説明

発電装置の運転方法

【課題】ガスメータを経由してガスが供給される発電装置を停止させることなく、ガスメータの供給異常検知機能を誤検知なく有効に機能させること。
【解決手段】発電装置20は、ガスメータ10を介して供給されるガスを消費して発電を行う。ガスメータ10は、計測されるガス流通状態が判定期間中にリセット状態とならなかったことをガス供給異常として検知し、登録された所定の固定流量範囲のガス流量については供給異常と判断しない。発電装置20は、負荷追従運転モードと固定流量運転モードとを選択的に実行する。発電装置20は、負荷追従運転モードの実行中に、ガス流量が固定流量範囲の近傍にある場合、固定流量範囲で運転を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ガス流量を計測するガスメータを経由して供給されるガスを消費して発電を行う発電装置に係り、詳しくは、その発電装置の運転方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近時、家庭や店舗等の電力需要地に、燃料電池装置やガスエンジンを用いたコジェネレーションシステム等の小規模な発電装置を設置することが行われている。このような発電装置は、電力需要の一部又は全部を、その場で発電した電力で補うことができ、発電により発生した熱も有効利用することができ、エネルギー効率を高くすることができる。
【0003】
この種の発電装置は、主にガス供給業者が電力需要地に供給したガスを消費して発電するように構成されている。この発電装置におけるガス消費量は、他のガス消費機器におけるガス消費量と合わせて、電力需要地に設置されているガスメータにより計測されるようになっている。
【0004】
一方、各家庭等に設けられるガスメータとして、マイクロコンピュータ(以下、マイコンと呼ぶ。)を内蔵したマイコンメータがある。このマイコンは、所定のプログラムを実行することにより、ガスの漏洩、ガスホースの抜け、ガス管破損、ガス栓誤開放等のガス供給異常を検知する「供給異常検知機能」として機能する。そして、供給異常を検知したときには、ガスの供給を遮断する遮断弁を働かせたり、警報を発したりするように構成されている。
【0005】
マイコンメータが有する供給異常検知機能は、計測したガス流量からガス流量やガス流量変動量等のガス流通状態を認識し、所定の判定期間中にガス流通状態が所定のリセット状態とならなかったことを供給異常として検知するように構成されている。例えば、供給異常検知機能として、マイコンメータの下流側に接続された内管からガスが漏洩していることを検知するための「漏洩検知機能」がある。
【0006】
このような漏洩検知機能は、ガスメータにより測定されたガス流量が、30日間等の所定の「漏洩判定期間」中に、ゼロ又はゼロに近い値である無流通状態流量以下とならなかったときに、そのことをガス漏洩として検知するように構成されている。具体的には、この漏洩検知機能は、ガスメータにより計測されたガス流量が継続して無流通状態流量を超える流量となっている時間を計測し、その計測した時間が漏洩判定期間に相当する時間に到達したことをガス漏洩として検知し、警報等を発するように構成されている(例えば、下記の特許文献1及び2参照)。
【0007】
ところで、上記の発電装置を効率良く運転するためには、発電装置の電力負荷をできるだけ高負荷とすることが好ましい。特に、発電装置が燃料電池装置である場合には、燃料電池装置の部分負荷における運転効率が定格より良くないことから、設置先の電力需要(負荷)を超えない範囲で、できる限り高い負荷出力で長時間に渡って連続的に運転することが好ましい。
【0008】
しかし、このように発電装置を長時間に渡って連続運転させると、マイコンメータに構成された供給異常検知機能が、発電装置における継続的なガスの消費を、ガス供給異常と誤検知してしまうことがある。例えば、マイコンメータの漏洩検知機能は、発電装置が継続して運転され、漏洩判定期間中に、計測したガス流量が無流通状態とならなかった場合には、ガス漏洩が発生したと誤検知してしまい、警報等を発してしまうことになる。
【0009】
そこで、下記の特許文献3に記載の技術では、ガスメータを経由して発電システム(発電装置)にガスを供給する構成において、ガスメータの供給異常検知機能を、誤検知なく有効に機能させられるように、発電装置の運転を行うように構成されている。具体的には、ガス供給異常を検知するための判定期間中に、ガスメータから発電装置へ供給されるガス供給量を所定の変動パターンに従って一時的に変動させて、発電装置の運転に起因する供給異常検知機能のガス供給異常の誤検知を回避するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平8−43154号公報
【特許文献2】特開2002−236037号公報
【特許文献3】特許第4274816号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ところで、特許文献3に記載の技術では、ガスメータを経由して発電装置へ供給されるガス供給量を所定の変動パターンに従って一時的に変動させることが行われているが、これは、ガス供給量がガスメータの流量検知能力以下のほぼ「0(L/h)」程度に変化することを想定したものである。このため、発電装置が燃料電池装置である場合に、運転を一旦停止させることとなり、起動・停止が燃料電池装置の耐久性に悪影響を与えるおそれがあり、同装置による省エネルギー性も損なわれる懸念がある。
【0012】
ここで、ガスメータのマイコンは、その他の機能として「口火登録機能」を有する。この口火登録機能では、登録された固定流量範囲の内ならば、ガス供給量がゼロにならなくても、その事態をガス漏洩と判断しないように機能するようになっている。
【0013】
この発明は上記事情に鑑み、上記「口火登録機能」に着目してなされたものであって、その目的は、ガスメータを経由して発電装置にガスを供給する構成において、発電装置を停止させることなく、ガスメータの供給異常検知機能を誤検知なく有効に機能させることを可能とした発電装置の運転方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、ガス流量を計測するガスメータを経由して供給されるガスを消費して発電する発電装置の運転方法であって、ガスメータが、計測されるガス流量から認識されるガス流通状態が所定の判定期間中に所定のリセット状態とならなかったことをガス供給異常として検知する供給異常見地機能を有し、ガスメータが、登録された所定の固定流量範囲のガス流量については、ガス供給異常と判断しない口火登録機能を有し、発電装置が、電力負荷に追従したガス流量で運転を行う負荷追従運転モードと、固定流量範囲のガス流量で運転を行う固定流量運転モードとを選択的に実行するように構成され、発電装置は、負荷追従運転モードの実行中にガス流量が固定流量範囲の近傍にある場合は、固定流量範囲で運転を行うことを趣旨とする。
【0015】
上記発明の構成によれば、発電装置は、電力負荷に追従したガス流量で運転を行う負荷追従運転モードの実行中に、ガスメータの口火登録機能に合わせて、ガス流量が登録された所定の固定流量範囲の近傍にある場合は、固定流量範囲で運転を行うこととなる。従って、発電装置は、固定流量運転モードを実行するしないにかかわらず、負荷追従運転モードの実行中に、所定の判定期間中に固定流量範囲のガス流量により運転が行われる場合は、ガスメータの口火登録機能により、供給異常検知機能によるガス供給異常の判断が行われなくなる。
【0016】
上記目的を達成するために、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、発電装置は、負荷追従運転モードの実行中にガス流量が固定流量範囲より所定の若干量だけ大きい場合は、固定流量範囲で運転を行い、負荷追従運転モードの実行中にガス流量が固定流量範囲より所定の若干量だけ小さい場合は、付属機器により電力を使いながら固定流量範囲で運転を行うことを趣旨とする。
【0017】
上記発明の構成によれば、発電装置は、負荷追従運転モードの実行中において、ガス流量が固定流量範囲より所定の若干量だけ大きい場合は、固定流量範囲で運転を行い、ガス流量が固定流量範囲より所定の若干量だけ小さい場合は、付属機器により電力を使いながら固定流量範囲で運転を行う。このようにして、ガス流量が固定流量範囲の近傍にある場合に、固定流量範囲で運転が行われる。
【0018】
上記目的を達成するために、請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の発明において、発電装置は、固定流量範囲での運転が、直前の判定期間毎に所定の基準時間だけ行われていない場合は、その後に基準時間になるまで固定流量運転モードで連続運転することを趣旨とする。
【0019】
上記発明の構成によれば、請求項1又は2に記載の発明の作用に加え、固定流量範囲での運転が、直前の判定期間毎に所定の基準時間だけ行われていない場合は、その後に基準時間になるまで固定流量運転モードで連続運転が行われるので、今回の判定期間では、固定流量範囲での運転が基準時間を満たすこととなり、ガスメータが判定期間中にガス供給異常を検知することがなくなる。
【0020】
上記目的を達成するために、請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3の何れかに記載の発明において、発電装置は、使用者が操作手段を操作して固定流量運転設定を選択することにより、所定の固定流量により運転を行うことを趣旨とする。
【0021】
上記発明の構成によれば、請求項1乃至3の何れかに記載の発明の作用に加え、使用者が操作手段を操作して固定流量運転設定を選択することにより、発電装置が所定の固定流量により運転を行うので、ガス流量を、ガスメータの口火登録機能に必要な固定流量範囲に設定することができる。
【0022】
上記目的を達成するために、請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4の何れかに記載の発明において、発電装置は、固定流量運転モードによる連続運転を、判定期間毎に累積的に一定時間行うことを趣旨とする。
【0023】
上記発明の構成によれば、請求項1乃至4の何れかに記載の発明の作用に加え、発電装置は、固定流量運転モードによる連続運転を、判定期間毎に累積的に所定時間行うので、判定期間毎に固定流量範囲での運転が一定時間行われることとなり、ガスメータの供給異常検知機能によるガス供給異常のための判断条件が満たされる。
【発明の効果】
【0024】
この発明によれば、ガスメータを経由して発電装置にガスを供給する構成において、発電装置を停止させることなく、ガスメータの供給異常検知機能を誤検知なく有効に機能させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】一実施形態に係り、発電装置の運転制御装置を示す概略構成図。
【図2】同実施形態に係り、燃料電池装置の運転パターンを示すイメージ図。
【図3】同実施形態に係り、第1自動選択処理の内容を示すフローチャート。
【図4】同実施形態に係り、第2自動選択処理の内容を示すフローチャート。
【図5】同実施形態に係り、負荷追従運転モード中における電力負荷とガス流量との関係を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明における発電装置の運転方法を具体化した一実施形態につき図面を参照して詳細に説明する。
【0027】
図1に、この実施形態における発電装置の運転制御装置を概略構成図により示す。図1に示すように、この発電装置の運転制御装置は、発電装置である燃料電池装置20と、その燃料電池装置20に燃料としてのガスを供給する導管1及び内管2と、導管1から内管2へのガスの流れを計測するガスメータ10とを備える。この装置は、家庭や店舗等に設置される。
【0028】
ガス供給事業者により導管1を介して家庭や店舗等の需要部へ供給されるガスは、最初に、その需要部に設置されているガスメータ10を経由した後に、需要部内に配設された内管2を通って、需要部に設置された燃料電池装置20やその他のガス消費機器40に供給されるようになっている。
【0029】
ガスメータ10は、導管1から内管2へと流通するガス流量を計測する計測部12と、各種処理を実行可能なマイクロコンピュータ(マイコンと略称する。)15と、内管2へのガスの流通を遮断可能な遮断弁13と、マイコン15の出力信号により点灯可能な警報ランプ18等とを備える。計測部12で計測されたガス流量は、積算流量としてガスメータ10に設けられた表示部19に表示される。
【0030】
ガスメータ10に設けられたマイコン15は、所定のプログラムを実行することにより、ガスの漏洩、ガスホースの抜け、ガス管破損、ガス栓誤開放等のガス供給異常を検知する供給異常検知機能16として機能する。この供給異常検知機能16は、計測部12で計測されたガス流量から認識されるガス流通状態を監視し、所定の判定期間中にそのガス流通状態が所定のリセット状態とならなかったことをガス供給異常として検知するように構成される。そして、供給異常検知機能16は、ガス供給異常を検知したときに、遮断弁13を働かせてガスの流通を遮断したり、警報ランプ18を点灯させたり、ガス供給異常が発生した旨を認識可能な警報信号を、通信ネットワーク等を介してガス供給業者が運営管理する管理サーバ側へ送信したりするようになっている。
【0031】
詳しくは、マイコン15は、供給異常検知機能16として、ガス流通状態として計測部12で計測されたガス流量が所定の判定期間としての漏洩判定期間TeJ中に、リセット状態としてのゼロ又はゼロに近い値である「無流通状態流量」以下とならなかったことを、ガス供給異常としての「ガス漏洩」として検知する「漏洩検知機能」を有する。
【0032】
この実施形態では、計測部12として、膜室へのガスの充填に伴って流量パルス信号を出力し、この流量パルス信号をカウントすることによりガスの流量を計測することができる膜式流量計が使用される。この場合、漏洩検知機能は、流量パルス信号が、例えば1時間の間に1パルスも出力されなかったとき(1時間あたりのガス流量が膜室の計量体積以下となったとき)に、リセット状態と認識する。そして、このリセット状態が、例えば「30日間」の間に起こらなかった場合(流量パルスが1パルス以上発生した時間が30日間継続したこと)を、ガス漏洩として検知するようになっている。つまり、漏洩判定期間TeJは、ガス消費機器40等において、その期間中に連続してガスを消費することがほとんどない、例えば「30日」に設定され、上記無流通状態流量は、1時間の間に流量パルスを1パルス出力するときの「1.0(L/h)」に設定される。
【0033】
一方、マイコン15は、所定のプログラムを実行することにより、ガスメータ10が、登録された所定の固定流量範囲のガス流量(口火登録流量)については、上記した供給異常検知機能16を働かせないようにする、すなわち、ガス供給異常と判断しないようにする口火登録機能17として機能する。
【0034】
燃料電池装置20は、ガス流量を計測するガスメータ10から内管2を介してガスが供給され、その供給されたガスを消費して発電する発電装置として機能する。詳しくは、燃料電池装置20は、内管2から制御弁21による調整を伴って供給されるガスを使用して電気と熱を発生させる燃料電池22を備える。燃料電池22は、付属機器として、ヒータ23を内蔵する。
【0035】
燃料電池装置20は、ガスメータ10から供給されるガス供給量を制御弁21を働かせて燃料電池22へのガス供給量を制御可能なコンピュータからなる運転制御装置30を備える。この運転制御装置30は、所定のプログラムを実行することにより、後述の「誤検知回避処理」を実行する誤検知回避処理手段31として機能する。運転制御装置30には、使用者により操作される操作手段としての、複数のスイッチ類を含む操作パネル32が接続される。運転制御装置30の運転に係る詳細構成について以下に説明する。
【0036】
上記したように、燃料電池装置20は、供給異常検知機能16及び口火登録機能17を有するガスメータ10を経由してガスが供給されるように設置される。ここで、燃料電池装置20が、例えば一定負荷で長時間に渡って運転している場合には、ガスメータ10の供給異常検知機能16が機能して、燃料電池装置20における継続的なガスの消費を、ガス供給異常として誤検知してしまうおそれがある。特に、この実施形態では、ガスメータ10が供給異常検知機能16として「漏洩検知機能」を有するので、漏洩検知機能は、燃料電池装置20が継続して運転され、例えば「30日」の漏洩判定期間TeJ中に、計測部12で計測したガス流量が、例えば「1.0(L/h)」の無流通状態流量以下とならなかった場合には、ガス漏洩が発生したと誤検知してしまい、警報等を発してしまう。
【0037】
そこで、運転制御装置30の誤検知回避処理手段31は、ガスメータ10の供給異常検知機能16、特に「漏洩検知機能」において、ガス供給異常を検知するための漏洩判定期間TeJの間に、内管2から燃料電池装置20へ供給されるガス供給量を、ガスメータ10のマイコン15が有する口火登録機能17に合わせて調整する。これにより、燃料電池装置20の運転に起因するガス供給異常の誤検知を回避するように構成される。
【0038】
すなわち、誤検知回避処理手段31は、漏洩判定期間TeJの間に、制御弁21を働かせて、内管2から燃料電池22へ供給されるガス流量を調整する。ここで、電力負荷に追従したガス流量で運転を行う「負荷追従運転モード」と、所定の固定流量範囲LFのガス流量で運転を行う「固定流量運転モード」とを選択的に実行するように構成される。
【0039】
そして、誤検知回避処理手段31は、「負荷追従運転モード」の実行中にガス流量が固定流量範囲LFの近傍にある場合は、その固定流量範囲LFで運転を行うようになっている。そのために、具体的には、誤検知回避処理手段31は、「負荷追従運転モード」の実行中にガス流量が固定流量範囲LFより所定の若干量(例えば「10(L/h))」)だけ大きい場合は、固定流量範囲LFで運転を行い、「負荷追従運転モード」の実行中にガス流量が固定流量範囲LFより所定の若干量(例えば「10(L/h))」)だけ小さい場合は、燃料電池22が内蔵するヒータ23で電力を使いながら固定流量範囲LFで運転を行うように構成される。
【0040】
さらに、誤検知回避処理手段31は、固定流量範囲LFでの運転が、直前の漏洩判定期間TeJ(例えば「30日」)毎に所定の基準時間TiS(例えば「24時間」)だけ行われない場合は、その後に基準時間TiSになるまで「固定流量運転モード」で連続運転するように構成される。このように運転することで、誤検知回避処理手段31は、燃料電池装置20の継続的な運転に起因する、ガスメータ10の漏洩検知機能によるガス漏洩の誤検知を回避するようになっている。
【0041】
次に、燃料電池装置20の運転制御装置30が実行する誤検知回避処理手段31に係る運転内容を図2〜図4を参照して詳細に説明する。
【0042】
図2に、燃料電池装置20の運転パターンをイメージ図により示す。図2に示すように、運転制御装置30が実行する運転は、使用者の操作による外部設定51により、口火対応運転設定52、固定流量運転設定53及び負荷追従運転設定54のうち何れかを選択するようになっている。使用者は、操作パネル32を使用して上記選択を行うことができる。
【0043】
ここで、口火対応運転設定52を選択することにより、燃料電池装置20につき、ガスメータ10のマイコン15が有する口火登録機能17に合わせた運転を行うことができる。固定流量運転設定53を選択することにより、燃料電池装置20が所定の固定流量で運転され、ガス流量が、ガスメータ10の口火登録機能に必要な固定流量範囲LFに設定することができる。この実施形態では、固定流量範囲LFとして、例えば「50(L/h)±1(L/h)」を設定できるようになっている。また、負荷追従運転設定54を選択することにより、燃料電池装置20につき、電力負荷に追従した運転を行うことができる。
【0044】
外部設定51により口火対応運転設定52を選択した場合、運転制御装置30の誤検知回避処理手段31は、第1自動選択処理61を実行する。この処理は、例えば、漏洩判定期間TeJの「30日間」よりも短い直前「29日間」の固定流量範囲LFでの運転時間に基づいて運転を行うものである。運転制御装置30は、この処理により、自動選択運転モード62、固定流量運転モード63又は負荷追従運転モード64を実行するようになっている。
【0045】
図3に、第1自動選択処理の内容をフローチャートにより示す。先ず、ステップ100で、運転制御装置30は、口火対応運転設定52か否かを判断する。この判断結果が否定となる場合、運転制御装置30は、そのまま処理をステップ100へ戻す。この判断結果が肯定となる場合、運転制御装置30は、処理をステップ101へ移行する。
【0046】
ステップ101で、運転制御装置30は、直前の漏洩判定期間TeJにおける固定流量範囲LFでの積算運転時間TiEを算出する。
【0047】
次に、ステップ102で、積算運転時間TiEと所定時間(T1,T2(T1<T2))を比較する。ここで、所定時間T1として、例えば「24時間」を当てはめることができる。また、所定時間T2として、例えば「30時間」を当てはめることができる。
【0048】
ステップ102の比較結果につき、積算運転時間TiEが所定時間T1よりも小さい場合は、固定流量範囲LFによる運転時間が少ないことから、運転制御装置30は、ステップ103で、固定流量運転モードを実行する。例えば、固定流量範囲LFによる運転時間が、「29日間」で「24時間」に満たない場合が想定される。
【0049】
ステップ102の比較結果につき、積算運転時間TiEが所定時間T1以上かつ所定時間T2以下である場合は、固定流量範囲LFによる運転時間が通常の時間であることから、運転制御装置30は、ステップ104で、自動選択運転モードを実行する。例えば、固定流量範囲LFによる運転時間が、「29日間」で「25時間」から「30時間」の間になる場合が想定される。
【0050】
ステップ102の比較結果につき、積算運転時間TiEが所定時間T2よりも大きい場合は、固定流量範囲LFによる運転時間が多いことから、運転制御装置30は、ステップ105で、負荷追従運転モードを実行する。例えば、固定流量範囲LFによる運転時間が、「29日間」で「30時間」以上になる場合が想定される。このモードは、燃料電池22の本来の運転モードであることから、燃料電池装置20の省エネルギー性が高くなる。
【0051】
つまり、上記した第1自動選択処理によれば、燃料電池装置20は、固定流量運転モードによる連続運転を、漏洩判定期間TeJ毎に累積的に所定時間T1,T2だけ行うこととなる。
【0052】
なお、図3に示すフローチャートにおいて、各運転モードへの切り替えが短時間に頻繁に起こらないように、一度各運転モードに入った場合は、一定時間は他の運転モードへ移らないようにすることも考えられる。
【0053】
次に、図2のイメージ図に戻って、第1自動選択処理61により自動選択運転モード104を実行した場合、運転制御装置30の誤検知回避処理手段31は、第2自動選択処理71を実行する。この処理は、直前の「29日間」に固定流量範囲LFによる運転時間にかかわらず運転を行うものである。この処理により、固定流量運転又は負荷追従運転が行われるようになっている。
【0054】
図4に、第2自動選択処理の内容をフローチャートにより示す。先ず、ステップ200で、運転制御装置30は、自動選択運転モード62か否かを判断する。この判断結果が否定となる場合、運転制御装置30は、そのまま処理をステップ200へ戻す。この判断結果が肯定となる場合、運転制御装置30は、処理をステップ201へ移行する。
【0055】
ステップ201で、運転制御装置30は、ガス流量GFを算出する。運転制御装置30は、所定の負荷追従ロジックに基づきガス流量GFを算出する。
【0056】
次に、ステップ202で、運転制御装置30は、燃料電池22の現在の運転が固定流量運転か否かを判断する。「固定流量運転」は、燃料電池22に供給されるガス流量GFが所定の固定流量範囲LFとなるように制御弁21を制御する運転である。この判断結果が否定となる場合、すなわち、固定流量運転でない場合、運転制御装置30は、処理をステップ203へ移行する。
【0057】
ステップ203で、運転制御装置30は、ガス流量GFが固定流量範囲LF以内か否かを判断する。この判断結果が否定となる場合、運転制御装置30は、そのまま処理をステップ200へ戻す。この判断結果が肯定となる場合、運転制御装置30は、ステップ204で、現状の運転を固定流量運転に変更する。
【0058】
一方、ステップ202の判断結果が肯定となる場合、すなわち固定流量運転である場合、運転制御装置30は、ステップ205で、ガス流量GFが固定流量範囲LF以内か否かを判断する。この判断結果が肯定となる場合、運転制御装置30は、そのまま処理をステップ200へ戻す。この判断結果が否定となる場合、運転制御装置30は、ステップ206で、現状の運転を負荷追従運転に変更する。
【0059】
図5に、負荷追従運転モード中における電力負荷とガス流量との関係をグラフにより示す。図5において、時刻t1〜t2の間では、電力負荷に追従するようにガス流量が調整され、燃料電池22で発電が行われる。そして、時刻t2で、ガス流量が所定の固定流量範囲LFに近付くと、ガス流量が固定流範囲LFのガス流量になるよう調整される。このようにして、固定流量範囲LFの運転時間が確保される。
【0060】
以上説明したこの実施形態の発電装置の運転方法によれば、燃料電池装置20は、電力負荷に追従したガス流量で運転を行う「負荷追従運転モード」の実行中に、ガスメータ10の口火登録機能17に合わせて、ガス流量GFが登録された所定の固定流量範囲LFの近傍にある場合は、固定流量範囲LFで運転を行う。具体的には、燃料電池装置20は、「負荷追従運転モード」の実行中に、ガス流量GFが固定流量範囲LFより所定の若干量だけ大きい場合は、固定流量範囲LFで運転を行い、ガス流量GFが固定流量範囲LFより所定の若干量だけ小さい場合は、ヒータ23により電力を使いながら固定流量範囲LFで運転を行う。
【0061】
従って、燃料電池装置20は、「固定流量運転モード」を実行するかしないかにかかわらず、「負荷追従運転モード」の実行中に、所定の漏洩判定期間TeJ(30日)の間に固定流量範囲LFのガス流量GFにより運転が行われる場合は、その固定流量範囲LFでの運転の積算時間TiEが基準時間TiS(24時間)に達しているときは、ガスメータ10の口火登録機能17により、供給異常検知機能16によるガス供給異常の判断が行われなくなる。ただし、燃料電池装置20が、上記のような運転を行っても、ガス流量GFが固定流量範囲LFに調整できない場合は、ガスメータ10の異常検知機能16が機能してガス供給異常を検知することができる。このため、ガスメータ10を経由して燃料電池装置20にガスを供給する構成において、燃料電池装置20を停止させることなく、ガスメータ10の供給異常検知機能16を誤検知なく有効に機能させることができる。
【0062】
この実施形態では、燃料電池装置20につき、固定流量範囲LFでの運転が、直前の漏洩判定期間TeJ(30日)毎に所定の基準時間TiS(24時間)だけ行われていない場合は、その後に基準時間TiSになるまで強制的に「固定流量運転モード」で連続運転が行われる。従って、今回の漏洩判定期間TeJでは、固定流量範囲LFでの運転が基準時間TiSを満たすこととなり、ガスメータ10が漏洩判定期間TeJの間にガス供給異常を検知することがなくなる。このため、「固定流量運転モード」での運転を強制的に実行することにより、燃料電池装置20を停止させることなく、ガスメータ10の供給異常検知機能16を誤検知なく有効に機能させることができる。
【0063】
この実施形態では、燃料電池装置20は、固定流量運転モードによる連続運転を、漏洩判定期間TeJ毎に累積的に所定時間T1,T2だけ行うので、漏洩判定期間TeJ毎に固定流量範囲FLでの運転が所定時間T1,T2だけ行われることとなり、ガスメータ10の供給異常検知機能16によるガス供給異常のための判断条件である基準時間TiSが満たされる。このため、ガスメータ10の供給異常検知機能16に合わせて口火登録機能17を確実に機能させることができる。
【0064】
なお、この発明は前記実施形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱することのない範囲で構成の一部を適宜に変更して実施することもできる。
【0065】
例えば、前記実施形態では、本発明を発電装置として燃料電池装置20に具体化したが、本発明を発電装置としてガスエンジンを用いたコジェネレーションシステムに具体化することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0066】
この発明は、例えば、家庭や店舗等で使用される燃料電池装置やガスエンジンを用いたコジェネレーションシステム等の小規模な発電装置の運転に利用することができる。
【符号の説明】
【0067】
10 ガスメータ
16 供給異常検知機能
17 口火登録機能
20 燃料電池装置(発電装置)
22 燃料電池
23 ヒータ(付属機器)
30 運転制御装置
31 誤検知回避処理手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス流量を計測するガスメータを経由して供給されるガスを消費して発電する発電装置の運転方法であって、
前記ガスメータが、前記計測されるガス流量から認識されるガス流通状態が所定の判定期間中に所定のリセット状態とならなかったことをガス供給異常として検知する供給異常検知機能を有し、
前記ガスメータが、登録された所定の固定流量範囲のガス流量については、前記ガス供給異常と判断しない口火登録機能を有し、
前記発電装置が、電力負荷に追従したガス流量で運転を行う負荷追従運転モードと、前記固定流量範囲のガス流量で運転を行う固定流量運転モードとを選択的に実行するように構成され、
前記発電装置は、前記負荷追従運転モードの実行中に前記ガス流量が前記固定流量範囲の近傍にある場合は、前記固定流量範囲で運転を行うことを特徴とする発電装置の運転方法。
【請求項2】
前記発電装置は、前記負荷追従運転モードの実行中に前記ガス流量が前記固定流量範囲より所定の若干量だけ大きい場合は、前記固定流量範囲で運転を行い、前記負荷追従運転モードの実行中に前記ガス流量が前記固定流量範囲より所定の若干量だけ小さい場合は、付属機器により電力を使いながら前記固定流量範囲で運転を行うことを特徴とする請求項1に記載の発電装置の運転方法。
【請求項3】
前記発電装置は、前記固定流量範囲での運転が、直前の前記判定期間毎に所定の基準時間だけ行われていない場合は、その後に前記基準時間になるまで前記固定流量運転モードで連続運転することを特徴とする請求項1又は2に記載の発電装置の運転方法。
【請求項4】
前記発電装置は、使用者が操作手段を操作して固定流量運転設定を選択することにより、所定の固定流量により運転を行うことを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の発電装置の運転方法。
【請求項5】
前記発電装置は、前記固定流量運転モードによる連続運転を、前記判定期間毎に累積的に所定時間行うことを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の発電装置の運転方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate