説明

発光装置の駆動方法

【課題】発光装置に入力されるビデオ信号が情報として有する画像自体が全体的に暗く、不鮮明であっても、対象物の認識を容易にすることができる発光装置の提案を課題とする。
【解決手段】EL素子を有する複数の画素を設け、第1のモードでは、EL素子が発光している期間において、EL素子の輝度が常に一定に保ち、第2のモードでは、EL素子が発光している期間のうちの所定の期間におけるEL素子の輝度が、EL素子が発光している期間のうちの所定の期間以外の期間におけるEL素子の輝度に比べて高くすることで、EL素子の輝度が高くなるようにした。上記構成によって、発光装置に入力されるビデオ信号が情報として有する画像自体が全体的に暗くても、実際に表示される画像が明るくなるので、対象物の認識を容易にすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板上に形成されたEL素子を、該基板とカバー材の間に封入したELパネルに関する。また、該ELパネルにICを実装したELモジュールに関する。なお本明細書において、ELパネル及びELモジュールを発光装置と総称する。本発明はさらに、該駆動方法によって表示を行う発光装置を用いた電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
EL素子は、自ら発光するため視認性が高く、液晶表示装置(LCD)で必要なバックライトが要らず薄型化に最適であると共に、視野角にも制限が無い。そのため、近年、EL素子を用いた発光装置はCRTやLCDに代わる表示装置として注目されている。
【0003】
EL素子は、電場を加えることで発生するルミネッセンス(Electro Luminescence)が得られる有機化合物を含む層(以下、EL層と記す)と、陽極層と、陰極層とを有する。有機化合物におけるルミネッセンスには、一重項励起状態から基底状態に戻る際の発光(蛍光)と三重項励起状態から基底状態に戻る際の発光(リン光)とがあるが、本発明の発光装置では、どちらの発光を用いていても良い。
【0004】
なお、本明細書では、陽極と陰極の間に形成された全ての層をEL層と定義する。EL層には具体的に、発光層、正孔注入層、電子注入層、正孔輸送層、電子輸送層等が含まれる。基本的にEL素子は、陽極/発光層/陰極が順に積層された構造を有しており、この構造に加えて、陽極/正孔注入層/発光層/陰極や、陽極/正孔注入層/発光層/電子輸送層/陰極等の順に積層した構造を有していることもある。
【0005】
本明細書中では、陽極、EL層及び陰極で形成される発光素子をEL素子と呼ぶ。また本明細書において、EL素子が発光することを、EL素子が駆動すると呼ぶ。
【0006】
発光装置が有する画素部には、ソース信号線S1〜Sx、ゲート信号線G1〜Gy、電源供給線V1〜Vx及び複数の画素が設けられている。図14(A)に、一般的な発光装置の画素9004の回路図を示す。画素9004は、ソース信号線Si(S1〜Sxのいずれか1つ)と、電源供給線Vi(V1〜Vxのいずれか1つ)と、ゲート信号線Gj(G1〜Gyのいずれか1つ)とを有している。
【0007】
また画素9004はスイッチング用TFT9008とEL駆動用TFT9009とを有している。スイッチング用TFT9008のゲート電極は、ゲート信号線Gjに接続されている。スイッチング用TFT9008のソース領域とドレイン領域は、一方がソース信号線Siに、もう一方がEL駆動用TFT9009のゲート電極にそれぞれ接続されている。
【0008】
また、EL駆動用TFT9009のソース領域は電源供給線Viに接続され、ドレイン領域はEL素子9011に接続される。
【0009】
EL素子9011は陽極と陰極と、陽極と陰極との間に設けられたEL層とからなる。陽極がEL駆動用TFT9009のドレイン領域と接続している場合、陽極が画素電極、陰極が対向電極となる。逆に陰極がEL駆動用TFT9009のドレイン領域と接続している場合、陰極が画素電極、陽極が対向電極となる。
【0010】
全ての電源供給線V1〜Vxには電源電位が与えられている。また全ての画素が有するEL素子9011の対向電極には対向電位が与えられている。電源電位と対向電位は、表示装置の外付けのICに設けられた電源9005によって与えられる。
【0011】
次に、図15(A)に示した画素の動作について説明する。時分割階調表示を行う場合、発光装置の動作は、書き込み期間と、表示期間とに分けて説明することができる。
【0012】
書き込み期間において、ゲート信号線Gjに入力された選択信号によって、スイッチング用TFT9008がオンになり、ソース信号線Siに入力された画像情報を有するデジタル信号(以下、デジタルビデオ信号と呼ぶ)が、スイッチング用TFT9008を介してEL駆動用TFT9009のゲート電極に入力される。なお本明細書において、デジタルビデオ信号がスイッチング用TFT9008を介してEL駆動用TFT9009のゲート電極に入力されることを、画素にデジタルビデオ信号が入力されるという。
【0013】
EL駆動用TFT9009のゲート電極に入力されたデジタルビデオ信号が有する、1または0の情報によって、EL駆動用TFT9009のスイッチングが制御される。
【0014】
EL駆動用TFT9009がオフになる場合、電源供給線Viの電位がEL素子9011の有する画素電極に与えられない。また、EL駆動用TFT9009がオンになる場合、電源供給線Viの電位がEL素子9011の有する画素電極に与えられる。
【0015】
そして全ての画素にデジタルビデオ信号が入力されるまで、切り替えスイッチはオフになっており、対向電位は電源電位と同じ高さになっている。
【0016】
全ての画素にデジタルビデオ信号が入力されると、書き込み期間が終了し、表示期間が開始される。表示期間において、切り替えスイッチはオンになり、電源9005によって、対向電位が電源電位と電位差を有する高さになる。EL駆動用TFT9009がオンの場合、この電位差はEL素子9011の画素電極と対向電極の間にかかり、EL素子9011は発光する。なおこのときの対向電位と電源電位の電位差は、EL素子が発光する程度の大きさであることが必要である。
【0017】
逆にEL駆動用TFT9009がオフの場合、EL素子9009の画素電極は対向電位と同じ高さに保たれるので、EL素子9011は発光しない。なお、本明細書においては、EL素子9011の画素電極と対向電極の間の電位差をEL駆動電圧と呼ぶ。
【0018】
書き込み期間と表示期間を合わせてサブフレーム期間と呼ぶ。1フレーム期間内に、デジタルビデオ信号の各ビットに対応した複数のサブフレーム期間が設けられている。
【0019】
図14(B)に、5ビットのデジタルビデオ信号に対応するサブフレーム期間(SF1〜SF5)の出現するタイミングを示す。横軸は時間を示しており、縦軸はEL駆動電圧を示している。なお説明を簡便にするために、図14(B)では、各ビットのデジタルビデオ信号によってEL駆動用TFT9009が常にオンになっている場合について示している。
【0020】
各サブフレーム期間の書き込み期間において、EL駆動電圧は0であるため、EL素子9011は発光しない。各サブフレーム期間の表示期間において、EL駆動電圧の絶対値が0よりも大きくなり、EL素子9011は発光する。
【0021】
そして、においてEL駆動電圧は常に一定である。切り替えスイッチ9006がオンのときのEL駆動電圧は常に同じ大きさに保たれている。
【0022】
EL素子9011が発光する期間の長さを制御することで、所望の階調を表示することが可能になる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
ところで、未知の対象物の画像、例えば、防犯や立入禁止区域への不法侵入者の検知のために設けられた監視カメラの画像、また個人を照合するために撮影した顔や指紋の画像、医療分野において、放射線、荷電粒子、電磁波等により得られる生体内の器官の画像等、を発光装置に表示することで対象物を認識する場合、より鮮明な画像を表示することが求められる。
【0024】
しかし、いくら発光装置の性能が向上して、より鮮明な画像を表示することが可能になっても、発光装置に入力されるビデオ信号が情報として有する画像自体が全体的に暗かったり、不鮮明であれば、鮮明な画像を表示することができず、対象物の認識が難しくなる。
【0025】
上述した問題に鑑み、本発明は、発光装置に入力されるビデオ信号が情報として有する画像自体が全体的に暗かったり、不鮮明であっても、対象物の認識を容易にすることができる発光装置の考案を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0026】
本発明では、1フレーム期間内の少なくとも1つの表示期間において、画素電極と対向電極の間に印加されるEL駆動電圧の絶対値を、一時的に大きくして、EL素子の輝度を高くした。つまり、全ての表示期間における電源電位と対向電位の電位差を常に一定に保つのではなく、少なくとも1つの表示期間内のある一定の期間(強発光期間)において、電源電位と対向電位の電位差の絶対値を他の期間に比べて大きくし、EL素子の輝度が高くなるようにした。
【0027】
上記構成によって、発光装置に入力されるビデオ信号が情報として有する画像自体が全体的に暗くても、実際に表示される画像が明るくなるので、対象物の認識を容易にすることができる。
【0028】
また、ある画素が表示する階調が、ある一定の階調より明るいときに、該画素のEL素子に印加されるEL駆動電圧の絶対値を大きくし、EL素子の輝度を高くしても良い。上記構成により、明るい階調を表示する画素はより明るくなり、画像のコントラストが大きくなって、画像が鮮明になり、対象物の認識を容易にすることができる。
【0029】
また、各画素に入力されるデジタルビデオ信号から、隣接する画素に比べて階調が大きく異なる画素を特定することにより、対象物の輪郭を検出し、画像の輪郭の部分の画素においてのみコントラストを大きくしても良い。上記構成によって、画像の輪郭が抽出され、画像が鮮明になり、対象物の認識を容易にすることができる。
【0030】
以下に、本発明の構成を示す。
【0031】
本発明によって、 EL素子を有する複数の画素が設けられた発光装置であって、 1フレーム期間において、前記EL素子が発光している期間のうちの所定の期間における前記EL素子の輝度が、前記EL素子が発光している期間のうちの所定の期間以外の期間における前記複数のEL素子の輝度に比べて高いことを特徴とする発光装置が提供される。
【0032】
本発明によって、 EL素子を有する複数の画素が設けられた発光装置であって、 1フレーム期間に複数のサブフレーム期間が設けられており、 前記複数のサブフレーム期間の少なくとも1つのサブフレーム期間において、前記EL素子が発光している期間のうちの所定の期間における前記EL素子の輝度が、前記EL素子が発光している期間のうちの所定の期間以外の期間における前記複数のEL素子の輝度に比べて高いことを特徴とする発光装置が提供される。
【0033】
本発明によって、 EL素子を有する複数の画素が設けられた発光装置であって、 前記EL素子は画素電極と、対向電極と、前記画素電極と前記対向電極の間に設けられたEL層とを有し、 前記EL素子が発光しているときに前記画素電極に与えられる電位は常に一定であり、 前記EL素子が発光しているときに前記対向電極に与えられる電位の高さを変えることで、1フレーム期間において、所定の期間における前記EL素子の輝度が、前記所定の期間以外の期間における前記複数のEL素子の輝度に比べて高くすることを特徴とする発光装置が提供される。
【0034】
本発明によって、 EL素子を有する複数の画素が設けられた発光装置であって、 1フレーム期間に複数のサブフレーム期間が設けられており、 前記EL素子は画素電極と、対向電極と、前記画素電極と前記対向電極の間に設けられたEL層とを有し、 前記EL素子が発光しているときに前記画素電極に与えられる電位は常に一定であり、 前記EL素子が発光しているときに前記対向電極に与えられる電位の高さを変えることで、前記複数のサブフレーム期間の少なくとも1つのサブフレーム期間において、所定の期間における前記EL素子の輝度が、前記所定の期間以外の期間における前記複数のEL素子の輝度に比べて高くすることを特徴とする発光装置が提供される。
【0035】
本発明によって、 EL素子を有する複数の画素が設けられた発光装置であって、 前記EL素子は画素電極と、対向電極と、前記画素電極と前記対向電極の間に設けられたEL層とを有し、 前記EL素子が発光しているときに前記対向電極に与えられる電位は常に一定であり、 前記EL素子が発光しているときに前記画素電極に与えられる電位の高さを変えることで、1フレーム期間において、所定の期間における前記EL素子の輝度が、前記所定の期間以外の期間における前記複数のEL素子の輝度に比べて高くすることを特徴とする発光装置が提供される。
【0036】
本発明によって、 EL素子を有する複数の画素が設けられた発光装置であって、 1フレーム期間に複数のサブフレーム期間が設けられており、 前記EL素子は画素電極と、対向電極と、前記画素電極と前記対向電極の間に設けられたEL層とを有し、 前記EL素子が発光しているときに前記対向電極に与えられる電位は常に一定であり、 前記EL素子が発光しているときに前記画素電極に与えられる電位の高さを変えることで、前記複数のサブフレーム期間の少なくとも1つのサブフレーム期間において、所定の期間における前記EL素子の輝度が、前記所定の期間以外の期間における前記複数のEL素子の輝度に比べて高くすることを特徴とする発光装置が提供される。
【0037】
本発明によって、 EL素子、第1EL駆動用TFT及び第2EL駆動用TFTを有する複数の画素と、第1の電源と、第2の電源とが設けられた発光装置であって、 前記EL素子は画素電極と、対向電極と、前記画素電極と前記対向電極の間に設けられたEL層とを有し、 前記EL素子が発光しているときに前記対向電極に与えられる電位は常に一定であり、 前記EL素子が発光しているときに、前記第1EL駆動用TFTを介して前記第1の電源から前記画素電極に電位を与えるか、前記第2EL駆動用TFTを介して前記第2の電源から前記画素電極に電位を与えるかを選択して、前記画素電極に与えられる電位の高さを変えることで、1フレーム期間において、所定の期間における前記EL素子の輝度が、前記所定の期間以外の期間における前記複数のEL素子の輝度に比べて高くすることを特徴とする発光装置が提供される。
【0038】
本発明によって、 EL素子、第1EL駆動用TFT及び第2EL駆動用TFTを有する複数の画素と、第1の電源と、第2の電源とが設けられた発光装置であって、 1フレーム期間に複数のサブフレーム期間が設けられており、 前記EL素子は画素電極と、対向電極と、前記画素電極と前記対向電極の間に設けられたEL層とを有し、 前記EL素子が発光しているときに前記対向電極に与えられる電位は常に一定であり、 前記EL素子が発光しているときに、前記第1EL駆動用TFTを介して前記第1の電源から前記画素電極に電位を与えるか、前記第2EL駆動用TFTを介して前記第2の電源から前記画素電極に電位を与えるかを選択して、前記画素電極に与えられる電位の高さを変えることで、前記複数のサブフレーム期間の少なくとも1つのサブフレーム期間において、所定の期間における前記EL素子の輝度が、前記所定の期間以外の期間における前記複数のEL素子の輝度に比べて高くすることを特徴とする発光装置が提供される。
【0039】
本発明によって、 EL素子を有する複数の画素が設けられた発光装置であって、 第1のモードまたは第2のモードで動作しており、 前記第1のモードでは、前記EL素子が発光している期間において、前記EL素子の輝度が常に一定に保たれており、 前記第2のモードでは、前記EL素子が発光している期間のうちの所定の期間における前記EL素子の輝度が、前記EL素子が発光している期間のうちの所定の期間以外の期間における前記複数のEL素子の輝度に比べて高くなっていることを特徴とする発光装置が提供される。
【0040】
本発明によって、 EL素子を有する複数の画素が設けられた発光装置であって、 第1のモードまたは第2のモードで動作しており、 前記第1のモードでは、前記EL素子が発光している期間において、前記EL素子の輝度が常に一定に保たれており、 前記第2のモードでは、前記EL素子が発光している期間のうちの所定の期間における前記EL素子の輝度が、前記EL素子が発光している期間のうちの所定の期間以外の期間における前記複数のEL素子の輝度に比べて高くなっており、 前記複数の画素のうち、表示する階調が一定の階調より暗い画素では第1のモードで動作し、 前記複数の画素のうち、表示する階調が一定の階調より明るい画素では第2のモードで動作することを特徴とする発光装置が提供される。
【0041】
本発明によって、 EL素子を有する複数の画素が設けられた発光装置であって、 第1のモードまたは第2のモードで動作しており、 前記第1のモードでは、前記EL素子が発光している期間において、前記EL素子の輝度が常に一定に保たれており、 前記第2のモードでは、前記EL素子が発光している期間のうちの所定の期間における前記EL素子の輝度が、前記EL素子が発光している期間のうちの所定の期間以外の期間における前記複数のEL素子の輝度に比べて高くなっており、 前記複数の画素のうち、隣接する画素に比べて、表示する階調が一定の値以上明るい画素のみ第2のモードで動作し、 前記複数の画素のうち、隣接する画素に比べて、表示する階調が一定の値以上明るい画素以外の画素は第1のモードで動作することを特徴とする発光装置が提供される。
【0042】
本発明によって、 EL素子を有する複数の画素が設けられた発光装置の駆動方法であって、 1フレーム期間において、前記EL素子が発光している期間のうちの所定の期間における前記EL素子の輝度が、前記EL素子が発光している期間のうちの所定の期間以外の期間における前記複数のEL素子の輝度に比べて高いことを特徴とする発光装置の駆動方法が提供される。
【0043】
本発明によって、 EL素子を有する複数の画素が設けられた発光装置の駆動方法であって、 1フレーム期間に複数のサブフレーム期間が設けられており、 前記複数のサブフレーム期間の少なくとも1つのサブフレーム期間において、前記EL素子が発光している期間のうちの所定の期間における前記EL素子の輝度が、前記EL素子が発光している期間のうちの所定の期間以外の期間における前記複数のEL素子の輝度に比べて高いことを特徴とする発光装置の駆動方法が提供される。
【0044】
本発明によって、 EL素子を有する複数の画素が設けられた発光装置の駆動方法であって、 前記EL素子は画素電極と、対向電極と、前記画素電極と前記対向電極の間に設けられたEL層とを有し、 前記EL素子が発光しているときに前記画素電極に与えられる電位は常に一定であり、 前記EL素子が発光しているときに前記対向電極に与えられる電位の高さを変えることで、1フレーム期間において、所定の期間における前記EL素子の輝度が、前記所定の期間以外の期間における前記複数のEL素子の輝度に比べて高くすることを特徴とする発光装置の駆動方法が提供される。
【0045】
本発明によって、 EL素子を有する複数の画素が設けられた発光装置の駆動方法であって、 1フレーム期間に複数のサブフレーム期間が設けられており、 前記EL素子は画素電極と、対向電極と、前記画素電極と前記対向電極の間に設けられたEL層とを有し、 前記EL素子が発光しているときに前記画素電極に与えられる電位は常に一定であり、 前記EL素子が発光しているときに前記対向電極に与えられる電位の高さを変えることで、前記複数のサブフレーム期間の少なくとも1つのサブフレーム期間において、所定の期間における前記EL素子の輝度が、前記所定の期間以外の期間における前記複数のEL素子の輝度に比べて高くすることを特徴とする発光装置の駆動方法が提供される。
【0046】
本発明によって、 EL素子を有する複数の画素が設けられた発光装置の駆動方法であって、 前記EL素子は画素電極と、対向電極と、前記画素電極と前記対向電極の間に設けられたEL層とを有し、 前記EL素子が発光しているときに前記対向電極に与えられる電位は常に一定であり、 前記EL素子が発光しているときに前記画素電極に与えられる電位の高さを変えることで、1フレーム期間において、所定の期間における前記EL素子の輝度が、前記所定の期間以外の期間における前記複数のEL素子の輝度に比べて高くすることを特徴とする発光装置の駆動方法が提供される。
【0047】
本発明によって、 EL素子を有する複数の画素が設けられた発光装置の駆動方法であって、 1フレーム期間に複数のサブフレーム期間が設けられており、 前記EL素子は画素電極と、対向電極と、前記画素電極と前記対向電極の間に設けられたEL層とを有し、 前記EL素子が発光しているときに前記対向電極に与えられる電位は常に一定であり、 前記EL素子が発光しているときに前記画素電極に与えられる電位の高さを変えることで、前記複数のサブフレーム期間の少なくとも1つのサブフレーム期間において、所定の期間における前記EL素子の輝度が、前記所定の期間以外の期間における前記複数のEL素子の輝度に比べて高くすることを特徴とする発光装置の駆動方法が提供される。
【0048】
本発明によって、 EL素子、第1EL駆動用TFT及び第2EL駆動用TFTを有する複数の画素と、第1の電源と、第2の電源とが設けられた発光装置の駆動方法であって、 前記EL素子は画素電極と、対向電極と、前記画素電極と前記対向電極の間に設けられたEL層とを有し、 前記EL素子が発光しているときに前記対向電極に与えられる電位は常に一定であり、 前記EL素子が発光しているときに、前記第1EL駆動用TFTを介して前記第1の電源から前記画素電極に電位を与えるか、前記第2EL駆動用TFTを介して前記第2の電源から前記画素電極に電位を与えるかを選択して、前記画素電極に与えられる電位の高さを変えることで、1フレーム期間において、所定の期間における前記EL素子の輝度が、前記所定の期間以外の期間における前記複数のEL素子の輝度に比べて高くすることを特徴とする発光装置の駆動方法が提供される。
【0049】
本発明によって、 EL素子、第1EL駆動用TFT及び第2EL駆動用TFTを有する複数の画素と、第1の電源と、第2の電源とが設けられた発光装置の駆動方法であって、 1フレーム期間に複数のサブフレーム期間が設けられており、 前記EL素子は画素電極と、対向電極と、前記画素電極と前記対向電極の間に設けられたEL層とを有し、 前記EL素子が発光しているときに前記対向電極に与えられる電位は常に一定であり、 前記EL素子が発光しているときに、前記第1EL駆動用TFTを介して前記第1の電源から前記画素電極に電位を与えるか、前記第2EL駆動用TFTを介して前記第2の電源から前記画素電極に電位を与えるかを選択して、前記画素電極に与えられる電位の高さを変えることで、前記複数のサブフレーム期間の少なくとも1つのサブフレーム期間において、所定の期間における前記EL素子の輝度が、前記所定の期間以外の期間における前記複数のEL素子の輝度に比べて高くすることを特徴とする発光装置の駆動方法が提供される。
【0050】
本発明によって、 EL素子を有する複数の画素が設けられた発光装置の駆動方法であって、 第1のモードまたは第2のモードで動作しており、 前記第1のモードでは、前記EL素子が発光している期間において、前記EL素子の輝度が常に一定に保たれており、 前記第2のモードでは、前記EL素子が発光している期間のうちの所定の期間における前記EL素子の輝度が、前記EL素子が発光している期間のうちの所定の期間以外の期間における前記複数のEL素子の輝度に比べて高くなっていることを特徴とする発光装置の駆動方法が提供される。
【0051】
本発明によって、 EL素子を有する複数の画素が設けられた発光装置の駆動方法であって、 第1のモードまたは第2のモードで動作しており、 前記第1のモードでは、前記EL素子が発光している期間において、前記EL素子の輝度が常に一定に保たれており、 前記第2のモードでは、前記EL素子が発光している期間のうちの所定の期間における前記EL素子の輝度が、前記EL素子が発光している期間のうちの所定の期間以外の期間における前記複数のEL素子の輝度に比べて高くなっており、 前記複数の画素のうち、表示する階調が一定の階調より暗い画素では第1のモードで動作し、 前記複数の画素のうち、表示する階調が一定の階調より明るい画素では第2のモードで動作することを特徴とする発光装置の駆動方法が提供される。
【0052】
本発明によって、 EL素子を有する複数の画素が設けられた発光装置の駆動方法であって、 第1のモードまたは第2のモードで動作しており、 前記第1のモードでは、前記EL素子が発光している期間において、前記EL素子の輝度が常に一定に保たれており、 前記第2のモードでは、前記EL素子が発光している期間のうちの所定の期間における前記EL素子の輝度が、前記EL素子が発光している期間のうちの所定の期間以外の期間における前記複数のEL素子の輝度に比べて高くなっており、 前記複数の画素のうち、隣接する画素に比べて、表示する階調が一定の値以上明るい画素のみ第2のモードで動作し、 前記複数の画素のうち、隣接する画素に比べて、表示する階調が一定の値以上明るい画素以外の画素は第1のモードで動作することを特徴とする発光装置の駆動方法が提供される。
【発明の効果】
【0053】
本発明は上記構成によって、発光装置に入力されるビデオ信号が情報として有する画像自体が全体的に暗くても、実際に表示される画像が明るくなるので、対象物の認識を容易にすることができる。
【0054】
また、ある画素が表示する階調が、ある一定の階調より明るいときに、該画素のEL素子に印加されるEL駆動電圧の絶対値を大きくし、EL素子の輝度を高くしても良い。上記構成により、明るい階調を表示する画素はより明るくなり、画像のコントラストが大きくなって、画像が鮮明になり、対象物の認識を容易にすることができる。
【0055】
また、各画素に入力されるデジタルビデオ信号から、隣接する画素に比べて階調が大きく異なる画素を特定することにより、対象物の輪郭を検出し、画像の輪郭の部分の画素においてのみコントラストを大きくしても良い。上記構成によって、画像の輪郭が抽出され、画像が鮮明になり、対象物の認識を容易にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0056】
(実施の形態1)
以下に、本発明の構成について説明する。図1に本実施の形態の発光装置のブロック図を示す。
【0057】
ELパネル100は、画素部101と、ソース信号線駆動回路102と、ゲート信号線駆動回路103とを有している。画素部101にはソース信号線S1〜Sxと、ゲート信号線G1〜Gyと、電源供給線V1〜Vxと、対向電源線Ve1〜Veyとが設けられている。なお、対向電源線の数は必ずしもゲート信号線と同じ数であるとは限らず、また電源供給線の数も、必ずしもソース信号線と同じ数であるとは限らない。
【0058】
ソース信号線S1〜Sxの少なくとも1つと、ゲート信号線G1〜Gyの少なくとも1つと、電源供給線V1〜Vxの少なくとも1つと、対向電源線Ve1〜Veyの少なくとも1つを有する領域が、画素104に相当する。よって、画素部101には複数の画素104がマトリクス上に設けられている。
【0059】
105は電源回路であり、電源A(第1の電源)106と電源B(第2の電源)107の2つの電源が設けられている。電源A106と電源B107によって、電源供給線V1〜Vxは常に一定の電位(電源電位)に保たれている。
【0060】
また電源回路105は選択スイッチA108と、選択スイッチB109と、切り替えスイッチ110とを有している。切り替えスイッチ110は対向電源線Ve1〜Veyに電源A106または電源B107によって電位を与えるか否かを選択するスイッチである。
【0061】
また選択スイッチA108と選択スイッチB109は、一方がオンのときにもう一方がオフになる。切り替えスイッチ110がオンで、なおかつ選択スイッチA108がオンのとき、選択スイッチA108及び切り替えスイッチ110を介して、電源A106から電位(非強調時電位)が対向電源線Ve1〜Veyに与えられる。逆に、切り替えスイッチ110がオンで、なおかつ選択スイッチB109がオンのとき、選択スイッチB109及び切り替えスイッチ110を介して、電源B107から電位(強調時電位)が対向電源線Ve1〜Veyに与えられる。
【0062】
なお、本実施の形態では、ソース信号線駆動回路102とゲート信号線駆動回路103と、画素部101とが同じ基板上に形成され、電源回路105がICチップ上に形成され、互いにFPC等のコネクターを介して接続されているが、本発明はこの構成に限定されない。ソース信号線駆動回路102と、ゲート信号線駆動回路103とは、画素部101と同じ基板上に形成されていなくとも良く、電源回路105と同じ基板上に形成されていても良い。また、電源回路105が有する選択スイッチA108と、選択スイッチB109と、切り替えスイッチ110とは、必ずしもICチップ上に形成する必要はなく、画素部101と同じ基板上に形成しても良い。
【0063】
図2(A)に画素104の詳しい構成を示す。画素104は、ソース信号線Si(S1〜Sxのいずれか1つ)と、電源供給線Vi(V1〜Vxのいずれか1つ)と、ゲート信号線Gj(G1〜Gyのいずれか1つ)と、対向電源線Vej(Ve1〜Veyのいずれか1つ)とを有している。
【0064】
また画素104はスイッチング用TFT111とEL駆動用TFT112とを有している。スイッチング用TFT111のゲート電極は、ゲート信号線Gjに接続されている。スイッチング用TFT111のソース領域とドレイン領域は、一方がソース信号線Siに、もう一方がEL駆動用TFT112のゲート電極にそれぞれ接続されている。
【0065】
また、EL駆動用TFT112のソース領域とドレイン領域は、一方は電源供給線Viに接続され、もう一方はEL素子113に接続される。
【0066】
EL素子113は陽極と陰極と、陽極と陰極との間に設けられたEL層とからなる。陽極がEL駆動用TFT112のソース領域またはドレイン領域と接続している場合、陽極が画素電極、陰極が対向電極となる。逆に陰極がEL駆動用TFT112のソース領域またはドレイン領域と接続している場合、陰極が画素電極、陽極が対向電極となる。
【0067】
全ての電源供給線V1〜Vxには、電源A106及び電源B107によって一定の電源電位が与えられている。また全ての画素が有するEL素子113の対向電極は、対向電源線Ve1〜Veyのいずれかに接続されている。切り替えスイッチ110と、選択スイッチA108とがオンのとき、全ての対向電源線Ve1〜Veyに、電源A106によって非強調時電位が与えられ、切り替えスイッチ110と、選択スイッチB109とがオンのとき、全ての対向電源線Ve1〜Veyに、電源B107によって強調時電位が与えられる。
【0068】
次に、図1及び図2(A)に示した本発明の発光装置の動作について説明する。時分割階調表示を行う場合、本発明の発光装置の動作は、書き込み期間と、表示期間とに分けて説明することができる。
【0069】
書き込み期間において、ゲート信号線G1〜Gyが順に選択信号によって選択され、ソース信号線S1〜Sxに入力されたデジタルビデオ信号が各画素に入力される。なお本明細書において信号線が選択されるとは、該信号線にゲート電極が接続された全てのTFTがオンになることを意味する。また、本明細書において画素にデジタルビデオ信号が入力されるというのは、デジタルビデオ信号が該画素の有するスイッチング用TFTを介して、EL駆動用TFTのゲート電極に入力されることを意味する。
【0070】
ここで、画素の詳しい動作について、図2(A)に示した画素を例にとって説明する。
【0071】
ゲート信号線Gjに入力された選択信号によって、スイッチング用TFT111がオンになり、ソース信号線Siに入力された画像情報を有するデジタル信号(以下、デジタルビデオ信号と呼ぶ)が、スイッチング用TFT111を介してEL駆動用TFT112のゲート電極に入力される。
【0072】
EL駆動用TFT112のゲート電極に入力されたデジタルビデオ信号が有する、1または0の情報によって、EL駆動用TFT112のスイッチングが制御される。
【0073】
EL駆動用TFT112がオフになる場合、電源供給線Viの電源電位は、EL素子113の有する画素電極に与えられない。また、EL駆動用TFT112がオンになる場合、電源供給線Viの電源電位は、EL素子113の有する画素電極に与えられる。
【0074】
そして全ての画素にデジタルビデオ信号が入力されるまで切り替えスイッチはオフになっており、EL素子113の画素電極と対向電極は、同じ高さの電位に保たれている。
【0075】
全ての画素にデジタルビデオ信号が入力されると、書き込み期間が終了し、表示期間が開始される。表示期間において、切り替えスイッチ110はオンになる。
【0076】
そして、切り替えスイッチ110と、選択スイッチA108または選択スイッチB109とを介して、強調時電位または非強調時電位が全ての対向電源線Ve1〜Veyに与えられる。
【0077】
電源電位と強調時電位、また電源電位と非強調時電位は、それぞれ電位差を有している。
【0078】
EL駆動用TFT112がオンの場合、この電位差はEL素子113の画素電極と対向電極の間にかかり、EL素子113は発光する。本実施の形態では、強調時電位が対向電極に与えられたときの、EL素子113の画素電極と対向電極の間の電位差を強調時EL駆動電圧Vaと呼ぶ。また、本実施の形態では、非強調時電位が対向電極に与えられたときの、EL素子113の画素電極と対向電極の間の電位差を非強調時EL駆動電圧Vbと呼ぶ。なお、本明細書では、強調時EL駆動電圧と、非強調時EL駆動電圧とを総称してEL駆動電圧と呼ぶ。
【0079】
強調時EL駆動電圧によってEL素子113が発光したときの輝度と、非強調時EL駆動電圧によってEL素子113が発光したときの輝度では、前者のほうが高い。なお、以下本明細書において、強調時EL駆動電圧によってEL素子が発光することを、EL素子が強発光すると呼び、非強調時EL駆動電圧によってEL素子が発光することを、EL素子が通常発光すると呼ぶ。
【0080】
一方、EL駆動用TFT112がオフの場合、EL素子113の画素電極は対向電極の電位と同じ高さに保たれるので、EL素子113は発光しない。
【0081】
書き込み期間と表示期間を合わせてサブフレーム期間SFと呼ぶ。1フレーム期間内に、デジタルビデオ信号の各ビットに対応した複数のサブフレーム期間が設けられている。
【0082】
図2(B)に、本発明の発光装置を5ビットのデジタルビデオ信号で駆動させた場合において、サブフレーム期間(SF1〜SF5)の出現するタイミングを示す。横軸は時間を示しており、縦軸はEL駆動電圧を示している。なお説明を簡便にするために、図2(B)では、各ビットのデジタルビデオ信号によってEL駆動用TFT112が常にオンになっている場合について示している。また、図2(B)では5ビットのデジタルビデオ信号で駆動させた場合について説明しているが、本発明はこのビット数に限定されない。
【0083】
SF1〜SF5の各サブフレーム期間の書き込み期間において、EL駆動電圧は0であるため、EL素子113は発光しない。SF1〜SF5の各サブフレーム期間の表示期間において、EL駆動電圧の絶対値が0よりも大きくなり、EL素子113は発光する。
【0084】
本実施の形態では、5ビット目のデジタルビデオ信号に対応するサブフレーム期間SF5の表示期間の一部においてのみ、選択スイッチA108をオン、選択スイッチB109をオフにして、電源A106により強調時電位を対向電源線Ve1〜Veyに与えている。強調時電位が対向電源線Ve1〜Veyに与えられると、オンのEL駆動用TFT112を介して強調時電位が画素電極に与えられる。その結果、EL素子113に強調時EL駆動電圧が印加され、EL素子113が強発光する。なお、EL素子が強発光している期間を、強発光期間と呼ぶ。
【0085】
そして、サブフレーム期間SF5の表示期間のうち、強発光期間以外の期間と、他のサブフレーム期間SF1〜SF4が有する全ての表示期間においては、選択スイッチA108がオフ、選択スイッチB109がオンになり、電源B107により非強調時電位が対向電源線Ve1〜Veyに与えられる。非強調時電位が対向電源線Ve1〜Veyに与えられると、オンのEL駆動用TFT112を介して非強調時電位が画素電極に与えられる。その結果、EL素子113に非強調時EL駆動電圧が印加され、EL素子113が通常発光する。
【0086】
なお強発光期間は、本実施の形態で示したように、必ずしも最上位ビットに対応するサブフレーム期間内に設ける必要はない。強発光期間は、どのサブフレーム期間にも設けることができる。また本実施の形態では、1フレーム期間中において、1つのサブフレーム期間にのみ強発光期間を設けたが、本発明はこの構成に限定されない。1フレーム期間中において、複数のサブフレーム期間のそれぞれに強発光期間を設けても良い。
【0087】
また強発光期間の長さは設計者が任意に設定することができるが、最も短い表示期間と同じか、それより短い方が好ましい。
【0088】
また、本発明の発光装置では、強発光期間が設けられていないフレーム期間によって画像を表示する通常のモードと、強発光期間が設けらたフレーム期間によって画像を表示する強発光のモードとを自由に選択することが可能である。例えば、使用者が選択した場合や、発光装置を有する電子機器によって自動的に選択された場合にのみ、強発光のモードが選択されるようにしても良い。
【0089】
また本発明では、nビット(nは任意の自然数)のデジタルビデオ信号を用いて表示を行う場合、表示期間の長さ比が、デジタルビデオ信号の最下位ビットに対応する表示期間から順に、20:21:22:…:2(n-2):2(n-1)となるようにすることが必要である。この表示期間の組み合わせで2n階調のうち所望の階調表示を行うことができる。またサブフレーム期間の出現する順序は、本実施の形態に示した順序に限定されない。サブフレーム期間SF1〜SFnは、どのような順序で出現させても良い。
【0090】
本発明では、1フレーム期間内に強発光期間を設けることによって、発光装置に入力されるビデオ信号が情報として有する画像自体が全体的に暗くても、実際に表示される画像が明るくなるので、対象物の認識を容易にすることができる。
【0091】
(実施の形態2)
本実施の形態では、画素部が有する特定の画素のみに、強発光期間を設ける構成について説明する。図3に本実施の形態の発光装置のブロック図を示す。
【0092】
ELパネル200は、画素部201と、第1ソース信号線駆動回路202aと、第2ソース信号線駆動回路202bと、ゲート信号線駆動回路203とを有している。画素部201には第1ソース信号線Sa1〜Saxと、第2ソース信号線Sb1〜Sbxと、ゲート信号線G1〜Gyと、第1電源供給線Va1〜Vaxと、第2電源供給線Vb1〜Vbxと、対向電源線Ve1〜Veyとが設けられている。なお、対向電源線の数は必ずしもゲート信号線と同じ数であるとは限らず、また第1または第2電源供給線の数も、必ずしも第1または第2ソース信号線と同じ数であるとは限らない。
【0093】
第1ソース信号線Sa1〜Saxの少なくとも1つと、第2ソース信号線Sb1〜Sbxの少なくとも1つと、ゲート信号線G1〜Gyの少なくとも1つと、第1電源供給線Va1〜Vaxの少なくとも1つと、第2電源供給線Vb1〜Vbxの少なくとも1つと、対向電源線Ve1〜Veyの少なくとも1つを有する領域が、画素204に相当する。よって、画素部201には複数の画素204がマトリクス上に設けられている。
【0094】
205は電源回路であり、電源A206と電源B207の2つの電源が設けられている。電源A206によって、第1電源供給線Va1〜Vaxに一定の電位(強調時電源電位)が与えられている。また、電源B207によって、第2電源供給線Vb1〜Vbxに一定の電位(非強調時電源電位)が与えられている。
【0095】
また電源回路205は切り替えスイッチ210を有している。切り替えスイッチ210は対向電源線Ve1〜Veyに電源A206及び電源B207によって電位を与えるか否かを選択するスイッチである。
【0096】
切り替えスイッチ210がオンになると、切り替えスイッチ210を介して、電源A206及び電源B207によって、一定の対向電位が対向電源線Ve1〜Veyに与えられる。
【0097】
なお、本実施の形態では、第1ソース信号線駆動回路202aと、第2ソース信号線駆動回路202bと、ゲート信号線駆動回路203と、画素部201とが同じ基板上に形成され、電源回路205がICチップ上に形成され、互いにFPC等のコネクターを介して接続されているが、本発明はこの構成に限定されない。第1ソース信号線駆動回路202aと、第2ソース信号線駆動回路202bと、ゲート信号線駆動回路203とは、画素部201と同じ基板上に形成されていなくとも良く、電源回路205と同じ基板上に形成されていても良い。また、電源回路205が有する切り替えスイッチ210は、必ずしもICチップ上に形成する必要はなく、画素部201と同じ基板上に形成しても良い。
【0098】
図4(A)に画素204の詳しい構成を示す。画素204は、第1ソース信号線Sai(Sa1〜Saxのいずれか1つ)と、第2ソース信号線Sbi(Sb1〜Sbxのいずれか1つ)と、第1電源供給線Vai(Va1〜Vaxのいずれか1つ)と、第2電源供給線Vbi(Vb1〜Vbxのいずれか1つ)と、ゲート信号線Gj(G1〜Gyのいずれか1つ)と、対向電源線Vej(Ve1〜Veyのいずれか1つ)とを有している。
【0099】
また画素204は、第1スイッチング用TFT211aと、第2スイッチング用TFT211bと、第1EL駆動用TFT212aと、第2EL駆動用TFT212bとを有している。第1スイッチング用TFT211aと、第2スイッチング用TFT211bは、互いに極性が同じである。また、第1EL駆動用TFT212aと、第2EL駆動用TFT212bは、互いに極性が同じである。
【0100】
第1及び第2スイッチング用TFT211a、211bのゲート電極は、ゲート信号線Gjに接続されている。第1スイッチング用TFT211aのソース領域とドレイン領域は、一方が第1ソース信号線Saiに、もう一方が第1EL駆動用TFT212aのゲート電極にそれぞれ接続されている。また、第2スイッチング用TFT211bのソース領域とドレイン領域は、一方が第2ソース信号線Sbiに、もう一方が第2EL駆動用TFT212bのゲート電極にそれぞれ接続されている。
【0101】
また、第1EL駆動用TFT212aのソース領域とドレイン領域は、一方は第1電源供給線Vaiに接続され、もう一方はEL素子213に接続される。また、第2EL駆動用TFT212bのソース領域とドレイン領域は、一方は第2電源供給線Vbiに接続され、もう一方はEL素子213に接続される。
【0102】
EL素子213は陽極と陰極と、陽極と陰極との間に設けられたEL層とからなる。陽極が第1EL駆動用TFT212aのソース領域もしくはドレイン領域と接続している場合、または、陽極が第2EL駆動用TFT212bのソース領域もしくはドレイン領域と接続している場合、陽極が画素電極、陰極が対向電極となる。逆に陰極が第1EL駆動用TFT212aのソース領域もしくはドレイン領域と接続している場合、または、陰極が第2EL駆動用TFT212bのソース領域もしくはドレイン領域と接続している場合、陰極が画素電極、陽極が対向電極となる。
【0103】
全ての第1電源供給線Va1〜Vaxには、電源A206によって一定の強調時電源電位が与えられている。また、全ての第2電源供給線Vb1〜Vbxには、電源B207によって一定の非強調時電源電位が与えられている。
【0104】
全ての画素が有するEL素子213の対向電極は、対向電源線Ve1〜Veyのいずれかに接続されている。切り替えスイッチ210がオンのとき、全ての対向電源線Ve1〜Veyに、電源A206及び電源B207によって対向電位が与えられる。
【0105】
次に、図3及び図4(A)に示した本発明の発光装置の動作について説明する。時分割階調表示を行う場合、本発明の発光装置の動作は、書き込み期間と、表示期間とに分けて説明することができる。
【0106】
書き込み期間において、ゲート信号線G1〜Gyが順に選択信号によって選択され、デジタルビデオ信号が各画素に入力される。
【0107】
ここで、画素の詳しい動作について、図4(A)に示した画素を例にとって説明する。
【0108】
書き込み期間において、ゲート信号線Gjに入力された選択信号によって、第1及び第2スイッチング用TFT211a、211bがオンになる。
【0109】
そして本実施の形態では、第1ソース信号線Sa1〜Saxに第1デジタルビデオ信号が入力され、第2ソース信号線Sb1〜Sbxに第2デジタルビデオ信号が入力される。
【0110】
第1ソース信号線Saiに入力された第1デジタルビデオ信号が、第1スイッチング用TFT211aを介して第1EL駆動用TFT212aのゲート電極に入力される。同時に、第2ソース信号線Sbiに入力された第2デジタルビデオ信号が、第2スイッチング用TFT211bを介して第1EL駆動用TFT212aのゲート電極に入力される。
【0111】
なお、本実施の形態において、画素にデジタルビデオ信号が入力されるというのは、第1デジタルビデオ信号が該画素の有する第1スイッチング用TFTを介して、第1EL駆動用TFTのゲート電極に入力され、なおかつ、第2デジタルビデオ信号が該画素の有する第2スイッチング用TFTを介して、第2EL駆動用TFTのゲート電極に入力されることを意味する。
【0112】
第1、第2EL駆動用TFT212a、212bは、ゲート電極に入力された第1、第2デジタルビデオ信号が有する、1または0の情報によって、そのスイッチングが制御される。
【0113】
第1EL駆動用TFT212aと第2EL駆動用TFT212bは、一方がオンでもう一方がオフになるか、もしくは両方ともオフになる。
【0114】
第1及び第2EL駆動用TFT212a、212bが両方ともオフになる場合、第1電源供給線Vaiの強調時電源電位及び第2電源供給線Vbiの非強調時電源電位は、EL素子213の有する画素電極に与えられない。
【0115】
また、第1または第2EL駆動用TFT212a、212bのいずれか一方がオンになる場合、第1電源供給線Vaiの強調時電源電位または第2電源供給線Vbiの非強調時電源電位が、EL素子213の有する画素電極に与えられる。
【0116】
そして全ての画素にデジタルビデオ信号が入力されるまで切り替えスイッチはオフになっており、EL素子213の画素電極と対向電極は、同じ高さの電位に保たれている。
【0117】
全ての画素にデジタルビデオ信号が入力されると、書き込み期間が終了し、表示期間が開始される。表示期間において、切り替えスイッチ210はオンになる。
【0118】
そして、電源A206及び電源B207によって、切り替えスイッチ210を介して、対向電位が全ての対向電源線Ve1〜Veyに与えられる。
【0119】
強調時電源電位と対向電位、また非強調時電源電位と対向電位は、それぞれ電位差を有している。
【0120】
第1EL駆動用TFT212aがオンで第2EL駆動用TFT212bがオフの場合、強調時電源電位と対向電位の電位差はEL素子213の画素電極と対向電極の間にかかり、EL素子213は発光する。本実施の形態では、強調時電源電位が第1EL駆動用TFT212aを介して画素電極に与えられたときの、EL素子213の画素電極と対向電極の間の電位差を強調時EL駆動電圧Vaと呼ぶ。
【0121】
また、第1EL駆動用TFT212aがオフで第2EL駆動用TFT212bがオンの場合、非強調時電源電位と対向電位の電位差はEL素子213の画素電極と対向電極の間にかかり、EL素子213は発光する。本実施の形態では、非強調時電位がEL駆動用TFT212を介して画素電極に与えられたときの、EL素子213の画素電極と対向電極の間の電位差を非強調時EL駆動電圧Vbと呼ぶ。
【0122】
なお、本明細書では、強調時EL駆動電圧Vaと、非強調時EL駆動電圧Vbとを総称してEL駆動電圧と呼ぶ。
【0123】
強調時EL駆動電圧によってEL素子213が発光したときの輝度と、非強調時EL駆動電圧によってEL素子213が発光したときの輝度では、前者のほうが高い。
【0124】
一方、第1及び第2EL駆動用TFT212a、212bが共にオフの場合、EL素子213の画素電極と対向電極の電位は同じ高さに保たれるので、EL素子213は発光しない。
【0125】
書き込み期間と表示期間を合わせてサブフレーム期間SFと呼ぶ。1フレーム期間内に、デジタルビデオ信号の各ビットに対応した複数のサブフレーム期間が設けられている。
【0126】
図4(B)に、本発明の発光装置を5ビットのデジタルビデオ信号で駆動させた場合において、サブフレーム期間(SF1〜SF5)の出現するタイミングを示す。横軸は時間を示しており、縦軸はEL駆動電圧を示している。なお説明を簡便にするために、図2(B)では、各ビットのデジタルビデオ信号によって第1EL駆動用TFT212aと第2EL駆動用TFT212bのいずれか一方がオンになっている場合について示している。また、図2(B)では5ビットのデジタルビデオ信号で駆動させた場合について説明しているが、本発明はこのビット数に限定されない。
【0127】
SF1〜SF5の各サブフレーム期間の書き込み期間において、EL駆動電圧は0であるため、EL素子213は発光しない。SF1〜SF5の各サブフレーム期間の表示期間において、EL駆動電圧の絶対値が0よりも大きくなり、EL素子213は発光する。
【0128】
本実施の形態では、5ビット目のデジタルビデオ信号に対応するサブフレーム期間SF5の表示期間の一部においてのみ、第1EL駆動用TFT212aをオン、第2EL駆動用TFT212bをオフにして、強調時電源電位をEL素子213の画素電極に与えている。その結果、EL素子213に強調時EL駆動電圧が印加され、EL素子213が強発光する。なお、EL素子が強発光している期間を、強発光期間と呼ぶ。
【0129】
そして、サブフレーム期間SF5の表示期間のうち、強発光期間以外の期間と、他のサブフレーム期間SF1〜SF4が有する全ての表示期間においては、第1EL駆動用TFT212aをオフ、第2EL駆動用TFT212bをオンにして、非強調時電源電位をEL素子213の画素電極に与えている。その結果、EL素子213に非強調時EL駆動電圧が印加され、EL素子213が通常発光する。
【0130】
なお強発光期間は、本実施の形態で示したように、必ずしも最上位ビットに対応するサブフレーム期間内に設ける必要はない。強発光期間は、どのサブフレーム期間にも設けることができる。また本実施の形態では、1フレーム期間中において、1つのサブフレーム期間にのみ強発光期間を設けたが、本発明はこの構成に限定されない。1フレーム期間中において、複数のサブフレーム期間のそれぞれに強発光期間を設けても良い。
【0131】
また強発光期間の長さは設計者が任意に設定することができるが、最も短い表示期間と同じか、それより短い方が好ましい。
【0132】
また、本発明の発光装置では、強発光期間が設けられていないフレーム期間によって画像を表示する通常のモードと、強発光期間が設けらたフレーム期間によって画像を表示する強発光のモードとを自由に選択することが可能である。例えば、使用者が選択した場合や、発光装置を有する電子機器によって自動的に選択された場合にのみ、強発光のモードが選択されるようにしても良い。
【0133】
また本発明では、nビットのデジタルビデオ信号を用いて表示を行う場合、表示期間の長さ比が、デジタルビデオ信号の最下位ビットに対応する表示期間から順に、20:21:22:…:2(n-2):2(n-1)となるようにすることが必要である。この表示期間の組み合わせで2n階調のうち所望の階調表示を行うことができる。またサブフレーム期間の出現する順序は、本実施の形態に示した順序に限定されない。サブフレーム期間SF1〜SFnは、どのような順序で出現させても良い。
【0134】
本発明では、1フレーム期間内に強発光期間を設けることによって、発光装置に入力されるビデオ信号が情報として有する画像自体が全体的に暗くても、実際に表示される画像が明るくなるので、対象物の認識を容易にすることができる。
【0135】
また、ある画素が表示する階調が、ある一定の階調より明るいときに、該画素のEL素子に印加されるEL駆動電圧の絶対値を大きくし、EL素子の輝度を高くしても良い。上記構成により、明るい階調を表示する画素はより明るくなり、画像のコントラストが大きくなって、画像が鮮明になり、対象物の認識を容易にすることができる。
【0136】
また、各画素に入力されるデジタルビデオ信号から、隣接する画素に比べて階調が大きく異なる画素を特定することにより、対象物の輪郭を検出し、画像の輪郭の部分の画素においてのみコントラストを大きくしても良い。上記構成によって、画像の輪郭が抽出され、画像が鮮明になり、対象物の認識を容易にすることができる。
【0137】
(実施の形態3)
実施の形態1及び2では、切り替えスイッチを設けた構成について説明したが、本発明はこの構成に限定されない。切り替えスイッチは必ずしも設ける必要はない。
【0138】
ただしこの場合、書き込み期間において画素にデジタルビデオ信号(第1及び第2のデジタルビデオ信号も含む)が入力されると同時に、EL素子が発光または非発光の状態になり、画素が表示を行う。
【0139】
本実施の形態では、nビットのデジタルビデオ信号を用いて表示を行う場合、サブフレーム期間の長さ比が、デジタルビデオ信号の最下位ビットに対応するサブフレーム期間から順に、20:21:22:…:2(n-2):2(n-1)となるようにすることが必要である。このサブフレーム期間の組み合わせで2n階調のうち所望の階調表示を行うことができる。
【0140】
またサブフレーム期間の出現する順序は、本実施の形態に示した順序に限定されない。サブフレーム期間SF1〜SFnは、どのような順序で出現させても良い。
【実施例1】
【0141】
以下に、本発明の実施例について説明する。
【0142】
本実施例では、強発光のモードにおける強発光期間の出現するタイミングが、実施の形態1及び2とは異なる例について説明する。
【0143】
図5に、本発明の発光装置を5ビットのデジタルビデオ信号で駆動させた場合において、サブフレーム期間(SF1〜SF5)の出現するタイミングと、強発光期間の出現するタイミングを示す。横軸は時間を示しており、縦軸はEL駆動電圧を示している。なお説明を簡便にするために、図5では、全ての表示期間においてEL素子が強発光または通常発光している場合について示している。また、図5では5ビットのデジタルビデオ信号で駆動させた場合を例にとって説明しているが、本発明はこのビット数に限定されない。
【0144】
図5(A)では、5ビットのデジタルビデオ信号の各ビットに対応している5つのサブフレーム期間が、SF3、SF2、SF5、SF4、SF1の順序で出現している。このように、1つのサブフレーム期間内において、最も表示期間の長さが長いサブフレーム期間(本実施例ではSF5)の前後に、他のサブフレーム期間を出現させることで、中間階調を表示させたときに動画擬似輪郭が発生するのを防ぐことができる。
【0145】
そして図5(A)では、強発光期間をサブフレーム期間SF5内に設けている。
【0146】
図5(B)では、5ビットのデジタルビデオ信号の各ビットに対応している5つのサブフレーム期間が、SF1、SF2、SF5、SF3、SF4の順序で出現している。
【0147】
そして図5(A)では、強発光期間をサブフレーム期間SF1内に設けており、なおかつ強発光期間とサブフレーム期間SF1が有する表示期間とが完全に重なっている。つまり、サブフレーム期間SF1が有する表示期間において、EL素子は常に強発光している。
【0148】
また強発光期間の長さは設計者が任意に設定することができるが、最も短い表示期間と同じか、それより短い方が好ましい。
【実施例2】
【0149】
実施の形態2において、ある画素の表示する階調がある一定の階調より明るいときに、該画素のEL素子に印加されるEL駆動電圧の絶対値を大きくし、EL素子の輝度を高くする場合について、図6を用いて詳しく説明する。
【0150】
通常のモードの表示を行うためのデジタルビデオ信号が、切り替え回路220とレベル比較回路223とに入力される。レベル比較回路223において、入力されたデジタルビデオ信号によって表示を行う画素の階調が、所定の階調より明るいかどうかが判断される。
【0151】
その判断基準となるデータ(基準データ)は不揮発性メモリ221に記憶されており、揮発性メモリ222によって読み込まれ、レベル比較回路223に入力される。
【0152】
レベル比較回路223において、基準データとデジタルビデオ信号とが比較され、デジタルビデオ信号によって表示を行う画素の階調が、所定の階調より暗いと判断された場合、切り替え回路220に通常のモードで動作するように信号を送る。逆に、デジタルビデオ信号によって表示を行う画素の階調が、所定の階調より明るいと判断された場合、切り替え回路220に強発光のモードで動作するように信号を送る。
【0153】
そして、切り替え回路220が通常のモードで動作しているときは、入力されたデジタルビデオ信号から、通常のモードの表示を行うための第1デジタルビデオ信号と、第2デジタルビデオ信号とを生成し、それぞれ第1ソース信号線駆動回路202aと、第2ソース信号線駆動回路202bに入力する。その結果、画素が有するEL素子が通常発光を行う。
【0154】
逆に、切り替え回路220が強発光のモードで動作しているときは、入力されたデジタルビデオ信号から、強発光のモードの表示を行うための第1デジタルビデオ信号と、第2デジタルビデオ信号とを生成し、それぞれ第1ソース信号線駆動回路202aと、第2ソース信号線駆動回路202bに入力する。その結果、画素が有するEL素子が強発光を行う。
【0155】
上記構成により、明るい階調を表示する画素はより明るくなり、画像のコントラストが大きくなって、画像が鮮明になり、対象物の認識を容易にすることができる。
【0156】
本実施例は、実施例1に示した構成と自由に組み合わせて実施することが可能である。
【実施例3】
【0157】
実施の形態2において、各画素に入力されるデジタルビデオ信号から、隣接する画素に比べて階調が大きく異なる画素を特定することにより、対象物の輪郭を検出し、画像の輪郭の部分の画素においてのみコントラストを大きくする場合について、図7を用いて詳しく説明する。
【0158】
通常のモードの表示を行うためのデジタルビデオ信号が、選択時間補正回路230と、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)232とに入力される。
【0159】
DSP232に入力されたデジタルビデオ信号は、微分フィルタ233に入力される。微分フィルタ233では入力されたデジタルビデオ信号から、画素部が有する全ての画素について、隣接する画素どうしの階調の差が数値化され、比較回路234にデータとして送られる。
【0160】
比較回路234は、数値化されたデータが基準となる値(基準数値化データ)
よりも大きい場合、隣接する画素によって輪郭が形成されていると判断する。基準数値化データは基準値メモリ235に記憶されており、比較回路234に読み込まれている。
【0161】
レベル比較回路234において、隣接する画素において輪郭が形成されていると判断された場合、切り替え回路231に通常のモードで動作するように信号を送る。逆に、隣接する画素において輪郭が形成されていないと判断された場合、切り替え回路231に強発光のモードで動作するように信号を送る。
【0162】
一方、選択時間補正回路230に入力されたデジタルビデオ信号は、切り替え回路231にモードを選択する信号が入力されるのに同期して、切り替え回路231に入力される。
【0163】
そして、切り替え回路231が通常のモードで動作しているときは、入力されたデジタルビデオ信号から、通常のモードの表示を行うための第1デジタルビデオ信号と、第2デジタルビデオ信号とを生成し、それぞれ第1ソース信号線駆動回路202aと、第2ソース信号線駆動回路202bに入力する。その結果、隣接する2つの画素が有するEL素子は、それぞれ通常発光を行う。
【0164】
逆に、切り替え回路231が強発光のモードで動作しているときは、入力されたデジタルビデオ信号から、強発光のモードの表示を行うための第1デジタルビデオ信号と、第2デジタルビデオ信号とを生成し、それぞれ第1ソース信号線駆動回路202aと、第2ソース信号線駆動回路202bに入力する。その結果、隣接する2つの画素のうち、明るい階調を表示している画素が有するEL素子が、強発光を行う。
【0165】
上記構成によって、画像の輪郭が抽出され、画像が鮮明になり、対象物の認識を容易にすることができる。
【実施例4】
【0166】
本実施例は、実施例1に示した構成と自由に組み合わせて実施することが可能である。
本実施例では、本発明の発光装置の画素部を駆動させるために用いる、ソース信号線駆動回路(第1ソース信号線駆動回路及び第2ソース信号線駆動回路を含む)、ゲート信号線駆動回路の詳しい構成について説明する。
【0167】
図8に本実施例の発光装置の駆動回路のブロック図を示す。図8(A)はソース信号線駆動回路601であり、シフトレジスタ602、ラッチ(A)603、ラッチ(B)604を有している。
【0168】
ソース信号線駆動回路601において、シフトレジスタ602にクロック信号(CLK)およびスタートパルス(SP)が入力される。シフトレジスタ602は、これらのクロック信号(CLK)およびスタートパルス(SP)に基づきタイミング信号を順に発生させ、バッファ等(図示せず)を通して後段の回路へタイミング信号を順次入力する。
【0169】
シフトレジスタ602からのタイミング信号は、バッファ等によって緩衝増幅される。タイミング信号が入力される配線には、多くの回路あるいは素子が接続されているために負荷容量(寄生容量)が大きい。この負荷容量が大きいために生ずるタイミング信号の立ち上がりまたは立ち下がりの”鈍り”を防ぐために、このバッファが設けられる。なおバッファは必ずしも設ける必要はない。
【0170】
バッファによって緩衝増幅されたタイミング信号は、ラッチ(A)603に入力される。ラッチ(A)603は、nビットのデジタルビデオ信号(第1デジタルビデオ信号またはだ2デジタルビデオ信号を含む)を処理する複数のステージのラッチを有している。ラッチ(A)603は、前記タイミング信号が入力されると、ソース信号線駆動回路601の外部から入力されるnビットのデジタルビデオ信号を順次取り込み、保持する。
【0171】
なお、ラッチ(A)603にデジタルビデオ信号を取り込む際に、ラッチ(A)603が有する複数のステージのラッチに、順にデジタルビデオ信号を入力しても良い。しかし本発明はこの構成に限定されない。ラッチ(A)603が有する複数のステージのラッチをいくつかのグループに分け、各グループごとに並行して同時にデジタルビデオ信号を入力する、いわゆる分割駆動を行っても良い。
なおこのときのグループの数を分割数と呼ぶ。例えば4つのステージごとにラッチをグループに分けた場合、4分割で分割駆動すると言う。
【0172】
ラッチ(A)603の全てのステージのラッチにデジタルビデオ信号の書き込みが一通り終了するまでの時間を、ライン期間と呼ぶ。実際には、上記ライン期間に水平帰線期間が加えられた期間をライン期間に含むことがある。
【0173】
1ライン期間が終了すると、ラッチ(B)604にラッチシグナル(Latch Signal)が入力される。この瞬間、ラッチ(A)603に書き込まれ保持されているデジタルビデオ信号は、ラッチ(B)604に一斉に送出され、ラッチ(B)
604の全ステージのラッチに書き込まれ、保持される。
【0174】
デジタルビデオ信号をラッチ(B)604に送出し終えたラッチ(A)603には、シフトレジスタ602からのタイミング信号に基づき、デジタルビデオ信号の書き込みが順次行われる。
【0175】
この2順目の1ライン期間中には、ラッチ(B)604に書き込まれ、保持されているデジタルビデオ信号がソース信号線(第1ソース信号線または第2ソース信号線を含む)に入力される。
【0176】
図8(B)はゲート信号線駆動回路の構成を示すブロック図である。
【0177】
ゲート信号線駆動回路605は、それぞれシフトレジスタ606、バッファ607を有している。また場合によってはレベルシフトを有していても良い。
【0178】
ゲート信号線駆動回路605において、シフトレジスタ606からのタイミング信号がバッファ607に入力され、対応するゲート信号線に入力される。ゲート信号線には、1ライン分の画素の第1スイッチング用TFT及び第2スイッチング用TFTのゲート電極が接続されている。そして、1ライン分の画素の第1スイッチング用TFT及び第2スイッチング用TFTを一斉にONにしなくてはならないので、バッファは大きな電流を流すことが可能なものが用いられる。
【0179】
本実施例は実施例1〜3と自由に組み合わせて実施することが可能である。
【実施例5】
【0180】
本発明の発光装置の作成方法の一例について、図9〜図11を用いて説明する。ここでは、実施の形態1において示した発光装置の画素部のスイッチング用TFTおよびEL駆動用TFTと、画素部の周辺に設けられる駆動部のTFTを同時に作製する方法について、工程に従って詳細に説明する。なお、本実施例では実施の形態1で示した発光装置の作製方法について示したが、本実施例は実施の形態2に示した構成を有する発光装置の作製方法に適用させることも可能である。
【0181】
まず、本実施例ではコーニング社の#7059ガラスや#1737ガラスなどに代表されるバリウムホウケイ酸ガラス、またはアルミノホウケイ酸ガラスなどのガラスからなる基板900を用いる。なお、基板900としては、透光性を有する基板であれば限定されず、石英基板を用いても良い。また、本実施例の処理温度に耐えうる耐熱性を有するプラスチック基板を用いてもよい。
【0182】
次いで、図9(A)に示すように、基板900上に酸化珪素膜、窒化珪素膜または酸化窒化珪素膜などの絶縁膜から成る下地膜901を形成する。本実施例では下地膜901として2層構造を用いるが、前記絶縁膜の単層膜または2層以上積層させた構造を用いても良い。下地膜901の一層目としては、プラズマCVD法を用い、SiH4、NH3、及びN2Oを反応ガスとして成膜される酸化窒化珪素膜901aを10〜200nm(好ましくは50〜100nm)形成する。
本実施例では、膜厚50nmの酸化窒化珪素膜901a(組成比Si=32%、O=27%、N=24%、H=17%)を形成した。次いで、下地膜901のニ層目としては、プラズマCVD法を用い、SiH4、及びN2Oを反応ガスとして成膜される酸化窒化珪素膜901bを50〜200nm(好ましくは100〜150nm)の厚さに積層形成する。本実施例では、膜厚100nmの酸化窒化珪素膜901b(組成比Si=32%、O=59%、N=7%、H=2%)を形成した。
【0183】
次いで、下地膜901上に半導体層902〜905を形成する。半導体層902〜905は、非晶質構造を有する半導体膜を公知の手段(スパッタ法、LPCVD法、またはプラズマCVD法等)により成膜した後、公知の結晶化処理(レーザー結晶化法、熱結晶化法、またはニッケルなどの触媒を用いた熱結晶化法等)を行って得られた結晶質半導体膜を所望の形状にパターニングして形成する。
この半導体層902〜905の厚さは25〜80nm(好ましくは30〜60nm)の厚さで形成する。結晶質半導体膜の材料に限定はないが、好ましくは珪素(シリコン)またはシリコンゲルマニウム(SiXGe1-X(X=0.0001〜0.02))合金などで形成すると良い。本実施例では、プラズマCVD法を用い、55nmの非晶質珪素膜を成膜した後、ニッケルを含む溶液を非晶質珪素膜上に保持させた。この非晶質珪素膜に脱水素化(500℃、1時間)を行った後、熱結晶化(550℃、4時間)を行い、さらに結晶化を改善するためのレーザーアニ―ル処理を行って結晶質珪素膜を形成した。そして、この結晶質珪素膜をフォトリソグラフィ法を用いたパターニング処理によって、半導体層902〜905を形成した。
【0184】
また、半導体層902〜905を形成した後、TFTのしきい値を制御するために、半導体層902〜905に微量な不純物元素(ボロンまたはリン)をドーピングしてもよい。
【0185】
また、レーザー結晶化法で結晶質半導体膜を作製する場合には、パルス発振型または連続発光型のエキシマレーザーやYAGレーザー、YVO4レーザーを用いることができる。これらのレーザーを用いる場合には、レーザー発振器から放射されたレーザー光を光学系で線状に集光し半導体膜に照射する方法を用いると良い。結晶化の条件は実施者が適宣選択するものであるが、エキシマレーザーを用いる場合はパルス発振周波数300Hzとし、レーザーエネルギー密度を100〜400mJ/cm2(代表的には200〜300mJ/cm2)とする。また、YAGレーザーを用いる場合にはその第2高調波を用いパルス発振周波数30〜300kHzとし、レーザーエネルギー密度を300〜600mJ/cm2(代表的には350〜500mJ/cm2)とすると良い。そして幅100〜1000μm、例えば400μmで線状に集光したレーザー光を基板全面に渡って照射し、この時の線状レーザー光の重ね合わせ率(オーバーラップ率)を50〜90%として行えばよい。
【0186】
次いで、半導体層902〜905を覆うゲート絶縁膜906を形成する。ゲート絶縁膜906はプラズマCVD法またはスパッタ法を用い、厚さを40〜150nmとして珪素を含む絶縁膜で形成する。本実施例では、プラズマCVD法により110nmの厚さで酸化窒化珪素膜(組成比Si=32%、O=59%、N=7%、H=2%)で形成した。勿論、ゲート絶縁膜は酸化窒化珪素膜に限定されるものでなく、他の珪素を含む絶縁膜を単層または積層構造として用いても良い。
【0187】
また、酸化珪素膜を用いる場合には、プラズマCVD法でTEOS(Tetraethyl Orthosilicate)とO2とを混合し、反応圧力40Pa、基板温度300〜400℃とし、高周波(13.56MHz)電力密度0.5〜0.8W/cm2で放電させて形成することができる。このようにして作製される酸化珪素膜は、その後400〜500℃の熱アニールによりゲート絶縁膜として良好な特性を得ることができる。
【0188】
そして、ゲート絶縁膜906上にゲート電極を形成するための耐熱性導電層907を200〜400nm(好ましくは250〜350nm)の厚さで形成する。耐熱性導電層907は単層で形成しても良いし、必要に応じて二層あるいは三層といった複数の層から成る積層構造としても良い。耐熱性導電層にはTa、Ti、Wから選ばれた元素、または前記元素を成分とする合金か、前記元素を組み合わせた合金膜が含まれる。これらの耐熱性導電層はスパッタ法やCVD法で形成されるものであり、低抵抗化を図るために含有する不純物濃度を低減させることが好ましく、特に酸素濃度に関しては30ppm以下とすると良い。本実施例ではW膜を300nmの厚さで形成する。W膜はWをターゲットとしてスパッタ法で形成しても良いし、6フッ化タングステン(WF6)を用いて熱CVD法で形成することもできる。いずれにしてもゲート電極として使用するためには低抵抗化を図る必要があり、W膜の抵抗率は20μΩcm以下にすることが望ましい。W膜は結晶粒を大きくすることで低抵抗率化を図ることができるが、W中に酸素などの不純物元素が多い場合には結晶化が阻害され高抵抗化する。このことより、スパッタ法による場合、純度99.9999%のWターゲットを用い、さらに成膜時に気相中からの不純物の混入がないように十分配慮してW膜を形成することにより、抵抗率9〜20μΩcmを実現することができる。
【0189】
一方、耐熱性導電層907にTa膜を用いる場合には、同様にスパッタ法で形成することが可能である。Ta膜はスパッタガスにArを用いる。また、スパッタ時のガス中に適量のXeやKrを加えておくと、形成する膜の内部応力を緩和して膜の剥離を防止することができる。α相のTa膜の抵抗率は20μΩcm程度でありゲート電極に使用することができるが、β相のTa膜の抵抗率は180μΩcm程度でありゲート電極とするには不向きであった。TaN膜はα相に近い結晶構造を持つので、Ta膜の下地にTaN膜を形成すればα相のTa膜が容易に得られる。また、図示しないが、耐熱性導電層907の下に2〜20nm程度の厚さでリン(P)をドープしたシリコン膜を形成しておくことは有効である。これにより、その上に形成される導電膜の密着性向上と酸化防止を図ると同時に、耐熱性導電層907が微量に含有するアルカリ金属元素が第1の形状のゲート絶縁膜906に拡散するのを防ぐことができる。いずれにしても、耐熱性導電層907は抵抗率を10〜50μΩcmの範囲ですることが好ましい。
【0190】
次に、フォトリソグラフィーの技術を使用してレジストによるマスク908を形成する。そして、第1のエッチング処理を行う。本実施例ではICPエッチング装置を用い、エッチング用ガスにCl2とCF4を用い、1Paの圧力で3.2W/cm2のRF(13.56MHz)電力を投入してプラズマを形成して行う。
基板側(試料ステージ)にも224mW/cm2のRF(13.56MHz)電力を投入し、これにより実質的に負の自己バイアス電圧が印加される。この条件でW膜のエッチング速度は約100nm/minである。第1のエッチング処理はこのエッチング速度を基にW膜がちょうどエッチングされる時間を推定し、それよりもエッチング時間を20%増加させた時間をエッチング時間とした。
【0191】
第1のエッチング処理により第1のテーパー形状を有する導電層909〜912が形成される。導電層909〜912のテーパー部の角度は15〜30°となるように形成される。残渣を残すことなくエッチングするためには、10〜20%程度の割合でエッチング時間を増加させるオーバーエッチングを施すものとする。W膜に対する酸化窒化シリコン膜(ゲート絶縁膜906)の選択比は2〜4(代表的には3)であるので、オーバーエッチング処理により、酸化窒化シリコン膜が露出した面は20〜50nm程度エッチングされる。(図9(B))
【0192】
そして、第1のドーピング処理を行い一導電型の不純物元素を半導体層に添加する。ここでは、n型を付与する不純物元素添加の工程を行う。第1の形状の導電層を形成したマスク908をそのまま残し、第1のテーパー形状を有する導電層909〜912をマスクとして自己整合的にn型を付与する不純物元素をイオンドープ法で添加する。n型を付与する不純物元素をゲート電極の端部におけるテーパー部とゲート絶縁膜906とを通して、その下に位置する半導体層に達するように添加するためにドーズ量を1×1013〜5×1014atoms/cm2とし、加速電圧を80〜160keVとして行う。n型を付与する不純物元素として15族に属する元素、典型的にはリン(P)または砒素(As)を用いるが、ここではリン(P)を用いた。このようなイオンドープ法により第1の不純物領域914〜917には1×1020〜1×1021atomic/cm3の濃度範囲でn型を付与する不純物元素が添加される。(図9(C))
【0193】
この工程において、ドーピングの条件によっては、不純物が第1の形状の導電層909〜912の下に回りこみ、第1の不純物領域914〜917が第1の形状の導電層909〜912と重なることも起こりうる。
【0194】
次に、図9(D)に示すように第2のエッチング処理を行う。エッチング処理も同様にICPエッチング装置により行い、エッチングガスにCF4とCl2の混合ガスを用い、RF電力3.2W/cm2(13.56MHz)、バイアス電力45mW/cm2(13.56MHz)、圧力1.0Paでエッチングを行う。この条件で形成される第2の形状を有する導電層918〜921が形成される。その端部にはテーパー部が形成され、該端部から内側にむかって徐々に厚さが増加するテーパー形状となる。第1のエッチング処理と比較して基板側に印加するバイアス電力を低くした分等方性エッチングの割合が多くなり、テーパー部の角度は30〜60°となる。マスク908はエッチングされて端部が削れ、マスク922となる。また、図9(D)の工程において、ゲート絶縁膜906の表面が40nm程度エッチングされる。
【0195】
そして、第1のドーピング処理よりもドーズ量を下げ高加速電圧の条件でn型を付与する不純物元素をドーピングする。例えば、加速電圧を70〜120keVとし、1×1013/cm2のドーズ量で行い、不純物濃度が大きくなった第1の不純物領域924〜927と、前記第1の不純物領域924〜927に接する第2の不純物領域928〜931とを形成する。この工程において、ドーピングの条件によっては、不純物が第2の形状の導電層918〜921の下に回りこみ、第2の不純物領域928〜931が第2の形状の導電層918〜921と重なることも起こりうる。第2の不純物領域における不純物濃度は、1×1016〜1×1018atoms/cm3となるようにする。(図10(A))
【0196】
そして、(図10(B))に示すように、pチャネル型TFTを形成する半導体層902、905に一導電型とは逆の導電型の不純物領域933(933a、933b)及び934(934a、934b)を形成する。この場合も第2の形状の導電層918、921をマスクとしてp型を付与する不純物元素を添加し、自己整合的に不純物領域を形成する。このとき、nチャネル型TFTを形成する半導体層903、904は、レジストのマスク932を形成し全面を被覆しておく。ここで形成される不純物領域933、934はジボラン(B26)を用いたイオンドープ法で形成する。不純物領域933、934のp型を付与する不純物元素の濃度は、2×1020〜2×1021atoms/cm3となるようにする。
【0197】
しかしながら、この不純物領域933、934は詳細にはn型を付与する不純物元素を含有する2つの領域に分けて見ることができる。第3の不純物領域933a、934aは1×1020〜1×1021atoms/cm3の濃度でn型を付与する不純物元素を含み、第4の不純物領域933b、934bは1×1017〜1×1020atoms/cm3の濃度でn型を付与する不純物元素を含んでいる。しかし、これらの不純物領域933b、934bのp型を付与する不純物元素の濃度を1×1019atoms/cm3以上となるようにし、第3の不純物領域933a、934aにおいては、p型を付与する不純物元素の濃度をn型を付与する不純物元素の濃度の1.5から3倍となるようにすることにより、第3の不純物領域でpチャネル型TFTのソース領域およびドレイン領域として機能するために何ら問題は生じない。
【0198】
その後、図10(C)に示すように、第2の形状を有する導電層918〜921およびゲート絶縁膜906上に第1の層間絶縁膜937を形成する。第1の層間絶縁膜937は酸化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜、窒化シリコン膜、またはこれらを組み合わせた積層膜で形成すれば良い。いずれにしても第1の層間絶縁膜937は無機絶縁物材料から形成する。第1の層間絶縁膜937の膜厚は100〜200nmとする。第1の層間絶縁膜937として酸化シリコン膜を用いる場合には、プラズマCVD法でTEOSとO2とを混合し、反応圧力40Pa、基板温度300〜400℃とし、高周波(13.56MHz)電力密度0.5〜0.8W/cm2で放電させて形成することができる。また、第1の層間絶縁膜937として酸化窒化シリコン膜を用いる場合には、プラズマCVD法でSiH4、N2O、NH3から作製される酸化窒化シリコン膜、またはSiH4、N2Oから作製される酸化窒化シリコン膜で形成すれば良い。この場合の作製条件は反応圧力20〜200Pa、基板温度300〜400℃とし、高周波(60MHz)電力密度0.1〜1.0W/cm2で形成することができる。また、第1の層間絶縁膜937としてSiH4、N2O、H2から作製される酸化窒化水素化シリコン膜を適用しても良い。窒化シリコン膜も同様にプラズマCVD法でSiH4、NH3から作製することが可能である。
【0199】
そして、それぞれの濃度で添加されたn型またはp型を付与する不純物元素を活性化する工程を行う。この工程はファーネスアニール炉を用いる熱アニール法で行う。その他に、レーザーアニール法、またはラピッドサーマルアニール法(RTA法)を適用することができる。熱アニール法では酸素濃度が1ppm以下、好ましくは0.1ppm以下の窒素雰囲気中で400〜700℃、代表的には500〜600℃で行うものであり、本実施例では550℃で4時間の熱処理を行った。また、基板501に耐熱温度が低いプラスチック基板を用いる場合にはレーザーアニール法を適用することが好ましい。
【0200】
活性化の工程に続いて、雰囲気ガスを変化させ、3〜100%の水素を含む雰囲気中で、300〜450℃で1〜12時間の熱処理を行い、半導体層を水素化する工程を行う。この工程は熱的に励起された水素により半導体層にある1016〜1018/cm3のダングリングボンドを終端する工程である。水素化の他の手段として、プラズマ水素化(プラズマにより励起された水素を用いる)を行っても良い。いずれにしても、半導体層902〜905中の欠陥密度を1016/cm3以下とすることが望ましく、そのために水素を0.01〜0.1atomic%程度付与すれば良い。
【0201】
そして、有機絶縁物材料からなる第2の層間絶縁膜939を1.0〜2.0μmの平均膜厚で形成する。有機樹脂材料としては、ポリイミド、アクリル、ポリアミド、ポリイミドアミド、BCB(ベンゾシクロブテン)等を使用することができる。例えば、基板に塗布後、熱重合するタイプのポリイミドを用いる場合には、クリーンオーブンで300℃で焼成して形成する。また、アクリルを用いる場合には、2液性のものを用い、主材と硬化剤を混合した後、スピナーを用いて基板全面に塗布した後、ホットプレートで80℃で60秒の予備加熱を行い、さらにクリーンオーブンで250℃で60分焼成して形成することができる。
【0202】
このように、第2の層間絶縁膜939を有機絶縁物材料で形成することにより、表面を良好に平坦化させることができる。また、有機樹脂材料は一般に誘電率が低いので、寄生容量を低減できる。しかし、吸湿性があり保護膜としては適さないので、本実施例のように、第1の層間絶縁膜937として形成した酸化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜、窒化シリコン膜などと組み合わせて用いると良い。
【0203】
その後、所定のパターンのレジストマスクを形成し、それぞれの半導体層に形成されソース領域またはドレイン領域とする不純物領域に達するコンタクトホールを形成する。コンタクトホールはドライエッチング法で形成する。この場合、エッチングガスにCF4、O2、Heの混合ガスを用い有機樹脂材料から成る第2の層間絶縁膜939をまずエッチングし、その後、続いてエッチングガスをCF4、O2として第1の層間絶縁膜937をエッチングする。さらに、半導体層との選択比を高めるために、エッチングガスをCHF3に切り替えて第3の形状のゲート絶縁膜570をエッチングすることによりコンタクトホールを形成することができる。
【0204】
そして、導電性の金属膜をスパッタ法や真空蒸着法で形成し、マスクでパターニングし、その後エッチングすることで、ソース配線940〜943とドレイン配線944〜946を形成する。図示していないが、本実施例ではこの配線を、そして、膜厚50nmのTi膜と、膜厚500nmの合金膜(AlとTiとの合金膜)との積層膜で形成した。
【0205】
次いで、その上に透明導電膜を80〜120nmの厚さで形成し、パターニングすることによって画素電極947を形成する(図11(A))。なお、本実施例では、透明電極として酸化インジウム・スズ(ITO)膜や酸化インジウムに2〜20[%]の酸化亜鉛(ZnO)を混合した透明導電膜を用いる。
【0206】
また、画素電極947は、ドレイン配線946と接して重ねて形成することによってEL駆動用TFTのドレイン領域と電気的な接続が形成される。
【0207】
次に、図11(B)に示すように、画素電極947に対応する位置に開口部を有する第3の層間絶縁膜949を形成する。第3の層間絶縁膜949は絶縁性を有していて、バンクとして機能し、隣接する画素のEL層を分離する役割を有している。本実施例ではレジストを用いて第3の層間絶縁膜949を形成する。
【0208】
本実施例では、第3の層間絶縁膜949の厚さを1μm程度とし、開口部は画素電極947に近くなればなるほど広くなる、所謂逆テーパー状になるように形成する。これはレジストを成膜した後、開口部を形成しようとする部分以外をマスクで覆い、UV光を照射して露光し、露光された部分を現像液で除去することによって形成される。
【0209】
本実施例のように、第3の層間絶縁膜949を逆テーパー状にすることで、後の工程においてEL層を成膜した時に、隣り合う画素同士でEL層が分断されるため、EL層と、第3の層間絶縁膜949の熱膨張係数が異なっていても、EL層がひび割れたり、剥離したりするのを抑えることができる。
【0210】
なお、本実施例においては、第3の層間絶縁膜としてレジストでなる膜を用いているが、場合によっては、ポリイミド、ポリアミド、アクリル、BCB(ベンゾシクロブテン)、酸化珪素膜等を用いることもできる。第3の層間絶縁膜949は絶縁性を有する物質であれば、有機物と無機物のどちらでも良い。
【0211】
次に、EL層950を蒸着法により形成し、更に蒸着法により陰極(MgAg電極)951および保護電極952を形成する。このときEL層950及び陰極951を形成するに先立って画素電極947に対して熱処理を施し、水分を完全に除去しておくことが望ましい。なお、本実施例ではEL素子の陰極としてMgAg電極を用いるが、公知の他の材料であっても良い。
【0212】
なお、EL層950としては、公知の材料を用いることができる。本実施例では正孔輸送層(Hole transporting layer)及び発光層(Emitting layer)でなる2層構造をEL層とするが、正孔注入層、電子注入層若しくは電子輸送層のいずれかを設ける場合もある。このように組み合わせは既に様々な例が報告されており、そのいずれの構成を用いても構わない。
【0213】
本実施例では正孔輸送層としてポリフェニレンビニレンを蒸着法により形成する。また、発光層としては、ポリビニルカルバゾールに1,3,4−オキサジアゾール誘導体のPBDを30〜40%分子分散させたものを蒸着法により形成し、緑色の発光中心としてクマリン6を約1%添加している。
【0214】
また、保護電極952でもEL層950を水分や酸素から保護することは可能であるが、さらに好ましくは保護膜953を設けると良い。本実施例では保護膜953として300nm厚の窒化珪素膜を設ける。この保護膜も保護電極952の後に大気解放しないで連続的に形成しても構わない。
【0215】
また、保護電極952は陰極951の劣化を防ぐために設けられ、アルミニウムを主成分とする金属膜が代表的である。勿論、他の材料でも良い。また、EL層950、陰極951は非常に水分に弱いので、保護電極952までを大気解放しないで連続的に形成し、外気からEL層を保護することが望ましい。
【0216】
なお、EL層950の膜厚は10〜400[nm](典型的には60〜150[nm])、陰極951の厚さは80〜200[nm](典型的には100〜150[nm])とすれば良い。
【0217】
こうして図11(B)に示すような構造の発光装置が完成する。なお、画素電極947、EL層950、陰極951の重なっている部分954がEL素子に相当する。
【0218】
pチャネル型TFT960及びnチャネル型TFT961は駆動回路が有するTFTであり、CMOSを形成している。スイッチング用TFT962及びEL駆動用TFT963は画素部が有するTFTであり、駆動回路のTFTと画素部のTFTとは同一基板上に形成することができる。
【0219】
なお、EL素子を用いた発光装置の場合、駆動回路の電源の電圧が5〜6V程度、最大でも10V程度で十分なので、TFTにおいてホットエレクトロンによる劣化があまり問題にならない。また駆動回路を高速で動作させる必要があるので、TFTのゲート容量は小さいほうが好ましい。よって、本実施例のように、EL素子を用いた発光装置の駆動回路では、TFTの半導体層が有する第2の不純物領域929と、第4の不純物領域933bとが、それぞれゲート電極918、919と重ならない構成にするのが好ましい。
【0220】
本発明の発光装置の作製方法は、本実施例において説明した作製方法に限定されない。本発明の発光装置は公知の方法を用いて作成することが可能である。
【0221】
なお本実施例は、実施例1〜4と自由に組み合わせて実施することが可能である。
【実施例6】
【0222】
本実施例では、実施例5とは異なる発光装置の作製方法について説明する。
【0223】
第2の層間絶縁膜939を形成するまでの工程は、実施例5と同じである。図12(A)に示すように、第2の層間絶縁膜939を形成した後、第2の層間絶縁膜939に接するように、パッシベーション膜939を形成する。
【0224】
パッシベーション膜939は、第2の層間絶縁膜939に含まれる水分が、画素電極947や、第3の層間絶縁膜982を介して、EL層950に入るのを防ぐのに効果的である。第2の層間絶縁膜939が有機樹脂材料を有している場合、有機樹脂材料は水分を多く含むため、パッシベーション膜939を設けることは特に有効である。
【0225】
本実施例では、パッシベーション膜939として、窒化珪素膜を用いた。
【0226】
その後、所定のパターンのレジストマスクを形成し、それぞれの半導体層に形成されソース領域またはドレイン領域とする不純物領域に達するコンタクトホールを形成する。コンタクトホールはドライエッチング法で形成する。この場合、エッチングガスにCF4、O2、Heの混合ガスを用い有機樹脂材料から成る第2の層間絶縁膜939をまずエッチングし、その後、続いてエッチングガスをCF4、O2として第1の層間絶縁膜937をエッチングする。さらに、半導体層との選択比を高めるために、エッチングガスをCHF3に切り替えて第3の形状のゲート絶縁膜570をエッチングすることによりコンタクトホールを形成することができる。
【0227】
そして、導電性の金属膜をスパッタ法や真空蒸着法で形成し、マスクでパターニングし、その後エッチングすることで、ソース配線940〜943とドレイン配線944〜946を形成する。図示していないが、本実施例ではこの配線を、そして、膜厚50nmのTi膜と、膜厚500nmの合金膜(AlとTiとの合金膜)との積層膜で形成した。
【0228】
次いで、その上に透明導電膜を80〜120nmの厚さで形成し、パターニングすることによって画素電極947を形成する(図12(A))。なお、本実施例では、透明電極として酸化インジウム・スズ(ITO)膜や酸化インジウムに2〜20[%]の酸化亜鉛(ZnO)を混合した透明導電膜を用いる。
【0229】
また、画素電極947は、ドレイン配線946と接して重ねて形成することによってEL駆動用TFTのドレイン領域と電気的な接続が形成される。
【0230】
次に、図12(B)に示すように、画素電極947に対応する位置に開口部を有する第3の層間絶縁膜982を形成する。本実施例では、開口部を形成する際、ウエットエッチング法を用いることでテーパー形状の側壁とした。実施例5に示した場合と異なり、第3の層間絶縁膜982上に形成されるEL層は分断されないため、開口部の側壁が十分になだらかでないと段差に起因するEL層の劣化が顕著な問題となってしまうため、注意が必要である。
【0231】
なお、本実施例においては、第3の層間絶縁膜982として酸化珪素でなる膜を用いているが、場合によっては、ポリイミド、ポリアミド、アクリル、BCB(ベンゾシクロブテン)といった有機樹脂膜を用いることもできる。
【0232】
そして、第3の層間絶縁膜982上にEL層950を形成する前に、第3の層間絶縁膜982の表面にアルゴンを用いたプラズマ処理を施し、第3の層間絶縁膜982の表面を緻密化しておくのが好ましい。上記構成によって、第3の層間絶縁膜982からEL層950に水分が入るのを防ぐことができる。
【0233】
次に、EL層950を蒸着法により形成し、更に蒸着法により陰極(MgAg電極)951および保護電極952を形成する。このときEL層950及び陰極951を形成するに先立って画素電極947に対して熱処理を施し、水分を完全に除去しておくことが望ましい。なお、本実施例ではEL素子の陰極としてMgAg電極を用いるが、公知の他の材料であっても良い。
【0234】
なお、EL層950としては、公知の材料を用いることができる。本実施例では正孔輸送層(Hole transporting layer)及び発光層(Emitting layer)でなる2層構造をEL層とするが、正孔注入層、電子注入層若しくは電子輸送層のいずれかを設ける場合もある。このように組み合わせは既に様々な例が報告されており、そのいずれの構成を用いても構わない。
【0235】
本実施例では正孔輸送層としてポリフェニレンビニレンを蒸着法により形成する。また、発光層としては、ポリビニルカルバゾールに1,3,4−オキサジアゾール誘導体のPBDを30〜40%分子分散させたものを蒸着法により形成し、緑色の発光中心としてクマリン6を約1%添加している。
【0236】
また、保護電極952でもEL層950を水分や酸素から保護することは可能であるが、さらに好ましくは保護膜953を設けると良い。本実施例では保護膜953として300nm厚の窒化珪素膜を設ける。この保護膜も保護電極952の後に大気解放しないで連続的に形成しても構わない。
【0237】
また、保護電極952は陰極951の劣化を防ぐために設けられ、アルミニウムを主成分とする金属膜が代表的である。勿論、他の材料でも良い。また、EL層950、陰極951は非常に水分に弱いので、保護電極952までを大気解放しないで連続的に形成し、外気からEL層を保護することが望ましい。
【0238】
なお、EL層950の膜厚は10〜400[nm](典型的には60〜150[nm])、陰極951の厚さは80〜200[nm](典型的には100〜150[nm])とすれば良い。
【0239】
こうして図12(B)に示すような構造の発光装置が完成する。なお、画素電極947、EL層950、陰極951の重なっている部分954がEL素子に相当する。
【0240】
pチャネル型TFT960及びnチャネル型TFT961は駆動回路が有するTFTであり、CMOSを形成している。スイッチング用TFT962及びEL駆動用TFT963は画素部が有するTFTであり、駆動回路のTFTと画素部のTFTとは同一基板上に形成することができる。
【0241】
本発明の発光装置の作製方法は、本実施例において説明した作製方法に限定されない。本発明の発光装置は公知の方法を用いて作成することが可能である。
【0242】
なお本実施例は、実施例1〜4と自由に組み合わせて実施することが可能である。
【実施例7】
【0243】
本実施例では、実施の形態1で示した本発明の発光装置の構成について、図13を用いて説明する。
【0244】
図13(A)は、本発明の発光装置が有するELパネルの上面図であり、図13(B)は、図13(A)のA−A’における断面図、図13(C)は図13(A)のB−B’における断面図である。
【0245】
基板4001上に設けられた画素部4002と、ソース信号線駆動回路4003と、第1及び第2のゲート信号線駆動回路4004a、bとを囲むようにして、シール材4009が設けられている。また画素部4002と、ソース信号線駆動回路4003と、第1及び第2のゲート信号線駆動回路4004a、bとの上にシーリング材4008が設けられている。よって画素部4002と、ソース信号線駆動回路4003と、第1及び第2のゲート信号線駆動回路4004a、bとは、基板4001とシール材4009とシーリング材4008とによって、充填材4210で密封されている。
【0246】
また基板4001上に設けられた画素部4002と、ソース信号線駆動回路4003と、第1及び第2のゲート信号線駆動回路4004a、bとは、複数のTFTを有している。図13(B)では代表的に、下地膜4010上に形成された、ソース信号線駆動回路4003に含まれる駆動TFT(但し、ここではnチャネル型TFTとpチャネル型TFTを図示する)4201及び画素部4002に含まれるEL駆動用TFT(EL素子への電流を制御するTFT)4202を図示した。
【0247】
本実施例では、駆動TFT4201には公知の方法で作製されたpチャネル型TFTまたはnチャネル型TFTが用いられ、EL駆動用TFT4202には公知の方法で作製されたpチャネル型TFTが用いられる。また、画素部4002にはEL駆動用TFT4202のゲートに接続された保持容量(図示せず)が設けられる。
【0248】
駆動TFT4201及びEL駆動用TFT4202上には層間絶縁膜(平坦化膜)4301が形成され、その上にEL駆動用TFT4202のドレインと電気的に接続する画素電極(陽極)4203が形成される。画素電極4203としては仕事関数の大きい透明導電膜が用いられる。透明導電膜としては、酸化インジウムと酸化スズとの化合物、酸化インジウムと酸化亜鉛との化合物、酸化亜鉛、酸化スズまたは酸化インジウムを用いることができる。また、前記透明導電膜にガリウムを添加したものを用いても良い。
【0249】
そして、画素電極4203の上には絶縁膜4302が形成され、絶縁膜4302は画素電極4203の上に開口部が形成されている。この開口部において、画素電極4203の上にはEL(エレクトロルミネッセンス)層4204が形成される。EL層4204は公知の有機EL材料または無機EL材料を用いることができる。また、有機EL材料には低分子系(モノマー系)材料と高分子系(ポリマー系)材料があるがどちらを用いても良い。
【0250】
EL層4204の形成方法は公知の蒸着技術もしくは塗布法技術を用いれば良い。また、EL層の構造は正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層または電子注入層を自由に組み合わせて積層構造または単層構造とすれば良い。
【0251】
EL層4204の上には遮光性を有する導電膜(代表的にはアルミニウム、銅もしくは銀を主成分とする導電膜またはそれらと他の導電膜との積層膜)からなる陰極4205が形成される。また、陰極4205とEL層4204の界面に存在する水分や酸素は極力排除しておくことが望ましい。従って、EL層4204を窒素または希ガス雰囲気で形成し、酸素や水分に触れさせないまま陰極4205を形成するといった工夫が必要である。本実施例ではマルチチャンバー方式(クラスターツール方式)の成膜装置を用いることで上述のような成膜を可能とする。そして陰極4205は所定の電圧が与えられている。
【0252】
以上のようにして、画素電極(陽極)4203、EL層4204及び陰極4205からなるEL素子4303が形成される。そしてEL素子4303を覆うように、絶縁膜4302上に保護膜4303が形成されている。保護膜4303は、EL素子4303に酸素や水分等が入り込むのを防ぐのに効果的である。
【0253】
4005aは電源供給線または対向電源線に接続された引き回し配線であり、EL駆動用TFT4202のソース領域に電気的に接続されている。引き回し配線4005aはシール材4009と基板4001との間を通り、異方導電性フィルム4300を介してFPC4006が有するFPC用配線4301に電気的に接続される。電源供給線または対向電源線は、引き回し配線4005a及びFPC4006を介して、ELパネルの外部に設けられた電源回路に接続されている。
【0254】
シーリング材4008としては、ガラス材、金属材(代表的にはステンレス材)、セラミックス材、プラスチック材(プラスチックフィルムも含む)を用いることができる。プラスチック材としては、FRP(Fiberglass−Reinforced Plastics)板、PVF(ポリビニルフルオライド)
フィルム、マイラーフィルム、ポリエステルフィルムまたはアクリル樹脂フィルムを用いることができる。また、アルミニウムホイルをPVFフィルムやマイラーフィルムで挟んだ構造のシートを用いることもできる。
【0255】
但し、EL素子からの光の放射方向がカバー材側に向かう場合にはカバー材は透明でなければならない。その場合には、ガラス板、プラスチック板、ポリエステルフィルムまたはアクリルフィルムのような透明物質を用いる。
【0256】
また、充填材4103としては窒素やアルゴンなどの不活性な気体の他に、紫外線硬化樹脂または熱硬化樹脂を用いることができ、PVC(ポリビニルクロライド)、アクリル、ポリイミド、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、PVB(ポリビニルブチラル)またはEVA(エチレンビニルアセテート)を用いることができる。本実施例では充填材として窒素を用いた。
【0257】
また充填材4103を吸湿性物質(好ましくは酸化バリウム)もしくは酸素を吸着しうる物質にさらしておくために、シーリング材4008の基板4001側の面に凹部4007を設けて吸湿性物質または酸素を吸着しうる物質4207を配置する。そして、吸湿性物質または酸素を吸着しうる物質4207が飛び散らないように、凹部カバー材4208によって吸湿性物質または酸素を吸着しうる物質4207は凹部4007に保持されている。なお凹部カバー材4208は目の細かいメッシュ状になっており、空気や水分は通し、吸湿性物質または酸素を吸着しうる物質4207は通さない構成になっている。吸湿性物質または酸素を吸着しうる物質4207を設けることで、EL素子4303の劣化を抑制できる。
【0258】
図13(C)に示すように、画素電極4203が形成されると同時に、引き回し配線4005a上に接するように導電性膜4203aが形成される。
【0259】
また、異方導電性フィルム4300は導電性フィラー4300aを有している。基板4001とFPC4006とを熱圧着することで、基板4001上の導電性膜4203aとFPC4006上のFPC用配線4301とが、導電性フィラー4300aによって電気的に接続される。
【0260】
本実施例は、実施例1〜7の構成と、自由に組み合わせて実施することが可能である。
【実施例8】
【0261】
本発明において、三重項励起子からの燐光を発光に利用できるEL材料を用いることで、外部発光量子効率を飛躍的に向上させることができる。これにより、EL素子の低消費電力化、長寿命化、および軽量化が可能になる。
【0262】
ここで、三重項励起子を利用し、外部発光量子効率を向上させた報告を示す。
(T.Tsutsui, C.Adachi, S.Saito, Photochemical Processes in Organized Molecular Systems, ed.K.Honda, (Elsevier Sci.Pub., Tokyo,1991) p.437.)
【0263】
上記の論文により報告されたEL材料(クマリン色素)の分子式を以下に示す。
【0264】
【化1】

【0265】
(M.A.Baldo, D.F.O'Brien, Y.You, A.Shoustikov, S.Sibley, M.E.Thompson, S.R.Forrest, Nature 395 (1998) p.151.)
【0266】
上記の論文により報告されたEL材料(Pt錯体)の分子式を以下に示す。
【0267】
【化2】

【0268】
(M.A.Baldo, S.Lamansky, P.E.Burrrows, M.E.Thompson, S.R.Forrest, Appl.Phys.Lett.,75 (1999) p.4.) (T.Tsutsui, M.-J.Yang, M.Yahiro, K.Nakamura, T.Watanabe, T.tsuji, Y.Fukuda, T.Wakimoto, S.Mayaguchi, Jpn.Appl.Phys., 38 (12B) (1999) L1502.)
【0269】
上記の論文により報告されたEL材料(Ir錯体)の分子式を以下に示す。
【0270】
【化3】

【0271】
以上のように三重項励起子からの燐光発光を利用できれば原理的には一重項励起子からの蛍光発光を用いる場合より3〜4倍の高い外部発光量子効率の実現が可能となる。
【0272】
なお、本実施例の構成は、実施例1〜実施例8のいずれの構成とも自由に組み合わせて実施することが可能である。
【実施例9】
【0273】
EL素子を用いた発光装置は自発光型であるため、液晶表示装置に比べ、明るい場所での視認性に優れ、視野角が広い。従って、様々な電子機器の表示部に用いることができる。
【0274】
本発明の発光装置を用いた電子機器として、ビデオカメラ、デジタルカメラ、ゴーグル型ディスプレイ(ヘッドマウントディスプレイ)、ナビゲーションシステム、音響再生装置(カーオーディオ、オーディオコンポ等)、ノート型パーソナルコンピュータ、ゲーム機器、携帯情報端末(モバイルコンピュータ、携帯電話、携帯型ゲーム機または電子書籍等)、記録媒体を備えた画像再生装置(具体的にはDVD:Digital Versatile Disc等の記録媒体を再生し、その画像を表示しうるディスプレイを備えた装置)などが挙げられる。特に、斜め方向から画面を見る機会が多い携帯情報端末は、視野角の広さが重要視されるため、発光装置を用いることが望ましい。それら電子機器の具体例を図15に示す。
【0275】
図15(A)はEL表示装置であり、筐体2001、支持台2002、表示部2003、スピーカー部2004、ビデオ入力端子2005等を含む。本発明の発光装置は表示部2003に用いることができる。発光装置は自発光型であるためバックライトが必要なく、液晶表示装置よりも薄い表示部とすることができる。なお、EL表示装置は、パソコン用、TV放送受信用、広告表示用などの全ての情報表示用表示装置が含まれる。
【0276】
図15(B)はデジタルスチルカメラであり、本体2101、表示部2102、受像部2103、操作キー2104、外部接続ポート2105、シャッター2106等を含む。本発明の発光装置は表示部2102に用いることができる。
【0277】
図15(C)はノート型パーソナルコンピュータであり、本体2201、筐体2202、表示部2203、キーボード2204、外部接続ポート2205、ポインティングマウス2206等を含む。本発明の発光装置は表示部2203に用いることができる。
【0278】
図15(D)はモバイルコンピュータであり、本体2301、表示部2302、スイッチ2303、操作キー2304、赤外線ポート2305等を含む。本発明の発光装置は表示部2302に用いることができる。
【0279】
図15(E)は記録媒体を備えた携帯型の画像再生装置(具体的にはDVD再生装置)であり、本体2401、筐体2402、表示部A2403、表示部B2404、記録媒体(DVD等)読み込み部2405、操作キー2406、スピーカー部2407等を含む。表示部A2403は主として画像情報を表示し、表示部B2404は主として文字情報を表示するが、本発明の発光装置はこれら表示部A、B2403、2404に用いることができる。なお、記録媒体を備えた画像再生装置には家庭用ゲーム機器なども含まれる。
【0280】
図15(F)はゴーグル型ディスプレイ(ヘッドマウントディスプレイ)であり、本体2501、表示部2502、アーム部2503を含む。本発明の発光装置は表示部2502に用いることができる。
【0281】
図15(G)はビデオカメラであり、本体2601、表示部2602、筐体2603、外部接続ポート2604、リモコン受信部2605、受像部2606、バッテリー2607、音声入力部2608、操作キー2609等を含む。本発明の発光装置は表示部2602に用いることができる。
【0282】
ここで図15(H)は携帯電話であり、本体2701、筐体2702、表示部2703、音声入力部2704、音声出力部2705、操作キー2706、外部接続ポート2707、アンテナ2708等を含む。本発明の発光装置は表示部2703に用いることができる。なお、表示部2703は黒色の背景に白色の文字を表示することで携帯電話の消費電力を抑えることができる。
【0283】
なお、将来的にEL材料の発光輝度が高くなれば、出力した画像情報を含む光をレンズ等で拡大投影してフロント型若しくはリア型のプロジェクターに用いることも可能となる。
【0284】
また、上記電子機器はインターネットやCATV(ケーブルテレビ)などの電子通信回線を通じて配信された情報を表示することが多くなり、特に動画情報を表示する機会が増してきている。EL材料の応答速度は非常に高いため、発光装置は動画表示に好ましい。
【0285】
また、発光装置は発光している部分が電力を消費するため、発光部分が極力少なくなるように情報を表示することが望ましい。従って、携帯情報端末、特に携帯電話や音響再生装置のような文字情報を主とする表示部に発光装置を用いる場合には、非発光部分を背景として文字情報を発光部分で形成するように駆動することが望ましい。
【0286】
以上の様に、本発明の適用範囲は極めて広く、あらゆる分野の電子機器に用いることが可能である。また、本実施例の電子機器は実施例1〜9に示したいずれの構成の発光装置を用いても良い。
【図面の簡単な説明】
【0287】
【図1】本発明の発光装置のブロック図。
【図2】本発明の発光装置の画素の回路図と、タイミングチャート。
【図3】本発明の発光装置のブロック図。
【図4】本発明の発光装置の画素の回路図と、タイミングチャート。
【図5】本発明の発光装置のタイミングチャート。
【図6】第1及び第2デジタルビデオ信号を生成する回路群。
【図7】第1及び第2デジタルビデオ信号を生成する回路群。
【図8】駆動回路の構成を示す図。
【図9】本発明の発光装置の作製方法を示す図。
【図10】本発明の発光装置の作製方法を示す図。
【図11】本発明の発光装置の作製方法を示す図。
【図12】本発明の発光装置の作製方法を示す図。
【図13】本発明の発光装置が有するELパネルの上面図及び断面図。
【図14】一般的な発光装置の画素の回路図と、タイミングチャート。
【図15】本発明の発光装置を用いた電子機器。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
EL素子を有する複数の画素が設けられた発光装置の駆動方法であって、
第1のモードでは、前記EL素子が発光している期間において、前記EL素子の輝度が常に一定に保たれており、
第2のモードでは、前記EL素子が発光している期間のうちの所定の期間における前記EL素子の輝度が、前記EL素子が発光している期間のうちの前記所定の期間以外の期間における前記EL素子の輝度に比べて高くなっていることを特徴とする発光装置の駆動方法。
【請求項2】
EL素子を有する複数の画素が設けられた発光装置の駆動方法であって、
第1のモードでは、前記EL素子が発光している期間において、前記EL素子の輝度が常に一定に保たれており、
第2のモードでは、前記EL素子が発光している期間のうちの所定の期間における前記EL素子の輝度が、前記EL素子が発光している期間のうちの前記所定の期間以外の期間における前記EL素子の輝度に比べて高くなっており、
前記複数の画素のうち、表示する階調が一定の階調より暗い画素では前記第1のモードで動作し、
前記複数の画素のうち、表示する階調が前記一定の階調より明るい画素では前記第2のモードで動作することを特徴とする発光装置の駆動方法。
【請求項3】
EL素子を有する複数の画素が設けられた発光装置の駆動方法であって、
第1のモードでは、前記EL素子が発光している期間において、前記EL素子の輝度が常に一定に保たれており、
第2のモードでは、前記EL素子が発光している期間のうちの所定の期間における前記EL素子の輝度が、前記EL素子が発光している期間のうちの前記所定の期間以外の期間における前記EL素子の輝度に比べて高くなっており、
前記複数の画素のうち、隣接する画素に比べて、表示する階調が一定の値以上明るい画素のみ前記第2のモードで動作し、
前記複数の画素のうち、隣接する画素に比べて、表示する階調が前記一定の値以上明るい画素以外の画素は前記第1のモードで動作することを特徴とする発光装置の駆動方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2007−41615(P2007−41615A)
【公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−259929(P2006−259929)
【出願日】平成18年9月26日(2006.9.26)
【分割の表示】特願2001−345811(P2001−345811)の分割
【原出願日】平成13年11月12日(2001.11.12)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】