説明

発光装置および電子機器

【課題】各画素内での品質のバラツキの視認を防止し、外部に放出される光束の指向性を
高める発光装置を提供する。
【解決手段】発光装置10は、基板12と、基板12に配置された複数の発光素子30と
、基板12に対向し、基板12との間に発光素子30が配置された遮光層52と、絶縁材
料から形成され、基板12に配置されており、発光素子30を区画する隔壁40とを備え
る。隔壁40には、発光素子30の発光領域を画定する開口部40aが形成され、遮光層
52には、発光素子30から発せられた光を透過させる光透過部52aが形成されている
。光透過部52aは、開口部40aに重なるとともに、開口部40aよりも狭い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機発光ダイオード素子のように電流量に応じた大きさの光を発光する発光
素子を用いた発光装置およびこれを有する電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
発光素子の一種として、電界により励起して自己発光するエレクトロルミネッセント(
EL)素子が知られている。EL素子を用いた発光装置では、基板上に多数の画素回路が
マトリックス状に配置され、各画素回路にEL素子が設けられている。EL素子は陽極と
陰極の間に挟まれた発光層を有する。正孔注入層またはその他の層が陽極と陰極の間に配
置されることもある。
【0003】
このような発光装置には、例えば特許文献1に記載されているように、EL素子から発
した光を基板とは反対側に放出するトップエミッションタイプがある。また、特許文献1
には、基板に対向するブラックマトリクスとしての遮光層が開示されている。遮光層には
光透過部が形成されており、EL素子から発した光はこの光透過部を通じて放出される。
この光透過部にはカラーフィルタが配置されている。また、特許文献1には、絶縁材料か
ら形成され、発光素子を区画するために基板に配置された隔壁が開示されており、隔壁に
形成された開口部は発光素子の発光領域を画定する。つまり隔壁の開口部において、画素
電極が発光層または正孔注入層と接触し、この画素電極と対向電極の間に電流が流れると
、その開口部に配置された発光層が発光する。
【0004】
【特許文献1】特開2003−288983号公報(図8)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示された遮光層の光透過部は、隔壁の開口部よりも広い。これは隔壁の
開口部に相当する発光素子の発光領域で得られる光束をできるだけ多く外部に放出するた
めであると考えられる。このような構成では、外部から視認できる光束は隔壁の開口部に
より規定される。
【0006】
発光装置の発光層および正孔注入層は、画素電極に対しては付着力が強いが、隔壁に対
しては付着力が弱い。従って、発光層または正孔注入層の膜厚が隔壁の開口部内において
不均一になったり、隔壁付近で発光層または正孔注入層が画素電極に付着しないことがあ
る。このような場合には、一つの画素内で輝度および色度がばらついてしまう。具体的に
は、画素のうち隔壁に近い周辺部と、隔壁から遠い画素の中央部では、輝度および色度が
異なることがある。そして、特許文献1に記載の技術では、遮光層の光透過部が隔壁の開
口部よりも広いために、一つの画素内での輝度および色度のバラツキが視認されてしまう
ことがある。
【0007】
さらに、特許文献1に記載の技術では、遮光層の光透過部が隔壁の開口部よりも広いた
め、遮光層の光透過部を透過して外部に放出される光束が大きな立体角で発散する。発光
装置を画像表示装置として使用する場合、光束の発散が見やすさに影響することがあるし
、高い精度が要求される露光装置として発光装置を使用する場合、光束の余分な発散は精
度に悪影響を与える。
【0008】
そこで、本発明は、各画素内での品質のバラツキの視認を防止し、外部に放出される光
束の指向性を高める発光装置およびこれを有する電子機器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る発光装置は、基板と、前記基板に配置された複数の発光素子と、前記基板
に対向し、前記基板との間に前記発光素子が配置された遮光層と、絶縁材料から形成され
、前記基板に配置されており、前記発光素子を区画する隔壁とを備え、前記隔壁には、前
記発光素子の発光領域を画定する開口部が形成され、前記遮光層には、前記発光素子から
発せられた光を透過させる光透過部が形成され、前記光透過部は、前記開口部に重なると
ともに、前記開口部よりも狭い。
【0010】
本発明によれば、遮光層の光透過部は、発光素子を画定する隔壁の開口部に重なるとと
もにこの開口部よりも狭い。従って、外部から視認できる光束は遮光層の光透過部により
規定され、遮光層により画素内の周辺部が隠される。画素のうち隔壁に近い周辺部と、隔
壁から遠い画素の中央部で輝度および色度が異なったとしても、遮光層により画素内の周
辺部が隠されるので、一つの画素内での輝度および色度のバラツキが視認されることが防
止される。また、遮光層の光透過部は、発光素子を画定する隔壁の開口部に重なるととも
にこの開口部よりも狭いために、外部に放出される光束の指向性を高めることが可能であ
る。
【0011】
本発明のように、基板に対向する遮光層に光透過部が形成された発光装置では、光透過
部に向けて発光素子からの光を反射する反射層が形成される。この反射層は、発光素子の
電極でもよいし、電極とは別であってもよい。反射層は、発光素子からの光を反射するた
め、隔壁の開口部に重なっているが、隔壁に反射層が部分的に覆われている場合には、遮
光層は、反射層のうち隔壁に覆われた部分に重なっていると好ましい。隔壁は透明材料で
形成されていることが多いので、反射層のうち隔壁に覆われた部分で反射した光は隔壁を
透過して、遮光層の光透過部に向けて進行するおそれがある。特に、明るい場所では、遮
光層の光透過部を通って外光が発光装置に進入するが、反射層での反射光が光透過部を通
って外部に放出されると、画像のコントラストが低下する。しかし、反射層のうち隔壁に
覆われた部分に遮光層が重なっていることにより、そのような反射光が光透過部を透過し
て放出されることを抑制できる。
【0012】
さらに、前記発光素子は、第1の電極と、第2の電極と、これらの間に配置されて電界
により発光する発光層を有し、前記第1の電極は、前記第2の電極よりも前記反射層に近
い層にあり、ITO(indium tin oxide)、IZO(indium zinc oxide)またはZ
nOから形成され、前記第1の電極は、前記反射層に重なるとともに、前記反射層より
も広いと好ましい。ITO、IZOまたはZnOのような光透過性および導電性を持つ
酸化導電材料は、発光素子の電極として利用することができ、発光素子からの光を反射層
に通し、さらに逆に反射層からの光を反対方向に通すことができる。これらの酸化導電材
料から形成された第1の電極は、例えば、臭化水素、ヨウ化水素のような強酸でエッチン
グされて、パターニングされる。他方、反射層は、例えばアルミニウムなどの金属、また
はその他の反射性が高い材料から形成される。第1の電極が反射層に重なるとともに、反
射層よりも広いことにより、強酸により反射層が破損することを防止することができる。
【0013】
前記光透過部には、前記発光素子から発せられた光の色を別の実現色に変換し、変換後
の実現色が互いに異なる色変換層が配置されており、前記色変換層の面積は、実現色によ
り異なると好ましい。色変換層は、特定波長領域の光を他の波長領域の光よりも多く透過
するカラーフィルタでもよいし、光を受けて別の色の光を発するフォトルミネセンス材で
あってもよい。発光素子の発光エネルギは、すべての色の波長に対して一様ではないし、
色変換層の変換効率(色変換層に入射される光の輝度に対する色変換層から出射する光の
輝度の比)は実現色により異なる。従って、同じ駆動電流を同じ大きさかつ同じ構造の発
光素子に与えたとしても、色変換層で変換後の光の輝度は色変換層の種類すなわち実現色
によって異なる。色変換層に入射する光のスペクトラム特性および色変換層の変換効率を
考慮して、色変換層の面積を、実現色により変えることにより、輝度と面積の積である光
度(単位:カンデラ)を各発光素子について適切に設定することができる。このようにし
て実現色のバランスをとることで表示品質を向上させることが可能である。
【0014】
本発明に係る電子機器は、上述した発光装置を備える。このような電子機器として、発
光装置を表示装置に適用したパーソナルコンピュータ、携帯電話機、および携帯情報端末
などが該当し、また、電子写真方式を利用した画像印刷装置における像担持体に光を照射
して潜像を形成するプリンタヘッドとして、発光装置を用いてもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、添付の図面を参照しながら本発明に係る様々な実施の形態を説明する。これらの
図面においては、各部の寸法の比率は実際のものとは適宜に異ならせてある。
【0016】
<発光装置>
図1は、本発明の実施の形態に係る発光装置10の部分断面図である。図1に示すよう
に、発光装置10は、例えばガラスまたはプラスチックから形成された基板12を有する
。基板12の上には酸化珪素を主体とする下地保護層14が形成され、その上には複数の
pチャネル型の画素トランジスタ20が形成されている。画素トランジスタ20は、薄膜
トランジスタ(TFT)であって、マトリクス状に配置されている。画素トランジスタ2
0には、基板12に形成された後述する発光素子30をそれぞれ駆動するために、発光素
子30にそれぞれ接続されるように設けられている。すなわち、この発光装置10では、
アクティブマトリクス型の駆動方式が使用されている。発光装置10には多数の発光素子
30および多数の画素トランジスタ20が設けられているが、図1では3つの発光素子3
0および3つの画素トランジスタ20だけを示す。
【0017】
画素トランジスタ20の詳細を説明する。下地保護層14の上層にはシリコン層201
が形成される。シリコン層201は、ドレイン領域20a、チャネル領域20b、および
ソース領域20cを有する。シリコン層201を覆うように、ゲート絶縁層16が下地保
護層14の上層に設けられる。ゲート絶縁層16は、例えば酸化珪素から形成される。ゲ
ート絶縁層16の上面のうちシリコン層201に重なる部分には、ゲート電極22が配置
されている。
【0018】
第1層間絶縁層18が、ゲート電極22を覆うようにゲート絶縁層16の上層に形成さ
れる。第1層間絶縁層18の材料には酸化珪素等が用いられる。さらに、ドレイン電極2
1およびソース電極23が、ゲート絶縁層16および第1層間絶縁層18を貫通するコン
タクトホールを介してシリコン層201と接続される。一つのシリコン層201並びにそ
の付近のゲート電極22、ソース電極23およびドレイン電極21は、一つの画素トラン
ジスタ20を構成する。
【0019】
回路保護膜24が、ソース電極23およびドレイン電極21を覆うように第1層間絶縁
層18の上層に設けられる。回路保護膜24は、例えば、窒化珪素や酸窒化珪素などのガ
ス透過率が低い材料から形成されている。また、これらの窒化珪素や酸窒化珪素は、非晶
質材料であってもよいし、水素を含んでいても良い。回路保護膜24により、トランジス
タ40、50、および20からの水素の離脱を防止できる。回路保護膜24をソース電極
やドレイン電極の下に形成してもよい。
【0020】
回路段差平坦化膜26が回路保護膜24の上層に設けられる。回路段差平坦化膜26は
、回路保護膜24に対向する下面の凹凸よりも回路保護膜24とは反対の上面の凹凸が小
さい。つまり、トランジスタ20などにより生ずる凹凸を平坦化するために、回路段差平
坦化膜26は用いられる。回路段差平坦化膜26の材料には、例えば、アクリル系、ポリ
イミド系の有機高分子材料が用いられる。あるいは、酸化珪素、酸窒化珪素等の無機材料
から蒸着により回路段差平坦化膜26を形成し、エッチング等によりその上面を平坦化し
てもよい。
【0021】
回路段差平坦化膜26の上には、反射層28が形成されている。反射層28は、例えば
アルミニウムなどの金属、またはその他の反射性が高い材料から形成され、発光素子30
から発した光を図中の上方に反射するため、発光素子30の下層に局部的に配置されてい
る。また、反射層28は、画素トランジスタ20の一部、具体的にはソース電極23、ゲ
ート電極22およびチャネル領域20bを覆う位置に配置されている。回路段差平坦化膜
26上に反射層28が形成された状態を示す平面図を図2に示す。回路段差平坦化膜26
には後述するコンタクトホール34が形成される。
【0022】
図1に示すように、反射層28を覆うように、例えば酸化珪素または窒化珪素から形成
された誘電体層29が回路段差平坦化膜26の上層に形成されている。誘電体層29は、
発光素子30と反射層28とを絶縁するとともに、後述するように発光素子30と反射層
28の間隔を適切にするために配置されている。
【0023】
反射層28に重なる位置にて誘電体層29の上には発光素子30(30R,30G,3
0B)が形成されている。具体的には、誘電体層29の上層には、発光素子30の画素電
極(第1の電極)32が形成されている。画素電極32は、発光素子30の陽極であり、
回路段差平坦化膜26および回路保護膜24を貫通するコンタクトホール34を介してト
ランジスタ20のドレイン電極21と接続される。陽極である画素電極32の材料として
は、仕事関数が大きい材料、例えば、ITO、IZOまたはZnOが望ましい。画素電
極32は、反射層28に重なるとともに、反射層28よりも広く形成されている。ITO
、IZOまたはZnOのような光透過性および導電性を持つ酸化導電材料は、発光素子
30からの光を反射層28に通し、さらに逆に反射層28からの光を反対方向に通すこと
ができる。これらの酸化導電材料から形成された画素電極32は、例えば、臭化水素、ヨ
ウ化水素のような強酸でエッチングされて、パターニングされる。他方、反射層28は、
例えばアルミニウムなどの金属、またはその他の反射性が高い材料から形成される。画素
電極32が反射層28に重なるとともに、反射層28よりも広いことにより、強酸により
反射層28が破損することを防止することができる。誘電体層29上に画素電極32が形
成された状態を示す平面図を図3に示す。
【0024】
図1に示すように、発光素子30の各々は、OLED(organic light emitting di
ode)素子つまり有機EL素子であって、画素電極32、共通電極(第2の電極)38、
およびこれらの間に配置された発光機能層36を有する。この実施の形態では、発光素子
30の各々が独立した画素電極として陽極を有しており、陰極38はすべての発光素子3
0にわたって形成されて、すべての発光素子30に共通する共通電極である。
【0025】
発光機能層36は、少なくとも発光層を有する。発光層の材料は低分子の有機EL物質
であって、電界により発光する。発光機能層36は、発光層のほか、正孔注入層、正孔輸
送層、電子輸送層、電子注入層、正孔ブロック層、および電子ブロック層の一部又は全部
を備えていてもよい。この発光機能層36の発光層は、画素トランジスタ20により画素
電極32から共通電極38に向けて電流が流されると、白色の光(つまりR波長、G波長
、B波長の光を含む光)を発する。
【0026】
共通電極38は透明であり、発光素子30からの光は、共通電極38を透過して図中上
側の方向に射出される。つまり、この実施形態の発光装置10は、基板12とは反対側に
光を放出するトップエミッションタイプである。共通電極38をすべての発光素子30の
陰極として機能させるため、共通電極38は電子を注入しやすいように、仕事関数が低い
材料によって形成される。例えば、アルミニウム、カルシウム、マグネシウム、またはリ
チウム等やそれらの合金である。また、この合金は仕事関数が低い材料とその材料を安定
化される材料を用いることが望ましい。例えば、マグネシウムと銀の合金が好適である。
これらの金属または合金を共通電極38に使用する場合には、光透過性を得るために厚さ
を小さくすればよい。
【0027】
また、共通電極38は、上記の仕事関数が低い材料、もしくは、仕事関数が低い材料と
その材料を安定化される材料からある第1層と、ITO、IZO、またはZnOのよう
な酸化導電材料からなる光透過性、導電性を備えた第2層とを含み、発光機能層側に第1
層が設けられてもよい。
【0028】
上記のように、すべての発光素子30(30R,30G,30B)の発光層は、白色の
光を発するが、各発光素子30には特定の波長の光を他の波長の光よりも強めるための工
夫が施されている。発光素子30のうち、発光素子30Rは赤の出力光を得るための発光
素子であり、発光素子30Gは緑の出力光を得るための発光素子であり、発光素子30B
は青の出力光を得るための発光素子である。発光素子30Bの画素電極32は一層の画素
電極層Paを有し、発光素子30Gの画素電極32は二層の画素電極層Pa,Pbを有し
、発光素子30Rの画素電極32は三層の画素電極層Pa,Pb,Pcを有する。画素電
極層Paは、発光素子30のいずれにも設けられ、一様な厚さを有し、画素電極層Pbは
、発光素子30G,30Rに設けられ、一様な厚さを有する。画素電極層Pcは、発光素
子30Rのみに設けられ、一様な厚さを有する。画素電極層Pa,Pb,Pcのいずれも
同じ材料、つまりITO、IZOまたはZnOから形成されている。
【0029】
画素電極32、誘電体層29および反射層28は、発光素子30の発光層で発せられた
光のうち特定の波長の光を他の波長の光よりも強める光共振体として作用する。光共振体
は、特定波長の光の強度を発光層で発した時の強度よりも大きくする作用と、特定波長以
外の波長の光の強度を発光層で発した時の強度よりも小さくする作用の少なくとも一方を
有する。例えば、発光素子30Rの画素電極32、誘電体層29および反射層28は、赤
の波長の光の強度を発光層で発した時の強度よりも大きくする作用と、赤以外の波長の光
の強度を発光層で発した時の強度よりも小さくする作用の少なくとも一方を有する。
【0030】
この目的のため、画素電極層Paの厚さ(発光素子30Bの画素電極32の厚さ)は、
発光素子30が発した光のうち青の波長の光を他の波長の光よりも強めるのに適するよう
に決定されている。画素電極層Pa,Pbの厚さの合計(発光素子30Gの画素電極32
の厚さ)は、発光素子30が発した光のうち緑の波長の光を他の波長の光よりも強めるの
に適するように決定されている。画素電極層Pa,Pb,Pcの厚さの合計(発光素子3
0Rの画素電極32の厚さ)は、発光素子30が発した光のうち赤の波長の光を他の波長
の光よりも強めるのに適するように決定されている。また、誘電体層29の厚さ、つまり
画素電極32と反射層28の間隔は、青、緑、赤のいずれの波長についても、光共振体の
作用が良好に働くように、決定されている。
【0031】
発光素子30は、絶縁材料から形成された隔壁40により区画されている。隔壁40は
、画素電極32とその後に形成される共通電極38との間を絶縁するとともに、複数の画
素電極32同士の間を絶縁する。隔壁40を設けることにより画素電極32の各々を独立
して制御することができ、複数の発光素子の各々に独立して電流を流すことができる。例
えば、アクリルもしくはポリイミド等の透明樹脂が隔壁37の材料である。
【0032】
隔壁40は、誘電体層29の上層に形成されている。隔壁40には、発光素子30の発
光領域を画定する開口部40aが形成されている。隔壁40の開口部40aの各々の全体
は、画素電極32に重なっている。つまり、発光機能層36が形成される前の段階では、
開口部40aを通して画素電極32が露出している。開口部40aは画素電極32よりも
狭く、画素電極32の端部は隔壁40により部分的に覆われている。誘電体層29上に隔
壁40が形成された状態を示す平面図を図4に示す。
【0033】
反射層28は、発光素子30の発光部からの光を反射するため、隔壁40の開口部40
aに重なっているが、隔壁40に反射層28が部分的に覆われている。このように、反射
層28の領域および画素電極32の領域は、隔壁40の開口部40aよりも広い。従って
、光共振体で特定の波長の光が強められた光束が開口部40aを通じて図の上方に進行す
る。
【0034】
発光機能層36は、少なくとも開口部40aの内部に配置されている。図示の発光機能
層36は、隔壁40の上を覆っており、すべての発光素子30にわたって形成されて、す
べての発光素子30に共通する。上記の通り、発光機能層36は白色光を発し、発光素子
30の出力光にかかわらず、一様な厚さを有する。但し、図示しないが、発光素子30の
各々が独立した発光機能層36を有するように、開口部40aの各々の内部だけに発光機
能層36が配置されるように、発光機能層36をパターニングしてもよい。また、図示し
ないが、同じ出力光の発光素子には、共通の発光機能層を設けるように、発光機能層をパ
ターニングしてもよい。
【0035】
共通電極38は、隔壁40の上を覆っており、開口部40aの各々の内部にも配置され
ている。発光素子30の出力光にかかわらず、共通電極38は一様な厚さを有する。
【0036】
隔壁40の上方にて、共通電極38の上層には、補助配線42が形成されており、共通
電極38に面接触している。共通電極38上に補助配線42が形成された状態を示す平面
図を図5に示す。図5のI−I断面図が図1に相当する。本明細書でいう補助配線とは、
共通電極38に重なって電気的に接続され、共通電極38の抵抗を下げる導電体のことで
ある。例えば、共通電極38と同じ材料、またはその他の導電材料から補助配線42を製
造することができる。図示の形態では、共通電極38の上層に補助配線42が形成されて
いるが、共通電極38の下層に補助配線42が形成されてもよい。
【0037】
このように発光素子30が形成された基板12には、接着剤58により対向基板50が
接合される。対向基板50は例えばガラスまたは透明なプラスチックから形成されている
。対向基板50には、ブラックマトリクスとしての遮光層52が形成されている。遮光層
52には複数の光透過部52aが形成されており、発光素子30から発した光は光透過部
52aを通じて図の上方に放出される。光透過部52aの各々には、カラーフィルタ54
R,54Gまたは54Bが配置されている。
【0038】
カラーフィルタ54R,54G,54Bは、それぞれ発光素子30に重ねられており、
発光素子30から発せられた光の色を別の実現色に変換することが可能である。より正確
には、カラーフィルタは、特定波長領域の光を他の波長領域の光よりも多く透過する。具
体的には、カラーフィルタ54Rは赤色光を他の光よりも多く透過し、カラーフィルタ5
4Gは緑色光を他の光よりも多く透過し、カラーフィルタ54Bは青色光を他の光よりも
多く透過する。これらのカラーフィルタ54R,54G,54Bは、カラーフィルタ相互
の間の光の色の混合を防止するために光を遮断する遮光層52で包囲されて互いに遮蔽さ
れている。遮光層52は黒色顔料を含有した有機膜である。あるいは遮光層52は、金属
(例えばチタンまたはクロム等)またはその酸化物で形成されていてもよい。
【0039】
遮光層52およびカラーフィルタ54R,54G,54Bには、バリア層56が接合さ
れており、バリア層56は透明樹脂である接着剤(充填剤)58により共通電極38に接
合されている。バリア層56は、例えば酸化珪素、窒化珪素、または酸窒化珪素などの液
体透過率が低い無機材料から形成され、接着剤58中にカラーフィルタ内の色素が拡散す
ることを防止する。
【0040】
遮光層52の光透過部52aすなわちカラーフィルタの各々は、発光素子30を画定す
る隔壁40の開口部40aに重なるとともに、開口部40aよりも狭い。図5の状態に光
透過部52aを仮想線で示した状態を図6に示す。
【0041】
発光機能層36の発光層および正孔注入層は、画素電極32に対しては付着力が強いが
、隔壁40に対しては付着力が弱い。従って、発光層または正孔注入層の膜厚が隔壁40
の開口部40a内において不均一になったり、隔壁40付近で発光層または正孔注入層が
画素電極32に付着しないことがある。このような場合には、一つの画素内で輝度および
色度がばらついてしまう。具体的には、画素のうち隔壁に近い周辺部と、隔壁から遠い画
素の中央部では、輝度および色度が異なることがある。
【0042】
しかし、この実施の形態では、遮光層52の光透過部52aすなわちカラーフィルタの
各々が隔壁40の開口部40aに重なるとともにこの開口部40aよりも狭いために、外
部から視認できる光束は遮光層52の光透過部52aにより規定され、遮光層52により
画素内の周辺部が隠される。画素のうち隔壁40に近い周辺部と、隔壁40から遠い画素
の中央部で輝度および色度が異なったとしても、遮光層52により画素内の周辺部が隠さ
れるので、一つの画素内での輝度および色度のバラツキが視認されることが防止される。
【0043】
遮光層52の光透過部52aは、発光素子30を画定する隔壁40の開口部40aに重
なるとともにこの開口部40aよりも狭いために、外部に放出される光束の指向性を高め
ることが可能である。このため、発光装置10を画像表示装置として使用する場合、画像
を見やすくし、高い精度が要求される露光装置として発光装置10を使用する場合、余分
な光束が精度に悪影響を与えることを防止できる。
【0044】
隔壁40の開口部40aを高い精度で形成することは困難である。例えば、基板12に
は、画素回路、電極などの多数の構成要素が積層されるので、製造時に基板12が撓み、
設計通りに隔壁40をパターニングしても、製造後に基板12が撓みから回復すると、隔
壁40の開口部40aの位置または面積が所望のものと異なることがある。つまり、画素
の位置または面積が設計通りにはゆかないことがある。他方、遮光層52およびカラーフ
ィルタ54R,54G,54Bは、対向基板50に直接形成することができるので、遮光
層52の光透過部52aすなわちカラーフィルタは、隔壁40の開口部40aよりも高い
精度で形成することができる。さらに、遮光層52の光透過部52aは、発光素子30を
画定する隔壁40の開口部40aに重なるとともにこの開口部40aよりも狭い。従って
、発光素子30の位置または面積が所望のものといくぶん異なっていても、外部から視認
できる光束は精度が高い遮光層52の光透過部52aにより規定されるので、所望の面積
の光束を得ることが容易である。
【0045】
図示の形態のように、発光機能層36が、隔壁40の上を覆っており、複数の発光素子
30にわたって形成されている場合には、発光機能層36の面積が大きいため、発光機能
層36内の発光層が外部からの光にさらされる可能性が高くなる。発光層が外光にさらさ
れると、光励起により発光層が発光することが知られている。例えば、どの発光素子にも
電流を流さない状態でも、発光層に光を照射すると発光層が赤色に見えることが知られて
いる。しかし、この実施の形態では、発光機能層36のうち所望の発光に寄与しない部分
、例えば隔壁40に重なる部分は、光透過部52aつまりカラーフィルタではなく、遮光
層52に重なっている。このため、外光に起因する発光層の発光を低減することが可能で
ある。
【0046】
遮光層52の光透過部52aすなわちカラーフィルタ54R,54G,54Bの各々は
、発光素子30の画素電極32に重なるとともに、画素電極32、特に画素電極32のい
ずれにも設けられる画素電極層Paよりも狭い。また、カラーフィルタ54R,54G,
54Bの各々は、反射層28の領域よりも狭い。発光素子30Bおよびカラーフィルタ5
4Bに着目すると、発光素子30Bで発光し、反射層28で反射した光束のすべては、画
素電極層Paのみからなる画素電極32、誘電体層29および反射層28を有する光共振
体で共振され、図中の上方に向かって進行してその一部がカラーフィルタ54Bを通過す
る。つまり、カラーフィルタ54Bを透過して外部に放出される光束のうちかなりの部分
が、カラーフィルタ54Bに到達する前に光共振体により共振され、青の波長成分が他の
波長成分よりも強められている。このような青の波長成分が強い光束がカラーフィルタ5
4Bを透過して外部に放出されるので、その光束の色度が向上する。
【0047】
発光素子30G,30Rの各々について、画素電極層Pbは、画素電極層Paに重なり
画素電極層Pa以上の面積を有する。従って、カラーフィルタ54R,54Gの各々は、
画素電極層Pbに重なるとともに、画素電極層Pbよりも狭い。発光素子30Gおよびカ
ラーフィルタ54Gに着目すると、発光素子30Gで発光し、反射層28で反射した光束
のすべては、画素電極層Pa,Pbからなる画素電極32、誘電体層29および反射層2
8を有する光共振体で共振され、図中の上方に向かって進行してその一部がカラーフィル
タ54Gを通過する。つまり、カラーフィルタ54Gを透過して外部に放出される光束の
うちかなりの部分が、カラーフィルタ54Gに到達する前に光共振体により共振され、緑
の波長成分が他の波長成分よりも強められている。このような緑の波長成分が強い光束が
カラーフィルタ54Gを透過して外部に放出されるので、その光束の色度が向上する。
【0048】
また、発光素子30Rの各々について、画素電極層Pcは、画素電極層Pbに重なり画
素電極層Pb以上の面積を有する。従って、カラーフィルタ54Rの各々は、画素電極層
Pcに重なるとともに、画素電極層Pcよりも狭い。発光素子30Rおよびカラーフィル
タ54Rに着目すると、発光素子30Rで発光し、反射層28で反射した光束のすべては
、画素電極層Pa,Pb,Pcからなる画素電極32、誘電体層29および反射層28を
有する光共振体で共振され、図中の上方に向かって進行してその一部がカラーフィルタ5
4Rを通過する。つまり、カラーフィルタ54Rを透過して外部に放出される光束のうち
かなりの部分が、カラーフィルタ54Rに到達する前に光共振体により共振され、赤の波
長成分が他の波長成分よりも強められている。このような赤の波長成分が強い光束がカラ
ーフィルタ54Rを透過して外部に放出されるので、その光束の色度が向上する。
【0049】
反射層28は、発光素子30からの光を反射するため、隔壁40の開口部40aに重な
っているが、隔壁40に反射層28が部分的に覆われている。遮光層52は、反射層28
のうち隔壁40に覆われた部分に重なっている。隔壁40が透明材料で形成されている場
合、反射層28のうち隔壁40に覆われた部分で反射した光は隔壁40を透過して、遮光
層52の光透過部52aに向けて進行するおそれがある。特に、明るい場所では、遮光層
52の光透過部52aを通って外光が発光装置に進入するが、反射層28での反射光が光
透過部52aを通って外部に放出されると、画像のコントラストが低下する。しかし、反
射層28のうち隔壁40に覆われた部分に遮光層52が重なっていることにより、そのよ
うな反射光が光透過部52aを透過して放出されることを抑制できる。
【0050】
反射層28は、画素トランジスタ20のチャネル領域20bを覆う位置に配置されてい
る。このため、したがって、外光が画素トランジスタ20のチャネル領域20bに到達す
ることが抑制され、画素トランジスタ20に光電流が発生し画素トランジスタ20が誤動
作することを抑制できる。
【0051】
上述した補助配線42は遮光層52により覆われている。補助配線42は例えばアルミ
ニウムのような反射率が高い材料から形成されることもあるが、補助配線42が遮光層5
2により覆われているために、外光が補助配線42で反射することが抑制される。従って
、明るい場所での画像のコントラストの低下を抑制できる。
【0052】
図1に示すように、遮光層52の光透過部52aに配置されたカラーフィルタ54R,
54G,54Bの面積は、実現色により異なる。上述の通り、カラーフィルタを透過する
光束は、カラーフィルタに達する前に、特定の波長の光が他の波長の光よりも強くなるよ
うに工夫されている。しかし、カラーフィルタ54Rに入るべき光束の赤色波長成分、カ
ラーフィルタ54Gに入るべき光束の緑色波長成分、およびカラーフィルタ54Bに入る
べき光束の青色波長成分は、同じ放射輝度(単位:W/sr/m2)ではない。また、カラーフ
ィルタの効率(カラーフィルタに入射される光の輝度に対するカラーフィルタから出射す
る光の輝度の比)は実現色により異なる。従って、同じ駆動電流を同じ大きさかつ同じ構
造の複数の発光素子30に与えたとしても、カラーフィルタで変換後の光の放射輝度はカ
ラーフィルタの種類すなわち実現色によって異なる。また、赤、緑、青では、視感度(目
で感じる強さの度合い)が異なっており、一般的には緑の視感度が強いといわれている。
例えば、赤、緑、青の画素から同じ強度の光を出射させて白色を表現させると、視感度が
異なるために、やや緑がかった色となってしまうことがある。これらの複合的な要因によ
り、同じ駆動電流を同じ大きさかつ同じ構造の複数の発光素子30に与えたとしても、カ
ラーフィルタで変換後の光の輝度(放射輝度に視感度をかけたもの。単位はcd/m2)はカ
ラーフィルタの種類すなわち実現色によって異なる。
【0053】
一例として、この実施の形態では、図1に示すように、カラーフィルタ54Rの面積は
最大であり、カラーフィルタ54Gの面積は最小である。これは、カラーフィルタに入射
する光のスペクトラム特性、カラーフィルタの変換効率および/または視感度を考慮した
結果である。このようにカラーフィルタに入射する光のスペクトラム特性、カラーフィル
タの変換効率および/または視感度を考慮して、カラーフィルタの面積を実現色により変
えることにより、輝度と面積の積である光度(単位:カンデラ)を各発光素子30につい
て適切に設定することができる。このようにして実現色のバランスをとることで表示品質
を向上させることが可能である。
【0054】
実現色のバランスをとるためには、カラーフィルタを透過した光の輝度が低い発光素子
30に流れる電流を大きくすることにより、その発光素子30の輝度ひいては光度を高め
ることが考えられる。しかし、発光素子30に流れる電流密度が高まると、その発光素子
30の寿命は指数関数的に短くなる。従って、重なったカラーフィルタによって、発光素
子30の寿命が顕著にばらついてしまい好ましくない。ある実現色に関する発光素子30
の寿命が尽きれば、他の実現色に関する発光素子30がまだ使用可能であっても装置全体
としては使用に耐えない。
【0055】
この実施の形態では、カラーフィルタの面積を実現色により変えることにより、カラー
フィルタを透過した光の光度のバラツキを補償することが可能である。一方、発光素子3
0を流れる電流密度は、実現色に応じて変化させる必要はないので、発光素子30の寿命
の相互の相違を抑制することができる。この結果、著しく寿命の劣る発光素子30がなく
なり、装置全体の寿命を向上させることができる。
好ましい形態では、隔壁40の開口部40aの面積は、発光素子30R,30G,30
Bにかかわらず一定であり、発光素子30R,30G,30Bの発光領域の面積が一定で
ある。そして、発光素子30R,30G,30Bを流れる電流を一定にすることで、これ
らの発光素子を流れる電流密度を同じにすることができる。
これに加えて、発光素子30R,30G,30Bを駆動する画素トランジスタ20のサ
イズを同じにすることにより、画素トランジスタ20の信頼性も同じにすることができる
。さらに、画素トランジスタ20に供給されるデータ信号の電位もほぼ同じにすることが
できるため、図示しないデータ線駆動回路の信頼性を高め、データ線駆動回路の電源の数
を少なくすることが可能である。
【0056】
<応用例>
次に、本発明に係る発光装置を適用した電子機器について説明する。図7は、上記実施
形態に係る発光装置10を表示装置に適用したモバイル型のパーソナルコンピュータの構
成を示す斜視図である。パーソナルコンピュータ2000は、表示装置としての発光装置
10と本体部2010とを備える。本体部2010には、電源スイッチ2001およびキ
ーボード2002が設けられている。この発光装置10はOLED素子である発光素子3
0を用いるので、視野角が広く見易い画面を表示できる。
【0057】
図8に、上記実施形態に係る発光装置1を適用した携帯電話機を示す。携帯電話機30
00は、複数の操作ボタン3001およびスクロールボタン3002、ならびに表示装置
としての発光装置10を備える。スクロールボタン3002を操作することによって、発
光装置10に表示される画面がスクロールされる。
【0058】
図9に、上記実施形態に係る発光装置1を適用した情報携帯端末(PDA:Personal
Digital Assistant)を示す。情報携帯端末4000は、複数の操作ボタン4001およ
び電源スイッチ4002、ならびに表示装置としての発光装置10を備える。電源スイッ
チ4002を操作すると、住所録やスケジュール帳といった各種の情報が発光装置10に
表示される。
【0059】
<変形例>
例示した発光装置は、発光素子30としてOLED素子を用いるが、本発明の範囲をO
LED素子に限定する意図ではなく、無機発光ダイオードまたはその他の適切な発光素子
を使用してもよい。また例示した電気光学装置の構造の細部は本発明の理解を容易にする
ために具体的に説明したものであり、本発明をこれらに限定する意図でなく、他の構造で
あってもよい。
【0060】
上述した実施形態においては、共通電極38は発光素子30の陰極であり、画素電極3
2は陽極であったが、共通電極38が陽極で画素電極32が陰極であってもよい。また、
上述した実施形態においては、すべての発光素子30の陰極として単一の共通電極38が
設けられているが、複数の共通電極を設けて、それぞれの共通電極が異なる発光素子30
の陰極となるように配置してもよい。
【0061】
遮光層52の光透過部52aに配置される変換層は、カラーフィルタに限定されず、光
を受けて別の色の光を発するフォトルミネセンス材であってもよい。また、OLED素子
の発光色は好ましくは白色であるが、他の色でもよい。さらに、色変換層の種類すなわち
実現色もR、G、Bに限定されず他の色でもよいし、色変換層の種類すなわち実現色の数
も3に限定されず、2以上であればよい。
【0062】
本発明に係る発光装置が適用される電子機器としては、図7から図9に示したもののほ
か、デジタルスチルカメラ、テレビ、ビデオカメラ、カーナビゲーション装置、ページャ
、電子手帳、電子ペーパー、電卓、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話
、POS端末、電子写真方式を利用した画像印刷装置における像担持体に光を照射して潜
像を形成するプリンタヘッド(潜像書き込み装置)のような発光源、プリンタ、スキャナ
、複写機、ビデオプレーヤ、タッチパネルを備えた機器等が挙げられる。
【0063】
プリンタヘッドのような電子機器では、発光装置は多色の光を外部に放出する必要はな
い。従って、このような場合には、遮光層52の光透過部52aにカラーフィルタのよう
な色変換層を設ける必要はない。また、光共振のために、画素電極32の厚さを実現色に
より異ならせる必要はないし、画素電極32を反射層として用いてもよい。つまり、画素
電極32と別の反射層28を設けなくてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の実施の形態に係る発光装置の部分断面図である。
【図2】図1の発光装置の製造途中の状態を示す平面図である。
【図3】図2の後の発光装置の製造途中の状態を示す平面図である。
【図4】図3の後の発光装置の製造途中の状態を示す平面図である。
【図5】図4の後の発光装置の製造途中の状態を示す平面図である。
【図6】図5の状態に遮光層の光透過部を仮想線で示した状態を示す平面図である。
【図7】本発明に係る発光装置を有するパーソナルコンピュータの外観を示す斜視図である。
【図8】本発明に係る発光装置を有する携帯電話機の外観を示す斜視図である。
【図9】本発明に係る発光装置を有する携帯情報端末の外観を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0065】
10…発光装置、12…基板、20…画素トランジスタ、28…反射層、30(30R
,30G,30B)…発光素子、32…画素電極(第1の電極)、36…発光機能層、3
8…共通電極(第2の電極)、40…隔壁、40a…開口部、50…対向基板、52…遮
光層、52a…光透過部、54R,54G,54B…カラーフィルタ(色変換層)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板に配置された複数の発光素子と、
前記基板に対向し、前記基板との間に前記発光素子が配置された遮光層と、
絶縁材料から形成され、前記基板に配置されており、前記発光素子を区画する隔壁とを
備え、
前記隔壁には、前記発光素子の発光領域を画定する開口部が形成され、
前記遮光層には、前記発光素子から発せられた光を透過させる光透過部が形成され、
前記光透過部は、前記開口部に重なるとともに、前記開口部よりも狭いことを特徴とす
る発光装置。
【請求項2】
前記発光素子と前記基板の間には、前記発光素子から発せられた光を反射する反射層が
形成され、
前記反射層は、前記開口部に重なっているとともに、前記隔壁に部分的に覆われており

前記遮光層は、前記反射層のうち前記隔壁に覆われた部分に重なっていることを特徴と
する請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
前記発光素子は、第1の電極と、第2の電極と、これらの間に配置されて電界により発
光する発光層を有し、
前記第1の電極は、前記第2の電極よりも前記反射層に近い層にあり、ITO(indium
tin oxide)、IZO(indium zinc oxide)またはZnOから形成され、前記第
1の電極は、前記反射層に重なるとともに、前記反射層よりも広いことを特徴とする請求
項2に記載の発光装置。
【請求項4】
前記光透過部には、前記発光素子から発せられた光の色を別の実現色に変換し、変換後
の実現色が互いに異なる色変換層が配置されており、
前記色変換層の面積は、実現色により異なることを特徴とする請求項1から請求項3の
うちいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のうちいずれか1項に記載の発光装置を備えた電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−188653(P2007−188653A)
【公開日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−3304(P2006−3304)
【出願日】平成18年1月11日(2006.1.11)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】