説明

発光装置の作製方法

【課題】複数の蒸着材料を用いて、所望の異なる蒸着材料を含む層を容易に形成し、当該異なる蒸着材料を含む層を含む発光装置の作製方法を提供することを目的とする。
【解決手段】第1の基板上に、層ごとにそれぞれ異なる蒸着材料を含む複数の層を積層し、第1の電極を有する第2の基板を第1の基板と対向する位置に配置し、第1の基板上の蒸着材料を含む複数の層を加熱することにより、第2の基板に設けられた第1の電極上に、異なる蒸着材料を含む層を形成し、異なる蒸着材料を含む層上に第2の電極を形成して発光装置を作製する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光装置及びその作製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
有機化合物は無機化合物に比べて、多様な構造をとることができ、適切な分子設計により様々な機能を有する材料を合成できる可能性がある。これらの利点から、近年、機能性有機材料を用いたフォトエレクトロニクスやエレクトロニクスに注目が集まっている。
【0003】
例えば、有機化合物を機能性有機材料として用いたエレクトロニクスデバイスの例として、太陽電池や発光素子、有機トランジスタ等が挙げられる。これらは有機化合物の電気物性および光物性を利用したデバイスであり、特に発光素子はめざましい発展を見せている。
【0004】
発光素子の発光機構は、一対の電極間にEL層を挟んで電圧を印加することにより、陰極から注入された電子および陽極から注入された正孔がEL層の発光中心で再結合して分子励起子を形成し、その分子励起子が基底状態に緩和する際にエネルギーを放出して発光するといわれている。励起状態には一重項励起と三重項励起が知られ、発光はどちらの励起状態を経ても可能であると考えられている。
【0005】
発光素子を構成するEL層は、少なくとも発光層を有する。また、EL層は、発光層の他に、正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層、電子注入層などを有する積層構造とすることもできる。
【0006】
発光層は、発光材料のみで形成することもできるが、発光波長や発光効率等の所望の特性を得るため、ホスト材料及びドーパント材料を組み合わせた構成とすることが知られている。例えば、本出願人は、ホスト材料及びドーパント材料を含む発光素子を特許文献1に開示している。
【0007】
また、EL層を形成するEL材料は低分子系(モノマー系)材料と高分子系(ポリマー系)材料に大別される。一般に、低分子系材料は、蒸着装置を用いて成膜されることが多い。従来の蒸着装置は基板ホルダに基板を設置し、EL材料、つまり蒸着材料を封入したルツボ(または蒸着ボート)と、昇華するEL材料の上昇を防止するシャッターと、ルツボ内のEL材料を加熱するヒーターとを有している。そして、前記ヒーターにより加熱されたEL材料が昇華し、基板に成膜される。例えば、本出願人は、基板に対して蒸着源を相対的に移動させることが可能な蒸着装置を特許文献2に開示している。
【特許文献1】特開2004−288439号公報
【特許文献2】特開2004−043965号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来の蒸着装置を用いて、ホスト材料及びドーパント材料を含む有機化合物層を形成する場合、複数のルツボにそれぞれホスト材料、ドーパント材料を封入して、共蒸着を行う方法が知られている。発光層を形成する場合、ドーパント材料はホスト材料に対して極少量添加されるものである。そのため、ホスト材料の蒸着レートに対してドーパント材料の蒸着レートが極めて小さくなるように制御する必要があり、蒸着レートの精密な制御が必要になる。
【0009】
しかしながら、ルツボを用いて蒸着を行う場合、ルツボ内の温度分布が不均一になりやすく、一定の蒸着レートを維持するのは困難である。特に、ホスト材料及びドーパント材料といった異種材料を共蒸着する場合、蒸着レートをそれぞれ精密に制御するのは非常に困難である。
【0010】
上記問題を鑑み、本発明は複数の蒸着材料を用いて、所望の異なる蒸着材料を含む層を容易に形成することができる作製方法を提供することを目的とする。また、複数の材料が含まれる層を、精度良く形成することができる作製方法を提供することを目的とする。また、上記方法を用いて成膜した異なる蒸着材料を含む層を含む発光装置の作製方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
第1の基板上に、層ごとにそれぞれ異なる蒸着材料を含む複数の層を積層する。第1の電極を有する第2の基板を第1の基板と対向する位置に配置する。第1の基板上の蒸着材料を含む複数の層を加熱することにより、第2の基板に設けられた第1の電極上に、異なる蒸着材料を含む層を形成する。異なる蒸着材料を含む層上に第2の電極を形成して発光装置を作製する。
【0012】
上記構成において、蒸着材料を含む複数の層は、第1の基板側に蒸着温度が低い蒸着材料を含むように積層されていることが好ましい。このような構成とすることにより、蒸着材料を含む複数の層を効率良く昇華させることができ、蒸着することができる。なお、本明細書において「蒸着温度」とは、材料が昇華する温度を示す。
【0013】
また、蒸着材料を含む複数の層は、第1の蒸着材料を含む層、第2の蒸着材料を含む層、第1の蒸着材料を含む層、第2の蒸着材料を含む層、のように2つの蒸着材料を含む層を交互に積層してもよい。交互に積層することにより、第1の蒸着材料と第2の蒸着材料をより均一に混合することができる。また、各層の膜厚を制御することにより、被成膜基板に成膜された層中の各蒸着材料の混合比を制御することができる。
【0014】
また、上記構成において、蒸着材料を含む複数の層は、種々の方法を用いて形成することが可能であるが、蒸着材料を含む複数の層のうち少なくとも一層は、湿式法で形成されていることが好ましい。湿式法は材料利用効率が高いため、湿式法を用いることにより、発光装置を作製するコストを低減することができる。
【0015】
本明細書で開示する発明の一は、第1の基板上に、層ごとにそれぞれ異なる蒸着材料を含む複数の層を積層し、第1の電極を有する第2の基板を第1の基板と対向する位置に配置し、第1の基板上の蒸着材料を含む複数の層を加熱することにより、第2の基板に設けられた第1の電極上に、異なる蒸着材料を含む層を形成し、異なる蒸着材料を含む層上に第2の電極を形成することを特徴とする発光装置の作製方法である。
【0016】
また、本明細書で開示する発明の一は、第1の基板上に、層ごとにそれぞれ異なる蒸着材料を含む複数の層を積層し、第2の基板を第1の基板と対向する位置に配置し、第1の基板上の蒸着材料を含む複数の層を加熱することにより、第2の基板上に、異なる蒸着材料を含む層を形成し、異なる蒸着材料を含む層上に、発光層を形成し、発光層上に、第2の電極を形成することを特徴とする発光装置の作製方法である。
【0017】
また、本明細書で開示する発明の一は、第1の基板上に、層ごとにそれぞれ異なる蒸着材料を含む複数の層を積層し、第1の電極上に発光層が形成されている第2の基板を前記第1の基板と対向する位置に配置し、第1の基板上の蒸着材料を含む複数の層を加熱することにより、第2の基板に設けられた発光層上に、異なる蒸着材料を含む層を形成することを特徴とする発光装置の作製方法である。
【0018】
また、本明細書で開示する発明の一は、第1の基板上に、第1の蒸着材料を含む第1の層を形成し、第1の層上に、第2の蒸着材料を含む第2の層を形成し、第1の電極を有する第2の基板を第1の基板と対向する位置に配置し、第1の基板上の第1の層および第2の層を加熱することにより、第2の基板に設けられた第1の電極上に、第1の蒸着材料と第2の蒸着材料とを含む層を形成し、第1の蒸着材料と第2の蒸着材料とを含む層上に、第2の電極を形成することを特徴とする発光装置の作製方法である。
【0019】
また、本明細書で開示する発明の一は、第1の基板上に、第1の蒸着材料を含む第1の層を形成し、第1の層上に、第2の蒸着材料を含む第2の層を形成し、第2の層上に、第1の蒸着材料を含む第3の層を形成し、第1の電極を有する第2の基板を第1の基板と対向する位置に配置し、第1の基板上の第1の層、第2の層および第3の層を加熱することにより、第2の基板に設けられた第1の電極上に、第1の蒸着材料と第2の蒸着材料とを含む層を形成し、第1の蒸着材料と第2の蒸着材料とを含む層上に、第2の電極を形成することを特徴とする発光装置の作製方法である。
【0020】
また、本明細書で開示する発明の一は、第1の電極上に、第1の蒸着材料を含む層と第2の蒸着材料を含む層を交互に積層し、第1の電極を有する第2の基板を第1の基板と対向する位置に配置し、第1の基板上の第1の蒸着材料を含む層と第2の蒸着材料を含む層を加熱することにより、第2の基板に設けられた第1の電極上に、第1の蒸着材料と第2の蒸着材料とを含む層を形成し、第1の蒸着材料と第2の蒸着材料とを含む層上に、第2の電極を形成することを特徴とする発光装置の作製方法である。
【0021】
また、本明細書で開示する発明の一は、第1の基板上に、第1の蒸着材料を含む第1の層を形成し、第1の層上に、第2の蒸着材料を含む第2の層を形成し、第2の層上に、第3の蒸着材料を含む第3の層を形成し、第1の電極を有する第2の基板を第1の基板と対向する位置に配置し、第1の基板上の第1の層、第2の層および第3の層を加熱することにより、第2の基板に設けられた第1の電極上に、第1の蒸着材料と第2の蒸着材料と第3の蒸着材料を含む層を形成し、第1の蒸着材料と第2の蒸着材料と第3の蒸着材料を含む層上に第2の電極を形成することを特徴とする発光装置の作製方法である。
【0022】
上記構成において、第1の蒸着材料の蒸着温度は、第2の蒸着材料の蒸着温度よりも低いことが好ましい。なお、本明細書において「蒸着温度」とは、材料が昇華する温度を示す。
【0023】
また、上記構成において、第1の蒸着材料は有機物であり、第2の蒸着材料は無機物であることが好ましい。このような構成とすることにより、有機物と無機物とを含む層を材料効率高く、成膜することができる。
【0024】
なお、本明細書では、第1の基板上に形成された蒸着源となる蒸着材料を含む複数の層の表面と第2の基板の表面との間隔を距離dとする。また、第2の基板上に何らかの層(例えば、電極として機能する導電層や隔壁として機能する絶縁層等)が形成されている場合、距離dは、第1の基板上に形成された層の表面と、第2の基板上に形成された層の表面との距離で定義する。ただし、第2の基板或いは第2の基板上に形成された層の表面に凹凸を有する場合は、距離dは、第1の基板上に形成された層の表面と、第2の基板或いは第2の基板上に形成された層の最表面との間の最も短い距離で定義する。
【発明の効果】
【0025】
本発明により、蒸着温度の異なる複数の材料が含まれる層を、容易に形成することが可能となる。また、複雑な制御を必要とすることなく、精度良く所望の異なる複数の材料を含む層を得ることができる。また、得られた異なる複数の材料を含む層を有する発光装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
本発明の実施の形態について、図面を用いて以下に説明する。但し、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の主旨及びその範囲から逸脱することなく、その形態及び詳細を様々に変更しうることは、当業者であれば容易に可能である。したがって、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、以下に説明する本発明の構成において、同じものを指す符号は異なる図面間で共通して用いる場合がある。
【0027】
(実施の形態1)
本発明に係る発光装置の作製方法を、図1を用いて説明する。
【0028】
図1において、第1の基板100上に、蒸着材料を含む複数の層104が積層されている。これら複数の層は、本発明に係る蒸着源である。本発明に係る蒸着源は、蒸着材料を含む複数の層が積層されているため、共蒸着法とは異なり、複数の蒸着材料を含んでいても蒸着源は単数となる。
【0029】
第1の基板100は、蒸着源となる蒸着材料を含む複数の層を成膜する基板であり、蒸着材料を含む複数の層の支持基板となる。第1の基板100としては、例えば石英、セラミック、或いはサファイヤ等の酸化物基板や、金、白金、銅、銀、タングステン、タンタル、チタン、或いはアルミニウム等の金属材料及びこれらの合金材料からなる導電性基板を用いることができる。また、酸化物基板上に、前述の金属材料や合金材料を成膜した基板などを用いることができる。その他、シリコン、ゲルマニウム等の半導体材料を成膜した導電性基板を用いることができる。また、透光性を有する基板(ガラス基板、石英基板、無機材料を含むプラスチック基板など)上にアモルファスシリコン膜、微結晶シリコン膜を形成したものを用いてもよい。なお、第1の基板を加熱する手段として、ランプ光やレーザ光を用いた場合には、それらの光を吸収する材料を用いて第1の基板を形成することが好ましい。例えば、第1の基板を加熱する手段としてハロゲンランプを用いた場合には、ハロゲンランプからの光を吸収するチタンを第1の基板として用いることが好ましい。
【0030】
本発明に係る蒸着源は、第1の基板上に、蒸着材料を含む複数の層が積層されている。図1では、蒸着源として、蒸着材料を含む層が2層積層されている構成について示している。なお、蒸着材料を含む層は、2層に限らず、3層以上積層してもよい。また、第1の蒸着材料を含む層、第2の蒸着材料を含む層、第1の蒸着材料を含む層、というように、交互に積層してもよい。交互に積層することにより、第1の蒸着材料と第2の蒸着材料をより均一に混合することができる。つまり、交互に積層することにより、各蒸着材料がより均一に混合された層を得ることができる。これら蒸着材料を含む層の膜厚等を制御することにより、被成膜基板に成膜された層における各材料の混合比を制御することができる。
【0031】
なお、蒸着材料を含む複数の層は、第1の基板側に蒸着温度が低い蒸着材料を含むように積層されていることが好ましい。このような構成とすることにより、蒸着材料を含む複数の層を効率良く昇華させることができ、蒸着することができる。なお、本明細書において「蒸着温度」とは、材料が昇華する温度を示す。
【0032】
例えば、図1では、第1の蒸着材料を含む層111の上に第2の蒸着材料を含む層112が形成されている場合を示している。第1の蒸着材料と第2の蒸着材料は、異なる蒸着材料である。第1の基板側に設けられた第1の蒸着材料は、第2の蒸着材料よりも蒸着温度が低いことが好ましい。
【0033】
蒸着材料を含む複数の層は、種々の方法により形成される。例えば、乾式法である真空蒸着法、スパッタリング法等を用いることができる。また、湿式法であるスピンコート法、インクジェット法、ディップコート法、キャスト法、ダイコート法、ロールコート法、ブレードコート法、バーコート法、グラビアコート法、又は印刷法等を用いることができる。これら湿式法を用いて蒸着源を形成するには、所望の蒸着材料を溶媒に溶解あるいは分散させ、溶液あるいは分散液を調整すればよい。溶媒は、蒸着材料を溶解あるいは分散させることができ、且つ蒸着材料と反応しないものであれば特に限定されない。例えば、クロロホルム、テトラクロロメタン、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、或いはクロロベンゼンなどのハロゲン系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、n−プロピルメチルケトン、或いはシクロヘキサノンなどのケトン系溶媒、ベンゼン、トルエン、或いはキシレンなどの芳香族系溶媒、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸n−ブチル、プロピオン酸エチル、γ−ブチロラクトン、或いは炭酸ジエチルなどのエステル系溶媒、テトラヒドロフラン、或いはジオキサンなどのエーテル系溶媒、ジメチルホルムアミド、或いはジメチルアセトアミドなどのアミド系溶媒、ジメチルスルホキシド、ヘキサン、又は水等を用いることができる。
【0034】
また、湿式法により、蒸着材料を含む層を積層する場合には、すでに形成した層が溶解しにくい溶媒を用いて、層を積層すればよい。湿式法を用いることにより、材料の利用効率を高めることができ、発光装置を作製するコストを低減することができる。
【0035】
なお、蒸着材料としては、有機物、無機物にかかわらず、種々の材料を用いることができる。例えば、有機物としては、発光装置に用いられる発光材料、キャリア輸送材料などが挙げられる。また、無機物としては、発光装置のキャリア輸送層やキャリア注入層、電極などに用いられる金属酸化物、金属窒化物、ハロゲン化金属、金属単体などがあげられる。
【0036】
また、本発明の作製方法は、同じ溶媒には溶解しないまたは分散しない複数の蒸着材料を含む層を形成する場合に特に有効である。つまり、複数の蒸着材料が同じ溶媒に混合しないまたは分散しない場合、湿式法を用いて混合層を直接形成することは困難である。しかし、本発明の作製方法を用いることにより、そのような複数の蒸着材料を含む層を容易に形成することができる。
【0037】
次に、第1の基板100を成膜室内に搬入する。次に、第1の基板100の蒸着材料を含む複数の層が設けられた基板面に対向する第2の基板102を配置する。第2の基板102は、蒸着処理により所望の層が成膜される被成膜基板である。そして、成膜室内の第1の基板100と第2の基板102とを至近距離、具体的には第1の基板100に設けられた蒸着材料を含む複数の層の表面と第2の基板102との距離dを、0mm以上50mm以下、好ましくは0mm以上10mm以下となるように近づけて対向させる。(図1(A)参照)。さらに好ましくは、0mm以上1mm以下となるように近づけて対向させる。このように第1の基板100と第2の基板102とを至近距離に配置させることにより、成膜における材料の利用効率を向上させることができる。
【0038】
なお、距離dは、第1の基板100上に形成された蒸着材料を含む複数の層104の表面と、第2の基板102の表面との距離で定義する。また、第2の基板102上に何らかの層(例えば、電極として機能する導電層や隔壁として機能する絶縁層等)が形成されている場合、距離dは、第1の基板100上の蒸着材料を含む複数の層104の表面と、第2の基板102上に形成された層の表面との距離で定義する。ただし、第2の基板102或いは第2の基板102上に形成された層の表面に凹凸を有する場合は、距離dは、第1の基板100上の蒸着材料を含む複数の層104の表面と、第2の基板102或いは第2の基板102上に形成された層の最表面との間の最も短い距離で定義する。
【0039】
ここでは材料の利用効率を向上させるために、第1の基板100と第2の基板102の基板間の距離は狭いほうが好ましいが、本発明はこれに限定されるものではない。材料の利用効率を考慮しないのであれば、第1の基板100と第2の基板102の距離dは50mmより大きくてもよい。
【0040】
また、第2の基板上102に何らかの層が形成されておらず平坦である場合には、第1の基板100上の蒸着材料を含む複数の層104の表面と第2の基板上の被成膜面とは接しないことが好ましい。つまり、距離dは0mmより大きいことが好ましい。
【0041】
成膜室内は、真空排気しておくことが好ましい。具体的には、真空度が5×10−3Pa以下、好ましくは10−4Pa乃至10−6Pa程度の範囲まで真空排気する。成膜室に連結して設けられる真空排気手段は、大気圧から1Pa程度をオイルフリーのドライポンプで真空排気し、それ以上の圧力は磁気浮上型のターボ分子ポンプまたは複合分子ポンプにより真空排気する。成膜室には水分を除去するためにクライオポンプを併設しても良い。このようにすることで、排気手段から主に油などの有機物による汚染を防止している。内壁面は、電解研磨により鏡面処理し、表面積を減らしてガス放出を防いでいる。
【0042】
また、成膜室内には、加熱手段が設けられている。第1の基板100は加熱手段の近傍に配置される。図1では加熱手段としてヒーター110を設ける例を示す。なお、加熱手段は特に限定されず、短時間に均一な加熱を行えればよく、例えばランプでもよいし、抵抗加熱方式を利用してもよい。また、第1の基板100として導電性基板を適用し、該導電性基板に電流を流すことで加熱を行うこともできる。この場合、第1の基板100は支持基板であり、且つ加熱手段としての機能も有する。
【0043】
次に、第1の基板100に設けられた蒸着材料を含む複数の層104を加熱して蒸発させ、対向して配置された第2の基板102の被成膜面(図1では下方面)に異なる蒸着材料を含む層121を成膜する(図1(B)参照)。
【0044】
このようにして、第2の基板102の一方の面、具体的には第1の基板100に対向する基板面に異なる蒸着材料を含む層121を形成することができる。なお、成膜される異なる蒸着材料を含む層121の膜厚は、蒸着源となる蒸着材料を含む複数の層104の膜厚に依存する。このとき、蒸着材料を含む複数の層104を形成する材料によっては、異なる蒸着材料を含む層121と蒸着材料を含む複数の層104との膜厚を、略同じとすることも可能である。つまり、蒸着源によって、蒸着処理により形成する層の膜厚を制御することも可能である。
【0045】
また、加熱処理の条件によって、被成膜基板に成膜された層中の各材料の濃度分布を制御することができる。例えば、昇温速度を小さくし、ゆっくり加熱した場合には、成膜された層中の各材料の濃度は、均一にはならず、濃度勾配を有する。また、フラッシュランプ等を用いて昇温速度を大きくし、急速加熱を行った場合には、成膜された層中の各材料の濃度はほぼ均一になる。このように、適宜求める特性に応じて、被成膜基板に成膜された層中の各材料の濃度分布を制御することができる。また、本実施の形態で示す成膜方法を繰り返すことにより、成膜された層中の各材料の濃度をより均一にすることができる。具体的には、第1の被成膜基板に成膜された層を蒸着源として用いて第2の被成膜基板に蒸着すればよい。この処理を繰り返すことにより、より均一な濃度分布を有する混合層を形成することができる。
【0046】
本実施の形態では、蒸着源となる蒸着材料を含む複数の層を基板上に乾式法または湿式法を用いて成膜したものを用いている。特に、湿式法を用いて蒸着源を形成することが好ましい。湿式法を用いて蒸着源を形成した場合、蒸着源を大面積化することが容易となる。つまり、被成膜基板と同程度の面積を有する蒸着源を形成することが容易にできる。このようにすることで、従来のルツボや蒸着ボートを用いた場合よりも蒸着源全体を短時間で均一に加熱することが可能となる。よって、被成膜基板である第2の基板に精度良く異なる蒸着材料を含む層を成膜することができる。さらに、蒸着源を形成する第1の基板と、被成膜基板である第2の基板との距離dを狭めることによって、蒸着材料が第2の基板以外(例えば、成膜室内壁等)へ飛散することを抑えることができる。そのため、蒸着材料を無駄にすることなく、被成膜基板に異なる蒸着材料を含む層を成膜することができる。
【0047】
蒸着材料を含む複数の層は、蒸着温度の異なる複数の蒸着材料を含む層が積層されている。また、第1の基板100側に蒸着温度が低い蒸着材料を含むように積層されていることが好ましい。このような構成とすることにより、蒸着材料を含む複数の層を効率良く昇華させることができ、蒸着することができる。例えば、第1の基板100上に形成された複数の蒸着材料の蒸着温度が近い場合、第1の基板100側に設けられた蒸着温度が低い蒸着材料の蒸着温度で加熱することで、蒸着材料を含む複数の層を蒸着することができる。
【0048】
蒸着材料を含む複数の層の加熱は、成膜室内に設けられた加熱手段を利用して行う。例えば、図1に示すようにヒーター110を設ける場合、加熱前(蒸着前)は第1の基板100からヒーター110を離しておき、加熱時に第1の基板100にヒーター110を近づける構成としてもよい。また、ヒーター110に連動するスイッチを設けて、オンオフすることにより加熱及び断熱を制御してもよい。加熱手段としてランプを用いる場合は、ランプの点灯及び消灯により、加熱及び断熱を制御することができる。また、加熱手段と第1の基板100の間に開閉式のシャッターを設けて加熱及び断熱を制御してもよい。
【0049】
また、加熱手段としてランプを用いる場合、成膜室の内壁の一部を透光性部材として、成膜室の外側にランプを配置してもよい。成膜室の外側にランプを配置すると、ランプのライトバルブの交換などのメンテナンスを簡便なものとすることができる。
【0050】
また、第1の基板100として導電性基板を用い、該導電性基板に電流を流して加熱を行うこともできる。例えば、図2(A)に示すように、導電性基板である第1の基板100と電気的に接続する電源150及びスイッチ152を設ける。そして、図2(B)に示すようにスイッチ152をオンすることで、第1の基板100に電流を流して加熱を行うことができる。蒸着材料を含む複数の層は、第1の基板100に電流を流すことによって加熱されて蒸発し、第2の基板102に異なる蒸着材料を含む層121を形成することができる。なお、この場合は第1の基板100は加熱手段の一部としての機能も有する。
【0051】
なお、図1(A)及び図1(B)では、第1の基板100と第2の基板102が同じ大きさの例を示すが、特に限定されず、一方の基板が他方の基板より大きい面積を有していてもよい。
【0052】
また、被成膜基板に選択的に成膜を行う場合には、第1の基板100と第2の基板102の間に、開口部を有するマスクを配置すればよい。
【0053】
本発明に係る発光装置に適用する成膜方法は、蒸着温度の異なる蒸着材料を含む層を複数層積層したものを蒸着源として用いている。蒸着源に含有される蒸着材料を均一に蒸発させることができ、蒸着源と同じ蒸着材料を略同じ重量比で含有する異なる蒸着材料を含む層を被成膜基板に成膜することができる。つまり、蒸着材料を含む複数の層の膜厚の制御などにより、被成膜基板に成膜する異なる蒸着材料を含む層における重量比を制御することができる。このように、本発明に係る成膜方法は、蒸着温度の異なる複数の蒸着材料を用いて成膜する場合、共蒸着のようにそれぞれ蒸着レートを制御する必要がない。そのため、蒸着レート等の複雑な制御を行うことなく、所望の異なる蒸着材料を含む層を容易に精度良く成膜することができる。
【0054】
また、本発明に係る発光装置に適用する成膜方法は、支持基板に形成した蒸着源の膜厚によって、蒸着処理により被成膜基板に成膜される異なる蒸着材料を含む層の膜厚を制御することができる。つまり、支持基板に形成した蒸着源をそのまま蒸着すればよいため、膜厚モニターが不要である。よって、膜厚モニターを利用した蒸着速度の調節を使用者が行う必要がなく、成膜工程を全自動化することが可能である。そのため、スループットの向上を図ることができる。
【0055】
また、本発明に係る成膜方法は、所望の蒸着材料を無駄にすることなく、被成膜基板に成膜することが可能である。よって、蒸着材料の利用効率が向上し、コスト削減を図ることができる。また、成膜室内壁に蒸着材料が付着することも防止でき、成膜装置のメンテナンスを簡便にすることができる。
【0056】
よって、本発明を適用することで、所望の異なる蒸着材料を含む層の成膜が容易になり、当該異なる蒸着材料を含む層を用いた発光装置等の製造におけるスループットを向上させることが可能となる。
【0057】
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
【0058】
(実施の形態2)
本実施の形態では、本発明を適用して、発光装置を作製する方法について説明する。
【0059】
例えば、図3(A)、(B)に示す発光素子を作製することができる。図3(A)に示す発光素子は、基板300上に第1の電極層302、発光層304として機能するEL層308、第2の電極層306が順に積層して設けられている。第1の電極層302及び第2の電極層306のいずれか一方は陽極として機能し、他方は陰極として機能する。陽極から注入される正孔及び陰極から注入される電子が発光層304で再結合して、発光を得ることができる。本実施の形態において、発光層304はホスト材料に発光材料である極少量のドーパント材料が分散された混合層で形成される。また、第1の電極層302を陽極とし、第2の電極層306を陰極とする。
【0060】
また、図3(B)に示す発光素子は、上述の図3(A)に示す構成に加えて、正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層及び電子注入層が設けられている。正孔輸送層は、陽極と発光層の間に設けられる。また、正孔注入層は陽極と発光層との間、或いは陽極と正孔輸送層との間に設けられる。一方、電子輸送層は、陰極と発光層との間に設けられる。電子注入層は陰極と発光層との間、或いは陰極と電子輸送層との間に設けられる。なお、正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層及び電子注入層は全ての層を設ける必要はなく、適宜求める機能等に応じて選択して設ければよい。図3(B)では、基板300上に、陽極として機能する第1の電極層302、正孔注入層322、正孔輸送層324、発光層304、電子輸送層326、電子注入層328、及び陰極として機能する第2の電極層306が順に積層して設けられているものとする。
【0061】
基板300は、絶縁表面を有する基板または絶縁基板を適用する。具体的には、アルミノシリケートガラス、アルミノホウケイ酸ガラス、バリウムホウケイ酸ガラスのような電子工業用に使われる各種ガラス基板、石英基板、セラミック基板又はサファイヤ基板等を用いることができる。
【0062】
第1の電極層302又は第2の電極層306は、様々な金属、合金、電気伝導性化合物、およびこれらの混合物などを用いることができる。例えば、酸化インジウム−酸化スズ(ITO:Indium Tin Oxide)、珪素若しくは酸化珪素を含有した酸化インジウム−酸化スズ、酸化インジウム−酸化亜鉛(IZO:Indium Zinc Oxide)、酸化タングステン及び酸化亜鉛を含有した酸化インジウム(IWZO)等が挙げられる。これらの導電性金属酸化物膜は、通常スパッタにより成膜されるが、ゾル−ゲル法などを応用して作製しても構わない。例えば、酸化インジウム−酸化亜鉛(IZO)は、酸化インジウムに対し1〜20wt%の酸化亜鉛を加えたターゲットを用いてスパッタリング法により形成することができる。また、酸化タングステン及び酸化亜鉛を含有した酸化インジウム(IWZO)は、酸化インジウムに対し酸化タングステンを0.5〜5wt%、酸化亜鉛を0.1〜1wt%含有したターゲットを用いてスパッタリング法により形成することができる。この他、金(Au)、白金(Pt)、ニッケル(Ni)、タングステン(W)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、または金属材料の窒化物(例えば、窒化チタン)等が挙げられる。また、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、アルミニウムを含む合金(AlSi)等を用いることができる。また、仕事関数の小さい材料である、元素周期表の第1族または第2族に属する元素、すなわちリチウム(Li)やセシウム(Cs)等のアルカリ金属、およびマグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)等のアルカリ土類金属、およびこれらを含む合金(アルミニウム、マグネシウムと銀との合金、アルミニウムとリチウムの合金)、ユーロピウム(Eu)、イッテルビウム(Yb)等の希土類金属およびこれらを含む合金等を用いることもできる。アルカリ金属、アルカリ土類金属、これらを含む合金の膜は、真空蒸着法を用いて形成することができる。また、アルカリ金属またはアルカリ土類金属を含む合金はスパッタリング法により形成することも可能である。また、銀ペーストなどをインクジェット法などにより成膜することも可能である。また、第1の電極層302および第2の電極層306は、単層膜に限らず、積層膜で形成することもできる。
【0063】
なお、発光層304で発光する光を外部に取り出すため、第1の電極層302又は第2の電極層306のいずれか一方或いは両方は、発光を通過させるように形成する。例えば、インジウム錫酸化物等の透光性を有する導電材料を用いて形成するか、或いは、銀、アルミニウム等を数nm乃至数十nmの厚さとなるように形成する。また、膜厚を薄くした銀、アルミニウムなどの金属薄膜と、ITO膜等の透光性を有する導電材料を用いた薄膜との積層構造とすることもできる。なお、第1の電極層302又は第2の電極層306は、種々の方法を用いて形成すればよい。
【0064】
発光層304、正孔注入層322、正孔輸送層324、電子輸送層326又は電子注入層328は、上記実施の形態1で示した成膜方法を適用して形成することができる。また、電極層を上記実施の形態1で示した成膜方法を適用して形成することもできる。
【0065】
例えば、図3(A)に示す発光素子を形成する場合、支持基板上に発光層を形成する蒸着源となる蒸着材料を含む複数の層を形成し、当該支持基板を被成膜基板に対向させて配置する。支持基板上に形成された蒸着材料を含む複数の層を加熱して蒸発させ、被成膜基板上に発光層304を形成する。そして、発光層304上に第2の電極層306を形成する。被成膜基板は、ここでは基板300である。なお、被成膜基板上には、予め第1の電極層302を形成しておく。発光層を形成する蒸着源となる蒸着材料を含む複数の層は、発光材料を分散させる物質(ホスト材料)を含む層と発光材料(ドーパント材料)を含む層とが積層した構成となっている。このような構成の蒸着源を用いて発光層を形成することにより、発光層304は発光材料を分散させる物質(ホスト材料)と発光材料(ドーパント材料)とを含み、発光材料を分散させる物質(ホスト材料)に発光材料(ドーパント材料)が分散された構成となる。
【0066】
発光層として、発光性の高い物質(ドーパント材料)を他の物質(ホスト材料)に分散させた構成を用いることにより、発光層の結晶化を抑制することができる。また、発光性の高い物質の濃度が高いことによる濃度消光を抑制することができる。なお、発光層として、2種類以上のホスト材料とドーパント材料を用いてもよいし、2種類以上のドーパント材料とホスト材料を用いてもよい。また、2種類以上のホスト材料及び2種類以上のドーパント材料を用いてもよい。
【0067】
発光層に用いるホスト材料としては、例えば4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:NPB)、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(III)(略称:Alq)、4,4’−ビス[N−(9,9−ジメチルフルオレン−2−イル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:DFLDPBi)、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(4−フェニルフェノラト)アルミニウム(III)(略称:BAlq)などの他、4,4’−ジ(9−カルバゾリル)ビフェニル(略称:CBP)、2−tert−ブチル−9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン(略称:t−BuDNA)、9−[4−(9−カルバゾリル)フェニル]−10−フェニルアントラセン(略称:CzPA)などが挙げられる。
【0068】
また、ドーパント材料としては、例えば燐光性化合物や蛍光性化合物を用いることができる。燐光性化合物としては、具体的には、(アセチルアセトナート)ビス(2,3,5−トリフェニルピラジナト)イリジウム(III)(略称:[Ir(tppr)(acac)])、ビス[2−(4’,6’−ジフルオロフェニル)ピリジナト−N,C’]イリジウム(III)ピコリナート(略称:FIrpic)、トリス(2−フェニルピリジナト−N,C’)イリジウム(III)(略称:Ir(ppy))、ビス(2−フェニルピリジナト−N,C’)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(ppy)(acac))、ビス(2−フェニルベンゾチアゾラト−N,C’)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(bt)(acac))、トリス(2−フェニルキノリナト−N,C’)イリジウム(III)(略称:Ir(pq))、ビス(2−フェニルキノリナト−N,C’)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(pq)(acac))、ビス[2−(2’−ベンゾ[4,5−α]チエニル)ピリジナト−N,C’]イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(btp)(acac))、ビス(1−フェニルイソキノリナト−N,C2’)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(piq)(acac))、(アセチルアセトナート)ビス[2,3−ビス(4−フルオロフェニル)キノキサリナト]イリジウム(III)(略称:Ir(Fdpq)(acac))、2,3,7,8,12,13,17,18−オクタエチル−21H,23H−ポルフィリン白金(II)(略称:PtOEP)等が挙げられる。また、蛍光性化合物としては、具体的にはペリレン、2,5,8,11−テトラ(tert−ブチル)ペリレン(略称:TBP)、4,4’−ビス[2−(N−エチルカルバゾール−3−イル)ビニル]ビフェニル(略称:BCzVBi)、5,12−ジフェニルテトラセン、N,N’−ジメチルキナクリドン(略称:DMQd)、N,N’−ジフェニルキナクリドン(略称:DMQd)、4−ジシアノメチレン−2−イソプロピル−6−[2−(1,1,7,7−テトラメチルジュロリジン−9−イル)エテニル]−4H−ピラン(略称:DCJTI)、ルブレン、クマリン6、クマリン30等が挙げられる。その他、9−(4−{N−[4−(カルバゾール−9−イル)フェニル]−N−フェニルアミノ}フェニル)−10−フェニルアントラセン(略称:YGAPA)等を用いることもできる。
【0069】
また、図3(B)に示す各種機能層が積層した発光素子を形成する場合は、支持基板上に蒸着材料を含む層を形成し、当該支持基板を被成膜基板に対向させて配置し、支持基板上に形成された蒸着材料を含む層を加熱して蒸発させ、被成膜基板上に機能層を形成する手順を繰り返せばよい。例えば、支持基板上に正孔注入層を形成する蒸着源となる蒸着材料を含む層を形成し、当該支持基板を被成膜基板に対向させて配置した後、支持基板上に形成された蒸着材料を含む層を加熱して蒸発させ、被成膜基板上に正孔注入層322を形成する。被成膜基板はここでは基板300であり、予め第1の電極層302が設けられている。続けて、支持基板上に正孔輸送層を形成する蒸着源となる蒸着材料を含む層を形成し、当該支持基板を被成膜基板に対向させて配置した後、支持基板上に形成された蒸着材料を含む層を加熱して蒸発させ、被成膜基板上の正孔注入層322上に正孔輸送層324を形成する。この後、同様に発光層304、電子輸送層326、電子注入層328を順に積層して形成した後、第2の電極層306を形成する。
【0070】
正孔注入層322、正孔輸送層324、電子輸送層326又は電子注入層328は、種々のEL材料を用いて形成すればよい。各層を形成する材料は1種類としてもよいし、複数種類の複合材料としてもよい。複合材料を用いて形成する場合は、上記実施の形態1に示すように、蒸着材料を含む複数の層を積層して蒸着源を形成すればよい。1種類の材料を用いて形成する場合も、上記実施の形態1で示した成膜方法を適用することができる。具体的には、所望の材料を溶媒に溶解或いは分散させたものを湿式で塗布して、蒸着源となる蒸着材料を含む層を形成すればよい。また、正孔注入層322、正孔輸送層324、電子輸送層326又は電子注入層328は、それぞれ単層構造としてもよいし、積層構造としてもよい。例えば、正孔輸送層324を、第1の正孔輸送層及び第2の正孔輸送層からなる積層構造としてもよい。また、電極層についても実施の形態1で示した成膜方法を適用することができる。
【0071】
例えば、実施の形態1で示した蒸着源を用いて、正孔注入層を形成することができる。具体的には、正孔輸送性の高い物質を含む層と電子受容性を示す物質を含む層を積層したものを蒸着源として用いることにより、正孔輸送性の高い物質と電子受容性を示す物質とを含む層を形成し、正孔注入層として用いることができる。
【0072】
正孔輸送性の高い物質と電子受容性を示す物質とを含む層は、キャリア密度が高く、正孔注入性に優れている。また、正孔輸送性の高い物質と電子受容性を示す物質とを含む層を、陽極として機能する電極に接する正孔注入層として用いることにより、陽極として機能する電極材料の仕事関数の大小に関わらず、様々な金属、合金、電気伝導性化合物、およびこれらの混合物などを用いることができる。
【0073】
正孔注入層に用いる電子受容性を示す物質としては、7,7,8,8−テトラシアノ−2,3,5,6−テトラフルオロキノジメタン(略称:F−TCNQ)、クロラニル等を挙げることができる。また、遷移金属酸化物を挙げることができる。また元素周期表における第4族乃至第8族に属する金属の酸化物を挙げることができる。具体的には、酸化バナジウム、酸化ニオブ、酸化タンタル、酸化クロム、酸化モリブデン、酸化タングステン、酸化マンガン、酸化レニウムは電子受容性が高いため好ましい。中でも特に、酸化モリブデンは大気中でも安定であり、吸湿性が低く、扱いやすいため好ましい。
【0074】
正孔注入層に用いる正孔輸送性の高い物質としては、芳香族アミン化合物、カルバゾール誘導体、芳香族炭化水素、高分子化合物(オリゴマー、デンドリマー、ポリマー等)など、種々の化合物を用いることができる。なお、正孔注入層に用いる正孔輸送性の高い物質としては、10−6cm/Vs以上の正孔移動度を有する物質であることが好ましい。但し、電子よりも正孔の輸送性の高い物質であれば、これら以外のものを用いてもよい。以下では、正孔注入層に用いることのできる正孔の輸送性の高い物質を具体的に列挙する。
【0075】
例えば、正孔注入層に用いることのできる芳香族アミン化合物としては、N,N’−ビス(4−メチルフェニル)(p−トリル)−N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン(略称:DTDPPA)、4,4’−ビス[N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:DPAB)、4,4’−ビス(N−{4−[N’−(3−メチルフェニル)−N’−フェニルアミノ]フェニル}−N−フェニルアミノ)ビフェニル(略称:DNTPD)、1,3,5−トリス[N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−フェニルアミノ]ベンゼン(略称:DPA3B)等を挙げることができる。
【0076】
正孔注入層に用いることのできるカルバゾール誘導体としては、具体的には、3−[N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)−N−フェニルアミノ]−9−フェニルカルバゾール(略称:PCzPCA1)、3,6−ビス[N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)−N−フェニルアミノ]−9−フェニルカルバゾール(略称:PCzPCA2)、3−[N−(1−ナフチル)−N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)アミノ]−9−フェニルカルバゾール(略称:PCzPCN1)等を挙げることができる。
【0077】
また、正孔注入層に用いることのできるカルバゾール誘導体としては、4,4’−ジ(N−カルバゾリル)ビフェニル(略称:CBP)、1,3,5−トリス[4−(N−カルバゾリル)フェニル]ベンゼン(略称:TCPB)、9−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−9H−カルバゾール(略称:CzPA)、1,4−ビス[4−(N−カルバゾリル)フェニル]−2,3,5,6−テトラフェニルベンゼン等を用いることができる。
【0078】
また、正孔注入層に用いることのできる芳香族炭化水素としては、例えば、2−tert−ブチル−9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン(略称:t−BuDNA)、2−tert−ブチル−9,10−ジ(1−ナフチル)アントラセン、9,10−ビス(3,5−ジフェニルフェニル)アントラセン(略称:DPPA)、2−tert−ブチル−9,10−ビス(4−フェニルフェニル)アントラセン(略称:t−BuDBA)、9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン(略称:DNA)、9,10−ジフェニルアントラセン(略称:DPAnth)、2−tert−ブチルアントラセン(略称:t−BuAnth)、9,10−ビス(4−メチル−1−ナフチル)アントラセン(略称:DMNA)、9,10−ビス[2−(1−ナフチル)フェニル]−2−tert−ブチル−アントラセン、9,10−ビス[2−(1−ナフチル)フェニル]アントラセン、2,3,6,7−テトラメチル−9,10−ジ(1−ナフチル)アントラセン、2,3,6,7−テトラメチル−9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン、9,9’−ビアントリル、10,10’−ジフェニル−9,9’−ビアントリル、10,10’−ビス(2−フェニルフェニル)−9,9’−ビアントリル、10,10’−ビス[(2,3,4,5,6−ペンタフェニル)フェニル]−9,9’−ビアントリル、アントラセン、テトラセン、ルブレン、ペリレン、2,5,8,11−テトラ(tert−ブチル)ペリレン等が挙げられる。また、この他、ペンタセン、コロネン等も用いることができる。このように、1×10−6cm/Vs以上の正孔移動度を有し、炭素数14〜42である芳香族炭化水素を用いることがより好ましい。
【0079】
なお、正孔注入層に用いることのできる芳香族炭化水素は、ビニル骨格を有していてもよい。ビニル基を有している芳香族炭化水素としては、例えば、4,4’−ビス(2,2−ジフェニルビニル)ビフェニル(略称:DPVBi)、9,10−ビス[4−(2,2−ジフェニルビニル)フェニル]アントラセン(略称:DPVPA)等が挙げられる。
【0080】
これら正孔輸送性の高い物質を含む層と、電子受容性を示す物質を含む層を積層した蒸着源を用いることで、正孔注入層を形成することができる。電子受容性を示す物質として金属酸化物を用いた場合には、第1の基板上に正孔輸送性の高い物質を含む層を形成した後、金属酸化物を含む層を形成することが好ましい。金属酸化物は、正孔輸送性の高い物質よりも蒸着温度が高い場合が多いためである。このような構成の蒸着源とすることにより、正孔輸送性の高い物質と金属酸化物とを効率良く昇華させることができる。また、蒸着して形成した膜において局所的な濃度の偏りを抑制することができる。また、正孔輸送性の高い物質と金属酸化物の両方を溶解させるまたは分散させる溶媒は種類が少なく、混合溶液を形成しにくい。よって、湿式法を用いて混合層を直接形成することは困難である。しかし、本発明の作製方法を用いることにより、正孔輸送性の高い物質と金属酸化物とを含む混合層を容易に形成することができる。
【0081】
また、正孔輸送性の高い物質と電子受容性を示す物質とを含む層は、正孔注入性だけでなく、正孔輸送性も優れているため、上述した正孔注入層を正孔輸送層として用いてもよい。
【0082】
なお、EL層308は、層の積層構造については特に限定されず、電子輸送性の高い物質または正孔輸送性の高い物質、電子注入性の高い物質、正孔注入性の高い物質、バイポーラ性(電子及び正孔の輸送性の高い物質)の物質等を含む層と、発光層とを適宜組み合わせて構成すればよい。
【0083】
発光は、第1の電極層302または第2の電極層306のいずれか一方または両方を通って外部に取り出される。従って、第1の電極層302または第2の電極層306のいずれか一方または両方は、透光性を有する電極である。第1の電極層302のみが透光性を有する電極である場合、光は第1の電極層302を通って基板300側から取り出される。また、第2の電極層306のみが透光性を有する電極である場合、光は第2の電極層306を通って基板300と逆側から取り出される。第1の電極層302および第2の電極層306がいずれも透光性を有する電極である場合、光は第1の電極層302および第2の電極層306を通って、基板300側および基板300側と逆側の両方から取り出される。
【0084】
なお、図3では、陽極として機能する第1の電極層302を基板300側に設けた構成について示したが、陰極として機能する第2の電極層306を基板300側に設けてもよい。図4では、基板300上に、陰極として機能する第2の電極層306、EL層308、陽極として機能する第1の電極層302とが順に積層された構成となっている。EL層308は、図3に示す構成とは逆の順序に積層されている。
【0085】
また、EL層の形成方法としては、実施の形態1で示した成膜方法を用いていればよく、他の成膜方法と組み合わせてもよい。また、各電極または各層ごとに異なる成膜方法を用いて形成しても構わない。乾式法としては、真空蒸着法、スパッタリング法などが挙げられる。また、湿式法としては、インクジェット法またはスピンコート法などが挙げられる。
【0086】
以上で、発光素子を作製することができる。本実施の形態に係る発光素子は、本発明を適用することで、発光層をはじめとする各種機能層を容易に形成することができる。そして、このような発光素子を適用して、発光装置を作製することができる。例えば、本発明を適用して作製したパッシブマトリクス型の発光装置の例を図5、図6、及び図7を用いて説明する。
【0087】
パッシブマトリクス型(単純マトリクス型ともいう)発光装置は、ストライプ状(帯状)に並列された複数の陽極と、ストライプ状に並列された複数の陰極とが互いに直交するように設けられており、その交差部に発光層が挟まれた構造となっている。従って、選択された(電圧が印加された)陽極と選択された陰極との交点にあたる画素が点灯することになる。
【0088】
図5(A)は、封止前における画素部の上面図を示す図であり、図5(A)中の鎖線A−A’で切断した断面図が図5(B)であり、鎖線B−B’で切断した断面図が図5(C)である。
【0089】
第1の基板1501上には、下地絶縁層として絶縁層1504を形成する。なお、下地絶縁層が必要でなければ特に形成しなくともよい。絶縁層1504上には、ストライプ状に複数の第1の電極層1513が等間隔で配置されている。また、第1の電極層1513上には、各画素に対応する開口部を有する隔壁1514が設けられ、開口部を有する隔壁1514は絶縁材料(感光性または非感光性の有機材料(ポリイミド、アクリル、ポリアミド、ポリイミドアミド、レジストまたはベンゾシクロブテン)、またはSOG膜(例えば、アルキル基を含むSiOx膜))で構成されている。なお、各画素に対応する開口部が発光領域1521となる。
【0090】
開口部を有する隔壁1514上に、第1の電極層1513と交差する互いに平行な複数の逆テーパ状の隔壁1522が設けられる。逆テーパ状の隔壁1522はフォトリソグラフィ法に従い、未露光部分がパターンとして残るポジ型感光性樹脂を用い、パターンの下部がより多くエッチングされるように露光量または現像時間を調節することによって形成する。
【0091】
また、平行な複数の逆テーパ状の隔壁1522を形成した直後における斜視図を図6に示す。なお、図5と同一の部分には同一の符号を用いている。
【0092】
開口部を有する隔壁1514及び逆テーパ状の隔壁1522を合わせた高さは、発光層を含むEL層及び第2の電極層となる導電層の膜厚より大きくなるように設定する。図6に示す構成を有する第1の基板に対して発光層を含むEL層と、導電層とを積層形成すると、図5に示すように複数の領域に分離された、発光層を含むEL層1515R、EL層1515G、EL層1515Bと、第2の電極層1516とが形成される。なお、複数に分離された領域は、それぞれ電気的に独立している。第2の電極層1516は、第1の電極層1513と交差する方向に伸長する互いに平行なストライプ状の電極である。なお、逆テーパ状の隔壁1522上にも発光層を含むEL層及び導電層が形成されるが、発光層を含むEL層1515R、1515G、1515B及び第2の電極層1516とは分断されている。なお、本実施の形態において、EL層とは少なくとも発光層を含む層であって、該発光層の他に正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層、又は電子注入層等を含んでいてもよい。
【0093】
ここでは、発光層を含むEL層1515R、1515G、1515Bを選択的に形成し、3種類(R、G、B)の発光が得られるフルカラー表示可能な発光装置を形成する例を示している。発光層を含むEL層1515R、1515G、1515Bはそれぞれ互いに平行なストライプパターンで形成されている。これらのEL層を形成するには、上記実施の形態1に示す成膜方法を適用すればよい。例えば、赤色の発光が得られる発光層の蒸着源を形成した第1支持基板、緑色の発光が得られる発光層の蒸着源を形成した第2支持基板、青色の発光が得られる発光層の蒸着源を形成した第3支持基板をそれぞれ準備する。また、被成膜基板として第1の電極層1513が設けられた基板を準備する。そして、第1支持基板、第2支持基板、又は第3支持基板を、被成膜基板と適宜対向して配置し、前記支持基板に形成された蒸着源を加熱して蒸発させ、被成膜基板に発光層を含むEL層を形成する。なお、所望の場所に選択的にEL層を形成するため、適宜マスク等を用いる。
【0094】
また、全面に同じ発光色を発光する発光層を含むEL層を形成し、単色の発光素子を設けてもよく、モノクロ表示可能な発光装置、或いはエリアカラー表示可能な発光装置としてもよい。また、白色発光が得られる発光装置として、カラーフィルタと組み合わせることによってフルカラー表示可能な発光装置としてもよい。
【0095】
また、必要であれば、封止缶や封止のためのガラス基板などの封止材を用いて封止する。ここでは、第2の基板としてガラス基板を用い、シール材などの接着材を用いて第1の基板と第2の基板とを貼り合わせ、シール材などの接着材で囲まれた空間を密閉なものとしている。密閉された空間には、充填材や、乾燥した不活性ガスを充填する。また、発光装置の信頼性を向上させるために、第1の基板と封止材との間に乾燥材などを封入してもよい。乾燥材によって微量な水分が除去され、十分乾燥される。また、乾燥材としては、酸化カルシウムや酸化バリウムなどのようなアルカリ土類金属の酸化物のような化学吸着によって水分を吸着する物質を用いることが可能である。なお、他の乾燥材として、ゼオライトやシリカゲル等の物理吸着によって水分を吸着する物質を用いてもよい。
【0096】
ただし、発光素子を覆って接する封止材が設けられ、十分に外気と遮断されている場合には、乾燥材は、特に設けなくともよい。
【0097】
次いで、FPCなどを実装した発光モジュールの上面図を図7に示す。
【0098】
なお、本明細書中における発光装置とは、画像表示デバイス、発光デバイス、もしくは光源(照明装置含む)を指す。また、発光装置にコネクター、例えばFPC(Flexible printed circuit)もしくはTAB(Tape Automated Bonding)テープもしくはTCP(Tape Carrier Package)が取り付けられたモジュール、TABテープやTCPの先にプリント配線板が設けられたモジュール、または発光素子が形成された基板にCOG(Chip On Glass)方式によりIC(集積回路)が直接実装されたモジュールも全て発光装置に含むものとする。
【0099】
図7に示すように画像表示を構成する画素部は、走査線群とデータ線群が互いに直交するように交差している。
【0100】
図5における第1の電極層1513が図7の走査線1603に相当し、第2の電極層1516がデータ線1602に相当し、逆テーパ状の隔壁1522が隔壁1604に相当する。データ線1602と走査線1603の間には発光層を含むEL層が挟まれており、領域1605で示される交差部が画素1つ分となる。
【0101】
なお、走査線1603は配線端で接続配線1608と電気的に接続され、接続配線1608が入力端子1607を介してFPC1609bに接続される。また、データ線1602は入力端子1606を介してFPC1609aに接続される。
【0102】
また、必要であれば、射出面に偏光板、又は円偏光板(楕円偏光板を含む)、位相差板(λ/4板、λ/2板)、カラーフィルタなどの光学フィルムを適宜設けてもよい。また、偏光板又は円偏光板に反射防止膜を設けてもよい。例えば、表面の凹凸により反射光を拡散し、映り込みを低減できるアンチグレア処理を施すことができる。
【0103】
以上でパッシブマトリクス型の発光装置を作製できる。本発明を適用することで、発光素子を構成する異なる蒸着材料を含む層を容易に形成することができ、当該発光素子を有する発光装置の製造も簡便になる。また、ホスト材料にドーパント材料が分散された発光層を形成する場合、共蒸着を適用する場合と比べ複雑な制御を必要としない。さらに、ドーパント材料の添加量等も制御し易いため、容易に精度良く成膜でき、所望の発光色も得られやすくなる。また、蒸着材料の利用効率も向上させることができるため、コスト削減を図ることもできる。
【0104】
また、図7では、駆動回路を基板上に設けていない例を示したが、本発明は特に限定されず、基板に駆動回路を有するICチップを実装させてもよい。
【0105】
ICチップを実装させる場合、画素部の周辺(外側)の領域に、画素部へ各信号を伝送する駆動回路が形成されたデータ線側IC、走査線側ICをCOG方式によりそれぞれ実装する。COG方式以外の実装技術としてTCPやワイヤボンディング方式を用いて実装してもよい。TCPはTABテープにICを実装したものであり、TABテープを素子形成基板上の配線に接続してICを実装する。データ線側IC、および走査線側ICは、シリコン基板を用いたものであってもよいし、ガラス基板、石英基板もしくはプラスチック基板上にTFTで駆動回路を形成したものであってもよい。また、片側に一つのICを設けた例を説明しているが、片側に複数個に分割して設けても構わない。
【0106】
次に、本発明を適用して作製したアクティブマトリクス型の発光装置の例について、図8を用いて説明する。なお、図8(A)は発光装置を示す上面図であり、図8(B)は図8(A)を鎖線A−A’で切断した断面図である。本実施の形態に係るアクティブマトリクス型の発光装置は、素子基板1710上に設けられた画素部1702と、駆動回路部(ソース側駆動回路)1701と、駆動回路部(ゲート側駆動回路)1703と、を有する。画素部1702、駆動回路部1701、及び駆動回路部1703は、シール材1705によって、素子基板1710と封止基板1704との間に封止されている。
【0107】
また、素子基板1710上には、駆動回路部1701、及び駆動回路部1703に外部からの信号(例えば、ビデオ信号、クロック信号、スタート信号、又はリセット信号等)や電位を伝達する外部入力端子を接続するための引き回し配線1708が設けられる。ここでは、外部入力端子としてFPC(フレキシブルプリントサーキット)1709を設ける例を示している。なお、ここではFPCしか図示されていないが、このFPCにはプリント配線基板(PWB)が取り付けられていても良い。本明細書における発光装置には、発光装置本体だけでなく、それにFPCもしくはPWBが取り付けられた状態をも含むものとする。
【0108】
次に、断面構造について図8(B)を用いて説明する。素子基板1710上には駆動回路部及び画素部が形成されているが、ここでは、ソース側駆動回路である駆動回路部1701と、画素部1702が示されている。
【0109】
駆動回路部1701はnチャネル型TFT1723とpチャネル型TFT1724とを組み合わせたCMOS回路が形成される例を示している。なお、駆動回路部を形成する回路は、種々のCMOS回路、PMOS回路もしくはNMOS回路で形成しても良い。また、本実施の形態では、基板上に駆動回路を形成したドライバー一体型を示すが、必ずしもその必要はなく、基板上ではなく外部に駆動回路を形成することもできる。
【0110】
また、画素部1702はスイッチング用TFT1711と、電流制御用TFT1712と当該電流制御用TFT1712の配線(ソース電極又はドレイン電極)に電気的に接続された第1の電極層1713とを含む複数の画素により形成される。なお、第1の電極層1713の端部を覆って絶縁物1714が形成されている。ここでは、ポジ型の感光性アクリル樹脂を用いることにより形成する。
【0111】
また、上層に積層形成される膜の被覆性を良好なものとするため、絶縁物1714の上端部または下端部に曲率を有する曲面が形成されるようにするのが好ましい。例えば、絶縁物1714の材料としてポジ型の感光性アクリル樹脂を用いた場合、絶縁物1714の上端部に曲率半径(0.2μm〜3μm)を有する曲面を持たせることが好ましい。また、絶縁物1714として、感光性の光によってエッチャントに不溶解性となるネガ型、或いは光によってエッチャントに溶解性となるポジ型のいずれも使用することができ、有機化合物に限らず無機化合物、例えば、酸化シリコン、酸窒化シリコン等、の両者を使用することができる。
【0112】
第1の電極層1713上には、発光層を含むEL層1700及び第2の電極層1716が積層形成されている。第1の電極層1713は上述の第1の電極層302に相当し、第2の電極層1716は第2の電極層306に相当する。なお、第1の電極層1713をITO膜とし、第1の電極層1713と接続する電流制御用TFT1712の配線として窒化チタン膜とアルミニウムを主成分とする膜との積層膜、或いは窒化チタン膜、アルミニウムを主成分とする膜、窒化チタン膜との積層膜を適用すると、配線としての抵抗も低く、ITO膜との良好なオーミックコンタクトがとれる。なお、ここでは図示しないが、第2の電極層1716は外部入力端子であるFPC1709に電気的に接続されている。
【0113】
EL層1700は、少なくとも発光層が設けられており、発光層の他に正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層又は電子注入層を適宜設ける構成とする。第1の電極層1713、EL層1700及び第2の電極層1716との積層構造で、発光素子1715が形成されている。
【0114】
また、図8(B)に示す断面図では発光素子1715を1つのみ図示しているが、画素部1702において、複数の発光素子がマトリクス状に配置されているものとする。画素部1702には、3種類(R、G、B)の発光が得られる発光素子をそれぞれ選択的に形成し、フルカラー表示可能な発光装置を形成することができる。また、全面に同じ発光色を発光する発光層を含むEL層を形成し、単色の発光素子を設けてもよく、モノクロ表示可能な発光装置、或いはエリアカラー表示可能な発光装置としてもよい。また、白色発光が得られる発光装置として、カラーフィルタと組み合わせることによってフルカラー表示可能な発光装置としてもよい。
【0115】
さらにシール材1705で封止基板1704を素子基板1710と貼り合わせることにより、素子基板1710、封止基板1704、およびシール材1705で囲まれた空間1707に発光素子1715が備えられた構造になっている。なお、空間1707には、不活性気体(窒素やアルゴン等)が充填される場合の他、シール材1705で充填される構成も含むものとする。
【0116】
なお、シール材1705にはエポキシ系樹脂を用いるのが好ましい。また、これらの材料はできるだけ水分や酸素を透過しない材料であることが望ましい。また、封止基板1704に用いる材料としてガラス基板や石英基板の他、FRP(Fiberglass−Reinforced Plastics)、PVF(ポリビニルフロライド)、ポリエステルまたはアクリル等からなるプラスチック基板を用いることができる。
【0117】
以上のようにして、本発明を適用して発光装置を得ることができる。アクティブマトリクス型の発光装置は、TFTを作製するため、1枚あたりの製造コストが高くなりやすいが、本発明を適用することで、発光素子を形成する際の材料のロスを大幅に削減することが可能である。よって、コスト削減を図ることができる。また、本発明を適用することで、ホスト材料に分散された発光材料(ドーパント材料)からなる発光層も容易に形成でき、さらに含有する発光材料の量も制御しやすくなる。
【0118】
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
【0119】
(実施の形態3)
本実施の形態では、本発明に係る発光装置の作製を可能とする成膜装置の例について説明する。本実施の形態に係る成膜装置の断面の模式図を図9、図10に示す。
【0120】
図9(A)において、成膜室801は、真空チャンバーであり、第1のゲート弁802、及び第2のゲート弁803によって他の処理室と連結している。また、成膜室801内には、第1の基板支持手段804である基板支持機構と、第2の基板支持手段805である被成膜基板支持機構と、熱源806として上下移動可能なヒーターとを少なくとも有している。
【0121】
まず、他の成膜室において、支持基板である第1の基板807上に材料層808を形成する。本実施の形態において、第1の基板807は図1に示した第1の基板100に相当し、材料層808は蒸着材料を含む複数の層104に相当する。ここでは、第1の基板807として、銅を主材料とした四角平板状の基板を用いる。また、材料層808としては、蒸着可能であり、蒸着温度が異なる複数の材料が積層された層を用いる。なお、第1の基板807としては、被成膜基板と面積が同じ、若しくはそれより大きい面積を有していれば特に形状は限定されない。また、材料層808の形成方法は乾式法や湿式法を用いることができ、特に湿式法であることが好ましい。例えば、スピンコート法、印刷法、またはインクジェット法などを用いることができる。
【0122】
他の成膜室から第1の基板807を成膜室801に搬送し、基板支持機構にセットする。また、第1の基板807における材料層808の形成されている面と、被成膜基板である第2の基板809の被成膜面とが、対向するように、第1の基板807を基板支持機構に固定する。
【0123】
第2の基板支持手段805を移動させて、第1の基板807と第2の基板809の基板間隔が距離dとなるように近づける。なお、距離dは、第1の基板807上に形成された材料層808の表面と、第2の基板809の表面との距離で定義する。また、第2の基板809上に何らかの層(例えば、電極として機能する導電層や隔壁として機能する絶縁層等)が形成されている場合、距離dは、第1の基板807上の材料層808の表面と、第2の基板809上に形成された層の表面との距離で定義する。ただし、第2の基板809或いは第2の基板809上に形成された層の表面に凹凸を有する場合は、距離dは、第1の基板807上の材料層808の表面と、第2の基板809或いは第2の基板809上に形成された層の最表面との間の最も短い距離で定義する。ここでは、距離dを2mmとする。また、第2の基板809が石英基板のように硬く、ほとんど変形(反り、撓みなど)しない材料であれば、距離dは0mmを下限として近づけることができる。また、図9では基板間隔の制御は、基板支持機構を固定し、被成膜基板支持機構を移動させる例を示しているが、基板支持機構を移動させ、被成膜基板支持機構を固定する構成としてもよい。また、基板支持機構と被成膜基板支持機構の両方を移動させても良い。なお、図9(A)では、第2の基板支持手段805を移動させて、第1の基板と第2の基板を近づけて距離dとした段階の断面を示している。
【0124】
また、基板支持機構及び被成膜基板支持機構は、上下方向だけでなく、水平方向にも移動させる機構としてもよく、精密な位置合わせを行う構成としてもよい。また、精密な位置合わせや距離dの測定を行うため、成膜室801にCCDなどのアライメント機構を設けてもよい。また、成膜室801内を測定する温度センサや、湿度センサなどを設けてもよい。
【0125】
基板間隔を距離dに保持した状態で、熱源806を支持基板に近づける。なお、均一な加熱が行われるように、熱源806と支持基板は広い面積で接することが好ましい。図9(A)では、支持基板の下方で上下移動可能なヒーターを用いている。
【0126】
熱源806を支持基板に近接させると、直接的な熱伝導により短時間に支持基板上の材料層808を加熱して蒸発させ、対向して配置された第2の基板809の被成膜面(即ち、下平面)に蒸着材料が成膜される。図9(A)に示す成膜装置において、予め第1の基板807に材料層808が均一な膜厚で得られていれば、膜厚モニターを設置しなくとも、第2の基板に膜厚均一性の高い成膜を行うことができる。また、従来の蒸着装置は、基板を回転させていたが、図9(A)に示す成膜装置は、被成膜基板を停止して成膜するため、割れやすい大面積のガラス基板への成膜に適している。また、図9(A)に示す成膜装置は、成膜中、支持基板も停止して成膜する。
【0127】
また、待機時の熱源(ヒーター)の輻射による支持基板上の材料層808への熱の影響を緩和するため、待機時(蒸着処理前)は熱源806と第1の基板807(支持基板)との距離を大きく保持してもよい。
【0128】
また、図9(A)に示す成膜装置は、従来の蒸着装置に比べ大幅にチャンバー内の容積を小さくすることができる。さらに、チャンバー内の容積を小さくするため、熱源806と第1の基板807(支持基板)の間に、断熱化のための開閉式のシャッターを設けても良い。
【0129】
また、熱源806はヒーターに限定されず、短時間に均一な加熱を行える加熱手段であればよい。例えば、図9(B)に示すようにランプ810を設けてもよい。なお、図9(B)において、図9(A)と共通の部分には同じ符号を用いて説明する。図9(B)に示す例では、ランプ810は第1の基板807の下方に固定して設けられており、ランプ810が点灯した直後に第2の基板809の下平面に成膜が行われる。なお、図9(B)では、ランプ810を点灯する前の、第1の基板807と第2の基板809とを基板距離dまで近づけた段階の断面を示している。
【0130】
ランプ810としては、フラッシュランプ(キセノンフラッシュランプ、クリプトンフラッシュランプなど)、キセノンランプ、メタルハライドランプのような放電灯、ハロゲンランプ、タングステンランプのような発熱灯を用いることができる。フラッシュランプは短時間(0.1ミリ秒乃至10ミリ秒)で非常に強度の高い光を繰り返し、大面積に照射することができるため、第1の基板の面積にかかわらず、効率よく均一に加熱することができる。また、発光させる時間の間隔を変えることによって第1の基板807の加熱の制御もできる。また、フラッシュランプは寿命が長く、発光待機時の消費電力が低いため、ランニングコストを低く抑えることができる。また、フラッシュランプを用いることにより、急加熱が容易となり、ヒーターを用いた場合の上下機構やシャッター等を簡略化できる。従って、さらなる成膜装置の小型化が図れる。
【0131】
また、図9(B)では、ランプ810を成膜室801内に設置する例を示しているが、成膜室の内壁の一部を透光性部材として、成膜室の外側にランプ810を配置してもよい。成膜室801の外側にランプ810を配置すると、ランプ810のライトバルブの交換などのメンテナンスを簡便なものとすることができる。
【0132】
また、図9(C)は、第2の基板809の温度を調節する機構を備えた成膜装置の例を示す。図9(C)において、図9(A)、(B)と共通の部分には同じ符号を用いて説明する。図9(C)では、第2の基板支持手段805に熱媒体を流すチューブ811が設けられている。チューブ811に、熱媒体として冷媒を流すことによりにより、第2の基板支持手段805は、コールドプレートとすることができる。なお、チューブ811は、第2の基板支持手段805の上下移動に追随できるような仕組みとなっている。なお、ここでは冷媒ガスや、液体の冷媒を流すチューブを用いた例を示したが、冷却する手段として、ペルチェ素子などを第2の基板支持手段805に設けてもよい。また、冷却する手段ではなく、加熱する手段を設けてもよい。例えば、加熱するための熱媒体をチューブ811に流してもよい。
【0133】
蒸発材料の異なる材料層を積層する場合に、図9(C)の成膜装置は有用である。例えば、第2の基板に既に第1の材料層が設けられている場合、その上に第1の材料層よりも蒸着温度が高い第2の材料層を積層することができる。図9(A)においては、第2の基板と第1の基板が近接するため、第2の基板に予め成膜されている第1の材料層が、蒸発してしまう恐れがある。そこで、図9(C)の成膜装置とすると、冷却機構によって第2の基板に予め成膜されている第1の材料層の蒸発を抑えつつ、第2の材料層を積層することができる。
【0134】
また、冷却機構だけでなく、第2の基板支持手段805にヒーターなどの加熱手段を設けてもよい。第2の基板の温度を調節する機構(加熱または冷却)を設けることで、基板の反りなどを抑えることができる。
【0135】
なお、図9(A)乃至(C)には、被成膜基板の成膜面が下方となるフェイスダウン方式の成膜装置の例を示したが、図10に示すようにフェイスアップ方式の成膜装置を適用することもできる。
【0136】
図10(A)において、成膜室901は、真空チャンバーであり、第1のゲート弁902、及び第2のゲート弁903によって他の処理室と連結している。また、成膜室901内には、第1の基板支持手段905である被成膜基板支持機構と、第2の基板支持手段904である基板支持機構と、熱源906として上下移動可能なヒーターとを少なくとも有している。
【0137】
成膜の手順は、まず、他の成膜室において、支持基板である第2の基板907上に材料層908を形成する。本実施の形態において、第2の基板907は図1に示した第1の基板100に相当する。第2の基板907としては、被成膜基板と面積が同じ、若しくはそれより大きい面積を有していれば特に形状は限定されない。また、材料層908は蒸着材料を含む複数の層104に相当し、蒸着可能であり、蒸着温度の異なる複数の材料を含有する。材料層908の形成方法は乾式法や湿式法を用いることができ、特に湿式法であることが好ましい。例えば、スピンコート法、印刷法、またはインクジェット法などを用いることができる。
【0138】
他の成膜室から第2の基板907を成膜室901に搬送し、基板支持機構にセットする。また、第2の基板907における材料層908の形成されている面と、第1の基板909の被成膜面とが、対向するように基板支持機構に第2の基板を固定する。また、図10(A)に示すように、この構成は、基板の成膜面が上方となるからフェイスアップ方式の例を示している。フェイスアップ方式の場合、撓みやすい大面積のガラス基板をフラットな台に載せる、或いは複数のピンで支持することで基板のたわみをなくし、基板全面において均一な膜厚が得られる成膜装置とすることができる。
【0139】
第1の基板支持手段905を移動させて、第2の基板907と第1の基板909を近づけて距離dとする。なお、距離dは、第2の基板907に形成された材料層908の表面と、第1の基板909の表面との距離で定義する。また、第1の基板909上に何らかの層(例えば、電極として機能する導電層や隔壁として機能する絶縁層等)が形成されている場合、距離dは、第2の基板907の材料層908の表面と、第1の基板909上に形成された層の表面との距離で定義する。ただし、第1の基板909或いは第1の基板909に形成された層の表面に凹凸を有する場合は、距離dは、第2の基板907上の材料層908の表面と、第1の基板909或いは第1の基板909上に形成された層の最表面との間の最も短い距離で定義する。ここでは、距離dを5mmとする。また、基板支持機構を固定し、被成膜基板支持機構を移動させる例を示したが、基板支持機構を移動させ、被成膜基板支持機構を固定する構成としてもよい。また、基板支持機構と被成膜基板支持機構の両方を移動させて距離dを調節しても良い。
【0140】
図10(A)に示すように基板距離dを保持した状態で、熱源906を近づけて支持基板に近接させる。なお、均一な加熱が行われるように、熱源906と支持基板は広い面積で接することが好ましい。図10(A)では、支持基板の上方で上下移動可能なヒーターを用いている。
【0141】
熱源906を近づけて支持基板に近接させると、直接的な熱伝導により短時間に支持基板上の材料層908を加熱して蒸発させ、対向して配置された第1の基板909の被成膜面(即ち、上平面)に蒸着材料が成膜される。このようにすることで、従来の大容量のチャンバーである蒸着装置に比べチャンバー容量を大幅に小さい小型の成膜装置を実現できる。
【0142】
また、熱源906はヒーターに限定されず、短時間に均一な加熱を行える加熱手段であればよい。例えば、図10(B)に示すようにランプ910を設けてもよい。なお、図10(B)において、図10(A)と共通の部分には同じ符号を用いて説明する。図10(B)に示す例では、ランプ910は第2の基板の上方に固定して設けられており、ランプ910が点灯した直後に第1の基板909の上平面に成膜が行われる。
【0143】
なお、図9(A)乃至(C)及び図10(A)、(B)では基板横置き方式の成膜装置の例を示したが、図10(C)に示すように基板縦置き方式の成膜装置を適用することもできる。
【0144】
図10(C)において、成膜室951は、真空チャンバーである。また、成膜室951内には、第1の基板支持手段954である基板支持機構と、第2の基板支持手段955である被成膜基板支持機構と、熱源としてランプ960と少なくとも有している。
【0145】
成膜室951は、図示しないが、被成膜基板が縦置きで搬送される第1の搬送室と連結している。また、図示しないが、支持基板が縦置きで搬送される第2の搬送室と連結している。また、本明細書では、基板面が水平面に対して垂直に近い角度(70度乃至110度の範囲)にすることを基板の縦置きと呼ぶ。大面積のガラス基板などは撓みが生じやすいため、縦置きで搬送することが好ましい。
【0146】
また、熱源は、ヒーターよりもランプ960を用いて加熱するほうが、大面積のガラス基板に適している。
【0147】
成膜の手順は、まず、他の成膜室において、支持基板である第1の基板957の一方の面に材料層958を形成する。なお、第1の基板957は、図1に示した第1の基板100に相当し、材料層958は蒸着材料を含む複数の層104に相当する。
【0148】
次に、他の成膜室から第1の基板957を成膜室951に搬送し、基板支持機構にセットする。また、第1の基板957における材料層958の形成されている面と、第2の基板959の被成膜面とが、対向するように基板支持機構に第1の基板957を固定する。
【0149】
次に、基板距離dを保持した状態で、ランプ960から光を照射して支持基板を急速に加熱する。支持基板を急速に加熱すると、間接的な熱伝導により短時間に支持基板上の材料層958を加熱して蒸発させ、対向して配置された被成膜基板である第2の基板959の被成膜面に蒸着材料が成膜される。このようにすることで、従来の大容量のチャンバーである蒸着装置に比べチャンバー容量を大幅に小さい小型の成膜装置を実現できる。
【0150】
また、本実施の形態に示した成膜装置を複数設け、マルチチャンバー型の製造装置にすることができる。勿論、他の成膜方法の成膜装置との組み合わせも可能である。また、本実施の形態に示した成膜装置を直列に複数並べて、インライン型の製造装置にすることもできる。
【0151】
また、本実施の形態で示した図9(A)乃至図10(C)の成膜装置において、第1の基板807、第2の基板907、又は第1の基板957である支持基板として導電性基板を適用し、該支持基板に電流を流して加熱を行い、蒸着処理を行うことも可能である。この場合、支持基板そのものも熱源の一部として機能する。
【0152】
このような成膜装置を用い、本発明に係る発光装置を作製することが可能である。本発明は、蒸着源を湿式法で容易に準備できる。また、蒸着源をそのまま蒸着すればよいため、膜厚モニターを不要にできる。よって、成膜工程を全自動化でき、スループットの向上を図ることができる。また、成膜室内壁に蒸着材料が付着することも防止でき、成膜装置のメンテナンスを簡便にすることができる。
【0153】
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
【0154】
(実施の形態4)
本実施の形態では、本発明を適用して作製した発光装置を用いて完成させた様々な電子機器について、図11を用いて説明する。
【0155】
本発明に係る発光装置を適用した電子機器として、テレビジョン、ビデオカメラ、デジタルカメラ等のカメラ、ゴーグル型ディスプレイ(ヘッドマウントディスプレイ)、ナビゲーションシステム、音響再生装置(カーオーディオ、オーディオコンポ等)、ノート型パーソナルコンピュータ、ゲーム機器、携帯情報端末(モバイルコンピュータ、携帯電話、携帯型ゲーム機または電子書籍等)、記録媒体を備えた画像再生装置(具体的にはデジタルビデオディスク(DVD)等の記録媒体を再生し、その画像を表示しうる表示装置を備えた装置)、照明器具などが挙げられる。これらの電子機器の具体例を図11に示す。
【0156】
図11(A)は表示装置であり、筐体8001、支持台8002、表示部8003、スピーカー部8004、ビデオ入力端子8005等を含む。本発明を用いて形成される発光装置をその表示部8003に用いることにより作製される。なお、表示装置は、パーソナルコンピュータ用、TV放送受信用、広告表示用などの全ての情報表示用装置が含まれる。本発明を適用することでスループットを向上できるため、表示装置の製造における生産性を向上させることができる。また、表示装置の製造における材料のロスを削減できるため、製造コストの低減を図ることができ、安価な表示装置を提供することができる。
【0157】
図11(B)はコンピュータであり、本体8101、筐体8102、表示部8103、キーボード8104、外部接続ポート8105、マウス8106等を含む。本発明の成膜装置を用いて形成された発光素子を有する発光装置をその表示部8103に用いることにより作製される。本発明を適用することでスループットを向上できるため、表示装置の製造における生産性を向上させることができる。また、表示装置の製造における材料のロスを削減できるため、製造コストの低減を図ることができ、安価なコンピュータを提供することができる。
【0158】
図11(C)はビデオカメラであり、本体8201、表示部8202、筐体8203、外部接続ポート8204、リモコン受信部8205、受像部8206、バッテリー8207、音声入力部8208、操作キー8209、接眼部8210等を含む。本発明の成膜装置を用いて形成された発光素子を有する発光装置をその表示部8202に用いることにより作製される。本発明を適用することでスループットを向上できるため、表示装置の製造における生産性を向上させることができる。また、表示装置の製造における材料のロスを削減できるため、製造コストの低減を図ることができ、安価なビデオカメラを提供することができる。
【0159】
図11(D)は卓上照明器具であり、照明部8301、傘8302、可変アーム8303、支柱8304、台8305、電源8306を含む。本発明の成膜装置を用いて形成される発光装置を照明部8301に用いることにより作製される。なお、照明器具には天井固定型の照明器具または壁掛け型の照明器具なども含まれる。本発明を適用することでスループットを向上できるため、表示装置の製造における生産性を向上させることができる。また、表示装置の製造における材料のロスを削減できるため、製造コストの低減を図ることができ、安価な卓上照明器具を提供することができる。
【0160】
ここで、図11(E)は携帯電話であり、本体8401、筐体8402、表示部8403、音声入力部8404、音声出力部8405、操作キー8406、外部接続ポート8407、アンテナ8408等を含む。本発明の成膜装置を用いて形成された発光素子を有する発光装置をその表示部8403に用いることにより作製される。本発明を適用することでスループットを向上できるため、表示装置の製造における生産性を向上させることができる。また、表示装置の製造における材料のロスを削減できるため、製造コストの低減を図ることができ、安価な携帯電話を提供することができる。
【0161】
以上のようにして、本発明に係る発光装置を適用して電子機器や照明器具を得ることができる。本発明に係る発光装置の適用範囲は極めて広く、あらゆる分野の電子機器に適用することが可能である。
【0162】
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
【実施例1】
【0163】
本実施例では、本発明に係る発光装置の作製を可能とする成膜装置の一例について図12および図13を用いて説明する。なお、図12(A)は成膜装置の断面図、図12(B)は成膜装置の上面図である。
【0164】
図12において、成膜室501は、真空チャンバーであり、第1のゲート弁502、及び第2のゲート弁503によって他の処理室と連結している。また、成膜室501内には、第1の基板支持手段である基板支持機構513と、第2の基板支持手段である被成膜基板支持機構505と、熱源としてハロゲンランプ510を有している。ハロゲンランプは、急速加熱が可能であり、また、発光させる時間の間隔を変化させることにより、第1の基板の加熱の制御が可能である。また、急速加熱が可能であるため、ヒーターを用いた場合の上下機構やシャッター等を簡略化できる。従って、さらなる成膜装置の小型化が図れる。
【0165】
まず、他の成膜室において、支持基板である第1の基板507上に材料層508を形成する。本実施例では、第1の基板507として、チタン膜を成膜したガラス基板を用いる。チタンは、熱源であるハロゲンランプの発光波長である1100nm〜1200nm付近の光を効率良く吸収することができるため、チタン膜上に形成した材料層508を効率良く加熱することができる。また、材料層508としては、蒸着可能であり、蒸着温度が異なる複数の材料が積層された層を用いる。なお、本実施例では、第1の基板として、被成膜基板と面積が同じ基板を用いる。また、本実施例では、材料層508は、湿式法を用いて、正孔輸送性の高い物質を含む層上に、金属酸化物を含む層を積層する。正孔輸送性の高い物質と金属酸化物とは、同じ溶媒に溶解して混合溶液を調整することが困難であるため、湿式法で混合層を直接形成することが難しい。よって、正孔輸送性の高い物質を含む層上に金属酸化物を含む層を湿式法により積層することは容易である。そして、本発明の成膜方法を用いることにより、混合層を容易に作製することができる。
【0166】
図12(A)において点線で示したように、他の成膜室から第1の基板507を成膜室501に搬送し、基板支持機構にセットする。搬送する際には、可動手段515によりリフレクタシャッター504を開け、そこから基板支持機構513にセットする。また、第1の基板507における材料層508の形成されている面と、被成膜基板である第2の基板509の被成膜面とが、対向するように、第1の基板507を基板支持機構513に固定する。
【0167】
なお、成膜室501内は、真空排気しておくことが好ましい。具体的には、真空度が5×10−3Pa以下、好ましくは10−4Pa乃至10−6Pa程度の範囲まで真空排気する。成膜室に連結して設けられる真空排気手段は、大気圧から1Pa程度をオイルフリーのドライポンプで真空排気し、それ以上の圧力は磁気浮上型のターボ分子ポンプまたは複合分子ポンプにより真空排気する。このようにすることで、排気手段から主に油などの有機物による汚染を防止している。内壁面は、電解研磨により鏡面処理し、表面積を減らしてガス放出を防いでいる。
【0168】
第2の基板509は、固定手段517により、被成膜基板支持機構505に固定される。被成膜基板支持機構505の内部には熱媒体を流すチューブ511が設けられている。熱媒体を流すチューブ511により、被成膜基板支持機構505は、適切な温度を保つことができる。例えば、冷水を流すことにより被成膜基板を冷やしてもいいし、温水を流すことにより、被成膜基板を加熱してもよい。
【0169】
次に、図13に示すように、第1の基板507と第2の基板509の基板間隔が距離dとなるように近づける。なお、距離dは、第1の基板507上に形成された材料層508の表面と、第2の基板509の表面との距離で定義する。また、第2の基板509上に何らかの層(例えば、電極として機能する導電層や隔壁として機能する絶縁層等)が形成されている場合、距離dは、第1の基板507上の材料層508の表面と、第2の基板509上に形成された層の表面との距離で定義する。ただし、第2の基板509或いは第2の基板509上に形成された層の表面に凹凸を有する場合は、距離dは、第1の基板507上の材料層508の表面と、第2の基板509或いは第2の基板509上に形成された層の最表面との間の最も短い距離で定義する。本実施例では、距離dを1mmとする。
【0170】
また、本実施例で示す成膜装置では、基板間隔の制御は、被成膜基板支持機構505が上下すること、および第1の基板支持機構513である基板リフトピンが第1の基板507を持ち上げて上下することより行う。可動手段514により、石英で形成された基板リフトピンが上下し、第1の基板507を持ち上げる。
【0171】
なお、本実施例では、待機時の熱源(ヒーター)の輻射による支持基板上の材料層508への熱の影響を緩和するため、待機時(蒸着処理前)は熱源であるハロゲンランプ510と第1の基板507(支持基板)との距離を50mmとしている。
【0172】
基板間隔を距離dに保持した状態で、ハロゲンランプ510により加熱処理を行う。まず、予備加熱として、ランプヒーターの出力を15秒間60℃に保つ。予備加熱を行うことにより、ハロゲンランプ510の出力が安定する。その後、加熱処理を行う。加熱処理は、500℃〜800℃を7〜15秒間程度保持する。加熱処理に要する時間は蒸着材料により異なるため、適宜設定する。なお、ハロゲンランプ510からの光が散乱して成膜室全体が加熱されないように、リフレクタ516およびリフレクタシャッター504が設けられている。
【0173】
ハロゲンランプ510からの光を第1の基板507上に形成されているチタン膜が吸収し、加熱されることにより、チタン膜上の材料層508が加熱され蒸発し、対向して配置された第2の基板509の被成膜面(すなわち、下平面)に蒸着材料が成膜される。図12および図13に示す成膜装置において、予め第1の基板507に材料層508が均一な膜厚で得られていれば、膜厚モニターを設置しなくとも、第2の基板509に膜厚均一性の高い成膜を行うことができる。また、従来の蒸着装置は、基板を回転させていたが、図12および図13に示す成膜装置は、被成膜基板を固定して成膜するため、割れやすい大面積のガラス基板への成膜に適している。また、図12および図13に示す成膜装置は、成膜中、支持基板も停止して成膜する。
【0174】
本実施例で示した成膜装置を用いることにより、本発明に係る発光装置を作製することが可能である。本発明は、蒸着源を湿式法で容易に準備できる。また、蒸着源をそのまま蒸着すればよいため、膜厚モニターを不要にできる。よって、成膜工程を全自動化でき、スループットの向上を図ることができる。また、成膜室内壁に蒸着材料が付着することも防止でき、成膜装置のメンテナンスを簡便にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0175】
【図1】本発明に係る成膜工程の断面を示す模式図。
【図2】本発明に係る成膜工程の断面を示す模式図。
【図3】発光素子の例を示す図。
【図4】発光素子の例を示す図。
【図5】パッシブマトリクス型発光装置の上面図および断面図の例。
【図6】パッシブマトリクス型発光装置の斜視図の一例。
【図7】パッシブマトリクス型発光装置の上面図の一例。
【図8】アクティブマトリクス型発光装置の上面図および断面図の一例。
【図9】成膜装置の例を示す図。
【図10】成膜装置の例を示す図。
【図11】電子機器の例を示す図。
【図12】成膜装置の例を示す図。
【図13】成膜装置の例を示す図。
【符号の説明】
【0176】
100 第1の基板
102 第2の基板
104 蒸着材料を含む複数の層
110 ヒーター
111 第1の蒸着材料を含む層
112 第2の蒸着材料を含む層
121 異なる蒸着材料を含む層
150 電源
152 スイッチ
300 基板
302 第1の電極層
304 発光層
306 第2の電極層
308 EL層
322 正孔注入層
324 正孔輸送層
326 電子輸送層
328 電子注入層
501 成膜室
502 第1のゲート弁
503 第2のゲート弁
504 リフレクタシャッター
505 被成膜基板支持機構
507 第1の基板
508 材料層
509 第2の基板
510 ハロゲンランプ
511 チューブ
513 基板支持機構
514 可動手段
515 可動手段
516 リフレクタ
517 固定手段
801 成膜室
802 第1のゲート弁
803 第2のゲート弁
804 第1の基板支持手段
805 第2の基板支持手段
806 熱源
807 第1の基板
808 材料層
809 第2の基板
810 ランプ
811 チューブ
901 成膜室
902 第1のゲート弁
903 第2のゲート弁
904 第2の基板支持手段
905 第1の基板支持手段
906 熱源
907 第2の基板
908 材料層
909 第1の基板
910 ランプ
951 成膜室
954 第1の基板支持手段
955 第2の基板支持手段
957 第1の基板
958 材料層
959 第2の基板
960 ランプ
1501 第1の基板
1504 絶縁層
1513 第1の電極層
1514 隔壁
1515R EL層
1515G EL層
1515B EL層
1516 第2の電極層
1521 発光領域
1522 隔壁
1602 データ線
1603 走査線
1604 隔壁
1605 領域
1606 入力端子
1607 入力端子
1608 接続配線
1609a FPC
1609b FPC
1700 EL層
1701 駆動回路部
1702 画素部
1703 駆動回路部
1704 封止基板
1705 シール材
1707 空間
1708 配線
1709 FPC(フレキシブルプリントサーキット)
1710 素子基板
1711 スイッチング用TFT
1712 電流制御用TFT
1713 第1の電極層
1714 絶縁物
1715 発光素子
1716 第2の電極層
1723 nチャネル型TFT
1724 pチャネル型TFT
8001 筐体
8002 支持台
8003 表示部
8004 スピーカー部
8005 ビデオ入力端子
8101 本体
8102 筐体
8103 表示部
8104 キーボード
8105 外部接続ポート
8106 マウス
8201 本体
8202 表示部
8203 筐体
8204 外部接続ポート
8205 リモコン受信部
8206 受像部
8207 バッテリー
8208 音声入力部
8209 操作キー
8210 接眼部
8301 照明部
8302 傘
8303 可変アーム
8304 支柱
8305 台
8306 電源
8401 本体
8402 筐体
8403 表示部
8404 音声入力部
8405 音声出力部
8406 操作キー
8407 外部接続ポート
8408 アンテナ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の基板上に、層ごとにそれぞれ異なる蒸着材料を含む複数の層を積層し、
第1の電極を有する第2の基板を前記第1の基板と対向する位置に配置し、
前記第1の基板上の蒸着材料を含む複数の層を加熱することにより、前記第2の基板に設けられた前記第1の電極上に、前記異なる蒸着材料を含む層を形成し、
前記異なる蒸着材料を含む層上に第2の電極を形成することを特徴とする発光装置の作製方法。
【請求項2】
第1の基板上に、層ごとにそれぞれ異なる蒸着材料を含む複数の層を積層し、
第1の電極が形成されている第2の基板を前記第1の基板と対向する位置に配置し、
前記第1の基板上の蒸着材料を含む複数の層を加熱することにより、前記第2の基板上に、前記異なる蒸着材料を含む層を形成し、
前記異なる蒸着材料を含む層上に、発光層を形成し、
前記発光層上に、第2の電極を形成することを特徴とする発光装置の作製方法。
【請求項3】
第1の基板上に、層ごとにそれぞれ異なる蒸着材料を含む複数の層を積層し、
第1の電極上に発光層が形成されている第2の基板を前記第1の基板と対向する位置に配置し、
前記第1の基板上の蒸着材料を含む複数の層を加熱することにより、前記第2の基板に設けられた前記発光層上に、前記異なる蒸着材料を含む層を形成し、
前記異なる蒸着材料を含む層上に第2の電極を形成することを特徴とする発光装置の作製方法。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか一項において、
前記蒸着材料を含む複数の層は、第1の基板側に蒸着温度が最も低い蒸着材料を含むように積層されていることを特徴とする発光装置の作製方法。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか一項において、
前記蒸着材料を含む複数の層のうち少なくとも一層は、湿式法で形成することを特徴とする発光装置の作製方法。
【請求項6】
第1の基板上に、第1の蒸着材料を含む第1の層を形成し、
前記第1の層上に、第2の蒸着材料を含む第2の層を形成し、
第1の電極を有する第2の基板を前記第1の基板と対向する位置に配置し、
前記第1の基板上の前記第1の層および前記第2の層を加熱することにより、前記第2の基板に設けられた前記第1の電極上に、第1の蒸着材料と第2の蒸着材料とを含む層を形成し、
前記第1の蒸着材料と第2の蒸着材料とを含む層上に、第2の電極を形成することを特徴とする発光装置の作製方法。
【請求項7】
第1の基板上に、第1の蒸着材料を含む第1の層を形成し、
前記第1の層上に、第2の蒸着材料を含む第2の層を形成し、
前記第2の層上に、前記第1の蒸着材料を含む第3の層を形成し、
第1の電極を有する第2の基板を前記第1の基板と対向する位置に配置し、
前記第1の基板上の前記第1の層、前記第2の層および前記第3の層を加熱することにより、前記第2の基板に設けられた前記第1の電極上に、第1の蒸着材料と第2の蒸着材料とを含む層を形成し、
前記第1の蒸着材料と第2の蒸着材料とを含む層上に、第2の電極を形成することを特徴とする発光装置の作製方法。
【請求項8】
第1の基板上に、第1の蒸着材料を含む層と第2の蒸着材料を含む層を交互に積層し、
第1の電極を有する第2の基板を前記第1の基板と対向する位置に配置し、
前記第1の基板上の前記第1の蒸着材料を含む層と前記第2の蒸着材料を含む層を加熱することにより、前記第2の基板に設けられた前記第1の電極上に、第1の蒸着材料と第2の蒸着材料とを含む層を形成し、
前記第1の蒸着材料と第2の蒸着材料とを含む層上に、第2の電極を形成することを特徴とする発光装置の作製方法。
【請求項9】
第1の基板上に、第1の蒸着材料を含む第1の層を形成し、
前記第1の層上に、第2の蒸着材料を含む第2の層を形成し、
前記第2の層上に、第3の蒸着材料を含む第3の層を形成し、
第1の電極を有する第2の基板を前記第1の基板と対向する位置に配置し、
前記第1の基板上の前記第1の層、前記第2の層および前記第3の層を加熱することにより、前記第2の基板に設けられた前記第1の電極上に、第1の蒸着材料と第2の蒸着材料と第3の蒸着材料を含む層を形成し、
前記第1の蒸着材料と第2の蒸着材料と第3の蒸着材料を含む層上に第2の電極を形成することを特徴とする発光装置の作製方法。
【請求項10】
請求項6乃至請求項9のいずれか一項において、
前記第1の蒸着材料の蒸着温度は、前記第2の蒸着材料の蒸着温度よりも低いことを特徴とする発光装置の作製方法。
【請求項11】
請求項6乃至請求項10のいずれか一項において、
前記第1の蒸着材料は有機物であり、前記第2の蒸着材料は無機物であることを特徴とする発光装置の作製方法。
【請求項12】
請求項6乃至請求項11のいずれか一項において、
前記第1の層は、湿式法で形成することを特徴とする発光装置の作製方法。
【請求項13】
請求項6乃至請求項12のいずれか一項において、
前記第2の層は、湿式法で形成することを特徴とする発光装置の作製方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate


【公開番号】特開2009−38011(P2009−38011A)
【公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−158600(P2008−158600)
【出願日】平成20年6月18日(2008.6.18)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】