発電プラントの脱気器水位制御装置およびその方法並びに発電プラント
【課題】復水器ホットウェルの貯水容量が脱気器貯水タンクの貯水容量と比較して小さい場合は、脱気器水位制御の不調時に復水器ホットウェル水位が大きく低下し、最悪の場合復水ポンプの必要水量を確保できずポンプ停止に至ることが懸念される。
【解決手段】復水器ホットウェル6の水位を検出する復水器水位検出手段17と、脱気器10の水位を検出する脱気器水位検出手段19と、脱気器水位検出手段19の検出信号19aと脱気器の水位設定値との偏差に基づいて補給水流量調節弁16の弁開度22aを算出する演算手段20〜22と、復水器水位検出手段17の検出信号17aに基づいて補給水流量調節弁16の下限開度を求める下限開度演算手段24と、演算手段の弁開度22aが下限開度演算手段24の下限開度24a以下のとき当該下限開度24aを補給水流量調節弁16の弁開度指令として出力する弁下限開度切替手段23とを備えた。
【解決手段】復水器ホットウェル6の水位を検出する復水器水位検出手段17と、脱気器10の水位を検出する脱気器水位検出手段19と、脱気器水位検出手段19の検出信号19aと脱気器の水位設定値との偏差に基づいて補給水流量調節弁16の弁開度22aを算出する演算手段20〜22と、復水器水位検出手段17の検出信号17aに基づいて補給水流量調節弁16の下限開度を求める下限開度演算手段24と、演算手段の弁開度22aが下限開度演算手段24の下限開度24a以下のとき当該下限開度24aを補給水流量調節弁16の弁開度指令として出力する弁下限開度切替手段23とを備えた。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、火力発電プラントや原子力発電プラント等の発電プラントにおける脱気器水位制御装置に係り、特に復水器に流入する補給水の流量を調節して脱気器の水位を適正な値に制御するようにした発電プラントの脱気器水位制御装置およびその方法並びに発電プラントに関する。
【背景技術】
【0002】
火力発電プラントや原子力発電プラント等の発電プラントにおいては、復水器によって蒸気タービンから排気された蒸気を凝縮して復水にし、この復水をボイラまたは蒸気発生器に給水する前に復水・給水系統中に設置している脱気器で復水中の溶解酸素量を制限値以下に低減するようにしている。復水器および脱気器の水位制御方式としては、脱気器の水位に基づいて復水器の水位を制御し、その結果生ずる復水器水位の偏差に基づいて脱気器へ水を送るようにした水位制御方式がある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この水位制御方式について、もう少し具体的に説明する。この水位制御方式は、まず脱気器貯水タンクの検出水位に基づいて補給水タンクの入力弁または出力弁の開度を調節し、復水器ホットウェルの流入出水量を制御する。そしてこの復水器ホットウェルに流入出する水量の制御により復水器ホットウェル水位が設定値から変化したら、その復水器水位の偏差により復水流量調節弁を調節し、脱気器へ送る復水流量を制御するようにした水位制御方式である。
【0004】
例えば、脱気器貯水タンクの水位が設定水位よりも低くなった場合、補給水流量調節弁を開らいて補給水タンクから復水器へ補給水を供給する。この補給水供給の結果、復水器ホットウェルの水位が高まったら、次に復水流量調節弁開度を大きくして脱気器への復水ポンプの吐水量を増やし、脱気器貯水タンクの水位を元の設定水位に戻すように制御する。
【特許文献1】特公平2−30401号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1記載の水位制御方法では、脱気器貯水容量と比較して復水器ホットウェル貯水容量が小さい場合は、脱気器水位制御機能の不調時に何らかの原因で脱気器水位調節弁の開度を急激に開いたとき、復水流量が急激に増加するため、復水器ホットウェル水位が大きく低下する。
【0006】
このため、補給水流量調節弁を開操作して復水器に補給水を流入させ復水器ホットウェル水位を回復させるようにしているが、脱気器貯水容量と比較して復水器ホットウェル貯水容量が小さい場合には、復水器ホットウェル水位低下後に補給水流量調節弁を開操作したのでは制御開始のタイミングが遅れてしまい、復水器ホットウェル水位が復水ポンプの必要水量を確保できる水位以下に低下し、この結果、復水ポンプの必要水量を確保できず、復水ポンプの停止により、発電プラントが運転停止に至ることが懸念される。
【0007】
この対策としては、水位制御装置内に設けてあるPID制御器の各パラメータ値を調整して最適なチューニングを施すのが通例である。しかし、PID制御器の各パラメータは単純に算出されるものではなく、水位が安定するように調整を行うことは非常に難しいのが現実である。
【0008】
そこで、本発明は上記従来技術の欠点に鑑みてなされたもので、復水器ホットウェル水位が安定するように補給水流量調節弁の弁開度を調整し、脱気器の水位を安定に制御することができるようにした発電プラントの脱気器水位制御装置およびその方法並びに発電プラントを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、請求項1に係る発明は、蒸気タービンから排気された蒸気を復水して貯水する復水器と、前記復水器に貯水された復水を復水系から導入し復水中の溶存酸素を除去して給水として貯水する脱気器と、前記脱気器に貯えられた給水を給水系から導入するボイラと、補給水流量調節弁を備え前記復水器に補給水を供給する補給水供給手段とから成り、前記補給水供給手段により復水器への補給水量を調節して脱気器の水位を制御するようにした発電プラントの脱気器水位制御装置において、前記脱気器の水位を検出し、その水位信号を出力する脱気器水位検出手段と、前記復水器の水位を検出し、その水位信号を出力する復水器水位検出手段と、前記脱気器の制御設定値と水位信号との偏差に基づいて前記補給水流量調節弁の弁開度を求める演算手段と、前記復水器水位検出手段の水位信号を入力し前記復水ポンプの必要最低限となる流量を確保するための前記補給水流量調節弁の下限開度を求める下限開度演算手段と、前記演算手段で求めた弁開度と前記下限開度演算手段で求めた下限開度とを入力し、前記演算手段で求めた弁開度が前記下限開度演算手段で求めた下限開度以下の場合、当該下限開度を前記補給水流量調節弁の弁開度指令として出力する下限開度切替手段と、を備えたことを特徴とする。
【0010】
また、請求項10に係る発明は、蒸気タービンから排気された蒸気を復水して貯水する復水器と、前記復水器に貯水された復水を復水系から導入し復水中の溶存酸素を除去して給水として貯水する脱気器と、前記脱気器に貯えられた給水を給水系から導入するボイラと、補給水流量調節弁を備え前記復水器に補給水を供給する補給水供給手段とから成り、前記補給水供給手段により復水器への補給水量を調節して脱気器の水位を制御するようにした発電プラントの脱気器水位制御方法において、前記脱気器の制御設定値と水位信号との偏差に基づいて前記補給水流量調節弁の弁開度指令を求め、前記復水器の水位信号に基づいた前記補給水流量調節弁の下限開度を求め、前記脱気器の制御設定値と水位信号との偏差に基づいて求めた弁開度が前記復水器の水位信号に基づいて求めた下限開度以下のとき、当該下限開度を前記補給水流量調節弁の弁開度指令とすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、給水量の急激な変動に応じて補給水流量調節弁の開度を最適な開度に調整することができるので、発電プラント起動時や脱気器水位が変動した時、あるいは急激なプラント状態の変動等給水量の急激な変動時においても、制御設定値を大きく逸脱することがなく、脱気器の水位を安定して制御することができ、発電プラントの安定運転が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の実施例について説明する。なお、各図を通して共通する部品、要素については同一符号ないし関連符号をつけて説明は適宜省略する。
【0013】
(実施例1)
図1は本発明の実施例1に係る制御プロセス系統図であり、図2は本実施例1の制御装置の一例を示す制御ロジック図であり、図12は本実施例による制御演算部の主要部の入出力特性図である。
【0014】
図1において、ボイラ1で発生した蒸気は、主蒸気系統2に設けられた蒸気加減弁3によって制御されて蒸気タービン4に導入される。蒸気タービン4に導入された蒸気はこの蒸気タービン4で膨張仕事をした後復水器5に排気され、ここで凝縮されて復水となり復水器ホットウェル6に貯水される。復水器ホットウェル6に貯水された復水は、復水系8を構成する復水管中の復水ポンプ7により昇圧されて低圧給水加熱器9に送られ、ここで加熱されたのち脱気器10へ送られるように構成されている。
【0015】
この脱気器10は復水ポンプ7から送られてきた復水を蒸気タービン抽気に直接接触させて加熱することにより溶存酸素量を除去(低減)する脱気室11と、脱気室11で溶存酸素量の除去(低減)された水すなわち、給水を貯える脱気器貯水タンク12とから構成されている。なお、通常、脱気室11にて脱気された水は給水と称されている。
【0016】
脱気器貯水タンク12に一旦貯えられた給水は、給水系13を構成するボイラ給水ポンプ14によって昇圧されて給水調節弁15、図示しない高圧給水加熱器を経てボイラ1へ給水されるように構成されている。
【0017】
一方、復水器5には、ホットウェル6の水位を安定に保つために補給水流量調節弁16の開度を調節して補給水供給手段である補給水タンク46から必要量の給水が補給されるように構成されており、このため復水器ホットウェル6には、貯水している復水の水位検出用として水位検出器17を設けている。この水位検出器17から出力された復水器水位信号17aは後述する脱気器水位制御器(図中、制御器と表記)18に入力されるようになっている。
【0018】
脱気器貯水タンク12の水位はボイラ給水ポンプ14の必要水頭圧を確保するためにできるだけ一定に制御する必要があり、このため、脱気器貯水タンク12には水位検出用として水位検出器19を設けている。この水位検出器19から出力された脱気器水位信号19aは前記復水器水位信号17aと同様、脱気器水位制御器18に入力されるように構成されている。
【0019】
脱気器水位制御器18は、これら復水器水位信号17aおよび脱気器水位信号19aを入力して後述する所定の演算処理を行い、その演算処理結果を前述の補給水流量調節弁16に弁開度指令18aとして出力し、補給水流量調節弁16の弁開度を調節することによって補給水流量を制御する。
【0020】
図2は脱気器水位制御器18の構成の一例を示すロジックシーケンス図である。
図2において、脱気器水位制御器18は制御演算部181と、手動/自動切替操作部182とから構成されている。図中、制御演算部181の入出力部に設けた記号AI、AOはそれぞれアナログ入力部、アナログ出力部である。
【0021】
制御演算部181において、脱気器水位信号19aはまず比較部20に入力される。比較部20は実測値である脱気器水位信号19aと予め制御設定器21で設定されている制御設定値21aとの偏差、つまり脱気器水位偏差20a(21a−19a=20a)を求め、この脱気器水位偏差20aを後段のPID演算部22へ出力する。
【0022】
PID演算部22は、脱気器水位偏差20aを入力して、P(比例動作)+I(積分動作)+D(微分動作)演算を行い、その演算結果22aを後述する下限開度切替回路23および手動/自動切替操作部182を経て補給水流量調節弁16に対して弁開度指令18aとして出力する。なお、本発明では、脱気器の水位偏差を求める比較部20と、その偏差20aをPID演算するPID演算部22とを合わせて演算手段と称する場合がある。
【0023】
ところで、脱気器貯水タンク12の貯水容量と比較して復水器ホットウェル6の貯水容量がかなり小さい場合には、脱気器水位制御の不調時に復水器ホットウェル水位の変動を招き、この結果、復水ポンプ7の必要吐水量を確保できずに復水ポンプ7の運転停止となる場合が懸念される。この復水ポンプ7の運転停止を避けるためには、補給水量調節弁16により補給水量を調整して、復水器ホットウェル水位を安定にする必要がある。
【0024】
このため、本実施例1の制御演算部181は、従来装置に対して、復水器水位から復水ポンプ7の必要最低流量を確保するための補給水量調節弁の下限開度24aを演算する下限開度演算手段24と、脱気器水位偏差に基づいてPID演算部22で演算された弁開度22aが下限開度24a以下になった場合に下限開度24aを補給水量調節弁の弁開度指令として出力する下限開度切替回路23とを付加するように構成した。
【0025】
以下、下限開度演算手段24、下限開度切替回路23について詳しく説明する。
下限開度演算手段24は、復水器水位が増加するにつれて弁開度24aが漸次減少する特性を有しており、例えば、負の勾配の一次関数(y=−ax+b)を有する一次関数回路24によって構成されている。しかもこの一次関数回路24の定数(−a、b)は、復水器の水位が大きく低下しない限り、脱気器水位偏差20aをPID演算して求めた弁開度22aの大きさよりも、復水器水位17aに基づいて求めた下限開度24aの方が小さくなるように設定されている。すなわち、復水器水位が大きく低下しない状態にあるときは、弁開度22a>下限開度24aの関係が維持されるように一次関数の定数(−a、b)を設定している。
【0026】
なお、下限開度演算手段24は、一例として水位の増加につれて弁開度が漸次減少する負の勾配を持つ一次関数回路を挙げたが、本実施例1はこれに限定されるものではなく、例えば水位の増加につれて弁開度が段階的に減少する立下りのステップ関数回路であってもよい。ただし、以下の説明では下限開度演算手段24を負の勾配を持つ一次関数回路として説明する。
【0027】
下限開度切替回路23は、弁開度22aと下限開度24aとを入力し、いずれか大きい方の入力値を出力するいわゆる高値優先回路として機能する。例えば、復水器水位が大きく低下していない定常の運転状態では、弁開度22aの方が下限開度24aよりも大きくしてあるので、弁開度22aを補給水流量調節弁16の弁開度指令18aとして出力し、復水器水位が大きく低下して弁開度22aが下限開度24a以下となる期間中では、弁開度22aに替えて下限開度24aを補給水流量調節弁16の弁開度指令18aとして出力する。そして、水位が上昇し再び弁開度22aが下限開度24aよりも大きくなると下限開度24aに替えて弁開度22aを補給水流量調節弁16の弁開度指令18aとして出力するように機能する。
【0028】
このように、下限開度切替回路23は復水器水位が大きく低下したことにより、弁開度22aが下限開度24a以下になった場合、下限開度24aを出力して補給水流量調節弁16の弁開度が下限開度以下にならないように調整する。これによってそのときの復水器水位における必要補給水量を補給水タンク46から復水器ホットウェル6に流入させることができ、安定した復水器水位を確保し、脱気器貯水タンクの水位を安定状態に維持することができる。
なお、25は、制御異常が発生した場合、その直前の補給水流量調節弁16の弁開度をトラッキングするためのトラッキング部である。
【0029】
図12の入出力特性図は、脱気器水位信号19a、復水器ホットウェル水位信号17aおよび補給水調節弁開度指令18aとなるPID増幅器出力22aまたは一次関数回路出力24aの関係を示すものである。なお、図中の脱気器NWL、復水器NWLとはそれぞれ、脱気器および復水器の定常状態における制御設定値(ノーマル・ウォータ・レベル)である。
【0030】
図12において、発電プラントの運転状況によって脱気器水位19aが制御設定値(NWL)21aに対して増減すると、PID演算部22が遅れ要素であることに加え、制御対象の時間遅れつまり補給水流量調節弁16の弁開度の変化が復水器水位変化として現れるまでの制御時間遅れによって、復水器水位信号17aは、脱気器水位信号19aよりも遅れて変化する。しかも、脱気器貯水タンク12の貯水容量に比べて復水器ホットウェル6の貯水容量が小さいので、脱気器水位信号19aの変動が増幅されて復水器水位信号17aの変化となって現れる。
【0031】
PID演算器出力(弁開度)22aは、脱気器水位偏差20aをPID演算した結果なので、脱気器水位19aよりも若干遅れてしかも振幅の増幅された波形として得られる。従来装置のように、制御演算部181に一次関数回路24および下限開度切替回路23が設置されていなければ、復水器水位17aが破線のように大きく低下しても依然として脱気器水位偏差20aに基づいたPID演算器出力(弁開度)22aによって補給水流量調節弁16の弁開度が制御され、それに見合った補給水量しか供給されないのであるが、本実施例1では、脱気器水位偏差20aに基づくPID演算器出力(弁開度)22aが復水器水位17aに基づいて一次関数回路24で求めた下限開度24a以下になると、下限開度切替回路23は実線で示す下限開度24aを補給水流量調節弁16の弁開度指令18aとして出力する。これによって、補給水量が極端に絞られることはなく、復水器水位17aは破線のように大きく低下することはない。
【0032】
なお、脱気器水位偏差20aに基づいたPID演算部22の出力信号22aが一次関数回路24から出力された下限開度24aよりも大きくなれば、下限開度切替回路23は一次関数回路24の出力信号24aからPID演算部22の出力信号22aに切替えて補給水調節弁開度指令として出力する。
【0033】
以上述べたように、本実施例1によれば、脱気器水位偏差20aをPID演算部22に入力して補給水流量調節弁16の弁開度を演算し、この弁開度によって補給水流量調節弁16の弁開度を調節するようにした水位制御方式において、脱気器水位偏差20aに基づくPID演算部22の弁開度22aが、復水器水位19aに基づいて下限開度演算手段24で求めた下限開度24a以下になった場合、PID演算部出力22aに替えて下限開度24aが補給水流量調節弁16の弁開度として出力されるので、常に復水ポンプ7にとって必要な復水器水位となるように補給水量を復水器ホットウェル6に供給することができる。この結果、復水器水位が安定し、脱気器水位も安定に制御することが可能な発電プラントの脱気器水位制御装置を提供することができる。
【0034】
(実施例2)
図3は本発明の実施例2に係る制御プロセス系統図であり、図4は本実施例2の水位制御器の一例を示す制御ロジック図であり、図13は本実施例2による制御演算部の主要部の入出力特性図である。
【0035】
本実施例2は前述した実施例1に改良を加えたものであり、図3で示すように給水系13のボイラ給水ポンプ14と給水調節弁15の間の管路に給水流量検出器26を設置し、この給水流量検出器26で検出した給水流量信号26aを脱気器水位制御器18−Aに導入するようにした構成を実施例1に付加したことを特徴とするものである。
【0036】
図4の制御ロジック図において、脱気器水位制御器18−Aは実施例1(図2)の脱気器水位制御器18に対して、給水系13に流れる給水流量を検出して得た給水流量信号26aを導入し、この給水流量信号26aを一次関数回路27に入力することによって給水流量の変動分から求めた先行開度27aを出力することにより、給水流量の変動分に対して必要な補給水流量が得られるようにし、そしてこの先行開度27aとPID演算器出力22aとを加算回路28にて加算し、加算結果である出力信号28aを下限開度切替回路23に入力するように構成したものである。その他の構成は実施例1の図2の場合と同じなので、説明を省略する。
【0037】
本発明が対象とする図1や図3のような脱気器水位制御系では、脱気器貯水タンク12の水位は、給水流量の変動に起因することが多い。例えば、給水流量がQ1からQ2に変動した場合、Q1−Q2<0 すなわち給水流量が増加した場合は、脱気器貯水タンク12の水位は下がり、Q1−Q2>0 すなわち給水流量が減少した場合は、脱気器貯水タンク12の水位は上がり、Q1−Q2=0 すなわち給水流量に増減がなければ脱気器貯水タンク12の水位は一定に維持される。
【0038】
脱気器貯水タンク12の水位を検出して補給水量調節弁16の弁開度18aを調節しようとした場合、給水流量の変動が脱気器貯水タンク12の水位の変動として現れるまでにはかなりの時間遅れがあり、しかも、復水器ホットウェル6が小さい場合には、脱気器貯水タンク12の水位の変動を検出してから補給水量調節弁16の弁開度18aを調節しようとしても制御が間に合わない場合が考えられる。
【0039】
本実施例2は、このような事態に対処するため、一次関数回路27によって検出された給水流量の変動分(Q1−Q2<0あるいはQ1−Q2>0)を水位の変化に先行する状態量として導入し、この給水流量の変動分から先行開度27aを求め、この先行開度27aとPID演算器22から出力された弁開度22aとを加算回路28で加算(22a+27a)するように構成したので、給水流量の変動に即応した補給水量調節弁16の弁開度18aを得ることができる。
この結果、本実施例2は、水位の変化を導入する実施例1に比べて応答性がよくなり、より一層脱気器水位を安定に制御することが可能となる。
【0040】
図13の入出力特性図は、給水流量信号26a、脱気器水位信号19aおよび復水器ホットウェル水位信号17a、PID増幅器出力22aおよび先行開度27aの関係を示している。
なお、制御演算部18−Aから出力される補給水量調節弁16の弁開度18aとしては、PID増幅器出力22aと給水流量の変動分から求められた先行開度27aとを加算回路出力28aにおいて加算した値が出力される。
【0041】
(実施例3)
図5は本発明の実施例3に係る制御プロセス系統図であり、図6は本実施例3の水位制御器の一例を示す制御ロジック図であり、図14は本実施例による制御演算部の主要部の入出力特性図である。
【0042】
本実施例3は、実施例2に改良を加えたものであり、図5で示すように、復水系8の低圧給水加熱器9の上流側に分岐点36を設けてこの分岐点36から復水の一部を復水器5に還流させる復水再循環系29を新設し、しかもこの復水再循環系29に復水の再循環量を調節するための復水再循環調節弁30を設置すると共に、前記分岐点36よりも上流側の適宜な部位に復水流量検出器31を設置し、この復水流量検出器31で検出した復水流量信号31aを脱気器水位制御器18−Bの制御信号として新たに導入するようにしたことを特徴とするものである。
この脱気器水位制御器18−Bは前述した実施例2の脱気器水位制御器18−A(図4)に以下述べるような改良を加えた構成になっている。
【0043】
図6の制御ロジック図において、脱気器水位制御器18−Bは脱気器水位信号19aと水位制御設定器33で定めた所定の制御設定値33aとを比較部34で比較し、その水位偏差34aを一次関数回路35に入力して水位偏差34aに対応した弁開度35aを算出し、この弁開度35aを前記下限回路切替回路23と同様に高値優先回路として機能する下限回路切替回路45に入力する。なお、この下限回路切替回路45を実施例1の下限開度切替回路23と区別する意味で、第2の下限回路切替回路45と呼称する。
【0044】
一方、復水流量検出器31で検出した復水流量信号31aを前記一次関数回路24と同様に負の勾配の一次関数を持ち、復水再循環弁の下限開度演算手段32として機能する一次関数回路32に入力して復水流量信号31aの変動分に対応した弁開度32aを求め、前述した第2の下限回路切替回路45に入力する。なお、この下限開度演算手段32を実施例1の下限開度演算手段24と区別する意味で、第2の下限開度演算手段32と呼称する。
【0045】
第2の下限開度演算手段32は復水流量が復水ポンプ7の最低必要流量以下とならないように、復水ポンプ保護用として再循環弁30の下限開度を決定するものである。第2の下限回路切替回路45は、入力された2つの弁開度のうち、高い方の弁開度を選択して45aとして出力する。弁開度45aは、手動/自動切替操作部182を経て復水再循環調節弁30に対して弁開度指令18bとして出力される。その他の構成は実施例2の図4の場合と同じなので、説明を省略する。
【0046】
図14の入出力特性図は、給水流量信号26a、復水流量信号31a、脱気器水位信号19a、復水器ホットウェル水位信号17a、PID増幅器出力(弁開度)22a、先行開度27aおよび復水再循環調節弁30の弁開度18bの関係を示すものである。符号32aは復水ポンプ7保護用の下限開度を示す。
【0047】
本実施例3によれば、復水器5への補給水流量の増加によって復水流量が増加し、脱気器水位19aが所定の制御設定値33a以上となった場合は、一次関数回路35の出力35aで復水再循環調節弁30を開操作し、復水の還流分を増やすことによって脱気器水位19aの上昇を抑制する。この際、脱気器19の水位が安定したことに伴い、補給水流量調節弁16の弁開度が減少する。この弁開度の減少した状態を放置すれば、弁開度の減少に伴って補給水流量が減少するのであるが、本実施例3では、補給水流量の減少によって復水ポンプ7にとって必要な流量が低下することを防止するために、復水流量信号31aを一次関数回路32に入力して復水流量の変動分に対応した弁開度32aを求め、第2の下限開度切替回路45にて弁開度35aと比較し、いずれか大きい方の入力信号を出力するようにしたので、復水ポンプ7にとって必要最低限度の流量を確保できるように復水再循環調節弁30の弁開度18bを調節している。この結果、脱気器水位上昇を抑制し、かつ復水ポンプ7の保護が図れるという優れた効果を奏することができる。
【0048】
(実施例4)
図7は本発明の実施例4に係る制御プロセス系統図であり、図8は本実施例4の水位制御器の一例を示す制御ロジック図である。
【0049】
本実施例4は実施例3に改良を加えたものであり、図7で示すように復水系8の分岐点36と低圧給水加熱器9の中間の管路に復水流量調節弁37を設置し、この復水流量調節弁37を本実施例4の脱気器水位制御器18−Cからの出力信号18cにより弁開度を制御するようにしたものである。この脱気器水位制御器18−Cは前述の脱気器水位制御器18−Bに対して以下述べる復水流量調節弁37に関わる制御回路を追加したものである。
【0050】
図8の制御ロジック図において、脱気器水位制御器18−Cは実施例3で既に導入している復水器水位信号17aと本実施例4で新たに設けた復水流量調節弁37の制御設定器38の設定値38aとを比較部39で比較することにより復水器水位偏差39aを求め、この復水器水位偏差39aを第2のPID演算部40に入力してPID演算し、復水流量調節弁37の弁開度40aを求める。そして、この弁開度40aを手動/自動切替部182を通して復水流量調節弁37に弁開度18cとして出力し、復水流量調節弁37の弁開度を調節する。なお、41は図2で説明したトラッキング部25と同じトラッキング部である。
【0051】
本実施例4によれば、復水器の水位信号17aと復水流量調節弁37の制御設定値38aとの偏差39aに基づいて復水系8中の復水流量調節弁37の弁開度を調節するようにしたので、復水器ホットウェル6の水位が低下した場合、補給水流量調節弁16の弁開度を開いて補給水を増やすと共に、脱気器10に流入する復水流量を減少させてバックアップすることにより、前述した実施例3の場合よりも復水器水位の低下抑制機能が向上し、補給水流量の消費を最低限に抑制できるという優れた効果を奏することができる。
【0052】
(実施例5)
図9は本発明の実施例5に係る制御プロセス系統図を示す。なお、本実施例5の場合、水位制御器自体は前述の実施例4の脱気器水位制御器18−Cと同じなので図示を省略する。
図9において、本実施例5は復水再循環系29の復水再循環弁30と復水器5との間に復水貯水タンク42を設けるようにしたものである。
【0053】
復水器ホットウェル6の貯水容量が通常よりも極端に小さい場合、復水再循環流量及び補給水流量によって復水器ホットウェル6が満水となることが想定される。しかしながら、本実施例5によれば、復水循環系29の復水再循環弁30および復水器ホットウェル6間に新たに復水貯水タンク42を設けて復水器ホットウェル6とは別に復水を一時的に貯水できるようにしたので、復水器ホットウェル6の容量を増加するのと同じような効果が得られ、復水器ホットウェル6が満水になることを防ぐことができる。
【0054】
さらに、復水器ホットウェル6の容量が小さい場合、復水ポンプ7の起動時に水位が急激に低下することが考えられるが、本実施例5によれば、復水再循環系29に設けた復水貯水タンク42によって、復水ポンプ7の必要最低流量を確保することが可能となるので、復水ポンプ7の起動時に水位が急激に低下することはない。
【0055】
(実施例6)
図10は本発明の実施例1に係る制御プロセス系統図であり、図11は本実施例6の水位制御器の一例を示す制御ロジック図である。
本実施例6は前述した実施例5に改良を加えることにより、発電プラントの所内単独運転時、すなわち、ファーストカットバック(FCB)運転時にも前述の実施例と同様に脱気器水位制御を行なえるようにしたものである。
【0056】
図10は脱気器水位制御器18−Dにファーストカットバック信号(FCB信号)43を導入する構成を示す。このFCB信号43はファーストカットバック運転時にON(「1」)、通常運転時にOFF(「0」)となる2値信号である。本実施例6の脱気器水位制御器18−Dは、図11で示すようにFCB信号43を予め定数が定められている定数設定器44に入力するように構成されている。この定数設定器44は発電プラントのFCB運転時に主蒸気量が急激に低下しても復水器ホットウェル水位が低下することのないように、蒸気タービンに導入される主蒸気量の低下分補償し得る補給水流量が得られるような設定信号44aを出力する。なお、ここで、主蒸気量の低下分補償とは、主蒸気量の低下分100%を補償することができれば最善であるが、制御系の性能によって多少補償量を加減するようにしてもよい。
【0057】
この定数設定器44から出力された設定信号44aは前述の加算回路28に入力されてPID演算結果である弁開度22aおよび一次関数回路27による先行開度27aに加算される。
【0058】
FCB運転発生時には、蒸気タービン4に流入する主蒸気が急激に低下するために、復水器5に戻ってくる蒸気量が急激に低下する。このため従来の水位制御システムであれば脱気器10の水位及び復水器ホットウェル6の水位も併せて低下することとなり、発電プラントの安定運転に対し大きな外乱要素となるが、本実施例6によれば、FCB運転時にFCB信号43を脱気器水位制御器18−Dに入力することにより、加算回路28にFCB運転時に必要とする開度が先行的に加算されるので、急激な運転状態の変化にも十分に追従できる等、優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の実施例1に係る脱気器水位制御プロセス系統図。
【図2】実施例1に係る脱気器水位制御装置の構成を示すロジックシーケンス図。
【図3】本発明の実施例2に係る脱気器水位制御プロセス系統図。
【図4】実施例2に係る脱気器水位制御装置の構成を示すロジックシーケンス図。
【図5】本発明の実施例3に係る脱気器水位制御プロセス系統図。
【図6】実施例1に係る脱気器水位制御装置の構成を示すロジックシーケンス図。
【図7】本発明の実施例4に係る脱気器水位制御プロセス系統図。
【図8】実施例4に係る脱気器水位制御装置の構成を示すロジックシーケンス図。
【図9】本発明の実施例5に係る脱気器水位制御プロセス系統図。
【図10】本発明の実施例6に係る脱気器水位制御プロセス系統図。
【図11】実施例6に係る脱気器水位制御装置の構成を示すロジックシーケンス図。
【図12】実施例1による制御演算部の主要部の入出力特性図。
【図13】実施例2による制御演算部の主要部の入出力特性図。
【図14】実施例3による制御演算部の主要部の入出力特性図。
【符号の説明】
【0060】
1…ボイラ、2…主蒸気配管、3…蒸気加減弁、4…蒸気タービン、5…復水器、6…復水器ホットウェル、7…復水ポンプ、8…復水系、9…低圧給水加熱器、10…脱気器、11…脱気室、12…脱気器貯水タンク、13…給水系、14…ボイラ給水ポンプ、15…給水調節弁、16…補給水流量調節弁、17…復水器ホットウェル水位検出器、18、18−A、18−B、18−C、18−D…水位制御器、18a…補給水流量調節弁弁開度指令、18b…再循環流量調節弁弁開度指令、18c…復水流量調節弁弁開度指令、181…制御演算部、182…手動操作部、19…脱気器水位検出器、20…比較部、21…制御設定器、22…PID演算部、23…下限開度切替回路(S/W)、24…下限開度演算手段(一次関数回路)、25…トラッキング部、26…給水流量検出器、27…一次関数回路、28…加算回路、29…再循環系、30…再循環流量調節弁、31…復水流量検出器、32…第2の下限開度演算手段(一次関数回路)、33…制御設定器、34…比較部、35…一次関数回路、36…分岐点、37…復水流量調節弁、38…制御設定器、39…比較部、40…PID演算器、41…トラッキング部、42…復水貯水タンク、43…FCB(ファーストカットバック)信号、44…定数設定器、45…第2の下限開度切替回路(S/W)、46…補給水タンク。
【技術分野】
【0001】
本発明は、火力発電プラントや原子力発電プラント等の発電プラントにおける脱気器水位制御装置に係り、特に復水器に流入する補給水の流量を調節して脱気器の水位を適正な値に制御するようにした発電プラントの脱気器水位制御装置およびその方法並びに発電プラントに関する。
【背景技術】
【0002】
火力発電プラントや原子力発電プラント等の発電プラントにおいては、復水器によって蒸気タービンから排気された蒸気を凝縮して復水にし、この復水をボイラまたは蒸気発生器に給水する前に復水・給水系統中に設置している脱気器で復水中の溶解酸素量を制限値以下に低減するようにしている。復水器および脱気器の水位制御方式としては、脱気器の水位に基づいて復水器の水位を制御し、その結果生ずる復水器水位の偏差に基づいて脱気器へ水を送るようにした水位制御方式がある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この水位制御方式について、もう少し具体的に説明する。この水位制御方式は、まず脱気器貯水タンクの検出水位に基づいて補給水タンクの入力弁または出力弁の開度を調節し、復水器ホットウェルの流入出水量を制御する。そしてこの復水器ホットウェルに流入出する水量の制御により復水器ホットウェル水位が設定値から変化したら、その復水器水位の偏差により復水流量調節弁を調節し、脱気器へ送る復水流量を制御するようにした水位制御方式である。
【0004】
例えば、脱気器貯水タンクの水位が設定水位よりも低くなった場合、補給水流量調節弁を開らいて補給水タンクから復水器へ補給水を供給する。この補給水供給の結果、復水器ホットウェルの水位が高まったら、次に復水流量調節弁開度を大きくして脱気器への復水ポンプの吐水量を増やし、脱気器貯水タンクの水位を元の設定水位に戻すように制御する。
【特許文献1】特公平2−30401号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1記載の水位制御方法では、脱気器貯水容量と比較して復水器ホットウェル貯水容量が小さい場合は、脱気器水位制御機能の不調時に何らかの原因で脱気器水位調節弁の開度を急激に開いたとき、復水流量が急激に増加するため、復水器ホットウェル水位が大きく低下する。
【0006】
このため、補給水流量調節弁を開操作して復水器に補給水を流入させ復水器ホットウェル水位を回復させるようにしているが、脱気器貯水容量と比較して復水器ホットウェル貯水容量が小さい場合には、復水器ホットウェル水位低下後に補給水流量調節弁を開操作したのでは制御開始のタイミングが遅れてしまい、復水器ホットウェル水位が復水ポンプの必要水量を確保できる水位以下に低下し、この結果、復水ポンプの必要水量を確保できず、復水ポンプの停止により、発電プラントが運転停止に至ることが懸念される。
【0007】
この対策としては、水位制御装置内に設けてあるPID制御器の各パラメータ値を調整して最適なチューニングを施すのが通例である。しかし、PID制御器の各パラメータは単純に算出されるものではなく、水位が安定するように調整を行うことは非常に難しいのが現実である。
【0008】
そこで、本発明は上記従来技術の欠点に鑑みてなされたもので、復水器ホットウェル水位が安定するように補給水流量調節弁の弁開度を調整し、脱気器の水位を安定に制御することができるようにした発電プラントの脱気器水位制御装置およびその方法並びに発電プラントを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、請求項1に係る発明は、蒸気タービンから排気された蒸気を復水して貯水する復水器と、前記復水器に貯水された復水を復水系から導入し復水中の溶存酸素を除去して給水として貯水する脱気器と、前記脱気器に貯えられた給水を給水系から導入するボイラと、補給水流量調節弁を備え前記復水器に補給水を供給する補給水供給手段とから成り、前記補給水供給手段により復水器への補給水量を調節して脱気器の水位を制御するようにした発電プラントの脱気器水位制御装置において、前記脱気器の水位を検出し、その水位信号を出力する脱気器水位検出手段と、前記復水器の水位を検出し、その水位信号を出力する復水器水位検出手段と、前記脱気器の制御設定値と水位信号との偏差に基づいて前記補給水流量調節弁の弁開度を求める演算手段と、前記復水器水位検出手段の水位信号を入力し前記復水ポンプの必要最低限となる流量を確保するための前記補給水流量調節弁の下限開度を求める下限開度演算手段と、前記演算手段で求めた弁開度と前記下限開度演算手段で求めた下限開度とを入力し、前記演算手段で求めた弁開度が前記下限開度演算手段で求めた下限開度以下の場合、当該下限開度を前記補給水流量調節弁の弁開度指令として出力する下限開度切替手段と、を備えたことを特徴とする。
【0010】
また、請求項10に係る発明は、蒸気タービンから排気された蒸気を復水して貯水する復水器と、前記復水器に貯水された復水を復水系から導入し復水中の溶存酸素を除去して給水として貯水する脱気器と、前記脱気器に貯えられた給水を給水系から導入するボイラと、補給水流量調節弁を備え前記復水器に補給水を供給する補給水供給手段とから成り、前記補給水供給手段により復水器への補給水量を調節して脱気器の水位を制御するようにした発電プラントの脱気器水位制御方法において、前記脱気器の制御設定値と水位信号との偏差に基づいて前記補給水流量調節弁の弁開度指令を求め、前記復水器の水位信号に基づいた前記補給水流量調節弁の下限開度を求め、前記脱気器の制御設定値と水位信号との偏差に基づいて求めた弁開度が前記復水器の水位信号に基づいて求めた下限開度以下のとき、当該下限開度を前記補給水流量調節弁の弁開度指令とすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、給水量の急激な変動に応じて補給水流量調節弁の開度を最適な開度に調整することができるので、発電プラント起動時や脱気器水位が変動した時、あるいは急激なプラント状態の変動等給水量の急激な変動時においても、制御設定値を大きく逸脱することがなく、脱気器の水位を安定して制御することができ、発電プラントの安定運転が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の実施例について説明する。なお、各図を通して共通する部品、要素については同一符号ないし関連符号をつけて説明は適宜省略する。
【0013】
(実施例1)
図1は本発明の実施例1に係る制御プロセス系統図であり、図2は本実施例1の制御装置の一例を示す制御ロジック図であり、図12は本実施例による制御演算部の主要部の入出力特性図である。
【0014】
図1において、ボイラ1で発生した蒸気は、主蒸気系統2に設けられた蒸気加減弁3によって制御されて蒸気タービン4に導入される。蒸気タービン4に導入された蒸気はこの蒸気タービン4で膨張仕事をした後復水器5に排気され、ここで凝縮されて復水となり復水器ホットウェル6に貯水される。復水器ホットウェル6に貯水された復水は、復水系8を構成する復水管中の復水ポンプ7により昇圧されて低圧給水加熱器9に送られ、ここで加熱されたのち脱気器10へ送られるように構成されている。
【0015】
この脱気器10は復水ポンプ7から送られてきた復水を蒸気タービン抽気に直接接触させて加熱することにより溶存酸素量を除去(低減)する脱気室11と、脱気室11で溶存酸素量の除去(低減)された水すなわち、給水を貯える脱気器貯水タンク12とから構成されている。なお、通常、脱気室11にて脱気された水は給水と称されている。
【0016】
脱気器貯水タンク12に一旦貯えられた給水は、給水系13を構成するボイラ給水ポンプ14によって昇圧されて給水調節弁15、図示しない高圧給水加熱器を経てボイラ1へ給水されるように構成されている。
【0017】
一方、復水器5には、ホットウェル6の水位を安定に保つために補給水流量調節弁16の開度を調節して補給水供給手段である補給水タンク46から必要量の給水が補給されるように構成されており、このため復水器ホットウェル6には、貯水している復水の水位検出用として水位検出器17を設けている。この水位検出器17から出力された復水器水位信号17aは後述する脱気器水位制御器(図中、制御器と表記)18に入力されるようになっている。
【0018】
脱気器貯水タンク12の水位はボイラ給水ポンプ14の必要水頭圧を確保するためにできるだけ一定に制御する必要があり、このため、脱気器貯水タンク12には水位検出用として水位検出器19を設けている。この水位検出器19から出力された脱気器水位信号19aは前記復水器水位信号17aと同様、脱気器水位制御器18に入力されるように構成されている。
【0019】
脱気器水位制御器18は、これら復水器水位信号17aおよび脱気器水位信号19aを入力して後述する所定の演算処理を行い、その演算処理結果を前述の補給水流量調節弁16に弁開度指令18aとして出力し、補給水流量調節弁16の弁開度を調節することによって補給水流量を制御する。
【0020】
図2は脱気器水位制御器18の構成の一例を示すロジックシーケンス図である。
図2において、脱気器水位制御器18は制御演算部181と、手動/自動切替操作部182とから構成されている。図中、制御演算部181の入出力部に設けた記号AI、AOはそれぞれアナログ入力部、アナログ出力部である。
【0021】
制御演算部181において、脱気器水位信号19aはまず比較部20に入力される。比較部20は実測値である脱気器水位信号19aと予め制御設定器21で設定されている制御設定値21aとの偏差、つまり脱気器水位偏差20a(21a−19a=20a)を求め、この脱気器水位偏差20aを後段のPID演算部22へ出力する。
【0022】
PID演算部22は、脱気器水位偏差20aを入力して、P(比例動作)+I(積分動作)+D(微分動作)演算を行い、その演算結果22aを後述する下限開度切替回路23および手動/自動切替操作部182を経て補給水流量調節弁16に対して弁開度指令18aとして出力する。なお、本発明では、脱気器の水位偏差を求める比較部20と、その偏差20aをPID演算するPID演算部22とを合わせて演算手段と称する場合がある。
【0023】
ところで、脱気器貯水タンク12の貯水容量と比較して復水器ホットウェル6の貯水容量がかなり小さい場合には、脱気器水位制御の不調時に復水器ホットウェル水位の変動を招き、この結果、復水ポンプ7の必要吐水量を確保できずに復水ポンプ7の運転停止となる場合が懸念される。この復水ポンプ7の運転停止を避けるためには、補給水量調節弁16により補給水量を調整して、復水器ホットウェル水位を安定にする必要がある。
【0024】
このため、本実施例1の制御演算部181は、従来装置に対して、復水器水位から復水ポンプ7の必要最低流量を確保するための補給水量調節弁の下限開度24aを演算する下限開度演算手段24と、脱気器水位偏差に基づいてPID演算部22で演算された弁開度22aが下限開度24a以下になった場合に下限開度24aを補給水量調節弁の弁開度指令として出力する下限開度切替回路23とを付加するように構成した。
【0025】
以下、下限開度演算手段24、下限開度切替回路23について詳しく説明する。
下限開度演算手段24は、復水器水位が増加するにつれて弁開度24aが漸次減少する特性を有しており、例えば、負の勾配の一次関数(y=−ax+b)を有する一次関数回路24によって構成されている。しかもこの一次関数回路24の定数(−a、b)は、復水器の水位が大きく低下しない限り、脱気器水位偏差20aをPID演算して求めた弁開度22aの大きさよりも、復水器水位17aに基づいて求めた下限開度24aの方が小さくなるように設定されている。すなわち、復水器水位が大きく低下しない状態にあるときは、弁開度22a>下限開度24aの関係が維持されるように一次関数の定数(−a、b)を設定している。
【0026】
なお、下限開度演算手段24は、一例として水位の増加につれて弁開度が漸次減少する負の勾配を持つ一次関数回路を挙げたが、本実施例1はこれに限定されるものではなく、例えば水位の増加につれて弁開度が段階的に減少する立下りのステップ関数回路であってもよい。ただし、以下の説明では下限開度演算手段24を負の勾配を持つ一次関数回路として説明する。
【0027】
下限開度切替回路23は、弁開度22aと下限開度24aとを入力し、いずれか大きい方の入力値を出力するいわゆる高値優先回路として機能する。例えば、復水器水位が大きく低下していない定常の運転状態では、弁開度22aの方が下限開度24aよりも大きくしてあるので、弁開度22aを補給水流量調節弁16の弁開度指令18aとして出力し、復水器水位が大きく低下して弁開度22aが下限開度24a以下となる期間中では、弁開度22aに替えて下限開度24aを補給水流量調節弁16の弁開度指令18aとして出力する。そして、水位が上昇し再び弁開度22aが下限開度24aよりも大きくなると下限開度24aに替えて弁開度22aを補給水流量調節弁16の弁開度指令18aとして出力するように機能する。
【0028】
このように、下限開度切替回路23は復水器水位が大きく低下したことにより、弁開度22aが下限開度24a以下になった場合、下限開度24aを出力して補給水流量調節弁16の弁開度が下限開度以下にならないように調整する。これによってそのときの復水器水位における必要補給水量を補給水タンク46から復水器ホットウェル6に流入させることができ、安定した復水器水位を確保し、脱気器貯水タンクの水位を安定状態に維持することができる。
なお、25は、制御異常が発生した場合、その直前の補給水流量調節弁16の弁開度をトラッキングするためのトラッキング部である。
【0029】
図12の入出力特性図は、脱気器水位信号19a、復水器ホットウェル水位信号17aおよび補給水調節弁開度指令18aとなるPID増幅器出力22aまたは一次関数回路出力24aの関係を示すものである。なお、図中の脱気器NWL、復水器NWLとはそれぞれ、脱気器および復水器の定常状態における制御設定値(ノーマル・ウォータ・レベル)である。
【0030】
図12において、発電プラントの運転状況によって脱気器水位19aが制御設定値(NWL)21aに対して増減すると、PID演算部22が遅れ要素であることに加え、制御対象の時間遅れつまり補給水流量調節弁16の弁開度の変化が復水器水位変化として現れるまでの制御時間遅れによって、復水器水位信号17aは、脱気器水位信号19aよりも遅れて変化する。しかも、脱気器貯水タンク12の貯水容量に比べて復水器ホットウェル6の貯水容量が小さいので、脱気器水位信号19aの変動が増幅されて復水器水位信号17aの変化となって現れる。
【0031】
PID演算器出力(弁開度)22aは、脱気器水位偏差20aをPID演算した結果なので、脱気器水位19aよりも若干遅れてしかも振幅の増幅された波形として得られる。従来装置のように、制御演算部181に一次関数回路24および下限開度切替回路23が設置されていなければ、復水器水位17aが破線のように大きく低下しても依然として脱気器水位偏差20aに基づいたPID演算器出力(弁開度)22aによって補給水流量調節弁16の弁開度が制御され、それに見合った補給水量しか供給されないのであるが、本実施例1では、脱気器水位偏差20aに基づくPID演算器出力(弁開度)22aが復水器水位17aに基づいて一次関数回路24で求めた下限開度24a以下になると、下限開度切替回路23は実線で示す下限開度24aを補給水流量調節弁16の弁開度指令18aとして出力する。これによって、補給水量が極端に絞られることはなく、復水器水位17aは破線のように大きく低下することはない。
【0032】
なお、脱気器水位偏差20aに基づいたPID演算部22の出力信号22aが一次関数回路24から出力された下限開度24aよりも大きくなれば、下限開度切替回路23は一次関数回路24の出力信号24aからPID演算部22の出力信号22aに切替えて補給水調節弁開度指令として出力する。
【0033】
以上述べたように、本実施例1によれば、脱気器水位偏差20aをPID演算部22に入力して補給水流量調節弁16の弁開度を演算し、この弁開度によって補給水流量調節弁16の弁開度を調節するようにした水位制御方式において、脱気器水位偏差20aに基づくPID演算部22の弁開度22aが、復水器水位19aに基づいて下限開度演算手段24で求めた下限開度24a以下になった場合、PID演算部出力22aに替えて下限開度24aが補給水流量調節弁16の弁開度として出力されるので、常に復水ポンプ7にとって必要な復水器水位となるように補給水量を復水器ホットウェル6に供給することができる。この結果、復水器水位が安定し、脱気器水位も安定に制御することが可能な発電プラントの脱気器水位制御装置を提供することができる。
【0034】
(実施例2)
図3は本発明の実施例2に係る制御プロセス系統図であり、図4は本実施例2の水位制御器の一例を示す制御ロジック図であり、図13は本実施例2による制御演算部の主要部の入出力特性図である。
【0035】
本実施例2は前述した実施例1に改良を加えたものであり、図3で示すように給水系13のボイラ給水ポンプ14と給水調節弁15の間の管路に給水流量検出器26を設置し、この給水流量検出器26で検出した給水流量信号26aを脱気器水位制御器18−Aに導入するようにした構成を実施例1に付加したことを特徴とするものである。
【0036】
図4の制御ロジック図において、脱気器水位制御器18−Aは実施例1(図2)の脱気器水位制御器18に対して、給水系13に流れる給水流量を検出して得た給水流量信号26aを導入し、この給水流量信号26aを一次関数回路27に入力することによって給水流量の変動分から求めた先行開度27aを出力することにより、給水流量の変動分に対して必要な補給水流量が得られるようにし、そしてこの先行開度27aとPID演算器出力22aとを加算回路28にて加算し、加算結果である出力信号28aを下限開度切替回路23に入力するように構成したものである。その他の構成は実施例1の図2の場合と同じなので、説明を省略する。
【0037】
本発明が対象とする図1や図3のような脱気器水位制御系では、脱気器貯水タンク12の水位は、給水流量の変動に起因することが多い。例えば、給水流量がQ1からQ2に変動した場合、Q1−Q2<0 すなわち給水流量が増加した場合は、脱気器貯水タンク12の水位は下がり、Q1−Q2>0 すなわち給水流量が減少した場合は、脱気器貯水タンク12の水位は上がり、Q1−Q2=0 すなわち給水流量に増減がなければ脱気器貯水タンク12の水位は一定に維持される。
【0038】
脱気器貯水タンク12の水位を検出して補給水量調節弁16の弁開度18aを調節しようとした場合、給水流量の変動が脱気器貯水タンク12の水位の変動として現れるまでにはかなりの時間遅れがあり、しかも、復水器ホットウェル6が小さい場合には、脱気器貯水タンク12の水位の変動を検出してから補給水量調節弁16の弁開度18aを調節しようとしても制御が間に合わない場合が考えられる。
【0039】
本実施例2は、このような事態に対処するため、一次関数回路27によって検出された給水流量の変動分(Q1−Q2<0あるいはQ1−Q2>0)を水位の変化に先行する状態量として導入し、この給水流量の変動分から先行開度27aを求め、この先行開度27aとPID演算器22から出力された弁開度22aとを加算回路28で加算(22a+27a)するように構成したので、給水流量の変動に即応した補給水量調節弁16の弁開度18aを得ることができる。
この結果、本実施例2は、水位の変化を導入する実施例1に比べて応答性がよくなり、より一層脱気器水位を安定に制御することが可能となる。
【0040】
図13の入出力特性図は、給水流量信号26a、脱気器水位信号19aおよび復水器ホットウェル水位信号17a、PID増幅器出力22aおよび先行開度27aの関係を示している。
なお、制御演算部18−Aから出力される補給水量調節弁16の弁開度18aとしては、PID増幅器出力22aと給水流量の変動分から求められた先行開度27aとを加算回路出力28aにおいて加算した値が出力される。
【0041】
(実施例3)
図5は本発明の実施例3に係る制御プロセス系統図であり、図6は本実施例3の水位制御器の一例を示す制御ロジック図であり、図14は本実施例による制御演算部の主要部の入出力特性図である。
【0042】
本実施例3は、実施例2に改良を加えたものであり、図5で示すように、復水系8の低圧給水加熱器9の上流側に分岐点36を設けてこの分岐点36から復水の一部を復水器5に還流させる復水再循環系29を新設し、しかもこの復水再循環系29に復水の再循環量を調節するための復水再循環調節弁30を設置すると共に、前記分岐点36よりも上流側の適宜な部位に復水流量検出器31を設置し、この復水流量検出器31で検出した復水流量信号31aを脱気器水位制御器18−Bの制御信号として新たに導入するようにしたことを特徴とするものである。
この脱気器水位制御器18−Bは前述した実施例2の脱気器水位制御器18−A(図4)に以下述べるような改良を加えた構成になっている。
【0043】
図6の制御ロジック図において、脱気器水位制御器18−Bは脱気器水位信号19aと水位制御設定器33で定めた所定の制御設定値33aとを比較部34で比較し、その水位偏差34aを一次関数回路35に入力して水位偏差34aに対応した弁開度35aを算出し、この弁開度35aを前記下限回路切替回路23と同様に高値優先回路として機能する下限回路切替回路45に入力する。なお、この下限回路切替回路45を実施例1の下限開度切替回路23と区別する意味で、第2の下限回路切替回路45と呼称する。
【0044】
一方、復水流量検出器31で検出した復水流量信号31aを前記一次関数回路24と同様に負の勾配の一次関数を持ち、復水再循環弁の下限開度演算手段32として機能する一次関数回路32に入力して復水流量信号31aの変動分に対応した弁開度32aを求め、前述した第2の下限回路切替回路45に入力する。なお、この下限開度演算手段32を実施例1の下限開度演算手段24と区別する意味で、第2の下限開度演算手段32と呼称する。
【0045】
第2の下限開度演算手段32は復水流量が復水ポンプ7の最低必要流量以下とならないように、復水ポンプ保護用として再循環弁30の下限開度を決定するものである。第2の下限回路切替回路45は、入力された2つの弁開度のうち、高い方の弁開度を選択して45aとして出力する。弁開度45aは、手動/自動切替操作部182を経て復水再循環調節弁30に対して弁開度指令18bとして出力される。その他の構成は実施例2の図4の場合と同じなので、説明を省略する。
【0046】
図14の入出力特性図は、給水流量信号26a、復水流量信号31a、脱気器水位信号19a、復水器ホットウェル水位信号17a、PID増幅器出力(弁開度)22a、先行開度27aおよび復水再循環調節弁30の弁開度18bの関係を示すものである。符号32aは復水ポンプ7保護用の下限開度を示す。
【0047】
本実施例3によれば、復水器5への補給水流量の増加によって復水流量が増加し、脱気器水位19aが所定の制御設定値33a以上となった場合は、一次関数回路35の出力35aで復水再循環調節弁30を開操作し、復水の還流分を増やすことによって脱気器水位19aの上昇を抑制する。この際、脱気器19の水位が安定したことに伴い、補給水流量調節弁16の弁開度が減少する。この弁開度の減少した状態を放置すれば、弁開度の減少に伴って補給水流量が減少するのであるが、本実施例3では、補給水流量の減少によって復水ポンプ7にとって必要な流量が低下することを防止するために、復水流量信号31aを一次関数回路32に入力して復水流量の変動分に対応した弁開度32aを求め、第2の下限開度切替回路45にて弁開度35aと比較し、いずれか大きい方の入力信号を出力するようにしたので、復水ポンプ7にとって必要最低限度の流量を確保できるように復水再循環調節弁30の弁開度18bを調節している。この結果、脱気器水位上昇を抑制し、かつ復水ポンプ7の保護が図れるという優れた効果を奏することができる。
【0048】
(実施例4)
図7は本発明の実施例4に係る制御プロセス系統図であり、図8は本実施例4の水位制御器の一例を示す制御ロジック図である。
【0049】
本実施例4は実施例3に改良を加えたものであり、図7で示すように復水系8の分岐点36と低圧給水加熱器9の中間の管路に復水流量調節弁37を設置し、この復水流量調節弁37を本実施例4の脱気器水位制御器18−Cからの出力信号18cにより弁開度を制御するようにしたものである。この脱気器水位制御器18−Cは前述の脱気器水位制御器18−Bに対して以下述べる復水流量調節弁37に関わる制御回路を追加したものである。
【0050】
図8の制御ロジック図において、脱気器水位制御器18−Cは実施例3で既に導入している復水器水位信号17aと本実施例4で新たに設けた復水流量調節弁37の制御設定器38の設定値38aとを比較部39で比較することにより復水器水位偏差39aを求め、この復水器水位偏差39aを第2のPID演算部40に入力してPID演算し、復水流量調節弁37の弁開度40aを求める。そして、この弁開度40aを手動/自動切替部182を通して復水流量調節弁37に弁開度18cとして出力し、復水流量調節弁37の弁開度を調節する。なお、41は図2で説明したトラッキング部25と同じトラッキング部である。
【0051】
本実施例4によれば、復水器の水位信号17aと復水流量調節弁37の制御設定値38aとの偏差39aに基づいて復水系8中の復水流量調節弁37の弁開度を調節するようにしたので、復水器ホットウェル6の水位が低下した場合、補給水流量調節弁16の弁開度を開いて補給水を増やすと共に、脱気器10に流入する復水流量を減少させてバックアップすることにより、前述した実施例3の場合よりも復水器水位の低下抑制機能が向上し、補給水流量の消費を最低限に抑制できるという優れた効果を奏することができる。
【0052】
(実施例5)
図9は本発明の実施例5に係る制御プロセス系統図を示す。なお、本実施例5の場合、水位制御器自体は前述の実施例4の脱気器水位制御器18−Cと同じなので図示を省略する。
図9において、本実施例5は復水再循環系29の復水再循環弁30と復水器5との間に復水貯水タンク42を設けるようにしたものである。
【0053】
復水器ホットウェル6の貯水容量が通常よりも極端に小さい場合、復水再循環流量及び補給水流量によって復水器ホットウェル6が満水となることが想定される。しかしながら、本実施例5によれば、復水循環系29の復水再循環弁30および復水器ホットウェル6間に新たに復水貯水タンク42を設けて復水器ホットウェル6とは別に復水を一時的に貯水できるようにしたので、復水器ホットウェル6の容量を増加するのと同じような効果が得られ、復水器ホットウェル6が満水になることを防ぐことができる。
【0054】
さらに、復水器ホットウェル6の容量が小さい場合、復水ポンプ7の起動時に水位が急激に低下することが考えられるが、本実施例5によれば、復水再循環系29に設けた復水貯水タンク42によって、復水ポンプ7の必要最低流量を確保することが可能となるので、復水ポンプ7の起動時に水位が急激に低下することはない。
【0055】
(実施例6)
図10は本発明の実施例1に係る制御プロセス系統図であり、図11は本実施例6の水位制御器の一例を示す制御ロジック図である。
本実施例6は前述した実施例5に改良を加えることにより、発電プラントの所内単独運転時、すなわち、ファーストカットバック(FCB)運転時にも前述の実施例と同様に脱気器水位制御を行なえるようにしたものである。
【0056】
図10は脱気器水位制御器18−Dにファーストカットバック信号(FCB信号)43を導入する構成を示す。このFCB信号43はファーストカットバック運転時にON(「1」)、通常運転時にOFF(「0」)となる2値信号である。本実施例6の脱気器水位制御器18−Dは、図11で示すようにFCB信号43を予め定数が定められている定数設定器44に入力するように構成されている。この定数設定器44は発電プラントのFCB運転時に主蒸気量が急激に低下しても復水器ホットウェル水位が低下することのないように、蒸気タービンに導入される主蒸気量の低下分補償し得る補給水流量が得られるような設定信号44aを出力する。なお、ここで、主蒸気量の低下分補償とは、主蒸気量の低下分100%を補償することができれば最善であるが、制御系の性能によって多少補償量を加減するようにしてもよい。
【0057】
この定数設定器44から出力された設定信号44aは前述の加算回路28に入力されてPID演算結果である弁開度22aおよび一次関数回路27による先行開度27aに加算される。
【0058】
FCB運転発生時には、蒸気タービン4に流入する主蒸気が急激に低下するために、復水器5に戻ってくる蒸気量が急激に低下する。このため従来の水位制御システムであれば脱気器10の水位及び復水器ホットウェル6の水位も併せて低下することとなり、発電プラントの安定運転に対し大きな外乱要素となるが、本実施例6によれば、FCB運転時にFCB信号43を脱気器水位制御器18−Dに入力することにより、加算回路28にFCB運転時に必要とする開度が先行的に加算されるので、急激な運転状態の変化にも十分に追従できる等、優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の実施例1に係る脱気器水位制御プロセス系統図。
【図2】実施例1に係る脱気器水位制御装置の構成を示すロジックシーケンス図。
【図3】本発明の実施例2に係る脱気器水位制御プロセス系統図。
【図4】実施例2に係る脱気器水位制御装置の構成を示すロジックシーケンス図。
【図5】本発明の実施例3に係る脱気器水位制御プロセス系統図。
【図6】実施例1に係る脱気器水位制御装置の構成を示すロジックシーケンス図。
【図7】本発明の実施例4に係る脱気器水位制御プロセス系統図。
【図8】実施例4に係る脱気器水位制御装置の構成を示すロジックシーケンス図。
【図9】本発明の実施例5に係る脱気器水位制御プロセス系統図。
【図10】本発明の実施例6に係る脱気器水位制御プロセス系統図。
【図11】実施例6に係る脱気器水位制御装置の構成を示すロジックシーケンス図。
【図12】実施例1による制御演算部の主要部の入出力特性図。
【図13】実施例2による制御演算部の主要部の入出力特性図。
【図14】実施例3による制御演算部の主要部の入出力特性図。
【符号の説明】
【0060】
1…ボイラ、2…主蒸気配管、3…蒸気加減弁、4…蒸気タービン、5…復水器、6…復水器ホットウェル、7…復水ポンプ、8…復水系、9…低圧給水加熱器、10…脱気器、11…脱気室、12…脱気器貯水タンク、13…給水系、14…ボイラ給水ポンプ、15…給水調節弁、16…補給水流量調節弁、17…復水器ホットウェル水位検出器、18、18−A、18−B、18−C、18−D…水位制御器、18a…補給水流量調節弁弁開度指令、18b…再循環流量調節弁弁開度指令、18c…復水流量調節弁弁開度指令、181…制御演算部、182…手動操作部、19…脱気器水位検出器、20…比較部、21…制御設定器、22…PID演算部、23…下限開度切替回路(S/W)、24…下限開度演算手段(一次関数回路)、25…トラッキング部、26…給水流量検出器、27…一次関数回路、28…加算回路、29…再循環系、30…再循環流量調節弁、31…復水流量検出器、32…第2の下限開度演算手段(一次関数回路)、33…制御設定器、34…比較部、35…一次関数回路、36…分岐点、37…復水流量調節弁、38…制御設定器、39…比較部、40…PID演算器、41…トラッキング部、42…復水貯水タンク、43…FCB(ファーストカットバック)信号、44…定数設定器、45…第2の下限開度切替回路(S/W)、46…補給水タンク。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
蒸気タービンから排気された蒸気を復水して貯水する復水器と、前記復水器に貯水された復水を復水系から導入し復水中の溶存酸素を除去して給水として貯水する脱気器と、前記脱気器に貯えられた給水を給水系から導入するボイラと、補給水流量調節弁を備え前記復水器に補給水を供給する補給水供給手段とから成り、
前記補給水供給手段により復水器への補給水量を調節して脱気器の水位を制御するようにした発電プラントの脱気器水位制御装置において、
前記脱気器の水位を検出し、その水位信号を出力する脱気器水位検出手段と、
前記復水器の水位を検出し、その水位信号を出力する復水器水位検出手段と、
前記脱気器の制御設定値と水位信号との偏差に基づいて前記補給水流量調節弁の弁開度を求める演算手段と、
前記復水器水位検出手段の水位信号を入力し前記復水ポンプの必要最低限となる流量を確保するための前記補給水流量調節弁の下限開度を求める下限開度演算手段と、
前記演算手段で求めた弁開度と前記下限開度演算手段で求めた下限開度とを入力し、前記演算手段で求めた弁開度が前記下限開度演算手段で求めた下限開度以下の場合、当該下限開度を前記補給水流量調節弁の弁開度指令として出力する下限開度切替手段と、
を備えたことを特徴とする発電プラントの脱気器水位制御装置。
【請求項2】
前記下限開度切替手段は、前記演算手段で求めた弁開度が前記下限開度演算手段で求めた下限開度よりも大きい場合、前記演算手段で求めた弁開度を前記補給水流量調節弁の弁開度指令として出力することを特徴とする請求項1記載の発電プラントの脱気器水位制御装置。
【請求項3】
前記給水系から得た給水流量の変動を検出する給水流量検出手段を設け、当該給水流量検出手段から出力された信号を先行開度として前記演算手段で求めた弁開度に加算し、前記補給水流量調節弁の弁開度指令として出力することを特徴とする請求項1または2記載の発電プラントの脱気器水位制御装置。
【請求項4】
前記復水系に設けた分岐点から復水の一部を復水器に還流させる再循環系を設け、当該再循環系に復水再循環弁を設け、前記分岐点よりも上流の任意の部位から得た復水流量の変動を検出する復水流量検出手段を設け、この復水流量変動検出手段の出力を入力し前記復水再循環弁に必要な下限開度を出力する第2の下限開度演算手段を設け、前記下限開度演算手段の出力および前記脱気器水位と所定の制御設定値との偏差を入力し、これら入力信号のうちのいずれか大きい信号を前記復水再循環弁の弁開度指令として出力する第2の下限開度切替手段とを設けたことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の発電プラントの脱気器水位制御装置。
【請求項5】
前記下限開度演算手段または第2の下限開度演算手段を、負の勾配を持つ一次関数回路で構成したことを特徴とする請求項1または4記載の発電プラントの脱気器水位制御装置。
【請求項6】
前記下限開度演算手段または第2の下限開度演算手段を、負の勾配のステップ関数回路で構成したことを特徴とする請求項1または4記載の発電プラントの脱気器水位制御装置。
【請求項7】
前記復水系に復水流量を調節する復水流量調節弁を設け、前記復水器水位検出手段の水位信号が所定の制御設定値よりも低下した場合、前記脱気器に送る復水流量を減少させるように前記復水流量調節弁の弁開度を調節することを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載の発電プラントの脱気器水位制御装置。
【請求項8】
前記再循環系に復水を貯水する復水貯水タンクを設けたことを特徴とする請求項5ないし6のいずれか1項に記載の発電プラントの脱気器水位制御装置。
【請求項9】
発電プラントのファーストカットバック運転時、ファーストカットバック信号を入力して前記蒸気タービンに供給される主蒸気量の低下分を補償する補給水流量を求める設定手段と、この設定手段の出力信号を前記演算手段の出力信号に加算することを特徴とする請求項1ないし8のいずれか1項に記載の発電プラントの脱気器水位制御装置。
【請求項10】
蒸気タービンから排気された蒸気を復水して貯水する復水器と、前記復水器に貯水された復水を復水系から導入し復水中の溶存酸素を除去して給水として貯水する脱気器と、前記脱気器に貯えられた給水を給水系から導入するボイラと、補給水流量調節弁を備え前記復水器に補給水を供給する補給水供給手段とから成り、前記補給水供給手段により復水器への補給水量を調節して脱気器の水位を制御するようにした発電プラントの脱気器水位制御方法において、
前記脱気器の制御設定値と水位信号との偏差に基づいて前記補給水流量調節弁の弁開度指令を求め、
前記復水器の水位信号に基づいた前記補給水流量調節弁の下限開度を求め、
前記脱気器の制御設定値と水位信号との偏差に基づいて求めた弁開度が前記復水器の水位信号に基づいて求めた下限開度以下のとき、当該下限開度を前記補給水流量調節弁の弁開度指令とすることを特徴とする発電プラントの脱気器水位制御方法。
【請求項11】
発電プラントのファーストカットバック運転時、蒸気タービンに供給される主蒸気量の低下分を補償する補給水流量を得るように前記補給水流量調節弁の弁開度を調節することを特徴とする請求項10記載の発電プラントの脱気器水位制御方法。
【請求項12】
請求項1ないし9のいずれか1項に記載の発電プラントの脱気器水位制御装置を備えた発電プラント。
【請求項1】
蒸気タービンから排気された蒸気を復水して貯水する復水器と、前記復水器に貯水された復水を復水系から導入し復水中の溶存酸素を除去して給水として貯水する脱気器と、前記脱気器に貯えられた給水を給水系から導入するボイラと、補給水流量調節弁を備え前記復水器に補給水を供給する補給水供給手段とから成り、
前記補給水供給手段により復水器への補給水量を調節して脱気器の水位を制御するようにした発電プラントの脱気器水位制御装置において、
前記脱気器の水位を検出し、その水位信号を出力する脱気器水位検出手段と、
前記復水器の水位を検出し、その水位信号を出力する復水器水位検出手段と、
前記脱気器の制御設定値と水位信号との偏差に基づいて前記補給水流量調節弁の弁開度を求める演算手段と、
前記復水器水位検出手段の水位信号を入力し前記復水ポンプの必要最低限となる流量を確保するための前記補給水流量調節弁の下限開度を求める下限開度演算手段と、
前記演算手段で求めた弁開度と前記下限開度演算手段で求めた下限開度とを入力し、前記演算手段で求めた弁開度が前記下限開度演算手段で求めた下限開度以下の場合、当該下限開度を前記補給水流量調節弁の弁開度指令として出力する下限開度切替手段と、
を備えたことを特徴とする発電プラントの脱気器水位制御装置。
【請求項2】
前記下限開度切替手段は、前記演算手段で求めた弁開度が前記下限開度演算手段で求めた下限開度よりも大きい場合、前記演算手段で求めた弁開度を前記補給水流量調節弁の弁開度指令として出力することを特徴とする請求項1記載の発電プラントの脱気器水位制御装置。
【請求項3】
前記給水系から得た給水流量の変動を検出する給水流量検出手段を設け、当該給水流量検出手段から出力された信号を先行開度として前記演算手段で求めた弁開度に加算し、前記補給水流量調節弁の弁開度指令として出力することを特徴とする請求項1または2記載の発電プラントの脱気器水位制御装置。
【請求項4】
前記復水系に設けた分岐点から復水の一部を復水器に還流させる再循環系を設け、当該再循環系に復水再循環弁を設け、前記分岐点よりも上流の任意の部位から得た復水流量の変動を検出する復水流量検出手段を設け、この復水流量変動検出手段の出力を入力し前記復水再循環弁に必要な下限開度を出力する第2の下限開度演算手段を設け、前記下限開度演算手段の出力および前記脱気器水位と所定の制御設定値との偏差を入力し、これら入力信号のうちのいずれか大きい信号を前記復水再循環弁の弁開度指令として出力する第2の下限開度切替手段とを設けたことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の発電プラントの脱気器水位制御装置。
【請求項5】
前記下限開度演算手段または第2の下限開度演算手段を、負の勾配を持つ一次関数回路で構成したことを特徴とする請求項1または4記載の発電プラントの脱気器水位制御装置。
【請求項6】
前記下限開度演算手段または第2の下限開度演算手段を、負の勾配のステップ関数回路で構成したことを特徴とする請求項1または4記載の発電プラントの脱気器水位制御装置。
【請求項7】
前記復水系に復水流量を調節する復水流量調節弁を設け、前記復水器水位検出手段の水位信号が所定の制御設定値よりも低下した場合、前記脱気器に送る復水流量を減少させるように前記復水流量調節弁の弁開度を調節することを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載の発電プラントの脱気器水位制御装置。
【請求項8】
前記再循環系に復水を貯水する復水貯水タンクを設けたことを特徴とする請求項5ないし6のいずれか1項に記載の発電プラントの脱気器水位制御装置。
【請求項9】
発電プラントのファーストカットバック運転時、ファーストカットバック信号を入力して前記蒸気タービンに供給される主蒸気量の低下分を補償する補給水流量を求める設定手段と、この設定手段の出力信号を前記演算手段の出力信号に加算することを特徴とする請求項1ないし8のいずれか1項に記載の発電プラントの脱気器水位制御装置。
【請求項10】
蒸気タービンから排気された蒸気を復水して貯水する復水器と、前記復水器に貯水された復水を復水系から導入し復水中の溶存酸素を除去して給水として貯水する脱気器と、前記脱気器に貯えられた給水を給水系から導入するボイラと、補給水流量調節弁を備え前記復水器に補給水を供給する補給水供給手段とから成り、前記補給水供給手段により復水器への補給水量を調節して脱気器の水位を制御するようにした発電プラントの脱気器水位制御方法において、
前記脱気器の制御設定値と水位信号との偏差に基づいて前記補給水流量調節弁の弁開度指令を求め、
前記復水器の水位信号に基づいた前記補給水流量調節弁の下限開度を求め、
前記脱気器の制御設定値と水位信号との偏差に基づいて求めた弁開度が前記復水器の水位信号に基づいて求めた下限開度以下のとき、当該下限開度を前記補給水流量調節弁の弁開度指令とすることを特徴とする発電プラントの脱気器水位制御方法。
【請求項11】
発電プラントのファーストカットバック運転時、蒸気タービンに供給される主蒸気量の低下分を補償する補給水流量を得るように前記補給水流量調節弁の弁開度を調節することを特徴とする請求項10記載の発電プラントの脱気器水位制御方法。
【請求項12】
請求項1ないし9のいずれか1項に記載の発電プラントの脱気器水位制御装置を備えた発電プラント。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2007−93129(P2007−93129A)
【公開日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−284132(P2005−284132)
【出願日】平成17年9月29日(2005.9.29)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(390014568)東芝プラントシステム株式会社 (273)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年9月29日(2005.9.29)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(390014568)東芝プラントシステム株式会社 (273)
【Fターム(参考)】
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