発光装置
【課題】 明るく良好な画質の発光装置を提供する。
【解決手段】 絶縁体101上に反射面を含む電極102、有機EL層103および透明電極104からなるEL素子105が設けられており、透明電極104には異方導電体108を介して透明導電膜からなる補助電極107が接続されている。これにより透明電極104の実効的な抵抗値を下げることができ、有機EL層103に対して均一な電圧を加えることが可能となるため、表示ムラなどの表示不良を防ぐことができる。
【解決手段】 絶縁体101上に反射面を含む電極102、有機EL層103および透明電極104からなるEL素子105が設けられており、透明電極104には異方導電体108を介して透明導電膜からなる補助電極107が接続されている。これにより透明電極104の実効的な抵抗値を下げることができ、有機EL層103に対して均一な電圧を加えることが可能となるため、表示ムラなどの表示不良を防ぐことができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光性材料からなる薄膜を用いた発光装置に関する。また、その発光装置を表示部として用いた電気器具に関する。なお、有機ELディスプレイや有機発光ダイオード(OLED:Organic Light Emitting Diode)は本発明の発光装置に含まれる。
【0002】
また、本発明に用いることのできる発光性材料は、一重項励起もしくは三重項励起または両者の励起を経由して発光(燐光および/または蛍光)するすべての発光性材料を含む。
【背景技術】
【0003】
近年、EL(Electro Luminescence)が得られる発光性材料からなる薄膜(以下、EL膜という)を用いた発光素子(以下、EL素子という)の開発が進んでいる。EL素子を有する発光装置(以下、EL発光装置という)は、陽極と陰極との間にEL膜を挟んだ構造からなるEL素子を有し、陽極と陰極との間に電圧を加えることで発光を得る。特に、EL膜として有機膜を用いたものを有機EL膜という。
【0004】
陰極としては仕事関数の小さい金属(代表的には周期表の1族もしくは2族に属する金属)を用いることが多く、陽極としては可視光に対して透明な導電膜(以下、透明導電膜という)を用いることが多い。このような構造であるため、得られた発光は陽極を透過して視認される。
【0005】
最近では、TFT(薄膜トランジスタ)を用いて各画素に設けられたEL素子の発光を制御するアクティブマトリクス型EL発光装置の開発が進められており、試作品が発表されるに至った。ここでアクティブマトリクス型EL発光装置の構造を図9(A)、(B)に示す。
【0006】
図9(A)において、基板901上にはTFT902が形成され、TFT902には陽極903が接続されている。陽極903の上には有機EL膜904、陰極905が形成され、陽極903、有機EL膜904および陰極905からなるEL素子906が形成されている。
【0007】
このとき、有機EL膜904で生成された発光は陽極903を透過して図中の矢印の方向に向かって放射される。従って、TFT902は観測者から見て発光を遮る遮蔽物となってしまい、有効発光領域(観測者が発光を観測しうる領域)
を狭める要因となっていた。また、有効発光領域が狭い場合、明るい画像を得るには発光輝度を上げる必要があったが、発光輝度を上げることは有機EL膜の劣化を早める結果となってしまっていた。
【0008】
そこで、図9(B)に示すような構造のアクティブマトリクス型EL発光装置が提案されている。図9(B)において、基板901上にはTFT902が形成され、TFT902には陰極907が接続されている。陰極907の上には有機EL膜908、陽極909が形成され、陰極907、有機EL膜908および陽極909からなるEL素子910が形成されている。即ち、図9(A)に示したEL素子906とはちょうど逆向きの構造のEL素子となる。
【0009】
このとき、原理上はEL膜908で生成された発光が陽極909を透過して図中の矢印の方向に向かって放射される。従って、TFT901は観測者から見えない位置に設けられ、陰極903が設けられた領域すべてを有効発光領域とすることが可能である。
【0010】
しかしながら、図9(B)に示す構造は、陽極909に均一な電圧を印加できないという問題を潜在的に抱えている。陽極として一般的に用いられる透明導電膜は金属膜に比べて抵抗値が高いが、熱処理により抵抗値を下げられることが知られている。ところが有機EL膜は耐熱性が低いため、有機EL膜を成膜した後に150℃を超える熱処理を行うことはできない。
【0011】
従って、有機EL膜の上に陽極(透明導電膜)を積層する際には熱処理を行うことができず、抵抗値の低い陽極を形成することが困難である。即ち、陽極の端部と中心部とで印加される電圧が異なるといった問題が生じる可能性があり、この問題が画質不良を起こす要因となることが懸念される。
【0012】
以上のように、有機EL膜を成膜した後に透明導電膜を用いる構造を含む発光装置では、透明導電膜の低抵抗化が困難という問題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであり、明るく画質の良好な発光装置を提供することを課題とする。また、そのような発光装置を表示部として用いた画質の良い電気器具を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は有機EL膜を成膜した後で設けられた透明電極に対して並列に補助的な電極を接続することにより実質的に透明電極の低抵抗化を図る点に特徴がある。ここで本発明について図1を用いて説明する。
【0015】
図1において、101は絶縁体、102は反射面を含む電極、103は有機EL層、104は可視光に対して透明もしくは半透明な電極(以下、透明電極という)であり、絶縁体101上には反射面を含む電極102、有機EL層103および透明電極104からなるEL素子105が形成されている。
【0016】
なお、可視光に対して透明とは可視光を80〜100%の透過率で透過することをいい、可視光に対して半透明とは可視光を50〜80%の透過率で透過することをいう。勿論、膜厚によって透過率は異なるが、膜厚は上記範囲内に収まるように適宜設計すれば良い。
【0017】
ここで絶縁体101は絶縁基板もしくは表面に絶縁膜を設けた基板であり、EL素子を支持できるものであれば良い。
【0018】
また、反射面を含む電極102とは、金属電極または金属電極および透明電極の積層された電極を指す。即ち、電極の表面、裏面もしくは電極内部の界面に可視光を反射しうる面(反射面)を含む電極を指す。
【0019】
また、有機EL層103は、有機EL膜または有機EL膜と有機材料との積層膜を用いることができる。即ち、有機EL膜を発光層として単層で設けても良いし、有機EL膜を発光層とし有機材料を電荷注入層もしくは電荷輸送層として積層して設けても良い。なお、無機材料の中には電荷注入層もしくは電荷輸送層として用いることのできる材料もあり、そのような無機材料を電荷注入層もしくは電荷輸送層として用いることも可能である。
【0020】
また、透明電極104としては、透明導電膜からなる電極もしくは膜厚が5〜70nm(代表的には10〜50nm)の金属膜(以下、半透明な金属膜という)からなる電極を用いることができる。透明導電膜としては、酸化物導電膜(代表的には酸化インジウム膜、酸化スズ膜、酸化亜鉛膜、酸化インジウムと酸化スズとの化合物膜もしくは酸化インジウムと酸化亜鉛との化合物膜)または酸化物導電膜に酸化ガリウムを添加したものを用いることができる。また、透明電極104として透明導電膜を用いる場合、10〜200nm(好ましくは50〜100nm)とすることで80〜95%の可視光を透過することができる。
【0021】
以上の構造からなるEL素子105の上には、封止体106、封止体106の表面に設けられた補助電極107が設けられ、補助電極107は導電体108を介して透明電極104と電気的に接続されている。なお、導電体108は透明電極104上に点在して設けられるが、なるべく透明電極上の全面に分散させて設けることが好ましい。
【0022】
ここで封止体106は可視光に対して透明な基板もしくはフィルムであり、ガラス基板、石英基板、結晶化ガラス基板、プラスチック基板もしくはプラスチックフィルムを用いることができる。但し、プラスチック基板もしくはプラスチックフィルムを用いる場合、表面もしくは裏面に酸素および水の透過を防止する保護膜(好ましくは炭素膜、具体的にはダイヤモンドライクカーボン膜)を設けておくことが望ましい。
【0023】
また、補助電極107は透明電極104の抵抗値を下げる目的で補助的に設けられた電極であり、透明電極104と同様に透明導電膜からなる電極もしくは膜厚が半透明な金属膜からなる電極を用いることができる。また、補助電極107の膜厚を透明電極104と同様に10〜200nm(好ましくは50〜100nm)とすることで80〜95%の可視光を透過することができる。
【0024】
また、導電体108は異方導電性膜等と呼ばれる導電膜を用いて形成することができる。従って、異方導電膜と呼ぶこともできる。異方導電性膜とは導電粒子(代表的には金属粒子もしくはカーボン粒子)を均一に分散させた樹脂膜である。本発明では、異方導電性膜108をフォトリソグラフィによりパターン化して選択的に設けるか、インクジェット法もしくは印刷法により選択的に設けることが好ましい。なぜならば異方導電性膜は可視光に対する透過率が低いため、透明電極104の全面に設けてしまうと有機EL層103から発した光が吸収されてしまうからである。
【0025】
以上のような構造を含む本発明の発光装置では、補助電極107が透明導電膜からなる透明電極104に並列に接続された電極として機能する。また、このとき補助電極107は封止体106側に形成されるため、従来例で説明したような有機EL膜の耐熱性の制約を受けずに抵抗値を低くすることができる。従って、本発明を実施することにより透明電極104に均一な電圧を加えることが可能となり、画質の良い画像を得ることが可能である。
【発明の効果】
【0026】
本発明では、有機EL膜を成膜した後で形成される透明導電膜からなる電極に対して、封止体側に設けられた透明導電膜からなる電極を異方導電性膜を用いて電気的に接続する点に特徴がある。これにより有機EL膜を成膜した後で形成される透明導電膜の抵抗値を実質的に下げることができ、均一な電圧の印加を可能とすることができる。
【0027】
また、本発明では陰極を透明もしくは半透明とし、且つ、EL素子の下に反射電極を設けることにより陰極側に光を取り出す構造とした発光装置と組み合わせることで、画素の有効発光面積が大幅に向上した明るく画質の良好な発光装置を得ることができる。また、本発明の発光装置を表示部として用いた良好な画質の電気器器具を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】発光装置の断面構造を示す図。
【図2】発光装置の断面構造を示す図。
【図3】発光装置の作製工程を示す図。
【図4】発光装置の作製工程を示す図。
【図5】発光装置の画素の上面構造及び回路構成を示す図。
【図6】保持容量の断面構造を示す図。
【図7】発光装置の断面構造を示す図。
【図8】発光装置の上面構造を示す図。
【図9】従来の発光装置の断面構造を示す図。
【図10】電気器具の具体例を示す図。
【図11】電気器具の具体例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明の実施の形態について図2を用いて説明する。図2において、201は素子を形成する側の基板である。本発明では基板201として如何なる材料を用いても良く、ガラス(石英ガラスを含む)、結晶化ガラス、単結晶シリコン、セラミックス、金属もしくはプラスチックを用いることが可能である。
【0030】
基板201上には画素202が形成され、画素202はスイッチングTFT203及び電流制御TFT204を含む構造となっている。なお、図2には三つの画素が示されており、各々赤、緑もしくは青に発光する画素が形成されている。
スイッチングTFT203はビデオ信号を画素に取り込むためのスイッチとして機能し、電流制御TFT204はEL素子に流れる電流を制御するためのスイッチとして機能する。このとき、スイッチングTFT203のドレインは電流制御TFT204のゲートに電気的に接続されている。
【0031】
スイッチングTFT203及び電流制御TFT204の構造に限定はなく、トップゲート型(代表的にはプレーナ型)もしくはボトムゲート型(代表的には逆スタガ型)を用いれば良い。また、どちらのTFTもnチャネル型TFTもしくはpチャネル型を用いれば良い。
【0032】
また、スイッチングTFT203及び電流制御TFT204は層間絶縁膜205に覆われ、その上には導電体プラグ206を介して金属膜からなる画素電極207と電流制御TFT204のドレインとが電気的に接続されている。また、画素電極207には第1の透明電極208が10〜200nm(好ましくは50〜100nm)の膜厚で積層されている。ここでは画素電極207と第1の透明電極208とで陽極230を形成している。
【0033】
なお、本実施の形態では電流制御TFT204のドレインと画素電極207とが接続されるコンタクトホールを導電体で埋め込む構造としている。このコンタクトホールを埋め込むように設けられた導電体を導電体プラグと呼ぶ。導電体プラグ206は異方導電性膜をエッチングして形成すれば良い。勿論、画素電極207を直接電流制御TFT204のドレインと接続させても良い。
【0034】
ところで、上記コンタクトホールに起因する凹部では有機EL層のカバレッジが悪く、陰極と陽極のショート(短絡)を招く恐れがあるため好ましいものではない。本実施の形態では導電体プラグ206を用いることで画素電極207にコンタクトホールに起因する凹部が形成されないようにできるため、陰極と陽極のショートを防ぐことができる。
【0035】
また、画素電極207は反射率の高い金属膜を用いることが好ましく、アルミニウム膜(アルミニウム合金膜や添加物を含むアルミニウム膜を含む)もしくは銀薄膜を用いると良い。金属膜にアルミニウムメッキもしくは銀メッキを施した膜を用いても良い。
【0036】
次に、209は陽極230の間に設けた絶縁膜(以下、バンクという)であり、陽極230の端部に形成される段差を覆うように形成される。本実施の形態ではバンク209を設けることで電界集中を起こしやすい陽極230の端部から有機EL層を遠ざけ、電界集中による有機EL層の劣化を防ぐ構造となっている。
なお、バンク209としては樹脂膜を用いても珪素を含む絶縁膜(代表的には酸化珪素膜)を用いても良い。
【0037】
次に、210は赤色に発光する有機EL層、211は緑色に発光する有機EL層、212は青色に発光する有機EL層である。有機EL層210〜212の層構造は公知の技術を参考にすれば良い。
【0038】
また、有機EL層210〜212を覆うようにして設けられた第2の透明電極213は有機EL層に電子を注入するための電極である。この第2の透明電極213の仕事関数は2.5〜3.5eVであることが好ましく、周期表の1族もしくは2族に属する元素を含む金属膜を用いると良い。ここではアルミニウムとリチウムとを共蒸着した合金膜(以下、Al−Li膜という)を用いる。また、Al−Li膜は金属膜であるため、膜厚を10〜70nm(代表的には20〜50nm)とすることで透明電極とすることができる。
【0039】
さらに、その上には100〜300nm(好ましくは150〜200nm)の透明導電膜からなる第3の透明電極214が設けられている。第3の透明電極214は第2の透明電極213に電圧を加えるための役割を果たす電極である。ここでは第2の透明電極213と第3の透明電極214とで陰極231を形成している。
【0040】
また、基板201(ここでは基板201に設けられた薄膜も含めて基板と呼んでいる)に対向させて設けられた封止体215には膜厚が10〜200nm(好ましくは50〜100nm)の透明導電膜からなる補助電極(第4の透明電極)
216が形成されており、第3の透明電極214および補助電極216は異方導電性膜(金属粒子もしくはカーボン粒子を分散させた樹脂膜)からなる導電体217を介して電気的に接続されている。
【0041】
導電体217は、第3の透明電極214の上に部分的に設けることが好ましい。即ち、異方導電性膜は黒色もしくは灰色であるため、少なくとも画素の発光領域に重ならないように設けることが望ましい。もちろん、画素間に設けることで積極的にブラックマトリクスとして用い、画素ごとの光の指向性を高めることも可能である。
【0042】
なお、基板201および封止体215は基板201の外縁に設けられたシール材(図示せず)により貼り合わせられている。また、基板201および封止体215を貼り合わせる際、基板201と封止体215の間隔を決めるためのスペーサ(好ましくは1〜3μm)を設けても良い。特に、このスペーサを導電体217で兼ねることは有効である。
【0043】
また、基板201と封止体(対向基板)215との間に形成された空間218には窒素ガスもしくは希ガスを封入しておくことが好ましい。また、この空間218には吸湿性をもつ物質や脱酸素性をもつ物質を設けておくことが望ましい。
【0044】
ここで領域219の詳細な構造を図2(B)に示す。図2(B)では陽極230、有機EL層212および陰極231がEL素子220を形成している。図2(A)に示した発光装置において最も特徴的な点は陰極231を透過して発光が観測される点にある。
【0045】
EL素子220で生成された光のうち陽極230側へ向かった光は反射率の高い表面を有する画素電極207により反射され、陰極231側へ向かう。即ち、画素電極207は陽極230に電流を供給する(電子を引き抜く)電極であると同時に反射電極としての機能をも有する。
【0046】
なお、第2の透明電極213は膜厚が非常に薄いため抵抗値が高い。そのため第3の透明電極214を積層して低抵抗化を図っている。しかしながら、第3の透明電極214として用いる透明導電膜は有機EL層212を成膜した後で形成することになるため、抵抗値を低くすることが困難である。そこで本実施の形態では透明導電膜からなる第3の透明電極214に並列に、透明導電膜からなる補助電極216を接続することにより第3の透明電極214の実質的な低抵抗化を図っている。
【0047】
以上のような構造の発光装置は、画素202全体が有効発光領域となるため非常に明るい画像を得ることが可能である。また、本発明を実施することにより陰極231全体に均一な電圧を加えることができるため、画質の良い画像を得ることが可能である。
【実施例1】
【0048】
本実施例では図2に示した発光装置の作製工程について図3〜5を用いて説明する。なお、図3、4に示したのは画素部における作製工程を示す断面図である。また、本実施例によって作製される画素の上面図(但し陽極を形成した時点での上面図)を図5(A)に、最終的な画素の回路図を図5(B)に示す。なお、図5に用いた符号は図3、4で用いた符号に対応している。
【0049】
まず、図3(A)に示すように、基板としてガラス基板301を用意し、その上に酸化珪素膜からなる下地膜302を200nmの厚さに形成する。下地膜302の形成は減圧熱CVD法、プラズマCVD法、スパッタ法もしくは蒸着法を用いれば良い。
【0050】
次に、下地膜302の上に結晶質珪素膜303を50nmの厚さに形成する。
結晶質珪素膜303の形成方法としては公知の手段を用いることが可能である。
固体レーザーもしくはエキシマレーザーを用いて非晶質珪素膜をレーザー結晶化させても良いし、非晶質珪素膜を加熱処理(ファーネスアニール)により結晶化させても良い。本実施例ではXeClガスを用いたエキシマレーザーを照射することにより結晶化させる。
【0051】
次に、図3(B)に示すように、結晶質珪素膜303をパターニングして島状の結晶質珪素膜304、305を形成する。そして島状の結晶質珪素膜304、305を覆って酸化珪素膜からなるゲート絶縁膜306を80nmの厚さに形成する。さらに、ゲート絶縁膜306の上にゲート電極307、308を形成する。なお、ゲート電極307は図面では二つに見えるが実際には二股に分かれた同一の電極である。
【0052】
また、本実施例ではゲート電極307、308の材料として、350nm厚のタングステン膜もしくはタングステン合金膜を用いる。勿論、ゲート電極の材料としては他の公知の材料を用いることができる。さらに、本実施例ではこのとき同時に接続配線309も形成する。接続配線309は後に電流制御TFTのソースと電流供給線とを電気的に接続するための配線である。
【0053】
次に、図3(C)に示すように、ゲート電極307、308をマスクとして周期表の13族に属する元素(代表的にはボロン)を添加する。添加方法は公知の手段を用いれば良い。こうしてp型の導電型を示す不純物領域(以下、p型不純物領域という)310〜314が形成される。また、ゲート電極の直下にはチャネル形成領域315a、315b、316が画定する。なお、p型不純物領域310〜314はTFTのソース領域もしくはドレイン領域となる。
【0054】
次に、加熱処理を行って添加された周期表の13族に属する元素の活性化を行う。この活性化工程まで行った島状の結晶質珪素膜からなるパターンを活性層と呼ぶ。なお、この活性化はファーネスアニール、レーザーアニールもしくはランプアニールにより行うか、又はそれらを組み合わせて行えば良い。本実施例では500℃4時間の加熱処理を窒素雰囲気で行う。
【0055】
但し、この活性化工程では処理雰囲気中の酸素濃度を1ppm以下(好ましくは0.1ppm以下)にすることが望ましい。酸素濃度が高いとゲート電極307、308、接続配線309の表面が酸化されてしまい、後に形成するゲート配線や電流供給線との電気的接触が難しくなってしまうからである。
【0056】
なお、活性化が終了したら、水素化処理を行うと効果的である。水素化処理は公知の水素アニール技術もしくはプラズマ水素化技術を用いれば良い。
【0057】
次に、図3(D)に示すように、接続配線309に接するようにして電流供給線317を形成する。このような構造(上面図は図5(A)の501で示される領域に示す)とすることで接続配線309と電流供給線317が電気的に接続される。なお、図示していないが、このときゲート配線(図5(A)の502で示される配線)も同時に形成され、ゲート電極307と電気的に接続される。この上面図は図5(A)の503で示される領域に示す。
【0058】
この503で示される領域において、ゲート配線502が凸部を有しているのはゲート電極307を乗り越えない部分を確保しておくための冗長設計である。
こうすることでゲート配線502がゲート電極307を乗り越える部分で断線したとしてもゲート配線502がそこで電気的に断線してしまうことを避けることができる。また、ゲート電極307をコの字型に加工しているのも、確実に両方のゲート電極に電圧が印加されるようにするための冗長設計である。
【0059】
この電流供給線317及びゲート配線502は接続配線309やゲート電極307よりも低抵抗な金属膜で形成される。好ましくはアルミニウム、銅もしくは銀を含む金属膜を用いると良い。即ち、微細なパターン精度を要求されるゲート電極には加工性の高い金属膜を用い、抵抗率の低さを要求されるバスライン(本実施例ではゲート配線や電流供給線)には低抵抗な金属膜を用いる。
【0060】
ゲート配線502及び電流供給線317を形成したら、酸化珪素膜からなる第1層間絶縁膜318を800nmの厚さに形成する。形成方法としてはプラズマCVD法を用いれば良い。第1層間絶縁膜318としては他の無機絶縁膜を用いても良いし、樹脂(有機絶縁膜)を用いても良い。
【0061】
次に、図3(E)に示すように、第1層間絶縁膜318にコンタクトホールを形成して配線319〜322を形成する。本実施例では配線319〜322としてチタン/アルミニウム/チタンの三層構造からなる金属配線を用いる。勿論、導電膜であれば如何なる材料を用いても良い。配線319〜322はTFTのソース配線もしくはドレイン配線となる。
【0062】
また、電流制御TFTのドレイン配線322は接続配線309と電気的に接続される。その結果、電流制御TFT402のドレインと電流供給線317とが電気的に接続される。
【0063】
この状態でスイッチングTFT401及び電流制御TFT402が完成する。
本実施例ではどちらのTFTもpチャネル型TFTで形成されるが、両方もしくはいずれか一方をnチャネル型TFTとしても良い。
【0064】
また、スイッチングTFT401はゲート電極が活性層を二カ所で横切るように形成されており、二つのチャネル形成領域が直列に接続された構造となっている。このような構造とすることでオフ電流値(TFTがオフされた時に流れる電流)を効果的に抑制することができる。
【0065】
また、画素内では図5(A)に示すように保持容量504が形成される。保持容量504の断面図(図5(A)をB−B’で切断した断面図)を図6に示す。
保持容量504は電流制御TFT402のドレインに電気的に接続された半導体層505、ゲート絶縁膜306及び容量配線506で形成される。即ち、半導体層505と容量配線506はゲート絶縁膜306により絶縁され、コンデンサ(保持容量)を形成している。
【0066】
容量配線506はゲート配線502や電流供給線317と同時に形成され、ゲート電極308と接続配線507とを電気的に接続する配線も兼ねる。なお、接続配線507はスイッチングTFT401のドレイン配線(ソース配線として機能する場合もある)320に電気的に接続されている。
【0067】
本実施例に示す保持容量の利点は、容量配線506が活性層を形成した後に形成される点である。即ち、本実施例の場合、半導体層505がp型不純物領域となっているため、そのまま電極として用いることが可能である。
【0068】
配線319〜322を形成したら、窒化珪素膜もしくは窒化酸化珪素膜からなるパッシベーション膜323を200nmの厚さに形成する。このパッシベーション膜323を形成する前もしくは後に水素化処理を行うことでTFTの電気特性を向上させることができる。
【0069】
次に、図4(A)に示すように、第2層間絶縁膜324としてアクリル樹脂を1μmの厚さに形成し、コンタクトホール325を開けた後、異方導電性膜326を形成する。本実施例では異方導電性膜326として銀粒子を分散させたアクリル樹脂を用いる。また、異方導電性膜326はコンタクトホール325を平坦化することができる程度に十分な厚さで形成することが望ましい。本実施例では、1.5μmの厚さでスピンコーティング法により形成する。
【0070】
次に、異方導電性膜326を、酸素ガスを用いたプラズマによりエッチングする。このプロセスは第2層間絶縁膜324が露呈するまで続けられる。エッチングが終了すると、図3(B)に示すような形状で導電体プラグ327が形成されることになる。なお、第2層間絶縁膜324が露呈した時、導電体プラグ327は第2層間絶縁膜324とのエッチングレートの差により段差を生じる場合があるが、段差が100nm以下(好ましくは50nm以下)であれば特に問題とはならない。
【0071】
導電体プラグ327を形成したら、スカンジウムもしくはチタンを添加したアルミニウム膜及びITO膜(酸化インジウムと酸化スズとの化合物膜)を積層し、エッチングしてスカンジウムもしくはチタンを添加したアルミニウム膜からなる画素電極328及びITO膜からなる第1の透明電極329を形成する。本実施例では画素電極328と第1の透明電極329とで陽極340が形成される。
【0072】
本実施例では、アルミニウム膜の膜厚は200nmとし、ITO膜の膜厚は100nmとする。また、ITO膜はITO−04N(関東化学株式会社のITO膜用エッチング溶液の商品名)でエッチング可能であり、アルミニウム膜は四塩化炭素(SiCl4)と塩素(Cl2)を混合したガスを用いたドライエッチング法によりエッチング可能である。
【0073】
こうして得られた図4(B)の断面構造は、図5(A)においてA−A’で切断した断面構造に相当する。
【0074】
次に、図4(C)に示すように、バンクとして絶縁膜330を形成する。本実施例ではアクリル樹脂を用いてバンク330を形成するが、酸化珪素膜を用いて形成することも可能である。バンク330を形成したら第1の透明電極329に対して酸素雰囲気中で紫外光を照射し、第1の透明電極329の表面処理を行う。これは第1の透明電極329の仕事関数を大きくする作用があり、さらに表面汚染を除去する作用もある。
【0075】
そして、有機EL膜331、332を各々50nmの厚さに形成する。なお、有機EL膜331は青色に発光する有機EL膜であり、有機EL膜332は赤色に発光する有機EL膜である。なお、図示しないが同時に緑色に発光する有機EL膜も形成する。本実施例では、シャドーマスクを用いた蒸着法により画素ごとに有機EL膜を作り分ける。勿論、印刷法やインクジェット法を用いて作り分けることも可能である。
【0076】
また、本実施例では有機EL膜331、332を単層で用いる例を示しているが、正孔注入層としてCuPc(銅フタロシアニン)を用いた積層構造とすることも有効である。この場合、まず全面に銅フタロシアニン膜を形成し、その後、赤色、緑色及び青色に対応する画素ごとに各々赤色に発光する有機EL膜、緑色に発光する有機EL膜及び青色に発光する有機EL膜を形成する。
【0077】
なお、緑色の有機EL膜を形成する時は、有機EL膜の母体材料としてAlq3(トリス−8−キノリノラトアルミニウム錯体)を用い、キナクリドンもしくはクマリン6をドーパントとして添加する。また、赤色の有機EL膜を形成する時は、有機EL膜の母体材料としてAlq3を用い、DCJT、DCM1もしくはDCM2をドーパントとして添加する。また、青色の有機EL膜を形成する時は、発光層の有機EL膜としてBAlq3(2−メチル−8−キノリノールとフェノール誘導体の混合配位子を持つ5配位の錯体)を用い、ペリレンをドーパントとして添加する。
【0078】
勿論、本発明では上記有機EL膜に限定する必要はなく、公知の低分子系有機EL膜、高分子系有機EL膜を用いることが可能である。高分子系有機EL膜を用いる場合は塗布法(スピンコート法、インクジェット法もしくは印刷法)を用いることもできる。
【0079】
以上のようにして有機EL膜331、332を形成したら、第2の透明電極333として20nmの厚さのMgAg膜(マグネシウム(Mg)に1〜10%の銀(Ag)を添加した金属膜)を形成し、さらに第3の透明電極334として250nmの厚さのITO膜を形成する。本実施例では第2の透明電極333および第3の透明電極334で陰極341が形成される。
【0080】
こうして陽極340、有機EL膜331(もしくは有機EL膜332)及び陰極341からなるEL素子400が形成される。本実施例ではこのEL素子が発光素子として機能する。
【0081】
次に、図4(D)に示すように、封止体335上に透明導電膜からなる補助電極336を250nmの厚さに設け、さらに、異方導電性膜からなる導電体337を第3の透明電極334上に設ける。そして、シール材(図示せず)を用いて基板301と封止体335とを貼り合わせる。
【0082】
なお、貼り合わせ工程はアルゴン雰囲気中で行う。その結果、空間338にはアルゴンが封入される。勿論、封入するガスは不活性ガスであれば良く、窒素ガスもしくは希ガスを用いれば良い。また、空間338には酸素もしくは水を吸着する物質を設けることが好ましい。また、空間にするのではなく、樹脂を充填させることも可能である。
【0083】
以上に示した作製工程によって、画素内にスイッチングTFT(本実施例ではpチャネル型TFT)401及び電流制御TFT(本実施例ではpチャネル型TFT)402が形成される。本実施例では全てのTFTをpチャネル型TFTとするため、作製工程が非常に簡便である。
【0084】
また、第2層間絶縁膜324により段差の平坦化を行い、さらに電流制御TFT402のドレイン配線321と画素電極328とを、コンタクトホール325に埋め込まれた導電体プラグ327を用いて電気的に接続しているため、陽極340の平坦性が高い。従って、有機EL膜332の膜厚の均一性を高めることができるので画素の発光を均一なものとすることができる。
【実施例2】
【0085】
本実施例では、図2に示したEL発光装置とは異なる構造の画素を有したEL発光装置について図7を用いて説明する。なお、本実施例は図2の構造に多少の変更を加えるだけで作製可能であり、図2と異なる点に注目して説明する。従って、図2と同一の符号が付されている部分の説明は「発明の実施の形態」を参照すれば良い。
【0086】
本実施例では層間絶縁膜205にコンタクトホールを形成したら、その状態で画素電極701及び第1の透明電極702を形成し、コンタクトホールによる凹部を埋めるように絶縁膜703を形成する。本実施例ではこの絶縁膜703を埋め込み絶縁膜と呼ぶ。埋め込み絶縁膜703はバンク209と同時に形成することができるため、特に工程を増加させることはない。
【0087】
この埋め込み絶縁膜703は、図2の導電体プラグ206と同様にコンタクトホールによる凹部に起因する陰極と陽極のショートを防止するためのものである。このとき、埋め込み絶縁膜703の上面と第2の透明電極702の上面との間の高さは100〜300nmとすることが好ましい。この高さが300nmを超えるとその段差が陰極と陽極のショートを生じさせる原因となる場合がある。また、100nm以下になると同時形成のバンク209の作用(画素電極のエッジ部における電界集中の影響を抑制する作用)が低下してしまう恐れがある。
【0088】
本実施例では、第2の透明電極702を形成した後、スピンコーティング法によりアクリル樹脂を500nmの厚さに形成し、酸素ガスをプラズマ化してアクリルの膜厚(但しコンタクトホール外での膜厚)が200nmとなるまでエッチングする。こうして膜厚を薄くした後にパターニングしてバンク209及び埋め込み絶縁膜703を形成する。
【0089】
ここで本実施例の画素の上面構造を図8に示す。図8において、A−A’で切断した断面図が図7に相当する。なお、図8に封止体215、導電体217は図示していない。また、基本的な画素構造は図5と同一であるので詳細な説明は省略する。
【0090】
図8において、バンク209は画素電極701、陽極702の端部の段差を隠すように形成され、埋め込み絶縁膜703はバンク209の一部が突出して形成されている。この突出した絶縁膜が画素電極701のコンタクトホールによる凹部を埋め込む構造となっている。
【0091】
なお、本実施例のEL発光装置は、実施例1の作製方法に上記埋め込み絶縁膜の形成方法を組み合わせることで容易に作製することができる。
【実施例3】
【0092】
発明の実施の形態および実施例1に示したEL発光装置では、画素部の構造しか示していないが、画素部を駆動するための駆動回路を同一基板上に一体形成しても良い。その際、駆動回路をnMOS回路、pMOS回路もしくはCMOS回路で形成することが可能である。勿論、画素部のみをTFTで形成し、外付けの駆動回路、典型的にはICチップを含む駆動回路(TCPやCOGなど)を用いても良い。
【0093】
また、実施例1では画素部をpチャネル型TFTだけで形成して作製工程を削減しているが、この場合はpMOS回路で駆動回路を形成し、pMOSで作製できない駆動回路としてICチップを含む駆動回路を用いることもできる。
【0094】
なお、本実施例の構成は実施例1または実施例2の構成と自由に組み合わせて実施することが可能である。
【実施例4】
【0095】
本実施例では、画素部に形成するスイッチングTFT及び電流制御TFTの活性層として非晶質珪素膜(アモルファスシリコン膜)を用いる例を示す。非晶質珪素膜を用いたTFTとしては逆スタガ型TFTが知られているが、本実施例では逆スタガ型TFTを用いることもできる。
【0096】
非晶質珪素膜を用いてTFTは作製工程が簡便である一方、素子サイズが大きくなってしまうという欠点もあったが、本発明のEL発光装置ではTFTのサイズが画素の有効発光面積に影響しない。従って、非晶質珪素膜を活性層として用いることでより安価なEL発光装置を作製することができる。
【0097】
なお、本実施例の構成は実施例1〜実施例3のいずれの構成とも自由に組み合わせて実施することが可能である。ただし、実施例3と組み合わせる場合、非晶質珪素膜を用いたTFTで動作速度の速い駆動回路を作製することが困難であるため、ICチップを含む駆動回路を外付けすることが望ましい。
【実施例5】
【0098】
実施例1〜実施例4では、アクティブマトリクス型EL発光装置について説明してきたが、本発明はパッシブマトリクス型EL発光装置のEL素子に対して実施することも可能である。
【0099】
なお、本実施例の構成は実施例1〜実施例3のいずれの構成とも自由に組み合わせて実施することが可能である。ただし、実施例3と組み合わせる場合はICチップを含む駆動回路を外付けすることになる。
【実施例6】
【0100】
本発明を実施して形成した発光装置は様々な電気器具の表示部として用いることができる。なお、発光装置を筐体に組み込んだディスプレイには、パソコン用ディスプレイ、TV放送受信用ディスプレイ、広告表示用ディスプレイ等の全ての情報表示用ディスプレイが含まれる。
【0101】
また、その他の本発明の電気器具としては、ビデオカメラ、デジタルカメラ、ゴーグル型ディスプレイ(ヘッドマウントディスプレイ)、ナビゲーションシステム、音楽再生装置(カーオーディオ、オーディオコンポ等)、ノート型パーソナルコンピュータ、ゲーム機器、携帯情報端末(モバイルコンピュータ、携帯電話、携帯型ゲーム機または電子書籍等)、画像再生装置(記録媒体に記録された画像を再生し、その画像を表示する表示部を備えた装置)が挙げられる。それらの具体例を図10、図11に示す。
【0102】
図10(A)はELディスプレイであり、筐体2001、支持台2002、表示部2003を含む。本発明の発光装置は表示部2003に用いることができる。ELディスプレイは自発光型であるためバックライトが必要なく、液晶ディスプレイよりも薄い表示部とすることができる。
【0103】
図10(B)はビデオカメラであり、本体2101、表示部2102、音声入力部2103、操作スイッチ2104、バッテリー2105、受像部2106を含む。本発明の発光装置は表示部2102に用いることができる。
【0104】
図10(C)はデジタルカメラであり、本体2201、表示部2202、接眼部部2203、操作スイッチ2204を含む。本発明の発光装置は表示部2202に用いることができる。
【0105】
図10(D)は記録媒体を備えた画像再生装置(具体的にはDVD再生装置)
であり、本体2301、記録媒体(CD、LDまたはDVD等)2302、操作スイッチ2303、表示部(a)2304、表示部(b)2305を含む。表示部(a)は主として画像情報を表示し、表示部(b)は主として文字情報を表示するが、本発明の発光装置はこれら表示部(a)、(b)に用いることができる。なお、記録媒体を備えた画像再生装置には、CD再生装置、ゲーム機器なども含まれうる。
【0106】
図10(E)は携帯型(モバイル)コンピュータであり、本体2401、表示部2402、受像部2403、操作スイッチ2404、メモリスロット2405を含む。本発明の電気光学装置は表示部2402に用いることができる。この携帯型コンピュータはフラッシュメモリや不揮発性メモリを集積化した記録媒体に情報を記録したり、それを再生したりすることができる。
【0107】
図10(F)はパーソナルコンピュータであり、本体2501、筐体2502、表示部2503、キーボード2504を含む。本発明の発光装置は表示部2503に用いることができる。
【0108】
なお、将来的にEL材料の発光輝度が高くなれば、出力した画像情報を含む光をレンズ等で拡大投影してフロント型若しくはリア型のプロジェクターに用いることも可能となる。
【0109】
また、上記電子装置はインターネットやCATV(ケーブルテレビ)などの電子通信回線を通じて配信された情報を表示することが多くなり、特に動画情報を表示する機会が増してきている。EL材料の応答速度は非常に高いため、そのような動画表示を行うに適している。
【0110】
また、発光装置は発光している部分が電力を消費するため、発光部分が極力少なくなるように情報を表示することが望ましい。従って、携帯情報端末、特に携帯電話やカーオーディオのような文字情報を主とする表示部に発光装置を用いる場合には、非発光部分を背景として文字情報を発光部分で形成するように駆動することが望ましい。
【0111】
ここで図11(A)は携帯電話であり、本体2601、音声出力部2602、音声入力部2603、表示部2604、操作スイッチ2605、アンテナ2606を含む。本発明の発光装置は表示部2604に用いることができる。なお、表示部2604は黒色の背景に白色の文字を表示することで携帯電話の消費電力を抑えることができる。
【0112】
また、図11(B)はカーオーディオであり、本体2701、表示部2702、操作スイッチ2703、2704を含む。本発明の発光装置は表示部2702に用いることができる。また、本実施例では車載用カーオーディオを示すが、据え置き型のカーオーディオに用いても良い。なお、表示部2704は黒色の背景に白色の文字を表示することで消費電力を抑えられる。
【0113】
さらに、光センサを内蔵させ、使用環境の明るさを検知する手段を設けることで使用環境の明るさに応じて発光輝度を変調させるような機能を持たせることは有効である。使用者は使用環境の明るさに比べてコントラスト比で100〜150の明るさを確保できれば問題なく画像もしくは文字情報を認識できる。即ち、使用環境が明るい場合は画像の輝度を上げて見やすくし、使用環境が暗い場合は画像の輝度を抑えて消費電力を抑えるといったことが可能である。
【0114】
以上の様に、本発明の適用範囲は極めて広く、あらゆる分野の電気器具に用いることが可能である。また、本実施例の電気器具は実施例1〜5に示したいずれの構成の発光装置を用いても良い。
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光性材料からなる薄膜を用いた発光装置に関する。また、その発光装置を表示部として用いた電気器具に関する。なお、有機ELディスプレイや有機発光ダイオード(OLED:Organic Light Emitting Diode)は本発明の発光装置に含まれる。
【0002】
また、本発明に用いることのできる発光性材料は、一重項励起もしくは三重項励起または両者の励起を経由して発光(燐光および/または蛍光)するすべての発光性材料を含む。
【背景技術】
【0003】
近年、EL(Electro Luminescence)が得られる発光性材料からなる薄膜(以下、EL膜という)を用いた発光素子(以下、EL素子という)の開発が進んでいる。EL素子を有する発光装置(以下、EL発光装置という)は、陽極と陰極との間にEL膜を挟んだ構造からなるEL素子を有し、陽極と陰極との間に電圧を加えることで発光を得る。特に、EL膜として有機膜を用いたものを有機EL膜という。
【0004】
陰極としては仕事関数の小さい金属(代表的には周期表の1族もしくは2族に属する金属)を用いることが多く、陽極としては可視光に対して透明な導電膜(以下、透明導電膜という)を用いることが多い。このような構造であるため、得られた発光は陽極を透過して視認される。
【0005】
最近では、TFT(薄膜トランジスタ)を用いて各画素に設けられたEL素子の発光を制御するアクティブマトリクス型EL発光装置の開発が進められており、試作品が発表されるに至った。ここでアクティブマトリクス型EL発光装置の構造を図9(A)、(B)に示す。
【0006】
図9(A)において、基板901上にはTFT902が形成され、TFT902には陽極903が接続されている。陽極903の上には有機EL膜904、陰極905が形成され、陽極903、有機EL膜904および陰極905からなるEL素子906が形成されている。
【0007】
このとき、有機EL膜904で生成された発光は陽極903を透過して図中の矢印の方向に向かって放射される。従って、TFT902は観測者から見て発光を遮る遮蔽物となってしまい、有効発光領域(観測者が発光を観測しうる領域)
を狭める要因となっていた。また、有効発光領域が狭い場合、明るい画像を得るには発光輝度を上げる必要があったが、発光輝度を上げることは有機EL膜の劣化を早める結果となってしまっていた。
【0008】
そこで、図9(B)に示すような構造のアクティブマトリクス型EL発光装置が提案されている。図9(B)において、基板901上にはTFT902が形成され、TFT902には陰極907が接続されている。陰極907の上には有機EL膜908、陽極909が形成され、陰極907、有機EL膜908および陽極909からなるEL素子910が形成されている。即ち、図9(A)に示したEL素子906とはちょうど逆向きの構造のEL素子となる。
【0009】
このとき、原理上はEL膜908で生成された発光が陽極909を透過して図中の矢印の方向に向かって放射される。従って、TFT901は観測者から見えない位置に設けられ、陰極903が設けられた領域すべてを有効発光領域とすることが可能である。
【0010】
しかしながら、図9(B)に示す構造は、陽極909に均一な電圧を印加できないという問題を潜在的に抱えている。陽極として一般的に用いられる透明導電膜は金属膜に比べて抵抗値が高いが、熱処理により抵抗値を下げられることが知られている。ところが有機EL膜は耐熱性が低いため、有機EL膜を成膜した後に150℃を超える熱処理を行うことはできない。
【0011】
従って、有機EL膜の上に陽極(透明導電膜)を積層する際には熱処理を行うことができず、抵抗値の低い陽極を形成することが困難である。即ち、陽極の端部と中心部とで印加される電圧が異なるといった問題が生じる可能性があり、この問題が画質不良を起こす要因となることが懸念される。
【0012】
以上のように、有機EL膜を成膜した後に透明導電膜を用いる構造を含む発光装置では、透明導電膜の低抵抗化が困難という問題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであり、明るく画質の良好な発光装置を提供することを課題とする。また、そのような発光装置を表示部として用いた画質の良い電気器具を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は有機EL膜を成膜した後で設けられた透明電極に対して並列に補助的な電極を接続することにより実質的に透明電極の低抵抗化を図る点に特徴がある。ここで本発明について図1を用いて説明する。
【0015】
図1において、101は絶縁体、102は反射面を含む電極、103は有機EL層、104は可視光に対して透明もしくは半透明な電極(以下、透明電極という)であり、絶縁体101上には反射面を含む電極102、有機EL層103および透明電極104からなるEL素子105が形成されている。
【0016】
なお、可視光に対して透明とは可視光を80〜100%の透過率で透過することをいい、可視光に対して半透明とは可視光を50〜80%の透過率で透過することをいう。勿論、膜厚によって透過率は異なるが、膜厚は上記範囲内に収まるように適宜設計すれば良い。
【0017】
ここで絶縁体101は絶縁基板もしくは表面に絶縁膜を設けた基板であり、EL素子を支持できるものであれば良い。
【0018】
また、反射面を含む電極102とは、金属電極または金属電極および透明電極の積層された電極を指す。即ち、電極の表面、裏面もしくは電極内部の界面に可視光を反射しうる面(反射面)を含む電極を指す。
【0019】
また、有機EL層103は、有機EL膜または有機EL膜と有機材料との積層膜を用いることができる。即ち、有機EL膜を発光層として単層で設けても良いし、有機EL膜を発光層とし有機材料を電荷注入層もしくは電荷輸送層として積層して設けても良い。なお、無機材料の中には電荷注入層もしくは電荷輸送層として用いることのできる材料もあり、そのような無機材料を電荷注入層もしくは電荷輸送層として用いることも可能である。
【0020】
また、透明電極104としては、透明導電膜からなる電極もしくは膜厚が5〜70nm(代表的には10〜50nm)の金属膜(以下、半透明な金属膜という)からなる電極を用いることができる。透明導電膜としては、酸化物導電膜(代表的には酸化インジウム膜、酸化スズ膜、酸化亜鉛膜、酸化インジウムと酸化スズとの化合物膜もしくは酸化インジウムと酸化亜鉛との化合物膜)または酸化物導電膜に酸化ガリウムを添加したものを用いることができる。また、透明電極104として透明導電膜を用いる場合、10〜200nm(好ましくは50〜100nm)とすることで80〜95%の可視光を透過することができる。
【0021】
以上の構造からなるEL素子105の上には、封止体106、封止体106の表面に設けられた補助電極107が設けられ、補助電極107は導電体108を介して透明電極104と電気的に接続されている。なお、導電体108は透明電極104上に点在して設けられるが、なるべく透明電極上の全面に分散させて設けることが好ましい。
【0022】
ここで封止体106は可視光に対して透明な基板もしくはフィルムであり、ガラス基板、石英基板、結晶化ガラス基板、プラスチック基板もしくはプラスチックフィルムを用いることができる。但し、プラスチック基板もしくはプラスチックフィルムを用いる場合、表面もしくは裏面に酸素および水の透過を防止する保護膜(好ましくは炭素膜、具体的にはダイヤモンドライクカーボン膜)を設けておくことが望ましい。
【0023】
また、補助電極107は透明電極104の抵抗値を下げる目的で補助的に設けられた電極であり、透明電極104と同様に透明導電膜からなる電極もしくは膜厚が半透明な金属膜からなる電極を用いることができる。また、補助電極107の膜厚を透明電極104と同様に10〜200nm(好ましくは50〜100nm)とすることで80〜95%の可視光を透過することができる。
【0024】
また、導電体108は異方導電性膜等と呼ばれる導電膜を用いて形成することができる。従って、異方導電膜と呼ぶこともできる。異方導電性膜とは導電粒子(代表的には金属粒子もしくはカーボン粒子)を均一に分散させた樹脂膜である。本発明では、異方導電性膜108をフォトリソグラフィによりパターン化して選択的に設けるか、インクジェット法もしくは印刷法により選択的に設けることが好ましい。なぜならば異方導電性膜は可視光に対する透過率が低いため、透明電極104の全面に設けてしまうと有機EL層103から発した光が吸収されてしまうからである。
【0025】
以上のような構造を含む本発明の発光装置では、補助電極107が透明導電膜からなる透明電極104に並列に接続された電極として機能する。また、このとき補助電極107は封止体106側に形成されるため、従来例で説明したような有機EL膜の耐熱性の制約を受けずに抵抗値を低くすることができる。従って、本発明を実施することにより透明電極104に均一な電圧を加えることが可能となり、画質の良い画像を得ることが可能である。
【発明の効果】
【0026】
本発明では、有機EL膜を成膜した後で形成される透明導電膜からなる電極に対して、封止体側に設けられた透明導電膜からなる電極を異方導電性膜を用いて電気的に接続する点に特徴がある。これにより有機EL膜を成膜した後で形成される透明導電膜の抵抗値を実質的に下げることができ、均一な電圧の印加を可能とすることができる。
【0027】
また、本発明では陰極を透明もしくは半透明とし、且つ、EL素子の下に反射電極を設けることにより陰極側に光を取り出す構造とした発光装置と組み合わせることで、画素の有効発光面積が大幅に向上した明るく画質の良好な発光装置を得ることができる。また、本発明の発光装置を表示部として用いた良好な画質の電気器器具を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】発光装置の断面構造を示す図。
【図2】発光装置の断面構造を示す図。
【図3】発光装置の作製工程を示す図。
【図4】発光装置の作製工程を示す図。
【図5】発光装置の画素の上面構造及び回路構成を示す図。
【図6】保持容量の断面構造を示す図。
【図7】発光装置の断面構造を示す図。
【図8】発光装置の上面構造を示す図。
【図9】従来の発光装置の断面構造を示す図。
【図10】電気器具の具体例を示す図。
【図11】電気器具の具体例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明の実施の形態について図2を用いて説明する。図2において、201は素子を形成する側の基板である。本発明では基板201として如何なる材料を用いても良く、ガラス(石英ガラスを含む)、結晶化ガラス、単結晶シリコン、セラミックス、金属もしくはプラスチックを用いることが可能である。
【0030】
基板201上には画素202が形成され、画素202はスイッチングTFT203及び電流制御TFT204を含む構造となっている。なお、図2には三つの画素が示されており、各々赤、緑もしくは青に発光する画素が形成されている。
スイッチングTFT203はビデオ信号を画素に取り込むためのスイッチとして機能し、電流制御TFT204はEL素子に流れる電流を制御するためのスイッチとして機能する。このとき、スイッチングTFT203のドレインは電流制御TFT204のゲートに電気的に接続されている。
【0031】
スイッチングTFT203及び電流制御TFT204の構造に限定はなく、トップゲート型(代表的にはプレーナ型)もしくはボトムゲート型(代表的には逆スタガ型)を用いれば良い。また、どちらのTFTもnチャネル型TFTもしくはpチャネル型を用いれば良い。
【0032】
また、スイッチングTFT203及び電流制御TFT204は層間絶縁膜205に覆われ、その上には導電体プラグ206を介して金属膜からなる画素電極207と電流制御TFT204のドレインとが電気的に接続されている。また、画素電極207には第1の透明電極208が10〜200nm(好ましくは50〜100nm)の膜厚で積層されている。ここでは画素電極207と第1の透明電極208とで陽極230を形成している。
【0033】
なお、本実施の形態では電流制御TFT204のドレインと画素電極207とが接続されるコンタクトホールを導電体で埋め込む構造としている。このコンタクトホールを埋め込むように設けられた導電体を導電体プラグと呼ぶ。導電体プラグ206は異方導電性膜をエッチングして形成すれば良い。勿論、画素電極207を直接電流制御TFT204のドレインと接続させても良い。
【0034】
ところで、上記コンタクトホールに起因する凹部では有機EL層のカバレッジが悪く、陰極と陽極のショート(短絡)を招く恐れがあるため好ましいものではない。本実施の形態では導電体プラグ206を用いることで画素電極207にコンタクトホールに起因する凹部が形成されないようにできるため、陰極と陽極のショートを防ぐことができる。
【0035】
また、画素電極207は反射率の高い金属膜を用いることが好ましく、アルミニウム膜(アルミニウム合金膜や添加物を含むアルミニウム膜を含む)もしくは銀薄膜を用いると良い。金属膜にアルミニウムメッキもしくは銀メッキを施した膜を用いても良い。
【0036】
次に、209は陽極230の間に設けた絶縁膜(以下、バンクという)であり、陽極230の端部に形成される段差を覆うように形成される。本実施の形態ではバンク209を設けることで電界集中を起こしやすい陽極230の端部から有機EL層を遠ざけ、電界集中による有機EL層の劣化を防ぐ構造となっている。
なお、バンク209としては樹脂膜を用いても珪素を含む絶縁膜(代表的には酸化珪素膜)を用いても良い。
【0037】
次に、210は赤色に発光する有機EL層、211は緑色に発光する有機EL層、212は青色に発光する有機EL層である。有機EL層210〜212の層構造は公知の技術を参考にすれば良い。
【0038】
また、有機EL層210〜212を覆うようにして設けられた第2の透明電極213は有機EL層に電子を注入するための電極である。この第2の透明電極213の仕事関数は2.5〜3.5eVであることが好ましく、周期表の1族もしくは2族に属する元素を含む金属膜を用いると良い。ここではアルミニウムとリチウムとを共蒸着した合金膜(以下、Al−Li膜という)を用いる。また、Al−Li膜は金属膜であるため、膜厚を10〜70nm(代表的には20〜50nm)とすることで透明電極とすることができる。
【0039】
さらに、その上には100〜300nm(好ましくは150〜200nm)の透明導電膜からなる第3の透明電極214が設けられている。第3の透明電極214は第2の透明電極213に電圧を加えるための役割を果たす電極である。ここでは第2の透明電極213と第3の透明電極214とで陰極231を形成している。
【0040】
また、基板201(ここでは基板201に設けられた薄膜も含めて基板と呼んでいる)に対向させて設けられた封止体215には膜厚が10〜200nm(好ましくは50〜100nm)の透明導電膜からなる補助電極(第4の透明電極)
216が形成されており、第3の透明電極214および補助電極216は異方導電性膜(金属粒子もしくはカーボン粒子を分散させた樹脂膜)からなる導電体217を介して電気的に接続されている。
【0041】
導電体217は、第3の透明電極214の上に部分的に設けることが好ましい。即ち、異方導電性膜は黒色もしくは灰色であるため、少なくとも画素の発光領域に重ならないように設けることが望ましい。もちろん、画素間に設けることで積極的にブラックマトリクスとして用い、画素ごとの光の指向性を高めることも可能である。
【0042】
なお、基板201および封止体215は基板201の外縁に設けられたシール材(図示せず)により貼り合わせられている。また、基板201および封止体215を貼り合わせる際、基板201と封止体215の間隔を決めるためのスペーサ(好ましくは1〜3μm)を設けても良い。特に、このスペーサを導電体217で兼ねることは有効である。
【0043】
また、基板201と封止体(対向基板)215との間に形成された空間218には窒素ガスもしくは希ガスを封入しておくことが好ましい。また、この空間218には吸湿性をもつ物質や脱酸素性をもつ物質を設けておくことが望ましい。
【0044】
ここで領域219の詳細な構造を図2(B)に示す。図2(B)では陽極230、有機EL層212および陰極231がEL素子220を形成している。図2(A)に示した発光装置において最も特徴的な点は陰極231を透過して発光が観測される点にある。
【0045】
EL素子220で生成された光のうち陽極230側へ向かった光は反射率の高い表面を有する画素電極207により反射され、陰極231側へ向かう。即ち、画素電極207は陽極230に電流を供給する(電子を引き抜く)電極であると同時に反射電極としての機能をも有する。
【0046】
なお、第2の透明電極213は膜厚が非常に薄いため抵抗値が高い。そのため第3の透明電極214を積層して低抵抗化を図っている。しかしながら、第3の透明電極214として用いる透明導電膜は有機EL層212を成膜した後で形成することになるため、抵抗値を低くすることが困難である。そこで本実施の形態では透明導電膜からなる第3の透明電極214に並列に、透明導電膜からなる補助電極216を接続することにより第3の透明電極214の実質的な低抵抗化を図っている。
【0047】
以上のような構造の発光装置は、画素202全体が有効発光領域となるため非常に明るい画像を得ることが可能である。また、本発明を実施することにより陰極231全体に均一な電圧を加えることができるため、画質の良い画像を得ることが可能である。
【実施例1】
【0048】
本実施例では図2に示した発光装置の作製工程について図3〜5を用いて説明する。なお、図3、4に示したのは画素部における作製工程を示す断面図である。また、本実施例によって作製される画素の上面図(但し陽極を形成した時点での上面図)を図5(A)に、最終的な画素の回路図を図5(B)に示す。なお、図5に用いた符号は図3、4で用いた符号に対応している。
【0049】
まず、図3(A)に示すように、基板としてガラス基板301を用意し、その上に酸化珪素膜からなる下地膜302を200nmの厚さに形成する。下地膜302の形成は減圧熱CVD法、プラズマCVD法、スパッタ法もしくは蒸着法を用いれば良い。
【0050】
次に、下地膜302の上に結晶質珪素膜303を50nmの厚さに形成する。
結晶質珪素膜303の形成方法としては公知の手段を用いることが可能である。
固体レーザーもしくはエキシマレーザーを用いて非晶質珪素膜をレーザー結晶化させても良いし、非晶質珪素膜を加熱処理(ファーネスアニール)により結晶化させても良い。本実施例ではXeClガスを用いたエキシマレーザーを照射することにより結晶化させる。
【0051】
次に、図3(B)に示すように、結晶質珪素膜303をパターニングして島状の結晶質珪素膜304、305を形成する。そして島状の結晶質珪素膜304、305を覆って酸化珪素膜からなるゲート絶縁膜306を80nmの厚さに形成する。さらに、ゲート絶縁膜306の上にゲート電極307、308を形成する。なお、ゲート電極307は図面では二つに見えるが実際には二股に分かれた同一の電極である。
【0052】
また、本実施例ではゲート電極307、308の材料として、350nm厚のタングステン膜もしくはタングステン合金膜を用いる。勿論、ゲート電極の材料としては他の公知の材料を用いることができる。さらに、本実施例ではこのとき同時に接続配線309も形成する。接続配線309は後に電流制御TFTのソースと電流供給線とを電気的に接続するための配線である。
【0053】
次に、図3(C)に示すように、ゲート電極307、308をマスクとして周期表の13族に属する元素(代表的にはボロン)を添加する。添加方法は公知の手段を用いれば良い。こうしてp型の導電型を示す不純物領域(以下、p型不純物領域という)310〜314が形成される。また、ゲート電極の直下にはチャネル形成領域315a、315b、316が画定する。なお、p型不純物領域310〜314はTFTのソース領域もしくはドレイン領域となる。
【0054】
次に、加熱処理を行って添加された周期表の13族に属する元素の活性化を行う。この活性化工程まで行った島状の結晶質珪素膜からなるパターンを活性層と呼ぶ。なお、この活性化はファーネスアニール、レーザーアニールもしくはランプアニールにより行うか、又はそれらを組み合わせて行えば良い。本実施例では500℃4時間の加熱処理を窒素雰囲気で行う。
【0055】
但し、この活性化工程では処理雰囲気中の酸素濃度を1ppm以下(好ましくは0.1ppm以下)にすることが望ましい。酸素濃度が高いとゲート電極307、308、接続配線309の表面が酸化されてしまい、後に形成するゲート配線や電流供給線との電気的接触が難しくなってしまうからである。
【0056】
なお、活性化が終了したら、水素化処理を行うと効果的である。水素化処理は公知の水素アニール技術もしくはプラズマ水素化技術を用いれば良い。
【0057】
次に、図3(D)に示すように、接続配線309に接するようにして電流供給線317を形成する。このような構造(上面図は図5(A)の501で示される領域に示す)とすることで接続配線309と電流供給線317が電気的に接続される。なお、図示していないが、このときゲート配線(図5(A)の502で示される配線)も同時に形成され、ゲート電極307と電気的に接続される。この上面図は図5(A)の503で示される領域に示す。
【0058】
この503で示される領域において、ゲート配線502が凸部を有しているのはゲート電極307を乗り越えない部分を確保しておくための冗長設計である。
こうすることでゲート配線502がゲート電極307を乗り越える部分で断線したとしてもゲート配線502がそこで電気的に断線してしまうことを避けることができる。また、ゲート電極307をコの字型に加工しているのも、確実に両方のゲート電極に電圧が印加されるようにするための冗長設計である。
【0059】
この電流供給線317及びゲート配線502は接続配線309やゲート電極307よりも低抵抗な金属膜で形成される。好ましくはアルミニウム、銅もしくは銀を含む金属膜を用いると良い。即ち、微細なパターン精度を要求されるゲート電極には加工性の高い金属膜を用い、抵抗率の低さを要求されるバスライン(本実施例ではゲート配線や電流供給線)には低抵抗な金属膜を用いる。
【0060】
ゲート配線502及び電流供給線317を形成したら、酸化珪素膜からなる第1層間絶縁膜318を800nmの厚さに形成する。形成方法としてはプラズマCVD法を用いれば良い。第1層間絶縁膜318としては他の無機絶縁膜を用いても良いし、樹脂(有機絶縁膜)を用いても良い。
【0061】
次に、図3(E)に示すように、第1層間絶縁膜318にコンタクトホールを形成して配線319〜322を形成する。本実施例では配線319〜322としてチタン/アルミニウム/チタンの三層構造からなる金属配線を用いる。勿論、導電膜であれば如何なる材料を用いても良い。配線319〜322はTFTのソース配線もしくはドレイン配線となる。
【0062】
また、電流制御TFTのドレイン配線322は接続配線309と電気的に接続される。その結果、電流制御TFT402のドレインと電流供給線317とが電気的に接続される。
【0063】
この状態でスイッチングTFT401及び電流制御TFT402が完成する。
本実施例ではどちらのTFTもpチャネル型TFTで形成されるが、両方もしくはいずれか一方をnチャネル型TFTとしても良い。
【0064】
また、スイッチングTFT401はゲート電極が活性層を二カ所で横切るように形成されており、二つのチャネル形成領域が直列に接続された構造となっている。このような構造とすることでオフ電流値(TFTがオフされた時に流れる電流)を効果的に抑制することができる。
【0065】
また、画素内では図5(A)に示すように保持容量504が形成される。保持容量504の断面図(図5(A)をB−B’で切断した断面図)を図6に示す。
保持容量504は電流制御TFT402のドレインに電気的に接続された半導体層505、ゲート絶縁膜306及び容量配線506で形成される。即ち、半導体層505と容量配線506はゲート絶縁膜306により絶縁され、コンデンサ(保持容量)を形成している。
【0066】
容量配線506はゲート配線502や電流供給線317と同時に形成され、ゲート電極308と接続配線507とを電気的に接続する配線も兼ねる。なお、接続配線507はスイッチングTFT401のドレイン配線(ソース配線として機能する場合もある)320に電気的に接続されている。
【0067】
本実施例に示す保持容量の利点は、容量配線506が活性層を形成した後に形成される点である。即ち、本実施例の場合、半導体層505がp型不純物領域となっているため、そのまま電極として用いることが可能である。
【0068】
配線319〜322を形成したら、窒化珪素膜もしくは窒化酸化珪素膜からなるパッシベーション膜323を200nmの厚さに形成する。このパッシベーション膜323を形成する前もしくは後に水素化処理を行うことでTFTの電気特性を向上させることができる。
【0069】
次に、図4(A)に示すように、第2層間絶縁膜324としてアクリル樹脂を1μmの厚さに形成し、コンタクトホール325を開けた後、異方導電性膜326を形成する。本実施例では異方導電性膜326として銀粒子を分散させたアクリル樹脂を用いる。また、異方導電性膜326はコンタクトホール325を平坦化することができる程度に十分な厚さで形成することが望ましい。本実施例では、1.5μmの厚さでスピンコーティング法により形成する。
【0070】
次に、異方導電性膜326を、酸素ガスを用いたプラズマによりエッチングする。このプロセスは第2層間絶縁膜324が露呈するまで続けられる。エッチングが終了すると、図3(B)に示すような形状で導電体プラグ327が形成されることになる。なお、第2層間絶縁膜324が露呈した時、導電体プラグ327は第2層間絶縁膜324とのエッチングレートの差により段差を生じる場合があるが、段差が100nm以下(好ましくは50nm以下)であれば特に問題とはならない。
【0071】
導電体プラグ327を形成したら、スカンジウムもしくはチタンを添加したアルミニウム膜及びITO膜(酸化インジウムと酸化スズとの化合物膜)を積層し、エッチングしてスカンジウムもしくはチタンを添加したアルミニウム膜からなる画素電極328及びITO膜からなる第1の透明電極329を形成する。本実施例では画素電極328と第1の透明電極329とで陽極340が形成される。
【0072】
本実施例では、アルミニウム膜の膜厚は200nmとし、ITO膜の膜厚は100nmとする。また、ITO膜はITO−04N(関東化学株式会社のITO膜用エッチング溶液の商品名)でエッチング可能であり、アルミニウム膜は四塩化炭素(SiCl4)と塩素(Cl2)を混合したガスを用いたドライエッチング法によりエッチング可能である。
【0073】
こうして得られた図4(B)の断面構造は、図5(A)においてA−A’で切断した断面構造に相当する。
【0074】
次に、図4(C)に示すように、バンクとして絶縁膜330を形成する。本実施例ではアクリル樹脂を用いてバンク330を形成するが、酸化珪素膜を用いて形成することも可能である。バンク330を形成したら第1の透明電極329に対して酸素雰囲気中で紫外光を照射し、第1の透明電極329の表面処理を行う。これは第1の透明電極329の仕事関数を大きくする作用があり、さらに表面汚染を除去する作用もある。
【0075】
そして、有機EL膜331、332を各々50nmの厚さに形成する。なお、有機EL膜331は青色に発光する有機EL膜であり、有機EL膜332は赤色に発光する有機EL膜である。なお、図示しないが同時に緑色に発光する有機EL膜も形成する。本実施例では、シャドーマスクを用いた蒸着法により画素ごとに有機EL膜を作り分ける。勿論、印刷法やインクジェット法を用いて作り分けることも可能である。
【0076】
また、本実施例では有機EL膜331、332を単層で用いる例を示しているが、正孔注入層としてCuPc(銅フタロシアニン)を用いた積層構造とすることも有効である。この場合、まず全面に銅フタロシアニン膜を形成し、その後、赤色、緑色及び青色に対応する画素ごとに各々赤色に発光する有機EL膜、緑色に発光する有機EL膜及び青色に発光する有機EL膜を形成する。
【0077】
なお、緑色の有機EL膜を形成する時は、有機EL膜の母体材料としてAlq3(トリス−8−キノリノラトアルミニウム錯体)を用い、キナクリドンもしくはクマリン6をドーパントとして添加する。また、赤色の有機EL膜を形成する時は、有機EL膜の母体材料としてAlq3を用い、DCJT、DCM1もしくはDCM2をドーパントとして添加する。また、青色の有機EL膜を形成する時は、発光層の有機EL膜としてBAlq3(2−メチル−8−キノリノールとフェノール誘導体の混合配位子を持つ5配位の錯体)を用い、ペリレンをドーパントとして添加する。
【0078】
勿論、本発明では上記有機EL膜に限定する必要はなく、公知の低分子系有機EL膜、高分子系有機EL膜を用いることが可能である。高分子系有機EL膜を用いる場合は塗布法(スピンコート法、インクジェット法もしくは印刷法)を用いることもできる。
【0079】
以上のようにして有機EL膜331、332を形成したら、第2の透明電極333として20nmの厚さのMgAg膜(マグネシウム(Mg)に1〜10%の銀(Ag)を添加した金属膜)を形成し、さらに第3の透明電極334として250nmの厚さのITO膜を形成する。本実施例では第2の透明電極333および第3の透明電極334で陰極341が形成される。
【0080】
こうして陽極340、有機EL膜331(もしくは有機EL膜332)及び陰極341からなるEL素子400が形成される。本実施例ではこのEL素子が発光素子として機能する。
【0081】
次に、図4(D)に示すように、封止体335上に透明導電膜からなる補助電極336を250nmの厚さに設け、さらに、異方導電性膜からなる導電体337を第3の透明電極334上に設ける。そして、シール材(図示せず)を用いて基板301と封止体335とを貼り合わせる。
【0082】
なお、貼り合わせ工程はアルゴン雰囲気中で行う。その結果、空間338にはアルゴンが封入される。勿論、封入するガスは不活性ガスであれば良く、窒素ガスもしくは希ガスを用いれば良い。また、空間338には酸素もしくは水を吸着する物質を設けることが好ましい。また、空間にするのではなく、樹脂を充填させることも可能である。
【0083】
以上に示した作製工程によって、画素内にスイッチングTFT(本実施例ではpチャネル型TFT)401及び電流制御TFT(本実施例ではpチャネル型TFT)402が形成される。本実施例では全てのTFTをpチャネル型TFTとするため、作製工程が非常に簡便である。
【0084】
また、第2層間絶縁膜324により段差の平坦化を行い、さらに電流制御TFT402のドレイン配線321と画素電極328とを、コンタクトホール325に埋め込まれた導電体プラグ327を用いて電気的に接続しているため、陽極340の平坦性が高い。従って、有機EL膜332の膜厚の均一性を高めることができるので画素の発光を均一なものとすることができる。
【実施例2】
【0085】
本実施例では、図2に示したEL発光装置とは異なる構造の画素を有したEL発光装置について図7を用いて説明する。なお、本実施例は図2の構造に多少の変更を加えるだけで作製可能であり、図2と異なる点に注目して説明する。従って、図2と同一の符号が付されている部分の説明は「発明の実施の形態」を参照すれば良い。
【0086】
本実施例では層間絶縁膜205にコンタクトホールを形成したら、その状態で画素電極701及び第1の透明電極702を形成し、コンタクトホールによる凹部を埋めるように絶縁膜703を形成する。本実施例ではこの絶縁膜703を埋め込み絶縁膜と呼ぶ。埋め込み絶縁膜703はバンク209と同時に形成することができるため、特に工程を増加させることはない。
【0087】
この埋め込み絶縁膜703は、図2の導電体プラグ206と同様にコンタクトホールによる凹部に起因する陰極と陽極のショートを防止するためのものである。このとき、埋め込み絶縁膜703の上面と第2の透明電極702の上面との間の高さは100〜300nmとすることが好ましい。この高さが300nmを超えるとその段差が陰極と陽極のショートを生じさせる原因となる場合がある。また、100nm以下になると同時形成のバンク209の作用(画素電極のエッジ部における電界集中の影響を抑制する作用)が低下してしまう恐れがある。
【0088】
本実施例では、第2の透明電極702を形成した後、スピンコーティング法によりアクリル樹脂を500nmの厚さに形成し、酸素ガスをプラズマ化してアクリルの膜厚(但しコンタクトホール外での膜厚)が200nmとなるまでエッチングする。こうして膜厚を薄くした後にパターニングしてバンク209及び埋め込み絶縁膜703を形成する。
【0089】
ここで本実施例の画素の上面構造を図8に示す。図8において、A−A’で切断した断面図が図7に相当する。なお、図8に封止体215、導電体217は図示していない。また、基本的な画素構造は図5と同一であるので詳細な説明は省略する。
【0090】
図8において、バンク209は画素電極701、陽極702の端部の段差を隠すように形成され、埋め込み絶縁膜703はバンク209の一部が突出して形成されている。この突出した絶縁膜が画素電極701のコンタクトホールによる凹部を埋め込む構造となっている。
【0091】
なお、本実施例のEL発光装置は、実施例1の作製方法に上記埋め込み絶縁膜の形成方法を組み合わせることで容易に作製することができる。
【実施例3】
【0092】
発明の実施の形態および実施例1に示したEL発光装置では、画素部の構造しか示していないが、画素部を駆動するための駆動回路を同一基板上に一体形成しても良い。その際、駆動回路をnMOS回路、pMOS回路もしくはCMOS回路で形成することが可能である。勿論、画素部のみをTFTで形成し、外付けの駆動回路、典型的にはICチップを含む駆動回路(TCPやCOGなど)を用いても良い。
【0093】
また、実施例1では画素部をpチャネル型TFTだけで形成して作製工程を削減しているが、この場合はpMOS回路で駆動回路を形成し、pMOSで作製できない駆動回路としてICチップを含む駆動回路を用いることもできる。
【0094】
なお、本実施例の構成は実施例1または実施例2の構成と自由に組み合わせて実施することが可能である。
【実施例4】
【0095】
本実施例では、画素部に形成するスイッチングTFT及び電流制御TFTの活性層として非晶質珪素膜(アモルファスシリコン膜)を用いる例を示す。非晶質珪素膜を用いたTFTとしては逆スタガ型TFTが知られているが、本実施例では逆スタガ型TFTを用いることもできる。
【0096】
非晶質珪素膜を用いてTFTは作製工程が簡便である一方、素子サイズが大きくなってしまうという欠点もあったが、本発明のEL発光装置ではTFTのサイズが画素の有効発光面積に影響しない。従って、非晶質珪素膜を活性層として用いることでより安価なEL発光装置を作製することができる。
【0097】
なお、本実施例の構成は実施例1〜実施例3のいずれの構成とも自由に組み合わせて実施することが可能である。ただし、実施例3と組み合わせる場合、非晶質珪素膜を用いたTFTで動作速度の速い駆動回路を作製することが困難であるため、ICチップを含む駆動回路を外付けすることが望ましい。
【実施例5】
【0098】
実施例1〜実施例4では、アクティブマトリクス型EL発光装置について説明してきたが、本発明はパッシブマトリクス型EL発光装置のEL素子に対して実施することも可能である。
【0099】
なお、本実施例の構成は実施例1〜実施例3のいずれの構成とも自由に組み合わせて実施することが可能である。ただし、実施例3と組み合わせる場合はICチップを含む駆動回路を外付けすることになる。
【実施例6】
【0100】
本発明を実施して形成した発光装置は様々な電気器具の表示部として用いることができる。なお、発光装置を筐体に組み込んだディスプレイには、パソコン用ディスプレイ、TV放送受信用ディスプレイ、広告表示用ディスプレイ等の全ての情報表示用ディスプレイが含まれる。
【0101】
また、その他の本発明の電気器具としては、ビデオカメラ、デジタルカメラ、ゴーグル型ディスプレイ(ヘッドマウントディスプレイ)、ナビゲーションシステム、音楽再生装置(カーオーディオ、オーディオコンポ等)、ノート型パーソナルコンピュータ、ゲーム機器、携帯情報端末(モバイルコンピュータ、携帯電話、携帯型ゲーム機または電子書籍等)、画像再生装置(記録媒体に記録された画像を再生し、その画像を表示する表示部を備えた装置)が挙げられる。それらの具体例を図10、図11に示す。
【0102】
図10(A)はELディスプレイであり、筐体2001、支持台2002、表示部2003を含む。本発明の発光装置は表示部2003に用いることができる。ELディスプレイは自発光型であるためバックライトが必要なく、液晶ディスプレイよりも薄い表示部とすることができる。
【0103】
図10(B)はビデオカメラであり、本体2101、表示部2102、音声入力部2103、操作スイッチ2104、バッテリー2105、受像部2106を含む。本発明の発光装置は表示部2102に用いることができる。
【0104】
図10(C)はデジタルカメラであり、本体2201、表示部2202、接眼部部2203、操作スイッチ2204を含む。本発明の発光装置は表示部2202に用いることができる。
【0105】
図10(D)は記録媒体を備えた画像再生装置(具体的にはDVD再生装置)
であり、本体2301、記録媒体(CD、LDまたはDVD等)2302、操作スイッチ2303、表示部(a)2304、表示部(b)2305を含む。表示部(a)は主として画像情報を表示し、表示部(b)は主として文字情報を表示するが、本発明の発光装置はこれら表示部(a)、(b)に用いることができる。なお、記録媒体を備えた画像再生装置には、CD再生装置、ゲーム機器なども含まれうる。
【0106】
図10(E)は携帯型(モバイル)コンピュータであり、本体2401、表示部2402、受像部2403、操作スイッチ2404、メモリスロット2405を含む。本発明の電気光学装置は表示部2402に用いることができる。この携帯型コンピュータはフラッシュメモリや不揮発性メモリを集積化した記録媒体に情報を記録したり、それを再生したりすることができる。
【0107】
図10(F)はパーソナルコンピュータであり、本体2501、筐体2502、表示部2503、キーボード2504を含む。本発明の発光装置は表示部2503に用いることができる。
【0108】
なお、将来的にEL材料の発光輝度が高くなれば、出力した画像情報を含む光をレンズ等で拡大投影してフロント型若しくはリア型のプロジェクターに用いることも可能となる。
【0109】
また、上記電子装置はインターネットやCATV(ケーブルテレビ)などの電子通信回線を通じて配信された情報を表示することが多くなり、特に動画情報を表示する機会が増してきている。EL材料の応答速度は非常に高いため、そのような動画表示を行うに適している。
【0110】
また、発光装置は発光している部分が電力を消費するため、発光部分が極力少なくなるように情報を表示することが望ましい。従って、携帯情報端末、特に携帯電話やカーオーディオのような文字情報を主とする表示部に発光装置を用いる場合には、非発光部分を背景として文字情報を発光部分で形成するように駆動することが望ましい。
【0111】
ここで図11(A)は携帯電話であり、本体2601、音声出力部2602、音声入力部2603、表示部2604、操作スイッチ2605、アンテナ2606を含む。本発明の発光装置は表示部2604に用いることができる。なお、表示部2604は黒色の背景に白色の文字を表示することで携帯電話の消費電力を抑えることができる。
【0112】
また、図11(B)はカーオーディオであり、本体2701、表示部2702、操作スイッチ2703、2704を含む。本発明の発光装置は表示部2702に用いることができる。また、本実施例では車載用カーオーディオを示すが、据え置き型のカーオーディオに用いても良い。なお、表示部2704は黒色の背景に白色の文字を表示することで消費電力を抑えられる。
【0113】
さらに、光センサを内蔵させ、使用環境の明るさを検知する手段を設けることで使用環境の明るさに応じて発光輝度を変調させるような機能を持たせることは有効である。使用者は使用環境の明るさに比べてコントラスト比で100〜150の明るさを確保できれば問題なく画像もしくは文字情報を認識できる。即ち、使用環境が明るい場合は画像の輝度を上げて見やすくし、使用環境が暗い場合は画像の輝度を抑えて消費電力を抑えるといったことが可能である。
【0114】
以上の様に、本発明の適用範囲は極めて広く、あらゆる分野の電気器具に用いることが可能である。また、本実施例の電気器具は実施例1〜5に示したいずれの構成の発光装置を用いても良い。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の基板上の第1の電極と、
前記第1の電極上のEL層と、
前記EL層上の第2の電極と、
前記第2の電極上の導電体と、
前記導電体上の第3の電極と、
前記第3の電極上の第2の基板と、を有し、
前記第2の電極と前記第3の電極とは前記導電体を介して電気的に接続され、
前記導電体は、前記第1の電極、前記EL層、及び前記第2の電極のみからなる積層構造体と重なる位置に配置されており、
前記第3の電極は前記第2の基板側に形成されたものであり、
前記第1の基板と前記第2の基板の間にはシール材が設けられていることを特徴とする発光装置。
【請求項2】
請求項1又は請求項2において、
前記第1の基板と前記第2の基板の間にはスペーサが設けられていることを特徴とする発光装置。
【請求項1】
第1の基板上の第1の電極と、
前記第1の電極上のEL層と、
前記EL層上の第2の電極と、
前記第2の電極上の導電体と、
前記導電体上の第3の電極と、
前記第3の電極上の第2の基板と、を有し、
前記第2の電極と前記第3の電極とは前記導電体を介して電気的に接続され、
前記導電体は、前記第1の電極、前記EL層、及び前記第2の電極のみからなる積層構造体と重なる位置に配置されており、
前記第3の電極は前記第2の基板側に形成されたものであり、
前記第1の基板と前記第2の基板の間にはシール材が設けられていることを特徴とする発光装置。
【請求項2】
請求項1又は請求項2において、
前記第1の基板と前記第2の基板の間にはスペーサが設けられていることを特徴とする発光装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−96682(P2011−96682A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−31697(P2011−31697)
【出願日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【分割の表示】特願2001−136190(P2001−136190)の分割
【原出願日】平成13年5月7日(2001.5.7)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【分割の表示】特願2001−136190(P2001−136190)の分割
【原出願日】平成13年5月7日(2001.5.7)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】
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