発光装置及び照明装置
【課題】点状発光素子としてのLEDの光軸とレンズ部の光軸とを位置合わせし、均一の照明光を出射できるようにした防水性に優れた発光装置及びこれを備えた照明装置の提供を目的とする。
【解決手段】光束制御部材5のシーリング収容溝40内に形成した一対の位置決め突起15,18を、基板3の第1の位置決め穴16と第2の位置決め穴20のそれぞれに係合する。これにより、基板3に取り付けたLED4の光軸に光束制御部材5のレンズ部26の光軸を合致させることができる。また、シーリング材をシーリング材収容溝40内に注入することにより、光束制御部材5と基板3との隙間をシーリング材でシールできると共に、光束制御部材5及び基板3とハーネス7との隙間をシーリング材でシールでき、発光装置1の内部に雨水や塵等が侵入するのを確実に防止することができる。
【解決手段】光束制御部材5のシーリング収容溝40内に形成した一対の位置決め突起15,18を、基板3の第1の位置決め穴16と第2の位置決め穴20のそれぞれに係合する。これにより、基板3に取り付けたLED4の光軸に光束制御部材5のレンズ部26の光軸を合致させることができる。また、シーリング材をシーリング材収容溝40内に注入することにより、光束制御部材5と基板3との隙間をシーリング材でシールできると共に、光束制御部材5及び基板3とハーネス7との隙間をシーリング材でシールでき、発光装置1の内部に雨水や塵等が侵入するのを確実に防止することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、防水性に優れ、屋内外での使用が可能な発光装置、及びこの発光装置を複数組み合わせて構成される照明装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、風雨に晒される屋外の広告パネルや案内パネル等を照明するための照明装置ユニットとして、LED(点状に発光する発光素子)を用いたものが知られている。
【0003】
図21は、このような照明装置ユニット100を示すものである。この図21に示す従来の照明装置ユニット100は、複数のLED101を実装した基板102及び防水目的のOリング103をケース104内に収容すると共に、基板102と図外の外部電源等に接続されるワイヤ105の固定部材106をケース104の係合部107に固定した後、ケース104の上部開口端108を塞ぐように、集光拡散カバー110をケース104にねじ111で締め付け固定していた。集光拡散カバー110は、基板102上のLED101の位置に対応するようにレンズ形状部112が形成され、LED101からの光を集光し且つ拡散出射させるようになっている。
【0004】
また、この図21に示す従来の照明装置ユニット100は、防水機能を発揮させるOリング103及び固定部材106に代え、シリコーン樹脂等のシーリング材でケース104を密封する技術も開示している(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−213881号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、図21に示した照明装置ユニット100は、LED101が実装された基板102と集光拡散カバー110とが直接位置決めされるようになっていないため、LED101の光軸と集光拡散カバー110のレンズ形状部112の光軸とにズレを生じやすく、集光拡散カバー110から出射される光が光軸の周りに均等に拡散されずに、照明光の明るさにバラツキが生じるという問題があった。
【0007】
また、照明装置ユニット100の防水性を確保するためには、集光拡散カバー110とケース104とを組み合わせて形成される空間に基板102を収容し、Oリング103等で密封する必要があり、部品点数が多いという問題があった。
【0008】
そこで、本発明は、少ない部品点数でLEDの光軸とレンズ部の光軸とを位置合わせし、レンズで制御された照明光を設計通りに出射できるようにした防水性に優れた発光装置及びこれを備えた照明装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1の発明は、点状に発光する発光素子が取り付けられた基板と、前記発光素子からの光を前記発光素子の光軸の周りに拡げて出射させるレンズ部が形成されて、前記基板に固定される光束制御部材と、を有する発光装置に関するものである。この発明において、前記光束制御部材は、前記基板に対向する側の外縁部分が前記基板の外縁を所定の隙間をもって取り囲むように形成され、前記外縁部分の内側に沿ってシーリング材収容溝が形成され、前記基板と外部電源とを接続するハーネスの引き出し溝が前記シーリング材収容溝に連通するように前記外縁部分に形成されると共に、前記シーリング材収容溝内で且つ前記基板に対向する面側に一対の位置決め突起が離れた状態で突設されている。また、前記基板は、前記一対の位置決め突起の一方に係合する第1の位置決め穴が形成されると共に、前記一対の位置決め突起の他方に係合する第2の位置決め穴が形成されている。また、前記一対の位置決め突起は、その一方が前記第1の位置決め穴に係合され、その他方が前記第2の位置決め穴に係合されると、前記発光素子の光軸に前記レンズ部の光軸を合致させるように、前記基板に対して前記光束制御部材を位置決めする。また、前記第2の位置決め穴は、前記一対の位置決め突起を結んだ線に沿った方向への前記光束制御部材と前記基板の相対移動を可能にする長穴である。そして、本発明の発光装置は、前記光束制御部材の前記一対の位置決め突起の一方を前記基板の第1の位置決め穴に係合し、前記光束制御部材の前記一対の位置決め突起の他方を前記基板の第2の位置決め穴に係合して、前記光束制御部材を前記基板に対して位置決めした状態で組付け、前記光束制御部材の前記外縁部分と前記基板の前記外縁との隙間から前記シーリング材収容溝内にシーリング材を注入することにより、前記光束制御部材の外縁部分と前記基板の外縁との隙間が前記シーリング材でシールされ、前記ハーネスと前記引き出し溝との隙間が前記シーリング材でシールされると共に、前記一対の位置決め突起の一方と前記第1の位置決め穴との隙間及び前記一対の位置決め突起の他方と前記第2の位置決め穴との隙間が前記シーリング材でシールされるようになっている。
【0010】
請求項2の発明に係る発光装置は、上記請求項1の発明における前記基板に特徴を有するものである。すなわち、前記基板は、金属板の表面に前記発光素子と前記ハーネスとを電気的に接続する回路が形成されており、前記金属板の裏面が前記光束制御部材から出っ張るように位置している。
【0011】
請求項3の発明に係る発光装置は、上記請求項1又は2の発明において、前記基板と前記光束制御部材が前記シーリング材によって固定されることを特徴としている。
【0012】
請求項4の発明に係る照明装置は、上記請求項1乃至3のいずれかの発明に係る発光装置を平面上に所定の間隔で複数配置し、これら複数の発光装置によって被照明部材を照明するようになっている。
【発明の効果】
【0013】
以上のように、本発明は、光束制御部材の一対の位置決め突起を基板の第1の位置決め穴と第2の位置決め穴のそれぞれに係合することにより、基板に取り付けた発光素子の光軸に光束制御部材のレンズ部の光軸を合致させることができるため、発光素子の光軸とレンズ部の光軸のずれに起因する照明光の設計値からのずれを生じることがなく、レンズによる設計通りに制御された照明光の出射が可能になる。
【0014】
また、本発明は、光束制御部材と基板との隙間をシーリング材でシールすることができると共に、光束制御部材及び基板とハーネスとの隙間をシーリング材でシールし、内部に雨水や塵等が侵入するのを確実に防止することができるため、風雨や埃に晒される屋内外において、長期間に亘り、均一な照明光を出射することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1(a)が発光装置の平面図、図1(b)が発光装置の正面図、図1(c)が発光装置の右側面図、図1(d)が発光装置の裏面図である。
【図2】図1(a)のA1−A1線に沿って切断して示す発光装置の断面図であり、取付板に固定した状態を示す発光装置の断面図である。
【図3】図1(a)のA2−A2線に沿って切断して示す発光装置の断面図である。
【図4】基板を取り除いて示す発光装置の裏面図である。
【図5】発光装置の使用状態を模式的に示す図である。
【図6】図1(a)の発光装置の一部を破断して示す平面図である。
【図7】ハーネスを半田付けした後の基板の平面図である。
【図8】図8(a)がハーネスを半田付けする前の基板の平面図、図8(b)がハーネスを半田付けする前の基板の正面図である。
【図9】図9(a)が光束制御部材の平面図、図9(b)が光束制御部材の正面図、図9(c)が図9(a)の光束制御部材を右側から見て示す側面図、図9(d)が図9(a)の光束制御部材を左側から見て示す側面図である。
【図10】図9(a)に示す光束制御部材の裏面図である。
【図11】図9(a)のA3−A3線に沿って切断して示す光束制御部材の断面図である。
【図12】図9(a)のA4−A4線に沿って切断して示す光束制御部材の断面図である。
【図13】図9(a)のA5−A5線に沿って切断して示す光束制御部材の断面図である。
【図14】図9(a)のA6−A6線に沿って切断して示す光束制御部材の部分断面図である。
【図15】図9(a)のA7−A7線に沿って切断して示す光束制御部材の断面図である。
【図16】図1(a)のB1−B1線に沿って切断して示す発光装置の断面図である。
【図17】被照明部材を取り除いて示す照明装置の平面図を示すものである。
【図18】照明装置の正面図を示すものである。
【図19】(a)は、発光装置の裏面図である。(b)は、基板を取り除いて示す発光装置の裏面図である。
【図20】、基板の裏面図である。
【図21】従来の照明ユニットの分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき詳述する。
【0017】
図1乃至図5は、本発明の実施の形態に係る発光装置1を示すものである。このうち、図1(a)が発光装置1の平面図、図1(b)が発光装置1の正面図、図1(c)が発光装置1の右側面図、図1(d)が発光装置1の裏面図である。また、図2は、図1(a)のA1−A1線に沿って切断して示す発光装置1の断面図であり、取付板2に固定した状態を示す発光装置1の断面図である。また、図3は、図1(a)のA2−A2線に沿って切断して示す発光装置1の断面図である。また、図4は、基板3を取り除いて示す発光装置1の裏面図である。また、図5は、発光装置1の使用状態を模式的に示す図である。
【0018】
(発光装置の概略構成)
これらの図に示すように、発光装置1は、点状発光素子としてのLED4が取り付けられた薄板状の基板3と、この基板3に固定される光束制御部材5と、を有している。そして、この発光装置1は、基板3に半田6で固定(半田付け)されたハーネス7が光束制御部材5の外縁部分(側壁)8の引き出し溝10から光束制御部材5の外部に引き出されるようになっている。
【0019】
(基板)
基板3は、図1〜図8に示すように、平面形状が四角形の金属板11(例えば、縦寸法が34mm、横寸法が38mm、板厚1.5mmの熱伝導性に優れたアルミニウム板)の表面11aに絶縁層12(層厚80μm)が形成され、この絶縁層12上に図示しない回路パターン(例えば、銅箔厚35μm)が形成され、平面図で見た中央C(一対の対角線13a,13bの交点)にLED4が取り付けられている。すなわち、本実施の形態において、LED4の光軸17は、中央Cを通るように配置されている。そして、LED4が回路パターンに接続され、その回路パターンの端部にハーネス7の一端側の導線14が半田付けされており、基板3のLED4が回路パターン及びハーネス7を介して外部電源に接続される。ここでいう光軸17とは、LED4からの立体的な出射光束の中心を意味する。
【0020】
また、基板3には、光束制御部材5の第1の位置決め突起15に微小な隙間で係合する第1の位置決め穴(丸穴)16が形成されている。そして、基板3には第1の位置決め穴16を基準としてLED4が取り付けられており、LED4の光軸17が基板3の平面図における中央Cに位置するように位置決めされている。また、基板3には、光束制御部材5の第2の位置決め突起18に係合する第2の位置決め穴20が形成されている。この第2の位置決め穴18は、図8に詳細を示すように、基板3の中央Cを通りY軸に平行な線に対して、第1の位置決め穴16とほぼ左右対称の位置に形成されており、第1の位置決め穴16の中心からX方向へ延ばした延長線(第1の位置決め突起15と第2の位置決め突起18とを結んだ線)に沿って形成されており、基板3の端縁側に開口するようになっている。そして、この第2の位置決め穴20は、第2の位置決め突起18とのY方向に沿った隙間が僅かであり、第2の位置決め突起18のY方向への位置決めを行い、第2の位置決め突起18のX方向への相対移動を許容するようになっている。
【0021】
また、基板3は、図1(a)、図2、図8に示すように、一つの対角線13a上に位置する一対のコーナー部分に、ねじ21に螺合する雌ねじ22がそれぞれ形成され、他の対角線13b上に位置する一対のコーナー部分に、ねじ23の軸部に隙間をもって係合するねじ穴24がそれぞれ形成されている。
【0022】
このような本実施形態の基板3によれば、熱伝導性に優れた金属板11の裏面11bが露出する構成であるため、LED4の熱を効率的に外部に放熱することが可能である。なお、基板3は、LED4の放熱が必要な程度やコスト等を考慮して、金属板に代えて、樹脂板を使用してもよい。
【0023】
また、本実施形態の基板3は、第1及び第2の位置決め穴16,20を金属板11の表面11aから裏面11bに貫通させる態様であるため、第1及び第2の位置決め穴16,20を金属板11の表面11aから裏面11bに貫通させない態様に比較し、加工作業が容易化し、製造コストを低廉化することができる。
【0024】
なお、基板3の線膨張係数が光束制御部材5と略等しい場合には、第2の位置決め穴20の形状を長穴にする必要はなく、組立時の位置精度を考慮したクリアランスを有する丸穴として形成してもよい。
【0025】
(光束制御部材)
光束制御部材5は、光透過性に優れたPMMA(ポリメタクリル酸メチル)、PC(ポリカーボネート)、COP(シクロオレフィン)、シリコーン等の樹脂材料で形成されている。また、これらの樹脂材料には、光束制御機能を損なわない程度の散乱子が含まれていてもよい。この光束制御部材5は、図9乃至図15に示すように、平面形状がほぼ四角形の部品収容部25と、この部品収容部25の上部に一体に形成された平面形状が円形のレンズ部26とを有している。
【0026】
部品収容部25は、基板3を収容する凹み空間27が形成されている。この部品収容部25の凹み空間27は、基板3の外縁3aを所定の隙間をもって囲む外縁部分8によって形作られている。そして、この部品収容部25内には、基板3の表面(11a)を突き当てて、基板3とレンズ部26との間隔が所定寸法になるように基板3を位置決めする基板突き当て部分28が形成されている。
【0027】
基板突き当て部分28は、部品収容部26の外縁部分8の内側に位置しており、外縁部分8に対して所定の間隔をあけて且つ外縁部分8にほぼ沿うように、上部壁部分30からリブ状に突出形成されている。また、この基板突き当て部分28は、図9(a)、図10及び図15に示すように、部品収容部25の4コーナー部分に形成された円筒状のねじ挿入筒部分31を隙間をもって取り囲むように内側に張り出している。
【0028】
また、部品収容部25は、基板3の第1の位置決め穴16に係合する第1の位置決め突起15が上部壁部分(基板3に対向する面)30から突出するように形成されると共に、基板3の第2の位置決め穴20に係合する第2の位置決め突起18が上部壁部分30から突出するように形成されている。そして、基板突き当て部分28は、第1の位置決め突起15を所定の隙間をもって取り囲むように内側に張り出すと共に、第2の位置決め突起18を所定の隙間をもって取り囲むように内側に張り出すように形成されている。
【0029】
また、部品収容部25は、図10に示すように、第1の位置決め突起15を挟むように、一対のハーネス先端側保持部分32が形成されると共に、第2の位置決め突起18を挟むように、一対のハーネス先端側保持部分32が形成されている。このハーネス先端側保持部分32は、基板突き当て部分28から内側へ向かって張り出すように形成されており、その先端部分にハーネス7の導線14に隙間をもって係合する導線係合溝33が形成されている(図3及び図4参照)。なお、基板突き当て部分28には、ハーネス7の外周に僅かな隙間をもって係合するハーネス係合溝34が形成されている(図3及び図4参照)。また、ハーネス先端側保持部分32は、導線係合溝33とハーネス係合溝34との間において、ハーネス7との間に空間35が生じるようになっている(図3及び図4参照)。
【0030】
また、部品収容部25の外縁部分8には、基板3に半田付けされたハーネス7をX方向に沿って引き出すことができる引き出し溝10が光束制御部材5の裏面側に開口するように形成されている。そして、このハーネス7の引き出し溝10が形成された外縁部分8には、引き出し溝10に対応するように、ハーネス保持部分36が形成されている。このハーネス保持部分36には、ハーネス7と部品収容部25の外縁部分8との隙間をシールするシーリング材37を保持するための空間38が形成されている。また、ハーネス保持部分36は、光束制御部材5の裏面側に開口するハーネス挿入溝36aが形成されると共に、ハーネス支持突起36bが形成されている。ハーネス保持部分36のハーネス挿入溝36aは、引き出し溝10に湾曲した状態で接続され、湾曲させたハーネス7を空間38内に挿入することができる溝幅寸法に形成されている。また、ハーネス保持部分36のハーネス支持突起36bは、湾曲させた状態で空間38内に係合させたハーネス7を真っ直ぐに(ハーネス係合溝34及び引き出し溝10に係合されたハーネス7を一直線状に)伸ばすと、その真っ直ぐに伸ばしたハーネス7を光束制御部材5の裏面側から支持することができるようになっている。ここで、シーリング材37は、シーリング材収容溝40内に注入される際には流動性を有し、シーリング材収容溝40内へ注入した後に常温で所定時間放置すると固化する材料であり、例えば、EVA(エチレン酢酸ビニル共重合体),PA(ポリアミド),SR(合成ゴム)等のホットメルト接着剤やシリコーン等が使用される。
【0031】
このように形成された部品収容部25は、外縁部分8と基板突き当て部分28との間の溝(シーリング材収容溝)40にシーリング材37が注入されると、シーリング材が溝40内を満たすと共に、ハーネス7とハーネス係合溝34との隙間に浸入し、また、引き出し溝10とハーネス7との隙間からハーネス保持部分36の空間38内に浸入する。その結果、基板3と光束制御部材5との隙間、ハーネス7とハーネス係合溝34との隙間、及びハーネス7と引き出し溝10との隙間がシーリング材によってシールされ、雨水,雨滴,塵等が発光装置1の内部に入り込むのを防止できる(図1(d)、図2〜図4、図10、及び図16参照)。なお、ハーネス先端側保持部分32の空間35は、シーリング材37が導線係合溝33を越えて内部空間へ漏出するのを阻止する容積を有している。
【0032】
また、このように形成された部品収容部25は、全体が同一の肉厚となるように、外縁部分8、基板突き当て部分28、上部壁部分30、ハーネス先端側保持部分32、ハーネス保持部分36がほぼ同一の肉厚となるように形成されている。これにより、光束制御部材5が射出成形で形成された場合に、成形後の収縮に伴う歪みを生じにくく、光束制御部材5の形状精度を高精度化することが可能になる。
【0033】
レンズ部26は、その出射面(表面)41の平面形状が円形に形成されている。このレンズ部26の出射面41は、基板3の表面(11a)と平行となるように形成された平坦な面である(図5参照)。また、レンズ部26は、その裏面42(部品収容部25に収容された基板3に対向する面)側に、基板3上のLED4に対向する凹み43が形成されている(図5参照)。この凹み43は、LED4の光軸17を中心とするように球面状に形成されており、その中心軸がLED4の光軸17の延長線に合致するレンズ部26の光軸44である(図5参照)。そして、この凹み43は、その光軸44を中心とする球面状の第1の入光面45と、この第1の入光面45の周縁を滑らかにレンズ部26の平坦な裏面42側に接続する第2の入光面46とからなっている(図5参照)。このうち、第1の入光面45は、LED4から遠ざかる方向に凸の凹曲面形状であり、光軸44に沿った断面形状が光軸44を中心とする対称形状である。また、第2の入光面46は、第1の入光面45とほぼ逆方向に凸の曲面形状に形成されている。その結果、凹み43は、第1の入光面45と第2の入光面46との接続部分が変曲点になる。ここで、LED4の光軸17上において、LED4の出射光の強度が最大強度になるように構成されている。また、凹み43は、LED4から出射される光のうちで、少なくとも最大強度の光が出射される方向(光軸17に沿った方向であって、光束制御部材5の出射面41の法線方向に沿った方向)から最大強度の半分の値となる光が出射される方向までの角度範囲の光が入射できるように形成されている。
【0034】
このような光束制御部材5は、凹み43から内部に入射したLED4からの光を、出射面41から外部(空気中)に向けてスネルの法則に従って出射することになるが、凹み43を形成しない場合に比較して、光束を十分に拡げて出射することが可能になる(図5参照)。
【0035】
レンズ部26の形状は、本実施の形態に限られず、LED4からの光を制御して出射するものであればよく、凹み43が出射面41と裏面42の両側、或いは出射面41側のみに形成されていてもよい。また、レンズ部26のレンズとしては、拡散レンズに限られず、凸面が形成された集光レンズでもよい。
【0036】
(発光装置の組立方法)
まず、基板3の中央Cには、LED4の光軸17が位置するように、基板3の第1の位置決め穴16を基準としてLED4を取り付ける(図8参照)。
【0037】
次に、基板3の表面(11a)に形成した回路パターンのハーネス取付部47には、ハーネス7の導線14の先端部を半田付けする(図6乃至図8参照)。なお、本実施形態においては、LED4を中心にして、基板3の左右対称の位置に、合計4本のハーネス7が半田付けされる。
【0038】
次に、光束制御部材5の第1の位置決め突起15を基板3の第1の位置決め穴16に係合すると共に、光束制御部材5の第2の位置決め突起18を基板3の第2の位置決め穴20に係合しながら、基板3の表面(11a)が光束制御部材5の基板突き当て部分28に当接するまで、基板3が光束制御部材5の部品収容部25内に収容される(図7、図10、図16参照)。この際、ハーネス7は、光束制御部材5の導線係合溝33,ハーネス係合溝34、引き出し溝10、及びハーネス保持部分36のハーネス挿入溝36aに、光束制御部材5の裏面側(下方側)から係合される(図3、図4、図7、図10、図16参照)。これにより、基板3と光束制御部材5とが位置決めされ、基板3のLED4の光軸17と光束制御部材5のレンズ部26の光軸44が合致するように位置合わせされる。また、基板3と光束制御部材5とがLED4の光軸17が延びる方向に沿って位置決めされ、光束制御部材5のレンズ部26がLED4に対して光軸17が延びる方向に沿って位置決めされることになる。ここで、基板3と光束制御部材5の製造誤差は、第2の位置決め穴20を長穴とすることにより吸収することができるようになっている。
【0039】
次に、ねじ21を光束制御部材5の対角線上に位置する一対のねじ挿入筒部分31に挿入し、そのねじ21の雄ねじを基板3の雌ねじ22に螺合し、光束制御部材5と基板3を2本のねじ21で締め付け固定する(図1(a)、図2、図7、図9(a)、図15、図16参照)。次に、基板3の外縁3aと光束制御部材5の外縁部分8との間に隙間48が形成されるので、その隙間48からシーリング材37を注入する(図1(d)参照)。シーリング材37は、シーリング材収容溝40内に注入され、光束制御部材5と基板3との隙間をシールすると共に、光束制御部材5のハーネス係合溝34及び引き出し溝10におけるハーネス7との隙間をシールする(図2乃至図4、図16参照)。また、シーリング材収容溝40内に注入されたシーリング材37は、第1の位置決め突起15と第1の位置決め穴16との隙間をシールすると共に、第2の位置決め突起18と第2の位置決め穴20との隙間をシールする(図1(d)、図4、図16参照)。また、シーリング材収容溝40内に注入されたシーリング材37は、引き出し溝10からハーネス保持部分36に流出して、ハーネス7をハーネス保持部分36に固定する(図1(d)、図3及び図4参照)。さらに、シーリング材収容溝40内に注入されたシーリング材37は、ねじ挿入筒部分31を囲繞するようにシールし、ねじ挿入筒部分31を介して雨水、雨滴、塵等が基板3と光束制御部材5との間の空間内に侵入するのを阻止する。
【0040】
このようにして、シーリング材37は、基板3と光束制御部材5との間の空間内に雨水等が侵入しないようにシールし、基板3上の回路パターンやLED4等が雨水等に晒されるのを防止することができる。
【0041】
(本実施形態に係る発光装置の効果)
以上のように、本実施形態の発光装置1は、光束制御部材5の第1の位置決め突起15を基板3の第1の位置決め穴16に係合し、光束制御部材5の第2の位置決め突起18を基板3の第2の位置決め穴20に係合することにより、基板3に取り付けたLED4の光軸17に光束制御部材5のレンズ部26の光軸44を合致させることができるため、LED4の光軸17とレンズ部26の光軸44のずれに起因する照明光の明るさのバラツキを生じることがなく、均一な照明光の出射が可能になる。
【0042】
また、本実施形態の発光装置1は、光束制御部材5と基板3との隙間をシーリング材37でシールすることができると共に、光束制御部材5及び基板3とハーネス7との隙間をシーリング材37でシールし、光束制御部材5と基板3との間の内部空間内に雨水や塵等が侵入するのを少ない部品点数で確実に防止することができる。
【0043】
したがって、本実施形態の発光装置1は、風雨や埃に晒される屋内外において、長期間に亘り、均一な照明光を出射することができる。
【0044】
なお、上記実施形態によれば、基板3の外縁3aがシーリング材収容溝40内に出っ張るようになっており、シーリング材収容溝40内にシーリング材37を注入すると、シーリング材37が基板3の外縁3aに沿った表面(11a)に密着し、光束制御部材5と基板3とをシーリング材37で固定することが可能になる。したがって、発光装置1を組み立てる際に、基板3を光束制御部材5の基板突き当て部分38に押し付けた状態で、シーリング材37をシーリング材収容溝40内に注入すれば、基板3と光束制御部材5をねじ21で固定しなくてもよい。
【0045】
また、上記実施形態において例示した各材料名や各数値は、発明内容の理解を助けるためのものであり、これらに限定されるものではない。
【0046】
(照明装置)
図17乃至図18は、本発明に係る照明装置50を示すものである。このうち、図17は、被照明部材を取り除いて示す照明装置50の平面図を示すものである。また、図18は、照明装置50の正面図を示すものである。
【0047】
これらの図に示すように、照明装置50は、取付板2等の平面2a上に複数の発光装置1を所定の間隔で並べ、これら隣り合う発光装置1をハーネス7で接続し、複数の発光装置1から同時に照明光を出射し、広告パネルや液晶表示パネル等の被照明部材51を面状に照明することができる。
【0048】
この照明装置50を構成する発光装置1は、上述したように、シール性にすぐれた防水構造・防塵構造であるため、屋内外で使用でき、且つ、基板3のLED4の光軸17と光束制御部材5のレンズ部26の光軸44とを位置決めできるため、均一な照明光を出射することができる。その結果、本実施形態に係る照明装置50は、屋内外において、長期間に亘り、均一な面状照明が可能である。
【0049】
また、本実施形態において、発光装置1の基板3を構成する金属板11を光束制御部材5の部品収容部25から出っ張らせ、その発光装置1を金属製の取付板2にねじ23で固定し、基板3と取付板2とを密接させることにより、LED4の熱を基板3から取付板2へ伝熱し、取付板2を介して外部へ放熱することができる(図2参照)。その結果、本実施形態によれば、発光装置1の温度上昇を抑えることができ、発光装置1の耐久性を向上させることができる。
【0050】
なお、取付板2は、熱伝導性に優れた金属で形成され、熱伝達を促進することができるように、外気との接触面積を大きくし得る形状(例えば、凹凸形状)に形成されることが好ましい。
【0051】
また、発光装置1の取付板2への固定は、ねじ23を用いず、両面テープを使用してもよい。
【0052】
(位置決め突起と位置決め穴の変形例)
図19(a)及び図19(b)と図20を参照して、本発明の発光装置1に係る位置決め突起15,18とこれに係合する位置決め穴16,20の形成位置の変形例について説明する。
【0053】
なお、以下では、上記実施形態の発光装置1と同様の構成には同一符号を付し、上記実施形態の説明と重複することになる説明を省略する。図19(a)は、発光装置1の裏面図である。図19(b)は、基板3を取り除いて示す発光装置1の裏面図である。図20は、基板3の裏面図である。
【0054】
図19(a)及び図19(b)を参照して、第1の位置決め突起15と第2の位置決め突起18を説明する。図19(a)及び図19(b)に示す通り、光束制御部材5の部品収容部25には、基板3の第1の位置決め穴16に係合する第1の位置決め突起15が、上部壁部分30(図10参照)から突出するように形成される。また、光束制御部材5の部品収容部25には、基板3の第2の位置決め穴20に係合する第2の位置決め突起18が、上部壁部分30から突出するように形成されている。
【0055】
第1の位置決め突起15と第2の位置決め突起18とは、それぞれの位置決め突起15,18の中心を結ぶ直線が、光束制御部材5の対角線の交点C2(対角線の交点C2は、レンズ部26の光軸44と合致する)で交わり、且つ、交点C2から第1の位置決め突起15までの距離と交点C2から第2の位置決め突起18までの距離とが等しくなっている。
【0056】
以上に説明した位置に形成される第1の位置決め突起15と第2の位置決め突起18は、対角線の交点C2を対称の中心として、点対称の位置に形成されている。
【0057】
図20を参照して、第1の位置決め穴16と第2の位置決め穴20を説明する。図20に示す通り、基板3には、光束制御部材5の第1の位置決め突起15に微小な隙間で係合する第1の位置決め穴16が形成されている。第1の位置決め穴16は、丸穴となっている。
【0058】
そして、第1の位置決め穴16の中心P1と基板3の中央Cとを結ぶ線(以下、L1線という)の延長上には、第2の位置決め穴20が、基板3の中央Cから離れる方向に開口するように略U字状に切り欠きされて形成されている。この第2の位置決め穴20は、円弧状部と直線部とを有し、直線部分はL1線に対して平行となっている。
【0059】
そして、この第2の位置決め穴20は、第2の位置決め穴20の円弧状部と同心の円の中心P2から基板3の中央Cまでの距離と、第1の位置決め穴16の中心P1から基板3の中央Cまでの距離と、が等しくなるように形成されている。
【0060】
この第2の位置決め穴20は、第2の位置決め突起18とのL1線の垂直方向に沿った間隔が僅かであり、第2の位置決め突起18のL1線の垂直方向への位置決めを行う。また、第2の位置決め穴20は、第2の位置決め突起18のL1線に沿った方向への相対移動を許容するようになっている。
【0061】
以上に説明した位置に形成される第1の位置決め穴16の中心P1と第2の位置決め穴20のP2とは、基板3の中央Cを対称の中心として、点対称の位置に形成される。すなわち、図20に示される状態で180度回転させると、第1の位置決め穴16の中心P1が第2の位置決め穴20のP2の位置に、第2の位置決め穴20のP2が第1の位置決め穴16の中心P1に位置するようになっている。
【0062】
なお、第2の位置決め穴20の形状は、基板3の中央Cから離れる方向に開口するように略U字状に切り欠きされて形成されているが、閉じた長穴形状でも良い。
また、第2の位置決め穴20の形状は、基板3の線膨張係数と光束制御部材5の線膨張係数とが略等しい場合、組み立て時の位置精度を考慮したクリアランスを有する丸穴としてもよい。
(本変形例の効果)
本変形例に係る光束制御部材5と基板3によれば、第1の位置決め突起15と第2の位置決め突起18とが、レンズ部26の光軸44(本変形例においては対角線の交点C2)を対称の中心として、対称の位置に形成されており、そして、これらに係合される第1の位置決め穴16の中心P1と第2の位置決め穴20のP2とが、点状発光素子としてのLED4の光軸17(本変形例においては基板3の中央C)を対称の中心として、対称の位置に形成されている。
【0063】
これにより、光束制御部材5に対する基板3の取付位置は、図19(a)で示す、光束制御部材5に基板3の第1の位置決め穴16が右側に配置される取り付け位置の他、第1の位置決め穴16が左側に配置される取り付け位置をもとることができる。
【0064】
これに対し、図1(d)で示す、先に述べた実施形態は、光束制御部材5に対する基板3の取付位置が一意的に決定される。
【0065】
以上により、本変形例と先の実施形態とを比較すると、本変形例の方が組み立て効率が良くなる効果を有している。
【0066】
なお、第1の位置決め突起15、第2の位置決め突起18とこれに係合する第1の位置決め穴16、第2の位置決め穴20の形成位置は、基板3に取り付けられたLED4の光軸17にレンズ部26の光軸44を合致させることができ、第1の位置決め突起15と第2の位置決め突起18とがレンズ部26の光軸44を対称の中心として、点対称の位置に形成され、且つ、これに係合する第1の位置決め穴16と第2の位置決め穴20とが対応する位置に形成されていれば良く、本変形例の図19及び図20で説明した位置に限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明の発光装置1は、屋内における案内パネル等の照明や液晶表示パネルのバックライトの構成部品として使用できることはもちろんのこと、防水及び防塵対策が必要となる屋外における広告パネル等の照明や液晶表示パネルのバックライトの構成部品として使用することが可能である。なお、本発明の発光装置1を液晶表示パネルのバックライトとして使用する場合には、発光装置1が規則的な配置で複数並べられて使用される。
【符号の説明】
【0068】
1……発光装置、3……基板、3a……表面、4……LED(発光素子)、5……光束制御部材、7……ハーネス、8……外縁部分、10……引き出し溝、11……金属板、11a……表面、11b……裏面、15……第1の位置決め突起(位置決め突起)、16……第1の位置決め穴、17,44……光軸、18……第2の位置決め突起(位置決め突起)、20……第2の位置決め穴、26……レンズ部、30……上部壁部分(基板に対向する面)、37……シーリング材、40……シーリング溝、48……隙間、50……照明装置、51……被照明部材
【技術分野】
【0001】
この発明は、防水性に優れ、屋内外での使用が可能な発光装置、及びこの発光装置を複数組み合わせて構成される照明装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、風雨に晒される屋外の広告パネルや案内パネル等を照明するための照明装置ユニットとして、LED(点状に発光する発光素子)を用いたものが知られている。
【0003】
図21は、このような照明装置ユニット100を示すものである。この図21に示す従来の照明装置ユニット100は、複数のLED101を実装した基板102及び防水目的のOリング103をケース104内に収容すると共に、基板102と図外の外部電源等に接続されるワイヤ105の固定部材106をケース104の係合部107に固定した後、ケース104の上部開口端108を塞ぐように、集光拡散カバー110をケース104にねじ111で締め付け固定していた。集光拡散カバー110は、基板102上のLED101の位置に対応するようにレンズ形状部112が形成され、LED101からの光を集光し且つ拡散出射させるようになっている。
【0004】
また、この図21に示す従来の照明装置ユニット100は、防水機能を発揮させるOリング103及び固定部材106に代え、シリコーン樹脂等のシーリング材でケース104を密封する技術も開示している(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−213881号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、図21に示した照明装置ユニット100は、LED101が実装された基板102と集光拡散カバー110とが直接位置決めされるようになっていないため、LED101の光軸と集光拡散カバー110のレンズ形状部112の光軸とにズレを生じやすく、集光拡散カバー110から出射される光が光軸の周りに均等に拡散されずに、照明光の明るさにバラツキが生じるという問題があった。
【0007】
また、照明装置ユニット100の防水性を確保するためには、集光拡散カバー110とケース104とを組み合わせて形成される空間に基板102を収容し、Oリング103等で密封する必要があり、部品点数が多いという問題があった。
【0008】
そこで、本発明は、少ない部品点数でLEDの光軸とレンズ部の光軸とを位置合わせし、レンズで制御された照明光を設計通りに出射できるようにした防水性に優れた発光装置及びこれを備えた照明装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1の発明は、点状に発光する発光素子が取り付けられた基板と、前記発光素子からの光を前記発光素子の光軸の周りに拡げて出射させるレンズ部が形成されて、前記基板に固定される光束制御部材と、を有する発光装置に関するものである。この発明において、前記光束制御部材は、前記基板に対向する側の外縁部分が前記基板の外縁を所定の隙間をもって取り囲むように形成され、前記外縁部分の内側に沿ってシーリング材収容溝が形成され、前記基板と外部電源とを接続するハーネスの引き出し溝が前記シーリング材収容溝に連通するように前記外縁部分に形成されると共に、前記シーリング材収容溝内で且つ前記基板に対向する面側に一対の位置決め突起が離れた状態で突設されている。また、前記基板は、前記一対の位置決め突起の一方に係合する第1の位置決め穴が形成されると共に、前記一対の位置決め突起の他方に係合する第2の位置決め穴が形成されている。また、前記一対の位置決め突起は、その一方が前記第1の位置決め穴に係合され、その他方が前記第2の位置決め穴に係合されると、前記発光素子の光軸に前記レンズ部の光軸を合致させるように、前記基板に対して前記光束制御部材を位置決めする。また、前記第2の位置決め穴は、前記一対の位置決め突起を結んだ線に沿った方向への前記光束制御部材と前記基板の相対移動を可能にする長穴である。そして、本発明の発光装置は、前記光束制御部材の前記一対の位置決め突起の一方を前記基板の第1の位置決め穴に係合し、前記光束制御部材の前記一対の位置決め突起の他方を前記基板の第2の位置決め穴に係合して、前記光束制御部材を前記基板に対して位置決めした状態で組付け、前記光束制御部材の前記外縁部分と前記基板の前記外縁との隙間から前記シーリング材収容溝内にシーリング材を注入することにより、前記光束制御部材の外縁部分と前記基板の外縁との隙間が前記シーリング材でシールされ、前記ハーネスと前記引き出し溝との隙間が前記シーリング材でシールされると共に、前記一対の位置決め突起の一方と前記第1の位置決め穴との隙間及び前記一対の位置決め突起の他方と前記第2の位置決め穴との隙間が前記シーリング材でシールされるようになっている。
【0010】
請求項2の発明に係る発光装置は、上記請求項1の発明における前記基板に特徴を有するものである。すなわち、前記基板は、金属板の表面に前記発光素子と前記ハーネスとを電気的に接続する回路が形成されており、前記金属板の裏面が前記光束制御部材から出っ張るように位置している。
【0011】
請求項3の発明に係る発光装置は、上記請求項1又は2の発明において、前記基板と前記光束制御部材が前記シーリング材によって固定されることを特徴としている。
【0012】
請求項4の発明に係る照明装置は、上記請求項1乃至3のいずれかの発明に係る発光装置を平面上に所定の間隔で複数配置し、これら複数の発光装置によって被照明部材を照明するようになっている。
【発明の効果】
【0013】
以上のように、本発明は、光束制御部材の一対の位置決め突起を基板の第1の位置決め穴と第2の位置決め穴のそれぞれに係合することにより、基板に取り付けた発光素子の光軸に光束制御部材のレンズ部の光軸を合致させることができるため、発光素子の光軸とレンズ部の光軸のずれに起因する照明光の設計値からのずれを生じることがなく、レンズによる設計通りに制御された照明光の出射が可能になる。
【0014】
また、本発明は、光束制御部材と基板との隙間をシーリング材でシールすることができると共に、光束制御部材及び基板とハーネスとの隙間をシーリング材でシールし、内部に雨水や塵等が侵入するのを確実に防止することができるため、風雨や埃に晒される屋内外において、長期間に亘り、均一な照明光を出射することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1(a)が発光装置の平面図、図1(b)が発光装置の正面図、図1(c)が発光装置の右側面図、図1(d)が発光装置の裏面図である。
【図2】図1(a)のA1−A1線に沿って切断して示す発光装置の断面図であり、取付板に固定した状態を示す発光装置の断面図である。
【図3】図1(a)のA2−A2線に沿って切断して示す発光装置の断面図である。
【図4】基板を取り除いて示す発光装置の裏面図である。
【図5】発光装置の使用状態を模式的に示す図である。
【図6】図1(a)の発光装置の一部を破断して示す平面図である。
【図7】ハーネスを半田付けした後の基板の平面図である。
【図8】図8(a)がハーネスを半田付けする前の基板の平面図、図8(b)がハーネスを半田付けする前の基板の正面図である。
【図9】図9(a)が光束制御部材の平面図、図9(b)が光束制御部材の正面図、図9(c)が図9(a)の光束制御部材を右側から見て示す側面図、図9(d)が図9(a)の光束制御部材を左側から見て示す側面図である。
【図10】図9(a)に示す光束制御部材の裏面図である。
【図11】図9(a)のA3−A3線に沿って切断して示す光束制御部材の断面図である。
【図12】図9(a)のA4−A4線に沿って切断して示す光束制御部材の断面図である。
【図13】図9(a)のA5−A5線に沿って切断して示す光束制御部材の断面図である。
【図14】図9(a)のA6−A6線に沿って切断して示す光束制御部材の部分断面図である。
【図15】図9(a)のA7−A7線に沿って切断して示す光束制御部材の断面図である。
【図16】図1(a)のB1−B1線に沿って切断して示す発光装置の断面図である。
【図17】被照明部材を取り除いて示す照明装置の平面図を示すものである。
【図18】照明装置の正面図を示すものである。
【図19】(a)は、発光装置の裏面図である。(b)は、基板を取り除いて示す発光装置の裏面図である。
【図20】、基板の裏面図である。
【図21】従来の照明ユニットの分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき詳述する。
【0017】
図1乃至図5は、本発明の実施の形態に係る発光装置1を示すものである。このうち、図1(a)が発光装置1の平面図、図1(b)が発光装置1の正面図、図1(c)が発光装置1の右側面図、図1(d)が発光装置1の裏面図である。また、図2は、図1(a)のA1−A1線に沿って切断して示す発光装置1の断面図であり、取付板2に固定した状態を示す発光装置1の断面図である。また、図3は、図1(a)のA2−A2線に沿って切断して示す発光装置1の断面図である。また、図4は、基板3を取り除いて示す発光装置1の裏面図である。また、図5は、発光装置1の使用状態を模式的に示す図である。
【0018】
(発光装置の概略構成)
これらの図に示すように、発光装置1は、点状発光素子としてのLED4が取り付けられた薄板状の基板3と、この基板3に固定される光束制御部材5と、を有している。そして、この発光装置1は、基板3に半田6で固定(半田付け)されたハーネス7が光束制御部材5の外縁部分(側壁)8の引き出し溝10から光束制御部材5の外部に引き出されるようになっている。
【0019】
(基板)
基板3は、図1〜図8に示すように、平面形状が四角形の金属板11(例えば、縦寸法が34mm、横寸法が38mm、板厚1.5mmの熱伝導性に優れたアルミニウム板)の表面11aに絶縁層12(層厚80μm)が形成され、この絶縁層12上に図示しない回路パターン(例えば、銅箔厚35μm)が形成され、平面図で見た中央C(一対の対角線13a,13bの交点)にLED4が取り付けられている。すなわち、本実施の形態において、LED4の光軸17は、中央Cを通るように配置されている。そして、LED4が回路パターンに接続され、その回路パターンの端部にハーネス7の一端側の導線14が半田付けされており、基板3のLED4が回路パターン及びハーネス7を介して外部電源に接続される。ここでいう光軸17とは、LED4からの立体的な出射光束の中心を意味する。
【0020】
また、基板3には、光束制御部材5の第1の位置決め突起15に微小な隙間で係合する第1の位置決め穴(丸穴)16が形成されている。そして、基板3には第1の位置決め穴16を基準としてLED4が取り付けられており、LED4の光軸17が基板3の平面図における中央Cに位置するように位置決めされている。また、基板3には、光束制御部材5の第2の位置決め突起18に係合する第2の位置決め穴20が形成されている。この第2の位置決め穴18は、図8に詳細を示すように、基板3の中央Cを通りY軸に平行な線に対して、第1の位置決め穴16とほぼ左右対称の位置に形成されており、第1の位置決め穴16の中心からX方向へ延ばした延長線(第1の位置決め突起15と第2の位置決め突起18とを結んだ線)に沿って形成されており、基板3の端縁側に開口するようになっている。そして、この第2の位置決め穴20は、第2の位置決め突起18とのY方向に沿った隙間が僅かであり、第2の位置決め突起18のY方向への位置決めを行い、第2の位置決め突起18のX方向への相対移動を許容するようになっている。
【0021】
また、基板3は、図1(a)、図2、図8に示すように、一つの対角線13a上に位置する一対のコーナー部分に、ねじ21に螺合する雌ねじ22がそれぞれ形成され、他の対角線13b上に位置する一対のコーナー部分に、ねじ23の軸部に隙間をもって係合するねじ穴24がそれぞれ形成されている。
【0022】
このような本実施形態の基板3によれば、熱伝導性に優れた金属板11の裏面11bが露出する構成であるため、LED4の熱を効率的に外部に放熱することが可能である。なお、基板3は、LED4の放熱が必要な程度やコスト等を考慮して、金属板に代えて、樹脂板を使用してもよい。
【0023】
また、本実施形態の基板3は、第1及び第2の位置決め穴16,20を金属板11の表面11aから裏面11bに貫通させる態様であるため、第1及び第2の位置決め穴16,20を金属板11の表面11aから裏面11bに貫通させない態様に比較し、加工作業が容易化し、製造コストを低廉化することができる。
【0024】
なお、基板3の線膨張係数が光束制御部材5と略等しい場合には、第2の位置決め穴20の形状を長穴にする必要はなく、組立時の位置精度を考慮したクリアランスを有する丸穴として形成してもよい。
【0025】
(光束制御部材)
光束制御部材5は、光透過性に優れたPMMA(ポリメタクリル酸メチル)、PC(ポリカーボネート)、COP(シクロオレフィン)、シリコーン等の樹脂材料で形成されている。また、これらの樹脂材料には、光束制御機能を損なわない程度の散乱子が含まれていてもよい。この光束制御部材5は、図9乃至図15に示すように、平面形状がほぼ四角形の部品収容部25と、この部品収容部25の上部に一体に形成された平面形状が円形のレンズ部26とを有している。
【0026】
部品収容部25は、基板3を収容する凹み空間27が形成されている。この部品収容部25の凹み空間27は、基板3の外縁3aを所定の隙間をもって囲む外縁部分8によって形作られている。そして、この部品収容部25内には、基板3の表面(11a)を突き当てて、基板3とレンズ部26との間隔が所定寸法になるように基板3を位置決めする基板突き当て部分28が形成されている。
【0027】
基板突き当て部分28は、部品収容部26の外縁部分8の内側に位置しており、外縁部分8に対して所定の間隔をあけて且つ外縁部分8にほぼ沿うように、上部壁部分30からリブ状に突出形成されている。また、この基板突き当て部分28は、図9(a)、図10及び図15に示すように、部品収容部25の4コーナー部分に形成された円筒状のねじ挿入筒部分31を隙間をもって取り囲むように内側に張り出している。
【0028】
また、部品収容部25は、基板3の第1の位置決め穴16に係合する第1の位置決め突起15が上部壁部分(基板3に対向する面)30から突出するように形成されると共に、基板3の第2の位置決め穴20に係合する第2の位置決め突起18が上部壁部分30から突出するように形成されている。そして、基板突き当て部分28は、第1の位置決め突起15を所定の隙間をもって取り囲むように内側に張り出すと共に、第2の位置決め突起18を所定の隙間をもって取り囲むように内側に張り出すように形成されている。
【0029】
また、部品収容部25は、図10に示すように、第1の位置決め突起15を挟むように、一対のハーネス先端側保持部分32が形成されると共に、第2の位置決め突起18を挟むように、一対のハーネス先端側保持部分32が形成されている。このハーネス先端側保持部分32は、基板突き当て部分28から内側へ向かって張り出すように形成されており、その先端部分にハーネス7の導線14に隙間をもって係合する導線係合溝33が形成されている(図3及び図4参照)。なお、基板突き当て部分28には、ハーネス7の外周に僅かな隙間をもって係合するハーネス係合溝34が形成されている(図3及び図4参照)。また、ハーネス先端側保持部分32は、導線係合溝33とハーネス係合溝34との間において、ハーネス7との間に空間35が生じるようになっている(図3及び図4参照)。
【0030】
また、部品収容部25の外縁部分8には、基板3に半田付けされたハーネス7をX方向に沿って引き出すことができる引き出し溝10が光束制御部材5の裏面側に開口するように形成されている。そして、このハーネス7の引き出し溝10が形成された外縁部分8には、引き出し溝10に対応するように、ハーネス保持部分36が形成されている。このハーネス保持部分36には、ハーネス7と部品収容部25の外縁部分8との隙間をシールするシーリング材37を保持するための空間38が形成されている。また、ハーネス保持部分36は、光束制御部材5の裏面側に開口するハーネス挿入溝36aが形成されると共に、ハーネス支持突起36bが形成されている。ハーネス保持部分36のハーネス挿入溝36aは、引き出し溝10に湾曲した状態で接続され、湾曲させたハーネス7を空間38内に挿入することができる溝幅寸法に形成されている。また、ハーネス保持部分36のハーネス支持突起36bは、湾曲させた状態で空間38内に係合させたハーネス7を真っ直ぐに(ハーネス係合溝34及び引き出し溝10に係合されたハーネス7を一直線状に)伸ばすと、その真っ直ぐに伸ばしたハーネス7を光束制御部材5の裏面側から支持することができるようになっている。ここで、シーリング材37は、シーリング材収容溝40内に注入される際には流動性を有し、シーリング材収容溝40内へ注入した後に常温で所定時間放置すると固化する材料であり、例えば、EVA(エチレン酢酸ビニル共重合体),PA(ポリアミド),SR(合成ゴム)等のホットメルト接着剤やシリコーン等が使用される。
【0031】
このように形成された部品収容部25は、外縁部分8と基板突き当て部分28との間の溝(シーリング材収容溝)40にシーリング材37が注入されると、シーリング材が溝40内を満たすと共に、ハーネス7とハーネス係合溝34との隙間に浸入し、また、引き出し溝10とハーネス7との隙間からハーネス保持部分36の空間38内に浸入する。その結果、基板3と光束制御部材5との隙間、ハーネス7とハーネス係合溝34との隙間、及びハーネス7と引き出し溝10との隙間がシーリング材によってシールされ、雨水,雨滴,塵等が発光装置1の内部に入り込むのを防止できる(図1(d)、図2〜図4、図10、及び図16参照)。なお、ハーネス先端側保持部分32の空間35は、シーリング材37が導線係合溝33を越えて内部空間へ漏出するのを阻止する容積を有している。
【0032】
また、このように形成された部品収容部25は、全体が同一の肉厚となるように、外縁部分8、基板突き当て部分28、上部壁部分30、ハーネス先端側保持部分32、ハーネス保持部分36がほぼ同一の肉厚となるように形成されている。これにより、光束制御部材5が射出成形で形成された場合に、成形後の収縮に伴う歪みを生じにくく、光束制御部材5の形状精度を高精度化することが可能になる。
【0033】
レンズ部26は、その出射面(表面)41の平面形状が円形に形成されている。このレンズ部26の出射面41は、基板3の表面(11a)と平行となるように形成された平坦な面である(図5参照)。また、レンズ部26は、その裏面42(部品収容部25に収容された基板3に対向する面)側に、基板3上のLED4に対向する凹み43が形成されている(図5参照)。この凹み43は、LED4の光軸17を中心とするように球面状に形成されており、その中心軸がLED4の光軸17の延長線に合致するレンズ部26の光軸44である(図5参照)。そして、この凹み43は、その光軸44を中心とする球面状の第1の入光面45と、この第1の入光面45の周縁を滑らかにレンズ部26の平坦な裏面42側に接続する第2の入光面46とからなっている(図5参照)。このうち、第1の入光面45は、LED4から遠ざかる方向に凸の凹曲面形状であり、光軸44に沿った断面形状が光軸44を中心とする対称形状である。また、第2の入光面46は、第1の入光面45とほぼ逆方向に凸の曲面形状に形成されている。その結果、凹み43は、第1の入光面45と第2の入光面46との接続部分が変曲点になる。ここで、LED4の光軸17上において、LED4の出射光の強度が最大強度になるように構成されている。また、凹み43は、LED4から出射される光のうちで、少なくとも最大強度の光が出射される方向(光軸17に沿った方向であって、光束制御部材5の出射面41の法線方向に沿った方向)から最大強度の半分の値となる光が出射される方向までの角度範囲の光が入射できるように形成されている。
【0034】
このような光束制御部材5は、凹み43から内部に入射したLED4からの光を、出射面41から外部(空気中)に向けてスネルの法則に従って出射することになるが、凹み43を形成しない場合に比較して、光束を十分に拡げて出射することが可能になる(図5参照)。
【0035】
レンズ部26の形状は、本実施の形態に限られず、LED4からの光を制御して出射するものであればよく、凹み43が出射面41と裏面42の両側、或いは出射面41側のみに形成されていてもよい。また、レンズ部26のレンズとしては、拡散レンズに限られず、凸面が形成された集光レンズでもよい。
【0036】
(発光装置の組立方法)
まず、基板3の中央Cには、LED4の光軸17が位置するように、基板3の第1の位置決め穴16を基準としてLED4を取り付ける(図8参照)。
【0037】
次に、基板3の表面(11a)に形成した回路パターンのハーネス取付部47には、ハーネス7の導線14の先端部を半田付けする(図6乃至図8参照)。なお、本実施形態においては、LED4を中心にして、基板3の左右対称の位置に、合計4本のハーネス7が半田付けされる。
【0038】
次に、光束制御部材5の第1の位置決め突起15を基板3の第1の位置決め穴16に係合すると共に、光束制御部材5の第2の位置決め突起18を基板3の第2の位置決め穴20に係合しながら、基板3の表面(11a)が光束制御部材5の基板突き当て部分28に当接するまで、基板3が光束制御部材5の部品収容部25内に収容される(図7、図10、図16参照)。この際、ハーネス7は、光束制御部材5の導線係合溝33,ハーネス係合溝34、引き出し溝10、及びハーネス保持部分36のハーネス挿入溝36aに、光束制御部材5の裏面側(下方側)から係合される(図3、図4、図7、図10、図16参照)。これにより、基板3と光束制御部材5とが位置決めされ、基板3のLED4の光軸17と光束制御部材5のレンズ部26の光軸44が合致するように位置合わせされる。また、基板3と光束制御部材5とがLED4の光軸17が延びる方向に沿って位置決めされ、光束制御部材5のレンズ部26がLED4に対して光軸17が延びる方向に沿って位置決めされることになる。ここで、基板3と光束制御部材5の製造誤差は、第2の位置決め穴20を長穴とすることにより吸収することができるようになっている。
【0039】
次に、ねじ21を光束制御部材5の対角線上に位置する一対のねじ挿入筒部分31に挿入し、そのねじ21の雄ねじを基板3の雌ねじ22に螺合し、光束制御部材5と基板3を2本のねじ21で締め付け固定する(図1(a)、図2、図7、図9(a)、図15、図16参照)。次に、基板3の外縁3aと光束制御部材5の外縁部分8との間に隙間48が形成されるので、その隙間48からシーリング材37を注入する(図1(d)参照)。シーリング材37は、シーリング材収容溝40内に注入され、光束制御部材5と基板3との隙間をシールすると共に、光束制御部材5のハーネス係合溝34及び引き出し溝10におけるハーネス7との隙間をシールする(図2乃至図4、図16参照)。また、シーリング材収容溝40内に注入されたシーリング材37は、第1の位置決め突起15と第1の位置決め穴16との隙間をシールすると共に、第2の位置決め突起18と第2の位置決め穴20との隙間をシールする(図1(d)、図4、図16参照)。また、シーリング材収容溝40内に注入されたシーリング材37は、引き出し溝10からハーネス保持部分36に流出して、ハーネス7をハーネス保持部分36に固定する(図1(d)、図3及び図4参照)。さらに、シーリング材収容溝40内に注入されたシーリング材37は、ねじ挿入筒部分31を囲繞するようにシールし、ねじ挿入筒部分31を介して雨水、雨滴、塵等が基板3と光束制御部材5との間の空間内に侵入するのを阻止する。
【0040】
このようにして、シーリング材37は、基板3と光束制御部材5との間の空間内に雨水等が侵入しないようにシールし、基板3上の回路パターンやLED4等が雨水等に晒されるのを防止することができる。
【0041】
(本実施形態に係る発光装置の効果)
以上のように、本実施形態の発光装置1は、光束制御部材5の第1の位置決め突起15を基板3の第1の位置決め穴16に係合し、光束制御部材5の第2の位置決め突起18を基板3の第2の位置決め穴20に係合することにより、基板3に取り付けたLED4の光軸17に光束制御部材5のレンズ部26の光軸44を合致させることができるため、LED4の光軸17とレンズ部26の光軸44のずれに起因する照明光の明るさのバラツキを生じることがなく、均一な照明光の出射が可能になる。
【0042】
また、本実施形態の発光装置1は、光束制御部材5と基板3との隙間をシーリング材37でシールすることができると共に、光束制御部材5及び基板3とハーネス7との隙間をシーリング材37でシールし、光束制御部材5と基板3との間の内部空間内に雨水や塵等が侵入するのを少ない部品点数で確実に防止することができる。
【0043】
したがって、本実施形態の発光装置1は、風雨や埃に晒される屋内外において、長期間に亘り、均一な照明光を出射することができる。
【0044】
なお、上記実施形態によれば、基板3の外縁3aがシーリング材収容溝40内に出っ張るようになっており、シーリング材収容溝40内にシーリング材37を注入すると、シーリング材37が基板3の外縁3aに沿った表面(11a)に密着し、光束制御部材5と基板3とをシーリング材37で固定することが可能になる。したがって、発光装置1を組み立てる際に、基板3を光束制御部材5の基板突き当て部分38に押し付けた状態で、シーリング材37をシーリング材収容溝40内に注入すれば、基板3と光束制御部材5をねじ21で固定しなくてもよい。
【0045】
また、上記実施形態において例示した各材料名や各数値は、発明内容の理解を助けるためのものであり、これらに限定されるものではない。
【0046】
(照明装置)
図17乃至図18は、本発明に係る照明装置50を示すものである。このうち、図17は、被照明部材を取り除いて示す照明装置50の平面図を示すものである。また、図18は、照明装置50の正面図を示すものである。
【0047】
これらの図に示すように、照明装置50は、取付板2等の平面2a上に複数の発光装置1を所定の間隔で並べ、これら隣り合う発光装置1をハーネス7で接続し、複数の発光装置1から同時に照明光を出射し、広告パネルや液晶表示パネル等の被照明部材51を面状に照明することができる。
【0048】
この照明装置50を構成する発光装置1は、上述したように、シール性にすぐれた防水構造・防塵構造であるため、屋内外で使用でき、且つ、基板3のLED4の光軸17と光束制御部材5のレンズ部26の光軸44とを位置決めできるため、均一な照明光を出射することができる。その結果、本実施形態に係る照明装置50は、屋内外において、長期間に亘り、均一な面状照明が可能である。
【0049】
また、本実施形態において、発光装置1の基板3を構成する金属板11を光束制御部材5の部品収容部25から出っ張らせ、その発光装置1を金属製の取付板2にねじ23で固定し、基板3と取付板2とを密接させることにより、LED4の熱を基板3から取付板2へ伝熱し、取付板2を介して外部へ放熱することができる(図2参照)。その結果、本実施形態によれば、発光装置1の温度上昇を抑えることができ、発光装置1の耐久性を向上させることができる。
【0050】
なお、取付板2は、熱伝導性に優れた金属で形成され、熱伝達を促進することができるように、外気との接触面積を大きくし得る形状(例えば、凹凸形状)に形成されることが好ましい。
【0051】
また、発光装置1の取付板2への固定は、ねじ23を用いず、両面テープを使用してもよい。
【0052】
(位置決め突起と位置決め穴の変形例)
図19(a)及び図19(b)と図20を参照して、本発明の発光装置1に係る位置決め突起15,18とこれに係合する位置決め穴16,20の形成位置の変形例について説明する。
【0053】
なお、以下では、上記実施形態の発光装置1と同様の構成には同一符号を付し、上記実施形態の説明と重複することになる説明を省略する。図19(a)は、発光装置1の裏面図である。図19(b)は、基板3を取り除いて示す発光装置1の裏面図である。図20は、基板3の裏面図である。
【0054】
図19(a)及び図19(b)を参照して、第1の位置決め突起15と第2の位置決め突起18を説明する。図19(a)及び図19(b)に示す通り、光束制御部材5の部品収容部25には、基板3の第1の位置決め穴16に係合する第1の位置決め突起15が、上部壁部分30(図10参照)から突出するように形成される。また、光束制御部材5の部品収容部25には、基板3の第2の位置決め穴20に係合する第2の位置決め突起18が、上部壁部分30から突出するように形成されている。
【0055】
第1の位置決め突起15と第2の位置決め突起18とは、それぞれの位置決め突起15,18の中心を結ぶ直線が、光束制御部材5の対角線の交点C2(対角線の交点C2は、レンズ部26の光軸44と合致する)で交わり、且つ、交点C2から第1の位置決め突起15までの距離と交点C2から第2の位置決め突起18までの距離とが等しくなっている。
【0056】
以上に説明した位置に形成される第1の位置決め突起15と第2の位置決め突起18は、対角線の交点C2を対称の中心として、点対称の位置に形成されている。
【0057】
図20を参照して、第1の位置決め穴16と第2の位置決め穴20を説明する。図20に示す通り、基板3には、光束制御部材5の第1の位置決め突起15に微小な隙間で係合する第1の位置決め穴16が形成されている。第1の位置決め穴16は、丸穴となっている。
【0058】
そして、第1の位置決め穴16の中心P1と基板3の中央Cとを結ぶ線(以下、L1線という)の延長上には、第2の位置決め穴20が、基板3の中央Cから離れる方向に開口するように略U字状に切り欠きされて形成されている。この第2の位置決め穴20は、円弧状部と直線部とを有し、直線部分はL1線に対して平行となっている。
【0059】
そして、この第2の位置決め穴20は、第2の位置決め穴20の円弧状部と同心の円の中心P2から基板3の中央Cまでの距離と、第1の位置決め穴16の中心P1から基板3の中央Cまでの距離と、が等しくなるように形成されている。
【0060】
この第2の位置決め穴20は、第2の位置決め突起18とのL1線の垂直方向に沿った間隔が僅かであり、第2の位置決め突起18のL1線の垂直方向への位置決めを行う。また、第2の位置決め穴20は、第2の位置決め突起18のL1線に沿った方向への相対移動を許容するようになっている。
【0061】
以上に説明した位置に形成される第1の位置決め穴16の中心P1と第2の位置決め穴20のP2とは、基板3の中央Cを対称の中心として、点対称の位置に形成される。すなわち、図20に示される状態で180度回転させると、第1の位置決め穴16の中心P1が第2の位置決め穴20のP2の位置に、第2の位置決め穴20のP2が第1の位置決め穴16の中心P1に位置するようになっている。
【0062】
なお、第2の位置決め穴20の形状は、基板3の中央Cから離れる方向に開口するように略U字状に切り欠きされて形成されているが、閉じた長穴形状でも良い。
また、第2の位置決め穴20の形状は、基板3の線膨張係数と光束制御部材5の線膨張係数とが略等しい場合、組み立て時の位置精度を考慮したクリアランスを有する丸穴としてもよい。
(本変形例の効果)
本変形例に係る光束制御部材5と基板3によれば、第1の位置決め突起15と第2の位置決め突起18とが、レンズ部26の光軸44(本変形例においては対角線の交点C2)を対称の中心として、対称の位置に形成されており、そして、これらに係合される第1の位置決め穴16の中心P1と第2の位置決め穴20のP2とが、点状発光素子としてのLED4の光軸17(本変形例においては基板3の中央C)を対称の中心として、対称の位置に形成されている。
【0063】
これにより、光束制御部材5に対する基板3の取付位置は、図19(a)で示す、光束制御部材5に基板3の第1の位置決め穴16が右側に配置される取り付け位置の他、第1の位置決め穴16が左側に配置される取り付け位置をもとることができる。
【0064】
これに対し、図1(d)で示す、先に述べた実施形態は、光束制御部材5に対する基板3の取付位置が一意的に決定される。
【0065】
以上により、本変形例と先の実施形態とを比較すると、本変形例の方が組み立て効率が良くなる効果を有している。
【0066】
なお、第1の位置決め突起15、第2の位置決め突起18とこれに係合する第1の位置決め穴16、第2の位置決め穴20の形成位置は、基板3に取り付けられたLED4の光軸17にレンズ部26の光軸44を合致させることができ、第1の位置決め突起15と第2の位置決め突起18とがレンズ部26の光軸44を対称の中心として、点対称の位置に形成され、且つ、これに係合する第1の位置決め穴16と第2の位置決め穴20とが対応する位置に形成されていれば良く、本変形例の図19及び図20で説明した位置に限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明の発光装置1は、屋内における案内パネル等の照明や液晶表示パネルのバックライトの構成部品として使用できることはもちろんのこと、防水及び防塵対策が必要となる屋外における広告パネル等の照明や液晶表示パネルのバックライトの構成部品として使用することが可能である。なお、本発明の発光装置1を液晶表示パネルのバックライトとして使用する場合には、発光装置1が規則的な配置で複数並べられて使用される。
【符号の説明】
【0068】
1……発光装置、3……基板、3a……表面、4……LED(発光素子)、5……光束制御部材、7……ハーネス、8……外縁部分、10……引き出し溝、11……金属板、11a……表面、11b……裏面、15……第1の位置決め突起(位置決め突起)、16……第1の位置決め穴、17,44……光軸、18……第2の位置決め突起(位置決め突起)、20……第2の位置決め穴、26……レンズ部、30……上部壁部分(基板に対向する面)、37……シーリング材、40……シーリング溝、48……隙間、50……照明装置、51……被照明部材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
点状に発光する発光素子が取り付けられた基板と、
前記発光素子からの光を前記発光素子の光軸の周りに拡げて出射させるレンズ部が形成されて、前記基板に固定される光束制御部材と、を有し、
前記光束制御部材は、前記基板に対向する側の外縁部分が前記基板の外縁を所定の隙間をもって取り囲むように形成され、前記外縁部分の内側に沿ってシーリング材収容溝が形成され、前記基板と外部電源とを接続するハーネスの引き出し溝が前記シーリング材収容溝に連通するように前記外縁部分に形成されると共に、前記シーリング材収容溝内で且つ前記基板に対向する面側に一対の位置決め突起が離れた状態で突設され、
前記基板は、前記一対の位置決め突起の一方に係合する第1の位置決め穴が形成されると共に、前記一対の位置決め突起の他方に係合する第2の位置決め穴が形成され、
前記一対の位置決め突起は、その一方が前記第1の位置決め穴に係合され、その他方が前記第2の位置決め穴に係合されると、前記発光素子の光軸に前記レンズ部の光軸を合致させるように、前記基板に対して前記光束制御部材を位置決めし、
前記第2の位置決め穴は、前記一対の位置決め突起を結んだ線に沿った方向への前記光束制御部材と前記基板の相対移動を可能にする長穴であり、
前記光束制御部材の前記一対の位置決め突起の一方を前記基板の第1の位置決め穴に係合し、前記光束制御部材の前記一対の位置決め突起の他方を前記基板の第2の位置決め穴に係合して、前記光束制御部材を前記基板に対して位置決めした状態で組付け、前記光束制御部材の前記外縁部分と前記基板の前記外縁との隙間から前記シーリング材収容溝内にシーリング材を注入することにより、前記光束制御部材の外縁部分と前記基板の外縁との隙間が前記シーリング材でシールされ、前記ハーネスと前記引き出し溝との隙間が前記シーリング材でシールされると共に、前記一対の位置決め突起の一方と前記第1の位置決め穴との隙間及び前記一対の位置決め突起の他方と前記第2の位置決め穴との隙間が前記シーリング材でシールされる、
ことを特徴とする発光装置。
【請求項2】
前記基板は、金属板の表面に前記発光素子と前記ハーネスとを電気的に接続する回路が形成されており、前記金属板の裏面が前記光束制御部材から出っ張るように位置している、ことを特徴とする請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
前記基板と前記光束制御部材が前記シーリング材によって固定される、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の発光装置。
【請求項4】
前記請求項1乃至3のいずれかに記載した発光装置を平面上に所定の間隔で複数配置し、被照明部材を照明することを特徴とする照明装置。
【請求項1】
点状に発光する発光素子が取り付けられた基板と、
前記発光素子からの光を前記発光素子の光軸の周りに拡げて出射させるレンズ部が形成されて、前記基板に固定される光束制御部材と、を有し、
前記光束制御部材は、前記基板に対向する側の外縁部分が前記基板の外縁を所定の隙間をもって取り囲むように形成され、前記外縁部分の内側に沿ってシーリング材収容溝が形成され、前記基板と外部電源とを接続するハーネスの引き出し溝が前記シーリング材収容溝に連通するように前記外縁部分に形成されると共に、前記シーリング材収容溝内で且つ前記基板に対向する面側に一対の位置決め突起が離れた状態で突設され、
前記基板は、前記一対の位置決め突起の一方に係合する第1の位置決め穴が形成されると共に、前記一対の位置決め突起の他方に係合する第2の位置決め穴が形成され、
前記一対の位置決め突起は、その一方が前記第1の位置決め穴に係合され、その他方が前記第2の位置決め穴に係合されると、前記発光素子の光軸に前記レンズ部の光軸を合致させるように、前記基板に対して前記光束制御部材を位置決めし、
前記第2の位置決め穴は、前記一対の位置決め突起を結んだ線に沿った方向への前記光束制御部材と前記基板の相対移動を可能にする長穴であり、
前記光束制御部材の前記一対の位置決め突起の一方を前記基板の第1の位置決め穴に係合し、前記光束制御部材の前記一対の位置決め突起の他方を前記基板の第2の位置決め穴に係合して、前記光束制御部材を前記基板に対して位置決めした状態で組付け、前記光束制御部材の前記外縁部分と前記基板の前記外縁との隙間から前記シーリング材収容溝内にシーリング材を注入することにより、前記光束制御部材の外縁部分と前記基板の外縁との隙間が前記シーリング材でシールされ、前記ハーネスと前記引き出し溝との隙間が前記シーリング材でシールされると共に、前記一対の位置決め突起の一方と前記第1の位置決め穴との隙間及び前記一対の位置決め突起の他方と前記第2の位置決め穴との隙間が前記シーリング材でシールされる、
ことを特徴とする発光装置。
【請求項2】
前記基板は、金属板の表面に前記発光素子と前記ハーネスとを電気的に接続する回路が形成されており、前記金属板の裏面が前記光束制御部材から出っ張るように位置している、ことを特徴とする請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
前記基板と前記光束制御部材が前記シーリング材によって固定される、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の発光装置。
【請求項4】
前記請求項1乃至3のいずれかに記載した発光装置を平面上に所定の間隔で複数配置し、被照明部材を照明することを特徴とする照明装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
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【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公開番号】特開2010−287312(P2010−287312A)
【公開日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−115286(P2009−115286)
【出願日】平成21年5月12日(2009.5.12)
【出願人】(000208765)株式会社エンプラス (403)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年5月12日(2009.5.12)
【出願人】(000208765)株式会社エンプラス (403)
【Fターム(参考)】
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