説明

発光装置

【課題】 発光素子の発光及び取付強度や発光装置の実装強度に影響を与えず、且つワイヤーボンディングエリアを十分確保しながら小型化を可能とした発光装置を提供することにある。
【解決手段】 発光装置の基板21には、相対する端辺21a,21bの各両端に4分の1スルーホール電極26〜29が設けられている。導電パターン34,35は、各端辺両端の4分の1スルーホール電極の間に設けられている。これにより、ワイヤーボンディングエリアが基板の端辺に面することになり、キャピラリがワイヤーを引き出す方向に障害物がなくなる。その結果、キャピラリは、ワイヤーボンディングエリアの端まで移動することができ、導電パターンを隅々まで広く使うことが可能となる。よって、基板端部の2分の1スルーホール電極を削減し、更にワイヤーボンディングエリアを小さくしてもワイヤーボンディングに十分な広さを確保することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯用電子機器の照明やバックライト等に使用する発光装置に関するものであり、特に、スルーホール電極を有する表面実装型の発光装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、発光装置は、図8及び図9に示すように、平面形状が長方形をなす基板1の表面中央に発光素子2をダイボンディングすると共に、基板1の表面に形成した導電パターン3,4にワイヤー5,6でワイヤーボンディングした構造を有するものであった。また、表面実装型の発光装置では、基板1の図8における左右の端辺に、それぞれ円を2分の1に分割した平面形状からなるスルーホール内に導電層を形成した2分の1スルーホール電極7,8が外部接続用の電極として設けられていた。
【0003】
この発光装置では、外形を小さくするため、2分の1スルーホール電極7,8をドライフィルム9,10で塞ぎ、その上に封止樹脂12が載るように形成していた(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
しかし、現在では、市場から更なる小型化が求められるに至っている。これに対処するため、発光素子2のダイボンディングエリアや2分の1スルーホール電極7,8を小さくすることが考えられるが、発光素子2の発光及び取付強度や発光装置の実装強度に影響を与えることになり、好ましいものではなかった。そこで、ワイヤーボンディングエリアを形成する導電パターン3,4を小さくすることが試みられた。ところが、図10に示すように、ワイヤーボンディング時にワイヤー5,6を導出するキャピラリ11が、2分の1スルーホール電極7,8上のドライフィルム9,10に接触することがあり、実装エラーとなってしまうことがある。このため、キャピラリ11が十分に移動可能な大きさのワイヤーボンディングエリアを確保しなければならず、ワイヤーボンディングエリアを小さくして小型化することも困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−135492号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、上記従来技術の問題点を解決し、発光素子の発光及び取付強度や発光装置の実装強度に影響を与えず、且つワイヤーボンディングエリアを十分確保しながら小型化を可能とした発光装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の発光装置は、相対する端辺のそれぞれの両端に4分の1スルーホールを有する平面形状が矩形をなす基板と、前記4分の1スルーホール内に形成される4分の1スルーホール電極と、該4分の1スルーホール電極を塞ぐ薄膜状の閉塞部材と、前記基板の表面で且つ、前記各端辺両端の4分の1スルーホール電極の間に設けられてワイヤーボンディングエリアを形成する導電パターンと、前記基板の略中央にダイボンディングされる発光素子と、該発光素子と前記導電パターンとを接続するワイヤーと、前記発光素子とワイヤーを封止する封止樹脂と、を備えている。
【0008】
また、この発光装置における前記基板の中央には、前記発光素子を収納する凹部が形成されており、この凹部は、平面形状が長円形状に形成されている。
【発明の効果】
【0009】
本発明の発光装置における基板には、4隅に4分の1スルーホール電極が形成されており、その4分の1スルーホール電極における2つの電極間のスペースにワイヤーボンディングエリアを形成する導電パターンが設けられている。これにより、ワイヤーボンディングエリアが基板の端辺に面することになり、キャピラリがワイヤーを引き出す方向に障害物がなくなってワイヤーボンディングエリアの端まで移動することができ、導電パターンを隅々まで広く使うことが可能となる。従って、基板の端部にあった2分の1スルーホール電極を削減し、更にワイヤーボンディングエリアを小さくしてもワイヤーボンディングに十分な広さを確保することができ、基板の外寸を小さくして、発光装置を小型化することができる。
【0010】
また、4分の1スルーホール電極を基板の相対する端辺のそれぞれの両端に設けているので、2分の1スルーホール電極を相対する端辺に設けた場合と同じ実装強度を保つことができる。
【0011】
更に、基板の中央に発光素子を収納する長円形状の凹部を形成したときに、その凹部の先端によりワイヤーボンディングエリアとなる導電パターンが大きく削減されたとしても、4分の1スルーホール電極の間に導電パターンを形成することで、ワイヤーボンディングに十分な大きさのワイヤーボンディングエリアを確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施例に係る発光装置の平面図である。
【図2】図1に示す発光装置のA−A線断面図である。
【図3】図1に示す発光装置のB部拡大図である。
【図4】図1に示す発光装置と従来の発光装置との大きさの比較を示す平面図である。
【図5】図1に示す発光装置の一部変更例を示す平面図である。
【図6】図4に示す発光装置のC−C線断面図である。
【図7】図4に示す発光装置と従来の構造で構成した発光装置との大きさの比較を示す平面図である。
【図8】従来の発光装置を示す平面図である。
【図9】図7に示す発光装置のD−D線断面図である。
【図10】ワイヤーボンディングにおけるキャピラリとドライフィルムとの接触を示す拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1乃至図3には本発明の一実施例に係る発光装置が示されており、符号21はセラミック、有機材料等からなる基板である。この基板21は平面形状が矩形をなすもので、図1中の左右端で相対する端辺21a,21bのそれぞれ両端に平面形状が円を4分の1に分割した形状からなる4分の1スルーホール22,23,24,25が設けられている。
【0014】
26,27,28,29は基板21の4分の1スルーホール22〜25内にそれぞれ印刷、メッキ等により形成される導電層からなる4分の1スルーホール電極である。本実施例における4分の1スルーホール電極26〜29は、基板21の表裏面における4分の1スルーホール22〜25の周縁にも形成されている。
【0015】
30,31,32,33はレジスト、ドライフィルム等からなる閉塞部材である。この閉塞部材30〜33は、4分の1スルーホール電極26〜29の表面側のそれぞれの開口を覆って塞いでいる。
【0016】
34,35は基板21の表面に印刷、メッキ等により形成される導電パターンである。導電パターン34は、4分の1スルーホール電極26,27の間から基板21の中央に向かって突出する略凸形状をなすように形成されている。また、導電パターン35は、4分の1スルーホール電極28,29の間から基板21の中央に向かって突出する略凸形状をなすように形成されている。本実施例における導電パターン34,35は、それぞれ4分の1スルーホール電極26,27と4分の1スルーホール電極28,29に連設されて導通している。また、本実施例においては、基板21の表面中央に設けられるダイボンド電極36が、導電パターン35と一連に形成されている。上記導電パターン34,35は、後述する発光素子との接続を図るワイヤーを接続するためのワイヤーボンディングエリアを形成している。
【0017】
37は発光ダイオード等の発光素子である。この発光素子37は、基板21の表面中央にあるダイボンド電極36上にダイボンディングされ、その上面にある素子の電極がワイヤー38,39により導電パターン34,35にそれぞれワイヤーボンディングされている。
【0018】
40はエポキシ樹脂、シリコーン樹脂等からなる封止樹脂である。この封止樹脂40は、発光素子37及びワイヤー38,39を封止して基板21の表面に密着している。本実施例においては、4分の1スルーホール電極26〜29を閉塞部材30〜33で塞いでおり、4分の1スルーホール電極26〜29に封止樹脂40が流れ込むことを防いでいる。このため、4分の1スルーホール電極26〜29の上にも封止樹脂40が形成される。
【0019】
上記構成からなる発光装置における導電パターン34は4分の1スルーホール電極26,27の間に、また導電パターン35は4分の1スルーホール電極28,29の間に、それぞれ形成されており、基板21の端辺21a,21bに接近した位置に導電パターン34,35が位置することになる。このように、導電パターン34,35は基板21の中央付近から端辺21a,21b付近まで一杯に形成することができる。
【0020】
また、ワイヤーボンディングを行うときに、ワイヤー38,39を引き出す基板21の端辺21a,21bの方向に、4分の1スルーホール電極26〜29を塞ぐ閉塞部材30〜33が配置されていないので、図10に示すようなワイヤーを導出するキャピラリ11が閉塞部材30〜33に当たってボンディングエラーになることはない。このため、従来よりワイヤーボンディングエリアを狭めても、十分にキャピラリ11の移動範囲を確保することが可能となる。
【0021】
図4(b)に示す従来の発光装置のように、導電パターン3,4及び2分の1スルーホール電極7,8が、ワイヤー5,6を引き出す方向に直線状に並んでいると、ワイヤー5,6を引き出すときにキャピラリ11がドライフィルム9,10に当たらないようにワイヤーボンディングエリアを広くして、キャピラリ11の移動範囲を確保することが必要であった。このため、単に2分の1スルーホール電極7,8の分だけでなく、ワイヤーボンディングエリアも必要以上に広くしなければならず、基板を小型化することが極めて困難になる。
【0022】
これに対して、本発明の発光装置では、図4(a)に示すように、導電パターン34が4分の1スルーホール電極26,27の間、導電パターン35が4分の1スルーホール電極28,29の間に、それぞれ配置されており、4分の1スルーホール電極26〜29がワイヤー38,39を引き出す方向を挟むように並んでいる。このため、ワイヤーを引き出す方向にキャピラリ11の移動を阻害するものはない。これにより、ワイヤーを導出するキャピラリ11は、4分の1スルーホール電極26,27の間及び4分の1スルーホール電極28,29の間を基板21の端辺21a,21bまで移動することができる。その結果、基板21の端辺21a,21b付近まで形成された導電パターン34,35上を隅々までキャピラリ11が移動することで、最小限の導電パターン34,35でワイヤーボンディングエリアを十分確保しつつ、4分の1スルーホール26〜29を基板21の4隅に形成することで、基板21の端部に設けられていた従来の2分の1スルーホール電極が占めていたスペースを削減して、基板21を小型化することができる。
【0023】
図5及び図6には図1に示す発光装置における基板21の中央に発光素子37を収納する凹部41を設けた一部変更例が示されている。凹部41は、基板21の表面中央に設けられており、本実施例ではドリル等で形成することで平面形状が長円形状をなすものとなっている。また、この凹部41の内部表面には、その中央部分又は図示するように全面にダイボンド電極36が設けられている。
【0024】
また、この発光装置では、長円形状の凹部41を設けたことにより、この凹部41の縁に設けられる導電パターン34,35が凹部41の半円形をなす端部形状に沿って基板中央側の端が曲線形状をなすように形成されている。
【0025】
上記のように基板21に凹部41を設け、その中に発光素子37をダイボンディングすると、発光装置の高さを低くすることが可能となる。しかしながら、図7(b)に示すように、ワイヤー5,6を引き出す方向に導電パターン3,4と2分の1スルーホール電極7,8が並んでいる従来の構造に適用すると、凹部41の半円形状の端部と半円形状の2分の1スルーホール電極7,8に挟まれて、導電パターン3,4の図中左右端が削れてその面積が極めて小さくなり、十分なワイヤーボンディングエリアを確保することが難しくなる。
【0026】
これに対して、本発明の発光装置では、図7(a)に示すように、導電パターン34が4分の1スルーホール電極26,27の間、導電パターン35が4分の1スルーホール電極28,29の間に、それぞれ配置されているため、ワイヤー38,39を導出するキャピラリが閉塞部材30〜33に接触することなく導電パターン34,35の端まで移動することができる。このため、十分なワイヤーボンディングエリアを確保することが可能となっている。
【符号の説明】
【0027】
1 基板
2 発光素子
3,4 導電パターン
5,6 ワイヤー
7,8 2分の1スルーホール電極
9,10 ドライフィルム
11 キャピラリ
12 封止樹脂
21 基板
21a,21b 端辺
22〜25 4分の1スルーホール
26〜29 4分の1スルーホール電極
30〜33 閉塞部材
34,35 導電パターン
36 ダイボンド電極
37 発光素子
38,39 ワイヤー
40 封止樹脂
41 凹部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
相対する端辺のそれぞれの両端に4分の1スルーホールを有する平面形状が矩形をなす基板と、
前記4分の1スルーホール内に形成される4分の1スルーホール電極と、
該4分の1スルーホール電極を塞ぐ薄膜状の閉塞部材と、
前記基板の表面で且つ、前記各端辺両端の4分の1スルーホール電極の間に設けられてワイヤーボンディングエリアを形成する導電パターンと、
前記基板の略中央にダイボンディングされる発光素子と、
該発光素子と前記導電パターンとを接続するワイヤーと、
前記発光素子とワイヤーを封止する封止樹脂と、
を備えることを特徴とする発光装置。
【請求項2】
前記基板の中央には、前記発光素子を収納する凹部が形成されている請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
前記基板の凹部は、平面形状が長円形状に形成されている請求項2に記載の発光装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−69731(P2013−69731A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−205423(P2011−205423)
【出願日】平成23年9月21日(2011.9.21)
【出願人】(000131430)シチズン電子株式会社 (798)
【出願人】(000001960)シチズンホールディングス株式会社 (1,939)
【Fターム(参考)】