説明

発光表示媒体

【課題】蓄電した電力によって電流を供給して発光素子を発光させるものにおいて、供給する電流を大きなものから小さなものに高速で切り替える。
【解決手段】入力電圧を定電流に変換して電力を蓄電する昇圧形定電流部50と、昇圧形定電流部50に蓄電された電力によって電流が供給されることにより定電流駆動する有機EL素子33a〜33cと、昇圧形定電流部50から有機EL素子33a〜33cに供給される電流の値を制御することによって有機EL素子33a〜33cの発光輝度を制御する制御部60とを有するものにおいて、昇圧形定電流部50に蓄電された電力を放電するための放電パス70を有し、発光する有機EL素子をその発光輝度が高輝度のものから低輝度のものに切り替える際、昇圧形定電流部50に蓄電された電力を放電パス70を介して放電する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄電された電力によって電流を供給して発光素子を発光させる発光表示媒体に関し、特に、発光輝度を高輝度から低輝度に切り替える際の切替時間の短縮技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、情報を表示する表示装置として、CRTディスプレイや液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ等が用いられており、これらは、テレビ受像機に用いられることによりテレビ局から送信されたテレビ映像を表示したり、パソコンのディスプレイとして用いられることにより、パソコンに保存された情報やインターネットを介して配信された情報を表示したりすることができる。これらの表示装置は、それぞれ一長一短を有しており、例えば、CRTディスプレイは、視野角が広いものの奥行きサイズが厚く、また、液晶ディスプレイは、奥行きサイズが薄いものの視野角が狭く、また、プラズマディスプレイは、視野角が広く奥行きサイズが薄いものの消費電力が多い。
【0003】
近年、上述したような表示装置に加えて、デジタル情報を紙のように薄い表示媒体に表示する薄型の電子表示パネルが普及しはじめている。このような薄型の電子表示パネルは、互いに対向する2つの電極間に、電流が流れると発光する有機EL素子を配置して有機EL素子に電流を流し、この有機EL素子の発光によって情報を表示するものであるが、有機EL素子の輝度は、有機EL素子に流れる電流に比例するため、流れる電流を制御することにより有機EL素子の輝度が調節されている。そして、紙のように薄いために携帯がしやすいとともに、消費電力が少なく、また視野角が広いことから、今後のさらなる普及が予想される。このような有機EL素子においては、入力電圧を定電流に変換する昇圧型定電流回路によって定電流駆動している(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
図4は、有機EL素子を用いた電子表示パネルの一例を示す図であり、(a)は表面図、(b)は(a)に示したA−A’断面図、(c)は内部構造を示すブロック図である。
【0005】
本例は図4に示すように、絶縁材料からなる基板120と、透明な材料からなる保護フィルム121と、表面シート110とが積層され、透明な粘着剤122によってこれらが互いに接着されて構成されている。
【0006】
基板120には、保護フィルム122との積層面に、この電子表示パネル101にて表示すべき情報“A”,“B”,“C”を示す形状をそれぞれ有する表示電極131a〜131cが形成されており、この表示電極131a〜131c上には、有機EL素子133a〜133cがそれぞれ積層され、さらに、この有機EL素子133a〜133cを覆うようにITO132が積層されている。また、基板120の保護フィルム121との積層面には、電源部140と、電源部140の電圧を定電流に変換する昇圧形定電流部150と、有機EL素子133a〜133cの発光状態を切り替えるとともに、有機EL素子133a〜133cの発光輝度に応じて昇圧形定電流部150から有機EL発光素子133a〜133cに供給する電流の値を制御する制御部160とが設けられており、有機EL素子133a〜133cは、昇圧形定電流部150から供給された電流によって定電流駆動して発光する。また、表面シート110には、表示電極131a〜131c及び有機EL素子133a〜133cに対向する領域に、表示電極131a〜131c及び有機EL素子133a〜133cと同一形状を有する窓部111a〜111cが形成されている。
【0007】
以下に、上記のように構成された電子表示パネル101の動作について説明する。
【0008】
図5は、図4に示した電子表示パネル101の回路図である。
【0009】
図4に示した電子表示パネル101においては、電源部140となる電池141から供給された電力が昇圧形定電流部150に供給される。昇圧形定電流部150においては、コンパレータ151における比較結果に基づいてスイッチング素子152が動作し、スイッチング素子152の動作に応じた電力がコンデンサC1に蓄電される。
【0010】
マイコン161においては、スイッチSW1が切り替えられ、表示電極131a〜131cに対する電圧の選択的な印加によって有機EL素子133a〜133cの発光が切り替えられるが、有機EL素子133a〜133cにおける発光輝度を異ならせるために、マイコン161においては、有機EL素子133a〜133cの発光の切り替えと同期して、互いに並列に接続された抵抗R1〜R3が有機EL素子133a〜133cにおける発光輝度に応じて選択されてスイッチSW2,SW3のON/OFFが制御され、それにより、合成抵抗RFBが設定される。
【0011】
このようにしてスイッチSW1が切り替えられるとともにスイッチSW2,SW3のON/OFFが制御されることによって、コンデンサC1に蓄電された電力で表示電極131a〜131cを介して有機EL素子133a〜133cに選択的に電流が供給され、有機EL発光素子133a〜133cが、互いに発光輝度を異ならせて選択的に発光することになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2010−160369号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
図6は、図4及び図5に示した電子表示パネル101における有機EL素子133a〜133cの発光動作を説明するための図であり、(a)は有機EL素子133a〜133cのON/OFFのタイミングを示す図、(b)はスイッチSW1〜SW3のON/OFFが制御されることによって設定される合成抵抗RFBの値を示す図、(c)は有機EL素子133a〜133cのSW1側の電圧VFBの値を示す図、(d)は有機EL素子133a〜133cに流れる電流の値を示す図である。
【0014】
上述したように、有機EL素子133a〜133cを選択的に発光させるためにスイッチSW1を切り替えることにより、有機EL素子133a〜133cを選択的に導通状態とする。例えば、図6(a)に示すように、時間t0にて有機EL素子133aを導通状態とし、その後、時間t1にて有機EL素子133aを非導通状態とするとともに有機EL素子133bを導通状態とする。そして、時間t2にて有機EL素子133bを非導通状態とするとともに有機EL素子133cを導通状態とする。その後、時間t3にて有機EL素子133cを非導通状態とする。
【0015】
すると、有機EL素子133a〜133cのそれぞれは、導通状態となっている間にて、その際のマイコン161による抵抗R1〜R3の選択による合成抵抗RFBに応じた電流が供給されて発光することになる。そのため、上記のような順序で有機EL素子133a〜133cの発光の切り替えを行った場合、有機EL素子133aの発光輝度が最も高く、有機EL素子133cの発光輝度が最も低いとすると、有機EL素子133aに供給される電流の値が最も大きく、有機EL素子133cに供給される電流の値が最も小さい。そのため、マイコン161によって選択される抵抗R1〜R3による合成抵抗RFBは、図6(b)に示すように、有機EL素子133aを発光させる際に最も高く、有機EL素子133cを発光させる際に最も低くなる。発光の際に供給される電流の値が大きなものから小さなものに切り替えると、発光する有機EL素子を有機EL素子133aから有機EL素子133bに発光を切り替えた際、有機EL素子133bが導通状態となった直後に、コンデンサC1に蓄電された電力が有機EL素子133bを介して放電する。この時、抵抗R1〜R3による合成抵抗RFBの値が高くなり、有機EL素子の抵抗分は一定なため、2つの抵抗による分圧比が変化し、図6(c)に示すように、電圧VFBが電圧VREFよりも高くなり、電圧VFBが電圧VREFと同じ電圧になるまで時間がかかってしまう。これにより、図6(d)に示すように、発光する有機EL素子を有機EL素子133aから有機EL素子133bに切り替えた直後は、有機EL素子133bに流れる電流が設定した電流にならない。同様に、発光する有機EL素子を有機EL素子133bから有機EL素子133cに切り替えた際、有機EL素子133cが導通状態となった直後に、コンデンサC1に蓄電された電力が有機EL素子133cを介して放電して電流が流れる。この時、抵抗R1〜R3による合成抵抗RFBの値が高くなり、有機EL素子の抵抗分は一定なため、分圧比が変化し、電圧VFBが電圧VREFよりも高くなる、電圧VFBが電圧VREFと同じ電圧になるまで時間がかかってしまう。これにより、発光する有機EL素子を有機EL素子133bから有機EL素子133cに切り替えた直後は、有機EL素子133cに流れる電流が設定した電流にならない。
【0016】
このような現象は、互いに発光輝度が異なる複数の有機EL素子を用いた場合に限らず、1つの有機EL素子に供給する電流の値を大きなものから小さなものに切り替える場合にも生じるものであり、電流を切り替える場合に短時間では設定した電流に切り替えることができないという問題点がある。
【0017】
本発明は、上述したような従来の技術が有する問題点に鑑みてなされたものであって、蓄電した電力によって電流を供給して発光素子を発光させるものにおいて、発光素子に供給する電流を大きなものから小さなものに切り替える場合であっても、電流の切り替えを高速で行うことができる発光表示媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記目的を達成するために本発明は、
入力電圧を定電流に変換して電力を蓄電する昇圧形定電流部と、該昇圧形定電流部にて昇圧された電力によって電流が供給されることにより電流駆動する発光素子と、前記昇圧形定電流部から前記発光素子に供給される電流の値を制御することによって前記発光素子の発光輝度を制御する制御部とを有する発光表示媒体において、
前記昇圧形定電流部に蓄電された電力を放電するための放電パスを有し、
前記制御部は、前記昇圧形電流部から前記発光素子に供給される電流の値を第1の値から該第1の値よりも小さな第2の値に切り替える際、前記昇圧形定電流部に蓄電された電力を前記放電パスを介して放電することを特徴とする。
【0019】
上記のように構成された本発明においては、昇圧形定電流部に蓄電された電力によって発光素子に電流が供給され、発光素子がこの電流によって駆動する。発光素子は、供給される電流に応じて発光輝度が変化する定電流駆動であるため、制御部においては、昇圧形定電流部から発光素子に供給される電流が発光素子の発光輝度に応じて制御されている。そして、発光素子の発光輝度を高輝度から低輝度に切り替えるために昇圧形定電流部から発光素子に供給される電流を第1の値からそれよりも小さな第2の値に切り替える際、制御部の制御によって、昇圧形定電流部に蓄電された電力が放電パスを介して放電される。これにより、発光素子に供給される電流の値を第1の値からそれよりも小さな第2の値に切り替える場合、昇圧形定電流部に蓄電された電力が放電パスを介して強制的に放電されてから、発光素子の発光輝度に応じて昇圧形定電流部に電力が蓄電され、この電力によって電流が発光素子に供給されることになり、昇圧形定電流部に蓄電された電力が発光素子を介して放電することによって発光素子に供給される電流の値が大きなものから小さなものに切り替わるまでの時間が長くなることがない。
【発明の効果】
【0020】
以上説明したように本発明においては、入力電圧を定電流に変換して電力を蓄電する昇圧形定電流部と、昇圧形定電流部に蓄電された電力によって電流が供給されることにより定電流駆動する発光素子と、昇圧形定電流部から発光素子に供給される電流の値を制御することによって発光素子の発光輝度を制御する制御部とを有するものにおいて、発光素子の発光輝度を高輝度から低輝度に切り替えるために昇圧形定電流部から発光素子に供給される電流を第1の値からそれよりも小さな第2の値に切り替える際、制御部の制御によって、昇圧形定電流部に蓄電された電力を放電パスを介して放電する構成としたため、発光素子の発光輝度を高輝度から低輝度に切り替えるために昇圧形定電流部から発光素子に供給される電流を第1の値からそれよりも小さな第2の値に切り替える際、昇圧形定電流部に蓄電された電力が放電パスを介して強制的に放電されてから、発光素子の発光輝度に応じて昇圧形定電流部に電力が蓄電され、この電力によって電流が発光素子に供給されることになり、それにより、蓄電された電力によって電流を供給して発光素子を発光させるものにおいて、発光素子に供給される電流の値を大きなものから小さなものに切り替える場合であっても、電流の切り替えを高速で行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の発光表示媒体の実施の一形態を示す図であり、(a)は表面図、(b)は(a)に示したA−A’断面図、(c)は内部構造を示すブロック図である。
【図2】図1に示した電子表示パネルの回路図である。
【図3】図1及び図2に示した電子表示パネルにおいて3つの有機EL素子を発光輝度の高いものから順に発光させる際の動作を説明するための図であり、(a)は有機EL素子のON/OFFのタイミングと放電パスのスイッチング素子のON/OFFのタイミングを示す図、(b)はスイッチSW1〜SW3のON/OFFが制御されることによって設定される合成抵抗RFBの値を示す図、(c)は有機EL素子のSW1側の電圧VFBの値を示す図、(d)は有機EL素子に流れる電流の値を示す図である。
【図4】有機EL素子を用いた電子表示パネルの一例を示す図であり、(a)は表面図、(b)は(a)に示したA−A’断面図、(c)は内部構造を示すブロック図である。
【図5】図4に示した電子表示パネルの回路図である。
【図6】図4及び図5に示した電子表示パネルにおける有機EL素子の発光動作を説明するための図であり、(a)は有機EL素子のON/OFFのタイミングを示す図、(b)はスイッチSW1〜SW3のON/OFFが制御されることによって設定される合成抵抗RFBの値を示す図、(c)は有機EL素子のSW1側の電圧VFBの値を示す図、(d)は有機EL素子に流れる電流の値を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0023】
図1は、本発明の発光表示媒体の実施の一形態を示す図であり、(a)は表面図、(b)は(a)に示したA−A’断面図、(c)は内部構造を示すブロック図である。
【0024】
本形態は図1に示すように、絶縁材料からなる基板20と、透明な材料からなる保護フィルム21と、表面シート10とが積層され、透明な粘着剤22によってこれらが互いに接着されて構成された電子表示パネル1である。
【0025】
基板20には、保護フィルム21との積層面に表示電極31a〜31cが形成されている。この表示電極31a〜31cはそれぞれ、この電子表示パネル1にて表示すべき情報を示す形状を有し、表示電極31aは“A”、表示電極31bは“B”、表示電極31cは“C”の形状を有している。表示電極31a〜31c上には、発光素子である有機EL素子33a〜33cがそれぞれ積層されており、この有機EL素子33a〜33cを覆うようにITO32が積層されている。また、基板20の保護フィルム21との積層面には、電源部40と、電源部40の電圧を定電流に変換する昇圧形定電流部50と、昇圧形定電流部50に蓄電された電力を放電するための放電パス70と、有機EL素子33a〜33cの発光状態を切り替えるとともに、有機EL素子33a〜33cの発光輝度に応じて昇圧形定電流部50から有機EL素子33a〜33cに供給する電流の値を制御し、また、昇圧形定電流部50に蓄電された電力を放電パス70を介して強制放電する制御部60とが設けられており、有機EL素子33a〜33cは、昇圧形定電流部50から供給された電流によって定電流駆動して発光する。
【0026】
有機EL素子33a〜33cは、例えばポリシラン誘導体を含み、表示電極31a〜31cを介して電流が供給されると、ポリシラン誘導体が発光し、その発光状態がITO32、保護フィルム21及び表面シート10を介して視認されることになる。この有機EL素子33a〜33cは、表示電極31a〜31cと同一の形状を有するものであれば、表示電極31a〜31cを介して電流が供給された場合に、表示電極31a〜31cの形状に発光することができるが、表示電極31a〜31cをそれぞれ覆うように表示電極31a〜31cよりも大きな形状を有するものとすることにより、表示電極31a〜31c間、または、表示電極31a〜31cとITO32との間における電気的短絡を防止することができるようになる。
【0027】
以下に、上記のように構成された電子表示パネル1の動作について説明する。
【0028】
図2は、図1に示した電子表示パネル1の回路図である。
【0029】
図1に示した電子表示パネル1においては、電源部40となる電池41から供給された電力が昇圧形定電流部50に供給される。昇圧形定電流部50においては、コンパレータ51における電圧の比較結果に基づいてスイッチング素子52が動作し、スイッチング素子52の動作に応じた電力がコンデンサC1に蓄電される。コンパレータ51における電圧の比較動作については後述する。
【0030】
また、マイコン61においては、スイッチSW1が切り替えられ、表示電極31a〜31cに対する電圧の選択的な印加によって有機EL素子33a〜33cの発光が切り替えられる。また、マイコン61においては、有機EL素子33a〜33cの発光の切り替えと同期して、互いに並列に接続された抵抗R1〜R3が有機EL素子33a〜33cにおける発光輝度に応じて選択されてスイッチSW2,SW3のON/OFFが制御され、それにより、合成抵抗RFBが設定される。これら抵抗R1〜R3は、有機EL素子33a〜33cの発光輝度を異ならせるために互いに並列に接続されており、マイコン61において、有機EL素子33a〜33cの発光輝度に応じて選択すべき抵抗の組み合わせが予め設定されている。そして、マイコン61において、SW1による有機EL素子33a〜33cの選択と同期して、この選択される有機EL素子の発光輝度に応じた組み合わせの抵抗がSW2,SW3のON/OFF制御によって選択されることになる。
【0031】
コンパレータ51においては、有機EL素子33a〜33cのSW1側の電圧VFBと、予め設定されている電圧VREFとが比較され、その比較結果に基づいてスイッチング素子52のスイッチング動作が制御される。電圧VFBが電圧VREFよりも高い場合は、スイッチング素子52のON時間が短くなるように制御され、また、電圧VFBが電圧VREFよりも低い場合は、スイッチング素子52のON時間が長くなるように制御され、それにより、コンデンサC1に蓄電された電力によって、有機EL素子33a〜33cのうち選択された有機EL素子に流れる電流が一定となり、その有機EL素子の発光輝度が一定となる。
【0032】
また、このように、電圧VFBと電圧VREFとが互いに同じ電圧になるようにフィードバック制御が行われることにより、互いに並列に接続された抵抗R1〜R3のうち選択される抵抗の組み合わせが変わると、有機EL素子33a〜33cに流れる電流が変化する。それにより、有機EL素子33a〜33cの発光輝度を互いに異なるものとしている。
【0033】
このようにしてスイッチSW1が切り替えられるとともにスイッチSW2,SW3のON/OFFが制御されることによって、コンデンサC1に蓄電された電力で表示電極31a〜31cを介して有機EL素子33a〜33cに選択的に電流が供給され、有機EL発光素子33a〜33cが、互いに発光輝度を異ならせて選択的に発光することになる。
【0034】
以下に、上述した電子表示パネル1において3つの有機EL素子33a〜33cを発光輝度の高いものから順に発光させる際の動作について説明する。
【0035】
図3は、図1及び図2に示した電子表示パネル1において3つの有機EL素子33a〜33cを発光輝度の高いものから順に発光させる際の動作を説明するための図であり、(a)は有機EL素子33a〜33cのON/OFFのタイミングと放電パス70のスイッチング素子71のON/OFFのタイミングを示す図、(b)はスイッチSW1〜SW3のON/OFFが制御されることによって設定される合成抵抗RFBの値を示す図、(c)は有機EL素子33a〜33cのSW1側の電圧VFBの値を示す図、(d)は有機EL素子33a〜33cに流れる電流の値を示す図である。なお、本形態においては、有機EL素子33aの発光輝度を最も高くし、有機EL素子33cの発光輝度を最も低くするものとする。
【0036】
上述したように、有機EL素子33a〜33cを選択的に発光させるためにスイッチSW1を切り替えることにより、有機EL素子33a〜33cを選択的に導通状態とする。例えば、図3(a)に示すように、時間t0にて有機EL素子33aを導通状態とし、その後、時間t1にて有機EL素子33aを非導通状態とし、時間t2にて有機EL素子33bを導通状態とする。そして、時間t3にて有機EL素子33bを非導通状態とし、時間t4にて有機EL素子33cを導通状態とする。その後、時間t5にて有機EL素子33cを非導通状態とする。これにより、図1及び図2に示した電子表示パネル1において3つの有機EL素子33a〜33cを発光輝度の高いものから順に選択的に発光させる。
【0037】
すると、有機EL素子33a〜33cのそれぞれは、導通状態となっている間にて、その際のマイコン61による抵抗R1〜R3の選択による合成抵抗RFBに応じた電流が供給されて発光することになる。そのため、上記のような順序で有機EL素子33a〜33cの発光の切り替えを行った場合、有機EL素子33aの発光輝度が最も高く、有機EL素子33cの発光輝度が最も低いとすると、有機EL素子33aに供給される電流の値が最も大きく、有機EL素子33cに供給される電流の値が最も小さい。そのため、マイコン61によって選択される抵抗R1〜R3による合成抵抗RFBは、図3(b)に示すように、有機EL素子33aを発光させる際に最も高く、有機EL素子33cを発光させる際に最も低くなる。
【0038】
また、マイコン61において、有機EL素子33aを非導通状態とするとともに有機EL素子33bを導通状態とする時間t1にて、スイッチング素子71によるSW4をON状態とし、それにより、コンデンサC1に蓄電された電力を抵抗R4及びスイッチング素子71からなる放電パス70を介して強制的に放電する。そして、時間t2にてSW4をOFF状態にし、放電パス70を切る。なお、時間t1から時間t2の間は瞬時的である。
【0039】
すると、コンデンサC1に蓄電された電力が、導通状態となった有機EL素子33bを介して放電することがなくなり、図3(c)に示すように、電圧VFBが電圧VREFと等しくなり、それにより、図3(d)に示すように、発光する際に供給される電流の値が第1の値となる有機EL素子33aから、発光する際に供給される電流の値が第1の値よりも小さな第2の値となる有機EL素子33bに発光を切り替えた場合であっても、有機EL素子33bに流れる電流は設定したものとなる。
【0040】
また、同様に、マイコン61において、時間t3にて有機EL素子33bを非導通状態とするとともにスイッチング素子71によるSW4をON状態とし、コンデンサC1に蓄電された電力を抵抗R4及びスイッチング素子71からなる放電パス70を介して強制的に放電し、その後、時間t4にて有機EL素子33cを導通状態とする。これにより、発光する際に供給される電流の値が第1の値となる有機EL素子33bから、発光する際に供給される電流の値が第1の値よりも小さな第2の値となる有機EL素子33cに発光を切り替えた場合であっても、有機EL素子33cに流れる電流は設定したものとなる。
【0041】
このように、蓄電した電力によって電流が供給されることにより発光する有機EL素子33a〜33cを、発光する際に供給される電流が大きなものから小さなものに切り替える際に、コンデンサC1に蓄電された電力を、抵抗R4及びスイッチング素子71からなる放電パス70を介して強制的に放電することにより、発光する有機EL素子33a〜33cを、発光する際に供給される電流が大きなものから小さなものに切り替える場合、コンデンサC1に蓄電された電力が放電パス70を介して強制的に放電されてから、次に発光する有機EL素子の発光輝度に応じてコンデンサC1に電力が蓄電され、この電力が次に発光する有機EL素子に供給されることになり、それにより、コンデンサC1に電力を蓄電することによって電流を供給して有機EL素子33a〜33cを発光させる場合に、発光する際に供給される電流が大きな有機EL素子から、発光する際に供給される電流が小さな有機EL素子への切り替えを高速で行うことができる。
【0042】
なお、本形態においては、3つの有機EL素子33a〜33cを並列に接続し、これら有機EL素子33a〜33cをその発光輝度を互いに異ならせるために供給する電流を変えて発光させる有機EL素子を高輝度のものから低輝度のものに切り替える場合を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限らず、1つの有機EL素子に供給する電流を大きなものから小さなものに切り替える場合においても適用することができる。
【0043】
また、発光素子としては、上述したような有機EL素子33a〜33cに限らず、LED等、蓄電された電力によって定電流駆動するものであればよい。
【符号の説明】
【0044】
1 電子表示パネル
10 表面シート
11a〜11c 窓部
20 基板
21 保護フィルム
22 粘着剤
31a〜31c 表示電極
32 ITO
33a〜33c 有機EL発光層
40 電源部
41 電池
50 昇圧形定電流部
51 コンパレータ
52,71 スイッチング素子
60 制御部
61 マイコン
70 放電パス
C1 コンデンサ
D1 ダイオード
L1 コイル
R1〜R3 抵抗
SW1〜SW3 スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力電圧を定電流に変換して電力を蓄電する昇圧形定電流部と、該昇圧形定電流部に蓄電された電力によって電流が供給されることにより定電流駆動する発光素子と、前記昇圧形定電流部から前記発光素子に供給される電流の値を制御することによって前記発光素子の発光輝度を制御する制御部とを有する発光表示媒体において、
前記昇圧形定電流部に蓄電された電力を放電するための放電パスを有し、
前記制御部は、前記昇圧形定電流部から前記発光素子に供給される電流の値を第1の値から該第1の値よりも小さな第2の値に切り替える際、前記昇圧形定電流部に蓄電された電力を前記放電パスを介して放電することを特徴とする発光表示媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−73481(P2012−73481A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−219134(P2010−219134)
【出願日】平成22年9月29日(2010.9.29)
【出願人】(000110217)トッパン・フォームズ株式会社 (989)
【Fターム(参考)】