説明

発酵ヤードにおける空気供給装置

【課題】 本発明は上記通気孔および通気管の閉塞を感知し、これらを速やかに開通することによって上記堆積床内への空気送風を改善し好気性発酵菌の活性化を計ることを目的とする。
【解決手段】 堆肥舎内に設けた発酵ヤード2の底面3に通気管4を敷設し、該通気管4の一端を発酵ヤード2の一側外に開口し、該開口部4bを開閉自在蓋5で閉鎖し、通気管4の上面に複数の通気孔4’を穿設してなり、該通気管4の他端を上記ヤード2の他側外に延長して送風ブロワ6に接続し、上記延長部4”を分岐してこれをエアブラスタ7に接続し、上記延長部4”及び分岐部4aにそれぞれ逆止弁8,8を介設し、上記通気管4又は延長部4”に圧力センサ9を設けてなる発酵ヤードにおける空気供給装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は有機性廃棄物の好気性発酵菌による発酵ヤードにおいて、堆積発酵床に底部から空気を供給するための装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、有機性廃棄物の発酵槽又は発酵ヤードの底面に通気管を配設し、底面上の有機性廃棄物堆積床内に通気管で空気を送風し、好気性発酵菌を活性化する装置がある(例えば特許文献1)。
【0003】
上記通気管の上面には複数の通気孔が穿設され、上部の上記堆積床内に空気を放出するもので、上記堆積床は該床内に混合している焼酎、蒸留粕内の水分との撹拌によって粘性を生じ、これにより上記通気孔を閉塞し、さらに該通気孔を経て上記通気管を充填閉塞し、上記堆積床の発酵を阻害した。
【0004】
【特許文献1】特開平7−133177号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記通気孔および通気管の閉塞を感知し、これらを速やかに開通することによって上記堆積床内への空気送風を改善し好気性発酵菌の活性化を計ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため本発明は、
第1に堆肥舎内に設けた発酵ヤードの底面に通気管を敷設し、該通気管の一端を発酵ヤードの一側外に開口し、該開口部を開閉自在蓋で閉鎖し、
通気管の上面に複数の通気孔を穿設してなり、
該通気管の他端を上記ヤードの他側外に延長して送風ブロワに接続し、
上記延長部を分岐してこれをエアブラスタに接続し、
上記延長部及び分岐部にそれぞれ逆止弁を介設し、
上記通気管又は延長部間に圧力センサを設けてなる発酵ヤードにおける空気供給装置、
第2に発酵ヤードが上記底面に設けた平行区画壁間に設けられ、上記通気管が該区画壁と直交する複数の平行通気管である上記第1発明記載の発酵ヤードにおける空気供給装置、
第3に上記エアブラスタに圧力空気タンクを接続し、該タンクに空気圧縮機を接続した上記第1又は第2発明記載の発酵ヤードにおける空気供給装置、
によって構成される。
【0007】
従って発酵ヤード内に好気性発酵菌を含む有機性廃棄物及び有機性及び有機性廃液の混合堆積物(堆積床)を積層し、
通気管の一端開口部を開閉自在蓋で閉塞し送風ブロワを動作して通気管に送風すると通気孔から上記堆積床中に空気が送られ、堆積床内の孔気性菌を活性化し、上記混合堆積床の発酵及び堆肥化を促進する。
【0008】
しかし上記堆積床の粘性によって上記通気孔及び通気管が閉塞すると圧力センサがこれを感知し、これに連動する電気信号によって管理人がこれを知ることができ、これを知った管理人は一側外開口部の蓋を開き、その状態でエアブラスタの電磁弁又は3方弁を操作して該ブラスタを開くと、圧縮空気タンク内の高圧圧縮空気が分岐管及び逆止弁を通過して上記通気管内の閉塞物を上記一側外開口部から外気に排出すると同時に通気孔から堆積床内に圧縮空気を放出し、該通気孔を開孔することができる。
【0009】
その状態において上記ブラスタを閉じ、かつ一側外開口部の蓋を閉じることによって通気管にはブロワから空気が流れ通気孔から堆積床内に空気を送風し平常状態に戻る。
【発明の効果】
【0010】
本発明は上述のように構成したので発酵ヤードの堆積床によって詰った(閉塞した)通気管や通気孔を一気に開通させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
コンクリート底面3にコンクリート側壁10’,10”を互に平行に立設し(間隔約20m、高さ約2m)し、該側壁10’,10”間に間隔約6m毎に平行に区画壁10,10,10を立設して(高さは上記側壁10’,10’と同一)、側壁10’と区画壁10間又は区画壁10,10間に発酵ヤード2を形成する。
【0012】
上記側壁10’,10”上に設立した立柱12,12上に水平梁14を架設し、その上に屋板材15,15及び棟16を支持し、上記立柱12,12及び屋根材15,15の外面に透光ガラス又は透光膜を張設して透光堆肥舎1を形成する。
【0013】
上記底面3には上記両側壁10’,10”の両外側に亘って複数の通気管4を敷設し、上面に複数の通気孔4’を穿設し送風ブロワ6によって発酵ヤード2に空気aを送風するようになっている。
【0014】
通気管4の一端は発酵ヤード2の一方の側壁10’の外側に開口し、開口部4bをねじ式開閉蓋5で閉鎖することにより送風ブロワ6による圧風を通気孔4’から上記ヤード2内の有機性発酵堆積床13内に空気を送風することができる。
【0015】
そして発酵ヤード2の他方の外側に延長した通気管4を直立管4”(延長部)と上向屈曲管4aとに分岐し、両管4”,4aに逆止弁8,8’を介設して送風の逆流を防止する。
【0016】
直立管4”(延長部)の上端に上記送風ブロワ6を接続し、該ブロワ6と逆止弁8との間(直立管4”)又は通気管4の水平延長部に圧力センサ9を設け、通気管4内の空気圧を計測し、信号により電光表示することができる。表示された通気管4の通気孔4’及び通気管4の内部が上記堆積床13によって詰っていることを認識することができる。
【0017】
他方の側壁10”の外側に延長した水平分岐管4aを上方に屈曲して上端にエアブラスタ7が接続され、電磁弁7’を図2に示す位置から図3に示す位置に発条7aに抗して急開放し圧力空気タンク11(エアレシーバ)から圧力空気を上向屈曲分岐管4a内に強力に放出する。この圧力空気タンク11(エアレシーバ)は電磁開閉弁11bを介してエアコンプレッサ11aに接続されている。
【0018】
その際、予め当該通気管4の一方の側壁10’の外側の開口部4bから上記開閉蓋5を取り外して該開口部4bを開放しておくことにより上記エアブラスタ7による強い圧力空気によって通気管4内に詰っている充填物は開口部4bから外気に放出され、詰っている通気孔4’も開放され、その状態で開閉蓋5で開口部4bを閉じることにより、さらに上記圧力空気によって通気孔4’は充分開口する。
【0019】
その後上記エアブラスタ7の電磁弁7’を、電磁コイル7”を励磁して図3に示す状態から図2に示す状態に発条7aの力によって閉鎖し、通気管4及び通気孔4’の通風を送風ブロワ6に切換え、該通気孔4’から上記堆積床13内に空気を送風し、孔気性発酵菌による発酵を促進することができる。
【0020】
上記エアブラスタ7は図4、図5に示すように3方弁7bを操作して圧力空気操作弁7cを図4の位置から図5の位置に上昇して操作用通気孔7dを閉鎖し、主弁7eを上昇させることによって圧力空気タンク11から上向屈曲分岐管4a内に圧力空気を強力に放出することができ、3方弁7bを逆動作して図4に示すように主弁7eにより上向屈曲分岐管4aを閉塞することができる。
【0021】
尚図6中17で示すものは縦走台車、18は縦走台車17上の横走台車、19は横走台車18に設けた昇降自在撹拌機、20はその昇降枠である。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の発酵ヤードにおける空気供給装置を示す正面図である。
【図2】エアブラスタの1例の閉鎖状態縦断説明図である。
【図3】図2の開放状態縦断説明会である。
【図4】エアブラスタの他例の閉鎖状態縦断説明図である。
【図5】図4の開放状態縦断説明図である。
【図6】堆肥舎の正面図である。
【図7】堆肥舎の底部の平面図である。
【図8】従来の空気供給機の正面図である。
【符号の説明】
【0023】
1 堆肥舎
2 発酵ヤード
3 底面
4 通気管
4’ 通気孔
4” 延長部
4a 分岐管
4b 開口部
5 開閉自在蓋
6 送風ブロワ
7 エアブラスタ
8 逆止弁
9 圧力センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
堆肥舎内に設けた発酵ヤードの底面に通気管を敷設し、該通気管の一端を発酵ヤードの一側外に開口し、該開口部を開閉自在蓋で閉鎖し、
通気管の上面に複数の通気孔を穿設してなり、
該通気管の他端を上記ヤードの他側外に延長して送風ブロワに接続し、
上記延長部を分岐してこれをエアブラスタに接続し、
上記延長部及び分岐部にそれぞれ逆止弁を介設し、
上記通気管又は延長部に圧力センサを設けてなる発酵ヤードにおける空気供給装置。
【請求項2】
発酵ヤードが上記底面に設けた平行区画壁間に設けられ、上記通気管が該区画壁と直交する複数の平行通気管である請求項1記載の発酵ヤードにおける空気供給装置。
【請求項3】
上記エアブラスタに圧力空気タンクを接続し、該タンクに空気圧縮機を接続した請求項1又は2記載の発酵ヤードにおける空気供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−8760(P2007−8760A)
【公開日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−191369(P2005−191369)
【出願日】平成17年6月30日(2005.6.30)
【出願人】(592099215)株式会社冨士機 (14)
【出願人】(500000810)有限会社サンケイ工業 (3)
【Fターム(参考)】