発汗装置
【課題】小型で大量の発汗を促し、爽快感に優れ、かつ未病管理に貢献する発汗装置を提供する。
【解決手段】平面状の発熱シート2を上・下に配置すると共に、この両発熱シート2に液状の蓄熱剤を充填した蓄熱マット5,6をそれぞれ積層配置し、両発熱シート2の間に利用者の人体を収容し、その人体4の背側面を蓄熱マット5上に延在する加熱する空間を形成し、加熱空間の内部に利用者を横臥させ、その人体4の背面と胸面とを、前記蓄熱マット5,6に蓄熱された熱をヒーターからの発熱を蓄熱体を介在させることによって間接加熱して体温付近の温度で大量の熱量を注入する発汗方法。
【解決手段】平面状の発熱シート2を上・下に配置すると共に、この両発熱シート2に液状の蓄熱剤を充填した蓄熱マット5,6をそれぞれ積層配置し、両発熱シート2の間に利用者の人体を収容し、その人体4の背側面を蓄熱マット5上に延在する加熱する空間を形成し、加熱空間の内部に利用者を横臥させ、その人体4の背面と胸面とを、前記蓄熱マット5,6に蓄熱された熱をヒーターからの発熱を蓄熱体を介在させることによって間接加熱して体温付近の温度で大量の熱量を注入する発汗方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、利用者が横臥姿勢にて風呂の温度程度の低温にて簡単に、しかも短時間に人体に大量の熱量を蓄熱体を介して、間接加熱により強制的に注入して発汗を促すことができる発汗装置に関する。
【背景技術】
【0002】
大量の発汗を伴いながら血液の循環を促進して体調を整える手段として、サウナ風呂が利用されている。このサウナ風呂は、室内の空気を高温に加熱して利用者に対して短時間に大量の熱を与え、それに伴って短時間に大量の発汗をさせて血液の循環を促進するもので、このサウナ風呂から出た後の爽快感を与えている方法として一般的に利用している。
【0003】
このサウナ風呂は、90℃〜110℃の高温に室内の空気を加熱する高温サウナと、45〜50℃前後に加熱するミストサウナとが知られている。
【0004】
大型のサウナ装置については、椅子を周囲に形成したサウナ室の天井に、室内の空気を加熱すると共に遠赤外線を放射する加熱装置を設けた低温サウナ装置が提案されている(特許文献1)。
【0005】
また、一般家庭の風呂程度に小型にしたサウナ装置として浴室の天井部に加熱装置を配置し、浴室内の空気を循環させながら加熱するものが提案されている。
【0006】
何れのサウナ風呂の遠赤外線装置も、穏やかな赤外線の照射であり人体に大量の熱を受熱させることはできないものである。また、高温サウナは温度100℃程度、湿度1%程度であり、その不快指数(汗かき指数)は約128である。ここでは、汗のかき易さの一つの目安として、一般にいう不快指数を「汗かき指数」と定義する。なお、不快指数は、温度をT(℃)、湿度をH(%)とし、次式により求められる。
不快指数=0.81T+0.01H(0.99T−14.3)+46.3
【0007】
前記汗かき指数と体感は、快適(指数:65〜70)、暑くて汗が出る(指数:80〜85)、暑くてたまらない(指数:85以上)と分類されている。通常、人体が快適に感ずる温度は23℃程度、湿度50%程度であって、その汗かき指数は約69である。
【0008】
そして、前記ミストサウナは温度50℃程度、湿度100%であるので、その汗かき指数は約122である。前述の高温サウナもミストサウナも汗かき指数が85を遙かに超えており、暑くてたまらず汗が大量に出るのである。換言すると、人体から大量の発汗を促すには、汗かき指数を100以上とする必要があったのである。
【0009】
また、ミストサウナよりも低温のものとしては、40℃程度に温めた岩石などの上に横たわって使用される岩盤浴が知られている。ところが岩盤浴は、その温度と湿度(80%以上)という環境で行われており、これが細菌やカビなどの繁殖に適した環境となり、利用者の汗や皮脂などを養分として浴室や岩盤に細菌等が繁殖してしまうことがあった。従って、定期的に消毒・乾燥をさせなければならなかった。そして、汗かきは約99であり、暑くてたまらず汗が出るのである。
【0010】
更に全身美容を行うエステティックサロンにおいては、ベッドの上にタオル地からなる電熱毛布を敷いて、その上に人体を横たえ、毛布で全身を包んだ状態で加熱して各種の美容方法を行っている。この用途に使用されるベッドは、耐水性のあるものが使用され、人体を包んだ毛布によって人体を電熱により温めている。この電熱毛布は、線状のヒーターが内蔵されており、80℃以上の高温となっているヒーターにより利用者が火傷をしたり、漏れ電磁波や感電といった問題があった。
【0011】
いずれにしても発汗手段としてのサウナ装置は大型のものであり、一般家庭に設置することは簡単にできない。例えば、床の上に寝袋を敷いてその中に人体を横たえるだけで体を温める寝袋が提案されている(特許文献3、特許文献4)。
【0012】
【特許文献1】特許第2808368号
【特許文献2】実用新案第3029324号
【特許文献3】特開2001−46204号公報
【特許文献4】特開平9−182653号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
例えば、30分以内のような短時間に大量の発汗を目的とする場合は、前記特許文献1および特許文献2に記載された本格的なサウナ風呂が有効である。しかし、一般のサウナ風呂においては90℃〜100℃にも加熱された高温空気との接触で人体を加熱することになるので、この高温に耐えられる時間は若い男性でもごく短時間であり、このような高温に耐えられる女性は若くて元気のある人達に限定される。更に、サウナ風呂は連続での入浴は15分程度であり、この短時間に人体が受熱する熱量は数十kcal(約50kcal)と僅かなものである。
【0014】
サウナ風呂は、前述のようにサウナ室に充満している空気の全てを加熱しなければならなので、大量の加熱エネルギーを必要としている。ところが、人体に熱を付与しているのは、人体に接触する空気だけであるので、人体への熱伝導の効率が極めて低いのである。この空気の平均分子量を29とし、人体近傍の熱の付与に貢献する空気を1m3とすると、その空気の熱量は約23kcalと小さいことがわかる。
【0015】
そして、高温空気と人体との温度差は約70℃もあるので息苦しい上に、人によっては熱中症になったり、脱水状態となる危険性があるので、1回当たり15分程度の利用と30分程度の休息、水分補給が必要であった。
【0016】
また、特許文献3に記載された発明は、表面シートと裏面シートとの間に中綿を介在した寝袋であって、中綿を吸放湿吸水発熱性繊維材料からなる発熱性中綿と、発熱性を有しない合成繊維からなる中綿の2層構造としたものであり、吸放湿吸水発熱性繊維材料からなる中綿の吸湿性と発熱性により寝袋内の環境を温暖かつ乾燥状態に保つようにしたものである。従って、この寝袋では発汗を促すような作用効果を有するものではなく、単なる寝具である。
【0017】
更に特許文献4に記載された寝袋は、保温効果を高めて睡眠を保証することを主体としており、発汗を目的とするものではない。
【0018】
また、特開2001−70463号公報(参考文献)には、顕熱型蓄熱体としてコンクリート層を設け、その上にセラミックボールを敷き、コンクリート層を加熱媒体で加熱しながら蓄熱体とセラミックボールとを介して赤外線を放射して体を温めるもので、かなり大がかりな装置となる。また、大量発汗についての効果は余り期待することができない。
【0019】
更にまた、寝た姿勢で発汗させるものとして、砂風呂が利用されている。この砂風呂は、50℃程度に加熱された砂床に人体形状の窪み形成し、この窪みに合わせて浴衣などを着衣した使用者が横臥状態となり、使用者の頭部を除く全身に60℃程度に加熱された砂を被せ、全身が砂の中にすっぽりと覆い被された状態で使用されるものである。
【0020】
ところで、前記砂風呂は、全身を横たえるのに十分な広さの「砂場」が必要であり、また、全身を覆い被せるだけの大量の砂を必要とし、その加熱設備等も大型化するので砂浴専用の施設や温泉、観光地で利用されるものであった。また、使用者一人あたりに必要な砂の量は、砂を人体に密着させるために50kg程度は必要であり、重量が重い上に、その砂の熱量は、砂の比熱が0.2kcal/kg・℃であるので、温度差20℃で約190kcalと重量が重い割には小さい熱量となっている。さらには、人体と砂との温度差が約20℃以上もあるので、さらさらの汗が大量に分泌されることとなり、人体の体温も上昇するので連続15分以上は使用できず、十分な休息と十分な水分補給も必要とされている。そして、15分間に人体が砂から受熱した熱量は、100kcal程度しかないのである。
【0021】
そして、人体よりも20℃以上も高温にしなければならないので、加熱に必要なエネルギーを多く必要とし、また砂は顕熱のみで熱を放出して冷えてしまうので使用中は加熱手段により砂を加熱し続けなくてはならなかった。また、体中に砂が付着して汚れてしまうので体を濯いで砂を洗い落とさなくてはならないという手間もかかった。
【0022】
また、砂の中は湿度が90%程度となっており、砂風呂の汗かき指数は約118である。
【0023】
布団の上や寝袋の中、あるいはベッドに寝たような楽な姿勢で、しかも乾式で大量発汗をさせて爽快感を与えながら全身美容術を施すことができれば、従来の泥浴などを使用するエステティック方法に比較して遙かに簡単な方法で全身美容方法を行うことができる。
【0024】
更に、単に寝た姿勢(横臥姿勢)で、大量発汗を発生し、その発汗に伴って体重を低下させることができ、使用後も爽快感が残り、体に心が温まったような状態となり、更に小型になって収納ができるものであれば、従来の寝袋やサウナ装置にはない効果と便利さを得ることができる、従来にない装置を制作することができる。
【0025】
本発明は、前記各種の従来技術の課題に鑑み、通常の寝具である布団や寝袋に類似した形態を有しながら、従来の寝袋型の発汗装置に比較して遙かに快適な受熱感を感じながら、45℃以下ないし少しばかり高めの風呂程度の温度、ないし体温に近い温度でありながら、大量の熱量を人体に注入して、短時間に大量の発汗を促すことができる、従来にない、発汗方法とその装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0026】
本発明にかかる発汗方法は、次のように構成されている。
1.平面状の発熱シートを上・下に配置すると共に、この両発熱シートに液状の蓄熱剤を充填した蓄熱マットをそれぞれ積層配置し、前記両発熱シートの間に利用者の人体を収容し、その人体の背側面を蓄熱マット上に延在する加熱空間を形成し、前記加熱空間の内部に利用者を横臥させ、その人体の背面と胸面とを、前記蓄熱マットに蓄熱された熱を放出して体温付近の温度で加熱することを特徴としている。
2.平面状の発熱シートを上・下に配置すると共に、この両発熱シートに平行して蓄熱完了状態で液状となり、放熱完了状態で固化する性質を持つ潜熱型蓄熱剤を充填した蓄熱マットをそれぞれ積層配置し、前記両発熱シートの間に利用者の人体を収容し、その人体の背側面を蓄熱マット上に延在する加熱空間を形成し、前記加熱空間の内部に利用者を横臥状態位置させ、人体の背側面と胸側面とを、前記蓄熱マットにより蓄熱された熱を放出して人体を加熱することを特徴としている。
【0027】
また、本発明にかかる発汗装置は次のように構成されている。
3.平面状の発熱シートを連続あるいは分割して上・下に間隔を開けて配置すると共に、この発熱シート上に蓄熱完了状態で液状となり、放熱完了状態で固化する性質を持つ潜熱型蓄熱剤を内蔵した蓄熱マットをそれぞれ積層配置し、利用者が横臥姿勢で前記背面の蓄熱マットに体重を負担させ、更に胸面の蓄熱マットなどの重量一部あるいは全部を前記利用者に負荷させると共に、その利用者に蓄熱マットが保有する熱量を接触状態で熱伝達するように構成し、更に、前記利用者を吸湿性を持つ衣服、寝袋、シーツなどで包み、発汗した汗を吸収しながら加熱するように構成したことを特徴としている。
4.前記蓄熱マットは、多数の小袋体に形成され、その内部に潜熱型蓄熱剤が充填され、更にその蓄熱剤中に蓄熱マットの温度で遠赤外線を放射する性質を持つセラミックの微粒子が混入されていることを特徴としている。
5.前記発熱シートは、熱可塑性樹脂を押出成形して製造されたPTC特性を有する面状発熱シートであり、前記蓄熱マットは、合成樹脂製フィルムを使用した袋が小袋状に分割され、その内部に潜熱型の蓄熱剤が充填され、使用温度で柔軟で圧力の発生によりウォーターベッド状の感触を与える弾性反発体を形成しており、この弾性反発体に体重を分散して保持させると共に、使用者と弾性反発体との密着状態で熱伝達するように構成したことを特徴としている。
6.前記平面状の発熱シートは幅方向にスリットが形成されてスダレ状に分割されて柔軟性が付与され、更にその発熱シートを包む合成樹脂フィルムは、エンボス加工などの柔軟加工が施されていることを特徴としている。
7.前記平面状の発熱シートを収容した合成樹脂製の袋は、周囲にアルミ箔が配置され、蓄熱マットから放出される熱を使用者の方に反射するように構成されていることを特徴としている。
8.前記蓄熱剤は、使用者の体温との温度差が15℃以内であり、潜熱による蓄熱と顕熱による蓄熱とを合わせた総蓄熱量が蓄熱完了状態で500kcal以上であることを特徴としている。
9.前記潜熱型蓄熱剤に混入されるセラミック微粒子は、酸化アルミニウム(Al2O3)単体、あるいはこれに別の材質のセラミック微粒子が混入されていることを特徴としている。
10.前記潜熱型蓄熱剤中に、セラミック微粒子と、このセラミック微粒子の沈降を抑制するための吸水性樹脂の粉末が添加されていることを特徴としている。
11.前記加熱空間に使用者が進入して横臥状態になった時に、前記発熱シートへの通電を自動的OFFする電気回路と、前記OFFの状態を解除してONさせ、このONの時間を所定時間単位で、最大で1時間以内の延長が選択的に可能な電気回路が設けられていることを特徴としている。
【0028】
また、本発明の変形例としては次の構成が考えられる。
【0029】
A.本発明発明に係る装置を使用する場合、人体の胸面で受ける蓄熱マットの重量はかなり重いものであり、老人や痩身の使用者によっては胸苦しく感ずることがある。そのような事態の時に蓄熱マットの重量を軽減する手段を適宜設けると良い。
具体的には、図11に示すように前記加熱空間を構成する蓄熱マットの内、上側の蓄熱マットの重量を軽減するための補助吊上げ手段40が設けることである。そしてこの補助吊上げ手段40は、使用者の手元で吊り上げ力が調整できるように構成されていると、必要に応じてその調整手段であるレバー41を操作して蓄熱マットの重量を好みに合わせて調整することができる。
【0030】
B.前記のように発熱シートを構成している合成樹脂製の袋の下側に表面にアルミ箔を貼付ないし別体のシートとしたものを配置することによって、その反射を利用して蓄熱マットが放出する熱量を人体側に向けて放射することができる。そして、このアルミ箔をアースすることによって、万一の電気的な障害を防止することができる。また、発熱シートが放射する漏れ電磁波を軽減することも可能である。
【発明の効果】
【0031】
A.(急速熱付与)
本発明は、電気毛布や電気カーペットのように電熱を人体に直接に伝達するものではなく、電熱によって発生した熱量を一旦、潜熱型の蓄熱剤を収容した蓄熱マットに伝達して主として潜熱で蓄熱しておき、この蓄熱マットに接触状態ないし実質的に接触した状態で利用者に対して、その「潜熱と顕熱」を一挙に注入することで、発汗必要とする熱量を与えるものである。
【0032】
B.(体温程度の温度の人体の加熱)
しかも、潜熱型の蓄熱剤の温度は、体温付近の温度であり、また、通常の暖房器具と比較するとかなり低温に属する温度であり、熱めの風呂程度の温度を使用している。
蓄熱剤より人体に与える熱量が大量であるにもかかわらず、使用者には熱めの風呂程度の熱さしか感じさせず、装置を利用している間に睡眠を催す感じとなっている。
【0033】
C.(骨を加熱する人体の加熱)
蓄熱剤からの人体への熱移動は、なるべく短時間に行われる必要がある。特に、蓄熱剤からの放射熱は、骨(リン酸カルシウムが90%、炭酸カルシュウムが10%)を構成するリン酸カルシュウムが熱を吸収する波長を持つものが適している。
【0034】
D.(低温の骨の加熱)
通常は蓄熱剤から発生する放射熱は、リン酸カルシウムの吸収波長である10μmではない場合が多い。そこで、蓄熱マットより発生する放射熱の波長を前記波長に合わせるためには、使用温度(例えば、45℃程度)において前記吸収波長の赤外線を放射するセラミックを併用するのがよい。
具体的には、セラミック(酸化チタン、酸化アルミニウムなどを主成分とする)を微細に粉末化したものを使用するのがよい。なお、セラミック微粒子は、溶融した蓄熱剤の中で浮遊し、短時間に沈殿することがない性質を持つものを選択する。
【0035】
E.(多量の発汗)
利用者の人体と実質的に密着する下側の蓄熱マットから直接に大量の熱量が人体へ移動させると共に、骨の主成分であるリン酸カルシウムの赤外線の最大吸収波長である10μm前後の赤外線を照射するように構成したので、コンベクションオーブンのように表面から熱伝導させるサウナ風呂とは比較にならない急速な発汗作用が得られる。また、呼吸は通常の室内で行えるので、高温乾燥空気により呼吸器系を痛めてしまうことが防止される。
前記セラミックにより、使用者は体の芯から十分に温まり体温が1.5〜2℃程度上昇し、使用後も8時間以上はホカホカと温かさを感ずることができる。使用者h、使用開始10分程度で極めて心地よい熱さを感じ、15分程度で全身からベットリとした無味の汗が出るのである。
【0036】
F.(肥満防止効果)
人体の骨の周囲には褐色脂肪細胞が存在しており、この褐色脂肪細胞は白色脂肪細胞(所謂、肥満原因の細胞)からエネルギーもらい、これを熱エネルギーとして体温を上昇させる働きがあることが知られている。
本発明に係る発汗装置は、骨を加温し、この骨の周囲に存在している褐色脂肪細胞を活性化し、白色脂肪細胞のエネルギー燃焼を促進させているものと考えられる。従って、食餌療法(ダイエット)や運動(エクササイズ)のように中止するとリバウンドしてしまうことがないものと考えられる。
従って、本発明にかかる発汗装置により、使用者は単に横たわっているだけで肥満の原因である白色脂肪細胞を効果的に燃焼させることができ、激しい運動よりも優れた痩身効果を持続して発揮できるものと考えられる。そして、健康が増進されて未病に大きく貢献することが考えられる。
【0037】
G.(低体温の体温上昇効果)
婦人等体温が健康体(36〜37℃)よりも低い人(35℃以下)は、体温を上げることで体内の酵素が活性化して免疫力が向上することが知られている。
しかし、本発明の発汗装置を継続的に使用することによって、前記体温が低い人の免疫力が改善され、風邪をひかなくなったとの多数の実験例を得ている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
(発汗装置の構造)
図1は、本発明にかかる布団型ないし寝袋型の発汗装置(S)の側面図である。同図において1は、合成樹脂発泡シートからなる下敷きシートであり、床面との伝熱を遮断している。そして、この下敷きシート1の上に長い発熱シート2をU型に曲げて、その内部に利用者の人体4を横たえるようになっている。この利用者の人体4を収容する空間が「加熱空間」である。
【0039】
前記発熱シート2の内、人体4の下側になる表面には下側蓄熱マット5を配置し、また、人体4の上側の面、つまり発熱シート2aの上側には上側蓄熱マット6を配置している。そして、前記U型に曲げられた発熱シート2の内側に厚手のタオル地からなる吸汗層7をU型に二つ折りに曲げた状態で収容しておく。
【0040】
なお、この吸汗層7は寝袋状に形成して人体4を肩から足先まで包むように構成する。また、この吸汗層7が厚いタオル地の場合は、洗濯、乾燥あるいは消毒などの処理に困難が伴うことがあるので、これらの便宜性を含めて決めるのが良い。また、大型の筒形の衣服のような形のものを着用することで吸汗層7の全部あるいは一部とすることができる。
【0041】
何れにしても、人体4の肩から体、そして足先までその周囲をすっぽりと包み、恰も暖かい室に入ったように保温しながら、発汗を心地よく吸い取り、人体4には水分を感じさせないような性質を有するものが好ましい。
【0042】
本発明に係る装置を使用する際は、人体4は裸のままでも良いが、なるべく浴衣のような体を束縛しない簡単な衣類を着用するのが良い。多くの場合、発汗装置Sの下側の蓄熱マット5、上側の蓄熱マット6が露出して空気に触れると無駄な放熱が大きいので、発汗装置(S)全体に図1に示すように、薄手の布団か毛布などの上掛け8を掛けておくのがよい。
【0043】
本発明の構成要素として「背面蓄熱マット5と胸面蓄熱マット6」とは重要な部材であり、その第1の要件は、この発汗装置(S)を使用する前に十分に蓄熱できる蓄熱容量があること。好ましくは、500kcal以上/29kgであること。
【0044】
そして第2の要件は、あたかもゴム風船の中に風呂のお湯程度の温度ないしそれより若干高温の液体を入れたように、至極柔らかいが張りがあり、蒲鉾形あるいは半球状に形成され、また人肌のような柔らかい感触を持つような「弾性反発体」あるいは「蓄熱弾性体」であることである。
【0045】
第3の要件は、「弾性反発体5a、6a」あるいは「蓄熱弾性体5a、6a」は前記のように柔軟ではあるが、使用者が体重を落とした程度の衝撃力が作用しても破壊しないような耐久性を有するものであることである。
【0046】
この蓄熱弾性体の形状は、製造工程の簡易性と取扱い性を考慮して蓄熱弾性体の集合体であるシート状であることが最も適しているが、蓄熱剤を内部に充填した球状物を紐状物などの連結部材で連結してシート状に形成しても良い。
【0047】
図2は、背面あるいは胸面蓄熱マット5,6の一部を示す断面図であり、図3は同平面図である。
【0048】
蓄熱マット5、6を構成するフィルムFは、図4に示すように下地層f1と中間層f2と表面層f3で構成された3層構造の積層フィルム、あるいは2層構造の積層フィルムを使用する。3層構造の積層フィルムの場合、下地層f1は200μm厚程度のポリエチレン(熱接着層)と中間層f2が厚さ15μmのポリアミド系合成繊維(ナイロン)の延伸フィルムで、強度とガスバリア性を持たせている。更に表面層f3は厚さ15μmのナイロンの延伸フィルムで、強度とガスバリア性を持たせている。2層構造の積層フィルムの場合は、下層は厚さ200μmのポリエチレンフィルム、上層は厚さ15μのナイロンの延伸フィルムである。
【0049】
前記蓄熱マット5,6用のフイルムFは、前記複合構造に限定されるものではなく、電気的、熱的に安定で安全な性質を持つものであれば、単層構造のものでも使用することができる。
【0050】
本発明においては、このフィルムFが硬いと使用感がゴワゴワとするので、エンボス加工などにより適当な皺や微細な溝を形成して柔軟性を与えるようにするのがよい。
【0051】
前記のような構成のフィルムFは、図3に示すように、上下二枚合わせにして周囲と底部を溶着cして一端に開口を持つ袋体Bを形成し、更にこの袋体Bの長手方向に中間部を溶着dして平行する袋体b1,b2を形成する。
【0052】
次いで、この二つの袋体b1,b2の中に液体ないしジェル状になるように加熱された蓄熱剤hを充填する。そして前記平行する二つの袋体b1,b2を、長さ方向の所定間隔で横断して図5に示すように小袋状に区分し、複数の蓄熱弾性体5aを二列に配列して形成する。
【0053】
図2に示すように蓄熱弾性体5aを小袋状に区分けした理由は、ジェル状の蓄熱剤hの移動を制限し、体重などの押圧力が作用したときに内部の圧力を高め、その結果、反発力として弾性力を発揮させるためであり、この弾性力の発生によって人体4がその上に横臥したときに張りのある風船に乗ったような快適な感覚を与える。
【0054】
(発熱シート)
発熱シートは、ミサト株式会社(埼玉県幸手市上和田521−18)の製品、商品名「プラヒート」で、自動温度制御機能(PTC作用)をもつもので、幅が250、300、500mm、前者は60〜70W/m、後者は90W/mのものが使用される。
【0055】
(蓄熱マット)
前記蓄熱マット5、6を構成している蓄熱弾性体5a、6aは、体積がある大きさより大きいと弾性力が低下し、小さいと硬くなるばかりか、溶接部が剥離しやすくなる傾向がある。下側蓄熱マット5は、人体4に実質的に接触してその体重を負荷しながら蓄熱を放出して人体4を体温程度の低温で温めるためのものである。
【0056】
図5は、発熱シート2と蓄熱マット5、6との関係を示しており、これらの蓄熱マット5,6は必ず発熱シート2と積層状態で配置されており、発熱シート2の面積の方が蓄熱マット5、6より僅かに大きく、また、長く設計されている。本実施例においては、蓄熱マット5は2枚積層して弾力性と変形性(人体の形状に沿って変形する)および蓄熱量を増加させている。
【0057】
発熱シート2と上側の蓄熱マット6との積層状態は、前記の構成に限らず、図10(A)に示すように発熱シート2の上側に発熱マット6を配置したり、(B)に示すように下側に配置したり、あるいは発熱シート2の上側と下側の両側に配置することで熱伝導性と良好に保持することができる。
【0058】
図6は、蓄熱マット5、6を収容する布袋31,32と発熱シート2を収容する布袋20を示す斜視図であって、厚みの大きい布袋10aの中央部に長手方向に仕切り10bが形成されており、それぞれの布袋10aの中に背面蓄熱マット5を前記積層状態で挿入する。また、厚みの小さい布袋10cも長手方向に仕切り10dが形成されており、それぞれの袋10cの中に胸面蓄熱マット6挿入するように構成されている。
【0059】
厚みの厚い布袋10aと厚みの薄い布袋10cは、図示しないマジックテープ(登録商標)等の連結手段により、発熱シート2を収容した布袋20に密着状態で貼り付けられるように構成されている。また、これらの布袋10a,10c,20の開閉口10fには、図示しないマジックテープ(登録商標)が設けられており、蓄熱マット5、6や発熱シート2の出し入れ可能に構成されている。
【0060】
なお、図9に示すように発熱シート2の絶縁袋であるフイルム2aの外側をアルミ箔Alで包んで熱伝導性と必要に応じてアースを取って電気的に安全を図っている。
【0061】
図7は、発熱シート2を布製のカバー袋20内に収容した状態を示す断面図であって、通常、前記発熱シート2は合成樹脂フィルム製のカバー2a内に収容されて電気絶縁されており、本発明においては更にカバー袋20に収容して使用する。
【0062】
図8は、前記図7に記載されたカバー袋20内に発熱シート2を2枚収容し、それぞれの上面に図6に示した袋31の収納部10aにそれぞれ下側蓄熱マット5,5を収納した蓄熱剤入り袋を配置した状態を示している。
【0063】
図8においては、2枚の発熱シート2,2に対してそれぞれ下側蓄熱マット5,5を組み合わせた装置を示しているが、この発熱シート2の幅が2倍あれば、1枚の発熱シートに対して複数枚の蓄熱マット5を組み合わせて蓄熱部を構成することができる。
【0064】
(発汗装置の部材の概略寸法)
実際の発汗装置の概略寸法を例示すると下記のようになっている。
A.蓄熱マット布袋カバー
a)背面蓄熱マット用袋:長さ:1620mm、幅:250mm×2
b)胸面蓄熱マット用袋:長さ:1400mm、幅:250mm×2
B.発熱シート用布製カバー
全長:3050mm、幅:500mm
C.発熱シート用布カバーと蓄熱マット布カバーの取付け
背面蓄熱マット用袋と胸面蓄熱マット用袋とを30mmの間隔が形成されるように連結する。前記30mmの間隔は発熱シートが下側から上側に位置を変えるための穴を形成するためのものである。
D.蓄熱剤の使用量の一例
a)背面蓄熱マット5の蓄熱剤(硫酸ナトリウム10水塩)の量:25kg
b)胸面蓄熱マット6の蓄熱剤(硫酸ナトリウム10水塩)の量:4kg
全体の蓄熱剤の量:29kg(蓄熱剤全体の潜熱量:約1220kcal)
【0065】
(蓄熱剤の種類)
蓄熱剤hは、使用者の年齢、加熱温度の好み、使用する時間によってへんかさせて設計することがあり、その溶融温度や凝固温度が変化する。
【0066】
通常の体調の人の場合は、25℃〜45℃の温度差において、相変化を伴って蓄熱と放熱を行う性質を持つ材料が好ましく、本発明においては、28℃〜32℃の温度差において相変化を伴って蓄熱あるいは放熱を行う性質を持つ「芒硝」を主体として使用する。前記結晶芒硝は、硫酸ナトリウム10水塩(Na2SO4・10H2O)のことである。
【0067】
蓄熱剤が単体の場合は、予定された吸熱を放熱の目的に適合しない場合も発生するので、これをベースとして、これに第三成分を添加して溶融点と凝固点を調整したものを使用するのがよい。
【0068】
一例としては、硫酸ナトリウム10水塩に、第三成分として塩化ナトリウム水溶液を若干加えることによって目的とする特性を有するように調整することができる。
【0069】
この蓄熱剤としては、前記のように融点と凝固点との間に人体に悪影響を与えない温度範囲を持ち、できるだけ「骨」を温める性質を持つものであることが必要である。前記芒硝の場合は、29kgで約1220kcalの蓄熱量があり、この種の低温加熱用に最適なものである。
【0070】
本発明の実施例においては、蓄熱剤が溶融している温度、すなわち蓄熱完了状態である45℃で使用されるものであって、人体との温度差は約10℃しかないものの、砂風呂(50kgの砂)の4倍以上、サウナ風呂の36倍以上という圧倒的な熱量を有しているのである。なお、使用開始時の蓄熱剤は45℃となっており、このときの顕熱も含まれるので、蓄熱量は1000kcalをゆうに超えている。そして、その熱量のほとんどが、蓄熱マットが実質的に人体に密着して直接伝導により人体に受熱されることになる。
【0071】
その他の蓄熱剤としては、ノルマルパラフィン(パラフィン系潜熱蓄熱剤)を使用することができる。このパラフィン系潜熱蓄熱剤は、炭素鎖数に応じて凝固温度(融解温度)が低いものから高いものまで種々のものがあり、使用者の好みや加熱温度等に適した蓄熱剤が利用できる。この他には、チオ硫酸ナトリウム5水塩(Na2S2O3・5H2O、融点48℃)、酢酸ナトリウム3水塩(CH3COONa・3H2O、融点58℃)、塩化カルシウム6水塩(CaCl・6H2O)、リン酸ナトリウム12水塩(NaHPO4・12H2O)、硝酸ニッケル3水塩(Ni(NO3)2・3H2O)、塩化ナトリウム水溶液などがある。
【0072】
しかし、発明者が30年もの間に亘って使用した経験からすると、万が一漏出しても使用温度が低くて火傷をしないこと、毒性がなく不燃性であること、そして蓄熱量の大きさから、前記硫酸ナトリウム10水塩がよい。
【0073】
(セラミックの使用)
蓄熱剤は、相変化に伴って所定の潜熱と顕熱を吸収し、また、吸収した潜熱を放出する特性を有するものであるが、本発明の作用効果を増大するには、単に人体を蓄熱剤の放熱を利用して温めるだけではなく、体の芯から温め、体全体に温かさを感じさせる必要がある。
【0074】
そこで本発明においては、使用温度(45℃程度)において使用者の骨(特に背骨)が吸収しやすい波長(10μm前後)の赤外線を放射する性質を持つセラミックの微粉末を蓄熱剤の中に混合して使用する。
【0075】
具体的には、アルミナ(Al2O3)の#500、#8000のものを使用することによって使用温度における最適な波長の放射熱を発生させ、人体を効果的に温めることができる。その他、酸化チタン(TiO2:チタニア)、炭酸カルシウム(CaCO3)などの微粉末を使用することができる。
【0076】
このセラミック微粉末の添加量は、重量%で蓄熱剤の量に対して「1から1.5%」程度で十分にその効果を発揮することができる。
【0077】
セラミック微粉末を蓄熱剤中に添加すると、時間の経過と共に次第に沈殿し、遠赤外線の放射効率が減退するという問題が発生する。この問題を解決するために、蓄熱剤に微細な吸水性樹脂粉末を1%程度添加しておくことによって、セラミック微粉末の沈殿現象を回避することが可能である。
【0078】
(蓄熱マットから発生する熱の有効利用)
特に下側(背面側)の蓄熱マット5から放出される熱量はかなり大きい。また、その熱量の伝熱と輻射される方向は、蓄熱マット5の表裏両面である。従って裏面から放出される熱量は人体の加熱のロスとなるものである。そこで、図9に示すように発熱シート2を包むフイルム2aと袋10の間にアルミ箔Alを下敷き状に配置することによって、これを熱反射の鏡として使用することによって、熱効率を向上させることができる。
【0079】
(発汗装置の使用方法)
本発明に係る発汗装置を使用するときには、使用する2〜3時間程度前に通電して蓄熱マット5,6を加熱し、この蓄熱マット5,6内に収容されている蓄熱剤hに十分な潜熱を蓄熱させて溶解させ(32℃)、さらなる加熱により顕熱を蓄熱させる(45℃程度)。そして、本発明に係る装置を使用するときには通電を「OFF」として安全を確保しておき、前記蓄熱マット5,6に蓄熱された熱量のみで人体4を加熱するように使用する。このとき、人体4と実質的に接触している蓄熱マット5,6からの直接的な熱伝導と、この蓄熱マット5,6から放射される遠赤外線(主として10μm程度の波長)とにより、人体の外側と内側から温める。
【0080】
(タイマーの必要性)
発熱シート2への通電を「OFF」するタイマーは重要である。蓄熱マット5,6に収容された蓄熱剤hが蓄熱した熱量で1時間程度は十分に人体を温めることができるし、使用者によっては1時間よりも長く使用したい場合がある。また、使用中に僅かであるが蓄熱剤の温度が徐々に低下する。そこで、使用者の好みにより、タイマーを操作して所定時間(例えば、15分刻み)蓄熱マット5,6を再加熱して「追い炊き」できるようになっている。
【0081】
このような危険性を避けるために、「基本通電時間」タイマー(通常は蓄熱剤の蓄熱完了までの時間の約1時間)と、更に「追加的通電時間」を起動する追加タイマーとの回路を設置しておくことが良い。
【0082】
この追加タイマーは、所謂浴槽の「追い炊き」に相当しており、その時間は例えば、15分刻みで最長で1時間を限度として通電できるように回路構成をするのが良い。
【0083】
このタイマーは、例えば1回のボタンの押しで15分で一つのLEDが灯り、二回の押しで二つ目の色の違うLEDが灯り、以下同様にして最長で1時間に限定された通電をするように構成しておけば、発汗装置Sを安全に、しかも使用者本人の「確認のもと」でタイマー操作を行ない、使用者の体格や体調などに合わせて人体の加熱時間を調節して安全に装置を安全に運転することができる。
【0084】
(装置の使用温度)
本発明に係る発汗装置は温度45℃、湿度60%程度で使用されており、その汗かき指数は約101であり、十分に汗をかくことができるものであるが、体温との温度差が比較的小さいという特徴を有している。
【0085】
(使用感)
ア)本発明にかかる発汗装置は、極めて心地よい熱さを感ずるものであり、従来にない経験をすることになる。しかも使用開始後、約10分で体全体に火照りを感じ、15分を過ぎる頃には全身および顔から汗が噴出するようになる。
【0086】
イ)本発明にかかる発汗装置は、サウナに入るのとは違い、心地よい熱さであり、30分を過ぎる頃からはサラサラのしょっぱい汗はあまりでず、ベットリとした無味の汗となる。恰もマラソンでスタート地点から12km付近を走行しているときに出る汗のようである。
従って、サウナ風呂のように最初から最後まで、大量の水分とイオンを含んだ汗(サラサラでしょっぱい)が噴出し続けることがないので、使い終わった後で、ビールが欲しくなるような喉の渇きはサウナ風呂のようには感じない。
【0087】
ウ)本発明にかかる発汗装置を、週に1〜2回程度で、各1時間程度、約3ヶ月も使用した40代半ばの男性の場合、最初に68.5kgあった体重が、61.6kgに減少している。そして、全身の血行が良くなり、精神的に安定感が得られ、「穏やかな心地」となる。
特に、本発明にかかる発汗装置の特徴は、きつい体操などの運動がなく、誰でも長く使用することができ、しかもその間、読書したり、音楽を聴いたり、あるいはテレビのドラマを見たりすることができる。更に驚いたことには、本発明にかかる発汗装置を使用した後には、他の体重減量方法に比較して体重のリバウンドが全くないことである。
【0088】
エ)また、不眠症、冷え性で、便秘性で、寝起きが悪い70歳代前半の女性の場合は、本発明にかかる発汗装置を使用するようになってから、不眠症が治り、冷え性を感じなくなり、使用後かなりの長い時間(約3時間)気持ちの良い温かさを保ち、便通がよくなり、血流が良くなる感じがするように体調の全体が改善された。
【0089】
オ)以上のように、本発明にかかる発汗装置によると、横臥姿勢で、快い状態で大量の発汗を促し、単に横臥の状態でありながら、減量ができたり、不眠症が治ったり、便秘が治ったりなどの多数の体調の改善例がある。
特に、最近はメタボリックシンドロームが問題となっており、企業においても従業員の健康管理の責任が発生しているが、このような健康管理にも本発明の装置は大きな威力を発揮することができるものである。そして、さらには健康な身体を維持するための未病管理にも貢献することができるものである。
【0090】
カ)そして、人体との温度差が比較的小さいにもかかわらず、従来にはない圧倒的な熱量を人体に付与することができる。すなわち、人体との温度差が15℃以内で、潜熱および顕熱とによる蓄熱量が1000kcalを超えており、しかも1時間から1時間半とゆっくりと時間をかけて使用されるので、従来にはない大量の受熱が可能となった。
【0091】
キ)蓄熱マットが、ウォーターベッドのように使用者の人体を優しく保持するので、快適な寝心地で使用することができる。また、体の曲線や凹凸に合わせて変形して密着するので、熱効率も一層高まる。
【0092】
本発明の実施の形態における蓄熱剤の充填量は、使用者の体格・性別・年齢などによって変更可能なものであって、前記実施例に限定
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】本発明に係る簡易発汗装置の使用方法の説明図である。
【図2】蓄熱マットの断面図である。
【図3】図2に示した蓄熱マットの平面図である。
【図4】蓄熱マットを製作するフィルムの拡大断面図である。
【図5】発熱シートとその上に載置される蓄熱マットを示す斜視図である。
【図6】2種類の蓄熱マットと発熱シートを収容するための布カバーの斜視図である。
【図7】発熱シートを布カバーの中に入れた状態を示す断面図である。
【図8】発熱シートと蓄熱マットの積層状態を示す斜視図である。
【図9】発熱シートの下面にアルミ箔を配置して熱の反射鏡として構造の断面図である。
【図10】(A)は発熱シートの上側に蓄熱マットを配置した構造、(B)は発熱シートの背面蓄熱マットを配置した構造、(C)は発熱シートの上下面に蓄熱マットを配置した構造を示す側面図である。
【図11】図11は蓄熱マットの重量を軽減するための補助吊り上げ手段を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0094】
S 簡易発汗装置
h 蓄熱剤
B 袋体
b1、b2 袋体
2 発熱シート
5 背面蓄熱マット
6 胸面蓄熱マット
5a,6a 蓄熱弾性体
7 吸汗層
10a、10c 布袋
10b、10d 仕切り
10f 開閉部
20 カバー袋
30 布袋
【技術分野】
【0001】
本発明は、利用者が横臥姿勢にて風呂の温度程度の低温にて簡単に、しかも短時間に人体に大量の熱量を蓄熱体を介して、間接加熱により強制的に注入して発汗を促すことができる発汗装置に関する。
【背景技術】
【0002】
大量の発汗を伴いながら血液の循環を促進して体調を整える手段として、サウナ風呂が利用されている。このサウナ風呂は、室内の空気を高温に加熱して利用者に対して短時間に大量の熱を与え、それに伴って短時間に大量の発汗をさせて血液の循環を促進するもので、このサウナ風呂から出た後の爽快感を与えている方法として一般的に利用している。
【0003】
このサウナ風呂は、90℃〜110℃の高温に室内の空気を加熱する高温サウナと、45〜50℃前後に加熱するミストサウナとが知られている。
【0004】
大型のサウナ装置については、椅子を周囲に形成したサウナ室の天井に、室内の空気を加熱すると共に遠赤外線を放射する加熱装置を設けた低温サウナ装置が提案されている(特許文献1)。
【0005】
また、一般家庭の風呂程度に小型にしたサウナ装置として浴室の天井部に加熱装置を配置し、浴室内の空気を循環させながら加熱するものが提案されている。
【0006】
何れのサウナ風呂の遠赤外線装置も、穏やかな赤外線の照射であり人体に大量の熱を受熱させることはできないものである。また、高温サウナは温度100℃程度、湿度1%程度であり、その不快指数(汗かき指数)は約128である。ここでは、汗のかき易さの一つの目安として、一般にいう不快指数を「汗かき指数」と定義する。なお、不快指数は、温度をT(℃)、湿度をH(%)とし、次式により求められる。
不快指数=0.81T+0.01H(0.99T−14.3)+46.3
【0007】
前記汗かき指数と体感は、快適(指数:65〜70)、暑くて汗が出る(指数:80〜85)、暑くてたまらない(指数:85以上)と分類されている。通常、人体が快適に感ずる温度は23℃程度、湿度50%程度であって、その汗かき指数は約69である。
【0008】
そして、前記ミストサウナは温度50℃程度、湿度100%であるので、その汗かき指数は約122である。前述の高温サウナもミストサウナも汗かき指数が85を遙かに超えており、暑くてたまらず汗が大量に出るのである。換言すると、人体から大量の発汗を促すには、汗かき指数を100以上とする必要があったのである。
【0009】
また、ミストサウナよりも低温のものとしては、40℃程度に温めた岩石などの上に横たわって使用される岩盤浴が知られている。ところが岩盤浴は、その温度と湿度(80%以上)という環境で行われており、これが細菌やカビなどの繁殖に適した環境となり、利用者の汗や皮脂などを養分として浴室や岩盤に細菌等が繁殖してしまうことがあった。従って、定期的に消毒・乾燥をさせなければならなかった。そして、汗かきは約99であり、暑くてたまらず汗が出るのである。
【0010】
更に全身美容を行うエステティックサロンにおいては、ベッドの上にタオル地からなる電熱毛布を敷いて、その上に人体を横たえ、毛布で全身を包んだ状態で加熱して各種の美容方法を行っている。この用途に使用されるベッドは、耐水性のあるものが使用され、人体を包んだ毛布によって人体を電熱により温めている。この電熱毛布は、線状のヒーターが内蔵されており、80℃以上の高温となっているヒーターにより利用者が火傷をしたり、漏れ電磁波や感電といった問題があった。
【0011】
いずれにしても発汗手段としてのサウナ装置は大型のものであり、一般家庭に設置することは簡単にできない。例えば、床の上に寝袋を敷いてその中に人体を横たえるだけで体を温める寝袋が提案されている(特許文献3、特許文献4)。
【0012】
【特許文献1】特許第2808368号
【特許文献2】実用新案第3029324号
【特許文献3】特開2001−46204号公報
【特許文献4】特開平9−182653号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
例えば、30分以内のような短時間に大量の発汗を目的とする場合は、前記特許文献1および特許文献2に記載された本格的なサウナ風呂が有効である。しかし、一般のサウナ風呂においては90℃〜100℃にも加熱された高温空気との接触で人体を加熱することになるので、この高温に耐えられる時間は若い男性でもごく短時間であり、このような高温に耐えられる女性は若くて元気のある人達に限定される。更に、サウナ風呂は連続での入浴は15分程度であり、この短時間に人体が受熱する熱量は数十kcal(約50kcal)と僅かなものである。
【0014】
サウナ風呂は、前述のようにサウナ室に充満している空気の全てを加熱しなければならなので、大量の加熱エネルギーを必要としている。ところが、人体に熱を付与しているのは、人体に接触する空気だけであるので、人体への熱伝導の効率が極めて低いのである。この空気の平均分子量を29とし、人体近傍の熱の付与に貢献する空気を1m3とすると、その空気の熱量は約23kcalと小さいことがわかる。
【0015】
そして、高温空気と人体との温度差は約70℃もあるので息苦しい上に、人によっては熱中症になったり、脱水状態となる危険性があるので、1回当たり15分程度の利用と30分程度の休息、水分補給が必要であった。
【0016】
また、特許文献3に記載された発明は、表面シートと裏面シートとの間に中綿を介在した寝袋であって、中綿を吸放湿吸水発熱性繊維材料からなる発熱性中綿と、発熱性を有しない合成繊維からなる中綿の2層構造としたものであり、吸放湿吸水発熱性繊維材料からなる中綿の吸湿性と発熱性により寝袋内の環境を温暖かつ乾燥状態に保つようにしたものである。従って、この寝袋では発汗を促すような作用効果を有するものではなく、単なる寝具である。
【0017】
更に特許文献4に記載された寝袋は、保温効果を高めて睡眠を保証することを主体としており、発汗を目的とするものではない。
【0018】
また、特開2001−70463号公報(参考文献)には、顕熱型蓄熱体としてコンクリート層を設け、その上にセラミックボールを敷き、コンクリート層を加熱媒体で加熱しながら蓄熱体とセラミックボールとを介して赤外線を放射して体を温めるもので、かなり大がかりな装置となる。また、大量発汗についての効果は余り期待することができない。
【0019】
更にまた、寝た姿勢で発汗させるものとして、砂風呂が利用されている。この砂風呂は、50℃程度に加熱された砂床に人体形状の窪み形成し、この窪みに合わせて浴衣などを着衣した使用者が横臥状態となり、使用者の頭部を除く全身に60℃程度に加熱された砂を被せ、全身が砂の中にすっぽりと覆い被された状態で使用されるものである。
【0020】
ところで、前記砂風呂は、全身を横たえるのに十分な広さの「砂場」が必要であり、また、全身を覆い被せるだけの大量の砂を必要とし、その加熱設備等も大型化するので砂浴専用の施設や温泉、観光地で利用されるものであった。また、使用者一人あたりに必要な砂の量は、砂を人体に密着させるために50kg程度は必要であり、重量が重い上に、その砂の熱量は、砂の比熱が0.2kcal/kg・℃であるので、温度差20℃で約190kcalと重量が重い割には小さい熱量となっている。さらには、人体と砂との温度差が約20℃以上もあるので、さらさらの汗が大量に分泌されることとなり、人体の体温も上昇するので連続15分以上は使用できず、十分な休息と十分な水分補給も必要とされている。そして、15分間に人体が砂から受熱した熱量は、100kcal程度しかないのである。
【0021】
そして、人体よりも20℃以上も高温にしなければならないので、加熱に必要なエネルギーを多く必要とし、また砂は顕熱のみで熱を放出して冷えてしまうので使用中は加熱手段により砂を加熱し続けなくてはならなかった。また、体中に砂が付着して汚れてしまうので体を濯いで砂を洗い落とさなくてはならないという手間もかかった。
【0022】
また、砂の中は湿度が90%程度となっており、砂風呂の汗かき指数は約118である。
【0023】
布団の上や寝袋の中、あるいはベッドに寝たような楽な姿勢で、しかも乾式で大量発汗をさせて爽快感を与えながら全身美容術を施すことができれば、従来の泥浴などを使用するエステティック方法に比較して遙かに簡単な方法で全身美容方法を行うことができる。
【0024】
更に、単に寝た姿勢(横臥姿勢)で、大量発汗を発生し、その発汗に伴って体重を低下させることができ、使用後も爽快感が残り、体に心が温まったような状態となり、更に小型になって収納ができるものであれば、従来の寝袋やサウナ装置にはない効果と便利さを得ることができる、従来にない装置を制作することができる。
【0025】
本発明は、前記各種の従来技術の課題に鑑み、通常の寝具である布団や寝袋に類似した形態を有しながら、従来の寝袋型の発汗装置に比較して遙かに快適な受熱感を感じながら、45℃以下ないし少しばかり高めの風呂程度の温度、ないし体温に近い温度でありながら、大量の熱量を人体に注入して、短時間に大量の発汗を促すことができる、従来にない、発汗方法とその装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0026】
本発明にかかる発汗方法は、次のように構成されている。
1.平面状の発熱シートを上・下に配置すると共に、この両発熱シートに液状の蓄熱剤を充填した蓄熱マットをそれぞれ積層配置し、前記両発熱シートの間に利用者の人体を収容し、その人体の背側面を蓄熱マット上に延在する加熱空間を形成し、前記加熱空間の内部に利用者を横臥させ、その人体の背面と胸面とを、前記蓄熱マットに蓄熱された熱を放出して体温付近の温度で加熱することを特徴としている。
2.平面状の発熱シートを上・下に配置すると共に、この両発熱シートに平行して蓄熱完了状態で液状となり、放熱完了状態で固化する性質を持つ潜熱型蓄熱剤を充填した蓄熱マットをそれぞれ積層配置し、前記両発熱シートの間に利用者の人体を収容し、その人体の背側面を蓄熱マット上に延在する加熱空間を形成し、前記加熱空間の内部に利用者を横臥状態位置させ、人体の背側面と胸側面とを、前記蓄熱マットにより蓄熱された熱を放出して人体を加熱することを特徴としている。
【0027】
また、本発明にかかる発汗装置は次のように構成されている。
3.平面状の発熱シートを連続あるいは分割して上・下に間隔を開けて配置すると共に、この発熱シート上に蓄熱完了状態で液状となり、放熱完了状態で固化する性質を持つ潜熱型蓄熱剤を内蔵した蓄熱マットをそれぞれ積層配置し、利用者が横臥姿勢で前記背面の蓄熱マットに体重を負担させ、更に胸面の蓄熱マットなどの重量一部あるいは全部を前記利用者に負荷させると共に、その利用者に蓄熱マットが保有する熱量を接触状態で熱伝達するように構成し、更に、前記利用者を吸湿性を持つ衣服、寝袋、シーツなどで包み、発汗した汗を吸収しながら加熱するように構成したことを特徴としている。
4.前記蓄熱マットは、多数の小袋体に形成され、その内部に潜熱型蓄熱剤が充填され、更にその蓄熱剤中に蓄熱マットの温度で遠赤外線を放射する性質を持つセラミックの微粒子が混入されていることを特徴としている。
5.前記発熱シートは、熱可塑性樹脂を押出成形して製造されたPTC特性を有する面状発熱シートであり、前記蓄熱マットは、合成樹脂製フィルムを使用した袋が小袋状に分割され、その内部に潜熱型の蓄熱剤が充填され、使用温度で柔軟で圧力の発生によりウォーターベッド状の感触を与える弾性反発体を形成しており、この弾性反発体に体重を分散して保持させると共に、使用者と弾性反発体との密着状態で熱伝達するように構成したことを特徴としている。
6.前記平面状の発熱シートは幅方向にスリットが形成されてスダレ状に分割されて柔軟性が付与され、更にその発熱シートを包む合成樹脂フィルムは、エンボス加工などの柔軟加工が施されていることを特徴としている。
7.前記平面状の発熱シートを収容した合成樹脂製の袋は、周囲にアルミ箔が配置され、蓄熱マットから放出される熱を使用者の方に反射するように構成されていることを特徴としている。
8.前記蓄熱剤は、使用者の体温との温度差が15℃以内であり、潜熱による蓄熱と顕熱による蓄熱とを合わせた総蓄熱量が蓄熱完了状態で500kcal以上であることを特徴としている。
9.前記潜熱型蓄熱剤に混入されるセラミック微粒子は、酸化アルミニウム(Al2O3)単体、あるいはこれに別の材質のセラミック微粒子が混入されていることを特徴としている。
10.前記潜熱型蓄熱剤中に、セラミック微粒子と、このセラミック微粒子の沈降を抑制するための吸水性樹脂の粉末が添加されていることを特徴としている。
11.前記加熱空間に使用者が進入して横臥状態になった時に、前記発熱シートへの通電を自動的OFFする電気回路と、前記OFFの状態を解除してONさせ、このONの時間を所定時間単位で、最大で1時間以内の延長が選択的に可能な電気回路が設けられていることを特徴としている。
【0028】
また、本発明の変形例としては次の構成が考えられる。
【0029】
A.本発明発明に係る装置を使用する場合、人体の胸面で受ける蓄熱マットの重量はかなり重いものであり、老人や痩身の使用者によっては胸苦しく感ずることがある。そのような事態の時に蓄熱マットの重量を軽減する手段を適宜設けると良い。
具体的には、図11に示すように前記加熱空間を構成する蓄熱マットの内、上側の蓄熱マットの重量を軽減するための補助吊上げ手段40が設けることである。そしてこの補助吊上げ手段40は、使用者の手元で吊り上げ力が調整できるように構成されていると、必要に応じてその調整手段であるレバー41を操作して蓄熱マットの重量を好みに合わせて調整することができる。
【0030】
B.前記のように発熱シートを構成している合成樹脂製の袋の下側に表面にアルミ箔を貼付ないし別体のシートとしたものを配置することによって、その反射を利用して蓄熱マットが放出する熱量を人体側に向けて放射することができる。そして、このアルミ箔をアースすることによって、万一の電気的な障害を防止することができる。また、発熱シートが放射する漏れ電磁波を軽減することも可能である。
【発明の効果】
【0031】
A.(急速熱付与)
本発明は、電気毛布や電気カーペットのように電熱を人体に直接に伝達するものではなく、電熱によって発生した熱量を一旦、潜熱型の蓄熱剤を収容した蓄熱マットに伝達して主として潜熱で蓄熱しておき、この蓄熱マットに接触状態ないし実質的に接触した状態で利用者に対して、その「潜熱と顕熱」を一挙に注入することで、発汗必要とする熱量を与えるものである。
【0032】
B.(体温程度の温度の人体の加熱)
しかも、潜熱型の蓄熱剤の温度は、体温付近の温度であり、また、通常の暖房器具と比較するとかなり低温に属する温度であり、熱めの風呂程度の温度を使用している。
蓄熱剤より人体に与える熱量が大量であるにもかかわらず、使用者には熱めの風呂程度の熱さしか感じさせず、装置を利用している間に睡眠を催す感じとなっている。
【0033】
C.(骨を加熱する人体の加熱)
蓄熱剤からの人体への熱移動は、なるべく短時間に行われる必要がある。特に、蓄熱剤からの放射熱は、骨(リン酸カルシウムが90%、炭酸カルシュウムが10%)を構成するリン酸カルシュウムが熱を吸収する波長を持つものが適している。
【0034】
D.(低温の骨の加熱)
通常は蓄熱剤から発生する放射熱は、リン酸カルシウムの吸収波長である10μmではない場合が多い。そこで、蓄熱マットより発生する放射熱の波長を前記波長に合わせるためには、使用温度(例えば、45℃程度)において前記吸収波長の赤外線を放射するセラミックを併用するのがよい。
具体的には、セラミック(酸化チタン、酸化アルミニウムなどを主成分とする)を微細に粉末化したものを使用するのがよい。なお、セラミック微粒子は、溶融した蓄熱剤の中で浮遊し、短時間に沈殿することがない性質を持つものを選択する。
【0035】
E.(多量の発汗)
利用者の人体と実質的に密着する下側の蓄熱マットから直接に大量の熱量が人体へ移動させると共に、骨の主成分であるリン酸カルシウムの赤外線の最大吸収波長である10μm前後の赤外線を照射するように構成したので、コンベクションオーブンのように表面から熱伝導させるサウナ風呂とは比較にならない急速な発汗作用が得られる。また、呼吸は通常の室内で行えるので、高温乾燥空気により呼吸器系を痛めてしまうことが防止される。
前記セラミックにより、使用者は体の芯から十分に温まり体温が1.5〜2℃程度上昇し、使用後も8時間以上はホカホカと温かさを感ずることができる。使用者h、使用開始10分程度で極めて心地よい熱さを感じ、15分程度で全身からベットリとした無味の汗が出るのである。
【0036】
F.(肥満防止効果)
人体の骨の周囲には褐色脂肪細胞が存在しており、この褐色脂肪細胞は白色脂肪細胞(所謂、肥満原因の細胞)からエネルギーもらい、これを熱エネルギーとして体温を上昇させる働きがあることが知られている。
本発明に係る発汗装置は、骨を加温し、この骨の周囲に存在している褐色脂肪細胞を活性化し、白色脂肪細胞のエネルギー燃焼を促進させているものと考えられる。従って、食餌療法(ダイエット)や運動(エクササイズ)のように中止するとリバウンドしてしまうことがないものと考えられる。
従って、本発明にかかる発汗装置により、使用者は単に横たわっているだけで肥満の原因である白色脂肪細胞を効果的に燃焼させることができ、激しい運動よりも優れた痩身効果を持続して発揮できるものと考えられる。そして、健康が増進されて未病に大きく貢献することが考えられる。
【0037】
G.(低体温の体温上昇効果)
婦人等体温が健康体(36〜37℃)よりも低い人(35℃以下)は、体温を上げることで体内の酵素が活性化して免疫力が向上することが知られている。
しかし、本発明の発汗装置を継続的に使用することによって、前記体温が低い人の免疫力が改善され、風邪をひかなくなったとの多数の実験例を得ている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
(発汗装置の構造)
図1は、本発明にかかる布団型ないし寝袋型の発汗装置(S)の側面図である。同図において1は、合成樹脂発泡シートからなる下敷きシートであり、床面との伝熱を遮断している。そして、この下敷きシート1の上に長い発熱シート2をU型に曲げて、その内部に利用者の人体4を横たえるようになっている。この利用者の人体4を収容する空間が「加熱空間」である。
【0039】
前記発熱シート2の内、人体4の下側になる表面には下側蓄熱マット5を配置し、また、人体4の上側の面、つまり発熱シート2aの上側には上側蓄熱マット6を配置している。そして、前記U型に曲げられた発熱シート2の内側に厚手のタオル地からなる吸汗層7をU型に二つ折りに曲げた状態で収容しておく。
【0040】
なお、この吸汗層7は寝袋状に形成して人体4を肩から足先まで包むように構成する。また、この吸汗層7が厚いタオル地の場合は、洗濯、乾燥あるいは消毒などの処理に困難が伴うことがあるので、これらの便宜性を含めて決めるのが良い。また、大型の筒形の衣服のような形のものを着用することで吸汗層7の全部あるいは一部とすることができる。
【0041】
何れにしても、人体4の肩から体、そして足先までその周囲をすっぽりと包み、恰も暖かい室に入ったように保温しながら、発汗を心地よく吸い取り、人体4には水分を感じさせないような性質を有するものが好ましい。
【0042】
本発明に係る装置を使用する際は、人体4は裸のままでも良いが、なるべく浴衣のような体を束縛しない簡単な衣類を着用するのが良い。多くの場合、発汗装置Sの下側の蓄熱マット5、上側の蓄熱マット6が露出して空気に触れると無駄な放熱が大きいので、発汗装置(S)全体に図1に示すように、薄手の布団か毛布などの上掛け8を掛けておくのがよい。
【0043】
本発明の構成要素として「背面蓄熱マット5と胸面蓄熱マット6」とは重要な部材であり、その第1の要件は、この発汗装置(S)を使用する前に十分に蓄熱できる蓄熱容量があること。好ましくは、500kcal以上/29kgであること。
【0044】
そして第2の要件は、あたかもゴム風船の中に風呂のお湯程度の温度ないしそれより若干高温の液体を入れたように、至極柔らかいが張りがあり、蒲鉾形あるいは半球状に形成され、また人肌のような柔らかい感触を持つような「弾性反発体」あるいは「蓄熱弾性体」であることである。
【0045】
第3の要件は、「弾性反発体5a、6a」あるいは「蓄熱弾性体5a、6a」は前記のように柔軟ではあるが、使用者が体重を落とした程度の衝撃力が作用しても破壊しないような耐久性を有するものであることである。
【0046】
この蓄熱弾性体の形状は、製造工程の簡易性と取扱い性を考慮して蓄熱弾性体の集合体であるシート状であることが最も適しているが、蓄熱剤を内部に充填した球状物を紐状物などの連結部材で連結してシート状に形成しても良い。
【0047】
図2は、背面あるいは胸面蓄熱マット5,6の一部を示す断面図であり、図3は同平面図である。
【0048】
蓄熱マット5、6を構成するフィルムFは、図4に示すように下地層f1と中間層f2と表面層f3で構成された3層構造の積層フィルム、あるいは2層構造の積層フィルムを使用する。3層構造の積層フィルムの場合、下地層f1は200μm厚程度のポリエチレン(熱接着層)と中間層f2が厚さ15μmのポリアミド系合成繊維(ナイロン)の延伸フィルムで、強度とガスバリア性を持たせている。更に表面層f3は厚さ15μmのナイロンの延伸フィルムで、強度とガスバリア性を持たせている。2層構造の積層フィルムの場合は、下層は厚さ200μmのポリエチレンフィルム、上層は厚さ15μのナイロンの延伸フィルムである。
【0049】
前記蓄熱マット5,6用のフイルムFは、前記複合構造に限定されるものではなく、電気的、熱的に安定で安全な性質を持つものであれば、単層構造のものでも使用することができる。
【0050】
本発明においては、このフィルムFが硬いと使用感がゴワゴワとするので、エンボス加工などにより適当な皺や微細な溝を形成して柔軟性を与えるようにするのがよい。
【0051】
前記のような構成のフィルムFは、図3に示すように、上下二枚合わせにして周囲と底部を溶着cして一端に開口を持つ袋体Bを形成し、更にこの袋体Bの長手方向に中間部を溶着dして平行する袋体b1,b2を形成する。
【0052】
次いで、この二つの袋体b1,b2の中に液体ないしジェル状になるように加熱された蓄熱剤hを充填する。そして前記平行する二つの袋体b1,b2を、長さ方向の所定間隔で横断して図5に示すように小袋状に区分し、複数の蓄熱弾性体5aを二列に配列して形成する。
【0053】
図2に示すように蓄熱弾性体5aを小袋状に区分けした理由は、ジェル状の蓄熱剤hの移動を制限し、体重などの押圧力が作用したときに内部の圧力を高め、その結果、反発力として弾性力を発揮させるためであり、この弾性力の発生によって人体4がその上に横臥したときに張りのある風船に乗ったような快適な感覚を与える。
【0054】
(発熱シート)
発熱シートは、ミサト株式会社(埼玉県幸手市上和田521−18)の製品、商品名「プラヒート」で、自動温度制御機能(PTC作用)をもつもので、幅が250、300、500mm、前者は60〜70W/m、後者は90W/mのものが使用される。
【0055】
(蓄熱マット)
前記蓄熱マット5、6を構成している蓄熱弾性体5a、6aは、体積がある大きさより大きいと弾性力が低下し、小さいと硬くなるばかりか、溶接部が剥離しやすくなる傾向がある。下側蓄熱マット5は、人体4に実質的に接触してその体重を負荷しながら蓄熱を放出して人体4を体温程度の低温で温めるためのものである。
【0056】
図5は、発熱シート2と蓄熱マット5、6との関係を示しており、これらの蓄熱マット5,6は必ず発熱シート2と積層状態で配置されており、発熱シート2の面積の方が蓄熱マット5、6より僅かに大きく、また、長く設計されている。本実施例においては、蓄熱マット5は2枚積層して弾力性と変形性(人体の形状に沿って変形する)および蓄熱量を増加させている。
【0057】
発熱シート2と上側の蓄熱マット6との積層状態は、前記の構成に限らず、図10(A)に示すように発熱シート2の上側に発熱マット6を配置したり、(B)に示すように下側に配置したり、あるいは発熱シート2の上側と下側の両側に配置することで熱伝導性と良好に保持することができる。
【0058】
図6は、蓄熱マット5、6を収容する布袋31,32と発熱シート2を収容する布袋20を示す斜視図であって、厚みの大きい布袋10aの中央部に長手方向に仕切り10bが形成されており、それぞれの布袋10aの中に背面蓄熱マット5を前記積層状態で挿入する。また、厚みの小さい布袋10cも長手方向に仕切り10dが形成されており、それぞれの袋10cの中に胸面蓄熱マット6挿入するように構成されている。
【0059】
厚みの厚い布袋10aと厚みの薄い布袋10cは、図示しないマジックテープ(登録商標)等の連結手段により、発熱シート2を収容した布袋20に密着状態で貼り付けられるように構成されている。また、これらの布袋10a,10c,20の開閉口10fには、図示しないマジックテープ(登録商標)が設けられており、蓄熱マット5、6や発熱シート2の出し入れ可能に構成されている。
【0060】
なお、図9に示すように発熱シート2の絶縁袋であるフイルム2aの外側をアルミ箔Alで包んで熱伝導性と必要に応じてアースを取って電気的に安全を図っている。
【0061】
図7は、発熱シート2を布製のカバー袋20内に収容した状態を示す断面図であって、通常、前記発熱シート2は合成樹脂フィルム製のカバー2a内に収容されて電気絶縁されており、本発明においては更にカバー袋20に収容して使用する。
【0062】
図8は、前記図7に記載されたカバー袋20内に発熱シート2を2枚収容し、それぞれの上面に図6に示した袋31の収納部10aにそれぞれ下側蓄熱マット5,5を収納した蓄熱剤入り袋を配置した状態を示している。
【0063】
図8においては、2枚の発熱シート2,2に対してそれぞれ下側蓄熱マット5,5を組み合わせた装置を示しているが、この発熱シート2の幅が2倍あれば、1枚の発熱シートに対して複数枚の蓄熱マット5を組み合わせて蓄熱部を構成することができる。
【0064】
(発汗装置の部材の概略寸法)
実際の発汗装置の概略寸法を例示すると下記のようになっている。
A.蓄熱マット布袋カバー
a)背面蓄熱マット用袋:長さ:1620mm、幅:250mm×2
b)胸面蓄熱マット用袋:長さ:1400mm、幅:250mm×2
B.発熱シート用布製カバー
全長:3050mm、幅:500mm
C.発熱シート用布カバーと蓄熱マット布カバーの取付け
背面蓄熱マット用袋と胸面蓄熱マット用袋とを30mmの間隔が形成されるように連結する。前記30mmの間隔は発熱シートが下側から上側に位置を変えるための穴を形成するためのものである。
D.蓄熱剤の使用量の一例
a)背面蓄熱マット5の蓄熱剤(硫酸ナトリウム10水塩)の量:25kg
b)胸面蓄熱マット6の蓄熱剤(硫酸ナトリウム10水塩)の量:4kg
全体の蓄熱剤の量:29kg(蓄熱剤全体の潜熱量:約1220kcal)
【0065】
(蓄熱剤の種類)
蓄熱剤hは、使用者の年齢、加熱温度の好み、使用する時間によってへんかさせて設計することがあり、その溶融温度や凝固温度が変化する。
【0066】
通常の体調の人の場合は、25℃〜45℃の温度差において、相変化を伴って蓄熱と放熱を行う性質を持つ材料が好ましく、本発明においては、28℃〜32℃の温度差において相変化を伴って蓄熱あるいは放熱を行う性質を持つ「芒硝」を主体として使用する。前記結晶芒硝は、硫酸ナトリウム10水塩(Na2SO4・10H2O)のことである。
【0067】
蓄熱剤が単体の場合は、予定された吸熱を放熱の目的に適合しない場合も発生するので、これをベースとして、これに第三成分を添加して溶融点と凝固点を調整したものを使用するのがよい。
【0068】
一例としては、硫酸ナトリウム10水塩に、第三成分として塩化ナトリウム水溶液を若干加えることによって目的とする特性を有するように調整することができる。
【0069】
この蓄熱剤としては、前記のように融点と凝固点との間に人体に悪影響を与えない温度範囲を持ち、できるだけ「骨」を温める性質を持つものであることが必要である。前記芒硝の場合は、29kgで約1220kcalの蓄熱量があり、この種の低温加熱用に最適なものである。
【0070】
本発明の実施例においては、蓄熱剤が溶融している温度、すなわち蓄熱完了状態である45℃で使用されるものであって、人体との温度差は約10℃しかないものの、砂風呂(50kgの砂)の4倍以上、サウナ風呂の36倍以上という圧倒的な熱量を有しているのである。なお、使用開始時の蓄熱剤は45℃となっており、このときの顕熱も含まれるので、蓄熱量は1000kcalをゆうに超えている。そして、その熱量のほとんどが、蓄熱マットが実質的に人体に密着して直接伝導により人体に受熱されることになる。
【0071】
その他の蓄熱剤としては、ノルマルパラフィン(パラフィン系潜熱蓄熱剤)を使用することができる。このパラフィン系潜熱蓄熱剤は、炭素鎖数に応じて凝固温度(融解温度)が低いものから高いものまで種々のものがあり、使用者の好みや加熱温度等に適した蓄熱剤が利用できる。この他には、チオ硫酸ナトリウム5水塩(Na2S2O3・5H2O、融点48℃)、酢酸ナトリウム3水塩(CH3COONa・3H2O、融点58℃)、塩化カルシウム6水塩(CaCl・6H2O)、リン酸ナトリウム12水塩(NaHPO4・12H2O)、硝酸ニッケル3水塩(Ni(NO3)2・3H2O)、塩化ナトリウム水溶液などがある。
【0072】
しかし、発明者が30年もの間に亘って使用した経験からすると、万が一漏出しても使用温度が低くて火傷をしないこと、毒性がなく不燃性であること、そして蓄熱量の大きさから、前記硫酸ナトリウム10水塩がよい。
【0073】
(セラミックの使用)
蓄熱剤は、相変化に伴って所定の潜熱と顕熱を吸収し、また、吸収した潜熱を放出する特性を有するものであるが、本発明の作用効果を増大するには、単に人体を蓄熱剤の放熱を利用して温めるだけではなく、体の芯から温め、体全体に温かさを感じさせる必要がある。
【0074】
そこで本発明においては、使用温度(45℃程度)において使用者の骨(特に背骨)が吸収しやすい波長(10μm前後)の赤外線を放射する性質を持つセラミックの微粉末を蓄熱剤の中に混合して使用する。
【0075】
具体的には、アルミナ(Al2O3)の#500、#8000のものを使用することによって使用温度における最適な波長の放射熱を発生させ、人体を効果的に温めることができる。その他、酸化チタン(TiO2:チタニア)、炭酸カルシウム(CaCO3)などの微粉末を使用することができる。
【0076】
このセラミック微粉末の添加量は、重量%で蓄熱剤の量に対して「1から1.5%」程度で十分にその効果を発揮することができる。
【0077】
セラミック微粉末を蓄熱剤中に添加すると、時間の経過と共に次第に沈殿し、遠赤外線の放射効率が減退するという問題が発生する。この問題を解決するために、蓄熱剤に微細な吸水性樹脂粉末を1%程度添加しておくことによって、セラミック微粉末の沈殿現象を回避することが可能である。
【0078】
(蓄熱マットから発生する熱の有効利用)
特に下側(背面側)の蓄熱マット5から放出される熱量はかなり大きい。また、その熱量の伝熱と輻射される方向は、蓄熱マット5の表裏両面である。従って裏面から放出される熱量は人体の加熱のロスとなるものである。そこで、図9に示すように発熱シート2を包むフイルム2aと袋10の間にアルミ箔Alを下敷き状に配置することによって、これを熱反射の鏡として使用することによって、熱効率を向上させることができる。
【0079】
(発汗装置の使用方法)
本発明に係る発汗装置を使用するときには、使用する2〜3時間程度前に通電して蓄熱マット5,6を加熱し、この蓄熱マット5,6内に収容されている蓄熱剤hに十分な潜熱を蓄熱させて溶解させ(32℃)、さらなる加熱により顕熱を蓄熱させる(45℃程度)。そして、本発明に係る装置を使用するときには通電を「OFF」として安全を確保しておき、前記蓄熱マット5,6に蓄熱された熱量のみで人体4を加熱するように使用する。このとき、人体4と実質的に接触している蓄熱マット5,6からの直接的な熱伝導と、この蓄熱マット5,6から放射される遠赤外線(主として10μm程度の波長)とにより、人体の外側と内側から温める。
【0080】
(タイマーの必要性)
発熱シート2への通電を「OFF」するタイマーは重要である。蓄熱マット5,6に収容された蓄熱剤hが蓄熱した熱量で1時間程度は十分に人体を温めることができるし、使用者によっては1時間よりも長く使用したい場合がある。また、使用中に僅かであるが蓄熱剤の温度が徐々に低下する。そこで、使用者の好みにより、タイマーを操作して所定時間(例えば、15分刻み)蓄熱マット5,6を再加熱して「追い炊き」できるようになっている。
【0081】
このような危険性を避けるために、「基本通電時間」タイマー(通常は蓄熱剤の蓄熱完了までの時間の約1時間)と、更に「追加的通電時間」を起動する追加タイマーとの回路を設置しておくことが良い。
【0082】
この追加タイマーは、所謂浴槽の「追い炊き」に相当しており、その時間は例えば、15分刻みで最長で1時間を限度として通電できるように回路構成をするのが良い。
【0083】
このタイマーは、例えば1回のボタンの押しで15分で一つのLEDが灯り、二回の押しで二つ目の色の違うLEDが灯り、以下同様にして最長で1時間に限定された通電をするように構成しておけば、発汗装置Sを安全に、しかも使用者本人の「確認のもと」でタイマー操作を行ない、使用者の体格や体調などに合わせて人体の加熱時間を調節して安全に装置を安全に運転することができる。
【0084】
(装置の使用温度)
本発明に係る発汗装置は温度45℃、湿度60%程度で使用されており、その汗かき指数は約101であり、十分に汗をかくことができるものであるが、体温との温度差が比較的小さいという特徴を有している。
【0085】
(使用感)
ア)本発明にかかる発汗装置は、極めて心地よい熱さを感ずるものであり、従来にない経験をすることになる。しかも使用開始後、約10分で体全体に火照りを感じ、15分を過ぎる頃には全身および顔から汗が噴出するようになる。
【0086】
イ)本発明にかかる発汗装置は、サウナに入るのとは違い、心地よい熱さであり、30分を過ぎる頃からはサラサラのしょっぱい汗はあまりでず、ベットリとした無味の汗となる。恰もマラソンでスタート地点から12km付近を走行しているときに出る汗のようである。
従って、サウナ風呂のように最初から最後まで、大量の水分とイオンを含んだ汗(サラサラでしょっぱい)が噴出し続けることがないので、使い終わった後で、ビールが欲しくなるような喉の渇きはサウナ風呂のようには感じない。
【0087】
ウ)本発明にかかる発汗装置を、週に1〜2回程度で、各1時間程度、約3ヶ月も使用した40代半ばの男性の場合、最初に68.5kgあった体重が、61.6kgに減少している。そして、全身の血行が良くなり、精神的に安定感が得られ、「穏やかな心地」となる。
特に、本発明にかかる発汗装置の特徴は、きつい体操などの運動がなく、誰でも長く使用することができ、しかもその間、読書したり、音楽を聴いたり、あるいはテレビのドラマを見たりすることができる。更に驚いたことには、本発明にかかる発汗装置を使用した後には、他の体重減量方法に比較して体重のリバウンドが全くないことである。
【0088】
エ)また、不眠症、冷え性で、便秘性で、寝起きが悪い70歳代前半の女性の場合は、本発明にかかる発汗装置を使用するようになってから、不眠症が治り、冷え性を感じなくなり、使用後かなりの長い時間(約3時間)気持ちの良い温かさを保ち、便通がよくなり、血流が良くなる感じがするように体調の全体が改善された。
【0089】
オ)以上のように、本発明にかかる発汗装置によると、横臥姿勢で、快い状態で大量の発汗を促し、単に横臥の状態でありながら、減量ができたり、不眠症が治ったり、便秘が治ったりなどの多数の体調の改善例がある。
特に、最近はメタボリックシンドロームが問題となっており、企業においても従業員の健康管理の責任が発生しているが、このような健康管理にも本発明の装置は大きな威力を発揮することができるものである。そして、さらには健康な身体を維持するための未病管理にも貢献することができるものである。
【0090】
カ)そして、人体との温度差が比較的小さいにもかかわらず、従来にはない圧倒的な熱量を人体に付与することができる。すなわち、人体との温度差が15℃以内で、潜熱および顕熱とによる蓄熱量が1000kcalを超えており、しかも1時間から1時間半とゆっくりと時間をかけて使用されるので、従来にはない大量の受熱が可能となった。
【0091】
キ)蓄熱マットが、ウォーターベッドのように使用者の人体を優しく保持するので、快適な寝心地で使用することができる。また、体の曲線や凹凸に合わせて変形して密着するので、熱効率も一層高まる。
【0092】
本発明の実施の形態における蓄熱剤の充填量は、使用者の体格・性別・年齢などによって変更可能なものであって、前記実施例に限定
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】本発明に係る簡易発汗装置の使用方法の説明図である。
【図2】蓄熱マットの断面図である。
【図3】図2に示した蓄熱マットの平面図である。
【図4】蓄熱マットを製作するフィルムの拡大断面図である。
【図5】発熱シートとその上に載置される蓄熱マットを示す斜視図である。
【図6】2種類の蓄熱マットと発熱シートを収容するための布カバーの斜視図である。
【図7】発熱シートを布カバーの中に入れた状態を示す断面図である。
【図8】発熱シートと蓄熱マットの積層状態を示す斜視図である。
【図9】発熱シートの下面にアルミ箔を配置して熱の反射鏡として構造の断面図である。
【図10】(A)は発熱シートの上側に蓄熱マットを配置した構造、(B)は発熱シートの背面蓄熱マットを配置した構造、(C)は発熱シートの上下面に蓄熱マットを配置した構造を示す側面図である。
【図11】図11は蓄熱マットの重量を軽減するための補助吊り上げ手段を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0094】
S 簡易発汗装置
h 蓄熱剤
B 袋体
b1、b2 袋体
2 発熱シート
5 背面蓄熱マット
6 胸面蓄熱マット
5a,6a 蓄熱弾性体
7 吸汗層
10a、10c 布袋
10b、10d 仕切り
10f 開閉部
20 カバー袋
30 布袋
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面状の発熱シートを上・下に配置すると共に、この両発熱シートに液状の蓄熱剤を充填した蓄熱マットをそれぞれ配置し、前記両発熱シートの間に利用者の人体を収容し、その人体の背側面を蓄熱マット上に延在する加熱空間を形成し、前記加熱空間の内部に利用者を横臥させ、その人体の背面と胸面とを、前記蓄熱マットに蓄熱された熱を放出して体温付近の温度で加熱することを特徴とする発汗方法。
【請求項2】
平面状の発熱シートを上・下に配置すると共に、この両発熱シートに平行して蓄熱完了状態で液状となり、放熱完了状態で固化する性質を持つ潜熱型蓄熱剤を充填した蓄熱マットをそれぞれ配置し、前記両発熱シートの間に利用者の人体を収容し、その人体の背側面を蓄熱マット上に延在する加熱空間を形成し、前記加熱空間の内部に利用者を横臥状態位置させ、人体の背側面と胸側面とを、前記蓄熱マットにより蓄熱された熱を放出して人体を加熱することを特徴とする発汗方法。
【請求項3】
平面状の発熱シートを連続あるいは分割して上・下に間隔を開けて配置すると共に、この発熱シート上に蓄熱完了状態で液状となり、放熱完了状態で固化する性質を持つ潜熱型蓄熱剤を内蔵した蓄熱マットをそれぞれ積層配置し、利用者が横臥姿勢で前記背面の蓄熱マットに体重を負担させ、更に胸面の蓄熱マットなどの重量一部あるいは全部を前記利用者に負荷させると共に、その利用者に蓄熱マットが保有する熱量を接触状態で熱伝達するように構成し、更に、前記利用者を吸湿性を持つ衣服、寝袋、シーツなどで包み、発汗した汗を吸収しながら加熱するように構成したことを特徴とする発汗装置。
【請求項4】
前記蓄熱マットは、多数の小袋体に形成され、その内部に潜熱型蓄熱剤が充填され、更にその蓄熱剤中に蓄熱マットの温度で遠赤外線を放射する性質を持つセラミックの微粒子が混入されていることを特徴とする請求項3に記載の発汗装置。
【請求項5】
前記発熱シートは、熱可塑性樹脂を押出成形して製造されたPTC特性を有する面状発熱シートであり、前記蓄熱マットは、合成樹脂製フィルムを使用した袋が小袋状に分割され、その内部に潜熱型の蓄熱剤が充填され、使用温度で柔軟で圧力の発生によりウォータベッド状の感触を与える弾性反発体を形成しており、この弾性反発体に体重を分散して保持させると共に、使用者と弾性反発体との密着状態で熱伝達するように構成したことを特徴とする請求項3あるいは4記載の発汗装置。
【請求項6】
前記平面状の発熱シートは幅方向にスリットが形成されてスダレ状に分割されて柔軟性が付与され、更にその発熱シートを包む合成樹脂フィルムは、エンボス加工などの柔軟加工が施されていることを特徴とする請求項3ないし5の何れかに記載の発汗装置。
【請求項7】
前記平面状の発熱シートを収容した合成樹脂製の袋は、周囲にアルミ箔が配置され、蓄熱マットから放出される熱を使用者の方に反射するように構成されていることを特徴とする請求項3ないし6の何れかに記載の発汗装置。
【請求項8】
前記蓄熱剤は、使用者の体温との温度差が15℃以内であり、潜熱による蓄熱と顕熱による蓄熱とを合わせた総蓄熱量が蓄熱完了状態で500kcal以上であることを特徴とする請求項3ないし7記載の発汗装置。
【請求項9】
前記潜熱型蓄熱剤に混入されるセラミック微粒子は、酸化アルミニウム(Al2O3)単体、あるいはこれに別の材質のセラミック微粒子が混入されていることを特徴とする請求項4記載の発汗装置。
【請求項10】
前記潜熱型蓄熱剤中に、セラミック微粒子と、このセラミック微粒子の沈降を抑制するための吸水性樹脂の粉末が添加されていることを特徴とする請求項4、9の何れかに記載の発汗装置。
【請求項11】
前記加熱空間に使用者が進入して横臥状態になった時に、前記発熱シートへの通電を自動的OFFする電気回路と、前記OFFの状態を解除してONさせ、このONの時間を所定時間単位で、最大で1時間以内の延長が可能な電気回路が設けられていることを特徴とする請求項4に記載の発汗装置。
【請求項1】
平面状の発熱シートを上・下に配置すると共に、この両発熱シートに液状の蓄熱剤を充填した蓄熱マットをそれぞれ配置し、前記両発熱シートの間に利用者の人体を収容し、その人体の背側面を蓄熱マット上に延在する加熱空間を形成し、前記加熱空間の内部に利用者を横臥させ、その人体の背面と胸面とを、前記蓄熱マットに蓄熱された熱を放出して体温付近の温度で加熱することを特徴とする発汗方法。
【請求項2】
平面状の発熱シートを上・下に配置すると共に、この両発熱シートに平行して蓄熱完了状態で液状となり、放熱完了状態で固化する性質を持つ潜熱型蓄熱剤を充填した蓄熱マットをそれぞれ配置し、前記両発熱シートの間に利用者の人体を収容し、その人体の背側面を蓄熱マット上に延在する加熱空間を形成し、前記加熱空間の内部に利用者を横臥状態位置させ、人体の背側面と胸側面とを、前記蓄熱マットにより蓄熱された熱を放出して人体を加熱することを特徴とする発汗方法。
【請求項3】
平面状の発熱シートを連続あるいは分割して上・下に間隔を開けて配置すると共に、この発熱シート上に蓄熱完了状態で液状となり、放熱完了状態で固化する性質を持つ潜熱型蓄熱剤を内蔵した蓄熱マットをそれぞれ積層配置し、利用者が横臥姿勢で前記背面の蓄熱マットに体重を負担させ、更に胸面の蓄熱マットなどの重量一部あるいは全部を前記利用者に負荷させると共に、その利用者に蓄熱マットが保有する熱量を接触状態で熱伝達するように構成し、更に、前記利用者を吸湿性を持つ衣服、寝袋、シーツなどで包み、発汗した汗を吸収しながら加熱するように構成したことを特徴とする発汗装置。
【請求項4】
前記蓄熱マットは、多数の小袋体に形成され、その内部に潜熱型蓄熱剤が充填され、更にその蓄熱剤中に蓄熱マットの温度で遠赤外線を放射する性質を持つセラミックの微粒子が混入されていることを特徴とする請求項3に記載の発汗装置。
【請求項5】
前記発熱シートは、熱可塑性樹脂を押出成形して製造されたPTC特性を有する面状発熱シートであり、前記蓄熱マットは、合成樹脂製フィルムを使用した袋が小袋状に分割され、その内部に潜熱型の蓄熱剤が充填され、使用温度で柔軟で圧力の発生によりウォータベッド状の感触を与える弾性反発体を形成しており、この弾性反発体に体重を分散して保持させると共に、使用者と弾性反発体との密着状態で熱伝達するように構成したことを特徴とする請求項3あるいは4記載の発汗装置。
【請求項6】
前記平面状の発熱シートは幅方向にスリットが形成されてスダレ状に分割されて柔軟性が付与され、更にその発熱シートを包む合成樹脂フィルムは、エンボス加工などの柔軟加工が施されていることを特徴とする請求項3ないし5の何れかに記載の発汗装置。
【請求項7】
前記平面状の発熱シートを収容した合成樹脂製の袋は、周囲にアルミ箔が配置され、蓄熱マットから放出される熱を使用者の方に反射するように構成されていることを特徴とする請求項3ないし6の何れかに記載の発汗装置。
【請求項8】
前記蓄熱剤は、使用者の体温との温度差が15℃以内であり、潜熱による蓄熱と顕熱による蓄熱とを合わせた総蓄熱量が蓄熱完了状態で500kcal以上であることを特徴とする請求項3ないし7記載の発汗装置。
【請求項9】
前記潜熱型蓄熱剤に混入されるセラミック微粒子は、酸化アルミニウム(Al2O3)単体、あるいはこれに別の材質のセラミック微粒子が混入されていることを特徴とする請求項4記載の発汗装置。
【請求項10】
前記潜熱型蓄熱剤中に、セラミック微粒子と、このセラミック微粒子の沈降を抑制するための吸水性樹脂の粉末が添加されていることを特徴とする請求項4、9の何れかに記載の発汗装置。
【請求項11】
前記加熱空間に使用者が進入して横臥状態になった時に、前記発熱シートへの通電を自動的OFFする電気回路と、前記OFFの状態を解除してONさせ、このONの時間を所定時間単位で、最大で1時間以内の延長が可能な電気回路が設けられていることを特徴とする請求項4に記載の発汗装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
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【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2009−119197(P2009−119197A)
【公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−306444(P2007−306444)
【出願日】平成19年11月27日(2007.11.27)
【出願人】(592132981)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年11月27日(2007.11.27)
【出願人】(592132981)
【Fターム(参考)】
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