説明

発光装置

【課題】 本発明では、発光装置の絶縁膜として有機絶縁膜を用いた場合においても周辺
劣化の発生を抑制することができる発光装置を提供することを課題とする。また、長期に
おける信頼性を向上させることが可能な発光装置を提供することを課題とする。
【解決手段】 無機系の膜、有機系の膜、無機系の膜という積層構造がシール材の下部か
ら発光素子の陰極の下部まで連続して設けられないようにする。また、無機系の膜、有機
系の膜、無機系の膜という積層構造が陰極の下部まで連続して設けられたとしても有機膜
の上部に形成する無機系の膜の形状を規定することで水の侵入を抑制する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電極間に発光性材料を挟み電極間に電流を流すことで発光する素子(発光素
子)を用いて作製された表示装置に関し、特にそのような表示装置における発光装置の封
止構造に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、発光素子を用いた薄型軽量ディスプレイの開発が盛んに行われている。発光素子
は、一対の電極間に電流を流すことで発光する材料を挟み込むことで作製されるが、液晶
と異なりそれ自体が発光するのでバックライトなどの光源がいらないうえ、素子自体が非
常に薄いため薄型軽量ディスプレイを作製するにあたり非常に有利である。
【0003】
しかし、このような大きな長所を備えながら実用化に至っていない背景の一つに、信頼
性の問題がある。有機系の材料を用いた発光素子は湿気(水)により劣化を起こすものが
多く、長期の信頼性を得にくいという欠点を有する。水により劣化を起こした発光素子は
輝度低下を起こしたり、発光しなくなってしまったりする。これが発光素子を用いた表示
装置におけるダークスポット(黒点)や発光装置周辺からの輝度劣化(表示装置端部から
発光面積が徐々に減少していく輝度劣化。以下周辺劣化と称する)の原因になっていると
考えられており、このような劣化を抑制するために様々な対策が提案されている(例えば
特許文献1、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−148066号公報
【特許文献2】特開平7−169567号公報
【0005】
しかし、これらのような対策を適用したとしても未だ十分な信頼性を得るまでには至っ
ておらず、さらなる信頼性の向上が望まれている。
【0006】
また、発光装置には絶縁膜として塗布することで成膜することが可能な有機絶縁膜が用
いられることも多い。このような有機絶縁膜は平坦性に優れ、下層の凹凸を緩和すること
ができるなどの発光装置に適用する上で非常に都合の良い特性を有している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
発光装置を形成する上で非常に都合の良い特性を有する有機絶縁膜ではあるが、有機絶
縁膜で層間絶縁膜を形成した発光装置では、その構造によっては周辺劣化を促進してしま
う場合がある。
【0008】
そこで本発明では、発光装置の絶縁膜として有機絶縁膜を用いた場合においても周辺劣
化の発生を抑制することができる発光装置を提供することを課題とする。また、長期にお
ける信頼性を向上させることが可能な発光装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決する為の本発明の発光装置の構成の一は、第1の基板と、第2の基板と
、第1の基板上に形成された第1の有機絶縁膜と、第1の有機絶縁膜に接して形成された
無機膜と、第1の有機絶縁膜上に形成された第2の有機絶縁膜と、第2の有機絶縁膜上に
一部が接して形成された発光素子の電極と、第1の基板と第2の基板を固着するシール材
とを有し、無機膜と電極とは重なっておらず、シール材と電極との間には間隙があること
を特徴とする。
【0010】
上記課題を解決する為の本発明の発光装置の構成の一は、第1の基板と、第2の基板と
、第1の基板上に形成された第1の有機絶縁膜と、第1の有機絶縁膜に接して形成された
第1の無機膜及び第2の無機膜と、第1の有機絶縁膜上に形成された第2の有機絶縁膜と
、第2の有機絶縁膜上に一部が接して形成された発光素子の電極と、第1の基板と第2の
基板を固着するシール材とを有し、第1の無機膜はその一部がシール材と接して形成され
ており、第2の無機膜はその一部が電極の下部に形成されており、第1の無機膜と第2の
無機膜との間、及びシール材と電極との間には間隙があることを特徴とする。
【0011】
上記課題を解決する為の本発明の発光装置の構成の一は、第1の基板と、第2の基板と
、第1の基板上に形成された第1の有機絶縁膜と、第1の有機絶縁膜に接して形成された
複数の無機膜と、第1の有機絶縁膜上に形成された第2の有機絶縁膜と、第2の有機絶縁
膜上に一部が接して形成された発光素子の電極と、第1の基板と第2の基板を固着するシ
ール材とを有し、無機膜はその幅が1mm未満である部分を電極より外側に有し、シール
材と電極との間には間隙があることを特徴とする。
【0012】
上記課題を解決する為の本発明の発光装置の構成の一は、第1の基板と、第2の基板と
、第1の基板上に形成された第1の有機絶縁膜と、第1の有機絶縁膜に接して形成された
複数の無機膜と、第1の有機絶縁膜上に形成された第2の有機絶縁膜と、第2の有機絶縁
膜上に一部が接して形成された発光素子の電極と、第1の基板と第2の基板を固着するシ
ール材とを有し、無機膜はその幅が1mm未満である部分を電極より外側に有し、シール
材と電極の接触幅は15μm以下であることを特徴とする。
【0013】
上記課題を解決する為の本発明の発光装置の構成の一は、第1の基板と、第2の基板と
、第1の基板上に形成された第1の有機絶縁膜と、第1の有機絶縁膜に接して形成された
複数の無機膜と、第1の有機絶縁膜上に形成された第2の有機絶縁膜と、第2の有機絶縁
膜上に一部が接して形成された発光素子の電極と、第1の基板と第2の基板を固着するシ
ール材とを有し、複数の無機膜はその幅が1mm未満である部分を有し、隣り合う複数の
無機膜同士の間は5μm以上離れており、シール材と電極との間には間隙があることを特
徴とする。
【0014】
上記課題を解決する為の本発明の発光装置の構成の一は、第1の基板と、第2の基板と
、第1の基板上に形成された第1の有機絶縁膜と、第1の有機絶縁膜に接して形成された
複数の無機膜と、第1の有機絶縁膜上に形成された第2の有機絶縁膜と、第2の有機絶縁
膜上に一部が接して形成された発光素子の電極と、第1の基板と第2の基板を固着するシ
ール材とを有し、複数の無機膜はその幅が1mm未満である部分を有し、隣り合う複数の
無機膜同士の間は5μm以上離れており、シール材と電極の接触幅は15μm以下である
ことを特徴とする。
【0015】
上記課題を解決する為の本発明の発光装置の構成の一は、第1の基板と、第2の基板と
、第1の基板上に形成された第1の有機絶縁膜と、第1の有機絶縁膜に接して形成された
無機膜と、第1の有機絶縁膜上に形成された第2の有機絶縁膜と、第2の有機絶縁膜上に
一部が接して形成された発光素子の電極と、第1の基板と第2の基板を固着するシール材
とを有し、電極の外周側端部より外周側において、短辺方向の幅が5μm以上である開口
部が複数設けられており、複数の開口部は短辺方向を隣り合わせに並んで配置されており
、隣り合う開口部との間は1mm未満であり、シール材と電極との間には間隙があること
を特徴とする。
【0016】
上記課題を解決する為の本発明の発光装置の構成の一は、第1の基板と、第2の基板と
、第1の基板上に形成された第1の有機絶縁膜と、第1の有機絶縁膜に接して形成された
無機膜と、第1の有機絶縁膜上に形成された第2の有機絶縁膜と、第2の有機絶縁膜上に
一部が接して形成された発光素子の電極と、第1の基板と第2の基板を固着するシール材
とを有し、電極の外周側端部より外周側において、短辺方向の幅が5μm以上である開口
部が複数設けられており、複数の開口部は短辺方向を隣り合わせに並んで配置されており
、隣り合う開口部との間は1mm未満であり、シール材と電極の接触幅は15μm以下で
あることを特徴とする。
【0017】
なお、実際のアクティブマトリクス型のパネルであった場合、シール材の外側もしくは
シール材の下から発光素子の上部電極の近くまで引き込まれる配線はあまり多くないが、
そのような構造も形成しなければならないこともあり、当然その部分から劣化が発生する
。劣化により周辺部分が点灯しなくなった発光装置にはたとえそれが一部分であっても商
品価値は激減する為、本発明の構成は発光素子周辺の極一部に対する対策としても好適に
用いることができる。
【発明の効果】
【0018】
上記構成を有する本発明の発光装置は、絶縁膜として有機絶縁膜を用いた場合において
も周辺劣化の発生を抑制することができる発光装置である。また、長期における信頼性を
向上させることが可能な発光装置である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の発光装置の構成の一例を示す図。
【図2】本発明の発光装置の構成の一例を示す図。
【図3】本発明の発光装置の構成の一例を示す図。
【図4】本発明の発光装置の構成の一例を示す図。
【図5】本発明の発光装置の構成の一例を示す図。
【図6】本発明の発光装置の構成の一例を示す図。
【図7】本発明の発光装置の構成の一例を示す図。
【図8】本発明の発光装置の作製方法を説明する図。
【図9】本発明の発光装置の作製方法を説明する図。
【図10】本発明の発光装置の上面図。
【図11】本発明の電子機器の一例を示す図。
【図12】実施の形態1の構成を有する発光装置に関する実験結果。
【図13】実施の形態2の構成を有する発光装置に関する実験結果。
【図14】実施の形態3の構成を有する発光装置に関する実験結果。
【図15】実施の形態4の構成を有する発光装置に関する実験結果。
【図16】実施の形態2及び実施の形態5の構成を有する発光装置に関する実験結果。
【図17】実施の形態2及び実施の形態5の構成を有する発光装置の模式図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について説明する。但し、本発明は多くの異なる態様で実施
することが可能であり、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳
細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本実施の形態の
記載内容に限定して解釈されるものではない。
【0021】
本発明者らは、無機膜に接触して挟まれた有機系の膜(無機系の膜、有機系の膜、無機
系の膜の積層構造)が発光装置の外部雰囲気に曝されている場合に外部雰囲気からの水の
侵入が促進されることを見いだした。
【0022】
発光装置の場合、無機系の膜としては基板、対向基板、配線、パッシベーション膜、電
極などが該当する。絶縁膜を有機系の材料で形成した場合、当該絶縁膜を上記いずれかの
無機膜が接触して挟んでいる構造であると外部雰囲気から有機膜を介しての水の侵入が促
進され、周辺劣化が進むこととなる。この現象についてはっきりした理由は解明されてい
ないが、本発明者らは有機膜と無機膜間の表面張力が関係していると推測している。
【0023】
発光装置の場合、発光素子の電極は無機系の膜で形成されていることがほとんどである
。その為、基板(無機系)、絶縁膜や発光積層体(有機系)、電極(無機系)といった積
層構造を元々有しており、電極下部に達した水はこの積層構造の影響により速やかに発光
積層体にまで達し、発光積層体の劣化を促進させてしまうことになる。そのため、電極下
部に水を到達させにくくすることによる対策も重要である。
【0024】
本発明では、基板などの絶縁性を有する第1の無機膜上に接して形成された第1の有機
膜と、第1の有機膜上に接して形成された配線やパッシベーション膜などの第2の無機膜
と、第1の有機膜及び第2の無機膜上に形成された第2の有機膜とを有しており、さらに
、第2の有機膜に一部接して形成された発光素子の上部電極である第3の無機膜と第2の
無機膜の間、及び第3の無機膜と第4の無機膜である対向基板を固着する第3の有機膜で
あるシール材との間には基板平面側から見て間隙があること特徴とする発光装置を提供す
る。
【0025】
このような構成を有する本発明の発光装置は、第1の無機膜と第2の無機膜との間に挟
まれた第1の有機膜中の水の移動が早かったとしても、第2の無機膜が第3の無機膜の下
部にまで達しておらず、第2の無機膜と第3の無機膜との間の間隙部分は有機膜が発光装
置内雰囲気に露出した状態であって、無機膜に接していない。そのため、この間隙の部分
で水がそれ以上侵入することが困難となり、水による周辺劣化を抑制することができる。
【0026】
また、シール材は有機材料であり、第4の無機膜である対向基板と接するため、シール
材の下部に無機膜が存在すると必ず無機膜が有機膜を挟んだ構造となってしまう。そのた
め、シール材と発光素子の上部電極である第3の無機膜との間には基板平面側から見たと
きに間隙が必要となる。
【0027】
また、本発明では、基板などの絶縁性を有する第1の無機膜上に接して形成された第1
の有機膜と、第1の有機膜上に接して形成された配線やパッシベーション膜などの第2の
無機膜及び第5の無機膜と、第1の有機膜及び無機膜上に形成された第2の有機膜と、第
2の有機膜に一部接して形成された発光素子の上部電極である第3の無機膜と、第4の無
機膜である対向基板を固着する第3の有機膜であるシール材とを有しており、第2の無機
膜及び第5の無機膜の間、及び第3の無機膜とシール材との間には基板平面側から見て間
隙があること特徴とする発光装置を提供する。また、第2の無機膜及び第5の無機膜の間
の間隙の位置はシール材と第3の無機膜との間とし、シール材及び第3の無機膜は第2の
無機膜及び第5の無機膜の間の間隙の一部と重なっていても良いが、当該間隙を横切って
重なっていてはいけない。第2の無機膜及び第5の無機膜の間の間隙は5μm以上、好ま
しくは10μm以上さらに好ましくは20μm以上であることが望ましい。
【0028】
このような構成を有する本発明の発光装置は、第1の無機膜と第2の無機膜との間に挟
まれた第1の有機膜中の水の移動が早かったとしても、第2の無機膜と第5の無機膜との
間に間隙があるので、間隙部分においては有機膜が発光装置内雰囲気に露出した状態であ
って、無機膜に接していない。このため間隙の部分で水が止められ、それ以上侵入するこ
とが困難となり、水による周辺劣化を抑制することができる。また、この構成であれば、
第5の無機膜が第3の無機膜と重なっていても間隙部分において水が止められるので水は
発光積層体まで侵入することが困難であり、周辺劣化を抑制することが可能となる。
【0029】
また、シール材は有機材料であり、第4の無機膜である対向基板と接するため、シール
材の下部に無機膜が存在すると必ず無機膜が有機膜を挟んだ構造となってしまう。そのた
め、シール材と発光素子の上部電極である第3の無機膜との間には間隙が必要となる。
【0030】
また、本発明では、基板などの絶縁性を有する第1の無機膜上に接して形成された第1
の有機膜と、第1の有機膜上に接して形成された配線やパッシベーション膜などの第2の
無機膜と、第1の有機膜及び第2の無機膜上に形成された第2の有機膜と、第2の有機膜
に一部接して形成された発光素子の上部電極である第3の無機膜と、第4の無機膜である
対向基板を固着する第3の有機膜であるシール材とを有しており、第2の無機膜はその幅
が1mm未満の部分を有していることを特徴とする発光装置を提供する。また、第3の無
機膜とシール材との重なりは15μm以下、もしくは第3の無機膜とシール材との間に間
隙があること特徴とする発光装置を提供する。
【0031】
このような構成を有する発光装置は第2の無機膜の幅が1mm未満と細い部分を有する
ことから、第1の無機膜と第2の無機膜との間に第1の有機膜が挟まっていてもその部分
において水の侵入が抑制される。そのため、第1の有機膜が外部雰囲気に曝されており、
第2の無機膜が第3の無機膜と重なっていたとしても周辺劣化を抑制することができる。
【0032】
また、シール材は有機材料であり、第4の無機膜である対向基板と接するため、シール
材の下部に無機膜が存在すると必ず無機膜が有機膜を挟んだ構造となってしまう。例えば
、第1の無機膜上に第1の有機膜あり、その上に接して第2の有機膜があり、さらにその
上にシール材が形成され、第4の無機膜が固着されているような構成であっても水の侵入
は促進されてしまうと考えられる。そのため、シール材と発光素子の上部電極である第3
の無機膜との間には間隙が必要となる。
【0033】
また、本発明では、基板などの絶縁性を有する第1の無機膜上に接して形成された第1
の有機膜と、第1の有機膜上に接して形成された配線やパッシベーション膜などの第2の
無機膜と、第1の有機膜及び無機膜上に形成された第2の有機膜と、第2の有機膜に一部
接して形成された発光素子の上部電極である第3の無機膜と、第4の無機膜である対向基
板を固着する第3の有機膜であるシール材とを有しており、第2の無機膜は第3の無機膜
より外周側において、短辺方向の幅が5μm以上である開口部が複数設けられており、複
数の開口部は短辺方向を隣り合わせに並んで配置されており、隣り合う開口部との間は1
mm未満である発光装置を提供する。また当該発光装置では第3の無機膜とシール材との
重なりは15μm以下、もしくは第3の無機膜とシール材との間に間隙がある。
【0034】
このような構成を有する発光装置は開口部が1μm以上好ましくは5μm以上開いてい
ることから有機膜と無機膜間の表面張力が緩和され、第1の無機膜と第2の無機膜との間
に第1の有機膜が挟まっていても水の侵入が促進されない。そのため、第1の有機膜が外
部雰囲気に曝されており、第2の無機膜が第3の無機膜と重なっていたとしても周辺劣化
を抑制することができる。
【0035】
また、シール材は有機材料であり、第4の無機膜である対向基板と接するため、シール
材のF下部に無機膜が存在すると必ず無機膜が有機膜を挟んだ構造となってしまう。例え
ば、第1の無機膜上に第1の有機膜あり、その上に接して第2の有機膜があり、さらにそ
の上にシール材が形成され、第4の無機膜が固着されているような構成であっても水の侵
入は促進されてしまうと考えられる。そのため、シール材と発光素子の上部電極である第
3の無機膜との重なりは15μm以下、もしくはシール材と第3の無機膜間には間隙が必
要となる。
【0036】
以下に本発明を実施する為のいくつかの形態を図面を参照しながら示す。なお、図面の
説明中に他の図面の参照があった場合、当該2つの図面の相違点以外は参照された図面の
説明に準拠することとする。
【0037】
なお、実際のアクティブマトリクス型のパネルであった場合、シール材の外側もしくは
シール材の下から発光素子の上部電極の近くまで引き込まれる配線はあまり多くないが、
そのような構造も形成しなければならないこともあり、当然その部分から劣化が発生する
。劣化により周辺部分が点灯しなくなった発光装置にはたとえそれが一部分であっても商
品価値は激減する為、本発明の構成は発光素子周辺の極一部に対する対策としても好適に
用いることができる。
【0038】
(実施の形態1)
図1(A)の断面図は本発明の発光装置の断面の一部である。基板100上に下地絶縁
膜101、第1の有機絶縁膜102が形成され、第1の有機絶縁膜102上に第1の有機
絶縁膜に接して配線103が形成されている。また、第1の有機絶縁膜102上にはまた
、発光素子の下部電極104が設けられ、下部電極104の端部を覆って第2の有機絶縁
膜105が形成されている。また、第2の有機絶縁膜105上から下部電極104の露出
部を覆って連続的に発光積層体106が設けられる。さらに発光積層体106を覆って発
光素子の上部電極107が設けられている。これら下地絶縁膜101、第1の有機絶縁膜
102、配線103、発光素子の下部電極104、第2の有機絶縁膜105、発光積層体
106及び発光素子の上部電極107が形成された基板100は対向基板109とシール
材108によって固着される。
【0039】
また、配線103はシール材の外側からのび、その端部と発光素子の上部電極107の
端部との間には基板側から見た場合間隙aが存在し、配線103の端部が上部電極107
の端部と重なることがないようにする。また、シール材と上部電極107との間にも間隙
が存在する。なお、配線103はシール材の外側に出ていなくとも同じことである。
【0040】
基板100及び対向基板109の材料としてはガラス、石英等の無機物やプラスチック
(ポリイミド、アクリル、ポリエチレンテレフタラート、ポリカーボネート、ポリアクリ
レート、ポリエーテルスルホンなど)の有機物等を用いることができる。これら基板は必
要に応じてCMP等により研磨してから使用しても良い。本実施の形態においてはガラス
基板を用いる。なお、本発明においてプラスチック基板を用いた場合は基板100は有機
系の材料として取り扱うこととする。
【0041】
下地絶縁膜101は基板100中のアルカリ金属やアルカリ土類金属など、拡散するこ
とで悪影響を及ぼす恐れのある金属の拡散を防ぐ為に設ける。材料としては酸化ケイ素、
窒化ケイ素、窒素を含む酸化ケイ素、酸素を含む窒化ケイ素などの絶縁性の無機物を用い
ることができる。本実施の形態では下地絶縁膜101を窒化ケイ素で形成する。本実施の
形態では、下地絶縁膜を1層で形成したが、2層以上の多層であってもかまわない。また
、基板からの不純物の拡散が気にならないようであれば下地絶縁膜は設ける必要がない。
【0042】
第1の有機絶縁膜102はアクリルやポリイミドなどの有機絶縁材料やケイ素と酸素と
の結合で骨格構造が構成され、置換基として少なくとも水素を含む有機基(例えばアルキ
ル基、アリール基)、フルオロ基、又は少なくとも水素を含む有機基及びフロオロ基を有
する材料、いわゆるシロキサンなどによって形成する。特に塗布することによって成膜す
ることが可能な自己平坦性を有する絶縁膜は下層の凹凸を緩和することができ発光装置に
好適に用いることができる。
【0043】
配線103は導電性のアルミニウム、銅等の金属膜などの無機物により形成することが
でき、単層であっても複数層であっても構わない。
【0044】
発光素子の下部電極104及び上部電極107はそのどちらかに高い電位をかけること
で発光積層体106を発光させることが出来るような材料で形成する。発光積層体106
から発した光が射出すべき方向の電極は透光性を有する導電膜とし、ITO(indiu
m tin oxide)に代表されるような酸化物が知られている。このほかに透光性
を有する導電膜としてはケイ素を含有するITO(ITSO)、酸化インジウムに2〜2
0[%]の酸化亜鉛(ZnO)を混合したIZO(indium zinc oxide
)、酸化亜鉛、酸化亜鉛にガリウムを含有したGZO(Galium Zinc Oxi
de)等を用いることができ、また、透光性を有するまで薄膜化した金属の極薄膜を用い
ることもできる。
【0045】
その他の電極材料としては、主に高い電位をかける方の電極には金(Au)、白金(Pt
)、ニッケル(Ni)、タングステン(W)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、鉄
(Fe)、コバルト(Co)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、または金属材料の窒化
物(TiN)を用い、もう一方の電極にはリチウム(Li)やセシウム(Cs)等のアル
カリ金属、およびマグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)
等のアルカリ土類金属、およびこれらを含む合金(Mg:Ag、Al:Li)や化合物(
LiF、CsF、CaF2)の他、希土類金属を含む遷移金属を用いて形成することがで
きるが、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、ITO等の金属(合金を含む)との積層に
より形成することもできる。
【0046】
シール材108には紫外線硬化樹脂などを用いると好適である。シール材108には乾
燥剤や基板間のギャップを一定に保つための粒子を混入しておいても良い。
【0047】
このような構成を発光装置の周辺部の少なくとも一部に有する本発明の発光装置は間隙
aの部分において無機膜、有機膜、無機膜の積層構造を解消しており、間隙aがあること
によってそこまで侵入してきた水はせき止められたような状態となり、当該構成を有する
部分における周辺劣化の進行を抑制することが可能となる。本実施の形態のような構成は
発光装置の周囲を一周して設けられていることが望ましいが、一部のみに設けられていて
も良く、このような構成を有する部分からの周辺劣化を抑制することが可能となる。また
、このような構成を有する本発明の発光装置は長期における信頼性も向上することができ
る発光装置である。
【0048】
なお、実際のアクティブマトリクス型のパネルであった場合、シール材の外側もしくは
シール材の下から発光素子の上部電極の近くまで引き込まれる配線はあまり多くないが、
そのような構造も形成しなければならないこともあり、当然その部分から劣化が発生する
。劣化により周辺部分が点灯しなくなった発光装置にはたとえそれが一部分であっても商
品価値は激減する為、本発明の構成は発光素子周辺の極一部に対する対策としても好適に
用いることができる。
【0049】
なお、シール材108の内側の空間には乾燥材117が設けられていることが望ましい
。乾燥材117は対向基板109に凹部116を形成し、その内側に貼り付けることによ
って設けることができる。乾燥材117を設けることによってより長期にわたって劣化を
抑制することが可能となる。
【0050】
(実施の形態2)
図1(B)は本発明の発光装置の構成の一つである。図1(A)と同じ構成については
同じ符号を付し材料なども同様の材料を使用することができる。また、繰り返しとなる説
明も省略するため図1(A)の説明を参照されたい。
【0051】
図1(B)と図1(A)で異なる部分は図1(A)における配線103の部分である。
図1(B)において配線は配線103aと配線103bの2つが形成されている。配線1
03a、103bの材料や構成は配線103と同様であるが、配線103aがシール材1
08の外側にもその一部が露出しており、配線103aと配線103bとの間には間隙b
が設けられる。間隙bはシール材108と発光素子の上部電極107との間に設けられて
いれば良く、シール材108、上部電極107はどちらも当該間隙bの一部に重なってい
ても良いが、全てに重なってしまってはいけない。また、間隙bの幅は5μm以上好まし
くは10μm以上さらに好ましくは20μm以上であることが望ましい。
【0052】
このような構成を有する本発明の発光装置では、下地絶縁膜101と配線103aとの
間にそのどちらとも接して第1の有機絶縁膜が形成されており、当該第1の有機絶縁膜が
外部雰囲気に露出しているため、水が有機絶縁膜102の中を速い速度で侵入する。しか
し、間隙bの位置では無機、有機、無機順で積層された水が入りやすい積層構成が形成さ
れておらず、配線103aの端部まで侵入した水はそれ以上内部に侵入することが困難と
なり、周辺劣化を抑制することが可能となる。なお、配線103aがシール材108より
外側に形成されておらずシール材108に発光装置外周側の端部が覆われていても同じこ
とである。
【0053】
また、この構成を採った場合、配線103bは発光素子の上部電極107の下部にまで
形成されていても周辺劣化を抑制することができる。
【0054】
本実施の形態のような構成は発光装置の周囲を一周して設けられていることが望ましい
が、一部のみに設けられていても良く、このような構成を有する部分からの周辺劣化を抑
制することが可能となる。また、このような構成を有する本発明の発光装置は長期におけ
る信頼性も向上することができる発光装置である。
【0055】
なお、実際のアクティブマトリクス型のパネルであった場合、シール材の外側もしくは
シール材の下から発光素子の上部電極の近くまで引き込まれる配線はあまり多くないが、
そのような構造も形成しなければならないこともあり、当然その部分から劣化が発生する
。劣化により周辺部分が点灯しなくなった発光装置にはたとえそれが一部分であっても商
品価値は激減する為、本発明の構成は発光素子周辺の極一部に対する対策としても好適に
用いることができる。
【0056】
なお、シール材108の内側の空間には乾燥材117が設けられていることが望ましい
。乾燥材117は対向基板109に凹部116を形成し、その内側に貼り付けることによ
って設けることができる。乾燥材117を設けることによってより長期にわたって劣化を
抑制することが可能となる。
【0057】
なお、本実施の形態の構成は他の実施の形態の構成と組み合わせて用いることが可能で
ある。
【0058】
(実施の形態3)
図2は本発明の発光装置の構成の一つである。図1(A)と同じ構成については同じ符
号を付し材料なども同様の材料を使用することができる。また、繰り返しとなる説明も省
略するため図1(A)の説明を参照されたい。なお、図2(A)は図2(B)をA−Bで
切断した断面図であり、図2(C)は図2(B)をC−Dで切断した断面図である。
【0059】
図2(A)が図1(A)と異なる点は配線103は当該配線103上に形成されている
シール材108が横切る方向の幅cが1mm未満、好ましくは100μm以下の配線であ
るということである。配線103におけるシール材108が横切る方向の幅cが1mm未
満、好ましくは100μm以下であることによって配線103がシール材の外側から発光
素子の上部電極107の下部にまで連続して形成されていたとしても周辺劣化を抑制する
ことができる。
【0060】
また、本実施の形態においてはシール材108は発光素子の上部電極107と15μm
以下であれば重なっていても構わない。また、もちろんシール材108と上部電極107
との間に間隙を有していても良い。
【0061】
なお、本構成は実施の形態1又は2の記載と組み合わせて用いることができる。
【0062】
なお、実際のアクティブマトリクス型のパネルであった場合、シール材の外側もしくは
シール材の下から発光素子の上部電極の近くまで引き込まれる配線はあまり多くないが、
そのような構造も形成しなければならないこともあり、当然その部分から劣化が発生する
。劣化により周辺部分が点灯しなくなった発光装置にはたとえそれが一部分であっても商
品価値は激減する為、本発明の構成は発光素子周辺の極一部に対する対策としても好適に
用いることができる。
【0063】
なお、シール材108の内側の空間には乾燥材117が設けられていることが望ましい
。乾燥材117は対向基板109に凹部116を形成し、その内側に貼り付けることによ
って設けることができる。乾燥材117を設けることによってより長期にわたって劣化を
抑制することが可能となる。
【0064】
なお、本実施の形態の構成は他の実施の形態の構成と組み合わせて用いることが可能で
ある。
【0065】
(実施の形態4)
図3は本発明の発光装置の構成の一つである。図1(A)と同じ構成については同じ符
号を付し材料なども同様の材料を使用することができる。また、繰り返しとなる説明も省
略するため図1(A)の説明を参照されたい。なお、図3(A)は図3(B)をA−Bで
切断した断面図であり、図3(C)は図3(B)をC−Dで切断した断面図である。
【0066】
図3の配線153は図2の配線103を複数並べた形状となっている。配線153は当
該配線153上に形成されているシール材108が横切る方向の幅cが1mm未満、好ま
しくは100μm以下の配線であり、配線同士の間隔dが1μm以上好ましくは5μm以
上である。配線153はその幅cが1mm未満、好ましくは100μm以下である部分を
有し、配線同士の間隔dが1μm以上好ましくは5μm以上であることによって配線15
3がシール材の外側から発光素子の上部電極107の下部にまで連続して形成されていた
としても周辺劣化を抑制することができる。
【0067】
また、本実施の形態においてはシール材108は発光素子の上部電極107と15μm
以下であれば重なっていても構わない。また、もちろんシール材108と上部電極107
との間に間隙を有していても良い。
【0068】
なお、実際のアクティブマトリクス型のパネルであった場合、シール材の外側もしくは
シール材の下から発光素子の上部電極の近くまで引き込まれる配線はあまり多くないが、
そのような構造も形成しなければならないこともあり、当然その部分から劣化が発生する
。劣化により周辺部分が点灯しなくなった発光装置にはたとえそれが一部分であっても商
品価値は激減する為、本発明の構成は発光素子周辺の極一部に対する対策としても好適に
用いることができる。
【0069】
なお、シール材108の内側の空間には乾燥材117が設けられていることが望ましい
。乾燥材117は対向基板109に凹部116を形成し、その内側に貼り付けることによ
って設けることができる。乾燥材117を設けることによってより長期にわたって劣化を
抑制することが可能となる。
【0070】
なお、本実施の形態の構成は他の実施の形態の構成と組み合わせて用いることが可能で
ある。
【0071】
(実施の形態5)
図4は本発明の発光装置の構成の一つである。図1(A)と同じ構成については同じ符
号を付し材料なども同様の材料を使用することができる。また、繰り返しとなる説明も省
略するため図1(A)の説明を参照されたい。なお、図4(A)は図4(B)をA−Bで
切断した断面図であり、図4(C)は図4(B)をC−Dで切断した断面図である。
【0072】
図4の配線163は、基板端部から発光素子の上部電極107との間に、短辺方向の幅
dが1μm以上、好ましくは5μm以上である開口部を複数有している。また、当該開口
部は短辺方向を隣り合わせに複数並んで配置されており、隣り合う開口部と開口部との間
の距離cは1mm未満となっている。これにより、配線163がシール材の外側から発光
素子の上部電極107の下部にまで連続して形成されていたとしても水の侵入を促進して
しまうことなく周辺劣化を抑制することができる。
【0073】
また、本実施の形態においてはシール材108は発光素子の上部電極107と15μm
以下であれば重なっていても構わない。また、もちろんシール材108と上部電極107
との間に間隙を有していても良い。
【0074】
なお、実際のアクティブマトリクス型のパネルであった場合、シール材の外側もしくは
シール材の下から発光素子の上部電極の近くまで引き込まれる配線はあまり多くないが、
そのような構造も形成しなければならないこともあり、当然その部分から劣化が発生する
。劣化により周辺部分が点灯しなくなった発光装置にはたとえそれが一部分であっても商
品価値は激減する為、本発明の構成は発光素子周辺の極一部に対する対策としても好適に
用いることができる。
【0075】
なお、シール材108の内側の空間には乾燥材117が設けられていることが望ましい
。乾燥材117は対向基板109に凹部116を形成し、その内側に貼り付けることによ
って設けることができる。乾燥材117を設けることによってより長期にわたって劣化を
抑制することが可能となる。
【0076】
なお、本実施の形態の構成は他の実施の形態の構成と組み合わせて用いることが可能で
ある。
【0077】
(実施の形態6)
図5は本発明の発光装置の構成の一つである。図1(A)と同じ構成については同じ符
号を付し材料なども同様の材料を使用することができる。
【0078】
図5(A)は図1(B)と類似の構成であるが、配線103a、103bの下部にパッ
シベーション膜110a、110bが形成されている。パッシベーション膜110a、1
10bはケイ素を主成分とした絶縁膜により形成され、無機膜で構成される。見方を変え
ると、パッシベーション膜と配線の2層構造で無機膜が構成されているともとれる。また
、110a、110bを導電性の材料で形成すれば2層構造の配線としてもみることがで
きる。
【0079】
図5(B)は図1(B)と類似の構成であるが、発光素子の上部電極107上に接して
パッシベーション膜111が形成されている。パッシベーション膜111はケイ素を主成
分とした絶縁膜により形成される場合もあり、その場合は無機膜である。そのため、配線
103aと103bとの間の間隙はシール材108とパッシベーション膜111との間に
形成することで本発明の構成を満足させることが出来、周辺劣化を抑制することができる

【0080】
なお、パッシベーション膜111は有機系の材料である場合も考えられ、その場合は図
1(B)と同じ構成として扱えば良い。
【0081】
図5(C)は図5(A)と図5(B)の構成を同時に持ち合わせた発光装置である。こ
のような構成でも良い。
【0082】
なお、本実施の形態は図1(B)の構成を例に挙げて説明したが他の構成にも適用する
ことができまた、本実施の形態の構成は他の実施の形態の構成と組み合わせて用いること
が可能である。
【0083】
(実施の形態7)
図6、図7は本発明の発光装置の構成の一つである。図1(A)と同じ構成については
同じ符号を付し材料なども同様の材料を使用することができる。
【0084】
図6(A)は発光素子の下部電極112と配線103a、103bを異なる絶縁膜上に
形成した例である。発光素子下部電極112は第2の有機絶縁膜105に設けられたコン
タクトホールを介して配線103cと電気的に接続する。下部電極112はその端部を第
3の有機絶縁膜113に覆われており、第3の有機絶縁膜113上から下部電極112の
露出部を覆って連続的に発光積層体106が設けられる。さらに発光積層体106を覆っ
て発光素子の上部電極107が設けられている。これら下地絶縁膜101、第1の有機絶
縁膜102、配線103、発光素子の下部電極104、第2の有機絶縁膜105、発光積
層体106及び発光素子の上部電極107が形成された基板100は対向基板109とシ
ール材108によって固着される。
【0085】
第3の有機絶縁膜113は、下部電極112を覆って形成されていることから、第2の
有機絶縁膜105上にも形成され、第2の有機絶縁膜105と第3の有機絶縁膜113の
積層構造が形成される。第3の有機絶縁膜113の端部は第2の有機絶縁膜105の端部
より、内側に形成される。尚、外側内側の概念は基板を基準とする。第3の有機絶縁膜1
13の端部は第2の有機絶縁膜105においてその端部に向かう膜厚の減少が始まる位置
より内側に形成されていると好ましい。
【0086】
このように発光素子の下部電極112と配線103a、103bを異なる絶縁膜上に形
成した例であっても配線103aと配線103bとの間とシール材108と発光素子の上
部電極107との間とに間隙を設けることによって当該二つの間隙が重なる部分において
水の侵入を抑制することが可能となる。また、周辺劣化の抑制に繋がる。
【0087】
図6(B)は図6(A)の構成と図5(A)の構成を組み合わせた構成である。このよ
うな構成であっても配線103a及びパッシベーション膜110aと配線103b及びパ
ッシベーション膜110bとの間とシール材108と発光素子の上部電極107との間と
に間隙を設けることによって当該二つの間隙が重なる部分において水の侵入を抑制するこ
とが可能となる。また、周辺劣化の抑制に繋がる。
【0088】
図6(C)は図6(A)の構成に発光素子の下部電極112下のパッシベーション膜1
14を加えた例である。パッシベーション膜114はケイ素を主成分とした絶縁膜により
形成され、無機系の膜で構成される。この場合、配線103aと配線103bとの間の間
隙と少なくとも一部を重ねてパッシベーション膜114aとパッシベーション膜114b
との間に間隙を設ける必要がある。
【0089】
このように発光素子の下部電極112下のパッシベーション膜114を加えた例であっ
ても、配線103aと配線103bとの間とパッシベーション膜114aとパッシベーシ
ョン膜114bとの間に間隙を設け、その間隙を一部重ねる構成とすることで当該二つの
間隙とシール材と発光素子の上部電極107との間の間隙の3つが重なる部分において水
の侵入を抑制することが可能となる。また、周辺劣化の抑制に繋がる。
【0090】
図7(A)は図6(A)の構成と図5(B)の構成を組み合わせ、発光素子の上部電極
107上にパッシベーション膜115を設けた構成である。このような構成であっても配
線103aと配線103bとの間と、シール材108とパッシベーション膜115との間
とに間隙を設けることによって当該二つの間隙が重なる部分において水の侵入を抑制する
ことが可能となる。また、周辺劣化の抑制に繋がる。
【0091】
図7(B)は図6(A)〜(C)、及び図7(A)の構成を組み合わせた構成である。
このような構成であっても配線103aと配線103bとの間とパッシベーション膜11
4aとパッシベーション膜114bとの間に間隙を設け、その間隙を一部重ねる構成とし
、当該二つの間隙とシール材とパッシベーション膜115との間の間隙の3つが重なる部
分において水の侵入を抑制することが可能となる。また、周辺劣化の抑制に繋がる。
【0092】
なお、発光素子の下部電極112は図1(A)の下部電極104と、第3の有機絶縁膜
113は図1(A)の第1の有機絶縁膜102、第2の有機絶縁膜105と同じ材料で形
成することができる。
【0093】
なお、本実施の形態の構成は他の実施の形態の構成と組み合わせて用いることが可能で
ある。
【0094】
(実施の形態8)
続いて本発明の発光装置の作製方法について図8、図9を参照しながら説明する。
【0095】
まず、基板200上に第1の下地絶縁層201、第2の下地絶縁層202を形成する。
【0096】
基板200の材料としてはガラス、石英やプラスチック(ポリイミド、アクリル、ポリ
エチレンテレフタラート、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリエーテルスルホン
など)等を用いることができる。これら基板は必要に応じてCMP等により研磨してから
使用しても良い。本実施の形態においてはガラス基板を用いる。
【0097】
第1の下地絶縁層201、第2の下地絶縁層202は基板200中のアルカリ金属やア
ルカリ土類金属など、半導体膜の特性に悪影響を及ぼすような元素が半導体層203中な
どに拡散するのを防ぐ為に設ける。材料としては酸化ケイ素、窒化ケイ素、窒素を含む酸
化ケイ素、酸素を含む窒化ケイ素などを用いることができる。本実施の形態では第1の下
地絶縁層201を窒化ケイ素で、第2の下地絶縁層202を酸化ケイ素で形成する。本実
施の形態では、下地絶縁層を第1の下地絶縁層201、第2の下地絶縁層202の2層で
形成したが、単層で形成してもかまわないし、2層以上の多層であってもかまわない。ま
た、基板からの不純物の拡散が気にならないようであれば下地絶縁層は設ける必要がない

【0098】
続いて形成される半導体層は本実施の形態では非晶質ケイ素膜をレーザ結晶化して得る
。第2の下地絶縁層202上に非晶質ケイ素膜を25〜100nm(好ましくは30〜6
0nm)の膜厚で形成する。作製方法としては公知の方法、例えばスパッタ法、減圧CV
D法またはプラズマCVD法などが使用できる。その後、500℃で1時間の加熱処理を
行い水素出しをする。
【0099】
続いてレーザ照射装置を用いて非晶質ケイ素膜を結晶化して結晶質ケイ素膜を形成する
。本実施の形態のレーザ結晶化ではエキシマレーザを使用し、発振されたレーザビームを
光学系を用いて線状のビームスポットに加工し非晶質ケイ素膜に照射することで結晶質ケ
イ素膜とし、半導体層として用いる。
【0100】
非晶質ケイ素膜の他の結晶化の方法としては、他に、熱処理のみにより結晶化を行う方
法や結晶化を促進する触媒元素を用い加熱処理を行う事によって行う方法もある。結晶化
を促進する元素としてはニッケル、鉄、パラジウム、スズ、鉛、コバルト、白金、銅、金
などが挙げられ、このような元素を用いることによって熱処理のみで結晶化を行った場合
に比べ、低温、短時間で結晶化が行われるため、ガラス基板などへのダメージが少ない。
熱処理のみにより結晶化をする場合は、基板200を熱に強い石英基板などにすればよい

【0101】
続いて、必要に応じて半導体層にしきい値をコントロールする為に微量の不純物添加、
いわゆるチャネルドーピングを行う。要求されるしきい値を得る為にN型もしくはP型を
呈する不純物(リン、ボロンなど)をイオンドーピング法などにより添加する。
【0102】
その後、図8(A)に示すように半導体層を所定の形状にパターニングし、島状の半導
体層203を得る。パターニングは半導体層にフォトレジストを塗布し、所定のマスク形
状を露光し、焼成して、半導体層上にレジストなどによるマスクを形成し、このマスクを
用いてエッチングをすることにより行われる。
【0103】
続いて半導体層203を覆うようにゲート絶縁膜204を形成し、次いで、ゲート絶縁
膜204上に第1の導電膜205及び第2の導電膜206を成膜する(図8(A))。ゲ
ート絶縁膜204はプラズマCVD法またはスパッタ法を用いて膜厚を40〜150nm
としてケイ素を含む絶縁層で形成する。本実施の形態では酸化ケイ素を用いて形成する。
【0104】
第1の導電膜205、第2の導電膜206はタンタル、タングステン、チタン、モリブ
デン、アルミニウム、銅、クロム、ニオブから選ばれた元素、または元素を主成分とする
合金材料若しくは化合物材料で形成してもよい。また、リン等の不純物元素をドーピング
した多結晶ケイ素膜に代表される半導体膜を用いてもよい。また、AgPdCu合金を用
いてもよい。
【0105】
次に、ゲート絶縁膜204上におけるの半導体層203と一部が重なる位置に、第1の
導電膜205、第2の導電膜206をエッチングして第1の導電層207、第2の導電層
208よりなるゲート電極及び第1の導電層209、第2の導電層210よりなる外部接
続部を形成する(図8(B))。本実施の形態では、ゲート絶縁膜204上に第1の導電
膜205として膜厚30nmの窒化タンタル(TaN)とその上に第2の導電膜206と
して膜厚370nmのタングステン(W)を形成する。なお、本実施の形態では第1の導
電膜205を膜厚30nmのTaN、第2の導電膜206を膜厚370nmのWとしたが
、膜厚は第1の導電膜205が20〜100nm、第2の導電膜206が100〜400
nmの範囲で形成すれば良い。また、本実施の形態では、2層の積層構造としたが、1層
としてもよいし、もしくは3層以上の積層構造としてもよい。
【0106】
次に、前記第1の導電膜205、第2の導電膜206をエッチングしてゲート電極、外
部接続部及び図示しない配線を形成するため、フォトリソグラフィーにより露光工程を経
てレジストなどによるマスクを形成する。第1のエッチング処理では第1のエッチング条
件と第2のエッチング条件で2度エッチングを行う。エッチング条件は適宜選択すれば良
いが、本実施の形態では以下の方法でエッチングを行う。
【0107】
第1のエッチング処理はICP(誘導結合プラズマ)エッチング法を使用する。第1の
エッチング条件として、エッチング用ガスにCF4、Cl2とO2を用い、それぞれのガス
流量比を17/17/10とし、1.5Paの圧力でコイル型電極に500WのRF(1
3.56MHz)電力を投入してプラズマを生成してエッチングを行う。基板側(試料ス
テージ)にも120WのRF(13.56MHz)電力を投入し、実質的に負の自己バイ
アス電圧を印加する。この第1のエッチング条件によりW膜をエッチングして第1の導電
層の端部をテーパー形状とする。
【0108】
続いて、第2のエッチング条件に移ってエッチングを行う。レジストなどによるマスク
を除去せず、のこしたまま、エッチング用ガスにCF4とCl2を用い、それぞれのガス流
量比を20/20、圧力1.5Paでコイル型の電極に500WのRF(13.56MH
z)電力を投入してプラズマを生成して約17秒程度のエッチングを行う。基板側(試料
ステージ)にも10WのRF(13.56MHz)電力を投入し、実質的に負の自己バイ
アス電圧を印加する。CF4とCl2を混合した第2のエッチング条件ではW膜及びTaN
膜とも同程度にエッチングされる。この第1のエッチング処理においては、基板側に印加
されたバイアス電圧の効果により第1の導電層及び第2の導電層の端部はテーパー状とな
る。
【0109】
次いで、レジストなどによるマスクを除去せずに第2のエッチング処理を行う。第2の
エッチング処理では、エッチング用のガスにSF6とCl2とO2を用い、それぞれのガス
流量比を16/8/30とし、2.0Paの圧力でコイル側の電力に700WのRF(1
3.56MHz)電力を投入してプラズマを発生して25秒程度エッチングを行う。基板
側(試料ステージ)には0WのRF(13.56MHz)電力を投入し、実質的に負の自
己バイアス電圧を印加した。このエッチング条件ではW膜が選択的にエッチングされ、第
2形状の導電層を形成した。このとき第1の導電層はほとんどエッチングされない。第1
、第2のエッチング処理によって第1の導電層207、第2の導電層208よりなるゲー
ト電極と第1の導電層209、第2の導電層210よりなる外部接続部が形成される。
【0110】
そして、レジストなどによるマスクを除去せず、第1のドーピング処理を行う。これに
より、結晶性半導体層にN型を付与する不純物が低濃度に添加される。第1のドーピング
処理はイオンドープ法又はイオン注入法で行えば良い。イオンドープ法の条件はドーズ量
が1×1013〜5×1014atoms/cm2、加速電圧が40〜80kVで行えばよい
。本実施例では加速電圧を50kVとして行った。N型を付与する不純物元素としては1
5族に属する元素を用いることができ、代表的にはリン(P)または砒素(As)が用い
られる。本実施の形態ではリン(P)を使用した。その際、ゲート電極の第1の導電層2
07をマスクとして、自己整合的に低濃度の不純物が添加されている第1の不純物領域(
--領域)が形成される。
【0111】
続き、レジストなどによるマスクを除去する。そして新たにレジストなどによるマスク
を形成して第1のドーピング処理よりも高い加速電圧で、第2のドーピング処理を行う)
。第2のドーピング処理もN型を付与する不純物を添加する。イオンドープ法の条件はド
ーズ量を1×1013〜3×1015atoms/cm2、加速電圧を60〜120kVとす
れば良い。本実施の形態ではドーズ量を3.0×1015atoms/cm2とし、加速電
圧を65kVとして行った。第2のドーピング処理はゲート電極の第2の導電層を不純物
元素に対するマスクとして用い、第1の導電層の下方に位置する半導体層にも不純物元素
が添加されるようにドーピングを行う。なお、本実施の形態で図8(B)に記載されてい
る半導体層はP型の薄膜トランジスタとして動作させるため、第2のドーピング処理にお
いてはマスクで覆っておく。
【0112】
なお、本実施の形態では2回のドーピング処理により各不純物領域を形成したが、これ
に限定されることは無く、適宜条件を設定して、一回もしくは複数回のドーピングによっ
て所望の不純物濃度を有する不純物領域を形成すれば良い。
【0113】
次いで、レジストなどによるマスクを除去した後、新たにレジストなどによるマスクを
形成し、第3のドーピング処理を行う。第3のドーピング処理により、Pチャネル型TF
Tとなる半導体層に前記第1の導電型及び前記第2の導電型とは逆の導電型を付与する不
純物元素が添加されたP+領域212及びP-領域211が形成される。
【0114】
P型を付与する不純物元素としては、ホウ素(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム
(Ga)など周期律表第13族の元素が知られている。
【0115】
本実施例では、P+領域212及びP-領域211を形成するP型の不純物元素としては
ホウ素(B)を選択し、ジボラン(B26)を用いたイオンドープ法で形成した。イオン
ドープ法の条件としては、ドーズ量を1×1016atoms/cm2とし、加速電圧を8
0kVとした。
【0116】
なお、第3のドーピング処理の際には、Nチャネル型TFTを形成する半導体層はレジ
ストなどによるマスクに覆われている。
【0117】
なお、本実施の形態では、第3のドーピング一回で、P+領域126及びP-領域127
を形成したが、これに限定はされない。ドーピング処理の条件によって適宜複数回のドー
ピング処理を行って形成してもよい。
【0118】
これにより半導体層、ゲート絶縁膜、ゲート電極、よりなる薄膜トランジスタが形成さ
れる。なお、薄膜トランジスタの作製方法についてはこれに限らず、適宜公知の作製方法
により作製すればよい。また、TFTの極性についても使用者が自由に設計することが可
能である。
【0119】
本実施の形態では、レーザ結晶化を使用して結晶化した結晶性ケイ素膜を用いたトップ
ゲートの薄膜トランジスタを作製しているが、非晶質半導体膜を用いたボトムゲート型の
薄膜トランジスタを画素部に用いることも可能である。非晶質半導体はケイ素だけではな
くケイ素ゲルマニウムも用いることができ、ケイ素ゲルマニウムを用いる場合、ゲルマニ
ウムの濃度は0.01〜4.5atomic%程度であることが好ましい。
【0120】
また非晶質半導体中に0.5nm〜20nmの結晶を粒観察することができる微結晶半
導体膜(セミアモルファス半導体)を用いてもよい。また0.5nm〜20nmの結晶を
粒観察することができる微結晶はいわゆるマイクロクリスタル(μc)とも呼ばれている

【0121】
セミアモルファス半導体であるセミアモルファスケイ素(SASとも表記する)は、珪
化物気体をグロー放電分解することにより得ることができる。代表的な珪化物気体として
は、SiH4であり、その他にもSi26、SiH2Cl2、SiHCl3、SiCl4、S
iF4などを用いることができる。この珪化物気体を水素、水素とヘリウム、アルゴン、
クリプトン、ネオンから選ばれた一種または複数種の希ガス元素で希釈して用いることで
SASの形成を容易なものとすることができる。希釈率は10倍〜1000倍の範囲で珪
化物気体を希釈することが好ましい。グロー放電分解による被膜の反応生成は0.1Pa
〜133Paの範囲の圧力で行えば良い。グロー放電を形成するための電力は1MHz〜
120MHz、好ましくは13MHz〜60MHzの高周波電力を供給すれば良い。基板
加熱温度は300度以下が好ましく、100〜250度の基板加熱温度が好適である。
【0122】
このようにして形成されたSASはラマンスペクトルが520cm-1よりも低波数側に
シフトしており、X線回折ではSi結晶格子に由来するとされる(111)、(220)
の回折ピークが観測される。未結合手(ダングリングボンド)のを終端するために水素ま
たはハロゲンを少なくとも1原子%またはそれ以上含ませている。膜中の不純物元素とし
て、酸素、窒素、炭素などの大気成分の不純物は1×1020cm-3以下とすることが望ま
しく、特に、酸素濃度は5×1019/cm3以下、好ましくは1×1019/cm3以下とす
る。TFTにしたときの移動度μ=1〜10cm2/Vsecとなる。
【0123】
また、このSASをレーザでさらに結晶化して用いても良い。
【0124】
続いて、第1の導電層207、第2の導電層208よりなるゲート電極、第1の導電層
209、第2の導電層210よりなる外部接続部及びゲート絶縁膜204を覆って絶縁膜
(水素化膜)213を窒化ケイ素により形成し、480℃で1時間程度加熱を行って、不
純物元素の活性化及び半導体層203の水素化を行う。続いて絶縁膜(水素化膜)213
を覆う層間絶縁層214を形成する(図8(C))。層間絶縁層214を形成する材料と
してはアクリル、ポリイミドやシロキサンなどの自己平坦性を有する材料等にもちいると
よい。本実施の形態ではシロキサンを第1の層間絶縁層として形成する。
【0125】
次に、半導体層203及び外部接続部に至るコンタクトホールを開口する。コンタクト
ホールはレジストなどによるマスクを用いて、半導体層203及び外部接続部が露出する
までエッチングを行うことで形成することができ、ウエットエッチング、ドライエッチン
グどちらでも形成することができる。なお、条件によって一回でエッチングを行ってしま
っても良いし、複数回に分けてエッチングを行っても良い。また、複数回でエッチングす
る際は、ウエットエッチングとドライエッチングの両方を用いても良い。
【0126】
そして、当該コンタクトホールや層間絶縁層を覆う導電層を形成する。当該導電層をレジ
ストなどによるマスクを用いて所望の形状に加工し、ソース電極またはドレイン電極21
6、215、配線217、218などが形成される(図8(D))。この電極や配線はア
ルミニウム、銅等の単層でも良いが、本実施の形態では形成順にモリブデン、アルミニウ
ム、モリブデンの積層構造とする。積層配線としてはチタン、アルミニウム、チタンやチ
タン、窒化チタン、アルミニウム、チタンといった構造でも良い。
【0127】
配線217の内側端部と配線218の外側端部との間には間隙があり、配線217の内
側端部は配線218の外側端部より外側に位置するように形成する。また、当該間隙は5
μm以上好ましくは10μm以上さらに好ましくは20μm以上であることが望ましい。
【0128】
そしてドレイン電極216の露出部と一部重なって、透光性を有する導電層を形成した
のち、当該透光性を有する導電層をレジストなどによるマスクを用いて加工し、薄膜発光
素子の下部電極220と外部接続部221を形成する。ここで下部電極220はドレイン
電極216と電気的に接触している。
【0129】
また、本実施の形態において下部電極220は陽極として形成され、仕事関数の大きい
(仕事関数4.0eV以上)金属、合金、電気伝導性化合物、およびこれらの混合物など
を用いることが好ましい。例えばITO(indium tin oxide)、ケイ素
を含有するITO(ITSO)、酸化インジウムに2〜20[%]の酸化亜鉛(ZnO)
を混合したIZO(indium zinc oxide)、酸化亜鉛、酸化亜鉛にガリ
ウムを含有したGZO(Galium Zinc Oxide)の他、金(Au)、白金
(Pt)、ニッケル(Ni)、タングステン(W)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo
)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、または金属材料
の窒化物(TiN)等を用いることができる。本実施の形態ではITSOを下部電極22
0として用いた。
【0130】
層間絶縁層214及び下部電極220を覆って有機材料からなる絶縁層を形成する。続
いて当該絶縁層を下部電極220の一部と外部接続部221が露出するように加工し、隔
壁222を形成する(図9(A))。隔壁222の材料としては、感光性を有する有機材
料(アクリル、ポリイミド、シロキサンなど)が好適に用いられるが、感光性を有さない
有機材料で形成してもかまわない。また、隔壁222の材料にチタンブラックやカーボン
ナイトライドなどの黒色顔料や染料を分散材などを用いて分散し、隔壁222を黒くする
ことでブラックマトリクス様に用いても良い。隔壁222の下部電極220に向かう端面
は曲率を有し、当該曲率が連続的に変化するテーパー形状をしていることが望ましい。
【0131】
次に、隔壁222上から連続して露出した下部電極220を覆う発光積層体223を形
成する。発光積層体223は蒸着法、スピンコート法、インクジェット法等により形成す
ればよい。続いて発光積層体223を覆う上部電極224を形成する(図9(B))。こ
れによって下部電極220と発光積層体223と上部電極224とからなる発光素子を作
製することができる。上部電極224は本実施の形態においては陰極として形成され、陰
極材料としては、仕事関数の小さい(仕事関数3.8eV以下)金属、合金、電気伝導性
化合物、およびこれらの混合物などを用いることが好ましい。なお、陰極材料の具体例と
しては、元素周期律の1族または2族に属する元素、すなわちLiやCs等のアルカリ金
属、およびMg、Ca、Sr等のアルカリ土類金属、およびこれらを含む合金(Mg:A
g、Al:Li)や化合物(LiF、CsF、CaF2)の他、希土類金属を含む遷移金
属を用いて形成することができるが、Al、Ag、ITO等の金属(合金を含む)との積
層により形成することもできる。本実施の形態ではアルミニウムを陰極として用いた。
【0132】
なお、本実施の形態では、ドレイン電極216に電気的に接触している電極は陽極であ
ったが、ドレイン電極216に電気的に接触している電極は陰極であっても良い。
【0133】
その後、プラズマCVD法により窒素を含む酸化ケイ素膜をパッシベーション膜として
形成してもよい。窒素を含む酸化ケイ素膜を用いる場合には、プラズマCVD法でSiH
4、N2O、NH3から作製される酸化窒化ケイ素膜、またはSiH4、N2Oから作製され
る酸化窒化ケイ素膜、あるいはSiH4、N2OをArで希釈したガスから形成される酸化
窒化ケイ素膜を形成すれば良い。
【0134】
また、パッシベーション膜としてSiH4、N2O、H2から作製される酸化窒化水素化
ケイ素膜を適用しても良い。もちろん、パッシベーション膜は単層構造に限定されるもの
ではなく、他のケイ素を含む絶縁層を単層構造、もしくは積層構造として用いても良い。
また、窒化炭素膜と窒化ケイ素膜の多層膜やスチレンポリマーの多層膜、窒化ケイ素膜や
ダイヤモンドライクカーボン膜を窒素を含む酸化ケイ素膜の代わりに形成してもよい。
【0135】
パッシベーション膜を形成することによって発光素子の上面からの発光素子の劣化を促
進する元素の侵入を抑制することができ、信頼性の向上につながる。
【0136】
続いて発光素子を水などの劣化を促進する物質から保護するために、表示部の封止を行
う(図9(C))。対向基板226を封止に用いる場合は、絶縁性のシール材225によ
り貼り合わせる。シール材225の内側端部と上部電極224の外側端部との間には間隙
があり、シール材225の内側端部は上部電極224の外側端部より外側に位置している

【0137】
また、シール材225と上部電極224との間の間隙と、配線217と配線218との
間の間隙は少なくとも一部が重なって形成されていなければいけない。
【0138】
また、配線217はシール材225の外側からシール材225を横切ってシール材22
5の内側へ形成、もしくはシール材225の下方からシール材225の内側へ形成されて
いる場合に水の侵入が促進される為、配線217と上部電極107の下部まで達して形成
されている配線218との間には間隙が必要となる。
【0139】
なお、本実施の形態では実施の形態2の構成を適用したが、他の実施の形態の構成を用
いても周辺劣化の抑制することが可能な発光装置を作製することができる。
【0140】
対向基板226と素子基板との間の空間には乾燥した窒素などの不活性気体を充填して
も良い。シール材144には紫外線硬化樹脂などを用いると好適である。シール材225
には乾燥剤や基板間のギャップを一定に保つための粒子を混入しておいても良い。
【0141】
その後、外部接続部221に異方性導電膜227を介してフレキシブルプリントサーキ
ット(FPC)228を取り付けて本発明の発光装置が完成する。
【0142】
なお、本実施の形態では実施の形態2の構成を適用したが、他の実施の形態の構成を用
いても周辺劣化の抑制することが可能な発光装置を作製することができる。
【0143】
このように作製された発光装置は外部雰囲気から有機系の膜を介して侵入する水を間隙
が形成されている部分においてそれ以上の侵入を抑制することができる。また、これによ
り発光装置の周辺劣化を抑制することが可能となる。
【0144】
(実施の形態9)
実施の形態8を適用して作製された発光装置のパネルの外観について図10を用いて説
明する。なお、符号については実施の形態8と同じ部分に関しては同じ符号を付してある
。図10は基板200上に形成されたトランジスタおよび発光素子を対向基板226との
間に形成したシール材によって封止したパネルの上面図であり、図9(C)は図10のE
−Fにおける断面図に相応する。なお、図1〜図7の断面図は図10のG−HもしくはI
−Jに相当する。もちろん、本発明の構成はパネルの外周部のどの部分にも適用すること
ができる上、一部分へのみの適用も可能である。
【0145】
基板200上に設けられた発光素子が形成された画素部を覆うように発光素子の上部電
極224が形成され、信号線駆動回路4003と走査線駆動回路4004とを囲むように
して、シール材225が設けられている。また、画素部と信号線駆動回路4003と、走
査線駆動回路4004の上に対向基板226が設けられている。よって画素部と信号線駆
動回路4003と、走査線駆動回路4004とは基板200とシール材225と対向基板
226とによって密封されている。シール材225の内側端部は発光素子の上部電極22
4の外側端部より外側に形成されるか上部電極224端部からシール材225の端部まで
の重なりは15μm以下とする。なお、実施の形態1又は実施の形態2の構成を有する場
合は上部電極224とシール材225は接触していてはいけない。
【0146】
また、基板200上に設けられた画素部と信号線駆動回路4003と走査線駆動回路4
004とは薄膜トランジスタを複数有しており、図9(C)には画素部に含まれる薄膜ト
ランジスタが示されている。
【0147】
また、発光素子は、薄膜トランジスタと電気的に接続されている。
【0148】
フレキシブルプリントサーキット(FPC)228は外部接続部221と配線217を
介して画素部と信号線駆動回路4003と、走査線駆動回路4004とに、信号、または
電源電圧を供給する。
【0149】
なお、表示機能を有するこのような発光装置には、アナログのビデオ信号、デジタルの
ビデオ信号のどちらを用いてもよい。デジタルのビデオ信号を用いる場合はそのビデオ信
号が電圧を用いているものと、電流を用いているものとに分けられる。発光素子の発光時
において、画素に入力されるビデオ信号は、定電圧のものと、定電流のものがあり、ビデ
オ信号が定電圧のものには、発光素子に印加される電圧が一定のものと、発光素子に流れ
る電流が一定のものとがある。またビデオ信号が定電流のものには、発光素子に印加され
る電圧が一定のものと、発光素子に流れる電流が一定のものとがある。この発光素子に印
加される電圧が一定のものは定電圧駆動であり、発光素子に流れる電流が一定のものは定
電流駆動である。定電流駆動は、発光素子の抵抗変化によらず、一定の電流が流れる。本
発明の発光表示装置及びその駆動方法には、電圧のビデオ信号、電流のビデオ信号のどち
らを用いてもよく、また定電圧駆動、定電流駆動のどちらを用いてもよい。
【0150】
なお、本発明の表示装置は発光素子を有する画素部が形成されたパネルと、該パネルに
ICが実装されたモジュールとをその範疇に含む。
【0151】
本実施の形態のようなパネル及びモジュールは、外部雰囲気から有機系の膜を介して侵
入する水を間隙が形成されている部分においてそれ以上の侵入を抑制することができる。
また、これにより発光装置の周辺劣化を抑制することが可能となる。パネル及びモジュー
ルである。
【0152】
(実施の形態10)
図11にその一例を示したようなモジュールを搭載した本発明の電子機器として、ビデ
オカメラ、デジタルカメラ、ゴーグル型ディスプレイ(ヘッドマウントディスプレイ)、
ナビゲーションシステム、音響再生装置(カーオーディオコンポ等)、ノート型パーソナ
ルコンピュータ、ゲーム機器、携帯情報端末(モバイルコンピュータ、携帯電話、携帯型
ゲーム機または電子書籍等)、記録媒体を備えた画像再生装置(具体的にはDigita
l Versatile Disc(DVD)等の記録媒体を再生し、その画像を表示し
うるディスプレイを備えた装置)などが挙げられる。それらの電子機器の具体例を図11
に示す。
【0153】
図11(A)は発光表示装置でありテレビ受像器などがこれに当たる。筐体2001、
表示部2003、スピーカー部2004等を含む。本発明の発光表示装置は、表示部20
03における発光素子の劣化が抑制され、信頼性が向上する。画素部にはコントラストを
高めるため、偏光板、又は円偏光板を備えるとよい。例えば、封止基板へ1/4λ板、1
/2λ板、偏光板の順にフィルムを設けるとよい。さらに偏光板上に反射防止膜を設けて
もよい。
【0154】
図11(B)は携帯電話であり、本体2101、筐体2102、表示部2103、音声
入力部2104、音声出力部2105、操作キー2106、アンテナ2108等を含む。
本発明の携帯電話は、表示部2103における発光素子の劣化が抑制され、信頼性が向上
する。
【0155】
図11(C)はノート型パーソナルコンピュータであり、本体2201、筐体2202
、表示部2203、キーボード2204、外部接続ポート2205、ポインティングマウ
ス2206等を含む。本発明のノート型パーソナルコンピュータは、表示部2203にお
ける発光素子の劣化が抑制され、信頼性が向上する。
【0156】
図11(D)はモバイルコンピュータであり、本体2301、表示部2302、スイッ
チ2303、操作キー2304、赤外線ポート2305等を含む。本発明のモバイルコン
ピュータは、表示部2302における発光素子の劣化が抑制され、信頼性が向上する。
【0157】
図11(E)は携帯型のゲーム機であり、筐体2401、表示部2402、スピーカー
部2403、操作キー2404、記録媒体挿入部2405等を含む。本発明の携帯型ゲー
ム機は表示部2402における発光素子の劣化が抑制され、信頼性が向上する。
【0158】
以上の様に、本発明の適用範囲は極めて広く、あらゆる分野の電子機器に用いることが
可能である。
(実施の形態11)
【0159】
本実施の形態では発光積層体142の構成について詳しく説明する。
【0160】
発光積層体は、有機化合物又は無機化合物を含む電荷注入輸送物質及び発光材料で形成
し、その分子数から低分子系有機化合物、中分子系有機化合物(昇華性を有さず、且つ分
子数が20以下、又は連鎖する分子の長さが10μm以下の有機化合物を指していう)、
高分子系有機化合物から選ばれた一種又は複数種の層を含み、電子注入輸送性又は正孔注
入輸送性の無機化合物と組み合わせても良い。
【0161】
電荷注入輸送物質のうち、特に電子輸送性の高い物質としては、例えばトリス(8−キ
ノリノラト)アルミニウム(略称:Alq3)、トリス(5−メチル−8−キノリノラト
)アルミニウム(略称:Almq3)、ビス(10−ヒドロキシベンゾ[h]−キノリナ
ト)ベリリウム(略称:BeBq2)、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)−4−フ
ェニルフェノラト−アルミニウム(略称:BAlq)など、キノリン骨格またはベンゾキ
ノリン骨格を有する金属錯体等が挙げられる。また正孔輸送性の高い物質としては、例え
ば4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニル−アミノ]−ビフェニル(略称
:α−NPD)や4,4’−ビス[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニル−アミノ
]−ビフェニル(略称:TPD)や4,4’,4’’−トリス(N,N−ジフェニル−ア
ミノ)−トリフェニルアミン(略称:TDATA)、4,4’,4’’−トリス[N−(
3−メチルフェニル)−N−フェニル−アミノ]−トリフェニルアミン(略称:MTDA
TA)などの芳香族アミン系(即ち、ベンゼン環−窒素の結合を有する)の化合物が挙げ
られる。
【0162】
また、電荷注入輸送物質のうち、特に電子注入性の高い物質としては、フッ化リチウム
(LiF)、フッ化セシウム(CsF)、フッ化カルシウム(CaF2)等のようなアル
カリ金属又はアルカリ土類金属の化合物が挙げられる。また、この他、Alq3のような
電子輸送性の高い物質とマグネシウム(Mg)のようなアルカリ土類金属との混合物であ
ってもよい。
【0163】
電荷注入輸送物質のうち、正孔注入性の高い物質としては、例えば、モリブデン酸化物
(MoOx)やバナジウム酸化物(VOx)、ルテニウム酸化物(RuOx)、タングス
テン酸化物(WOx)、マンガン酸化物(MnOx)等の金属酸化物が挙げられる。また
、この他、フタロシアニン(略称:H2Pc)や銅フタロシアニン(CuPc)等のフタ
ロシアニン系の化合物が挙げられる。
【0164】
発光層は、発光波長帯の異なる発光層を画素毎に形成して、カラー表示を行う構成とし
ても良い。典型的には、R(赤)、G(緑)、B(青)の各色に対応した発光層を形成す
る。この場合にも、画素の光放射側にその発光波長帯の光を透過するフィルター(着色層
)を設けた構成とすることで、色純度の向上や、画素部の鏡面化(映り込み)の防止を図
ることができる。フィルター(着色層)を設けることで、従来必要であるとされていた円
偏光板などを省略することが可能となり、発光層から放射される光の損失を無くすことが
できる。さらに、斜方から画素部(表示画面)を見た場合に起こる色調の変化を低減すこ
とができる。
【0165】
発光中心には様々な材料がある。低分子系有機発光材料では、4−ジシアノメチレン−
2−メチル−6−(1,1,7,7−テトラメチルジュロリジル−9−エニル) −4H
−ピラン(略称:DCJT)、4−ジシアノメチレン−2−t−ブチル−6−(1,1,
7,7−テトラメチルジュロリジル−9−エニル) −4H−ピラン(略称:DPA)、
ペリフランテン、2,5−ジシアノ−1,4−ビス(10−メトキシ−1,1,7,7−
テトラメチルジュロリジル−9−エニル)ベンゼン、N,N’−ジメチルキナクリドン(
略称:DMQd)、クマリン6、クマリン545T、トリス(8−キノリノラト)アルミ
ニウム(略称:Alq3)、9,9’−ビアントリル、9,10−ジフェニルアントラセ
ン(略称:DPA)や9,10−ビス(2−ナフチル)アントラセン(略称:DNA)等
を用いることができる。また、この他の物質でもよい。
【0166】
一方、高分子系有機発光材料は低分子系に比べて物理的強度が高く、素子の耐久性が高
い。また塗布により成膜することが可能であるので、素子の作製が比較的容易である。高
分子系有機発光材料を用いた発光素子の構造は、低分子系有機発光材料を用いたときと基
本的には同じであり、陰極、有機発光層、陽極の積層構造となる。しかし、高分子系有機
発光材料を用いた発光層を形成する際には、低分子系有機発光材料を用いたときのような
積層構造を形成させることは難しく、多くの場合2層構造となる。具体的には、陰極、発
光層、正孔輸送層、陽極という積層構造である。
【0167】
発光色は、発光層を形成する材料で決まるため、これらを選択することで所望の発光を
示す発光素子を形成することができる。発光層の形成に用いることができる高分子系の電
界発光材料は、ポリパラフェニレンビニレン系、ポリパラフェニレン系、ポリチオフェン
系、ポリフルオレン系が挙げられる。
【0168】
ポリパラフェニレンビニレン系には、ポリ(パラフェニレンビニレン) [PPV]
の誘導体、ポリ(2,5−ジアルコキシ−1,4−フェニレンビニレン) [RO−PP
V]、ポリ(2−(2’−エチル−ヘキソキシ)−5−メトキシ−1,4−フェニレンビ
ニレン)[MEH−PPV]、ポリ(2−(ジアルコキシフェニル)−1,4−フェニレ
ンビニレン)[ROPh−PPV]等が挙げられる。ポリパラフェニレン系には、ポリパ
ラフェニレン[PPP]の誘導体、ポリ(2,5−ジアルコキシ−1,4−フェニレン)
[RO−PPP]、ポリ(2,5−ジヘキソキシ−1,4−フェニレン)等が挙げられる
。ポリチオフェン系には、ポリチオフェン[PT]の誘導体、ポリ(3−アルキルチオフ
ェン)[PAT]、ポリ(3−ヘキシルチオフェン)[PHT]、ポリ(3−シクロヘキ
シルチオフェン)[PCHT]、ポリ(3−シクロヘキシル−4−メチルチオフェン)[
PCHMT]、ポリ(3,4−ジシクロヘキシルチオフェン)[PDCHT]、ポリ[3
−(4−オクチルフェニル)−チオフェン][POPT]、ポリ[3−(4−オクチルフ
ェニル)−2,2ビチオフェン][PTOPT]等が挙げられる。ポリフルオレン系には
、ポリフルオレン[PF]の誘導体、ポリ(9,9−ジアルキルフルオレン)[PDAF
]、ポリ(9,9−ジオクチルフルオレン)[PDOF]等が挙げられる。
【0169】
なお、正孔輸送性の高分子系有機発光材料を、陽極と発光性の高分子系有機発光材料の
間に挟んで形成すると、陽極からの正孔注入性を向上させることができる。一般にアクセ
プター材料と共に水に溶解させたものをスピンコート法などで塗布する。また、有機溶媒
には不溶であるため、上述した発光性の有機発光材料との積層が可能である。正孔輸送性
の高分子系有機発光材料としては、PEDOTとアクセプター材料としてのショウノウス
ルホン酸(CSA)の混合物、ポリアニリン[PANI]とアクセプター材料としてのポ
リスチレンスルホン酸[PSS]の混合物等が挙げられる。
【0170】
また、発光層は単色又は白色の発光を呈する構成とすることができる。白色発光材料を
用いる場合には、画素の光放射側に特定の波長の光を透過するフィルター(着色層)を設
けた構成としてカラー表示を可能にすることができる。
【0171】
白色に発光する発光層を形成するには、例えば、Alq3、部分的に赤色発光色素であ
るナイルレッドをドープしたAlq3、Alq3、p−EtTAZ、TPD(芳香族ジアミ
ン)を蒸着法により順次積層することで白色を得ることができる。また、スピンコートを
用いた塗布法により発光層を形成する場合には、塗布した後、真空加熱で焼成することが
好ましい。例えば、正孔注入層として作用するポリ(エチレンジオキシチオフェン)/ポ
リ(スチレンスルホン酸)水溶液(PEDOT/PSS)を全面に塗布、焼成し、その後
、発光層として作用する発光中心色素(1,1,4,4−テトラフェニル−1,3−ブタ
ジエン(TPB)、4−ジシアノメチレン−2−メチル−6−(p−ジメチルアミノ−ス
チリル)−4H−ピラン(DCM1)、ナイルレッド、クマリン6など)ドープしたポリ
ビニルカルバゾール(PVK)溶液を全面に塗布、焼成すればよい。
【0172】
発光積層体は単層で形成することもでき、ホール輸送性のポリビニルカルバゾール(P
VK)に電子輸送性の1,3,4−オキサジアゾール誘導体(PBD)を分散させてもよ
い。また、30wt%のPBDを電子輸送剤として分散し、4種類の色素(TPB、クマ
リン6、DCM1、ナイルレッド)を適当量分散することで白色発光が得られる。ここで
示した白色発光が得られる発光素子の他にも、発光層の材料を適宜選択することによって
、赤色発光、緑色発光、または青色発光が得られる発光素子を作製することができる。
【0173】
なお、正孔輸送性の高分子系有機発光材料を、陽極と発光性の高分子系有機発光材料の
間に挟んで形成すると、陽極からの正孔注入性を向上させることができる。一般にアクセ
プター材料と共に水に溶解させたものをスピンコート法などで塗布する。また、有機溶媒
には不溶であるため、上述した発光性の有機発光材料との積層が可能である。正孔輸送性
の高分子系有機発光材料としては、PEDOTとアクセプター材料としてのショウノウス
ルホン酸(CSA)の混合物、ポリアニリン[PANI]とアクセプター材料としてのポ
リスチレンスルホン酸[PSS]の混合物等が挙げられる。
【0174】
さらに、発光層は、一重項励起発光材料の他、金属錯体などを含む三重項励起材料を用
いても良い。例えば、赤色の発光性の画素、緑色の発光性の画素及び青色の発光性の画素
のうち、輝度半減時間が比較的短い赤色の発光性の画素を三重項励起発光材料で形成し、
他を一重項励起発光材料で形成する。三重項励起発光材料は発光効率が良いので、同じ輝
度を得るのに消費電力が少なくて済むという特徴がある。すなわち、赤色画素に適用した
場合、発光素子に流す電流量が少なくて済むので、信頼性を向上させることができる。低
消費電力化として、赤色の発光性の画素と緑色の発光性の画素とを三重項励起発光材料で
形成し、青色の発光性の画素を一重項励起発光材料で形成しても良い。人間の視感度が高
い緑色の発光素子も三重項励起発光材料で形成することで、より低消費電力化を図ること
ができる。
【0175】
三重項励起発光材料の一例としては、金属錯体をドーパントとして用いたものがあり、
第三遷移系列元素である白金を中心金属とする金属錯体、イリジウムを中心金属とする金
属錯体などが知られている。三重項励起発光材料としては、これらの化合物に限られるこ
とはなく、上記構造を有し、且つ中心金属に周期表の8〜10属に属する元素を有する化
合物を用いることも可能である。
【0176】
以上に掲げる発光層を形成する物質は一例であり、正孔注入輸送層、正孔輸送層、電子
注入輸送層、電子輸送層、発光層、電子ブロック層、正孔ブロック層などの機能性の各層
を適宜積層することで発光素子を形成することができる。また、これらの各層を合わせた
混合層又は混合接合を形成しても良い。発光層の層構造は変化しうるものであり、特定の
電子注入領域や発光領域を備えていない代わりに、もっぱらこの目的用の電極を備えたり
、発光性の材料を分散させて備えたりする変形は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲におい
て許容されうるものである。
【0177】
上記のような材料で形成した発光素子は、順方向にバイアスすることで発光する。発光
素子を用いて形成する表示装置の画素は、単純マトリクス方式、若しくはアクティブマト
リクス方式で駆動することができる。いずれにしても、個々の画素は、ある特定のタイミ
ングで順方向バイアスを印加して発光させることとなるが、ある一定期間は非発光状態と
なっている。この非発光時間に逆方向のバイアスを印加することで発光素子の信頼性を向
上させることができる。発光素子では、一定駆動条件下で発光強度が低下する劣化や、画
素内で非発光領域が拡大して見かけ上輝度が低下する劣化モードがあるが、順方向及び逆
方向にバイアスを印加する交流的な駆動を行うことで、劣化の進行を遅くすることができ
、発光装置の信頼性を向上させることができる。
【実施例1】
【0178】
実施例1として示す図12(A)は図1(A)の対向基板に乾燥材を設けた構成を有す
る本発明の発光装置を室温65度、湿度95%の条件で180時間保存した後の発光の様
子を撮影したものである。また、比較例として示した図12(B)は図12(A)とほぼ
同様の構成であるが、図1(A)における配線103が発光素子の上部電極107の下部
にまで達している構成となっている。
【0179】
マトリクス状に配列されている緑色のパターンが1画素を表し、これが劣化をするとその
輝度が減少し、最後には全く光らなくなり、緑色のマトリクス状のパターンは見ることが
出来なくなる。
【0180】
結果はここで、配線103が発光素子の上部電極107の下部にまで達している図12
(B)では周辺劣化が進行してしまっているが、本発明を適用した図12(A)では周辺
劣化が発生していない。このように本発明の有用性が認められる。
【0181】
なお、本実施例及び比較例では、基板及び対向基板としてガラス基板、下地絶縁膜とし
て酸素を含む窒化ケイ素膜、第1の有機絶縁膜及び第2の有機絶縁膜としてアクリル、配
線として下からTi、Al−Si、Tiの積層体、シール材としてエポキシ系の紫外線硬
化樹脂を用いた。
【0182】
また、写真は発光装置全体の写真を撮影したものではなく、基板端部を中心に本構成を
有する部分を抜き出し、拡大して撮影したものである。但し、実施例と比較例の撮影場所
は概略一致させてある。
【実施例2】
【0183】
実施例2として示す図13(A)〜(C)は図1(B)の対向基板に乾燥材を設けた構成
を有する本発明の発光装置を室温65度、湿度95%の条件で200時間保存した後の発
光の様子を撮影したものである。図13(A)〜(C)はそれぞれと配線bとの間に20
0μm、50μm、20μmの間隙を有しており、配線bは発光素子の上部電極の下部に
達している。比較例2である図13(D)は比較例1と同様の構成を有している。
【0184】
マトリクス状に配列されている緑色のパターンが1画素を表し、これが劣化をするとその
輝度が減少し、最後には全く光らなくなり、緑色のマトリクス状のパターンは見ることが
出来なくなる。
【0185】
結果は、このように配線aと配線bとの間に間隙を設けた図13(A)〜(C)の構成
では劣化による発光の消失は認められなかったが、比較例2は同条件で観察範囲の点灯画
素が全くなくなってしまうほど劣化が進行してしまっている。このように本発明の有用性
が認められる。なお、間隙は1μm以上好ましくは10μm以上さらに好ましくは20μ
m以上あることが望ましい。
【0186】
なお、本実施例及び比較例では、基板及び対向基板としてガラス基板、下地絶縁膜とし
て酸素を含む窒化ケイ素膜、第1の有機絶縁膜及び第2の有機絶縁膜としてアクリル、配
線として下からTi、Al−Si、Tiの積層体、シール材としてエポキシ系の紫外線硬
化樹脂を用いた。
【実施例3】
【0187】
実施例3として示す図14(A)、(B)は図3の対向基板に乾燥材を設けた構成を有す
る本発明の発光装置を室温65度、湿度95%の条件で84時間保存した後の発光の様子
を撮影したものである。図14(A)には配線幅5μmと20μmの配線が、(B)には
100μmの配線を観察することができる。
【0188】
マトリクス状に配列されている緑色のパターンが1画素を表し、これが劣化をするとその
輝度が減少し、最後には全く光らなくなり、緑色のマトリクス状のパターンは見ることが
出来なくなる。
比較例3として示した図14(C)〜(E)には配線幅1mm、5mm、10mmの配線
が形成されている。なお、配線幅5mm以上については写真の中におさまらないため、画
素のみの写真となっている。この結果より本発明の構成を有する実施例3の配線幅5μm
、20μm及び100μmの配線部分においては劣化が発生しておらず、比較例3の配線
幅1mm、5mm及び10mmの配線部分においては配線幅が増えるほど大きな劣化とな
っている。このように本発明の有用性が認められる。
【0189】
なお、本実施例及び比較例では、基板及び対向基板としてガラス基板、下地絶縁膜とし
て酸素を含む窒化ケイ素膜、第1の有機絶縁膜及び第2の有機絶縁膜としてアクリル、配
線として下からTi、Al−Si、Tiの積層体、シール材としてエポキシ系の紫外線硬
化樹脂を用いた。
【実施例4】
【0190】
実施例4として示す図15(A)〜(D)は図3(B)の対向基板に乾燥材を設けた構
成を有する本発明の発光装置を室温65度、湿度95%の条件で200時間保存した後の
発光の様子を撮影したものである。図15(A)〜(D)は幅30μmの配線をそれぞれ
20μm、15μm、10μm、5μmだけ間隔を設けて並べてある。
【0191】
マトリクス状に配列されている緑色のパターンが1画素を表し、これが劣化をするとそ
の輝度が減少し、最後には全く光らなくなり、緑色のマトリクス状のパターンは見ること
が出来なくなる。
【0192】
結果は、間隔が0μmである比較例は実施例2に示した比較例2に相当するが、比較例
2では同条件、同時間保存試験後、劣化が発生していたのに対し、図3(B)に記載の構
成を有する実施例4においては劣化が発生していない。この結果より本発明の有用性が認
められる。
【0193】
なお、本実施例及び比較例では、基板及び対向基板としてガラス基板、下地絶縁膜とし
て酸素を含む窒化ケイ素膜、第1の有機絶縁膜及び第2の有機絶縁膜としてアクリル、配
線として下からTi、Al−Si、Tiの積層体、シール材としてエポキシ系の紫外線硬
化樹脂を用いた。
【実施例5】
【0194】
実施例1として示す図16(A)は図1(B)の構成を写真上部、左部、下部に有し、
図4と類似の構成を写真右部に有する本発明の発光装置を室温65度、湿度95%の条件
で30時間保存した後の発光の様子を撮影したものである。なお、対向基板には乾燥材が
設けられている。
【0195】
図17に図16(A)のテスト用パネルの配線パターン、シールパターン、発光素子の
電極パターンなどを記載した模式図を示した。301が20μmの間隙に相当し、300
が短辺5μm程度の複数の開口部が短辺部分を隣り合わせに100μm程度間隔を開けて
並んでいる構造となっている。
【0196】
また、比較例5として示した図16(B)は上記のような対策を施していない発光装置
を同様の条件で同時間保存した後の写真である。マトリクス状に配列されている緑色のパ
ターンが1画素を表し、これが劣化をするとその輝度が減少し、最後には全く光らなくな
り、緑色のマトリクス状のパターンは見ることが出来なくなる。
【0197】
ここで、対策を施していない図16(B)でははなはだしく周辺劣化が進行してしまっ
ているがわかるが、本発明を適用した図16(A)では周辺劣化が発生していない。この
ように本発明の有用性が認められる。
【0198】
なお、本実施例及び比較例では、基板及び対向基板としてガラス基板、下地絶縁膜とし
て酸素を含む窒化ケイ素膜、第1の有機絶縁膜としてシロキサン、第2の有機絶縁膜とし
てポリイミド、配線として下からTi、Al−Si、Tiの積層体、シール材としてエポ
キシ系の紫外線硬化樹脂を用いた。
【0199】
また、写真は発光装置全体の写真を撮影したものではなく、基板端部を中心に本構成を
有する部分を抜き出し、拡大して撮影したものである。但し、実施例と比較例の撮影場所
は概略一致させてある。
【符号の説明】
【0200】
100 基板
101 下地絶縁膜
102 有機絶縁膜
103 配線
103a 配線
103b 配線
103c 配線
104 下部電極
105 有機絶縁膜
106 発光積層体
107 上部電極
108 シール材
109 対向基板
110a パッシベーション膜
110b パッシベーション膜
111 パッシベーション膜
112 下部電極
113 有機絶縁膜
114 パッシベーション膜
114a パッシベーション膜
114b パッシベーション膜
115 パッシベーション膜
116 凹部
117 乾燥材
126 P+領域
127 P−領域
142 発光積層体
144 シール材
153 配線
163 配線
200 基板
200 基板
201 下地絶縁層
202 下地絶縁層
203 半導体層
204 ゲート絶縁膜
205 導電膜
206 導電膜
207 導電層
208 導電層
209 導電層
210 導電層
211 P−領域
212 P+領域
213 絶縁膜(水素化膜)
214 層間絶縁層
216 ドレイン電極
217 配線
218 配線
220 下部電極
221 外部接続部
222 隔壁
223 発光積層体
224 上部電極
225 シール材
226 対向基板
226 対向基板
227 異方性導電膜
228 フレキシブルプリントサーキット(FPC)
2001 筐体
2003 表示部
2004 スピーカー部
2101 本体
2102 筐体
2103 表示部
2104 音声入力部
2105 音声出力部
2106 操作キー
2108 アンテナ
2201 本体
2202 筐体
2203 表示部
2204 キーボード
2205 外部接続ポート
2206 ポインティングマウス
2301 本体
2302 表示部
2303 スイッチ
2304 操作キー
2305 赤外線ポート
2401 筐体
2402 表示部
2403 スピーカー部
2404 操作キー
2405 記録媒体挿入部
4003 信号線駆動回路
4004 走査線駆動回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の基板と、
第1の無機系の膜を用いた第2の基板と、
前記第1の基板上に設けられ、且つ第1の電極、発光積層体、及び第2の無機系の膜を用いた第2の電極が順に積層された発光素子と、
前記第1の基板上に設けられ、且つ第3の無機系の膜を用いた配線と、
前記配線及び前記第2の基板に接して挟まれ、且つ前記配線及び前記第2の基板を固着する、有機系の膜を用いたシール材と、
前記配線及び前記シール材に接して挟まれる領域と、前記配線に接し且つ前記シール材及び前記第2の電極と接しない領域と、前記配線及び前記第2の電極に接して挟まれる領域と、を有する有機絶縁膜と、を有し、
前記配線は、前記シール材の外側から前記第2の電極の下側まで連続して設けられることを特徴とする発光装置。
【請求項2】
第1の基板と、
前記第1の基板上に設けられた第1の有機絶縁膜と、
第1の無機系の膜を用いた第2の基板と、
前記第1の有機絶縁膜上に設けられ、且つ第1の電極、発光積層体、及び第2の無機系の膜を用いた第2の電極が順に積層された発光素子と、
前記第1の有機絶縁膜上に設けられ、且つ第3の無機系の膜を用いた配線と、
前記配線及び前記第2の基板に接して挟まれ、且つ前記配線及び前記第2の基板を固着する、有機系の膜を用いたシール材と、
前記配線及び前記シール材に接して挟まれる領域と、前記配線に接し且つ前記シール材及び前記第2の電極と接しない領域と、前記配線及び前記第2の電極に接して挟まれる領域と、を有する第2の有機絶縁膜と、を有し、
前記配線は、前記シール材の外側から前記第2の電極の下側まで連続して設けられることを特徴とする発光装置。
【請求項3】
請求項2において、
前記第1の有機絶縁膜は、アクリル、ポリイミド、又はシロキサンを有することを特徴とする発光装置。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか一項において、
前記配線は、アルミニウム又は銅を有することを特徴とする発光装置。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか一項において、
前記第2の基板は、ガラス又は石英を有することを特徴とする発光装置。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれか一項において、
前記シール材は、樹脂を有することを特徴とする発光装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図17】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2011−228315(P2011−228315A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−177438(P2011−177438)
【出願日】平成23年8月15日(2011.8.15)
【分割の表示】特願2005−270770(P2005−270770)の分割
【原出願日】平成17年9月16日(2005.9.16)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】