説明

発泡樹脂の選別方法

【課題】簡易な構成で、容易に導入することができ、発泡樹脂を含む混合物から、発泡樹脂を高純度で回収できる発泡樹脂の選別方法を提供すること。
【解決手段】
発泡樹脂を含む混合物を、湿潤させる湿潤工程と、スクリュープレス2を用いて、湿潤した混合物を脱水させて、混合物中の発泡樹脂の含水率を5〜30%に調整する脱水工程と、比重差選別機4を用いて、脱水された混合物から発泡樹脂を分離させる分離工程とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発泡樹脂の選別方法、詳しくは、発泡樹脂を含む混合物から発泡樹脂を選別する発泡樹脂の選別方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、廃プラスチック(具体的には、容器リサイクル法に基づくプラスチック回収品)から、ポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)などのオレフィン系樹脂と、発泡ポリスチレン(発泡PS)とを選別し、選別されたオレフィン系樹脂と発泡PSとをそれぞれ回収することが知られている。回収されたオレフィン系樹脂や発泡PSは、再生利用される。なお、オレフィン系樹脂や発泡PSを再生利用するには、純度が90重量%以上であることが好ましい。
【0003】
廃プラスチックからオレフィン系樹脂と発泡PSとを選別するには、まず、回収した廃プラスチックを解袋し、次いで、手選別で廃プラスチックから発泡PSを回収する。このとき、細かい発泡PSは、手選別では回収できずに、廃プラスチックに混じって手選別を通過する。
【0004】
次いで、細かく廃プラスチックを破砕し、浮遊選別機を用いて、水による浮遊選別を実施し、廃プラスチックから、水に浮くオレフィン系樹脂を選別する。このような浮遊選別機として、例えば、攪拌機を有する円筒形状の第1貯水槽と、第1貯水槽の底部に連通される長方形状の第2貯水槽とを備える浮遊選別機が知られている。
【0005】
この浮遊選別機では、まず、細かく破砕した廃プラスチックを、第1貯水槽に投入する。すると、投入された廃プラスチックのうち、PPやPEなどの比重の大きな樹脂は、攪拌機により生じた水流によって、第1貯水槽の底部に沈降され、第1貯水槽の底部から第2貯水槽へ流し込まれる。一方、投入された廃プラスチックのうち、発泡PSなどの比重の小さな樹脂は、浮力が大きく、攪拌機による水流によって沈むことなく、第1貯水槽の水面に浮上する。
【0006】
そして、水面に浮上した発泡PSを、吸引ブロワで吸い込んで、回収することが知られている。
【0007】
しかし、この浮遊選別機では、沈降途中のPP、PEが、発泡PSとともに吸引ブロワに吸引される。そのため、回収された発泡PSには、オレフィン系樹脂が20〜30重量%含有されており、純度が90重量%以上の発泡PSを得ることが困難である。その結果、回収された発泡PSを、再生ポリスチレンとして使用することが困難である。
【0008】
そこで、高純度の発泡PSを得るために、例えば、水を収容する外側ケーシングと、材料を受け入れる内側筒と、外側ケーシング内に設けられ、液体を攪拌するための水平回転羽根と、内側筒内に設けられ、上下移動可能な上下移動羽根とを備える浮遊選別装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0009】
この浮遊選別装置では、内側筒に受け入れられる材料は、第2羽根の上下移動に基づく液体の下方流および上方流によって、上下方向に分離される。
【0010】
このとき、上方流に追随して、比重が極めて小さい発泡体が、上方に押し上げられて浮上する一方、発泡体以外の材料は、上方流に追随せず、内側筒内の下部においてそのまま浮遊する。
【0011】
このように、分離された発泡体と、発泡体以外の材料とをそれぞれ回収することにより、材料から発泡体を選別している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2009−160531号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかるに、上記した特許文献1に記載の浮遊選別装置を、上記した従来の方法に使用しようとすると、従来使用されている浮遊選別機に付加して、特許文献1に記載の浮遊選別装置を導入することとなり、従来の選別ラインの改装にかかるコストなどの理由から、その導入が困難である。
【0014】
そこで、本発明の目的は、簡易な構成で、容易に導入することができ、発泡樹脂を含む混合物から、発泡樹脂を高純度で回収できる発泡樹脂の選別方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記した課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、発泡樹脂を含む混合物から、前記発泡樹脂を選別する発泡樹脂の選別方法であって、前記混合物を湿潤させる湿潤工程と、脱水機を用いて、湿潤した前記混合物を脱水させる脱水工程と、乾式の比重差選別機を用いて、脱水された前記混合物から前記発泡樹脂を分離させる分離工程とを含むことを特徴としている。
【0016】
このような方法によれば、従来使用されていた浮遊選別装置をそのまま湿潤工程において使用すれば、脱水機や比重差選別機を付け加えるという簡易な構成で、混合物から発泡樹脂を分離させることができる。
【0017】
また、このような方法によれば、脱水工程において、混合物(発泡樹脂、および、発泡樹脂以外の樹脂)の表面に付着する水分を除去することができる。
【0018】
そのため、乾式の比重差選別機を用いて、混合物から発泡樹脂を精度よく分離させることができる。
【0019】
その結果、混合物から、発泡樹脂を高純度で回収できる。
【0020】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記脱水工程において、前記混合物の含水率を5〜30%に調整することを特徴としている。
【0021】
このような方法によれば、混合物(発泡樹脂、および、発泡樹脂以外の樹脂)の表面に付着する水分を除去する一方、発泡樹脂の内部に確実に水分を含ませることができる。
【0022】
そのため、発泡樹脂は、含水している分、発泡樹脂以外の樹脂よりも、見掛けの比重が大きくなる。
【0023】
その結果、混合物から、発泡樹脂を、より高純度で回収できる。
【0024】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の発明において、前記脱水機がスクリュープレスであることを特徴としている。
【0025】
このような方法によれば、混合物を圧搾するための圧力を調整するだけで、容易に発泡樹脂の含水率を調整することができる。
【0026】
そのため、混合物から、発泡樹脂を、効率よく高純度で回収できる。
【0027】
また、請求項4に記載の発明は、請求項1または2に記載の発明において、前記脱水機が楕円板型固液分離装置であることを特徴としている。
【0028】
このような方法によれば、脱水工程において、目詰まりを防止することができながら、効率よく混合物の含水率を調整することができる。
【0029】
そのため、混合物から、発泡樹脂を、より効率よく高純度で回収できる。
【0030】
また、請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれかに記載の発明において、前記脱水工程の後、風力選別機を用いて、脱水された前記混合物から前記発泡樹脂を分離させる風力選別工程を含むことを特徴としている。
【0031】
このような方法によれば、風力により、脱水された前記混合物から、より軽量の樹脂フィルムなどを除去することができる。
【0032】
その結果、混合物から、発泡樹脂を、より一層高純度で回収できる。
【発明の効果】
【0033】
請求項1に記載の発明によれば、簡易な構成で、混合物から発泡樹脂を精度よく分離させることができ、混合物から、発泡樹脂を高純度で回収できる。
【0034】
請求項2に記載の発明によれば、混合物から、発泡樹脂を、より高純度で回収できる。
【0035】
請求項3に記載の発明によれば、混合物から、発泡樹脂を、効率よく高純度で回収できる。
【0036】
請求項4に記載の発明によれば、混合物から、発泡樹脂を、より効率よく高純度で回収できる。
【0037】
請求項5に記載の発明によれば、混合物から、発泡樹脂を、より一層高純度で回収できる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の第1実施形態における発泡樹脂の選別方法の手順を説明するためのフローチャートである。
【図2】図1に示されるスクリュープレスの断面図である。
【図3】図1に示される風力選別機の断面図である。
【図4】図1に示される比重差選別機の側面図である。
【図5】第2実施形態の脱水工程において使用される楕円板型固液分離装置の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態における発泡樹脂の選別方法の手順を説明するためのフローチャートである。
【0040】
この方法では、図1に示すように、まず、上記した従来の回収方法と同様にして、発泡樹脂を含む廃プラスチックを、解袋し、手選別を経て破砕後、浮遊選別装置1を用いて浮遊選別する。
【0041】
発泡樹脂としては、例えば、食品トレイなどに使用される発泡ポリスチレン(発泡PS)などが挙げられる。
【0042】
廃プラスチックに含まれる発泡樹脂以外の樹脂としては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)などの比重が1よりも小さな小比重樹脂、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリ塩化ビニル(PVC、具体的には、硬質PVCなど)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合樹脂(ABS)や、例えば、発泡PSを除くポリスチレン(例えば、延伸ポリスチレン(OPS)など)などの比重が1よりも大きな大比重樹脂などが挙げられる。
【0043】
そして、浮遊選別において、水面に浮上する混合物(発泡樹脂、および、発泡樹脂以外の樹脂)を吸引する。なお、吸引された混合物は、浮遊選別において水とともに吸引され、湿潤される(湿潤工程)。
【0044】
このとき、混合物の含水率(混合物の総重量に対する水分の割合)は、例えば、60〜70重量%である。
【0045】
また、混合物は、その固形分中において、例えば、70〜80重量%の発泡PSと、例えば、20〜30重量%の小比重樹脂とを含んでいる。
【0046】
次いで、スクリュープレス2(脱水機の一例)を用いて、湿潤した混合物を脱水させて、混合物の含水率を5〜20%に調整する(脱水工程、図1参照)。
【0047】
図2は、図1に示されるスクリュープレスの断面図である。
【0048】
スクリュープレス2は、図2に示すように、シリンダ11およびスクリュー12を備えている。
【0049】
シリンダ11は、略円筒形状に形成されている。また、シリンダ11の一端部は、開口されており、混合物が投入される。また、シリンダ11には、シリンダ11の周壁を径方向内側から径方向外側へ貫通する複数の排水穴13が形成されている。また、シリンダ11の他端部には、排出部14が接続されている。
【0050】
排水穴13は、シリンダ11の一端部から他端部にわたって、互いに間隔を隔てて並列配置され、混合物から搾り出された水分を排水する。
【0051】
排出部14は、シリンダ11の他端部に対して間隔を隔てて対向配置される邪魔板15を備えている。また、排出部14には、圧搾された混合物を排出する排出口16が形成されている。
【0052】
スクリュー12は、シリンダ11の長手方向に沿って配置され、シリンダ11に対して相対回転可能に設けられている。スクリュー12は、シリンダ11内に投入された混合物を、一端部から他端部に向かって搬送する。
【0053】
そして、シリンダ11の一端部に供給すると、混合物は、スクリュー12の回転により、シリンダ11内を一方から他方に向かって搬送される。
【0054】
一方、シリンダ11の他端部まで搬送された混合物は、邪魔板15によって、一旦、他方への搬送が規制される。
【0055】
つまり、混合物は、シリンダ11内において、スクリュー12によって邪魔板15に押し付けられるように、加圧される。これにより、混合物が圧搾される。
【0056】
ここで、混合物中の発泡樹脂には、湿潤工程における湿潤により、発泡により生じた空間に水分が浸み込んでいる。一方、混合物中の小比重樹脂(PE、PP)は、そのほとんどがフィルム形状であるため、水分が浸み込みにくい。発泡樹脂に水が浸み込むと、内部に浸み込んだ水の分、発泡樹脂の比重が大きくなり、発泡樹脂の比重の方が、小比重樹脂の比重よりも大きくなる。
【0057】
しかし、湿潤工程直後の混合物では、水分を多量に含んでおり、発泡PSや小比重樹脂の表面が湿潤しているため、風力選別工程(後述)や分離工程(後述)において、発泡PSと小比重樹脂との滑り性が劣っている(具体的には、発泡PSの表面にPEやPPのフィルムが付着する場合がある。)。そのため、発泡PSと小比重樹脂とを分離することが困難である。
【0058】
そこで、湿潤工程直後の混合物を、上記したように圧搾することにより、発泡PSや小比重樹脂の表面水分の除去を図る。
【0059】
そして、圧搾された混合物は、シリンダ11の他端部と、邪魔板15との間から押し出され、その後、排出口16から排出される。また、混合物から搾られた水分は、シリンダ11の排水穴13から排水される。
【0060】
圧搾された混合物の含水率は、例えば、5〜30重量%、好ましくは、10〜20重量%である。
【0061】
発泡樹脂の含水率が5重量%未満であると、発泡樹脂に浸み込む水分が少ないため、発泡樹脂の比重と、小比重樹脂の比重との差が小さく、風力選別機3(後述)や比重差選別機4(後述)で分離することが困難な場合がある。また、発泡樹脂の含水率が20重量%を超過すると、混合物の表面が濡れ過ぎて、近傍の発泡樹脂同士が互いに付着するため、風力選別機3(後述)や比重差選別機4(後述)で分離することが困難な場合がある。
【0062】
なお、混合物の含水率を、上記範囲に調整するためには、スクリュー12の回転数を、例えば、2〜6rpm、好ましくは、4〜6rpmに調節する。
【0063】
図3は、図1に示される風力選別機の断面図である。
【0064】
次いで、風力選別機3を用いて、脱水された混合物から発泡樹脂を分離させる(風力選別工程、図1参照)。
【0065】
風力選別機3は、図3に示すように、ファン21と分離部22とを備え、風力により、混合物を、風力に抗して落下する重量物と、風力により搬送される軽量物とに分離する。
【0066】
ファン21は、分離部22の略中央に設けられ、回転することにより、分離部22内に、一端部から上方を回って他端部へ至る方向(すなわち、紙面時計回り方向)の風力を発生させる。
【0067】
分離部22は、略ボックス形状に形成されている。分離部22は、投入口23と、重量物選別部24と、軽量物選別部25とを備えている。
【0068】
投入口23は、分離部22の一端部の上下方向略中央に設けられ、分離部22内に混合物を供給する。
【0069】
重量物選別部24は、分離部22の一方側の下側において、上側が開放された略U字形状のラインとして形成されている。重量物選別部24の上側一端部は、投入口23の下方に連続され、重量物選別部24の下端部には、重量物を排出する第1排出口26が設けられている。
【0070】
軽量物選別部25は、投入口23からファン21の上側を回って、分離部22の他端部へ至るように、下側が開放された略U字形状のラインとして形成されている。軽量物選別部25の下端部には、軽量物を排出する第2排出口27が設けられている。
【0071】
そして、風力選別機3の投入口に、圧搾された混合物を投入すると、小比重樹脂のフィルムなどの軽量物は、風力により軽量物選別部25内を、一端部から上方を回って他端部へ至るように搬送され、第2排出口27から排出される。
【0072】
一方、含水した発泡樹脂や、小比重樹脂のチップなどの重量物は、風力に抗して重量物選別部24内に落下し、第1排出口26から排出される。
【0073】
これにより、混合物(重量物選別部24内への落下物)は、小比重樹脂のフィルムなどの軽量物が取り除かれる。
【0074】
図4は、図1に示される比重差選別機の側面図である。
【0075】
次いで、比重差選別機4を用いて、脱水された混合物から発泡樹脂を分離させる(分離工程、図1参照)。
【0076】
比重差選別機4は、図4に示すように、乾式の比重差選別機(分離対象を水などの液体中で分離させるのではなく、分離対象に振動や風力を作用させて、分離対象の重力により分離させる比重差選別機)であって、風力選別機3により粗選別された混合物(重量物選別部24内への落下物)を、比重の大きな大比重物と、比重の小さな小比重物とに分離する。比重差選別機4は、投入口31と、選別デッキ32と、ブロワ38と、振動装置39とを備えている。
【0077】
投入口31は、比重差選別機4の上部に設けられており、混合物を選別デッキ32へ供給する。
【0078】
選別デッキ32は、上方が開放された略枠形状に形成されており、投入口31の下方において、一方から他方に向かうに従って下方に傾斜するように配置されている。選別デッキ32は、その傾斜方向に沿ってスライド可能に設けられている。選別デッキ32は、その傾斜方向に沿ってスライドするように、振動装置39によって、小刻みに振動される。また、選別デッキ32は、選別板33、大比重物排出口34および小比重物排出口35を備えている。
【0079】
選別板33は、選別デッキ32の底壁を構成している。選別板33には、風力調整を兼ねる複数の滑り止め36が形成されている。また、選別板33には、その厚み方向に沿って通気穴37が貫通形成されている。
【0080】
滑り止め36は、選別板33の上端面から上方に突出する略鋸歯形状に形成されており、大比重物が選別板33上を他方に向かって滑り落ちることを規制する。
【0081】
通気穴37は、ブロワ38からの気流を、選別デッキ32内に通過させる。
【0082】
大比重物排出口34は、選別デッキ32の一端部に設けられている。大比重物排出口34からは、大比重物が排出される。
【0083】
小比重物排出口35は、選別デッキ32の他端部に設けられている。小比重物排出口35からは、小比重物が排出される。
【0084】
ブロワ38は、選別デッキ32の下方に配置されており、選別デッキ32に向かう気流を発生させる。
【0085】
比重差選別機4の投入口31に混合物を投入し、選別デッキ32内に供給すると、選別デッキ32の振動により、混合物のうち、水を含んだ発泡樹脂(大比重物)が下方に溜まる。同時に、選別デッキ32の振動、および、ブロワ38からの気流により、小比重樹脂(小比重物)が上方に浮き上がる。
【0086】
下方に溜まった発泡樹脂(大比重物)は、選別板33の滑り止め36に引っ掛かって、小比重物排出口35に向かって滑り落ちることが規制されるとともに、選別デッキ32の振動により、大比重物排出口34に向かって搬送される。
【0087】
また、上方に浮き上がった小比重樹脂(小比重物)は、滑り止め36に引っ掛かった発泡樹脂の上方を滑るように、小比重物排出口35に向かって滑り落ちる。
【0088】
そして、発泡樹脂が、大比重物排出口34から回収されるとともに、小比重樹脂が、小比重物排出口35から回収される。
【0089】
回収された発泡樹脂の純度は、例えば、90重量%以上である。
【0090】
このような発泡樹脂の選別方法によれば、従来使用されていた浮遊選別装置1をそのまま湿潤工程において使用しているので、スクリュープレス2、風力選別機3および比重差選別機4を付け加えるという簡易な構成で、混合物から発泡樹脂を精度よく分離させることができる。
【0091】
また、このような発泡樹脂の選別方法によれば、例えば、選別ラインが複数ある場合に、選別ライン毎に比重差選別機4を付け加えることなく、選別ラインとは別に設けることができる。そのため、脱水工程において脱水された混合物を、一旦集約して、別途、比重差選別機4に供することができ、比重差選別機4を付加するためのコストをより低減することができる。
【0092】
また、このような発泡樹脂の選別方法によれば、脱水工程において、混合物(発泡樹脂、および、発泡樹脂以外の樹脂)の表面に付着する水分を除去することができる。
【0093】
そのため、乾式の比重差選別機4を用いることができ、混合物から発泡樹脂を精度よく分離させることができる。
【0094】
その結果、混合物から、発泡樹脂を高純度で回収できる。
【0095】
また、このような発泡樹脂の選別方法によれば、混合物の表面に付着する水分を除去する一方、発泡樹脂の内部に確実に水分を含ませることができる。
【0096】
そのため、発泡樹脂は、含水している分、発泡樹脂以外の樹脂よりも、見掛けの比重が大きくなる。
【0097】
その結果、混合物から、発泡樹脂を、より高純度で回収できる。
【0098】
また、このような発泡樹脂の選別方法によれば、スクリュープレス2を用いているので、混合物を圧搾するための圧力を調整するだけで、容易に発泡樹脂の含水率を調整することができる。
【0099】
そのため、混合物から、発泡樹脂を、より効率よく高純度で回収できる。
【0100】
また、このような発泡樹脂の選別方法によれば、風力により、脱水された混合物から、より軽量の小比重樹脂のフィルムなどを除去することができる。
【0101】
その結果、混合物から、発泡樹脂を、より一層高純度で回収できる。
(第2実施形態)
図5は、第2実施形態の脱水工程において使用される楕円板型固液分離装置の概略構成図である。
【0102】
上記した第1実施形態では、スクリュープレス2を用いて混合物を脱水したが、脱水機は、特に限られず、楕円板型固液分離装置41(例えば、スリットセーバー(研電社製)を用いることもできる。
【0103】
楕円板型固液分離装置41は、図5に示すように、互いに間隔を隔てて対向配置される側板42と、両側板42の対向方向(以下、幅方向とする。)と直交する直交方向に並列配置されるように、両側板42間に回転自在に支持される楕円板44とを備えている。
【0104】
そして、楕円板型固液分離装置41は、楕円板44の回転により、直交方向一方から直交方向他方に向かって混合物を搬送しながら、混合物に含有される水分を排水する。
【0105】
詳しくは、楕円板型固液分離装置41は、フレーム47と、複数の楕円板ユニット48とを備えている。
【0106】
フレーム47は、互いに間隔を隔てて対向配置される側板42、両側板42の長手方向一端部間に架設される一方側板、および、両側板42の長手方向他端部間に架設される他方側板を備え、上端部および下端部が開放された略枠形状に形成されている。
【0107】
また、フレーム47の長手方向一方側の上端部には、湿潤された混合物を投入するための投入口45が設けられている。また、フレーム47の長手方向他端部には、脱水された混合物を排出するための排出口46が設けられている。
【0108】
楕円板ユニット48は、回転軸43と、複数の楕円板44とを備えている。
【0109】
回転軸43は、幅方向に延びている。また、回転軸43は、その幅方向両端部において、側板42の上下方向略中央に回転自在に支持されている。
【0110】
各楕円板44は、幅方向に互いにわずかに間隔を隔てて並列配置されるように、回転軸43に相対回転不能に支持されている。また、各楕円板44は、幅方向に投影したときに、その長軸が互いに重なるように支持されている。
【0111】
そして、各楕円板ユニット48は、長手方向に互いに等間隔を隔てて並列配置されている。
【0112】
また、互いに隣接する楕円板ユニット48に設けられている各楕円板44は、幅方向に投影したときに、長手方向一方側の楕円板44の長軸に対して、長手方向他方側の楕円板44の長軸が90°回転するように、互いに位相が90°ずれて配置されている。
【0113】
また、互いに隣接する楕円板ユニット48に設けられている各楕円板44は、長手方向一方側の楕円板ユニット48に設けられる各楕円板44(以下、一方側の楕円板44とする)の端部と、長手方向他方側の楕円板ユニット48に設けられる各楕円板44(以下、他方側の楕円板44とする)の端部とが、幅方向に投影したときに交互に重なるように、配置されている。
【0114】
そして、混合物が投入口45に投入されると、混合物は、楕円板ユニット48の上に積載される。楕円板ユニット48に積載された混合物は、各楕円板ユニット48の回転により、順次、隣接する楕円板ユニット48に受け渡されるように、排出口46へ向かって搬送される。
【0115】
一方、混合物に含まれる水分は、重力により、各楕円板44間の隙間から下方に排水される。
【0116】
これにより、混合物は、排出口46へ向かって搬送されながら、次第に脱水され、排出口46から排出される。
【0117】
排出口46から排出された混合物の含水率は、例えば、10〜30重量%、好ましくは、15〜20重量%である。
【0118】
第2実施形態においても、上記した各実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0119】
また、第2実施形態によれば、互いに隣接する楕円板ユニット48に設けられている各楕円板44は、長手方向一方側の楕円板ユニット48に設けられる各楕円板44の端部と、長手方向他方側の楕円板ユニット48に設けられる各楕円板44の端部とが、幅方向に投影したときに交互に重なるように、配置されている。
【0120】
つまり、楕円板ユニット48が回転すると、一方側の各楕円板44の隙間を、他方側の各楕円板44の端部が通過するとともに、他方側の各楕円板44の隙間を、一方側の各楕円板44の端部が通過する。
【0121】
これにより、脱水工程において、各楕円板44間に詰まった混合物をかき出すことができ、目詰まりを防止することができる。そのため、目詰まりを防止することができながら、効率よく混合物の含水率を調整することができる。
【0122】
そのため、混合物から、発泡樹脂を、より効率よく高純度で回収できる。
(変形例)
上記した各実施形態では、スクリュープレス2や楕円板型固液分離装置41を用いて、混合物を脱水したが、脱水機は、特に限られず、例えば、熱風乾燥機や回転加圧脱水機(ロータリープレスフィルタ(巴工業製))などを用いることもできる。
【0123】
また、上記した各実施形態では、分離工程の前に、風力選別工程を実施したが、処理量が少ない場合には、脱水工程の後、風力選別工程を実施せずに、分離工程を実施することもできる。
【0124】
これらの変形例においても、上記した各実施形態と同様の効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0125】
2 スクリュープレス(脱水機)
3 風力選別機
4 比重差選別機
41 楕円板型固液分離装置(脱水機)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発泡樹脂を含む混合物から、前記発泡樹脂を選別する発泡樹脂の選別方法であって、
前記混合物を湿潤させる湿潤工程と、
脱水機を用いて、湿潤した前記混合物を脱水させる脱水工程と、
乾式の比重差選別機を用いて、脱水された前記混合物から前記発泡樹脂を分離させる分離工程と
を含むことを特徴とする、発泡樹脂の選別方法。
【請求項2】
前記脱水工程において、前記混合物の含水率を5〜30%に調整することを特徴とする、請求項1に記載の発泡樹脂の選別方法。
【請求項3】
前記脱水機がスクリュープレスであることを特徴とする、請求項1または2に記載の発泡樹脂の選別方法。
【請求項4】
前記脱水機が楕円板型固液分離装置であることを特徴とする、請求項1または2に記載の発泡樹脂の選別方法。
【請求項5】
前記脱水工程の後、風力選別機を用いて、脱水された前記混合物から前記発泡樹脂を分離させる風力選別工程を含むことを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の発泡樹脂の選別方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−156821(P2011−156821A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−22378(P2010−22378)
【出願日】平成22年2月3日(2010.2.3)
【出願人】(000129183)株式会社カワタ (120)
【Fターム(参考)】