説明

発光管アレイ型表示サブモジュール及び表示装置

【課題】新たな保護部材を設けることなく、異物の侵入、水分の浸入、表示電極シートの剥離等を未然に回避することができる発光管アレイ型表示サブモジュール及び表示装置を提供する。
【解決手段】内部に放電ガスが封入された複数の発光管31、31、・・・を並列に配置してあり、アドレス電極が形成してあるアドレス電極シート33と、表示電極が形成してある表示電極シート35の間に複数の発光管31、31、・・・を挟持してある。表示電極シート35で複数の発光管31を覆うようにしてあり、表示電極シート35及びアドレス電極シート33の間隔が発光管31の管径以上となるよう、表示電極シート35又はアドレス電極シート33の周辺部を加工する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、互いに接続することで大画面の発光管アレイ型表示装置を形成することができる発光管アレイ型表示サブモジュール及び表示装置に関し、さらに詳しくは、周辺部を加工して発光管アレイを覆うようにしてある発光管アレイ型表示サブモジュール及び表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
新世代の大画面表示装置を実現する技術として、内部に放電ガスが封入された複数の発光管を並列に配置してある発光管アレイ型表示サブモジュールが開発されている。発光管アレイ型表示サブモジュールを複数接続して大画面対応の表示モジュールを構成し、表示モジュールに駆動回路、電源回路等を組み込むことで、大型表示パネルを製造するための大規模な設備投資が不要で、画質が均質となる表示装置を提供することができる。図1は、従来の発光管アレイ型表示サブモジュールで用いる発光管アレイの概略構成を示す斜視図である。
【0003】
図1に示すように、従来の発光管アレイは、前面側の基板シート11と背面側の基板シート12との間に複数の発光管1、1、・・・が並列に配置してあり、前面側の基板シート11には、X電極及びY電極が一対となった表示電極対2、2、・・・が発光管1、1、・・・に直交するように、背面側の基板シート12にはアドレス電極3、3、・・・が、発光管1、1、・・・の長手方向に沿って、それぞれ互いに直交するように配設してある。細管状の発光管1、1、・・・の内部には蛍光体層(図示せず)が設けてあり、放電ガスが封入されている。アドレス電極3、3、・・・と表示電極対2、2、・・・との交差部が単位発光領域となり、ピクセル単位で発光することができる(特許文献1参照)。
【0004】
一般に発光管アレイ型表示装置は、発光管アレイを一定の大きさを有するサブモジュールフレームと呼ばれる構造体に一体化した発光管アレイ型表示サブモジュールを作成し、複数の発光管アレイ型表示サブモジュールを接続することで大画面を構成する。ここで、「発光管アレイ型表示サブモジュール」とは、発光管を含めた上述のような表示フィルム部品であって、駆動回路、電源回路等を含まない表示パネルの半完成品を意味している。図2は、従来の発光管アレイ型表示装置を構成する発光管アレイ型表示サブモジュールの発光管端部近傍の概略構成を示す平面図及び断面図である。図2(a)は、従来の発光管アレイ型表示サブモジュールの概略構成を示す平面図であり、図2(b)は、従来の発光管アレイ型表示サブモジュールの概略構成を示す図2(a)のA−A断面図である。
【0005】
図2(a)及び図2(b)に示すように、アドレス電極(図示せず)が一定間隔で並べて配置してある背面側のアドレス電極シート22の上に、細管である複数の発光管21、21、・・・をアドレス電極と接触するように並べて配設してある。前面側の表示電極シート20は、銅箔等の薄膜として形成されている表示電極23を発光管21側に形成してあり、各発光管21の外壁に接する接着層(粘着層)を介して、複数の発光管21、21、・・・と圧接されている。
【特許文献1】特開2004−259686号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
発光管21、21、・・・は、管径0.5〜5mm程度の細管であり、発光管21ごとに放電ガスを封入して両端を封止している。したがって、発光管21、21、・・・の両端部分は、外力により破損しやすく、しかも両端部を封止する場合に発光管21、21、・・・の長さの公差が±数mm生じるという問題があった。
【0007】
このように発光管21、21、・・・の両端部の封止部分の形状にばらつきが生じ、長さも統一されていない場合、仮に最も長い発光管21に表示電極シート20の端部を合わせたときには、短い発光管21が存在する部分にボイド空間が生じ、異物の侵入、水分の保持等による電極ショートが生じる可能性が高くなる。また、剥き出しとなった接着剤の劣化により、発光管21、21、・・・と表示電極シート20との密着力も低下する。
【0008】
特許文献1では、発光管21、21、・・・の両端部分を保護するため、周辺部を断面形状がL字型となっている保護部材で覆うことにより、斯かる問題を解決している。しかし、発光管アレイ型表示サブモジュールごとに、その周辺部に断面形状がL字型となっている保護部材を装着する必要があり、保護部材の部品代及び保護部材取付工数等が増加し、発光管アレイ型表示サブモジュールの製造コストが増大してしまうという問題点があった。
【0009】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、新たな保護部材を設けることなく、異物の侵入、水分の浸入、表示電極シートの剥離等を未然に回避することができる発光管アレイ型表示サブモジュール及び表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために第1発明に係る発光管アレイ型表示サブモジュールは、内部に放電ガスが封入された複数の発光管を並列に配置してあり、アドレス電極が形成してあるアドレス電極シートと、表示電極が形成してある表示電極シートの間に前記複数の発光管を挟持してある発光管アレイ型表示サブモジュールにおいて、前記表示電極シートで複数の前記発光管を覆うようにしてあり、前記表示電極シート及び前記アドレス電極シートの間隔が前記発光管の管径以上となるよう、前記表示電極シート又は前記アドレス電極シートの周辺部を加工するようにしてあることを特徴とする。
【0011】
第1発明では、表示電極シートで複数の発光管を覆うようにしてあり、表示電極シート及びアドレス電極シートの間隔が発光管の管径以上となるように、表示電極シート又はアドレス電極シートの周辺部を加工してある。表示電極シート及びアドレス電極シートの間隔を周辺部においても発光管の管径以上とすることにより、発光管の両端部に過剰な荷重が加わるのを防止することができ、表示電極シート又はアドレス電極シートの周辺部を加工することにより、新たな保護部材を必要とせず、従来の製造工程の延長にて加工することができることから製造工数の増加を最小限に止めることが可能となる。
【0012】
また、第2発明に係る発光管アレイ型表示サブモジュールは、第1発明において、前記表示電極シート又は前記アドレス電極シートの形成時に、前記表示電極シートと前記アドレス電極シートとの間隔に相当する突出部を形成するようにしてあることを特徴とする。
【0013】
第2発明では、表示電極シート又はアドレス電極シートの形成時に、表示電極シートとアドレス電極シートとの間隔に相当する突出部を形成する。例えば表示電極シートの製造工程にて、表示電極シートに用いられる銅箔や粘着層として用いるアクリル系の接着剤により突出部を形成し、アドレス電極シートに到達する厚みをもたせることにより、通常の電極シート(表示電極シート又はアドレス電極シート)の製造工程にて発光管の両端部に過剰な荷重が加わるのを防止することができ、発光管を覆うことにより異物の侵入、水分の保持等による電極ショートが生じる可能性を低減することが可能となる。
【0014】
また、第3発明に係る発光管アレイ型表示サブモジュールは、第1発明において、前記表示電極シートの周辺部が、前記アドレス電極シート側へ屈曲するよう加工してあることを特徴とする。
【0015】
第3発明では、表示電極シートの周辺部が、アドレス電極シート側へ屈曲するよう加工してあることにより、新たな保護部材を用いることなく、発光管の両端部に過剰な荷重が加わるのを防止することができ、発光管を覆うことにより異物の侵入、水分の保持等による電極ショートが生じる可能性を低減することが可能となる。また、表示電極シートは、ラミネート加工する前に発光管アレイ型表示サブモジュールを連結するために屈曲するよう加工していることから、工数が特段に増大しない。
【0016】
また、第4発明に係る発光管アレイ型表示サブモジュールは、第1発明において、前記アドレス電極シートと前記発光管とを接着する粘着層を保護する、前記発光管の管径に相当する厚みを有する保護シートを、周辺部に残存させるようにしてあることを特徴とする。
【0017】
第4発明では、アドレス電極シートと発光管とを接着する粘着層を乾燥等から保護するために使用している保護シートを、発光管の管径に相当する厚みとなるようにしておき、周辺部に未使用のまま残存させることにより、発光管の両端部に過剰な荷重が加わるのを防止することができ、発光管を覆うことにより異物の侵入、水分の保持等による電極ショートが生じる可能性を低減することが可能となる。また、未使用状態の保護シートを用いることから、工数が特段には増大しない。
【0018】
また、第5発明に係る表示装置は、第1乃至第4発明のいずれか1つの発光管アレイ型表示サブモジュールが縦横に複数接続されて形成されていることを特徴とする。
【0019】
第5発明では、上述した発光管アレイ型表示サブモジュールを縦横に複数接続して形成することにより、表示電極シート及びアドレス電極シートの間隔を周辺部においても発光管の管径以上とすることができ、発光管の両端部に過剰な荷重が加わるのを防止することができる。また、表示電極シート又はアドレス電極シートの周辺部を加工することにより、新たな保護部材を必要とせず、従来の製造工程の延長にて加工することができることから製造工数の増加を最小限に止めることが可能となる。
【発明の効果】
【0020】
上記のように、表示電極シート及びアドレス電極シートの間隔を周辺部においても発光管の管径以上とすることにより、発光管の両端部に過剰な荷重が加わるのを防止することができる。また、表示電極シート又はアドレス電極シートの周辺部を加工することにより、新たな保護部材を必要とせず、従来の製造工程の延長にて加工することができることから製造工数の増加を最小限に止めることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下に、本発明の実施の形態に係る発光管アレイ型表示サブモジュールについて図面に基づいて詳細に説明する。
【0022】
(実施の形態1)
図3は、本発明の実施の形態1に係る発光管アレイ型表示サブモジュールの発光管アレイの構成を模式的に示す斜視図である。図3(a)は、発光管アレイ型表示サブモジュールの発光管アレイの構成を模式的に示す斜視図であり、図3(b)は、発光管アレイ型表示サブモジュールの発光管アレイの構成を部分的に示す斜視図であり、図3(c)は、発光管アレイ型表示サブモジュールを縦横に接続した状態を示す斜視図である。
【0023】
図3(a)に示すように、本実施の形態1に係る発光管アレイ型表示サブモジュールは、矩形画面の一部を構成する表示サブモジュールであることから、矩形形状を有しており、内部に放電ガスが封入された複数の発光管31、31、・・・を並列に配置している。発光管31、31、・・・はガラス製の放電細管であり、管体となる細管の径は、特に大きさが限定されるものではないが、直径0.5〜5mm程度であることが望ましい。細管の形状は、円形の断面、扁平楕円状の断面、方形の断面等、どのような形状の断面を有していてもよい。また、発光管31、31、・・・の内部にはネオン、キセノン等の放電ガスが所定の割合で所定の圧力で封入されている。
【0024】
並列に配置された発光管31、31、・・・は、発光管31、31、・・・の長手方向に沿って配設されているアドレス電極32、32、・・・を有するアドレス電極シート33と、発光管31、31、・・・の長手方向に略直交する方向に配設されている表示電極対34、34、・・・を有する表示電極シート35とに挟持されることで発光管アレイ型表示サブモジュールを構成している。表示電極シート35はフレキシブルシートであり、例えばポリカーボネートフィルム、PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム等で構成されている。
【0025】
複数の表示電極対34、34、・・・は、発光管アレイ型表示サブモジュールの表示面側に、発光管31、31、・・・の長手方向と直交する方向にストライプ状に設けられており、隣接する表示電極34、34間で発光管31、31、・・・において表示放電を発生させることができるものであれば、特に限定されるものではない。表示電極34は、当該分野で公知の各種の材料を用いて形成することができる。表示電極34に用いられる材料としては、例えば、ITO(酸化錫ドープ酸化インジウム)、SnO2 等の透明な導電性材料や、Ag、Au、Al、Cu、Cr等の金属の導電性材料が挙げられる。
【0026】
表示電極34の形成方法としては、当該分野で公知の各種の方法を適用することができる。例えば、印刷等の厚膜形成技術を用いて形成しても良いし、物理的堆積法又は化学的堆積法からなる薄膜形成技術を用いて形成しても良い。厚膜形成技術としては、スクリーン印刷法等が挙げられる。薄膜形成技術のうち、物理的堆積法としては、蒸着法、スパッタ法等が挙げられる。化学的堆積法としては、熱CVD法、光CVD法、あるいはプラズマCVD法等が挙げられる。
【0027】
アドレス電極32、32、・・・は、発光管アレイ型表示サブモジュールの背面側に、発光管31、31、・・・の長手方向に発光管31ごとに設けられ、表示電極対34、34、・・・との交差部に発光セルを形成する発光セル選択用のものであれば、特に限定されるものではない。アドレス電極32も、当該分野で公知の各種の材料と方法を用いて形成することができる。
【0028】
上記構成において、発光管アレイ型表示サブモジュールをカラー表示対応とする場合には、図3(b)に示すように、発光管31ごとに単色の蛍光体層36、例えば赤色(R)用の蛍光体層36R、緑色(G)用の蛍光体層36G、青色(B)用の蛍光体層36Bを有する。RGB3色の発光管31、31、31を一組として一つの画素を構成することで、カラー表示に対応することができる。なお、蛍光体層36は、赤色(R)用の蛍光体層36Rでは、紫外線照射により赤色発光する(Y、Gd)BO3 :Eu3+等の蛍光体材料を用いる。緑色(G)用の蛍光体層36Gでは、緑色発光するZn2 SiO4 :Mn等の蛍光体材料を用い、青色(B)用の蛍光体層36Bでは、青色発光するBaMgAl1217:Eu2+等の蛍光体材料を用いる。
【0029】
図3(c)は、上述した発光管アレイ型表示サブモジュールを縦横に接続する様子を模式的に示す斜視図である。図3(c)では、4枚の発光管アレイ型表示サブモジュールから1枚の大画面の表示モジュールを構成しており、1枚1枚の発光管アレイ型表示サブモジュールは、駆動回路、電源回路等を含まない半完成品である。大画面用の表示モジュールを構成した段階で、全体を一つの表示フィルムとして駆動回路、電源回路等を組み込むことで、発光管アレイ型表示サブモジュールごとに表示画像の品質のばらつきが少ない大画面表示装置を構成することができる。
【0030】
発光管アレイ型表示サブモジュールに用いる発光管31、31、・・・は、管径0.5〜5mm程度の細管であり、発光管31ごとに放電ガスを封入して両端を封止している。したがって、発光管31、31、・・・の両端部分は、外部からの荷重により破損しやすく、しかも両端部を封止する場合に発光管31、31、・・・の長さの交差が±数mm程度生じる。
【0031】
図4は、発光管31、31、・・・の長さにバラツキが生じた状態を模式的に示す例示図である。図4に示すように、発光管31、31、・・・の両端の封止部分の形状にばらつきが生じ、長さも統一されていない場合、仮に最も長い発光管31aに表示電極シート35の端部を合わせたとき、すなわち表示電極シート35の端部が破線42に合わせて設けられたときには、短い発光管31bが存在する部分にボイド空間41が生じる。ボイド空間41は、一方が開放されていることから、異物の侵入を防ぐことができず、水分を含んだ場合には蒸発しにくい。したがって、異物の侵入、水分の浸入等による電極ショートが生じる可能性が高い。
【0032】
また、発光管31、31、・・・は接着剤等の粘着層を介してアドレス電極シート33あるいは表示電極シート35と圧着される。したがって、ボイド空間41では粘着層がむき出しの状態であり、表面の接着剤の劣化により、例えば発光管31、31、・・・と表示電極シート35との剥離等が生じるおそれもある。
【0033】
従来、周辺部を断面形状がL字型となっている保護部材で覆うことにより、斯かる問題を解決しているが、発光管アレイ型表示サブモジュールごとに、その周辺部に断面形状がL字型となっている保護部材を装着する必要がある。したがって、保護部材の材料コスト、保護部材の取付工数等が増大し、発光管アレイ型表示サブモジュールの製造コストが増大する。そこで、本実施の形態1では、表示電極シート35を発光管31の両端部分を覆う部分にまで延伸し、表示電極シート35及びアドレス電極シート33の間隔が発光管31の管径以上となるように、表示電極シート35又はアドレス電極シート33の周辺部を加工することで、コスト増を回避しつつ同様の効果を奏している。図5は、本発明の実施の形態1に係る発光管アレイ型表示サブモジュールの発光管端部近傍の概略構成を示す平面図及び断面図である。
【0034】
図5(a)は、本発明の実施の形態1に係る発光管アレイ型表示サブモジュールの発光管端部近傍の概略構成を示す平面図であり、図5(b)は、本発明の実施の形態1に係る発光管アレイ型表示サブモジュールの発光管端部近傍の概略構成を示す図5(a)のB−B断面図である。図5(a)に示すように、アドレス電極(図示せず)が一定間隔で並べて配置してある背面側のアドレス電極シート33の上に、細管である複数の発光管31、31、・・・をアドレス電極と接触するように並べて配設してある。
【0035】
そして、図5(b)に示すように、前面側の表示電極シート35は、銅箔等の薄膜として形成されている表示電極34を発光管31側に形成してあり、各発光管31の両端部を完全に覆うことができる長さを有している。アドレス電極シート33と表示電極シート35との間隔は、複数の発光管31、31、・・・の管径以上となっている。これにより、発光管31、31、・・・の両端部に過剰な荷重がかかることがなく、破損することを回避することができる。
【0036】
また、表示電極シート35又はアドレス電極シート33の形成時に、表示電極シート35とアドレス電極シート33との間隔に相当する高さを有する突出部51を形成しておく。例えば表示電極シート35の製造工程にて、表示電極シート35に表示電極34として形成される銅箔や粘着層として用いるアクリル系の接着剤により突出部51を形成し、アドレス電極シート33に到達する厚みをもたせておく。これにより、通常の電極シート(表示電極シート又はアドレス電極シート)の製造工程にて発光管31、31、・・・の両端部に過剰な荷重が加わるのを防止することができ、発光管31、31、・・・を覆うことにより異物の侵入、水分の保持等による電極ショートが生じる可能性を低減することが可能となる。
【0037】
以上のように本実施の形態1によれば、表示電極シート及びアドレス電極シートの間隔を周辺部においても発光管の管径以上とすることにより、発光管の両端部に過剰な荷重が加わるのを防止することができ、表示電極シート又はアドレス電極シートの形成時に、表示電極シートとアドレス電極シートとの間隔に相当する突出部を形成することにより、発光管の両端部を覆うことができ、異物の侵入、水分の保持等による電極ショートが生じる可能性を低減することが可能となる。
【0038】
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2に係る発光管アレイ型表示サブモジュールの構成は、実施の形態1と同様であることから、同一の符号を付することにより詳細な説明は省略する。本実施の形態2では、表示電極シートを屈曲加工する点で実施の形態1と相違する。図6は、本発明の実施の形態2に係る発光管アレイ型表示サブモジュールの発光管端部近傍の概略構成を示す平面図及び断面図である。
【0039】
図6(a)は、本発明の実施の形態2に係る従来の発光管アレイ型表示サブモジュールの発光管端部近傍の概略構成を示す平面図であり、図6(b)は、本発明の実施の形態2に係る発光管アレイ型表示サブモジュールの発光管端部近傍の概略構成を示す図6(a)のC−C断面図である。図6(a)に示すように、アドレス電極(図示せず)が一定間隔で並べて配置してある背面側のアドレス電極シート33の上に、細管である複数の発光管31、31、・・・をアドレス電極と接触するように並べて配設してある。
【0040】
そして、図6(b)に示すように、前面側の表示電極シート35は、銅箔等の薄膜として形成されている表示電極34を発光管31側に形成してあり、各発光管31の両端部を完全に覆うことができる長さを有している。アドレス電極シート33と表示電極シート35との間隔は、複数の発光管31、31、・・・の管径以上となっている。これにより、発光管31、31、・・・の両端部に過剰な荷重がかかることがなく、破損することを回避することができる。
【0041】
また、表示電極シート35は、ラミネート加工を施す前に折り曲げ加工を行っている。すなわち、複数の発光管アレイ型表示サブモジュールを縦横に連結するために、表示電極シート35を折り曲げ加工して側面側での隙間を可能な限り小さくする。したがって、表示電極シート35を発光管31、31、・・・を覆う位置にて折り曲げ加工する工程が増えた場合であっても、極端に工数増とはならない。
【0042】
したがって、表示電極シート35の周辺部を、アドレス電極シート33側へ屈曲するよう折り曲げ加工し、シリコン系、アクリル系、ウレタン系のシーリング材を用いて封止することにより、新たな保護部材を用いることなく、発光管31、31、・・・の両端部に過剰な荷重が加わるのを防止することができる。また、発光管31、31、・・・を封止することにより、異物の侵入、水分の保持等による電極ショートが生じる可能性を低減することが可能となる。
【0043】
以上のように本実施の形態2によれば、新たな保護部材を用いることなく、発光管31、31、・・・の両端部に過剰な荷重が加わるのを防止することができ、発光管31、31、・・・を封止することにより、異物の侵入、水分の保持等による電極ショートが生じる可能性を低減することが可能となる。また、表示電極シート35は、ラミネート加工する前に発光管アレイ型表示サブモジュールを連結するために屈曲するよう加工していることから、折り曲げ加工による工数はそれほど増加しない。
【0044】
(実施の形態3)
本発明の実施の形態3に係る発光管アレイ型表示サブモジュールの構成は、実施の形態1と同様であることから、同一の符号を付することにより詳細な説明は省略する。本実施の形態3では、表示電極シート35及びアドレス電極シート33を発光管31、31、・・・と接着する粘着層を乾燥等から保護する保護シートを用いる点で実施の形態1及び2と相違する。図7は、本発明の実施の形態3に係る発光管アレイ型表示サブモジュールの発光管端部近傍の概略構成を示す平面図及び断面図である。
【0045】
図7(a)は、本発明の実施の形態3に係る従来の発光管アレイ型表示サブモジュールの発光管端部近傍の概略構成を示す平面図であり、図7(b)は、本発明の実施の形態3に係る発光管アレイ型表示サブモジュールの発光管端部近傍の概略構成を示す図7(a)のD−D断面図である。図7(a)に示すように、アドレス電極(図示せず)が一定間隔で並べて配置してある背面側のアドレス電極シート33の上に、細管である複数の発光管31、31、・・・をアドレス電極と接触するように並べて配設してある。
【0046】
そして、図7(b)に示すように、前面側の表示電極シート35は、銅箔等の薄膜として形成されている表示電極23を発光管21側に形成してあり、各発光管31の両端部を完全に覆うことができる長さを有している。粘着層を保護する保護シートの厚みは、アドレス電極シート33と表示電極シート35との間隔となるよう形成しておく。各電極シート(アドレス電極シート33及び表示電極シート35)に発光管31、31、・・・を接着する場合には保護シートを取り外して接着する。周辺部は保護シートを取り外す必要が無いので、アドレス電極シート33と表示電極シート35との間隔を維持することができる保護シート71が残存する。これにより、発光管31、31、・・・の両端部に過剰な荷重がかかることがなく、破損することを回避することができる。なお、保護シート71の材質は、樹脂フィルムであれば特に限定されるものではなく、例えばPET、ポリエチレン等である。
【0047】
また、発光管31、31、・・・を覆うことにより異物の侵入、水分の保持等による電極ショートが生じる可能性を低減することが可能となる。さらに、発光管31、31、・・・を接着する前には、未使用状態の保護シート71を粘着層に貼り付けてあるので、別個に保護シートを準備する必要も無く、各電極シート(アドレス電極シート33及び表示電極シート35)に発光管31、31、・・・を接着する場合には必ず保護シートを取り外す作業が生じることから、工数も特段に増加するわけではない。
【0048】
以上のように本実施の形態3によれば、保護シート71を、発光管31、31、・・・の管径に相当する厚みとなるようにしておき、周辺部に未使用のまま残存させることにより、発光管31、31、・・・の両端部に過剰な荷重が加わるのを防止することができる。また、発光管31、31、・・・を残存させた保護シート71で封止することができ、異物の浸入、水分の保持等による電極ショートが生じる可能性を低減することが可能となる。さらに、未使用状態の保護シートを用いることから、作業工数は特に増加しない。
【0049】
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨の範囲内であれば多種の変更、改良等が可能である。これらの変更、改良等は当業者にとって自明であり、該変更、改良等を加えた形態も当然に本発明の技術的範囲に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】従来の発光管アレイ型表示サブモジュールで用いる発光管アレイの概略構成を示す斜視図である。
【図2】従来の発光管アレイ型表示装置を構成する発光管アレイ型表示サブモジュールの発光管端部近傍の概略構成を示す平面図及び断面図である。
【図3】本発明の実施の形態1に係る発光管アレイ型表示サブモジュールの発光管アレイの構成を模式的に示す斜視図である。
【図4】発光管の長さにバラツキが生じた状態を模式的に示す例示図である。
【図5】本発明の実施の形態1に係る発光管アレイ型表示サブモジュールの発光管端部近傍の概略構成を示す平面図及び断面図である。
【図6】本発明の実施の形態2に係る発光管アレイ型表示サブモジュールの発光管端部近傍の概略構成を示す平面図及び断面図である。
【図7】本発明の実施の形態3に係る発光管アレイ型表示サブモジュールの発光管端部近傍の概略構成を示す平面図及び断面図である。
【符号の説明】
【0051】
31 発光管
32 アドレス電極
33 アドレス電極シート
34 表示電極(対)
35 表示電極シート
51 突出部
71 保護シート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に放電ガスが封入された複数の発光管を並列に配置してあり、アドレス電極が形成してあるアドレス電極シートと、表示電極が形成してある表示電極シートの間に前記複数の発光管を挟持してある発光管アレイ型表示サブモジュールにおいて、
前記表示電極シートで複数の前記発光管を覆うようにしてあり、
前記表示電極シート及び前記アドレス電極シートの間隔が前記発光管の管径以上となるよう、前記表示電極シート又は前記アドレス電極シートの周辺部を加工するようにしてあることを特徴とする発光管アレイ型表示サブモジュール。
【請求項2】
前記表示電極シート又は前記アドレス電極シートの形成時に、前記表示電極シートと前記アドレス電極シートとの間隔に相当する突出部を形成するようにしてあることを特徴とする請求項1記載の発光管アレイ型表示サブモジュール。
【請求項3】
前記表示電極シートの周辺部が、前記アドレス電極シート側へ屈曲するよう加工してあることを特徴とする請求項1記載の発光管アレイ型表示サブモジュール。
【請求項4】
前記アドレス電極シートと前記発光管とを接着する粘着層を保護する、前記発光管の管径に相当する厚みを有する保護シートを、周辺部に残存させるようにしてあることを特徴とする請求項1記載の発光管アレイ型表示サブモジュール。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の発光管アレイ型表示サブモジュールが縦横に複数接続されて形成されていることを特徴とする表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−2539(P2010−2539A)
【公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−160026(P2008−160026)
【出願日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【出願人】(506025648)篠田プラズマ株式会社 (29)
【Fターム(参考)】