説明

発泡体の製造方法

【課題】簡便かつ連続生産が可能で生産性が高い光学フィルムの製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明は、活性エネルギー線を照射した後に加熱することにより発泡する樹脂成形体であって、活性エネルギー線を照射した後に、レーザー光線によって加熱する発泡体の製造方法である。また、活性エネルギー線を照射した後に加熱することにより発泡する樹脂成形体が、活性エネルギー線の作用によって酸を発生する酸発生剤または塩基を発生する塩基発生剤と、酸または塩基と反応して一種類以上の低沸点揮発性物質を分解脱離する分解発泡性官能基を有する分解発泡性化合物とを含有する発泡性組成物である発泡体の製造方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、成形体の任意の部位または全部を発泡させた発泡体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、発泡部と非発泡部を同一成形体に生成させることにより、特異な意匠性、光学特性をもつ部材として発泡体を利用する用途が開発されている。例えば、液晶表示装置や照光式広告等には蛍光灯やLED等の線状、点状等の光源が用いられているが、これらの光源からの光の面内の輝度分布に対応して面内に発泡部と非発泡部を適切に配置した発泡体シートを光源上に設置すると、均一な輝度分布をもつ面状光源が構成できる。
発泡部と非発泡部を同一形成体に作製させる方法として、例えば、特許文献1では、活性エネルギー線を照射した後に加熱することにより発泡する樹脂成形体に対して、活性エネルギー線として紫外線を用い、紫外線を遮蔽するマスクを利用して、成形体の任意の場所に紫外線を照射し、その後加熱により紫外線を照射した部位のみを発泡させる方法が提案されている。また、仮に任意の場所のみに活性エネルギー線を照射することが出来たとしても、加熱によって生じる発泡現象を精密にコントロールしないと、過大な発泡により成形体に異常な膨れを生じたり、逆にガスが表面から逃げてしまい発泡が不十分になってしまう。加熱によって生じる発泡現象を精密にコントロールするには、高速昇温・高速冷却が可能な特殊な加熱装置を用いたり、高圧でプレスしながら加熱したりすることにより、ガスの抜けや過大発泡を防ぐ等の特殊な手段が必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001-150612号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1で提案されている、活性エネルギー線を照射した後に加熱することにより発泡する樹脂成形体に対して、活性エネルギー線として紫外線を用い、任意の場所のみに紫外線を照射し、加熱により紫外線を照射した部位のみを発泡させる場合には、紫外線を任意の場所のみに照射する手段が有効である。
紫外線を任意の場所のみに照射する手段としては、(1)紫外線を遮光するマスクを用いるマスク露光法、(2)紫外線を照射する部位を走査しながら紫外線のON/OFFを行ってパターンを書き込む走査露光方法がある。
(1)のマスク露光方法では、紫外線を遮蔽するマスクが高価であり、かつ紫外線の繰り返し露光によりマスクが劣化したり、照射部位をかえる毎にマスクの作製が必要である等の欠点がある。また、精密な露光パターンを書き込むためにはマスクを被露光物に真空吸着などの方法により完全に密着させることが必要で生産性が低いという難点がある。
(2)の紫外線を走査しながらON/OFFを行ってパターンを書き込む走査露光方法では一枚毎に異なった照射パターンで露光することが可能で、真空吸着機構が不要等の利点があるが、紫外線の精密なパターンを走査露光する装置は大型で、特殊な装置であるために非常に高価である。また、光源からの光をミラー等で走査する場合、部位による焦点距離のずれを補正するためにfθレンズと呼ばれる特殊レンズが必要であるが、紫外線用の石英fθレンズは非常に高価である。
従って、これらの方法では、活性エネルギー線として電子線を利用したとしても、電子線を任意の場所に照射する装置は大型で、かつ特殊な装置であり、工業的なプロセスの一部として利用することは困難である。
【0005】
本発明は、上記事情を鑑みてなされたものであって、特殊な紫外線露光装置や特殊な加熱装置を使用しなくても、任意の部位を発泡させることができる発泡体の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を達成するために、本発明は以下の態様を包含する。
(1)活性エネルギー線を照射した後に加熱することにより発泡する発泡性組成物を成形体とする成形工程と、
前記成形体にレーザー光線により熱エネルギーを付与して発泡させる発泡工程とを備えている発泡体の製造方法である。
(2)活性エネルギー線を照射した後に加熱することにより発泡する成形体が、活性エネルギー線の作用によって酸を発生する酸発生剤または塩基を発生する塩基発生剤と、酸または塩基と反応して一種類以上の低沸点揮発性物質を分解脱離する分解発泡性官能基を有する分解発泡性化合物とを含有する発泡性組成物である上記(1)記載の発泡体の製造方法である。
(3)レーザー光線が、波長700nm以上の赤外線レーザーである上記(1)または(2)いずれかに記載の発泡体の製造方法である。
(4)赤外線レーザーが、波長10.6μmの炭酸ガスレーザーである上記(3)記載の発泡体の製造方法である。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、特殊な紫外線露光装置や特殊な加熱装置を使用することなく、任意の部位を発泡させることができる簡便かつ連続生産が可能で生産性が高い発泡体の製造方法である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の発泡樹脂成形体および、レーザー照射・発泡工程の1実施形態の模式図である。
【図2】本発明のレーザー照射・発泡工程後の発泡樹脂成形体の模式図である。
【図3】本発明のレーザー照射・発泡工程の1実施形態の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の発泡体の製造方法の一実施形態について説明する。但し、以下の実施形態に限定されるものではない。
【0010】
<活性エネルギー線を照射した後に加熱することにより発泡する樹脂成形体>
本実施形態の発泡体の製造方法では、まず、発泡性樹脂成形体は、活性エネルギー線を非選択的に照射した後に、レーザー光線によって加熱することにより、レーザー光線を照射した部位のみ発泡する発泡性組成物を成形体としたものである。
【0011】
[活性エネルギー線を照射した後に加熱することにより発泡する樹脂組成物(発泡性組成物)]
上記発泡性組成物としては、活性エネルギー線を照射したのち熱エネルギーの作用により発泡する組成物からなる成形体である。
【0012】
発泡性組成物としては、例えば、特開2004−2812号公報、特開2006−155937号公報等に記載の発泡性組成物を用いることができる。すなわち、活性エネルギー線の作用によって酸を発生する酸発生剤または塩基を発生する塩基発生剤と、酸または塩基と反応して一種類以上の低沸点揮発性物質を分解脱離する分解発泡性官能基を有する分解発泡性化合物とを含有する発泡性組成物を用いることができる。
特に、酸発生剤または塩基発生剤として紫外線に感度を持つ化合物を用いると工業的に広く用いられている紫外線照射装置を活性エネルギー線源として使用することが出来るので好適である。
また、発泡性組成物を溶解する溶媒は、発泡性組成物を変質することがなく溶解する物質であればよく特に限定されない。例えば、酢酸エチル、メチルエチルケトン、トルエンおよびそれらの混合溶媒等が好適に用いられる。
【0013】
また、発泡性組成物は単独で成形体としてもよく、別の基材に印刷、塗布、貼り付け、埋め込みして複合成形体としてもよい。基材の材質は特に限定されず、紙、木材、プラスチック、セラミック、金属、ガラス等を用いることができる。基材、支持体と発泡性組成物との間に、相互の接着を補強するアンカー層を設けても構わない。
発泡性成形体の形状は特に限定されない。用途に応じた所望の形状とすることができる。ただし、複雑な形状の場合、活性エネルギー線や赤外線レーザーが照射されない部位が生じる場合がある。
中でも、平面、曲面の板、シート状の形状が好適に使用される。発泡性組成物の層の厚みは特に限定されない。通常1〜200μm程度が好適である。発泡性組成物の厚みが、200μmを越えて厚くなりすぎると、活性エネルギー線および赤外線レーザーが深部に到達しなくなる。また、1μm未満では、発生したガスが層から離脱し、発泡が不十分になったり、発泡しても層が薄すぎて発泡体としての光学的、物理的な特徴的効果が少なくなる。
【0014】
[発泡性樹脂成形体の成形方法]
発泡性樹脂成形体の成形方法としては、従来公知の方法を用いることが出来、特に限定されない。例えば、押し出し成形、射出成形、塗工成形等を用いることができる。特に、発泡性組成物を溶媒に溶解して塗料の形態とし、塗工-乾燥させて成形体を得る塗工成形は熱による発泡性樹脂組成物の変質を抑制できるので好適である。
塗工成形の場合、支持体に塗工ヘッドを用いて発泡性組成物を塗工した後、発泡性組成物が溶剤等で希釈された溶液ならば、乾燥器にて溶剤分を除去し、支持体上に発泡性組成物からなるシート状の層を得る。このとき、支持体から発泡性組成物の層を剥離することで、発泡性組成物からなる単独の成形体を得ることもできる。
また、塗工方法には、バーコート法、エアードクターコート法、ブレードコート法、スクイズコート法、エアーナイフコート法、ロールコート法、グラビアコート法、トランスファーコート法、コンマコート法、スムージングコート法、マイクログラビアコート法、リバースロールコート法、マルチロールコート法、ディップコート法、ロッドコート法、スプレーコート法、ゲートロールコート法、落下カーテンコート法、スライドコート法、ファウンテンコート法、およびスリットダイコート法などがあげられる。
【0015】
(活性エネルギー線)
本発明における活性エネルギー線としては、発泡性組成物が反応する種類、強度のものであればよく特に限定されない。例えば、紫外線、可視光線、電子線、電離放射線等があげられる。
発泡性組成物が紫外線により反応する場合は、通常の紫外線光源、例えば、紫外線を発する蛍光ランプ、高圧/低圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、太陽光、放電ランプ等を用いることが出来る。特に紫外線を発する蛍光ランプ、所謂ブラックライト、ケミカルランプと称する蛍光ランプが安価であり簡易に使用できる。
活性エネルギー線の照射は、単一あるいは複数の光源から被照射物全体に一度に照射してもよく、また光源あるいは被照射物を動かして逐次照射してもよい。
活性エネルギー線は、平行光、拡散光のいずれであっても構わない。
本発明において、活性エネルギー線照射の段階では非選択的照射(パターニングを行わない)であるので、簡便な拡散光であっても発泡部位の精細度に影響がなく好適に用いることが出来るのが、本方法の利点のひとつである。
【0016】
《レーザー光線》
活性エネルギー線を照射した発泡性組成物の発泡は、発泡を生じさせたい部位に選択的にレーザー光線を照射し加熱して発泡させればよい。すなわち、発泡性樹脂成形体が光線を吸収し熱に変わる種類のレーザー光線を用いる。発泡部が白色で、非発泡部が透明な発泡体を作成しようとするとき、前述の発泡組成物は発泡前に必然的に透明である必要がある。透明、すなわち、可視光線領域に強い吸収がない発泡性組成物を加熱するためには、可視光領域のレーザーでは吸収が起こらず熱が発生しないために不適である。しかしながら、透明な発泡性組成物であっても波長700nm以上のレーザー光線、すなわち赤外線レーザーならば吸収され加熱発泡させることが可能である。
レーザー光線による加熱は、照射をした瞬間に照射された部位の温度が上昇し、照射を終了すると即時に熱が周囲に拡散するため、過大な発泡や、ガスの逃げによる発泡不足などが抑制され適度な発泡が得られるので好ましい。
また、レーザーによる高速昇温・急速冷却というダイナミックなプロセスのため、発泡性組成物のガラス転移温度や融点の影響を受けにくく、発泡状態が発泡性組成物中の残留溶媒の影響を受けにくいことから、他の加熱発泡方法では必要であった成形体の予備加熱による残留溶媒除去プロセスを省略することができ工業的に非常に有利である。
また、レーザーによる加熱は加熱炉や加熱プレス装置等の加熱手段に比べ炉自体や熱板を加熱することによるエネルギー消費が無いためにエネルギー効率が非常によく、さらにレーザーによる加熱は非接触で行われるために、接触的加熱手段で生じる表面の傷や、剥離、融着等によって生じる表面欠陥の発生がなく、また、温風加熱などの加熱手段では温度分布が場所によって異なることによる発泡ムラを生じ易いが、レーザー加熱では均一な加熱が容易に実現できるので好ましい。
本発明に用いる赤外線レーザーの波長が700nm以上であれば特に限定されないが、例えば、炭酸ガスレーザー、YVO4レーザー、半導体レーザー等を用いることができる。中でも、炭酸ガスレーザーおよびYVO4レーザーが好ましい。
【0017】
<赤外線レーザー>
赤外線レーザーとしては、一般に工業的に用いられている照射方法、装置等を用いることが出来、特に限定されない。例えば、XY方向に稼動するミラーによりレーザー光線を走査して照射する装置、通称レーザープロッター装置(図3)を用いることができる。また、ポリゴン(多面体)ミラーやガルバノミラーでレーザー光線を走査して照射するレーザーマーカー方式の装置を使用することが出来る。また、レーザー光線を固定し、被照射物すなわち発泡組成物成形体の方を動かして任意の場所に照射してもよい。レーザー光線の走査と被照射物の移動を組み合わせると、大面積に均一に照射することが可能である。
【0018】
赤外線レーザーの最適照射強度は、レーザーの波長と発泡性組成物の吸収効率の関係、レーザーのスポット径、発泡性組成物の厚み、発泡組成物成形体の形状、設置角度等の影響を受ける。レーザー光の照射強度が弱すぎると発泡を生じない。逆に強すぎると、穴が開いたり、熱による成形体の変形を生じるので好ましくない。レーザー光の照射強度はテスト照射による発泡状況を確認して、レーザー出力、スポット径、走査速度を調節することにより適宜、最適値に保つ。他の加熱方法に比べ、加熱強度を自由に制御できることもレーザー光加熱発泡方法の利点である。
赤外線レーザーの発振器の必要出力は、レーザーの波長と発泡性組成物の吸収効率の関係、レーザーのスポット径、発泡性組成物の厚み、発泡組成物成形体の形状、設置角度等の影響を受け一概には言えないが、一般的に数100mW以上あれば、スポット径、走査速度を調節することにより数十μm厚みの発泡性組成物層を加熱発泡することができる。
【0019】
(炭酸ガスレーザー)
炭酸ガスレーザー(波長10.6μm)は炭酸ガスをレーザー発振媒質とするレーザーである。小型で数十Wクラスの高い出力が得られる。出力が高いので高速で照射作業を行うことができ、高い生産性が得られる。また、封じ切りタイプの炭酸ガスレーザーはメンテナンスが不要で簡便に使用することが出来る。また波長が長いので樹脂系の材料に良く吸収されるため効率が良く、好ましい。また、波長10.6μmの光は大気中での吸収が少なくレーザーの光路を長くしても減衰が少なく、光学設計に自由度が高いという利点がある。
【0020】
(YVO4レーザー)
YVO4レーザーとはイットリウムバナデート結晶を主たるレーザー発振媒質とするレーザーの総称で、イットリウムバナデート結晶に希土類元素をドープした、例えばネオジムをドープしたNd:YVO4レーザー等を含む。YVO4レーザーはYAGレーザー等よりも小さな領域にレーザー光を収束させることが可能であり、そのため発泡性組成物の層の非常に精細な領域を加熱発泡させることが可能である。
【実施例】
【0021】
以下に本発明の発泡体の製造方法の一実施形態を示す。ただし、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではない。
<実施例1>
分解性化合物であるtert−ブチルアクリレート(60質量%)とメチルメタクリレ
ート(30質量%)とメチルメタクリル酸(10質量%)の共重合体100質量部に対して、紫外線に感度を持つ酸発生剤としてCGI-1907(CHIBA社製)を3質量部混合し、それらを溶解させた酢酸エチル溶液を調製した(固形分含有量:25質量%)。
【0022】
前記発泡性組成物からなる塗料を、厚さ100μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡製コスモシャインA4300)上にアプリケーターで120μmの厚みに塗布し、110℃の乾燥炉で乾燥させて厚さ20μmの発泡性組成物の層が形成された発泡性樹脂フィルムを得た。
【0023】
主波長360nmの紫外線蛍光ランプ(40W型 東芝製)8本を平行に並べた紫外線照射装置内で前記発泡性樹脂フィルムを7m/minの速度で通過させ、50mJ/cmの強度で紫外線照射を受けた発泡性樹脂フィルムを得た。
【0024】
[赤外線レーザーの照射]
ユニバーサルレーザー社製レーザー加工装置のサンプルテーブルにA4サイズにカットした発泡性フィルムをセットし5W相当の炭酸ガスレーザー(レーザースポット径80μm)をあらかじめコンピューターで作製した照射パターン(画像)に従い、ミラーとレンズをXY方向に走査し照射した。照射した部位のみ白く発泡し、非照射部は透明な発泡パターンをもつフィルムが得られた。
【0025】
<実施例2>
実施例1の炭酸ガスレーザー加工装置に代えて、キーエンス社製YVO4レーザーマーキング加工機MD-9600Aを使用したほかは実施例1同様に実施した。レーザー照射した部位のみ白く発泡し、非照射部は透明な発泡パターンをもつフィルムが得られた。
【0026】
<比較例1>
実施例1と同様に10cm角の発泡性樹脂フィルムを用意した。厚さ3mmの石英ガラスにクロムめっきでパターンを形成した石英ガラスマスクを作成した。石英ガラスマスクを発泡性樹脂フィルムに真空密着させ、主波長360nmの紫外線蛍光ランプ(40W型 東芝製)8本を平行に並べた紫外線照射装置を7m/minの速度で通過させ、50mJ/cmの強度で紫外線照射を受けた発泡性樹脂フィルムを得た。
紫外線照射を受けた発泡性樹脂フィルムを130℃のオーブンで2分間加熱し、石英マスクのマスクパターンの透明部位に対応した部位が発泡したフィルムを得た。
【0027】
(評価方法)
<発泡均一性>
サンプルを黒アクリル板上に置き、発泡部位の反射濃度(白さ)を反射濃度計で測定し、均一性を評価した。
○ : 均一な発泡が得られた。
× : 不均一な発泡で斑があった。

<精細度>
サンプルを黒アクリル板上に置き、発泡した細線の鮮鋭度を目視評価した。
○ : 発泡部と未発泡部の境界線が鮮明であった。
× : 発泡部と未発泡部の境界線がボヤケていた。

<ブリスター(異常発泡)>
発泡したサンプルの10cm角あたりの火膨れの数を測定した。
【0028】
【表1】

【0029】
上記結果から、活性エネルギー線を照射した後に加熱することにより発泡する樹脂成形体を、活性エネルギー線を照射した後に、レーザー光線によって加熱する発泡体の製造方法は、特殊な紫外線露光装置や特殊な加熱装置を使用することなく、任意の部位の異常発泡を起こすことなく、均一に精細度よく発泡させることができる簡便かつ連続生産が可能で生産性が高い製造方法であることが示された。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明の発泡体は、広告照明用バックライト装置の輝度分布均斉化シート、サインディスプレイ(照光式広告)として利用することができる。
【符号の説明】
【0031】
1 発泡性組成物(層)
2 基材
3 レーザー光線
4 発泡性樹脂フィルム
5 発泡性組成物(発泡後)
6 レーザー発振器
7 ミラー
8 X軸レール
9 Y軸レール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
活性エネルギー線を照射した後に加熱することにより発泡する発泡性組成物を成形体とする成形工程と、
前記成形体にレーザー光線により熱エネルギーを付与して発泡させる発泡工程とを備え
ていることを特徴とする発泡体の製造方法。
【請求項2】
活性エネルギー線を照射した後に加熱することにより発泡する成形体が、活性エネルギー線の作用によって酸を発生する酸発生剤または塩基を発生する塩基発生剤と、酸または塩基と反応して一種類以上の低沸点揮発性物質を分解脱離する分解発泡性官能基を有する分解発泡性化合物とを含有する発泡性組成物であることを特徴とする請求項1記載の発泡体の製造方法。
【請求項3】
レーザー光線が、波長700nm以上の赤外線レーザーである請求項1または請求項2いずれかに記載の発泡体の製造方法。
【請求項4】
赤外線レーザーが、波長10.6μmの炭酸ガスレーザーである請求項3記載の発泡体の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−185005(P2010−185005A)
【公開日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−29985(P2009−29985)
【出願日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【出願人】(000122298)王子製紙株式会社 (2,055)
【Fターム(参考)】