説明

発光素子および発光素子の製造方法

【課題】本発明は、むらなく発光する発光素子を提供する。
【解決手段】本発明の発光素子は、第1電極と、透光性の第2電極と、第1電極と第2電極との間に設けられかつ発光体を内部に有する透光性の担持体部とを備え、第1電極は、前記担持体部と接する表面に複数の凸部を有し、前記凸部の上端と第2電極との間の長さは、第1電極の前記凸部以外の部分と第2電極との間の長さより短いことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光素子および発光素子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
無機エレクトロルミネッセンス(EL)素子は、自己発光する光源として、別途の光源が不要な新たな表示素子等としての利用が期待されているものである。
従来のEL素子には、「分散型」と「薄膜型」の2つのタイプが存在し、その多くが交流駆動によって、発光する。
【0003】
従来の分散型と薄膜型のEL素子については、特許文献1や非特許文献1に記載されているように無機EL素子が無機化合物を用いて実現されている。
従来の分散型EL素子は、電極間に電流経路が遮断された蛍光体粒子(例えば、ZnS:Cu,Clなど)を有する素子に交流電圧を印加することにより、蛍光体粒子が電界発光をする。この蛍光体粒子の粒子径は10μm程度が最適であると考えられ、2〜3μmよりも小さくなると発光輝度が著しく低下することが知られている。なお、この分散型EL素子は、ドナー・アクセプタ間の再結合により発光すると考えられている。
【0004】
また、従来の薄膜型EL素子は、電極間に絶縁層で挟まれた蛍光体の発光層(例えば、発光中心となるMnを母材ZnS中にドープしたZnS:Mnなど)を有する素子に交流電圧を印加することにより、発光層が電界発光する。なお、この薄膜型EL素子は、母材中を走るホットエレクトロンによる発光中心の衝突励起により発光すると考えられている。
【0005】
その一方で、シリコン基板上に無機EL素子を作製する技術の開発が盛んに行われている。情報処理装置や記憶装置であるCMOS回路などはシリコンを基幹として実現されているため、シリコン基板上に無機EL素子を作成することができれば、情報処理装置や記憶装置と発光素子を同一基板上に作製することができる。このことにより、光によるチップ間通信や光コンピューティング技術が可能となり、更なるデジタル電子機器の発展につながることが期待されている。
【0006】
例えば、特許文献2では、シリコン基板上のシリコン窒化膜(絶縁体)中にシリコンのナノメートルオーダーの微粒子を形成し、このシリコン窒化膜に電圧を印加することによって約650nmのピークを有するエレクトロルミネセンスが確認されたことが報告されている。
【0007】
なお、従来の絶縁体膜中に微粒子を形成した発光素子は、絶縁体膜の両側の電極に電圧を印加し、絶縁体膜に7MV/cm程度の強い電界を印加することが必要である。このことにより、電極の電子が絶縁体膜の伝導帯にFN(ファウラー・ノルドハイム)トンネリングによって供給され、この電子が電界により加速され十分な運動エネルギーを得た後、微粒子に衝突する。衝突した電子は、微粒子の電子を励起し、この励起された電子により発光すると考えられている。
【特許文献1】特開2007−265986号公報
【非特許文献1】最新無機EL開発動向〜材料特性と製造技術・応用展開〜、第1版、情報機構、2007年3月27日
【特許文献2】特開平11−310776号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、絶縁体膜中に微粒子を形成した従来の発光素子は、発光にむらが生じるという問題がある。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、むらなく発光する発光素子を提供する。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0009】
本発明の発光素子は、第1電極と、透光性の第2電極と、第1電極と第2電極との間に設けられかつ発光体を内部に有する担持体部とを備え、第1電極は、前記担持体部と接する表面に複数の凸部を有し、前記凸部の上端と第2電極との間の長さは、第1電極の前記凸部以外の部分と第2電極との間の長さより短いことを特徴とする。
【0010】
本発明者は、鋭意研究を行ったところ、絶縁体膜中に発光体を形成した従来の発光素子の発光にむらが生じる原因は、電極間の長さが均一でないことにあることを見出した。このことを図面を使って説明する。図8は、絶縁体膜13中の発光領域14に発光体として蛍光体を分散させた従来の発光素子の概略断面図である。図8のように従来の発光素子15では、シリコン基板11とITO電極12の間の長さのばらつきが生じる。これはシリコン基板11の表面や絶縁体膜13の小さな湾曲、傷、ITO電極12の形成状態などにより生じる。つまり、シリコン基板11とITO電極12との間の長さがd1の部分とd2の部分が生じる(d2>d1)。このとき、シリコン基板11とITO電極12との間に電圧を印加し絶縁体膜13に7MV/cm程度の強い電界を印加すると、基板11とITO電極12との間の長さが短い部分つまりd1の部分に集中して電子が供給され、その部分が他の部分に比べ強く発光すると考えられる。また、基板11とITO電極12との間の長さが長い部分、つまりd2の部分には電子が供給されにくくこの部分が発光しない又は弱くしか発光しないと考えられる。このため従来の発光素子15では発光のむらが生じていたと考えられる。
【0011】
この発光のむらをなくす方法について検討を行った結果、絶縁体膜の両側の電極間の長さの短い部分が発光領域に均一に分布するように作製することによりこの部分に選択的に電子を供給することができ、この部分を選択的に発光させることができるという知見を得て本発明の完成に至った。
【0012】
このことを図面を用いて説明する。図1(a)は、本発明の一実施形態の発光素子であり凸部としてカーボンナノチューブなどを用いた発光素子の概略断面図である。図1(b)は、本発明の一実施形態の発光素子であり円錐形状の凸部を形成した発光素子の概略断面図である。図1(c)は、第1電極と第2電極の間に電圧を印加した場合の本発明の一実施形態の発光素子の概略断面図である。
【0013】
本発明の発光素子7では図1(a)(b)に示すように凸部2の上端と第2電極3との間の長さD1は、凸部2が形成されていない第1電極1と第2電極3との間の長さD2よりも短くなる。このような本発明の発光素子7の第1電極1と第2電極3との間に電圧を印加すると、凸部2の上端と第2電極3の間の担持体部4に印加される電界は、凸部2が形成されていない部分の第1電極1と第2電極3の間の担持体部4に印加される電界よりも大きくなる。更に、凸部の先端への電界集中効果により、凸部2が形成されていない部分の上端の第1電極1の電子より凸部2の上端の電子が担持体部4に供給されやすくなる。このことにより、凸部2の上端と第2電極3との間に選択的に電子が流れる。
【0014】
この凸部2の上端から供給され担持体部4を流れる電子が第1電極1と第2電極3の間に印加された電界により加速される。この加速された電子により本発明の発光素子は発光するが、そのメカニズムは明らかではない。たとえば次のように考えられる。加速された電子は、担持体部4中の発光体5と相互作用することで発光体5の電子が励起され発光体5が発光すると考えられる。あるいは加速された電子のエネルギーが電磁波等の他のエネルギーに一旦変換された後、発光体5にエネルギーを与え発光体5が発光すると考えられる。このように直接あるいは間接的にエネルギーを与えることで発光体5の電子が励起され発光体5が発光すると考えられる。
【0015】
さらに、本発明の発光素子7では、凸部2が第1電極1の表面に均一に分布させることができるため、図1(c)のように均一に分布した凸部2と第2電極3の間の発光領域6で発光させることができる。その結果、本発明の発光素子7では発光にむらが生じない。なお、この説明では第1電極1から電子が供給されると説明したが、第2電極3から電子が供給される場合も同様の効果が生じる。
【0016】
また、さらに凸部2の上部を尖端形状とすることにより、より凸部2の上端の電子が担持体部4に供給されやすくなる。このことにより凸部2の上端と第2電極3の間の発光体5で発光を生じやすくすることができる。また、凸部2の上部を尖端形状とすることのより、発光する発光領域6をより均一にすることができる。
【0017】
また、本発明の発光素子7では、発光体5をGeO及びGeO2を含む微粒子とすることができる。このことにより、電圧印加を行うことによって特に紫外〜青色(350〜500nm程度)の短波長領域でエレクトロルミネッセンス発光することができる。従来の発光素子の発光は主に可視光領域である。また、そのほとんどは赤色など波長の比較的長い領域の発光である。今後、半導体集積回路内の微細な導波路など、非常に狭い配線や様々な材料でできた配線を利用した光通信への要望が高まると考えられる。そのためには、利用形態に適した様々な波長が必要になることを想定すると、既存の波長だけでなく、より短波長領域で発光する発光素子が必須となる。また、短波長の光は、蛍光体を用いて容易に長波長に変換できるので、種々の光を生成することもできる。従って、本発明の発光素子は、光通信分野のみならず、カラーディスプレイ等への応用も期待できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の一実施形態を図面を用いて説明する。図面や以下の記述中で示す構成は、例示であって、本発明の範囲は、図面や以下の記述中で示すものに限定されない。
【0019】
1.発光素子の構造
本実施形態の発光素子7は、第1電極1と、透光性の第2電極3と、第1電極1と第2電極3との間に設けられかつ発光体5を内部に有する透光性の担持体部4とを備え、第1電極1は、担持体部4と接する表面に複数の凸部2を有し、凸部2の上端と第2電極3との間の長さは、第1電極1の凸部2以外の部分と第2電極3との間の長さより短いことを特徴とする。
第1電極1及び第2電極3間に電圧を印加すると、発光体5から光が放出される。
以下、本実施形態の発光素子7の各構成要素について説明する。
【0020】
1−1.第1電極
第1電極1は、導電性物質からなり担持体部4と接する表面に複数の凸部2を有するものであれば特に限定されない。第1電極1と凸部2は、同じ材料であっても異なる材料であってもよい。例えば、第1電極1の凸部2以外の部分は、導電性のシリコン基板である。
【0021】
1−2.凸部
凸部2は、導電性物質からなり、第1電極1の担持体部4と接する表面の凸部であれば、特に限定されない。凸部2は、第1電極とおなじ材料であっても異なる材料であってもよい。
凸部2は、例えば、カーボンナノチューブあるいは円錐形状の金属又はシリコンであってもよい。
【0022】
また、凸部2の上端と第2電極3との間の長さD1は、凸部2が設けられていない部分の第1電極1と第2電極3との間の長さD2より短い。このことにより、第1電極1と第2電極3との間に電圧を印加すると、凸部2の上端と第2電極3との間の担持体部4に印加される電界は、凸部2が設けられていない部分の第1電極1と第2電極3との間に印加される電界よりも大きくなる。その結果、凸部2の上端と第2電極3との間で電子放出が起こりやすくなり、凸部2の上端と第2電極3との間の発光領域6で発光が起こりやすくなる。
また、第1電極1の凸部2以外の部分と第2電極3との間の長さを、凸部2の上端と第2電極3との間の長さの1.1倍以上(例えば、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9又は2倍以上)の長さとすることができる。このことにより、凸部2の上端と第2電極3との間の発光領域6で発光をより起こりやすくすることができる。
【0023】
また、凸部2の上端と第2電極3との間の長さを5nm以上100nm以下(例えば5、10、20、30、40、50、60、70、80、90及び100nmのうちいずれか2つの間の範囲)とすることができる。このことにより、凸部2の上端と第2電極3との間で電子放出が起こりやすくすることができる。
また、凸部2を発光領域6(発光体5が形成された領域)の第1電極1側の担持体部4と接する第1電極1の表面に均一に形成することができる。このことにより、凸部2の上端と第2電極3との間の発光が起こりやすい発光領域6を発光領域6に均一に生じさせることができる。このことにより、本実施形態の発光素子7の発光のむらをなくすことができる。なお、本発明で「均一」とは第1電極1の表面を凸部2が一定の数含まれるように均等に分割したとき、分割された第1電極の表面に形成された凸部2の数にばらつきが少ないことをいう。
【0024】
また、凸部2の上部を尖端形状にすることもできる。ここで尖端形状とは、0度以上150度以下の角度を有する形状をいう。なお、形状全体としてこの角度を有すれば、角部分が丸みをおびているものも含む。また、尖端形状は、例えば円錐や角錐のように一点を頂点とした形状でもよく、例えば包丁の刃のように線を頂点とした形状でもよい。また、例えば棒状の形状でもよい。また、尖端形状の頂点の先が第2電極3に向かう形状でもよい。凸部2の上部を尖端形状にすることのより、凸部2の尖端部と第2電極3の間で電子放出がよりおこりやすくすることができる。また、尖端部は、点または線として形成することができるため、凸部2の上端と第2電極3との間の発光が起こりやすい発光領域6を発光領域6により均一に生じさせることができる。また、凸部2は頂点を含む面で切った断面において、稜線は下により凸な形状とすることや、頂点の曲率半径をより小さくすることができる。すなわち言い換えると、凸部2を頂点から遠ざかるほど傾斜がゆるくなった円錐形状とすることや、最先端部をより尖った形状とすることができる。この場合、第1電極1と第2電極3の間により低い電圧を印可することにより発光素子を発光させることができる。また、凸部2をこのような形状にすることにより、発光強度をより強くすることができる。
また、隣接する2つの凸部2は、10nm以上3μm以下(例えば、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、150、200、300、500、1000、2000及び3000nmのうちいずれか2つの間の範囲)の間隔とすることができる。このことにより凸部2の上端と第2電極3との間の発光が起こりやすい発光領域6を発光領域6により均一に生じさせることができる。
【0025】
1−3.第2電極
第2電極3は、透光性の導電性材料からなり、第1電極1との間に電圧を印可し担持体部4に対して電界を印加することができるものであればその構成は特に限定されない。例えば、第2電極3は、ITO電極とすることができる。なお、本発明において、透光性とは、発光素子の発光波長の光を透過することができることをいう。
【0026】
1−4.担持体部
担持体部4は、第1電極1と第2電極3との間に設けられかつ発光体5を内部に有しかつ、光の取出し及び電圧印加により発光を生じるものであれば特に限定されない。典型的には透光性の絶縁体である。また、例えば不純物濃度の低い半導体でもよい。この場合、発光源である発光体5と第2電極3との間の距離が短いことが好ましい。例えばSiCやGaNなどのワイドギャップ半導体であればその厚さが100nm程度以下であれば、波長300〜500nm程度の光を40〜80%程度透過する。つまり、バルク状態ではなく、本発明の実施に用いる状態において、発光体5を内部に有し、透過性を有し、電圧印加によって第1及び、第2の電極間に電子が供給され、発光を生じればよい。担持体部4の光透過率は特に限定されないが、波長300〜500nmの光の透過率が80%以上であることが好ましい。発光体5がGeO及びGeO2を含む微粒子である場合、発光体5を含む担持体から放出される光のピーク波長は400nm前後であるので、波長300〜500nmでの光透過率が高ければその分だけ光取り出し効率が高くなるからである。また、担持体の材料は、特に限定されないが、担持体部4は、絶縁体からなることが好ましい。この場合、発光に寄与することなく電極間を流れる電流を低減できるので、実効的な発光効率を向上することができ、低消費電力で発光が可能だからである。例えば、担持体部4は、酸化シリコン、窒化シリコン又は酸窒化シリコンからなる。この場合、シリコン系の絶縁膜であり、シリコンはゲルマニウムよりも酸素と結合しやすいので、ゲルマニウム原子が不必要に酸素と結合せず、また酸化シリコン、窒化シリコン又は酸窒化シリコンは比較的酸素を透過しにくいのでゲルマニウム原子が外気の浸透によって酸化されないので、発光が安定し劣化も少ない。また、酸化シリコン、窒化シリコン又は酸窒化シリコンは通常のシリコン半導体プロセスで製膜可能であるので量産性に優れる上、他の電子回路と組み合わせることが可能である。
【0027】
担持体部4の厚さは、凸部2の上端部で、例えば5nm以上100nm以下(例えば5、10、20、30、40、50、60、70、80、90及び100nmのうちいずれか2つの間の範囲)であり、凸部2以外の部分で、例えば、12nm以上1000nm以下である。
また、担持体部4の光透過率は、例えば波長300〜500nmの光の透過率が80%以上であることが好ましい。発光体5がGeO及びGeO2を含む微粒子である場合、発光体5から放出される光のピーク波長は390nm前後であるので、波長300〜500nmでの光透過率が高ければその分だけ光取り出し効率が高くなるからである。
また、担持体部4が酸化シリコン、窒化シリコン又は酸窒化シリコンからなり、凸部2が主としてシリコンまたはカーボンからなる場合、特性が安定する。これは、凸部2の先から電子が放出されるのに伴い、凸部2を構成する原子、すなわちシリコンやカーボンの場合、シリコンやカーボンが離脱することが抑制されるため、電子放出特性が安定するためと考えられる。もし、劣化がおこれば凸部2の高さや形状が変化して電界の強さが変化するからである。
【0028】
1−5.発光体
発光体5は、担持体部4に形成されたもので発光源となるものであれば、特に限定されない。また、発光体5は担持体部4に複数形成されたものでもよい。
また、発光体5は、例えば微粒子、金属原子、金属イオンであり、また、例えば、ゲルマニウム、シリコン又はスズの微粒子である。また、発光体5は例えばGeO及びGeO2を含む微粒子とすることができる。この場合、発光体5はゲルマニウム(金属)を含んでもよい。
発光領域6中の発光体5の数密度は、特に限定されないが例えば、1×1016個/cm3〜1×1021個/cm3である。
【0029】
なお、発光体とは、従来無機EL素子において、分散型の場合の蛍光体、薄膜型の場合の発光中心のことである。蛍光体としては例えばZnS微粒子など、発光中心としてはZnS中のMnなどが知られている。これら従来型の発光体のなかには、青色(460〜480nm程度)を発光する材料も存在するが100V程度かそれ以上の高電圧が必要な上に、充分な輝度が得られていない。
【0030】
発光体5が微粒子の場合、発光体5は、好ましくは、最大粒径が1nm以上20nm以下である。この場合、発光効率が特に高くなるからである。本発明において、「最大粒径」とは、担持体部4の任意の断面(図1のような断面であってもよく、紙面に垂直な断面であってもよい。)の100nm角の範囲をTEM観察した場合に観察できた微粒子のうち粒径が最も大きいものの粒径を意味する。また、本発明において「粒径」とは、断面TEM写真で見た場合に、TEM写真に射影され微粒子の平面像が含むことのできる最も長い線分の長さを意味する。微粒子の最大粒径は、例えば、1,2,3,4,5,6,7,8,9、10、12、14、16、18又は20nmである。微粒子の最大粒径は、ここで例示した何れか2つの数値の間の範囲内であってもよく、何れか1つの数値以下であってもよい。
【0031】
発光体5がGeO及びGeO2を含む微粒子の場合、酸化ゲルマニウム全体(GeO2+GeO)に対するGeOの割合は、XPSスペクトルのGeの3dピーク付近のスペクトルにおいて、GeO2に起因するピークの面積SGeO2と、GeOに起因するピークの面積SGeOを求め、SGeO/(SGeO2+SGeO)を算出することによって求めることができる。XPS測定のためのX線源には、例えば単色化したAl、Kα線(1486.6eV)を用いることができる。GeO2に起因するピークとGeOに起因するピークは、裾野が重なるが、図2に示すようにガウスフィッティングを行ってGeO2に起因するピークとGeOに起因するピークとを波形分離することによって面積SGeO2及びSGeOを求めることができる。GeO2及びGeOのピークエネルギーは、それぞれ約33.5,32eVである。
【0032】
発光体5がGeO及びGeO2を含む微粒子の場合、発光体に含まれるGeOとGeO2の合計を100%としたときGeOを10%以上含むことができる。GeOの割合が小さすぎると発光しなかったり発光強度が小さくなりすぎる可能性がある。GeOの割合は、具体的には例えば10、20、30、40、50、60、70、80、90、95、99、100%である。GeOの割合は、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
【0033】
ところで、XPSスペクトルのGeの2pピーク付近のスペクトルにおいて、ゲルマニウム(Ge)に起因するピークの面積SGeと、酸化ゲルマニウム(GeO+GeO2)に起因するピークの面積S酸化Geを求め、SGeO/(SGe+S酸化Ge)を算出することによってGeの酸化率を求めることができる。この酸化率の平均値は、特に限定されないが、例えば、1,5,10,15,20,25,30,34.9,35,40,45,50,55,60,60.1,65,70,70.1,75,80,85,90,95,99,100%である。この酸化率の平均値は、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
【0034】
1−6.発光領域
発光領域6は、担持体部4の内部の発光体5が形成された領域であり、第1電極1と第2電極3の間に電圧を印加したときに発光することができる領域である。発光領域6は、担持体部4の全体に形成されていてもよく、担持体部4の一部に形成されていてもよい。
【0035】
1−7.発光素子の使用方法
本実施形態の発光素子7は、第1電極1と第2電極3の間に電圧を印加することによって発光させることができる。印加する電圧は、直流電圧であっても交流電圧であってもよい。交流電圧の波形は、例えば正弦波であり、その電圧は、例えば5〜100Vp−pであり、その周波数は、例えば0.1〜10kHzである。この電圧は、具体的には例えば5、10,20,30,40,50,60,70,80,90,100Vp−pである。この電圧は、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。この周波数は、具体的には例えば0.1,0.2,0.5,1,2,5,10kHzである。この周波数はここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
【0036】
2.発光素子の製造方法
2−1.第1電極の形成
凸部2を有する第1電極1は、例えば導電性のシリコン基板を用いて形成することができる。ここでは、一例としてエッチングを利用した形成方法、レーザーアニールを利用した形成方法及びカーボンナノチューブを形成する方法について説明する。
【0037】
2−1―1.エッチングを利用した形成方法
第1電極1の表面にドット状のエッチングマスクを形成し、第1電極1の表面のエッチングを行う。エッチングでは、マスクを形成していない第1電極1から除去されていき、また、ドット状のエッチングマスクの下の第1電極1の外側から徐々に除去されていく。エッチングを続けていくと、ドット状のエッチングマスクの中心部の直下の第1電極1を頂点とした円錐形の第1電極1をエッチングされずに残すことができる。この後、マスクを除去することにより、円錐形状の凸部2を有する第1電極1を形成することができる。
【0038】
2−1−2.レーザーアニールを利用した形成方法
例えば、シリコン基板にコヒーレントな直線偏光レーザービームを横方向に移動させながら照射し、この照射をシリコン基板の縦方向に順次行い、アニール処理する。このアニール処理において、周期的な光強度分布に対応した温度分布がシリコン基板に生じる。このため、シリコン基板の表面には、周期的なモジュレーションを有するストライプ形状が形成される。さらに、このシリコン基板を照射面の垂直軸周りに90℃回転させ、再度レーザービームを照射し、同様のアニール処理を行うことができる。このことにより、90℃に交差するストライプの交点にアイランド状の凸部2を有する第1電極1を形成することができる。例えば、532nmの波長のレーザーを用いて上記のシリコン基板のアニール処理を行った場合、間隔が約500〜550nmで高さが30〜50nmの凸部を有する第1電極1を形成することができる。
【0039】
2−1−3.カーボンナノチューブの形成
メッキ法により第1電極1の表面にカーボンナノチューブ成長において触媒作用を有する材料(例えば、鉄、ニッケル、コバルト等の鉄族金属や白金、ロジウム等)を形成し、その後、メタン、エタン、プロパン、エチレン、プロピレン等の炭化水素系ガスを流し、熱CVD法、プラズマCVD法により第1電極1の表面にカーボンナノチューブを作成することができる。
【0040】
2−2.担持体部の形成
第1電極1の上に担持体部4を形成することができる。例えば、酸化シリコンや窒化シリコンをCVDやスパッタリングで堆積し第1電極1の上に担持体部4を形成することができる。第1電極1の表面には、凸部2が形成されているため担持体部4の上面に凸部が反映された凸部が形成される場合があるが、この場合には、CMP等で担持体部4の上面を平坦化することができる。
【0041】
2−3.発光体の形成
担持体部4の内部に発光体5を形成する。担持体部4中に発光体5を形成する方法は、特に限定されないが、一例では、担持体部4に対して金属イオンをイオン注入する方法が考えられる。また、発光体5がGeO及びGeO2を含む微粒子の場合、担持体部4に対してゲルマニウムをイオン注入し、その後、熱処理を行う方法が考えられる。イオン注入後の熱処理によってイオンが凝集して多数の微粒子が担持体部4中に形成されるとともにGeが酸化されてGeOおよびGeO2が形成される。ゲルマニウムのイオン注入は、例えば、注入エネルギー5〜100keVで注入量1×1014〜1×1017ions/cm2の条件で行うことができる。
【0042】
GeOとGeO2の割合は、ゲルマニウムの注入量、熱処理時間、熱処理温度、熱処理雰囲気等を変化させることによって適宜調節することができる。具体的には熱処理雰囲気中の酸素の分圧や流量を調整することによってGeOの割合を高めることができる。例えば膜厚50nmの酸化シリコン中のゲルマニウムの原子濃度が10%以下の場合において、1時間、800℃の熱処理においては、真空引き(毎分400リットル)しながら不活性ガスを供給(毎分50ミリリットル)した場合は、ゲルマニウムは一部酸素と結合するが酸素が不足しているので完全には酸化されずGeOが生成できる。不活性ガスに体積20%の酸素を混合した1気圧の雰囲気中では、酸素の供給過多でGeO2が多く形成され、GeOが減少する。GeOの割合を高めるのに適した雰囲気は、ゲルマニウムの注入条件や熱処理時間、温度など他のパラメーターにも左右されるが、一例では、ゲルマニウムの原子濃度を比較的高くし、不活性ガスに酸素を混合したガスを真空引きしながら供給することによってGeOの割合を高めることができる。
【0043】
また、ゲルマニウムは、担持体部4中のゲルマニウム濃度が0.1〜20原子%になるようにイオン注入することが好ましい。1時間、800℃の熱処理において、真空引き(毎分400リットル)しながら不活性ガスを供給(毎分50ミリリットル)した場合は、この範囲であれば発光するからである。ゲルマニウム濃度は、具体的には例えば0.1,0.2,0.5,1.0,1.4,2,3,5,6,10,11,15,20原子%である。更に好ましくは、2〜11原子%である。下記に記すEL実験では、2原子%以上でも発光が目視で確認でき、11原子%を超えると発光強度が低下したため、この範囲であれば発光効率が良くなると考えられる。この濃度は、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。ゲルマニウム濃度は、例えば高分解能RBS(ラザフォード後方散乱)法によって測定することができる。その他、SIMS(二次イオン質量分析法)等の様々な分析法によって測定することが可能である。なお、ゲルマニウム濃度の測定は、ゲルマニウム濃度がピーク値の1/100以上となる範囲で行う。熱処理の温度は、400〜1000℃が好ましく、700〜900℃がさらに好ましい。この範囲であればEL実験結果、発光効率が比較的高くなるからである。
【0044】
2−4.第2電極の形成
発光体5が形成された担持体部7の上に透光性の第2電極を形成する。例えばITO電極をスパッタリングにより形成することができる。
【0045】
3−1.EL実験
以下の方法でまず参考実験として凸部2を形成していない発光素子を作製しEL実験を行った。
まず酸素雰囲気中,1000℃、40分でシリコン基板を熱酸化することによって表面にシリコン熱酸化膜を形成した。
次に、シリコン熱酸化膜中にGeイオンを50keVで6.0×1015ions/cm2、20keVで2.0×1015ions/cm2、10keVで9.0×1014ions/cm2の条件でこの順番で多重に注入した。
【0046】
次に、ロータリーポンプで引きながら、窒素を流入させ、800℃で1時間熱処理した。この熱処理中に注入したGeの凝集及び酸化によってGeが酸化されて少なくとも一部がGeOに酸化される。
次に、シリコン熱酸化膜上にITO電極を形成し、シリコン基板側にアルミニウム電極を形成し、EL実験に用いる発光素子を得た。
【0047】
この発光素子のITO電極とアルミニウム電極の間に交流電圧(正弦波、60Vp−p、1kHz)を印加したところ青色の発光が確認された。
また、この青色の発光の発光スペクトルを図3に示す。図3を参照すると、確認された青色の発光は、300nmから550nmの波長の光であり、350nmから500nmの間にピークを有するエレクトロルミネッセンス発光であることが分かった。
また、交流電圧の代わりに50Vの直流電圧を印加したところ、同様の発光スペクトルであった。
【0048】
次にシリコン基板に上記エッチングを利用した方法でシリコンの凸部を形成した後に、酸化シリコン膜を形成し、その他は上記と同様の工程で発光素子を作製しEL実験をおこなった。その結果、発光に必要な直流電圧は最大で約50%程度に低電圧化した。また発光領域の明るさの均一性も向上した。
また、シリコン基板上にZnS微粒子を用いた従来型EL素子を形成し、同様に凸部の有る無しを同様の実験で比較したところ、発光に必要な交流電圧が約10%程度低電圧になった。
このように本発明によって発光のむらの低減と動作電圧の低電圧化することが確認された。
【0049】
3−2.GeOおよびGeO2と発光との関係
以下に示す方法によって、GeOおよびGeO2が本発明の発光素子の発光に関与していることを確認した。
【0050】
まず、上記実施の形態と同様の工程で、サンプル作製をおこなった。ただし、アニールの工程では雰囲気を水素に変更した。アニール炉の炉内および配管は、残留酸素が極力少なくなるように充分な真空引きと置換作業を行った。
その上で、同様の手順でEL実験を行ったところ、発光強度が弱かった。これは、窒素中のアニールでは、Geは注入中にSiO2から解離した酸素や、供給窒素あるいは炉内の残留酸素によって酸化するが、本実験の水素中アニールではGeの酸化に寄与する酸素が少なく、また水素によって酸化したGeが還元されGeがほとんど酸化しなかったためと考えられる。
従って、本発明の発光素子の発光には、GeO及びGeO2が関与していることが確認できた。
【0051】
次に、互いに異なる種々の温度条件と注入条件で発光素子を作製し、EL波長を測定した。EL波長の測定には、島津製作所製、分光蛍光光度計RF−5300PCに改造を加えた装置を用いた。発光素子の作製方法は、熱処理温度やGe注入量を適宜変化させた以外は「3−1.EL実験」で説明した通りである。
【0052】
得られた結果を図4、図5に示す。図4中の温度は、熱処理温度(時間は1時間)を示す。図5中の「原子%」は、Ge注入後のシリコン熱酸化膜内でのGe濃度を示す。このGe濃度は、「KOBELCO製HRBS500」を用いてラザフォード後方散乱法によって測定した。具体的には、450keVでHeイオンビームを照射し、反跳粒子を磁場型エネルギー分析器を用いて分析した。シリコン酸化膜中のゲルマニウム原子の深さ分布をシリコン酸化膜中のシリコン原子からの散乱を基準して求めることができる。本実験ではシリコン酸化膜とシリコンの密度を2.2と2.33g/cm3として計算した。図4でのGe濃度は5原子%であり、図5での熱処理温度は800℃(時間は1時間)である。
【0053】
図4,図5を参照すると、熱処理温度やGe濃度が変わってもELのピーク波長は、ほぼ400nmで一定であることが分かる。
【0054】
ところで、図4を参照すると、熱処理温度は、400〜1000℃が好ましく、700〜900℃がさらに好ましいことが分かる。また、図5を参照すると、Ge濃度は、0.1〜20原子%が好ましく、2〜11原子%がさらに好ましいことが分かる。
【0055】
3−3.Ge,GeO,GeO2の割合の深さ方向分布
「3−1.EL実験」で説明した方法に従って発光素子を作製し、シリコン熱酸化膜内でのGe,GeO,GeO2の割合の深さ方向分布を調べた。ここで作製した発光素子のGe濃度は5原子%であり、熱処理温度は800℃(時間は1時間)である。
XPSは通常試料表面から深さ数nmの範囲の分析ができるので、アルゴンイオンビームによるエッチングとXPS測定を交互に行うことによって、深さ50nmまでの領域においてGe,GeO,GeO2の割合の深さ方向の変化を調べた。アルゴンイオンビームのエネルギーは4kV,ビーム電流は15mAで、1回当り300秒照射した。その時のXPS測定結果を各深さについて、分かり易いように縦方向にグラフを平行移動して並べたものを図6(a)に示す。また、各深さに含まれるGe原子の状態を、Ge(金属Ge),GeO,GeO2の割合で示したグラフを図6(b)に示す。
【0056】
これによると、「3−1.EL実験」で説明した注入方法でGeの注入濃度が比較的高い深さ10〜50nmの領域では、酸化されていないGeの割合は30〜70%である。GeO2は0〜20%の間で、およそ10%である。Geが完全に酸化されず一部酸化したGeOは10〜50%の間である。
【0057】
各深さでのGe,GeO,GeO2の割合は、スペクトルのGeの3dピーク付近のXPSスペクトルにおいて、Geに起因するピークの面積SGeと、GeOに起因するピークの面積SGeOと、GeO2に起因するピークの面積SGeO2とを求め、(SG,SGeO,SGeO2)/(SG+SGeO+SGeO2)を各深さで算出することによって求めた。また、各深さでの、酸化ゲルマニウム全体(GeO2+GeO)に対するGeO,GeO2の割合を図7のグラフに示す。
【0058】
これによると、酸化ゲルマニウムの内、完全に酸化されてGeO2となっている割合は、ゲルマニウムの濃度が低く、雰囲気の影響を強く受けてゲルマニウムが完全に酸化されやすい表面近傍を除いて、およそ20〜60%の間で、Geが完全に酸化されず一部酸化したGeOはおよそ40〜80%の間である。「3−1.EL実験」で説明した注入方法でGeの注入濃度が比較的高い深さ10〜40nmの領域では、酸化ゲルマニウムの内、完全に酸化されてGeO2となっている割合はおよそ50%以下で、およそ20〜30%である。Geが完全に酸化されず一部酸化したGeOはおよそ50%以上で70〜80%である。各深さでのGeO,GeO2の割合は、スペクトルのGeの3dピーク付近のXPSスペクトルにおいて、GeOに起因するピークの面積SGeOと、GeO2に起因するピークの面積SGeO2とを求め、(SGeO,SGeO2)/(SGeO+SGeO2)を各深さで算出することによって求めた。XPSスペクトルは、X線源として単色化したAl、Kα線(1486.6eV)を用いて測定した。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】(a)〜(c)は、本発明の一実施形態の発光素子の概略断面図であり、(a)は凸部としてカーボンナノチューブなどを用いた発光素子、(b)は、円錐形状の凸部を形成した発光素子、(c)は、第1電極と第2電極の間に電圧を印加したときの発光素子の概略断面図である。
【図2】ガウスフィッティングを説明するためのXPSスペクトルの一例を示したグラフである。
【図3】EL測定実験のために作製した発光素子の発光スペクトルを示したグラフである。
【図4】種々の温度で熱処理を行って作製した発光素子についてのEL波長測定結果を示したグラフである。
【図5】種々のGe濃度の発光素子についてのEL波長測定結果を示したグラフである。
【図6】(a)は種々の深さで測定したXPSスペクトルを示す。(b)は、種々の深さでのGe、GeO、GeO2の割合を示すグラフである。
【図7】種々の深さでの酸化ゲルマニウム全体(GeO2+GeO)に対するGeO、GeO2の割合を示すグラフである。
【図8】絶縁体膜中に微粒子を形成した従来の発光素子の概略断面図である。
【符号の説明】
【0060】
1:第1電極 2:凸部 3:第2電極 4:担持体部 5:発光体 6:発光領域 7:発光素子 11:シリコン基板 12:ITO電極 13:絶縁体膜 14:発光体が形成された発光領域 15:発光素子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電極と、
透光性の第2電極と、
第1電極と第2電極との間に設けられかつ発光体を内部に有する担持体部とを備え、
第1電極は、前記担持体部と接する表面に複数の凸部を有し、
前記凸部の上端と第2電極との間の長さは、第1電極の前記凸部以外の部分と第2電極との間の長さより短いことを特徴とする発光素子。
【請求項2】
前記発光体は、GeO及びGeO2を含む微粒子からなる請求項1に記載の素子。
【請求項3】
前記凸部は、上部に尖端形状を有する請求項1又は2に記載の素子。
【請求項4】
第1電極の前記凸部以外の部分と第2電極との間の長さは、前記凸部の上端と第2電極との間の長さの1.1倍以上である請求項1〜3のいずれか1つに記載の素子。
【請求項5】
前記凸部の上端と第2電極との間の長さは、5nm以上100nm以下である請求項1〜4のいずれか1つに記載の素子。
【請求項6】
前記凸部は、前記発光体が形成された領域の第1電極側の前記担持体部と接する第1電極の表面に均一に設けられた請求項1〜5のいずれか1つに記載の素子。
【請求項7】
前記発光体は、1nm以上20nm以下の最大粒径を有する微粒子である請求項1〜6のいずれか1つに記載の素子。
【請求項8】
前記凸部は、カーボンナノチューブあるいは円錐形状の金属又はシリコンからなる請求項1〜7のいずれか1つに記載の素子。
【請求項9】
隣接する2つの前記凸部は、10nm以上3μm以下の間隔を有する請求項1〜8のいずれか1つに記載の素子。
【請求項10】
前記発光体は、第1電極と第2電極の間に電圧を印加したとき350〜500nmの範囲内に発光波長のピークを有するエレクトロルミネッセンスを示す請求項1〜9のいずれか1つに記載の素子。
【請求項11】
前記発光体は、GeO及びGeO2を含む微粒子でありかつ前記微粒子に含まれるGeOとGeO2の合計を100%としたときGeOを10%以上含む請求項1〜10の何れか1つに記載の素子。
【請求項12】
前記担持体部は、絶縁体からなる請求項1〜11の何れか1つに記載の素子。
【請求項13】
前記担持体部は、酸化シリコン、窒化シリコン又は酸窒化シリコンからなる請求項1〜12のいずれか1つに記載の素子。
【請求項14】
前記凸部は、シリコンまたはカーボンを主成分とする請求項1〜13の何れか1つに記載の素子。
【請求項15】
前記凸部は、頂点から遠ざかるほど傾斜がゆるくなった円錐形状である請求項1〜14のいずれか1つに記載の素子。
【請求項16】
第1電極の表面に複数の凸部を形成する工程と、
第1電極の前記凸部を形成した表面の上に担持体部を形成する工程と、
前記担持体部にGeをイオン注入しその後熱処理する工程と、
前記担持体部の上に透光性の第2電極を形成する工程とを備える発光素子の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−135260(P2010−135260A)
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−312210(P2008−312210)
【出願日】平成20年12月8日(2008.12.8)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】