説明

発光表示装置

【課題】特別な部品が不要なためコストを抑えることができ、部品取り付け用のスペース無しでインジケータとしての明るさを調整可能な発光表示装置を提供する。
【解決手段】表側透明板3と裏側透明板4に挟まれた空間5内に蛍光表示部等の表示素子が設けられ、少なくとも裏側透明板4の表面に形成された配線パターン6の通電状態の変化により表示素子による表示内容が変化する蛍光表示管(表示部材)2を有する。裏側透明板4の表面にマークからなるインジケータの意匠部分1が形成され、この意匠部分1の裏側から透過照明する照明光源を有する。マークには、このマークを透過する照明光の量を調節する無数のパターン材料の小片からなる調光パターンを構成するドットパターン15が形成されている。ドットパターン15の大きさ、密度、形状等を任意に変え明るさを調整できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、裏面側の照明光により、機器の作動状態等を報知する意匠部分を発光表示させる発光表示装置に関するものである。特に、表側透明板と裏側透明板に挟まれた空間内に表示素子が設けられた表示部材内にインジケータ用の意匠部分を有し、該意匠部分が自発光素子からの照明光により透過照明される発光表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に開示されているように、発光ダイオード(以下、LEDとも言う)等の自発光素子の輝度調整を行なう方法としては、LEDの電流を調整する方法がある。
この特許文献1ではLEDの点灯輝度を該LEDに直列に挿入された電流制限抵抗等で制限している。
【0003】
また、特許文献2には、車両用表示装置において、指示計器と発光型表示器との輝度バランスを調整するため、スモーク処理部と透明部とを有する輝度調整部材が指示計器と発光型表示器との表面側に配設されている。また、輝度調整部材の更に表側に半透明の保護カバーが配設されている。これによって、指針の指示部は輝度調整部材のスモーク処理部及び半透明の保護カバーにより減光されるように構成されている。
【0004】
また、特許文献3には、表側透明板と裏側透明板に挟まれた空間内に表示素子が設けられた表示部材として蛍光表示管を使用したものが知られている。更に、表側透明板と裏側透明板に挟まれた空間内に表示素子が設けられた表示部材の別の例として特許文献4に開示された有機ELパネルが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4491755号公報
【特許文献2】特開2000−214796号公報
【特許文献3】特開2007−65074号公報
【特許文献4】特許第4259137号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、LEDを発光させながらLEDの電流を絞るのも限界があり、数mA以下にはできない。従って、インジケータが明るすぎる場合、LEDの電流をLEDが発光し続ける最少限度(MIN)に設定し、かつ、スモーク処理を施したシートを追加して輝度を低くする必要があった。
【0007】
図5はこの考え方に基づいて発明者が案出した開発過程(非公知)における車両用計器盤内の発光表示装置の構成を示している。図5において、プリント基板9上に配設された自発光素子を成す照明光源としてのLED8を囲むように筒状ケース7が設けられている。
【0008】
つまり、筒状ケース7の中にLED8が設けられている。LED8への通電は、プリント基板9を介して行なわれる。このLED8への通電(ON)、通電遮断(OFF)により、マークを成す意匠部分1が透過照明されたりされなかったりして、インジケータが点灯又は消灯する。
【0009】
筒状ケース7の上端である車両の乗員側に拡散板10を設置している。更に、拡散板10の上にスモークシート11を調光のために載置している。スモークシート11の上にガラス基板4が設けられ、このガラス基板4の表面上に配線パターン6(アルミバターン6とも言う)が形成されており、LED8からの光の透過照明により発光表示される意匠部分1がアルミパターン6の一部として形成されている。
【0010】
図5においては、蛍光表示管2内に設定される意匠部分1の一部を模式的に引き出して90度回転して拡大して図示している。2は蛍光表示管(VFDとも呼ばれる)であり、表面側のガラス基板3と裏面側のガラス基板4とを有し、ガラス基板3とガラス基板4の間の空間5が真空状態に構成されている。なお、図5では蛍光表示管2内の周知のグリッド、カソード、アノード、蛍光表示部等は図示を省略している。
【0011】
裏面側のガラス基板4の図5の上面にアルミパターン6が形成されている。このアルミパターン6はガラス基板4上に半導体素子からなる回路を実装するためのものでもある。つまりアルミパターン6は実装回路の配線部分を構成しており、上記アノード等に通電している。
【0012】
このような構成により図5の上方から矢印Y4のように蛍光表示管2を見た場合において、LEDが点灯すると意匠部分1が発光してインジケータとしてEVと言う文字の意匠部分1が運転者に視認されるようになっている。しかしながら、この構造は、第1にスモークシート11等の追加によるコストアップがあり、第2にスモークシート11を固定するためのスペース及び取付け部材が必要と言う欠点がある。
【0013】
本発明は、このような従来の技術に存在する問題点に着目して成されたものであり、その目的は、特別な部品が不要なためコストを抑えることができ、部品取り付け用のスペース無しで対応可能となる明るさを調整可能な発光表示装置を提供することを目的とするものである。
【0014】
従来技術として列挙された特許文献の記載内容は、この明細書に記載された技術的要素の説明として、参照によって導入ないし援用することができる。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は上記目的を達成するために、下記の技術的手段を採用する。すなわち、請求項1に記載の発明では、表側透明板と裏側透明板に挟まれた空間内に表示素子が設けられ、少なくとも裏側透明板の表面に形成された配線パターンの通電状態の変化により表示素子による表示内容が変化する表示部材、少なくとも表示部材の裏側透明板の表面にインジケータが形成され、該インジケータは、表示部材の裏側透明板の表面に形成されたマークと、該マークを透過照明する照明光源とを有し、
マークは、該マークを透過する照明光の量を調節する複数の分散されたパターン材料からなる調光パターンを有することを特徴としている。
【0016】
この発明によれば、表側透明板と裏側透明板に挟まれた空間内に表示素子が設けられ、少なくとも裏側透明板に形成された配線パターンの通電状態の変化により表示素子による表示内容が変化する表示部材を備えるから、表示部材の表示内容を変化させることができる。また、表示部材の裏側透明板の配線パターンが形成された表面に存在するマークを照明光源によって透過照明することで、マークを発光させ、インジケータを構成することができる。また、マークに該マークを透過する照明光の量を調節する複数の分散されたパターン材料からなる調光パターンを形成しているから、調光パターンの大きさ、密度、形状等を任意に変えることにより、インジケータの明るさを調整することができる。また、マークは表側透明板と裏側透明板に挟まれた空間内に存在するから、汚れが付着し難い。
【0017】
請求項2に記載の発明では、表側透明板と裏側透明板に挟まれた真空状態の空間内に蛍光物質よりなる表示素子が設けられ、少なくとも裏側透明板に形成された配線パターンの通電状態の変化により表示素子による表示内容が変化する蛍光表示管から表示部材が構成され、真空状態の空間内にマークを有することを特徴としている。
【0018】
この発明によれば、表示装置は蛍光表示管よりなり、蛍光表示装置の真空状態の空間内にマークを有するから、該マークを透過する照明光の量を調節する調光パターンが真空状態の中に設けられるため、調光パターンに汚れが付着し難い。また、調光パターンが変質し難く、調光作用が経年劣化し難い。
【0019】
請求項3に記載の発明では、マークは、配線パターンと同じパターン材料で形成されていることを特徴としている。
【0020】
この発明によれば、マークは、配線パターンと同じパターン材料で形成されているから、材料の種類が増えず、コストを抑えることができる。
【0021】
請求項4に記載の発明では、マークは、平面状パターンと、該平面状パターン内の意匠部分と該意匠部分の周りに設けられた調光パターンを有することを特徴としている。
【0022】
この発明によれば、平面状パターン内の意匠部分が局部的に透過照明により発光し、意匠部分の周りが調光パターンにより調光されているから、意匠部分が視認し易いインジケータが得られる。
【0023】
請求項5に記載の発明では、調光パターンは、ドットパターンを含むことを特徴としている。
【0024】
この発明によれば、ドットの大きさ、密度を調整することにより任意の明るさの調光パターンが得られる。
【0025】
請求項6に記載の発明では、調光パターンは、破線状パターンを含むことを特徴としている。
【0026】
この発明によれば、破線の大きさ、密度を調整することにより任意の明るさの調光パターンが得られる。
【0027】
請求項7に記載の発明では、調光パターンは、縞状パターンを含むことを特徴としている。
【0028】
この発明によれば、縞の大きさ、密度を調整することにより任意の明るさの調光パターンが得られる。
【0029】
請求項8に記載の発明では、調光パターンは、線状パターンを含むことを特徴としている。
【0030】
この発明によれば、線の線径、密度を調整することにより任意の明るさの調光パターンが得られる。
【0031】
請求項9に記載の発明では、マークの複数の分散されたパターン材料は、並んだパターン材料の一部が間引かれており、この間引かれた部分は、マークの輪郭部分であることを特徴としている。
【0032】
この発明によれば、間引かれた部分は、マークの輪郭部分であるから、マークの輪郭に沿って該マークを透過する照明光の量が多くなり、マークの輪郭をはっきりさせてマークの形状を読み取り易くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の一実施形態における発光表示装置の模式縦断面である。
【図2】図1の発光表示装置内の意匠部分の拡大図である。
【図3】図1の発光表示装置内の意匠部分の実物の写真であり、図3の(a)はマークの略全域を写した写真、図3の(b)はEとVの文字の結合部分の拡大写真である。
【図4】本発明の発光表示装置の意匠部分のパターン材料の小片からなる調光パターンのその他の形状を示す一部拡大図であり、図4の(a)は縞状パターン、図4の(b)は破線状パターン、図4の(c)は線状パターンを示す。
【図5】発明者が案出した開発過程(非公知)における発光表示装置の模式縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
(一実施形態)
以下、本発明の一実施形態について図1ないし図3を用いて詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態を示す発光表示装置の縦断面である。図2は図1の発光表示装置内の意匠部分の一部拡大図である。
【0035】
図1においては、インジケータのマークを成す意匠部分1の一部を模式的に引き出して90度回転して拡大して図示している。2は表示部材をなす蛍光表示管(VFDとも呼ばれる)であり、表側透明板を構成する上部側のガラス基板3と裏側透明板を構成するガラス基板4とを有する。3a、3bは側面のガラス部分である。これらのガラス基板3、4の間に挟まれた空間5の内部が真空状態に構成されている。なお、図1では蛍光表示管2内の電極等は図示を省略している。
【0036】
すなわち、蛍光表示管2は、電子を放出するカソード(フィラメントとも呼ばれる)と上記電子の移動を制御するグリッド及びアノードと、上記電子が衝突することによって発光する蛍光体から構成された表示素子を成す蛍光表示部を有するが、図1では、これらカソードとグリッドとアノードと蛍光表示部とを省略して図示している。
【0037】
裏面側のガラス基板4の上面に配線パターン6を成すアルミパターンが模式的に図示した薄い層として形成されている。この配線パターン6はガラス基板上に半導体素子からなるIC回路を実装するためのものでもある。つまりアルミパターン6は実装回路の配線部分も構成しており、上記アノード等に通電している。
【0038】
7は筒状ケースで、この筒状ケース7の中に照明光源を成す発光ダイオード(LEDとも言う)8が設けられている。LED8への通電は、プリント基板9を介して行なわれる。このLED8への通電(ON)、通電遮断(OFF)により、マークを成す意匠部分1が透過照明されたりされなかったりして、インジケータが点灯又は消灯する。
【0039】
10はLED8からの光のムラを取るための拡散板である。この拡散板10とガラス基板4の間には僅かな隙間を設けている。そして、底部側のガラス基板4の上面に形成されたアルミニウム(アルミニウム合金を含む)の薄膜からなるアルミパターン6は、不透光性であり、インジケータの意匠部分1のマークをも構成している。上記プリント基板9、筒状ケース7、表示部材をなす蛍光表示管2は、実際には図示しないメータケースに覆われている。
【0040】
図2は図1の発光表示装置内の意匠部分1の一部拡大図である。この図2において、15はパターン材料の小片からなる調光パターン15をドットパターンとして構成した特にアルミドットパターンである。アルミドットパターン15の直径は肉眼では視認できないくらいの大きさ、例えばミクロン単位の大きさに設定される。エッチングを用いることにより、印刷等に比べて、一層小さな調光パターン15の形成が可能である。これにより、粒々が視認できない調光パターン15による調光膜が形成でき、見栄えが良い。
【0041】
このパターン材料の遮光性を有する小片からなる調光パターン15は、少なくとも0.3mm未満、好ましくはミクロン単位の直径を有し、非常に小さいので、ユーザ(車両の運転者)からはドットとして認識できず、全体的にスモークがかかっているようにしか見えないが、図2では模式的にドットパターン15が点々として描かれている。
【0042】
16a、16bは平面状パターンを構成する特にアルミ平面状パターンであり、車両の外形とEVと言う文字からなる意匠部分1を形成している。上記調光パターン15は平面状パターン16a、16b内の空間部16c内に点在して形成されている。
【0043】
なお、調光パターン15と平面状パターン16a、16bとで意匠部分1のマークを構成している。このマークは、配線パターン6の中の一領域として配線パターンと同じ材料で同じ工程で製造されている。
【0044】
次に、上記構成になる発光表示装置の製造方法について説明する。図1において、車両用メータ内のプリント基板9の上にLED8の駆動回路等の回路素子を実装し、その上に、メータケースの一部である筒状ケース7を介して拡散板10や蛍光表示管2を実装していく。プリント基板9には、蛍光表示管2内に実装されない各種回路が実装され、蛍光表示管2とプリント基板9はコネクタ9aを介して接続されている。
【0045】
蛍光表示管2は、専門メーカにて製造され、図2の調光パターン15、平面状パターン16a、16b、及び上記配線パターン6は、同じ工程で同じ材料を使用して同時に形成される。この製造方法は種々の公知の方法を採用できる。例えばアルミニウム等の金属の薄膜をスパッタリング法や蒸着法やCVD法によって成膜し、所定のパターン形状に露光した後エッチングする等のLSIの配線加工に使用される微細加工方法を用いることができる。
【0046】
上記一実施形態においては、表側透明板3と裏側透明板4に挟まれた空間5内に表示素子が設けられ、少なくとも裏側透明板4に形成された配線パターン6の通電状態の変化により表示素子による表示内容が変化する表示部材を成す蛍光表示管2を備えるから、配線パターン6の通電状態を変化させることで蛍光表示管2の表示内容を変化させることができる。
【0047】
また、蛍光表示管2の裏側透明板4の配線パターン6が形成された表面に存在するマークを成す意匠部分1を照明光源8によって透過照明することで、マークを発光させ、インジケータを構成することができる。
【0048】
また、マークに該マークを透過する照明光の量を調節する無数のパターン材料の小片からなる調光パターン15を形成しているから、調光パターン15のドット等大きさ、密度、形状等を任意に変えることにより、インジケータの明るさを調整することができる。
【0049】
次に、マークを成す意匠部分1は、配線パターン6と同じパターン材料で形成されているから、材料の種類が増えず、コストを抑えることができる。また、蛍光表示管2の真空状態の空間5内に調光パターン15のような微細なパターンを含むマークを有するから、小片からなる調光パターン15に汚れが付着し難く、また、変質し難く、調光作用が経年劣化し難い。このことは、真空中に限らず、不活性ガス中でも同様の効果がある。また、単にガラス基板で外気と遮断されるだけでも金属からなるパターン材料の防錆効果がある。
【0050】
次に、平面状パターン16a、16b内の空間部16cが局部的に透過照明により減光して発光し、その中に文字の意匠部分1を成す平面状パターン16bが浮かび上がり、平面状パターン16bの周りの空間部16cが調光されているから、文字の意匠部分である平面状パターン16bが視認し易いインジケータが得られる。
【0051】
この一実施形態においては、EVと言う文字及び車両の外形からなるマークが透過照明により発光することで、ハイブリッド車両が電力で走行している状態であることを運転者に表示するインジケータを構成している。
【0052】
次に、蛍光表示管2の製造時に、配線パターン6を形成する製造工程において、マークの意匠部分1(調光パターン15及び平面状パターン16a、16b)と配線パターン6を同時に形成するから、製造工程を単純化してコストを削減できる。
【0053】
次に、図3は、実際の図1の発光表示装置内の意匠部分1の実物の写真である。図3の(a)はマークの略全域を写した写真、図3の(b)はEとVの文字の結合部分の拡大写真である。
【0054】
この図3を見て判明するように、パターン材料の小片からなる調光パターンは、規則正しく碁盤の目状に並んだパターン材料の小片の一部を間引いて形成されている。なお、六角格子の部分は、図3の紙面の手前側に存在する網状のグリッド(蛍光表示管内のグリッド)が写っている部分である。
【0055】
また、マークの輪郭、具体的には、車両の形をしたマークの輪郭の内側、及びEVという文字の輪郭の外周部のパターン材料の小片の一部を間引いている。これにより、車両の形をしたマークの輪郭の内側、及びEVという文字の輪郭の外周部の明るさが増加し、車両の形をしたマークの輪郭、及びEVという文字の輪郭を際立たせることができる。
【0056】
(その他の実施形態)
本発明は上述した実施形態にのみ限定されるものではなく、次のように変形または拡張することができる。上記実施形態においては、調光パターン15を成すドットパターンで光の強さを減じて減光させたが、ドットパターンの代わりに、図4の(a)にて示す縞状パターン15a、図4の(b)にて示す破線状パターン15bで調光パターンを構成しても良い。
【0057】
また、図4の(c)にて示す線状パターン(直線に限らず曲線でも良い)15cで構成しても良い。更に、調光パターン15は、均一な密度が好ましいが、意図的に密度を濃くしても良いし薄くしてぼかしを入れても良い。なお、これらドットパターン、縞状パターン、破線状パターン、線状パターンを混在させても良い。
【0058】
次に、表示部材として蛍光表示管を採用したが、この発明に言う蛍光表示管は蛍光表示管単体のみならず、蛍光表示管と、該蛍光表示管を駆動する蛍光表示管駆動回路の主要部であるデコーダ、ドライバ、電圧変換部、及び電源制御部等のいずれかのIC回路を真空状態の空間5内に一体構成した蛍光表示管装置と称されるものを含む。
【0059】
また、本発明の言う真空状態の意味は、表側透明板3と裏側透明板4に挟まれた空間5を有する密閉容器中に、全く気体分子が含まれない状態に限定されるものではなく、蛍光表示の機能を発揮するのに影響が無い程度の空気の混入状態、その他の不活性ガス等の種々のガスのごく僅かな混入状態も含むものである。
【0060】
次に、表示部材として蛍光表示管を採用したが、変わりに有機ELパネルや無機ELパネルを使用しても良い。このEL(エレクトロルミネセンス)パネルは、一対の透明ガラス材からなる表側透明板と裏側透明板に挟まれた空間内に表示素子を成すEL層や透光性の電極が設けられ、少なくとも透光性の電極の通電状態の変化によりEL層による表示内容が変化するものである。
【0061】
このようなEL層に挟まれた隙間、またはEL層が介在しないガラス基板相互間の空間内におけるガラス基板の表面にマークからなる意匠部分が形成されていても良い。また、表示部材として液晶表示器を用いても良い。
【0062】
つまり液晶を封止するガラスの隙間に本発明のマークを金属蒸着とエッチングで生成し、液晶層に隣接して(液晶表示器の一対のガラス基板内で)マークを発光させても良い。この場合、マークは、裏側及び表側に液晶表示器のガラス基板が配置され、このガラス基板相互間内に封止される。
【0063】
次に、配線パターンの材料はアルミニウムまたはアルミニウム合金以外の銅等種々の材料を使用することができる。更に、ドットパターン15及び平面状パターン16a、16bの材料は必ずしも同じ材料でなくても良い。
【0064】
また、平面状パターン16a、16bを空間部16cよりもドットパターン15の密度の高い部分で形成しても良い。また、ドットパターン15は碁盤の目に規則正しく並べたが、その他の形状で並べても良く、また、不規則に並べても良い。
【0065】
次に、透過照明用の照明光原としてLEDを使用しているが、その他の自発光素子を使用しても良いことは勿論である。
【符号の説明】
【0066】
1 インジケータを成す意匠部分(マーク)
2 表示部材を成す蛍光表示管
3 表側透明板を構成するガラス基板
4 裏側透明板を構成するガラス基板
5 空間
6 配線パターンを成すアルミパターン
8 照明光源を成す発光ダイオード(LED)
15 パターン材料の小片からなる調光パターンを成すドットパターン
16a、16b 平面状パターン
16c 平面状パターン内の空間部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表側透明板と裏側透明板に挟まれた空間内に表示素子が設けられ、少なくとも前記裏側透明板の表面に形成された配線パターンの通電状態の変化により前記表示素子による表示内容が変化する表示部材、
少なくとも前記表示部材の前記裏側透明板の前記表面にインジケータが形成され、該インジケータは、前記表示部材の前記裏側透明板の前記表面に形成されたマークと、該マークを透過照明する照明光源とを有し、
前記マークは、該マークを透過する照明光の量を調節する複数の分散されたパターン材料からなる調光パターンを有することを特徴とする発光表示装置。
【請求項2】
前記表側透明板と前記裏側透明板に挟まれた真空状態の前記空間内に蛍光物質よりなる前記表示素子が設けられ、少なくとも前記裏側透明板に形成された配線パターンの通電状態の変化により前記表示素子による表示内容が変化する蛍光表示管から前記表示部材が構成され、前記真空状態の前記空間内に前記マークを有することを特徴とする請求項1に記載の発光表示装置。
【請求項3】
前記マークは、前記配線パターンと同じパターン材料で形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の発光表示装置。
【請求項4】
前記マークは、平面状パターンと、該平面状パターン内の意匠部分と該意匠部分の周りに設けられた前記調光パターンを有することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項に記載の発光表示装置。
【請求項5】
前記調光パターンは、ドットパターンを含むことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一項に記載の発光表示装置。
【請求項6】
前記調光パターンは、破線状パターンを含むことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一項に記載の発光表示装置。
【請求項7】
前記調光パターンは、縞状パターンを含むことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一項に記載の発光表示装置。
【請求項8】
前記調光パターンは、線状パターンを含むことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一項に記載の発光表示装置。
【請求項9】
前記マークの複数の分散されたパターン材料は、並んだパターン材料の一部が間引かれており、この間引かれた部分は、前記マークの輪郭部分であることを特徴とする請求項1ないし8のいずれか一項に記載の発光表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−88624(P2012−88624A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−236742(P2010−236742)
【出願日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【出願人】(000201814)双葉電子工業株式会社 (201)
【Fターム(参考)】