説明

発光装置

【課題】 LEDチップのマウント用の接着剤がボンディング領域を汚損することなく、LEDチップからの発生熱を良好に放散できるLEDランプを得ること。
【解決手段】LEDランプ1は、ZDチップ12から第1のワイヤが第1のリードフレームへ懸架され、LEDチップ11から第2のワイヤが第2のリードフレーム22へ懸架され、LEDチップ11から第3のワイヤが第1のリードフレーム21へ懸架されており、第1のリードフレーム21には、LEDチップ11の被接着部と第1のボンディング領域31aのとの間及びLEDチップ11の被接着部と第3のボンディング領域33aとの間に凸部21e1,21e2が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
高い信頼性を求められる発光装置としてのLEDランプでは、半導体発光素子としてのLEDチップを静電気等から保護するため、保護素子としてのツェナーダイオードチップをLEDチップと並列にかつ逆向きに配設している。このツェナーダイオードチップは、例えばフリップチップ用のサブマウントに作りこまれて、当該サブマウントへLEDチップがマウントされる。
LEDランプを更に小型化(厚さ及び面積)するため、LEDランプ内において、LEDチップとツェナーダイオードとをそれぞれ別のリードフレームにマウントすることが検討されている。
【0003】
しかしながら、かかるマウント方式では、LEDチップをマウントするリードフレームに、ツェナーダイオードチップからのワイヤ(第1のワイヤ)とLEDチップからのワイヤ(第2のワイヤ)とがボンディングされるので、当該リードフレームに充分な面積を確保しづらい。その結果、LEDチップをリードフレームへ接着するため接着剤(ダイボンディング剤)が不規則に流動して、またリードフレーム上をブリーディングして上記ワイヤのボンディング領域に達するおそれがある。ワイヤのボンディング領域に接着剤が存在すると、ボンディング作業のじゃまとなるだけでなく、ワイヤとリードフレームとの間のボンディング接着力が大幅に低減する。
そこで、特許文献1に記載のLEDランプでは、リードフレームに切欠部を設けて接着剤の影響がワイヤのボンディング領域に及ばないようにしている。
【0004】
【特許文献1】特開2002−314138号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
リードフレームへ切欠部を設けることでワイヤのボンディング領域に対する接着剤の影響を排除できる。
しかしながら、この切欠部により、外部へ表出するリードフレームの面積が小さくなり、放熱性の低下を免れない。特に、LEDチップのマウント領域を囲むように切欠部が形成される場合は、LEDチップからの熱の伝導が遮られることとなる。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、LEDチップなどの発光素子から流動した接着剤がワイヤのボンディング領域を汚損することなく、半導体発光素子から発生する熱を良好に放散できる発光装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものである。即ち、本発明の第1の局面は次のように規定することができる。
ケースの底面に第1のリードフレームと第2のリードフレームとを備え、
前記第1のリードフレームに半導体発光素子が接着剤で接着され、
前記第2のリードフレームには前記半導体発光素子の保護素子が固定され、
前記保護素子から第1のワイヤが前記第1のリードフレームの第1のボンディング領域に懸架され、
前記半導体発光素子から第2のワイヤが前記第2のリードフレームの第2のボンディング領域に懸架され、
前記半導体発光素子から第3のワイヤが前記第1のリードフレームの第3のボンディング領域に懸架され、
前記第1のリードフレームの、前記半導体発光素子の被接着部と前記第1のボンディング領域との間、及び、前記第3のボンディング領域との間の少なくとも一方に流動阻止部が形成される、
ことを特徴とする発光装置。
【0008】
換言すれば、該発光装置は、半導体発光素子と第1のリードフレームとの熱伝導性を良好に確保して半導体発光素子の熱放散を促進しつつ、半導体発光素子をマウントする際の接着剤の流動を流動阻止部により阻止して第1のリードフレームのボンディング領域を上記接着剤の影響から排除するものである。
すなわち、第1のリードフレームにおいて半導体発光素子の被接着部と前記第1のボンディング領域との間、及び、前記第3のボンディング領域との間の少なくとも一方に、流動阻止部が形成されているので、半導体発光素子を接着する接着剤が第1のリードフレーム上を流動しても、流動阻止部により阻止される。これにより、第1のリードフレームのボンディング領域(第1及び第3のボンディング領域)に対する接着剤の影響を排除できる。
さらに、第1のリードフレームに流動阻止部が形成されても、半導体発光素子から発生した熱は、第1のリードフレームを介して良好に伝導して空気中に放散される。
【0009】
本発明の第2の局面は次のように規定することができる。
第2の局面の発光装置は、前記半導体発光素子の被接着部と前記第1のボンディング領域との間及び前記第3のボンディング領域との間の双方に前記流動阻止部が形成されている、ことが好ましい。
すなわち、第1のリードフレームにおいて半導体発光素子の被接着部と第1のワイヤの第1のボンディング領域及び第3のワイヤの第3のボンディング領域との間の双方に、流動阻止部が形成されているので、半導体発光素子を接着する接着剤が第1のリードフレーム上を流動しても、流動阻止部により確実に阻止できる。これにより、ワイヤのボンディング領域に対する接着剤の影響を排除できる。
さらに、第1のリードフレームに流動阻止部を形成しても、半導体発光素子から発生した熱は、第1のリードフレームを介して空気中に速やかに放散される。
【0010】
本発明の第3の局面は次のように規定することができる。
第3の局面の発光装置は、前記被接着部の中心と前記第1のボンディング領域の中心とを結ぶ仮想線上に第1の流動阻止部の中心が存在し、前記被接着部の中心と前記第3のボンディング領域の中心とを結ぶ仮想線上に第2の流動阻止部の中心が存在する、ことが好ましい。これにより、前記被接着部の中心と前記第1又は第3のボンディング領域の中心とを結ぶ仮想線上に第1の流動阻止部、第2の流動阻止部の中心が存在するので、被接着部からの接着剤の流動をボンディング領域の手前で、確実に流動阻止部により接着剤の流れを阻止できる。
【0011】
本発明の第4の局面は次のように規定することができる。
第4の局面の発光装置は、前記第1のリードフレームは基部と突出部を有し、該突出部は前記ケースの開口部の中心上に位置し、前記半導体発光素子の被接着部は前記突出部の上であってその位置は前記開口部の中心位置と一致し、前記基部において前記突出部を挟むようにして前記第1のボンディング領域と第3のボンディング領域とが存在し、
前記基部と前記突出部との連結位置に前記流動阻止部が形成される、ことが好ましい。
これにより、半導体発光素子の被接着部は、突出部の上であってその位置は開口部の中心位置と一致しているから、半導体発光素子から好適な光放出のバランスが得られる。
さらに、基部において突出部を挟むようにして第1のボンディング領域と第3のボンディング領域とが存在することにより、流動阻止部の配置を半導体発光素子から分散して局部的な熱抵抗の増大を防ぐことにより、半導体発光素子の放熱を良好にできる。
さらに、基部と突出部との連結位置に流動阻止部が形成されているので、半導体発光素子を接着する接着剤が流動しても、上流側で阻止できる。
【0012】
本発明の第5の局面は次のように規定することができる。
第5の局面の発光装置は、前記流動阻止部が凸部及び/又は凹部からなる、
ことが好ましい。
凸部は、接着剤の流れを阻止する層も含み、エッチングにより形成しても良いし、別部材で形成しても良い。
また、凹部は、エッチングにより形成しても良く、有底で、丸形、楕円形、長方形、正方形など特に問わないが、半導体発光素子を接着する際に、接着剤が流動しても、これを流し込める、大きさ及び形状であれば足りる。凹部を有底としたのは、熱の伝導を良好に保つためである。
さらに凸部、凹部はプレスにより成形してもよい。
【0013】
本発明の第6の局面は次のように規定することができる。
第6の局面の発光装置は、前記流動阻止部が、前記第1のリードフレーム及び/又は第2のリードフレーム表面の濡れ性と異なる濡れ性の流動阻止層を有する、
ことが好ましい。
ここに塗れ性とは接着剤に対する親和性により規定され、濡れ性が大きくなると接着剤は当該表面を流れやすくなる。
第6の局面で規定される流動性阻止層では、接着剤に対する濡れ性が小さい材料で当該流動性阻止層を形成することが好ましい。濡れ性の小さい流動性阻止層において接着剤が流れにくくなるからである。
他方、流動性阻止層の濡れ性を大きくして、当該流動性阻止層により接着剤層を、ボンディング領域以外の方向へ、積極的に流すことにより、ボンディング領域に対する接着剤の影響を排除することも可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の一実施の形態を図1から図3によって説明する。図1は本発明の一実施の形態を示すLEDランプの平面図、図2は図1のLEDランプの矢視II-IIの断面図、図3は図1によるLEDランプの凸部の断面図である。
図1及び図2において、発光装置としてのフェイスアップ型LEDランプ1は、「表面実装型」などと称されるもので、半導体発光素子としてのLEDチップ11と、ツェナー・ダイオードチップ12(以下、ZDチップ12という)とを有する半導体部と、半導体部をマウントすると共に、外部から電源を半導体部に供給するリード部と、半導体部をリード部と接続するワイヤ部とを有している。
LEDランプ1は図2に示すように、半導体部,リード部,ワイヤ部を底面に敷設する樹脂製カップ状のケース50を有している。符号50eは略円形の開口部を示す。このケース50は、円形の底面に固定された半導体部,リード部,ワイヤ部を樹脂により封止する封止体100を有している。そして、LEDランプ1は、電源をリード部により半導体部に供給すると、半導体部のLEDチップ11から発光が生じ、該発光が封止体100を通してケース50の開口部50eから放出されるように形成されている。なお、封止体100には、光分散材等のフィラー102が添加されている。封止材100中に蛍光体を分散することもできる。
【0015】
半導体部は、LEDチップ11と、該LEDチップ11に逆並列接続されたZDチップ12を有している。ZDチップ12を逆並列接続するのは、LEDチップ11を静電気などから保護するためである。
リード部は、ケース50の底面樹脂材料から表出されており、底面の略上半円部に設けられると共に、平板状の導電体から成る第1のリードフレーム21と、底面の略下半円部に設けられると共に、平板状の導電体から成る第2のリードフレーム22とを有している。そして、第1,第2のリードフレーム21,22の相互間には、絶縁するために溝25が設けられている。
【0016】
第1のリードフレーム21は、平面視で、中央端に山状の突出部21tを有すると共に、突出部21tに連通した帯状の基部21fとを有し、突出部21tは、ケース50の底面の中心に位置すると共に、LEDチップ11が銀ペーストなどの接着剤51によりマウントされている。ここで、LEDチップ11をケース50の底面の中心にマウントするのは、LEDチップ11から好適な光放出のバランスを得て配光特性を対称にするためである。さらに、第1のリードフレーム21に突出部21tを有するのは、該突出部21tがないと、LEDチップ11をマウントするために、第1のリードフレーム21の短方向(図示上下方向)の幅が広くなる。このため、第2のリードフレーム22の短方向の幅が狭くなり、第2のリードフレーム22にZDチップ12をマウントしづらくなるからである。
【0017】
第2のリードフレーム22は、平面視で略帯状に形成されており、上記突出部21tと接触しないために突出部21tの形状に対応した形状のとなっており、一端部の上部にZDチップ12が銀ペーストなどの接着剤52によりマウントされている。
【0018】
ワイヤ部は、第1から第3のワイヤ31,32,33を有しており、第1のワイヤ31は、ZDチップ12から懸架され、第1のリードフレーム21の一端部の略中央部に位置する第1のボンディング領域31aにボンディング接続されている。第2のワイヤ32は、LEDチップ11の一方の電極パッドから懸架され、第2のリードフレーム22の他端部の上部に位置する第2のボンディング領域32aにボンディング接続されており、第3のワイヤ33は、LEDチップ11の他方の電極パッドから懸架され、第1のリードフレーム21の他端部の中央部に位置する第3のボンディング領域33aにボンディング接続されている。
また、上記ボンディング接続は、熱圧着等により成される。このボンディング領域はボンディング作業においてボンディングの対象となる領域であり、各リードフレーム上に機械的、物理的なマークをもって規定されているものではない。
【0019】
ここで、第1のワイヤ31を第1のリードフレーム21の一端部の中央部に接続するのは、第1のボンディング領域31aをLEDチップ11から離して接着剤51の流動の影響を受けにくくするためである。第2のワイヤ32を第2のリードフレーム22の他端部の上部に接続するのは、第2のボンディング領域32aをZDチップ12から離して接着剤52の流動の影響を排除するためである。第3のワイヤ33を第1のリードフレーム21の他端部の中央部に接続するのは、第1のボンディング領域31aから遠ざけて第1のボンディング領域31aの熱圧着などの影響を排除するためである。
なお、第1のワイヤ31,32,33のいずれもワイヤ長を短くして電気抵抗を低くしている。
【0020】
第1のリードフレーム21には、LEDチップ11の被接着部11aと第1のワイヤ31の第1のボンディング領域31aとの間に流動阻止部として第1の凸部21e1が形成され、同様に被接着部11aと第3のボンディング領域33aとの間に、第2の凸部21e2が設けられている。第1、第2の凸部21e1,21e2を設けたのは、第1,第3のボンディング領域31a,33aを接着剤51の流動から保護すると共に、LEDチップ11から発生した熱を第1のリードフレーム21を介して良好に伝導するためである。
なお、LEDチップの被接着部11aはLEDチップがマウントされるべき領域を指し、リードフレームにおいて機械的、物理的なマークをもって規定される必要は無い。リードフレームへダイボンディングペースト等の接着剤を予め塗布する場合は、当該接着剤を塗布した領域が被接着部となる。以下の説明では、被接着部として11aの符号を接着剤の塗布領域に付す。
【0021】
上記凸部の形成を図3によって説明する。図3は図1によるLEDランプの凸部の断面図である。
図3の(a)に示す凸部21e1,21e2は、第1のリードフレーム21を折り曲げて形成している。このため、第1のリードフレーム21の厚さが均一に形成されている。
図3の(b)に示す凸部21e1,21e2は、接着剤51の流動を阻止するために、濡れ性を悪くする流動阻止層24を形成している。この流動阻止層24は、例えば疎水基を有する有機薬剤を塗布すること、又は、めっきにより形成することができる。図3の(c)に示す凸部21e1,21e2は、第1のリードフレーム21をエッチングにより形成するもので、フッ化水素酸等のエッチング液により凸部以外の領域の表面を除去することにより形成している。図3の図(d)に示す凸部21e1,21e2は、別部材221を固定して形成している。
【0022】
さらに、第1及び第2凸部21e1,21e2は、第1のリードフレーム21の基部21fと突出部21tとの連結位置に設けられていることが好ましい。接着剤51の流動を上流側で阻止するためである。
LEDチップ11の被接着部11aの中心と第1のボンディング領域31aの中心とを結ぶ仮想線上に第1の凸部21e1の中心が存在し、被接着部11aの中心と第2のボンディング領域32aの中心とを結ぶ仮想線上に第2の凸部21e2の中心が存在することが好ましい。これにより、LEDチップ11をマウントする接着剤51が流れ出て各ボンディング領域31a、33aへ向かったとき、接着剤を第1,第2の凸部21e1,21e2により阻止できる。流れ出た接着剤の多くは当該仮想領域上を通過するからである。
さらに、被接着部11aの中心から第1の凸部21e1の中心までの第1の長さと、被接着部11aの中心から第2の凸部21e2の中心までの第2の長さとが等しい、ことが好ましい。これにより、LEDチップ11マウント用の接着剤51が流動したとき、流出した接着剤が各凸部で均等に阻止され、一方の凸部に偏在することを防止できる。これにより、凸部の体積を小さくしても接着剤がボンディング領域まで達することを効果的に予防できる。
【0023】
ケース50は、平板状の第1のリードフレーム21、第2のリードフレーム22を熱可塑性樹脂によりモールドして、封止体100を充填している。封止体100は透光性のエポキシ樹脂やシリコン樹脂からなり、ケース50の開口部50eの中に実装されているLEDチップ11,ZDチップ12,第1及び第2のリードフレーム21,22、第1から第3のワイヤ31,32,33を封止している。封止体100には光分散剤や蛍光体等のフィラー102を分散することができる。
【0024】
上記のように構成されたLEDランプにおけるLEDチップの接着剤の流動及びLEDチップの放熱の作用について図1から図4を参照して説明する。図4は図1によるLEDランプの放熱状態を示す模式平面図である。
<接着剤の流動阻止>
図1及び図2に示すように、第1のリードフレーム21における突出部21tにLEDチップ11を接着剤51により接着すると、接着剤51が流動して突出部21tを越えて流れ出ても、第1及び第2の凸部21e1,21e2により阻止される。したがって、第1,第3のワイヤボンディング領域31a,33aの清浄が維持される。
【0025】
<LEDチップの放熱>
いま、第1及び第2のリードフレーム21,22を介してLEDチップ11に電流が流れると、LEDチップ11から発光すると共に、熱が発生する。この熱は、図2及び図4に示すように、LEDチップ11の底面から接着剤51を介して第1のリードフレーム21に伝導し、突出部21tから一点鎖線に示すように、第1のリードフレーム21上を伝導して放散される。
なお、ZDチップ12は、通常時はオフしているため、熱はほとんど生じない。
【0026】
<比較例>
本実施の形態のLEDランプの放熱作用と比較するために、切り欠きを有する従来のLEDランプ110の放熱作用について図5を参照して説明する。図5は従来のLEDランプ110の放熱状態を示す模式平面図である。なお、図5において図1と同一の要素については同一の符号を付してその説明を部分的に省略する。
上記と同様に、LEDチップ11に電流が流れると、LEDチップ11から発光すると共に、熱が発生する。この熱は、LEDチップ11の底面と接着剤51を介して第1のリードフレーム21に伝導し、突出部21tから一点鎖線に示すように、二つの切り欠き121e1,121e2があるため、狭くなった中央部から第1のリードフレーム21上を伝導して放散される。この伝導の際、狭い中央部の熱抵抗が本発明の実施形態のLEDランプ1に比較して極めて大きくなるので、LEDチップ11の熱が円滑に放散しにくい。
【0027】
上記実施形態では、中央部にLEDチップ11を設けたが、図6に示すように、第1のリードフレーム21の他端部に設けても良い。このようにすると、LEDチップ11の被接着部11aと第1のワイヤ31の第1のボンディング領域31aとの距離が離れるため、第1の凸部21e1は不要となる。なお、図6において図1と同一の要素については同一の符号を付してその説明を部分的に省略する。
【0028】
さらに、上記実施形態では、流動阻止部として、凸部21e1,21e2を設けたが、この代わりに図7に示すように凹部21V1,21V2を形成しても良い。図7は図1によるLEDランプの凹部の断面図である。
図7において、図(a)に示す凹部21V1,21V2は、第1のリードフレーム21を折り曲げて形成している。このため、第1のリードフレーム21の厚さが均一に形成されている。図(b)に示す凹部21V1,21V2は、第1のリードフレーム21を切削により形成している。
図(c)に示す凹部21V1,21V2は、第1のリードフレーム21をエッチングにより形成するもので、エッチングにより形成できる。
【0029】
上記実施形態のLEDランプ120は、ケース50の底面に第1のリードフレーム21と第2のリードフレーム22とが表出され、第1のリードフレーム21にLEDチップ11が接着剤51で接着され、第2のリードフレーム22にはZDチップ12が固定され、ZDチップ12から第1のワイヤ31が第1のリードフレーム21へ懸架され、LEDチップ11から第2のワイヤ32が第2のリードフレーム22へそれぞれ懸架され、LEDチップ11から第3のワイヤ33が第1のリードフレーム21へ懸架されており、第1のリードフレーム21においてLEDチップ11の被接着部11aと第1のワイヤ31の第1のボンディング領域31aとの間、及び/又はLEDチップ11の被接着部11aと第3のワイヤ33の第3のボンディング領域33aとの間に第1の凸部21e1(凹部21V1)、第2の凸部21e2(凹部21V2)の少なくとも一つが形成されているものである。
【0030】
上記実施形態のLEDランプ120によれば、第1のリードフレーム21においてLEDチップ11の被接着部11aと第1のワイヤ31の第1のボンディング領域31a又は第3のワイヤ33の第3のボンディング領域33aとの間の少なくともいずれか一方に、凸部21e1,21e2又は凹部21V1,21V2が形成されているので、LEDチップ11を接着する接着剤51が第1のリードフレーム21上を流動しても、凸部21e1,21e2又は凹部21V1,21V2にてこれを阻止する。これにより、第1,第3のボンディング領域31a,33aに対する接着剤51の影響を排除できる。
さらに、LEDチップ11から発生した熱は、第1のリードフレーム21を介して空気中に速やかに放散される。
【0031】
実施形態2.
上記実施形態1では、底面が絶縁されている絶縁タイプのLEDチップ11について説明したが、非絶縁タイプについて、本発明の他の実施形態を図8によって説明する。図8は本発明の他の実施の形態を示すLEDランプの平面図である。なお、図8において、図1と同一の要素については同一の符号を付してその説明を省略する。
図8において、LEDランプ130は、非絶縁タイプのLEDチップ111を用いると、図1における第3のワイヤ33、第2の凸部21e2又は凹部21V2が不要となる。
【0032】
本実施形態のLEDランプ130は、ケース50の底面に第1のリードフレーム21と第2のリードフレーム22とが表出され、第1のリードフレーム21にLEDチップ111が接着剤51で接着され、第2のリードフレーム22にはZDチップ12が固定され、ZDチップ12から第1のワイヤ31が第1のリードフレーム21へ懸架され、LEDチップ111から第2のワイヤ32が第2のリードフレーム22へそれぞれ懸架され、第1のリードフレーム21においてLEDチップ111の被接着部111aと第1のワイヤ31の第1のボンディング領域31aとの間に凸部21e1又は凹部21V1が形成されている、ものである。
【0033】
該LEDランプ130によれば、LEDチップ111と第1のリードフレーム21との熱伝導性を良好に確保しつつ、凸部21e1又は凹部21V1は、LEDチップ111をマウントする際の接着剤51の流動を防止して第1のリードフレーム21の第1のボンディング領域31aを接着剤51の影響から排除できる。すなわち、第1のリードフレーム21においてLEDチップ111の被接着部111aと第1のボンディング領域31aの間に、凸部21e1又は凹部21V1が形成されているので、LEDチップ111を接着する接着剤51が第1のリードフレーム21上を流動しても、凸部21e1又は凹部21V1に流れ込む。これにより、第1のワイヤ31の第1のボンディング領域31aに対する接着剤51の影響を排除できる。
さらに、LEDチップ111から発生した熱は、第1のリードフレーム21を介して良好に伝導して空気中に放散される。
【0034】
尚、上記の実施の形態では、LEDチップを保護するために、ツェナダイオードチップを用いたが、バリスタチップ等、その他の保護チップを用いてもよい。
また、上記の実施の形態では、凸部、凹部、及びその他の流動阻止部21e1,21e2を第1のリードフレーム21の内側に島状に形成したが、図9に示すように、第2のリードフレーム22と対向する第1のリードフレーム21の縁部まで形成してもよい。
更に、図10に示すように、流動阻止部21eでLEDチップ11の被接着部11aの周囲を取り囲んでもよい。この流動阻止部21eの端部は、第2のリードフレーム22と対向する第1のリードフレーム21の縁部まで到達している。
【0035】
本発明は、上記発明の実施の形態及び実施例の説明に何ら限定されるものではない。特許請求の範囲の記載を逸脱せず、当業者が容易に想到できる範囲で種々の変形態様も本発明に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の一実施の形態を示すLEDランプの平面図である。
【図2】図1のLEDランプの矢視II-IIの断面図である。
【図3】図1によるLEDランプの凸部の断面図である。
【図4】図1によるLEDランプの放熱状態を示す模式平面図である。
【図5】比較例によるLEDランプの放熱状態を示す模式平面図である。
【図6】本発明の一実施の形態の変形例を示すLEDランプの平面図である。
【図7】本発明の一実施の形態の変形例を示すLEDランプの凹部の断面図である。
【図8】本発明の他の実施の形態を示すLEDランプの平面図である。
【図9】本発明の一実施の形態の変形例を示すLEDランプの平面図である。
【図10】本発明の一実施の形態の変形例を示すLEDランプの平面図である。
【符号の説明】
【0037】
1,110,120,130 LEDランプ、11,111,LEDチップ、11a,111a 被接着部、12 ZDチップ、21 第1のリードフレーム、21e1 第1の凸部、21e2 第2の凸部、21V1 第1の凹部、21V2 第2の凹部、21f 基部、21t 突出部、22 第2のリードフレーム、50 ケース、50e 開口部、51 接着剤。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケースの底面に第1のリードフレームと第2のリードフレームとを備え、
前記第1のリードフレームに半導体発光素子が接着剤で接着され、
前記第2のリードフレームには前記半導体発光素子の保護素子が固定され、
前記保護素子から第1のワイヤが前記第1のリードフレームの第1のボンディング領域に懸架され、
前記半導体発光素子から第2のワイヤが前記第2のリードフレームの第2のボンディング領域に懸架され、
前記半導体発光素子から第3のワイヤが前記第1のリードフレームの第3のボンディング領域に懸架され、
前記第1のリードフレームの、前記半導体発光素子の被接着部と前記第1のボンディング領域との間、及び、前記第3のボンディング領域との間の少なくとも一方に流動阻止部が形成される、
ことを特徴とする発光装置。
【請求項2】
前記半導体発光素子の被接着部と前記第1のボンディング領域との間及び前記第3のボンディング領域との間の双方に前記流動阻止部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
前記被接着部の中心と前記第1のボンディング領域の中心とを結ぶ仮想線上に第1の流動阻止部の中心が存在し、前記被接着部の中心と前記第3のボンディング領域の中心とを結ぶ仮想線上に第2の流動阻止部の中心が存在する、
ことを特徴とする請求項2に記載の発光装置。
【請求項4】
前記第1のリードフレームは基部と突出部を有し、該突出部は前記ケースの開口部の中心上に位置し、前記半導体発光素子の被接着部は前記突出部の上であってその位置は前記開口部の中心位置と一致し、前記基部において前記突出部を挟むようにして前記第1のボンディング領域と第3のボンディング領域とが存在し、
前記基部と前記突出部との連結位置に前記流動阻止部が形成される、
ことを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の発光装置。
【請求項5】
前記流動阻止部が凸部及び/又は凹部からなる、
ことを特徴とする請求項2から4のいずれかに記載の発光装置。
【請求項6】
前記流動阻止部が、前記第1のリードフレーム及び/又は第2のリードフレーム表面の濡れ性と異なる濡れ性の流動阻止層を有する、
ことを特徴とする請求項2から4のいずれかに記載の発光装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2010−80503(P2010−80503A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−244167(P2008−244167)
【出願日】平成20年9月24日(2008.9.24)
【出願人】(000241463)豊田合成株式会社 (3,467)
【Fターム(参考)】