説明

発光素子、発光装置ならびに前記発光素子を用いた電気器具

【課題】駆動電圧が低い発光素子を提供することを目的とする。また、このような発光素子を有する発光装置を提供することを目的とする。また、駆動電圧が低い発光素子を有する電気器具を提供することを目的とする。
【解決手段】一対の電極間に、発光物質を含む層と、無機化合物である導電性材料と無機化合物である絶縁性材料とを含む混合材料を含む層とを有し、混合材料を含む層は、抵抗率が5×10〜1×10Ω・cmである発光素子を提供する。より好ましくは、抵抗率が2×10〜5×10Ω・cmであることが好ましい。上記構成とすることにより、発光素子の駆動電圧を低減できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレクトロルミネッセンスを利用する発光素子およびそれを備えた発光装置に関する。また、発光素子を用いた電気器具に関する。
【背景技術】
【0002】
発光材料を用いた発光素子は、薄型軽量、高速応答性、直流低電圧駆動などの特徴を有しており、次世代のフラットパネルディスプレイへの応用が期待されている。また、発光素子をマトリクス状に配置した発光装置は、従来の液晶表示装置と比較して、視野角が広く視認性が優れる点に優位性があると言われている。
【0003】
発光素子の基本的な構成は、一対の電極間に発光性の有機化合物を含む層(発光層)を挟んだものである。この素子に電圧を印加することにより、一対の電極から電子およびホールがそれぞれ発光層に輸送され、電流が流れる。そして、それらキャリア(電子およびホール)が再結合することにより、発光性の有機化合物が励起状態を形成し、その励起状態が基底状態に戻る際に発光する。
【0004】
なお、有機化合物が形成する励起状態の種類としては、一重項励起状態と三重項励起状態が可能であり、一重項励起状態からの発光が蛍光、三重項励起状態からの発光が燐光と呼ばれている。
【0005】
このような発光素子は、例えば0.1μm程度の有機薄膜で形成されるため、薄型軽量に作製できることが大きな利点である。また、キャリアが注入されてから発光に至るまでの時間はマイクロ秒程度あるいはそれ以下であるため、非常に応答速度が速いことも特長の一つである。また、数ボルト〜数十ボルト程度の直流電圧で十分な発光が得られるため、消費電力も比較的少ない。これらの利点から、発光素子は次世代のフラットパネルディスプレイ素子として注目されている。
【0006】
また、発光素子は膜状に形成されるため、大面積の素子を形成することにより、面状の発光を容易に得ることができる。このことは、白熱電球やLEDに代表される点光源、あるいは蛍光灯に代表される線光源では得難い特色であるため、照明等に応用できる面光源としての利用価値も高い。
【0007】
しかしながら、これら発光素子は耐久性や耐熱性に問題があり、発光素子の発展の大きな妨げとなっている。発光素子は通常、下記非特許文献1に代表されるように、有機化合物を用いた有機薄膜を積層して形成されているため、有機化合物の低い耐久性や有機薄膜の脆弱さが上述の問題の要因であると考えられる。
【0008】
一方では、有機薄膜ではなく、有機化合物と無機化合物を混合した層を用い、発光素子を形成するという試みもなされている。例えば、下記特許文献1では、金属酸化物中に蛍光性有機分子を分散させた発光層を用いた発光素子が開示されている。また、下記特許文献2では、シリカマトリックス中に有機化合物(ホール輸送性化合物、電子輸送性化合物、発光性化合物)を共有結合を介して分散した層を積層して形成した発光素子も開示されている。これらの文献においては、素子の耐久性や耐熱性が向上すると報告されている。
【0009】
上記特許文献1や特許文献2で開示されているような発光素子は、絶縁性である金属酸化物中に有機化合物が分散されているだけであるため、従来の発光素子に比べて電流が流れにくくなってしまう(すなわち、ある電流を流すのに必要な電圧が高くなってしまう)という問題がある。
【0010】
これらの発光素子は、流す電流密度に比例して発光輝度が高くなるため、電流が流れにくいということはすなわち、ある輝度を得るための電圧(すなわち駆動電圧)も高くなってしまうという問題に繋がる。したがって、金属酸化物中に有機化合物が単に分散されているだけでは、耐久性や耐熱性が得られたとしても、駆動電圧の上昇や、それに伴う消費電力の上昇を招いてしまう。
【0011】
また、ゴミ等に起因する発光素子の短絡を抑制するためには、発光素子の膜厚を厚くすることが効果的であるが、特許文献1や特許文献2で示されているような構成で膜厚を厚くすると、駆動電圧の上昇はさらに顕在化してしまう。つまり、従来の構成では、膜厚を厚くすることは実用的には困難である。
【非特許文献1】C.W.タン(C.W.Tang)、外1名、アプライド フィジクス レターズ、Vol.51,No.12,913−915(1987)
【特許文献1】特開平2−288092号公報
【特許文献2】特開2000−306669号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上記問題に鑑み、本発明は、駆動電圧が低い発光素子を提供することを目的とする。また、このような発光素子を有する発光装置を提供することを目的とする。また、駆動電圧が低い発光素子を用いた電気器具に関する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者らは、無機化合物である導電性材料と無機化合物である絶縁性材料とを混合し、抵抗率が5×10〜10×10Ω・cmである混合材料を含む層を用いることにより、発光素子の駆動電圧を低減できることを見いだした。
【0014】
つまり、本発明の発光素子は、一対の電極間に、発光物質を含む層と、無機化合物である導電性材料と無機化合物である絶縁性材料とを含む混合材料を含む層とを有し、混合材料を含む層は、抵抗率が5×10〜1×10Ω・cmであることを特徴とする。より好ましくは、抵抗率が2×10〜5×10Ω・cmであることを特徴とする。
【0015】
上記構成において、混合材料を含む層は、一対の電極のうち少なくとも一方の電極と接していることを特徴とする。
【0016】
また、上記構成において、混合材料を含む層は、可視光の透過率が80〜100%であることを特徴とする。
【0017】
上記構成において、絶縁性材料は、金属酸化物、金属窒化物、金属酸化窒化物のいずれかであることが好ましい。具体的には、酸化珪素、酸化ゲルマニウム、酸化チタン、酸化モリブデン、酸化アルミニウム、窒化珪素、窒化アルミニウム、酸化窒化珪素等が挙げられる。
【0018】
また、上記構成において、導電性材料は、透明導電膜材料であることを特徴する。具体的には、導電性材料は、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化錫、酸化カドミウム、酸化ガリウムのいずれかを含むことを特徴とする。
【0019】
また、本発明は、上述した発光素子と、発光素子の発光を制御する制御手段とを備えた発光装置も範疇に含めるものである。本明細書中における発光装置とは、画像表示デバイス、発光デバイス、もしくは光源(照明装置含む)を含む。また、発光装置にコネクター、例えばFPC(Flexible printed circuit)もしくはTAB(Tape Automated Bonding)テープもしくはTCP(Tape Carrier Package)が取り付けられたモジュール、TABテープやTCPの先にプリント配線板が設けられたモジュール、または発光素子にCOG(Chip On Glass)方式によりIC(集積回路)が直接実装されたモジュールも全て発光装置に含むものとする。
【0020】
また、本発明は、表示部を有し、表示部は上述した発光素子と、発光素子の発光を制御する制御手段とを有する電気器具も範疇に含めるものである。
【発明の効果】
【0021】
無機化合物である導電性材料と無機化合物である絶縁性材料とを含み、抵抗率が5×10〜1×10Ω・cm、好ましくは2×10〜5×10Ω・cmである混合材料を含む層を用いることにより、発光素子の駆動電圧を低減できる。
【0022】
無機化合物である導電性材料と無機化合物である絶縁性材料とを含み、抵抗率が5×10〜1×10Ω・cm、好ましくは2×10〜5×10Ω・cmである混合材料を含む層を発光素子に用いることにより、混合材料を含む層を厚膜化した場合でも駆動電圧の上昇を抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の実施の態様について図面を用いて詳細に説明する。但し、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
【0024】
なお、本発明において発光素子の一対の電極のうち、一方の電極の電位が高くなるように電圧をかけた際、発光が得られる。その際電位が高い電極を陽極として機能する電極と言い、電位が低い他方の電極を陰極として機能する電極と言う。
【0025】
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明の発光素子に用いる混合材料について説明する。
【0026】
本発明で用いる混合材料は、無機化合物である導電性材料と、無機化合物である絶縁性材料とを含む。導電性材料は、可視光の透過率が高い材料であることが望ましく、例えば、酸化インジウムに酸化錫を添加したインジウム錫酸化物(ITO)、酸化インジウムに酸化チタンを添加した導電性材料(ITiO)等の酸化インジウムを含む酸化インジウム系材料、酸化亜鉛に酸化アルミニウムを添加したAZO、酸化亜鉛に酸化ガリウムを添加したGZO、酸化亜鉛にインジウムを添加したIZO等の酸化亜鉛を含む酸化亜鉛系材料、酸化錫に酸化アンチモンやフッ素を添加した酸化錫系材料、酸化カドミウム系材料、酸化ガリウム系材料等が挙げられる。
【0027】
また、絶縁性材料としては、金属酸化物や金属窒化物、金属酸化窒化物等を用いることが好ましい。具体的には、酸化珪素、酸化ゲルマニウム、酸化チタン、酸化モリブデン、酸化アルミニウム、窒化珪素、窒化アルミニウム等を挙げることができる。また、絶縁性材料は可視光の透過率が高い材料であることが好ましい。可視光の透過率が高い材料としては、SiO、GeO、TiO、Al等が挙げられる。可視光の透過率が高い絶縁性材料を用いることにより、混合材料の透過率を高くすることができる。
【0028】
これらの導電性材料と絶縁性材料とを含む混合材料を含む層の抵抗率は5×10〜1×10Ω・cmであることが好ましい。より好ましくは、2×10〜5×10Ω・cmであることが望ましい。この範囲の抵抗率となるように導電性材料と絶縁性材料とを混合することにより、発光素子の低電圧駆動を実現することができる。
【0029】
なお、混合材料を含む層の抵抗率が大きすぎると発光素子の駆動電圧が上昇してしまう。また、抵抗率が小さすぎると、隣接する発光素子とのクロストークが発生してしまう可能性がある。クロストークとは、発光素子間で漏電が起こることをいう。
【0030】
例えば、図10に示すように、赤系色(R)、緑系色(G)、青系色(B)を発光する発光素子は、反射電極である第1の電極1101、及び透光性を有する第2の電極1102を有しており、それぞれ第1の層1111R、1111G、1111B、第2の層1112R、1112G、1112B、第3の層1113R、1113G、1113B、第4の層1114R、1114G、1114Bを有している場合、緑系色(G)の発光素子の第1の電極1101と、赤系色(R)の発光素子の第2の電極1102とが短絡し、漏電することを、クロストークという。
【0031】
よって、本発明の導電性材料と絶縁性材料とを用いた混合材料は、抵抗率が5×10〜1×10Ω・cmであることが好ましい。特に、2×10〜5×10Ω・cmであると、より好ましい。
【0032】
また、本発明で用いる混合材料は、可視光の透過率が80〜100%であることが好ましい。本発明で用いる混合材料は可視光の透過率が高いため、発光層で発光した光を効率良く外部へ取り出すことができる。
【0033】
また、本発明で用いる混合材料は可視光の透過率が高いため、混合材料を含む層を厚膜化した場合でも光の取り出し効率の低減を抑制することができる。よって、駆動電圧の上昇を抑制しつつ、外部への光の取り出し効率が高くなるように混合材料を含む層の膜厚を最適化することが可能となる。
【0034】
また、ゴミや衝撃などによる短絡を防止するために混合材料を含む層を厚膜化することが可能となる。
【0035】
本発明で用いる混合材料を含む層は、スパッタリング法により形成することができる。このとき、ターゲットとしては、無機化合物からなる導電性材料と、無機化合物からなる絶縁性材料とを含むターゲットを用いる。ターゲットに含まれる導電性材料と絶縁性材料との組成比を変化させることにより、抵抗率が5×10〜1×10Ω・cmである混合材料を含む層を得ることができる。
【0036】
無機化合物からなる導電性材料のターゲットと、無機化合物からなる絶縁性材料のターゲットとを用いて、共スパッタリングすることにより、当該混合材料を含む層を形成することもできる。この場合、それぞれのターゲットの面積を変えることにより、混合材料を含む層の導電性材料と絶縁性材料との組成比を変化させることが可能であり、抵抗率が5×10〜1×10Ω・cmである混合材料を含む層を形成することができる。
【0037】
ターゲットの作製方法としては、導電性材料の粉末と、絶縁性材料の粉末をボールミル等により混合し、加圧成形した後、加熱して焼結することにより作製することができる。このように作製したターゲットを用いて、本発明の混合材料を含む層を成膜する。
【0038】
成膜雰囲気としては、アルゴンガス等の不活性ガスを用いる。導電性材料または絶縁性材料に酸素が含まれている場合には、不活性ガスに酸素ガスを混合することが好ましい。酸素ガスを混合しないと、混合材料を含む層を成膜する際に、酸素が離脱していまい、組成ずれを起こす可能性がある。
【0039】
また、本発明の混合材料を含む層は、多元スパッタリング法を用いて形成することもできる。導電性材料からなるターゲットと、絶縁性材料からなるターゲットを用い、それぞれに高周波電力を印加することにより、本発明の混合材料を含む層を形成することができる。このとき、印加する高周波電力の大きさを変化させることにより、得られる混合材料の抵抗率を制御することができる。例えば、絶縁性材料からなるターゲットに印加する高周波電力を大きくすると、混合材料に含まれる絶縁性材料の割合が大きくなり、導電性材料からなるターゲットに印加する高周波電力を大きくすると、混合材料に含まれる導電性材料の割合が大きくなる。
【0040】
なお、有機化合物上に本発明の混合材料を含む層を形成する場合、有機化合物に与えるダメージを低減させるため、プラズマ生成領域と成膜領域とが離れた対向ターゲット式スパッタ装置を用いて混合材料を含む層を形成することが好ましい。対向ターゲット式スパッタ装置は、平行に位置する一対のターゲットと、ターゲット間の空間と対向する位置に基板が配置されており、プラズマ生成領域と成膜領域とが離れているため、基板上にすでに形成された有機化合物の層をプラズマによるダメージから守ることができる。
【0041】
なお、本明細書中において、可視光の透過率が高い材料は、可視光の透過率が80〜100%であることが好ましい。
【0042】
(実施の形態2)
本発明の発光素子は、一対の電極間に複数の層を有する。当該複数の層は、電極から離れたところに発光領域が形成されるように、つまり電極から離れた部位でキャリア(担体)の再結合が行われるように、キャリア注入性の高い物質やキャリア輸送性の高い物質からなる層を組み合わせて積層されたものである。
【0043】
本発明の発光素子の一態様について図1(a)を用いて以下に説明する。
【0044】
本形態において、発光素子は、第1の電極102と、第1の電極102の上に順に積層した第1の層103、第2の層104、第3の層105、第4の層106と、さらにその上に設けられた第2の電極107とから構成されている。なお、本形態では第1の電極102は陽極として機能し、第2の電極107は陰極として機能するものとして以下説明をする。
【0045】
基板101は発光素子の支持体として用いられる。基板101としては、例えばガラス、またはプラスチックなどを用いることができる。なお、発光素子を作製工程において支持体として機能するものであれば、これら以外のものでもよい。
【0046】
第1の電極102としては、さまざまな金属、合金、電気伝導性化合物、およびこれらの混合物を用いることができる。例えば、インジウム錫酸化物(ITO:Indium Tin Oxide)、珪素を含有したインジウム錫酸化物、酸化インジウムに2〜20wt%の酸化亜鉛(ZnO)を混合したIZO(Indium Zinc Oxide)、酸化インジウムに酸化チタンを添加した導電性材料(ITiO)の他、金(Au)、白金(Pt)、ニッケル(Ni)、タングステン(W)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、チタン(Ti)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、アルミニウム(Al)、アルミニウム−シリコン(Al−Si)、アルミニウム−チタン(Al−Ti)、アルミニウム−シリコン−銅(Al−Si−Cu)または金属材料の窒化物(TiN)等、を用いることができるが、第1の電極を陽極として用いる場合には、その中でも、仕事関数の大きい(仕事関数4.0eV以上)材料などで形成されていることが好ましい。
【0047】
なお、本発明の発光素子において、第1の電極102は仕事関数の大きい材料に限定されず、仕事関数の小さい材料を用いることもできる。
【0048】
第1の層103は、実施の形態1で示した無機化合物である導電性材料と無機化合物である絶縁性材料とを含む混合材料を含む層であり、抵抗率は5×10〜1×10Ω・cmであることが好ましい。より好ましくは、2×10〜5×10Ω・cmであることが望ましい。
【0049】
なお、第1の層103は、上記のような単層のものだけでなく、例えば無機化合物である導電性材料と無機化合物である絶縁性材料とを含み、その混合比が異なる層が二層以上積層した構造としてもよい。
【0050】
第2の層104は、正孔輸送性の高い物質、例えば4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:α−NPD)やN,N’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ジフェニル−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミン(略称:TPD)、4,4’,4’’−トリス(N,N−ジフェニルアミノ)トリフェニルアミン(略称:TDATA)、4,4’,4’’−トリス[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ]トリフェニルアミン(略称:MTDATA)などの芳香族アミン系(即ち、ベンゼン環−窒素の結合を有する)の化合物からなる層である。ここに述べた物質は、主に10−6cm/Vs以上の正孔移動度を有する物質である。但し、電子よりも正孔の輸送性の高い物質であれば、これら以外のものを用いてもよい。なお、第2の層104は、単層のものだけでなく、上記物質からなる層が二層以上積層したものであってもよい。
【0051】
第3の層105は、発光性の高い物質を含む層である。例えば、N,N’−ジメチルキナクリドン(略称:DMQd)や3−(2−ベンソチアゾイル)−7−ジエチルアミノクマリン(略称:クマリン6)等の発光性の高い物質とトリス(8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Alq)や9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン(略称:DNA)等のキャリア輸送性が高く膜質がよい(つまり結晶化しにくい)物質とを自由に組み合わせて構成される。但し、AlqやDNAは発光性も高い物質であるため、これらの物質を単独で用いた構成とし、第3の層105としても構わない。
【0052】
第4の層106は、電子輸送性の高い物質、例えばトリス(8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Alq)、トリス(5−メチル−8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Almq)、ビス(10−ヒドロキシベンゾ[h]−キノリナト)ベリリウム(略称:BeBq)、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)−4−フェニルフェノラト−アルミニウム(略称:BAlq)など、キノリン骨格またはベンゾキノリン骨格を有する金属錯体等からなる層である。また、この他ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)−ベンゾオキサゾラト]亜鉛(略称:Zn(BOX))、ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)−ベンゾチアゾラト]亜鉛(略称:Zn(BTZ))などのオキサゾール系、チアゾール系配位子を有する金属錯体なども用いることができる。さらに、金属錯体以外にも、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(略称:PBD)や、1,3−ビス[5−(p−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]ベンゼン(略称:OXD−7)、3−(4−tert−ブチルフェニル)−4−フェニル−5−(4−ビフェニリル)−1,2,4−トリアゾール(略称:TAZ)、3−(4−tert−ブチルフェニル)−4−(4−エチルフェニル)−5−(4−ビフェニリル)−1,2,4−トリアゾール(略称:p−EtTAZ)、バソフェナントロリン(略称:BPhen)、バソキュプロイン(略称:BCP)なども用いることができる。ここに述べた物質は、主に10−6cm/Vs以上の電子移動度を有する物質である。なお、正孔よりも電子の輸送性の高い物質であれば、上記以外の物質を第4の層106として用いても構わない。また、第4の層106は、単層のものだけでなく、上記物質からなる層が二層以上積層したものとしてもよい。
【0053】
第2の電極107を形成する物質としては、仕事関数の小さい(仕事関数3.8eV以下)金属、合金、電気伝導性化合物、およびこれらの混合物などを用いることができる。このような陰極材料の具体例としては、元素周期表の1族または2族に属する元素、すなわちリチウム(Li)やセシウム(Cs)等のアルカリ金属、およびマグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)等のアルカリ土類金属、およびこれらを含む合金(Mg:Ag、Al:Li)が挙げられる。しかしながら、第2の電極107と発光層との間に、電子注入を促す機能を有する層を、当該第2の電極と積層して設けることにより、仕事関数の大小に関わらず、Al、Ag、ITO、珪素を含むITO等様々な導電性材料を第2の電極107として用いることができる。
【0054】
なお、電子注入を促す機能を有する層としては、フッ化リチウム(LiF)、フッ化セシウム(CsF)、フッ化カルシウム(CaF)等のようなアルカリ金属又はアルカリ土類金属の化合物を用いることができる。また、この他、電子輸送性を有する物質からなる層中にアルカリ金属又はアルカリ土類金属を含有させたもの、例えばAlq中にマグネシウム(Mg)を含有させたもの等を用いることができる。
【0055】
また、第1の層103、第2の層104、第3の層105、第4の層106の形成方法は、種々の方法を用いることができる。例えば、スパッタリング法、蒸着法、インクジェット法またはスピンコート法など用いても構わない。また各電極または各層ごとに異なる成膜方法を用いて形成しても構わない。
【0056】
以上のような構成を有する本発明の発光素子は、第1の電極102と第2の電極107との間に生じた電位差により電流が流れ、発光性の高い物質を含む層である第3の層105において正孔と電子とが再結合し、発光するものである。つまり第3の層105に発光領域が形成されるような構成となっている。但し、第3の層105の全てが発光領域として機能する必要はなく、例えば、第3の層105のうち第2の層104側または第4の層106側にのみ発光領域が形成されるようなものであってもよい。
【0057】
発光は、第1の電極102または第2の電極107のいずれか一方または両方を通って外部に取り出される。従って、第1の電極102または第2の電極107のいずれか一方または両方は、透光性を有する物質で成る。第1の電極102のみが透光性を有する物質からなるものである場合、図1(a)に示すように、発光は第1の電極102を通って基板側から取り出される。また、第2の電極107のみが透光性を有する物質からなるものである場合、図1(b)に示すように、発光は第2の電極107を通って基板と逆側から取り出される。第1の電極102および第2の電極107がいずれも透光性を有する物質からなるものである場合、図1(c)に示すように、発光は第1の電極102および第2の電極107を通って、基板側および基板と逆側の両方から取り出される。
【0058】
なお第1の電極102と第2の電極107との間に設けられる層の構成は、上記のものには限定されない。発光領域と金属とが近接することによって生じる消光が抑制されるように、第1の電極102および第2の電極107から離れた部位に正孔と電子とが再結合する領域を設けた構成であり、且つ、無機化合物である導電性材料と無機化合物である絶縁性材料とを含み、抵抗率が5×10〜1×10Ω・cm、より好ましくは、2×10〜5×10Ω・cmである層を有するものであれば、上記以外のものでもよい。
【0059】
つまり、層の積層構造については特に限定されず、電子輸送性の高い物質または正孔輸送性の高い物質、電子注入性の高い物質、正孔注入性の高い物質、バイポーラ性(電子及び正孔の輸送性の高い物質)の物質等から成る層を、本発明の混合材料を含む層と自由に組み合わせて構成すればよい。また、第1の電極102上には、酸化珪素膜等からなる層を設けることによってキャリアの再結合部位を制御したものであってもよい。
【0060】
図2に示す発光素子は、陰極として機能する第1の電極302の上に電子輸送性の高い物質からなる第1の層303、発光性の高い物質を含む第2の層304、正孔輸送性の高い物質からなる第3の層305、本発明の混合材料を含む層である第4の層306、陽極として機能する第2の電極307とが順に積層された構成となっている。なお、301は基板である。
【0061】
本実施の形態においては、ガラス、プラスチックなどからなる基板上に発光素子を作製している。一基板上にこのような発光素子を複数作製することで、パッシブ型の発光装置を作製することができる。また、ガラス、プラスチックなどからなる基板上に、例えば薄膜トランジスタ(TFT)を形成し、TFTと電気的に接続された電極上に発光素子を作製してもよい。これにより、TFTによって発光素子の駆動を制御するアクティブマトリクス型の発光装置を作製できる。なお、TFTの構造は、特に限定されない。スタガ型のTFTでもよいし逆スタガ型のTFTでもよい。また、TFTに用いる半導体の結晶性についても特に限定されず、非晶質半導体を用いてもよいし、結晶性半導体を用いてもよい。また、TFTアレイ基板に形成される駆動用回路についても、N型およびP型のTFTからなるものでもよいし、若しくはN型またはP型のいずれか一方からのみなるものであってもよい。
【0062】
本発明の発光素子は、導電性材料と絶縁性材料とを含む混合材料を含む層を有し、混合材料を含む層の抵抗率は5×10〜1×10Ω・cm、より好ましくは、2×10〜5×10Ω・cmであることから、発光素子の低電圧駆動を実現することができる。
【0063】
また、本発明で用いる混合材料は可視光の透過率が高いため、発光層で発光した光を効率良く外部へ取り出すことができる。
【0064】
また、本発明で用いる混合材料は可視光の透過率が高いため、混合材料を含む層を厚膜化した場合でも光の取り出し効率の低減を抑制することができる。よって、駆動電圧の上昇を抑制しつつ、外部への光の取り出し効率が高くなるように混合材料を含む層の膜厚を最適化することが可能となる。
【0065】
また、混合材料を含む層を厚膜化することにより、ゴミや衝撃等による短絡を防止することができるため、信頼性の高い発光素子を得ることができる。例えば、通常の発光素子の電極間の膜厚が100nm〜150nmであるのに対し、混合材料を含む層を用いた発光素子の電極間の膜厚は、100〜500nm、好ましくは、200〜500nmとすることができる。
【0066】
また、本発明の発光素子に用いる混合材料を含む層は、電極とオーム接触することが可能であり、電極との接触抵抗が小さい。そのため、仕事関数等を考慮することなく、電極材料を選ぶことができる。つまり、電極材料の選択肢が広がる。
【0067】
(実施の形態3)
本実施の形態では、実施の形態2に示した構成とは異なる構成を有する発光素子について、図8および図9を用いて説明する。本実施の形態で示す構成は、陰極として機能する電極に接するように本発明の混合材料を含む層を設けることができる。
【0068】
図8(a)に本発明の発光素子の構造の一例を示す。第1の電極401と、第2の電極402との間に、第1の層411、第2の層412、第3の層413が積層された構成となっている。本実施の形態では、第1の電極401が陽極として機能し、第2の電極402が陰極として機能する場合について説明する。
【0069】
第1の電極401、第2の電極402は、実施の形態2と同じ構成を適用することができる。また、第1の層411は発光性の高い物質を含む層である。第2の層412は電子供与性物質の中から選ばれた一の化合物と電子輸送性の高い化合物とを含む層であり、第3の層413は実施の形態1で示した混合材料を含む層である。第2の層412に含まれる電子供与性物質としては、アルカリ金属またはアルカリ土類金属およびそれらの酸化物や塩であることが好ましい。具体的には、リチウム、セシウム、カルシウム、リチウム酸化物、カルシウム酸化物、バリウム酸化物、炭酸セシウム等が挙げられる。
【0070】
このような構成とすることにより、図8(a)に示した通り、電圧を印加することにより第2の層412および第3の層413の界面近傍にて電子の授受が行われ、電子と正孔が発生し、第2の層412は電子を第1の層411に輸送すると同時に、第3の層413は正孔を第2の電極402に輸送する。すなわち、第2の層412と第3の層413とを合わせて、キャリア発生層としての役割を果たしている。また、第3の層413は、正孔を第2の電極402に輸送する機能を担っていると言える。
【0071】
また、第3の層413は、極めて高い正孔注入性、正孔輸送性を示す。そのため、駆動電圧を低減することができる。また、第3の層413を厚膜化した場合、駆動電圧の上昇を抑制することができる。
【0072】
また、第3の層413を厚膜化しても、駆動電圧の上昇を抑制することができるため、第3の層413の膜厚の自由に設定でき、第1の層411からの発光の取り出し効率を向上させることができる。また、第1の層411からの発光の色純度が向上するように、第3の層413の膜厚を設定することも可能である。また、第3の層413は可視光の透過率が高く、厚膜化による発光の外部取り出し効率の低減を抑制できる。
【0073】
なお、本実施の形態の発光素子においても、第1の電極401や第2の電極402の材料を変えることで、様々なバリエーションを有する。その模式図を図8(b)、図8(c)および図9に示す。なお、図8(b)、図8(c)および図9では、図8(a)の符号を引用する。また、400は、本発明の発光素子を担持する基板である。
【0074】
図8は、基板400側から第1の層411、第2の層412、第3の層413の順で構成されている場合の例である。この時、第1の電極401を光透過性とし、第2の電極402を遮光性(特に反射性)とすることで、図8(a)のように基板400側から光を射出する構成となる。また、第1の電極401を遮光性(特に反射性)とし、第2の電極402を光透過性とすることで、図8(b)のように基板400の逆側から光を射出する構成となる。さらに、第1の電極401、第2の電極402の両方を光透過性とすることで、図8(c)に示すように、基板400側と基板400の逆側の両方に光を射出する構成も可能となる。
【0075】
図9は、基板400側から第3の層413、第2の層412、第1の層411の順で構成されている場合の例である。この時、第1の電極401を遮光性(特に反射性)とし、第2の電極402を光透過性とすることで、図9(a)のように基板400側から光を取り出す構成となる。また、第1の電極401を光透過性とし、第2の電極402を遮光性(特に反射性)とすることで、図9(b)のように基板400と逆側から光を取り出す構成となる。さらに、第1の電極401、第2の電極402の両方を光透過性とすることで、図9(c)に示すように、基板400側と基板400の逆側の両方に光を射出する構成も可能となる。
【0076】
また、図8に示すように、第1の電極401を形成した後、第1の層411、第2の層412、第3の層413を順次積層し、第2の電極402を形成してもよいし、図9に示すように、第2の電極402を形成した後、第3の層413、第2の層412、第1の層411を順次積層し、第1の電極401を形成してもよい。
【0077】
なお、本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせることが可能である。
【0078】
(実施の形態4)
本実施の形態では、実施の形態2および実施の形態3に示した構成とは異なる構成を有する発光素子について、図3および図4を用いて説明する。本実施の形態で示す構成は、発光素子の2つの電極に接するように本発明の混合材料を含む層を設けることができる。
【0079】
図3(a)に本発明の発光素子の構造の一例を示す。第1の電極201と、第2の電極202との間に、第1の層211、第2の層212、第3の層213、第4の層214が積層された構成となっている。本実施の形態では、第1の電極201が陽極として機能し、第2の電極202が陰極として機能する場合について説明する。
【0080】
第1の電極201、第2の電極202は、実施の形態2と同じ構成を適用することができる。また、第1の層211は実施の形態1で示した混合材料を含む層であり、第2の層212は発光性の高い物質を含む層である。第3の層213は電子供与性物質と電子輸送性の高い化合物とを含む層であり、第4の層214は実施の形態1で示した混合材料を含む層である。第3の層213に含まれる電子供与性物質としては、アルカリ金属またはアルカリ土類金属およびそれらの酸化物や塩であることが好ましい。具体的には、リチウム、セシウム、カルシウム、リチウム酸化物、カルシウム酸化物、バリウム酸化物、炭酸セシウム等が挙げられる。
【0081】
このような構成とすることにより、図3(a)に示した通り、電圧を印加することにより第3の層213および第4の層214の界面近傍にて電子の授受が行われ、電子と正孔が発生し、第3の層213は電子を第2の層212に輸送すると同時に、第4の層214は正孔を第2の電極202に輸送する。すなわち、第3の層213と第4の層214とを合わせて、キャリア発生層としての役割を果たしている。また、第4の層214は、正孔を第2の電極202に輸送する機能を担っていると言える。なお、第4の層214と第2の電極202との間に、さらに第2の層および第3の層を再び積層することで、タンデム型の発光素子とすることも可能である。
【0082】
また、第1の層211や第4の層214は、極めて高い正孔注入性、正孔輸送性を示す。そのため、発光素子の駆動電圧を低減することができる。
また、第1の層211や第4の層214を厚膜化した場合、駆動電圧の上昇を抑制することができる。
【0083】
また、第1の層211や第4の層214を厚膜化しても、駆動電圧の上昇を抑制することができるため、第1の層211や第4の層214の膜厚の自由に設定でき、第2の層212からの発光の取り出し効率を向上させることができる。また、第2の層212からの発光の色純度が向上するように、第1の層211や第4の層214の膜厚を設定することも可能である。また、第1の層211や第4の層214は可視光の透過率が高く、厚膜化による発光の外部取り出し効率の低減を抑制できる。
【0084】
また、本実施の形態の発光素子は、発光機能を担う第2の層の陽極側および陰極側の層を非常に厚くすることが可能となり、さらに発光素子の短絡を効果的に防止できる。また、第1の層211と第4の層214を同じ材料で構成することにより、発光機能を担う層を挟んで両側に同じ材料で構成された層を設けることができるため、応力歪みを抑制する効果も期待できる。
【0085】
なお、本実施の形態の発光素子においても、第1の電極201や第2の電極202の材料を変えることで、様々なバリエーションを有する。その模式図を図3(b)、図3(c)および図4に示す。なお、図3(b)、図3(c)および図4では、図3(a)の符号を引用する。また、200は、本発明の発光素子を担持する基板である。
【0086】
図3は、基板200側から第1の層211、第2の層212、第3の層213、第4の層214の順で構成されている場合の例である。この時、第1の電極201を光透過性とし、第2の電極202を遮光性(特に反射性)とすることで、図3(a)のように基板200側から光を射出する構成となる。また、第1の電極201を遮光性(特に反射性)とし、第2の電極202を光透過性とすることで、図3(b)のように基板200の逆側から光を射出する構成となる。さらに、第1の電極201、第2の電極202の両方を光透過性とすることで、図3(c)に示すように、基板200側と基板200の逆側の両方に光を射出する構成も可能となる。
【0087】
図4は、基板200側から第4の層214、第3の層213、第2の層212、第1の層211の順で構成されている場合の例である。この時、第1の電極201を遮光性(特に反射性)とし、第2の電極202を光透過性とすることで、図4(a)のように基板200側から光を取り出す構成となる。また、第1の電極201を光透過性とし、第2の電極202を遮光性(特に反射性)とすることで、図4(b)のように基板200と逆側から光を取り出す構成となる。さらに、第1の電極201、第2の電極202の両方を光透過性とすることで、図4(c)に示すように、基板200側と基板200の逆側の両方に光を射出する構成も可能となる。
【0088】
なお、第1の層211が、電子供与性物質の中から選ばれた一の化合物と電子輸送性の高い化合物とを含み、第2の層212が発光性の物質を含み、第3の層213が実施の形態1で示した混合材料を含む層であり、第4の層214が、電子供与性物質の中から選ばれた一の化合物と電子輸送性の高い化合物とを含む構成にすることも可能である。
【0089】
なお、本実施の形態における発光素子を作製する場合には、湿式法、乾式法を問わず、種々の方法を用いることができる。
【0090】
また、図3に図示するように、第1の電極201を形成した後、第1の層211、第2の層212、第3の層213、第4の層214を順次積層し、第2の電極202を形成してもよいし、図4に図示するように、第2の電極202を形成した後、第4の層214、第3の層213、第2の層212、第1の層211を順次積層し、第1の電極を形成してもよい。
【0091】
なお、本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせることが可能である。
【0092】
(実施の形態5)
本実施の形態では、発光素子の光学設計について説明する。
【0093】
実施の形態2〜4に示した発光素子において、各発光色を発する発光素子ごとに、少なくとも第1の電極及び第2の電極を除く各層のいずれか一つの膜厚を異ならせることにより、発光色毎の光の取り出し効率を高めることができる。
【0094】
例えば、図10に示すように、赤系色(R)、緑系色(G)、青系色(B)を発光する発光素子は、反射電極である第1の電極1101、及び透光性を有する第2の電極1102を共有しており、それぞれ第1の層1111R、1111G、1111B、第2の層1112R、1112G、1112B、第3の層1113R、1113G、1113B、第4の層1114R、1114G、1114Bを有する。そして、第1の層1111R、1111G、1111Bの厚さを発光色毎に異ならせる。
【0095】
なお、図10に示す発光素子において、第2の電極1102の電位よりも第1の電極1101の電位が高くなるように電圧を印加すると、第1の層1111から第2の層1112へ正孔が注入される。第3の層1113および第4の層1114の界面近傍にて電子の授受が行われ、電子と正孔が発生し、第3の層1113は電子を第2の層1112に輸送すると同時に、第4の層1114は正孔を第2の電極1102に輸送する。正孔と、電子とが、第2の層1112において再結合し、発光物質を励起状態にする。そして、励起状態の発光物質は、基底状態に戻るときに発光する。
【0096】
図10に示すように、第1の層1111R、1111G、1111Bを発光色毎に異ならせることにより、直接第2の電極を介して認識する場合と、第1の電極で反射して第2の電極を介して認識する場合とで光路が異なることによる、光の取り出し効率の低下を防止することができる。
【0097】
具体的には、第1の電極に光が入射した場合、反射光には位相の反転が生じ、これによって生じる光の干渉効果が生じる。その結果、発光領域と反射電極との光学距離、つまり屈折率×距離が、発光波長の(2m−1)/4倍(mは任意の正の整数)、即ち、1/4、3/4、5/4・・・倍の時には、発光の外部取り出し効率が高くなる。一方、m/2倍(mは任意の正の整数)即ち、1/2、1、3/2・・・倍の時には発光の外部取り出し効率が低くなってしまう。
【0098】
したがって、本発明の発光素子において、発光領域と反射電極との光学距離、つまり屈折率×距離が、発光波長の(2m−1)/4倍(mは任意の正の整数)となるように、第1の層から第4の層のいずれかの膜厚を各発光素子で異ならせる。
【0099】
特に、第1の層から第4の層において、電子と正孔が再結合する層から反射電極との間の層の膜厚を異ならせるとよいが、電子と正孔が再結合する層から透光性を有する電極との間の膜厚を異ならせてもよい。さらに両者の膜厚を異ならせても構わない。その結果、発光を効率よく外部に取り出すことができる。
【0100】
第1の層から第4の層のいずれかの膜厚を異ならせるためには、層を厚膜化する必要がある。本発明の発光素子は、厚膜化する層に、実施の形態1で示した混合材料を含む層を用いることを特徴とする。
【0101】
一般に、発光素子の層を膜厚化すると、駆動電圧が増加してしまうため、好ましくなかった。しかし、厚膜化する層に、実施の形態1で示した混合材料を用いると、駆動電圧自体を低くでき、厚膜化することによる駆動電圧の上昇を抑制することができる。
【0102】
なお、図10では、赤系色(R)の発光素子の発光領域と反射電極との光学距離が発光波長の1/4倍、緑系色(G)の発光素子の発光領域と反射電極との光学距離が発光波長の3/4倍、青系色(B)の発光素子の発光領域と反射電極との光学距離が発光波長の5/4倍のものを示した。なお、本発明はこの値に限られず、適宜mの値を設定することが可能である。また、図10に示すように、発光波長の(2m−1)/4倍のmの値は各発光素子で異なっていてもよい。
【0103】
また、第1の層から第4の層のいずれかを厚膜化することにより、第1の電極と第2の電極とが短絡することを防止でき、量産性を高めることもでき、非常に好ましい。
【0104】
このように本発明の発光素子は、少なくとも第1の層から第4の層のいずれかの膜厚を、各発光色で異ならせることができる。このとき、電子と正孔が再結合する層から反射電極との間となる層の膜厚を、各発光色で異ならせることが好ましい。さらに厚膜化する必要のある層には、実施の形態1で示した混合材料を含む層とすると、駆動電圧が高くならず好ましい。
【0105】
なお、本実施の形態では、実施の形態4に示した構成の発光素子を用いて説明したが、他の実施の形態と適宜組み合わせることも可能である。
【0106】
(実施の形態6)
本実施の形態では、本発明の発光素子を有する発光装置について説明する。
【0107】
本実施の形態では、画素部に本発明の発光素子を有する発光装置について図5を用いて説明する。なお、図5(A)は、発光装置を示す上面図、図5(B)は図5(A)をA−A’およびB−B’で切断した断面図である。点線で示された601は駆動回路部(ソース側駆動回路)、602は画素部、603は駆動回路部(ゲート側駆動回路)である。また、604は封止基板、605はシール材であり、シール材605で囲まれた内側は、空間607になっている。
【0108】
なお、引き回し配線608はソース側駆動回路601及びゲート側駆動回路603に入力される信号を伝送するための配線であり、外部入力端子となるFPC(フレキシブルプリントサーキット)609からビデオ信号、クロック信号、スタート信号、リセット信号等を受け取る。なお、ここではFPCしか図示されていないが、このFPCにはプリント配線基盤(PWB)が取り付けられていても良い。本明細書における発光装置には、発光装置本体だけでなく、それにFPCもしくはPWBが取り付けられた状態をも含むものとする。
【0109】
次に、断面構造について図5(B)を用いて説明する。素子基板610上には駆動回路部及び画素部が形成されているが、ここでは、駆動回路部であるソース側駆動回路601と、画素部602中の一つの画素が示されている。
【0110】
なお、ソース側駆動回路601はnチャネル型TFT623とpチャネル型TFT624とを組み合わせたCMOS回路が形成される。また、駆動回路を形成するTFTは、種々のCMOS回路、PMOS回路もしくはNMOS回路で形成しても良い。また、本実施例では、基板上に駆動回路を形成したドライバー一体型を示すが、必ずしもその必要はなく、基板上ではなく外部に形成することもできる。
【0111】
また、画素部602はスイッチング用TFT611と、電流制御用TFT612とそのドレインに電気的に接続された第1の電極613とを含む複数の画素により形成される。なお、第1の電極613の端部を覆って絶縁物614が形成されている。ここでは、ポジ型の感光性アクリル樹脂膜を用いることにより形成する。
【0112】
また、被覆性を良好なものとするため、絶縁物614の上端部または下端部に曲率を有する曲面が形成されるようにする。例えば、絶縁物614の材料としてポジ型の感光性アクリルを用いた場合、絶縁物614の上端部のみに曲率半径(0.2μm〜3μm)を有する曲面を持たせることが好ましい。また、絶縁物614として、光の照射によってエッチャントに不溶解性となるネガ型、或いは光によってエッチャントに溶解性となるポジ型のいずれも使用することができる。
【0113】
第1の電極613上には、実施の形態1で示した混合材料を含む層と発光物質を含む層とを含む積層体616、および第2の電極617がそれぞれ形成されている。ここで、陽極として機能する第1の電極613に用いる材料としては、仕事関数の大きい材料を用いることが望ましい。例えば、ITO膜、または珪素を含有したインジウム錫酸化物膜、2〜20wt%の酸化亜鉛を含む酸化インジウム膜、窒化チタン膜、クロム膜、タングステン膜、Zn膜、Pt膜などの単層膜の他、窒化チタン膜とアルミニウムを主成分とする膜との積層、窒化チタン膜とアルミニウムを主成分とする膜と窒化チタン膜との3層構造等を用いることができる。なお、積層構造とすると、配線としての抵抗も低く、良好なオーミックコンタクトがとれ、さらに陽極として機能させることができる。
【0114】
また、実施の形態1で示した混合材料を含む層は、無機化合物である導電性材料と無機化合物である絶縁性材料とを含み、抵抗率が好ましくは5×10〜1×10Ω・cm、より好ましくは、2×10〜5×10Ω・cmである層である。
【0115】
また、発光物質を含む層は、蒸着マスクを用いた蒸着法、インクジェット法、スピンコート法等の種々の方法によって形成される。発光物質を含む層を構成する材料としては、低分子系材料、中分子材料(オリゴマー、デンドリマーを含む)、または高分子系材料であっても良い。また、発光物質を含む層に用いる材料としては、通常、有機化合物を単層もしくは積層で用いる場合が多いが、本発明においては、有機化合物からなる膜の一部に無機化合物を用いる構成も含めることとする。
【0116】
さらに、混合材料を含む層と、発光物質を含む層とを含む積層体616上に形成され、陰極として機能する第2の電極617に用いる材料としては、仕事関数の小さい材料(Al、Ag、Li、Ca、またはこれらの合金MgAg、MgIn、AlLi、CaF、フッ化リチウムまたは窒化カルシウム)を用いることが好ましい。なお、積層体616で生じた光が第2の電極617を透過させる場合には、第2の電極617として、膜厚を薄くした金属薄膜と、透明導電膜(ITO、2〜20wt%の酸化亜鉛を含む酸化インジウム、珪素を含有したインジウム錫酸化物、酸化亜鉛(ZnO)等)との積層を用いるのが良い。
【0117】
さらにシール材605で封止基板604を素子基板610と貼り合わせることにより、素子基板610、封止基板604、およびシール材605で囲まれた空間607に発光素子618が備えられた構造になっている。なお、空間607には、不活性気体(窒素やアルゴン等)が充填される場合の他、シール材605で充填される構成も含むものとする。
【0118】
なお、シール材605にはエポキシ系樹脂を用いるのが好ましい。また、これらの材料はできるだけ水分や酸素を透過しない材料であることが望ましい。また、封止基板604に用いる材料としてガラス基板や石英基板の他、FRP(Fiberglass−Reinforced Plastics)、PVF(ポリビニルフロライド)、マイラー、ポリエステルまたはアクリル等からなるプラスチック基板を用いることができる。
【0119】
以上のようにして、本発明の発光素子を有する発光装置を得ることができる。
【0120】
本発明の発光装置は、導電性材料と絶縁性材料とを含む混合材料を含む層を有し、混合材料を含む層の抵抗率は5×10〜1×10Ω・cm、より好ましくは、2×10〜5×10Ω・cmであるため、駆動電圧を低減することができ、消費電力を低減することが可能となる。
【0121】
また、本発明で用いる混合材料は可視光の透過率が高いため、発光層で発光した光を効率良く外部へ取り出すことができる。
【0122】
また、本発明の発光装置は、導電性材料と絶縁性材料とを含む混合材料を含む層を厚くしても駆動電圧の上昇を抑制することができる。また、本発明で用いる混合材料は、可視光の透過率が高い。よって、混合材料を含む層を厚くして、発光素子の短絡を防止することができる。また、光学設計により発光の外部取り出し効率の向上を実現することができる。よって、消費電力が少なく、信頼性の高い発光装置を得ることができる。
【0123】
以上のように、本実施の形態では、トランジスタによって発光素子の駆動を制御するアクティブ型の発光装置について説明したが、この他、トランジスタ等の駆動用の素子を特に設けずに発光素子を駆動させるパッシブ型の発光装置であってもよい。図6には本発明を適用して作製したパッシブ型の発光装置の斜視図を示す。図6において、基板951上には、電極952と電極956との間には発光物質を含む層と実施の形態1で示した混合材料を含む層とを含む積層体955が設けられている。電極952の端部は絶縁層953で覆われている。そして、絶縁層953上には隔壁層954が設けられている。隔壁層954の側壁は、基板面に近くなるに伴って、一方の側壁と他方の側壁との間隔が狭くなっていくような傾斜を有する。つまり、隔壁層954の短辺方向の断面は、台形状であり、底辺(絶縁層953の面方向と同様の方向を向き、絶縁層953と接する辺)の方が上辺(絶縁層953の面方向と同様の方向を向き、絶縁層953と接しない辺)よりも短い。このように、隔壁層954を設けることで、静電気等に起因した発光素子の不良を防ぐことが出来る。また、パッシブ型の発光装置においても、低駆動電圧で動作する本発明の発光素子を含むことによって、低消費電力で駆動させることができる。
【0124】
(実施の形態7)
本実施の形態は、発光素子と、その発光素子の動作を制御するトランジスタを備えた発光装置の一態様について、図11を参照して説明する。
【0125】
図11において、発光素子は、第1の電極501と第2の電極503の間に、積層体502が挟まれた構成を有している。積層体は502、発光物質を含む層と、混合材料を含む層とで構成され、その詳細は実施の形態1〜5で示されている。第1の電極の周辺端部は、電気絶縁性の有機樹脂材料または無機材料で形成される隔壁層512で覆われている。そして、隔壁層512の開口部、すなわち第1の電極501の露出部に、積層体502と第2の電極503が設けられることによって、この発光装置における発光素子が形成される構成となっている。
【0126】
発光素子の動作を制御するトランジスタは、半導体層504と、ゲート絶縁層506を介してその半導体層と重なるゲート電極505を備えている。ゲート電極505は、タングステン、モリブデン、チタン、タンタルなどの金属、若しくはそれらの金属層の下層側にその金属の酸化物若しくは窒化物であって導電性のある層を設けても良い。
【0127】
発光素子とトランジスタは、ゲート絶縁層506、第1の層間絶縁層507及び第2の層間絶縁層508を貫通する配線によって接続されている。配線は、異なる素子間を電気的に接続するものであり、低抵抗であることが望ましい。しかし、アルミニウムを電極として用いた場合、その表面が酸化してしまうと接触抵抗が増大し、良好なコンタクトを形成できなくなる問題がある。本実施の形態の場合、発光素子の第1の電極にITOを使用すると、アルミニウムの表面が酸化してしまい、また電触により接触抵抗が増大してしまう場合がある。
【0128】
そこで、本実施の形態に示す発光装置では、配線を、第1の導電層509と第2の導電層510で形成している。第1の導電層509は、酸化しても導電性を示す導電性材料または酸化しない導電性材料で形成する。代表的には、チタン、タンタル、タングステン、クロム、ニッケル、モリブデンなどの金属、またはそれらの金属の窒化物若しくは酸化物が適用される。また、第2の導電層510は、アルミニウムまたはアルミニウムを含む合金若しくは化合物で形成する。さらに、第2の導電層510の上には絶縁層511が形成されている。この絶縁層511は、第2の導電層510の表面が酸化し、若しくは腐食するのを防ぐために設けられている。絶縁層511としては、第2の導電層510と反応しにくいものが好ましく、フォトレジストをはじめ、ポリイミド、アクリル、その他の有機脂材料、若しくは、窒化珪素、酸化珪素、その他の無機絶縁材料を適用することができる。
【0129】
この配線は、第1の導電層509の幅が、第2の導電層510の幅よりも広くなるように形成されている。すなわち、第1の導電層509が第2の導電層510から突出した形状となっている。この配線の断面形状は、つばの付いた帽子型(ハット型)と見ることができる。発光素子との接続部においては、第1の電極501が、第1の導電層509の側端部と、第2の導電層510から突き出ている上面部と接している。第1の電極501は、さらに、第2の導電層510の側面部と、絶縁層511の側面部から上面部に延びている。このように、第1の電極501は、配線を形成する第1の導電層509と少なくとも接することにより、電気的な接続を形成している。このような構造により、アルミニウムの表面が酸化してしまった場合でも、配線と発光素子の電気的な接続を可能としている。
【0130】
第1の電極501は、ITOの他に、珪素を含有したインジウム錫酸化物(ITSO)、酸化インジウムに2〜20wt%の酸化亜鉛(ZnO)を混合した酸化インジウム錫亜鉛(IZO)、ガリウムを添加した酸化亜鉛(GZO)、酸化インジウムに酸化チタンを添加した導電性材料(ITiO)、酸化チタンを添加した酸化亜鉛(ZnTiO)などを用いることができる。いずれにしても、第1の電極501は、酸化インジウム又は酸化亜鉛の結晶化を阻害する元素若しくは化合物を含ませて、表面が平坦になるようにすることが望ましい。
【0131】
酸化インジウム又は酸化亜鉛に酸化チタンを含ませた場合、表面のぬれ性を改善することができる。それにより、インクジェット印刷技術やスピン塗布技術を応用した湿式法で積層体502を形成する場合に、酸化チタンを含ませた酸化インジウム又は酸化亜鉛を好適に用いることができる。また、第1の電極501を、酸化インジウムをターゲットとしてスパッタリング法で形成する場合には、酸化チタンが導電性を示すことにより、異常放電の発生を抑制することができ、成膜工程における粉体汚染や、第1の電極501のピンホールの発生を抑制することができる。この場合において、酸化インジウムに対して、酸化チタンを1〜20wt%、好ましくは3〜10wt%含ませたターゲットを用いると良い。
【0132】
なお、本実施の形態では、配線の構造として、第1の導電層509と、第2の導電層510の二層を用いる場合を例示したが、このような形態に限定されず、電気抵抗の低い導電性材料を含む層と、酸化しても導電性を示す導電性材料を含む層または酸化しない導電性材料を含む層を組み合わせて、複数の層を重ね合わせた構造で、同様な機能を発現する配線を形成しても良い。
【0133】
図12は、この発光装置の入力端子部の構成を示している。外部回路と接続するための接続端子513は、ゲート電極505と同じ導電性材料で形成されている。この接続端子513は、第1の層間絶縁層507及び第2の層間絶縁層508が除去された開口部によって露出している。その露出面には、表面を保護するために、第1の電極501と同じ導電性材料で形成される導電層514が、接続端子513の表面を覆うように形成されている。また、この接続端子は、第1の導電層509及び第2の導電層510で形成される配線と接続するように配設しても良い。なお、第2の導電層510上には絶縁層511が形成されている。
【0134】
以上のように、本実施の形態の発光装置によれば、発光物質を含む層と、無機化合物である導電性材料と、無機化合物である絶縁性材料とを混合した混合材料を含む層とを備えた発光素子と、その発光素子の動作を制御するトランジスタとの電気的な接続を良好な状態に保つことのできる配線を適用することにより、発光装置の低消費電力化を図ることができる。つまり、混合材料を含む層を設けることにより発光素子の低駆動電圧化が可能となり、発光素子の電極と配線との接触抵抗の増大を防ぐことができるため、さらに低消費電力化が可能となる。
【0135】
(実施の形態8)
本実施の形態は、本発明に係る電気器具の態様を図7を参照して説明する。
【0136】
図7(A)は本発明に係るテレビ装置であり、筐体9101、支持台9102、表示部9103、スピーカー部9104、ビデオ入力端子9105等を含む。このテレビ装置において、表示部9103は、実施の形態2〜5で説明したものと同様の発光素子をマトリクス状に配列して構成されている。当該発光素子は、外部への光の取り出し効率が高く、ゴミや衝撃等による短絡を防止することができるという特徴を有している。その発光素子で構成される表示部9103も同様の特徴を有するため、このテレビ装置は画質の劣化がなく、低消費電力化が図られている。このような特徴により、テレビ装置において、劣化補償機能や電源回路を大幅に削減、若しくは縮小することができるので、筐体9101や支持台9102の小型軽量化を図ることが可能である。本発明に係るテレビ装置は、低消費電力、高画質及び小型軽量化が図られているので、それにより住環境に適合した製品を提供することができる。
【0137】
図7(B)は本発明に係るコンピュータであり、本体9201、筐体9202、表示部9203、キーボード9204、外部接続ポート9205、ポインティングマウス9206等を含む。このコンピュータにおいて、表示部9203は、実施の形態2〜5で説明したものと同様の発光素子をマトリクス状に配列して構成されている。当該発光素子は、外部への光の取り出し効率が高く、ゴミや衝撃等による短絡を防止することができるという特徴を有している。その発光素子で構成される表示部9203も同様の特徴を有するため、このコンピュータは画質の劣化がなく、低消費電力化が図られている。このような特徴により、コンピュータにおいて、劣化補償機能や電源回路を大幅に削減、若しくは縮小することができるので、本体9201や筐体9202の小型軽量化を図ることが可能である。本発明に係るコンピュータは、低消費電力、高画質及び小型軽量化が図られているので、住環境に適合した製品を提供することができる。また、持ち運ぶことも可能となり、持ち運ぶときの衝撃にも強い表示部を有しているコンピュータを提供することができる。
【0138】
図7(C)は本発明に係るゴーグル型ディスプレイであり、本体9301、表示部9302、アーム部9303を含む。このゴーグル型ディスプレイにおいて、表示部9302は、実施の形態2〜5で説明したものと同様の発光素子をマトリクス状に配列して構成されている。当該発光素子は、外部への光の取り出し効率が高く、ゴミや衝撃等による短絡を防止することができるという特徴を有している。その発光素子で構成される表示部9302も同様の特徴を有するため、このゴーグル型ディスプレイは画質の劣化がなく、低消費電力化が図られている。このような特徴により、ゴーグル型ディスプレイにおいて、劣化補償機能や電源回路を大幅に削減、若しくは縮小することができるので、本体9301の小型軽量化を図ることが可能である。本発明に係るゴーグル型ディスプレイは、低消費電力、高画質及び小型軽量化が図られているので、装着したときの負担が少なく、違和感なく使用することができる製品を提供することができる。また、装着して動いたときの衝撃にも強い表示部を有するゴーグル型ディスプレイを提供することができる。
【0139】
図7(D)は本発明に係る携帯電話であり、本体9401、筐体9402、表示部9403、音声入力部9404、音声出力部9405、操作キー9406、外部接続ポート9407、アンテナ9408等を含む。この携帯電話において、表示部9403は、実施の形態2〜5で説明したものと同様の発光素子をマトリクス状に配列して構成されている。当該発光素子は、外部への光の取り出し効率が高く、ゴミや衝撃等による短絡を防止することができるという特徴を有している。その発光素子で構成される表示部9403も同様の特徴を有するため、この携帯電話は画質の劣化がなく、低消費電力化が図られている。このような特徴により、携帯電話において、劣化補償機能や電源回路を大幅に削減、若しくは縮小することができるので、本体9401や筐体9402の小型軽量化を図ることが可能である。本発明に係る携帯電話は、低消費電力、高画質及び小型軽量化が図られているので、携帯に適した製品を提供することができる。また、携帯したときの衝撃にも強い表示部を有している製品を提供することができる。
【0140】
図7(E)は本発明の係るカメラであり、本体9501、表示部9502、筐体9503、外部接続ポート9504、リモコン受信部9505、受像部9506、バッテリー9507、音声入力部9508、操作キー9509、接眼部9510等を含む。このカメラにおいて、表示部9502は、実施の形態2〜5で説明したものと同様の発光素子をマトリクス状に配列して構成されている。当該発光素子は、外部への光の取り出し効率が高く、ゴミや衝撃等による短絡を防止することができるという特徴を有している。その発光素子で構成される表示部9502も同様の特徴を有するため、このカメラは画質の劣化がなく、低消費電力化が図られている。このような特徴により、カメラにおいて、劣化補償機能や電源回路を大幅に削減、若しくは縮小することができるので、本体9501の小型軽量化を図ることが可能である。本発明に係るカメラは、低消費電力、高画質及び小型軽量化が図られているので、携帯に適した製品を提供することができる。また、携帯したときの衝撃にも強い表示部を有している製品を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0141】
【図1】本発明の発光素子を説明する図。
【図2】本発明の発光素子を説明する図。
【図3】本発明の発光素子を説明する図。
【図4】本発明の発光素子を説明する図。
【図5】本発明の発光装置を説明する図。
【図6】本発明の発光装置を説明する図。
【図7】本発明の発光装置を有する電気器具を説明する図。
【図8】本発明の発光素子を説明する図。
【図9】本発明の発光素子を説明する図。
【図10】本発明の発光素子を説明する図。
【図11】発光素子と、その発光素子の動作を制御するトランジスタを備えた発光装置の一態様を示す図。
【図12】発光素子と、その発光素子の動作を制御するトランジスタを備えた発光装置における接続端子部の一態様を示す図。
【符号の説明】
【0142】
101 基板
102 第1の電極
103 第1の層
104 第2の層
105 第3の層
106 第4の層
107 第2の電極
200 基板
201 第1の電極
202 第2の電極
211 第1の層
212 第2の層
213 第3の層
214 第4の層
302 第1の電極
303 第1の層
304 第2の層
305 第3の層
306 第4の層
307 第2の電極
400 基板
401 第1の電極
402 第2の電極
411 第1の層
412 第2の層
413 第3の層
501 第1の電極
502 積層体
503 第2の電極
504 半導体層
505 ゲート電極
506 ゲート絶縁層
507 第1の層間絶縁層
508 第2の層間絶縁層
509 第1の導電層
510 第2の導電層
511 絶縁層
512 隔壁層
513 接続端子
514 導電層
601 ソース側駆動回路
602 画素部
603 ゲート側駆動回路
604 封止基板
605 シール材
607 空間
608 配線
609 FPC(フレキシブルプリントサーキット)
610 素子基板
611 スイッチング用TFT
612 電流制御用TFT
613 第1の電極
614 絶縁物
616 積層体
617 第2の電極
618 発光素子
623 nチャネル型TFT
624 pチャネル型TFT
951 基板
952 電極
953 絶縁層
954 隔壁層
955 積層体
956 電極
1101 第1の電極
1102 第2の電極
1111 第1の層
1112 第2の層
1113 第3の層
1114 第4の層
9101 筐体
9102 支持台
9103 表示部
9104 スピーカー部
9105 ビデオ入力端子
9201 本体
9202 筐体
9203 表示部
9204 キーボード
9205 外部接続ポート
9206 ポインティングマウス
9301 本体
9302 表示部
9303 アーム部
9401 本体
9402 筐体
9403 表示部
9404 音声入力部
9405 音声出力部
9406 操作キー
9407 外部接続ポート
9408 アンテナ
9501 本体
9502 表示部
9503 筐体
9504 外部接続ポート
9505 リモコン受信部
9506 受像部
9507 バッテリー
9508 音声入力部
9509 操作キー
9510 接眼部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の電極間に、発光物質を含む層と、無機化合物である導電性材料と無機化合物である絶縁性材料とを含む混合材料を含む層とを有し、
前記混合材料を含む層は、抵抗率が5×10〜1×10Ω・cmであることを特徴とする発光素子。
【請求項2】
一対の電極間に、発光物質を含む層と、無機化合物である導電性材料と無機化合物である絶縁性材料とを含む混合材料を含む層とを有し、
前記混合材料を含む層は、抵抗率が2×10〜5×10Ω・cmであることを特徴とする発光素子。
【請求項3】
請求項1または請求項2において、前記混合材料を含む層は、前記一対の電極のうち少なくとも一方の電極と接していることを特徴とする発光素子。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか一項において、前記混合材料を含む層は、可視光の透過率が80〜100%であることを特徴とする発光素子。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか一項において、前記絶縁性材料は、金属酸化物、金属窒化物、金属酸化窒化物のいずれかであることを特徴とする発光素子。
【請求項6】
請求項1乃至請求項4のいずれか一項において、前記絶縁性材料は、酸化珪素、酸化ゲルマニウム、酸化ガリウム、酸化チタン、酸化モリブデン、酸化アルミニウム、窒化珪素、窒化アルミニウム、酸化窒化珪素のいずれかであることを特徴とする発光素子。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のいずれか一項において、前記導電性材料は、透明導電膜材料であることを特徴する発光素子。
【請求項8】
請求項1乃至請求項6のいずれか一項において、前記導電性材料は、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化錫、酸化カドミウム、酸化ガリウムのいずれかを含むことを特徴とする発光素子。
【請求項9】
請求項1乃至請求項8のいずれか一項に記載の発光素子と、前記発光素子の発光を制御する制御手段とを有する発光装置。
【請求項10】
表示部を有し、
前記表示部は請求項1乃至請求項8のいずれか一項に記載の発光素子と、
前記発光素子の発光を制御する制御手段とを有するテレビ装置。
【請求項11】
表示部を有し、
前記表示部は請求項1乃至請求項8のいずれか一項に記載の発光素子と、
前記発光素子の発光を制御する制御手段とを有するコンピュータ。
【請求項12】
表示部を有し、
前記表示部は請求項1乃至請求項8のいずれか一項に記載の発光素子と、
前記発光素子の発光を制御する制御手段とを有するゴーグル型ディスプレイ。
【請求項13】
表示部を有し、
前記表示部は請求項1乃至請求項8のいずれか一項に記載の発光素子と、
前記発光素子の発光を制御する制御手段とを有する携帯電話。
【請求項14】
表示部を有し、
前記表示部は請求項1乃至請求項8のいずれか一項に記載の発光素子と、
前記発光素子の発光を制御する制御手段とを有するカメラ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2006−303473(P2006−303473A)
【公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−79970(P2006−79970)
【出願日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】