説明

発泡樹脂製容器

【課題】果菜類等の収納物を収納して物流に供する発泡樹脂製容器として、容器内部に収納した各種果菜類等の収納物を、収納量や嵩に応じて押さえることができ、収納物を安定性よく保持して物流に供することができるようにする。
【解決手段】上方に開口する平面矩形の発泡樹脂製の容器本体と、容器本体に被着自在な発泡樹脂製の蓋体とからなる容器で、蓋体30の中央部領域に円形の開口部32を形成し、開口部32の内周に螺合されて容器内方向にねじ込み可能な押し蓋40を設け、容器本体10内に収納物を収納して蓋体30を被着した状態での押し蓋40のねじ込み操作により、収納物を押し蓋40により押さえるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主としてアスパラガス等の各種果菜類の輸送、保管、特には保冷状態での輸送のための保冷容器として好適に使用される発泡樹脂製容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、アスパラガス等の果菜類の保管及び輸送に際しては、断熱性のある発泡樹脂製の容器が使用され、通常、アスパラガス等の果菜類は形状維持等の理由から上下方向を揃えて立てた状態で収容されていた。果菜類を立てた状態で容器内に順次収納するのは、収納作業に手数が掛かり、かつ果菜類同士が擦れたりして傷みが生じる等の問題があるため、アスパラガス等の果菜類を、一旦横方向で揃えて容器内に寝かせて収納し蓋体を被着した後、該果菜類の基部側の容器本体の一側壁が底になるように横向きにして立てた状態で、保管や輸送等の物流に供するようにした保冷容器が提案されている(特許文献1,特許文献2)。
【0003】
ところで、アスパラガス等の果菜類を収納して横向きに立てたときに、収納されている果菜類が不安定になり、輸送中の揺動等のために茎が折れたり、アスパラガスの穂先などの先端部を傷めるおそれがある。特に、茎部下端側ほど太くなっているアスパラガスを収納した場合、出荷、輸送の際に容器を横向きに立てると、アスパラガス等の穂先側の近傍に隙間を生じ、不安定になり安定性よく保持できないことになる。
【0004】
そのため、特許文献1のように、容器本体の底壁内面と、蓋体の内面とに、収納される果菜類の上部側ほど高くなっている複数の突条を設けるか、あるいは前記突条が連続した形態の傾斜した凸部を設けることが行われている。
【0005】
しかしながら、収納されるアスパラガス等の果菜類は、常に一定の成長度合いであるとは限らず、収納した状態での嵩や隙間の大きさは一定ではない。そのため、前記のように突条や凸部が形成されていても、収納物(果菜類)の保持が不安定になり、輸送中の揺動を抑制できない虞がある。
【0006】
また、特許文献2には、例えば蓋部材の壁部に、外方からの押し込みにより弾性変型可能な当接部を設け、容器に蓋を被着した状態で前記当接部を押し込んで、収納物を押さえるようにしているが、押しこみ形態は常に一定になるため、押さえが強くなりすぎたり、あるいは収納物の保持の効果が不十分になることがあるばかりか、前記当接部の弾性変形の押し込みにより、該当接部が割れや折損が生じる虞があり、耐久性にも問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002−104542号公報
【特許文献2】特許第4558101号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記に鑑みてなしたものであり、主としてアスパラガス等の果菜類を収納して蓋体を被着した状態で輸送、保管等の物流に供する容器、特には、一側壁が底になるように横向きに立てた状態にして内部の果菜類等を立て姿勢に保持して物流に供する容器において、容器内部に収納した各種果菜類等の収納物を、収納量や嵩に応じて押さえることができ、収納物を安定性よく保持して物流に供することができる発泡樹脂製容器を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決する本発明の発泡樹脂製容器は、上方に開口する平面矩形の発泡樹脂製の容器本体と、容器本体に被着自在な発泡樹脂製の蓋体とからなる容器であって、前記蓋体の中央部領域に円形の開口部が形成され、該開口部の内周に螺合されて容器内方向にねじ込み可能な押し蓋を有し、容器本体内に収納物を収納して蓋体を被着した状態での該押し蓋のねじ込み操作により、収納物を該押し蓋により押さえるようにしたことを特徴とする。
【0010】
これにより、容器本体内に収納物を収納して蓋体を被着した状態での前記押し蓋のねじ込みにより収納物を揺動しないように押さえることができるばかりか、特に、この押し蓋のねじ込み量を内部の収納物の量や嵩に応じて調整することにより、常に収納物を適度に押さえて安定性よく保持できる。
【0011】
前記の発泡樹脂製容器において、前記蓋体の中央部領域には凹部が形成され、該凹部の底壁に円形の開口部が設けられ、該開口部の内周に前記押し蓋がねじ込み可能に螺合され、該押し蓋のねじ込み状態において押し蓋の外側端部が該凹部内にあって蓋体上面より突出しないものであるのが好ましい。これにより、容器外面から余分な突出部分を有さないため、出荷、輸送、保管等の物流作業において、従来と同様の積載効率や保管効率を保持できる。
【0012】
前記の発泡樹脂製容器において、前記押し蓋の外側端部に前記凹部に摺動可能に嵌合する鍔部を有し、前記凹部の内周面と前記鍔部の外周面とに、互いに嵌合することにより押し蓋の回動に対し抵抗を与え回動規制できる係合凹部と係合凸部による係合手段が設けられてなるものとすることができる。これにより、押し蓋を所定のねじ込み位置に安定性よく保持でき、輸送中の自然の回動を抑制できる。
【0013】
前記の発泡樹脂製容器において、前記蓋体とは別に、前記押し蓋のねじ込み操作により容器内の収納物を押さえる補助板部材を備えてなるものとすることができる。これにより、ねじ込まれる押し蓋の先端が収納物に対し直接当接することがなく、収納物に擦れが生じるおそれがなく、収納物の保護を良好になし得る。
【0014】
前記の発泡樹脂製容器において、収納物が果菜類であって、容器が、容器本体内に果菜類を収納して蓋体を被着した状態で、容器本体の一側壁が底になるように横向きに立てた状態にして物流に供されるものとすることができる。これにより、容器を立てた状態においても、収納されているアスパラガス等の果菜類を安定性よく保持できる。
【0015】
前記の発泡樹脂製容器において、前記横向きに立てた状態において内奥側になる容器本体の底部内面には、寝かせて収納される果菜類の穂先部分を除く茎部を受ける凸部が設けられてなるものとすることができる。これにより、前記底部の凸部による受支した状態での前記押し蓋による押さえ作用により、茎部下部側で太くなっているアスパラガス等の果菜類を立て姿勢に安定性よく保持できる。
【発明の効果】
【0016】
上記したように本発明の発泡樹脂製容器において、例えばアスパラガス等の果菜類その他の物品を収納して蓋体を被着した状態で輸送、保管等の物流に供する容器、特には、一側壁が底になるように横向きに立てた状態にして内部の果菜類等を立て姿勢に保持して物流に供する容器において、容器内部に収納した各種果菜類等の収納物を、押し蓋のねじ込みにより押さえることができるばかりか、特に、収納量や嵩に応じて押し蓋のねじ込み量を調整することにより、収納物の種類や収納状態に適した状態で程良く適度に押さえることができ、収納物を安定性よく保持して物流に供することができる。
【0017】
また、収納物が、アスパラガス等の果菜類であって、容器を横向きに立てて、内部の収納物を立て姿勢に保持する場合においても、上端側かに殆ど隙間を生じさせることなく、安定性よく保持しておくことができ、その保護を良好になすことができる。しかも、前記押し蓋は、ねじ込み方式のために大きな弾性変形を生じず、輸送中の振動により容易に外れ、あるいは割れや折損が生じることがなく、耐久性にも優れる。また、隙間が生じず、保冷状態を確保できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1A】本発明の実施例の発泡樹脂製容器の蓋体と 押し蓋を分離した斜視図である。
【図1B】本発明の実施例の発泡樹脂製容器の容器本体の斜視図である。
【図2】押し蓋を分離した蓋体と容器本体の断面図である。
【図3】容器本体と蓋体の側面図である。
【図4】容器本体の平面図(a)と底面図(b)である。
【図5】蓋体の平面図(a)と底面図(b)である。
【図6】容器本体に蓋体を被着した状態の断面図である。
【図7】果菜類を収納し押し蓋をねじ込んで横向きに立てた状態の断面図である。
【図8】他の実施例を示す押し蓋をねじ込んで横向きに立てた状態の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
次に本発明の実施の形態を図面に示す実施例に基づいて説明する。
【0020】
この実施例の発泡樹脂製容器Aは、保冷容器等として使用する発泡樹脂を素材として型成形される容器であって、図に示すように、基本的に上方に開口する平面正方形や長方形等の平面矩形の容器本体10と、該容器本体10の開口端部10aに対し嵌合被着される蓋体30とよりなる。
【0021】
この実施例の発泡樹脂製容器Aの場合は、例えば前記容器本体10の開口を上方に向けた状態で、内部にアスパラガス等の果菜類Bその他の収納物を揃えて収納し、蓋体30を被着した後、前記収納物である果菜類Bの茎部下端側に対向する前記容器本体10の一側壁12aが底になるように横向きに立てた状態(図7)にし、収納した果菜類Bを立て姿勢に保持して、保管や輸送等の物流に供することができる容器の例を示している。
【0022】
前記容器本体10は、底部11と四方の側壁、例えば短辺側の相対向する側壁12a,12bと長辺側の相対向する側壁13a,13bとからなり、収納物B例えば果菜類を容器長手方向に揃えて収納するように形成されている。図の場合、前記容器本体10において、収納した収納物である果菜類Bの茎部下端側に対向する短辺側の一側壁12aの内面には、少なくとも容器深さ方向、好ましくは図のように容器深さ方向と横方向の凹溝14により画された複数の凸起15が形成されており、図7のように保冷容器Aを立てた状態において果菜類Bの茎部下端が凸起15に当接するようになっている。
【0023】
図示する実施例の容器本体10の場合、前記一側壁12aと対向する側壁12bの内面、すなわち収納した果菜類Bの穂先側が対向する側壁12bの内面は、容器本体10の開口側から内奥側に向かって内方に傾斜した傾斜面をなしている。
【0024】
また、開口よりみて内奥側の底部11の内面には、前記側壁12bとの間に少なくとも果菜類Bの穂先部分を収納できる所要の間隔をあけて、寝かせて収納される果菜類Bの茎部を受ける支えとしての凸部16が設けられている。この凸部16としては、収納される果菜類Bその他の収納物の種類に応じた任意の形状にして実施できる。例えば、図の場合は、果菜類Bが茎部下端側ほど太くなっているアスパラガス等の収納に適するように、果菜類Bの茎部の下部を受ける側ほど低く、つまり前記一側壁12aの側ほど低く傾斜した形状をなしている。前記凸部16には、前記側壁12bの内面から伝い流れる結露水を前記一側壁12aの側に導く溝17が形成されている。
【0025】
また、前記容器本体10の長辺側の側壁14a,14bの内面には、本来の側壁内面に対して凹をなす上下方向の凹条18が、容器周方向に所定の間隔で形成されることにより、該凹条19と、各凹条18,18間に残余させた凸条19とによる波形凹凸状をなしており、上下方向の凸条19が段積み荷重等の上方からの荷重や、側壁14a,14bの内外方向への曲げ荷重に対して、補強リブ的な作用を果たすことで、所定の強度を保持しながら、前記凹条18による薄肉化を可能にされている。
【0026】
そして、前記蓋体30には、天板部31の中央部領域に円形の開口部32が形成され、該開口部32の内周に容器内方向にねじ込み可能な発泡樹脂製の押し蓋40が設けられており、容器本体10内に収納物を収納して蓋体30を被着した状態での該押し蓋40のねじ込み操作により、図7のように、果菜類B等の収納物を該押し蓋40により押さえるように構成されている。
【0027】
図示する実施例の場合、前記蓋体30の天板部31の中央部領域には、上面側(外面側)で凹、下面側で凸をなすように比較的大きい円形の凹部33が形成され、該凹部33の底壁部34に前記開口部32が形成され、該開口部32の内周面に螺条溝35が形成されている。
【0028】
他方、前記蓋体30とは別に発泡樹脂成形された押し蓋40は、前記開口部32に嵌入する円柱状軸部42と、前記凹部33に嵌り込むように外側端部に一体に形成された鍔部43とからなり、前記円柱状軸部42の外周に前記螺条溝35と螺合する螺条凸部45が形成されており、前記螺条溝35との螺条凸部45の螺合構造によって、該押し蓋40を回動操作することによりねじ込み可能に形成されている。図中の44は、回動操作(ねじ込み操作)のためのツマミ部であり、前記押し蓋40の鍔部43側の端面を凹設して形成されている。ツマミ部としては、他の種々の形態による実施が可能である。
【0029】
前記押し蓋40は、ねじ込みによる押さえ作用をしない状態において、図6のように、前記鍔部43が前記蓋体30の凹部33内で前記鍔部43側の外側端が蓋体30より外方(上方)に殆どあるいは全く突出しない位置にあって、該鍔部43と前記凹部33の底壁部34との間に所定の間隔50を保有しており、前記間隔の範囲内でねじ込み可能に設けられている。もちろん、前記押し蓋40は、前記蓋体30より突出した状態からねじ込むようにしてもよい。収納物を収納した状態の容器、あるいは空容器の輸送時等の積載効率や保管効率等の点から、余分な突出部分を有さないのが好ましく、したがって、前記のように前記鍔部43が凹部33に嵌り込んだ状態で、該鍔部43と前記底壁部34との間の間隔50内でねじ込み可能に構成しておくのがよい。この場合、前記間隔は、押し蓋40のねじ込みによる押さえ作用に必要な間隔を保有するものとする。
【0030】
前記押し蓋40の外側端部に形成された鍔部の外周面と、前記蓋体30の凹部33の内周面とには、周方向の所定角度間隔(例えば120°間隔)毎に、互いに嵌合して押し蓋40の回動に対し抵抗を与え回動規制できるねじ込み方向の溝状の係合凹部33aと係合凸部43aによる係合手段が設けられている。前記係合凹部33aと係合凸部43aとは、両者が嵌合状態にあるときは、外的な力を加えない限り回動しないが、ツマミ部44を摘んで外的な力を加えることにより弾力的に回動操作(ねじ込み操作)できるように形成される。そのため、前記係合凸部43aは、断面円弧状の表面を有する凸部とするのが好ましい。これにより、押し蓋40により収納物を押さえた状態を良好に保持できる。係合凹部と係合凸部による係合手段としては、図示していないが、前記凹部33の内周面に係合凸部、鍔部43の外周面に係合凹部を形成して実施することもできる。
【0031】
なお、上記した実施例において、押し蓋40を設ける蓋体30の中央部領域は、必ずしも蓋体30の平面における対角線の交点を中心とする領域には限らず、収納物の収納形態によっては、前記中心からずらせて設けることができ、例えば、収納物がアスパラガス等の果菜類Bである場合、収納される果菜類Bの茎部に対応する側にずらせて設けておくことができる。
【0032】
前記容器本体10と蓋体30との嵌合構造として、例えば、容器本体10の開口端部10aと、これに対応する蓋体30の周縁部30aの下面とに、全周にわたって連続する凸縁と切欠段部とによる相欠き形状の嵌合部を設けておく等、横向きに立てた状態においても被着状態が容易に外れないような種々の嵌合構造による実施が可能であるが、図示する実施例の場合は、次のような構成をなしている。
【0033】
前記容器本体10の各コーナー部の上面に平面L形の嵌合凸部26が形成され、蓋体30の各コーナー部の下面に、前記嵌合凸部26に嵌合する嵌合凹部36が設けられている。また、前記容器本体10の開口端部10aの各辺部の中央部に切欠き部27が形成されるとともに、これに対応する蓋体30の周縁部30aの各辺部の下面中央部に前記切欠き部27に嵌合する垂下片37が設けられている。さらに短辺側の側壁12a,12bの切欠き部27の端縁部分と前記垂下片37の端縁部分とが、相欠き形状の凸縁28,38と段部29,39とにより嵌合可能に設けられ、また、長辺側の側壁13a,13bの切欠き部27の端縁部分と前記垂下片37の端縁部分とは、切欠き部27の端面に設けられた凹部27aが、前記垂下片37の下端に前記凹部27aに弾力的に嵌合する凸部37aが設けられている。これにより、果菜類Bを収納した容器本体10を積み重ねて予冷する際には、各容器本体10をずらせたりせずに切欠き部27から冷気を取り込むことができ、かつ、蓋体30を被着した状態においては、両者の前記凸縁28,38と前記段部39,29とが相互に嵌合し、さらに凹部27aと凸部37aとが嵌合することで、蓋体被着状態及び密封状態を良好に保持できるようになっている。
【0034】
前記容器本体10及び蓋体30並びに押し蓋40の構成材である発泡樹脂としては、例えば、スチレン改質ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン、ハイインパクトポリスチレン、スチレン−エチレン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体等のポリスチレン系樹脂、あるいはポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のポリオレフィン系樹脂、あるいはポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂等の各種の熱可塑性の合成樹脂の発泡体を用いることができる。中でも、スチレン改質ポリオレフィン系樹脂のビーズ発泡による成形体が好適に用いられる。前記発泡体の発泡倍率は10〜70倍が好ましい。
【0035】
上記した本発明の実施例の保冷容器Aによれば、上向きに開口している容器本体10内に、収納物であるアスパラガス等の果菜類Bを、上下方向を揃えて、例えばアスパラガスの場合は穂先の側を揃えて、茎部下端側を一側壁12aの側にして、底部11に有する凸部17上に茎部を置くように寝かせて収納する。この状態で必要に応じて予冷を行って、あるいは予冷しないで蓋体30を容器本体10の開口端部10aに嵌合被着する。
【0036】
この状態において、図7のように、蓋体30の天板部31の中央部領域に有する開口部32に螺合されている押し蓋4をねじ込んで、該押し蓋40により収納されている前記果菜類Bの茎部を、該押し蓋40により直接あるいは果菜類Bを巻きあるいは包んでいる包装材(図示せず)介して適度に押さえるようにする。この際、押し蓋40のねじ込み量を、内部の収納物である果菜類B等の量や嵩に応じて適宜調整することにより、収納物をほどよく適度に押さえるようにする。特に、ねじ込みのために、押さえの強さを殆ど無段階で調整でき、押さえが強くなり過ぎたり、押さえが不十分になったりすることがない。また壁部を折り曲げるように弾性変形させるものではないため、割れや破損が生じる虞もない。
【0037】
前記の収納後、前記果菜類Bの茎部下端側と対向する側壁12aが底になるように横向きに立てた状態にして、内部の果菜類Bを立て姿勢に保持し(図7)、出荷、輸送及び保管等の物流に供する。この輸送等の物流作業において、前記押し蓋40が蓋体30より突出しないものであれば、該容器の輸送や保管などの際の積載効率及び保管効率を低下させることがない。しかも、内部の果菜類Bは押し蓋40により押さえられているために、輸送時の振動により収納された果菜類Bが揺動したり、保持状態が不安定になったりすることがなく、果菜類の保護を良好になし得る。
【0038】
なお、上記の実施例においては、押し蓋40が、収納された果菜類B等の収納物を直接押さえるか、または、果菜類等の収納物がフィルム状の包装材で包装されている場合は該包装材を介して押さえるようにしているが、このほか、図8のように、前記蓋体30とは別に、前記押し蓋40のねじ込み操作により容器内の収納物を押さえる補助板部材60を備えておき、該補助板部材60を介して収納物を押さえるようにすることもできる。この場合、ねじ込まれる押し蓋40の先端が収納物に対し直接当接することがなく、収納物に擦れが生じることがなく、収納物の保護を良好になし得る。
【0039】
また、上記の実施例では、収納物としてアスパラガス等の果菜類Bを収納し、果菜類Bの茎部下端側と対向する側壁12aが底になるように横向きに立てた状態で出荷、輸送する容器の場合を例示したが、他の種々の収納物を収納する容器、横向きに立てないで通常の状滋で使用する容器においても、内部の収納物の揺動を規制する必要がある場合に好適に利用できる。
【符号の説明】
【0040】
A…発泡樹脂製容器、B…果菜類、10…容器本体、10a…開口端部、11…底部、12a,12b…側壁、13a,13b…側壁、14…凹溝、15…凸起、16…凸部、17…溝、18…凹条、19…凸条、26…嵌合凸部、27…切欠き部、28…凸縁、29…段部、27a…凹部、30…蓋体、30a…周縁部、31…天板部、32…開口部、33…凹部、33a…係合凹部、34…底壁部、35…螺状溝、36…嵌合凹部、37…垂下片、38…凸縁、39…段部、40…押し蓋、42…円柱状軸部、43…鍔部、43a…係合凸部、44…ツマミ部、45…螺条凸部、50…間隔、60…補助板部材。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上方に開口する平面矩形の発泡樹脂製の容器本体と、容器本体に被着自在な発泡樹脂製の蓋体とからなる容器であって、
前記蓋体の中央部領域に円形の開口部が形成され、該開口部の内周に螺合されて容器内方向にねじ込み可能な押し蓋を有し、容器本体内に収納物を収納して蓋体を被着した状態での前記押し蓋のねじ込み操作により、収納物を該押し蓋により押さえるようにしたことを特徴とする発泡樹脂製容器。
【請求項2】
前記蓋体の中央部領域には凹部が形成され、該凹部の底壁に円形の開口部が設けられ、該開口部の内周に前記押し蓋がねじ込み可能に螺合され、該押し蓋のねじ込み状態において押し蓋の外側端部が該凹部内にあって蓋体上面より突出しないものである請求項1に記載の発泡樹脂製容器。
【請求項3】
前記の発泡樹脂製容器において、前記押し蓋の外側端部に前記凹部に摺動可能に嵌合する鍔部を有し、前記凹部の内周面と前記鍔部の外周面とに、互いに嵌合して押し蓋の回動に対し抵抗を与え回動規制できる係合凹部と係合凸部による係合手段が設けられてなる請求項1又は2に記載の発泡樹脂製容器。
【請求項4】
前記蓋体とは別に、前記押し蓋のねじ込み操作により容器内の収納物を押さえる補助板部材を備えてなる請求項1〜3のいずれか1項に記載の発泡樹脂製容器。
【請求項5】
収納物が果菜類であって、容器が、容器本体内に果菜類を収納して蓋体を被着した状態で、容器本体の一側壁が底になるように横向きに立てた状態にして物流に供される請求項1に記載の発泡樹脂製容器。
【請求項6】
前記横向きに立てた状態において内奥側になる容器本体の底部内面には、寝かせて収納される果菜類の穂先部分を除く茎部を受ける凸部が設けられてなる請求項5に記載の発泡樹脂製容器。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−180110(P2012−180110A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−44358(P2011−44358)
【出願日】平成23年3月1日(2011.3.1)
【出願人】(000002440)積水化成品工業株式会社 (1,335)
【Fターム(参考)】