説明

発光管、光源ランプ、プロジェクタ及び光源ランプの製造方法

【課題】 リフレクタに対して発光管を位置精度よく取り付けることを容易とする発光管を提供する。
【解決手段】 発光物質が封入された管内に一対の電極20,20’が対向して配置された管球部12と、一対の電極のそれぞれに電気的に接続された一対の金属箔22,22’と、管球部から延在し、一対の金属箔のそれぞれを封止する一対の封止部14,14’と、一対の金属箔における一対の電極が接続される側とは反対側にそれぞれ電気的に接続された一対のリード線24,24’とを有する発光管112において、一対のリード線は、封止部から露出する領域(領域R〜R)のうち少なくとも一部の領域(領域R)で非円形の断面形状を有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光管、光源ランプ、プロジェクタ及び光源ランプの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
図10は、従来の発光管1112を説明するために示す図である。図10(a)は発光管1112の断面図であり、図10(b)は発光管1112が取り付けられた光源ランプ1110の断面図である。
【0003】
従来の発光管1112は、図10(a)に示すように、発光物質が封入された管内に一対の電極1020,1020’が対向して配置された管球部1012と、一対の電極1020,1020’のそれぞれに電気的に接続された一対の金属箔1022,1022’と、管球部1012から延在し、一対の金属箔1022,1022’のそれぞれを封止する一対の封止部1014,1014’と、一対の金属箔1022,1022’における一対の電極1020,1020’が接続される側とは反対側にそれぞれ電気的に接続された一対のリード線1024,1024’とを有している(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
また、従来の光源ランプ1110は、図10(b)に示すように、上記のような発光管1112と、発光管1112からの光を被照明領域側に向けて反射するリフレクタ1114とを組み立てることによって製造されている。このようにして製造された従来の光源ランプ1110は、例えばプロジェクタ用の光源ランプとして好適に用いられている(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
【特許文献1】特開2001−345069号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、近年、プロジェクタが高輝度化されるのに伴って、発光管としても高輝度の発光管が製造されるようになってきている。しかしながら、このように高輝度の発光管を用いたとしても、リフレクタに対して発光管を位置精度よく取り付けることができなければ、光利用効率が低下し、プロジェクタの高輝度化を図ることができない。
【0007】
そこで、本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、リフレクタに対して発光管を位置精度よく取り付けることを容易とする発光管を提供することを目的とする。また、このような発光管を有することによりプロジェクタの高輝度化を図ることができる光源ランプ及びその製造方法を提供することを目的とする。また、このような光源ランプを有する高輝度のプロジェクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の発明者は、リフレクタに対して発光管を位置精度よく取り付けることを容易とする発光管につき鋭意研究を重ねた結果、発光管におけるリード線の断面形状を非円形にするという極めて簡単な方法で本発明の目的を達成できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0009】
すなわち、本発明の発光管は、発光物質が封入された管内に一対の電極が対向して配置された管球部と、前記一対の電極のそれぞれに電気的に接続された一対の金属箔と、前記管球部から延在し、前記一対の金属箔のそれぞれを封止する一対の封止部と、前記一対の金属箔における前記一対の電極が接続される側とは反対側にそれぞれ電気的に接続された一対のリード線とを有する発光管において、前記一対のリード線は、前記封止部から露出する領域のうち少なくとも一部の領域で非円形の断面形状を有することを特徴とする。
【0010】
一般にリフレクタと発光管とを組み立てる際には、発光管における各リード線の少なくとも一部の領域をチャック部材によって保持している。その際、リード線が円形の断面形状を有していると、発光管に望ましくない外力が加わった場合には、発光管が回転してしまうため、リフレクタに対して発光管を位置精度よく取り付けることが困難となる。
【0011】
例えば、発光管に対するリフレクタの位置合わせを行った後でリフレクタの開口部に無機接着剤を充填する過程で、無機接着剤充填用の注射針が発光管やリード線に触れてしまった場合には、チャック部材の保持部でリード線の回転を抑制することができず、発光管が回転してしまうこととなる。このため、リフレクタに対して発光管を位置精度よく取り付けることが困難となるのである。
【0012】
これに対して、本発明の発光管によれば、上記のように、各リード線は、封止部から露出する領域のうち少なくとも一部の領域で非円形の断面形状を有しているため、発光管に望ましくない外力が加わったとしても、チャック部材の保持部においてリード線の回転、ひいては発光管の回転を抑制することが可能になる。このため、リフレクタに対して発光管を位置精度よく取り付けることが容易となる。
【0013】
本発明の発光管においては、前記一対のリード線は、前記少なくとも一部の領域で、前記リード線の長手方向に垂直な複数の方向から前記リード線をプレスすることによって形成された非円形の断面形状を有することが好ましい。
【0014】
本発明の発光管においては、全体にわたって非円形の断面形状を有するリード線を用いて製造された発光管を用いることにより、チャック部材の保持部においてリード線の回転を抑制することも可能である。
【0015】
しかしながら、上記したように、リード線の長手方向に垂直な複数の方向からリード線の少なくとも一部の領域をプレスすることによって、リード線の少なくとも一部の領域を非円形の断面形状とすることも可能である。このようにすれば、一般に市販されている発光管をそのまま用い、そのリード線の少なくとも一部の領域をプレスするという簡単な方法で、チャック部材の保持部においてリード線の回転を抑制することが可能になる。
【0016】
なお、チャック部材がリード線を保持する部分は、リード線の少なくとも一部の領域であるから、その部分を含む所定の領域をプレスすることにより、チャック部材の保持部においてリード線の回転を抑制することが十分に可能になる。
【0017】
この場合において、非円形の断面形状としては、長円形の断面形状、略三角形の断面形状又は略四角形の断面形状とすることができる。
【0018】
なお、リード線をプレスするためのプレス手段としては、エアプレスやハンドプレスなどの公知のプレス手段を用いることができる。
【0019】
本発明の光源ランプは、本発明の発光管と、前記発光管からの光を被照明領域側に向けて反射するリフレクタとを有することを特徴とする。
【0020】
このため、本発明の光源ランプによれば、上記した発光管を有することによりプロジェクタの高輝度化を図ることができる光源ランプとなる。
【0021】
本発明のプロジェクタは、本発明の光源ランプと、前記光源ランプからの光を画像情報に応じて変調する電気光学変調装置と、前記電気光学変調装置で変調された光を投写する投写光学系とを有することを特徴とする。
【0022】
このため、本発明のプロジェクタによれば、上記した光源ランプを有する高輝度のプロジェクタとなる。
【0023】
本発明の光源ランプの製造方法は、発光物質が封入された管内に一対の電極が対向して配置された管球部と、前記一対の電極のそれぞれに電気的に接続された一対の金属箔と、前記管球部から延在し、前記一対の金属箔のそれぞれを封止する一対の封止部と、前記一対の金属箔における前記一対の電極が接続される側とは反対側にそれぞれ電気的に接続された一対のリード線とを有する発光管を準備する工程と、前記リード線における前記封止部から露出する領域のうち少なくとも一部の領域で、前記リード線の長手方向に垂直な複数の方向から前記リード線をプレスすることによって前記少なくとも一部の領域で前記リード線の断面形状を非円形化する工程と、リフレクタの開口部に前記発光管の封止部を挿入した後、前記発光管の各リード線における前記少なくとも一部の領域をチャック部材によってそれぞれ保持する工程と、前記発光管に対して相対的に前記リフレクタを回転させながら前記発光管に対する前記リフレクタの位置合わせを行う工程と、前記発光管と前記リフレクタとを無機接着剤を用いて固化する工程とをこの順序で含むことを特徴とする。
【0024】
本発明の光源ランプの製造方法によれば、上記のように、リード線における封止部から露出する領域のうち少なくとも一部の領域で、リード線の長手方向に垂直な複数の方向からリード線をプレスすることによって少なくとも一部の領域でリード線の断面形状を非円形化する工程を有しているため、リード線の断面形状を少なくとも一部の領域で非円形の断面形状とすることができる。このため、発光管に望ましくない外力が加わったとしても、チャック部材の保持部においてリード線の回転、ひいては発光管の回転を抑制することができる。その結果、リフレクタに対して発光管を位置精度よく取り付けることが容易となり、プロジェクタの高輝度化を図ることができる光源ランプを製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の発光管、光源ランプ、プロジェクタ及び光源ランプの製造方法について、図に示す実施の形態に基づいて説明する。
【0026】
〔実施形態1〕
まず、実施形態1に係る発光管及び光源ランプについて、図1及び図2を用いて説明する。
図1は、実施形態1に係る発光管112を説明するために示す図である。図1(a)は発光管112を上面から見た断面図であり、図1(b)は図1(a)の領域Rにおいてリード線24,24’を径方向に切断したときの断面図であり、図1(c)は図1(a)の領域Rにおいてリード線24,24’を径方向に切断したときの断面図であり、図1(d)は図1(a)の領域Rにおいてリード線24,24’を径方向に切断したときの断面図である。図2は、実施形態1に係る光源ランプ110を上面から見た断面図である。
【0027】
実施形態1に係る発光管112は、図1(a)に示すように、発光物質が封入された管内に一対の電極20,20’が対向して配置された管球部12と、一対の電極20,20’のそれぞれに電気的に接続された一対の金属箔22,22’と、管球部12から延在し、一対の金属箔22,22’のそれぞれを封止する一対の封止部14,14’と、一対の金属箔22,22’における一対の電極20,20’が接続される側とは反対側にそれぞれ電気的に接続された一対のリード線24,24’とを有している。
【0028】
実施形態1に係る発光管112において、発光管112の構成要素の条件等を例示的に示すと、管球部12及び封止部14,14’は、例えば石英ガラス製であり、管球部12内には、水銀、希ガス及び少量のハロゲンが封入されている。電極20,20’は、例えばタングステン電極であり、金属箔22,22’は、例えばモリブデン箔である。リード線24,24’は、例えばモリブデン又はタングステンから構成されている。
【0029】
ここで、発光管112としては、高輝度発光する種々の発光管を採用でき、例えばメタルハライドランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ等を採用できる。
【0030】
リード線24,24’は、図1(a)に示す領域R〜Rにおいて、それぞれ異なる断面形状を有している。すなわち、領域R,Rにおいては、図1(b)及び図1(d)に示すように、リード線24,24’の断面形状は円形であるのに対し、領域Rにおいては、図1(c)に示すように、リード線24,24’の断面形状は略四角形である。
【0031】
実施形態1に係る光源ランプ110は、図2に示すように、発光管112と、発光管112からの光を被照明領域側に向けて反射するリフレクタ114とを有している。リフレクタ114としては、回転楕円面からなる反射凹面を有する楕円面リフレクタを用いている。リフレクタ114の底部側には、発光管112の一方の封止部14を挿通するための開口部115が設けられている。
【0032】
次に、実施形態1に係る光源ランプの製造方法について、図3〜図5を用いて説明する。
図3〜図5は、実施形態1に係る光源ランプの製造方法を説明するために示す図である。図3(a)〜図3(c)は実施形態1に係る光源ランプの製造方法における各工程を説明するために示す図である。図4(a)はチャック装置50の平面図であり、図4(b)及び図4(c)は実施形態1に係る光源ランプの製造方法におけるリード線24を保持する様子を示す図である。図5(a)及び図5(b)は比較例に係る光源ランプの製造方法におけるリード線24aを保持する様子を示す図である。なお、図4及び図5においては、説明を省略するために一方のチャック装置50のみを図示しているが、他方のチャック装置60についても同様の構成を有している。
【0033】
実施形態1に係る光源ランプの製造方法は、実施形態1に係る発光管110を用いて上記の光源ランプ110を製造するための製造方法である。実施形態1に係る光源ランプの製造方法は、次の「1.発光管準備工程」〜「5.接着・固化工程」の工程を含んでいる。これら各工程について、以下に詳細に説明する。
【0034】
1.発光管準備工程
上記した発光管112を準備する(図3(a)参照。)。ただし、この工程時における発光管112のリード線24,24’は、領域R〜Rの全体にわたって円形の断面形状を有している。
【0035】
2.リード線非円形化工程
発光管112のリード線24,24’における領域R〜Rのうち領域Rについて、リード線24,24’の長手方向に垂直な4方向からリード線24,24’をプレスすることにより、領域Rにおけるリード線24,24’の断面形状を略四角形(図1(c)参照。)とする。
なお、リード線24,24’をプレスするためのプレス手段としては、エアプレスやハンドプレスなどの公知のプレス手段を用いることができる。
【0036】
3.チャック部材保持工程
リフレクタ114の開口部115に発光管112の封止部14を挿入する。そして、発光管112の各リード線24,24’における領域Rをチャック装置50,60によってそれぞれ保持する(図3(b)及び図4参照。)。
チャック装置50は、図4(a)〜図4(c)に示すように、2つのチャック部材52,54からなり、これらチャック部材52,54によって保持部56が形成され、この保持部56においてリード線24が保持される。
【0037】
4.位置調整工程
チャック装置50,60によって動かないように保持された発光管112に対して、相対的にリフレクタ114を回転させながら発光管112に対するリフレクタ114の位置合わせを行う。
【0038】
5.接着・固化工程
発光管112に対するリフレクタ114の位置合わせが終了したら、無機接着剤充填用の無機接着剤注入装置70を用いて、セメントなどの無機接着剤Cをリフレクタ114の開口部115に充填する(図3(c)参照。)。そして、充填した無機接着剤Cを固化させて、発光管112の封止部14にリフレクタ114を完全に固着させる。
【0039】
以上の工程により、図2に示した光源ランプ110を製造することができる。
【0040】
実施形態1に係る光源ランプの製造方法においては、上記「2.リード線非円形化工程」を有することを特徴としている。ここで、実施形態1に係る光源ランプの製造方法と比較例に係る光源ランプの製造方法とを比較することにより、実施形態1に係る光源ランプの製造方法の効果を説明する。
なお、比較例に係る光源ランプの製造方法は、上記「2.リード線非円形化工程」を有していないという点で実施形態1に係る光源ランプの製造方法と異なっている。
【0041】
一般にリフレクタと発光管とを組み立てる際には、発光管における各リード線の少なくとも一部の領域をチャック部材によって保持している。その際、比較例に係る光源ランプの製造方法によれば、図5(a)及び図5(b)に示すように、リード線24aが円形の断面形状を有しているため、発光管112a(図示せず。)に望ましくない外力が加わった場合、例えば、上記「5.接着・固化工程」において無機接着剤注入装置70の注射針が発光管112aやリード線24aに触れてしまった場合には、チャック装置50の保持部56でリード線24aの回転を抑制することができず、発光管112aが回転してしまうこととなる。このため、リフレクタ114a(図示せず。)に対して発光管112aを位置精度よく取り付けることが困難となる。
【0042】
これに対して、実施形態1に係る光源ランプの製造方法によれば、上記「2.リード線非円形化工程」を有しているため、リード線24の断面形状を少なくとも一部の領域(領域R)で略四角形の断面形状とすることができる。このため、図3(b)及び図3(c)に示すように、発光管112に望ましくない外力が加わったとしても、チャック装置50の保持部56においてリード線24の回転、ひいては発光管112の回転を抑制することができる。その結果、リフレクタ114に対して発光管112を位置精度よく取り付けることが容易となり、プロジェクタの高輝度化を図ることができる光源ランプ110を製造することができる。
【0043】
このように、実施形態1に係る発光管112によれば、、一対のリード線24,24’は、封止部14,14’から露出する領域(領域R〜R)のうち少なくとも一部の領域(領域R)で略四角形の断面形状を有しているため、発光管112に望ましくない外力が加わったとしても、チャック装置50,60の保持部56,66(保持部56のみ図3に図示。)においてリード線24,24’の回転、ひいては発光管112の回転を抑制することが可能になる。このため、リフレクタ114に対して発光管112を位置精度よく取り付けることが容易となる。
【0044】
実施形態1に係る発光管112によれば、一対のリード線24,24’は、少なくとも一部の領域(領域R)で、リード線24,24’の長手方向に垂直な4方向からリード線24,24’をプレスすることによって形成された略四角形の断面形状を有しているため、一般に市販されている発光管をそのまま用い、そのリード線の少なくとも一部の領域をプレスするという簡単な方法で、チャック装置50,60の保持部56,66においてリード線24,24’の回転を抑制することが可能になる。
【0045】
また、実施形態1に係る光源ランプ110よれば、上記の発光管112と、発光管112からの光を被照明領域側に向けて反射するリフレクタ114とを有しているため、プロジェクタの高輝度化を図ることができる光源ランプとなる。
【0046】
次に、実施形態1の変形例に係る発光管について、図6及び図7を用いて説明する。
図6は、実施形態1の変形例1に係る発光管112Aを説明するために示す図である。図6(a)は発光管112Aのリード線24Aを径方向に切断したときの断面図であり、図6(b)はチャック装置50Aによってリード線24Aを保持する様子を示す図である。図7は、実施形態1の変形例2に係る発光管112Bを説明するために示す図である。図7(a)は発光管112Bのリード線24Bを径方向に切断したときの断面図であり、図7(b)はチャック装置50Bによってリード線24Bを保持する様子を示す図である。
なお、ここでは図示を省略したが、図6(a)及び図7(a)に示すリード線24A,24Bの断面図は、実施形態1の場合と同様に、領域R〜Rのうち領域Rにおけるリード線24A,24Bの断面図である。
【0047】
変形例1に係る発光管112A(図示せず。)は、図6(a)に示すように、リード線24A,24A’(リード線24Aのみ図示。)の領域Rにおいて長円形の断面形状を有している。
また、変形例2に係る発光管112B(図示せず。)は、図7(a)に示すように、リード線24B,24B’(リード線24Bのみ図示。)の領域Rにおいて略三角形の断面形状を有している。
【0048】
このように、変形例1及び2に係る発光管112A,112Bは、実施形態1に係る発光管112とはリード線の断面形状が異なるが、非円形の断面形状を有するという点で実施形態1に係る発光管112と共通である。
このため、変形例1及び2に係る発光管112A,112Bにおいても、実施形態1に係る発光管112の場合と同様に、発光管112A,112Bに望ましくない外力が加わったとしても、チャック装置50A,50Bの保持部においてリード線24A,24Bの回転、ひいては発光管112A,112Bの回転を抑制することが可能になる。このため、リフレクタ114(図示せず。)に対して発光管112A,112Bを位置精度よく取り付けることが容易となる。
【0049】
なお、変形例1に係る発光管112Aにおいて、リード線24A,24A’の少なくとも一部の領域で長円形の断面形状を形成するためには、リード線24A,24A’の長手方向に垂直な2方向からリード線24A,24A’をプレスすればよい。
また、変形例2に係る発光管112Bにおいて、リード線24B,24B’の少なくとも一部の領域で略三角形の断面形状を形成するためには、リード線24B,24B’の長手方向に垂直な3方向からリード線24B,24B’をプレスすればよい。
【0050】
次に、実施形態1に係るプロジェクタについて、図8を用いて説明する。図8は、実施形態1に係るプロジェクタ700の光学系を上面から見た図である。
なお、以下の説明においては、互いに直交する3つの方向をそれぞれz軸方向(図8における照明光軸100ax方向)、x軸方向(図8における紙面に平行かつz軸に直交する方向)及びy軸方向(図8における紙面に垂直かつz軸に直交する方向)とする。
【0051】
実施形態1に係るプロジェクタ700は、図8に示すように、照明装置100と、照明装置100からの光を画像情報に応じて変調する電気光学変調装置としての液晶装置400R,400G,400Bと、液晶装置400R,400G,400Bで変調された光を投写する投写光学系600とを有するプロジェクタである。
【0052】
照明装置100は、上記した光源ランプ110と、光源ランプ110からの集束光を略平行な光に変換する凹レンズ118と、凹レンズ118(光源ランプ110)からの光の強度分布を均一にするための第1レンズアレイ120及び第2レンズアレイ130と、第2レンズアレイ130からの偏光方向の揃っていない光を略1種類の直線偏光に揃える偏光変換素子140と、偏光変換素子140からの光を被照明領域上で重畳する重畳レンズ150とを有している。
【0053】
照明装置100と液晶装置400R,400G,400Bとの間には、照明装置100からの光を赤色光、緑色光及び青色光に分離して3つの液晶装置400R,400G,400Bに導くための色分離導光光学系200が設けられている。この色分離導光光学系200は、2つのダイクロイックミラー210,220と、反射ミラー230,240,250と、入射側レンズ270と、リレーレンズ280とを有している。各液晶装置400R,400G,400Bの光入射側には、フィールドレンズ260R,260G,260Bがそれぞれ配置されている。
【0054】
液晶装置400R,400G,400Bにおいて変調された各色光は、クロスダイクロイックプリズム500で合成される。クロスダイクロイックプリズム500において合成された合成光は、投写光学系600に向かって射出される。
【0055】
投写光学系600は、クロスダイクロイックプリズム500からの合成光を表示画像としてスクリーンSCR等の投写面に投写するように構成されている。
【0056】
このように、実施形態1に係るプロジェクタ700は、上記した光源ランプ110を有するプロジェクタであるため、高輝度のプロジェクタとなる。
【0057】
〔実施形態2〕
図9は、実施形態2に係る発光管112C及び光源ランプ110Cを説明するために示す図である。図9(a)は発光管112Cを上面から見た断面図であり、図9(b)は光源ランプ110Cを上面から見た断面図である。なお、図9において、図1(a)及び図2と同一の部材については同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0058】
実施形態2に係る発光管112Cは、基本的には実施形態1に係る発光管112とよく似た構成を有しているが、図9(a)に示すように、発光管に補助ミラーが設けられている点で、実施形態1に係る発光管112の場合とは異なっている。すなわち、実施形態2に係る発光管112Cにおいては、発光管112Cには、管球部12から被照明領域側(封止部14’側)に射出される光を管球部12に向けて反射する補助ミラー30が設けられている。補助ミラー30は無機接着剤Cを介して発光管112Cの封止部14’に固着されている。
【0059】
このように、実施形態2に係る発光管112Cは、実施形態1に係る発光管112とは、発光管に補助ミラーが設けられている点で異なるが、この他の点では、実施形態1に係る発光管と同様の構成を有するため、実施形態1に係る発光管112の場合と同様の効果を有する。
【0060】
これにより、実施形態2に係る光源ランプ110Cにおいても実施形態1に係る光源ランプ110の場合と同様に、プロジェクタの高輝度化を図ることができる光源ランプとなる。
【0061】
以上、本発明の発光管、光源ランプ、プロジェクタ及び光源ランプの製造方法を上記の各実施形態に基づいて説明したが、本発明は上記の各実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
【0062】
上記実施形態1に係る光源ランプの製造方法は、リード線の断面形状を非円形化する工程において、リード線における領域R〜Rのうち領域Rについてのみ、略四角形の断面形状を形成する場合を例示して説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、領域Rに代えて、領域Rにおいて略四角形の断面形状を形成し、領域Rをチャック部材によって保持してもよいし、封止部から露出するリード線のすべての部分において略四角形の断面形状を形成し、リード線のいずれの部分においてもチャック部材によって保持することが可能な構成としてもよい。
【0063】
また、上記実施形態1に係る発光管112並びに変形例1及び2に係る発光管112A,112Bでは、リード線が、略四角形、長円形及び略三角形の断面形状を有する場合を説明したが、これらは「非円形の断面形状」としての例示であり、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、発光管に望ましくない外力が加わった場合であっても、チャック部材の保持部でリード線の回転を抑制することができるような断面形状を有していればよい。
【0064】
また、上記各実施形態の光源ランプ110,110Cは、リフレクタ114として、楕円面リフレクタを用いているが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば放物面リフレクタを用いてもよい。
【0065】
また、上記実施形態1においては、本発明の光源ランプ110をプロジェクタ700に搭載していたが、本発明はこれに限られるものではなく、本発明の光源ランプを他の光学機器に搭載してもよい。
【0066】
また、上記実施形態1に係るプロジェクタ700において、3つの液晶装置400R,400G,400Bを用いたプロジェクタを例示して説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、1つ、2つ又は4つ以上の液晶装置を用いたプロジェクタにも適用可能である。
【0067】
また、上記実施形態1に係るプロジェクタ700は、電気光学変調装置として液晶装置を用いているが、本発明はこれに限定されるものではない。電気光学変調装置としては、一般に、画像情報に応じて入射光を変調するものであればよく、マイクロミラー型光変調装置などを利用してもよい。マイクロミラー型光変調装置としては、例えば、DMD(デジタルマイクロミラーデバイス)(TI社の商標)を用いることができる。
【0068】
また、本発明は、投写画像を観察する側から投写するフロント投写型プロジェクタに適用する場合にも、投写画像を観察する側とは反対の側から投写するリア投写型プロジェクタに適用する場合にも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】実施形態1に係る発光管112を説明するために示す図。
【図2】実施形態1に係る光源ランプ110を上面から見た断面図。
【図3】実施形態1に係る光源ランプの製造方法を説明するために示す図。
【図4】実施形態1に係る光源ランプの製造方法を説明するために示す図。
【図5】実施形態1に係る光源ランプの製造方法を説明するために示す図。
【図6】実施形態1の変形例1に係る発光管112Aを説明するために示す図。
【図7】実施形態1の変形例2に係る発光管112Bを説明するために示す図。
【図8】実施形態1に係るプロジェクタ700の光学系を上面から見た図。
【図9】実施形態2に係る発光管112C及び光源ランプ110Cを説明するために示す図。
【図10】従来の発光管1112を説明するために示す図。
【符号の説明】
【0070】
12,1012…管球部、14,14’,1014,1014’…封止部、20,20’,1020,1020’…電極、22,22’,1022,1022’…金属箔、24,24’,24A,24B,24a,1024,1024’…リード線、30…補助ミラー、50,50A,50B,60…チャック装置、52,52A,52B,54,54A,54B…チャック部材、56…保持部、70…無機接着剤注入装置、100…照明装置、100ax…照明光軸、110,110C,1110…光源ランプ、112,112C,1112…発光管、114,1114…リフレクタ、115…開口部、118…凹レンズ、120…第1レンズアレイ、130…第2レンズアレイ、140…偏光変換素子、150…重畳レンズ、200…色分離導光光学系、210,220…ダイクロイックミラー、230,240,250…反射ミラー、260R,260G,260B…フィールドレンズ、270…入射側レンズ、280…リレーレンズ、400R,400G,400B…液晶装置、500…クロスダイクロイックプリズム、600…投写光学系、700…プロジェクタ、C…無機接着剤、SCR…スクリーン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光物質が封入された管内に一対の電極が対向して配置された管球部と、前記一対の電極のそれぞれに電気的に接続された一対の金属箔と、前記管球部から延在し、前記一対の金属箔のそれぞれを封止する一対の封止部と、前記一対の金属箔における前記一対の電極が接続される側とは反対側にそれぞれ電気的に接続された一対のリード線とを有する発光管において、
前記一対のリード線は、前記封止部から露出する領域のうち少なくとも一部の領域で非円形の断面形状を有することを特徴とする発光管。
【請求項2】
請求項1に記載の発光管において、
前記一対のリード線は、前記少なくとも一部の領域で、前記リード線の長手方向に垂直な複数の方向から前記リード線をプレスすることによって形成された非円形の断面形状を有することを特徴とする発光管。
【請求項3】
請求項2に記載の発光管において、
前記一対のリード線は、前記少なくとも一部の領域で、前記リード線の長手方向に垂直な2方向から前記リード線をプレスすることによって形成された長円形の断面形状を有することを特徴とする発光管。
【請求項4】
請求項1に記載の発光管において、
前記一対のリード線は、前記少なくとも一部の領域で、前記リード線の長手方向に垂直な3方向から前記リード線をプレスすることによって形成された略三角形の断面形状を有することを特徴とする発光管。
【請求項5】
請求項1に記載の発光管において、
前記一対のリード線は、前記少なくとも一部の領域で、前記リード線の長手方向に垂直な4方向から前記リード線をプレスすることによって形成された略四角形の断面形状を有することを特徴とする発光管。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の発光管と、
前記発光管からの光を被照明領域側に向けて反射するリフレクタとを有することを特徴とする光源ランプ。
【請求項7】
請求項6に記載の光源ランプと、
前記光源ランプからの光を画像情報に応じて変調する電気光学変調装置と、
前記電気光学変調装置で変調された光を投写する投写光学系とを有することを特徴とするプロジェクタ。
【請求項8】
発光物質が封入された管内に一対の電極が対向して配置された管球部と、前記一対の電極のそれぞれに電気的に接続された一対の金属箔と、前記管球部から延在し、前記一対の金属箔のそれぞれを封止する一対の封止部と、前記一対の金属箔における前記一対の電極が接続される側とは反対側にそれぞれ電気的に接続された一対のリード線とを有する発光管を準備する工程と、
前記リード線における前記封止部から露出する領域のうち少なくとも一部の領域で、前記リード線の長手方向に垂直な複数の方向から前記リード線をプレスすることによって前記少なくとも一部の領域で前記リード線の断面形状を非円形化する工程と、
リフレクタの開口部に前記発光管の封止部を挿入した後、前記発光管の各リード線における前記少なくとも一部の領域をチャック部材によってそれぞれ保持する工程と、
前記発光管に対して相対的に前記リフレクタを回転させながら前記発光管に対する前記リフレクタの位置合わせを行う工程と、
前記発光管と前記リフレクタとを無機接着剤を用いて固化する工程とをこの順序で含むことを特徴とする光源ランプの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−236643(P2006−236643A)
【公開日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−46590(P2005−46590)
【出願日】平成17年2月23日(2005.2.23)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】