発光材料の作製方法
【課題】高純度の発光材料の製造方法の提供。
【解決手段】反応管4101内に、第1の坩堝4102に充填された母体材料4103と、第2の坩堝4104に充填された発光中心材料4105を配設し、反応管内を減圧状態に保った状態で密閉封止し、該密閉封止した反応管内で発光中心材料を蒸発させつつ、母体材料を焼成し、母体材料に発光中心元素を添加し発光材料を作製する。反応管は、両端が開管あるいは一端が開管している反応管でも良く、第1の坩堝よりも第2の坩堝の方を高温にした状態で焼成することを特徴とする。
【解決手段】反応管4101内に、第1の坩堝4102に充填された母体材料4103と、第2の坩堝4104に充填された発光中心材料4105を配設し、反応管内を減圧状態に保った状態で密閉封止し、該密閉封止した反応管内で発光中心材料を蒸発させつつ、母体材料を焼成し、母体材料に発光中心元素を添加し発光材料を作製する。反応管は、両端が開管あるいは一端が開管している反応管でも良く、第1の坩堝よりも第2の坩堝の方を高温にした状態で焼成することを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光材料の作製方法に関する。また、エレクトロルミネッセンスを利用した発光素子に関する。また、発光素子を有する発光装置及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、テレビ、携帯電話、デジタルカメラ等における表示装置は、平面的で薄型の表示装置が求められており、この要求を満たすための表示装置として、自発光型である発光素子を利用した表示装置が注目されている。自発光型の発光素子の一つとして、エレクトロルミネッセンス(Electro Luminescence)を利用する発光素子があり、この発光素子は、発光材料を一対の電極で挟み、電圧を印加することにより、発光材料からの発光を得ることができるものである。
【0003】
このような自発光型の発光素子は、液晶ディスプレイに比べ画素の視認性が高く、バックライトが不要である等の利点があり、フラットパネルディスプレイ素子として好適であると考えられている。また、このような発光素子は、薄型軽量に作製できることも大きな利点である。また、非常に応答速度が速いことも特徴の一つである。
【0004】
さらに、このような自発光型の発光素子は膜状に形成することが可能であるため、大面積の素子を形成することにより、面発光を容易に得ることができる。このことは、白熱電球やLEDに代表される点光源、あるいは蛍光灯に代表される線光源では得難い特色であるため、照明等に応用できる面光源としての利用価値も高い。
【0005】
エレクトロルミネッセンスを利用する発光素子は、発光材料が有機化合物であるか、無機化合物であるかによって区別され、一般的に、前者は有機EL素子、後者は無機EL素子と呼ばれている。
【0006】
無機EL素子は、その素子構成により、分散型無機EL素子と薄膜型無機EL素子とに分類される。前者は、発光材料の粒子をバインダ中に分散させた発光層を有し、後者は、発光材料の薄膜からなる発光層を有している点に違いはあるが、高電界で加速された電子を必要とする点では共通である。なお、得られる発光のメカニズムとしては、ドナー準位とアクセプター準位を利用するドナー−アクセプター再結合型発光と、金属イオンの内殻電子遷移を利用する局在型発光とがある。一般的に、分散型無機EL素子ではドナー−アクセプター再結合型発光、薄膜型無機EL素子では局在型発光である場合が多い。
【0007】
このような無機EL素子における発光材料は、母体材料である硫化亜鉛等に、発光中心となるマンガンや銅等の化合物を混合し、焼成を行う製造方法により得られる(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、発光中心を含む化合物の添加量が多い場合には、副生成物が多くなり、発光材料の純度が低くなる問題があった。このような純度が低い発光材料を用いた発光素子では、輝度が低くなる問題もあった。また、発光中心を含む化合物の混合量を多くできないため、得られる発光材料の発光中心の濃度を高くできない問題があった。
【特許文献1】特開平06−192655号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記問題に鑑み、本発明は、高純度の発光材料の製造方法を提供することを課題とする。また、高輝度の発光素子を提供することを課題とする。また、高輝度の発光装置および電子機器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、母体材料に発光中心材料を添加して発光材料を作製する際、母体材料と発光中心材料とを混合などにより直接接させず、分離された坩堝内に母体材料及び発光中心材料それぞれを充填し、反応管内に配置し加熱、焼成して発光中心元素が添加された発光材料を得る。
【0010】
本発明の発光材料の作製方法の一形態は、反応管内に、第1の坩堝に充填された母体材料と、第2の坩堝に充填された発光中心材料を配設し、反応管内を減圧状態に保った状態で密閉封止し、該密閉封止した反応管内で発光中心材料を蒸発させつつ、母体材料を焼成し、母体材料に発光中心元素を添加する。
【0011】
本発明の発光材料の作製方法の一形態は、両端が開管されている反応管内に、第1の坩堝に充填された母体材料と、第2の坩堝に充填された発光中心材料を配設し、反応管の第2の坩堝側より気体を導入し第1の坩堝側より気体を排気しながら、該反応管内で発光中心材料を蒸発させつつ、母体材料を焼成し、母体材料に発光中心元素を添加する。
【0012】
本発明の発光材料の作製方法の一形態は、一端が開管されている反応管内に、開管側より第1の坩堝に充填された母体材料と、第2の坩堝に充填された発光中心材料を配設し、開管側より反応管内を排気しながら、該反応管内で発光中心材料を蒸発させつつ、母体材料を焼成し、母体材料に発光中心元素を添加する。
【0013】
上記構成において、気体として窒素、又はアルゴンを用いることができ、硫化性ガスを混合してもよい。また、第1の坩堝よりも第2の坩堝の方を高温にした状態で焼成すると、反応管の中は発光中心材料の雰囲気となるため、発光材料に添加される発光中心元素の濃度を高くすることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の発光材料の製造方法によれば、純度の高い発光材料を得ることができる。
【0015】
また、本発明の製造方法による発光材料を用いることで、輝度の高い発光素子を得ることができる。
【0016】
また、本発明の発光装置及び電子機器は、高輝度の発光素子を有しているため、輝度の高い発光装置を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施の態様について図面を用いて詳細に説明する。ただし、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更しうることは当業者であれば容易に理解される。したがって、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
【0018】
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明に係る発光材料の製造方法について図1を用いて説明する。図1は反応管4101と第1の坩堝4102と第2の坩堝4104の配置を示した断面図である。本実施の形態では、減圧雰囲気下にある反応管4101中で焼成によって発光材料を製造する製造方法であり、以下、説明する。
【0019】
まず、硫化亜鉛等の母体材料4103を所定量秤量し、第1の坩堝4102に充填する。また、マンガン等の発光中心材料4105を所定量秤量し、第2の坩堝4104に充填する。そして、片側を封じた反応管4101の中に、母体材料の入った第1の坩堝4102及び発光中心材料の入った第2の坩堝4104を分離して配置する。次に、反応管の開管側を真空ポンプにつなぎ、10−3Pa以下の圧力になるまで排気を行い、バーナー等を用いて反応管を溶着することで、図1に示す封管された反応管を得ることができる。
【0020】
反応管4101の材質は、発光中心材料の蒸気と反応しない材料が好ましい。このような材料としては、石英、ガラス、アルミナ等を用いることができるが、高耐熱性及び加工容易性から石英を用いることが好ましい。なお、反応管が石英である場合には、酸水素バーナーを用いて封管を行うことができる。
【0021】
第1の坩堝4102及び第2の坩堝4104の材質は、反応管より耐熱温度が高い材料が好ましく、このような材料としては、グラファイト、アルミナ、窒化ホウ素等がある。また、坩堝の形状は特に限定されないが、半球状のものや、筒状のものを用いることができる。
【0022】
また、本発明の発光材料の製造方法に用いられる母体材料4103としては、硫化物、酸化物、窒化物を用いることができる。硫化物としては、例えば、硫化亜鉛(ZnS)、硫化カドミウム(CdS)、硫化カルシウム(CaS)、硫化イットリウム(Y2S3)、硫化ガリウム(Ga2S3)、硫化ストロンチウム(SrS)、硫化バリウム(BaS)等を用いることができる。また、酸化物としては、例えば、酸化亜鉛(ZnO)、酸化イットリウム(Y2O3)等を用いることができる。また、窒化物としては、例えば、窒化アルミニウム(AlN)、窒化ガリウム(GaN)、窒化インジウム(InN)等を用いることができる。さらに、セレン化亜鉛(ZnSe)、テルル化亜鉛(ZnTe)等も用いることができ、硫化バリウム−アルミニウム(BaAl2S4)、硫化カルシウム−ガリウム(CaGa2S4)、硫化ストロンチウム−ガリウム(SrGa2S4)、硫化バリウム−ガリウム(BaGa2S4)、等の3元系の化合物であってもよい。
【0023】
また、本発明に係る発光材料の製造方法に用いられる発光中心材料元素として、銅(Cu)、銀(Ag)、金(Au)、マンガン(Mn)、テルビウム(Tb)、ユーロピウム(Eu)、ツリウム(Tm)、セリウム(Ce)、プラセオジウム(Pr)、サマリウム(Sm)、エルビウム(Er)、アルミニウム(Al)、塩素(Cl)、フッ素(F)等があり、発光中心材料としては、これらの単体又は化合物を用いることができる。発光中心材料が化合物である場合は、例えば、硫化銅(Cu2S)、塩化銅(CuCl)、フッ化銅(CuF)、硫化銀(Ag2S)、塩化銀(AgCl)、フッ化銀(AgF)、硫化マンガン(MnS)、炭酸マンガン(MnCO3)、塩化テルビウム(TbCl3)、フッ化テルビウム(TbF3)、酸化ユーロピウム(Eu2O3)、塩化ユーロピウム(EuCl3)、フッ化ユーロピウム(EuF3)、酸化ツリウム(Tm2O3)、フッ化ツリウム(TmF3)、塩化プラセオジウム(PrCl3)、フッ化プラセオジウム(PrF3)、酸化サマリウム(Sm2O3)、塩化サマリウム(SmCl3)、フッ化サマリウム(SmF3)、酸化セリウム(CeO2)、塩化セリウム(CeCl3)、フッ化セリウム(CeF3)、酸化エルビウム(Er2O3)、塩化エルビウム(ErCl3)、フッ化エルビウム(ErF3)、硫化アルミニウム(Al2S3)、塩化アルミニウム(AlCl3)等を用いることができる。
【0024】
なお、第2の坩堝に充填する発光中心材料として、2種類以上の単体又は化合物の混合物を用いることもできる。この場合、複数の発光中心が添加された発光材料が得られるため、複数の発光波長ピークを有する発光材料が可能となり、白色発光となる発光材料も得ることができる。
【0025】
次に、封管した反応管4101の焼成を行う。焼成は、マッフル炉や管状炉等を用いて行うことができ、大気中で行ってもよく、N2雰囲気下、Ar雰囲気下で行ってもよい。焼成温度は坩堝内の材料によって異なるが、700〜1500℃が好ましい。また、第1の坩堝よりも第2の坩堝の方を高温にした状態で焼成することもできる。この場合、反応管の中は発光中心材料の雰囲気となるため、発光材料に添加される発光中心元素の濃度を高くすることができる。
【0026】
焼成後、反応管4101を破砕し、第1の坩堝4102を取り出す。第1の坩堝4102には、第2の坩堝4104に充填されていた発光中心材料4105に含有される発光中心が添加された発光材料が得られるが、本発明に係る製造方法によれば、母体材料と発光中心材料とが直接接していないため、副生成物が少なく、高純度の発光材料を得ることができる。
【0027】
(実施の形態2)
本実施の形態では、本発明に係る発光材料の製造方法について図2を用いて説明する。図2は反応管4201と第1の坩堝4202と第2の坩堝4204の配置を示した断面図である。本実施の形態では、両端が開管している反応管4201を用い、一方より気体を流しながら焼成を行う発光材料の製造方法であり、以下、説明する。
【0028】
まず、硫化亜鉛等の母体材料4203を所定量秤量し、第1の坩堝4202に充填する。また、マンガン等の発光中心材料4205を所定量秤量し、第2の坩堝4204に充填する。そして、両端が開管している反応管4201の中に、母体材料4203の入った第1の坩堝4202及び発光中心材料4205の入った第2の坩堝4204を分離して配置する。
【0029】
なお、反応管4201、第1の坩堝4202及び第2の坩堝4204は実施の形態1で説明した材質のものを用いることができる。また、母体材料4203及び発光中心材料4205も実施の形態1で説明した材料を用いることができる。
【0030】
次に、坩堝が入った反応管4201の焼成を行う。焼成は、反応管4201の一方より気体を流しながら行うが、気体は第2の坩堝4204が配置されている側から導入し、第1の坩堝4202が配置されている側から排気することが好ましい。導入する気体としては、N2やArを用いることができ、その気体の中に硫化性ガスを混合しておくこともできる。硫化性ガスとしては、例えば、硫化水素、二硫化炭素、硫黄蒸気、エチルメルカプタン、メチルメルカプタン等のメルカプタン類、ジメチル硫黄、ジエチル硫黄等を用いることができる。なかでも、硫化水素ガスが好ましい。これは、硫化水素の一部が分解して硫黄と水素が発生し、発光材料中の硫黄欠損を防ぐと同時に、水素の還元作用効果が期待できるためである。また、反応管の焼成にはマッフル炉や管状炉等を用いて行うことができ、焼成温度は坩堝内の材料によって異なるが、700〜1500℃が好ましい。蒸発した発光中心材料は、流している気体よって運ばれ、発光中心元素は第1の坩堝4202に充填されている母体材料に添加されることとなる。
【0031】
なお、第1の坩堝4202よりも第2の坩堝4204の方を高温にした状態で焼成することが好ましい。この場合、反応管の中では発光中心材料の蒸発量が多くなる一方、母体材料の蒸発を抑制することができるからである。
【0032】
焼成後、反応管より第1の坩堝4202を取り出す。第1の坩堝4202には、第2の坩堝4204に充填されていた発光中心材料に含有される発光中心元素が添加された発光材料が得られるが、本発明に係る製造方法によれば、母体材料と発光中心材料とが直接接していないため、副生成物が少なく、高純度の発光材料を得ることができる。
【0033】
なお、本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせることが可能である。
【0034】
(実施の形態3)
本実施の形態では、本発明に係る発光材料の製造方法について図3を用いて説明する。図3は反応管4301と第1の坩堝4302と第2の坩堝4304の配置を示した断面図である。本実施の形態では、片側が開管している反応管4201を用い、開管側より排気しながら焼成を行う発光材料の製造方法であり、以下、説明する。
【0035】
まず、硫化亜鉛等の母体材料4303を所定量秤量し、第1の坩堝4302に充填する。また、マンガン等の発光中心材料4305を所定量秤量し、第2の坩堝4304に充填する。そして、片側が開管している反応管4301の中に、母体材料4303の入った第1の坩堝4302及び発光中心材料4305の入った第2の坩堝4204を分離して配置する。
【0036】
なお、反応管4301、第1の坩堝4302及び第2の坩堝4304は実施の形態1で説明した材質のものを用いることができる。また、母体材料4303及び発光中心材料4305も実施の形態1で説明した材料を用いることができる。
【0037】
次に、坩堝が入った反応管の焼成を行う。焼成は、反応管の一方より排気しながら行うが、排気は第1の坩堝4302が配置されている側から排気することが好ましい。排気装置としては、油回転ポンプ、油拡散ポンプ、ターボ分子ポンプ、クライオポンプ等の真空装置を用いることができ、反応管4301と真空装置の間にはトラップを付けることが好ましい。また、反応管4301の焼成にはマッフル炉や管状炉等を用いて行うことができ、焼成温度は坩堝内の材料によって異なるが、700〜1500℃が好ましい。蒸発した発光中心材料は、排気の気流によって運ばれ、発光中心元素は第1の坩堝4302に充填されている母体材料に添加されることとなる。
【0038】
なお、第1の坩堝4302よりも第2の坩堝4304の方を高温にした状態で焼成することが好ましい。この場合、反応管の中では発光中心材料の蒸発量が多くなる一方、母体材料の蒸発を抑制することができるからである。
【0039】
焼成後、反応管4301より第1の坩堝4302を取り出す。第1の坩堝4302には、第2の坩堝4304に充填されていた発光中心材料に含有される発光中心元素が添加された発光材料が得られるが、本発明に係る製造方法によれば、母体材料と発光中心材料とが直接接していないため、副生成物が少なく、高純度の発光材料を得ることができる。
【0040】
なお、本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせることが可能である。
【0041】
(実施の形態4)
本実施の形態では、本発明に係る薄膜型発光素子について図4を用いて説明する。
【0042】
本実施の形態で示す発光素子は、基板100の上に、第1の電極101及び第2の電極105と、電極に接する第1の絶縁層102及び第2の絶縁層104と、第1の絶縁層102と第2の絶縁層104との間に発光層103を有する素子構成である。本実施の形態で示す発光素子は、第1の電極101と、第2の電極105の間に電圧を印加することで発光層103より発光が得られるが、直流駆動又は交流駆動のいずれにおいても動作することができる。
【0043】
基板100は発光素子の支持体として用いられる。基板100としては、例えば、ガラス、又はプラスチックなどを用いることができる。なお、発光素子を作製工程において支持体として機能するものであれば、これら以外のものでも用いることができる。
【0044】
第1の電極101及び第2の電極105は、金属、合金、導電性化合物、及びこれらの混合物などを用いることができる。なお、面発光を得るためには、第1の電極101又は第2の電極105のいずれか一方又は両方を透明にしておく必要がある。透明電極としては、例えば、酸化インジウム−スズ(ITO)、珪素若しくは酸化珪素を含有した酸化インジウム−スズ(ITSO)、酸化インジウム−亜鉛(IZO)、酸化タングステン及び酸化亜鉛を含有した酸化インジウム−スズ(IWZO)等が挙げられる。これらの導電性金属酸化物膜は、通常スパッタリングにより成膜される。例えば、IZOは、酸化インジウムに対し1〜20wt%の酸化亜鉛を加えたターゲットを用いたスパッタリングにより形成することができる。また、IWZOは、酸化インジウムに対し酸化タングステンを0.5〜5wt%、酸化亜鉛を0.1〜1wt%含有したターゲットを用いたスパッタリングにより形成することができる。この他、金属電極としては、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、金(Au)、白金(Pt)、ニッケル(Ni)、タングステン(W)、チタン(Ti)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、又はこれら金属材料の窒化物、例えば、窒化チタン(TiN)等用いることができる。また、金属電極を用いて透光性の電極とする場合、可視光の透過率の低い材料であっても、1nm〜50nm、好ましくは5nm〜20nm程度の厚さで成膜することで、透光性の電極として用いることができる。なお、スパッタリング以外にも、真空蒸着、CVD、ゾル−ゲル法を用いて電極を作製することもできる。
【0045】
発光層103は、実施の形態1〜3の製造方法により製造した発光材料を含む層であり、抵抗加熱蒸着や電子ビーム蒸着(EB蒸着)等の真空蒸着法、スパッタリング法、有機金属CVD法、ハイドライド輸送減圧CVD法、原子エピタキシ法(ALE)等を用いることができる。膜厚は特に限定されることはないが、好ましくは、10〜1000nmの範囲である。
【0046】
本発明は、母体材料に発光中心材料を添加して発光材料を作製する際、母体材料と発光中心材料とを混合などにより直接接させず、分離された坩堝内に母体材料及び発光中心材料それぞれを充填し、反応管内に配置し加熱、焼成して発光中心元素が添加された発光材料を得る。本発明に係る製造方法によれば、母体材料と発光中心材料とが直接接していないため、副生成物が少なく、高純度の発光材料を得ることができる。
【0047】
第1の絶縁層102と及び第2の絶縁層104は、特に限定されることはないが、絶縁耐性が高く、緻密な膜質であることが好ましく、さらには、誘電率が高いことが好ましい。例えば、酸化イットリウム(Y2O3)、酸化チタン(TiO2)、酸化アルミニウム(Al2O3)、酸化ハフニウム(HfO2)、酸化タンタル(Ta2O5)、酸化シリコン(SiO2)、チタン酸バリウム(BaTiO3)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO3)、チタン酸鉛(PbTiO3)、窒化シリコン(Si3N4)、酸化ジルコニウム(ZrO2)等やこれらの混合膜又は2種以上の積層膜を用いることができる。これらの絶縁膜は、スパッタリング、蒸着、CVD等により成膜することができる。膜厚は特に限定されることはないが、好ましくは10〜1000nmの範囲である。低電圧駆動とする場合は、500nm以下の膜厚が好ましく、より好ましくは100nm以下の膜厚であることが好ましい。
【0048】
本発明の発光素子は、高輝度の発光材料を用いたことにより、高輝度の発光素子を得ることができる。
【0049】
なお、本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせることが可能である。
【0050】
(実施の形態5)
本実施の形態では、本発明に係る分散型発光素子について図5を用いて説明する。
【0051】
本実施の形態で示す発光素子は、基板200の上に、第1の電極201と及び第2の電極204と、第2の電極に接する絶縁層203と、第1の電極201と絶縁層203との間に発光層202を有する素子構成である。本実施の形態で示す発光素子は、第1の電極201と、第2の電極204の間に電圧を印加することで発光層202より発光が得られるが、直流駆動又は交流駆動のいずれにおいても動作することができる。
【0052】
発光層202は、粒子状の実施の形態1〜3の製造方法で製造した発光材料をバインダ中に分散させた膜である。バインダとは、粒状の発光材料を分散した状態で固定し、発光層としての形状に保持するための物質であり、発光材料は、このバインダにより発光層中に均一に分散し固定される。なお、発光材料の作製方法によって、十分に所望の大きさの粒子が得られない場合は、乳鉢等で粉砕し、所定の大きさの粒子に加工すればよい。
【0053】
本発明は、母体材料に発光中心材料を添加して発光材料を作製する際、母体材料と発光中心材料とを混合などにより直接接させず、分離された坩堝内に母体材料及び発光中心材料それぞれを充填し、反応管内に配置し加熱、焼成して発光中心元素が添加された発光材料を得る。本発明に係る製造方法によれば、母体材料と発光中心材料とが直接接していないため、副生成物が少なく、高純度の発光材料を得ることができる。
【0054】
発光層の形成方法としては、選択的に発光層を形成できる液滴吐出法や、スクリーン印刷やオフセット印刷等の印刷法、スピンコート法などの塗布法、ディッピング法、ディスペンサ法等を用いることができる。膜厚は特に限定されることはないが、好ましくは、10〜1000nmの範囲である。また、発光材料及びバインダを含む発光層において、発光材料の割合は50wt%以上80wt%以下が好ましい。
【0055】
本実施の形態に用いることのできるバインダは絶縁材料であり、有機材料や無機材料、若しくは有機材料及び無機材料の混合材料を用いることができる。有機絶縁材料としては、シアノエチルセルロース系樹脂のように、比較的誘電率の高いポリマーや、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン系樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フッ化ビニリデンなどの樹脂を用いることができる。また、芳香族ポリアミド、ポリベンゾイミダゾール(polybenzimidazole)などの耐熱性高分子、又はシロキサン樹脂を用いてもよい。なお、シロキサン樹脂とは、Si−O−Si結合を含む樹脂である。また、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラールなどのビニル樹脂、フェノール樹脂、ノボラック樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、オキサゾール樹脂(ポリベンゾオキサゾール)等の樹脂材料を用いることもできる。一方、無機絶縁材料としては、酸化珪素(SiOx)、窒化珪素(SiNx)、酸化窒化珪素、窒化酸化珪素、窒化アルミニウム(AlN)、酸化窒化アルミニウム(AlON)、窒化酸化アルミニウム(AlNO)または酸化アルミニウム(Al2O3)、酸化チタン(TiO2)、BaTiO3、SrTiO3、チタン酸鉛(PbTiO3)、ニオブ酸カリウム(KNbO3)、ニオブ酸鉛(PbNbO3)、Ta2O5、タンタル酸バリウム(BaTa2O6)、タンタル酸リチウム(LiTaO3)、酸化イットリウム(Y2O3)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、ZnS、その他の無機絶縁材料を含む物質から選ばれた材料で形成することができる。なお、有機材料に、誘電率の高い無機材料を添加したものを用いてもよい。これにより、発光層の誘電率を制御することができ、より大きな誘電率を得ることができるようになる。
【0056】
発光層202を作製工程において、発光材料はバインダを含む溶液中に分散されるが、本実施の形態に用いることのできるバインダを含む溶液の溶媒としては、バインダ材料が溶解し、発光層を形成する方法(各種ウエットプロセス)及び所望の膜厚に適した粘度の溶液を作製できるような溶媒を適宜選択すればよい。有機溶媒としては、例えば、バインダとしてシロキサン樹脂を用いる場合は、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、3−メトシキ−3メチル−1−ブタノール(MMB)などを用いることができる。
【0057】
図5における絶縁層203は、特に限定されることはないが、絶縁耐性が高く、緻密な膜質であることが好ましく、さらには、誘電率が高いことが好ましい。例えば、酸化イットリウム(Y2O3)、酸化チタン(TiO2)、酸化アルミニウム(Al2O3)、酸化ハフニウム(HfO2)、酸化タンタル(Ta2O5)、チタン酸バリウム(BaTiO3)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO3)、チタン酸鉛(PbTiO3)、窒化シリコン(Si3N4)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、酸化シリコン(SiO2)、等やこれらの混合膜又は2種以上の積層膜を用いることができる。これらの絶縁膜は、スパッタリング、蒸着、CVD等により成膜することができる。また、絶縁層はこれら絶縁材料の粒子をバインダ中に分散して成膜してもよい。絶縁層を形成するバインダ材料としては、発光層に含まれるバインダと同様の材料、方法を用いて形成することができる。膜厚は特に限定されることはないが、好ましくは10〜1000nmの範囲である。
【0058】
本発明の発光素子は、高輝度の発光材料を用いたことにより、高輝度の発光素子を得ることができる。
【0059】
なお、本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせることが可能である。
【0060】
(実施の形態6)
本実施の形態は、本発明に係る複数の発光ユニットを積層した構成の発光素子(以下、積層型素子という)の態様について、図6を参照して説明する。この発光素子は、第1の電極と第2の電極との間に、複数の発光ユニットを有する発光素子である。
【0061】
図6において、第1の電極301と第2の電極302との間には、第1の発光ユニット311と第2の発光ユニット312が積層されている。第1の電極301と第2の電極302は実施の形態2〜3と同様なものを適用することができる。また、第1の発光ユニット311と第2の発光ユニット312は同じ構成を有し、その構成は実施の形態2〜3と同様なものを適用することができる。
【0062】
電荷発生層313には、有機化合物と金属酸化物の複合体が含まれている。この有機化合物と金属酸化物の複合体は、有機化合物とV2O5やMoO3やWO3金属酸化物から構成される。有機化合物としては、芳香族アミン化合物、カルバゾール誘導体、芳香族炭化水素、高分子化合物(オリゴマー、デンドリマー、ポリマー等)など、種々の化合物を用いることができる。なお、有機化合物としては、正孔輸送性有機化合物として正孔移動度が10−6cm2/Vs以上であるものを適用することが好ましい。但し、電子よりも正孔の輸送性の高い物質であれば、これら以外のものを用いてもよい。有機化合物と金属酸化物の複合体は、キャリア注入性、キャリア輸送性に優れているため、低電圧駆動、低電流駆動を実現することができる。
【0063】
なお、電荷発生層313は、有機化合物と金属酸化物の複合体と他の材料とを組み合わせて形成してもよい。例えば、有機化合物と金属酸化物の複合体を含む層と、電子供与性物質の中から選ばれた一の化合物と電子輸送性の高い化合物とを含む層とを組み合わせて形成してもよい。また、有機化合物と金属酸化物の複合体を含む層と、透明導電膜とを組み合わせて形成してもよい。
【0064】
いずれにしても、第1の発光ユニット311と第2の発光ユニット312に挟まれる電荷発生層313は、第1の電極301と第2の電極302に電圧を印加したときに、一方の側の発光ユニットに電子を注入し、他方の側の発光ユニットに正孔を注入するものであれば良い。
【0065】
本実施の形態では、2つの発光ユニットを有する発光素子について説明したが、同様に、3つ以上の発光ユニットを積層した発光素子についても、同様に適用することが可能である。本実施の形態に係る発光素子のように、一対の電極間に複数の発光ユニットを電気絶縁性の電荷発生層で仕切って配置することで、電流密度を低く保ったまま、高輝度領域での長寿命素子を実現できる。また、照明を応用例とした場合は、電極材料の抵抗による電圧降下を小さくできるので、大面積での均一発光が可能となる。また、表示装置に適用する場合には、低電圧駆動が可能で消費電力が低く、コントラストの高い表示装置を実現することができる。
【0066】
なお、本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせることが可能である。
【0067】
(実施の形態7)
本実施の形態では、発光装置の一態様として表示装置について、図7〜図10を参照して説明する。
【0068】
図7は表示装置の主要部を示す概略構成図である。基板410には、第1の電極416と、その電極と交差する方向に伸びる第2の電極418が設けられている。少なくとも、第1の電極416と第2の電極418との交差部には、実施の形態4〜5で説明したものと同様な発光層が設けられ、発光素子を形成している。図7の発光装置は、第1の電極416と第2の電極418を複数本配置して、画素となる発光素子をマトリクス状に配列させ、表示部414を形成している。この表示部414は、第1の電極416と第2の電極418の電位を制御して個々の発光素子の発光及び非発光を制御して、動画及び静止画を表示することができる。
【0069】
この発光装置は、基板410の一方向に延設される第1の電極416と、それと交差する第2の電極418のそれぞれに映像を表示する信号を印加して発光素子の発光及び非発光を選択する。すなわち、画素の駆動は、もっぱら外部回路から与えられる信号で行う単純マトリクス型の表示装置である。このような表示装置は、構成が簡単であるので、大面積化をしても容易に製造をすることができる。
【0070】
上記において、第1の電極416としてアルミニウム、チタン、タンタルなどを用い、第2の電極418として酸化インジウム、酸化インジウム・酸化スズ(ITO)、酸化インジウム酸化亜鉛、酸化亜鉛を用いれば、対向基板412側に表示部414が形成される表示装置とすることができる。この場合、第1の電極416の表面に薄い酸化膜を形成しておくとバリア層が形成され、キャリアブロッキング効果により発光効率を高めることができる。第1の電極416として酸化インジウム、酸化インジウム−酸化スズ(ITO)、酸化インジウム酸化亜鉛、酸化亜鉛を用い、第2の電極418としてアルミニウム、チタン、タンタルなどを用いれば、基板410側に表示部414が形成される表示装置とすることができる。また、第1の電極416と第2の電極418を共に透明電極で形成すれば、両面表示型の表示装置とすることができる。
【0071】
なお、対向基板412は必要に応じて設ければ良く、表示部414の位置に合わせて設けることで保護部材とすることもできる。これは、板状の硬材としなくても、樹脂フィルム若しくは樹脂材料を塗布して代用することもできる。第1の電極416及び第2の電極418は基板410の端部に引き出され、外部回路と接続する端子を形成している。すなわち第1の電極416及び第2の電極418は基板410の端部でフレキシブル配線基板420、422とコンタクトを形成する。外部回路としては、映像信号を制御するコントローラ回路の他、電源回路、チューナ回路などが含まれる。
【0072】
図8は表示部414の構成を示す部分拡大図を示す。基板410に形成された第1の電極416の側端部は隔壁層424が形成されている。そして、少なくとも第1の電極416の露出面上には発光層426が形成されている。第2の電極418は、発光層426上に設けられている。第2の電極418は第1の電極416と交差するので、隔壁層424上に延設されている。隔壁層424は、第1の電極416と第2の電極418の間で短絡が起こらないように絶縁材料で形成されている。隔壁層424が第1の電極416の端部を覆う部位では、段差が急峻とならないように隔壁層424の側端部に勾配を持たせ、所謂テーパー形状としている。隔壁層424をこのような形状とすることで、発光層426や第2の電極418の被覆性が向上し、ひび割れや断裂などの不良を無くすことができる。
【0073】
図9は表示部414の平面図であり、第1の電極416、第2の電極418、隔壁層424、発光層426 の配置を示している。補助電極428は第2の電極418を酸化インジウムスズ、酸化亜鉛などの酸化物透明導電膜で形成する場合に、抵抗損失を低減するために設けると好ましいものである。この場合、補助電極428はチタン、タングステン、クロム、タンタルなどの高融点金属、若しくは高融点金属とアルミニウム、銀などの低抵抗金属とを組み合わせて形成すると良い。
【0074】
図9において、A−B線及びC−D線に沿った断面図を図10(A)(B)に示す。図10(A)は第1の電極416が配列する断面図であり、図10(B)は第2の電極418が配列する断面図を示す。第1の電極416と第2の電極418の交差部には発光層426 が形成され、その部位に発光素子が形成される。図10(B)で示す補助電極428は隔壁層424上にあって、第2の電極418と接触するように設けている。補助電極428を隔壁層424上に設けることにより、第1の電極416と第2の電極418の交差部に形成される発光素子を遮光することがないので、発光した光を有効に利用することができる。また、補助電極428が第1の電極416と短絡してしまうことを防ぐことができる。
【0075】
図10では、対向基板412に色変換層430を配設した一例を示している。色変換層430は、発光層426で発光した光を波長変換して発光色を変化させるためのものである。この場合、発光層426で発光する光は、エネルギーの高い青色若しくは紫外光であることが好ましい。色変換層430として、赤色、緑色、青色に変換するものを配列させれば、RGBカラー表示を行う表示装置とすることができる。また、色変換層430を着色層(カラーフィルタ)に置き換えることもできる。その場合は、発光層426は白色発光するように構成すれば良い。充填材432は基板410と対向基板412を固定するものであり適宜設ければ良い。
【0076】
また、表示部414の他の構成を図12に示す。図12の構造は、第1の電極952の端部が絶縁層953で覆われている。そして、絶縁層953上には隔壁層954が設けられている。隔壁層954の側壁は、基板面に近くなるに伴って、一方の側壁と他方の側壁との間隔が狭くなっていくような傾斜を有する。つまり、隔壁層954の短辺方向の断面は、台形状であり、底辺(絶縁層953の面方向と同様の方向を向き、絶縁層953と接する辺)の方が上辺(絶縁層953の面方向と同様の方向を向き、絶縁層953と接しない辺)よりも短い。このように、隔壁層954を設けることで、発光層955及び第2の電極956を、隔壁層954を使って自己整合的に形成することができる。
【0077】
本実施例の表示装置は低電圧で発光素子が発光するので、昇圧回路などが不要となり、装置の構成を簡略化することができる。
【0078】
(実施の形態8)
本実施の形態では、トランジスタにより、画素部に本発明を適用して作製した発光素子の駆動を制御するアクティブ型の発光装置について図13を用いて説明する。なお、図13(A)は、発光装置を示す上面図、図13(B)は図13(A)をA−A’およびB−B’で切断した断面図である。点線で示された601は駆動回路部(ソース側駆動回路)、602は画素部、603は駆動回路部(ゲート側駆動回路)である。また、604は封止基板、605はシール材であり、シール材605で囲まれた内側は、空間607になっている。
【0079】
なお、引き回し配線608はソース側駆動回路601及びゲート側駆動回路603に入力される信号を伝送するための配線であり、外部入力端子となるFPC(フレキシブルプリントサーキット)609からビデオ信号、クロック信号、スタート信号、リセット信号等を受け取る。なお、ここではFPCしか図示されていないが、このFPCにはプリント配線基板(PWB)が取り付けられていても良い。本明細書における発光装置には、発光装置本体だけでなく、それにFPCもしくはPWBが取り付けられた状態をも含むものとする。
【0080】
次に、断面構造について図13(B)を用いて説明する。素子基板610上には駆動回路部及び画素部が形成されているが、ここでは、駆動回路部であるソース側駆動回路601と、画素部602中の一つの画素が示されている。
【0081】
なお、ソース側駆動回路601はnチャネル型TFT623とpチャネル型TFT624とを組み合わせたCMOS回路が形成される。また、駆動回路を形成するTFTは、公知のCMOS回路、PMOS回路もしくはNMOS回路で形成しても良い。また、本実施例では、基板上に駆動回路を形成したドライバ一体型を示すが、必ずしもその必要はなく、駆動回路を基板上ではなく外部に形成することもできる。なお、TFTの構造は、特に限定されない。スタガ型のTFTでもよいし、逆スタガ型のTFTでもよい。また、TFTに用いられる半導体膜の結晶性についても特に限定されない。非晶質半導体膜を用いてもよいし、結晶性半導体膜を用いてもよい。また、半導体材料についても特に限定されず、無機化合物を用いてもよいし、有機化合物を用いてもよい。
【0082】
また、画素部602はスイッチング用TFT611と、電流制御用TFT612とそのドレインに電気的に接続された第1の電極613とを含む複数の画素により形成される。なお、第1の電極613の端部を覆って絶縁物614が形成されている。ここでは、ポジ型の感光性アクリル樹脂膜を用いることにより形成する。
【0083】
また、被覆性を良好なものとするため、絶縁物614の上端部または下端部に曲率を有する曲面が形成されるようにする。例えば、絶縁物614の材料としてポジ型の感光性アクリルを用いた場合、絶縁物614の上端部のみに曲率半径(0.2μm〜3μm)を有する曲面を持たせることが好ましい。また、絶縁物614として、光の照射によってエッチャントに不溶解性となるネガ型、或いは光の照射によってエッチャントに溶解性となるポジ型のいずれも使用することができる。
【0084】
第1の電極613上には、発光層616、および第2の電極617がそれぞれ形成されている。第1の電極613および第2の電極617の少なくとも一方は透光性を有しており、発光層616からの発光を外部へ取り出すことが可能である。
【0085】
発光層616は、実施の形態4〜5で示した発光層を有している。
【0086】
なお、第1の電極613、発光層616、第2の電極617の形成方法としては、種々の方法を用いることができる。具体的には、抵抗加熱蒸着法、電子ビーム蒸着(EB蒸着)法等の真空蒸着法、スパッタリング法等の物理気相成長法(PVD)、有機金属CVD法、ハイドライド輸送減圧CVD法等の化学気相成長法(CVD)、原子エピタキシ法(ALE)等を用いることができる。また、インクジェット法、スピンコート法等を用いることができる。また、各電極または各層ごとに異なる成膜方法を用いて形成しても構わない。
【0087】
さらにシール材605で封止基板604を素子基板610と貼り合わせることにより、素子基板610、封止基板604、およびシール材605で囲まれた空間607に発光素子618が備えられた構造になっている。なお、空間607には、充填材が充填されており、不活性気体(窒素やアルゴン等)が充填される場合の他、シール材605で充填される場合もある。
【0088】
なお、シール材605にはエポキシ系樹脂を用いるのが好ましい。また、これらの材料はできるだけ水分や酸素を透過しない材料であることが望ましい。また、封止基板604に用いる材料としてガラス基板や石英基板の他、FRP(Fiberglass−Reinforced Plastics)、PVF(ポリビニルフロライド)、マイラー、ポリエステルまたはアクリル等からなるプラスチック基板を用いることができる。
【0089】
以上のようにして、本発明を適用して作製した発光素子を有する発光装置を得ることができる。
【0090】
本実施の形態で示す発光装置は、実施の形態1で示した発光素子を有し、低駆動電圧で動作が可能である。そのため、消費電力を低減された発光装置を得ることができる。
【0091】
また、本実施の形態で示す発光装置は、高耐電圧の駆動回路が不要であるため、発光装置の作製コストを低減することができる。また、発光装置の軽量化、駆動回路部分の小型化が可能である。
【0092】
(実施の形態9)
本実施の形態では、実施の形態6〜7に示す発光装置をその一部に含む電子機器について説明する。本実施の形態で示す電子機器は、実施の形態1で示した発光素子を有する。よって、駆動電圧の低減された発光素子を有するため、消費電極の低減された電子機器を提供することが可能である。
【0093】
本発明を適用して作製された電子機器として、ビデオカメラ、デジタルカメラ、ゴーグル型ディスプレイ、ナビゲーションシステム、音響再生装置(カーオーディオ、オーディオコンポ等)、コンピュータ、ゲーム機器、携帯情報端末(モバイルコンピュータ、携帯電話、携帯型ゲーム機または電子書籍等)、記録媒体を備えた画像再生装置(具体的にはDigital Versatile Disc(DVD)等の記録媒体を再生し、その画像を表示しうる表示装置を備えた装置)などが挙げられる。これらの電子機器の具体例を図12に示す。
【0094】
図14(A)は本実施の形態に係るテレビ装置であり、筐体9101、支持台9102、表示部9103、スピーカー部9104、ビデオ入力端子9105等を含む。このテレビ装置において、表示部9103は、実施の形態3〜5で説明したものと同様の発光素子をマトリクス状に配列して構成されている。当該発光素子は、発光効率が高く、駆動電圧が低いという特徴を有している。また、外部からの衝撃等による短絡を防止することも可能である。その発光素子で構成される表示部9103も同様の特徴を有するため、このテレビ装置は画質の劣化がなく、低消費電力化が図られている。このような特徴により、テレビ装置において、劣化補償機能や電源回路を大幅に削減、若しくは縮小することができるので、筐体9101や支持台9102の小型軽量化を図ることが可能である。本実施の形態に係るテレビ装置は、低消費電力、高画質及び小型軽量化が図られているので、それにより住環境に適合した製品を提供することができる。
【0095】
図14(B)は本実施の形態に係るコンピュータであり、本体9201、筐体9202、表示部9203、キーボード9204、外部接続ポート9205、ポインティングマウス9206等を含む。このコンピュータにおいて、表示部9203は、実施の形態3〜5で説明したものと同様の発光素子をマトリクス状に配列して構成されている。当該発光素子は、発光効率が高く、駆動電圧が低いという特徴を有している。また、外部からの衝撃等による短絡を防止することも可能である。その発光素子で構成される表示部9203も同様の特徴を有するため、このコンピュータは画質の劣化がなく、低消費電力化が図られている。このような特徴により、コンピュータにおいて、劣化補償機能や電源回路を大幅に削減、若しくは縮小することができるので、本体9201や筐体9202の小型軽量化を図ることが可能である。本実施の形態に係るコンピュータは、低消費電力、高画質及び小型軽量化が図られているので、環境に適合した製品を提供することができる。また、持ち運ぶことも可能となり、持ち運ぶときの外部からの衝撃にも強い表示部を有しているコンピュータを提供することができる。
【0096】
図14(C)は本実施の形態に係る携帯電話であり、本体9401、筐体9402、表示部9403、音声入力部9404、音声出力部9405、操作キー9406、外部接続ポート9407、アンテナ9408等を含む。この携帯電話において、表示部9403は、実施の形態3〜5で説明したものと同様の発光素子をマトリクス状に配列して構成されている。当該発光素子は、発光効率が高く、駆動電圧が低いという特徴を有している。また、外部からの衝撃等による短絡を防止することも可能である。その発光素子で構成される表示部9403も同様の特徴を有するため、この携帯電話は画質の劣化がなく、低消費電力化が図られている。このような特徴により、携帯電話において、劣化補償機能や電源回路を大幅に削減、若しくは縮小することができるので、本体9401や筐体9402の小型軽量化を図ることが可能である。本実施の形態に係る携帯電話は、低消費電力、高画質及び小型軽量化が図られているので、携帯に適した製品を提供することができる。また、携帯したときの衝撃にも強い表示部を有している製品を提供することができる。
【0097】
図14(D)はカメラであり、本体9501、表示部9502、筐体9503、外部接続ポート9504、リモコン受信部9505、受像部9506、バッテリー9507、音声入力部9508、操作キー9509、接眼部9510等を含む。このカメラにおいて、表示部9502は、実施の形態3〜5で説明したものと同様の発光素子をマトリクス状に配列して構成されている。当該発光素子は、発光効率が高く、駆動電圧が低く、外部からの衝撃等による短絡を防止することができるという特徴を有している。その発光素子で構成される表示部9502も同様の特徴を有するため、このカメラは画質の劣化がなく、低消費電力化が図られている。このような特徴により、カメラにおいて、劣化補償機能や電源回路を大幅に削減、若しくは縮小することができるので、本体9501の小型軽量化を図ることが可能である。本実施の形態に係るカメラは、低消費電力、高画質及び小型軽量化が図られているので、携帯に適した製品を提供することができる。また、携帯したときの衝撃にも強い表示部を有している製品を提供することができる。
【0098】
以上の様に、本発明を適用して作製した発光装置の適用範囲は極めて広く、この発光装置をあらゆる分野の電子機器に適用することが可能である。本発明を適用することにより、低消費電力で、信頼性の高い表示部を有する電子機器を作製することが可能となる。
【0099】
また、本発明を適用した発光装置は、照明装置として用いることもできる。本発明を適用した発光素子を照明装置として用いる一態様を、図15を用いて説明する。
【0100】
図15は、本発明を適用した発光装置をバックライトとして用いた液晶表示装置の一例である。図15に示した液晶表示装置は、筐体501、液晶層502、バックライト503、筐体504を有し、液晶層502は、ドライバIC505と接続されている。また、バックライト503は、本発明の発光装置が用いられおり、端子506により、電圧が印加されている。
【0101】
本発明の発光装置を液晶表示装置のバックライトとして用いることにより、高輝度で長寿命のバックライトが得られるので、表示装置としての品質が向上する。また、本発明の発光装置は、面発光の発光装置であり大面積化も可能であるため、バックライトの大面積化が可能であり、液晶表示装置の大面積化も可能になる。さらに、発光素子は薄型で低消費電力であるため、表示装置の薄型化、低消費電力化も可能となる。
【0102】
また、本発明を適用した発光装置は高輝度の発光が可能であるため、自動車、自転車、船などのヘッドライトとして用いることが可能である。図16は、本発明を適用した発光装置を自動車のヘッドライトとして用いた例である。図16(B)は図16(A)のヘッドライト1000の部分を拡大した断面図である。図16(B)において、光源1011として本発明の発光装置が用いられている。光源1011から出た光は、反射板1012により反射され、外部へ取り出される。図16(B)に示すように、複数の光源を用いることで、より高輝度の光を得ることができる。また、図16(C)は、円筒形状に作製した本発明の発光装置を光源として用いた例である。光源1021からの発光は反射板1022により反射され、外部へ取り出される。
【0103】
図17は、本発明を適用した発光装置を、照明装置である電気スタンドとして用いた例である。図17に示す電気スタンドは、筐体2001と、光源2002を有し、光源2002として、本発明の発光装置が用いられている。本発明の発光装置は、高輝度の発光が可能であるため、細かい作業をする場合など、手元を明るく照らすことが可能である。
【0104】
図11は、本発明を適用した発光装置を、室内の照明装置3001として用いた例である。本発明の発光装置は大面積化が可能であるため、大面積の照明装置として用いることができる。また、本発明の発光装置は、薄型で低消費電力であるため、薄型化、低消費電力化の照明装置として用いることが可能となる。このように、本発明を適用した発光装置を、室内の照明装置3001として用いた部屋に、図14(A)で説明したような、本発明に係るテレビ装置を設置して公共放送や映画を鑑賞することができる。このような場合、両装置は低消費電力であるので、電気料金を心配せずに、明るい部屋で迫力のある映像を鑑賞することができる。
【0105】
照明装置としては、図11、図15、図16、図17で例示したものに限られず、住宅や公共施設の照明をはじめ、様々な形態の照明装置として応用することができる。このような場合において、本発明に係る照明装置は、発光媒体が薄膜状であるので、デザインの自由度が高いので、様々な意匠を凝らした商品を市場に提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0106】
【図1】本発明の発光材料の製造方法を説明する図。
【図2】本発明の発光材料の製造方法を説明する図。
【図3】本発明の発光材料の製造方法を説明する図。
【図4】本発明の発光素子を説明する図。
【図5】本発明の発光素子を説明する図。
【図6】本発明の発光素子を説明する図。
【図7】本発明の発光装置を説明する図。
【図8】本発明の発光装置を説明する図。
【図9】本発明の発光装置を説明する図。
【図10】本発明の発光装置を説明する図。
【図11】本発明の照明装置を説明する図。
【図12】本発明の発光装置を説明する図。
【図13】本発明の電子機器を説明する図。
【図14】本発明の照明装置を説明する図。
【図15】本発明の照明装置を説明する図。
【図16】本発明の照明装置を説明する図。
【図17】本発明の照明装置を説明する図。
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光材料の作製方法に関する。また、エレクトロルミネッセンスを利用した発光素子に関する。また、発光素子を有する発光装置及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、テレビ、携帯電話、デジタルカメラ等における表示装置は、平面的で薄型の表示装置が求められており、この要求を満たすための表示装置として、自発光型である発光素子を利用した表示装置が注目されている。自発光型の発光素子の一つとして、エレクトロルミネッセンス(Electro Luminescence)を利用する発光素子があり、この発光素子は、発光材料を一対の電極で挟み、電圧を印加することにより、発光材料からの発光を得ることができるものである。
【0003】
このような自発光型の発光素子は、液晶ディスプレイに比べ画素の視認性が高く、バックライトが不要である等の利点があり、フラットパネルディスプレイ素子として好適であると考えられている。また、このような発光素子は、薄型軽量に作製できることも大きな利点である。また、非常に応答速度が速いことも特徴の一つである。
【0004】
さらに、このような自発光型の発光素子は膜状に形成することが可能であるため、大面積の素子を形成することにより、面発光を容易に得ることができる。このことは、白熱電球やLEDに代表される点光源、あるいは蛍光灯に代表される線光源では得難い特色であるため、照明等に応用できる面光源としての利用価値も高い。
【0005】
エレクトロルミネッセンスを利用する発光素子は、発光材料が有機化合物であるか、無機化合物であるかによって区別され、一般的に、前者は有機EL素子、後者は無機EL素子と呼ばれている。
【0006】
無機EL素子は、その素子構成により、分散型無機EL素子と薄膜型無機EL素子とに分類される。前者は、発光材料の粒子をバインダ中に分散させた発光層を有し、後者は、発光材料の薄膜からなる発光層を有している点に違いはあるが、高電界で加速された電子を必要とする点では共通である。なお、得られる発光のメカニズムとしては、ドナー準位とアクセプター準位を利用するドナー−アクセプター再結合型発光と、金属イオンの内殻電子遷移を利用する局在型発光とがある。一般的に、分散型無機EL素子ではドナー−アクセプター再結合型発光、薄膜型無機EL素子では局在型発光である場合が多い。
【0007】
このような無機EL素子における発光材料は、母体材料である硫化亜鉛等に、発光中心となるマンガンや銅等の化合物を混合し、焼成を行う製造方法により得られる(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、発光中心を含む化合物の添加量が多い場合には、副生成物が多くなり、発光材料の純度が低くなる問題があった。このような純度が低い発光材料を用いた発光素子では、輝度が低くなる問題もあった。また、発光中心を含む化合物の混合量を多くできないため、得られる発光材料の発光中心の濃度を高くできない問題があった。
【特許文献1】特開平06−192655号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記問題に鑑み、本発明は、高純度の発光材料の製造方法を提供することを課題とする。また、高輝度の発光素子を提供することを課題とする。また、高輝度の発光装置および電子機器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、母体材料に発光中心材料を添加して発光材料を作製する際、母体材料と発光中心材料とを混合などにより直接接させず、分離された坩堝内に母体材料及び発光中心材料それぞれを充填し、反応管内に配置し加熱、焼成して発光中心元素が添加された発光材料を得る。
【0010】
本発明の発光材料の作製方法の一形態は、反応管内に、第1の坩堝に充填された母体材料と、第2の坩堝に充填された発光中心材料を配設し、反応管内を減圧状態に保った状態で密閉封止し、該密閉封止した反応管内で発光中心材料を蒸発させつつ、母体材料を焼成し、母体材料に発光中心元素を添加する。
【0011】
本発明の発光材料の作製方法の一形態は、両端が開管されている反応管内に、第1の坩堝に充填された母体材料と、第2の坩堝に充填された発光中心材料を配設し、反応管の第2の坩堝側より気体を導入し第1の坩堝側より気体を排気しながら、該反応管内で発光中心材料を蒸発させつつ、母体材料を焼成し、母体材料に発光中心元素を添加する。
【0012】
本発明の発光材料の作製方法の一形態は、一端が開管されている反応管内に、開管側より第1の坩堝に充填された母体材料と、第2の坩堝に充填された発光中心材料を配設し、開管側より反応管内を排気しながら、該反応管内で発光中心材料を蒸発させつつ、母体材料を焼成し、母体材料に発光中心元素を添加する。
【0013】
上記構成において、気体として窒素、又はアルゴンを用いることができ、硫化性ガスを混合してもよい。また、第1の坩堝よりも第2の坩堝の方を高温にした状態で焼成すると、反応管の中は発光中心材料の雰囲気となるため、発光材料に添加される発光中心元素の濃度を高くすることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の発光材料の製造方法によれば、純度の高い発光材料を得ることができる。
【0015】
また、本発明の製造方法による発光材料を用いることで、輝度の高い発光素子を得ることができる。
【0016】
また、本発明の発光装置及び電子機器は、高輝度の発光素子を有しているため、輝度の高い発光装置を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施の態様について図面を用いて詳細に説明する。ただし、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更しうることは当業者であれば容易に理解される。したがって、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
【0018】
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明に係る発光材料の製造方法について図1を用いて説明する。図1は反応管4101と第1の坩堝4102と第2の坩堝4104の配置を示した断面図である。本実施の形態では、減圧雰囲気下にある反応管4101中で焼成によって発光材料を製造する製造方法であり、以下、説明する。
【0019】
まず、硫化亜鉛等の母体材料4103を所定量秤量し、第1の坩堝4102に充填する。また、マンガン等の発光中心材料4105を所定量秤量し、第2の坩堝4104に充填する。そして、片側を封じた反応管4101の中に、母体材料の入った第1の坩堝4102及び発光中心材料の入った第2の坩堝4104を分離して配置する。次に、反応管の開管側を真空ポンプにつなぎ、10−3Pa以下の圧力になるまで排気を行い、バーナー等を用いて反応管を溶着することで、図1に示す封管された反応管を得ることができる。
【0020】
反応管4101の材質は、発光中心材料の蒸気と反応しない材料が好ましい。このような材料としては、石英、ガラス、アルミナ等を用いることができるが、高耐熱性及び加工容易性から石英を用いることが好ましい。なお、反応管が石英である場合には、酸水素バーナーを用いて封管を行うことができる。
【0021】
第1の坩堝4102及び第2の坩堝4104の材質は、反応管より耐熱温度が高い材料が好ましく、このような材料としては、グラファイト、アルミナ、窒化ホウ素等がある。また、坩堝の形状は特に限定されないが、半球状のものや、筒状のものを用いることができる。
【0022】
また、本発明の発光材料の製造方法に用いられる母体材料4103としては、硫化物、酸化物、窒化物を用いることができる。硫化物としては、例えば、硫化亜鉛(ZnS)、硫化カドミウム(CdS)、硫化カルシウム(CaS)、硫化イットリウム(Y2S3)、硫化ガリウム(Ga2S3)、硫化ストロンチウム(SrS)、硫化バリウム(BaS)等を用いることができる。また、酸化物としては、例えば、酸化亜鉛(ZnO)、酸化イットリウム(Y2O3)等を用いることができる。また、窒化物としては、例えば、窒化アルミニウム(AlN)、窒化ガリウム(GaN)、窒化インジウム(InN)等を用いることができる。さらに、セレン化亜鉛(ZnSe)、テルル化亜鉛(ZnTe)等も用いることができ、硫化バリウム−アルミニウム(BaAl2S4)、硫化カルシウム−ガリウム(CaGa2S4)、硫化ストロンチウム−ガリウム(SrGa2S4)、硫化バリウム−ガリウム(BaGa2S4)、等の3元系の化合物であってもよい。
【0023】
また、本発明に係る発光材料の製造方法に用いられる発光中心材料元素として、銅(Cu)、銀(Ag)、金(Au)、マンガン(Mn)、テルビウム(Tb)、ユーロピウム(Eu)、ツリウム(Tm)、セリウム(Ce)、プラセオジウム(Pr)、サマリウム(Sm)、エルビウム(Er)、アルミニウム(Al)、塩素(Cl)、フッ素(F)等があり、発光中心材料としては、これらの単体又は化合物を用いることができる。発光中心材料が化合物である場合は、例えば、硫化銅(Cu2S)、塩化銅(CuCl)、フッ化銅(CuF)、硫化銀(Ag2S)、塩化銀(AgCl)、フッ化銀(AgF)、硫化マンガン(MnS)、炭酸マンガン(MnCO3)、塩化テルビウム(TbCl3)、フッ化テルビウム(TbF3)、酸化ユーロピウム(Eu2O3)、塩化ユーロピウム(EuCl3)、フッ化ユーロピウム(EuF3)、酸化ツリウム(Tm2O3)、フッ化ツリウム(TmF3)、塩化プラセオジウム(PrCl3)、フッ化プラセオジウム(PrF3)、酸化サマリウム(Sm2O3)、塩化サマリウム(SmCl3)、フッ化サマリウム(SmF3)、酸化セリウム(CeO2)、塩化セリウム(CeCl3)、フッ化セリウム(CeF3)、酸化エルビウム(Er2O3)、塩化エルビウム(ErCl3)、フッ化エルビウム(ErF3)、硫化アルミニウム(Al2S3)、塩化アルミニウム(AlCl3)等を用いることができる。
【0024】
なお、第2の坩堝に充填する発光中心材料として、2種類以上の単体又は化合物の混合物を用いることもできる。この場合、複数の発光中心が添加された発光材料が得られるため、複数の発光波長ピークを有する発光材料が可能となり、白色発光となる発光材料も得ることができる。
【0025】
次に、封管した反応管4101の焼成を行う。焼成は、マッフル炉や管状炉等を用いて行うことができ、大気中で行ってもよく、N2雰囲気下、Ar雰囲気下で行ってもよい。焼成温度は坩堝内の材料によって異なるが、700〜1500℃が好ましい。また、第1の坩堝よりも第2の坩堝の方を高温にした状態で焼成することもできる。この場合、反応管の中は発光中心材料の雰囲気となるため、発光材料に添加される発光中心元素の濃度を高くすることができる。
【0026】
焼成後、反応管4101を破砕し、第1の坩堝4102を取り出す。第1の坩堝4102には、第2の坩堝4104に充填されていた発光中心材料4105に含有される発光中心が添加された発光材料が得られるが、本発明に係る製造方法によれば、母体材料と発光中心材料とが直接接していないため、副生成物が少なく、高純度の発光材料を得ることができる。
【0027】
(実施の形態2)
本実施の形態では、本発明に係る発光材料の製造方法について図2を用いて説明する。図2は反応管4201と第1の坩堝4202と第2の坩堝4204の配置を示した断面図である。本実施の形態では、両端が開管している反応管4201を用い、一方より気体を流しながら焼成を行う発光材料の製造方法であり、以下、説明する。
【0028】
まず、硫化亜鉛等の母体材料4203を所定量秤量し、第1の坩堝4202に充填する。また、マンガン等の発光中心材料4205を所定量秤量し、第2の坩堝4204に充填する。そして、両端が開管している反応管4201の中に、母体材料4203の入った第1の坩堝4202及び発光中心材料4205の入った第2の坩堝4204を分離して配置する。
【0029】
なお、反応管4201、第1の坩堝4202及び第2の坩堝4204は実施の形態1で説明した材質のものを用いることができる。また、母体材料4203及び発光中心材料4205も実施の形態1で説明した材料を用いることができる。
【0030】
次に、坩堝が入った反応管4201の焼成を行う。焼成は、反応管4201の一方より気体を流しながら行うが、気体は第2の坩堝4204が配置されている側から導入し、第1の坩堝4202が配置されている側から排気することが好ましい。導入する気体としては、N2やArを用いることができ、その気体の中に硫化性ガスを混合しておくこともできる。硫化性ガスとしては、例えば、硫化水素、二硫化炭素、硫黄蒸気、エチルメルカプタン、メチルメルカプタン等のメルカプタン類、ジメチル硫黄、ジエチル硫黄等を用いることができる。なかでも、硫化水素ガスが好ましい。これは、硫化水素の一部が分解して硫黄と水素が発生し、発光材料中の硫黄欠損を防ぐと同時に、水素の還元作用効果が期待できるためである。また、反応管の焼成にはマッフル炉や管状炉等を用いて行うことができ、焼成温度は坩堝内の材料によって異なるが、700〜1500℃が好ましい。蒸発した発光中心材料は、流している気体よって運ばれ、発光中心元素は第1の坩堝4202に充填されている母体材料に添加されることとなる。
【0031】
なお、第1の坩堝4202よりも第2の坩堝4204の方を高温にした状態で焼成することが好ましい。この場合、反応管の中では発光中心材料の蒸発量が多くなる一方、母体材料の蒸発を抑制することができるからである。
【0032】
焼成後、反応管より第1の坩堝4202を取り出す。第1の坩堝4202には、第2の坩堝4204に充填されていた発光中心材料に含有される発光中心元素が添加された発光材料が得られるが、本発明に係る製造方法によれば、母体材料と発光中心材料とが直接接していないため、副生成物が少なく、高純度の発光材料を得ることができる。
【0033】
なお、本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせることが可能である。
【0034】
(実施の形態3)
本実施の形態では、本発明に係る発光材料の製造方法について図3を用いて説明する。図3は反応管4301と第1の坩堝4302と第2の坩堝4304の配置を示した断面図である。本実施の形態では、片側が開管している反応管4201を用い、開管側より排気しながら焼成を行う発光材料の製造方法であり、以下、説明する。
【0035】
まず、硫化亜鉛等の母体材料4303を所定量秤量し、第1の坩堝4302に充填する。また、マンガン等の発光中心材料4305を所定量秤量し、第2の坩堝4304に充填する。そして、片側が開管している反応管4301の中に、母体材料4303の入った第1の坩堝4302及び発光中心材料4305の入った第2の坩堝4204を分離して配置する。
【0036】
なお、反応管4301、第1の坩堝4302及び第2の坩堝4304は実施の形態1で説明した材質のものを用いることができる。また、母体材料4303及び発光中心材料4305も実施の形態1で説明した材料を用いることができる。
【0037】
次に、坩堝が入った反応管の焼成を行う。焼成は、反応管の一方より排気しながら行うが、排気は第1の坩堝4302が配置されている側から排気することが好ましい。排気装置としては、油回転ポンプ、油拡散ポンプ、ターボ分子ポンプ、クライオポンプ等の真空装置を用いることができ、反応管4301と真空装置の間にはトラップを付けることが好ましい。また、反応管4301の焼成にはマッフル炉や管状炉等を用いて行うことができ、焼成温度は坩堝内の材料によって異なるが、700〜1500℃が好ましい。蒸発した発光中心材料は、排気の気流によって運ばれ、発光中心元素は第1の坩堝4302に充填されている母体材料に添加されることとなる。
【0038】
なお、第1の坩堝4302よりも第2の坩堝4304の方を高温にした状態で焼成することが好ましい。この場合、反応管の中では発光中心材料の蒸発量が多くなる一方、母体材料の蒸発を抑制することができるからである。
【0039】
焼成後、反応管4301より第1の坩堝4302を取り出す。第1の坩堝4302には、第2の坩堝4304に充填されていた発光中心材料に含有される発光中心元素が添加された発光材料が得られるが、本発明に係る製造方法によれば、母体材料と発光中心材料とが直接接していないため、副生成物が少なく、高純度の発光材料を得ることができる。
【0040】
なお、本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせることが可能である。
【0041】
(実施の形態4)
本実施の形態では、本発明に係る薄膜型発光素子について図4を用いて説明する。
【0042】
本実施の形態で示す発光素子は、基板100の上に、第1の電極101及び第2の電極105と、電極に接する第1の絶縁層102及び第2の絶縁層104と、第1の絶縁層102と第2の絶縁層104との間に発光層103を有する素子構成である。本実施の形態で示す発光素子は、第1の電極101と、第2の電極105の間に電圧を印加することで発光層103より発光が得られるが、直流駆動又は交流駆動のいずれにおいても動作することができる。
【0043】
基板100は発光素子の支持体として用いられる。基板100としては、例えば、ガラス、又はプラスチックなどを用いることができる。なお、発光素子を作製工程において支持体として機能するものであれば、これら以外のものでも用いることができる。
【0044】
第1の電極101及び第2の電極105は、金属、合金、導電性化合物、及びこれらの混合物などを用いることができる。なお、面発光を得るためには、第1の電極101又は第2の電極105のいずれか一方又は両方を透明にしておく必要がある。透明電極としては、例えば、酸化インジウム−スズ(ITO)、珪素若しくは酸化珪素を含有した酸化インジウム−スズ(ITSO)、酸化インジウム−亜鉛(IZO)、酸化タングステン及び酸化亜鉛を含有した酸化インジウム−スズ(IWZO)等が挙げられる。これらの導電性金属酸化物膜は、通常スパッタリングにより成膜される。例えば、IZOは、酸化インジウムに対し1〜20wt%の酸化亜鉛を加えたターゲットを用いたスパッタリングにより形成することができる。また、IWZOは、酸化インジウムに対し酸化タングステンを0.5〜5wt%、酸化亜鉛を0.1〜1wt%含有したターゲットを用いたスパッタリングにより形成することができる。この他、金属電極としては、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、金(Au)、白金(Pt)、ニッケル(Ni)、タングステン(W)、チタン(Ti)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、又はこれら金属材料の窒化物、例えば、窒化チタン(TiN)等用いることができる。また、金属電極を用いて透光性の電極とする場合、可視光の透過率の低い材料であっても、1nm〜50nm、好ましくは5nm〜20nm程度の厚さで成膜することで、透光性の電極として用いることができる。なお、スパッタリング以外にも、真空蒸着、CVD、ゾル−ゲル法を用いて電極を作製することもできる。
【0045】
発光層103は、実施の形態1〜3の製造方法により製造した発光材料を含む層であり、抵抗加熱蒸着や電子ビーム蒸着(EB蒸着)等の真空蒸着法、スパッタリング法、有機金属CVD法、ハイドライド輸送減圧CVD法、原子エピタキシ法(ALE)等を用いることができる。膜厚は特に限定されることはないが、好ましくは、10〜1000nmの範囲である。
【0046】
本発明は、母体材料に発光中心材料を添加して発光材料を作製する際、母体材料と発光中心材料とを混合などにより直接接させず、分離された坩堝内に母体材料及び発光中心材料それぞれを充填し、反応管内に配置し加熱、焼成して発光中心元素が添加された発光材料を得る。本発明に係る製造方法によれば、母体材料と発光中心材料とが直接接していないため、副生成物が少なく、高純度の発光材料を得ることができる。
【0047】
第1の絶縁層102と及び第2の絶縁層104は、特に限定されることはないが、絶縁耐性が高く、緻密な膜質であることが好ましく、さらには、誘電率が高いことが好ましい。例えば、酸化イットリウム(Y2O3)、酸化チタン(TiO2)、酸化アルミニウム(Al2O3)、酸化ハフニウム(HfO2)、酸化タンタル(Ta2O5)、酸化シリコン(SiO2)、チタン酸バリウム(BaTiO3)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO3)、チタン酸鉛(PbTiO3)、窒化シリコン(Si3N4)、酸化ジルコニウム(ZrO2)等やこれらの混合膜又は2種以上の積層膜を用いることができる。これらの絶縁膜は、スパッタリング、蒸着、CVD等により成膜することができる。膜厚は特に限定されることはないが、好ましくは10〜1000nmの範囲である。低電圧駆動とする場合は、500nm以下の膜厚が好ましく、より好ましくは100nm以下の膜厚であることが好ましい。
【0048】
本発明の発光素子は、高輝度の発光材料を用いたことにより、高輝度の発光素子を得ることができる。
【0049】
なお、本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせることが可能である。
【0050】
(実施の形態5)
本実施の形態では、本発明に係る分散型発光素子について図5を用いて説明する。
【0051】
本実施の形態で示す発光素子は、基板200の上に、第1の電極201と及び第2の電極204と、第2の電極に接する絶縁層203と、第1の電極201と絶縁層203との間に発光層202を有する素子構成である。本実施の形態で示す発光素子は、第1の電極201と、第2の電極204の間に電圧を印加することで発光層202より発光が得られるが、直流駆動又は交流駆動のいずれにおいても動作することができる。
【0052】
発光層202は、粒子状の実施の形態1〜3の製造方法で製造した発光材料をバインダ中に分散させた膜である。バインダとは、粒状の発光材料を分散した状態で固定し、発光層としての形状に保持するための物質であり、発光材料は、このバインダにより発光層中に均一に分散し固定される。なお、発光材料の作製方法によって、十分に所望の大きさの粒子が得られない場合は、乳鉢等で粉砕し、所定の大きさの粒子に加工すればよい。
【0053】
本発明は、母体材料に発光中心材料を添加して発光材料を作製する際、母体材料と発光中心材料とを混合などにより直接接させず、分離された坩堝内に母体材料及び発光中心材料それぞれを充填し、反応管内に配置し加熱、焼成して発光中心元素が添加された発光材料を得る。本発明に係る製造方法によれば、母体材料と発光中心材料とが直接接していないため、副生成物が少なく、高純度の発光材料を得ることができる。
【0054】
発光層の形成方法としては、選択的に発光層を形成できる液滴吐出法や、スクリーン印刷やオフセット印刷等の印刷法、スピンコート法などの塗布法、ディッピング法、ディスペンサ法等を用いることができる。膜厚は特に限定されることはないが、好ましくは、10〜1000nmの範囲である。また、発光材料及びバインダを含む発光層において、発光材料の割合は50wt%以上80wt%以下が好ましい。
【0055】
本実施の形態に用いることのできるバインダは絶縁材料であり、有機材料や無機材料、若しくは有機材料及び無機材料の混合材料を用いることができる。有機絶縁材料としては、シアノエチルセルロース系樹脂のように、比較的誘電率の高いポリマーや、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン系樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フッ化ビニリデンなどの樹脂を用いることができる。また、芳香族ポリアミド、ポリベンゾイミダゾール(polybenzimidazole)などの耐熱性高分子、又はシロキサン樹脂を用いてもよい。なお、シロキサン樹脂とは、Si−O−Si結合を含む樹脂である。また、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラールなどのビニル樹脂、フェノール樹脂、ノボラック樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、オキサゾール樹脂(ポリベンゾオキサゾール)等の樹脂材料を用いることもできる。一方、無機絶縁材料としては、酸化珪素(SiOx)、窒化珪素(SiNx)、酸化窒化珪素、窒化酸化珪素、窒化アルミニウム(AlN)、酸化窒化アルミニウム(AlON)、窒化酸化アルミニウム(AlNO)または酸化アルミニウム(Al2O3)、酸化チタン(TiO2)、BaTiO3、SrTiO3、チタン酸鉛(PbTiO3)、ニオブ酸カリウム(KNbO3)、ニオブ酸鉛(PbNbO3)、Ta2O5、タンタル酸バリウム(BaTa2O6)、タンタル酸リチウム(LiTaO3)、酸化イットリウム(Y2O3)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、ZnS、その他の無機絶縁材料を含む物質から選ばれた材料で形成することができる。なお、有機材料に、誘電率の高い無機材料を添加したものを用いてもよい。これにより、発光層の誘電率を制御することができ、より大きな誘電率を得ることができるようになる。
【0056】
発光層202を作製工程において、発光材料はバインダを含む溶液中に分散されるが、本実施の形態に用いることのできるバインダを含む溶液の溶媒としては、バインダ材料が溶解し、発光層を形成する方法(各種ウエットプロセス)及び所望の膜厚に適した粘度の溶液を作製できるような溶媒を適宜選択すればよい。有機溶媒としては、例えば、バインダとしてシロキサン樹脂を用いる場合は、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、3−メトシキ−3メチル−1−ブタノール(MMB)などを用いることができる。
【0057】
図5における絶縁層203は、特に限定されることはないが、絶縁耐性が高く、緻密な膜質であることが好ましく、さらには、誘電率が高いことが好ましい。例えば、酸化イットリウム(Y2O3)、酸化チタン(TiO2)、酸化アルミニウム(Al2O3)、酸化ハフニウム(HfO2)、酸化タンタル(Ta2O5)、チタン酸バリウム(BaTiO3)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO3)、チタン酸鉛(PbTiO3)、窒化シリコン(Si3N4)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、酸化シリコン(SiO2)、等やこれらの混合膜又は2種以上の積層膜を用いることができる。これらの絶縁膜は、スパッタリング、蒸着、CVD等により成膜することができる。また、絶縁層はこれら絶縁材料の粒子をバインダ中に分散して成膜してもよい。絶縁層を形成するバインダ材料としては、発光層に含まれるバインダと同様の材料、方法を用いて形成することができる。膜厚は特に限定されることはないが、好ましくは10〜1000nmの範囲である。
【0058】
本発明の発光素子は、高輝度の発光材料を用いたことにより、高輝度の発光素子を得ることができる。
【0059】
なお、本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせることが可能である。
【0060】
(実施の形態6)
本実施の形態は、本発明に係る複数の発光ユニットを積層した構成の発光素子(以下、積層型素子という)の態様について、図6を参照して説明する。この発光素子は、第1の電極と第2の電極との間に、複数の発光ユニットを有する発光素子である。
【0061】
図6において、第1の電極301と第2の電極302との間には、第1の発光ユニット311と第2の発光ユニット312が積層されている。第1の電極301と第2の電極302は実施の形態2〜3と同様なものを適用することができる。また、第1の発光ユニット311と第2の発光ユニット312は同じ構成を有し、その構成は実施の形態2〜3と同様なものを適用することができる。
【0062】
電荷発生層313には、有機化合物と金属酸化物の複合体が含まれている。この有機化合物と金属酸化物の複合体は、有機化合物とV2O5やMoO3やWO3金属酸化物から構成される。有機化合物としては、芳香族アミン化合物、カルバゾール誘導体、芳香族炭化水素、高分子化合物(オリゴマー、デンドリマー、ポリマー等)など、種々の化合物を用いることができる。なお、有機化合物としては、正孔輸送性有機化合物として正孔移動度が10−6cm2/Vs以上であるものを適用することが好ましい。但し、電子よりも正孔の輸送性の高い物質であれば、これら以外のものを用いてもよい。有機化合物と金属酸化物の複合体は、キャリア注入性、キャリア輸送性に優れているため、低電圧駆動、低電流駆動を実現することができる。
【0063】
なお、電荷発生層313は、有機化合物と金属酸化物の複合体と他の材料とを組み合わせて形成してもよい。例えば、有機化合物と金属酸化物の複合体を含む層と、電子供与性物質の中から選ばれた一の化合物と電子輸送性の高い化合物とを含む層とを組み合わせて形成してもよい。また、有機化合物と金属酸化物の複合体を含む層と、透明導電膜とを組み合わせて形成してもよい。
【0064】
いずれにしても、第1の発光ユニット311と第2の発光ユニット312に挟まれる電荷発生層313は、第1の電極301と第2の電極302に電圧を印加したときに、一方の側の発光ユニットに電子を注入し、他方の側の発光ユニットに正孔を注入するものであれば良い。
【0065】
本実施の形態では、2つの発光ユニットを有する発光素子について説明したが、同様に、3つ以上の発光ユニットを積層した発光素子についても、同様に適用することが可能である。本実施の形態に係る発光素子のように、一対の電極間に複数の発光ユニットを電気絶縁性の電荷発生層で仕切って配置することで、電流密度を低く保ったまま、高輝度領域での長寿命素子を実現できる。また、照明を応用例とした場合は、電極材料の抵抗による電圧降下を小さくできるので、大面積での均一発光が可能となる。また、表示装置に適用する場合には、低電圧駆動が可能で消費電力が低く、コントラストの高い表示装置を実現することができる。
【0066】
なお、本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせることが可能である。
【0067】
(実施の形態7)
本実施の形態では、発光装置の一態様として表示装置について、図7〜図10を参照して説明する。
【0068】
図7は表示装置の主要部を示す概略構成図である。基板410には、第1の電極416と、その電極と交差する方向に伸びる第2の電極418が設けられている。少なくとも、第1の電極416と第2の電極418との交差部には、実施の形態4〜5で説明したものと同様な発光層が設けられ、発光素子を形成している。図7の発光装置は、第1の電極416と第2の電極418を複数本配置して、画素となる発光素子をマトリクス状に配列させ、表示部414を形成している。この表示部414は、第1の電極416と第2の電極418の電位を制御して個々の発光素子の発光及び非発光を制御して、動画及び静止画を表示することができる。
【0069】
この発光装置は、基板410の一方向に延設される第1の電極416と、それと交差する第2の電極418のそれぞれに映像を表示する信号を印加して発光素子の発光及び非発光を選択する。すなわち、画素の駆動は、もっぱら外部回路から与えられる信号で行う単純マトリクス型の表示装置である。このような表示装置は、構成が簡単であるので、大面積化をしても容易に製造をすることができる。
【0070】
上記において、第1の電極416としてアルミニウム、チタン、タンタルなどを用い、第2の電極418として酸化インジウム、酸化インジウム・酸化スズ(ITO)、酸化インジウム酸化亜鉛、酸化亜鉛を用いれば、対向基板412側に表示部414が形成される表示装置とすることができる。この場合、第1の電極416の表面に薄い酸化膜を形成しておくとバリア層が形成され、キャリアブロッキング効果により発光効率を高めることができる。第1の電極416として酸化インジウム、酸化インジウム−酸化スズ(ITO)、酸化インジウム酸化亜鉛、酸化亜鉛を用い、第2の電極418としてアルミニウム、チタン、タンタルなどを用いれば、基板410側に表示部414が形成される表示装置とすることができる。また、第1の電極416と第2の電極418を共に透明電極で形成すれば、両面表示型の表示装置とすることができる。
【0071】
なお、対向基板412は必要に応じて設ければ良く、表示部414の位置に合わせて設けることで保護部材とすることもできる。これは、板状の硬材としなくても、樹脂フィルム若しくは樹脂材料を塗布して代用することもできる。第1の電極416及び第2の電極418は基板410の端部に引き出され、外部回路と接続する端子を形成している。すなわち第1の電極416及び第2の電極418は基板410の端部でフレキシブル配線基板420、422とコンタクトを形成する。外部回路としては、映像信号を制御するコントローラ回路の他、電源回路、チューナ回路などが含まれる。
【0072】
図8は表示部414の構成を示す部分拡大図を示す。基板410に形成された第1の電極416の側端部は隔壁層424が形成されている。そして、少なくとも第1の電極416の露出面上には発光層426が形成されている。第2の電極418は、発光層426上に設けられている。第2の電極418は第1の電極416と交差するので、隔壁層424上に延設されている。隔壁層424は、第1の電極416と第2の電極418の間で短絡が起こらないように絶縁材料で形成されている。隔壁層424が第1の電極416の端部を覆う部位では、段差が急峻とならないように隔壁層424の側端部に勾配を持たせ、所謂テーパー形状としている。隔壁層424をこのような形状とすることで、発光層426や第2の電極418の被覆性が向上し、ひび割れや断裂などの不良を無くすことができる。
【0073】
図9は表示部414の平面図であり、第1の電極416、第2の電極418、隔壁層424、発光層426 の配置を示している。補助電極428は第2の電極418を酸化インジウムスズ、酸化亜鉛などの酸化物透明導電膜で形成する場合に、抵抗損失を低減するために設けると好ましいものである。この場合、補助電極428はチタン、タングステン、クロム、タンタルなどの高融点金属、若しくは高融点金属とアルミニウム、銀などの低抵抗金属とを組み合わせて形成すると良い。
【0074】
図9において、A−B線及びC−D線に沿った断面図を図10(A)(B)に示す。図10(A)は第1の電極416が配列する断面図であり、図10(B)は第2の電極418が配列する断面図を示す。第1の電極416と第2の電極418の交差部には発光層426 が形成され、その部位に発光素子が形成される。図10(B)で示す補助電極428は隔壁層424上にあって、第2の電極418と接触するように設けている。補助電極428を隔壁層424上に設けることにより、第1の電極416と第2の電極418の交差部に形成される発光素子を遮光することがないので、発光した光を有効に利用することができる。また、補助電極428が第1の電極416と短絡してしまうことを防ぐことができる。
【0075】
図10では、対向基板412に色変換層430を配設した一例を示している。色変換層430は、発光層426で発光した光を波長変換して発光色を変化させるためのものである。この場合、発光層426で発光する光は、エネルギーの高い青色若しくは紫外光であることが好ましい。色変換層430として、赤色、緑色、青色に変換するものを配列させれば、RGBカラー表示を行う表示装置とすることができる。また、色変換層430を着色層(カラーフィルタ)に置き換えることもできる。その場合は、発光層426は白色発光するように構成すれば良い。充填材432は基板410と対向基板412を固定するものであり適宜設ければ良い。
【0076】
また、表示部414の他の構成を図12に示す。図12の構造は、第1の電極952の端部が絶縁層953で覆われている。そして、絶縁層953上には隔壁層954が設けられている。隔壁層954の側壁は、基板面に近くなるに伴って、一方の側壁と他方の側壁との間隔が狭くなっていくような傾斜を有する。つまり、隔壁層954の短辺方向の断面は、台形状であり、底辺(絶縁層953の面方向と同様の方向を向き、絶縁層953と接する辺)の方が上辺(絶縁層953の面方向と同様の方向を向き、絶縁層953と接しない辺)よりも短い。このように、隔壁層954を設けることで、発光層955及び第2の電極956を、隔壁層954を使って自己整合的に形成することができる。
【0077】
本実施例の表示装置は低電圧で発光素子が発光するので、昇圧回路などが不要となり、装置の構成を簡略化することができる。
【0078】
(実施の形態8)
本実施の形態では、トランジスタにより、画素部に本発明を適用して作製した発光素子の駆動を制御するアクティブ型の発光装置について図13を用いて説明する。なお、図13(A)は、発光装置を示す上面図、図13(B)は図13(A)をA−A’およびB−B’で切断した断面図である。点線で示された601は駆動回路部(ソース側駆動回路)、602は画素部、603は駆動回路部(ゲート側駆動回路)である。また、604は封止基板、605はシール材であり、シール材605で囲まれた内側は、空間607になっている。
【0079】
なお、引き回し配線608はソース側駆動回路601及びゲート側駆動回路603に入力される信号を伝送するための配線であり、外部入力端子となるFPC(フレキシブルプリントサーキット)609からビデオ信号、クロック信号、スタート信号、リセット信号等を受け取る。なお、ここではFPCしか図示されていないが、このFPCにはプリント配線基板(PWB)が取り付けられていても良い。本明細書における発光装置には、発光装置本体だけでなく、それにFPCもしくはPWBが取り付けられた状態をも含むものとする。
【0080】
次に、断面構造について図13(B)を用いて説明する。素子基板610上には駆動回路部及び画素部が形成されているが、ここでは、駆動回路部であるソース側駆動回路601と、画素部602中の一つの画素が示されている。
【0081】
なお、ソース側駆動回路601はnチャネル型TFT623とpチャネル型TFT624とを組み合わせたCMOS回路が形成される。また、駆動回路を形成するTFTは、公知のCMOS回路、PMOS回路もしくはNMOS回路で形成しても良い。また、本実施例では、基板上に駆動回路を形成したドライバ一体型を示すが、必ずしもその必要はなく、駆動回路を基板上ではなく外部に形成することもできる。なお、TFTの構造は、特に限定されない。スタガ型のTFTでもよいし、逆スタガ型のTFTでもよい。また、TFTに用いられる半導体膜の結晶性についても特に限定されない。非晶質半導体膜を用いてもよいし、結晶性半導体膜を用いてもよい。また、半導体材料についても特に限定されず、無機化合物を用いてもよいし、有機化合物を用いてもよい。
【0082】
また、画素部602はスイッチング用TFT611と、電流制御用TFT612とそのドレインに電気的に接続された第1の電極613とを含む複数の画素により形成される。なお、第1の電極613の端部を覆って絶縁物614が形成されている。ここでは、ポジ型の感光性アクリル樹脂膜を用いることにより形成する。
【0083】
また、被覆性を良好なものとするため、絶縁物614の上端部または下端部に曲率を有する曲面が形成されるようにする。例えば、絶縁物614の材料としてポジ型の感光性アクリルを用いた場合、絶縁物614の上端部のみに曲率半径(0.2μm〜3μm)を有する曲面を持たせることが好ましい。また、絶縁物614として、光の照射によってエッチャントに不溶解性となるネガ型、或いは光の照射によってエッチャントに溶解性となるポジ型のいずれも使用することができる。
【0084】
第1の電極613上には、発光層616、および第2の電極617がそれぞれ形成されている。第1の電極613および第2の電極617の少なくとも一方は透光性を有しており、発光層616からの発光を外部へ取り出すことが可能である。
【0085】
発光層616は、実施の形態4〜5で示した発光層を有している。
【0086】
なお、第1の電極613、発光層616、第2の電極617の形成方法としては、種々の方法を用いることができる。具体的には、抵抗加熱蒸着法、電子ビーム蒸着(EB蒸着)法等の真空蒸着法、スパッタリング法等の物理気相成長法(PVD)、有機金属CVD法、ハイドライド輸送減圧CVD法等の化学気相成長法(CVD)、原子エピタキシ法(ALE)等を用いることができる。また、インクジェット法、スピンコート法等を用いることができる。また、各電極または各層ごとに異なる成膜方法を用いて形成しても構わない。
【0087】
さらにシール材605で封止基板604を素子基板610と貼り合わせることにより、素子基板610、封止基板604、およびシール材605で囲まれた空間607に発光素子618が備えられた構造になっている。なお、空間607には、充填材が充填されており、不活性気体(窒素やアルゴン等)が充填される場合の他、シール材605で充填される場合もある。
【0088】
なお、シール材605にはエポキシ系樹脂を用いるのが好ましい。また、これらの材料はできるだけ水分や酸素を透過しない材料であることが望ましい。また、封止基板604に用いる材料としてガラス基板や石英基板の他、FRP(Fiberglass−Reinforced Plastics)、PVF(ポリビニルフロライド)、マイラー、ポリエステルまたはアクリル等からなるプラスチック基板を用いることができる。
【0089】
以上のようにして、本発明を適用して作製した発光素子を有する発光装置を得ることができる。
【0090】
本実施の形態で示す発光装置は、実施の形態1で示した発光素子を有し、低駆動電圧で動作が可能である。そのため、消費電力を低減された発光装置を得ることができる。
【0091】
また、本実施の形態で示す発光装置は、高耐電圧の駆動回路が不要であるため、発光装置の作製コストを低減することができる。また、発光装置の軽量化、駆動回路部分の小型化が可能である。
【0092】
(実施の形態9)
本実施の形態では、実施の形態6〜7に示す発光装置をその一部に含む電子機器について説明する。本実施の形態で示す電子機器は、実施の形態1で示した発光素子を有する。よって、駆動電圧の低減された発光素子を有するため、消費電極の低減された電子機器を提供することが可能である。
【0093】
本発明を適用して作製された電子機器として、ビデオカメラ、デジタルカメラ、ゴーグル型ディスプレイ、ナビゲーションシステム、音響再生装置(カーオーディオ、オーディオコンポ等)、コンピュータ、ゲーム機器、携帯情報端末(モバイルコンピュータ、携帯電話、携帯型ゲーム機または電子書籍等)、記録媒体を備えた画像再生装置(具体的にはDigital Versatile Disc(DVD)等の記録媒体を再生し、その画像を表示しうる表示装置を備えた装置)などが挙げられる。これらの電子機器の具体例を図12に示す。
【0094】
図14(A)は本実施の形態に係るテレビ装置であり、筐体9101、支持台9102、表示部9103、スピーカー部9104、ビデオ入力端子9105等を含む。このテレビ装置において、表示部9103は、実施の形態3〜5で説明したものと同様の発光素子をマトリクス状に配列して構成されている。当該発光素子は、発光効率が高く、駆動電圧が低いという特徴を有している。また、外部からの衝撃等による短絡を防止することも可能である。その発光素子で構成される表示部9103も同様の特徴を有するため、このテレビ装置は画質の劣化がなく、低消費電力化が図られている。このような特徴により、テレビ装置において、劣化補償機能や電源回路を大幅に削減、若しくは縮小することができるので、筐体9101や支持台9102の小型軽量化を図ることが可能である。本実施の形態に係るテレビ装置は、低消費電力、高画質及び小型軽量化が図られているので、それにより住環境に適合した製品を提供することができる。
【0095】
図14(B)は本実施の形態に係るコンピュータであり、本体9201、筐体9202、表示部9203、キーボード9204、外部接続ポート9205、ポインティングマウス9206等を含む。このコンピュータにおいて、表示部9203は、実施の形態3〜5で説明したものと同様の発光素子をマトリクス状に配列して構成されている。当該発光素子は、発光効率が高く、駆動電圧が低いという特徴を有している。また、外部からの衝撃等による短絡を防止することも可能である。その発光素子で構成される表示部9203も同様の特徴を有するため、このコンピュータは画質の劣化がなく、低消費電力化が図られている。このような特徴により、コンピュータにおいて、劣化補償機能や電源回路を大幅に削減、若しくは縮小することができるので、本体9201や筐体9202の小型軽量化を図ることが可能である。本実施の形態に係るコンピュータは、低消費電力、高画質及び小型軽量化が図られているので、環境に適合した製品を提供することができる。また、持ち運ぶことも可能となり、持ち運ぶときの外部からの衝撃にも強い表示部を有しているコンピュータを提供することができる。
【0096】
図14(C)は本実施の形態に係る携帯電話であり、本体9401、筐体9402、表示部9403、音声入力部9404、音声出力部9405、操作キー9406、外部接続ポート9407、アンテナ9408等を含む。この携帯電話において、表示部9403は、実施の形態3〜5で説明したものと同様の発光素子をマトリクス状に配列して構成されている。当該発光素子は、発光効率が高く、駆動電圧が低いという特徴を有している。また、外部からの衝撃等による短絡を防止することも可能である。その発光素子で構成される表示部9403も同様の特徴を有するため、この携帯電話は画質の劣化がなく、低消費電力化が図られている。このような特徴により、携帯電話において、劣化補償機能や電源回路を大幅に削減、若しくは縮小することができるので、本体9401や筐体9402の小型軽量化を図ることが可能である。本実施の形態に係る携帯電話は、低消費電力、高画質及び小型軽量化が図られているので、携帯に適した製品を提供することができる。また、携帯したときの衝撃にも強い表示部を有している製品を提供することができる。
【0097】
図14(D)はカメラであり、本体9501、表示部9502、筐体9503、外部接続ポート9504、リモコン受信部9505、受像部9506、バッテリー9507、音声入力部9508、操作キー9509、接眼部9510等を含む。このカメラにおいて、表示部9502は、実施の形態3〜5で説明したものと同様の発光素子をマトリクス状に配列して構成されている。当該発光素子は、発光効率が高く、駆動電圧が低く、外部からの衝撃等による短絡を防止することができるという特徴を有している。その発光素子で構成される表示部9502も同様の特徴を有するため、このカメラは画質の劣化がなく、低消費電力化が図られている。このような特徴により、カメラにおいて、劣化補償機能や電源回路を大幅に削減、若しくは縮小することができるので、本体9501の小型軽量化を図ることが可能である。本実施の形態に係るカメラは、低消費電力、高画質及び小型軽量化が図られているので、携帯に適した製品を提供することができる。また、携帯したときの衝撃にも強い表示部を有している製品を提供することができる。
【0098】
以上の様に、本発明を適用して作製した発光装置の適用範囲は極めて広く、この発光装置をあらゆる分野の電子機器に適用することが可能である。本発明を適用することにより、低消費電力で、信頼性の高い表示部を有する電子機器を作製することが可能となる。
【0099】
また、本発明を適用した発光装置は、照明装置として用いることもできる。本発明を適用した発光素子を照明装置として用いる一態様を、図15を用いて説明する。
【0100】
図15は、本発明を適用した発光装置をバックライトとして用いた液晶表示装置の一例である。図15に示した液晶表示装置は、筐体501、液晶層502、バックライト503、筐体504を有し、液晶層502は、ドライバIC505と接続されている。また、バックライト503は、本発明の発光装置が用いられおり、端子506により、電圧が印加されている。
【0101】
本発明の発光装置を液晶表示装置のバックライトとして用いることにより、高輝度で長寿命のバックライトが得られるので、表示装置としての品質が向上する。また、本発明の発光装置は、面発光の発光装置であり大面積化も可能であるため、バックライトの大面積化が可能であり、液晶表示装置の大面積化も可能になる。さらに、発光素子は薄型で低消費電力であるため、表示装置の薄型化、低消費電力化も可能となる。
【0102】
また、本発明を適用した発光装置は高輝度の発光が可能であるため、自動車、自転車、船などのヘッドライトとして用いることが可能である。図16は、本発明を適用した発光装置を自動車のヘッドライトとして用いた例である。図16(B)は図16(A)のヘッドライト1000の部分を拡大した断面図である。図16(B)において、光源1011として本発明の発光装置が用いられている。光源1011から出た光は、反射板1012により反射され、外部へ取り出される。図16(B)に示すように、複数の光源を用いることで、より高輝度の光を得ることができる。また、図16(C)は、円筒形状に作製した本発明の発光装置を光源として用いた例である。光源1021からの発光は反射板1022により反射され、外部へ取り出される。
【0103】
図17は、本発明を適用した発光装置を、照明装置である電気スタンドとして用いた例である。図17に示す電気スタンドは、筐体2001と、光源2002を有し、光源2002として、本発明の発光装置が用いられている。本発明の発光装置は、高輝度の発光が可能であるため、細かい作業をする場合など、手元を明るく照らすことが可能である。
【0104】
図11は、本発明を適用した発光装置を、室内の照明装置3001として用いた例である。本発明の発光装置は大面積化が可能であるため、大面積の照明装置として用いることができる。また、本発明の発光装置は、薄型で低消費電力であるため、薄型化、低消費電力化の照明装置として用いることが可能となる。このように、本発明を適用した発光装置を、室内の照明装置3001として用いた部屋に、図14(A)で説明したような、本発明に係るテレビ装置を設置して公共放送や映画を鑑賞することができる。このような場合、両装置は低消費電力であるので、電気料金を心配せずに、明るい部屋で迫力のある映像を鑑賞することができる。
【0105】
照明装置としては、図11、図15、図16、図17で例示したものに限られず、住宅や公共施設の照明をはじめ、様々な形態の照明装置として応用することができる。このような場合において、本発明に係る照明装置は、発光媒体が薄膜状であるので、デザインの自由度が高いので、様々な意匠を凝らした商品を市場に提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0106】
【図1】本発明の発光材料の製造方法を説明する図。
【図2】本発明の発光材料の製造方法を説明する図。
【図3】本発明の発光材料の製造方法を説明する図。
【図4】本発明の発光素子を説明する図。
【図5】本発明の発光素子を説明する図。
【図6】本発明の発光素子を説明する図。
【図7】本発明の発光装置を説明する図。
【図8】本発明の発光装置を説明する図。
【図9】本発明の発光装置を説明する図。
【図10】本発明の発光装置を説明する図。
【図11】本発明の照明装置を説明する図。
【図12】本発明の発光装置を説明する図。
【図13】本発明の電子機器を説明する図。
【図14】本発明の照明装置を説明する図。
【図15】本発明の照明装置を説明する図。
【図16】本発明の照明装置を説明する図。
【図17】本発明の照明装置を説明する図。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
反応管内に、第1の坩堝に充填された母体材料と、第2の坩堝に充填された発光中心材料を配設し、
前記反応管内を減圧状態に保った状態で密閉封止し、
該密閉封止した反応管内で前記発光中心材料を蒸発させつつ、前記母体材料を焼成し、前記母体材料に前記発光中心元素を添加することを特徴とする発光材料の作製方法。
【請求項2】
両端が開管されている反応管内に、第1の坩堝に充填された母体材料と、第2の坩堝に充填された発光中心材料を配設し、
前記反応管の前記第2の坩堝側より気体を導入し前記第1の坩堝側より前記気体を排気しながら、該反応管内で前記発光中心材料を蒸発させつつ、前記母体材料を焼成し、前記母体材料に前記発光中心元素を添加することを特徴とする発光材料の作製方法。
【請求項3】
一端が開管されている反応管内に、開管側より第1の坩堝に充填された母体材料と、第2の坩堝に充填された発光中心材料を配設し、
前記開管側より前記反応管内を排気しながら、該反応管内で前記発光中心材料を蒸発させつつ、前記母体材料を焼成し、前記母体材料に前記発光中心元素を添加することを特徴とする発光材料の作製方法。
【請求項4】
請求項2又は請求項3において、前記気体は窒素、又はアルゴンを用いることを特徴とする発光材料の作製方法。
【請求項5】
請求項2乃至4のいずれか一項において、前記気体に硫化性ガスを混合することを特徴とする発光材料の作製方法。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか一項において、前記第1の坩堝よりも第2の坩堝の方を高温にした状態で焼成することを特徴とする発光材料の作製方法。
【請求項1】
反応管内に、第1の坩堝に充填された母体材料と、第2の坩堝に充填された発光中心材料を配設し、
前記反応管内を減圧状態に保った状態で密閉封止し、
該密閉封止した反応管内で前記発光中心材料を蒸発させつつ、前記母体材料を焼成し、前記母体材料に前記発光中心元素を添加することを特徴とする発光材料の作製方法。
【請求項2】
両端が開管されている反応管内に、第1の坩堝に充填された母体材料と、第2の坩堝に充填された発光中心材料を配設し、
前記反応管の前記第2の坩堝側より気体を導入し前記第1の坩堝側より前記気体を排気しながら、該反応管内で前記発光中心材料を蒸発させつつ、前記母体材料を焼成し、前記母体材料に前記発光中心元素を添加することを特徴とする発光材料の作製方法。
【請求項3】
一端が開管されている反応管内に、開管側より第1の坩堝に充填された母体材料と、第2の坩堝に充填された発光中心材料を配設し、
前記開管側より前記反応管内を排気しながら、該反応管内で前記発光中心材料を蒸発させつつ、前記母体材料を焼成し、前記母体材料に前記発光中心元素を添加することを特徴とする発光材料の作製方法。
【請求項4】
請求項2又は請求項3において、前記気体は窒素、又はアルゴンを用いることを特徴とする発光材料の作製方法。
【請求項5】
請求項2乃至4のいずれか一項において、前記気体に硫化性ガスを混合することを特徴とする発光材料の作製方法。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか一項において、前記第1の坩堝よりも第2の坩堝の方を高温にした状態で焼成することを特徴とする発光材料の作製方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2007−321112(P2007−321112A)
【公開日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−155455(P2006−155455)
【出願日】平成18年6月2日(2006.6.2)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年6月2日(2006.6.2)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】
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