説明

発光装置

【課題】放熱部材と固体発光素子との位置ずれを抑制する。
【解決手段】絶縁部材3は、放熱部材2の主片20と光源部1の間に介装される主部30と、主部30の両端(長手方向に沿った両端)より光源部1に近付く向きに立ち上がる当接部31と、各当接部31の先端より突出する一対の反射部32とが合成樹脂成形体として一体に形成されてなる。光源部1(実装基板10)が長手方向に沿って絶縁部材3の各当接部31に当接することで短手方向の位置ずれが抑制される。また、光源部1の発光(点灯)中に発生する熱は、実装基板10から突条部22を通じて放熱部材2に伝導されることで効率的に放熱される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光ダイオードなどの固体発光素子を光源とする発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
発光ダイオードを光源とする従来の発光装置として、例えば、特許文献1に記載されているものがある。特許文献1記載のものは、表裏面を貫通する貫通孔が形成された平板状の絶縁基体と、貫通孔に挿入され、絶縁基体に接合された絶縁基体よりも熱伝導率が高い金属体と、金属体を絶縁基体に接合するための金属板と、金属板の表面に実行される発光ダイオードチップとを備える。この従来例においては、発光ダイオードチップで発する熱が金属板を介して金属体に伝導されることで効率的に放熱される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−128265号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記従来例では絶縁基体の貫通孔に挿通された金属体の表面に金属板が接合されるのであるが、接合前の状態で金属体に対して金属板を位置決めすることが困難であり、金属体と金属板の位置がずれて放熱性が低下してしまう虞があった。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みて為されたものであり、放熱部材と固体発光素子との位置ずれを抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の発光装置は、長尺の板状に形成された実装基板の表面に1乃至複数個の固体発光素子が実装されてなる光源部と、少なくとも一部が長手方向に沿って前記実装基板の裏面に接触する放熱部材と、絶縁材料によって長尺の板状に形成され、前記光源部と前記放熱部材との間に介装される絶縁部材とを備え、前記絶縁部材は、前記実装基板の長手方向に沿った両側の端面にそれぞれ当接する一対の当接部と、前記実装基板の裏面に接触する前記放熱部材の部位が挿通される挿通孔とを有することを特徴とする。
【0007】
この発光装置において、前記絶縁部材は、前記実装基板の長手方向に対向する両側の端面にそれぞれ当接する一対の第2当接部を有することが好ましい。
【0008】
この発光装置において、前記光源部は、前記実装基板の長手方向の両端近傍まで前記固体発光素子が実装されており、前記絶縁部材は、前記挿通孔の長手方向の両端が前記実装基板の長手方向の両端近傍に届かない寸法に形成されていることが好ましい。
【0009】
この発光装置において、前記光源部は、前記固体発光素子に給電するための導電体が前記実装基板の表面に形成されてなり、前記絶縁部材は、厚み方向から見て前記導電体と重なる範囲内に前記挿通孔が設けられてなることが好ましい。
【0010】
この発光装置において、前記絶縁部材は、前記実装基板の表面よりも前方に突出して前記固体発光素子から放射される光を反射する反射部を有することが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明の発光装置は、放熱部材と固体発光素子との位置ずれを抑制することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係る発光装置の実施形態を示す一部省略した断面図である。
【図2】同上の分解斜視図である。
【図3】同上の分解斜視図である。
【図4】同上の斜視図である。
【図5】(a)は同上の背面図、(b)は同上の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、固体発光素子として発光ダイオード(LED)を用いた発光装置に本発明の技術思想を適用した実施形態について、図1〜図5を参照して詳細に説明する。
【0014】
本実施形態の発光装置(LEDユニット)は、光源部1、放熱部材2、絶縁部材3、取付部材4、カバー5などを備える。光源部1は、絶縁材料(例えば、セラミック)によって長尺の板状に形成された実装基板10、実装基板10の表面に実装される複数個の発光ダイオード(以下、LEDチップと呼ぶ。)11、実装基板10の表面に形成される導電体(図示せず)などを有する。複数個のLEDチップ11は、実装基板10表面の中央部(短手方向の中央部)に長手方向に沿って等間隔且つ直線状に並べて実装され、透光性を有し且つ蛍光材料が混合された合成樹脂製の封止部材12で封止されている。すなわち、LEDチップ11から放射される光(例えば、青色光)の一部が蛍光材料で波長変換され、波長変換された光(例えば、黄色光)と波長変換されなかった光(青色光)が混ざることにより、光源部1から放射される光が全体として白色光となる。
【0015】
放熱部材2は、長尺の平板状に形成され、絶縁部材3を介して光源部1が載置される主片20と、主片20の両端(長手方向に沿った両端)より主片20の厚み方向に延びる一対の側片21とが熱伝導度の高い材料(例えば、アルミ板)によって一体に形成されている。また、主片20の一方の面(光源部1が載置される面。以下、載置面と呼ぶ。)には、光源部1に近付く向きに突出する複数の突条部22が長手方向に沿って突設されている。
【0016】
絶縁部材3は、放熱部材2の主片20と光源部1の間に介装される主部30と、主部30の両端(長手方向に沿った両端)より光源部1に近付く向きに立ち上がる当接部31と、各当接部31の先端より突出する一対の反射部32とが合成樹脂成形体として一体に形成されてなる。一対の反射部32は、当接部31から離れるに従って外側に開くように傾斜し、光源部1に対向する側の表面(図1における上面)が反射面となって光源部1から放射される光を前方(図1における上方)へ反射する。また、絶縁部材3が放熱部材2の主片20上に載置された状態において、突条部22が挿通される長孔状の挿通孔33が主部30の中央に貫通している。さらに絶縁部材3の長手方向の一端側には、放熱部材2の端部を塞ぐ壁部34が突設されるとともに一対の当接部31の両端を連結する第2当接部35が形成されている。
【0017】
また絶縁部材3は、放熱部材2の主片20に設けられた複数の位置決め孔20Aにそれぞれ挿通される複数の位置決め突起36を有している。位置決め突起36は、短手方向(図3における左右方向)の両端から放熱部材2の主片20に近付く向き(図3における上向き)に突出する円柱形状に形成されるとともに、長手方向に沿って等間隔に配設されている。而して、主片20に設けられている位置決め孔20Aにそれぞれ位置決め突起36が挿通され、且つ主部30の挿通孔33に突条部22が挿通されることにより、放熱部材2の主片20に対して絶縁部材3が位置決めされる。なお、位置決め突起36と反対向き(図2における下向き)に突出する円柱状の突起37が各位置決め突起36と一体に形成されている。これらの突起37は、光源部10並びに放熱部材2を前方及び側方から覆う透光性のカバー5を支持するためのものである。
【0018】
さらに反射部32における反射面と反対側の面には、当接部31と略平行に突出する突部38がそれぞれ突設され、各突部38の先端に外向き(主部30から離れる向き)に突出する係止爪38Aが突設されている。つまり、これらの係止爪38Aが放熱部材2の側片21に設けられている係止孔21Aに挿入係止されることで放熱部材2と絶縁部材3が抜け止めされる(図1参照)。
【0019】
取付部材4は、長尺矩形状の底板40と、底板40の長手方向に沿った両端より立ち上がる一対の側板41とが鋼板などの金属板が曲げ加工されることで一体且つ略角樋状に形成され、側片21間に収納された状態で放熱部材2に固定される。なお、取付部材4と放熱部材2との固定は、放熱部材2の主片20の長手方向両端に設けられているねじ挿通孔20Bに挿通される固定ねじ(図示せず)が、底板40の長手方向両端に形成されているねじ孔42に螺合することで行われる。
【0020】
さらに、取付部材4には取付金具43を用いてレセプタクルコネクタ6が取り付けられている。レセプタクルコネクタ6は、光源部1の導電体と電気的に接続された電線(図示せず)が接続される接続端子部60と、プラグコネクタ(図示せず)に差し込まれるコネクタ接続部61とを有している。プラグコネクタは電線を介して点灯装置(図示せず)に接続されており、プラグコネクタがレセプタクルコネクタ6に挿抜自在に差込接続される。すなわち、プラグコネクタとレセプタクルコネクタ6が差込接続されることで点灯装置と光源部1が電気的に接続され、点灯装置から光源部1に給電されて光源部1が発光(点灯)するのである。
【0021】
取付金具43は、レセプタクルコネクタ6を保持する矩形枠状のコネクタ保持部43Aと、コネクタ保持部43Aの端部より曲げ起こされた略台形状の支持部43Bと、支持部43Bの先端より突出する一対の固定爪43Cとが鋼板などの金属板によって一体に形成されてなる。取付金具43は、取付部材4の底板40の端部に形成されている一対の固定溝40Aに固定爪43Cが挿通され、且つ支持部43Bを貫通するねじ挿通孔43Dに挿通されたねじが底板40の長手方向両端に形成されているねじ孔42に螺合することで底板40に固定される。
【0022】
カバー5は、アクリル樹脂やポリカーボネート樹脂などの透光性を有する合成樹脂材料により、底部50と底部50の周囲を囲む側壁部51を有する長尺の矩形箱状に形成されている。また、長手方向に沿った一対の側壁部51には、放熱部材2の側片21に形成されている複数の係合突起21Bが係脱自在に係合する複数の係合凹部52が形成されている。
【0023】
次に、本実施形態のLEDユニットの組立手順を説明する。まず、光源部1が一対の絶縁部材3の各主部30の載置面に載置され、接着やかしめなどの適当な方法によって各絶縁部材3と結合される。このとき、載置面に載置された光源部1(実装基板10)は、長手方向に沿って絶縁部材3の各当接部31に当接することで短手方向の位置ずれが抑制され、且つ短手方向に沿って各絶縁部材3の第2当接部35に当接することで長手方向の位置ずれが抑制される。
【0024】
続いて、光源部1と結合された一対の絶縁部材3が放熱部材2の主片20に取り付けられる。このとき、絶縁部材3の係止爪38Aが放熱部材2の側片21に設けられている係止孔21Aに挿入係止され、絶縁部材3が放熱部材2に対して抜け止めされる。そして、取付金具43によってレセプタクルコネクタ6が取り付けられた取付部材4が放熱部材2と固定される。最後に、底部50を光源部1に対向させる向きでカバー5が放熱部材2に被せられ、側壁部51の係合凹部52に側片21の係合突起21Bが係合してカバー5が放熱部材2に結合されることでLEDユニットが完成する。
【0025】
上述のように本実施形態によれば、光源部1(実装基板10)が長手方向に沿って絶縁部材3の各当接部31に当接することで短手方向の位置ずれが抑制され、且つ短手方向に沿って各絶縁部材3の第2当接部35に当接することで長手方向の位置ずれが抑制される。また、光源部1の発光(点灯)中に発生する熱は、実装基板10から突条部22を通じて放熱部材2に伝導されることで効率的に放熱される。
【0026】
また、光源部1から放射される光が絶縁部材3に設けられている反射部32の反射面で前方へ反射されるので、光源部1の光を効率よく前方へ照射することができる。しかも、反射面を有する反射部32が絶縁部材3に一体に形成されているので、絶縁部材3と別体に反射板を構成する場合と比較して部品点数の削減による組立性の向上や小型化などが図れるという利点がある。
【0027】
ところで、光源部1の実装基板10には数十個のLEDチップが実装されるとともに導電体によって直列接続されており、LEDチップの順電圧(例えば、3.5ボルト)に直列接続されている個数を乗算した電圧(例えば、35ボルト〜70ボルト)が光源部1に印加される。故に、本実施形態では絶縁部材3によって光源部1の導電体と放熱部材2との間の絶縁距離を確保している。しかしながら、本実施形態では長手方向における光の均斉度向上を目的として実装基板10の長手方向の両端近傍までLEDチップが実装されているので、光源部1の長手方向両端部における絶縁距離が他の部分における絶縁距離よりも短くなっている。
【0028】
そこで本実施形態では、絶縁部材3の挿通孔33が、主部30に載置される実装基板10の長手方向の両端近傍に届かない寸法に形成されている。つまり、実装基板10の長手方向両端部が載置される主部30の両端部には挿通孔33が形成されていないため、実装基板10の端部から挿通孔33に挿通される放熱部材2の突条部22までの絶縁距離(鉛面距離)を確保することができる。
【0029】
また、光源部1の放熱性を高めるためには、放熱部材2の突条部22と実装基板10との接触面積をできるだけ大きくすることが望ましい。しかしながら、接触面積を増やすために突条部22の幅寸法を大きくした場合、絶縁部材3の挿通孔33の幅寸法も大きくしなければならず、光源部1の長手方向に沿った両端縁から放熱部材2までの絶縁距離が短くなってしまう。したがって、絶縁部材3においては、厚み方向(図1における上下方向)から見て導電体と重なる範囲d内に挿通孔33が設けられることが好ましい。このようにすれば、導電体と放熱部材2の絶縁距離を確保しつつ光源部1の放熱性の向上を図ることができる。
【符号の説明】
【0030】
1 光源部
2 放熱部材
3 絶縁部材
10 実装基板
11 LEDチップ(固体発光素子)
22 突条部(実装基板の裏面に接触する部位)
31 当接部
33 挿通孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺の板状に形成された実装基板の表面に1乃至複数個の固体発光素子が実装されてなる光源部と、少なくとも一部が長手方向に沿って前記実装基板の裏面に接触する放熱部材と、絶縁材料によって長尺の板状に形成され、前記光源部と前記放熱部材との間に介装される絶縁部材とを備え、前記絶縁部材は、前記実装基板の長手方向に沿った両側の端面にそれぞれ当接する一対の当接部と、前記実装基板の裏面に接触する前記放熱部材の部位が挿通される挿通孔とを有することを特徴とする発光装置。
【請求項2】
前記絶縁部材は、前記実装基板の長手方向に対向する両側の端面にそれぞれ当接する一対の第2当接部を有することを特徴とする請求項1記載の発光装置。
【請求項3】
前記光源部は、前記実装基板の長手方向の両端近傍まで前記固体発光素子が実装されており、前記絶縁部材は、前記挿通孔の長手方向の両端が前記実装基板の長手方向の両端近傍に届かない寸法に形成されていることを特徴とする請求項1又は2記載の発光装置。
【請求項4】
前記光源部は、前記固体発光素子に給電するための導電体が前記実装基板の表面に形成されてなり、前記絶縁部材は、厚み方向から見て前記導電体と重なる範囲内に前記挿通孔が設けられてなることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の発光装置。
【請求項5】
前記絶縁部材は、前記実装基板の表面よりも前方に突出して前記固体発光素子から放射される光を反射する反射部を有することを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の発光装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−69879(P2013−69879A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−207498(P2011−207498)
【出願日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】