説明

発電システム

【課題】エンジン発電機システムと直流発電源システムとを接続して系統連系を行う発電システムであって、電力の変換効率を向上させることができる発電システムを提供する。
【解決手段】発電システム10は、エンジン11と、発電機12と、発電機12からの交流電力Paを直流電力Pgに変換する第1電力変換回路13と、直流発電源50と、直流発電源50に接続された第1直流側の直流電圧Veを調整して第2直流側とする第2電力変換回路14と、第1電力変換回路13の直流側と第2電力変換回路14の第2直流側とを直列に接続する構成とされた直列回路15と、第1電力変換回路13及び第2電力変換回路14からの直流電力Pinを交流電力Poutに変換する第3電力変換回路16とを備え、第3電力変換回路16からの交流電力Poutを電源系統20及び交流負荷Loの少なくとも一方に供給する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジン発電機システムと直流発電源システムとを接続して系統連系を行う発電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
エンジン(例えばガスエンジン)によって駆動される発電機からの交流電力を整流回路によって変換して得られた直流電力を供給するエンジン発電機システムと、エンジン発電機以外の直流発電源からの直流電力を供給する直流発電源システムとを接続して系統連系を行う発電システムとして、例えば、下記特許文献1に記載のものが提案されている。なお、直流発電源としては、太陽電池、燃料電池等の直流発電源や、風力タービンからの交流電力を整流器やコンバータによって直流電力に変換する直流発電源を例示できる。
【0003】
図9は、エンジン発電機システム30aと直流発電源システム60aとを並列に接続して系統連系を行う従来の発電システム30を概略的に示すシステム構成図である。
【0004】
図9に示す従来の発電システム30では、エンジン発電機システム30aにおいて、エンジン31によって駆動される発電機32からの交流電力Paを第1電力変換回路33(具体的には整流器を含む電力変換回路)によって直流電力Pgに変換するようになっている。
【0005】
また、直流発電源システム60aにおいて、直流発電源60(具体的には太陽電池)からの直流電力Peを第2電力変換回路36(具体的にはDC/DCコンバータを含む電力変換回路)によって直流電力Pfに変換するようになっている。
【0006】
第3電力変換回路35(具体的には系統連系インバータを含む電力変換回路)は、第1電力変換回路33及び第2電力変換回路36に対して並列に接続されており、第1電力変換回路33及び第2電力変換回路36によって変換された直流電力Pinを交流電力Poutに変換し、変換した交流電力Poutを交流負荷Loに供給し、かつ、電源系統40と系統連系するようになっている。なお、第3電力変換回路35における系統連系インバータは、パワーコンディショナとも称される。
【0007】
この例では、第3電力変換回路35の直流側に第3キャパシタ34cが並列に接続されている。また、第3キャパシタ34cと第1電力変換回路33との間に第1キャパシタ34aが並列に接続され、第3キャパシタ34cと第2電力変換回路36との間に第2キャパシタ34bが並列に接続されている。
【0008】
このような従来の発電システム30においては、第3電力変換回路35への直流電圧Vcとして通常は系統電圧Vd(実効電圧)の2倍程度の直流電圧が必要とされる。例えば、系統電圧Vdが200Vである電源系統40と系統連系する場合、第3電力変換回路35への直流電圧Vcとして約400Vが必要とされる。
【0009】
従って、エンジン発電機システム30aでは、発電機31からの交流電圧Vaは、第3電力変換回路35へ供給すべき直流電圧Vcと同程度電圧(例えば400V)とされる。これに対して、直流発電源60からの直流電圧Veは、通常は、定格電圧で第3電力変換回路35へ供給すべき直流電圧Vcよりも低い電圧とされる。特に、直流発電源60が太陽電池である場合には、直流発電源60からの直流電圧Veは、温度や照度により変動し、例えば、0V〜80Vとされる。このため、直流発電源システム60aでは、例えば、直流発電源60からの直流電圧Ve(例えば最大でも80V)を第3電力変換回路35への直流電圧Vc(例えば400V)にする電圧制御を行う。
【0010】
一般的に、電力変換回路は、電圧の調整比が1に近い程、電力の変換効率が向上する傾向にある。この点に関し、第2電力変換回路36は、入力電圧として直流発電源60からの直流電圧Ve(例えば最大でも80V)を、出力電圧として第3電力変換回路35への直流電圧Vc(例えば400V)にするため、第2電力変換回路36において直流発電源60からの直流電圧Ve(例えば最大でも80V)を直流電圧Vc(例えば400V)に調整する調整比(Vc/Ve)が大きくなり(例えば最小でも400V/80V=5)、電力の変換効率が良くない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2001−258160号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
そこで、本発明は、エンジン発電機システムと直流発電源システムとを接続した発電システムであって、電力の変換効率を向上させることができる発電システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、前記課題を解決するために、エンジンと、前記エンジンによって駆動される発電機と、前記発電機に接続されて前記発電機からの交流電力を直流電力に変換する第1電力変換回路と、エンジンによるエネルギーとは異なるエネルギーによって直流電力を出力する直流発電源と、前記直流発電源に接続された第1直流側の直流電圧を調整して第2直流側とする第2電力変換回路と、前記第1電力変換回路の直流側と前記第2電力変換回路の前記第2直流側とを直列に接続する構成とされた直列回路と、前記直列回路に並列に接続されて前記第1電力変換回路及び前記第2電力変換回路からの直流電力を交流電力に変換する第3電力変換回路とを備え、前記第3電力変換回路からの交流電力を電源系統及び交流負荷の少なくとも一方に供給することを特徴とする発電システムを提供する。
【0014】
なお、前記直流発電源としては、それには限定されないが、例えば、太陽電池、燃料電池等の直流電力源、熱電変換素子を用いて温度差を直流電力に変換(熱電発電)する直流発電源や、風力等の流体の圧力や運動エネルギーを電気エネルギーへ変換するタービンからの交流電力を整流器やコンバータによって直流電力に変換する直流電力源を例示できる。また、これら複数の直流電力源を直列及び/又は並列に接続したものを前記直流発電源としてもよい。
【0015】
本発明に係る発電システムにおいて、前記エンジンと前記発電機と前記第1電力変換回路とを用いてエンジン発電機システムを構成することができ、前記エンジン発電機システムは、前記エンジンによって駆動される前記発電機からの交流電力を前記第1電力変換回路によって変換して得られた直流電力を供給することができる。また、前記直流発電源と第2電力変換回路とを用いて直流発電源システムを構成することができ、前記直流発電源システムは、前記直流発電源からの直流電力を前記第2電力変換回路によって変換して得られた直流電力を供給することができる。そして、前記エンジン発電機システムからの直流電力と、前記直流発電源システムからの直流電力とが合計された直流電力に対して系統連系を行うことができる。
【0016】
本発明に係る発電システムによれば、前記第1電力変換回路からの直流電圧を、前記第3電力変換回路へ供給すべき直流電圧から前記第2電力変換回路の前記第2直流側からの直流電圧を差し引いた電圧にする電圧制御を行うことができる。これにより、前記第2電力変換回路において前記直流発電源に接続された前記第1直流側の直流電圧と前記第2直流側の直流電圧との調整比を1に近づけることができ、それだけ、電力の変換効率を向上させることが可能となる。
【0017】
本発明において、前記第1電力変換回路からの直流電圧を、前記第3電力変換回路へ供給すべき直流電圧から前記第2電力変換回路の前記第2直流側からの直流電圧を差し引いた電圧にする前記電圧制御としては、前記エンジンの単位時間当たりの回転数を変更することにより前記第1電力変換回路からの直流電圧を可変する構成とすることが好ましい。
【0018】
この特定事項では、前記第1電力変換回路を、スイッチング素子を持たない(具体的にはダイオードブリッジ等の)整流器を用いてパッシブな構成とすることができ、低コストでかつ高効率な電力変換を行うことが可能となる。
【0019】
本発明において、前記第2電力変換回路の前記第2直流側に接続されて前記第2電力変換回路の前記第2直流側を短絡する第1オン動作と前記第2電力変換回路の前記第2直流側を開放する第1オフ動作とを切り替える第1切替手段と、前記直流発電源からの直流電力が予め設定した規定発電電力よりも大きいときには、前記第2電力変換回路を動作させて前記第1切替手段を前記第1オフ動作にする一方、前記直流発電源からの直流電力が前記規定発電電力以下のときには、前記第2電力変換回路の動作を停止させて前記第1切替手段を前記第1オン動作にする第1切替制御手段とを備える態様を例示できる。
【0020】
この特定事項では、前記直流発電源からの直流電力が前記規定発電電力以下のときに、前記第2電力変換回路の動作を停止させて前記第1切替手段を前記第1オン動作にすることで、前記直列回路に流れる直流電流を前記第2電力変換回路に流れないようにすることができ、それだけ電力の変換効率を向上させることができる。
【0021】
本発明において、前記第1電力変換回路の前記直流側に接続されて前記第1電力変換回路の前記直流側を短絡する第2オン動作と前記第1電力変換回路の前記直流側を開放する第2オフ動作とを切り替える第2切替手段と、前記直流発電源からの直流電力が当該発電システムにより供給すべき需要電力よりも小さいときには、前記エンジン及び前記第1電力変換回路を動作させて前記第2切替手段を前記第2オフ動作にする一方、前記直流発電源からの直流電力が前記需要電力以上のときには、前記エンジン及び前記第1電力変換回路の動作を停止させて前記第2切替手段を前記第2オン動作にする第2切替制御手段とを備える態様を例示できる。
【0022】
この特定事項では、前記直流発電源からの直流電力が前記需要電力以上のときに、前記エンジン及び前記第1電力変換回路の動作を停止させて前記第2切替手段を前記第2オン動作にすることで、前記第3電力変換回路への直流電流を前記第1電力変換回路に流れないようにすることができ、それだけ電力の変換効率を向上させることができる。
【発明の効果】
【0023】
以上説明したように、本発明に係る発電システムによると、前記第1電力変換回路からの直流電圧を、前記第3電力変換回路へ供給すべき直流電圧から前記第2電力変換回路の前記第2直流側からの直流電圧を差し引いた電圧にする電圧制御を行うことができ、これにより、前記第2電力変換回路において前記直流発電源に接続された前記第1直流側の直流電圧と前記第2直流側の直流電圧との調整比を1に近づけることができ、それだけ、電力の変換効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の一実施形態に係る発電システムを概略的に示すシステム構成図である。
【図2】図1に示す発電システムにおいて、直流発電源からの直流電力が最大の場合での電圧制御の制御例1を説明するためのシステム構成図である。
【図3】図1に示す発電システムにおいて、直流発電源からの直流電力が低下しているが規定発電電力よりも大きい場合での電圧制御の制御例2を説明するためのシステム構成図である。
【図4】図1に示す発電システムにおいて、直流発電源からの直流電力が規定発電電力以下の場合での電圧制御の制御例3を説明するためのシステム構成図である。
【図5】図1に示す発電システムにおいて、直流発電源からの直流電力が需要電力以上の場合での電圧制御の制御例4を説明するためのシステム構成図である。
【図6】図1に示す発電システムにおいて、直流発電源からの直流電力が規定発電電力以下の場合での電圧制御動作の制御例3を示すフローチャートである。
【図7】図1に示す発電システムにおいて、直流発電源からの直流電力が需要電力以上の場合での電圧制御動作の制御例4を示すフローチャートである。
【図8】図1に示す発電システムの変形例を概略的に示すシステム構成図である。
【図9】従来の発電システムを概略的に示すシステム構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明に係る実施の形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施の形態は、本発明を具体化した例であって、本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
【0026】
(第1実施形態)
図1は、本発明の一実施形態に係る発電システム10を概略的に示すシステム構成図である。この例では、発電システム10は、三相構成とされているが、単相構成とされていてもよい。なお、図1では、単線図で示している。
【0027】
図1に示す発電システム10は、エンジン発電機システム10aに対して直流発電源システム50aを直列に接続して得られた直流電力Pinを交流電力Poutに変換し、変換した交流電力Poutを交流負荷Loに供給し、かつ、電源系統20(具体的には商用電力系統)と系統連系するコジェネレーションシステムである。なお、電源系統20の系統電圧Vdは、ここでは200Vとされている。
【0028】
発電システム10は、エンジン11と、発電機12と、交流電力を直流電力に変換することが可能な第1電力変換回路13(ここでは整流器を含む電力変換回路)と、直流発電源50と、直流電力を直流電力に変換することが可能な第2電力変換回路14(ここではDC/DCコンバータを含む電力変換回路)と、直列回路15と、直流電力を交流電力に変換することが可能な第3電力変換回路16(ここでは系統連系インバータを含む電力変換回路)と、発電システム10全体の制御を司る制御装置17とを備えている。第1電力変換回路13は、発電機12からの交流電圧Vaを直流電圧Vgに調整する調整比を1とする構成とされており、ここでは、スイッチング素子を持たない(具体的にはダイオードブリッジ等の)整流器を含むパッシブな構成とされている。
【0029】
エンジン11は、ここでは、ガスを燃料として回転駆動するガスエンジンとされている。発電機12は、エンジン11によって駆動されることで交流電力Paを出力するものである。第1電力変換回路13は、交流側が発電機12に接続されており、発電機12からの交流電力Paを直流側で直流電力Pgに変換する構成とされている。
【0030】
直流発電源50は、エンジン発電機のようにエンジンを用いたエネルギーとは異なるエネルギーによって直流電力Peを出力するものであり、ここでは、太陽電池とされている。
【0031】
第2電力変換回路14は、第1直流側が直流発電源50に接続されており、直流発電源50からの直流電力Peを第2直流側で直流電力Pfに変換する構成とされている。第2電力変換回路14は、第1直流側で接続された直流発電源50からの直流電圧Veを第2直流側で直流電圧Vfに調整する構成とされている。第2電力変換回路14として、例えば、二つの逆導通形半導体スイッチング素子を導通方向が同じになるように直列接続してなる半導体スイッチング素子対(レグ)を含むものを挙げることができる。詳しくは、第2電力変換回路14は、直流発電源50の種類に応じたコンバータとして作用することができる。例えば、本実施の形態のように、直流発電源50が太陽電池である場合、太陽電池が接続された逆導通形半導体スイッチング素子は太陽電池用DC/DCコンバータとして機能することができる。また、例えば、直流発電源50が風力発電機である場合、風力発電機が接続された逆導通形半導体スイッチング素子は風力タービン用AC/DCコンバータとして機能することができる。
【0032】
本実施の形態では、発電システム10は、第1から第3キャパシタ18a,18b,18cをさらに備えている。
【0033】
第1キャパシタ18aは、第1電力変換回路13の直流側に並列に接続されている。詳しくは、第1キャパシタ18aは、一端が第1電力変換回路13の直流側の一端子13aに接続され、かつ、他端が第1電力変換回路13の直流側の他端子13bに接続されている。第2キャパシタ18bは、第2電力変換回路14の第2直流側に並列に接続されている。詳しくは、第2キャパシタ18bは、一端が第2電力変換回路14の第2直流側の一端子14aに接続され、かつ、他端が第2電力変換回路14の第2直流側の他端子14bに接続されている。
【0034】
なお、エンジン発電機システム10aは、エンジン11と発電機12と第1電力変換回路13と第1キャパシタ18aとを用いて構成されており、エンジン11によって駆動される発電機12からの交流電力Paを第1電力変換回路13によって変換して得られた直流電力Pgを出力するようになっている。直流発電源システム50aは、直流発電源50と第2電力変換回路14と第2キャパシタ18bとを用いて構成されており、直流発電源50からの直流電力Peを第2電力変換回路14によって変換して得られた直流電力Pfを出力するようになっている。
【0035】
直列回路15は、第1電力変換回路13の直流側と第2電力変換回路14の第2直流側とを直列に接続する構成とされている。詳しくは、直列回路15は、一端が第1電力変換回路13の直流側の他端子13bと接続され、かつ、他端が第2電力変換回路14の第2直流側の他端子14bと接続された第1配線15aと、一端が第1電力変換回路13の直流側の一端子13aと接続された第2配線15bと、一端が第2電力変換回路14の第2直流側の一端子14aと接続された第3配線15cとを有している。
【0036】
直列回路15は、第3電力変換回路16の直流側に並列に接続されている。すなわち、第3電力変換回路16は、直流側が直列回路15に並列に接続されており、第1電力変換回路13からの直流電力Pgと第2電力変換回路14からの直流電力Pfとが合計された直流電力Pin(=Pg+Pf)を交流電力Poutに変換する構成とされている。
【0037】
詳しくは、直列回路15において、第2配線15bの他端が第3電力変換回路16の直流側の一端子16aと接続され、かつ、第3配線15cの他端が第3電力変換回路16の直流側の他端子16bと接続されている。すなわち、直列回路15によって、直列に接続された第1電力変換回路13の直流側及び第2電力変換回路14の第2直流側と、第3電力変換回路16の直流側とが並列に接続されている。これにより、第3電力変換回路16へ供給すべき直流電圧Vcは、第1電力変換回路13からの直流電圧Vgと第2電力変換回路14からの直流電圧Vfとの合計電圧とすることができる。ここでは、第3電力変換回路16への直流電圧Vcは、400Vとされ、第1電力変換回路13からの直流電圧Vgは、400V〜320Vとされ、第2電力変換回路14からの直流電圧Vfは、0〜80Vとされている。なお、直流発電源50からの直流電圧Veは、0〜80Vとされている。
【0038】
第3キャパシタ18cは、第3電力変換回路16の直流側に並列に接続されている。詳しくは、第3キャパシタ18cは、一端が第3電力変換回路16の直流側の一端子16aに接続され、かつ、他端が第3電力変換回路16の直流側の他端子16bに接続されている。第3電力変換回路16における系統連系インバータは、直流側の直流電力Pinを電源系統20の周波数に同期した周波数の交流電力Poutに変換するものとされている。また、第3電力変換回路16と電源系統20との間には、交流負荷Loが並列に接続されている。
【0039】
本実施の形態において、発電システム10は、第1及び第2切替リレー19a,19b(第1及び第2切替手段の一例)をさらに備えている。
【0040】
第1切替リレー19aは、第2電力変換回路14の第2直流側に接続されて第2電力変換回路14の第2直流側を短絡する第1オン動作と第2電力変換回路14の第2直流側を開放する第1オフ動作とを切り替える構成とされている。詳しくは、第1切替リレー19aは、第2電力変換回路14の第2直流側の一端子14aに接続される一方の接点191aと、第2電力変換回路14の第2直流側の他端子14bに接続される他方の接点192aと、これらの接点191a,192aを導通させる可動部材193aとを備え、可動部材193aが制御部17によって作動されることによって、前記第1オン動作と前記第1オフ動作とを切り替えるようになっている。
【0041】
第2切替リレー19bは、第1電力変換回路13の直流側に接続されて第1電力変換回路13の直流側を短絡する第2オン動作と第1電力変換回路13の直流側を開放する第2オフ動作とを切り替える構成とされている。詳しくは、第2切替リレー19bは、第1電力変換回路13の直流側の一端子13aに接続される一方の接点191bと、第1電力変換回路13の直流側の他端子13bに接続される他方の接点192bと、これらの接点191b,192bを導通させる可動部材193bとを備え、可動部材193bが制御部17によって作動されることによって、前記第2オン動作と前記第2オフ動作とを切り替えるようになっている。
【0042】
制御装置17は、CPU(Central Processing Unit)等の処理部17aと、記憶部17bとを備えている。記憶部17bは、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等の記憶メモリを含み、各種制御プログラムや必要な関数およびテーブルや、各種のデータを記憶するようになっている。
【0043】
制御装置17は、エンジン発電機システム10a、直流発電源システム50a、第1及び第2切替リレー19a,19b並びに第3電力変換回路16を制御する構成とされている。
【0044】
詳しくは、制御装置17は、第3電力変換回路16を作動制御して第3電力変換回路16に供給された直流電力Pin(エンジン発電機システム10aから出力された直流電力Pgと直流発電源システム50aから出力された直流電力Pfとが合計された直流電力)を交流電力Poutに変換し、変換した交流電力Poutを交流負荷Loに供給し、かつ、電源系統20と系統連系する系統連系手段Q1として機能するようになっている。また、制御装置17は、エンジン11の単位時間当たりの回転数を変更することにより第1電力変換回路13からの直流電圧Vgを可変する電圧可変手段Q2として機能するようになっている。電圧可変手段Q2は、本実施の形態では、制御部17にて燃料ガス調量装置(図示せず)が作動制御されることによって、エンジン11への燃料ガスの量を調整し、エンジン11の単位時間当たりの回転数を調整し、ひいては、発電機12からの交流電圧Vaを可変するようになっている。なお、エンジン11の単位時間当たりの回転数を一定としてもよい。この場合、第1電力変換回路13は、発電機12からの交流電圧Vaに対して直流電圧Vg(出力電圧)を可変する構成、例えば、スイッチング素子を備えた(具体的にはAC/DCコンバータ等の)整流器を含むアクティブな構成とされ、電圧可変手段Q2は、第1電力変換回路13を作動制御して直流電圧Vgを可変する構成とされていてもよい。
【0045】
そして、制御装置17は、第1電力変換回路13からの直流電圧Vgを、第3電力変換回路16への直流電圧Vcから第2電力変換回路14の第2直流側からの直流電圧Vfを差し引いた電圧にする電圧制御を行う電圧制御手段Q3として機能するようになっている。ここで、エンジン発電機システム10aは、直流発電源システム50aからの直流電圧Vfよりも大きい直流電圧Vgを供給するようになっている。
【0046】
なお、制御装置17は、さらに第1切替制御手段Q4及び/又は第2切替制御手段Q5として機能する。記憶部17bには、規定発電電力Psが予め記憶されている。第1切替制御手段Q4及び規定発電電力Psについては、後述する制御例3で説明し、第2切替制御手段Q5については、後述する制御例4で説明する。
【0047】
次に、制御装置17による電圧制御の制御例1〜4並びに発電システム10の変形例について図2から図8を参照しながら以下に詳しく説明する。なお、以下の説明において、特に言及しない限り、第1切替リレー19a及び第2切替リレー19bは、それぞれ、前記第1オフ動作の状態及び前記第2オフ動作の状態とされている。
【0048】
(制御例1)
図2は、図1に示す発電システム10において、直流発電源50からの直流電力Peが最大の場合での電圧制御の制御例1を説明するためのシステム構成図である。なお、図2及び後述する図3から図5及び図8において、制御装置17は、図示を省略している。
【0049】
図2に示す例では、直流発電源50からの直流電力Peは、最大電力の(具体的には晴天時の)5kWとされ、第2電力変換回路14からの直流電力Pfは、直流電力Peと同様に5kWとされ、直流発電源50からの直流電圧Veは、80Vとされ、発電システム10が交流負荷Loへ供給すべき需要電力Pdは、25kWとされており、次の第1から第4ステップの電圧制御を行う。
【0050】
すなわち、第1ステップでは、電圧制御手段Q3は、先ず、需要電力Pd(具体的には発電システム10の出力電力指令)を検出し、直流発電源システム50aにおける第2電力変換回路14からの直流電力Pf(具体的には直流発電源システム50aに備えられた図示しない電力計の出力値)を検出する。
【0051】
次に、第2ステップでは、電圧制御手段Q3は、検出した需要電力Pd(ここでは25kW)から、検出した直流電力Pf(ここでは5kW)を差し引いて第1算出値(ここでは25kW−5kW=20kW)を算出し、算出した第1算出値(ここでは20kW)を第1電力変換回路13からの直流電力Pgとする。
【0052】
次に、第3ステップでは、電圧制御手段Q3は、需要電力Pd(ここでは25kW)を第3電力変換回路16へ供給すべき直流電圧Vc(ここでは400V)で割ることで、直列回路15に流れる直流電流Ia(ここでは25kW/400V=62.5A)を算出し、第1電力変換回路13からの直流電力Pg(ここでは20kW)を、算出した直流電流Ia(ここでは62.5A)で割って第2算出値(ここでは20kW/62.5A=320V)を得る。
【0053】
そして、第4ステップでは、電圧制御手段Q3は、第1電力変換回路13からの直流電圧Vgが、前記第3ステップで得られた第2算出値(ここでは320V)になるように、エンジン発電機システム10a(具体的にはエンジン11の回転数又は第1電力変換回路13からの直流電圧Vg)を制御する。本実施の形態では、発電機12からの交流電力Paを20kWとし、エンジン11の回転数を制御して発電機12からの交流電圧Vaを可変している。第1電力変換回路13は、スイッチング素子を持たない(具体的にはダイオードブリッジで構成された)整流器を含むパッシブな構成とされており、電圧制御手段Q3は、電圧可変手段Q2によってエンジン11の単位時間当たりの回転数を変更することで、発電機12からの交流電圧Vaを可変して第1電力変換回路13からの直流電圧Vgを第2算出値(ここでは320V)にしている。
【0054】
すなわち、需要電力Pd(ここでは25kW)と直流電力Pg(例えば20kW)との電力比が第3電力変換回路16への直流電圧Vcと第1電力変換回路13からの直流電圧Vgとの電圧比と等しくなることから、第1電力変換回路13からの直流電圧Vgは、第1電力変換回路13からの直流電力Pg(ここでは20kW)を需要電力Pd(ここでは25kW)で割って得られた算出値(ここでは0.80)と第3電力変換回路16への直流電圧Vc(ここでは400V)とを掛け合わせることで得られる。直流電圧Vgは、ここでは、0.80×400V=320Vとなる。また、需要電力Pd(ここでは25kW)と直流電力Pf(例えば5kW)との電力比が第3電力変換回路16への直流電圧Vcと第2電力変換回路14からの直流電圧Vfとの電圧比と等しくなることから、第2電力変換回路14からの直流電圧Vfは、第2電力変換回路14からの直流電力Pf(ここでは5kW)を需要電力Pd(ここでは25kW)で割って得られた算出値(ここでは0.20)と第3電力変換回路16への直流電圧Vc(ここでは400V)とを掛け合わせることで得られる。直流電圧Vfは、ここでは、0.20×400V=80Vとなる。これにより、第1電力変換回路13からの直流電圧Vg(ここでは320V)と第2電力変換回路14からの直流電圧Vf(ここでは80V)とが合計された電圧(ここでは320V+80V)を第3電力変換回路16への直流電圧Vc(ここでは400V)とすることができる。この場合、第2電力変換回路14は、入力電圧として直流発電源50からの直流電圧Ve(ここでは80V)を、出力電圧として第2電力変換回路14からの直流電圧Vf(ここでは80V)にするため、第2電力変換回路14において直流発電源50に接続された第1直流側の直流電圧Ve(ここでは80V)と第2直流側の直流電圧Vf(ここでは80V)との調整比(Vf/Ve)が1(ここでは80V/80V)になり、電力の変換効率に優れている。
【0055】
(制御例2)
また、直流発電源50からの直流電力Peが低下するが予め設定した規定発電電力Psよりも大きい場合には、次のような電圧制御を行う。
【0056】
図3は、図1に示す発電システム10において、直流発電源50からの直流電力Peが低下しているが規定発電電力Psよりも大きい場合での電圧制御の制御例2を説明するためのシステム構成図である。
【0057】
図3に示す例では、直流発電源50からの直流電力Peは、最大電力の半分程度の(具体的には薄日がさす程度の)3kWとされ、第2電力変換回路14からの直流電力Pfは、直流電力Peと同様に3kWとされ、直流発電源50からの直流電圧Veは、70Vとされ、発電システム10が交流負荷Loへ供給すべき需要電力Pdは、25kWとされている。
【0058】
電圧制御手段Q3は、第1ステップで需要電力Pd及び直流電力Pfを検出した後、第2ステップにおいて、検出した需要電力Pd(ここでは25kW)から、検出した直流電力Pf(ここでは3kW)を差し引いて第1算出値を算出し、算出した第1算出値(ここでは22kW)を第1電力変換回路13からの直流電力Pgとする。次に、第3ステップで第1電力変換回路13からの直流電力Pg(ここでは22kW)を直流電流Ia(ここでは62.5A)で割って第2算出値(ここでは22kW/62.5A=352V)を得る。次に、第4ステップで第1電力変換回路13からの直流電圧Vgが、前記第3ステップで得られた第2算出値(ここでは352V)になるように、エンジン発電機システム10a(具体的にはエンジン11の回転数又は第1電力変換回路13からの直流電圧Vg)を制御する。本実施の形態では、発電機12からの交流電力Paを22kWとし、エンジン11の回転数を制御して発電機12からの交流電圧Vaを可変している。
【0059】
すなわち、第1電力変換回路13からの直流電圧Vgは、第1電力変換回路13からの直流電力Pg(ここでは22kW)を需要電力Pd(ここでは25kW)で割って得られた算出値(ここでは0.88)と第3電力変換回路16への直流電圧Vc(ここでは400V)とを掛け合わせることで得られる。直流電圧Vgは、ここでは、0.88×400V=352Vとなる。また、第2電力変換回路14からの直流電圧Vfは、第2電力変換回路14からの直流電力Pf(ここでは3kW)を需要電力Pd(ここでは25kW)で割って得られた算出値(ここでは0.12)と第3電力変換回路16への直流電圧Vc(ここでは400V)とを掛け合わせることで得られる。直流電圧Vfは、ここでは、0.12×400V=48Vとなる。これにより、第1電力変換回路13からの直流電圧Vg(ここでは352V)と第2電力変換回路14からの直流電圧Vf(ここでは48V)とが合計された電圧(ここでは352V+48V)を第3電力変換回路16への直流電圧Vc(ここでは400V)とすることができる。この場合、第2電力変換回路14は、入力電圧として直流発電源50からの直流電圧Ve(ここでは70V)を、出力電圧として第2電力変換回路14からの直流電圧Vf(ここでは48V)にするため、第2電力変換回路14において直流発電源50に接続された第1直流側の直流電圧Ve(ここでは70V)と第2直流側の直流電圧Vf(ここでは48V)との調整比(Vf/Ve)が約0.7(ここでは48V/70V)になり、電力の変換効率が良い。
【0060】
以上説明したように、本実施の形態に係る発電システム10では、直列回路15によって、第1電力変換回路13の直流側と第2電力変換回路14の第2直流側とを直列に接続する構成とすることができる。これにより、第3電力変換回路16への直流電圧Vcは、第1電力変換回路13からの直流側の直流電圧Vgと第2電力変換回路14からの第2直流側の直流電圧Vfとの合計電圧とすることができる。従って、エンジン発電機システム50aでは、第1電力変換回路13からの直流電圧Vgを、第3電力変換回路16への直流電圧Vcから第2電力変換回路14の第2直流側からの直流電圧Vfを差し引いた電圧にする電圧制御を行うことができる。
【0061】
このように、本実施の形態に係る発電システム10によると、エンジン発電機システム10aにおいて、第1電力変換回路13からの直流電圧Vgを、第3電力変換回路16への直流電圧Vcから第2電力変換回路14の第2直流側からの直流電圧Vfを差し引いた電圧にする電圧制御を行うことで、第2電力変換回路14において直流発電源50に接続された第1直流側の直流電圧Veと第2直流側の直流電圧Vfとの調整比を1に近づけることができ、それだけ、電力の変換効率を向上させることができる。
【0062】
また、本実施の形態では、エンジン11の単位時間当たりの回転数を変更することにより発電機12からの交流電圧Vaを可変する構成とされているので、第1電力変換回路13として、スイッチング素子を持たない(具体的にはダイオードブリッジ等の)整流器を用いてパッシブな構成とすることができ、スイッチング素子を備えた(具体的にはAC/DCコンバータ等の)整流器を用いてアクティブな構成とする場合に比べ、低コストでかつ高効率な電力変換を行うことが可能となる。
【0063】
(制御例3)
また、直流発電源50からの直流電力Peがさらに低下して、予め設定した規定発電電力Ps以下のときには、次のような電圧制御を行う。
【0064】
図4は、図1に示す発電システム10において、直流発電源50からの直流電力Peが規定発電電力Ps以下の場合での電圧制御の制御例3を説明するためのシステム構成図である。
【0065】
図4に示す例では、直流発電源50からの直流電力Peは、直流発電源50が出力しない(具体的には夜間の)0kW又は殆ど出力しない(具体的には曇天時の)0kW近傍の値とされ、第2電力変換回路14からの直流電力Pfは、直流電力Peと同様に0kW又は0kW近傍とされ、直流発電源50からの直流電圧Veは、0Vとされ、発電システム10が交流負荷Loへ供給すべき需要電力Pdは、25kWとされている。
【0066】
電圧制御手段Q3は、第1ステップで需要電力Pd及び直流電力Pfを検出した後、第2ステップにおいて、検出した需要電力Pd(ここでは25kW)から、検出した直流電力Pf(例えば0kW)を差し引いて第1算出値を算出し、算出した第1算出値(ここでは25kW)を第1電力変換回路13からの直流電力Pgとする。次に、第3ステップで第1電力変換回路13からの直流電力Pg(ここでは25kW)を直流電流Ia(ここでは62.5A)で割って第2算出値(ここでは25kW/62.5A=400V)を得る。次に、第4ステップで第1電力変換回路13からの直流電圧Vgが、前記第3ステップで得られた第2算出値(ここでは400V)になるように、エンジン発電機システム10a(具体的にはエンジン11の回転数又は第1電力変換回路13からの直流電圧Vg)を制御する。本実施の形態では、発電機12からの交流電力Paを25kWとし、エンジン11の回転数を制御して発電機12からの交流電圧Vaを可変している。
【0067】
この例では、直流発電源50からの直流電力Pe(例えば0kW)が規定発電電力Ps(例えば0kW近傍の値)以下とされているので、第2電力変換回路14の動作を停止して、直列回路15に流れる直流電流Iaを第2電力変換回路14に流さないようにすることが好ましい。すなわち、直流電流Iaが第2電力変換回路14に流れてしまうと、電力の変換効率がよくない。
【0068】
そこで、制御装置17は、さらに、直流発電源50からの直流電力Peが規定発電電力Ps(例えば0kW近傍の値)よりも大きいときには、第2電力変換回路14を動作させて第1切替リレー19aを前記第1オフ動作にする一方、直流発電源50からの直流電力Peが規定発電電力Ps(例えば0kW近傍の値)以下のときには、第2電力変換回路14の動作を停止させて第1切替リレー19aを前記第1オン動作にする第1切替制御手段Q4(図1参照)として機能するようになっている。かかる構成では、直流電力Peが規定発電電力Ps以下で第1切替リレー19aを前記第1オン動作にすることで、第3電力変換回路16の直流側に流れる直流電流Iaの経路を、第1切替リレー19aを経て第1電力変換回路13に至る経路α1として、直流電流Iaを、動作が停止された第2電力変換回路14に流さないようにすることができる。なお、規定発電電力Psは、記憶部17b(図1参照)に予め記憶されている。
【0069】
図6は、図1に示す発電システム10において、直流発電源50からの直流電力Peが規定発電電力Ps以下の場合での電圧制御動作の制御例3を示すフローチャートである。
【0070】
制御例3では、図6に示すように、直流発電源50からの直流電力Peが規定発電電力Psよりも大きいときには(処理S1a:No)、第2電力変換回路14を動作させて第1切替リレー19aを前記第1オフ動作にする(処理S2a)。これにより、前述した制御例1,2のような動作を行うことができる。一方、直流発電源50からの直流電力Peが規定発電電力Ps以下のときには(処理S1a:Yes)、第2電力変換回路14の動作を停止させて第1切替リレー19aを前記第1オン動作にする(処理S3a)。これにより、第3電力変換回路16の直流側に流れる直流電流Iaの経路を、第1切替リレー19aを経て第1電力変換回路13に至る経路α1(図4参照)とすることができる。次に、以上の制御動作を終了指示があるまで実行し(処理S4a:No)、終了指示があると(処理S4a:Yes)、処理を終了する。
【0071】
このように制御例3では、直流発電源50からの直流電力Peが規定発電電力Ps以下のときに、直列回路15に流れる直流電流Iaを第2電力変換回路14に流れないようにすることができ、それだけ電力の変換効率を向上させることができる。
【0072】
(制御例4)
また、直流発電源50からの直流電力Peが発電システム10により供給すべき需要電力Pd以上のときには、次のような電圧制御を行う。
【0073】
図5は、図1に示す発電システム10において、直流発電源50からの直流電力Peが需要電力Pd以上の場合での電圧制御の制御例4を説明するためのシステム構成図である。
【0074】
図5に示す例では、直流発電源50からの直流電力Peは、最大電力の(具体的には晴天時の)5kWとされ、第2電力変換回路14からの直流電力Pfは、直流電力Peと同様に5kWとされ、直流発電源50からの直流電圧Veは、80Vとされ、発電システム10が交流負荷Loへ供給すべき需要電力Pdは、5kWとされている。
【0075】
電圧制御手段Q3は、第1ステップで需要電力Pd及び直流電力Pfを検出した後、第2ステップにおいて、検出した需要電力Pd(ここでは5kW)から、検出した直流電力Pf(ここでは5kW)を差し引いて第1算出値を算出し、算出した第1算出値(ここでは0kW)を第1電力変換回路13からの直流電力Pgとする。次に、第3ステップで第1電力変換回路13からの直流電力Pg(ここでは0kW)を直流電流Ia(ここでは5kW/400V=12.5A)で割って第2算出値(ここでは0kW/12.5A=0V)を得る。そして、第1電力変換回路13からの直流電圧Vgが0Vとされる。
【0076】
この例では、直流発電源50からの直流電力Pe(ここでは5kW)が需要電力Pd(ここでは5kW)以上であり、第1電力変換回路13からの直流電力Pgが0kWであるので、エンジン11及び第1電力変換回路13の動作を停止して、直列回路15に流れる直流電流Iaを第1電力変換回路13に流さないようにすることが好ましい。すなわち、第1電力変換回路13に電流Iaが流れてしまうと、電力の変換効率がよくない。
【0077】
そこで、制御装置17は、さらに、直流発電源50からの直流電力Pe(直流発電源50から受電できる最大電力)が需要電力Pd(具体的には発電システム10の出力電力指令)よりも小さいときには、エンジン11及び第1電力変換回路13を動作させて第2切替リレー19bを前記第2オフ動作にする一方、直流発電源50からの直流電力Peが需要電力Pd以上のときには、エンジン11及び第1電力変換回路13の動作を停止させて第2切替リレー19bを前記第2オン動作にする第2切替制御手段Q5(図1参照)として機能するようになっている。かかる構成では、直流電力Peが需要電力Pd以上で第2切替リレー19bを前記第2オン動作にすることで、第3電力変換回路16の直流側に流れる直流電流Iaの経路を、第2電力変換回路14を経て第2切替リレー19bに至る経路α2として、直流電流Iaを、動作が停止された第1電力変換回路13に流さないようにすることができる。
【0078】
図7は、図1に示す発電システム10において、直流発電源50からの直流電力Peが需要電力Pd以上の場合での電圧制御動作の制御例4を示すフローチャートである。
【0079】
制御例4では、図7に示すように、直流発電源50からの直流電力Peが需要電力Pdよりも小さいときには(処理S1b:No)、エンジン11及び第1電力変換回路13を動作させて第2切替リレー19bを前記第2オフ動作にする(処理S2b)。これにより、前述した制御例1,2のような動作を行うことができる。一方、直流発電源50からの直流電力Peが需要電力Pd以上のときには(処理S1b:Yes)、エンジン11及び第1電力変換回路13の動作を停止させて第2切替リレー19bを前記第2オン動作にする(処理S3b)。これにより、第3電力変換回路16の直流側に流れる直流電流Iaの経路を、第2電力変換回路14を経て第2切替リレー19bに至る経路α2(図5参照)とすることができる。次に、以上の制御動作を終了指示があるまで実行し(処理S4b:No)、終了指示があると(処理S4b:Yes)、処理を終了する。
【0080】
このように制御例4では、直流発電源50からの直流電力Peが需要電力Pd以上のときに、直列回路15に流れる直流電流Iaを第1電力変換回路13に流れないようにすることができ、それだけ電力の変換効率を向上させることができる。
【0081】
なお、以上説明した発電システム10において、第1電力変換器13と並列に第1キャパシタ18aが接続されている場合には、第1電力変換器13は、電圧形及び電流形の何れでも使用することができる。一方、第1キャパシタ18aがない場合には、第1電力変換器13は、電流形のものに限定される。第2電力変換器14と並列に第2キャパシタ18bが接続されている場合には、第2電力変換器14は、電圧形及び電流形の何れでも使用することができる。一方、第2キャパシタ18bがない場合には、第2電力変換器14は、電流形のものに限定される。また、第3電力変換器16と並列に第3キャパシタ18cが接続されている場合には、第3電力変換器16は、電圧形及び電流形の何れでも使用することができる。一方、第3キャパシタ18cがない場合には、第3電力変換器16は、電流形のものに限定される。
【0082】
また、本実施の形態に係る発電システム10では、第3電力変換回路16への直流電圧Vcは、400Vとされているが、系統電圧Vdに応じて設定することができ、例えば、それには限定されないが、350V〜480V程度の直流電圧であってもよい。
【0083】
(発電システムの変形例)
ところで、エンジン11の単位時間当たりの回転数を一定とし、第1電力変換回路13を、発電機12からの交流電圧Vaに対して直流電圧Vgを可変する構成、例えば、スイッチング素子を備えた(具体的にはAC/DCコンバータ等の)整流器を含むアクティブな構成とし、電圧可変手段Q2を、直流電圧Vgを可変するように第1電力変換回路13を作動制御する構成とする場合には、次のような不都合がある。
【0084】
すなわち、アクティブな構成とされた第1電力変換回路13として、直流電圧Vgがそのまま可変制御される構成のものを用いた場合、コストが高くつく上、電力の変換効率が低下し易い。
【0085】
そこで、発電機12を、メイン発電機とサブ発電機とに分けると共に、第1電力変換回路13を、前記メイン発電機に接続されてスイッチング素子を持たない(具体的にはダイオードブリッジ等の)整流器を含むパッシブな構成のメイン電力変換回路と、前記サブ発電機に接続されてスイッチング素子を備えた(具体的にはAC/DCコンバータ等の)整流器を含むアクティブな構成のサブ電力変換回路とに分けることが好ましい。
【0086】
図8は、図1に示す発電システム10の変形例を概略的に示すシステム構成図である。図8に示す発電システム10の変形例において、図1に示す発電システム10と同じ構成には同一符号を付し、その説明を省略する。なお、図8では第1及び第2切替リレー19a,19bは図示を省略している。
【0087】
発電機12は、メイン発電機121とサブ発電機122とを備えている。メイン発電機121及びサブ発電機122は、それぞれ、共通の(単一の)エンジン11によって駆動されることで交流電力P1a,P2a(P1a>P2a)を出力するものである。すなわち、メイン発電機121からの出力容量は、サブ発電機122からの出力容量よりも大きくなっている。例えば、発電機12として、メイン巻線を用いてメイン発電機122を構成し、前記メイン巻線に対して複巻に巻かれたサブ巻線を用いてサブ発電機122を構成するものを挙げることができる。ここで、エンジン11の単位時間当たりの回転数は一定とされている。また、メイン発電機121からの交流電力P1aとサブ発電機122からの交流電力P2aとが合計された電力(P1a+P2a)が発電機12からの交流電力Paとされている。
【0088】
第1電力変換回路13は、メイン電力変換回路131とサブ電力変換回路132とを備えている。メイン電力変換回路131及びサブ電力変換回路132は、それぞれ、交流側がメイン発電機121及びサブ発電機122に接続されており、メイン発電機121及びサブ発電機122からの交流電力P1a,P2aを直流側で直流電力P1g,P2g(P1g>P2g)に変換する構成とされている。すなわち、メイン電力変換回路131の電力容量は、サブ電力変換回路132の電力容量よりも大きくなっている。
【0089】
そして、メイン電力変換回路131は、メイン発電機121からの交流電圧V1aを直流電圧V1gに調整する調整比を1とする構成とされており、ここでは、スイッチング素子を持たない(具体的にはダイオードブリッジ等の)整流器を含むパッシブな構成とされている。サブ電力変換回路132は、交流側で接続されたサブ発電機122からの交流電圧V2aを直流側で直流電圧V2gに調整する構成とされており、ここでは、スイッチング素子を備えた(具体的にはAC/DCコンバータ等の)整流器を含むアクティブな構成とされている。ここで、メイン電力変換回路131からの直流電力P1gとサブ電力変換回路132からの直流電力P2gとが合計された電力(P1g+P2g)が第1電力変換回路13からの直流電力Pgとされている。また、サブ発電機122の定格電力は、直流発電源50の定格電力程度とされており、サブ電力変換回路132の定格電力は、第2電力変換回路14の定格電力程度とされている。
【0090】
直列回路15は、メイン電力変換回路131の直流側とサブ電力変換回路132の直流側とを直列に接続する構成とされている。詳しくは、直列回路15は、一端がメイン電力変換回路131の直流側の他端子131bと接続され、かつ、他端がサブ電力変換回路132の直流側の他端子132aと接続された第4配線15dをさらに有している。すなわち、メイン電力変換回路131とサブ電力変換回路132の直流側とが第4配線15dによって直列に接続されている。これにより、メイン電力変換回路131からの直流電圧V1gとサブ電力変換回路132からの直流電圧V2gとの合計電圧を第1電力変換回路13からの直流電圧Vgとすることができる。こうすることで、メイン電力変換回路131からの直流電圧V1gを、第3電力変換回路16への直流電圧Vc(ここでは400V)から第2電力変換回路14の第2直流側からの直流電圧Vfの最大電圧(ここでは80V)を差し引いた電圧(ここでは320V)とし、サブ電力変換回路132からの直流電圧V2gを、第2電力変換回路14からの直流電圧Vfの変動分の電圧(ここでは、80V〜0V)とすることができる。
【0091】
本実施の形態では、第1キャパシタ18aは、メインキャパシタ181aとサブキャパシタ182aとを備えている。メインキャパシタ181a及びサブキャパシタ182aは、それぞれ、メイン電力変換回路131及びサブ電力変換回路132の直流側に並列に接続されている。詳しくは、メインキャパシタ181a及びサブキャパシタ182aは、それぞれ、一端がメイン電力変換回路131及びサブ電力変換回路132の直流側の一端子131a,132aに接続され、かつ、他端がメイン電力変換回路131及びサブ電力変換回路132の直流側の他端子131b,132bに接続されている。
【0092】
そして、電圧制御手段Q3は、第2電力変換回路14からの直流電圧Vfが変動しても、メイン電力変換回路131からの直流電圧V1gとサブ電力変換回路132からの直流電圧V2gと第2電力変換回路14からの直流電圧Vfとが合計された電圧(V1g+V2g+Vf)が、第3電力変換回路16への直流電圧Vcになるように、サブ電力変換回路132を作動制御する構成とされる。
【0093】
例えば、直流発電源50からの直流電力Peは、最大電力の半分程度の(具体的には薄日がさす程度の)3kWとされ、第2電力変換回路14からの直流電力Pfは、直流電力Peと同様に3kWとされ、直流発電源50からの直流電圧Veは、70Vとされ、発電システム10が交流負荷Loへ供給すべき需要電力Pdは、25kWとされている場合には、電圧制御手段Q3は、前記第4ステップを除いて前述した制御例2と同じ電圧制御を行う。
【0094】
すなわち、電圧制御手段Q3は、第1ステップで需要電力Pd及び直流電力Pfを検出した後、第2ステップにおいて、検出した需要電力Pd(ここでは25kW)から、検出した直流電力Pf(ここでは3kW)を差し引いて第1算出値を算出し、算出した第1算出値(ここでは22kW)を第1電力変換回路13からの直流電力Pgとする。次に、第3ステップで第1電力変換回路13からの直流電力Pg(ここでは22kW)を直流電流Ia(ここでは62.5A)で割って第2算出値(ここでは22kW/62.5A=352V)を得る。次に、第4ステップで第2算出値(ここでは352V)からメイン電力変換回路131からの直流電圧V1g(ここでは320V)を差し引いて第3算出値(ここでは32V)を得て、サブ電力変換回路132からの直流電圧V2gが、得られた第3算出値(ここでは32V)になるように、サブ電力変換回路132を作動制御する。
【0095】
なお、メイン電力変換回路131は、スイッチング素子を持たない整流器を含むパッシブな構成とされているので、出力する直流電圧V1g(ここでは320V)がエンジン11の回転数の若干の変動(すなわちメイン電力変換回路131からの交流電圧V1aの若干の変動)に応じて変動し、直流電圧V1g+Δ又は直流電圧V1g−Δとなることがある。この場合、前記第4ステップでは、第2算出値(ここでは352V)からメイン電力変換回路131からの直流電圧V1g+Δ(ここでは320V+Δ)を差し引いて第3算出値(ここでは32V−Δ)を得るか、又は、第2算出値(ここでは352V)からメイン電力変換回路131からの直流電圧V1g−Δ(ここでは320V−Δ)を差し引いて第3算出値(ここでは32V+Δ)を得ることになる。
【0096】
図8に示す発電システム10の変形例では、図1から図7に示す発電システム10と同様の利点がある上、サブ電力変換回路132の定格電力を、第2電力変換回路14の定格電力程度と比較的低い電力とすることができ、これにより、図1から図7に示す第1電力変換回路13による電力の変換効率に比べて、パッシブな構成のメイン電力変換回路131及びアクティブな構成のサブ電力変換回路132全体としての第1電力変換回路13による電力の変換効率を向上させることができる。また、サブ電力変換回路132よりも電力容量が大きいメイン電力変換回路131をパッシブな構成とすることで、メイン電力変換回路131及びサブ電力変換回路132全体としての第1電力変換回路13のコストを低減させることができる。
【符号の説明】
【0097】
10 発電システム
10a エンジン発電機システム
11 エンジン
12 発電機
13 第1電力変換回路
14 第2電力変換回路
15 直列回路
16 第3電力変換回路
17 制御装置
18a 第1キャパシタ
18b 第2キャパシタ
18c 第3キャパシタ
19a 第1切替リレー(第1切替手段の一例)
19b 第2切替リレー(第2切替手段の一例)
20 電源系統
50 直流発電源
50a 直流発電源システム
Lo 交流負荷
Ia 直流電流
Pa 発電機からの交流電力
Pd 需要電力
Pe 直流発電源からの直流電力
Pf 第2電力変換回路からの直流電力
Pg 第1電力変換回路からの直流電力
Pin 第1電力変換回路及び第2電力変換回路からの直流電力
Pout 第3電力変換回路からの交流電力
Ps 規定発電電力
Q1 系統連系手段
Q2 電圧可変手段
Q3 電圧制御手段
Q4 第1切替制御手段
Q5 第2切替制御手段
Va 発電機からの交流電圧
Vc 第3電力変換回路へ供給すべき直流電圧
Vd 系統電圧
Ve 直流発電源からの直流電圧
Vg 第1電力変換回路からの直流電圧
Vf 第2電力変換回路からの直流電圧

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンと、
前記エンジンによって駆動される発電機と、
前記発電機に接続されて前記発電機からの交流電力を直流電力に変換する第1電力変換回路と、
エンジンによるエネルギーとは異なるエネルギーによって直流電力を出力する直流発電源と、
前記直流発電源に接続された第1直流側の直流電圧を調整して第2直流側とする第2電力変換回路と、
前記第1電力変換回路の直流側と前記第2電力変換回路の前記第2直流側とを直列に接続する構成とされた直列回路と、
前記直列回路に並列に接続されて前記第1電力変換回路及び前記第2電力変換回路からの直流電力を交流電力に変換する第3電力変換回路と
を備え、
前記第3電力変換回路からの交流電力を電源系統及び交流負荷の少なくとも一方に供給することを特徴とする発電システム。
【請求項2】
請求項1に記載の発電システムであって、
前記エンジンの単位時間当たりの回転数を変更することにより前記第1電力変換回路からの直流電圧を可変する構成とされていることを特徴とする発電システム。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の発電システムであって、
前記第2電力変換回路の前記第2直流側に接続されて前記第2電力変換回路の前記第2直流側を短絡する第1オン動作と前記第2電力変換回路の前記第2直流側を開放する第1オフ動作とを切り替える第1切替手段と、
前記直流発電源からの直流電力が予め設定した規定発電電力よりも大きいときには、前記第2電力変換回路を動作させて前記第1切替手段を前記第1オフ動作にする一方、前記直流発電源からの直流電力が前記規定発電電力以下のときには、前記第2電力変換回路の動作を停止させて前記第1切替手段を前記第1オン動作にする第1切替制御手段と
を備えることを特徴とする発電システム。
【請求項4】
請求項1から請求項3までの何れか1項に記載の発電システムであって、
前記第1電力変換回路の前記直流側に接続されて前記第1電力変換回路の前記直流側を短絡する第2オン動作と前記第1電力変換回路の前記直流側を開放する第2オフ動作とを切り替える第2切替手段と、
前記直流発電源からの直流電力が当該発電システムにより供給すべき需要電力よりも小さいときには、前記エンジン及び前記第1電力変換回路を動作させて前記第2切替手段を前記第2オフ動作にする一方、前記直流発電源からの直流電力が前記需要電力以上のときには、前記エンジン及び前記第1電力変換回路の動作を停止させて前記第2切替手段を前記第2オン動作にする第2切替制御手段と
を備えることを特徴とする発電システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−244845(P2012−244845A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−114696(P2011−114696)
【出願日】平成23年5月23日(2011.5.23)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】