説明

発光表示パネル及びその製造方法

【課題】 発光領域と非発光領域との組合せにより所定パターンを表示する発光表示パネルであって、可撓性が高いものを低コストの下に得易い発光表示パネルを提供する。
【解決手段】 可撓性を有する透明基材1における厚さ方向の一方の面上に、発光領域及び非発光領域の両方に亘るようにして透明電極3を形成し、この透明電極のうちの非表示領域に対応する領域上に電気絶縁層5a、5c、5dを形成し、少なくとも透明電極のうちの発光領域に対応する領域上に有機発光部7を形成し、この有機発光部上に背面電極9を形成すると共に、透明基材における厚さ方向の他方の面上に印刷層を直接印刷することによって、上記課題を解決した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光領域と非発光領域との組合せにより文字、図形、記号、模様、静止画等のパターンを表示する発光表示パネル、及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発光素子の1つとして知られる有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、「有機EL素子」と略記する。)は、今日、可撓性の高いフラットパネルディスプレイの画素として、あるいはペーパーライクな面光源として、その実用化が進められている。
【0003】
また、例えば特許文献1に記載されているように、大面積の有機EL素子内に所定のパターンで非発光領域を形成すると共に、絵柄等が印刷された印刷物を有機EL素子の基材の外表面に貼り合わせ、有機EL素子に通電したときに生じる発光領域と非発光領域との組合せにより所望の表示を行う可撓性の高い発光表示パネル(有機ELディスプレイ)も開発されている。
【特許文献1】特開2004−185951号公報(特許請求の範囲、第0012段、及び図1参照。)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されているような発光表示パネルは、宣伝、電飾、装飾等のための文字、図形、記号、模様、静止画等、予め定められた固定パターンを表示する薄型のディスプレイとして有用であるが、有機EL素子の基材の外表面に印刷物を貼り合わせた構造であることから、有機EL素子の特徴の1つである可撓性の高さが損なわれ易く、また、製造コストを抑え難い。
【0005】
本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、その第1の目的は、発光領域と非発光領域との組合せにより所定パターンを表示する発光表示パネルであって、可撓性が高いものを低コストの下に得易い発光表示パネルを提供することにある。
【0006】
また、本発明の第2の目的は、発光領域と非発光領域との組合せにより所定パターンを表示する発光表示パネルであって、可撓性が高いものを低コストの下に得易い発光表示パネルの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記第1の目的を達成する本発明の発光表示パネルは、発光領域と非発光領域との組合せにより所定のパターンを表示する発光表示パネルであって、可撓性を有する透明基材と、前記発光領域及び前記非発光領域の両方に亘るようにして前記透明基材の厚さ方向の一方の面上に形成された透明電極と、該透明電極のうちの前記非発光領域に対応する領域上に形成された電気絶縁層と、少なくとも前記透明電極のうちの前記発光領域に対応する領域上に形成された有機発光部と、該有機発光部上に形成された背面電極とを有していると共に、前記透明基材の厚さ方向の他方の面に直接印刷された印刷層を有していることを特徴とする(以下、この発光表示パネルを「発光表示パネルI」ということがある。)。
【0008】
ここで、本発明でいう「発光領域と非発光領域との組合せにより所定のパターンを表示する」とは、宣伝、電飾、装飾等のための文字、図形、記号、模様、静止画等を、目視可能な大きさを有する1又は複数の発光領域と、当該発光領域に隣接する1又は複数の非発光領域(大きさは、目視可能な大きさであっても目視不能な大きさであってもよい。)との組合せにより表示することを意味する。
【0009】
本発明の発光表示パネルIでは、透明電極、有機発光部、及び背面電極によって有機EL素子を構成することができる。また、上記の印刷層として所望の絵柄等を設けることにより、この印刷層と発光領域とが協同して、あるいは印刷層によって発光領域を引き立たせて、訴求効果や装飾性の高い表示を行うことができる。
【0010】
そして、印刷層が透明基材に直接印刷されていることから、印刷物を透明基材に貼り合わせる場合に比べて、上記の有機EL素子の可撓性を高く保つことが容易であると共に、製造コストを抑えることも容易である。したがって、本発明の発光表示パネルによれば、可撓性が高いものを低コストの下に得易くなる。
【0011】
本発明の発光表示パネルIにおいては、前記透明電極のうちの前記非発光領域に対応する領域上に形成された少なくとも1つの補助電極を更に有し、該補助電極が前記電気絶縁層によって覆われている(以下、この発光表示パネルを「発光表示パネルII」ということがある。)こと、が好ましい。
【0012】
この発光表示パネルIIによれば、透明電極と補助電極とによって導電性の高い電極を形成することができるので、発光領域(有機EL素子)の発光時の発熱を抑えることができ、結果として、通電に伴う発熱によって有機発光部が劣化したり、透明基材が変形したり、透明基材が燃え出したりすることを抑制し易くなる。
【0013】
前述した第2の目的を達成する本発明の発光表示パネルの製造方法は、発光領域と非発光領域との組合せにより所定のパターンを表示する発光表示パネルの製造方法であって、可撓性を有する透明基材の厚さ方向の一方の面上に、前記発光領域及び前記非発光領域の両方に亘るようにして透明電極が形成され、該透明電極のうちの前記非発光領域に対応する領域上に電気絶縁層が形成されていると共に、前記透明基材の厚さ方向の他方の面に印刷層が直接印刷され、該印刷層上に保護フィルムが設けられている積層物を用意する準備工程と、少なくとも前記透明電極のうちの前記発光領域に対応する領域上に有機発光部を形成する有機発光部形成工程と、前記有機発光部上に背面電極を形成する背面電極形成工程と、を含むことを特徴とする(以下、この製造方法を「製造方法IA」ということがある。)。
【0014】
この製造方法IAによれば、前述した技術的効果を奏する本発明の発光表示パネルIを得ることができる。
【0015】
本発明の製造方法IAにおいては、前記積層物が、前記透明電極のうちの前記非発光領域に対応する領域上に形成された少なくとも1つの補助電極を更に有し、該補助電極が前記電気絶縁層によって覆われている(以下、この製造方法を「製造方法IB」ということがある。)こと、が好ましい。
【0016】
この製造方法IBによれば、前述した技術的効果を奏する本発明の発光表示パネルIIを得ることができる。
【0017】
本発明の製造方法IA〜IBのいずれにおいても、前記透明基材の材料として長尺のフィルム又はシートを用い、該フィルム又はシートの片面に前記透明電極となる透明導電層を少なくとも形成して円筒形に巻き取ったロールの一端側から、1つの発光表示パネルに対応する領域毎に前記電気絶縁層及び前記印刷層を順次設けると共に、1つの発光表示パネルに対応する各領域上に前記保護フィルムとなる長尺のフィルムを設けて、前記積層物を多数、連続的に得る(以下、この製造方法を「製造方法IC」ということがある。)こと、が好ましい。
【0018】
この製造方法ICによれば、前述した本発明の発光表示パネルI〜IIの生産性を高め易くなる。
【0019】
前述した第2の目的を達成する本発明の発光表示パネルの他の製造方法は、発光領域と非発光領域との組合せにより所定のパターンを表示する発光表示パネルの製造方法であって、可撓性を有する透明基材の厚さ方向の一方の面上に、前記発光領域及び前記非発光領域の両方に亘るようにして透明電極が形成され、該透明電極のうちの前記非発光領域に対応する領域上に電気絶縁層が形成されている積層物を用意する準備工程と、少なくとも前記透明電極のうちの前記発光領域に対応する領域上に有機発光部を形成する有機発光部形成工程と、前記有機発光部上に背面電極を形成する背面電極形成工程と、前記有機発光部形成工程を行った後に前記透明基材の厚さ方向の他方の面に印刷層を直接印刷する印刷工程と、を含むことを特徴とする(以下、この製造方法を「製造方法IIA」ということがある。)。
【0020】
この製造方法IIAによれば、上述した本発明の製造方法IAと同様に、前述した技術的効果を奏する本発明の発光表示パネルIを得ることができる。
【0021】
本発明の製造方法IIAにおいては、前記積層物が、前記透明電極のうちの前記非発光領域に対応する領域上に形成された少なくとも1つの補助電極を更に有し、該補助電極が前記電気絶縁層によって覆われている(以下、この製造方法を「製造方法IIB」ということがある。)こと、が好ましい。
【0022】
この製造方法IIBによれば、上述した本発明の製造方法IBと同様に、前述した技術的効果を奏する本発明の発光表示パネルIIを得ることができる。
【0023】
本発明の製造方法IIA〜IIBのいずれにおいても、前記透明基材の材料として長尺のフィルム又はシートを用い、該フィルム又はシートの片面に前記透明電極となる透明導電層を少なくとも形成して円筒形に巻き取ったロールの一端側から、1つの発光表示パネルに対応する領域毎に前記電気絶縁層を順次設けて、前記積層物を多数、連続的に得る(以下、この製造方法を「製造方法IIC」ということがある。)こと、が好ましい。
【0024】
この製造方法IICによれば、上述した本発明の製造方法ICと同様に、前述した本発明の発光表示パネルI〜IIの生産性を高め易くなる。
【発明の効果】
【0025】
以上説明したように、本発明によれば、発光領域と非発光領域との組合せにより文字、図形、記号、模様、静止画等のパターンを表示する発光表示パネルであって可撓性が高いものを低コストの下に得易くなるので、訴求効果が高い宣伝用発光表示パネル、訴求効果が高い電飾用発光表示パネル、高品位の装飾用発光表示パネル等、種々の用途の発光表示パネルを提供し易くなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明の発光表示パネル及びその製造方法それぞれの形態を、図面を適宜参照して詳述する。
【0027】
<発光表示パネル(第1形態)>
図1は、本発明の発光表示パネルの一例を示す概略図であり、表示面を正面視したときの概略図である。本発明の発光表示パネルは、前述のように、発光領域と非発光領域との組合せにより文字、図形、記号、模様、静止画等のパターンを表示するものであり、図1に示した発光表示パネル20では、8つの表示領域R 〜R と6つの非発光領域NR 〜NR との組合せにより、「ABC」という文字列と、「あいう」という文字列とが上下2段に分かれて表示される。
【0028】
なお、図1においては、発光領域R 〜R と非発光領域NR 〜NR とを区別し易くするために、各非発光領域NR 〜NR にスマッジングを付してある。
【0029】
図2は、本発明の発光表示パネルの基本的な断面構造の一例を示す概略図であり、図1に示した発光表示パネル20でのII−II線断面の概略図に相当する。同図に示すように、発光表示パネル20は、可撓性を有する透明基材1と、透明基材1の厚さ方向の一方の面上に形成された透明電極3と、透明電極3上に形成された電気絶縁層5a〜5f(ただし、図2においては3つの電気絶縁層5a、5c、5dのみが現れている。)と、各電気絶縁層5a〜5f上及び当該電気絶縁層5a〜5fによって覆われずに露出している透明電極3上に形成された1つの有機発光部7と、有機発光部7上に形成された1つの背面電極9と、透明基材1の厚さ方向の他方の面上に形成された印刷層11a〜11f(ただし、図2においては3つの印刷層11a、11c、11dのみが現れている。)とを有している。
【0030】
上記の透明基材1としては、透明樹脂フィルムや透明ガラスシートを用いることができる。透明樹脂フィルムとしては、フッ素系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニル、ポリスチレン、ABS樹脂、ポリアミド、ポリアセタール、ポリエステル、ポリカーボネート、変性ポリフェニレンエーテル、ポリスルホン、ポリアリレート、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリフェニレンスルフィド、液晶性ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリオキシメチレン、ポリエーテルサルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアクリレート、アクリロニトリル−スチレン樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン、シリコーン樹脂、非晶質ポリオレフィン等からなるものが好ましい。透明樹脂フィルムの膜厚が50μm程度未満では、発光表示パネル20の製造過程で変形が生じ易くなる。透明樹脂フィルムの膜厚の上限値は、得ようとする発光表示パネルの用途や、当該発光表示パネルに求められる可撓性等に応じて、適宜選定可能である。
【0031】
透明樹脂フィルムは、耐溶媒性、耐熱性、耐光性、及びガスバリアー性(水蒸気及び酸素に対するバリアー性を意味する。以下同じ。)に優れているものほど好ましいが、透明樹脂フィルムのガスバリアー性は、後述するガスバリアー層(第3形態の欄参照)を別途設けることによって改善可能である。
【0032】
一方、透明基材1として透明ガラスシートを用いる場合、この透明ガラスシートは、厚さが100μm程度以下のもであることが好ましい。また、必要に応じて、透明ガラスシートを機械的に保護する保護プラスチック層を別途設けることができる。この保護プラスチック層としては、ガスバリアー層としても機能するものが好ましい。
【0033】
透明電極3は、有機EL素子の陽極として利用されるものであり、発光領域R 〜R 及び非発光領域NR 〜NR (図1参照)の両方に亘るようにして透明基材1上に形成されている。この透明電極3の材料としては、酸化インジウム錫(ITO)、酸化インジウム、及び酸化インジウム亜鉛(IZO)等の無機透明導電性酸化物や、ポリアニリン等の有機導電性材料を用いることができ、中でもITO又はIZOが好ましく用いられる。透明電極3の膜厚は、0.005〜0.5μm程度の範囲内で適宜選定可能である。
【0034】
透明電極3の形成に伴って生じる透明基材1での残留応力をできるだけ小さくして当該透明基材1の変形を防止するという観点から、透明電極3は真空蒸着法、イオンプレーティング法、又は印刷法によって形成することが好ましい。印刷法によって透明電極3を形成する場合には、導電性インキ又は導電性ペーストをスクリーン印刷、フレキソ印刷、オフセット印刷等の方法によって所定形状に塗工して塗膜を形成した後、この塗膜を熱処理して透明電極3とする。
【0035】
電気絶縁層5a〜5fは、有機発光部7が発光領域R 〜R (図1参照)においてのみ発光するように、透明電極3と背面電極9とを局所的に絶縁するものであり、透明電極3のうちの非発光領域NR 〜NR に対応する領域上に形成されている。電気絶縁層5aが非発光領域NR に対応し、電気絶縁層5b(図示せず。)が非発光領域NR に対応し、電気絶縁層5cが非発光領域NR に対応する。また、電気絶縁層5dが非発光領域NR に対応し、電気絶縁層5e(図示せず。)が非発光領域NR に対応し、電気絶縁層5f(図示せず。)が非発光領域NR に対応する。
【0036】
このような電気絶縁層5a〜7fは、例えば、光硬化型樹脂組成物(紫外線硬化型樹脂組成物を含む。)や電子線硬化型樹脂組成物等を塗工して塗膜を形成し、この塗膜をフォトリソグラフィー法や電子線リソグラフィー法で所定形状にパターニングすることによって得られる。電気絶縁層5a〜5fの膜厚は、透明電極3と背面電極9とを局所的に絶縁することができるように、電気絶縁層5a〜5fの材料や発光表示パネル20の駆動電圧等に応じて、0.5〜7.0μm程度の範囲内で適宜選定される。
【0037】
なお、製造過程で発光表示パネル20に変形が生じることを抑制するうえからは、透明基材1及び電気絶縁層5a〜5fそれぞれの熱膨張係数をできるだけ近似させることが好ましい。
【0038】
有機発光部7は、透明電極3及び背面電極9と共に有機EL素子を構成するものであり、少なくとも、透明電極3のうちの発光領域R 〜R (図1参照)に対応する領域上に形成されている。発光表示パネル20では、電気絶縁層5a〜5fの表面上及び当該電気絶縁層5a〜5fによって覆われずに露出している透明電極3上に、有機発光部7が形成されている。
【0039】
この有機発光部7は、例えば、(1)有機発光材料のみからなる単層構造、(2)正孔輸送材料からなる正孔輸送層と有機発光材料からなる有機発光材料層とがこの順番で透明電極3側から積層された2層構造、(3)有機発光材料からなる有機発光材料層と電子輸送材料からなる電子輸送層とがこの順番で透明電極3側から積層された2層構造、又は、(4)正孔輸送層と、有機発光材料層と、電子輸送層とがこの順番で透明電極3側から積層された3層構造とすることができる。
【0040】
また、(5)正孔輸送層と、電子輸送層の性質を兼ね備えた有機発光材料層とがこの順番で透明電極3側から積層された2層構造、(6)正孔輸送層の性質を兼ね備えた有機発光材料層と、電気輸送層とがこの順番で透明電極3側から積層された2層構造、又は、(7)有機発光材料層の性質と、正孔輸送層の性質及び電子輸送層の性質の少なくとも一方とを兼ね備えた有機混合物層のみからなる単層構造、とすることもできる。
【0041】
上記の有機発光材料層、正孔輸送層、電子輸送層、及び有機混合物層は、それぞれ、有機EL素子用の材料として知られる種々の有機発光材料、正孔輸送材料、又は電子輸送材料を用いて形成することができる。これらの層の形成は、例えば、真空蒸着法や湿式法等によって行うことができる。湿式法では、有機発光材料、正孔輸送材料、又は電子輸送材料を含有したコーティング組成物をインクジェット法、スピンコート法、印刷法、ディスペンサを用いて滴下するディスペンサ法等の方法によって塗工して塗膜を形成し、この塗膜を真空熱処理等の方法で加熱して硬化ないし固化させることにより、有機発光材料層、正孔輸送層、電子輸送層、又は有機混合物層を形成する。
【0042】
発光領域R 〜R によって複数色のカラー表示を行おうとする場合には、発光色が互いに異なる複数種の有機発光材料を用意し、発光色が互いに異なる複数の有機発光材料層又は有機発光部をそれぞれ所望箇所に形成する。このとき、異なる有機発光材料層又は有機発光部同士の間には、樹脂材料を用いて透明電極3上に予め隔壁を設けておくことが好ましい。隔壁は、例えば厚膜印刷、フォトリソグラフィー、電子線リソグラフィー等の方法によって形成することができる。
【0043】
発光領域R 〜R によってモノカラー表示及び複数色のカラー表示のいずれを行う場合でも、これら発光領域R 〜R での有機発光部7の膜厚は、透明電極3と背面電極9との短絡を防止しつつ輝度の高い有機EL素子を形成するという観点から、0.1〜2.5μm程度の範囲内で適宜選定することが好ましい。
【0044】
背面電極9は、有機発光部7上に形成されて有機EL素子の陰極として利用されるものである。有機EL素子の陰極として好適な背面電極を得るうえからは、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アルカリ金属を成分として含有する合金、及びアルカリ土類金属を成分として含有する合金等のように仕事関数が小さい金属もしくは合金を用いて背面電極9を形成することが好ましい。このとき、背面電極9は単層構造とすることもできるが、アルカリ金属やその合金、及びアルカリ土類金属やその合金は化学的活性が高いので、図2に示すように、アルカリ金属もしくはその合金、又はアルカリ土類金属もしくはその合金からなる第1背面電極9aを、化学的活性が低い銀(Ag)、金(Au)、アルミニウム(Al)等の導電性材料からなる第2背面電極9bで保護した積層構造とすることが好ましい。
【0045】
背面電極9を単層構造及び積層構造のいずれにする場合でも、当該背面電極9は、発光領域R 〜R に対応する領域にのみ形成することもできるし、発光領域R 〜R と非発光領域NR 〜NR の両方に亘って形成することもでき、その膜厚は、0.005〜1μm程度の範囲内で適宜選定可能である。背面電極9を積層構造とする場合、第1背面電極9a及び第2背面電極9bそれぞれの膜厚は、0.005〜0.5μm程度の範囲内で適宜選定することが好ましい。背面電極9は、例えば真空蒸着法によって形成することができる。
【0046】
印刷層11a〜11fは、発光領域R 〜R と協同して、あるいは発光領域R 〜R を引き立たせて、発光表示パネル20による表示の訴求性や装飾性等を向上させるためのものである。発光表示パネル20では、非発光領域NR に対応して印刷層11aが形成され、非発光領域NR に対応して印刷層11bが形成され、非発光領域NR に対応して印刷層11cが形成されている(図1参照)。また、非発光領域NR に対応して印刷層11dが形成され、非発光領域NR に対応して印刷層11eが形成され、非発光領域NR に対応にして印刷層11fが形成されている(図1参照)。
【0047】
これらの印刷層11a〜11fは、グラビア印刷、オフセット印刷、フレキソ印刷、スクリーン印刷等、種々の方法によって透明基材1に形成することができる。個々の印刷層11a〜11fでの印刷の内容は、発光表示パネル20による表示の訴求性や装飾性等を考慮して、例えば、印刷層11a〜11f全体で1つ又は複数の絵柄、模様、又は静止画を表すように、あるいは各々が単色又は複数色を呈するように、適宜選定される。
【0048】
以上説明した構造を有する発光表示パネル20では、透明電極3、有機発光部7、及び背面電極9によって有機EL素子が構成されている。そして、発光領域R 〜R と印刷層11a〜11fとが協同して、あるいは印刷層11a〜11fによって発光領域R 〜R を引き立たせて、訴求効果や装飾性の高い表示を行うことができる。
【0049】
この発光表示パネル20では、印刷層11a〜11fが透明基材1の厚さ方向の他方の面に直接印刷されていることから、印刷物を透明基材1に貼り合わせる場合に比べて、上記の有機EL素子の可撓性を高く保つことが容易であると共に、製造コストを抑えることも容易である。したがって、発光表示パネル20によれば、可撓性が高いものを低コストの下に得易くなる。
【0050】
発光領域及び非発光領域の組合せを適宜変更して所望の文字、図形、記号、模様、静止画等のパターンが表示されるように構成することにより、訴求効果が高い宣伝用発光表示パネルや、訴求効果が高い電飾用発光表示パネル、あるいは高品位の装飾用発光表示パネル等、種々の用途の発光表示パネルを得ることができる。
【0051】
<発光表示パネル(第2形態)>
本発明の発光表示パネルにおいては、発光領域(有機EL素子)の発光時の発熱を抑えるために、透明電極上に補助電極を形成することができる。
【0052】
図3は、補助電極を有する本発明の発光表示パネルの一例を示す概略図であり、表示面を正面視したときの概略図である。また、図4は、図3に示したIV−IV線断面の概略図である。これらの図に示す発光表示パネル30では、図1及び図2に示した発光表示パネル20における発光領域R 〜R を正面視上取り囲むようにして、矩形枠状を呈する補助電極22aが透明電極3上に形成されており、発光領域R 〜R を正面視上取り囲むようにして、矩形枠状を呈する補助電極22bが透明電極3上に形成されている。そして、各補助電極22a、22bは、電気絶縁層5aによって覆われている。
【0053】
この発光表示パネル30の構成は、上記の補助電極22a、22bを除き、図1及び図2に示した発光表示パネル20の構成と同じであるので、図3又は図4に示した構成部材のうちで図1又は図2に示した構成部材と共通するものについては、図1又は図2で用いた参照符号と同じ参照符号を付してその説明を省略する。
【0054】
補助電極22a、22bは、透明電極3と共同して導電性の高い電極を形成するものであり、各補助電極22a、22bは、透明電極3の材料よりも導電性が高い合金材料又は金属材料、例えば銀(Ag)、金(Au)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)等からなる。これら補助電極22a、22bの膜厚及び線幅は、当該補助電極22a、22bと透明電極3とを併せた体積抵抗率が1×10−6〜1×10−4Ω・cm程度の範囲内となるように、透明電極3の電気的特性、透明電極3の大きさ、及び当該補助電極22a、22bの材料に応じて適宜選定される。ただし、膜厚を選定するにあたっては、電気絶縁層5aによって補助電極22a、22bそれぞれの全体が覆われることになるように、電気絶縁膜7aの膜厚も考慮される。
【0055】
このような補助電極22a、22bは、補助電極22a、22bの形成に伴う透明基材1での残留応力をできるだけ小さくして当該透明基材1の変形を防止するという観点から、所定形状の蒸着用マスクを用いた真空蒸着法、所定形状の蒸着用マスクを用いたイオンプレーティング法、又は印刷法によって形成することが好ましい。印刷法によって補助電極22a、22bを形成する場合には、例えば、導電性インキ又は導電性ペーストをスクリーン印刷、フレキソ印刷、オフセット印刷等の方法によって所定形状に塗工して塗膜を形成した後、これらの塗膜を熱処理して補助電極22a、22bとする。
【0056】
上述の構造を有する発光表示パネル30では、透明電極3と補助電極22a、22bとが共同して導電性の高い電極を形成しているので、有機EL素子からなる発光領域R 〜R の発光時の発熱を抑えることができ、結果として、通電に伴う発熱によって有機発光部7が劣化したり、透明基材1が変形したり、透明基材1が燃え出したりすることを抑制し易い。また、表示しようとする文字「A」、「B」、「C」、「あ」、「い」、及び「う」の内側(発光領域R 〜R 内)には補助電極22a、22bが分布していないので、補助電極22a、22bでの外光の反射に起因する画質の低下を容易に抑制することができる。
【0057】
<発光表示パネル(第3形態)>
有機EL素子に使用される有機発光材料は酸素や水分によってその特性が劣化するので、有機EL素子には、通常、有機発光部への酸素や水分の侵入を防ぐための封止処理が施される。本発明の発光表示パネルにおいても、上記の封止処理を施すことが好ましい。
【0058】
図5は、封止処理が施された本発明の発光表示パネルの一例を概略的に示す断面図である。同図に示す発光表示パネル40は、図3及び図4に示した発光表示パネル30における透明基材1上にガスバリアー層34を設け、さらに、背面電極9上に封止層36を設けた構造を有している。ガスバリアー層34及び封止層36を共に除いた残りの構成は発光表示パネル30の構成と同じであるので、図5に示した構成部材のうちで図4に示した構成部材と共通するものについては、図4で用いた参照符号と同じ参照符号を付してその説明を省略する。透明基材1として透明樹脂フィルを用いる場合には、可撓性の高い発光表示パネル40を容易に得るという観点から、その膜厚を50〜200μm程度の範囲内で適宜選定することが好ましい。
【0059】
上記のガスバリアー層34は、酸素や水分が透明基材1を透過して有機発光部7に侵入するのを防止するための層である。このガスバリアー層34は、透明基材1の外表面上に設けることもできるが、図示のように、透明基材1の内表面上に設ける方が好ましい。ガスバリアー層34を透明基材1の外表面上に設ける場合には、このガスバリアー層34上に印刷層11a〜11fを直接印刷することも可能である。
【0060】
ガスバリアー層34の材料としては、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化イットリウム、酸化ゲルマニウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化ホウ素、酸化ストロンチウム、酸化バリウム、酸化鉛、酸化ジルコニウム、酸化ナトリウム、酸化リチウム、及び酸化カリウム等の無機酸化物や、窒化ケイ素等の無機窒化物、あるいは酸窒化ケイ素等の酸窒化物を用いることができる。ガスバリアー層34の膜厚は、有機発光部7への酸素や水分の侵入を防止し、かつ、発光表示パネル40の可撓性を良好にするという観点から、0.01〜0.5μm程度の範囲内で適宜選定することが好ましい。このようなガスバリアー層34は、例えば真空蒸着法により形成することができる。
【0061】
一方、上記の封止層36は、酸素や水分が背面電極9を透過して有機発光部7に侵入するのを防止するための層であると共に、酸素や水分が有機発光部7の側面から当該有機発光部7に侵入するのを防止するための層であり、背面電極9の露出面及び有機発光部7の露出面を覆っている。
【0062】
この封止層36は、例えば無溶剤型の樹脂組成物を硬化させてなる比較的厚肉の単層構造とすることもできるが、有機発光部7への酸素や水分の侵入を防止するという観点からは、図示のように、可撓性を有する基材36a上にガスバリアー層36bが設けられ、このガスバリアー層36b上に接合剤層36cが設けられた積層構造とした方が好ましい。
【0063】
上記の基材36aは、透明であっても透明でなくてもよいが、透明基材1と同程度ないしそれ以上の可撓性を有していることが好ましい。このような基材36aの材料としては、例えば、透明基材1の材料として例示した透明樹脂フィルムと同じものを用いることができる。また、その膜厚は50〜300μm程度の範囲内で適宜選定することが好ましい。
【0064】
基材36a上に設けられているガスバリアー層36bは、上述したガスバリアー層34と同様の材料によって当該ガスバリアー層34と同様にして形成することができる。そして、ガスバリアー層36b上に設けられている接合剤層36cは、封止層36をガスバリアー層34の内縁部上、電気絶縁層5a及び有機発光部7それぞれの露出面上、並びに背面電極9の外表面上に接合するための層であり、例えばエポキシ樹脂系の熱硬化型樹脂組成物、アクリル樹脂系の紫外線硬化型樹脂組成物等を所定の時期に硬化させることによって形成される。
【0065】
接合剤層36cを無溶剤タイプの熱硬化型樹脂組成物によって形成する場合、この接合剤層36cは、ガスバリアー層36bの上面全体に形成することもできるし、所望箇所にのみ局所的に形成することもできる。また、接合剤層36cを上記の紫外線硬化型樹脂組成物によって形成する場合には、接合剤層36cが背面電極9及び有機発光部7と接触しないように、ガスバリアー層36bの表面(上面)の内縁部上に形成することが好ましい。接合剤層36cの厚さは、その材料の種類に拘わらず1〜200μm程度の範囲内で適宜選定可能である。
【0066】
なお、製造過程で発光表示パネル40に変形が生じるのを抑制するうえからは、透明基材1、電気絶縁層5a〜5f、及び基材36aそれぞれの熱膨張係数をできるだけ近似させることが好ましい。また、発光表示パネル40の総膜厚は、当該発光表示パネル40の用途や、求められる可撓性等に応じて、1mm以下程度の範囲内で適宜選択可能である。
【0067】
このような構造を有する発光表示パネル40では、有機発光部7への酸素や水分の侵入をガスバリアー層34及び封止層36によって防止することができるので、図1〜図4に示した発光表示パネル20、30よりも長寿命のものを容易に得ることができる。
【0068】
<発光表示パネル(変形例)>
本発明の発光表示パネルを構成する透明電極の数は1に限定されるものではなく、表示しようとするパターン及びその色彩に応じて、2以上の所望数とすることもできる。また、印刷層は、非発光領域のみに設けられるものではなく、発光領域に設けることも可能である。ただし、発光領域全体に印刷層を設ける場合には、有機発光部からの出射光が印刷層によって完全に遮蔽されてしまわないように、光透過性を有する印刷層を形成する。例えば、発光領域に単色の印刷層からなる印刷層を設けた場合には、有機発光部からの出射光と印刷層の物体色との混色によって、有機発光部からの出射光とは異なる色の発光領域を形成することが可能になる。
【0069】
本発明の発光表示パネルに補助電極を設ける場合、当該補助電極の平面視上の形状は、図3に示した補助電極22a、22bのような矩形枠状に限定されるものではなく、表示しようとする文字、図形、記号、模様、静止画等のパターンの形状や、当該パターンを構成するパーツの配置等に応じて、矩形枠状以外の種々の閉じた形状、直線状、曲線状、面状等とすることができる。
【0070】
図6は、直線状の補助電極を複数有する発光表示パネルの一例を示す概略図であり、表示面を正面視したときの概略図である。同図に示す発光表示パネル50は、図3に示した発光表示パネル30と同様に、「ABC」という文字列と「あいう」という文字列とを上下2段に分けて表示する。発光表示パネル50における発光領域及び非発光領域の分布は、図1に示した発光表示パネル20での発光領域及び非発光領域の分布と同じであるので、これらの領域には図1で用いた参照符号と同じ参照符号を付してある。また、非発光領域にはスマッジングを付してある。
【0071】
この発光表示パネル50では、正面視上、文字列「ABC」の上下に分かれて2本の補助電極22a 、22a が配置され、これらの補助電極22a 、22a の間に、発光領域R 〜R と重ならないようにして8本の補助電極22a 〜22a10が配置されている。また、正面視上、文字列「あいう」の上下に分かれて2本の補助電極22b 、22b が配置され、これらの補助電極22b 、22b の間に、発光領域R 〜R と重ならないようにして8本の補助電極22b 〜22b10が配置されている。
【0072】
このようにして補助電極22a 〜22a10及び補助電極22b 〜22b10を設けることによっても、図3に示した発光表示パネル30と同様の技術的効果を奏する発光表示パネル50を得ることができる。なお、補助電極22a 〜22a10及び補助電極22b 〜22b10は、表示しようとする文字「A」、「B」、「C」、「D」、「あ」、「い」、「う」が小さいときには、省略することも可能である。同様に、文字列「ABC」と文字列「あいう」の間隔が狭いときには、補助電極22a 及び補助電極22b のいずれか一方又は両方を省略することも可能である。
【0073】
図1、図3、図5、又は図6に示した発光表示パネル20、30、40、50は、いずれも、表示しようとする文字が光るものであるが、本発明の発光表示パネルは、発光領域と非発光領域との組合せにより文字、図形、記号、模様、静止画等のパターンを表示するものであればよく、表示しようとするパターンは光らずにその周囲が光るように構成することもできる。
【0074】
図7は、表示しようとする文字は光らずにその周囲が光る発光表示パネルの一例を示す概略図であり、表示面を正面視したときの概略図である。同図に示す発光表示パネル60は、図3に示した発光表示パネル30と同様に、「ABC」という文字列と「あいう」という文字列とを上下2段に分けて表示する。
【0075】
この発光表示パネル50では、文字列「ABC」は3つの非発光領域NR11〜NR13によって構成され、文字列「あいう」は5つの非発光領域NR14〜NR18によって構成されている。各非発光領域NR11〜NR13の周囲には発光領域R10が形成されており、各非発光領域NR14〜NR18の周囲には発光領域R11が形成されている。そして、各発光領域R10、R11の周囲には、非発光領域NR10が形成されている。
【0076】
このような発光表示パネル60は、印刷層を所望パターンで設け、かつ、電気絶縁層の全体形状を非発光領域NR1018に対応した形状とする以外は、図3に示した発光表示パネル30と同様にして作製することができる。
【0077】
なお、図7においては、発光領域R10、R11と非発光領域NR10〜NR18とを区別し易くするために、非発光領域NR10〜NR18にスマッジングを付してある。また、図7中の参照符号「22a」、「22b」は、それぞれ、補助電極を示している。
【0078】
長寿命の発光表示パネルを得るうえからは、前述のようにガスバリアー層34(図5参照)及び封止層36(図5参照)の両方を設けることが好ましいが、発光表示パネルの用途やグレード等に応じて、ガスバリアー層34及び封止層36のいずれか一方のみを設けるようにしてもよい。また、透明基材1のガスバリアー性が高い場合には、ガスバリアー層34は設けずに封止層36のみを設けることもできる。
【0079】
以上、本発明の発光表示パネルについて説明したが、本発明の発光表示パネルは上述した構造の発光表示パネルに限定されるものではなく、これらの発光表示パネルに種々の変形、修飾、組合せ等を施すことも可能である。
【0080】
<発光表示パネルの製造方法IA>
本発明の発光表示パネルの製造方法IAは、前述したように、準備工程、有機発光部形成工程、及び背面電極形成工程を含むものである。以下、図1〜図5で用いた参照符号を適宜引用して、各工程を説明する。
【0081】
準備工程では、可撓性を有する透明基材1の厚さ方向の一方の面上に、発光領域R 〜R 及び非発光領域NR 〜NR の両方に亘るようにして透明電極3が形成され、この透明電極3のうちの非発光領域NR 〜NR に対応する領域上に電気絶縁層5a〜5f(ただし、電気絶縁層5b、5e、5fは、いずれの図にも示されていない。)が形成されていると共に、透明基材1の厚さ方向の他方の面に印刷層11a〜11fが直接印刷され、これらの印刷層11a〜11f上に保護フィルムが設けられている積層物を用意する。
【0082】
補助電極22a、22bを有する発光表示パネルを得ようとする場合には、透明電極3のうちの非発光領域NR 〜NR に対応する領域上に補助電極22a、22bが形成され、これらの補助電極22a、22bが電気絶縁層5aによって覆われている積層物を用意する。また、ガスバリアー層34を有する発光表示パネルを得ようとする場合には、透明基材1の厚さ方向の一方の面にガスバリアー層34が形成され、このガスバリアー層34上に透明電極3が形成されている積層物を用意する。
【0083】
準備工程で用意する積層物は、自ら作製してもよいし、他で作製されたものを購入してもよい。この積層物を自ら作製する場合、当該積層物は、例えば枚葉処理によって得ることができる。また、透明基材1の材料として長尺のフィルム又はシートを用いることにより、多数の積層物をこれらが互いに連なった状態で連続的にインラインで作製することもできる。透明電極3、電気絶縁層5a〜5f、印刷層11a〜11f、補助電極22a、22b、及びガスバリアー層34それぞれの形成方法については、本発明に係る第1〜3形態の発光表示パネルについての説明の中で既に述べたので、ここではその説明を省略する。
【0084】
上記の保護フィルムは、印刷層11a〜11fを保護するためのものであり、当該保護フィルムとしては、例えば、ポリオレフィン系樹脂フィルム(ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム等)等の樹脂フィルムの片面に粘着剤層を形成したものを用いることができる。
【0085】
上述の積層物を用意した後、少なくとも透明電極3のうちの発光領域R 〜R に対応する領域上に有機発光部7を形成する有機発光部形成工程を行い、その後、有機発光部7上に背面電極9を形成する背面電極形成工程を行う。有機発光部7及び背面電極9それぞれの形成方法については、本発明に係る第1〜3形態の発光表示パネルについての説明の中で既に述べたので、ここではその説明を省略する。多数の積層物をこれらが互いに連なった状態のものを準備工程で用意した場合には、有機発光部形成工程を行った後の所望の時期に所定の大きさに断裁する。
【0086】
上記の背面電極形成工程まで行うことにより、あるいは、背面電極形成工程の後に上記の断裁を行うことにより、図1〜図2に示した発光表示パネル20又は図3〜図4に示した発光表示パネル30を得ることができる。
【0087】
図5に示した発光表示パネル40のように封止層36を有する発光表示パネルを得ようとする場合には、上記の背面電極形成工程を行った後に、背面電極9の露出面及び有機発光部7の露出面を覆うようにして封止層36を形成する封止層形成工程を更に行う。この封止層形成工程は、例えば、未硬化の接合剤層を有し、当該未硬化の接合剤層を硬化させることによって封止層36となるフィルムを別途作製し、当該フィルムをニップローラ等のローララミネータにより所定箇所にラミネートした後に上記未硬化の接合剤層を硬化させることによって行うことができる。封止層形成工程は、上記の断裁の前に行うこともできるし、上記の断裁の後に行うこともできる。
【0088】
所望の発光表示パネルを高い生産性の下に製造しようとする場合には、少なくとも準備工程から有機発光部形成工程までをインラインで連続的に行うことが好ましい。そして、準備工程から有機発光部形成工程までをインラインで連続的に行うにあたっては、透明基材1の材料として長尺のフィルム又はシートを用い、このフィルム又はシートの片面に透明電極3となる透明導電層を少なくとも形成して円筒形に巻き取ったロールの一端側から、1つの発光表示パネルに対応する印刷層11a〜11f、保護フィルム、必要に応じての補助電極22a、22b、及び電気絶縁層5a〜5fを順次設けて上述の積層物を多数、連続的に得、これらの積層物に対して上記の有機発光部形成工程を順次行うことが好ましい。
【0089】
図8は、上述した準備工程から有機発光部形成工程までをインラインで連続的に行うことができる製造システムの一例を示す概略図である。同図に示す製造システム200は、透明基材の材料としての長尺フィルムの片面にガスバリアー層を介して透明導電層が設けられている積層フィルム100aのロール100(以下、「フィルムロール100」という。)を用いる製造システムであり、4つのセクションS1〜S4に大別することができる。同図中の実線の矢印は、フィルムロール100から引き出された積層フィルム100aの搬送方向を示しており、破線の矢印は、ロール又は部材の回転方向を示している。
【0090】
セクションS1は、フィルムロール100から引き出した積層フィルム100aの所定の面上、すなわち、ガスバリアー層が形成されている面とは反対側の面上に、1つの発光表示パネルに対応する所望パターンの印刷層を順次形成し、さらに、これらの印刷層上に保護フィルム112aを積層するセクションである。図示の例では、版胴102aと、圧胴102bと、版胴102aにインキ槽104からインキを供給するフィードロール106と、第1乾燥装置108とを備えたグラビア印刷機110によって、1つの発光表示パネルに対応する所望パターンの印刷層が順次形成される。また、印刷層上への保護フィルム112aの積層は、保護フィルム112aのロール112から保護フィルム112aを引き出し、これをローララミネータ115により印刷層上に積層することで連続的に行われる。
【0091】
セクションS2は、積層フィルム102aにおける透明導電層上に、1つの発光表示パネルに対応する所定数の補助電極を順次形成するセクションである。図示の例では、テーブル120aと、スクリーン版120bと、スクィージ120cとを備えたスクリーン印刷機120により未硬化の補助電極層を形成した後、この未硬化の補助電極層を第2乾燥機125で乾燥することによって、1つの発光表示パネルに対応する所定数の補助電極が順次形成される。
【0092】
セクションS3は、セクションS2で形成した補助電極を覆うようにして、1つの発光表示パネルに対応する所定パターンの電気絶縁層を順次形成するセクションである。図示の例では、まず、1対のロール130a、130bと、ロール130aに光硬化型樹脂組成物(紫外線硬化型樹脂組成物を含む。)又は電子線硬化型樹脂組成物を供給するフィードロール130cとを備えたロールコータ130によって、補助電極を覆うようにして上記の樹脂組成物からなる塗膜が透明導電層上に形成される。この後、前記の塗膜をフォトリソグラフィー法又は電子線リソグラフィー法に基づく露光・現像装置125にて所定形状にパターニングすることにより、1つの発光表示パネルに対応する所定形状の電気絶縁層が順次形成される。製造システム200では、セクションS3まで経ることにより、前述した積層物が多数、互いに連なった連続体として作製される。
【0093】
セクションS4は、少なくとも個々の発光表示パネルに対応する透明電極(透明導電層)のうちの発光領域に対応する領域上に有機発光部を順次形成するセクションである。図示の例では、版胴140aと、ブランケット胴140bと、圧胴140cと、第3乾燥装置140dとを備えたグラビアオフセット印刷機140によって、単層構造の有機発光部が順次形成される。複数層構造の有機発光部を順次形成しようとする場合には、形成しようとする層毎に1つのグラビアオフセット印刷機をインラインで配置する。
【0094】
このような製造システム200によって有機発光部まで形成した後に背面電極形成工程を行い、必要に応じて背面電極形成工程の後に封止層形成工程を行い、有機発光部形成後の所望の段階で個々の発光表示パネルに対応した大きさに断裁することにより、目的とする発光表示パネルを得ることができる。
【0095】
なお、印刷層、補助電極、電気絶縁層、及び有機発光部それぞれの形成方法は、本発明に係る第1形態の発光表示パネルについての説明から明らかなように、図8に示した形成方法に限定されるものではなく、適宜選択可能である。ただし、準備工程から有機発光部形成工程までをインラインで連続的に行ううえからは、印刷層、補助電極、電気絶縁層、及び有機発光部をそれぞれ印刷法により形成することが好ましい。
【0096】
印刷層を形成するセクションS1は、補助電極を形成するセクションS2と電気絶縁層を形成するセクションS3との間に配置することもできるし、電気絶縁層を形成するセクションS3と有機発光部を形成するセクションS4との間に配置することもできる。
【0097】
製造システム200により印刷層、補助電極、電気絶縁層、及び有機発光部をそれぞれ高い位置精度又は形状精度の下に形成するうえからは、積層フィルム100aに間欠的にアライメントマークを付しておくことが好ましい。製造システム200での積層フィルム100aの搬送精度が高ければ、セクションS1で上記のアライメントマークをセンサにより検出して高い位置精度又は形状精度の下に印刷層を形成すると共に、当該セクションS1で検出したアライメントマークの位置情報をセクションS2、セクションS3、及びセクションS4に供給して、これらのセクションS2〜S4での位置合わせに利用することができる。その結果として、印刷層、補助電極、電気絶縁層、及び有機発光部をそれぞれ高い位置精度又は形状精度の下に形成することが容易になる。また、セクションS1〜S4のそれぞれにアライメントマーク検出用のセンサを設け、これらのセクション毎にアライメントマークを検出して位置合わせに利用することによっても、補助電極、電気絶縁層、及び有機発光部をそれぞれ高い位置精度又は形状精度の下に形成することが容易になる。
【0098】
<発光表示パネルの製造方法IIA>
本発明の発光表示パネルの製造方法IIAは、前述したように、準備工程、有機発光部形成工程、背面電極形成工程、及び印刷工程を含むものである。以下、図1〜図5で用いた参照符号を適宜引用して、各工程を説明する。
【0099】
準備工程では、印刷層11a〜11f及び保護フィルムをそれぞれ設けない以外は上述した製造方法IAで行われる準備工程と同様にして、積層物を用意する。また、有機発光部形成工程では、製造方法IAで行われる有機発光部形成工程での有機発光部7の形成と同様にして、上記の準備工程で用意した積層物に有機発光部7を形成する。背面電極形成工程では、製造方法IAで行われる背面電極形成工程での背面電極9の形成と同様にして、上記の有機発光部形成工程まで経た積層物に背面電極9を形成する。
【0100】
そして、印刷工程では、少なくとも有機発光部形成工程まで経た積層物に印刷層11a〜11fを形成する。印刷層11a〜11fの形成自体は、製造方法IAでの印刷層11a〜11fの形成と同様にして行われる。この印刷工程は、有機発光部形成工程を行った後の所望の時期に行うことができる。例えば、背面電極形成工程の前に行うこともできるし、背面電極形成工程の後に行うこともできる。
【0101】
製造方法IIAにおいても、製造方法IAにおけるのと同様に、必要に応じて封止層形成工程を行うことができる。封止層成型工程を行う場合、印刷工程は、有機発光部形成工程の後、背面電極形成工程の前に行う他に、背面電極形成工程の後、封止層形成工程の前に行うこともできるし、封止層形成工程後に行うこともできる。印刷工程を行った後に背面電極形成工程又は封止層形成工程を行う場合には、印刷層11a〜11fを保護するために、これらの印刷層11a〜11fを覆うようにして保護フィルムを設けることが好ましい。
【0102】
所望の発光表示パネルを高い生産性の下に製造しようとする場合には、少なくとも準備工程から印刷工程までをインラインで連続的に行い、その後に背面電極形成工程を行うことが好ましい。例えば、図7に示したセクションS1を同図に示したセクションS4の後に配置した構成の製造システムを用いれば、少なくとも準備工程から印刷工程までをインラインで連続的に行うことができる。
【0103】
準備工程から有機発光部形成工程までをインラインで連続的に行った場合、及び準備工程から印刷工程までをインラインで連続的に行った場合には、その後の所望の時期に、有機発光部形成工程又は印刷工程まで経た積層物を、製造しようとする発光表示パネルに対応した大きさに断裁する。
【0104】
以上説明した準備工程、有機発光部形成工程、背面電極形成工程、印刷工程、及び断裁を行うことより、図1〜図2に示した発光表示パネル20又は図3〜図4に示した発光表示パネル30を得ることができる。また、背面電極形成工程を行った後の所望の時期に封止層形成工程を更に行うことにより、図5に示した発光表示パネル40を得ることができる。
【実施例】
【0105】
<実施例1>
まず、ポリエーテルサルホンフィルム(膜厚は100μm)の片面に膜厚0.1μmのITO膜が形成されている市販の導電性フィルムを用意した。この導電性フィルムにおけるポリエーテルサルホンフィルムが本発明でいう透明基材に相当し、ITO膜が本発明でいう透明電極に相当する。
【0106】
次に、上記の導電性フィルムにおいてITO膜が形成されている面とは反対側の面に、グラビア印刷機により所定パターンで絵柄を印刷して印刷層を形成した後、この印刷層上に保護フィルムとしてのポリエチレンフィルムを貼付した。
【0107】
次いで、所定形状の蒸着用マスクを用いた真空蒸着法により、上記の透明電極上に銀(Ag)を蒸着させて、図1に示した発光表示パネル20における補助電極22a、22bと同様の形状及び配置の補助電極(計2つ)を形成した。いずれの補助電極も、厚さは0.2μmであり、線幅は1mmである。
【0108】
次に、補助電極が形成された透明電極上にフォトレジストをスピンコートして塗膜を形成し、この塗膜をプレベークした後に所定形状の露光マスクを用いて選択的に露光し、ポストベークを行ってから現像処理を施して、所定パターンの電気絶縁膜を形成した。透明電極上での当該電気絶縁膜の膜厚は2μmであり、この電気絶縁膜は各補助電極を覆っている。
【0109】
次いで、正孔輸送層形成用のコーティング組成物としてバイエル社製のバイトロンP(商品名)を用意し、このコーティング組成物をスピンコート法によって上記の電気絶縁膜及び透明電極上に塗工して塗膜を形成した。そして、この塗膜を150℃の熱処理により硬化させて、膜厚0.08μm(ただし、透明電極上での膜厚を意味する。)の正孔輸送層を形成した。
【0110】
また、有機発光層形成用のコーティング組成物として、ポリビニルカルバゾール70重量部と、オキシジアゾール30重量部と、シアノメチレンフィラン誘導体1重量部と、モノクロロベンゼン4700重量部との混合物を用意し、このコーティング組成物をスピンコート法によって上記の正孔輸送層上に塗工して塗膜を形成した。そして、この塗膜を150℃の熱処理により硬化させて、膜厚0.07μmの有機発光層を形成した。これにより、正孔輸送層と有機発光層とからなる2層構造の有機発光部が得られた。
【0111】
この有機発光部上に金属カルシウム(Ca)を真空蒸着法により堆積させて膜厚0.008μmのカルシウム層を成膜し、引き続き、このカルシウム層上に銀(Ag)を真空蒸着法により堆積させて膜厚0.5μmの銀層を成膜して、カルシウム層からなる第1背面電極と銀層からなる第2背面電極とを有する2層構造の背面電極を形成した。
【0112】
この後、透明電極の露出面、電気絶縁層の外側側面、有機発光部の側面、及び背面電極の外表面を覆うようにして封止層を積層してから保護フィルムを剥離して、ガスバリアー層34(図5参照)がない以外は図5に示した発光表示パネル40と同様の構造を有する発光表示パネルを得た。なお、上記の封止層は、膜厚300μmのポリエーテルサルホンフィルムからなる基材の片面全体に膜厚0.1μmの酸窒化ケイ素製ガスバリアー層が形成され、その表面の内縁部上にアクリル樹脂系の紫外線硬化型樹脂組成物からなる膜厚150μmの接合剤層が形成されたものであり、窒素ガス雰囲気中で接合剤層が内側となる向きで積層した後、接合剤層に所定波長の紫外線を照射して、当該接合剤層を硬化させると共にその下地に接着させたものである。
【0113】
このようにして得た発光表示パネルは、「ABC」という文字列と、「あいう」という文字列とを各文字が光った状態で上下2段に分けて表示することできるものであり、高い可撓性を有している。
【図面の簡単な説明】
【0114】
【図1】本発明の発光表示パネルの一例を示す概略図であり、表示面を正面視したときの概略図である。
【図2】本発明の発光表示パネルの基本的な断面構造の一例を示す概略図であり、図1に示したII−II線断面の概略図に相当する。
【図3】本発明の発光表示パネルの他の例を示す概略図であり、表示面を正面視したときの概略図である。
【図4】本発明の発光表示パネルの基本的な断面構造の他の例を示す概略図であり、図3に示したIV−IV線断面の概略図に相当する。
【図5】封止処理が施された本発明の発光表示パネルの一例を概略的に示す断面図である。
【図6】直線状の補助電極を複数有する本発明の発光表示パネルの一例を示す概略図であり、表示面を正面視したときの概略図である。
【図7】表示しようとする文字は光らずにその周囲が光る本発明の発光表示パネルの一例を示す概略図であり、表示面を正面視したときの概略図である。
【図8】本発明の発光表示パネルの製造法に従って準備工程から有機発光部形成工程までをインラインで連続的に行うことができる製造システムの一例を示す概略図である。
【符号の説明】
【0115】
1 可撓性を有する透明基材
3 透明電極
5a、5c、5d 電気絶縁層
7 有機発光部
9 背面電極
9a 第1背面電極
9b 第2背面電極
11a〜11f 印刷層
20、30、40、50 発光表示パネル
22a、22b、22a 〜22a10、22b 〜22b10 補助電極
34 ガスバリアー層
36 封止層
36a 可撓性を有する基材
36b ガスバリアー層
36c 接合剤層
〜R 、R10、R11 発光領域
NR 〜NR 、NR10〜NR18 非発光領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光領域と非発光領域との組合せにより所定のパターンを表示する発光表示パネルであって、
可撓性を有する透明基材と、前記発光領域及び前記非発光領域の両方に亘るようにして前記透明基材の厚さ方向の一方の面上に形成された透明電極と、該透明電極のうちの前記非発光領域に対応する領域上に形成された電気絶縁層と、少なくとも前記透明電極のうちの前記発光領域に対応する領域上に形成された有機発光部と、該有機発光部上に形成された背面電極とを有していると共に、前記透明基材の厚さ方向の他方の面上に直接印刷された印刷層を有していることを特徴とする発光表示パネル。
【請求項2】
前記透明電極のうちの前記非発光領域に対応する領域上に形成された少なくとも1つの補助電極を更に有し、該補助電極が前記電気絶縁層によって覆われていることを特徴とする請求項1に記載の発光表示パネル。
【請求項3】
発光領域と非発光領域との組合せにより所定のパターンを表示する発光表示パネルの製造方法であって、
可撓性を有する透明基材の厚さ方向の一方の面上に、前記発光領域及び前記非発光領域の両方に亘るようにして透明電極が形成され、該透明電極のうちの前記非発光領域に対応する領域上に電気絶縁層が形成されていると共に、前記透明基材の厚さ方向の他方の面に印刷層が直接印刷され、該印刷層上に保護フィルムが設けられている積層物を用意する準備工程と、
少なくとも前記透明電極のうちの前記発光領域に対応する領域上に有機発光部を形成する有機発光部形成工程と、
前記有機発光部上に背面電極を形成する背面電極形成工程と、
を含むことを特徴とする発光表示パネルの製造方法。
【請求項4】
前記積層物が、前記透明電極のうちの前記非発光領域に対応する領域上に形成された少なくとも1つの補助電極を更に有し、該補助電極が前記電気絶縁層によって覆われていることを特徴とする請求項3に記載の発光表示パネルの製造方法。
【請求項5】
前記透明基材の材料として長尺のフィルム又はシートを用い、該フィルム又はシートの片面に前記透明電極となる透明導電層を少なくとも形成して円筒形に巻き取ったロールの一端側から、1つの発光表示パネルに対応する領域毎に前記電気絶縁層及び前記印刷層を順次設けると共に、1つの発光表示パネルに対応する各領域上に前記保護フィルムとなる長尺のフィルムを設けて、前記積層物を多数、連続的に得ることを特徴とする請求項3又は4に記載の発光表示パネルの製造方法。
【請求項6】
発光領域と非発光領域との組合せにより所定のパターンを表示する発光表示パネルの製造方法であって、
可撓性を有する透明基材の厚さ方向の一方の面上に、前記発光領域及び前記非発光領域の両方に亘るようにして透明電極が形成され、該透明電極のうちの前記非発光領域に対応する領域上に電気絶縁層が形成されている積層物を用意する準備工程と、
少なくとも前記透明電極のうちの前記発光領域に対応する領域上に有機発光部を形成する有機発光部形成工程と、
前記有機発光部上に背面電極を形成する背面電極形成工程と、
前記有機発光部形成工程を行った後に前記透明基材の厚さ方向の他方の面に印刷層を直接印刷する印刷工程と、
を含むことを特徴とする発光表示パネルの製造方法。
【請求項7】
前記積層物が、前記透明電極のうちの前記非発光領域に対応する領域上に形成された少なくとも1つの補助電極を更に有し、該補助電極が前記電気絶縁層によって覆われていることを特徴とする請求項6に記載の発光表示パネルの製造方法。
【請求項8】
前記透明基材の材料として長尺のフィルム又はシートを用い、該フィルム又はシートの片面に前記透明電極となる透明導電層を少なくとも形成して円筒形に巻き取ったロールの一端側から、1つの発光表示パネルに対応する領域毎に前記電気絶縁層を順次設けて、前記積層物を多数、連続的に得ることを特徴とする請求項6又は7に記載の発光表示パネルの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−147190(P2006−147190A)
【公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−332168(P2004−332168)
【出願日】平成16年11月16日(2004.11.16)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】