説明

発光材料およびこれを用いた有機電界発光素子

【課題】 有機EL素子において、素子の高い発光効率、低い駆動電圧、優れた耐熱性、長い寿命等に寄与する発光材料、特に青色の発色に優れた発光材料を提供する。さらにこの発光材料を用いた有機EL素子を提供する。
【解決手段】 アントラセンを基本骨格とし非対称な構造を有する新規な発光材料。


式(1)中、R〜Rは、独立して、水素、炭素数1〜24のアルキルまたは炭素数1〜24のアルコキシであり;A1〜Aは独立して、水素、炭素数1〜24のアルキル、または炭素数3〜24のシクロアルキルであり;BおよびBは、独立して、水素、炭素数6〜24のアリール、炭素数1〜24のアルキルまたは炭素数3〜24のシクロアルキルであり;そして、X〜Xは、独立して、水素、炭素数1〜24のアルキル、または炭素数3〜24のシクロアルキルである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アントラセン骨格を有する新規な発光材料、この発光材料を用いた有機電界発光素子(以下、有機EL素子と略記する。)等に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、次世代のフルカラーフラットパネルディスプレイとして有機EL素子が注目され、青色、緑色、赤色の発光材料の研究開発が活発になされている。発光材料のうち特に青色発光材料の改良が求められている。これまでに報告された青色発光材料は、ジスチリルアリーレン誘導体(例えば特許文献1を参照)、亜鉛金属錯体(例えば特許文献2を参照)、アルミニウム錯体(例えば特許文献3を参照)、芳香族アミン誘導体(例えば特許文献4を参照)およびアントラセン誘導体(例えば特許文献5を参照)等である。アントラセン誘導体を発光材料に用いた例は、特許文献5の他に非特許文献1、特許文献6、特許文献7および特許文献8に開示されている。非特許文献1では、ジフェニルアントラセン化合物が用いられているが、結晶性が高く、成膜性が悪いという問題があった。特許文献6、特許文献7および特許文献8には、発光材料としてフェニルアントラセン構造を有する誘導体を用いた有機EL素子が開示されている。特許文献5には、発光材料としてナフタレン置換したアントラセン誘導体を用いた有機EL素子が開示されている。しかし、これらの化合物はいずれも対称的な分子構造を持っており、結晶性が高い可能性が懸念される。特許文献9、特許文献10、特許文献11および特許文献12には、結晶性を低下させアモルファス状態の良好な膜を形成するために、発光材料として2つ以上のアントラセン環を有する化合物を用いた有機EL素子が提案されている。これらの材料によって、青緑色の発光が得られたと報告されている。
【0003】
より高輝度、長寿命の青色有機EL素子を得るために、発光層に少量の蛍光色素をドーピングする方法が提案されている。非特許文献2には、ナフタレン置換したアントラセン誘導体をホスト化合物、ペリレン誘導体をドーパントとして用いた有機EL素子が開示されている。特許文献13には、アントラセン誘導体をホスト化合物、アミン含有スチリル誘導体をドーパントとして用いた有機EL素子が開示されている。
【0004】
この他、特許文献14には、ナフタレン置換したフェニルアントラセン誘導体を正孔輸送材料として使用した例が開示されているが、発光材料としては使用されていない。
【特許文献1】特開平02−247278号公報
【特許文献2】特開平06−336586号公報
【特許文献3】特開平05−198378号公報
【特許文献4】特開平06−240248号公報
【特許文献5】特開平11−3782号公報
【特許文献6】特開平11−312588号公報
【特許文献7】特開平11−323323号公報
【特許文献8】特開平11−329732号公報
【特許文献9】特開平8−12600号公報
【特許文献10】特開平11−111458号公報
【特許文献11】特開2000−344691号公報
【特許文献12】特開2002−154993号公報
【特許文献13】国際公開第01/21729号明細書
【特許文献14】特開2000−182776号公報
【非特許文献1】Applied Physics Letters, 56(9), 799(1990)
【非特許文献2】Applied Physics Letters, 80(17), 3201(2002)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、このような従来技術が有する課題に鑑みてなされたものである。本発明の目的は、有機EL素子において、素子の高い発光効率、低い駆動電圧、優れた耐熱性、長い寿命等に寄与する発光材料、特に青色の発色に優れた発光材料を提供することである。さらに本発明の目的は、この発光材料を用いた有機EL素子を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは鋭意検討した結果、アントラセンを基本骨格とし非対称な構造を有する特定の化合物を、有機EL素子の発光層に単独で用いるか、または他の発光材料と組合せることにより、発光効率が高く、高輝度、長寿命、かつ低電圧で駆動できる有機EL素子を得ることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成した。
【0007】
本発明で用いる用語は、次のように定義される。アルキルは直鎖の基であってもよく、分岐された基であってもよい。このことは、この基において任意の−CH−が−O−またはアリーレン等で置き換えられた場合も同様である。本発明で用いる「任意の」は、位置のみならず個数も任意であることを示す。そして、複数の基または原子が別の基で置き換えられるときには、それぞれが異なる基で置き換えられてもよい。例えば、アルキルにおいて任意の−CH−が−O−またはフェニレンで置き換えられてもよい場合には、アルコキシフェニル、アルコキシフェニルアルキル、アルコキシアルキルフェニルアルキル、フェノキシ、フェニルアルコキシ、フェニルアルコキシアルキル、アルキルフェノキシ、アルキルフェニルアルコキシ、アルキルフェニルアルコキシアルキル等のいずれであってもよいことを示す。そして、これらの基におけるアルコキシおよびアルコキシアルキルの基も、直鎖の基であってもよく、分岐された基であってもよい。ただし、本発明において、任意の−CH−が−O−で置き換えられてよいと記述するときには、連続する複数の−CH−が−O−で置き換えられることを含まない。また、本明細書中では「式(1)で表される発光材料」のことを、「発光材料(1)」のように表記することがある。
【0008】
上記の課題は以下に示す各項によって解決される。
[1]下記の式(1)で表される発光材料。


式(1)中、R〜Rは、独立して、水素、炭素数1〜24のアルキルまたは炭素数1〜24のアルコキシであり;A1〜Aは独立して、水素、炭素数1〜24のアルキル、または炭素数3〜24のシクロアルキルであり;BおよびBは、独立して、水素、炭素数6〜24のアリール、炭素数1〜24のアルキル、または炭素数3〜24のシクロアルキルであり、この炭素数6〜24のアリールにおける任意の水素は炭素数1〜12のアルキル、炭素数3〜12のシクロアルキルまたは炭素数6〜12のアリールで置き換えられてもよく、この炭素数1〜24のアルキルにおける任意の−CH−は、−O−で置き換えられてもよく、この炭素数1〜24のアルキルにおけるナフタレンに直結している−CH−を除く任意の−CH−は、炭素数6〜24のアリーレンで置き換えられてもよく、この炭素数3〜24のシクロアルキルにおける任意の水素は炭素数1〜24のアルキルまたは炭素数6〜24のアリールで置き換えられてもよく;そして、X〜Xは、独立して、水素、炭素数1〜24のアルキル、または炭素数3〜24のシクロアルキルであり、この炭素数1〜24のアルキルにおける任意の−CH−は、−O−で置き換えられてもよく、この炭素数1〜24のアルキルにおけるフェニルに直結している−CH−を除く任意の−CH−は、炭素数6〜24のアリーレンで置き換えられてもよく、この炭素数3〜24のシクロアルキルにおける任意の水素は炭素数1〜24のアルキルまたは炭素数6〜12のアリールで置き換えられてもよい。
【0009】
[2]R〜Rが独立して、水素、メチルまたはtert−ブチルであり;A1〜Aが独立して、水素、メチル、tert−ブチル、またはシクロヘキシルであり;BおよびBが、独立して、水素、メチル、tert−ブチル、または任意の水素が炭素数1〜12のアルキル、炭素数3〜12のシクロアルキル、または炭素数6〜12のアリールで置き換えられてもよい、フェニル、ビフェニリル、ターフェニリル、クアテルフェニリル、ナフチル、フェナントリル、クリセニル、またはトリフェニレニルであり;X〜Xが、独立して、水素、炭素数1〜12のアルキル、または炭素数3〜12のシクロアルキルである[1]項に記載の発光材料。
[3]下記の式(1)で表される発光材料。

式(1)中、R〜Rは独立して、水素、メチルまたはtert−ブチルであり;A1〜Aは水素であり;BおよびBは、独立して、水素、フェニル、2−ビフェニリル、3−ビフェニリル、m−ターフェニル−5’−イル、m−ターフェニル−3−イル、1−ナフチル、2−ナフチル、2−(2−ナフチル)フェニル、3,5−ジ(1−ナフチル)フェニル、3,5−ジ(2−ナフチル)フェニル、p−ターフェニル−2’−イル、m−ターフェニル−2−イル、o−ターフェニル−2−イル、p−ターフェニル−2−イル、5’−フェニル−m−ターフェニル−2−イル、5’−フェニル−m−ターフェニル−3−イル、m−クアテルフェニル−2−イル、m−クアテルフェニル−3−イル、6−(m−ターフェニル−5’−イル)−2−ナフチル、または4−(m−ターフェニル−5’−イル)−1−ナフチルであり;X〜Xは独立して、水素、メチル、tert−ブチル、またはシクロヘキシルである。
【0010】
[4]X〜Xが水素である、[3]項に記載の発光材料。
[5]Xがtert−ブチルであり、X、X、XおよびXが水素である、[3]項に記載の発光材料。
[6]X、XおよびXのうち、少なくとも1つがメチルであり、残りが水素であり;XおよびXが水素である、[3]項に記載の発光材料。
[7]BおよびBがフェニルであり;XおよびXが独立に水素またはメチルであり、XおよびXが水素であり、Xが水素、tert−ブチルまたはメチルである、[3]項に記載の発光材料。
[8]Bがフェニルであり、Bが水素であり;XおよびXが独立に水素またはメチルであり、XおよびXが水素であり、Xが水素、tert−ブチルまたはメチルである、[3]項に記載の発光材料。
[9]Bが水素であり、Bがフェニルであり;XおよびXが独立に水素またはメチルであり、XおよびXが水素であり、Xが水素、tert−ブチルまたはメチルである、[3]項に記載の発光材料。
【0011】
[10]BおよびBが2−ビフェニリルであり;XおよびXが独立に水素またはメチルであり、XおよびXが水素であり、Xが水素、tert−ブチルまたはメチルである、[3]項に記載の発光材料。
[11]Bが2−ビフェニリルであり、Bが水素であり;XおよびXが独立に水素またはメチルであり、XおよびXが水素であり、Xが水素、tert−ブチルまたはメチルである、[3]項に記載の発光材料。
[12]Bが水素であり、Bが2−ビフェニリルであり;XおよびXが独立に水素またはメチルであり、XおよびXが水素であり、Xが水素、tert−ブチルまたはメチルである、[3]項に記載の発光材料。
【0012】
[13]BおよびBが3−ビフェニリルであり;XおよびXが独立に水素またはメチルであり、XおよびXが水素であり、Xが水素、tert−ブチルまたはメチルである、[3]項に記載の発光材料。
[14]Bが3−ビフェニリルであり、Bが水素であり;XおよびXが独立に水素またはメチルであり、XおよびXが水素であり、Xが水素、tert−ブチルまたはメチルである、[3]項に記載の発光材料。
[15]Bが水素であり、Bが3−ビフェニリルであり;XおよびXが独立に水素またはメチルであり、XおよびXが水素であり、Xが水素、tert−ブチルまたはメチルである、[3]項に記載の発光材料。
【0013】
[16]Bがm−ターフェニル−5’−イルであり、Bが水素であり;XおよびXが独立に水素またはメチルであり、XおよびXが水素であり、Xが水素、tert−ブチルまたはメチルである、[3]項に記載の発光材料。
[17]Bが水素であり、Bがm−ターフェニル−5’−イルであり;XおよびXが独立に水素またはメチルであり、XおよびXが水素であり、Xが水素、tert−ブチルまたはメチルである、[3]項に記載の発光材料。
【0014】
[18]Bがm−ターフェニル−3−イルであり、Bが水素であり;XおよびXが独立に水素またはメチルであり、XおよびXが水素であり、Xが水素、tert−ブチルまたはメチルである、[3]項に記載の発光材料。
[19]Bが水素であり、Bがm−ターフェニル−3−イルであり;XおよびXが独立に水素またはメチルであり、XおよびXが水素であり、Xが水素、tert−ブチルまたはメチルである、[3]項に記載の発光材料。
【0015】
[20]Bが1−ナフチルであり、Bが水素であり;XおよびXが独立に水素またはメチルであり、XおよびXが水素であり、Xが水素、tert−ブチルまたはメチルである、[3]項に記載の発光材料。
[21]Bが水素であり、Bが1−ナフチルであり;XおよびXが独立に水素またはメチルであり、XおよびXが水素であり、Xが水素、tert−ブチルまたはメチルである、[3]項に記載の発光材料。
【0016】
[22]Bが2−ナフチルであり、Bが水素であり;XおよびXが独立に水素またはメチルであり、XおよびXが水素であり、Xが水素、tert−ブチルまたはメチルである、[3]項に記載の発光材料。
[23]Bが水素であり、Bが2−ナフチルであり;XおよびXが独立に水素またはメチルであり、XおよびXが水素であり、Xが水素、tert−ブチルまたはメチルである、[3]項に記載の発光材料。
【0017】
[24]Bが2−(2−ナフチル)フェニルであり、Bが水素であり;XおよびXが独立に水素またはメチルであり、XおよびXが水素であり、Xが水素、tert−ブチルまたはメチルである、[3]項に記載の発光材料。
[25]Bが水素であり、Bが2−(2−ナフチル)フェニルであり;XおよびXが独立に水素またはメチルであり、XおよびXが水素であり、Xが水素、tert−ブチルまたはメチルである、[3]項に記載の発光材料。
【0018】
[26]Bが3,5−ジ(1−ナフチル)フェニルまたは3,5−ジ(2−ナフチル)フェニルであり、Bが水素であり;XおよびXが独立に水素またはメチルであり、XおよびXが水素であり、Xが水素、tert−ブチルまたはメチルである、[3]項に記載の発光材料。
[27]Bが水素であり、Bが3,5−ジ(1−ナフチル)フェニルまたは3,5−ジ(2−ナフチル)フェニルであり;XおよびXが独立に水素またはメチルであり、XおよびXが水素であり、Xが水素、tert−ブチルまたはメチルである、[3]項に記載の発光材料。
【0019】
[28]Bがp−ターフェニル−2’−イル、m−ターフェニル−2−イル、o−ターフェニル−2−イル、およびp−ターフェニル−2−イルから選択される1つの基であり、Bが水素であり;XおよびXが独立に水素またはメチルであり、XおよびXが水素であり、Xが水素、tert−ブチルまたはメチルである、[3]項に記載の発光材料。
[29]Bが水素であり、Bがp−ターフェニル−2’−イル、m−ターフェニル−2−イル、o−ターフェニル−2−イル、およびp−ターフェニル−2−イルから選択される1つの基であり;XおよびXが独立に水素またはメチルであり、XおよびXが水素であり、Xが水素、tert−ブチルまたはメチルである、[3]項に記載の発光材料。
【0020】
[30]Bが5’−フェニル−m−ターフェニル−2−イルまたは5’−フェニル−m−ターフェニル−3−イルであり、Bが水素であり;XおよびXが独立に水素またはメチルであり、XおよびXが水素であり、Xが水素、tert−ブチルまたはメチルである、[3]項に記載の発光材料。
[31]Bが水素であり、Bが5’−フェニル−m−ターフェニル−2−イルまたは5’−フェニル−m−ターフェニル−3−イルであり;XおよびXが独立に水素またはメチルであり、XおよびXが水素であり、Xが水素、tert−ブチルまたはメチルである、[3]項に記載の発光材料。
【0021】
[32]Bがm−クアテルフェニル−2−イルまたはm−クアテルフェニル−3−イルであり、Bが水素であり;XおよびXが独立に水素またはメチルであり、XおよびXが水素であり、Xが水素、tert−ブチルまたはメチルである、[3]項に記載の発光材料。
[33]Bが水素であり、Bがm−クアテルフェニル−2−イルまたはm−クアテルフェニル−3−イルであり;XおよびXが独立に水素またはメチルであり、XおよびXが水素であり、Xが水素、tert−ブチルまたはメチルである、[3]項に記載の発光材料。
【0022】
[34]Bが6−(m−ターフェニル−5’−イル)−2−ナフチルまたは4−(m−ターフェニル−5’−イル)−1−ナフチルであり、Bが水素であり;XおよびXが独立に水素またはメチルであり、XおよびXが水素であり、Xが水素、tert−ブチルまたはメチルである、[3]項に記載の発光材料。
[35]Bが水素であり、Bが6−(m−ターフェニル−5’−イル)−2−ナフチルまたは4−(m−ターフェニル−5’−イル)−1−ナフチルであり;XおよびXが独立に水素またはメチルであり、XおよびXが水素であり、Xが水素、tert−ブチルまたはメチルである、[3]項に記載の発光材料。
【0023】
[36]陽極および陰極により挟持された、少なくとも正孔輸送層、発光層および電子輸送層を、基板上に有する有機電界発光素子において、該発光層が[1]〜[35]のいずれか1項に記載の発光材料を含有する有機電界発光素子。
[37]発光層が、発光性のドーパントとして、ペリレン誘導体、ボラン誘導体、アミン含有スチリル誘導体、芳香族アミン誘導体、クマリン誘導体、ピラン誘導体、イリジウム錯体、および白金錯体から選ばれる少なくとも1つを含有することを特徴とする、[36]項に記載の有機電界発光素子。
[38]発光層が、発光性のドーパントとしてペリレン誘導体を含有することを特徴とする、[36]項に記載の有機電界発光素子。
【0024】
[39]発光層が、発光性のドーパントとしてボラン誘導体を含有することを特徴とする、[36]項に記載の有機電界発光素子。
[40]発光層が、発光性のドーパントとしてアミン含有スチリル誘導体を含有することを特徴とする、[36]項に記載の有機電界発光素子。
[41]発光層が、発光性のドーパントとして芳香族アミン誘導体を含有することを特徴とする、[36]項に記載の有機電界発光素子。
[42]発光層が、発光性のドーパントとしてクマリン誘導体を含有することを特徴とする、[36]項に記載の有機電界発光素子。
[43]発光層が、発光性のドーパントとしてピラン誘導体を含有することを特徴とする、[36]項に記載の有機電界発光素子。
[44]発光層が、発光性のドーパントとしてイリジウム錯体を含有することを特徴とする、[36]項に記載の有機電界発光素子。
[45]発光層が、発光性のドーパントとして白金錯体を含有することを特徴とする、[36]項に記載の有機電界発光素子。
【0025】
[46]電子輸送層がキノリノール系金属錯体を含有することを特徴とする、[36]〜[45]のいずれか1項に記載の有機電界発光素子。
[47]電子輸送層がピリジン誘導体およびフェナントロリン誘導体の少なくとも1つを含有することを特徴とする、[36]〜[45]のいずれか1項に記載の有機電界発光素子。
【発明の効果】
【0026】
本発明の発光材料は、蛍光量子収率が高いこと、耐熱性が高いこと等から、有機EL素子の発光層に用いる化合物、特にホストとして適している。本発明の発光材料は、様々な色の発光に使用できるが、特に青色発光に優れている。この発光材料を用いることで、高い発光効率、低い駆動電圧、優れた耐熱性、長い寿命を有する有機EL素子を得ることができる。本発明の有機EL素子を用いることにより、フルカラー表示等の高性能のディスプレイ装置を作成できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
本発明の第1は、式(1)で表される、アントラセン骨格を有する発光材料である。


式(1)中、R〜Rは、独立して、水素、炭素数1〜24のアルキルまたは炭素数1〜24のアルコキシである。炭素数1〜24のアルキルの具体例は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、tert−ペンチル、ネオペンチル、n−ヘキシル、イソヘキシル、1−メチルペンチル、2−メチルペンチル、n−ヘキシル、イソヘキシル、1−メチルペンチル、2−メチルペンチル、5−メチルへキシル等である。
【0028】
炭素数1〜24のアルコキシの具体例は、メトキシ、エトキシ、プロピルオキシ、イソプロピルオキシ、n−ブチルオキシ、イソブチルオキシ、sec−ブチルオキシ、tert−ブチルオキシ、n−ペンチルオキシ、イソペンチルオキシ、tert−ペンチルオキシ、ネオペンチルオキシ、n−ヘキシルオキシ、イソヘキシルオキシ、1−メチルペンチルオキシ、2−メチルペンチルオキシ、n−ヘキシルオキシ等である。
【0029】
〜Rの好ましい例は、水素、メチルおよびtert−ブチルであり、特に好ましい例は水素である。
【0030】
1〜Aは独立して、水素、炭素数1〜24のアルキル、または炭素数3〜24のシクロアルキルである。炭素数1〜24のアルキルの具体例は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、tert−ペンチル、ネオペンチル、n−ヘキシル、イソヘキシル、1−メチルペンチル、2−メチルペンチル、n−ヘキシル、イソヘキシル、1−メチルペンチル、2−メチルペンチル、5−メチルへキシル等である。
【0031】
炭素数3〜24のシクロアルキルの具体例は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロぺンチル、シクロヘキシル等である。
【0032】
1〜Aの好ましい例は、水素、メチル、tert−ブチルおよびシクロヘキシルであり、特に好ましい例は水素である。
【0033】
およびBは、独立して、水素、炭素数6〜24のアリール、炭素数1〜24のアルキル、または炭素数3〜24のシクロアルキルである。以下にこれらの基について詳細に説明する。
【0034】
第1に、炭素数6〜24のアリールの具体例は、フェニル、2−ビフェニリル、3−ビフェニリル、4−ビフェニリル、m−ターフェニル−2−イル、m−ターフェニル−3−イル、m−ターフェニル−4−イル、m−ターフェニル−2’−イル、m−ターフェニル−4’−イル、m−ターフェニル−5’−イル、o−ターフェニル−2−イル、o−ターフェニル−3−イル、o−ターフェニル−4−イル、o−ターフェニル−3’−イル、o−ターフェニル−4’−イル、p−ターフェニル−2−イル、p−ターフェニル−3−イル、p−ターフェニル−4−イル、p−ターフェニル−2’−イル、m−クアテルフェニル−2−イル、m−クアテルフェニル−3−イル、m−クアテルフェニル−4−イル、o−クアテルフェニル−2−イル、o−クアテルフェニル−3−イル、o−クアテルフェニル−4−イル、p−クアテルフェニル−2−イル、p−クアテルフェニル−3−イル、p−クアテルフェニル−4−イル、1−ナフチル、2−ナフチル、1−フェナントリル、2−フェナントリル、3−フェナントリル、4−フェナントリル、9−フェナントリル、1−クリセニル、2−クリセニル、3−クリセニル、5−クリセニル、6−クリセニル、1−トリフェニレニル、2−トリフェニレニル等である。この炭素数6〜24のアリールにおける任意の水素は炭素数1〜12のアルキル、炭素数3〜12のシクロアルキル、炭素数6〜12のアリールで置き換えられてもよい。
【0035】
任意の水素が炭素数1〜12のアルキルで置き換えられた炭素数6〜24のアリールの具体例は、o−トリル、m−トリル、p−トリル、2,4−ジメチルフェニル、2,6−ジメチルフェニル、3,5−ジメチルフェニル、2,4,6−トリメチルフェニル、4−tert−ブチルフェニル、2,4−ジtert−ブチルフェニル、2,4,6−トリtert−ブチルフェニル、2−メチル−4−ビフェニリル、2−メチル−3−ビフェニリル、2−メチル−2−ビフェニル、3,5−ジ(2’−メチルフェニル)フェニル、3,5−ジ(3’−メチルフェニル)フェニル、3,5−ジ(4’−メチルフェニル)フェニル、3,5−ジ(4’−tert−ブチルフェニル)フェニル、3,5−ビス(2’、4’−ジメチルフェニル)フェニル、3,5−ビス(3’、5’−ジメチルフェニル)フェニル、4−メチル−1−ナフチル、4−tert−ブチル−1−ナフチル、6−メチル−2−ナフチル、6−tert−ブチル−2−ナフチル等である。
【0036】
任意の水素が炭素数3〜12のシクロアルキルで置き換えられた炭素数6〜24のアリールの具体例は、2−シクロヘキシルフェニル、3−シクロヘキシルフェニル、4−シクロヘキシルフェニル、2、4−ジシクロヘキシルフェニル、3、5−ジシクロヘキシルフェニル、4−シクロヘキシル−1−ナフチル、6−シクロヘキシル−2−ナフチル等である。
【0037】
任意の水素が炭素数6〜12のアリールで置き換えられた炭素数6〜24のアリールの具体例は、2−(1−ナフチル)フェニル、3−(1−ナフチル)フェニル、4−(1−ナフチル)フェニル、2−(2−ナフチル)フェニル、3−(2−ナフチル)フェニル、4−(2−ナフチル)フェニル、3,5−ジ(1−ナフチル)−フェニル、3,5−ジ(2−ナフチル)−フェニル、2,4−ジ(1−ナフチル)−フェニル、2,4−ジ(2−ナフチル)−フェニル、5−(1−ナフチル)−3−ビフェニリル、5−(2−ナフチル)−3−ビフェニリル、3,5−ビス(2−ビフェニリル)フェニル、3,5−ビス(3−ビフェニリル)フェニル、3,5−ビス(4−ビフェニリル)フェニル、5’−フェニル−m−ターフェニル−2−イル、5’−フェニル−m−ターフェニル−3−イル、5’−フェニル−m−ターフェニル−4−イル、5’−(1−ナフチル)−m−ターフェニル−2−イル、5’−(1−ナフチル)−m−ターフェニル−3−イル、5’−(1−ナフチル)−m−ターフェニル−4−イル、5’−(2−ナフチル)−m−ターフェニル−2−イル、5’−(2−ナフチル)−m−ターフェニル−3−イル、5’−(2−ナフチル)−m−ターフェニル−4−イル、4−フェニル−1−ナフチル、6−フェニル−2−ナフチル、2,2’−ビナフチル−6−イル、1,2’−ビナフチル−6’−イル、1,2’−ビナフチル−4−イル、1,1’−ビナフチル−4−イル、4−(2−ビフェニリル)−1−ナフチル、4−(3−ビフェニリル)−1−ナフチル、4−(4−ビフェニリル)−1−ナフチル、4−(m−ターフェニル−5’−イル)−1−ナフチル、6−(2−ビフェニリル)−2−ナフチル、6−(3−ビフェニリル)−2−ナフチル、6−(4−ビフェニリル)−2−ナフチル、6−(m−ターフェニル−5’−イル)−2−ナフチル等である。
【0038】
第2に、炭素数1〜24のアルキルの具体例は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、tert−ペンチル、ネオペンチル、n−ヘキシル、イソヘキシル、1−メチルペンチル、2−メチルペンチル、n−ヘキシル、イソヘキシル、1−メチルペンチル、2−メチルペンチル、5−メチルへキシル等である。この炭素数1〜24のアルキルにおける任意の−CH−は−O−で置き換えられてもよい。また、この炭素数1〜24のアルキルにおけるナフタレンに直結している−CH−を除く任意の−CH−は炭素数6〜24のアリーレンで置き換えられてもよい。炭素数6〜24のアリーレンの具体例は、1,2−フェニレン、1,3−フェニレン、1,4−フェニレン、ナフタレン1,4−ジイル、ナフタレン−2,6−ジイルなどである。
【0039】
任意の−CH−が−O−で置き換えられた炭素数1〜24のアルキルの具体例は、メトキシ、エトキシ、プロピルオキシ、イソプロピルオキシ、n−ブチルオキシ、イソブチルオキシ、sec−ブチルオキシ、tert−ブチルオキシ、n−ペンチルオキシ、イソペンチルオキシ、tert−ペンチルオキシ、ネオペンチルオキシ、n−ヘキシルオキシ、イソヘキシルオキシ、1−メチルペンチルオキシ、2−メチルペンチルオキシ、n−ヘキシルオキシ等である。ナフタレンに直結している−CH−を除く任意の−CH−が炭素数6〜24のアリーレンで置き換えられた炭素数1〜24のアルキルの具体例は、2−フェニルエチル、2−(4−メチルフェニル)エチル、1−メチル−1−フェニルエチル、1,1−ジメチル−2−フェニルエチル、トリチル、2−(4−ビフェニリル)エチル、2−(4’−メチル−ビフェニリル)エチル、2−(4−メチル−1−ナフチル)エチル、2−(6−メチル−2−ナフチル)エチルなどである。
【0040】
任意の−CH−が−O−で置き換えられ、かつナフタレンに直結している−CH−を除く任意の−CH−が炭素数6〜24のアリーレンで置き換えられた炭素数1〜24のアルキルの具体例は、フェノキシ、o−トリルオキシ、m−トリルオキシ、p−トリルオキシ、1−ナフトキシ、2−ナフトキシ、2,4−ジメチルフェノキシ、2,6−ジメチルフェノキシ、2,4,6−トリメチルフェノキシ、4−tert−ブチルフェノキシ、2,4−ジtert−ブチルフェノキシ、2,4,6−トリtert−ブチルフェノキシ、2−フェニルエトキシ、2−(4−メチルフェニル)エトキシ等である。
【0041】
第3に、炭素数3〜24のシクロアルキルの具体例は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロぺンチル、シクロヘキシル等である。この炭素数3〜24のシクロアルキルにおける任意の水素は炭素数1〜24のアルキル、炭素数6〜24のアリールで置き換えられてもよい。
【0042】
任意の水素が炭素数1〜24のアルキルで置き換えられた炭素数3〜24のシクロアルキルの具体例は、2−メチルシクロヘキシル、3−メチルシクロヘキシル、4−メチルシクロヘキシル、2,4、6−トリメチルシクロヘキシル、2−tert−ブチルシクロヘキシル、3−tert−ブチルシクロヘキシル、4−tert−ブチルシクロヘキシル、2,4、6−トリ−tert−ブチルシクロヘキシル等である。任意の水素が炭素数6〜24のアリールで置き換えられた炭素数3〜12のシクロアルキルの具体例は、2−フェニルシクロヘキシル、3−フェニルシクロヘキシル、4−フェニルシクロヘキシル、2,4−ジフェニルシクロヘキシル、3,5−ジフェニルシクロヘキシル等である。
【0043】
およびBの好ましい例は、水素、メチル、tert−ブチル、フェニル、2−ビフェニリル、3−ビフェニリル、4−ビフェニリル、m−ターフェニル−4’−イル、m−ターフェニル−5’−イル、p−ターフェニル−2’−イル、p−ターフェニル−2−イル、m−ターフェニル−2−イル、m−ターフェニル−3−イル、o−ターフェニル−2−イル、o−ターフェニル−3−イル、3,5−ジ(2−ナフチル)フェニル、3,5−ジ(1−ナフチル)フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、4−フェニル−1−ナフチル、6−フェニル−2−ナフチル、1,2’−ビナフチル−4−イル、2,2’−ビナフチル−6−イル、9−フェナントリル、2−トリフェニレニル、2−(2−ナフチル)フェニル、5’−フェニル−m−ターフェニル−2−イル、5’−フェニル−m−ターフェニル−3−イル、m−クアテルフェニリル−2−イル、m−クアテルフェニリル−3−イル、6−(m−ターフェニル−5’−イル)−2−ナフチル、4−(m−ターフェニル−5’−イル)−1−ナフチル等である。特に好ましい例は、2−ビフェニリル、3−ビフェニリル、m−ターフェニル−5’−イル、m−ターフェニル−3−イル、1−ナフチル、2−ナフチル等である。
【0044】
およびBの両方が上記の基であってもよいし、どちらか片方が上記の基であって、他方が水素であってもよい。BまたはBが嵩高い基であると、その基の立体障害によって発光波長が低波長側にシフトするので、ホストとして好ましい。またBまたはBが嵩高い基であると、得られる化合物のガラス転移温度が高くなるので、好ましい。EL素子を作成した場合に、ガラス転移温度が低いと時間経過とともに結晶化が進み、発光効率や安定性が変化してしまう可能性があるが、ガラス転移温度が高ければこの様な経時変化が小さくなる。ただし、BおよびBの両方があまりに嵩高い基である場合はそれらの基による立体障害によって、合成が困難になる場合がある。
【0045】
またはBのどちらの位置に上記の基を導入するかによって、得られる化合物の特性は、それ程大きく変わらない。ただし、Bに導入した場合の方が、Bに導入する場合よりは、合成が容易であり、コスト的に有利である。
【0046】
〜Xは、独立して、水素、炭素数1〜24のアルキル、または炭素数3〜24のシクロアルキルである。炭素数1〜24のアルキルの具体例は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、tert−ペンチル、ネオペンチル、n−ヘキシル、イソヘキシル、1−メチルペンチル、2−メチルペンチル、n−ヘキシル、イソヘキシル、1−メチルペンチル、2−メチルペンチル、5−メチルへキシル等である。この炭素数1〜24のアルキルにおける任意の−CH−は、−O−で置き換えられてもよい。また、この炭素数1〜24のアルキルにおけるナフタレンに直結している−CH−を除く任意の−CH−は炭素数6〜24のアリーレンで置き換えられてもよい。炭素数6〜24のアリーレン例は前記と同じである。
【0047】
任意の−CH−が−O−で置き換えられた炭素数1〜24のアルキルの具体例は、メトキシ、エトキシ、プロピルオキシ、イソプロピルオキシ、n−ブチルオキシ、イソブチルオキシ、sec−ブチルオキシ、tert−ブチルオキシ、n−ペンチルオキシ、イソペンチルオキシ、tert−ペンチルオキシ、ネオペンチルオキシ、n−ヘキシルオキシ、イソヘキシルオキシ、1−メチルペンチルオキシ、2−メチルペンチルオキシ、n−ヘキシルオキシ等である。ナフタレンに直結している−CH−を除く任意の−CH−が炭素数6〜24のアリーレンで置き換えられた炭素数1〜24のアルキルの具体例は、2−フェニルエチル、2−(4−メチルフェニル)エチル、1−メチル−1−フェニルエチル、1,1−ジメチル−2−フェニルエチル、トリチル、2−(4−ビフェニリル)エチル、2−(4’−メチル−ビフェニリル)エチル、2−(4−メチル−1−ナフチル)エチル、2−(6−メチル−2−ナフチル)エチルなどである。
【0048】
任意の−CH−が−O−で置き換えられ、かつナフタレンに直結している−CH−を除く任意の−CH−が炭素数6〜24のアリーレンで置き換えられた炭素数1〜24のアルキルの具体例は、フェノキシ、o−トリルオキシ、m−トリルオキシ、p−トリルオキシ、1−ナフトキシ、2−ナフトキシ、2,4−ジメチルフェノキシ、2,6−ジメチルフェノキシ、2,4,6−トリメチルフェノキシ、4−tert−ブチルフェノキシ、2,4−ジtert−ブチルフェノキシ、2,4,6−トリtert−ブチルフェノキシ、2−フェニルエトキシ、2−(4−メチルフェニル)エトキシ等である。
【0049】
炭素数3〜24のシクロアルキルの具体例は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロぺンチル、シクロヘキシル等である。この炭素数3〜24のシクロアルキルにおける任意の水素は炭素数1〜24のアルキルまたは炭素数6〜12のアリールで置き換えられてもよい。
【0050】
任意の水素が炭素数1〜24のアルキルで置き換えられた炭素数3〜24のシクロアルキルの具体例は、2−メチルシクロヘキシル、3−メチルシクロヘキシル、4−メチルシクロヘキシル、2,4、6−トリメチルシクロヘキシル、2−tert−ブチルシクロヘキシル、3−tert−ブチルシクロヘキシル、4−tert−ブチルシクロヘキシル、2,4、6−トリ−tert−ブチルシクロヘキシル等である。任意の水素が炭素数6〜12のアリールで置き換えられた炭素数3〜12のシクロアルキルの具体例は、2−フェニルシクロヘキシル、3−フェニルシクロヘキシル、4−フェニルシクロヘキシル、2,4−ジフェニルシクロヘキシル、3,5−ジフェニルシクロヘキシル等である。
【0051】
1〜Xの好ましい例は、水素、メチル、tert−ブチルおよびシクロヘキシルであり、より好ましい例は水素、メチル、tert−ブチルである。さらに好ましい例をフェニルの構造にて以下に示す。

【0052】
本発明の発光材料(1)の具体例は以下の式(2)〜(103)の化合物であるが、本発明はこれらの具体的な構造の開示によって限定されることはない。
【0053】

【0054】

【0055】

【0056】

【0057】

【0058】

【0059】

【0060】

【0061】

【0062】

【0063】

【0064】

【0065】

【0066】

【0067】

【0068】

上記の具体例の中でも化合物(20)、(29)、(30)、(31)、(32)、(33)、(34)、(37)、(38)、(39)、(40)、(41)、(43)、(44)、(45)、(47)、(48)、(55)、(56)、(64)、(69)、(70)、(71)および(75)が好ましい。さらに化合物(31)、(32)、(37)、(39)、(40)、(43)、(44)、(47)および(55)がより好ましい。
【0069】
本発明の発光材料は鈴木カップリング反応のような既知の合成法を利用して合成することができる。鈴木カップリング反応は、塩基の存在下パラジウム触媒を用いて、芳香族ハライドと芳香族ボロン酸とをカップリングする方法である。この方法で発光材料(1)を得る反応経路の具体例は下記の通りである。





上式中、R〜R、X〜X、A〜A、BおよびBは前記と同一である。
【0070】
この反応で用いられるパラジウム触媒の具体例は、Pd(PPh、PdCl(PPh、Pd(OAc)、トリス(ジベンジリデンアセトン)二パラジウム(0)、トリス(ジベンジリデンアセトン)二パラジウムクロロホルム錯体(0)等である。反応促進するため、場合によりこれらのパラジウム化合物にホスィン化合物を加えてもよい。そのホスィン化合物の具体例は、トリ(tert−ブチル)ホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、1−(N,N−ジメチルアミノメチル)−2−(ジtert−ブチルホスフィノ)フェロセン、1−(N,N−ジブチルアミノメチル)−2−(ジtert−ブチルホスフィノ)フェロセン、1−(メトキシメチル)−2−(ジtert−ブチルホスフィノ)フェロセン、1,1’−ビス(ジtert−ブチルホスフィノ)フェロセン、2,2’−ビス(ジtert−ブチルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル、2−メトキシ−2’−(ジtert−ブチルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル等である。この反応で用いられる塩基の具体例は、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化バリウム、ナトリウムエトキシド、ナトリウムtert−ブトキシド、酢酸ナトリウム、リン酸三カリウム、フッ化カリウム等である。さらに、この反応で用いられる溶媒の具体例は、ベンゼン、トルエン、キシレン、N,N−ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、ジエチルエ−テル、tert−ブチルメチルエ−テル、1,4−ジオキサン、メタノ−ル、エタノール、イソプロピルアルコ−ル等である。これらの溶媒は、反応させる芳香族ハライドおよび芳香族ボロン酸の構造に応じて適宜選択できる。溶媒は単独で用いてもよく、混合溶媒として用いてもよい。
【0071】
本発明の発光材料は、固体状態において強い蛍光を持つ化合物であり様々な色の発光に使用できるが、特に青色発光に適している。本発明の発光材料は、非対称の分子構造を持っているため、有機EL素子作製時にアモルファス状態を形成しやすい。本発明の発光材料は、耐熱性に優れ、電界印加時においても安定である。以上の理由により、本発明の発光材料は電界発光型素子の発光材料として優れている。
【0072】
本発明の発光材料は、ホスト発光材料として有効である。本発明の発光材料の発光波長が短く青色ホスト発光材料として優れているが、青色以外の発光にも使用することが可能である。本発明の発光材料をホスト材料として使用すると、エネルギー移動が効率よく行われ、高効率、長寿命の発光素子が得られる。
【0073】
本発明の第2は、発光層が本発明の式(1)で表される発光材料を含有する有機EL素子である。本発明の有機EL素子は、高効率、長寿命であるばかりでなく、駆動電圧が低く、保存時および駆動時の耐久性が高い。
【0074】
本発明の有機EL素子の構造は各種の態様があるが、基本的には陽極と陰極との間に少なくとも正孔輸送層、発光層、電子輸送層を挟持した多層構造である。素子の具体的な構成の例は、(1)陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極、(2)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極、(3)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極、等である。
【0075】
本発明の発光材料は、高い発光量子効率、正孔注入性、正孔輸送性、電子注入性および電子輸送性を持っているので、発光材料として発光層に有効に使用できる。本発明の有機EL素子は、本発明の発光材料のみで発光層を形成することができる。本発明の有機EL素子は、本発明の発光材料と他の発光材料もしくは発光性ドーパント材料と組み合わせることにより、発光輝度や発光効率の向上させたり、青色、緑色、赤色や白色の発光を得ることもできる。さらに組み合わせる発光材料によっては、本発明の発光材料を発光性ドーパントとしても使用することも可能である。有機EL素子の発光効率を高めたり、寿命を長くするためには、本発明の発光材料と他の発光材料もしくは発光性ドーパントと併用することが好ましい。
【0076】
本発明の発光材料と共に発光層に使用できる他の発光材料または発光性ドーパントは、高分子学会編、高分子機能材料シリーズ“光機能材料”、共同出版(1991)、P236に記載されているような昼光蛍光材料、蛍光増白剤、レーザー色素、有機シンチレータ、各種の蛍光分析試薬等の発光材料、城戸淳二監修、“有機EL材料とディスプレイ”シーエムシー社出版(2001)P155〜156に記載されているようなドーパント材料、P170〜172に記載されているような3重項材料の発光材料等である。
【0077】
他の発光材料または発光性ドーパントとして使用できる化合物は、多環芳香族化合物、ヘテロ芳香族化合物、有機金属錯体、色素、高分子系発光材料、スチリル誘導体、芳香族アミン誘導体、クマリン誘導体、ボラン誘導体、オキサジン誘導体、スピロ環を有する化合物、オキサジアゾール誘導体、フルオレン誘導体等である。多環芳香族化合物の例は、アントラセン誘導体、フェナントレン誘導体、ナフタセン誘導体、ピレン誘導体、クリセン誘導体、ペリレン誘導体、コロネン誘導体、ルブレン誘導体等である。ヘテロ芳香族化合物の例は、ジアルキルアミノ基またはジアリールアミノ基を有するオキサジアゾール誘導体、ピラゾロキノリン誘導体、ピリジン誘導体、ピラン誘導体、フェナントロリン誘導体、シロール誘導体、トリフェニルアミノ基を有するチオフェン誘導体、キナクリドン誘導体等である。有機金属錯体の例は、亜鉛、アルミニウム、ベリリウム、ユーロピウム、テルビウム、ジスプロシウム、イリジウム、白金等と、キノリノール誘導体、ベンゾキサゾ−ル誘導体、ベンゾチアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、フェニルピリジン誘導体、フェニルベンゾイミダゾール誘導体、ピロール誘導体、ピリジン誘導体、フェナントロリン誘導体等との錯体である。色素の例は、キサンテン誘導体、ポリメチン誘導体、ポルフィリン誘導体、クマリン誘導体、ジシアノメチレンピラン誘導体、ジシアノメチレンチオピラン誘導体、オキソベンズアントラセン誘導体、カルボスチリル誘導体、ペリレン誘導体、ベンゾオキサゾール誘導体、ベンゾチアゾール誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体等の色素が挙げられる。高分子系発光材料の例は、ポリパラフェニルビニレン誘導体、ポリチオフェン誘導体、ポリビニルカルバゾ−ル誘導体、ポリシラン誘導体、ポリフルオレン誘導体、ポリパラフェニレン誘導体等である。スチリル誘導体の例は、アミン含有スチリル誘導体、スチリルアリーレン誘導体等である。
【0078】
特に、発光性のドーパントとしては、ペリレン誘導体、ボラン誘導体、アミン含有スチリル誘導体、芳香族アミン誘導体、クマリン誘導体、ピラン誘導体、イリジウム錯体または白金錯体が好ましい。ペリレン誘導体の具体例は、3,10−ビス(2,6−ジメチルフェニル)ペリレン、3,10−ビス(2,4,6−トリメチルフェニル)ペリレン、3,10−ジフェニルペリレン、3,4−ジフェニルペリレン、2,5,8,11−テトラ−tert−ブチルペリレン、3,4,9,10−テトラフェニルペリレン、3−(1’−ピレニル)−8,11−ジ(tert−ブチル)ペリレン、3−(9’−アントリル)−8,11−ジ(tert−ブチル)ペリレン、3,3’−ビス(8,11−ジ(tert−ブチル)ペリレニル)等である。ボラン誘導体の具体例は、1,8−ジフェニル−10−(ジメシチルボリル)アントラセン、9−フェニル−10−(ジメシチルボリル)アントラセン、4−(9’−アントリル)ジメシチルボリルナフタレン、4−(10’−フェニル−9’−アントリル)ジメシチルボリルナフタレン、9−(ジメシチルボリル)アントラセン、9−(4’−ビフェニリル)−10−(ジメシチルボリル)アントラセン、9−(4’−(N−カルバゾリル)フェニル)−10−(ジメシチルボリル)アントラセン等である。クマリン誘導体の具体例は、クマリン−6、クマリン−334等である。
【0079】
アミン含有スチリル誘導体の具体例は、N,N,N’,N’−テトラ(4−ビフェニリル)−4、4’−ジアミノスチルベン、N,N,N’,N’−テトラ(1−ナフチル)−4、4’−ジアミノスチルベン、N,N,N’,N’−テトラ(2−ナフチル)−4、4’−ジアミノスチルベン、N,N’−ジ(2−ナフチル)−N,N’−ジフェニル−4、4’−ジアミノスチルベン、N,N’−ジ(9−フェナントリル)−N,N’−ジフェニル−4、4’−ジアミノスチルベン、4,4’−ビス[4”−ビス(ジフェニルアミノ)スチリル]−ビフェニル、1,4−ビス[4’−ビス(ジフェニルアミノ)スチリル]−ベンゼン、2,7−ビス[4’−ビス(ジフェニルアミノ)スチリル]−9,9−ジメチルフルオレン、4,4’−ビス(9−エチル−3−カルバゾビニレン)−ビフェニル、4,4’−ビス(9−フェニル−3−カルバゾビニレン)−ビフェニル等である
【0080】
芳香族アミン誘導体の具体例は、N,N,N,N−テトラフェニルアントラセン−9,10−ジアミン、9,10−ビス(4−ジフェニルアミノ−フェニル)アントラセン、9,10−ビス(4−ジ(1−ナフチルアミノ)フェニル)アントラセン、9,10−ビス(4−ジ(2−ナフチルアミノ)フェニル)アントラセン、10−ジ−p−トリルアミノ−9−(4−ジ−p−トリルアミノ−1−ナフチル)アントラセン、10−ジフェニルアミノ−9−(4−ジフェニルアミノ−1−ナフチル)アントラセン、10−ジフェニルアミノ−9−(6−ジフェニルアミノ−2−ナフチル)アントラセン、[4−(4−ジフェニルアミノ−フェニル)ナフタレン−1−イル]−ジフェニルアミン、[4−(4−ジフェニルアミノ−フェニル)ナフタレン−1−イル]−ジフェニルアミン、[6−(4−ジフェニルアミノ−フェニル)ナフタレン−2−イル]−ジフェニルアミン、4,4’−ビス[4−ジフェニルアミノナフタレン−1−イル]ビフェニル、4,4’−ビス[6−ジフェニルアミノナフタレン−2−イル]ビフェニル、4,4”−ビス[4−ジフェニルアミノナフタレン−1−イル]−p−ターフェニル、4,4”−ビス[6−ジフェニルアミノナフタレン−2−イル]−p−ターフェニル等である。
【0081】
ピラン誘導体の具体例は、下記のDCM、DCJTB等である。


【0082】
イリジウム錯体の具体例は、下記のIr(ppy)等である。


【0083】
白金錯体の具体例は、下記のPtOEP等である。


【0084】
ドーパントの使用量はドーパントによって異なり、そのドーパントの特性に合わせて決めれば良い。ドーパントの使用量の目安は発光材料全体の0.001〜50重量%であり、好ましくは0.1〜10重量%である。
【0085】
本発明の有機EL素子に使用される電子輸送材料および電子注入材料は、光導電材料において電子伝達化合物として使用できる化合物、有機EL素子の電子注入層および電子輸送層に使用できる化合物の中から任意に選択して用いることができる。
【0086】
このような電子伝達化合物の具体例は、キノリノール系金属錯体、ピリジン誘導体、フェナントロリン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、ペリレン誘導体、オキサジアゾール誘導体、チオフェン誘導体、トリアゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、オキシン誘導体の金属錯体、キノキサリン誘導体、キノキサリン誘導体のポリマー、ベンザゾール類化合物、ガリウム錯体、ピラゾール誘導体、パ−フルオロ化フェニレン誘導体、トリアジン誘導体、ピラジン誘導体、ベンゾキノリン誘導体、イミダゾピリジン誘導体、ボラン誘導体等である。
【0087】
電子伝達化合物の好ましい例は、キノリノール系金属錯体、ピリジン誘導体またはフェナントロリン誘導体である。キノリノール系金属錯体の具体例は、トリス(8−ヒドロキシキノリン)アルミニウム(以下、ALQと略記する。)、ビス(10−ヒドロキシベンゾ[h]キノリン)ベリリウム、トリス(4−メチル−8−ヒドロキシキノリン)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−ヒドロキシキノリン)−(4−フェニルフェノ−ル)アルミニウム等である。ピリジン誘導体の具体例は、2,5−ビス(6’−(2’,2”−ビピリジル)−1,1−ジメチル−3,4−ジフェニルシロール(以下、PyPySPyPyと略記する)、9,10−ジ(2’,2”−ビピリジル)アントラセン、2,5−ジ(2’,2”−ビピリジル)チオフェン、2,5−ジ(3’,2”−ビピリジル)チオフェン、6’6”−ジ(2−ピリジル)2,2’:4’,3”:2”,2'''−クアテルピリジン等である。フェナントロリン誘導体の具体例は、4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン、2,9−ジメチル−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン、9,10−ジ(1,10−フェナントロリン−2−イル)アントラセン、2,6−ジ(1,10−フェナントロリン−5−イル)ピリジン、1,3,5−トリ(1,10−フェナントロリン−5−イル)ベンゼン、9,9’−ジフルオル−ビス(1,10−フェナントロリン−5−イル)等である。特にピリジン誘導体、フェナントロリン誘導体を電子輸送層または電子注入層に用いると、低電圧、高効率を実現できる。
【0088】
本発明の有機EL素子に使用される正孔注入材料および正孔輸送材料については、光導電材料において、正孔の電荷輸送材料として従来から慣用されている化合物や、有機EL素子の正孔注入層および正孔輸送層に使用されている公知のものの中から任意のものを選択して用いることができる。それらの具体例は、カルバゾ−ル誘導体、トリアリールアミン誘導体、フタロシアニン誘導体等である。カルバゾ−ル誘導体の具体例は、N−フェニルカルバゾ−ル、ポリビニルカルバゾ−ル等である。トリアリールアミン誘導体の具体例は、芳香族第3級アミンを主鎖あるいは側鎖に持つポリマー、1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)シクロヘキサン、N,N’−ジフェニル−N,N’−ジ(3−メチルフェニル)−4,4'−ジアミノビフェニル、N,N’−ジフェニル−N,N’−ジナフチル−4,4'−ジアミノビフェニル(以下、NPDと略記する。)、4,4’,4”−トリス{N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ}トリフェニルアミン、スタ−バ−ストアミン誘導体等である。フタロシアニン誘導体の具体例は、無金属フタロシアニン、銅フタロシアニン等である。
【0089】
本発明の有機EL素子を構成する各層は、各層を構成すべき材料を蒸着法、スピンコート法またはキャスト法等の方法で薄膜とすることにより、形成することができる。このようにして形成された各層の膜厚については特に限定はなく、材料の性質に応じて適宜設定することができるが、通常2nm〜5000nmの範囲である。なお、発光材料を薄膜化する方法は、均質な膜が得やすく、かつピンホールが生成しにくい等の点から蒸着法を採用するのが好ましい。蒸着法を用いて薄膜化する場合、その蒸着条件は、本発明の発光材料の種類、分子累積膜の目的とする結晶構造および会合構造等により異なる。蒸着条件は一般的に、ボート加熱温度50〜400℃、真空度10−6〜10−3Pa、蒸着速度0.01〜50nm/秒、基板温度−150〜+300℃、膜厚5nm〜5μmの範囲で適宜設定することが好ましい。
【0090】
本発明の有機EL素子は、前記のいずれの構造であっても、基板に支持されていることが好ましい。基板は機械的強度、熱安定性および透明性を有するものであればよく、ガラス、透明プラスチックフィルム等を用いることができる。陽極物質は4eVより大きな仕事関数を有する金属、合金、電気伝導性化合物およびこれらの混合物を用いることができる。その具体例は、Au等の金属、CuI、インジウムチンオキシド(以下、ITOと略記する)、SnO、ZnO等である。
【0091】
陰極物質は4eVより小さな仕事関数の金属、合金、電気伝導性化合物、およびこれらの混合物を使用できる。その具体例は、アルミニウム、カルシウム、マグネシウム、リチウム、マグネシウム合金、アルミニウム合金等である。合金の具体例は、アルミニウム/弗化リチウム、アルミニウム/リチウム、マグネシウム/銀、マグネシウム/インジウム等である。有機EL素子の発光を効率よく取り出すために、電極の少なくとも一方は光透過率を10%以上にすることが望ましい。電極としてのシート抵抗は数百Ω/□以下にすることが好ましい。なお、膜厚は電極材料の性質にもよるが、通常10nm〜1μm、好ましくは10〜400nmの範囲に設定される。このような電極は、上述の電極物質を使用して、蒸着やスパッタリング等の方法で薄膜を形成させることにより作製することができる。
【0092】
次に、本発明の発光材料を用いて有機EL素子を作成する方法の一例として、前述の陽極/正孔注入層/正孔輸送層/本発明の発光材料+ドーパント(発光層)/電子輸送層/陰極からなる有機EL素子の作成法について説明する。適当な基板上に、陽極材料の薄膜を蒸着法により形成させて陽極を作製した後、この陽極上に正孔注入層および正孔輸送層の薄膜を形成させる。この上に本発明の発光材料とドーパントを共蒸着し薄膜を形成させて発光層とし、この発光層の上に電子輸送層を形成させ、さらに陰極用物質からなる薄膜を蒸着法により形成させて陰極とすることにより、目的の有機EL素子が得られる。なお、上述の有機EL素子の作製においては、作製順序を逆にして、陰極、電子輸送層、発光層、正孔輸送層、正孔注入層、陽極の順に作製することも可能である。
【0093】
なお、発光材料とドーパントの共蒸着は周知の方法によりおこなった。すなわち、真空槽内の上部に基板を設置し、下方に2つの蒸発源を設置し、2つの蒸発源から同時に材料を蒸発させることにより、基板上に両材料を混合しながら堆積させた。ここで2つの蒸発源の間には仕切り板を設置し、基板の近傍および各蒸発源の近傍にはそれぞれ膜厚モニターを設置した。それぞれの材料を定められた蒸発速度で同時に蒸発させることにより、所望の混合比率の膜を得ることが出来る。なお2つの蒸発源の間に仕切り板があるため、各蒸発源の近傍に設置された膜厚モニターはもう一方の蒸発源から蒸発した分子は検知しないので、これを用いて、それぞれの蒸発速度を検知する。また基板の近傍に設置された膜厚モニターは両方の蒸発源から蒸発した分子を検知するので、これを用いて、堆積した膜厚を常時検知することにより、基板上に所望の膜厚の膜を調整することができる。本発明における共蒸着は前述の方法に限定されず、周知の方法でおこなうことができる。なお共蒸着の原理については、たとえば光学技術シリーズII 光学薄膜(第2版)1986年10月10日発行 共立出版(株)の第9.2章(第153頁)に二源蒸着法として開示されている。また実用的な装置の概要はたとえば光・薄膜技術マニュアル(増補改訂版)平成4年8月31日発行 (株)オプトロニクス社の第3部第1章第1節(第125頁の第8図)に有機ポリマー蒸着合成装置として開示されている。また特開2002−76027号公報には有機共蒸着膜の製造方法が開示されている。有機EL素子の製造への応用については、例えばC.W.Tang, S.A.VanSlyke, and C.H.Chen, J.Appl.Phys. 65(9), 3610-3616, (1989)に開示されている。
【0094】
このようにして得られた有機EL素子に直流電圧を印加する場合には、陽極を+、陰極を−の極性として印加すればよく、電圧2〜40V程度を印加すると、透明又は半透明の電極側(陽極又は陰極、および両方)より発光が観測できる。また、この有機EL素子は、交流電圧を印加した場合にも発光する。なお、印加する交流の波形は任意でよい。
本発明を実施例に基づいて更に詳しく説明する。
【実施例1】
【0095】
化合物(32)の合成
【0096】
窒素雰囲気下、9−ブロモ−10−フェニルアントラセン3.33g、6−(m−ターフェニル−5’−イル)ナフチレン−2−ボロン酸4.8gをトルエンとエタノールの混合溶媒100ml(トルエン/エタノール=4/1)に溶かし、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)0.58gを加えて5分間攪拌し、その後、2M炭酸ナトリウム水溶液10mlを加えて8時間還流した。加熱終了後反応液を冷却し、有機層を分取して、これを飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。乾燥剤を除去し、溶媒を減圧留去して得られた固体を、シリカゲルでカラム精製(溶媒:へプタン/トルエン=3/1)を行った後、昇華精製して、目的の化合物(32)3.7gを得た。MSスペクトルおよびNMR測定により化合物(32)の構造を確認した。他の物性は以下の通りであった。
融点:280℃、ガラス転移温度(Tg):143℃ [測定機器:Diamond DSC (PERKIN−ELMER社製); 測定条件: 冷却速度200℃/Min.、昇温速度10℃/Min.]
蛍光量子収率/トルエン溶液: 0.82 [測定機器:V−560(日本分光株式会社製)、FP−777W (日本分光株式会社製)]
【実施例2】
【0097】
化合物(69)の合成
【0098】
窒素雰囲気下、9−ブロモ−10−(tert−ブチルフェニル)アントラセン3.89g、6−(m−ターフェニル−5’−イル)ナフチレン−2−ボロン酸4.8gをトルエンとエタノールの混合溶媒100ml(トルエン/エタノール=4/1)に溶かし、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)0.58gを加えて5分間攪拌し、その後、2Mの炭酸ナトリウム水溶液10mlを加えて8時間還流した。加熱終了後反応液を冷却し、有機層を分取して、これを飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。乾燥剤を除去し、溶媒を減圧留去して得られた固体を、シリカゲルでカラム精製(溶媒:へプタン/トルエン=3/1)を行った後、昇華精製して、化合物(69)3.0gを得た。MSスペクトルおよびNMR測定により化合物(69)の構造を確認した。他の物性は以下の通りであった。
融点:300℃、ガラス転移温度(Tg):162℃ [測定機器:Diamond DSC (PERKIN−ELMER社製); 測定条件: 冷却速度200℃/Min.、昇温速度10℃/Min.]
【実施例3】
【0099】
化合物(40)の合成
【0100】
窒素雰囲気下、2−(6−ブロモ−ナフチレン−2−イル)−[1、1’;4’,1”]ターフェニル4.35g、10−フェニル−アントラセン−9−ボロン酸4.5gをトルエンとエタノールの混合溶媒50ml(トルエン/エタノール=4/1)に溶かし、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)0.34gを加えて5分間攪拌し、その後、2M炭酸ナトリウム水溶液10mlを加えて10時間還流した。加熱終了後反応液を冷却し、有機層を分取して、これを飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。乾燥剤を除去し、溶媒を減圧留去して得られた固体を、シリカゲルでカラム精製(溶媒:へプタン/トルエン=3/1)を行った後、昇華精製して、目的の化合物(40)4.9gを得た。MSスペクトルおよびNMR測定により化合物(40)の構造を確認した。他の物性は以下の通りであった。
融点:305℃、ガラス転移温度(Tg):147℃ [測定機器:Diamond DSC (PERKIN−ELMER社製); 測定条件: 冷却速度200℃/Min.、昇温速度10℃/Min.]
【0101】
原料化合物を適宜選択することにより、上記の合成例に準じた方法で、本発明の他の発光材料を合成することができる。
【実施例4】
【0102】
ITOを150nmの厚さに蒸着した26mm×28mm×0.7mmのガラス基板(東京三容真空(株)製)を透明支持基板とした。この透明支持基板を市販の蒸着装置(真空機工(株)製)の基板ホルダ−に固定し、銅フタロシアニンを入れたモリブデン製蒸着用ボート、NPDを入れたモリブデン製蒸着用ボート、化合物(32)を入れたモリブデン製蒸着用ボート、ALQを入れたモリブデン製蒸着用ボート、フッ化リチウムを入れたモリブデン製蒸着用ボート、およびアルミニウムを入れたタングステン製蒸着用ボートを装着した。真空槽を1×10−3Paまで減圧し、銅フタロシアニンが入った蒸着用ボートを加熱して、膜厚20nmになるように銅フタロシアニンを蒸着して正孔注入層を形成し、次いで、NPD入りの蒸着用ボートを加熱して、膜厚30nmになるようにNPDを蒸着して正孔輸送層を形成した。次に、化合物(32)を入れたモリブデン製蒸着用ボートを加熱して、膜厚35nmになるように化合物(32)を蒸着して発光層を形成した。次にALQ入りの蒸着用ボートを加熱して、膜厚15nmになるようにALQを蒸着して電子輸送層を形成した。以上の蒸着速度は0.1〜0.2nm/秒であった。その後、フッ化リチウム入りの蒸着用ボートを加熱して、膜厚0.5nmになるように0.003〜0.01nm/秒の蒸着速度でフッ化リチウムを蒸着し、次いで、アルミニウム入りの蒸着用ボートを加熱して、膜厚100nmになるように0.2〜0.5nm/秒の蒸着速度でアルミニウムを蒸着することにより、有機EL素子を得た。ITO電極を陽極、フッ化リチウム/アルミニウム電極を陰極として、約4.6Vの直流電圧を印加すると、約4mA/cmの電流が流れ、発光効率3lm/Wで波長438nmの青色の発光を得た。また、50mA/cmの定電流駆動を行ったところ、初期輝度1200cd/mで、輝度半減時間は300時間の寿命特性を示した。
【実施例5】
【0103】
化合物(32)を化合物(69)に替えた以外は、実施例4に準じた方法で有機EL素子を得た。ITO電極を陽極、弗化リチウム/アルミニウム電極を陰極として、約4.8Vの直流電圧を印加すると、約4.2mA/cmの電流が流れ、発光効率2.5lm/Wで波長439nmの青色の発光を得た。また、50mA/cmの定電流駆動を行ったところ、初期輝度1100cd/mで、輝度半減時間は260時間の寿命特性を示した。
【実施例6】
【0104】
実施例4で電子輸送層に用いたALQをPyPySPyPyに替えた以外は、実施例4に準じた方法で有機EL素子を得た。ITO電極を陽極、弗化リチウム/アルミニウム電極を陰極として、約3Vの直流電圧を印加すると、約3mA/cmの電流が流れ、発光効率3.8lm/Wで波長442nmの青色の発光を得た。また、50mA/cmの定電流駆動を行ったところ、初期輝度1700cd/mで、輝度半減時間は200時間の寿命特性を示した。
【実施例7】
【0105】
ITOを150nmの厚さに蒸着した26mm×28mm×0.7mmのガラス基板(東京三容真空(株)製)を透明支持基板とした。この透明支持基板を市販の蒸着装置(真空機工(株)製)の基板ホルダ−に固定し、銅フタロシアニンを入れたモリブデン製蒸着用ボート、NPDを入れたモリブデン製蒸着用ボート、化合物(32)を入れたモリブデン製蒸着用ボート、3,10−ビス(2,6−ジメチルフェニル)ペリレンを入れたモリブデン製蒸着用ボート、ALQを入れたモリブデン製蒸着用ボート、フッ化リチウムを入れたモリブデン製蒸着用ボート、およびアルミニウムを入れたタングステン製蒸着用ボートを装着した。真空槽を1×10−3Paまで減圧し、銅フタロシアニンが入った蒸着用ボートを加熱して、膜厚20nmになるように銅フタロシアニンを蒸着して正孔注入層を形成し、次いで、NPD入りの蒸着用ボートを加熱して、膜厚30nmになるようにNPDを蒸着して正孔輸送層を形成した。次に、化合物(32)を入れたモリブデン製蒸着用ボートおよび3,10−ビス(2,6−ジメチルフェニル)ペリレンを入れたモリブデン製蒸着用ボートを加熱して、膜厚35nmになるように両化合物を共蒸着して発光層を形成した。このとき、3,10−ビス(2,6−ジメチルフェニル)ペリレンのドープ濃度は約1重量%であった。次にALQ入りの蒸着用ボートを加熱して、膜厚15nmになるようにALQを蒸着して電子輸送層を形成した。以上の蒸着速度は0.1〜0.2nm/秒であった。その後、フッ化リチウム入りの蒸着用ボートを加熱して、膜厚0.5nmになるように0.003〜0.01nm/秒の蒸着速度でフッ化リチウムを蒸着し、次いで、アルミニウム入りの蒸着用ボートを加熱して、膜厚100nmになるように0.2〜0.5nm/秒の蒸着速度でアルミニウムを蒸着することにより、有機EL素子を得た。ITO電極を陽極、フッ化リチウム/アルミニウム電極を陰極として、約4.5Vの直流電圧を印加すると、約1.5mA/cmの電流が流れ、発光効率4.5lm/Wで波長468nmの青色の発光を得た。また、50mA/cmの定電流駆動を行ったところ、初期輝度2000cd/mで、輝度半減時間は500時間の寿命特性を示した。
【実施例8】
【0106】
実施例7で発光ドーパントに用いた3,10−ビス(2,6−ジメチルフェニル)ペリレンを下記式(104)で表されるアミン含有スチリル誘導体に替えた以外は、実施例7に準じた方法で有機EL素子を得た。ITO電極を陽極、フッ化リチウム/アルミニウム電極を陰極として、約4.3Vの直流電圧を印加すると、約1.5mA/cmの電流が流れ、発光効率4.8lm/Wで波長455nmの青色の発光を得た。また、50mA/cmの定電流駆動を行ったところ、初期輝度3100cd/mで、輝度半減時間は600時間の寿命特性を示した。


【実施例9】
【0107】
実施例7で発光ドーパントに用いた3,10−ビス(2,6−ジメチルフェニル)ペリレンを下記式(105)で表される芳香族アミン誘導体に替えた以外は、実施例7に準じた方法で有機EL素子を得た。ITO電極を陽極、フッ化リチウム/アルミニウム電極を陰極として、約5Vの直流電圧を印加すると、約4.1mA/cmの電流が流れ、発光効率3.2lm/Wで波長447nmの青色の発光を得た。また、50mA/cmの定電流駆動を行ったところ、初期輝度1800cd/mで、輝度半減時間は250時間の寿命特性を示した。


【実施例10】
【0108】
実施例7で電子輸送層に用いたALQをPyPySPyPyに替えた以外は、実施例7に準じた方法で有機EL素子を得た。ITO電極を陽極、フッ化リチウム/アルミニウム電極を陰極として、約2.8Vの直流電圧を印加すると、約1mA/cmの電流が流れ、発光効率8lm/Wで波長468nmの青色の発光を得た。また、50mA/cmの定電流駆動を行ったところ、初期輝度2600cd/mで、輝度半減時間は450時間の寿命特性を示した。
【実施例11】
【0109】
実施例8で電子輸送層に用いたALQをPyPySPyPyに替えた以外は、実施例8に準じた方法で有機EL素子を得た。ITO電極を陽極、フッ化リチウム/アルミニウム電極を陰極として、約3Vの直流電圧を印加すると、約1mA/cmの電流が流れ、発光効率8.5lm/Wで波長455nmの青色の発光を得た。また、50mA/cmの定電流駆動を行ったところ、初期輝度3800cd/mで、輝度半減時間は220時間の寿命特性を示した。
【実施例12】
【0110】
実施例11で用いた化合物(32)を化合物(40)に替えた以外は、実施例11に準じた方法で有機EL素子を得た。ITO電極を陽極、フッ化リチウム/アルミニウム電極を陰極として、約3.3Vの直流電圧を印加すると、約1.2mA/cmの電流が流れ、発光効率8.3lm/Wで波長454nmの青色の発光を得た。また、50mA/cmの定電流駆動を行ったところ、初期輝度3700cd/mで、輝度半減時間は200時間の寿命特性を示した。
【0111】
(比較例1)
実施例7で用いた化合物(32)を下記式(106)で表されるアントラセン誘導体に替えた以外は、実施例7に準じた方法で有機EL素子を作成した。ITO電極を陽極、弗化リチウム/アルミニウム電極を陰極として、約5Vの直流電圧を印加すると、約3.5mA/cmの電流が流れ、発光効率2lm/Wで波長467nmの青色の発光が得られた。また、50mA/cmの定電流駆動を行ったところ、初期輝度1400cd/mで、輝度半減時間は125時間の寿命特性を示した。


【0112】
(比較例2)
実施例10で用いた化合物(32)を下記式(107)で表されるアントラセン誘導体に替えた以外は、実施例10に準じた方法で有機EL素子を得た。ITO電極を陽極、弗化リチウム/アルミニウム電極を陰極として、約4Vの直流電圧を印加すると、約2mA/cmの電流が流れ、発光効率4lm/Wで波長464nmの青色の発光が得られた。また、50mA/cmの定電流駆動を行ったところ、初期輝度2400cd/mで、輝度半減時間は75時間の寿命特性を示した。


【0113】
(比較例3)
実施例4で用いた化合物(32)を前記の式(107)で表されるアントラセン誘導体に替えた以外は、実施例4に準じた方法で有機EL素子を作成した。ITO電極を陽極、弗化リチウム/アルミニウム電極を陰極として、約6Vの直流電圧を印加すると、約5mA/cmの電流が流れ、発光効率1.2lm/Wで波長440nmの青色の発光を得た。また、50mA/cmの定電流駆動を行ったところ、初期輝度950cd/mで、輝度半減時間は50時間の寿命特性を示した。




【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の式(1)で表される発光材料。


式(1)中、R〜Rは、独立して、水素、炭素数1〜24のアルキルまたは炭素数1〜24のアルコキシであり;A1〜Aは独立して、水素、炭素数1〜24のアルキル、または炭素数3〜24のシクロアルキルであり;BおよびBは、独立して、水素、炭素数6〜24のアリール、炭素数1〜24のアルキル、または炭素数3〜24のシクロアルキルであり、この炭素数6〜24のアリールにおける任意の水素は炭素数1〜12のアルキル、炭素数3〜12のシクロアルキルまたは炭素数6〜12のアリールで置き換えられてもよく、この炭素数1〜24のアルキルにおける任意の−CH−は、−O−で置き換えられてもよく、この炭素数1〜24のアルキルにおけるナフタレンに直結している−CH−を除く任意の−CH−は、炭素数6〜24のアリーレンで置き換えられてもよく、この炭素数3〜24のシクロアルキルにおける任意の水素は炭素数1〜24のアルキルまたは炭素数6〜24のアリールで置き換えられてもよく;そして、X〜Xは、独立して、水素、炭素数1〜24のアルキル、または炭素数3〜24のシクロアルキルであり、この炭素数1〜24のアルキルにおける任意の−CH−は、−O−で置き換えられてもよく、この炭素数1〜24のアルキルにおけるフェニルに直結している−CH−を除く任意の−CH−は、炭素数6〜24のアリーレンで置き換えられてもよく、この炭素数3〜24のシクロアルキルにおける任意の水素は炭素数1〜24のアルキルまたは炭素数6〜12のアリールで置き換えられてもよい。
【請求項2】
〜Rが独立して、水素、メチルまたはtert−ブチルであり;A1〜Aが独立して、水素、メチル、tert−ブチル、またはシクロヘキシルであり;BおよびBが、独立して、水素、メチル、tert−ブチル、または任意の水素が炭素数1〜12のアルキル、炭素数3〜12のシクロアルキル、または炭素数6〜12のアリールで置き換えられてもよい、フェニル、ビフェニリル、ターフェニリル、クアテルフェニリル、ナフチル、フェナントリル、クリセニル、またはトリフェニレニルであり;X〜Xが、独立して、水素、炭素数1〜12のアルキル、または炭素数3〜12のシクロアルキルである請求項1に記載の発光材料。
【請求項3】
下記の式(1)で表される発光材料。

式(1)中、R〜Rは独立して、水素、メチルまたはtert−ブチルであり;A1〜Aは水素であり;BおよびBは、独立して、水素、フェニル、2−ビフェニリル、3−ビフェニリル、m−ターフェニル−5’−イル、m−ターフェニル−3−イル、1−ナフチル、2−ナフチル、2−(2−ナフチル)フェニル、3,5−ジ(1−ナフチル)フェニル、3,5−ジ(2−ナフチル)フェニル、p−ターフェニル−2’−イル、m−ターフェニル−2−イル、o−ターフェニル−2−イル、p−ターフェニル−2−イル、5’−フェニル−m−ターフェニル−2−イル、5’−フェニル−m−ターフェニル−3−イル、m−クアテルフェニル−2−イル、m−クアテルフェニル−3−イル、6−(m−ターフェニル−5’−イル)−2−ナフチル、または4−(m−ターフェニル−5’−イル)−1−ナフチルであり;X〜Xは独立して、水素、メチル、tert−ブチル、またはシクロヘキシルである。
【請求項4】
〜Xが水素である、請求項3に記載の発光材料。
【請求項5】
がtert−ブチルであり、X、X、XおよびXが水素である、請求項3に記載の発光材料。
【請求項6】
、XおよびXのうち、少なくとも1つがメチルであり、残りが水素であり;XおよびXが水素である、請求項3に記載の発光材料。
【請求項7】
およびBがフェニルであり;XおよびXが独立に水素またはメチルであり、XおよびXが水素であり、Xが水素、tert−ブチルまたはメチルである、請求項3に記載の発光材料。
【請求項8】
がフェニルであり、Bが水素であり;XおよびXが独立に水素またはメチルであり、XおよびXが水素であり、Xが水素、tert−ブチルまたはメチルである、請求項3に記載の発光材料。
【請求項9】
が水素であり、Bがフェニルであり;XおよびXが独立に水素またはメチルであり、XおよびXが水素であり、Xが水素、tert−ブチルまたはメチルである、請求項3に記載の発光材料。
【請求項10】
およびBが2−ビフェニリルであり;XおよびXが独立に水素またはメチルであり、XおよびXが水素であり、Xが水素、tert−ブチルまたはメチルである、請求項3に記載の発光材料。
【請求項11】
が2−ビフェニリルであり、Bが水素であり;XおよびXが独立に水素またはメチルであり、XおよびXが水素であり、Xが水素、tert−ブチルまたはメチルである、請求項3に記載の発光材料。
【請求項12】
が水素であり、Bが2−ビフェニリルであり;XおよびXが独立に水素またはメチルであり、XおよびXが水素であり、Xが水素、tert−ブチルまたはメチルである、請求項3に記載の発光材料。
【請求項13】
およびBが3−ビフェニリルであり;XおよびXが独立に水素またはメチルであり、XおよびXが水素であり、Xが水素、tert−ブチルまたはメチルである、請求項3に記載の発光材料。
【請求項14】
が3−ビフェニリルであり、Bが水素であり;XおよびXが独立に水素またはメチルであり、XおよびXが水素であり、Xが水素、tert−ブチルまたはメチルである、請求項3に記載の発光材料。
【請求項15】
が水素であり、Bが3−ビフェニリルであり;XおよびXが独立に水素またはメチルであり、XおよびXが水素であり、Xが水素、tert−ブチルまたはメチルである、請求項3に記載の発光材料。
【請求項16】
がm−ターフェニル−5’−イルであり、Bが水素であり;XおよびXが独立に水素またはメチルであり、XおよびXが水素であり、Xが水素、tert−ブチルまたはメチルである、請求項3に記載の発光材料。
【請求項17】
が水素であり、Bがm−ターフェニル−5’−イルであり;XおよびXが独立に水素またはメチルであり、XおよびXが水素であり、Xが水素、tert−ブチルまたはメチルである、請求項3に記載の発光材料。
【請求項18】
がm−ターフェニル−3−イルであり、Bが水素であり;XおよびXが独立に水素またはメチルであり、XおよびXが水素であり、Xが水素、tert−ブチルまたはメチルである、請求項3に記載の発光材料。
【請求項19】
が水素であり、Bがm−ターフェニル−3−イルであり;XおよびXが独立に水素またはメチルであり、XおよびXが水素であり、Xが水素、tert−ブチルまたはメチルである、請求項3に記載の発光材料。
【請求項20】
が1−ナフチルであり、Bが水素であり;XおよびXが独立に水素またはメチルであり、XおよびXが水素であり、Xが水素、tert−ブチルまたはメチルである、請求項3に記載の発光材料。
【請求項21】
が水素であり、Bが1−ナフチルであり;XおよびXが独立に水素またはメチルであり、XおよびXが水素であり、Xが水素、tert−ブチルまたはメチルである、請求項3に記載の発光材料。
【請求項22】
が2−ナフチルであり、Bが水素であり;XおよびXが独立に水素またはメチルであり、XおよびXが水素であり、Xが水素、tert−ブチルまたはメチルである、請求項3に記載の発光材料。
【請求項23】
が水素であり、Bが2−ナフチルであり;XおよびXが独立に水素またはメチルであり、XおよびXが水素であり、Xが水素、tert−ブチルまたはメチルである、請求項3に記載の発光材料。
【請求項24】
が2−(2−ナフチル)フェニルであり、Bが水素であり;XおよびXが独立に水素またはメチルであり、XおよびXが水素であり、Xが水素、tert−ブチルまたはメチルである、請求項3に記載の発光材料。
【請求項25】
が水素であり、Bが2−(2−ナフチル)フェニルであり;XおよびXが独立に水素またはメチルであり、XおよびXが水素であり、Xが水素、tert−ブチルまたはメチルである、請求項3に記載の発光材料。
【請求項26】
が3,5−ジ(1−ナフチル)フェニルまたは3,5−ジ(2−ナフチル)フェニルであり、Bが水素であり;XおよびXが独立に水素またはメチルであり、XおよびXが水素であり、Xが水素、tert−ブチルまたはメチルである、請求項3に記載の発光材料。
【請求項27】
が水素であり、Bが3,5−ジ(1−ナフチル)フェニルまたは3,5−ジ(2−ナフチル)フェニルであり;XおよびXが独立に水素またはメチルであり、XおよびXが水素であり、Xが水素、tert−ブチルまたはメチルである、請求項3に記載の発光材料。
【請求項28】
がp−ターフェニル−2’−イル、m−ターフェニル−2−イル、o−ターフェニル−2−イル、およびp−ターフェニル−2−イルから選択される1つの基であり、Bが水素であり;XおよびXが独立に水素またはメチルであり、XおよびXが水素であり、Xが水素、tert−ブチルまたはメチルである、請求項3に記載の発光材料。
【請求項29】
が水素であり、Bはp−ターフェニル−2’−イル、m−ターフェニル−2−イル、o−ターフェニル−2−イル、およびp−ターフェニル−2−イルから選択される1つの基であり;XおよびXが独立に水素またはメチルであり、XおよびXが水素であり、Xが水素、tert−ブチルまたはメチルである、請求項3に記載の発光材料。
【請求項30】
が5’−フェニル−m−ターフェニル−2−イルまたは5’−フェニル−m−ターフェニル−3−イルであり、Bが水素であり;XおよびXが独立に水素またはメチルであり、XおよびXが水素であり、Xが水素、tert−ブチルまたはメチルである、請求項3に記載の発光材料。
【請求項31】
が水素であり、Bが5’−フェニル−m−ターフェニル−2−イルまたは5’−フェニル−m−ターフェニル−3−イルであり;XおよびXが独立に水素またはメチルであり、XおよびXが水素であり、Xが水素、tert−ブチルまたはメチルである、請求項3に記載の発光材料。
【請求項32】
がm−クアテルフェニル−2−イルまたはm−クアテルフェニル−3−イルであり、Bが水素であり;XおよびXが独立に水素またはメチルであり、XおよびXが水素であり、Xが水素、tert−ブチルまたはメチルである、請求項3に記載の発光材料。
【請求項33】
が水素であり、Bがm−クアテルフェニル−2−イルまたはm−クアテルフェニル−3−イルであり;XおよびXが独立に水素またはメチルであり、XおよびXが水素であり、Xが水素、tert−ブチルまたはメチルである、請求項3に記載の発光材料。
【請求項34】
が6−(m−ターフェニル−5’−イル)−2−ナフチルまたは4−(m−ターフェニル−5’−イル)−1−ナフチルであり、Bが水素であり;XおよびXが独立に水素またはメチルであり、XおよびXが水素であり、Xが水素、tert−ブチルまたはメチルである、請求項3に記載の発光材料。
【請求項35】
が水素であり、Bは6−(m−ターフェニル−5’−イル)−2−ナフチルまたは4−(m−ターフェニル−5’−イル)−1−ナフチルであり;XおよびXが独立に水素またはメチルであり、XおよびXが水素であり、Xが水素、tert−ブチルまたはメチルである、請求項3に記載の発光材料。
【請求項36】
陽極および陰極により挟持された、少なくとも正孔輸送層、発光層および電子輸送層を、基板上に有する有機電界発光素子において、該発光層が請求項1〜35のいずれか1項に記載の発光材料を含有する有機電界発光素子。
【請求項37】
発光層が、発光性のドーパントとして、ペリレン誘導体、ボラン誘導体、アミン含有スチリル誘導体、芳香族アミン誘導体、クマリン誘導体、ピラン誘導体、イリジウム錯体、および白金錯体から選ばれる少なくとも1つを含有することを特徴とする、請求項36に記載の有機電界発光素子。
【請求項38】
発光層が、発光性のドーパントとしてペリレン誘導体を含有することを特徴とする、請求項36に記載の有機電界発光素子。
【請求項39】
発光層が、発光性のドーパントとしてボラン誘導体を含有することを特徴とする、請求項36に記載の有機電界発光素子。
【請求項40】
発光層が、発光性のドーパントとしてアミン含有スチリル誘導体を含有することを特徴とする、請求項36に記載の有機電界発光素子。
【請求項41】
発光層が、発光性のドーパントとして芳香族アミン誘導体を含有することを特徴とする、請求項36に記載の有機電界発光素子。
【請求項42】
発光層が、発光性のドーパントとしてクマリン誘導体を含有することを特徴とする、請求項36に記載の有機電界発光素子。
【請求項43】
発光層が、発光性のドーパントとしてピラン誘導体を含有することを特徴とする、請求項36に記載の有機電界発光素子。
【請求項44】
発光層が、発光性のドーパントとしてイリジウム錯体を含有することを特徴とする、請求項36に記載の有機電界発光素子。
【請求項45】
発光層が、発光性のドーパントとして白金錯体を含有することを特徴とする、請求項36に記載の有機電界発光素子。
【請求項46】
電子輸送層がキノリノール系金属錯体を含有することを特徴とする、請求項36〜45のいずれか1項に記載の有機電界発光素子。
【請求項47】
電子輸送層がピリジン誘導体およびフェナントロリン誘導体の少なくとも1つを含有することを特徴とする、請求項36〜45のいずれか1項記載の有機電界発光素子。

【公開番号】特開2006−45503(P2006−45503A)
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−165578(P2005−165578)
【出願日】平成17年6月6日(2005.6.6)
【出願人】(000002071)チッソ株式会社 (658)
【Fターム(参考)】