説明

発呼の際に時間シフトする記録の切替

本発明は、放送番組の連続的な記録を提供するとともにユーザが番組の見失った部分を再生できるようにするTiVoデジタルビデオレコーダ(DVR)又はReplayTV DVRのような形態を利用する。本発明は、呼のような入力/出力通信イベントの日付及び時刻並びに現在見ているチャネル番号を記録する。記録された日付、時刻及びチャネル番号を参照しながら、現在の番組を見続けることと一つ以上の発呼/着呼が原因で見失った部分から開始する番組全体を見ることに戻ることとの間の選択を、ユーザに許容する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に消費者エンターテイメントシステムに関する。更に詳しくは、本発明は、入力又は出力通信イベントのオンライン接続が確立されたときの時刻を記録するためにTVシステムで利用されるセットトップターミナルに関する。これによって、現在のTVショーを見続けるかオンラインシステムが確立されたときからそれを見るかについての柔軟性をユーザに許容する。
【背景技術】
【0002】
セットトップターミナルは、ケーブルTVサービスや、インタラクティブサービスのような種々の形態及びオプションをユーザに提供するためにTVシステムに関連して広く用いられている。近年において、セットトップボックスの機能は、呼のような通信イベントに応答した生のTVショーの管理及び追跡のようなサービスを含むように更に拡張されている。ユーザが関心あるTVショーを見ている間に着呼があるとき、ユーザは、電話に出てTVショーの一部を見失うか、着呼に応答するものの後で発呼してくるよう呼出し人に頼むか、単に着呼を放置するかの決定を行う必要がある。予測され、重要な又は緊急の着呼の場合、ユーザは、着呼に応答してTVショーの一部をスキップする以外選択の余地がない。着呼を処理する方法の一つは、TVショーをビデオ記録装置に記録することであるが、ユーザは常に、何も記録されていないビデオテープが記録装置に存在することを確認するとともに着呼があるときに迅速に動作する必要がある。
【0003】
着呼を処理する他の方法は、TV番組を休止するシステムを使用することである。このシステムは、休止中にTV番組をバッファリングし、ビデオ番組の見失った部分の再生をユーザに許容する。そのような例は、Discovery Communications, Incによって出願された国際特許出願番号WO02/03683に開示されている。
【0004】
しかしながら、上記システムは、複数の不利益を被る。先ず、互いに相違する時間に生じた複数の着呼に応答して適切にTV番組をバッファリングするのが困難である。例えば、着呼に応答して、システムがTV番組をバッファリングするとともにTV番組の見失った部分の再生をユーザに許容する。ユーザが見失った部分を見る間、他の着呼がある、等々。そのような状況において、システムは、着呼に応答する度にTV番組をバッファリングする必要がある。しかしながら、実際にはそれは不可能である。このシステムの他の不利益は、現在のTV番組、特に、生のスポーツイベントの場合にユーザが見続けるのを許容する柔軟性に欠けることである。
【0005】
したがって、一つ以上の通信イベントに応答してTV番組を管理する際にユーザに更なる柔軟性を提供する向上したシステムが必要となる。
【発明の開示】
【0006】
本発明は、一つ以上の通信イベントに応答してTV番組を管理する際にユーザに更なる柔軟性を与える解決を提供する。
【0007】
本発明は、放送番組を連続的に記録するとともに番組の任意の見失った部分の再生をユーザに許容するTiVo VDRやReplayTV DVRのようなデジタルビデオレコーダ(VDR)の形態を利用する。本発明の一例によれば、それは、通信イベントのオンライン接続が確立されたか否かを検出する。オンライン接続を検出すると、それは、オンライン接続の日付及び時刻並びに現在見られているチャネル番号を記録する。この場合、ユーザは、現在再生されているビデオ番組を見続けることとオンライン接続が確立されたときからビデオを見ることとの間の選択が許容される。ユーザが、オンライン接続が確立されたときからビデオ番組を見ることを選択する場合、ユーザによって選択された記録した日付及び時刻から開始するビデオコンテンツが、記憶装置から検索され、その後再生される。それに対して、ユーザが、現在再生されているビデオ番組を見続けることを選択する場合、現在のビデオ番組が再生される。
【0008】
複数の通信イベントが互いに相違する時間で生じる場合、ユーザは、ビデオ番組を再生するために所望の日付及び時刻を選択するようプロンプトされる。ユーザによって選択された日付及び時刻から開始する、選択された日付及び時刻に関連したチャネル番号に対するビデオコンテンツは、検索され、その後再生される。
【0009】
本発明の十分な理解に伴う他の目的及び達成は、添付図面に関連した以下の説明及び請求の範囲を参照することによって明らかになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明を、添付図面を参照しながら例示して更に詳細に説明する。
図面中、同一参照番号は、同様な又は対応する形態又は機能を示す。
図1は、本発明の一実施の形態による、TVセット20とともに用いられるセットトップターミナル10を示す機能ブロック図を示す。ターミナル10は、ビデオ信号の受信及び復号化のような通常の機能の実行を含む複数の形態を有する。それは、アメリカ合衆国カリフォルニア州のアルビソ(Alviso)に所在するTiVoから市販されているTiVO DVRによって提供されるものや、アメリカ合衆国カリフォルニア州のサンタクラーラ(Santa Clara)に所在するSONICblue Inc.から市販されているReplayTV DVRによって提供されるもののようなデジタルビデオレコーダ(DVR)形態も実現する。DVRは、ユーザが受信する全てのチャネルの番組スケジュールを知っている。ターミナル10は、ユーザの命令に基づいて、後の再生のために番組を内蔵ハードディスクに記録する。ユーザは、生の又は予め記録された任意の番組を休止し、巻戻し、早送りし又はスローモーションで見ることができる。本発明のターミナル10は、これらの形態を利用し、電話機30及び移動体装置40からの発呼や、見られているチャネル番号のような入力/出力通信イベントの日付及び時刻を記録する。ターミナル10は、記録された日付、時刻及びチャネル番号を参照しながら、現在の番組を見続けることと、一つ以上の着呼/発呼のために見失った部分から開始する番組全体を見ることに戻ることとの間の選択に対する更に大きな柔軟性を有することをユーザに許容する。
【0011】
図2は、本発明の実現を示すターミナル10の更に詳細な図である。図2において、ターミナル10は、三つの主要な構成要素:ハードウェア210、システムソフトウェア220及びアプリケーションソフトウェア240を有する。ハードウェア210は、電話機30への接続を行う電話インタフェース212と、移動体装置40との接続を行う無線インタフェース40と、ビデオ信号及び他のデータを格納する記憶装置215(例えば、ハードディスク)と、通常のハードウェア218とを有する。システムソフトウェア220は、ミドルウェア222と、リアルタイムオペレーティングシステム(RTOS)及びTVプラットホーム224と、記憶装置216を管理するストレージマネージャ226と、電話機30又は移動体通信40のオンライン接続を検出するとともにオンライン接続が確立されると常に日付、時刻及び見られているチャネル番号を記録するマークアップモジュール228とを有する。記録された着呼の日付及び時刻並びにチャネル番号は、後の検索のために記憶装置216に格納される。アプリケーションソフトウェア240は、ユーザに関連する、例えば、特定の機能を実行するためにユーザに入力をプロンプトするとともにユーザのコマンドを受信するマークアップアプリケーションソフトウェア216を有する。
【0012】
図3は、本発明の一実施の形態によるセットトップターミナル10の動作を説明するフローチャートを示す。この動作において、ターミナル10は、オンライン接続をモニタし、呼のような入力又は出力通信イベントの日付及び時刻並びに見られているTVセット20の現在のチャネル番号を記録する。そのような日付、時刻及びチャネル番号を追跡し続けることによって、ターミナル10は、現在のビデオ番組を見続け又はオンライン接続が確立されたときからビデオ番組を見るオプションをユーザに提供することができる。本発明は、複数の通信イベントが互いに相違する時間に生じたときにユーザに対して更なる柔軟性を提供する。
【0013】
図3に示すように、ステップ310において、ターミナル10は、電話機30及び移動体装置40から生じた発呼又は着呼のオンライン接続をモニタする。ユーザが電話機をとったときにステップ320でオンライン接続を検出すると、ターミナル10は、オンライン接続が確立されたときの日付及び時刻並びに現在見られているチャネル番号を記録する(ステップ330)。ステップ340において、データセット(すなわち、日付、時刻及び現在のチャネル番号)は、テーブル形式で記憶装置216、例えば、ハードディスクに格納される。図4に関連して更に詳細に説明するように、後の使用を容易にするために各通信イベントを参照しながらシーケンス番号を各データセットに割り当てる。
【0014】
ユーザが電話機を持ち上げたときにオンライン接続の切り離しを検出すると(ステップ350)、ターミナル10は、ユーザの入力をプロンプトし(ステップ360)、オンライン接続が確立されたときから開始するビデオ番組を見るか否かのオプションをユーザに提供する。例えば、現在の番組がフットボールの試合のような放送イベントであるためにユーザが現在の番組を見続けることを所望する場合、ターミナル10は、現在のビデオ番組を見ることをユーザに許容する(ステップ380)。それに対して、例えば、現在の番組がドラマ又はTVシリーズであるためにユーザがビデオ番組の見失った部分を見ることを所望する場合、ターミナル10は、オンライン接続が確立された所望の日付及び時刻をテーブルから選択するようユーザにプロンプトする(ステップ390)。入力が検出されない場合、最新のデータセットのチャネル情報が、記録されたビデオ番組を検索するために自動的に用いられる。関連のチャネル番号に対して選択した日付及び時刻から開始するビデオ番組が再生される(ステップ392)。
【0015】
通信イベントに対してオンライン接続が確立されると常に日付及び時刻を追跡することによって、本発明は、特に複数の入力/出力通信イベントが互いに相違する時間に生じるときに更に大きな柔軟性をユーザに提供する。ユーザは日付及び時刻を選択するだけでよく、関連のチャネル番号は、選択した日付及び時刻からのビデオ番組の再生を開始するために検索され及び用いられる。
【0016】
図4は、入力又は出力通信イベントのオンライン接続が確立されるときに記憶装置216に格納すべき日付、時刻及び関連のチャネル番号を構成する典型的ないテーブル形式を示す。このテーブルにおいて、シーケンス番号は、各オンライン接続に対して割り当てられ、日付、時刻及びチャネル番号からなるデータセットに関連させる。これによって、ユーザは複数の入力/出力通信イベントを容易に追跡し続けることができる。
【0017】
上記実施の形態において、呼を入力/出力通信イベントの一例として用いた。本発明を、eメールや、ページャや、SMS(ショートメッセージサービス)のような他のタイプの通信イベントに関連して用いることもできる。さらに、本発明のセットトップターミナルを個別の素子として示したが、それをTVセットに統合することができる。
【0018】
本発明を、特定の実施の形態に関連して説明したが、幾多の代案、変更及び変形は、これまでの説明から当業者には明らかである。したがって、添付した特許請求の範囲には、そのような代案、変更及び変形の全てが含まれることを意図している。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施の形態による、TVセットとともに用いられるセットトップターミナルを示す機能ブロック図である。
【図2】本発明の一実施の形態によるセットトップターミナルの更に詳細な図である。
【図3】本発明の一実施の形態によるセットトップターミナルの動作を説明するフローチャートである。
【図4】格納すべき日付、時刻及びアドレス情報を構成する典型的なテーブルフォーマットを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続的に現在のビデオ番組を記録するように構成された記憶装置と、
通信イベントのオンライン接続を検出するように構成された検出回路と、
前記記憶装置と前記検出回路との間で作動的に結合され、前記オンライン接続の日付及び時刻並びに現在見られているチャネル番号を記録するように構成された記録回路と、
前記検出回路に作動的に結合され、現在再生されているビデオ番組を見続けることとオンライン接続が確立されたときからのビデオ番組を見ることとの間での選択を、ユーザに許容するように構成された選択回路とを具えることを特徴とするセットトップターミナル。
【請求項2】
前記記憶装置及び前記選択回路に作動的に結合され、ユーザが、オンライン接続が確立されたときからビデオ番組を見ることを選択する場合、ユーザによって選択される記録された日付及び時刻から開始するビデオコンテンツを、前記記憶装置から検索するように構成された検索回路を更に具えることを特徴とする請求項1記載のセットトップターミナル。
【請求項3】
前記検索回路に作動的に結合され、検索されたビデオコンテンツを再生するように構成された再生回路を更に具えることを特徴とする請求項2記載のセットトップターミナル。
【請求項4】
前記選択回路が、前記ビデオ番組を再生するために所望の日付及び時刻を選択するようユーザの入力をプロンプトするように構成されたプロンプト回路を有し、
前記検索回路が、選択された日付及び時刻に関連したチャネル番号に対するビデオコンテンツを検索することを特徴とする請求項2記載のセットトップターミナル。
【請求項5】
前記検索回路に作動的に結合され、検索されたビデオコンテンツを再生するように構成された再生回路を更に具えることを特徴とする請求項4記載のセットトップターミナル。
【請求項6】
前記記憶装置が、前記通信イベントのオンライン接続に関連するデータセットとしての予め規定されたテーブルの日付、時刻及び現在見られているチャネル番号を、各データセットに対するシーケンス番号に従って格納することを特徴とする請求項1記載のセットトップターミナル。
【請求項7】
現在のビデオ番組を連続的に記憶装置に記録するシステムの通信イベントのオンライン接続の時刻を追跡する方法であって、
通信イベントのオンライン接続が確立されたか否かを検出するステップと、
前記オンライン接続の検出に応じて、前記オンライン接続の日付及び時刻並びに現在見られているチャネル番号を記録するステップと、
現在再生されているビデオ番組を見続けることとオンライン接続が確立されたときからのビデオ番組を見ることとの間の選択を、ユーザに許容するステップとを具えることを特徴とする方法。
【請求項8】
前記ユーザが、前記オンライン接続が確立されたときからのビデオ番組を見ることを選択する場合、前記ユーザによって選択される記録された日付及び時刻から開始するビデオコンテンツを、前記記憶装置から検索するステップを更に具えることを特徴とする請求項7記載の方法。
【請求項9】
前記検索されたビデオコンテンツを再生するステップを更に具えることを特徴とする請求項8記載の方法。
【請求項10】
前記記録するステップの後に、前記ビデオ番組の再生のために所望の日付及び時刻を入力するようユーザの入力をプロンプトするステップを更に具え、
前記ビデオコンテンツが、選択された日付及び時刻に関連したチャネル番号から探索されることを特徴とする請求項8記載の方法。
【請求項11】
前記検索されたビデオコンテンツを再生するステップを更に具えることを特徴とする請求項10記載の方法。
【請求項12】
前記通信イベントのオンライン接続に関連するデータセットとしての予め規定されたテーブルの日付、時刻及び現在見られているチャネル番号を、各データセットに対するシーケンス番号に従って格納するステップを更に具えることを特徴とする請求項7記載の方法。
【請求項13】
チューナと、
前記チューナに作動的に結合したディスプレイと、
前記チューナに作動的に結合した記録装置とを具え、前記記録装置が、
連続的に現在のビデオ番組を記録するように構成された記憶装置と、
通信イベントのオンライン接続を検出するように構成された検出回路と、
前記記憶装置と前記検出回路との間で作動的に結合され、前記オンライン接続の日付及び時刻並びに現在見られているチャネル番号を記録するように構成された記録回路と、
前記検出回路に作動的に結合され、現在再生されているビデオ番組を見続けることとオンライン接続が確立されたときからのビデオ番組を見ることとの間での選択を、ユーザに許容するように構成された選択回路とを具えることを特徴とするテレビジョン(TV)セット。
【請求項14】
前記記録装置が、前記記憶装置及び前記選択回路に作動的に結合され、ユーザが、オンライン接続が確立されたときからビデオ番組を見ることを選択する場合、ユーザによって選択される記録された日付及び時刻から開始するビデオコンテンツを前記記憶装置から検索するように構成された検索回路を更に具えることを特徴とする請求項13記載のTVセット。
【請求項15】
前記記録装置が、前記検索回路に作動的に結合され、検索されたビデオコンテンツを再生するように構成された再生回路を更に具えることを特徴とする請求項14記載のTVセット。
【請求項16】
前記選択回路が、前記ビデオ番組を再生するために所望の日付及び時刻を選択するようユーザの入力をプロンプトするように構成されたプロンプト回路を有し、
前記検索回路が、選択された日付及び時刻に関連したチャネル番号に対するビデオコンテンツを検索することを特徴とする請求項14記載のTVセット。
【請求項17】
前記記録装置が、前記検索回路に作動的に結合され、検索されたビデオコンテンツを再生するように構成された再生回路を更に具えることを特徴とする請求項16記載のTVセット。
【請求項18】
前記記憶装置が、前記通信イベントのオンライン接続に関連するデータセットとしての予め規定されたテーブルの日付、時刻及び現在見られているチャネル番号を、各データセットに対するシーケンス番号に従って格納することを特徴とする請求項13記載のTVセット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2006−504321(P2006−504321A)
【公表日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−546294(P2004−546294)
【出願日】平成15年10月20日(2003.10.20)
【国際出願番号】PCT/IB2003/004683
【国際公開番号】WO2004/039072
【国際公開日】平成16年5月6日(2004.5.6)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips Electronics N.V.
【住所又は居所原語表記】Groenewoudseweg 1,5621 BA Eindhoven, The Netherlands
【Fターム(参考)】