説明

発光素子の電圧検出回路

【課題】高耐圧素子を必要とせずに、発光素子のカソード側電圧を検出することである。
【解決手段】発光素子の駆動システム10における電圧検出回路40は、発光素子12のカソード電圧VCを検出して、LED駆動回路20に出力する機能を有する。電圧検出回路40は、制御トランジスタ46と、抵抗素子48と、差動増幅器42と、輝度制御スイッチ50を含む。さらに、差動増幅器42の出力端子の電圧レベルが制御トランジスタ46をオンさせるHレベルとなるタイミングで、測定切替素子54をオフし、測定電流源60を抵抗素子48の他方端に接続するする設定部52を含む。電圧検出部70は、設定部52によって差動増幅器42の出力端子の電圧がHレベルとされるタイミングで、測定位置18の電圧を検出し、これを発光素子12のカソード電圧VCとして出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光素子の電圧検出回路に係り、特に発光素子のカソード側の電圧を検出する発光素子の電圧検出回路に関する。
【背景技術】
【0002】
発光素子を動作させ、安定した発光表示とするために、定電流駆動することが行われる。例えば、特許文献1には、発光素子駆動回路において、基準電流生成回路が、オペアンプと基準電圧源と、PMOSトランジスタと、可変抵抗を含んで構成されることが述べられている。ここでは、オペアンプの正相入力端子が基準電圧源に接続され、出力端子がPMOSトランジスタのゲートに接続され、PMOSトランジスタのソースが電源電圧に接続され、ドレインが可変抵抗を介してグランドに接続される。そして、可変抵抗の端子間電圧がオペアンプの逆相入力端子に帰還され、これによりオペアンプはその正相入力端子と逆相入力端子とが常に同電位となるように動作する。すなわち、オペアンプは、可変抵抗の端子間電圧を常に基準電圧源の電圧と等しくなるように維持し、これによって、PMOSトランジスタに流れる電流が一定値となるように維持されることが述べられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−186277号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このように発光素子のカソード側に定電流回路を設けるとして、発光素子のアノード側にはアノード電圧が供給される。アノード電圧は、特許文献1ではPMOSトランジスタとして述べられている制御トランジスタが発熱しないように、カソード電圧ができるだけ低くなるように設定されることがよい。また、仮に発光素子が短絡する故障が生じたときには制御トランジスタにアノード電圧が直接印加されるので、アノード電圧が高電圧であるときは、そのような故障を迅速に検出して、例えばアノード電圧の印加を止める必要がある。
【0005】
これらのことから、発光素子のカソード電圧の検出が望まれる。制御トランジスタと発光素子のカソード側との接続点の電圧を検出すれば、直接的に発光素子のカソード電圧が分かるが、その電圧は発光素子のアノード側の電圧から発光素子による電圧降下分を引いた値であるので、かなりの高電圧となり、電圧検出回路の耐圧が発光素子のアノード電圧に相当する高耐圧とする必要がある。
【0006】
制御トランジスタと抵抗素子との接続点の電圧は、差動増幅器の出力端子の電圧よりも低いので、この電圧を測定すれば、電圧検出回路の耐圧は差動増幅器の差動電圧程度でよくなる。ところが、特許文献1のように差動増幅器で抵抗素子に流れる電流を一定にする制御が行われているときは、制御トランジスタが動作領域であって、オン状態ではないので、制御トランジスタと抵抗素子との接続点の電圧は発光素子のカソード側の電圧とはなっていない。このように、そのままでは、制御トランジスタと抵抗素子との接続点の電圧から発光素子のカソード電圧を検出することができない。
【0007】
本発明の目的は、高耐圧素子を必要とせずに、発光素子のカソード側電圧を検出することができる発光素子の電圧検出回路を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る発光素子の電圧検出回路は、アノード側が電源を介して発光素子駆動回路に接続される発光素子のカソード側に正側出力端子が接続される制御トランジスタと、制御トランジスタの負側出力端子に一方端が接続され、他方端が測定切替素子を介して接地される抵抗素子と、出力端子が制御トランジスタの制御端子に接続される調整回路と、抵抗素子の他方端に接続され、測定切替素子がオフするときに作動する測定電流源と、調整回路の出力端子の電圧レベルが制御トランジスタをオンさせるHレベルとなるタイミングで測定切替素子をオフする設定部と、設定部によって調整回路の出力端子の電圧がHレベルとされるタイミングで、制御トランジスタの負側出力端子と抵抗素子との接続点における電圧を検出し、これを発光素子のカソード側の電圧として出力する電圧検出部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
上記構成によれば、調整回路の出力端子の電圧がHレベルとされるタイミングで、制御トランジスタの負側出力端子と抵抗素子との接続点における電圧を検出し、これを発光素子のカソード側の電圧として出力する。ここで、Hレベルとは制御トランジスタがオンとなる電圧レベルであるので、制御トランジスタの負側出力端子と抵抗素子との接続点における電圧は、制御トランジスタの正側出力端子の電圧とほぼ同じとなる。この電圧は発光素子のカソード側の電圧であるが、制御トランジスタの制御端子の電圧、すなわち調整回路の出力端子の電圧よりも低いので、電圧検出部の耐圧が調整回路の動作電圧レベルで足り、高耐圧素子を必要としない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明に係る実施の形態における発光素子の電圧検出回路が用いられる発光素子駆動システムの様子を説明する図である。
【図2】図1の発光素子駆動システムにおけるLED駆動回路の様子を説明する図である。
【図3】本発明に係る実施の形態における発光素子の電圧検出回路の輝度制御スイッチについて説明する図である。
【図4】本発明に係る実施の形態における発光素子の電圧検出回路の測定電流源について説明する図である。
【図5】本発明に係る実施の形態における発光素子の電圧検出回路の電圧検出部が異常状態を検出したときに異常信号を出力する様子を説明する図である。
【図6】本発明に係る実施の形態における発光素子の電圧検出回路の設定部について他の例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に図面を用いて本発明に係る実施の形態を詳細に説明する。以下では、発光素子として、発光ダイオードが3個直列に接続された構成を述べるが、これは説明のための例示であって、数十個、あるいは数百個の発光ダイオードが直列に接続された構成であってもよく、勿論1つの発光ダイオードであってもよい。また、発光ダイオードが並列に複数個接続される構成であってもよい。また、発光ダイオードは、アノード端子とカソード端子の間の電圧が1V程度で作動するものとして述べるが、これ以外の電圧で作動する素子であってもよい。例えば、作動電圧が数V〜数十Vである高耐圧発光ダイオードであってもよい。
【0012】
なお、以下で制御トランジスタは、nチャンネル型のMOSトランジスタとして説明するが、MOSトランジスタに代えて、MISトランジスタ等他の空間電界トランジスタを用いるものとしてもよい。また、回路構成を適切に変更することで、nチャンネル型のMOSトランジスタをpチャンネル型のMOSトランジスタとすることができ、あるいは、npnトランジスタまたはpnpトランジスタのバイポーラトランジスタを用いるものとすることもできる。
【0013】
以下では、全ての図面において同様の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、本文中の説明においては、必要に応じそれ以前に述べた符号を用いるものとする。
【0014】
図1は、発光素子の駆動システム10の構成を説明する図である。この駆動システム10は、発光素子12について制御トランジスタ46を介して定電流で駆動し、輝度調整を制御トランジスタ46のオン期間とオフ期間の比で行う機能を有する。
【0015】
発光素子12は、複数個の発光ダイオードを直列に接続した複合素子である。ここでは、アノード端子とカソード端子の間の電圧が1V程度で作動する発光ダイオードを3つ直列に接続して発光素子12とした様子が示されている。
【0016】
LED駆動回路20は、発光素子12のアノード電圧VAを電源VDDから作り出す発光素子駆動回路で、後述する電圧検出部70によって検出される発光素子12のカソード電圧VCが最ももっとも適した低い電圧となるようにアノード電圧VAを生成する。具体的には、カソード電圧VCの最適値から見てアノード電圧VAが高すぎるときには降圧し、低すぎる場合には昇圧するDCDCコンバータである。図1では、LED駆動回路20と発光素子12との接続点14がアノード電圧VAの位置として、発光素子12と後述する制御トランジスタ46との接続点16がカソード電圧VCの位置として示されている。
【0017】
図2は、降圧回路として構成されるときのLED駆動回路20の例を示す図である。LED駆動回路20は、アノード電圧として最適の値に相当する基準電圧22と、基準電圧22を逆相端子に、電圧検出部70の出力を正相端子に入力される差動増幅器24と、差動増幅器24の出力電圧に応じてパルス幅変調された信号を出力するPWM回路26と、PWM回路26の出力に応じてオン・オフするトランジスタ30と、リアクトル28と逆流防止ダイオード32と、出力コンデンサ34とを含んで構成される。出力コンデンサ34の端子電圧がアノード電圧VAとして発光素子12に供給される。
【0018】
再び図1に戻り、電圧検出回路40は、発光素子12のカソード電圧VCを検出して、LED駆動回路20に出力する機能を有する回路部分である。電圧検出回路40は、制御トランジスタ46と、抵抗素子48と、差動増幅器42を含んで構成される。この3つの構成要素は、発光素子12を定電流で駆動するために用いられるもので、電圧検出のために特別に設けられたものではない。輝度制御スイッチ50は、定電流駆動される発光素子12の輝度を調整するために設けられるもので、これも電圧検出のために特別に設けられたものではない。測定切替素子54、測定電流源60、設定部52、電圧検出部70が、発光素子12のカソード電圧VCの検出のために特別に設けられた要素である。
【0019】
制御トランジスタ46は、発光素子12を駆動するトランジスタで、駆動トランジスタとも呼ばれるNチャネルMOSトランジスタである。制御トランジスタ46の正側出力端子はドレイン端子であるが、発光素子12のカソード側に接続される。制御トランジスタ46の負側出力端子はソース端子であるが、抵抗素子48の一方端に接続される。制御トランジスタ46の制御端子はゲート端子であるが、輝度制御スイッチ50を介して差動増幅器42の出力端子に接続される。
【0020】
抵抗素子48は、一方端が制御トランジスタ46のソースに接続され、他方端が測定切替素子54を介して接地され、抵抗値をRとして、ここに流れる電流Iに応じた電圧V=IRを差動増幅器42に帰還する機能を有する。
【0021】
差動増幅器42は、一方相入力端子である逆相端子に基準電圧44が入力され、他方相入力端子である正相端子に抵抗素子48からのV=IRが入力され、正相端子の電圧と逆相端子の電圧が一致するように制御信号が出力端子から出力されるオペアンプである。出力端子は、上記のように輝度制御スイッチ50を介して制御トランジスタ46のゲート端子に接続されるので、抵抗素子48に流れる電流Iによる電圧V=IRが、基準電圧と一致するまで、制御トランジスタ46のゲート電圧が調整される。このように、差動増幅器42は、出力端子が制御トランジスタ46の制御端子に接続され、抵抗素子48に流れる電流が予め定めた値となるように制御トランジスタ46の制御端子の電圧を調整する機能を有するので、その意味で、調整回路の一種である。
【0022】
輝度制御スイッチ50は、輝度制御部38の制御信号によってオン・オフするスイッチで、オフのときは、差動増幅器42の出力をそのまま制御トランジスタ46のゲート端子に伝送し、オンするときに差動増幅器42の出力端子の出力を強制的にLレベルとする。Lレベルとは、制御トランジスタ46をオフ状態とする電圧レベルである。
【0023】
輝度制御部38は、発光素子12の輝度を調整する制御機能を有し、発光素子12の輝度が明るすぎるときは制御トランジスタ46をオフにする信号を輝度制御スイッチ50に出力する。発光素子12の輝度が明るすぎるか否かの判断は、外光センサ等を用いて行われる。例えば、外光が暗いときは、差動増幅器42の逆相端子に入力される基準電圧に相当する駆動電流では発光素子12が明るすぎる場合があり、そのようなときに、駆動電流の設定はそのままにして、適当なデューティ比で制御トランジスタ46がオン・オフ制御される。
【0024】
輝度制御スイッチ50の様子は図3に示される。輝度制御スイッチ50は、差動増幅器42の出力端子と制御トランジスタ46のゲート端子とを結ぶ信号線と、接地との間に設けられたスイッチングトランジスタである。設定部52からの制御信号がオフ指示であるときは、輝度制御スイッチ50はオフのままで、差動増幅器42の出力がそのまま制御トランジスタ46のゲート端子に伝送される。設定部52からの制御信号がオン指示であるときは、輝度制御スイッチ50はオンして、差動増幅器42の出力端子と制御トランジスタ46のゲート端子とを結ぶ信号線の電位を接地レベルに落とす。これにより、差動増幅器42の出力信号は強制的にLレベルとされ、制御トランジスタ46は強制的にオフとされる。
【0025】
再び図1に戻り、設定部52は、輝度制御部38からのオン・オフ信号を輝度制御スイッチ50に伝送する機能と、輝度制御部38からのオフ信号の期間を検出し、その期間について、測定切替素子54と測定電流源60に対し設定信号を出力する機能を有する。
【0026】
輝度制御部38からのオフ信号の期間とは、輝度制御スイッチ50がオフの期間、つまり、差動増幅器42からの出力信号がそのまま制御トランジスタ46に伝送する期間で、これを、差動増幅器42の出力端子の電圧レベルがHレベルである期間とすることができる。Hレベルとは、接地レベルに対する電圧レベルで、制御トランジスタ46がオンするレベルである。差動増幅器42が抵抗素子48からV=IRの電圧帰還を受けて動作している期間は、制御トランジスタ46が動作領域にあるが、正確な意味でのオン電圧の状態にあるわけではない。しかし、輝度制御でパルス状のオン・オフ状態のオン状態であるので、その意味で、制御トランジスタ46がオンするレベルと呼ぶことができる。以下では、特に断らない限り、制御トランジスタ46がオンとは、輝度制御におけるオン・オフ状態のオン状態を指すものとして、説明を続ける。
【0027】
設定信号は、制御トランジスタ46のソース端子と抵抗素子48の一方端との接続点を測定位置18として、その電圧VMを、制御トランジスタ46のドレイン電圧とするために用いられる。すなわち、制御トランジスタ46をオンしたときに、測定位置18に制御トランジスタ46のドレイン電圧が現れるが、そのときに、抵抗素子48に流れる電流を遮断し、それとは別に、測定用に必要な電流だけ流すために測定電流源を抵抗素子48の他方端に接続する。
【0028】
設定信号を出力するタイミングは、制御トランジスタ46がオンした期間で、制御トランジスタ46のオン状態が安定した時点とすることが好ましい。具体的には、制御トランジスタ46がオンしている期間内であって、制御トランジスタ46がオンしてから予め定めた時間経過のときに、設定信号を出力することがよい。もっとも、場合によっては、制御トランジスタ46がオンしている期間内で、適当なランダム時期に設定信号を出力するものとしてもよい。設定信号は、制御トランジスタ46がオンとなる都度、出力するものとすることがよい。
【0029】
測定切替素子54は、抵抗素子48の他方端と接地との間に接続配置されるスイッチングトランジスタである。測定切替素子54は、通常はオン状態で、制御トランジスタ46がオン状態にあると設定部52が判断したときに、オフ状態に設定される。これにより、制御トランジスタ46はオン状態であるが、制御トランジスタ46から抵抗素子48を介して接地に流れる電流が遮断される。
【0030】
測定電流源60は、設定部52から設定信号が出力されると、抵抗素子48の他方端に接続される電流源である。制御トランジスタ46をオンとして、測定位置18に制御トランジスタ46のドレイン電圧であるカソード電圧VCを出すには、特に電流値に制限はない。しかし、発光素子12には元々流れていた電流を流す方が表示状態としては好ましい。したがって、測定電流源60としては、差動増幅器42の逆相端子に入力される基準電圧に相当する電流値の定電流源とすることがよい。
【0031】
図4は、測定電流源60を定電流源として、その構成を示す図である。測定電流源60は、第1のカレントミラー回路62と第2のカレントミラー回路66を含んで構成される。第1のカレントミラー回路は、図4の左側のトランジスタのゲート端子がソース端子と接続され、ドレイン端子が電源VDDに、ソース端子が基準抵抗64を介して接地に接続される。この構成によって、電源VDDの値と、左側のトランジスタのドレイン・ソース間電圧値と基準抵抗64の値とで、左側のトランジスタに流れる電流が一定値に定まる。
【0032】
そして、カレントミラー回路62の作用によって、同じ電流値が第2のカレントミラー回路66の左側のトランジスタに流れる。第2のカレントミラー回路66を構成する左側のトランジスタと右側のトランジスタとは、寸法が予め定めた縮尺となるように設定される。したがって、第2のカレントミラー回路66の右側のトランジスタに流れる電流は、左側のトランジスタに流れる電流の縮尺倍の大きさとすることができる。このようにして、第1のカレントミラー回路62で作り出された定電流を適当に縮尺倍して、第2のカレントミラー回路66の右側のトランジスタに流れる電流とすることができる。この第2のカレントミラー回路66の右側のトランジスタに流れる定電流を、測定電流源60の定電流として用いる。
【0033】
再び図2に戻り、電圧検出部70は、測定位置18の電圧を検出する電圧検出回路である。測定位置18の電圧を検出するタイミングは、設定部52によって差動増幅器42の出力端子の電圧がHレベルとされるタイミングである。このときに、制御トランジスタ46がオンとされるので、測定位置18には、制御トランジスタ46のドレイン端子の電圧であるカソード電圧VCが出力されるので、これを検出する。
【0034】
制御トランジスタ46には、ゲート・ソース間電圧があるので、ソース端子の電圧はゲート端子の電圧よりもこのゲート・ソース間電圧の分だけ低い電圧となる。ゲート端子の電圧は、差動増幅器42の出力端子の電圧であるので、差動増幅器42の差動電圧の範囲である。差動増幅器42の差動電圧は、一般的な制御回路の電圧で、数V程度であり、高電圧ではない。したがって、電圧検出部70が検出する電圧は、アノード電圧VAが高電圧であっても、発光素子12の端子間電圧、制御トランジスタ46のドレイン・ソース電圧の分だけ低くなり、高耐圧素子を用いなくても済む。
【0035】
電圧検出部70による測定位置18の電圧の検出は、設定部52によって設定信号が出力されるタイミングであるが、1回の測定値を検出値として用いてもよく、複数回の測定値を用いて予め定めた処理の結果の値を検出値として用いるものとしてもよい。予め定めた処理としては、複数回の測定値の最大値または最小値を検出値とするものとできる。あるいは、複数回の測定値の平均値を検出値とするものとしてもよい。
【0036】
電圧検出部70が検出した電圧は、図2で説明したように、LED駆動回路20に帰還され、アノード電圧VAを適切な値とするためのフィードバック信号として用いられる。ここで、発光素子12が正常動作する場合には、このように電圧検出部70が検出した電圧でアノード電圧VAを制御することで十分であるが、仮に発光素子12が短絡または開放となったときには、異常状態としての制御が行われる。
【0037】
すなわち、電圧検出部70は、検出された電圧が予め定めた異常範囲の電圧であるときに、LED駆動回路20の動作を停止させる信号を出力する異常信号出力手段を含む。そして、異常信号出力手段は、異常範囲の電圧を検出したときに、その状態を保持するラッチ手段を含むことが好ましい。
【0038】
図5は、発光素子12が短絡して、測定位置18の電圧がアノード電圧VAに近い異常電圧となった場合の異常処理回路の様子を示す図である。異常処理回路は、異常範囲の電圧を規定する基準電圧82が入力される逆相端子と、電圧検出部70の検出電圧が入力される正相端子とを有する差動増幅器80を含んで構成される。差動増幅器80は、電圧検出部70の検出電圧が基準電圧82を超えるときにその差に応じた電圧を出力する。この出力電圧が異常信号に相当するので、その意味で、差動増幅器80は、異常信号出力手段である。
【0039】
異常処理回路は、差動増幅器80によって出力された異常信号を保持するラッチ手段としてのラッチ回路84を含む。ラッチ回路84は、2つの2入力NOR回路の一方側の出力が他方側の入力となるようにタスキ掛けされ、タスキ掛けされる入力信号とは別に、一方側のNOR回路にLレベルの電圧が入力され、他方側のNOR回路に差動増幅器80の出力が入力される。ラッチ回路84の機能によって、差動増幅器80の出力が一旦Hレベルになると、ラッチ回路84の出力はHレベルとなり、その状態は、差動増幅器80の出力がその後Lレベルに戻っても維持される。
【0040】
これによって、異常信号が出力されると、ラッチ回路84がその状態を維持しながら、LED駆動回路20にHレベルの信号を出力する。LED駆動回路20は、このHレベル信号を受け取ると、その動作を停止する処理を行う。場合によっては動作停止に代えて、発光素子12に流す電流を小さくする処理を行うものとしてもよい。
発光素子12が開放となるときには、測定位置18の電圧が接地電位に近い異常電圧となる。したがって、図5の構成に代えて、異常範囲の電圧が接地電位に近い基準電圧以下のときに異常信号を出力し、その異常信号をラッチする構成とすることで、LED駆動回路20にその異常を伝送することができる。LED駆動回路20は、その異常伝送に対応し、その動作を停止する処理を行う。場合によっては動作停止に代えて、発光素子12に流す電流を小さくする処理を行うものとしてもよい。
【0041】
上記では、輝度制御部38によって、発光素子12の輝度調整が行われるものとしたが、発光素子12の輝度調整が行われない構成の場合もある。その場合には、差動増幅器42の出力端子の電圧レベルを強制的にHレベルとする設定が行われる。図6は、差動増幅器42の出力端子と電圧VHとの間に設けられたスイッチングトランジスタ51と、スイッチングトランジスタ51にオン指示を与える設定部53を含む構成を示す図である。
【0042】
スイッチングトランジスタ51は、通常はオフ状態とされ、そのときは、差動増幅器42の出力は、そのまま制御トランジスタ46に伝送される。スイッチングトランジスタ51が設定部53から設定信号を受け取ると、オン状態となって、差動増幅器42の出力端子の電圧レベルをVHとする。電圧VHは、制御トランジスタ46をオンさせることができる電圧である。これによって、制御トランジスタ46は、強制的にオン状態となる。設定部53は、同時に、測定切替素子54をオフし、測定電流源60を抵抗素子48の他方端に接続する。
【0043】
このようにして、制御トランジスタ46を強制的にオンとし、測定位置18に、制御トランジスタ46のドレイン端子の電圧であるカソード電圧VCを出力させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明に係る発光素子の電圧検出回路は、発光素子の駆動システムに利用できる。
【符号の説明】
【0045】
10 発光素子の駆動システム、12 発光素子、14,16 接続点、18 測定位置、20 LED駆動回路、22,82 基準電圧、24,,42,80 差動増幅器、26 PWM回路、28 リアクトル、30 トランジスタ、32 逆流防止ダイオード、34 出力コンデンサ、38 輝度制御部、40 電圧検出回路、44 基準電圧、46 制御トランジスタ、48 抵抗素子、50 輝度制御スイッチ、51 スイッチングトランジスタ、52,53 設定部、54 測定切替素子、60 測定電流源、62,66 カレントミラー回路、64 基準抵抗、70 電圧検出部、84 ラッチ回路。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アノード側が電源を介して発光素子駆動回路に接続される発光素子のカソード側に正側出力端子が接続される制御トランジスタと、
前記制御トランジスタの負側出力端子に一方端が接続され、他方端が測定切替素子を介して接地される抵抗素子と、
出力端子が前記制御トランジスタの制御端子に接続される調整回路と、
前記抵抗素子の他方端に接続され、前記測定切替素子がオフするときに作動する測定電流源と、
前記調整回路の前記出力端子の電圧レベルが前記制御トランジスタをオンさせるHレベルとなるタイミングで前記測定切替素子をオフする設定部と、
前記設定部によって前記調整回路の前記出力端子の電圧がHレベルとされるタイミングで、前記制御トランジスタの前記負側出力端子と前記抵抗素子との接続点における電圧を検出し、これを前記発光素子の前記カソード側の電圧として出力する電圧検出部と、
を備えることを特徴とする発光素子の電圧検出回路。
【請求項2】
請求項1に記載の発光素子の電圧検出回路において、
前記調整回路の前記出力端子の電圧について、前記制御トランジスタをオフさせるLレベルにする期間を設定することで前記発光素子の輝度制御を行う輝度制御部を備え、
前記設定部は、前記輝度制御部によって前記制御トランジスタがオフされない期間を前記調整回路の前記出力端子の電圧レベルが前記Hレベルであるタイミングとして、それに同期して前記測定切替素子をオフすることを特徴とする発光素子の電圧検出回路。
【請求項3】
請求項1に記載の発光素子の電圧検出回路において、
前記設定部は、前記調整回路の前記出力端子の電圧レベルを強制的に前記Hレベルにして前記制御トランジスタをオンさせる強制オン手段を含むことを特徴とする発光素子の電圧検出回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−155923(P2012−155923A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−12582(P2011−12582)
【出願日】平成23年1月25日(2011.1.25)
【出願人】(506227884)三洋半導体株式会社 (1,155)
【Fターム(参考)】