説明

発電システム

【課題】パワーコンディショナの効率の低下を回避しつつ突入電流を抑制して発電装置の早期劣化を防止し得る発電システムを提供する。
【解決手段】燃料電池装置1の出力部とパワーコンディショナ3の入力部とを接続する正極および負極のライン間にコンデンサ32が備えられた発電システムにおいて、コンデンサ32の上流側のラインに、燃料電池装置1の出力の開閉器12と抵抗器13とを直列に接続するとともに、この抵抗器13を短絡させる常閉接点の継電器14を接続する。そして、FC制御部11は、燃料電池装置1の出力をパワーコンディショナ3に供給するときには、開閉器12を閉成させる制御を行った後、パワーコンディショナ3の入力電圧が所定電圧以上になることを条件として継電器14を閉成させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は発電システムに関し、より詳細には、発電装置として燃料電池を用いた発電システムにおけるパワーコンディショナの入力部に備えられるコンデンサへの突入電流を抑制する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池装置などの直流の発電装置を商用電源などの電力系統に接続する発電システムでは、発電装置と電力系統の間にインバータ装置であるパワーコンディショナが設けられている。
【0003】
この種のパワーコンディショナは、周知のとおり、発電装置から供給される直流電力を昇圧するコンバータと、コンバータから出力される直流電力を電力系統に連系可能な交流電力に変換するインバータと、該インバータと電力系統とを接続する系統連系用の開閉器と、これらの制御部とを主要部として備えており、上記発電装置の出力部とパワーコンディショナの入力部であるコンバータとを接続する正極および負極のライン間にコンデンサ(電解コンデンサ)が備えられている(たとえば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】再公表WO2007/096994号公報の図3
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、発電装置に用いられる燃料電池は急激に電流を流すと早期に劣化するという問題がある。そのため、上述したように、パワーコンディショナの入力部にコンデンサを備える構成では、発電装置に燃料電池を使用した場合、発電装置の動作開始時、すなわち、燃料電池による発電開始時に上記コンデンサに大きな突入電流が流れてしまい燃料電池の早期の劣化を招くという問題がある。
【0006】
このような問題を解消するため、出願人は、パワーコンディショナの入力部に備えられるコンデンサの上流側、すなわち、当該コンデンサの発電装置側に突入電流防止回路を設けることを検討した。
【0007】
図3は、このような突入電流防止回路を備えた発電システムを示している。図において、aは発電装置である燃料電池装置、bはパワーコンディショナ、cは燃料電池装置aの出力部とパワーコンディショナbの入力部とを接続する正極および負極のライン間に配設されるコンデンサを示している。また、dは上記ライン上に配設された発電装置aの出力をオン/オフする常開接点(a接点)の開閉器である。そして、このような発電システムにおいて、上記突入電流防止回路として、上記開閉器dと直列に電流制限用の抵抗器eを接続するとともに、この抵抗器eの両端に抵抗器eを短絡する常開接点(a接点)の継電器fを設けている。
【0008】
このように、抵抗器eと常開接点の継電器fとからなる突入電流防止回路を設ける構成では、燃料電池装置aが発電していないとき(パワーコンディショナbが待機中のとき)は、図3(a)に示すように、開閉器dおよび継電器fは双方とも開成させておき、燃料電池装置aが発電しているとき(パワーコンディショナbが動作中のとき)には、動作開始当初のコンデンサcへの突入電流を防止しているときを除き、図3(b)に示すように、常開接点の開閉器dおよび継電器fは双方とも閉成させるようにしている。
【0009】
しかしながら、発電装置に用いられる燃料電池装置aは、一旦発電を開始すると長期間(たとえば、1カ月程度)発電を継続する。つまり、燃料電池装置aを発電装置とするパワーコンディショナbは、待機時間よりも動作時間が極端に長い。そのため、突入電流防止回路に使用する継電器fとして、接点を閉成させるのに電力を消費する常開接点の継電器を用いる構成では、燃料電池装置aが発電を継続する長期間にわたって継電器fで電力が消費されることとなり無駄な電力消費を招く一方で、継電器fの駆動電力はパワーコンディショナb側から供給されることになるので、パワーコンディショナbの効率低下を招く要因という問題があった。
【0010】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、パワーコンディショナの効率の低下を回避しつつ突入電流を抑制して発電装置の早期劣化を防止し得る発電システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本発明の請求項1に記載の発電システムは、直流電力を発電する発電装置と、上記発電装置から供給される直流電力を交流電力に変換するパワーコンディショナとを備え、上記発電装置の出力部と上記パワーコンディショナの入力部とを接続する正極および負極のライン間にコンデンサが備えられた発電システムにおいて、上記コンデンサの上流側のラインに、上記発電装置の出力をオン/オフする開閉器と抵抗器とが直列に接続されるとともに、この抵抗器の両端に当該抵抗器を短絡させる常閉接点の継電器が接続されており、制御部は、その起動時に上記常閉接点の継電器の接点を開成させるように設定されており、上記発電装置の出力を上記パワーコンディショナに供給するときには、上記開閉器を閉成させる制御を行った後、上記パワーコンディショナの入力電圧が所定電圧以上になることを条件として上記常閉接点の継電器を閉成させる制御を行う制御構成を有することを特徴とする。
【0012】
請求項1に係る発電システムでは、発電装置の出力をオン/オフする開閉器に接続される突入電流防止回路の抵抗器を短絡させる継電器として、接点を閉成させるのに電力を消費しない常閉接点(b接点)の継電器を用いているので、発電装置が発電しているとき(パワーコンディショナの動作中)に、その接点を閉成させるにあたって継電器では電力が消費されない。そのため、発電装置が発電中にパワーコンディショナから継電器を動作させるための電力を供給しなくてよいのでパワーコンディショナの効率の低下をまねくことなくパワーコンディショナの入力用のコンデンサに対する突入電流を抑制することができる。
【0013】
本発明の請求項2に記載の発電システムは、請求項1に記載の発電システムにおいて、上記制御部、上記開閉器、上記抵抗器および上記常閉接点の継電器は、いずれも上記発電装置に備えられていることを特徴とする。
【0014】
すなわち、この請求項2に係る発電システムでは、発電装置の出力をオン/オフする開閉器と、この開閉器に接続される突入電流防止回路と、これらの制御部とがいずれも発電装置に備えられる。そのため、発電装置において発電部などの制御を行う制御部に上記制御部の機能を備えさせることにより、発電装置の制御部の設定により上記開閉器を用いて出力の安全停止などの必要な措置を講ずることができる。
【0015】
本発明の請求項3に記載の発電システムは、請求項1または2に記載の発電システムにおいて、上記開閉器は、常開接点の継電器で構成されていることを特徴とする。
【0016】
すなわち、この請求項3に係る発電システムでは、上記開閉器として常開接点の継電器が用いられるので、発電装置が発電していないとき、つまり、上記開閉器を開成させておく必要があるときに、上記開閉器で電力が消費されるのを防止することができる。
【0017】
本発明の請求項4に記載の発電システムは、請求項2または3に記載の発電システムにおいて、上記パワーコンディショナは、上記発電装置からの入力電圧を測定する電圧測定手段を備えており、この電圧測定手段で測定されたパワーコンディショナの入力電圧の情報がパワーコンディショナの制御部を介して上記発電装置に備えられた上記制御部に送信されるように構成されていることを特徴とする。
【0018】
すなわち、この請求項4に係る発電システムでは、発電装置からパワーコンディショナに入力される入力電圧を測定する電圧測定手段がパワーコンディショナに備えられているので、電圧測定手段で測定された入力電圧の情報はパワーコンディショナと発電装置の通信機能(パワーコンディショナの制御部と発電装置の制御部との通信機能)を利用して制御部に伝達することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、発電装置の出力をオン/オフする開閉器に接続される突入電流防止回路の抵抗器を短絡させる継電器として、接点を閉成させるのに電力を消費しない常閉接点の継電器が用いられているので、発電装置が発電しているとき(パワーコンディショナの動作中)に、突入電流防止回路の継電器の接点を閉成させるのに電力を消費しない。そのため、発電装置が発電中にパワーコンディショナから継電器を動作させるための電力を供給しなくてよく。パワーコンディショナの効率の低下をまねくことなくパワーコンディショナの入力用のコンデンサに対する突入電流の抑制を図ることができる。
【0020】
したがって、燃料電池装置のようにパワーコンディショナの待機時間が動作時間よりも極端に短くなる発電装置を用いた発電システムに適用することにより、突入電流防止回路での消費電力が少なく、かつ、パワーコンディショナの効率低下を抑制した発電システムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明に係る発電システムの概略構成の一例を示す回路図であり、図1(a)はパワーコンディショナが待機中の状態を、図1(b)はパワーコンディショナの動作開始当初の状態を、図1(c)はパワーコンディショナが動作中の状態をそれぞれ示している。
【図2】同発電システムにおける突入電流防止回路の動作手順を示すフローチャートである。
【図3】従来のパワーコンディショナの入力用コンデンサに対する突入電流防止回路を設けた発電システムの概略構成の一例を示しており、図3(a)はパワーコンディショナが待機中の状態を、図3(b)はパワーコンディショナが動作中の状態をそれぞれ示している。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明に係る発電システムの一例を示している。この図1に示す発電システムは、発電装置として燃料電池を用いた発電システムであって、燃料電池装置1と、電力系統2と、パワーコンディショナ3とを主要部として構成されている。
【0023】
燃料電池装置1は、天然ガスなどの水素を含む燃料ガスと空気などの酸素を含む酸化剤ガスとを化学反応させて直流電力を発電する周知の構成よりなる発電装置であって、この燃料電池装置1には、図示しない発電部(スタック)や発電部の周辺機器(補機)の他、燃料電池装置1の各部を制御するFC制御部(制御部)11が備えられている。
【0024】
FC制御部11は、図示しないマイコンを制御中枢として備えた制御装置であって、発電部の出力電圧や出力電流、補機の状態などを監視する各種センサ類(図示せず)から得られる情報と、後述するパワーコンディショナ3のPC制御部31との通信によって得られる情報とに基づいて燃料電池装置1の各部の動作(たとえば、発電部での発電開始や発電停止など)を制御するように構成されている。そして、特に本実施形態では、このFC制御部11は、後述する開閉器12および常閉接点の継電器14の開閉制御を行うように構成されている。なお、このFC制御部11は、パワーコンディショナ3から電力供給を受けて動作するように構成されており、発電部が発電していないときでも後述する継電器14の駆動制御を行えるようになっている。
【0025】
図1において、11aはFC制御部11に備えられた制御基板を示している。この制御基板11aには、FC制御部11を構成する各種電気部品(たとえば、PC制御部31との通信回路や燃料電池装置1の電源回路など)が搭載されるほか、本実施形態では、燃料電池装置1で発電される直流電力の出力をオン/オフする開閉器12と、抵抗器13および継電器14で構成される突入電流防止回路とが備えられている。なお、図示例では図示の便宜上、制御基板11aを燃料電池装置1の外側に示したが、この制御基板11aは上記FC制御部11とともに燃料電池装置1の内部に備えられている。
【0026】
開閉器12は、その駆動回路(図示せず)がFC制御部11によって制御される常開接点(a接点)の継電器で構成されており、燃料電池装置1の直流電力の出力部とパワーコンディショナ3の入力部とを接続する正極および負極の給電ラインに直列に配設されている。そして、燃料電池装置1が発電を開始したときには、FC制御部11がその接点を閉成させて、燃料電池装置1から出力される直流電力がパワーコンディショナ3に与えられるようになっている。
【0027】
抵抗器13は、上記開閉器12と直列に接続される電気抵抗であって、突入電流防止回路において突入電流を抑制する電流制限抵抗として機能する(詳細は後述する)。また、継電器14は、抵抗器13の両端に当該抵抗器13を短絡させるように接続された常閉接点(b接点)の継電器であって、この継電器14の駆動回路(図示せず)も上記FC制御部11によって制御されるようになっている。なお、これら開閉器12および抵抗器13と継電器14は、いずれも上記給電ラインにおいて、後述するパワーコンディショナ3の入力用のコンデンサ32の上流側、すなわち、コンデンサ32からみて燃料電池装置1側に配設されている。
【0028】
電力系統2は、商用電源(たとえば、単相AC200V)で構成されており、図示しない分電盤を介して家庭内の電気負荷(図示せず)やパワーコンディショナ3と接続されている。
【0029】
パワーコンディショナ3は、燃料電池装置1で発電された直流電力を電力系統2に連系可能な交流電力に変換するインバータ装置であって、燃料電池装置1から供給される直流電力を昇圧するコンバータ(DC/DCコンバータ)と、該コンバータから出力される直流電力を電力系統2に連系可能な交流電力に変換するインバータ(DC/ACインバータ)と、該インバータを電力系統2に接続する系統連系リレー(いずれも図示せず)と、これらコンバータ、インバータおよび系統連系リレーを含むパワーコンディショナ3の各部の動作を制御するPC制御部31とを主要部として備えている。
【0030】
そして、このパワーコンディショナ3の入力部、すなわち、上記燃料電池装置1の出力部と接続される正極および負極の給電ラインのライン間にはコンデンサ(電解コンデンサ)32が接続されるとともに、燃料電池装置1からパワーコンディショナに入力される入力電圧(正極および負極の給電ライン間の電圧)を測定する電圧センサ(電圧測定手段)33が備えられている。なお、これらコンデンサ32および電圧センサ33は、いずれもパワーコンディショナ3の内部に備えられている。
【0031】
PC制御部31は、図示しないマイコンを制御中枢として備えた制御装置であって、上記電圧センサ33などのパワーコンディショナ3に備えられた各種センサ類から得られる情報、燃料電池装置1のFC制御部11から得られる情報、さらには、図示しないパワーコンディショナ3のリモコン(操作部)から得られる情報などに基づいて、パワーコンディショナ3の各部の動作を制御するように構成されている。特に本実施形態では、電圧センサ33で測定されるパワーコンディショナ3への入力電圧の情報を図示しない通信回路を通じてFC制御部11に対して送信するように構成されている。
【0032】
しかして、このように構成された発電システムの動作について、図1(a)〜図1(c)及び図2を参照しながら説明する。
【0033】
本実施形態に示す発電システムでは、燃料電池装置1の発電部が発電をしていないときは、パワーコンディショナ3は停止状態で待機する(図1(a)参照)。このとき、FC制御部11は、常開接点の開閉器12を開成状態に維持するとともに、常閉接点の継電器14を開成状態となるように制御する。つまり、FC制御部11は、燃料電池装置1の発電部が発電をしていないときは、常開接点の開閉器12の駆動回路には電力の供給を行わないが、常閉接点である継電器14の駆動回路には電力を供給し、継電器14の接点を開成させるように構成されている。なお、ここで継電器14の駆動回路に供給する電力は、上述したようにパワーコンディショナ3から供給を受けた電力が用いられている。
【0034】
そして、この制御に関連して、FC制御部11は、その起動時に(FC制御部11に電力が供給された当初の初期動作で)、常閉接点の継電器14の接点を開成させるように設定(プログラム)されている。すなわち、FC制御部11に電力が供給された当初は、発電部は発電を行っていないので、FC制御部11は電力供給を受けて起動したときの初期動作として、継電器14の接点を開成させるようになっている。なお、停止状態にあるパワーコンディショナ3における上記コンバータおよびインバータは動作停止状態にあり、上記系統連系リレーは開成(解列)されている。
【0035】
そして、燃料電池装置1の発電部で発電を開始するときは、FC制御部11は、発電を開始する旨をPC制御部31に送信するとともに、発電開始に伴って、開閉器12を閉成させる制御を行う。つまり、開閉器12の駆動回路にも電力を供給し、開閉器12の接点を閉成させる。このとき継電器14の駆動回路には電力供給が継続され、継電器14の接点は開成状態を維持している(図1(b)参照)。
【0036】
これにより、燃料電池装置1の発電部で発電された直流電力は、開閉器12および抵抗器13を介してコンデンサ32を充電する。このとき、継電器14は開成状態を維持しているので、燃料電池装置1の発電部から出力される電流は電流制限用の抵抗器13を通ってコンデンサ32に与えられるようになり、コンデンサ32に大きな突入電流が流れるのが抑制される(コンデンサへの突入電流防止)。
【0037】
一方、パワーコンディショナ3のPC制御部31は、FC制御部11からの通信によって燃料電池装置1の発電部が発電を開始することを知ると、パワーコンディショナ3の動作を開始させるとともに(図2ステップS1参照)、電圧センサ33で測定される入力電圧の情報(電圧値の情報)をFC制御部11に逐次送信する。このとき、上記開閉器12が閉成された直後のわずかな時間(たとえば、数マイクロ秒から十数マイクロ秒程度の時間)は上記電圧センサ33は電圧を検出しないが、コンデンサ32が十分に充電されると電圧センサ33で電圧が検出されるようになり、その結果がFC制御部11に送信される。
【0038】
FC制御部11では、開閉器12を閉成させた後、PC制御部31から送信されるパワーコンディショナ3の入力電圧の情報を監視し、入力電圧があらかじめ設定された所定電圧(たとえば、○○V)以上になったか否かを判断して(図2ステップS2参照)、所定電圧以上の入力電圧があれば(図2ステップS2でYesであれば)、継電器14の接点を閉成(接点ON)させる(図1(c)および図2ステップS3参照)。つまり、FC制御部11は、パワーコンディショナ3の入力電圧が所定電圧以上であることを条件に、常閉接点の継電器14の駆動回路に対する電力供給を停止し、継電器14の接点を閉成させる。
【0039】
これにより、燃料電池装置1から出力される直流電力は、抵抗器13を介することなく、継電器14を介してパワーコンディショナ3に供給される。そのため、発電部が発電を開始してパワーコンディショナ3の入力電圧が上記所定電圧以上となった後は、発電部での発電が継続している限りにおいて、抵抗器13で電力が消費されることなく、燃料電池装置1で発電された電力を無駄なくパワーコンディショナ3に供給することができる。しかも、パワーコンディショナ3は、継電器14の駆動回路に電力を供給しなくてよいので効率よく直流電力を交流電力に変換できる。
【0040】
これに対して、発電部での発電を停止するときは、パワーコンディショナ3は待機状態に復帰し、上述した図1(a)の状態となる。つまり、FC制御部11は、開閉器12の駆動回路への電力供給を停止させて開閉器12の接点を開成させるとともに、常閉接点である継電器14の駆動回路に対しては電力供給を開始して、継電器14の接点を開成させる(図2ステップS4参照)。
【0041】
このように、本発明に係る発電システムでは、燃料電池装置1の出力をオン/オフする開閉器12に接続される突入電流防止回路の抵抗器13を短絡させる継電器14として、接点を閉成させるのに電力を消費しない常閉接点(b接点)の継電器を用いているので、燃料電池装置1の発電部が発電しているとき(つまり、パワーコンディショナ3が動作中のとき)には突入電流防止回路の継電器14で電力は消費されない。そのため、燃料電池装置1が発電中は、パワーコンディショナ3から継電器14を動作させるための電力を供給しなくてよく、燃料電池装置1で発電された電力を無駄なく交流電力に変換でき、パワーコンディショナ3の効率の低下が防止される。したがって、燃料電池装置のようにパワーコンディショナの待機時間が動作時間よりも極端に短くなる発電装置を用いる場合、上述した本発明による効果(突入電流防止回路での消費電力が少なく、かつ、パワーコンディショナの効率低下を抑制する効果)をより多く享受することができるようになる。
【0042】
なお、上述した実施形態は本発明の好適な実施態様を示すものであって、本発明はこれらに限定されることなく発明の範囲内で種々の設計変更が可能である。
【0043】
たとえば、上述した実施形態では、突入電流防止回路の継電器14の接点を閉成させる条件(パワーコンディショナ3の入力電圧が所定電圧以上あるか否か)を、PC制御部31から与えられるパワーコンディショナ3の入力電圧の電圧値に基づいてFC制御部11側で判断するように構成した場合を示したが、この判断をPC制御部31側で行って、その結果をFC制御部11に送信するように構成してもよい。その場合、FC制御部11は、PC制御部31からの指示に従って継電器14を閉成させる(継電器14の駆動回路への電力供給を停止する)制御を行うように構成される。
【0044】
また、上述した実施形態では、コンデンサ32および電圧センサ33は、いずれもパワーコンディショナ3に設けた場合を示したが、これらをパワーコンディショナ3の外部に設けるように構成することもできる。
【0045】
また、上述した実施形態では、本発明を適用する発電装置として燃料電池を用いた場合を示したが、直流電力を発電する発電装置であれば燃料電池以外の方式の発電装置(たとえば、太陽電池)にも本発明は適用可能である。また、燃料電池については固体酸化物型燃料電池(SOFC)のほか、固体高分子形燃料電池(PEFC)などの燃料電池からなる燃料電池装置にももちろん適用可能である。
【0046】
また、上述した実施形態では、常閉接点の継電器14は、FC制御部11の初期動作で接点を開成させるように設定した場合を示したが、継電器14の駆動回路での電力消費を削減する観点から、上記開閉器12が開成されているときは、継電器14を閉成させておくように設定しておくこともできる。すなわち、この場合、FC制御部11は、発電開始によって上記開閉器12の接点を閉成させる直前に継電器14を開成させる、つまり、開閉器12の駆動回路に電力を供給する直前に継電器14の駆動回路に電力を供給して継電器14を開成させるように設定しておくことができる。これにより、開閉器12が開成されている間(発電部が発電していない間)における継電器14の駆動回路での電力消費を削減することができる。
【符号の説明】
【0047】
1 燃料電池装置
2 電力系統
3 パワーコンディショナ
11 FC制御部(制御部)
11a 制御基板
12 開閉器
13 抵抗器
14 常閉接点の継電器
31 PC制御部
32 コンデンサ
33 電圧センサ(電圧測定手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
直流電力を発電する発電装置と、前記発電装置から供給される直流電力を交流電力に変換するパワーコンディショナとを備え、前記発電装置の出力部と前記パワーコンディショナの入力部とを接続する正極および負極のライン間にコンデンサが備えられた発電システムにおいて、
前記コンデンサの上流側のラインに、前記発電装置の出力をオン/オフする開閉器と抵抗器とが直列に接続されるとともに、この抵抗器の両端に当該抵抗器を短絡させる常閉接点の継電器が接続されており、
制御部は、その起動時に前記常閉接点の継電器の接点を開成させるように設定されており、前記発電装置の出力を前記パワーコンディショナに供給するときには、前記開閉器を閉成させる制御を行った後、前記パワーコンディショナの入力電圧が所定電圧以上になることを条件として前記常閉接点の継電器を閉成させる制御を行う制御構成を有することを特徴とする発電システム。
【請求項2】
前記制御部、前記開閉器、前記抵抗器および前記常閉接点の継電器は、いずれも前記発電装置に備えられていることを特徴とする請求項1に記載の発電システム。
【請求項3】
前記開閉器は、常開接点の継電器で構成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の発電システム。
【請求項4】
前記パワーコンディショナは、前記発電装置からの入力電圧を測定する電圧測定手段を備えており、この電圧測定手段で測定されたパワーコンディショナの入力電圧の情報がパワーコンディショナの制御部を介して前記発電装置に備えられた前記制御部に送信されるように構成されていることを特徴とする請求項2または3に記載の発電システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−78183(P2013−78183A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−215890(P2011−215890)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(000004709)株式会社ノーリツ (1,293)
【Fターム(参考)】