発光装置、照明装置及び表示装置
【課題】拡散性を向上させるために釣鐘形状にした入射面を、さらに開口縁に向けて裾が広がった形状にすることにより、発光素子を小型化しなくても所定の位置に配置し、光の拡散性の向上と小型化との両立を図ること。
【解決手段】入射面103は、凹部102の内面であるとともに発光素子200から出射された光を入射する。また、入射面103は、中心軸P1を含む中心軸P1と平行な断面において、中心軸P1に対して線対称であり、直線Lと中心軸P1とのなす角θrが増加するに従って距離rが減少する曲線である第1領域103bと、前記断面において、中心軸P1に対して線対称であり、凹部102の開口縁上の点Uと前記曲線の端点Eとを各々結ぶとともに、角θrが増加するに従って距離rが増加する曲線である第2領域103aと、からなる形状である。
【解決手段】入射面103は、凹部102の内面であるとともに発光素子200から出射された光を入射する。また、入射面103は、中心軸P1を含む中心軸P1と平行な断面において、中心軸P1に対して線対称であり、直線Lと中心軸P1とのなす角θrが増加するに従って距離rが減少する曲線である第1領域103bと、前記断面において、中心軸P1に対して線対称であり、凹部102の開口縁上の点Uと前記曲線の端点Eとを各々結ぶとともに、角θrが増加するに従って距離rが増加する曲線である第2領域103aと、からなる形状である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に光源から出射された光を入射するとともに、入射した光の配光を制御して出射する発光装置、これを使用し、各種照明に用いられる照明装置、及びこの照明装置を照明手段として被照明部材と組み合わせて使用する表示装置、に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、発光チップと、発光チップから出射された光を入射するとともに、入射した光を屈折させて出射するレンズ部材とを有する発光ダイオードが知られている(例えば、特許文献1)。特許文献1の発光ダイオードでは、レンズ部材の内部に形成された空洞部分に発光チップを配置する。また、レンズ部材は、上記の空洞部分に面した内表面であるとともに、発光チップから出射した光が入射する光入射面を有する。
【0003】
また、特許文献1では、拡散性を向上させるために、レンズ部材の空洞部分を砲弾形状にする。これにより、特許文献1では、空洞部分に面する光入射面において、レンズ部材の中心軸から遠くなる方向に光を屈折させることができるので、光の拡散性を向上させることができる。
【0004】
また、近年、発光ダイオード等の発光装置を取り付ける機器の小型化等に伴って、発光装置に対する小型化の要求が高まっている。一般に、発光素子を小さくすると、発光素子から出射される光の光量が不足し、被照射面における照度が低下する。従って、発光装置において、被照射面における照度の低下を防ぎつつ小型化の要求を満たすには、発光素子の大きさを変えずに光束制御部材を小型化せざるを得ない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−114863号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の発光ダイオードにおいて、光学特性を変化させずにレンズ部材を小型化すると、発光チップを配置する空洞部分も小さくなる。これより、発光チップと空洞部分の周囲のレンズ部材とが干渉し、発光チップを空洞部分に配置できないという問題がある。
【0007】
本発明の目的は、拡散性を向上させるために釣鐘形状にした入射面を、さらに開口縁に向けて裾が広がった形状にすることにより、発光素子を小型化しなくても所定の位置に配置することができ、光の拡散性の向上と小型化との両立を図ることができる発光装置、照明装置及び表示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の発光装置は、基板上に実装された光源と、前記光源の光軸と同心に中心軸が位置するように配置され、前記光源から出射された光を入射するとともに入射した光の配光を制御して出射する光束制御部材と、を有する発光装置であって、前記光束制御部材は、底面と、前記底面の一部を内部に凹ませて形成されるとともに前記底面に開口した凹部と、前記凹部の内面であるとともに、前記光源から出射された光を入射する入射面と、前記入射面から入射した光の配光を制御して外部に光を出射する出射面と、を有し、前記入射面は、前記中心軸を含む前記中心軸と平行な断面において、前記中心軸に対して線対称であり、前記中心軸と前記光源の発光面との交点を基準点としたとき、前記入射面上の任意の点と前記基準点とを結ぶ直線と前記中心軸とのなす角θrが増加するに従って、前記入射面上の任意の点と前記基準点との距離rが減少する第1の曲線である第1領域と、前記断面において、前記中心軸に対して線対称であり、前記凹部の開口縁上の点と前記第1の曲線の端点とを各々結ぶとともに、前記角θrが増加するに従って前記距離rが増加する第2の曲線または直線である第2領域と、からなる形状である構成を採る。
【0009】
本発明の照明装置は、上記の発光装置と、前記発光装置の前記出射面から出射された光により照射される被照射面と、を有する構成を採る。
【0010】
本発明の表示装置は、上記の照明装置と、前記照明装置から出射する光により照明される被照明部材と、を有する構成を採る。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、拡散性を向上させるために釣鐘形状にした入射面を、さらに開口縁に向けて裾が広がった形状にすることにより、発光素子を小型化しなくても所定の位置に配置することができ、光の拡散性の向上と小型化との両立を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1A】本発明の実施の形態における光束制御部材の平面図
【図1B】本発明の実施の形態における光束制御部材の正面図
【図1C】本発明の実施の形態における光束制御部材の底面図
【図2】本発明の実施の形態に係る発光装置の断面図
【図3】本発明の実施の形態に係る照明装置の平面図
【図4】本発明の実施の形態に係る表示装置の断面図
【図5】本発明の実施の形態における光束制御部材の要部の拡大断面図
【図6】本発明の実施の形態における光束制御部材の入射面の拡大図
【図7】本発明の実施の形態における光束制御部材の入射面におけるrとθrとの関係を示す図
【図8】本発明の実施の形態における光束制御部材の入射面におけるΔr/Δθrとθrとの関係を示す図
【図9】本発明の実施の形態における光束制御部材の光の進路を示す図
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0014】
(実施の形態1)
(発光装置の構成)
以下に、発光装置100の構成について、図1A〜図1C及び図2を用いて詳細に説明する。図1Aは、本実施の形態に係る光束制御部材150の平面図である。また、図1Bは、本実施の形態に係る光束制御部材150の正面図である。また、図1Cは、本実施の形態に係る光束制御部材150の底面図である。また、図2は、本実施の形態に係る発光装置100の断面図である。なお、図2において、光束制御部材150は、図1CのA−A線で切断したものを示す。
【0015】
発光装置100は、光束制御部材150と、発光素子200と、基板210と、から主に構成される。また、光束制御部材150は、底面101と、凹部102と、入射面103と、出射面104と、鍔部105と、脚部106と、から主に構成される。
【0016】
底面101は、円形形状であり、円形形状の中央部分には、発光素子200から出射する光線を内部へ入射させる入射面103を形成するための凹部102を有する。また、底面101には、外周に沿って棒状の3つの脚部106が設けられる。また、底面101は、光束制御部材150が基板210に実装された際に、基板と略平行に配置される。
【0017】
凹部102は、発光素子200に対向する底面101を内部に凹ませて形成され、底面101に開口する。また、凹部102は、発光素子200の光軸と一致する光束制御部材150の中心軸P1(図1B及び図2参照)に対して回転対称形状に形成される。また、凹部102は、全体的に釣鐘形状であるとともに、さらに開口縁に向けて裾が広がった形状に形成される(図2参照)。ここで、中心軸P1は、平面視した際の円形形状の円の中心を通るとともに、当該円の径方向に対して直交し、発光素子200の光軸と同心に位置する。
【0018】
入射面103は、凹部102の内面に形成され、中心軸P1の回りに、回転対称となるように形成される。従って、入射面103は、凹部102と同様に、全体的に釣鐘形状であり、開口端側において、凹部102の開口端に近づくほど、平面視円形形状の径方向において外周110に近づく裾が広がった形状に形成される(図2参照)。また、入射面103は、発光素子200から出射された光が入射する。なお、入射面103の構成の詳細については、後述する。
【0019】
出射面104は、平面形状が円形形状である。また、出射面104は、鍔部105よりも上方へ向けて突出する。また、出射面104は、第1の出射面104aと、第1の出射面104aの周囲に連続して形成される第2の出射面104bと、第2の出射面104bと鍔部105とを接続する第3の出射面104cとからなる(図2参照)。
【0020】
第1の出射面104aは、下に凸の滑らかな曲面形状であり、球の一部を切り取ったような凹み形状になっている。また、第2の出射面104bは、第1の出射面104aに連続して形成される上に凸の滑らかな曲面形状であり、平面形状が第1の出射面104aを取り囲む略中空円板形状に形成される。第3の出射面104cは、第2の出射面104bに連続して形成される。
【0021】
また、出射面104は、発光素子200から出射されて入射面103から入射した光を、屈折または拡散等させることにより配光を制御し、配光を制御した光を外部に出射する。
【0022】
鍔部105は、出射面104の外周から径方向外方側に突出して形成され、略円環状である。
【0023】
脚部106は、光束制御部材150を基板210に対して所定位置及び高さに固定するための脚であり、底面101から外部に突出形成される。また、脚部106は、底面101において凹部102の周囲に形成される。また、脚部106は、間隔をおいて3個形成され、底面101において正三角形の各頂点の位置に設けられる。また、脚部106は、光束制御部材150を基板210の表面に位置決めした状態で、接着剤または溶着等の手段により基板に固定される。なお、脚部106の数及び配置は、上記に限らず、任意の数及び任意の配置にすることができる。
【0024】
発光素子200は、白色発光ダイオード等の光源であり、外部に光を出射する。
【0025】
基板210には、光束制御部材150及び発光素子200が実装される。
【0026】
(照明装置及び表示装置の構成)
以下に、照明装置300の構成について、図3及び図4を用いて詳細に説明する。図3は、本実施の形態に係る照明装置300の平面図である。また、図4は、本実施の形態に係る表示装置500の断面図である。図4において、照明装置300は、図3のB−B線で切断したものを示す。なお、図3において、説明の便宜上、拡散板、拡散シート、プリズムシート等の光学部材等の記載を省略する。省略した光学部材のうち、最も光束制御部材150側に配置された光学部材の裏面(光束制御部材150と向き合う面)が被照射面となる。また、図4において、1つまたは複数の部材で構成されるとともに照明装置300の一部を構成する光学部材401、及びこの照明装置300から出射する光により照明される被照明部材としての液晶パネル402を記載し、表示装置500を示す。
【0027】
照明装置300は、発光装置100と、反射シート301と、光学部材401とから主に構成される。
【0028】
また、表示装置500は、照明装置300及び液晶パネル402等から構成される。
【0029】
発光素子200は、基板210上に所定間隔を設けて複数実装され、平面視した際に、基板210上に千鳥状に配置される。
【0030】
光束制御部材150は、発光素子200を被うように基板210上に複数実装され、平面視した際に、基板210上に千鳥状に配置される。
【0031】
反射シート301は、白色であり、図3に示すように、光束制御部材150が通過可能な大きさの複数の貫通孔302が形成される。また、貫通孔302は、反射シート301において、光束制御部材150と同じ数だけ光束制御部材150と対応する位置に形成される。また、反射シート301は、基板210が緑色または黄土色等の白色ではない光を吸収し易い色であっても、基板210に被せることにより、光の反射率を上げることができる。なお、基板210表面や基板210を配置する照明装置の底面が、反射率の高い材質で形成されている場合には、反射シート301を使用しなくてもよい。
【0032】
光学部材401は、液晶パネル402の背面側に設けられる。また、被照射面401aは、光束制御部材150の出射面104から出射された光により照射される。被照射面401aは、例えば拡散板の裏面である。また、表示装置500が液晶表示装置の場合には、液晶パネル402の背面側が、照明装置300の光学部材401の光出射面401bから出射された光により照射される。なお、光学部材401は、拡散板やプリズムシート等の液晶表示装置用のものに限らず、出射面104から出射された光により、照明装置300の内部から照射される、文字または絵等を描いた看板等の任意のものでよい。
【0033】
光学部材401は、被照射面401aに入射する出射面104から出射された光を、拡散や集光等することにより、被照明部材である液晶パネル402を照明するのに適した照明光として出射する。
【0034】
なお、発光装置100については、上記で説明済みであるので、その説明を省略する。
【0035】
(光束制御部材の入射面の構成)
入射面103の形状について、図5〜図8を用いて詳細に説明する。図5は、光束制御部材150の要部の拡大断面図である。また、図6は、光束制御部材150の入射面103の拡大図である。また、図7は、光束制御部材150の入射面103におけるrとθrとの関係を示す図である。また、図8は、光束制御部材150の入射面103におけるΔr/Δθrとθrとの関係を示す図である。
【0036】
図5において、交点Oは、光源である発光素子200の発光面と中心軸P1との交点である。また、直線Lは、交点Oと入射面103上の任意の点とを結ぶ直線である。また、角度θrは、直線Lの中心軸P1に対する角度である。また、距離rは、交点Oと入射面103上の任意の点との距離である。ただし、角度θrは、90°より小さい角度である。また、図5において、頂点Tは、中心軸P1と入射面103との交点である。また、図5において、点Uは、入射面103の開口端上の点である。
【0037】
また、図6において、原点は図5の交点Oを示し、横軸は図5のX軸上の交点Oからの距離を示すとともに、縦軸は図5のY軸上の交点Oからの距離を示す。また、図6において、横軸は図5の角度θrであり、縦軸は図5のY軸上の交点Oからの距離である。
【0038】
図5に示すように、入射面103は、中心軸P1を含む中心軸P1と平行な断面(以下、「基準断面」と記載する)において、凹部102の開口縁に向けて裾が広がった2つの曲線(基準断面における曲線103a)(第2の領域)を1つの曲線(基準断面における曲線103b)(第1の領域)に接続する曲線形状である。また、入射面103は、基準断面において、直線Lの中心軸P1に対する角度θrが所定値となる位置を、裾が広がった2つの曲線(基準断面における曲線103a、103a)と1つの曲線(基準断面における曲線103b)とが各々接続した曲線となる形状である。
【0039】
すなわち、本実施の形態において、光束制御部材150の入射面103は、中心軸P1と交わるとともに中心軸P1に対して回転対称に形成された第1の領域103b(基準断面における曲線103b)と、これに接続する第2の領域103a(基準断面における曲線103a)とを有する。具体的には、入射面103は、基準断面において、直線Lと中心軸P1とのなす角θrが増加するに従って、距離rが減少する曲線である第1の領域103bを有する形状である。また、入射面103は、中心軸P1に対して線対称であり、凹部102の開口縁上の点Uと基準断面における曲線103bの端点Eとを各々結ぶとともに、直線Lと中心軸P1とのなす角θrが増加するに従って、距離rが増加する曲線である第2の領域103aを有する形状である。ここで、端点Eは、交点Oを中心とする円Sが、基準断面における入射面103と接する点である。
【0040】
また、第2の領域103aは、入射面103の開口縁と第1の領域103bの外縁とを接続する。また、第2の領域103aは、開口縁に近づくほど、平面視した際の円形形状の外周110に近づく。また、第1の領域103bと第2の領域103aとを接続して形成する入射面103は、基準断面における第1の領域103b上の所定位置が変曲点Vとなる。また、第1の領域103bと第2の領域103aとの接続部における角度θrは、好ましくは50°以上、更に好ましくは70°以上である。
【0041】
入射面103において第1の領域103bの占める割合が大きい方が、光を拡げる効果が高くなる。また、角度θrが0°以上かつ50°未満の範囲を第1の領域103bとした場合には、ランバート分布の配光特性を示す光源(発光素子200)から出射される全光束の約60%を、第1の領域103bに入射させることができる。また、角度θrが0°以上かつ70°未満の範囲を第1の領域103bとした場合には、ランバート分布の配光特性を示す光源(発光素子200)から出射される全光束の約90%を、第1の領域103bに入射させることができる。
【0042】
また、図7は、距離rが、角度θrが0°以上かつ70°未満で減少し、角度θrが70°以上かつ90°以下で増加する場合を示す。
【0043】
また、図8に示すように、入射面103を上記の形状にすることにより、Δr/Δθrの値は、角度θrが0°から約15°まではマイナス値であるとともに角度θrの増加に伴いΔr/Δθrの値は漸減する。また、Δr/Δθrの値は、角度θrが約15°から約70°まではマイナス値であるとともに角度θrの増加に伴いΔr/Δθrの値は漸増する。また、Δr/Δθrの値は、角度θrが約70°以上の場合には、プラス値であるとともに角度θrの増加に伴いΔr/Δθrの値も漸増する。
【0044】
入射面103を上記で説明した曲線の形状にすることにより、入射面103は全体的に釣鐘形状であるとともに、開口端部側において開口端に近づくほど裾が広がった形状になる。
【0045】
(光束制御部材における光学特性)
発光素子200から出射されてから入射面103に入射した後までの光の進路について、図9を用いて説明する。図9は、本実施の形態における発光素子200から出射されてから入射面103に入射した後までの光の進路を示す図である。なお、図9において、図5と同一部分については図5と同一符号を付して、その説明を省略する。
【0046】
図9に示すように、発光素子200から出射された光のうち、入射面103の第1の領域103bに入射した光は、入射面103において中心軸P1となす角度が大きくなる方向に屈折して、中心軸P1に対して平行な直線との角度がθ1の向きに進む。
【0047】
また、発光素子200から出射された光のうち、入射面103の第2の領域103aに入射した光は、入射面103において中心軸P1となす角度が小さくなる方向に屈折して、中心軸P1に対して平行な直線との角度がθ2の向きに進む。
【0048】
また、入射面103には、第2の領域103aを裾が広がった曲面にしたことにより、第2の領域103aから出射する光の進行方向θ2は角度θrが増加するに従って漸減する領域が形成される。従って、本実施の形態では、入射面103を第1の領域103bのみで形成した場合に比べて、拡散性の低下を招くことが考えられる。しかしながら、本実施の形態では、角度θrが拡散性の極端な低下を招かない所定の角度で第1の領域103bと第2の領域103aとを接続することにより、拡散性の低下を抑制することができる。即ち、拡散性の向上は、入射面103の角度θrが0°から所定の角度までの間の領域に入射する光に概ね依存する。従って、角度θrが所定の角度以上の範囲において、図5において裾が広がった曲線(基準断面における曲線103a、103a)になるように入射面103を形成しても、拡散性の低下を抑制することができる。ここで、上記の拡散性の低下を最小限に抑えるための角度は、好ましくは50°(θr=50°)以上、更に好ましくは70°(θr=70°)以上である。これにより、発光素子200からの出射光の全光束のうち少なくとも60%以上が第1の領域103bに入射し、光束制御部材150の拡散性を維持することができる。
【0049】
(本実施の形態の効果)
このように、本実施の形態では、拡散性を向上させるために釣鐘形状にした入射面を、さらに開口縁に向けて裾が広がった形状にする。これにより、本実施の形態によれば、発光素子を小型化しなくても光束制御部材と干渉せずに所定の位置に配置することができ、光の拡散性の向上と小型化との両立を図ることができる。
【0050】
また、本実施の形態によれば、発光素子を小型化しないので、発光素子から出射される光において、所定の光量を確保することができる。
【0051】
また、本実施の形態によれば、光源と入射面の所定点とを結ぶ直線の中心軸に対する角度が、50°以上になる入射面上の位置から開口縁に向けて裾が広がった形状にしたので、良好な光の拡散性を確保した上で、光束制御部材を小型化することができる。
【0052】
また、本実施の形態によれば、光束制御部材を小型化した場合でも、発光素子の真上に特異的な明部を生じさせることなく、高品位な発光面の照明装置を得ることができる。
【0053】
(本実施の形態の変形例)
なお、本実施の形態において、入射面103の第2領域103aを基準断面において裾広がりの曲線に形成したが、本発明はこれに限らず、入射面103の第2領域103aを基準断面において裾広がりの直線に形成してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明は、特に光源から出射された光を入射するとともに、入射した光の配光を制御して出射する発光装置、これを使用し、各種照明に用いられる照明装置、この照明装置を照明手段として被照明部材と組み合わせて使用する表示装置に好適である。
【符号の説明】
【0055】
P1 中心軸
101 底面
102 凹部
103 入射面
103a 第2領域
103b 第1領域
200 発光素子
L 直線
O 交点
r 距離
U 開口縁上の点
V 変曲点
θr 角
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に光源から出射された光を入射するとともに、入射した光の配光を制御して出射する発光装置、これを使用し、各種照明に用いられる照明装置、及びこの照明装置を照明手段として被照明部材と組み合わせて使用する表示装置、に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、発光チップと、発光チップから出射された光を入射するとともに、入射した光を屈折させて出射するレンズ部材とを有する発光ダイオードが知られている(例えば、特許文献1)。特許文献1の発光ダイオードでは、レンズ部材の内部に形成された空洞部分に発光チップを配置する。また、レンズ部材は、上記の空洞部分に面した内表面であるとともに、発光チップから出射した光が入射する光入射面を有する。
【0003】
また、特許文献1では、拡散性を向上させるために、レンズ部材の空洞部分を砲弾形状にする。これにより、特許文献1では、空洞部分に面する光入射面において、レンズ部材の中心軸から遠くなる方向に光を屈折させることができるので、光の拡散性を向上させることができる。
【0004】
また、近年、発光ダイオード等の発光装置を取り付ける機器の小型化等に伴って、発光装置に対する小型化の要求が高まっている。一般に、発光素子を小さくすると、発光素子から出射される光の光量が不足し、被照射面における照度が低下する。従って、発光装置において、被照射面における照度の低下を防ぎつつ小型化の要求を満たすには、発光素子の大きさを変えずに光束制御部材を小型化せざるを得ない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−114863号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の発光ダイオードにおいて、光学特性を変化させずにレンズ部材を小型化すると、発光チップを配置する空洞部分も小さくなる。これより、発光チップと空洞部分の周囲のレンズ部材とが干渉し、発光チップを空洞部分に配置できないという問題がある。
【0007】
本発明の目的は、拡散性を向上させるために釣鐘形状にした入射面を、さらに開口縁に向けて裾が広がった形状にすることにより、発光素子を小型化しなくても所定の位置に配置することができ、光の拡散性の向上と小型化との両立を図ることができる発光装置、照明装置及び表示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の発光装置は、基板上に実装された光源と、前記光源の光軸と同心に中心軸が位置するように配置され、前記光源から出射された光を入射するとともに入射した光の配光を制御して出射する光束制御部材と、を有する発光装置であって、前記光束制御部材は、底面と、前記底面の一部を内部に凹ませて形成されるとともに前記底面に開口した凹部と、前記凹部の内面であるとともに、前記光源から出射された光を入射する入射面と、前記入射面から入射した光の配光を制御して外部に光を出射する出射面と、を有し、前記入射面は、前記中心軸を含む前記中心軸と平行な断面において、前記中心軸に対して線対称であり、前記中心軸と前記光源の発光面との交点を基準点としたとき、前記入射面上の任意の点と前記基準点とを結ぶ直線と前記中心軸とのなす角θrが増加するに従って、前記入射面上の任意の点と前記基準点との距離rが減少する第1の曲線である第1領域と、前記断面において、前記中心軸に対して線対称であり、前記凹部の開口縁上の点と前記第1の曲線の端点とを各々結ぶとともに、前記角θrが増加するに従って前記距離rが増加する第2の曲線または直線である第2領域と、からなる形状である構成を採る。
【0009】
本発明の照明装置は、上記の発光装置と、前記発光装置の前記出射面から出射された光により照射される被照射面と、を有する構成を採る。
【0010】
本発明の表示装置は、上記の照明装置と、前記照明装置から出射する光により照明される被照明部材と、を有する構成を採る。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、拡散性を向上させるために釣鐘形状にした入射面を、さらに開口縁に向けて裾が広がった形状にすることにより、発光素子を小型化しなくても所定の位置に配置することができ、光の拡散性の向上と小型化との両立を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1A】本発明の実施の形態における光束制御部材の平面図
【図1B】本発明の実施の形態における光束制御部材の正面図
【図1C】本発明の実施の形態における光束制御部材の底面図
【図2】本発明の実施の形態に係る発光装置の断面図
【図3】本発明の実施の形態に係る照明装置の平面図
【図4】本発明の実施の形態に係る表示装置の断面図
【図5】本発明の実施の形態における光束制御部材の要部の拡大断面図
【図6】本発明の実施の形態における光束制御部材の入射面の拡大図
【図7】本発明の実施の形態における光束制御部材の入射面におけるrとθrとの関係を示す図
【図8】本発明の実施の形態における光束制御部材の入射面におけるΔr/Δθrとθrとの関係を示す図
【図9】本発明の実施の形態における光束制御部材の光の進路を示す図
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0014】
(実施の形態1)
(発光装置の構成)
以下に、発光装置100の構成について、図1A〜図1C及び図2を用いて詳細に説明する。図1Aは、本実施の形態に係る光束制御部材150の平面図である。また、図1Bは、本実施の形態に係る光束制御部材150の正面図である。また、図1Cは、本実施の形態に係る光束制御部材150の底面図である。また、図2は、本実施の形態に係る発光装置100の断面図である。なお、図2において、光束制御部材150は、図1CのA−A線で切断したものを示す。
【0015】
発光装置100は、光束制御部材150と、発光素子200と、基板210と、から主に構成される。また、光束制御部材150は、底面101と、凹部102と、入射面103と、出射面104と、鍔部105と、脚部106と、から主に構成される。
【0016】
底面101は、円形形状であり、円形形状の中央部分には、発光素子200から出射する光線を内部へ入射させる入射面103を形成するための凹部102を有する。また、底面101には、外周に沿って棒状の3つの脚部106が設けられる。また、底面101は、光束制御部材150が基板210に実装された際に、基板と略平行に配置される。
【0017】
凹部102は、発光素子200に対向する底面101を内部に凹ませて形成され、底面101に開口する。また、凹部102は、発光素子200の光軸と一致する光束制御部材150の中心軸P1(図1B及び図2参照)に対して回転対称形状に形成される。また、凹部102は、全体的に釣鐘形状であるとともに、さらに開口縁に向けて裾が広がった形状に形成される(図2参照)。ここで、中心軸P1は、平面視した際の円形形状の円の中心を通るとともに、当該円の径方向に対して直交し、発光素子200の光軸と同心に位置する。
【0018】
入射面103は、凹部102の内面に形成され、中心軸P1の回りに、回転対称となるように形成される。従って、入射面103は、凹部102と同様に、全体的に釣鐘形状であり、開口端側において、凹部102の開口端に近づくほど、平面視円形形状の径方向において外周110に近づく裾が広がった形状に形成される(図2参照)。また、入射面103は、発光素子200から出射された光が入射する。なお、入射面103の構成の詳細については、後述する。
【0019】
出射面104は、平面形状が円形形状である。また、出射面104は、鍔部105よりも上方へ向けて突出する。また、出射面104は、第1の出射面104aと、第1の出射面104aの周囲に連続して形成される第2の出射面104bと、第2の出射面104bと鍔部105とを接続する第3の出射面104cとからなる(図2参照)。
【0020】
第1の出射面104aは、下に凸の滑らかな曲面形状であり、球の一部を切り取ったような凹み形状になっている。また、第2の出射面104bは、第1の出射面104aに連続して形成される上に凸の滑らかな曲面形状であり、平面形状が第1の出射面104aを取り囲む略中空円板形状に形成される。第3の出射面104cは、第2の出射面104bに連続して形成される。
【0021】
また、出射面104は、発光素子200から出射されて入射面103から入射した光を、屈折または拡散等させることにより配光を制御し、配光を制御した光を外部に出射する。
【0022】
鍔部105は、出射面104の外周から径方向外方側に突出して形成され、略円環状である。
【0023】
脚部106は、光束制御部材150を基板210に対して所定位置及び高さに固定するための脚であり、底面101から外部に突出形成される。また、脚部106は、底面101において凹部102の周囲に形成される。また、脚部106は、間隔をおいて3個形成され、底面101において正三角形の各頂点の位置に設けられる。また、脚部106は、光束制御部材150を基板210の表面に位置決めした状態で、接着剤または溶着等の手段により基板に固定される。なお、脚部106の数及び配置は、上記に限らず、任意の数及び任意の配置にすることができる。
【0024】
発光素子200は、白色発光ダイオード等の光源であり、外部に光を出射する。
【0025】
基板210には、光束制御部材150及び発光素子200が実装される。
【0026】
(照明装置及び表示装置の構成)
以下に、照明装置300の構成について、図3及び図4を用いて詳細に説明する。図3は、本実施の形態に係る照明装置300の平面図である。また、図4は、本実施の形態に係る表示装置500の断面図である。図4において、照明装置300は、図3のB−B線で切断したものを示す。なお、図3において、説明の便宜上、拡散板、拡散シート、プリズムシート等の光学部材等の記載を省略する。省略した光学部材のうち、最も光束制御部材150側に配置された光学部材の裏面(光束制御部材150と向き合う面)が被照射面となる。また、図4において、1つまたは複数の部材で構成されるとともに照明装置300の一部を構成する光学部材401、及びこの照明装置300から出射する光により照明される被照明部材としての液晶パネル402を記載し、表示装置500を示す。
【0027】
照明装置300は、発光装置100と、反射シート301と、光学部材401とから主に構成される。
【0028】
また、表示装置500は、照明装置300及び液晶パネル402等から構成される。
【0029】
発光素子200は、基板210上に所定間隔を設けて複数実装され、平面視した際に、基板210上に千鳥状に配置される。
【0030】
光束制御部材150は、発光素子200を被うように基板210上に複数実装され、平面視した際に、基板210上に千鳥状に配置される。
【0031】
反射シート301は、白色であり、図3に示すように、光束制御部材150が通過可能な大きさの複数の貫通孔302が形成される。また、貫通孔302は、反射シート301において、光束制御部材150と同じ数だけ光束制御部材150と対応する位置に形成される。また、反射シート301は、基板210が緑色または黄土色等の白色ではない光を吸収し易い色であっても、基板210に被せることにより、光の反射率を上げることができる。なお、基板210表面や基板210を配置する照明装置の底面が、反射率の高い材質で形成されている場合には、反射シート301を使用しなくてもよい。
【0032】
光学部材401は、液晶パネル402の背面側に設けられる。また、被照射面401aは、光束制御部材150の出射面104から出射された光により照射される。被照射面401aは、例えば拡散板の裏面である。また、表示装置500が液晶表示装置の場合には、液晶パネル402の背面側が、照明装置300の光学部材401の光出射面401bから出射された光により照射される。なお、光学部材401は、拡散板やプリズムシート等の液晶表示装置用のものに限らず、出射面104から出射された光により、照明装置300の内部から照射される、文字または絵等を描いた看板等の任意のものでよい。
【0033】
光学部材401は、被照射面401aに入射する出射面104から出射された光を、拡散や集光等することにより、被照明部材である液晶パネル402を照明するのに適した照明光として出射する。
【0034】
なお、発光装置100については、上記で説明済みであるので、その説明を省略する。
【0035】
(光束制御部材の入射面の構成)
入射面103の形状について、図5〜図8を用いて詳細に説明する。図5は、光束制御部材150の要部の拡大断面図である。また、図6は、光束制御部材150の入射面103の拡大図である。また、図7は、光束制御部材150の入射面103におけるrとθrとの関係を示す図である。また、図8は、光束制御部材150の入射面103におけるΔr/Δθrとθrとの関係を示す図である。
【0036】
図5において、交点Oは、光源である発光素子200の発光面と中心軸P1との交点である。また、直線Lは、交点Oと入射面103上の任意の点とを結ぶ直線である。また、角度θrは、直線Lの中心軸P1に対する角度である。また、距離rは、交点Oと入射面103上の任意の点との距離である。ただし、角度θrは、90°より小さい角度である。また、図5において、頂点Tは、中心軸P1と入射面103との交点である。また、図5において、点Uは、入射面103の開口端上の点である。
【0037】
また、図6において、原点は図5の交点Oを示し、横軸は図5のX軸上の交点Oからの距離を示すとともに、縦軸は図5のY軸上の交点Oからの距離を示す。また、図6において、横軸は図5の角度θrであり、縦軸は図5のY軸上の交点Oからの距離である。
【0038】
図5に示すように、入射面103は、中心軸P1を含む中心軸P1と平行な断面(以下、「基準断面」と記載する)において、凹部102の開口縁に向けて裾が広がった2つの曲線(基準断面における曲線103a)(第2の領域)を1つの曲線(基準断面における曲線103b)(第1の領域)に接続する曲線形状である。また、入射面103は、基準断面において、直線Lの中心軸P1に対する角度θrが所定値となる位置を、裾が広がった2つの曲線(基準断面における曲線103a、103a)と1つの曲線(基準断面における曲線103b)とが各々接続した曲線となる形状である。
【0039】
すなわち、本実施の形態において、光束制御部材150の入射面103は、中心軸P1と交わるとともに中心軸P1に対して回転対称に形成された第1の領域103b(基準断面における曲線103b)と、これに接続する第2の領域103a(基準断面における曲線103a)とを有する。具体的には、入射面103は、基準断面において、直線Lと中心軸P1とのなす角θrが増加するに従って、距離rが減少する曲線である第1の領域103bを有する形状である。また、入射面103は、中心軸P1に対して線対称であり、凹部102の開口縁上の点Uと基準断面における曲線103bの端点Eとを各々結ぶとともに、直線Lと中心軸P1とのなす角θrが増加するに従って、距離rが増加する曲線である第2の領域103aを有する形状である。ここで、端点Eは、交点Oを中心とする円Sが、基準断面における入射面103と接する点である。
【0040】
また、第2の領域103aは、入射面103の開口縁と第1の領域103bの外縁とを接続する。また、第2の領域103aは、開口縁に近づくほど、平面視した際の円形形状の外周110に近づく。また、第1の領域103bと第2の領域103aとを接続して形成する入射面103は、基準断面における第1の領域103b上の所定位置が変曲点Vとなる。また、第1の領域103bと第2の領域103aとの接続部における角度θrは、好ましくは50°以上、更に好ましくは70°以上である。
【0041】
入射面103において第1の領域103bの占める割合が大きい方が、光を拡げる効果が高くなる。また、角度θrが0°以上かつ50°未満の範囲を第1の領域103bとした場合には、ランバート分布の配光特性を示す光源(発光素子200)から出射される全光束の約60%を、第1の領域103bに入射させることができる。また、角度θrが0°以上かつ70°未満の範囲を第1の領域103bとした場合には、ランバート分布の配光特性を示す光源(発光素子200)から出射される全光束の約90%を、第1の領域103bに入射させることができる。
【0042】
また、図7は、距離rが、角度θrが0°以上かつ70°未満で減少し、角度θrが70°以上かつ90°以下で増加する場合を示す。
【0043】
また、図8に示すように、入射面103を上記の形状にすることにより、Δr/Δθrの値は、角度θrが0°から約15°まではマイナス値であるとともに角度θrの増加に伴いΔr/Δθrの値は漸減する。また、Δr/Δθrの値は、角度θrが約15°から約70°まではマイナス値であるとともに角度θrの増加に伴いΔr/Δθrの値は漸増する。また、Δr/Δθrの値は、角度θrが約70°以上の場合には、プラス値であるとともに角度θrの増加に伴いΔr/Δθrの値も漸増する。
【0044】
入射面103を上記で説明した曲線の形状にすることにより、入射面103は全体的に釣鐘形状であるとともに、開口端部側において開口端に近づくほど裾が広がった形状になる。
【0045】
(光束制御部材における光学特性)
発光素子200から出射されてから入射面103に入射した後までの光の進路について、図9を用いて説明する。図9は、本実施の形態における発光素子200から出射されてから入射面103に入射した後までの光の進路を示す図である。なお、図9において、図5と同一部分については図5と同一符号を付して、その説明を省略する。
【0046】
図9に示すように、発光素子200から出射された光のうち、入射面103の第1の領域103bに入射した光は、入射面103において中心軸P1となす角度が大きくなる方向に屈折して、中心軸P1に対して平行な直線との角度がθ1の向きに進む。
【0047】
また、発光素子200から出射された光のうち、入射面103の第2の領域103aに入射した光は、入射面103において中心軸P1となす角度が小さくなる方向に屈折して、中心軸P1に対して平行な直線との角度がθ2の向きに進む。
【0048】
また、入射面103には、第2の領域103aを裾が広がった曲面にしたことにより、第2の領域103aから出射する光の進行方向θ2は角度θrが増加するに従って漸減する領域が形成される。従って、本実施の形態では、入射面103を第1の領域103bのみで形成した場合に比べて、拡散性の低下を招くことが考えられる。しかしながら、本実施の形態では、角度θrが拡散性の極端な低下を招かない所定の角度で第1の領域103bと第2の領域103aとを接続することにより、拡散性の低下を抑制することができる。即ち、拡散性の向上は、入射面103の角度θrが0°から所定の角度までの間の領域に入射する光に概ね依存する。従って、角度θrが所定の角度以上の範囲において、図5において裾が広がった曲線(基準断面における曲線103a、103a)になるように入射面103を形成しても、拡散性の低下を抑制することができる。ここで、上記の拡散性の低下を最小限に抑えるための角度は、好ましくは50°(θr=50°)以上、更に好ましくは70°(θr=70°)以上である。これにより、発光素子200からの出射光の全光束のうち少なくとも60%以上が第1の領域103bに入射し、光束制御部材150の拡散性を維持することができる。
【0049】
(本実施の形態の効果)
このように、本実施の形態では、拡散性を向上させるために釣鐘形状にした入射面を、さらに開口縁に向けて裾が広がった形状にする。これにより、本実施の形態によれば、発光素子を小型化しなくても光束制御部材と干渉せずに所定の位置に配置することができ、光の拡散性の向上と小型化との両立を図ることができる。
【0050】
また、本実施の形態によれば、発光素子を小型化しないので、発光素子から出射される光において、所定の光量を確保することができる。
【0051】
また、本実施の形態によれば、光源と入射面の所定点とを結ぶ直線の中心軸に対する角度が、50°以上になる入射面上の位置から開口縁に向けて裾が広がった形状にしたので、良好な光の拡散性を確保した上で、光束制御部材を小型化することができる。
【0052】
また、本実施の形態によれば、光束制御部材を小型化した場合でも、発光素子の真上に特異的な明部を生じさせることなく、高品位な発光面の照明装置を得ることができる。
【0053】
(本実施の形態の変形例)
なお、本実施の形態において、入射面103の第2領域103aを基準断面において裾広がりの曲線に形成したが、本発明はこれに限らず、入射面103の第2領域103aを基準断面において裾広がりの直線に形成してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明は、特に光源から出射された光を入射するとともに、入射した光の配光を制御して出射する発光装置、これを使用し、各種照明に用いられる照明装置、この照明装置を照明手段として被照明部材と組み合わせて使用する表示装置に好適である。
【符号の説明】
【0055】
P1 中心軸
101 底面
102 凹部
103 入射面
103a 第2領域
103b 第1領域
200 発光素子
L 直線
O 交点
r 距離
U 開口縁上の点
V 変曲点
θr 角
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に実装された光源と、前記光源の光軸と同心に中心軸が位置するように配置され、前記光源から出射された光を入射するとともに入射した光の配光を制御して出射する光束制御部材と、を有する発光装置であって、
前記光束制御部材は、
底面と、
前記底面の一部を内部に凹ませて形成されるとともに前記底面に開口した凹部と、
前記凹部の内面であるとともに、前記光源から出射された光を入射する入射面と、
前記入射面から入射した光の配光を制御して外部に光を出射する出射面と、
を有し、
前記入射面は、
前記中心軸を含む前記中心軸と平行な断面において、前記中心軸に対して線対称であり、前記中心軸と前記光源の発光面との交点を基準点としたとき、前記入射面上の任意の点と前記基準点とを結ぶ直線と前記中心軸とのなす角θrが増加するに従って、前記入射面上の任意の点と前記基準点との距離rが減少する第1の曲線である第1領域と、前記断面において、前記中心軸に対して線対称であり、前記凹部の開口縁上の点と前記第1の曲線の端点とを各々結ぶとともに、前記角θrが増加するに従って前記距離rが増加する第2の曲線または直線である第2領域と、からなる形状である発光装置。
【請求項2】
前記入射面は、前記角θrが0°以上かつ50°未満において増加するに従って、前記距離rが減少する前記第1の曲線である前記第1領域と、前記角θrが50°以上かつ90°以下において増加するに従って、前記距離rが増加する前記第2の曲線または前記直線である前記第2領域とからなる形状である請求項1記載の発光装置。
【請求項3】
前記入射面は、前記角θrが0°以上かつ70°未満において増加するに従って、前記距離rが減少する前記第1の曲線である前記第1領域と、前記角θrが70°以上かつ90°以下において増加するに従って、前記距離rが増加する前記第2の曲線または前記直線である前記第2領域とからなる形状である請求項1記載の発光装置。
【請求項4】
請求項1記載の発光装置と、
前記発光装置の前記出射面から出射された光により照射される被照射面と、
を有する照明装置。
【請求項5】
請求項4記載の照明装置と、
前記照明装置から出射する光により照明される被照明部材と、
を有する表示装置。
【請求項1】
基板上に実装された光源と、前記光源の光軸と同心に中心軸が位置するように配置され、前記光源から出射された光を入射するとともに入射した光の配光を制御して出射する光束制御部材と、を有する発光装置であって、
前記光束制御部材は、
底面と、
前記底面の一部を内部に凹ませて形成されるとともに前記底面に開口した凹部と、
前記凹部の内面であるとともに、前記光源から出射された光を入射する入射面と、
前記入射面から入射した光の配光を制御して外部に光を出射する出射面と、
を有し、
前記入射面は、
前記中心軸を含む前記中心軸と平行な断面において、前記中心軸に対して線対称であり、前記中心軸と前記光源の発光面との交点を基準点としたとき、前記入射面上の任意の点と前記基準点とを結ぶ直線と前記中心軸とのなす角θrが増加するに従って、前記入射面上の任意の点と前記基準点との距離rが減少する第1の曲線である第1領域と、前記断面において、前記中心軸に対して線対称であり、前記凹部の開口縁上の点と前記第1の曲線の端点とを各々結ぶとともに、前記角θrが増加するに従って前記距離rが増加する第2の曲線または直線である第2領域と、からなる形状である発光装置。
【請求項2】
前記入射面は、前記角θrが0°以上かつ50°未満において増加するに従って、前記距離rが減少する前記第1の曲線である前記第1領域と、前記角θrが50°以上かつ90°以下において増加するに従って、前記距離rが増加する前記第2の曲線または前記直線である前記第2領域とからなる形状である請求項1記載の発光装置。
【請求項3】
前記入射面は、前記角θrが0°以上かつ70°未満において増加するに従って、前記距離rが減少する前記第1の曲線である前記第1領域と、前記角θrが70°以上かつ90°以下において増加するに従って、前記距離rが増加する前記第2の曲線または前記直線である前記第2領域とからなる形状である請求項1記載の発光装置。
【請求項4】
請求項1記載の発光装置と、
前記発光装置の前記出射面から出射された光により照射される被照射面と、
を有する照明装置。
【請求項5】
請求項4記載の照明装置と、
前記照明装置から出射する光により照明される被照明部材と、
を有する表示装置。
【図1A】
【図1B】
【図1C】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図1B】
【図1C】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【公開番号】特開2012−64654(P2012−64654A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−205710(P2010−205710)
【出願日】平成22年9月14日(2010.9.14)
【出願人】(000208765)株式会社エンプラス (403)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年9月14日(2010.9.14)
【出願人】(000208765)株式会社エンプラス (403)
【Fターム(参考)】
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