければならない。
【0058】
該ポリマーは、好ましくは50mol%まで、より好ましくは1〜10mol%、更により好ましくは約5mol%の濃度で、正孔輸送共繰返し単位を含む。
【0059】
該ポリマー中の発光性繰返し単位の好ましい濃度は、上記に規定した通りである。発光性繰返し単位および正孔輸送共繰返し単位を考慮した後、電子輸送共繰返し単位が、好ましくは該ポリマーの残りを構成する。
【0060】
好ましい正孔輸送共繰返し単位は、アミン、好ましくはトリアリールアミンを含む。好ましいトリアリールアミンには、一般式14を満足するものが挙げられ、
【0061】
【化20】

式中、ArおよびArは、置換されていてもよいアリール基、ヘテロアリール基、ビアリール基またはビヘテロアリール基であり、nは1以上、好ましくは1または2であり、Rは、Hまたは置換基、好ましくは置換基である。Rは、好ましくはアルキルまたはアリールまたはヘテロアリール、最も好ましくはアリールまたはヘテロアリールである。式14の単位にあるアリール基またはヘテロアリール基のいずれも、置換されていてもよい。好ましい置換基には、アルキル基およびアルコキシ基が含まれる。式14の繰返し単位にあるアリール基またはヘテロアリール基のいずれも、直接結合または2価の連結原子もしくは連結基により連結されてもよい。好ましい2価の連結原子および連結基には、O、S;置換N;および置換Cが含まれる。
【0062】
式14を満足する特に好ましい単位には、式15〜17の単位が挙げられ、
【0063】
【化21】

式中、ArおよびArは、上記に定義した通りであり;Arは、置換されていてもよいアリールまたはヘテロアリールである。存在する場合、Arの好ましい置換基には、アルキル基およびアルコキシ基が含まれる。
【0064】
式14の繰返し単位は、50mol%まで、好ましくは20mol%まで、より好ましくは10mol%までの量で提供されるのが好ましい。
【0065】
好ましい電子輸送共繰返し単位は、フルオレン、好ましくは置換されていてもよい2,7−連結フルオレン、最も好ましくは一般式18を満足する基を含み、
【0066】
【化22】

式中、RおよびRは、水素、または置換されていてもよいアルキル、アルコキシ、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリールおよびヘテロアリールアルキルから独立に選択される。より好ましくは、RおよびRの少なくとも1つが、置換されていてもよいC〜C20アルキル基またはアリール基を含む。
【0067】
本発明の第1の態様によるポリマーを使用して、本発明者らは、有機発光デバイスに用いた場合効率的でもある青色発光ポリマーを提供することができた。本発明による青色発光ポリマーを用いると、4〜4.2%の範囲のEQE値が得られた。
【0068】
本出願を通して例示した一般式において、(更なる)置換基が存在してもよい。置換基の例には、C1−20アルキルまたはアルコキシなどの可溶化基;フッ素、ニトロまたはシアノなどの電子吸引基;およびポリマーのガラス転移温度(Tg)を高める置換基が挙げられる。
【0069】
本発明の第2の態様は、ポリマーホストおよび小分子発光化合物を含む、請求項19および20に明記したような組成物を提供する。
【0070】
ポリマーホストは、好ましくは共役している。
【0071】
ポリマーホストは、好ましくは電子輸送繰返し単位を含む。好ましい電子輸送共繰返し単位は、フルオレン、好ましくは置換されていてもよい2,7−連結フルオレン、最も好ましくは一般式18を満足する基を含む。
【0072】
ポリマーホストは、好ましくは正孔輸送繰返し単位を含み、より好ましくは電子輸送繰返し単位と組み合わせて含む。好ましい正孔輸送共繰返し単位は、アミン、好ましくはトリアリールアミンを含む。好ましいトリアリールアミンには、一般式14〜17を満足するものが挙げられる。
【0073】
ポリマーホストは、発光性繰返し単位を更に含有してもよいが、但し、発光性繰返し単位は、発光化合物からの発光を消光しないように選定される。
【0074】
好ましいポリマーホストは、コポリマーである。そのコポリマーは、好ましくは電子輸送繰返し単位および正孔輸送繰返し単位を含む。
【0075】
一般式1の構造単位を含む好ましい発光化合物は、小分子である。
【0076】
好ましい小分子は、式3〜6、10または12のいずれか1つで定義したような構造単位を含む。
【0077】
本発明の第3の態様は、本発明の第1の態様によるポリマーまたは本発明の第2の態様による組成物を含む発光層を有する、有機発光デバイス(OLED)を提供する。
【0078】
図1に関して、本発明の第5の態様によるデバイスの構造体(architecture)は、透明なガラスまたはプラスチックの基板1、アノード2およびカソード4を備える。本発明の第1から第3までの態様のいずれか1つによるポリマーまたは第4の態様による組成物を含む発光層3は、アノード2およびカソード4の間に設けられる。
【0079】
実用的なデバイスでは、電極の少なくとも一方は、光が吸収(光応答デバイスの場合)または放出(OLEDの場合)されるように半透明である。アノードが透明な場合、通常インジウムスズ酸化物を含む。
【0080】
アノード2およびカソード3の間には、電荷輸送層、電荷注入層または電荷遮断層などの更なる層が配置されてもよい。
【0081】
とりわけ、アノードから半導体ポリマーの1つまたは複数の層中への正孔注入を補助するために、導電性の有機または無機材料から形成し得るもので、アノード2および発光層3の間に設けられる導電性正孔注入層を設けることが好ましい。ドープされた有機正孔注入材料の例には、ドープされたポリ(エチレンジオキシチオフェン)(PEDT)、特に、欧州特許第0901176号および欧州特許第0947123号に開示されるようなポリスチレンスルホネート(PSS)、ポリアクリル酸、またはフッ素化スルホン酸、例えばNafion(登録商標)などの電荷平衡ポリ酸でドープされたPEDT;米国特許第5723873号および米国特許第5798170号に開示されるようなポリアニリン;ならびにポリ(チエノチオフェン)が挙げられる。導電性無機材料の例には、Journal of Physics D:Applied Physics (1996), 29 (11), 2750〜2753に開示されるようなVOx、MoOxおよびRuOxなどの遷移金属酸化物が挙げられる。
【0082】
存在する場合、アノード2および発光層3の間に配置される正孔輸送層は、好ましくは5.5eV以下、より好ましくは4.8〜5.5eV程度のHOMO準位を有する。HOMO準位は、例えばサイクリックボルタンメトリーで測定し得る。
【0083】
存在する場合、発光層3およびカソード4の間に配置される電子輸送層は、好ましくは3〜3.5eV程度のLUMO準位を有する。
【0084】
発光層3は、当該ポリマーもしくは組成物だけからなってもよく、または当該ポリマーもしくは組成物を、1種もしくは複数の材料と組み合わせて含んでもよい。とりわけ、該ポリマーまたは組成物は、例えば国際公開第99/48160号に開示されるように、正孔および/または電子輸送材料とブレンドしてもよい。
【0085】
カソード4は、エレクトロルミネッセンス層への電子の注入を可能にする仕事関数を有する材料から選択される。カソードとエレクトロルミネッセンス材料との有害な相互作用の可能性など、他の要因もカソードの選択に影響する。カソードは、アルミニウム層などの単一材料からなってもよい。あるいは、カソードは、複数種の金属、例えば、国際公開第98/10621号に開示されるようなカルシウムおよびアルミニウムなどの、低仕事関数の材料および高仕事関数の材料の二重層;国際公開第98/57381号、Appl. Phys. Lett. 2002, 81(4), 634 および国際公開第02/84759号に開示されるような元素バリウム;または金属化合物の薄層、とりわけ電子注入の補助を目的としたアルカリもしくはアルカリ土類金属の酸化物もしくはフッ化物、例えば、国際公開第00/48258号に開示されるようなフッ化リチウム;Appl. Phys. Lett. 2001, 79(5), 2001に開示されるようなフッ化バリウム;ならびに酸化バリウムを含み得る。デバイスへの効率的な電子注入を行うためには、カソードは、好ましくは3.5eV未満、より好ましくは3.2eV未満、最も好ましくは3eV未満の仕事関数を有する。金属の仕事関数は、例えばMichaelson, J. Appl. Phys. 48(11), 4729, 1977 に見出すことができる。
【0086】
カソードは、不透明または透明であってよい。透明カソードは、アクティブマトリックスデバイスに特に有利であるが、その理由は、このようなデバイス中の透明アノードを通過する発光が、発光画素の下に配置された駆動回路により少なくとも部分的に遮断されるからである。透明カソードは、透明となるのに十分に薄い電子注入材料層を備えることになろう。この層の横方向導電率(lateral conductivity)は、通常その薄さの結果低いものとなろう。この場合では、電子注入材料層は、インジウムスズ酸化物などの透明導電材料のより厚い層と組み合わせて使用される。
【0087】
透明カソードデバイスは、透明アノードを必要としない(当然ながら、完全に透明なデバイスを望まない限り)ため、下面発光デバイスに使用される透明アノードは、アルミニウム層などの反射材料層で置き換え得る、または補充し得ることは、理解されよう。透明カソードデバイスの例は、例えば英国特許第2348316号に開示されている。
【0088】
光学デバイスは、水分および酸素に敏感である傾向を示す。したがって、基板は、水分および酸素のデバイスへの進入を防止する良好なバリヤー性を有することが好ましい。基板は、一般にガラスであるが、代替基板も、特にデバイスの柔軟性が望ましい場合に使用し得る。例えば、基板は、プラスチック層およびバリヤー層が交互する基板を開示している米国特許第6268695号におけるようなプラスチック、または欧州特許第0949850号に開示されるような薄いガラスおよびプラスチックの積層板を備えてもよい。
【0089】
デバイスは、水分および酸素の進入を防止するために、封止材(図示せず)で封止することが好ましい。適切な封止材には、ガラスシート、例えば国際公開第01/81649号に開示されるような、ポリマーおよび誘電材の交互積層体などの適切なバリヤー性を有するフィルム、例えば国際公開第01/19142号に開示されるような気密容器が挙げられる。基板または封止材の中を透過し得る、大気中の水分および/または酸素を全て吸収するためのゲッター材料を、基板と封止材との間に配置してもよい。
【0090】
図1の実施形態は、先ずアノードを基板上に形成した後、エレクトロルミネッセンス層およびカソードを堆積させることにより、形成するデバイスを例示しているが、本発明のデバイスは、先ずカソードを基板上に形成した後、エレクトロルミネッセンス層およびアノードを堆積させることによっても形成できることは理解されよう。
【0091】
本発明の第4の態様は、本発明の第3の態様によるOLEDを備えたデバイスを提供する。第4の態様によるデバイスには、光源、およびフルカラーディスプレイなどのディスプレイが挙げられる。
【0092】
本発明の実施形態は、本発明の第1の態様によるポリマーを作製する方法を提供する。前記方法は、
1.モノマー供給材料(feed)中の各モノマーを重合して、ポリマー鎖を形成するステップ、
2.一般式1を有する構造単位と、ポリマー鎖と反応できる反応性基とを含んだエンドキャップ試薬を用いて、ポリマー鎖の終結処理を行い、その末端形成を起こすステップ
を含む。
【0093】
本発明の更なる実施形態は、ポリマーを作製する方法であって、
重合反応への関与に適切な2個以上の反応性基と、一般式1を有する構造単位とを含んだモノマーを5mol%以下含むモノマー供給材料中で、モノマーを重合するステップ
を含む方法を提供する。
【0094】
本発明の別の実施形態は、ポリマーを作製する方法であって、
重合反応への関与に適切な2個以上の反応性基と、一般式11、12または13を有する構造単位とを含んだ、少なくとも1種のモノマーを含むモノマー供給材料中で、モノマーを重合するステップであって、一般式11および13の場合、2個以上の反応性基が、で示される位置に各々独立に配置されており、一般式12の場合、2個以上の反応性基が、R、RまたはRの1つに各々独立に連結されているステップ
を含む方法を提供する。
【0095】
上記方法において、これらのポリマーを調製する好ましい方法は、例えば国際公開第00/53656号に記載されているようなスズキ重合、および例えばT. Yamamoto, "Electrically Conducting And Thermally Stable -Conjugated Poly(arylene)s Prepared by Organometallic Processes", Progress in Polymer Science 1993, 17, 1153〜1205に記載されているようなヤマモト重合である。これらの重合法はどちらも、金属錯体触媒の金属原子がモノマーのアリール基と脱離基との間に挿入される、「金属挿入」を介して作用する。ヤマモト重合の場合はニッケル錯体触媒が使用され;鈴木重合の場合はパラジウム錯体触媒が使用される。式Iの構造単位をエンドキャップ基として導入する場合では、重合の終了時、または重合反応の最中もしくは開始時にそれを添加してもよい。エンドキャップ物質を重合反応の最中または開始時に添加するのであれば、生成するポリマーの分子量は、モノマー対エンドキャップ反応性基の比に依存する。好ましくは、エンドキャップ反応性基は、1mol%まで、好ましくは0.1〜0.5mol%の量で供給される。
【0096】
例えば、ヤマモト重合による線状ポリマーの合成では、2個の反応性ハロゲン基を有するモノマーが使用される。同様に、スズキ重合の方法によれば、少なくとも一方の反応性基は、ボロン酸またはボロン酸エステルなどのホウ素誘導体基であり、他方の反応性基は、ハロゲンである。好ましいハロゲンは、塩素、臭素およびヨウ素、最も好ましくは臭素である。
【0097】
したがって、本願を通して記載されるようなアリール基を含む、繰返し単位および末端基は、適切な脱離基を保持するモノマーから誘導し得ることが理解されよう。
【0098】
スズキ重合は、位置規則性(regioregular)、ブロック性およびランダム性のコポリマーを調製するために使用し得る。特に、ホモポリマーまたはランダムコポリマーは、一方の反応性基がハロゲンであり、他方の反応性基がホウ素誘導体基である場合に調製し得る。あるいは、ブロック性、または位置規則性、特にAB型のコポリマーは、第1のモノマーの両反応性基がホウ素であり、第2のモノマーの両反応性基がハロゲンである場合に調製し得る。
【0099】
ハロゲンの代替として、金属挿入に関与できる他の脱離基には、トシレート、メシレートおよびトリフレートが挙げられる。
【0100】
本発明の更なる態様は、重合反応への関与に適切な1個、2個またはそれより多い反応性基と、一般式1、11、12または13を有する構造単位とを含んだ、モノマーまたはエンドキャップ試薬を提供し;一般式11および13の場合、1個、2個またはそれより多い反応性基が、で示される位置に各々独立に配置されており、一般式12の場合、1個、2個またはそれより多い反応性基が、1つのR、RまたはRに各々独立に連結されている。
【0101】
本発明のまた更なる態様は、請求項30に明記したようなデバイスを作製する方法を提供する。
【0102】
この方法では、単一のポリマーまたは複数のポリマーが、層5を形成するために溶液から堆積され得る。この点について、第1から第3の態様によるポリマーは、好ましくは溶液処理可能である(solution processible)。ポリアリーレン、特にポリフルオレンに適した溶媒には、トルエンおよびキシレンなどのモノまたはポリアルキルベンゼンが挙げられる。特に好ましい溶液堆積法は、スピンコーティングおよびインクジェット印刷である。
【0103】
スピンコーティングは、エレクトロルミネッセンス材料のパターン形成が不要な場合、例えば、照明用途または単純なモノクロのセグメントディスプレイに向けたデバイスに特に適切である。
【0104】
インクジェット印刷は、情報量の多いディスプレイ、特にフルカラーディスプレイに特に適している。OLEDのインクジェット印刷は、例えば欧州特許第0880303号に記載されている。
【0105】
他の溶液堆積法には、ディップコーティング、ロール印刷およびスクリーン印刷が挙げられる。
【0106】
デバイスの多層を溶液処理で形成する場合、隣接層間の相互混合を防止する技法、例えば、1つの層の架橋後に次の層を堆積させること、または第1の層を形成している材料が、第2の層の堆積に使用される溶媒に溶解しないように隣接層の材料を選択することによる技法を、当業者であれば認識されていよう。
【0107】
添付の図を参照しながら、本発明をより詳細に以下に規定する。
【図面の簡単な説明】
【0108】
【図1】図1は、有機発光デバイスを例示する図である。
【図2】図2は、本発明による幾つかのフルオランテン誘導体の溶液PLスペクトルを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0109】
電荷輸送ポリマーには、ポリ(p−フェニレンビニレン)などのポリ(アリーレンビニレン)およびポリアリーレンが挙げられ、これらはデバイス中に存在し得る。好ましい電荷輸送ポリマーは、例えばAdv. Mater. 2000 12(23) 1737-1750 およびその中の参考文献に開示されているようなアリーレン繰返し単位から選択される、第1の繰返し単位を含む。代表的な第1の繰返し単位には、J. Appl. Phys. 1996, 79, 934に開示されているような1,4−フェニレン繰返し単位;欧州特許第0842208号に開示されているようなフルオレン繰返し単位;例えばMacromolecules 2000, 33(6), 2016-2020に開示されているようなインデノフルオレン繰返し単位;および例えば欧州特許第0707020号に開示されているようなスピロフルオレン繰返し単位が挙げられる。こうした繰返し単位は、各々置換されていてもよい。置換基の例には、C1−20アルキルまたはアルコキシなどの可溶化基;フッ素、ニトロまたはシアノなどの電子吸引基;およびポリマーのガラス転移温度(Tg)を高める置換基が挙げられる。
【0110】
特に、好ましい電荷輸送ポリマーは、置換されていてもよい2,7−連結フルオレン、最も好ましくは一般式18を満足する基を含む。
【0111】
電荷輸送ポリマーは、デバイス中の使用されている層および共繰返し単位の性質に応じて、正孔輸送および電子輸送の機能の1つまたは複数をもたらし得る。
【0112】
とりわけ、
− 9,9−ジアルキルフルオレン−2,7−ジイルのホモポリマーなどのフルオレン繰返し単位からなるホモポリマーは、電子輸送をもたらすために利用し得る。
− トリアリールアミン繰返し単位、とりわけ一般式14を有する基を含んだ繰返し単位を含むコポリマーは、正孔輸送をもたらすために利用し得る。
この種の特に好ましい正孔輸送ポリマーは、フルオレン繰返し単位とトリアリールアミン繰返し単位とのコポリマーである。
【実施例1】
【0113】
式18のフルオレン繰返し単位と式15のアミン繰返し単位とを含むコポリマーを、国際公開第00/53656号に記載のようにスズキ重合により調製したが、但し、上記したような式6,3または1を有するエンドキャップ単位は、重合工程の開始時に0.25mol%の量で添加した。
【実施例2】
【0114】
式1の化合物を、式18のフルオレン繰返し単位と式15のアミン繰返し単位とを含むコポリマーとブレンドし、青色発光組成物を得た。
【0115】
本明細書に記載する種類のポリマー用の化合物および構造単位を合成する詳細なスキームは、米国出願第2007/0244295号、国際公開第2006/114364号、国際公開第2008/140132号、米国出願第2007/0069198号、米国出願第2003/0181617号、米国出願第2008/0090102号、米国出願第2006/0238110号および国際公開第2008/015945号に見出すことができる。こうした引用文献に記載のポリマーと本発明の発光ポリマーとの主な違いは、本タイプの構造を含む繰返し構造単位または末端基が、本発明においては遥かに低い濃度で存在していることである。本発明者らは、こうした構造を低濃度(即ち、5,3または1mol%未満)で使用することで、より効率的な発光となることを見出した。
【0116】
(合成実施例3)式6を有する化合物
【0117】
【化23】

混合キシレン(50ml)中のジフェニルイソベンゾフラン(3.421g、12.66mmol)とアセナフチレン(1.882g、12.37mmol)との混合物を、窒素下で21時間、還流しながら加熱し、冷却した。溶媒を真空下で除去し、ジクロロメタン(50ml)およびトリフルオロ酢酸(4ml)を添加し、更に17時間還流して、冷却した。溶媒を留去し、ジエチルエーテル(1l)およびジクロロメタン(100ml)を添加して、生成物を溶解させ、水(2×100ml)で洗浄し、無水硫酸マグネシウム上で乾燥し(ジクロロメタンで完全にリンス)、留去して暗色生成物を得た。シリカプラグを通したジクロロメタンによる溶出により、これを精製し、留去した。粗生成物を沸騰アセトニトリル中で粉砕し、冷却した。沈殿をろ過し、吸引乾燥して、HPLCで純度99.9%で3.5gを得た。
【0118】
(合成実施例4)発光体としてポリマー鎖末端に含めるための単官能モノマー
【0119】
【化24】

モノマー1を作製するために、上記の合成実施例3のように、10.00g(24.72mmol)の量で合成した式6を有する化合物をクロロホルム(1L)に溶解し、窒素下に置き、氷水浴中で0℃に冷却した。臭素(2.1ml、41mmol)を滴下して加えた後、反応混合物を窒素下で19時間撹拌し、その間室温まで温まるに任せた。水(500ml)および亜硫酸ナトリウム(5g)を添加し、40分間激しく撹拌した。有機層を分離し、留去して明黄色の固体を得た。これをアセトニトリル中で粉砕し、ろ過し、吸引乾燥した。これをトルエン/アセトニトリル(1:1、300ml)から再結晶して、純粋な生成物(8g)を得た。
【0120】
このモノマーは、国際公開第00/53656号に記載されるような標準的条件を用いたスズキ重合により、ポリマー中に組み入れることができる。これは、重合開始時に導入することができる、または重合終了時にエンドキャップとして導入することができる。
【0121】
(合成実施例5)ブレンドデバイス用の小分子発光体
【0122】
【化25】

式20の化合物を作製するために、上記の合成実施例4のように700mg(1.45mmol)の量で合成したモノマー1、フェニルボロン酸(265mg、2.17mmol)および炭酸ナトリウム(307mg、2.9mmol)のトルエン(25ml)、エタノール(12.5ml)および水(6.3ml)の混合液における混合物を、窒素で30分間脱気した。次いで、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(16.7mg、0.014mmol)を添加し、反応混合物を更に5分間脱気した後、窒素下で1時間加熱し、冷却した。水(100ml)およびジエチルエーテル(100ml)を添加し、有機層を分離し、水(2×100ml)で洗浄し、無水硫酸マグネシウム上で乾燥し、留去して黄色発泡体(foam)を得た。カラムクロマトグラフィー(シリカ上に乾燥状態で添加し、ヘキサン中5〜10%ジクロロメタンで溶出)による精製後、トルエン/アセトニトリル)から再結晶することにより、純粋な黄色結晶を得た。
【0123】
(合成実施例6)ブレンドデバイス用の小分子発光体
【0124】
【化26】

式21の化合物を作製するために、モノマー1(500mg、1.03mmol)、置換フルオレンビス(ピナコールエステル)、(0.466mmol)、トルエン(25ml)および水酸化テトラエチルアンモニウム水溶液(20%aq、3.5ml、4.8mmol)の混合物を窒素で10分間脱気した。ビス(トリフェニルホスフィン)ジクロロパラジウム(II)(2mg、0.003mmol)を添加し、脱気を更に5分間継続した。次いで、反応混合物を19時間還流しながら加熱し、冷却した。有機層を分離し、無水硫酸マグネシウム上で乾燥し、留去して黄色固体を得た。カラムクロマトグラフィー(5〜20%ジクロロメタン/ヘキサン)による精製後、ヘキサンから再結晶することにより、純粋な生成物(102mg)を得た。式21において、Rは、置換されていてもよいアルキル基、アリール基またはヘテロアリール基を示す。
【0125】
適切な置換フルオレン化合物、ポリマーおよびモノマーの合成は、「Organic Light-Emitting Materials and Devices」、Zhigang Li and Hong Meng 編、CRC Press, Taylor and Francis, ISBN 1-57444-574-X (2007)、特に2.3章に総説されている。
【0126】
上記の合成実施例に記載した式6、20および21のフルオランテン誘導体の溶液PLスペクトルは、図2に示されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式1を有する置換されていてもよい発光性構造単位:
【化1】

またはその縮合誘導体を5mol%以下有する発光ポリマー。
【請求項2】
一般式1を有する構造単位またはその縮合誘導体が、ポリマー主鎖の末端基中に含まれる、請求項1に記載の発光ポリマー。
【請求項3】
一般式1を有する構造単位またはその縮合誘導体が、ポリマー主鎖の末端基からのペンダントである側鎖基中に含まれる、請求項2に記載のポリマー。
【請求項4】
ポリマー鎖の末端基が、アリール基またはヘテロアリール基を含む、請求項3に記載のポリマー。
【請求項5】
アリール基またはヘテロアリール基が、フルオレンを含む、請求項4に記載のポリマー。
【請求項6】
2個の末端基を有し、各々が一般式1を有する構造単位またはその縮合誘導体を含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載のポリマー。
【請求項7】
一般式1を有する構造単位またはその縮合誘導体を含む発光性繰返し単位を1mol%以下含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載のポリマー。
【請求項8】
構造単位が式3を有する、請求項1〜7のいずれか一項に記載のポリマー。
【化2】

【請求項9】
構造単位が式4を有し、
【化3】

式中RおよびRは、任意の適切な置換基を独立に表す、請求項8に記載のポリマー。
【請求項10】
構造単位が式6を有し、
【化4】

一般式6の構造単位は、置換されていても、置換されていなくてもよい、請求項9に記載のポリマー。
【請求項11】
構造単位が、一般式3の縮合誘導体を含む、請求項8から10のいずれか一項に記載のポリマー。
【請求項12】
一般式11、12または13の発光性繰返し単位を含み、
【化5】

式中、繰返し単位は、で示した位置の少なくとも1つで隣接繰返し単位に直接連結し;
【化6】

式中、R、RおよびRは、アルキルおよびフェニルから独立に選択され;a≧0、b≧0、c≧0であるが、但しa+b+c≧1であり;R、RおよびRの少なくとも1つは、隣接繰返し単位に直接連結し;
【化7】

式中、Xは、一般式11または12を有する基を表し;Arは、アリール基またはヘテロアリール基を表し;Xが一般式11を有する基を表す場合、Xはで示した位置の1つでArに直接連結し;Xが一般式12を有する基を表す場合、R、RおよびRのうち1つがArに直接連結している、請求項1〜11のいずれか一項に記載の発光ポリマー。
【請求項13】
共役ポリマーである、請求項1〜12のいずれか一項に記載のポリマー。
【請求項14】
溶液から堆積可能である、請求項1〜13のいずれか一項に記載のポリマー。
【請求項15】
青色光を放出する、請求項1〜14のいずれか一項に記載のポリマー。
【請求項16】
正孔輸送共繰返し単位および電子輸送共繰返し単位を含む、請求項1〜15のいずれか一項に記載のポリマー。
【請求項17】
正孔輸送共繰返し単位がトリアリールアミンを含む、請求項16に記載のポリマー。
【請求項18】
電子輸送共繰返し単位がフルオレンを含む、請求項16または17に記載のポリマー。
【請求項19】
ポリマーホストと、一般式1を有する構造単位またはその縮合誘導体を含む小分子発光化合物とを含む、組成物。
【請求項20】
小分子発光化合物を5mol%以下有する、請求項19に記載の組成物。
【請求項21】
ポリマーホストが共役している、請求項19または20に記載の組成物。
【請求項22】
ポリマーホストが、置換されていてもよいフルオレンを含む、請求項19〜21のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項23】
発光化合物が、式3〜6、10または12のいずれか1つに定義したような構造単位を含む小分子である、請求項19〜22のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項24】
請求項1〜18のいずれか一項に記載のポリマー、または請求項19〜23のいずれか一項に記載の組成物を含む発光層を有する、有機発光デバイス(OLED)。
【請求項25】
請求項24に記載のOLEDを備える、光源またはフルカラーディスプレイ。
【請求項26】
請求項2に記載のポリマーを作製する方法であって、
モノマー供給材料中のモノマーを重合して、ポリマー鎖を形成するステップ、
一般式1を有する構造単位と、ポリマー鎖と反応できる反応性基とを含んだエンドキャップ試薬を用いて、ポリマー鎖の終結処理を行い、その末端形成を起こすステップ
を含む方法。
【請求項27】
請求項1に記載のポリマーを作製する方法であって、
重合反応への関与に適切な2個以上の反応性基と、一般式1を有する構造単位とを含んだモノマーを5mol%以下含むモノマー供給材料中で、モノマーを重合するステップ
を含む方法。
【請求項28】
請求項12に記載のポリマーを作製する方法であって、
重合反応への関与に適切な2個以上の反応性基と、一般式11、12または13を有する構造単位とを含んだ、少なくとも1種のモノマーを含むモノマー供給材料中で、モノマーを重合するステップであって、一般式11および13の場合、2個以上の反応性基が、で示される位置に各々独立に配置されており、一般式12の場合、2個以上の反応性基が、R、RまたはRの1つに各々独立に連結されているステップ
を含む方法。
【請求項29】
重合反応への関与に適切な1個、2個またはそれより多い反応性基と、一般式1、11、12もしくは13を有する構造単位またはその縮合誘導体とを含み、一般式11および13の場合、1個、2個またはそれより多い反応性基が、で示される位置に各々独立に配置されており、一般式12の場合、1個、2個またはそれより多い反応性基が、1つのR、RまたはRに各々独立に連結されている、モノマーまたはエンドキャップ試薬。
【請求項30】
請求項23に記載のデバイスを作製する方法であって、請求項1から23のいずれか一項に記載のポリマーまたは組成物を溶液から堆積させるステップを含む方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2012−500886(P2012−500886A)
【公表日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−524444(P2011−524444)
【出願日】平成21年8月26日(2009.8.26)
【国際出願番号】PCT/GB2009/002073
【国際公開番号】WO2010/023443
【国際公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【出願人】(597063048)ケンブリッジ ディスプレイ テクノロジー リミテッド (152)
【Fターム(参考)】