説明

発光素子および発光装置

【課題】 発光層からの発光に及ぼす影響を軽減し、光取り出し効率を向上する。
【解決手段】 第1電極103Bと第2電極104の間に電圧を印加することによって発光層が発光する発光領域302の外部に位置する非発光領域303であって、且つ、少なくとも発光層を有する有機層101よりも基板100側に、周期構造300が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は発光素子および発光装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
有機EL発光装置は、薄膜で自発光を特徴としており、新方式のフラットパネルディスプレイとして応用されている。有機EL素子は、陰極から電子を、陽極からホール(正孔)を有機層に注入し、有機層中の発光層で励起子を生成させ、これら励起子が基底状態にもどる際に光が放出される原理を利用している。発光層は、蛍光性有機化合物若しくは燐光性有機化合物、量子ドットなどの発光性材料からなる。
【0003】
このような有機EL素子の開発課題の一つとして、発光効率の向上がある。有機EL素子の構成は、通常、陽極、発光層を含む有機層および陰極が1次元的に積層された構成である。このとき、空気の屈折率よりも発光層の屈折率(約1.7〜1.9程度)の方が大きい。このため、発光層の内部から放出された光の大部分は、高屈折率から低屈折率へ変化する積層膜の界面で全反射されて、基板に水平な方向に伝播する導波光となり、素子内部に閉じ込められることになる。発光層の内部で発生した光のうち外部に取り出して利用できる光の割合(光取り出し効率)は、通常、約20%程度でしかない。
【0004】
よって、有機EL素子の発光効率を改善するためには、この光取り出し効率を向上することが重要である。特許文献1では、全反射を防ぎ素子内部への光閉じ込めを抑制することを目的として、発光層の上部や下部(光取り出し側やその反対側)に周期構造(サブ波長周期構造や回折格子など)を配置することが提案されている。
【特許文献1】特開平11−283751号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した有機EL素子において、発光層の上部に周期構造を配置する場合、発光層を形成後に、周期構造を加工する必要があるため、周期構造の作製プロセスによって発光層が損傷してしまう恐れがある。
【0006】
また、発光層の下部に周期構造を配置する場合、発光層や電極の平坦性に問題があり、形成時の膜の不均一性や密着性の低下などが起こり、電流リークによる素子耐久の低下や非点灯を生じる可能性が高くなる恐れがある。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑み、発光層からの発光に及ぼす影響を軽減し、光取り出し効率を向上させることができる発光素子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための手段として、本発明に係る発光素子は、基板上に、第1電極と、少なくとも発光層を有する有機層と、第2電極と、が積層された発光素子であって、前記第1電極と前記第2電極との間に電圧を印加することによって前記発光層が発光する発光領域と、前記発光領域の外側に位置する非発光領域と、を有し、前記非発光領域で、且つ、前記有機層よりも前記基板側に周期構造が設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、発光層からの発光に及ぼす影響を軽減し、光取り出し効率を向上させることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の原理を構成例に基づいて説明する。なお、以下では発光素子の一例として、有機EL素子を示して説明するが、無機EL素子やQD−LED素子などでもよい。
【0011】
本発明では、有機EL素子の電圧印加により発光する発光領域では反射層と電極の界面及び電極と有機層の界面の平坦性を維持し、光取り出し効率を向上させるために、発光領域の外部(非発光領域)に周期構造が構成される。発光領域とは、電極間に電圧を印加することによって、陽極からホールが、陰極から電子が注入され、発光層で励起子が生成され、これら励起子が基底状態にもどる際に光が放出されて、発光層が発光する領域のことである。一方、非発光領域とは、発光を生じない領域、もしくは、発光領域と比較して発光が弱い領域である。発光領域と比較して発光が弱い領域とは、発光領域で発生した光の発光強度の20%程度以下の発光強度で発光する領域を指す。周期構造は、発光領域内の発光層で発生した光のうち、発光素子の面内方向に導波する光を発光素子の外に取り出すための構造である。また、発光領域302にある反射層と電極の界面及び電極と有機層の界面の平坦性は、その中心線平均粗さRaが7nm以下であることが好ましい。
【0012】
発光領域の外部に位置する非発光領域に周期構造が構成された有機EL素子を模式的に表した断面概略図が図1に、俯瞰概略図が図2に示されている。図1において、100は基板、101は少なくとも発光層105を有する有機層、102は反射層、102Bは絶縁層、103Bは透明電極(第1電極)、104は金属半透明電極(第2電極)、110は隔壁である。また、201は発光点、202は伝播光、203は導波光、204は回折光である。図1、図2において、300は周期構造、302は発光領域、303は非発光領域である。また、図1では発光点201に対して、金属半透明電極104側が光取り出し側である。
【0013】
図1に示した有機EL素子(発光素子)は、基板100上に金属からなる反射層102が形成されている。反射層102の基板100と反対側の面には、反射層102の平坦面を囲むようにして形成されるフォトニック結晶(周期構造300)が設けられる。この反射層102は、絶縁層102Bで覆われ、さらに、絶縁層102B上の一部には陽極として透明電極103Bが形成されている。なお、本実施の形態では透明電極103Bが、基板100側に設けられた第1電極である。
【0014】
さらに、反射層102と絶縁層102Bの周囲を覆うように絶縁材料からなる隔壁110が形成されている。隔壁110の開口部から露出する絶縁層102Bの露出部と透明電極103Bの上に、少なくとも発光層105を有する有機層101が積層され、陰極である金属半透明電極104が形成されている。本実施の形態では金属半透明電極104を光透過性の第2電極とする。光透過性の電極としては、ITOやIZOなどの透明電極や、金属薄膜からなる金属半透明電極もしくはこれらの組み合わせでもよい。また、反射層102の材料としては、AlやAgなどの反射率の高い材料が好ましい。さらに、絶縁層としては、酸化珪素(SiOx)、窒化珪素(SiNx)、酸化窒化珪素(SiNxOy)、アクリル樹脂などが好ましい。 図1で示すように、反射層102の平坦面が形成されている領域に第1電極である透明電極103Bが設けられる。つまり、この領域が透明電極(第1電極)103Bと金属半透明電極(第2電極)104の間に電圧を印加して発光層105が発光する発光領域302となる。一方、図1に示すように、発光領域302の外部に位置する領域では、透明電極103Bは周期構造300を覆わない構成を採っており、この領域が非発光領域303となる。また、図1に示すように、発光領域302の外部に位置する非発光領域303で、且つ、有機層101よりも基板100側に周期構造300が形成されている。つまり、発光領域302には周期構造300は形成されず、非発光領域303にのみ周期構造300が形成される。ただし、配線とのコンタクトやプロセス精度などのために、多少、非発光領域303と周期構造300が形成される領域がずれてもよい。また、図2で示すように、周期構造300が配置された非発光領域303が、発光領域302を囲むように4辺全てに形成されている必要はなく、発光領域302の周囲の1辺でもよいし、部分的に形成されていてもよい。
【0015】
図1の周期構造300は、凸部が面内に周期的に形成された構造を指しているが、凹部、あるいは、凹部と凸部の両方が面内に周期的に形成された構造であってもよい。また、周期構造300の凹部、凸部は、図1に示すように直角の頂点を有するテーパ構造である必要はなく、順テーパ構造、逆テーパ構造等様々な構造にすることができる。また、周期構造300は、反射層102と同じ材料で反射層102と一体で形成してもよいし、反射層102と異なる材料で形成してもよく、金属や誘電体もしくはこれらの組み合わせでもよい。
周期構造300の材料としては、金属であれば、Al,Ag,Cr、誘電体ならば、酸化珪素等を用いることができる。さらに、周期構造300の表面は、絶縁層、光透過性電極や他の層などにより、平坦化されてもよいし、されなくてもよい。さらに、周期構造300は、2次元周期構造を積層し3次元周期構造としてもよい。
【0016】
有機層101は、図3に示すように、通常、ホール輸送層106、発光層105(R発光層115、G発光層125、B発光層135)、電子輸送層107が積層された構成である。ここでR発光層、G発光層、B発光層とは、それぞれ、赤色(R)を発光する発光層、緑色(G)を発光する発光層、青色(B)を発光する発光層を意味している。発光層105は、それぞれの発光色に応じた蛍光性有機化合物若しくは燐光性有機化合物を含む。また、必要に応じて、電荷輸送層と電極の間に電荷注入層を設けてもよい。具体的には、陽極とホール輸送層106との間にホール注入層108を、陰極と電子輸送層107との間に電子注入層109を設ける構成でもよい。
【0017】
これらの有機EL素子に電圧を印加することで、陽極から注入された正孔と陰極から注入された電子が、有機層101中の発光層105で再結合し、励起子を形成することで発光する。
【0018】
図1に示した構成例では、反射層102と絶縁層102Bとの界面が、発光層105より第1電極側に設けられた第1反射面となり、また、有機層101と金属半透明電極104との界面が発光層105より第2電極側に設けられた第2反射面となる。この二つの反射面間で、発光層105で発光する光が共振して強め合うように、反射面間の光路長が調整され、基板の法線方向(垂直方向)に1次元的な共振器構造が構成されている。共振器構造は、同時に、基板面内方向(水平方向)では、プレーナー型の光導波路301として機能する。そのため、図4に示すような周期構造300がない一般の有機EL素子の場合は、発光点201から発せられた光の大部分(約80%)が、光導波路301を基板面内方向に伝わる導波光203として有機EL素子の内部に閉じ込められる。また、光取り出し側に第2反射面が形成されず、共振器構造が構成されない場合でも、有機層101の屈折率が空気の屈折率より大きいため、全反射界面が存在する。そのため、第1反射面と全反射界面との間で基板面内方向に導波光203が生じ、同様に、発光点201からの光の大部分が有機EL素子の内部に閉じ込められる。
【0019】
これに対し、図1に示した本発明の有機EL素子では、非発光領域303において、周期構造300が有機層101と基板100との間に設けられる構成を採っている。この場合には、発光領域302で発生した導波光203が、非発光領域303まで導波し、導波光203の一部が周期構造300によって回折光204に変換されて、非発光領域303の上面(金属半透明電極104側)から有機EL素子の外に取り出される。よって、光取り出し効率が向上する。
【0020】
さらに、本発明では、図1に示すように、発光領域302において有機層101の上部や下部に、周期構造300を加工する必要がない。そのため、有機層101を形成した後の周期構造300の作製プロセスによる有機層101への損傷を回避することができる。また、周期構造300上への有機層101の形成による平坦性や密着性の低下による発光領域302からの発光に及ぼす影響が抑えられるので、電流リークや駆動電圧の高電圧化、素子耐久低下、非点灯などを回避することができる。
【0021】
<反射防止構造>
一般に、表示装置では、視認性を良くするために高コントラストが要求される。特に、小型ディスプレイなどのような屋外での利用が多い表示装置では、コントラストを保つために外光反射防止機能が大変重要である。有機EL素子や有機EL表示装置に対する有効な反射防止方法としては、円偏光板の設置や共振器干渉打ち消し効果とカラーフィルターを組み合わせた方法がある。しかしながら、いずれも平面構造を有する有機EL素子に対し有効な方法であるため、発光効率を向上させるために周期構造や回折格子を配置すると、反射防止性能が低下してしまう。そのため、反射防止機能を維持する構造を有することが望ましい。
【0022】
以下、図5、図6、図7により、本発明の発光素子に対して、外光反射防止機能を保有させる構造例について説明を行う。
【0023】
図5に示すように、本発明において、発光素子の光取り出し側の、周期構造300を覆うように遮光部材400が配置され、さらに、その上部に円偏光板401が配置される。複数の発光素子を表示装置が有している場合は、発光素子の外部に形成された周期構造300は、隣り合う発光素子の間に形成されることになる。そして、遮光部材400も隣り合う発光素子の間に形成される。
【0024】
発光点201からの伝播光202は、光取り出し側の発光領域302上にある遮光部材400の開口部から発光素子の外部に放射される。また、外部に取り出したい波長において、回折光204が遮光部材400の開口部から外部に放射されるよう、回折光204の回折角度が導波光203の導波方向に対して90°より大きくする必要がある。この要望を満たすように、周期構造300の周期は構成されることが望ましい。さらに、周期構造300を介して外部に取り出される光が、導波光203の導波方向に対して90°より大きい回折角度方向で、最大強度もしくは最大輝度となることが望ましい。その回折角度は、図5に示すように、基板法線方向を基準とすると負の角度となる。以下、導波光203の導波方向に対して、90°より大きな方向への回折を、「負回折」と呼ぶ。負回折と周期構造300の周期の関係は後述する。
【0025】
図6に、本発明の発光素子に、外光が垂直に近い角度で入射する場合の概略図を示す。入射光(垂直近傍)205のうち、発光領域302への入射光は、円偏光板401により反射光が防止される。また、周期構造300の上方の入射光は、遮光部材400によって反射が防止される。
【0026】
次に、図7に、本発明の発光素子に、外光が斜め方向から入射する場合の概略図を示す。斜め入射光208は、円偏光板401を透過し円偏光となり、その後、周期構造300に反射して斜め反射光209となる。斜め反射光209は、周期構造300によって円偏光から楕円偏光となるが、遮光部材400によって吸収されるため、反射が抑制される。
【0027】
以上から、周期構造300を配置して光取り出し効率を向上させると同時に、外光入射に対する反射光を低減することが可能である。
【0028】
同様に、図8、図9、図10に、本発明の発光素子に対して、外光反射防止機能を保有させる他の構成例を示す。
【0029】
図8において、発光素子は、赤色を発光する発光素子(以下R素子とする)であり、赤色を強める共振器構造を有している。R素子の光取り出し側の、周期構造300の上方に遮光部材400を配置し、さらに、遮光部材400の開口部に赤色光を透過するカラーフィルター(Rカラーフィルター)410を配置する。光の取り出しに関しては、図5の場合と同様である。
【0030】
図9に、本発明のR素子に、外光が垂直に近い角度で入射する場合の概略図を示す。入射光(垂直近傍)205のうち、発光領域302への入射光は、Rカラーフィルター410により、赤色の透過光(R透過光)210となる。共振器構造では、共振器構造中の干渉強め合い条件と反射光への干渉打ち消し条件が、概ね一致する。そのため、赤色を強める共振器構造を有したR素子では、赤色の透過光210に対して、第1反射面、第2反射面からの反射光211A、211Bなどが干渉して打ち消し合う。また、周期構造300の上方部への入射光は、遮光部材400によって反射が防止される。
【0031】
図9に示す外光が斜め方向から入射する場合は、図7の場合と同様である。R(赤)について説明を行ったが、G(緑)やB(青)の場合も同様である。
【0032】
<負回折条件>
以下、回折光が負回折となるための周期構造300の考察を行う。
【0033】
図2に示すように、周期構造300の周期を規定する2つの基本格子ベクトルをa、aとする。また、これらの基本格子ベクトルa、aに対し、数1の関係を満たす基本逆格子ベクトルをb、bとする。図2の例では、上下左右で同じ視野角特性となるように、周期構造300が4回対称性を有する構造となっている。n回対称性とは、ある中心または軸の周りを2π/nラジアン回転させると自らと重なる性質を指す。つまり、4回対称性を有する構造とは、ある構造を中心または軸の周りで、2π/4(=90°)ラジアン回転させると自らの構造と一致する構造である。
【0034】
【数1】

【0035】
図5において、有機層101中の発光層105からの外部に取り出したい光のスペクトルのピーク波長をλとすると、波数kはk=2π/λとなる。また、発光層105の屈折率nと、光取り出し側媒体(通常は空気)の屈折率nextは、条件n>nextを満たすとする。
【0036】
また、光導波路301を伝播する導波光203に対する基板100の水平方向への伝播係数をβとし、導波光203に対する有効屈折率neff及び有効吸収係数κeffが、数2によって定義される。有効屈折率neffは、条件next<neff<nを満たす。
【0037】
【数2】

【0038】
このとき、回折条件は水平方向の位相整合条件から、2つの整数m、mを回折次数とし、基板法線方向に対する回折角度をθとして、条件next<neff<nのもとで、数3が得られる。
【0039】
【数3】

【0040】
図5において、回折光204が負回折となる条件は、数3の回折条件より、概ね数4で与えられる。但し、周期構造300を介して外部に取り出したい光のスペクトルのピーク波長をλ、2つの整数m、mを回折次数、基板法線方向に対する回折角度をθとして、条件next<neff<nを用いた。
【0041】
【数4】

【0042】
正方格子の場合は、周期をaとして、基本格子ベクトルa、aは数5となり、基本逆格子ベクトルb、bは数6となる。
【0043】
【数5】

【0044】
【数6】

【0045】
この時、数3の回折条件は、数7で与えられる。また、数4で表される負回折が生じるための条件は、数8となる。
【0046】
【数7】

【0047】
【数8】

【0048】
ここで、どちらか一方の1次元方向に着目し、m=0(もしくは、m=0)および、|m|=m>0(もしくは、|m|=m>0)とする。この時、数7の回折条件は、簡略化されて数9となる。また、負回折が生じるための条件である数8は、簡略化されて数10となる。
【0049】
【数9】

【0050】
【数10】

【0051】
有機EL素子の発光パターンや効率、色度などの制御を可能とするには、1次の負回折光のみを発生させることが望ましい。1次の負回折光のみを発生させる場合の条件式は、概ね数11で与えられる。有機EL素子では、通常、有機層101の屈折率はn=1.5〜2.0程度、光取り出し側の屈折率はnext=1.0である。よって、主に1次の負回折光のみを利用する場合は、周期構造300の周期aは、概ね発光ピーク波長λの0.33倍から1.00倍が望ましい。可視光の波長域が380nmから780nmであることから、周期構造300の周期aは、125nm以上から780nm以下であることが望ましい。この周期aは、取り出したい波長と、有機層101の屈折率等によって決定される。より詳しく言えば、赤色の光を取り出したい場合には、周期aは、210nm以上から740nm以下の中から、取り出したい波長λとR発光層115を含む有機層101の屈折率nによって決定される。また、緑色、青色の光を取り出したい場合には、それぞれ、165nm以上から565nm以下、150nm以上から485nm以下から周期aが決定される。
【0052】
【数11】

【0053】
<共振器>
図1に示した構成例では、反射層102と絶縁層102Bとの界面が第1反射面、金属半透明電極104と有機層101との界面が、第2反射面となり、共振器構造が構成されている。共振器構造の第1反射面と第2反射面との間の光路長は、外部に取り出したい発光波長を干渉によって強め合うように設定されている。共振器構造の多重干渉による強め合い条件は、外部に取り出される光のスペクトルのピーク波長をλ、共振器構造を構成する反射面間の距離をd、反射面間の平均屈折率をnとして数12で与えられる。ここで、第1反射面の位相シフト量と第2反射面の位相シフト量の和をφとし、mは整数である。また、距離dと平均屈折率nは、共振器構造を構成する第1反射面と第2反射面との間の各層iの厚さをd、各層の屈折率をnとして、それぞれ、d=Σd、n=Σn/dで表される。
【0054】
【数12】

【0055】
また、数12の共振条件を考慮した上で、導波光203のモード数を少なくするには、第1反射面と第2反射面との間の光路長が、発光ピーク波長λの0.375倍から1.375倍程度であることが望ましい。有機EL素子では、第1反射面と第2反射面との間の屈折率はn=1.5〜2.0程度であるから、第1反射面と第2反射面との間の膜厚は、70nm以上から715nm以下であることが望ましい。具体的には、取り出したい光が赤色である場合には、膜厚は117nm以上から678nm以下であることが望ましい。さらに、取り出したい光が緑色、青色である場合には、それぞれの膜厚は、94nm以上から518nm以下、75nm以上から445nm以下であることが望ましい。
【0056】
<変形例>
図1において、反射層102を構成する金属は特定なものに限らないが、例えば、AlやAl合金等で反射層102が形成される場合には、図11に示すように、反射層102の表面に自然酸化膜を形成させるようにしてもよい。この構成では、反射層102上に絶縁層102Bを設ける必要がないので製造プロセスが減少する。この場合も、非発光領域303で、且つ、有機層101よりも基板100側に、周期構造300が設けられた構成を採っている。また、反射層102上に平坦面が形成されているので、透明電極103Bの平坦性が確保され、発光領域302からの発光効率は低減しない。
【0057】
また、図12に示した構成例では、周期構造300が構成されている部分も含めて、反射層102の全面が、陽極である透明電極103Bにより覆われている。このため、反射層102と透明電極103Bが第一電極として機能する。その代わり、電子注入層109(電荷注入層)が第2電極である透明電極103の発光層105側の面で、反射層102の平坦面にあたる領域に形成されている。これにより、平坦面の領域では電子注入性が良いため発光領域302となり、その外部に設けられる周期構造300上では電子注入性が良くなく駆動電圧が高くなるため、発光領域302よりも発光が弱く、非発光領域303とすることができる。また、反射層102の平坦面に当たる領域の透明電極103Bに、電子注入層の代わりにホール注入層を形成してもよい。さらに、この領域に反射層102上の透明電極103Bにはホール注入層を、第2電極である透明電極103の発光層側には電子注入層を共に形成してもよい。
【0058】
また、発光領域302に電子注入層を設ける代わりに、周期構造300上に形成される有機層101を高抵抗化することによって、この領域に電流が流れにくくなり、非発光領域303とすることができる。具体的には、この領域にある有機層101のうちの少なくとも一つの層を厚く形成することによっても高抵抗化することができる。また、発光層などに電荷注入性や電荷輸送性などを高めるために添加されるアシストドーパントを添加しないことによっても高抵抗化することができる。
【0059】
図13、図14に示した構成例では、図12と同様に、周期構造300が構成されている部分も含めて、反射層102の全面が、第1電極極である透明電極103Bにより覆われている。さらに、発光領域302を囲むように形成された絶縁材料からなる隔壁110が周期構造300を覆っている。反射層102の平坦面の領域は、隔壁110の開口部に位置し、その領域に有機層101が積層され、陰極である金属半透明電極104が形成されている。これにより、隔壁110の開口部が発光領域302となり、その周囲を囲む隔壁110の形成される領域が非発光領域303となり、周期構造300は非発光領域303で、且つ、有機層101よりも基板100側に設けられている。なお、この構成では、トップエミッション型であるので、隔壁は透明材料からなる必要があるが、後述するようなボトムエミッション型の場合には、隔壁は透明である必要はない。さらに、図14の構成例では、周期構造300を覆うように隔壁110の膜厚が薄く形成されており、この膜厚を調整することで、発光領域302の基板法線方向の光路長と非発光領域303の基板法線方向の光路長が同程度にすることができる。
【0060】
図1において、導波光203が減衰により強度が半減する距離(半減距離)は10μm程度である。よって、発光領域302で発光した光が、周期構造300によって有機EL素子の外部に取り出され、発光効率が向上するためには、発光領域302内のいずれの位置からも、最も近い周期構造300までの距離が10μmより小さいことが望ましい。このため、図15に示すように、より発光効率を向上させるために、発光領域302の外部に位置する周期構造300の割合を増やすよう、発光領域302を細分化してもよい。
【0061】
図16に示す構成例では、周期構造300が反射層102から離れた位置に設けられている。この場合も、非発光領域303で、且つ、有機層101よりも基板100側に周期構造300が形成されている。
【0062】
これまでは、基板側を陽極、光取り出し側を陰極とする構成で説明してきたが、基板側を陰極、光取り出し側を陽極とし、ホール輸送層、発光層、電子輸送層を逆順に積層した構成においても本発明を実施することは可能である。したがって、本発明にかかる発光装置は基板側を陽極、光取り出し側を陰極とする構成に限定されるものではない。
【0063】
また、ホール輸送層106、発光層105、電子輸送層107、さらに必要に応じて形成されるホール注入層108、電子注入層109に用いられる有機化合物としては、低分子材料、高分子材料、若しくはその両方により構成され、特に限定されるものではない。
【0064】
さらに、周期構造300は、上述したように2次元的なフォトニック結晶構造に限定されず、1次元的な回折格子の組み合わせや3次元的なフォトニック結晶構造でもよい。また、図1では、反射層102に凸型のフォトニック結晶構造を示したが、図17のように凹型のフォトニック結晶構造でもよい。
【0065】
さらに、図18のように、異なる基本格子ベクトルを持つ複数種類の周期構造300をいずれも有する構成であってもよい。図18の例は、基本格子ベクトルa、aの周期構造300と基本格子ベクトルa’、a’の周期構造300を組み合わせた場合である。周期構造300は、完全に周期的である必要はなく、準結晶構造やフラクタル構造、連続的に周期が変化する構造、部分的に不規則な散乱構造を有する構造、若しくはこれらを組み合わせたものでもよい。
【0066】
さらに、図1では、光取り出し側の電極、即ち光透過性の第2電極が金属半透明電極104である構成で説明してきたが、図6に示すように、光取り出し側の電極を透明電極103とする構成であってもよい。また、図1の半透明電極104の上や図11の透明電極103の上には、図8に示すように誘電体層110Bが形成されていてもよい。あるいは、これらの複数層の組み合わせでもよい。
【0067】
さらに、これまでの説明では、基板100の反対側が光取り出し側となるトップエミッション型の構成について説明してきたが、基板100側が光取り出し側となるボトムエミッション構成においても本発明は実施可能である。図19に示した有機EL素子は、基板100上に金属半透過層104Bが形成されている。電圧印加により光を発生する発光領域302では、金属半透過層104Bは平坦であり、絶縁層102Bで覆われ、さらに絶縁層102B上に陽極として透明電極103Bが形成されている。一方、非発光領域303で、且つ、有機層101よりも基板100側に位置する金属半透過層104Bに周期構造300が形成されており、周期構造300の表面は、絶縁層102Bにより覆われている。つまり、発光領域302には周期構造300は形成されず、非発光領域303にのみ周期構造300が形成される。ただし、配線とのコンタクトやプロセス精度などのために、多少、非発光領域303と周期構造300が形成される領域がずれてもよい。絶縁層102B上に有機層101、金属より構成されて、陰極としても機能する反射層102を積層したボトムエミッション構成を示している。この場合、基板100は透明な材料で形成される必要がある。なお、図19の構成例では、透明電極103Bが基板100側に設けられた第1電極、金属からなる反射層102が第2電極である。また、この有機EL素子は、金属半透過層104Bと絶縁層102Bの界面が第1反射面、反射層102と有機層101の界面が第2反射面となる共振器構造を有する。
【0068】
さらに、図1において、金属からなる反射層102と誘電体である絶縁層102Bとの界面(第1反射面)を基板水平方向に伝播し、導波光の一種と考えられる表面プラズモンが生じる。よって、反射層102と絶縁層102Bとの界面を光導波路として利用可能である。表面プラズモンの伝播係数βspを、数2の伝播係数βとすると、通常の導波光203と同様に回折条件は数3で与えられる。表面プラズモンを生じる界面は、金属層と絶縁層の界面に限られず、金属層と有機層界面や金属層と透明電極界面でもよい。
【0069】
本発明の発光装置は、表示装置や、照明、表示装置用のバックライト等の様々な用途に適用することができる。表示装置としては、テレビ受像機、パーソナルコンピュータのディスプレイ、撮像装置の背面表示部、携帯電話の表示部、携帯音楽再生装置の表示部、携帯情報端末の表示部、携帯ゲーム機の表示部、カーナビゲーションシステムの表示部等に適用することができる。
【実施例】
【0070】
以下、本発明の発光素子を複数配置することにより構成される発光装置の一例として有機EL発光装置を挙げて説明するが、本発明は本実施例によって何ら限定されるものではない。
【0071】
<実施例1>
図20に示す構成のフルカラー有機EL発光装置を以下に示す方法で作製する。つまり、本実施例1の発光装置は、複数の画素を有し、各画素が赤色発光の発光素子(R素子)、緑色発光の発光素子(G素子)、青色発光の発光素子(B素子)、つまり赤、緑、青の3色の副画素からなる有機EL発光装置である。このフルカラーの有機発光装置は表示装置として好ましく適用することができる例である。
【0072】
まず、支持体としてのガラス基板上に、低温ポリシリコンからなるTFT駆動回路を形成し、その上にアクリル樹脂からなる平坦化層を形成して基板100とする。基板100上に、反射層102として、スパッタリングによりAg合金を約150nmの膜厚で形成する。Ag合金からなる反射層102は、可視光の波長域(λ=380nm〜780nm)で分光反射率80%以上の高反射電極である。反射層102はAg合金以外に、Al合金などを用いてもよい。図20では、各発光素子で反射層102を独立に形成しているが、複数の発光素子で共通に形成してもよい。
【0073】
この反射層102上に、まず、ポジ型のレジストをスピンコートしプリベークを行う。その後、レジストに図15に示すような正方格子の周期構造パターンを露光し、現像、ポストベークを行い、レジストパターンを形成する。
【0074】
次に、リフトオフ加工により、反射層102上に周期構造を形成する。まず、スパッタリングによりAg合金を40nmの膜厚で形成する。ポジ型レジストの露光部分では反射層102上にAg合金が、ポジ型レジストの露光部分以外ではレジスト上にAg合金が形成される。その後、レジストを剥離し、レジスト上のAg合金ごと取り除いて、上に凸型の周期構造300を形成する。
【0075】
本実施例では、R素子に形成される周期構造(R周期構造310)は、周期345nm、一辺の長さ200nm、高さ40nmとなる。また、G素子の周期構造(G周期構造320)は周期250nm、一辺の長さ140nm、高さ40nmとなり、B素子の周期構造(B周期構造330)は周期200nm、一辺の長さ145nm、高さ40nmとなるよう形成される。これは、取り出したいピーク波長が上述した負回折条件に合うように、各色の発光素子に形成される周期構造の周期等を決定したからである。このように赤色発光の発光素子に形成された周期構造の周期が最も長く、青色発光の発光素子に形成された周期構造の周期が最も短くなる。
【0076】
次に、スパッタリングにより酸化珪素(SiOx)を10nmの膜厚で絶縁層102Bとして形成する。さらに、スパッタリングにより透明導電性材のIZOを70nmの膜厚で形成して、発光領域302に電極のパターニングをし、陽極として透明電極103Bを形成する。発光領域302の大きさは、図15のA1が20μm、B1が20μmである。非発光領域303の大きさは、図15のA2が32μm、B2が95μmである。
【0077】
さらに、酸化窒化珪素(SiN)の隔壁110を320nmの膜厚で形成した後、各副画素に発光領域となる開口部をエッチングし、フォトニック結晶を配置した陽極基板を作製する。
【0078】
これをイソプロピルアルコール(IPA)で超音波洗浄し、次いで、煮沸洗浄後乾燥する。その後、UV/オゾン洗浄してからR、G、Bそれぞれの有機層111、121、131を真空蒸着により形成する。
【0079】
まず、下記構造式で示される化合物[I]を、シャドーマスクを用いて各副画素に、Rホール輸送層として150nmの膜厚、Gホール輸送層として90nmの膜厚、Bホール輸送層として40nmの膜厚で形成する。この際の真空度は1×10−4Pa、蒸着レートは、0.2nm/secである。
【0080】
【化1】

【0081】
次に、発光層として、シャドーマスクを用いて、R素子、G素子、B素子それぞれの発光層を形成する。R素子のR発光層115としては、ホストとして4,4’‐Bis(N‐carbazole)biphenyl(以下、CBPと呼ぶ)と、燐光発光性化合物Bis[2‐(2’‐benzothienyl)pyridinato‐N,C3](acetylacetonato)Iridium(以下、Btp2Ir(acac)と呼ぶ)とを共蒸着して30nmの膜厚でR発光層115を形成する。G素子のG発光層125としては、ホストとしてtris‐(8‐hydroxyquinoline)Aluminum(以下、Alq3と呼ぶ)と、発光性化合物3‐(2’‐Benzothiazolyl)‐7‐N,N‐diethylaminocoumarin(以下、クマリン6と呼ぶ)とを共蒸着して30nmの膜厚でG発光層125を形成する。B素子のB発光層135としては、ホストとして下記に示す化合物[II]と発光性化合物[III]とを共蒸着して30nmの膜厚でB発光層135を形成する。蒸着時の真空度は1×10−4Pa、成膜速度は0.2nm/secである。
【0082】
【化2】

【0083】
【化3】

【0084】
さらに、R素子、G素子、B素子に共通の電子輸送層107として、1,10‐Bathophenanthroline(以下、BPhenと呼ぶ)を真空蒸着法にて10nmの膜厚で一括形成する。蒸着時の真空度は1×10−4Pa、成膜速度は0.2nm/secである。次に、R素子、G素子、B素子に共通の電子注入層として、BPhenとCsCOとを共蒸着(重量比90:10)し、30nmの膜厚で一括形成する。蒸着時の真空度は3×10−4Pa、成膜速度は0.2nm/secである。
【0085】
電子注入層まで形成した基板を、真空を破ること無しにスパッタ装置に移動し、金属半透明電極104として、スパッタリングによりAg合金を20nmの膜厚で形成する。
【0086】
さらに、図8のように誘電体層110Bとして、スパッタリングにより酸化珪素を290nmの膜厚で形成する。
【0087】
さらに、発光装置の周辺部に吸湿剤を配置し、エッチングされたキャップガラスで封止することにより、有機EL発光装置を得る。
【0088】
<実施例2>
図21に本実施例の有機EL発光装置の構成図を示す。ホール輸送層の形成までは、実施例1と同様である。次に、共通の3色積層型白色(W)発光層として、CBPとBis[(4,6‐difluorophenyl)pyridinato‐N,C2](picolinato)Iridium(以下、FIrpicと呼ぶ)(重量比94:6)とを共蒸着により25nmの膜厚で形成する。そして、CBPとfac‐Tris(2‐(2‐pyridinyl)phenyl)Iridium(以下、Ir(ppy)と呼ぶ)(重量比92:8)とを共蒸着により2nmの膜厚で形成する。さらに、CBPとBtp2Ir(acac)(重量比92:8)とを共蒸着により2nmの膜厚で形成し積層構造とする。電子輸送層の形成から、Ag合金の形成までは、実施例1と同様である。
【0089】
その後、保護膜として、窒化酸化珪素を5000nm成膜する。
【0090】
最後に、別の基板上に、各副画素にRカラーフィルター、Gカラーフィルター、Bカラーフィルターがパターニングされ、副画素間にブラックマトリックス(遮光部材)がパターニングされたカラーフィルター基板を、保護膜の上部に、エポキシ樹脂により配置する。
【0091】
以上により、有機EL発光装置を得る。つまり、本実施例の有機EL発光装置は各副画素に共振器構造を有するW有機層171が形成されており、白色の有機EL素子を有する構成とされている。この際、共振器構造の光路長は、R、G、B各副画素で、それぞれ、R、G、Bの発光波長を多重干渉で強め合うように構成されている。つまり、カラーフィルターと共振器による干渉、および発光領域302の外部へのフォトニック結晶の配置を組み合わせることにより、発光効率を向上させ、かつ、外光反射防止機能を維持する構成となっている。
【0092】
<比較例1>
反射層102の形成までは、実施例1と同様である。次に、スパッタリングによりSiOxを10nmの膜厚で形成する。さらに、スパッタリングにより透明導電性材のIZOを70nmの膜厚で形成して、発光領域302(および、導通のためのコンタクト部分)に電極のパターニングをし、陽極を形成する。ホール輸送層の形成以降は、実施例1と同様である。つまり、実施例1と異なる構成は、周期構造を有さない構成である。
【0093】
表1に、実施例1と比較例1におけるR、G、Bの各発光素子の発光強度(外部に取り出される発光スペクトルのピーク波長での強度比)の数値計算による評価値を示す。比較例1の波高強度を1とした場合、実施例1の発光強度は、R、G、Bの全ての発光素子において約1.2倍となり、光取り出し効率が向上することがわかる。
【0094】
【表1】

【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】非発光領域に周期構造を有する有機EL素子の模式図(断面概略図1)である。
【図2】非発光領域に周期構造を有する有機EL素子の模式図(俯瞰概略図1)である。
【図3】有機層の模式図(断面概略図)である。
【図4】周期構造を有さない有機EL素子の模式図(断面概略図)である。
【図5】非発光領域に周期構造を有する有機EL素子の模式図(断面概略図2)である。
【図6】非発光領域に周期構造を有する有機EL素子の模式図(断面概略図3)である。
【図7】非発光領域に周期構造を有する有機EL素子の模式図(断面概略図4)である。
【図8】非発光領域に周期構造を有する有機EL素子の模式図(断面概略図5)である。
【図9】非発光領域に周期構造を有する有機EL素子の模式図(俯瞰概略図2)である。
【図10】周期構造とブラックマトリックス、円偏光板を有する構成の有機EL素子の模式図(発光時)である。
【図11】周期構造とブラックマトリックス、円偏光板を有する構成の有機EL素子の模式図(垂直入射時)である。
【図12】周期構造とブラックマトリックス、円偏光板を有する構成の有機EL素子の模式図(斜め入射時)である。
【図13】周期構造とブラックマトリックス、カラーフィルターを有する構成の有機EL素子の模式図(発光時)である。
【図14】周期構造とブラックマトリックス、カラーフィルターを有する構成の有機EL素子の模式図(垂直入射時)である。
【図15】周期構造とブラックマトリックス、カラーフィルターを有する構成の有機EL素子の模式図(斜め入射時)である。
【図16】非発光領域で、反射層から離れた位置に周期構造を有する有機EL素子の模式図(断面概略図6)である。
【図17】凹型の周期構造を有する有機EL素子の模式図(断面概略図7)である。
【図18】非発光領域に周期構造を有する有機EL素子の模式図(俯瞰概略図3)である。
【図19】非発光領域に周期構造を有するボトムエミッション型有機EL発光装置の模式図(断面概略図7)である。
【図20】非発光領域に周期構造を有するRGB発光層塗り分け構成の有機EL表示装置の断面概略図である。
【図21】非発光領域に周期構造を有するW発光層共通構成の有機EL表示装置の断面概略図である。
【符号の説明】
【0096】
100 基板
101 有機層
102 反射層
102B 絶縁層
103 透明電極
103B 反射層上の透明電極
104 金属半透明電極
105 発光層
110 隔壁
201 発光点
202 伝播光
203 導波光
204 回折光
300 周期構造
301 光導波路
302 発光領域
303 非発光領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に、第1電極と、少なくとも発光層を有する有機層と、第2電極と、が積層された発光素子であって、
前記第1電極と前記第2電極との間に電圧を印加することによって前記発光層が発光する発光領域と、前記発光領域の外部に位置する非発光領域と、を有し、
前記非発光領域で、且つ、前記有機層よりも前記基板側に周期構造が設けられていることを特徴とする発光素子。
【請求項2】
前記非発光領域において、前記周期構造が前記有機層と前記基板との間に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の発光素子。
【請求項3】
前記非発光領域において、前記発光領域を囲むように形成された隔壁が前記周期構造を覆っていることを特徴とする請求項1に記載の発光素子。
【請求項4】
前記非発光領域において、前記有機層と前記周期構造の間に絶縁層が形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の発光素子。
【請求項5】
前記第1電極は、前記周期構造を覆っていないことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の発光素子。
【請求項6】
前記発光領域では、前記第1電極の前記発光層側及び/又は前記第2電極の前記発光層側に電荷注入層が形成されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の発光素子。
【請求項7】
前記周期構造が4回対称性を有することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の発光素子。
【請求項8】
前記発光素子の光取り出し側で、前記周期構造を覆うように遮光部材が配置されていることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の発光素子。
【請求項9】
前記周期構造を介して取り出される光が、導波方向に対して90°より大きい角度方向で最大強度もしくは最大輝度となることを特徴とする請求項8に記載の発光素子。
【請求項10】
前記周期構造の基本逆格子ベクトルb、bは、前記発光層の屈折率n、光取り出し側媒体の屈折率next、前記周期構造を介して外部に取り出される光のスペクトルのピーク波長λ、整数m、mに対して、
【数1】

を満たすことを特徴とする請求項8又は9に記載の発光素子。
【請求項11】
前記発光素子の光取り出し側に前記発光素子の発光を透過するカラーフィルターを有することを特徴とする請求項8乃至10のいずれか一項に記載の発光素子。
【請求項12】
前記発光素子の光取り出し側に円偏光板を有することを特徴とする請求項8乃至10のいずれか一項に記載の発光素子。
【請求項13】
前記発光層で発光する光を、前記発光層より前記第1電極側に設けられた第1反射面と、前記発光層より前記第2電極側に設けられた第2反射面と、の間で共振させる共振器構造を有することを特徴とする請求項1乃至12のいずれか一項に記載の発光素子。
【請求項14】
請求項1乃至13のいずれか一項に記載の前記発光素子が、前記基板上に複数配置されていることを特徴とする発光装置。
【請求項15】
赤色発光の前記発光素子と、緑色発光の前記発光素子と、青色発光の前記発光素子と、を有し、前記赤色発光の発光素子に形成された周期構造の周期が最も長く、前記青色発光の発光素子に形成された周期構造の周期が最も短いことを特徴とする請求項14に記載の発光装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2010−40486(P2010−40486A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−205613(P2008−205613)
【出願日】平成20年8月8日(2008.8.8)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】