説明

発光標識装置

【課題】既存の標識板に対して後付けするだけで、派手な発光状態をつくって遠方からでも目に付き易くなり、自動車の進入禁止や停止を遠方からでもドライバーに知らすことができる発光標識装置を提供する。
【解決手段】標識板2の標識表示6に一致する形状に形成され、発光色の異なる複数の超高輝度薄型チップのLED素子10が設けられた発光標識体3を、標識板2の前面に着脱自在に取付け、前記各LED素子10と電気的に接続した電源機構4を標識板2の背面側に取付け、各LED素子10を標識形状に点滅点灯させることにより、遠方からでもドライバーに標識板2の標識表示6を確実に視認させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、高速道路の料金所などにおいて、閉鎖されたゲートに自動車が進入しないように表示するために用いる発光標識装置に関する。
【背景技術】
【0002】
高速道路の料金所などにおいて、複数あるゲートの内の幾つかを閉鎖したり、ETC装置の修理点検や故障が生じたような場合のゲートの閉鎖時には、ゲート上部の表示装置に閉鎖の文字を表示して、自動車が当該ゲートに進入しないように表示すると共に、ゲートの入口部分に進入禁止の表示を施した標識板を配置し、閉鎖されたゲートに自動車が進入することのないようにしている。
【0003】
従来、上記の標識板は、一般の道路標識と同様に、金属板を用いた円板状でその前面を赤色等に着色し、この標識板の前面に光反射シートやペイントによって×印のような進入禁止の標識表示を施し、前記標識板の背面に、構造物への取付け部材を設けた構造になっている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来の標識板は、前面に進入禁止の標識表示を光反射シートやペイントによって施した構造になっているため、進入禁止の標識表示が特に目立つものではなく、標識板が夜間や暗所にある場合、自動車からの視認が困難となり、自動車がゲートの入口に近づくまでわからないことがあり、標識板の機能を十分に生かすことができないという問題がある。
【0005】
そこでこの発明の課題は、既存の標識板に対して後付けするだけで、派手な発光状態をつくって遠方からでも目に付き易くなり、自動車の進入禁止や停止を一目で運転者に知らすことができる発光標識装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記のような課題を解決するために、この発明は、標識板に施した標識表示に合うような形状に形成され、発光色の異なる複数の超高輝度薄型チップのLED素子が設けられ、前記標識板の前面側に着脱自在に取付ける発光標識体と、前記発光標識体の各LED素子と電気的に接続された状態で前記標識板の背面側に着脱自在に取付けられ、各LED素子に対して通電する電源機構からなり、この電源機構がLED素子への通電を確認する表示灯を備えている構成を採用したのである。
【0007】
上記発光標識体がクロス形状で、円板状に形成された標識板の外周輪郭内に納まる長さに形成され、この発光標識体の各端部と標識板の外周縁部に対となる取付け金具を設け、この取付け金具で発光標識体を標識板に対して着脱自在に取付けるようにした構造にすることができる。
【0008】
ここで、既存の標識板は、金属板を用いて円板状に形成され、その前面を赤色等に着色し、この標識板の前面に光反射シートやペイントによってクロス形状のような進入禁止の標識表示を施し、前記標識板本体の背面側に、構造物への取付け部材を設けた構造になっている。
【0009】
上記発光標識体は、標識板に施した進入禁止の標識表示に一致するクロス形状に形成した前面開放状のケース部材と、このケース部材の内部に納まるクロス形状となり、長さ方向に所定の間隔で超高輝度薄型チップのLED素子を取付けた帯状のプリント基板と、前記プリント基板の前面に重なる状態でケース部材の前面開口内に嵌まるクロス形状となり、LED素子と対応する位置に窓孔を設けた蓋板とで形成され、各LED素子は電気的に接続され、発光標識体の一つの端部から引き出したリード線で電源機構と接続されている。
【0010】
また、プリント基板は、LED素子の発光色の種類数に等しい配線とアース配線及び点滅回路を有し、同色のLED素子は共通の配線に接続され、このプリント基板とリード線で接続した電源機構は、ボックス内に、電池を用いた電源と、電源からLED素子への通電をオン、オフするスイッチを収納し、スイッチのオン状態で、発光色の異なるLED素子を交互に点滅させるようになっている。
【0011】
この電源機構は、標識板の背面側に設けた構造物への取付け部材に対して着脱自在に取付け、このボックスにスイッチをオンしたLED素子への通電時に点灯し、LED素子が作動していることを標識板の背面側から目視確認できるようにする通電表示灯と、電源寿命表示灯が外部から見えるように取付けられている。
【0012】
上記発光標識体は、電源機構のスイッチをオンすると、点滅回路によって各LED素子が点滅するが、LED素子は発光色の異なる配置になり、しかも、発光色の異なるものが交互に点滅することで、単色の点滅に比べて派手な発光状態をつくることができ、標識表示が遠くからでも目に付きやすくなる。
【0013】
また、上記発光標識体の各端部を標識板に取付ける取付け金具は、標識板の外周部にねじの締付けで取外し自在に固定するフック部材と、上記発光標識体の端部に取付けられ、前記フック部材に対して係脱する係止部材からなる一対のバックル金具を用い、既存の標識板に対して発光標識体を、工具なしで後付けできると共に、不要時には取外しができるようにしている。
【発明の効果】
【0014】
この発明によると、発光色の異なる複数の超高輝度薄型チップのLED素子を配置して形成された発光標識体と、各LED素子を点灯させる電源機構を、標識板に対して着脱自在に取付けるようにしたので、発光標識体の標識表示が派手な発光状態をつくることで遠くからでも目に付き易くなり、自動車からの視認が遠方からでも確実に行なえ、暗所や夜間において、ゲートに対する自動車の進入禁止をドライバーに確実に伝えて認識させることができ、閉鎖ゲートへの進入事故を未然に防止することができる。
【0015】
また、発光標識体と電源機構が標識板に対して着脱自在であるので、既存の標識板に取付けて使用することができ、既存の標識板を有効に利用することができ、不使用時には取外すことも可能になる。
【0016】
更に、標識板の背面側に取付ける電源機構にLED素子への通電を確認する表示灯を設けることにより、LED素子への通電状態を標識板の背面側から目視で知ることができ、ゲートの係員はゲートの入口に取付けた標識板の前にまわらなくても発光標識体の作動を確認できるので、作業の簡略化が図れるだけでなく、発光標識体の作動忘れの発生を防ぐことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、この発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0018】
図1乃至図3のように、発光標識装置1は、標識板2の前面側に対して着脱自在に取付ける発光標識体3と、前記標識板2の背面側に着脱自在に取付けられる電源機構4からなり、発光標識体3は一対の取付け金具5、5aで前記標識板2に取付けられ、この発光標識体3と電源機構4は電気的に接続され、前記電源機構4によって発光標識体3を点滅点灯させるようになっている。
【0019】
上記標識板2は、例えば、高速道路の料金所などにおいて、複数あるゲートの内の幾つかを閉鎖したり、ETC装置の修理点検や故障が生じたような場合のゲートの閉鎖時に、ゲートの入口部分に配置し、閉鎖されたゲートに自動車が進入しないように使用するものであり、円形の金属板を用いて形成され、その表面に赤色等の着色を施すと共に、光反射シートやペイントによってクロス形状の自動車進入禁止の標識表示6を設け、前記標識板2の背面側で上下の位置に、図3のように、構造物への取付け部材となる溝形材7を固定した構造になっている。
【0020】
上記発光標識体3は、標識板2の外周輪郭内に納まる長さを有し、図2(b)のように、標識板2に施した進入禁止の標識表示6に合うクロス形状に形成した裏カバー8と、この裏カバー8の上に重なるクロス形状に形成され、長さ方向に所定の間隔で超高輝度薄型チップのLED素子10を取付けた帯状のプリント基板9と、前記プリント基板9の前面に重なるクロス形状となり、LED素子10と対応する位置に窓孔11を設けた合成樹脂製の押え板12と、この押え板12の前面に重なり、前記窓孔11と一致する窓孔が設けられたクロス形状の反射シート13と、この反射シート13の前面から積層体を覆うように被せて裏カバー8に固定するクロス形状の透明カバー14で形成され、各LED素子10はプリント基板9の配線によって電気的に接続され、プリント基板9の配線は発光標識体3の一つの端部から引き出したリード線15で電源機構4と電気的に接続されている。
【0021】
なお、上記発光標識体3は、垂直配置となる標識板2の前面側に取付けるため、この取付け状態で透明カバー14の周縁における上向きになる部分と下向きになる部分は、図2(b)のように、傾斜面もしくは弧状面として水平面をなくし、周辺に浮遊する塵埃の堆積を防ぐようになっている。
【0022】
上記プリント基板9は、その前面側に発光色の異なる複数の超高輝度薄型チップのLED素子10を配置すると共に点滅回路が組み込まれ、LED素子10の発光色の種類数に等しい配線とアース配線を有し、同色のLED素子10は共通の配線に接続された構造になっている。
【0023】
また、上記電源機構4は、図3のように、ボックス16に、電池を用いた電源(図示省略)と、電源からLED素子10への通電をオン、オフするスイッチ17を収納又は取付けて形成され、スイッチ17のオン状態で、発光色の異なるLED素子10を交互に点滅点灯させるようになっていると共に、前記ボックス16を標識板2の背面側の溝形材7に対してねじ部材18の締め付けで着脱自在に固定するようになっている。
【0024】
上記各超高輝度薄型チップのLED素子10は、例えば、発光色が赤色、青色、白色等の三種類を用い、これが交互の配置となるようプリント基板9に取付け、各LED素子10を押え板12の対応する窓孔11に嵌め込んだ配置になっている。
【0025】
プリント基板9は、例えば、長さ方向に沿ってLED素子10の発光色の種類数に等しい三本の配線とアース配線を有し、同色のLED素子10は共通の配線とアース配線に接続され、このプリント基板9の一端側で配線と接続した電源機構4は、スイッチ17をオン状態にすると、プリント基板9に組み込んだ点滅回路の働きで発光色の異なるLED素子10を交互に順次又はランダムに点滅点灯させるようになっている。
【0026】
なお、LED素子10の発光色の種類は三種類に限定されるものではなく、それ以上の種類にしてもよく、種類が増えれば、一本の配線で二色のLED素子10を同時に点滅させるようにすればよい。
【0027】
この電源機構4のボックス16には、スイッチ17をオンして発光標識体3のLED素子10を点滅させたときに点灯し、発光標識体3が作動していることを標識板2の背面側から目視によって確認できるようにする通電表示灯19と、電源の寿命表示灯20が、外部に露見するように設けられている。
【0028】
上記発光標識体3を標識板2に固定する取付け金具5、5aは、図1と図4、図5にその構造を示している。
【0029】
クロス状に形成された発光標識体3は、二枚の帯板が中央でクロスする形状になっているので、長さ方向に沿って合計四箇所の端部が有り、二枚の帯板の長さ方向の二箇所に位置する一方端部を標識板2に固定する取付け金具5は、図1に示すように、標識板2の外周部にビス止めしたフック金具21と、このフック金具21に係脱するよう発光標識体3の端部に設けた係止環22とからなり、フック金具21に係止環22を引掛けることで、発光標識体3の一方端部を標識板2に固定するようになっている。
【0030】
また、発光標識体3の長さ方向の二箇所に位置する他方端部を標識板2に固定する取付け金具5aは、図4、図5に示すように、周知のバックル金具を用いている。
【0031】
図示の場合、このバックル金具は、標識板2の外周部にねじ23の締付けで取外し自在に固定するフック部材24と、上記発光標識体3の他方端部に設けた延長板25に取付けられ、前記フック部材24に対して係脱する係止部材26からなり、係止部材26は、延長板25に固定したベース部材27に起伏板28の先端を枢止し、起伏板28の後端に両側後端を枢止したコ字状の掛け止め環29にばね30で前後の移動弾性を付勢した構造となり、掛け止め環29をフック部材24に引掛けて起伏板28を標識板2の内側に向けて倒すことでロックとなり、また、図5のように、起伏板28を標識板2の外側に向けて起こすと、掛け止め環29をフック部材24から切離すことができることになる。
【0032】
このような取付け金具5、5aを用いることにより、既存の標識板2に対して発光標識体3を、工具なしで後付けできると共に、不要時には取外しができるようになる。
【0033】
この発明の発光標識装置は、上記のような構成であり、例えば、高速道路の料金所などにおいて、複数あるゲートの内の幾つかを閉鎖したり、ETC装置の修理点検や故障が生じたような場合のゲートの閉鎖時に、ゲートの入口部分に配置し、閉鎖されたゲートに自動車が進入しないように表示する標識板2に取付け、標識板2の標識表示6を遠方からでも確実に認識することができるようにするものである。
【0034】
標識板2の前面に表記した標識表示6と同様の形状に形成された発光標識体3を、標識板2の表面に前記標識表示6と重なるように配置し、発光標識体3の四方の各端部を取付け金具5、5aで標識板2の外周部に固定する。
【0035】
上記取付け金具5、5aによる発光標識体3の取付けは、標識板2の外周部で標識表示6に重ねた発光標識体3の各端部が臨む位置にフック金具21とフック部材24を予め固定しておき、フック金具21に一方端部の係止環22を引掛けた状態で、発光標識体3を標識板2の標識表示6に重ね、発光標識体3の他方端部に取付けた係止部材26をフック部材24に係止することで、発光標識体3を標識板2の前面側に固定する。
【0036】
また、発光標識体3の一つの端部でリード線15を介してLED素子10と電気的に接続した電源機構4は、上記標識板2の背面の溝形材7に対してねじ部材18の締め付けで固定する。
【0037】
このような標識板2をゲートの入口部分に配置した状態で、電源機構4のスイッチ17をオンにすると、発光標識体3に設けた各超高輝度薄型チップのLED素子10が予め設定したパターンの間隔で点滅点灯するが、発光標識体3に並べて取付けた各LED素子10は発光色の異なる配置になり、しかも、発光色の異なる赤色、青色、白色等のものが同時や交互、ランダムに点滅点灯することで、単色の点滅に比べて派手な発光状態をつくることができ、標識板2の標識表示6を光の点滅で表示することにより、暗所や夜間において、ドライバーは遠くからでも目に付きやすくなる。
【0038】
従って、ゲートに対する自動車の進入禁止の標識表示6を、発光標識体3に設けた各LED素子10の派手な点滅点灯によって表示し、暗所や夜間において遠方からでも標識表示6の形状を、ドライバーは確実に視認することができ、これによってゲートへの自動車の進入を防止する目的を確実に達成することができ、暗所や夜間における安全性も向上させることができる。
【0039】
また、標識板2の背面側に取付けた電源機構4に設けたLED素子10への通電表示灯19は、LED素子10への通電状態時に点灯するので、作業員は標識板2の背面側からLED素子10への通電を目視で知ることができ、ゲートの係員はゲートの入口に取付けた標識板2の前にまわらなくても発光標識体3の作動を確認できるので、作業の簡略化が図れるだけでなく、発光標識体3への通電オンの操作忘れ発生を防ぐことができる。
【0040】
なお、発光標識体3は、標識板2の前面に表記した標識表示6と同様の形状に形成されているので、昼間のような明るいときにLED素子10を点灯させない場合でも、ゲートに自動車が進入しないように表示する標識の機能を維持することができる。
【0041】
上記発光標識装置1を使用しないときは、電源機構4のスイッチ17をオフにした状態で、取付け金具5、5aの係合を解いて、発光標識体3と電源機構4を標識板2から取外すようにすればよい。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】この発明に係る発光標識装置とこれを取付ける標識板の分解斜視図
【図2】(a)は発光標識装置を標識板に取付けた状態を示す正面図、(b)は(a)の矢印a−a線での拡大した断面図
【図3】(a)は発光標識装置を取付けた標識板の背面図、(b)は標識板の背面側に対する電源機構の取付け状態を示す斜視図
【図4】(a)は発光標識装置を標識板に固定した取付け金具の拡大した一部切欠き正面図、(b)は(a)の矢印b−b線での断面図、(c)は(a)の矢印c−c線での断面図
【図5】取付け金具と発光標識装置の構造を示し、発光標識装置を標識板に固定する前の状態の斜視図
【符号の説明】
【0043】
1 発光標識装置
2 標識板
3 発光標識体
4 電源機構
5 取付け金具
6 標識表示
7 溝形材
8 裏カバー
9 プリント基板
10 LED素子
11 窓孔
12 押え板
13 反射シート
14 透明カバー
15 リード線
16 ボックス
17 スイッチ
18 ねじ部材
19 通電表示灯
20 電源の寿命表示灯
21 フック金具
22 係止環
23 ねじ
24 フック部材
25 延長板
26 係止部材
27 ベース部材
28 起伏板
29 掛け止め環
30 ばね

【特許請求の範囲】
【請求項1】
標識板に施した標識表示に合うような形状に形成され、発光色の異なる複数の超高輝度薄型チップのLED素子が設けられ、前記標識板の前面側に着脱自在に取付ける発光標識体と、前記発光標識体の各LED素子と電気的に接続された状態で前記標識板の背面側に着脱自在に取付けられ、各LED素子に対して通電する電源機構からなり、この電源機構がLED素子への通電を確認する表示灯を備えている発光標識装置。
【請求項2】
上記発光標識体がクロス形状で、円板状に形成された標識板の外周輪郭内に納まる長さに形成され、この発光標識体の各端部と標識板の外周縁部に対となる取付け金具を設け、この取付け金具で発光標識体を標識板に対して着脱自在に取付けるようにした請求項1に記載の発光標識装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−282382(P2009−282382A)
【公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−135489(P2008−135489)
【出願日】平成20年5月23日(2008.5.23)
【出願人】(507340887)ワイケーイー株式会社 (3)
【出願人】(508154335)西日本高速道路サービス関西株式会社 (2)
【Fターム(参考)】